アナザーワールドSRS・リプレイ・DROWNING/phantasmagoria
■ 第6ループ2話 『Eden』 6ページ ■
2010年3月23日




 ●ミドルフェイズ4/February 10th Scene 2

盟/亜紀と合流します! 亜紀、早く僕達も航を追おう!
亜紀/うん……。その前にGM、≪コネ「ウズマキ」≫を使ってロリに情報収集したいんですが、出来ますか?
GM/可能だね。じゃあジャックと盟と藤原さんと一緒に走っているときでいいかな。
亜紀/はい。ビル街に向かって一生懸命走ります……。
GM/走っていると、……いつの間にか亜紀は、上も下も右も左も無い空間に立っています。
亜紀/おっとっと?
GM/そこに、金髪ツインテールの彼女が現れます。
亜紀/お嬢ちゃん……久しぶり。
GM/「お久しぶり。貴方、思わぬ展開になって凄く混乱してるわね。私もこの展開は初めてだからドキドキしてるわ」
亜紀/そ、そうなんだ……俺、今判らないことがあるんだけど教えてくれる?
GM/「なあに?」
亜紀/昇華された筈のサーヴァントがまた出てきたんだ。『黒化』っていうやつで操られているみたいなんだけど……知ってる?
GM/「知ってるわよ。黒化っていうのはね、『戦闘不能状態のキャラクターを自由に操る』ことができるというものなの」
亜紀/……それ、治せるの? 倒せば黒化が止まるとか……。
GM/「昇華してない状態で黒化したならば助けることができるわ。でも一度昇華したサーヴァントを黒化させて操っているのだとしたら、元の昇華された状態に戻るだけ」
亜紀/また聖杯の中に収まる……だけなのか。生きている状態で黒化したら、それを止める手段はあるのか?
GM/「それはあるわね、簡単な話よ。『黒化はバッドステータスの一種』と考えればいいの。バッドステータスを解除する効果の特技で助けることができるわよ」
航/……『死亡した状態でも有効なバッドステータス』と考えればいいのか。
亜紀/それを回復する手段があればOKということか。ゾンビから死体になるだけで……でも俺、バットステータス回復は持ってないぞ。……ジャックは苦しんでいるけど黒化してない?
GM/「彼はしてないわよ。黒化される前に貴方が逃がしたから。生きてる状態で黒化されても、黒化を解除すれば助かるわ。……でもそんなこと有り得ないわね」
亜紀/どうして?
GM/「『彼ら』は『サーヴァントを昇華すること』を目的にしているんだから、『昇華し終えてついでに黒化して自分の手札になってもらおう』と考えるでしょうよ。だから昇華していないサーヴァントだったら黒化するより先にまず昇華するわ」
亜紀/そ、そうなのか……。
GM/「……聞きたいのはそれだけ? まだ時間はあるから答えてあげるわよ、私は万人の味方だから」
亜紀/じゃあ……その、黒化して操っている人が誰か判る?
GM/「そればっかりは判定してもらおうかしら」……【理知】で交渉の判定をしてください。特技≪コネ「ウズマキ」≫の効果で+4のボーナスが付きます。
亜紀/(ころころ)お、15です!
GM/15は高いな。「……聖杯戦争にクラスは7つあるわね」
亜紀/うん、7つあるね。
GM/「……残念ながら、その事実は間違っている」
亜紀/え。
GM/「8体目のサーヴァントがいるのよ」
盟/……いるの!?
航/あるんだ!?
GM/「クラスの名称は、『アヴェンジャー』。意味は『復讐者』」
亜紀/アヴェンジャー……。
GM/「本来であれば聖杯戦争の中でもまず出てくることのないイレギュラーのカード。そして、本来であればこの世界でも出てくることはないであろうカードだった」
亜紀/……が、出てきちゃった?
GM/「ええ。それは……貴方達運命を握る人が、本来の世界ではない選択をしたから。現れないはずのカードだけれど、『決して現れないという確証』は無いのよ。貴方達がその選択をする可能性がある限り」
航/本来の世界ではない選択って……『黒須のサーヴァントであるライダーを奪う』とか?
盟/ご、ごめん……。
GM/「通常7体で戦い合うところが新たに8体目が現れたとしてもルールは変わりないわ。1組の2人が聖杯を手に入れる。ただカードが8つになっただけよ」
亜紀/そっか……なんとなく判ってきたよ!
GM/「……ま、それを呼び出したのも私だけどね」
亜紀/ええっ!? な、なんでそんなことを?
GM/「だから、私は万人に味方なのよ。貴方の敵にとっても味方なの。だから貴方の敵に有利になることも私はするの」
亜紀/そうなんだ……でも、話してくれてロリがとう!
GM/「……。いつかの世界で言ったけど、もう一度この言葉を送らせてもらうわ。……自分自身が満足できる生が出来ればどんな世界でも構わないのよ。その結末で貴方が満足したなら、貴方の冒険はその時点で終了するわ」
亜紀/……うん、判った。
GM/まばたきをすると、通常の世界に戻って来ます。隣で走るジャックが「……おい、大丈夫か?」と声を掛けてくるよ。
亜紀/うわっと!? は、走っている最中だった……。
盟/亜紀、コケたのか? 大丈夫?
亜紀/……ある人からヒント貰ってきたよ。
盟/……うん?(笑) いきなり電波なことを……また鳥とかかなぁ。鳥とか猫って侮れないんだな……。
亜紀/いや、ちゃんと女の子から聞いたんだけど。
盟/……メスか(笑)
亜紀/違うよ! ジャックは会ったことあるだろ!
GM/「あん?」
亜紀/金髪ツインテールの女の子に教会で会わなかった?
GM/「……あの不気味な奴か?」
亜紀/不気味? その子が色々教えてくれたんだけど……ジャックはあのとき、一体何を話したの?
GM/「『いつも通りに世界が簡単に進んで終わると思ってるんじゃないわよ』って忠告されたんだよ。……意味わかんねー」


 ●クライマックスフェイズ/February 10th Scene 3

GM/先に相馬さんは、ビル街の不穏な空気を辿ってあるビルの屋上に下り立ちます。
相馬/……この匂いはアイツラの匂いじゃ……。
GM/見ると、そこには槍を持った男。黒と赤の装飾と途轍もない恐怖心を纏っている。その隣にエルを殺した少年と、サイケデリックな格好をした中性的な男性も立っている。
相馬/こやつもなんだか見たことがあるような気が……まあいい、どっちにしろ倒すんだから……。
GM/そして、奥に鎧の男が……瘴気を纏って立っている。隣には君も全然見たことのない、明るい髪の男が居るね。彼が負のオーラの中心部になっているようだ。
相馬/なんじゃあ……おぬし何者じゃ。
GM/男は無気力そうに相馬さんを見るだけ。代わりに黒アーチャーが答えます。「マスターみたいなもんだよ」
相馬/……おぬしらの元締めがあやつということか。そうか、それだけ判れば良い! 刀を構えます。
GM/では、そろそろ航もシーンに登場してください。
航/ばーん! 屋上のドアを開けて入ってきます! ……ジーク!
GM/目の前に立つのは、怒りのオーラに燃えるバーサーカーの後ろ姿。
航/気にしない、ジークの元へ走ります! ジーク、無事か!
GM/近寄って来た航に、ブウンと2メートル近い巨大な剣が襲いかかる! 髪の毛がパサッ……。
航/うわあっ!? ……でも、そんなのお構いなしで掴みに行きます!
GM/航に懐に入られた衝撃で、ジークの兜がカランと落ちます。……顔色が悪くなっているけど、まだ彼の顔だ。ジークはガタガタガタと一生懸命自分の動きを止めようとしている。
航/ジーク、大丈夫か? 大丈夫だよな? ……大丈夫だって言ってくれよ!
GM/「離れろ。離れてくれ」……低い声で言います。
航/嫌だ。絶対離れない。
GM/「なら、戦おう。戦って……この戦を終わらせよう」
航/……それでお前が戻ってくるのか?
GM/「ああ……戻って来てみせる……だから今、オレと戦ってくれ!」
航/……ホントだよな? 判った。……俺の願いは、お前自身だ! 

 今回の戦闘レギュレーションは以下の通り。

【戦闘マップ】
 味方側エンゲージ:盟、亜紀(2ラウンド目から登場)
  (↑15メートル離れている↓)
 前衛1エンゲージ:相馬、アーチャー、キャスター
 前衛2エンゲージ:ランサー
  (↑5メートル離れている↓)
 中衛1エンゲージ:航、真セイバー
  (↑15メートル離れている↓)
 後衛エンゲージ :アヴェンジャー

【注意事項】
@盟と亜紀は1ラウンド目のクリンナップにシーン登場する。実質2ラウンド目からの参加。
APC4人が揃っているので、NPCであるアサシン、ライダーは参戦しない。アサシンとライダーはPCに協力して戦闘している演出とする。
Bアサシンが亜紀、とライダーは盟の【HP】が0になった時点でロストする。
C第5ラウンド目に突入すると強制イベントが発生する。

【行動値】
 真セイバー:17
 アーチャー:16
 航:15
 亜紀:15(2ラウンド目から参戦)
 ランサー:15
 盟:12(2ラウンド目から参戦)
 キャスター:12
 相馬:11
 アヴェンジャー:1

GM/それでは、プレイヤーVSサーヴァント軍団のラストバトル開始します。
盟/オールサーヴァントですね! なんと豪華な!
GM/バーサーカーがいて、ライダーとハーデスも演出的には戦って、黒化しているけどセイバー、アーチャー、ランサー、キャスターが。しかも8人目のアヴェンジャーもいる……。
航/全員いる! 前回の参加者である祐希とエルだけがいないという……ドリーム対決だな!(笑)
盟/GM、盟と亜紀が契約するのは可能ですか? その方が戦闘がラクになるのでしたいんですけど……。
GM/……じゃあ、マイナーメジャーどちらも消費して1ラウンドかければ契約できることにします。ちゃんと至近で手を取り合ってお互いすれば可能です。
亜紀/やる価値あるよね。そうなるとほぼ3ラウンド目から勝負だな。
GM/戦闘に入る前に救済措置を与えましょう。……黒キャスターが手を掲げると、空に描かれていた禍々しい模様が動き出す。崩れかかっていたのに、時計の針がギギギとムリヤリ動くかのように……結界が発動する! 全員【HP】【MP】を2D6回復してください。
航/その瞬間、街が呻き声を上げた気がした……。
亜紀/く、くそう。救急車の音が聞こえ出したりするよ……。
GM/では戦闘開始します。1ラウンド目はPCは2人しかいないけど、セットアッププロセス!
相馬/はい、セットアップで≪縛鎖≫使用します。対象は、真セイバー!
航/そこに≪叱咤激励≫
相馬/このラウンドのプラスは切ってしまうがありがたい!(ころころ)出目は……13です!
GM/真セイバーの対抗。(ころころ)こちらは10なので、相馬さんが勝利します。
相馬/(ころころ)シーン間継続で真セイバーの【行動値】を8点下げてください。これで【行動値】が9になった!
GM/では真セイバーが≪黄金の身体≫を使用。防御点を10点上昇します。
航/げ。でもラウンド間だから……ちょっと通りにくくなるだけだ。
GM/同じくランサーが≪本能の拐引≫を使用、全員ダメージ+3します。
盟/僕達が行くまで生き延びてね!

 4人のサーヴァント達が攻撃を仕掛けてくる。
 アーチャーは同エンゲージ内の相馬に≪殺戮の身体≫で攻撃するが、見事相馬は避けきった。
 航はマイナーで≪守護者の盾≫を使用し霊力防御点を上昇させ、至近に居る真セイバーに攻撃を与える。このとき出し惜しみせず航は『ボーナス効果:1シナリオ1回ダメージ+5』を放った。しかしダメージロールが愛ある1・1の出目だったため、たった17点の物理ダメージしか入らなかった。


GM/次はランサーのターンか。……まずは相馬さんがいるエンゲージにマイナーを消費して移動して、≪凶々しき武器≫で攻撃します。このときの攻撃に≪殺界≫を使用。
亜紀/わあ、大ダメージがゴスッと来るよ! 耐えてー!
相馬/回避します。(ころころ)こちら、16。
GM/(ころころ)ランサーの命中は、20。
相馬/どうせゴッソリいかれるなら……≪死線≫使用します! 命中ダイスの最も高い出目1つを1として扱ってください。
GM/それだと……命中が16になるから、受動側優先で回避された!
盟/やった、うまい回避の仕方だ!

 キャスターは妨害要員らしく、相馬に対して≪ヒュプノスの枝≫を使用する。相馬はその特技を受けてしまい、次の判定ダイスを1D6下げられてしまう。
 そうして相馬のターンになり、まずマイナーで≪獣化≫を使用。判定ダイスは減少していたがダメ元で≪乱舞≫を使用し、アーチャー、ランサー、キャスターの3体に攻撃を行う。
 完全後衛系であるキャスターに命中し、19点の防御点無視ダメージを与えた。


GM/次はジークだね。……至近に居る航に≪巨大武器≫≪撃滅≫を乗せて襲いかかる!
航/避ける!(ころころ)回避は19!
GM/(ころころ)こちら、命中20。
航/1足りない! ……相馬さん、≪死線≫をやってもらえるかな、1下げれば避けられるから!
相馬/では≪死線≫使用します。
GM/使いますか? ……1・6だったので1・1になり、ファンブルになります。
航/ひゃー、パーティー戦って良いねえ!(笑) 次のターンはアヴェンジャーだけど……。
GM/待機します。
航/お?
GM/全員行動終了でクリンナップになりました。盟と亜紀達4人が登場します。亜紀達は、禍々しいサーヴァント達の姿を見ます。
亜紀/航……セイ、ちゃん……。
盟/……大丈夫か、バーサーカー。
相馬/……ああ、大事無い。
GM/ライダーは触手を周囲に纏わせ盟を援護、アサシンはコートの中からナイフを一斉に取り出し攻撃を仕掛ける……という訳で、第2ラウンドいきます。

 第2ラウンド目セットアップで、相馬は≪自己再生≫で19点回復した。
 メインプロセスに移行し、アーチャーは盟と亜紀の居る共通エンゲージに≪乱舞≫≪無の射撃≫を使用。2人とも命中されてしまうが、航が盟を≪カバー≫して難なくアーチャーの行動を終わらせた。


盟/航、ごめん……! 航を助けに来た筈なのに助けられてる……。
航/大丈夫。……俺のターンなので、ジークに当てにいきます。(ころころ)19の物理命中。
GM/(ころころ)回避16なので当たります。
航/(ころころ)よし、21点物理ダメージ! ……大丈夫と声を掛けてみるけど……。
GM/ジークは苦い顔をしながら剣を抑えています。

 亜紀は契約のために待機し、ランサーのターンになる。ランサーは≪撃滅≫を使用した攻撃を相馬へ繰り出した。ランサーの命中値は22、相馬の回避値が20……だったため、航がすぐさまアドバイスで≪叱咤激励≫を使用。相馬の回避値がプラス2され、受動側優先で避けることができた。
 盟も亜紀と同じように契約のために行動待機し、順番はキャスターにやってくる。キャスターはいつものギャンブル武器を使うが……見事対象は『6:自身』になり、キャスター1人でダメージを受けることになった。
 相馬は≪乱舞≫を使用しアーチャー、ランサー、キャスターに範囲攻撃をする。アーチャーの≪零力射撃≫で妨害されたものの、≪修羅≫で持ち直しキャスターとランサーへ命中させた。だがランサーは≪影の軍勢≫を使いキャスターを庇い、相馬と向き合うことになる。

GM/次はジークのターンか。……やっぱり目の前の航を狙うよな。≪撃滅≫を使用して(ころころ)命中17!
航/(ころころ)回避14……やるだけやっておこうかな。≪逆転運命≫で自分の判定ダイスを振り直してみます。(ころころ)よし、20が出た!
GM/わあ、それは≪撃滅≫分の【MP】が減っただけで終わります。ずっとジークの攻撃を避けきってるね。次はアヴェンジャーのターンだけど、待機します。
盟/最後の僕達、行動待機組のターン。……亜紀、この状況を打開する為には契約しかないと思う!
亜紀/うん、みんなを助けよう! ガシッと手を掴んで、契約します。契約完了!
盟/盟がマスターで、亜紀がサーヴァントです! これで亜紀に令呪を3回使えるようになった!

 第3ラウンドのセットアップで、ランサーが≪本能の拐引≫を使用。亜紀は当たると痛いキャスターの攻撃対策に≪空間知識≫を使用した。
 メインプロセスに移行し、まず行動したアーチャーは同じエンゲージ内に居る盟と亜紀に攻撃を仕掛ける。しかし範囲化した亜紀の≪念動障壁≫により、半分以上のダメージを防がれることになった。
 航はジークに攻撃、亜紀はマイナーで盟とのエンゲージを離れ5メートル移動、航まで15メートルの距離になって≪清浄の使者≫で航の【HP】を14点回復させた。
 ランサーは相馬に防御点無視26点ダメージを与えるが、これも亜紀の≪念動障壁≫によりなんとか命を守られることになる。


盟/僕の番だな。マイナーで≪天空の羽≫を使用し、メジャーで≪ヒュプノスの枝≫を使用! 対象は範囲選択でアーチャー、ランサー、キャスターを狙います。
航/ハイ、≪叱咤激励≫
盟/ありがとう。(ころころ)命中は14!
GM/ランサーが≪英雄の宣言≫を使用して対象を1体に書き換えます。
盟/……弁慶さんが潰れる分にもいい!
GM/(ころころ)ランサーも14! 幻影を斬り払います!
盟/くそー! 次のターンは、キャスターか。
GM/「どうもー、みんなのアイドルキャスターでーす!」(ころころ)……5。
盟/5だと……全員だ。
GM/全員避けてください。(ころころ)命中は18です。
盟/(ころころ)14だ。
亜紀/(ころころ)15。
相馬/(ころころ)19です、回避成功します。
航/(ころころ)失敗。≪英雄の宣言≫を使用しようか……?
盟/いや、範囲プロテクションと令呪があるから耐えられる! 使わなくて平気だ!
GM/では、キャスターの霊力ダメージは18点! 空から銃弾が落ちてくる。
亜紀/(ころころ)≪念動障壁≫で8点マイナスできる……。
盟/けど、メジャーで回復の手番を増やしたくない! 令呪使用!
亜紀/全員28点軽減してください!

GM/バリアーがガガガと銃弾を全て受けとめた! ……次は、相馬さんのターンどうぞ。
相馬/毎度の如く≪乱舞≫使用します。頼む!(ころころ)命中は18です。
GM/(ころころ)アーチャー、ランサー、キャスター、全員当たります。
亜紀/やった! 初めて全員当たった!
相馬/ここで≪失われた日々≫を使用します!
航/きたー!
相馬/……「俺は裏切らないよ」と言ってくれたエルの言葉が反響する。結局手を下したのは自分だ。が、ワシからエルを奪った奴らを血祭りにあげなければワシの気持ちが治まらん!
GM/……GMが泣けた。ランサーさんは≪英雄の宣言≫を使わない!(笑)
盟/GMの中のエルが泣いている!(笑)
相馬/(ころころ)27点防御点無視ダメージです!
GM/……キャスターロスト! キャスターが光になって消えます!
盟/やった、全体攻撃が無くなったのはデカイー!

 ジークは航に攻撃を行い、命中させる。そのときのダメージに≪失われた日々≫≪撃滅≫を使用し、物理ダメージ41点という大打撃を叩きだす。航はダメージを16点軽減しないと凌げないものだったが、亜紀の令呪付き≪念動障壁≫を使わせず、戦闘不能状態から≪ライフコイン≫を使用し、【HP】1で立ち上がった。

GM/航の前で、カタカタと震える大きな剣を持った鎧の男が震えている。すぐにでもトドメを刺すことが出来る筈なのに彼はしない。……顔は大半が侵食されているが、彼はまだ抵抗し続けている。
航/ガッと剣を立てて……立ち上がります。言ったろう……俺の望みはお前だって。叶えるまで死なない!
亜紀/……次のターンは、アヴェンジャーです。
GM/待機します。
盟/まだ待機で4ラウンド目いくか。……5ラウンド目で何かイベントが起きるんだよね。
航/……おそらく、アヴェンジャーがくるな。ここでケリつけないと!

 第4ラウンドセットアップで、盟は≪魂砕≫を、亜紀は≪魂装≫を、ランサーは≪本能の拐引≫を使用した。

盟/マイナーで≪強化術式≫を使用、ランサーさんに攻撃する!
GM/(ころころ)ランサーの回避は、17。
盟/(ころころ)こちら、25で当てます! ダメージが……29点の霊力ダメージ!
GM/……ランサー、ロスト!
盟/やったぁ!
GM/……ランサーは光に包まれ消える瞬間、亜紀の方を向いて「……亜紀、どうかご無事で……」と呟き、去ります。
亜紀/べ、弁慶さん……!
GM/尚且つ、倒れそうな盟を触手が支えます。(藤原になって)「君を傷付ける訳にはいかない……!」
盟/触手に守られた!(笑)

 アーチャーは、マイナーで≪視えない腕≫を使用し≪殺戮の身体≫で盟を攻撃。物理ダメージ20点を与えようとするが、亜紀の≪念動障壁≫によって盟の戦闘不能は防がれ、ライダーを生き残らせることにも成功した。

盟/次のターンは航だね。
航/マイナーメジャーで使用するものは特に無いけど……≪死闘の半身≫の使用を申請します。俺【HP】1の【MP】3なんですよ! GM、何か良いこと言って!(笑)
亜紀/とっくに5以下になってますね(笑)
GM/……。じゃあ、君が戦っている前に居るジークが、力を抑えながら戦っているのは判る。
盟/殆ど当たってないもんね、ジークの攻撃。
GM/しかしその制御ももうままならないのか、じりじりと航に接近しようとしてくる。その表情はどこか諦めた顔で、早く航の攻撃で倒されるのを待ち望んでいるかのように見えた。
航/諦めんな! ……怒鳴りつけます!
GM/「オレを……キミが解放してくれると信じている」
航/イヤだね! 解放はするけど……お前、俺の夢を見てんだろ!? 俺が本当は何を望んでるかぐらい判ってるだろ!
GM/「……家族……」
航/一緒に居てくれればそれでいいんだよ! お前が幸せになりたいって言うなら俺の全部をあげるよ……お前を一生かけて絶対幸せにしてやる! だから、俺の前から消えないで!
GM/「……前に進んでも後ろに下がってもキミを不幸にすることしかできないオレを許して……!」剣を振り被ります。
航/俺が幸せにするからいいんだよ……命中いきます!(ころころ)22!
GM/(ころころ)16で当たります。
航/20点の物理ダメージ!
GM/セイバー、倒れます。……その瞬間、光が舞い始めます。
航/わっ……!?
盟/そっか……【HP】が0になったから昇華されることになっちゃうのか。
GM/昇華のシーンは暫くストップしておきます。真セイバーは戦闘離脱。

 亜紀はマイナーで≪興奮剤≫を使用し【MP】を6点、≪清浄の使者≫を令呪付きで使用し航の【HP】を33まで回復させた。
 相馬は唯一残った対象であるアーチャーに攻撃を繰り出す。見事命中し、18点防御無視ダメージを与えると……アーチャーは倒れた。


GM/お父ちゃんに倒されたのか。倒れ伏すアーチャーが小さな声で呟くよ。「……お父ちゃん……どんどん無節操になってきてるよ……まるで悪人みたいだ」
相馬/……おぬしらを全員倒せれば、もうどうでもいい……。
GM/「それでお父ちゃんが幸せになれるのかなぁ?」……アーチャー、ロスト。
相馬/……残すは、1体!
GM/1体だ。……奥の方に佇んでいるアヴェンジャーのみ。
相馬/≪修羅≫を使ってアヴェンジャーに攻撃……したいが、アヴェンジャーまで20メートル離れてる。ワシの戦闘移動は16メートルだから無理だ。……手番を終了させておきます。
亜紀/ということで、アヴェンジャーさんの番です。
GM/そろそろ動いた方がいいな。
盟/動く人がもういなくなったからね。
GM/≪爆界≫使用。
航/…………はあ!?(笑)

 ≪爆界≫
 敵を殲滅する特技。範囲をシーンから自由に選択し、[10D6+クラスレベル×2]点、物理または霊力のダメージを与える。
 ハーデスが使用した≪爆散≫の上級特技で、アナザーワールドSRS史上最強技の一つ。


盟/アヴェンジャーは[領域遣い]か! やべえ死ねる!(笑)
亜紀/≪完視≫使ってる暇が無かったから判らなかったけど、[領域遣い]か!
GM/全員に大ダメージを与えます。周囲がカッと輝きます。
航/これはもう……迷わず≪英雄の宣言≫
GM/(ころころ)演出的に霊力ダメージにしよう。……無数の怨念、恐怖心、負の感情すべてが航に襲いかかる。霊力ダメージ、69点。
航/絶望した!(笑) でもまず【霊力防御点】が7あるので62……【HP】が33あるから、なので29点ダメージを弾ければ生き残れる。
盟/亜紀の≪念動障壁≫の固定値を含んで、3点あれば生き残れる! 最後の令呪を使用!
亜紀/(ころころ)3+6なので、9点軽減できますね。その9点に令呪の20足して、29です。
航/はい、ピッタリ0です。
盟/…………。
亜紀/…………。

 (一同爆笑)

盟/そっかあ!(笑) 3点じゃなくて4点なきゃいけなかったんだー!
航/令呪を使っても抑えきれないぐらいアヴェンジャーの凄い攻撃だったってことで絶望感に打ちひしがれておくか! イエーイ、おいしー!(笑)
相馬/おいしい……けど、ダメだったー!(笑)
亜紀/まさに『一歩及ばず』ですね!(笑)
GM/では、全てのサーヴァントが倒れたのでイベントが発生します。ずっと後ろで辛そうな目で立っていたアヴェンジャーが、相馬さんに向かって口を開く。
相馬/なんじゃ。
GM/「……まだ……戦うつもりか……?」
相馬/当たり前じゃあ!
GM/「……血に飢えているな……もっと斬り応えのある若人達が目の前に居るんじゃないか……」
相馬/何をぬかす。ワシが今斬り刻みたいのはおぬしじゃあ!
GM/「……すぐさまにでも、オレを殺すことはできる……オマエの本来のチカラを使えばな……」
相馬/本来の力?
GM/「……バーサーカー……オマエの本当のチカラを解放すれば、望む通りに全ては進む。……全ての人格、意思、感情……それらを捨て去ってしまえば出来ることだぞ……」
相馬/なんだと。
GM/バーサーカーの隠しステータスが今まで判明してなかったので、アヴェンジャーの口から言ってしまいます。「もしお前が……自分からキャラクターシートを捨てれば全ての能力値が99になる
相馬/なにぃー!?(一同爆笑)
亜紀/「NPCになってもらおう」ー!?(笑)

 クラス別能力「隠しステータス」。
 『バーサーカー:狂化』
 全能力がアップされるが、言語能力を失い、複雑な思考ができなくなる。
 →全能力が飛躍的に上昇する(全能力基本値+99、攻撃力+99)。


GM/「……そのチカラを自覚できたな……なら使える筈だ……オマエが望むのであればすぐさまオレを殺すことができる……」と、偉そうなダウナーさんの口調で言います。
亜紀/確かに、99もあれば確実に死にますよね……。
盟/そりゃバーサーカーだ……。
航/99なんかになったら対抗できない……。そういや『Fate』のバーサーカーって人間っていうか化物っていうか「うおおおぉ!」ってカンジでしたよね?(笑)
GM/全能力が99になるけど、『自我を失う』ということでキャラクターシートを没収しなければなりません。
相馬/……GMにキャラクターシートを渡せばいいんですか?
航/やる思考になったぞ!?(笑)
相馬/だって、このままじゃアヴェンジャーに勝てない。……やってみて悪くはない。
盟/でもさ……制御不能になるってことは命中する対象も選べないってことじゃない?
GM/対象はダイスによるランダムになります。アヴェンジャーは、相馬さんを『誘うように』言います。「……既に瀕死の状態のオマエ達が無傷のオレを倒せると思うか……? それに、聖杯を手に入れればオマエの大切なモノを取り戻すこともできるんじゃないか?」
相馬/ピク。……確かに、ワシはもう何も捨てる物が無い。
亜紀/守るものが無くなったけど……。
航/エルが「俺と同じ人形になっちゃうの?」って言うよ!
相馬/でも、その止めてくれるエルはもういない! ……聖杯に願えば、エルを返してもらうことも出来るのか。
GM/「ああ。しかし、返ってくる確証は無い。……完全な聖杯で無ければ完全なる願いが叶うこともない」。確認するかのようにアヴェンジャーが言います。
相馬/そうだな。……となると、完全な聖杯を手にする為には……後ろにいるライダーとアサシンを倒さなければならない。
GM/「どうする……?」ちなみにこれは第4ラウンドのクリンナップで、黒化したサーヴァントが全員倒されたからアヴェンジャーが話し出しただけです。第5ラウンドでは別にイベントが発生します。
盟/そっか……これからまた何か戦闘が始まるかもしれないのか。
相馬/周囲の状況を見る。……成り行きで共に戦った連中は皆、満身創痍だ。どちらにせよここでワシが死んでも……エルには会えん。
GM/「ならば、一つの可能性に賭けてみるのも」
相馬/そうだ。その言葉を貰おう。もう八方塞、手は尽くした。たとえこの身は朽ちるとも、一つの可能性に賭けてみるしかあるまい! ここで一つ大暴れしてみるのも悪くはなかろう! ……狂化します!
GM/キャラクターシートをGMに提出してください。
航/本物のNPCになった!
GM/周囲を漂っていた禍々しいオーラが変わる。今までのものなど比べ物にならない。バーサーカーを中心に空気が変わっていく。
盟/くっ、なんだ……!?
GM/負っていた痛みも感じなくなる。彼の立つ場所はヒビ割れ、感じたことのない力が湧き上がってくる! ……周囲を見境無く殺しまわってください。
亜紀/そんな……!
GM/命中対象はダイスで決めてもらいます。1:亜紀、2:航、3:盟、4:アヴェンジャー、5と6振り直しで振ってください。
相馬/(ころころ)1。
盟/亜紀ぃ!?
GM/いきなり刀を振り被ったバーサーカーが、亜紀を襲う! 強烈な剣圧で斬りかかる……。
亜紀/わあっ!?
GM/目を瞑ってしまう。……けど、一向に来ない衝撃。目を開けてみると……そこには、アサシンがいた。
亜紀/じ……ジャック?
GM/亜紀の身体に吹雪のように血が降りかかる。全て、アサシンの血だ。アサシンの武器も吹き飛んで……帽子がパサッと落ち、ゆっくりと膝から崩れ落ちる。
亜紀/ジャック……! な、何してんだよ!?
GM/「……お前を庇って助けた……それだけだ」
亜紀/こ、このままじゃ! 回復しようとするけど……!
GM/回復よりも光になっていく方が早い。
亜紀/俺と一緒に記憶を作っていくんだろ!? 幸せになるんじゃなかったの!?
GM/「……前向きに生きてりゃ記憶なんてどんどん上書き保存されて……忘れていくもんなんだろ? なら……俺なんかいなくたってお前は大丈夫だろ」
亜紀/嫌だよ! 俺はジャックがいないと幸せになれないっ!
GM/「そういうことにしとけって、俺だって別れるのは嫌なんだ!」
亜紀/……嫌だ……ううぅ……。
GM/「……運が無かったと思ってさ。最期ぐらい……俺を幸せにさせてくれ」……亜紀に口付けて、光になって消えます。

 ――アサシン、ロスト――。

GM/その間もバーサーカーは動き出します。1:亜紀、2:航、3:盟、4:アヴェンジャーでまた判定してください。
相馬/(ころころ)3。
航/3……盟だ!
相馬/ジャックを斬った後……盟がたまたま目に入ってしまう。そちらの方向を向いて、俊足で接近する!
盟/回避も低いし目を見開いていることしか出来ない! 一応魔導書を掲げるけど……このままだと藤原に当たるから自ら飛び込む!
相馬/何を斬っているかも判らずに斬り伏せる!
GM/物凄い速度で吹っ飛ぶ盟の身体。……細い体を、藤原が受けとめる。「……盟っ!?」
盟/……逃げて……。
GM/腕の中の盟を見て、わなわなと目を見開いて……「キサマァ!」とバーサーカーに向かって叫ぶ。全ての力を振り絞ってバーサーカーに全力攻撃するけど……バーサーカーは赤子の首を圧し折るより早くライダーを殺すことができる。
相馬/……軽く斬り伏せる。そんな声も聞こえずに、ひたすら斬りつける。
GM/「……貴方は誇り高く美しい人間だと思っていた……そのような醜い姿など決して見たくなかった。単なる化物に下った貴方を見ることになろうとは、とても苦しい……」
盟/……最後の力を振り絞るかのように、藤原の顔まで手を伸ばそうとします。
GM/……その手を握りしめます。
盟/握って……ニコッと笑って……目を閉じます。
GM/「……今、聖杯を手にすることが出来たら……私は君の笑顔を祈ることだろう。だがその願いも叶わない……申し訳御座いません。今度出逢えたときは……美しい世界で、君の居る場所で」……光に包まれ、消えます。

 ――ライダー、ロスト――。

相馬/次は(ころころ)……アヴェンジャーだ。憎しみが強いのか、アヴェンジャーの前まで飛んで一瞬で斬りかかる!
GM/「……破壊は楽しいか?」
相馬/答えない。声にならない声で斬りつける!
GM/斬られます。「ああ……オマエは相応しいことをした……聖杯戦争は殺伐としている方がいい……どの世界も所詮地獄なんだ……馴れ合いなど、相応しくない。オマエが最期の勝者になれ……」
相馬/……もう、何も聞こえない。

 ――アヴェンジャー、ロスト――。

GM/ここまで残ったら航とジークのシーンが改めてできるかな。【HP】0で保留にしている2人のシーンをやろう。……ジークが倒れた前で、全員を助けた後に航も倒れる。あちらではギャーギャー騒いでいるようだけど、そんな声は航には聞こえない。
航/……近寄って、ジークを揺さぶります。ジーク……。
GM/ジークは光に包まれています。「……さっきも言ったけれど……オレはキミを不幸にすることしかできないんだ……だって、戦う前に言った……戻るっていうの、嘘だもん……ゴメンよ」
航/……そう思うなら死なないでよ。
GM/「どうすれば……死ななくて済むのかな」と光に囲まれながら呟く。「そんなの……止められないよね。元々オレは死人だもん。キミの前に居ることだって本来だったら叶わなかったことなんだ……」
航/そんなの、ヤだよ……一緒に居る為だけに俺はここに居たのに……なんで俺の前から居なくなるの……。
GM/指先が透け始め、目がうつろになっている中……ジークは笑う。「今、オレにキミの涙を止めることはできない。だから……一緒に眠ろう? 抱き締めてあげるよ、おいで」
航/……うん。頷いて、ぎゅっと抱きつきます!
GM/変身を解いて鎧を消して、生身で抱きしめられるようになります。ぎゅーっと抱きしめながら……「嘘だって思われるかもしれないけど、実はオレ……人肌恋しかったんだ」
航/そうなの……?
GM/「だけどプライドが勝って抱きしめられなかった。ゴメン。素直になれなくてゴメン。……キミの手に触れただけでも、オレの精一杯の勇気だったんだよ」
航/もっと早く言えばいくらでも抱きしめてくれたのかな……もっといっぱい抱きしめてあげられたのかな……。なら残りの令呪を全部使って、『消えるまでずっと抱きしめていて』……!
GM/令呪なのかそうでないのか、ジークは強く航を抱きしめます。……まるで航自身から溢れているように周囲に光が舞う。体が消えても決して離そうとはせず……最後に、光に抱かれた航だけが残る。

 ――セイバー、ロスト――。

GM/光が周囲を染めて行く。ジークの光の他に、眩い神々しい光が発生する。まるで天国のようだ。……聖杯の光だ。
航/……そんなの見えない。ジーク……すぐ逝くよ、寂しくなんかさせない。……自分の武器で首を斬ります。

 8体のサーヴァントのうち、7体がこの場所で全て昇華された。
 ……勝者は1つ。
 完全なる聖杯は現れる。
 最期に生き残ったバーサーカーの前に。

GM/バーサーカーの前に斬れない対象が出現します。……それは女性の姿だ。
相馬/斬ろうと振り被ろうとするけど……刀が下ろせない。
GM/女性は美しい金髪と緑の瞳。女性らしい体つきと……どこか聴いたことのある声で君に話しかけてくる。妖艶な声で「貴方の願いは……?」と。
相馬/……。エルに……会い……たい……。
GM/「それが貴方の願いね? ならば暫し目を閉じて……落ち着いて……そんな顔を彼に見せていいの……?」と、まるでお母さんのように親しく声をかけてくれる。その声に戦意が無くなっていく。
相馬/刀を落として、座りこみます。
GM/……一方その頃。唯一残された亜紀のシーンをしよう。亜紀は見る……バーサーカーの前にいきなり女性が現れたのを。
亜紀/こ、これが聖杯……?
GM/【知覚】判定してくれるかな。ファンブラなければ成功になります。
亜紀/(ころころ)クリティカルだ!
GM/なら君はハッと気付く。……その場に姿を消しながらとある人物が居ることに。それは教会のあの男だ。具体的に言うと≪幻惑の衣≫で隠密状態になっていました。
亜紀/……黒須さん。なんでこんな所に居るんですか?
GM/「……アヴェンジャーはあくまでサーヴァントだ。なら、アヴェンジャーの召喚者がいなければならないだろ」
亜紀/……黒須さんが召喚したんですか。
GM/コクリと頷く。……声を掛ける亜紀には目も向けず。
亜紀/聖杯に釘付けだ……。でも、あの子は……金髪ロリは「私が呼んだ」って言ってましたよ。
GM/「カードを用意してくれたのは彼女……聖剣だということだ。配布されたカードを引いたのが俺だっただけのこと。お前も、聖剣とは会っているんだろう?」
亜紀/はい。……貴方の望みは何ですか。
GM/「奇跡が起きる瞬間を見ること」
亜紀/それ……だけですか?
GM/「そうだ。俺は今この瞬間を待っていた。多くの者が傷付き、倒れ、血を流し、その末に見るこの神々しい光。美しいものを見るために俺はここにいる。キャスターに結界の存在を教え、青森を襲わせ、アヴェンジャーに戦争を進めさせて……完全な聖杯へと辿り着くことができた」
亜紀/それだけの為に……! みんな聖杯戦争から降りて幸せに生きようとしていたのに! 貴方はどれだけの人の心を踏み躙ってきたんだ!?
盟/藤原と僕を騙したのも黒須じゃないか……一度昇華されたサーヴァントを操らせるとかどんだけだよ。
相馬/エルを殺したのも結局はアヴェンジャーを操っていたお前か!
航/10年前からどんだけやってきたんだよ!
GM/「俺は50年待った。50年越しの願いが叶ったんだ」
亜紀/え。……50年? 黒須さんって30歳ぐらいじゃ……。
GM/「俺が聖剣と初めて出会ったのは10年前の聖杯戦争が終わったときだった。23歳のときだった。32歳になった。1回目のループが終了した。気付いたら23歳からスタートしていた」
航/うわ、キツ……!?
GM/「2回目の32歳も青森とランサーが無茶をしたせいで終わった。23歳になった。3回目の32歳はお前達が全員未完成の聖杯を願った。4回目はどうだったかな。5回目もどんなものだったか。……そして今回、6回目の10年目だ」
亜紀/そんなに……ループしてた……?
GM/「10年を6回もやっていれば多くの血も見慣れてきた。恨み事も何も感じなくなった。多くの人間の声を聞き、語り合って、時にはあたたかさを感じても……心に響かなくなってきた」
相馬/……そろそろ感覚が麻痺してきたのか。
GM/「けれど俺は、今この瞬間に満足している。この世界を正式なものにしてもいいぐらい……」
亜紀/俺はっ! こんな世界……認めたくないっ!
GM/やっと黒須が亜紀の方に振り向きます。……亜紀に近付いて来ますよ。
亜紀/怖っ!? ……せ、聖杯! お願いだからこの世界をやり直してー!
GM/君はバーサーカーのマスターではないから聖杯は君の方へ見向きもしない。……叫ぶ亜紀の所に黒須が近寄って来る。
亜紀/く、来る!?
GM/君のすぐ傍に立つ。正面を向かせて、クイッと亜紀の顎を上げて顔を見させるようにします。
亜紀/うっ……!
GM/目の前にあるのは無表情に笑う黒須の顔です。まだ苦しげにしていたアヴェンジャーの方が表情豊かだと思うね。
亜紀/く……黒須さん……貴方は……。
GM/「俺は、何度もあの光を見たい。完全な聖杯を見続けたい」
亜紀/そ、それほど聖杯を……。
GM/「今、願いを叶えた聖杯の光は消えつつある。……俺はもう一度、あの光輝き始める瞬間が見たい。……亜紀、その銃は何の為にある? 俺に向ける為にあるんじゃないのか?」
亜紀/な……何度も聖杯に会うために『俺を殺せ』って……? 俺に黒須先生が殺せると思ってるの……ちっちゃい頃から知っている人を……。
GM/「殺せないのか? あれほど冷酷だった亜紀が? 何十年も俺はお前の冷酷な姿を見ている。お前がそれぐらい容易に出来ることを知っているんだぞ」
亜紀/……。先生を殺せば……俺はもう一回みんなに会えるの?
GM/「ああ。俺の死が世界をリセットする。……そして俺は、彼女に出会う」
亜紀/……額に銃口を当てます。絶対こんな世界にはしない。阻止してみせる! ……引き金を引きます!
GM/ぱあん。黒須は倒れ、血が広がる。
亜紀/……う……あぁ……。
GM/そして、視界が白く染まっていく。まるで霧がかかったように白く。……その白い世界に、女の子が立っている。
亜紀/……聖剣?
GM/口をムーッとしながら彼女は居ます。「……最期に、ちょっとだけ話させて」
亜紀/う、うん。
GM/「ある人に世界を操る権利を渡したら、自分を殺しながらも何万年掛けてでも全員を幸せにしようとした」
航/……カイルさん?
GM/「たった1人の為に頑張って何度も人を殺し続けたケースもあった」
盟/……経正か。
GM/「2人はどちらも幸せに辿り着いた。2人に共通していたのは、『愛情がとても強かった』ということ。だから今回、私は『愛が強い人間』を選んだの」
亜紀/それが……黒須さんだった?
GM/「そうよ。精神力も強くて人々への影響力もある、世界の核に相応しい男が黒須柊だった」
亜紀/彼は……何度でも聖杯に会いたいって願ってしまっているよ。
GM/「ええ。だからその愛を上回る愛が無い限り、このループは終わらなそうね。悲しいことにこの世界に住む人々は彼が作り出した『無限の地獄』に囚われてしまったわ」
亜紀/無限の……地獄。
GM/「黒須は完全な聖杯を求める。完全な聖杯のために皆に血を流すことを強要させる。全員死んだところで、完全な聖杯を見る。見たらまた死んで、完全な聖杯を求めるところからスタートする。そんな地獄よ」
亜紀/そんな……本当に地獄の無限ループじゃないか……!
GM/「ここまでやってくれたんだから黒須にはペナルティを与えるわ。……いいのよ、貴方は……いや、貴方達はここで『リタイア』したって。満足すれば世界は終わるわ。物語を語り継ぐことをやめるから。でも満足できないのなら……こんな世界は認めないと思い続けるのなら、満足するまで挑戦し続けるといい。この世界は諦めない限り無限の可能性で出来ているんだから……貴方達の一番満足する世界を作って」
亜紀/……うん、頑張る。
GM/「そうだ。もしかしたら8番目のカードの彼が出てくるのはこれが最後かもしれないから一応ネタばらしをしておくわ。……8番目の彼の名は『ナグイェブ』。恐怖を生んで疑心暗鬼にさせる恐ろしい存在よ」

 『ナグイェブ』。
 正確には『ナグとイェブ(Nug and Yeb)』。ハワード・フィリップス・ラブクラフト作のアメリカゴシックホラー小説シリーズ『クトゥルフ神話』の双子の架空の神性で、旧支配者に所属する。恐怖の儀式を取り行う象徴。
 クトゥルフ自体がホラー要素の強い作品であるため、PCが黒化したNPCと同じシーンにいるたび「恐怖心が、不安感が」と言っていたのはそのためである。

GM/「次の世界がどんなものになるかは知らないけれど……貴方が、貴方の好きな人に出会えるように祈ってるわ」
亜紀/うん……ありがとう。
GM/世界が白くなっていく……ところで、相馬さんのシーンに戻りましょう。相馬さんは閉じていた目を開けると……さっきまで居た女性は居らず、そこには消えてしまった筈の彼が居た。
相馬/……エル……なのか?
GM/……君の知っている彼が立っている。
相馬/エル……! 叫んで駆け寄ります!
GM/キョトンとしてます。「……マスター……?」
相馬/ペタペタと顔に触れて……目を潤ませながら抱きつきます!
GM/「あれ……俺、消えた筈なのに……あれ?」
相馬/もう、よい。……エル、会いたかった。……肩口に顔を埋めて泣き始めます。
GM/「奇跡が起きて消えなかったのかな。……もう一度マスターに会いたいって神様が叶えてくれたみたいだ。意地悪な神様が……」
相馬/ああ……。きつく抱きしめます。
GM/白く染まりゆく世界の中で、エルも君を抱きしめて笑います。「泣かないで、大丈夫、ずっと一緒に居るよ。もう離れることはないから……疲れたから一緒に寝ようよ」。
相馬/そうじゃな……ワシも……今日は色々とありすぎた。……目を閉じます。
GM/「おやすみ……ずっと俺が……抱きしめていてあげるからね。俺が死んだあのときみたいに……」

 ――世界が真っ白く染まる。
 ――ループが終わる。
 ――そして始まる。

 ――――2月1日に。

 ――――いいや、10年前の聖杯戦争終末の瞬間に。




 ANOTHER WORLD
  「 DROWNING/phantasmagoria 」

 Sixth Loop 『 ...Eden... 』





GM/――それでは皆さん、ドロリア第6ループお疲れ様でした。メチャクチャなシナリオに付き合ってくれてありがとう。相馬さん、キャラクターシートをお返し致します。
相馬/おかえりウチの子!(笑) いやあ、まさかこんな結末になるとは……。
GM/アヴェンジャーがついに出てきてくれたおかげでGMの用意したネタは殆ど全部開示されました。これで『ドロリア完』にしても構わないぐらいです。
航/あと唯一解けていない謎は、ランサーさんの隠しステータスか(笑)
盟/しまった! またかよ弁ちゃん!(笑)
GM/弁慶さんだから聞けば教えてくれるよ!(笑) ……それにしても今回は相馬さん、一番の重圧をロールしてくれてありがとう。
相馬/いやー、フリーダムにさせてくれてありがとうございます。
亜紀/バッドエンドがやみつきになってきました! ラスボスがバーサーカーなんて凄かったですね(笑)
GM/……今だから言うよ。時々みんなが相馬さんを「NPCかよ!」とか「ラスボスか!」って言ってたの、本当なんだよ。言いたくてたまらなかった(笑)
航/何の因果か!(笑)
亜紀/解放するとラスボスになるんだ!(笑)
相馬/まさか偶然キャラメのときにバーサーカーを選んだだけなのに、こんな結末が生まれるだなんて思っていなかったよ。
盟/TRPGに神様っているよね。楽しいー!(一同笑)




to be continue...