アナザーワールドSRS・リプレイ・DROWNING/phantasmagoria
■ 第1ループ1話 『 One day 』 1ページ ■
2009年9月24日



 このページは、TRPG『アナザーワールド SRS』を使用したリプレイです。
 また、ボーイズラブ要素を含んだシナリオを予定しているため、読む際に注意をお願い申し上げます。


 事の始まりは、まだ前作BLキャンペーン『迷宮キングダム・リプレイ〜夢魔炎上』が絶賛連プレイ中だったある夏の風景。
 マーサーを除く全員が参加していた『アリアンロッドRPG』のセッション終了後、共に食事をしているときのことだった……。


マーサー/……これが前に言っていた『新しいBLキャンペーンの』案をまとめた紙。まだ全然シナリオ練ってないけど、アイディアとハンドアウトパターンだけ考えてみたよ。
プレイヤー3・ユウ/で、このキャンペーン、いつやるんですか?

 ……立卓、即決。
 楽しいゲームが終わっての打ち上げの食事時間では、当然な流れだったかもしれない。
 その場で居た4人で即キャラクター構想を練り始める。
 彼女らが選んだシナリオは、「BLキャンペーンで『Fate/staynight』を再現しようの回」。オリジナル英霊を作成しての聖杯戦争に飛び込んで行ったのだった――。

 ハンドアウトと世界説明、そして今回使用するゲームシステムを解説する前に、各プレイヤーを紹介しよう。


▼GM/マーサー
 今回のキャンペーンのGMで、リプレイの編集者。
 最近「BLセッションをする先輩」ということで定着しているのに満足している……が、自身はBLセッションにプレイヤーで参加したことがない。けれどGM大好きというか、自分のシナリオ大好きというか、寧ろ自分大好きなのでそれもいいかと思い始めている。最近の口癖は「ま、シナリオ判らなくなったらリプレイ作るからそれ見てよ」。
 前作『迷宮キングダム・リプレイ〜夢魔炎上』で、体内に「弁慶さん」を飼っていることが判明した。

▼PL1/すずか
 『迷宮キングダム・リプレイ〜夢魔炎上』の義人、『ギガントマキア・リプレイ〜Forget-me-not Scarlett』のシグを始め、多くのマーサーのキャンペーンに参加している。
 プレイするゲームによってキャラクターを変える、決してキャラ被りをしない千のキャラロールをすることが出来るプレイヤー。毎度個性的なキャラクターを生み出し、名言を残してくれる。
 特技は、「何かとおいしいサイコロ」。台詞まわしといい、非常にリプレイ映えする。比較的残念な意味で。

▼PL2/辰巳
 『ゴーストハンター02・リプレイ〜パラドックスの椿』の村上昌幸や、『ルリルラ・リプレイ〜異次元メルト』のビクトルなどでご一緒しているが、BLキャンペーンでは初参加。
 一言で、堅実な人。何の役目でも安心して任すことが出来るのでやや難しい役割をしても倍の反応を返してくれる。男性を演じるとツッコミ苦労性になり、女性を演じるとやや電波な生き物になる……のは今までのリプレイで実証済み。
 簡単に属性を説明すると、親父とツンデレ好きらしい。

▼PL3/ユウ
 PL1と同様、BLキャンペーンどころかマーサーのキャンペーンの常連になっているプレイヤー。『迷宮キングダム・リプレイ〜夢魔炎上』の旭人、『ギガントマキア・リプレイ〜Forget-me-not Scarlett』のラカートなど、ムードメーカー的なキャラロールを得意とする。
 話を盛り上げる天才。怒涛の喋り力を持っていながら、ダイスを山ほど振ったり数桁の計算を行えるデータの鬼でもある。「全力でバカをして遊ぶが、絶対に死なないキャラメしかしない」と本人も言う。先生マジパネェッす。

▼PL4/みっこ
 前作から続投、『迷宮キングダム・リプレイ〜夢魔炎上』の千晶の中の人。
 前作リプレイでも書いたが、乙女。可愛らしい声と、形容しがたい効果音と、人間の目には視えない背景トーンで笑わせてくれるのは今も健在。
 最近はそれに「効果音で話す」という特技も加わった。ちょー。(←主な例)
 後述されているが、PL1とPL2の高校の後輩。

GM/そんじゃ、急に決定したことだけど注意事項と世界説明を説明してくよー。
一同/はーい。
GM/今回選んでくれたシナリオは、ゲーム『Fate/staynight』の聖杯戦争をテーマとしたBLシナリオです。オリジナルシナリオにはするけど、『Fate』を実際プレイしたことある人はいるー?

 一同、首を振る。

GM/前作も『遥か3』を元ネタにしたけど充分遊べたしね。ちゃんとプレイ最中にも説明するから安心してやってみてください。まずは世界観説明だけど……『7人の魔術師と7人の使い魔が手を組んで、願い事を叶う聖杯を奪い合ってデッドオアアライブする』ゲームです。
プレイヤー1・すずか/……『龍騎』?
GM/『Fate』発売前にそう書かれた記事もあったな。で、その7人の使い魔というのは歴史上の有名人だったり神話の神様だったりして、その生前の願いなどを叶える聖杯を求めて現界する。7組は戦い合って、最後の1組になったチームに聖杯が授けられます。
プレイヤー2・辰巳/歴史上の人物っていうのは……。
GM/原作の『Fate』だと、アーサー王やクーフーリン、メドゥーサや佐々木小次郎など様々な有名人……『英霊』を召喚してます。……とりあえず原作に登場した英霊はリストアップするから、サーヴァントをやる人は出来ればそれ以外を考えてね。

 イスカンダル、ランスロット……と、今まで登場したキャラクターをノートに書いていく。

GM/7つの使い魔っていうのはセイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、バーサーカー、アサシンに分類されます。例えばさっき言ったアーサー王だとセイバーに該当して、ゲイボルグで有名な槍のクーフーリンはランサーに該当します。使い魔のハンドアウトを選択した人は、有名人を決定した後に誰をやるか決めてもらいます。
プレイヤー1・すずか/イチローさんとかセイバーだよな。
GM/霊なんで死んでいる人にしてください(笑)
プレイヤー3・ユウ/……マイケル・ジャクソン?(笑)

 知名度だけで人が殺せるセレクトではあるけれど。
 ということで、まずは先にハンドアウトの公開であるが……。


【PC@:ハンドアウト】
 君の手には刻印がある。君は突然、マスターに選ばれてしまったらしい。
 ごく普通の平和な暮らしを送っていた筈なのに……急に魔術師の殺し合いに巻き込まれてしまった。
 死を覚悟し戦いに挑むか。ただただ逃げ続ける日々か。どの決断を下しても、君は駒として狙われる。
 「巻きこまれ主人公」な立ち位置。周囲に振りまわされつつも自分を持てる人向け。
 パートナー→幼馴染。一般人。頻繁に会い、共に食事をしたり笑いあったりする。日常の象徴。
 パターン1→いつも同じ距離を保って歩く、ひまわりのような笑顔の少年〜青年。男女ともに友達が多いが、特に君とは古い付き合いのせいか仲が良い。積極的。
 パターン2→やや後ろの距離を保って歩く、大人しい少年〜青年。昔に何か恩を売ったからか、何かと君を頼りにしてくる節がある。消極的。

【PCA:ハンドアウト】
 君はサーヴァントだ。何のサーヴァントか、どの歴史上の人物かは自由に決めること。
 しかし、君は現在……マスターを失くした「はぐれサーヴァント」だ。身体を保つ魔力が足りないせいか、最近は力が巧く使えなくなっただけでなく、記憶まで曖昧になっている。
 このままでは消滅してしまう。なんとかして人間に寄りつかなければ。
 「歴史上の人物」「記憶喪失」「タイムスリップの放浪の身」など設定が多く付くので、翻弄されたい人向け。
 パートナー→元マスターの男性。自分を現世に召喚した魔術師だったが、何故か君を強制的に契約解除の末、姿を消してしまった。
 パターン1→紳士、エリート、カタに嵌った古い魔術師。聖杯戦争に勝利する手札として君を召喚した。
 パターン2→異端じみたトリッキーな行動をする奇術師。聖杯戦争は道楽として参加し、君を召喚した。

【PCB:ハンドアウト】
 君は魔術師だ。今回の聖杯戦争の勝者は自分であると信じている(勝利の末に授けられる聖杯の使い道は、自由に決定すること)。
 PC1とは知り合いだった。まさかPC1が同じマスターになるなんて……すぐに殺す必要は無いだろう。
 とりあえず君は様々な手を使ってこの戦いに勝利しなければ!
 「PC1とは敵同士だが味方」という特殊な立ち位置なので、ドラマチックなロールがしたい人向け。
 パートナー→教会の神父。聖堂教会から派遣された、今回の聖杯戦争の監督者。ルールジャッジ、傷の手当、一般人の保護、世間からの記憶の改竄などを担当している。同志であり、君の活躍を応援する。しかし、ジャッジに不平は無い。
 パターン1→普段は昼間の教会で子供をあやす和やかな態度の男性。ころころと感情を表す。
 パターン2→懺悔に来た人々を静かに迎える、落ち着いた態度の男性。表情は変わらない。

【PCC】
 「ハンドアウト@」か「ハンドアウトB」のどちらかを共有すること。どちらも聖杯戦争の参加者として参戦する。
 「@」なら、PC1の兄弟(義理可)、親友、幼馴染として2人で刻印を手にいれ巻き込まれてしまう、など。
 「B」なら、PC3とはライバル同士、修行仲間、協力者、など。信頼か策略か、お互い休戦協定を結んでいる。
 なお、選ばれなかったパートナーパターンは別のNPCの性格に採用される。

GM/好きなハンドアウトを選んだ後に、パートナーの性格パターンを選んでもらいます。そのときに自分でそのキャラの名前と年齢を決定してね。

 そして、以上4つのハンドアウトを選んでもらうことに。
 話し合いの結果は……。


プレイヤー1・すずか/PC1ハンドアウトの、パートナーパターン2を選択。
プレイヤー2・辰巳/PC2ハンドアウトの、パートナーパターン1を選択。
プレイヤー3・ユウ/PC3ハンドアウトの、パートナーパターン2を選択。
プレイヤー4・みっこ/PC4で、PC1ハンドアウト通りに。

GM/次に使用システムの説明ですが……。今回オリジナルTRPGシステムを使ってもらいます。F.E.A.R.のスタンダードRPGシステム(以下SRS)を使用して作った『アナザーワールドSRS』というシステムを!

 全員に、50枚入りB5ファイルが埋まるほどの資料を配布する。
 クラスの説明、データ、世界観を描いた紙だが……。


GM/このゲーム……ぶっちゃけ言いますと、ロリループをするために作ったゲームです。
プレイヤー2・辰巳/ロリ!
プレイヤー4・みっこ/ロリにまたお世話になるんですねー。
プレイヤー3・ユウ/(ルールのファイルを見て)あ、ロリのイラストがある……。

 ロリ。正式名称は、聖剣。
 本来はちゃんとした名前があるのだが、過去のリプレイ作品では毎回名を変更して登場するので、聖剣で通している。
 外見は6歳の金髪ツインテール幼女。誤った世界を修正するためプレイヤーキャラクター達に力を授ける。神様(GM)の代理人で、なんでも知っているしどんなシーン(時間)にも飛べる。だって正体は「GMを萌え擬人化したもの」だもの。
 間違った選択や悔いが残る問題のシーンまでやり直す能力をキャラクターに授けるが、それは一度設定すると問題が解決するまで時間をやり直すことになる。つまり世界がループする。過去リプレイでも、ループすることで多くの感動を生んできたのだが……。


GM/で、ここで質問なんだけど、今回のこのシナリオも「ループもの」にする?
プレイヤー4・みっこ/しなくてもいいんですか?
GM/うん。しないなら1回限りの長期キャンペーンっぽくなる。ループするなら短編を何度もやり直す仕様になる。どっちもそれなりに楽しめるシナリオにはするつもり。もうロリループのシナリオも2回やってるから希望を取りたいんだけど。
プレイヤー1・すずか/一回でクリア出来る気がしないし……多くのカップリングを楽しみたいんで、ロリループ希望します。
プレイヤー3・ユウ/私もそれでいいです。
プレイヤー2・辰巳/うーん、なにぶん初めてなので長いシナリオをじっくりするのも捨てがたいんですが……。

 話し合いの結果……というか、やっぱりというか。
 今回も「ロリループ」になることが決定した。しかしこれによってシナリオが変更されることは殆ど無い。
 何故なら、GMが用意しているシナリオは「Fateを再現する」という決心の一文だけで、他には紙にも何も書かれていないのだから……。
 ということでその後、キャラクターメイキング方法も簡単なSRSを使ってPCを作成することに。


GM/SRSってのはF.E.A.R.の『アルシャードシリーズ』で有名な、「3つまでのクラスを組み合わせてキャラメする、2D6+能力値ボーナスで判定するシステム」です。詳しくは『アルシャード』のルールブックをお読みください。……みんな、同じF.E.A.R.の『アリアンロッド』をプレイした後だから大体は判るよね?

 選べるクラスは、12通り。
 魔術を学ぶ[魔術師]、超能力を操る[感応力師]、武器を持って戦う[闘士]、更に戦闘に特化した[狂戦士]、遠距離攻撃を主とした[狩人]、霊を使役する[霊媒師]、組織のサポートを受けた助力者の[聖職者]、同じく組織からサポートを受けた戦闘員[処刑人]、物体を再構築や分解する[領域遣い]、世界の理をねじ曲げてしまう力を持つ[世界遣い]、特殊な生まれなどを表す[稀人]、禍々しい闇の存在である[異端者]
 この中から3種類選択し、クラスから得られる特技を選んでいく。
 また、4種類のライフパス(重要キーワード、背景、特徴、ボーナス効果)を決めつつ、食事をしつつ……4人の聖杯戦争の『被害者』が出来上がったのだった。


GM/ではセッションを始める前にまず自己紹介をしよう。ということで、PC1からお願いします。
プレイヤー1・すずか/PC1……。
GM/PC1だよ。
プレイヤー1・すずか(以降、航)/PC1って響きがモヤモヤする(笑) えっと、キャラクター名は秤谷航(はかりや・わたる)です。……え、凄い緊張するんだけど、なんで!?
プレイヤー4・みっこ/ええっ、どうしてですか(笑)

 PC1を滅多にやらないところを、今回GMの希望でPC1に推してみたからです。

航/クラスは、[闘士/聖職者/世界遣い]をとりました。基本的には【体力】を上げてあるけど【意志】がちょっと弱いかな。特技は、攻撃する≪片手武器≫≪撃滅≫、行動値を下げる≪啓発の鎖≫、ダイスを振り直させる系の≪悔改めよ≫≪逆転運命≫、それと自分を厄介事の対象にできる≪歪んだ奇跡≫……。
GM/ライフパスは何?
航/ダイスで振ったら、『重要キーワード/事故』が出ました。事故に遭って家族がもういないっていう設定でいきます。あと『背景/○○が欲しい』。何かを熱烈に欲しがっているということなので……今のところ、家族が欲しい、聖杯が欲しい……かな?
プレイヤー4・みっこ/サーヴァントも欲しいですね〜。
航/サーヴァント超欲しい!(笑) 『特徴/恋愛オンチ』で『ボーナス効果/1シナリオ1回ダメージロール+5』です。年齢は高校1年生の16歳。
GM/質問だけど、自分の能力に自覚はあるの? 自覚無い状態でスタートする?
航/……自覚が無くて「君は実はこうだったんだよ!」の方がリプレイ的にシステム紹介が出来ていいんじゃないでしょうか?
プレイヤー3・ユウ/だね。PC3が自覚ありだから比較対象としてちょうどいい。
航/なら航は自覚症状は無い方向で。……なんかすっごい緊張してるんだけど、なんでだろうね。以上ですどうぞ。
GM/という訳で振り回されるPC1、主人公……。ではPC2どうぞ。
プレイヤー2・辰巳(以降、相馬)/はい。キャラクター名……相馬(そうま)。バーサーカーで、正体は平将門(たいらの・まさかど)です。
プレイヤー3・ユウ/将門ー!(笑)
GM/ちなみに、第二希望は木曽義仲だったらしい。
航/木曽義仲!(笑)
相馬/選考基準としては日本史や日本神話の人物の方が他のPCと絡みやすいし、忠臣や天下を手に入れた人よりも逆族や討伐追放された人の方が聖杯戦争に参加する動機が強くなりそうだからです。

 他の案としてはヤマタノオロチとヒルコがあったそうだ。
 ちなみに、本来『Fate』ではバーサーカーは「自我を失う代わりに数倍もパワーを上昇させる」という記述がありましたが、今回のキャンペーンではキャラロールをするためにカットします。


相馬/平将門にしたけど名前が仰々しいので普段は相馬って名乗ってます。クラスは、[狂戦士/処刑人/異端者]。
GM/……凄いNPCっぽいな(笑)
相馬/ガチガチの前線系です。物理ダメージしか今のところ与えられないんだ。前線に突っ込んでいくタイプで、特技は≪凶々しき武器≫で戦って、達成値を上げる≪失われた日々≫、範囲攻撃の≪乱舞≫、他には≪拷問術≫≪野獣の鼻≫≪縛鎖≫です。
プレイヤー3・ユウ/……やっぱり仰々しいな(笑)
相馬/あと将門にするにあたって事後承諾は取ったつもりです。セッション前に神田明神に行って謝って来ました。すみませんホントに! このセッションはフィクションであって実際の人物団体とはなんら関係ありません!
航/首の怪我に気を付けようね(笑)
相馬/ライフパスは、『重要キーワード/絶望』。『背景/負けるのが嫌い』。『特徴/百戦錬磨である』。『ボーナス効果/【霊力命中値】のベースを−1し、【霊力防御点】を+1する』にしました。頑張るよー! 次の方どうぞ!
プレイヤー3・ユウ(以降、盟)/キャラクター名、八木沼盟(やぎぬま・めい)。クラスは[魔術師/霊媒師/領域遣い]です。まあ、キャラクター造形は……スネオでいこうと思います。
航/この聖杯、二人用なんだよね!」(一同笑)
盟/持っている特技は、≪魂を纏う腕≫≪魂砕≫で攻撃、【MP】がガンガン掠れていきます。他に≪賢者の脳髄≫≪望淵鏡≫……あとスネオなんで≪テリトリー≫で屋敷を持ってるよ!
相馬/ライフパスも屋敷だもんな。
盟/うん、ライフパスが『特徴/大屋敷』。屋敷メインでいくよ!(笑) あとロザリーとヘンリーというお手伝いがいます。他に『重要キーワード/支配』、『背景/○○にいじめられていた』、『ボーナス効果/1シナリオに1回【MP】を2D6回復できる』にしました。ガンガン【MP】削っていくよー。
プレイヤー4・みっこ(以降、亜紀)/最後に、キャラクター名は早乙女亜紀(さおとめ・あき)です。クラスは[感応力師/狩人/霊媒師]です。えっと……PC1の……先輩になりました……こ、高校の先輩頑張ります!
航/やったー! なんでそんなにプルプルしてるのー!?(笑)

 亜紀は航の「高校の先輩」だが、亜紀の中の人は航の中の人のリアル「高校の後輩」である。

航/高校の後輩に高校の先輩ロールをしてもらうというなんという快感! たまらんです!(笑)
亜紀/は、はーい……持っている特技は≪バベルの唄い手≫で世界中の人や動物と話が出来ます。
GM/自分の持っている能力に自覚は?
亜紀/あります、動物と喋れるとか自覚症状無いとおかしいですよね(笑) あとダメージ軽減の≪念動障壁≫≪痕跡発見≫≪神域の耳≫≪魂装≫。【HP】を回復できる≪清浄の使者≫と、【MP】を回復できる≪興奮剤≫をそれぞれ持ってます。
GM/ライフパスは?
亜紀/『重要キーワード/一族』……魔術師の家族がいます。……お姉ちゃんがいるといいかな? 単に私が女兄妹が欲しいだけなんですけど。
航/きっとお姉ちゃんの名前「ナツ」なんだぜ(笑)
GM/なるほど。「ハル」とかいうお母さんがいるんだね。
亜紀/名前決まっちゃった(笑) 『背景/○○が好き』で、コレは猫にしようかな。それと『特徴/味オンチ』なんで、ヒドイ料理しか作れません。だけどいつも自分で作る! 『ボーナス効果/≪興奮剤≫≪鎮静剤≫のどちらか1つを初期取得』だったので、これで≪興奮剤≫を取りました。……それくらいですかね?
GM/両親も魔術師ってことで能力に理解があるのは心強いな。……さて、お互い自己紹介を確認したところで、NPCの話にいきましょう。……PC1はパターン1を選択したけど、どういう人?
航/名前は櫻庭祐希(さくらば・ゆうき)。PC1とPC4とで、同じ高校に通う幼馴染にします。
亜紀/航にとっては高校の先輩で、亜紀にとっては高校の後輩。でも小さい頃から一緒なんでお互い呼び捨てあってます。
GM/16歳航、17歳祐希、18歳亜紀で並んでるんだね。……ちなみに、祐希との出会いはどんな感じ?
航/航も亜紀も同じぐらいの時期に会ってた方がいいよね。3人で腐れ縁なんだし。
亜紀/じゃあ、幼稚園で! 泥団子の投げつけ合戦っていうか、どんだけ固く綺麗に作れるか勝負してたとか仲良くなった。
航/ピカッピカの団子を作ってて、巧く出来なかった祐希を2人で「こうやるんだよっ!」って教えたとか。「俺のピッカピカのやんよ!」とか。「コレやるから俺のお嫁さんになれよ!
亜紀/(幼い亜紀になって)「えー、じゃあ2人で俺のところに嫁に来てよー」(笑)
航/「年収は1000万以上じゃなきゃダメだって母さんが言ってたからな、無理ー」(笑)
GM/で、祐希は『消極的な性格』だから2人に次々喋られて困っている……10年来の付き合いなんだね。……次にパターン1を選んだNPC2だけど。
相馬/名前は、藤原幸正(ふじわら・ゆきただ)にしました。……なんか「藤原」って付けてみました。少し反応できるといいな。年齢は35歳。
GM/マスターとなる人物はハンドアウトのままで進みます。……次はNPC3、黒須柊(くろす・しゅう)、パターンは2……。ねえ、年齢は32歳にしない?
盟/なんでですか?
GM/『スカーレット』のカイルさんも、『夢魔』の安徳天皇も、リプレイにはしてないけど単発BLセッションのケヴィンっていう神父も32歳だったから。
盟/はい、じゃあ32歳にしますー(笑)
亜紀/あ、それなら航と亜紀が通っていた幼稚園を教会がやっている幼稚園にしませんか? 神父さんと知り合いになれるー!
GM/それは導入の助けになるな。……では全員PCもNPCも自己紹介が終わったからセッションに入りましょう。今回サブタイトル……『Fate』っぽく英単語で考えてきました。
亜紀/なんですか?
GM/『DROWNING/phantasmagoria(ドロウニング/ファンタスマゴリア)』です。
盟/……センセイ、意味は?
GM/「DROWNING」が溺死、「phantasmagoria」が走馬灯です。
盟/ふぉー……溺死って、一番醜い死に方……。
GM/……長くしたはいいけど、略称は何にしようか。
盟/ファンマゴ? ドロマゴ?
相馬/じゃあ……ドロリア。
航/桃のネクターって感じがする(笑)
GM/いいねえ、それ。『ドロリア』でいこうー!


 ●Opening 01 / first time

 1999年、そして2000年。もう10年も前のことだ
 街に大きな炎が燃え上がっていた。


GM/最初は、マスターシーンから始まります。

 黒い炎を纏っていく街。
 炎は、空に掲げられた黒い物体から流れ落ちていた。
 灼熱の炎に人々は呑込まれていく。ちょうどそこは住宅地だったんだろう、眠っていた人々は炎に焼かれ、ばたばたと焼け死んでいった。
 しかし、その炎の中、ひとり立つ男がいた。
 男は、手を引く。とある人間の手を。
 ――そして天に聳えるある杯に願いを打ち明けた。



 ANOTHER WORLD
  「DROWNING/phantasmagoria」



盟/炎の中に誰か二人いて、空の聖杯に願いを言ってる……?
GM/まあニュアンスで感じて。……まずは順々に個別のシーンをやっていきます。一番最初は、航。航はどんな所に住んでるの? 家賃何万とかそういうイメージでいいんだけど。
航/メインストリートを外れた奥に在る……でもコッソリ桜がキレイなボロアパートに住んでます。生活保護やバイトで必死になりながら学校行ってる感じかな。
GM/了解。……そんな今日の日付は2月1日。高校1年生は、そろそろ……。
航/……期末試験だ!(笑)
GM/でも生活苦しいしバイトは休めねーな。
航/スーパーでバイトしてます! あー、なんでバレンタインの売り場なんかになっちゃったんだよチクショー!
相馬/いきなり女子高生になって)「えーコレっていいんじゃなーい?」「それナイよー。コッチにしよこコッチ」「あーコレもカワイー!」
盟/男がバレンタインの売り場は辛いな(笑・いきなり女性になって)「オニイサンオニイサン! これってどっちがいいと思います?」
航/カレシさん大学生ッスか? 大学生ならちょっとお酒とか飲み始めた頃ですしコッチじゃないっすか! ……その男、糖分で死ね!(一同爆笑)
GM/いきなり名言出たな!(笑) ……そんなバイトの生活は、スーパーが閉店する22時まで続く。
航/いいんだ、学生だからちゃんと10時で帰してもらえる……その後の閉店作業はやらなくていいんだ!(笑)
盟/だよねー。社員さんがカチカチやってるよ。……あっちで10円足りないんだって(笑)
航/俺のせいじゃないしー! お疲れ様でーす、すみません失礼しまーす!
GM/スーパーを出る。2月に入った夜の10時だ……寒い。
航/クソさむっ! なにこれ、超寒い……!
GM/しかしスーパーを出て暫く何メートルか歩いたところで気付く。……壁に寄りかかって航を待っている少年……櫻庭祐希に。祐希は航に気付くなり缶コーヒー投げつける。
航/おっと!? ……コーヒーがあったかい。お前、こんな時間まで待っていてくれたのか?
GM/「……今の時間まで用事があったから」。本屋の袋を見せつけます。
航/近所の本屋に行ってたのか。
GM/「そろそろ航のバイトが終わると思ったから……」
航/その気持ちあったかい、ありがと。缶コーヒーをペタペタ頬に押しつけながら言います。コレは俺が貰っていいの?
GM/「その為に渡したんだけど。……前、僕に奢ってくれたよね。だから、その借り」
航/150円のペットボトル奢ってやったんだけ? そっか。じゃ帰るか。
GM/途中まで自宅の道が同じだから横に並んで帰ります。「……今日のバイト、どうだった? 声が涸れかけてるよ」
航/もうね、死ぬかと思った。バレンタインで盛り上がっているお嬢さん達の声に負けないように店員も声を張るんだ! 今の俺には甘いチョコレートより苦いコーヒーの方があったかいぜ!(一同爆笑)
GM/そんな航の言い方に祐希は苦笑いしつつも……すぐに黙ってしまう。会話を切り出すようなことはあまりしないというのは航もよく知っている。
航/あんまり喋らないんだな、祐希は。
GM/聞き上手というか、物静かな性格だね。……トコトコと歩いていると、公園口から大勢がガヤガヤ出てきます。テレビ局みたいなビデオカメラやミラーを持っているね。
航/テレビ局?
GM/「ここからすぐ行ったとこ……10年ぐらい前に火災があっただろ。それのドキュメントを撮るんだって」
航/10年前のあの火事を? ……なんで今更?
GM/「テレビのネタが尽きたんじゃないか」
航/ああ、どこも視聴率落ちてるし。……ちょっと覗きこみます。
GM/ちょうど夜のシーンを撮ってたんでしょう。綺麗な公園でロケをしていたんだろうね。「お疲れ様デース!」ってワゴン車に入っていく人達。
航/あ、もしかしたら芸能人がいるんじゃないかな……!
GM/「覗いたらいるんじゃない?」……そう、ここは大きな火事が住宅地を襲ったという。それは10年前のことなんだけど……航って、『ライフパス/事故』なんだよね。
航/サイコロ振ったらそう出ました。
GM/……この10年前の火事の被害者にする?
航/一人ぐらい被害者とか直接関係あった方がいいと思うんだよね。……ということで、被害者になります!
GM/では、両親が亡くなったのはその事故がキッカケだったと。10年前だから航が小学校入った頃だね。沢山の人が亡くなった火災でした。……祐希が黙ります。
航/どうした?
GM/「あ……そういや……この近くに団子屋ができたな
盟/凄く判りやすい話の逸らし方!(笑)
GM/「白いたいやきとか最近ブームだよな……あ、でも10時だからもう売ってないけど……」
航/ポンポンと祐希の頭を撫でます! 祐希、俺は気にしてないから……ありがとう。
GM/「う……。本当に、気にしてない?」
航/俺は大丈夫だよ。……そうなったのも神様が決めたことなんだろうし。こうして俺は生きてるし万々歳だよ。
GM/「そっか。……どっちかっていうと今は期末試験の方が心配か」
航/そうそう、もう他人の恋愛の心配とかしてる暇ないっつーの!(笑)
GM/そう話していればもう曲がり角、彼と別々の道に進んでいく所まで来てしまいました。
航/気を付けて帰れよー。
GM/「ああ。……あっ。…………う……」
航/どうした?
GM/「うーと……」と祐希は固まって、その後財布を取り出し……そこからチケットのようなものを出して航に渡します。
航/……何これ?
GM/「博物館のチケット……忘れてた、渡すの……」
航/チケット? メッチャ懐かしいな、小学校の社会科見学に見て以来か?
GM/別に最近「博物館に行きたい」だなんて言った覚えはないし、正直興味は無い。特に会話の流れに関係なく、それを渡されます。「……貰ったんだけど、ただゴミになるよりは……友達が多い航が誰かを誘ってあげなよ」……と言って祐希は去ろうとします。
航/じゃあ、祐希いつ空いてる? その場で言います。
GM/「……テスト勉強が忙しいな」
航/それなら俺もだよ!(笑) 友達誘って行けって言うんだから、俺が自由にしていいんだよな?
GM/「……うん」
航/なら、祐希と亜紀を誘って一緒に行こう。
GM/「……そうしようか」
航/でも博物館かぁ。上野に居ても滅多に行かないよなぁ。お前もこんなのに興味あるなんて意外だな。チケットぴらぴら。
GM/「貰っただけだよ」
航/誰にだよ(笑)
GM/「兄貴に」
航/…………。へー、お兄ちゃんいるんだ?
GM/その返答に航は、「お兄ちゃんなんているんだ」と思います。
航/え。……祐希、お前ってお兄ちゃんいたっけ?
GM/10年来の仲なのに航は知らない。
航/ええっ、新情報っ? いたっけ!?
GM/「あ、え、ああ……いや、兄貴っていうのは……実際は親戚なんだ。イトコのお兄さんで……兄貴って昔っから呼んでたから……」
航/ああ……親戚のお兄さんって意味なのか。知らなかったよ。兄貴がいらないってくれたやつをを俺に?
GM/「だってゴミになるよりは友達が多い航にやった方がいいじゃんか」
航/……なんだお前は、モダモダするなぁ。嫌いじゃないけど!(笑) あとで亜紀にも連絡するから一緒に行こうな。……ところで亜紀先輩って受験終わってるんすか?
亜紀/2月だから終わってるよ。
GM/大学受験は1月がピークで、センター試験が終わった頃だし……2月だから学校来なくていい頃じゃない?
亜紀/いやっふー、受験勉強終わったー! 学校行かなくていいとか天国だー!(笑) お昼はお母さんいないから俺が腕をふるって料理作っちゃうぞー!
航/やめてー!(笑) ……そんな感じで祐希と別れます。ああ寒い、ヒーターが欲しい……。
GM/バイバイと、航は一人でボロアパートに帰ります。……あ、ボロアパートに名前とか付けない?
盟/…………『ボロリア』(笑)

 続いて、PC2・相馬のシーンに入る。
 ――相馬は、目を開けた。
 そこは魔法陣の上、様々な結界が張られた異質な地下室だった。


相馬/ぱちり。目を開けて周囲を確認します。
GM/色々の術式が張り巡らせている空間……そんな中で佇む相馬の目の前に、一人の男が立っている。35歳ぐらいの、整えられたスーツの男だ。
相馬/……おぬしは誰じゃ。
GM/「……我が名は、藤原幸正。お前のマスターだ」。ハッキリとした口調で言います。
相馬/ますたあ……?
GM/そう聞き返したときに、頭の中に『現代の知識』がドッと流れ込んでくる。……そう、ここは2009年の日本。聖杯戦争に自分は『バーサーカー』という駒で参加した。自分は聖杯戦争に参加しなければならず、自分の願いを叶える聖杯を手にするためには6組のマスターとサーヴァントを倒さなければ……。そんな使命感がどっと出てきます。
航/『……インストール完了しました』?
相馬/押し寄せた膨大な情報量に頭をグッと抱えて……藤原を睨みます。
GM/「聞こう、名は?」
相馬/…………ワシの名は、平小次郎将門(たいらの・こじろう・まさかど)じゃ。クラスは、バーサーカー。
GM/「バーサーカー……平将門……充分だ。素晴らしい駒を私は手に入れた!」
盟/目の前で凄く喜んでる! いやっほー! 俺、強いの引いちゃったーっ!(笑)
相馬/……おい、こっちの気持ちはお構いなしか。
GM/「ああ、すまない。先に確認しなければならないな? 私はお前のマスターだ。これから戦争を二人三脚でやっていくぞ」
相馬/二人三脚って(笑) おい待て、ワシは腐っても親王じゃぞ! ……自称だけど!(笑) たとえ戦に負けたとはいえ、その親王を使役するということはどういうことか、判ってるんじゃろうなぁ!?
GM/「……それは失礼した。では何とお呼びすれば。バーサーカーとお呼びしても宜しいか?」
相馬/そんなけったいな名前で呼ばれとうないわッ。本来ならば、御上(おかみ)と呼ぶのが適切じゃが、今の状態でその名を呼ばれてはワシも不服。……我が地、相馬と呼べ!
GM/「…………」。

 思わず周囲が悶絶してしまうほどのカッコ良さ。
 リプレイでも、凛々しい、喉の奥から聞こえてくる深い低音をご想像ください。


GM/「……では、相馬殿。私は先ほど申し上げた通り藤原幸正という名。自由にお呼び下さい」と、男は敬語に直します。「貴方様はこの日本を震撼させた真の王、勝利は既に確定されたようなものです」
相馬/ほう……なかなか物判りの良い奴じゃの。
GM/「貴方は何を願う? 聖杯を、どのような目的でこの戦に立ち向かうのかた理由をお聞きしたい」
相馬/……ワシの目的はただ一つ。この日ノ本を支配することじゃ。そう、これからワシらは天下を取りに出陣するようなもの。よし藤原よ、おぬしを気に入った。良い、貴様の為にワシの刀を振るえてやろうぞ!
盟/なんたるこのラスボスっぽいPC!(笑)
航/ねえ、これPC2のシーンだよね。ラスボスじゃないよね?(笑)
GM/「私を貴方様の足元にお控させてくださいませ。……では、まずはこちらへ」と藤原が階段を上っていきます。地下室から1階に上がれば、そこは洋館の一室です。「ここが我らの領地でございます」
相馬/ふむ、悪い所ではないようだな。
GM/キラキラピカピカの豪華絢爛ではないけど綺麗な屋敷だね。「まだ英霊は7体全て召喚されてはございません。しかしそれも秒読みの段階。貴方様方には必要無いと存じますがまずは聖杯戦争が開始されるそのときまでこの地にお慣れください」
相馬/相判った。テーブルやらを眺めようか。
GM/「相馬殿は何がお好きでしょうか? 食事を用意しましょう」
相馬/ん、食事?
GM/「好物をなんでも。……飯が合わなければ仲違いの原因にもなります故。なんでも良いのであればこちらで用意させて頂きます」
相馬/そうだな……ふむ、ここに来てワシも何があるのかよう判らん。おぬしの好きな物を持て。
GM/「了解致しました」と、藤原は自分の胸の前にパンッと手を重ねる。次の瞬間……先程テーブルに食事が並んでいる。
盟/……[領域遣い]だ! ゆっくり食べると【HP】が3点回復するヤツ!(笑)
GM/うん、≪食物錬成≫っぽいね。この場合、食材というか食事になってるけど。中華料理やケーキや、古今東西色んな物が並んでます。
相馬/突然パッと出したことにビックリする。ほう、おぬし……なかなか便利な技を使う。とりあえずフォークを箸的な使い方をして食べます。なんじゃこれは! 使いにくい! 箸はないのか!(笑)

 藤原がパンッとまた箸を錬成したところでフェードアウトし……。
 今度は、PC3の盟のシーンとなる。


盟/どうも、スネチャマこと盟ちゃんです!
GM/ハイ、スネチャマは現在、教会である人を待っています。時刻は夜なので他に教会に人は居ません。
盟/暇そうに……教会に信心深い人とは違って足をブラブラしながら、マリア像を一瞥してフンとしておきます。
亜紀/……祈れよ!(笑)
GM/そんなつまらない時間を過ごしているところに、奥の部屋から男性が現れます。短髪で眼鏡をかけた、神父服を着た男性。……名前は昔から知っている、黒須柊だ。
盟/おかえりー。遅かったじゃん、柊。
GM/「探していたんだ」と、盟にある一冊の本を手渡します。
盟/なにこれ?
GM/「お前の家……八木沼家の二代前の領主様が、我ら黒須家に授けてくれた魔導書だ。その本に召喚の儀についての記述がある。こんな物はいらんと思うが、知り合いの好だ。受け取れ。……聖杯戦争に参加するんだろう?」
盟/モチロン。
GM/「これが黒須が出来る唯一の手助けだ。聖杯戦争が始まったらお前だけを助けてやることは一切できなくなるからな」と、眼鏡をクイッと上げながら32歳の男が言う。
盟/ちょっと拗ねたような顔になる。判ってるけどさー……これで何か呼べたりするの?
GM/「ちょうど今日明日が満月だ。召喚の儀には良いだろう。……用件は以上だ。これから先はお前次第」と低い声で言う。
盟/でも、ここに来るぐらいはいいでしょ?
GM/「それは勿論。雑用は教会が取り持つ」
盟/そうじゃなくてー……。
GM/「頑張れよとは言わないからな。生きろとも、勝てとも俺は言わないぞ」
盟/だいじょぶ、生きて勝つから! 判ってるでしょ、僕が優秀なコトぐらい! 平気だって、僕が一番強いの召喚してそいつら全部叩きのめしてやるさ!
GM/鼻高々に言ったな(笑) 「大した自信だ。戦いが始まった瞬間、襲われるんじゃないぞ」……では、自宅の屋敷に戻って召喚を行おう! 屋敷にある魔術の刻印でびっしりと霊力を高めた部屋で召喚の儀をするぞー!
盟/よーし! 鍋をぐるぐるまわしますー! 鍋からドベー!
GM/……じゃあ鍋から生まれるゴポゴポという音。
盟/ゴポゴポゴポォ!
GM/そしてその液体から出来たエキスを集め、こねくりまわして。
盟/こねこねこね!
GM/宝玉を作り、その魔力の塊を媒体にして準備していた最高の魔法陣の上に置き召喚の呪文を唱える…………っていうのはどうだろう。
盟/今の全部アドリブですか!?(一同爆笑) ゴーレムでも出来るのかと思ったんですけど!?
GM/ゴーレムでも出来るって、ゴーレムしか出来ないじゃん。
盟/ですね。おおっと何か出来たー!? まあいいや、いいのが出ろ! 強いの出ろぉー!
GM/絶好の機会を探る。時間はピッタリ! 召喚だ! 呪文を唱えると部屋が凄まじい光に包まれる! 目の前が真っ白だ!
盟/クッ、コレは!?
GM/そこに立っているのは……。
盟/ドキドキ!
GM/…………おんなのこ?
盟/ん?
GM/いや、男だな。ぺったんだし。
盟/……どっち? ぺたって胸触ります。
GM/女の子のような高い声で、「オトコだよ」。
盟/……お前、名は何だ?
GM/「キャスター」。身長は160中ぐらい……女の子にしては背も高いし、それなりに年もいってそうな感じの男だ。
盟/キャスター……魔術師のクラスか? それはクラスの名称だろ! だから名は何だって言ってる! もしかして名前が無いやつとか……いや、この優秀な僕がそんなモノを呼び出す筈がない!
GM/「えー……言うの? 名前は言わない方がいいねって、ボクは思う」
盟/なにぃ!?
GM/「……例えばアーサー王が召喚されたとするじゃん。アーサー王にはアーサー王の弱点が知られてるから判られちゃうでしょ。だから正体は言わない方がいいしバラさない方がいい」
盟/それは……。
GM/「それに、アナタって口軽そうな顔してる」
盟/んだとぉ!? くそぉ! なんだそれ、じゃあテキトーに名前付けるぞ!?
GM/「キャスターって呼んだ方が判りやすくていいんじゃないかな。色々作戦を考えられるような顔には見えないし」
盟/なっ、な……! 僕がマスターだぞぉ!?
GM/「スネチャマっぽいからちょっと頼りなく見えるんだもん〜。すぐにボクの正体バラしそうだし〜」
盟/現にスネチャマだしな!(笑) ……じゃあお前の名前は、弥生だ! それでいい!
GM/「……やよい?」
盟/庭に咲いてた! それに女みたいなツラしてる! それで充分だ!
GM/「……じゃあいいよ、その名前で。あ、確認してなかったけどアナタがボクのマスターですよね?」……ふと盟の腕を見れば、令呪と呼ばれる刻印が刻まれています。
盟/もちろん! 僕がマスターだ。八木沼盟……それがお前のマスターの名だからな、覚えておけ!
GM/「じゃヨロシクね。……ところでここ、なんかゴポゴポして変なニオイするから外に出ていいかなー?」
盟/だからお前はなんでそう偉そうなんだ!? そう言いながら窓を開けてしまう!(笑)
GM/むあーっと紫色の空気が外に広がっていく。
航/通りかかった猫がニャーニャー言いながら逃げる!。
亜紀/いきなり猫になって)「ふしゃー!? なんかあそこの屋敷から紫の煙が出てたんだけどー!?」
相馬/(同じく猫になって)「アレってガス漏れなんじゃなーい? あの家ダイジョウブー?」
盟/猫よく見てるなぁ(笑) 人間が入れないぐらいの広い敷地だけどさ。
GM/猫が塀の上からそんな会話をしてるんだね。……で、キャスター……弥生はトコトコ辺りを歩き回ります。「ここは2009年の日本……関東地方のトーキョーってヤツなのか……」
盟/東京の一等地にこれだけの土地を持てるんだ、八木沼家は凄いだろう!?
GM/「あー、スゴーイ。あんな花が咲いてるー。2月なのに凄いねー」
盟/あれは温室でばあやのロザリーが育ててるんだよ! 他にもじいやのヘンリーが居る。他の使用人はいない、やめてくさ。
GM/……多分お二人は昔から八木沼家に仕えている魔術師なんだろうね。弥生は部屋を出て行って、ライトの明るい部屋に行きます。彼の服装は……チェック柄で頭からローブみたいなものを被っているね。ぴょこぴょこと色んな物を見ていたり、フンフンフーンと暖炉の下を覗き込んだり。
盟/あ、あんまり触るな! これはおばあ様の肖像画だ! 触るんじゃなーい!(笑)
GM/「ところで。お年はおいくつなの、マスター?」
盟/16におなりだ。
GM/「そうですかそうですか。実はボク、こんなカワイイ顔しておきながら26歳でして……今に喋り方でよろしい?」
盟/10歳以上年上……なんだ、敬語を使えというのか!? 僕がマスターだぞ!?
GM/「ボクが変えてやってもいいですよ」
盟/変えてやってもいいですよ!?(笑) ……癪だ、構わん! そのまま続けろ!(笑)
GM/「うん。今の喋り方のままでいかせてもらいまーす。ねぇ……じゃあ今から本題ですよ?」
盟/う、うん。
GM/「なんでこの戦争に参加したんです? そのこと訊いてなかったですね」
盟/僕は……見返してやりたいんだ!
GM/「見返す?」
盟/僕のことを苛めた全員の奴らに! 魔術師だからって僕の事を苛めた奴らに見返すんだ! ……「あそこの家の子、フツーと違う! やーいやーい!」って苛められてたから普通の人嫌いで魔術師のプライドに固執するんです。
GM/なるほど、王道だけど作り込んできてるな。
盟/だから僕が聖杯を持つ! 日本を……いや、世界を僕の手の中に入れるんだ! と、凄く子供っぽい夢を語ります。
GM/「…………はあ」
盟/な、なんだ。
GM/……かーわーいーいー!」(一同笑)
盟/なんだぁ!? か、可愛いとか言うなっ!
GM/「超かーわーいー! なにこの子ー! マジかわいいんですけどー!?」
盟/僕はマスターだぞ、しかも男だ! 可愛いとか馬鹿にしてるのかー!?
GM/「判ったよう。じゃ、その願いをいっしょに叶えましょうね!」
盟/うん……キャスター、いや弥生。お前こそ聖杯に何を願うんだ?
GM/「…………んー」
盟/僕が聖杯を取ったら何でも願い事を叶えてやる。寛大なマスターだからな! 言ってみろ!
GM/「美味しい食事を食べたいな」
盟/キョトン。……め、飯なら作らせるぞ?
GM/「だから、この世のあらん限りが用意してくれる美味しいお茶やお菓子やご飯を食べる。それがお願い事ですよ、僕の」
盟/はあ? ……なんだか欲があるんだか無いんだか判らん奴だな……。でもまあいい。僕が聖杯を取ったらどんなご馳走だって食わせてやる。
GM/「よろしくお願いしますよ、マスター?」……てな訳でPC3のシーンを終わらせます。まさか名前なんて頂けるとは。
盟/なんか植物で付けた方がいいかなって思ったんですよ。『櫻庭』で『藤原』で『柊』だから。
GM/ああ、そういうことなのか。……ちなみにキャスターの性格は【ハンドアウト:B】のパターン2『和やかな男。ころころ表情を変わる』でした。

 そうして最後。
 PC4・亜紀のシーンは……航とほぼ同時刻、バイト終わりの夜から始まった。


亜紀/花屋でバイトしてます。最初は食べ物屋でやってたんだけどは「お前来るなー!」って出入り禁止シャットアウトされちゃったんで(笑)
GM/「アキちゃんセンパイ、お疲れ様でーす!」とバイトの女の子に挨拶してバイバイする帰り道です。お花屋さんの2月だから、水作業が大変だよね。
亜紀/冷たーい。ハンドクリームぬりぬりー。
GM/しながらてくてく……。歩いていると、携帯電話にメールが受信される。航からだ。
航/『どうせ受験終わって暇なんだろー、祐希と博物館に行こうぜー。別に祐希と2人っきりがいい訳じゃないんだからねー』
亜紀/この口調は2人っきりがいいのかな……(笑) まあいいや、邪魔したれー! お弁当作っていってやるよ!
航/やめて! 弁当は俺らが用意するから! ホントやめてください!(笑)
GM/そんな楽しいメールを打ち終えた2月の夜道。携帯電話をパタンと閉じると……道の先に、女の子の姿が見えた。
亜紀/女の子っ? こんな時間だし外に出ていたら危ないよなー……お嬢ちゃん?
GM/亜紀の姿を見ます。
亜紀/どうしたの?
GM/「……貴方……」
亜紀/はい?
GM/「生きたい? 死にたい?」
亜紀/え。…………え、い、いやいやいや! まだ、生きていたいです! まだ18だし死にたくないですっ! 大学受かったところなんで!(笑)
GM/絶頂期だもんね。「そう……即答したわね」
亜紀/は、はい。
GM/「悩みもせずに、即答したわね」
亜紀/う、うん……死ぬよりは生きたいかなぁ。……こ、これってもしかしてお嬢ちゃん、幽霊? 俺、見ちゃいけないものと話してる!? はわあっ!?(笑)
GM/「……じゃあ、頑張ってね」
亜紀/へ……?
GM/トコトコと……金髪ツインテールの女の子は去って行きます。
亜紀/ロリぃっ!?(一同爆笑)
盟/おまっ!?(笑) またお前か!
GM/見たことのない6歳ぐらいの女の子は、暗闇の中へ去って行きます。
亜紀/あー……行っちゃった。生きるか死ぬかって言われたら生きたいよな……でもなんか変だったなー……てくてく。
GM/てくてくてく、歩いて行くと。……むあっと鉄の匂いがする。道に、真っ赤な血を流して男性が倒れている。
亜紀/……ちょ、ちょーっ!? え、これ、警察? 救急車? どっち!? ぴっぴっぴ! もしもし航!?
航/なんで俺に!?(笑)
亜紀/どどどどうすればいい!? 倒れている人を見つけたんだけどー!
航/(電話先から)『脈は? 110番は? 119番は?』
亜紀/わわわ、わかんないー! 無いような気がするー!
GM/……倒れている男性を見ますと、ゴッソリと中身が出ている。
亜紀/わあーっ!? どうしよー!? うううう! 警察と救急車どっち呼べばいいのー!?
航/『両方呼べばいいんじゃね?』
亜紀/あ。一回切るよ、ぴっぴっぴ……!
GM/……そのようなことがあった、2月1日の夜。その後、警察から第一発見者として事情聴取されますが、死亡時刻と貴方のアリバイが決定的に違うので単なる話を聞いただけで終わります。「あやしい人影は見ませんでしたか?」
亜紀/な、何も見てません……でも……。
GM/「何か?」
亜紀/ち、小さな女の子に……会いました。
GM/「女の子……誘拐っ? 捜索願が出されてるか?」と警察は別の方向で考え始めますね。まさか女の子がやるとは思えないし。
亜紀/……ニュースではどう報道されましたか?
GM/ニュースのお姉さん曰く、『歩道にて30代の仕事帰りの男性が、変死体として発見されました。鋭利な刃物などで襲われ、遺体には数か所の傷があり、警察では私怨、通り魔の可能性も含め捜査を……』
亜紀/こ、怖い……もしあそこで女の子と会話をしてなかったら……うわぁ!?