アナザーワールドSRS・リプレイ・DROWNING/phantasmagoria
■ 第3ループ2話 『 Skyscraper 』 4ページ ■
2010年1月7日




 ……そうして、最後に。
 真剣な顔で「話がある」と言っていたエルと、航は……。


航/ボロリアに帰って来るのは久しぶりだな……。荷物を片付けて、お茶を淹れたりします。
GM/エルは航が話を聞いてくれる態勢になるまで黙って待っています。
航/明日の準備をし終えて、座ります。……エル、話って?
GM/「……昨夜、神父と話したんだ。そこで気付いたんだ。航の同情を誘えば、俺に振り向いてくれるって」
航/……同情って、何? 振り向くって……?
GM/「話を聞いて、俺と縁を切りたかったらいつでも言ってね」……念入りに前置きを言います。
航/う……うん。
GM/「なんでも話すよ。質問して」
航/……なんでもって、なんでも?
GM/コクリと頷くエル。……というのもいいかげんね……GMの中の脳内エルが「もう話してもいいじゃん! ワタルが俺のこと信用してくれてない!」って訴えてるんだよ。
盟/「もう無理! だってワタルの比重が全然俺に来てないんだもん!」って?(笑)
GM/そうそう(笑) 祐希や亜紀くんや神父ばっか見てるから、エルが痺れをきかせてさ。
航/なんでもって言っても……何を聞いていいのかな。じゃあ、まず……エルにも前のマスターがいたんだよね。その人はどうしたの。契約解除があったってあのお侍さんが言ってたけど、何か関係あるの?
GM/ふるふると首を振る。「俺はこの1ヶ月で召喚されてない」
航/えっ?
GM/「俺は10年前に召喚されて、10年前の聖杯戦争を体験して、10年間生きてきたんだ」
航/……10年前の、セイバー? 生き残りってことは……勝ったの?
GM/「……勝ったよ」
航/……他の英霊をみんな、倒して?
GM/「生き残ったサーヴァントもいるけどね」。……プレイヤーは知っているね、祐希のことです。
航/エルが、10年前の勝者……? じゃあ、この10年間どうやって?
GM/じっと航を見ます。「……君の中に居た」
航/はっ!?
GM/「俺には、体の中に入る能力がある」
相馬/……≪生体侵入≫!?
GM/「そのまま、≪セルロイドの心≫という特技でずっと眠っていた。人形化すれば感情を抑え込むことができて、時間を感じないようにできるから」
盟/確かに≪セルロイドの心≫は『対象:単体』だから自身にも使えるけど……。誰がこんな特技を自分に使うんだと思ったら、いたよ!?(笑)
GM/ちなみに、『第2ループ』でアサシンがこんな台詞を言っているんです。

 アサシンが盟と亜紀の前に出てきたとき。
「……『アイツ』が昇華された後に……俺が続けてワタルの体に≪魔印≫を結んでおいた。だからワタルの居場所は判っている」


航/エルは『第2ループ』のときも、今も、俺に≪魔印≫を付けていた……? 『第2ループ』ではエルは餓死したから聖杯のもとに昇華されて、アサシンが≪魔印≫を上書きできる状態になった……ってことですか?
GM/その通り。ちなみに、君はエルの能力は……(キャラクターシートを見せながら

 『セイバー(エンキドゥ)』
 キャラクタークラスは10。クラスは[感応力師5/領域遣い2/異端者3]。
 主な特技として……。
・≪セルロイドの心≫(人形化。サイコロの出目を固定7にする)
・≪夢の王≫(使用者の望む夢を見せる)
・≪夢沈み≫(眠る人に潜り込む)
・≪結合双生≫(供給を行ったことのある対象の【HP】を自由に上下させる)
・≪生体侵入≫(他者の体内に入り込む)
・≪背徳の従者≫(戦闘不能になった対象をサーヴァント化させる)
・≪魔印≫(刻印を刻み込み、その対象の居場所を知る)

 その他に……≪大地の一撃≫ ≪空間知識≫ ≪豹変の業≫ ≪テリトリー≫ ≪バベルの唄い手≫ ≪愉悦の波≫ ≪パスアウト≫ ≪器の支配≫ ≪強化手術(体力〜幸運6種類の能力基本値全てに+3)≫


航/あれ、≪肉体復元≫が無い……てっきり公園でアサシンから受けた傷を治したのはそれだと思ったんだけど!?
GM/航の傷は、≪結合双生≫で治した描写になっています。
航/でも『供給を行ったことがある人物』じゃないと……。お前、ずっと俺の中に居たの? 俺とずっと一緒に居たの……?
GM/「外に出ることもあったよ。多分そのときは『体がムズ痒くなった』と思うけど」
航/……なんで? 何の為にそんなことを?
GM/「……今まで、絶対に嫌われると思って言えなかった。でも言うよ……。俺、10年前に、ワタルが……どこか遠いトコロに行くって聞いた」
亜紀/……お母さんの海外進出するってやつ?
GM/「俺、ワタルにはどこにも行ってほしくなかった。だから聖杯に祈った。『出来ることならワタルとずっと一緒に居たい。どこかに行かなくなればいい』って。……その結果、ワタルはこの国に留まってくれたね。両親がいなくなったから」
航/……10年前の火事は、エルが聖杯にそれを願ったから?
GM/……頷く。
盟/……お前を願った男のせいで、みんな死んだんだ。
航/うわあ……! な、なんでそんなに俺のこと!?
GM/「大切だったから。君は俺の友人になってくれたからじゃ……ダメ?」
航/でも、俺は全然そんなの思い出せない!
GM/「そうだろうね、記憶を消されているから……だって、消したんだもん……あの神父が」
航/先生がっ?
GM/「俺も、まさかあんな事故になるとは思わなかった。でも、ワタルから全部奪っちゃったのは俺に違いないから……一番近くで守りたいと思ったんだ。だからずっと隠れてた。……こんなの『気持ち悪い』と思われるって判っていたけど、それが手っ取り早く最も近くで君を守れる手段だと思った! ごめん!」
航/…………。ずっと、俺を守っていてくれたの?
GM/頷きます。航が事故のトラウマで悪夢を見るようなら≪夢の王≫でカバーしたり、身に危険なことがあったら出現したりね。
航/…………。嬉しく思っていいのか、怒っていいのか、今の俺にはちょっと判らない。
GM/……エルが何かを唱えると、エルの隣に何者かが現れます。
航/おっ……!?
GM/フルアーマーフルメット。仮面で顔が見えない、全身鎧の西欧の騎士が出現します。明らかにエスニック系のエルとは全然違う姿です。
盟/……本物のセイバー!?
航/これ……は? これが、今回喚び出された本物のセイバー?
GM/「俺が倒して、≪背徳の従者≫を使って従者にした」

 ≪背徳の使者≫
 対象の死亡を回復し、【HP】を1まで回復する。復活した対象は【意志】で判定し、難易度以上を出さなければ使用者のサーヴァントになるという特技。

GM/「2月1日、俺はセイバーのマスターを殺した。その後2月4日、マスターを失って弱体化したセイバーを倒して従者にした。こうして今回の聖杯戦争のセイバーとして成り替わった。俺が死ねばセイバーは俺と共に死んで聖杯へ昇華されるよ」
相馬/……オープニングで死んだ男が本物のセイバーのマスターで、公園で叫び声がしたアレが……本物のセイバー!?
GM/一方、航が公園で見付けた女性の死体はアサシンのマスターで、彼女はアサシンとの仲違いによって殺されています。
盟/傷が違っていたもんね! 本物のセイバーが殺されたのとタイミングが同じだっただけ……!
GM/ついでに『第3ループ』のオープニングで亜紀くんはカキンカキンという剣劇の音を聞いたね。あれは……。
亜紀/エルと本物のセイバーが戦っていた音……!?
盟/『第2ループ』でエルが餓死しても「セイバーロスト」になったのは、従者と共に消えたから……。自分がセイバーとして戦っていれば聖杯サマにもバレない。セイバー、頭良いよ……(笑)
航/大体事情はなんとなく読み込めてきた……けど、10年前の生き残りが居るって言ってたけど、その人は一般人に紛れて生きているのか?
GM/「……うん、普通の人間みたいに生きている。アイツ、何もしていないで居るよ」
航/……10年前のエルのマスターって、誰だったの?
GM/「……俺は話すけど、そのことでワタルが怒られたらごめんね。…………黒須柊だよ」
航/先生が、10年前の!? それで妙に知り合いっぽい雰囲気だったんだ!?
GM/「彼は俺を召喚した人だ。でもこれから先はあの人自身の問題だから俺は答えられない」
亜紀/……黒須さん、絶対誰かのマスターだとは思っていたけれど、まさかエルのマスターだったなんて。
航/……最近見た夢の中で、小さい祐希や若い黒須先生が居る中に、もう1人誰かが居た! それは!?
GM/「きっとそれ、俺だ。神父が消したアトだよ」。……ちなみに、盟ちゃんも『第2ループ』で見た夢で、黒須の傍に20代ぐらいの男性がいなかった?
盟/いましたね。それもエルだったのか……。
航/……俺を守るためだけなら、わざわざまた聖杯戦争に参加する必要は無いよね? それでも出てきたのは……エルの、本当の目的は何?
GM/「俺の願いは、ワタルの願いを何でも叶えてあげること。俺の身勝手な願いで家族を失ったんだから、何でも叶う聖杯でワタルの願いを叶えたかったんだ。……その為に聖杯戦争に勝つ気だった。でも、ワタルは聖杯がいらないんだよね……」
航/……勝って願おうとも思ったけど、それよりは生きてかなきゃって思ったから。『今の生活を守りたい』っていうのが、俺のキャパで考えられる精一杯だったんだ。
GM/「……そっか。じゃあ、提案だ。……契約解除をしよう」
航/……そしたらお前、どうするの?
GM/「消える。セイバーを昇華する。その方が早く聖杯戦争が終わって、ワタルの為になる」
航/それでお前……いいの?
GM/「俺の独りよがりでワタルの人生を踏み躙ってきた。その罪滅ぼしのために聖杯戦争に勝とうとした。ワタルが聖杯をいらないと言うなら、俺がこの世に留まっている理由は無い。みんなの願いの為に、俺は……」
航/……そんな、また苦しいまま死ぬなんてもっとダメだ。それにお前……10年間、俺の代わりに苦しんでただろ? ならちゃんと生きて、お前自身の願いを探さないとダメだよ!
GM/「人形になっているときは全然何も感じない。だから平気だった」
航/そういう問題じゃないだろ……!
GM/「待つことは慣れてるから。第一、俺は神様に『1人の為だけ』に生まれさせられたんだ。誰かの為だけに生きていくことは慣れている」
航/そういう存在だった……から? そうじゃないだろ! ……俺、お前の、生き残った10年間を奪っちゃった……のか?
GM/「…………」。
航/そうだ! ちゃんと生きて……俺の家族になってくれ。それでいいと思う……それしか俺には思いつかない。もちろんお前が良いならだけど、もう一回俺の家族になってくれよ!
GM/……航の腕を引っ張って、ぎゅうっと抱きしめます。
航/わっ!
GM/「……俺なんかに抱き締められるのは嫌だと思うけど、ちょっとだけこうさせて。それ以上は何もしないから」
航/……頭を撫でます。……なあ、どうすればいい? 俺、どうすればお前の10年間に報いることができる?
GM/「何もしなくていいよ」
航/……それじゃ、ヤだよ。
GM/「…………」。暫く頭を撫でられていますが、ゆっくりと身を引きます。「ワタル、疲れてるんだよね。……今から神父のところに行って傷とか治してもらいなよ。だって今のワタルは神父のモノでしょ?」
航/ち、違うよ……!
亜紀/……違うの?
盟/……今、どっちにもフラグ立ってるよな?
GM/エルは『ワタルと神父は仲が良い』と知っているから無理矢理なことをしないで「神父のところに行きなよ」って薦めてるんだけど。
航/……た、確かに黒須先生のことは好きだけど、あれは憧れって言うか、あんな風になりたいっていうか、助けてもらった消防士に憧れる子供っていうか……。
盟/……正直、プレイヤーが萌える方にしろよ(笑)
航/今、エルを放っておいて神父のところに行ったら、エルが可哀想すぎるよ……!
GM/……言っただろ、「ワタルの同情を誘う」ってな(笑)
航/……。黒須先生とは話したいことがあるけど、それより……エルと話したいことがいっぱいあるから、今日は一緒に居る。
GM/ぎゅって再度抱きしめます。今度はさっきより強く抱きしめて、唇を奪う。
航/んっ……!?
GM/「嫌になったら直ぐに言って。令呪を使ってでも逃げてね」……そう言って、航を押し倒します。フェードアウトしましょう……3D6点回復しておいてください。
相馬/…………いやぁ、怒涛の展開だった。この情報量は凄いな(笑)
盟/すげえドロッドロ。流石『ドロリア』!(笑)


 ●クライマックスフェイズ/February 7th Scene 1

GM/翌日、君達は遺跡にやって来ました。……おや、遺跡の前に花束が置いてあるよ? 粋なことをする人もいるもんだね。
亜紀/あれ? 見たことあるような、ないような……うーん?
盟/なんでもいいからさっさと入るよー!
GM/遺跡は、入口だけは観光できるように整備されている。だけど一見非常に地味で、あまり見学する人も居ないだろうと思わせるものです。……人目を盗んで遺跡の中に入ることができます。
亜紀/やっぱり少し寒いな……。中に入ります。
GM/奥に進むと、最初は整備されていたけどどんどん洞窟っぽくなっていますね。地下を潜って行くように進んでいくと……ドクロと同じような『嫌な感覚』に襲われます。
盟/……魔力をビシビシ感じるなぁ。
亜紀/この先に聖杯があるから……それだけ凄い所なんだ。
GM/先頭歩いているのは誰?
相馬/一番【体力】が高い相馬かな。
GM/じゃ相馬さん。ずんずん進んでいると、衝撃を感じた。……これから先は容易に進んで行くことはできなそうだ。
相馬/待て。おぬしら、気を引き締めろっ!

 『第1関門:キャスターの間』
 強い結界を解除せよ。難易度:【意志】判定12。


GM/判定は、1人でも成功すればOKです。なお、NPCの3人は判定できないこととします。
盟/(ころころ)出た、ちょうど12……やったね!
航/(ころころ)俺も12が出ました。
GM/では航と盟の協力により、第一関門は突破されました。キャスターが「キャスターの『陣地作成』……。きっとボクが昇華されたとき、ここに封印されるんでしょうねー」と、独り言を言う。

 『第2関門:バーサーカーとアサシンの間』
 素早くも力強い怒涛の攻撃を回避せよ。難易度:【反射】判定13。


相馬/(ころころ)よし、15で成功です!
航/(ころころ)13で成功です。
GM/航と相馬の協力によって、そこを通り抜けることができました。
航/よいしょっと。今のところ平気だけど……どこで失敗するかな。
相馬/ワシはここで封印されるんだろうな……。先に進もう。

 『第3関門:アーチャーの間』
 遠方からの攻撃を回避せよ。難易度:【知覚】判定15。


亜紀/どんどん難易度が上がっていきますね……アーチャーが封印されてないですからね?
相馬/封印されると下がるんだな。(ころころ)15、ピッタリで成功!
亜紀/(ころころ)あ、クリティカルで成功しました!
GM/雨のような遠距離攻撃も通り抜けて行けます。アーチャーがボソッと口を開く。「凄いね、1人であんなに攻撃するなんて……あ、アーチャーの『隠しステータス』かぁ」
相馬/『隠しステータス』……だと?
航/そういや、『第1ループ』でもそんなようなものがあるって言ってたよね。

 『第4関門:ランサーの間』
 立ち塞がるトラップを安全に解除し越えろ。難易度:【理知】判定15。


航/【理知】か……流石、ミスターBの間(笑・ころころ)よし、クリティカりました!
GM/今回、クリティカルもファンブルもどっちも出るね……。航は「こうして行けばいいんだ」と余裕でトラップを抜けて行きます。
航/一回来たことがある人を連れてるしね。
盟/成程。エルがアドバイスしてくれたのかな。

 『第5関門:ライダーとセイバーの間』
 無数のトループ軍隊を打ち破れ。難易度:【体力】判定15。
 中央にそびえ立つ大将を打ち破れ。難易度:自由な能力値での判定20。

 
相馬/まずはトループ一掃から、【体力】で判定!(ころころ)……う、失敗。
盟/最後の≪幻想式≫使っておきます。(ころころ)ごめん、失敗。
亜紀/(ころころ)お、俺も失敗……。
航/(ころころ)失敗。……仕方ないから、≪悔改めよ≫を使用。相馬さん、再判定して!
相馬/(ころころ)……し、失敗した……。
航/失敗すると何が起きるか判らないから怖いな……。今度は≪逆転運命≫を相馬さんに使います。もう一回判定して!
相馬/もう一回!?(ころころ)……残念、また失敗した……。
GM/では、『試練を失敗する』で宜しいですか?
相馬/……≪修羅≫を使用します! それに≪失われた日々≫使用! アーチャーを見て……。もう自分に家族と呼べる人がいない。身内を自分で焼き殺したりもした。家族はもういない。だが、次に家族で呼べるであろうアーチャーが何よりも大事だ……その為にも絶対にここは通り抜けたい!
GM/(アーチャーになって)「獲得チェックしていいですかー!」(笑)
盟/どうぞどうぞ、どんどん振りなされ!(笑)
相馬/5D振ります!(ころころ)うわ、1・1・1・2・3……でも【体力】ボーナスが7なので、成功です!
GM/……決死の覚悟で多くの騎馬兵を打ち破った相馬さん。しかし最後の敵が残っている。何の能力値でも構わないので達成値20を出さないと大将は打ち破れません。
盟/……令呪、使っちゃえよ。
亜紀/令呪を使わないと無理ですね。航、使おう?
航/よし……亜紀、一緒に行こう! 令呪を使用します!
亜紀/一番高い【理知】で判定します。(ころころ)13なので、+20して達成値33!
GM/常人では太刀打ちできないような戦闘……だが、亜紀くんの戦略により皆を勝たすことができました。……ではここで、全員【知覚】判定をしてください。
盟/(ころころ)12。
航/(ころころ)10か。
亜紀/(ころころ)8です。
相馬/(ころころ)8だ。
GM/(ころころ)こちらは14。14以上の人は……いませんね。失敗でいいですか?
航/……亜紀、令呪をもう一発いっとく?
亜紀/……その方がいいよね。
航/なら、≪逆転運命≫を亜紀に使って、令呪使用で振り直ししてもらいます!
亜紀/ファンブらない限り大丈夫!(ころころ)達成値は……31です!
GM/キャスターが「やったー、全部試練クリアできたよー!」と喜んでいる中、亜紀だけは気付いた。……背後から誰か見ていることに。
亜紀/バッと振り返ります! 見えますか?
GM/達成値31という超人的な視覚で見ることができた。……遠くに、目の細い大柄の男性と、オッサンが居る。(キャスターになって)「さあ、早く聖杯の方に行こうかー!」
盟/行こうか! おいでませ僕のぉ……!
亜紀/待って!(笑) 後ろに教会の人がいるんだけど……俺が見てくる。みんなは先に行ってて。
航/じゃあ俺も行く。視界内じゃないと令呪的な意味で亜紀を守れないし。
盟/ならここで一旦別れよう。……僕は聖杯のところに行く!
相馬/相馬は……盟と亜紀の中間地点に居ます。
GM/つまり、どこに誰が居るかっていうと……。

 聖杯側エンゲージ:盟、キャスター
  (↑50メートル離れている↓)
 相馬組エンゲージ:相馬、アーチャー
  (↑50メートル離れている↓)
 航組エンゲージ(全至近距離):航、亜紀、セイバー、ミスターB、青森


盟/良い笑顔で聖杯まで向かいます! あははうふふ世界征服ー! おいでませ黄金の日々! 薔薇色の以下略ー!(笑)
亜紀/(キャスターになって)「さあ、ボクらの夢が待っているー! 僕のエターナルラヴァー!
相馬/……なんて自分の欲求に従順な奴らなんだろうか(笑)
航/(アーチャーになって)「お父ちゃん、新居に白い犬飼おうね!
相馬/既に結婚後の話をしている!?(笑)
GM/ではまず……聖杯の近くに行く盟ちゃんから。聖杯が眠るという最終箇所まで辿り着くと、1〜2メートルの祭壇があります。
盟/デカッ!?
GM/(キャスターになって)「多分、大事なところは10センチとか30センチですよー」
盟/あー、そっかー。……で、どんな感じですか?
GM/注視して見ると……強大な霊的な力を感じる。盟ちゃんが祭壇の目の前に立つと、何かが『人の形を成そうとしているモノ』が蠢きだす。……残念ながら成していないのでどんな姿なのか判らないけど。
盟/今回我々が聖杯の優勝者だ。我々にその力を!
GM/……声ならぬ声が聞こえてきます。低くも女の声で、「マダ……足りナイ……」。
亜紀/……捧げる生贄が足りないってことですか?
航/ちゃんと収められているサーヴァントって、アサシン1体しかいないもんね。
GM/「力が足りナイ……それでも……ワタシの手を取る……?」と、まるで誰かが手を差し伸べたように言います。……少し遠くで相馬さんとアーチャーがその様子を伺います。
相馬/じっと見ています。
GM/アーチャーはビクビク震えてるね。「さすが聖杯ってヤツなのかな……なんか怖いね」
相馬/ワシもここまで恐ろしいものを見たのは初めてじゃ……。
GM/「でもこれからオレ達は生きていくんだから、アイツが願いを叶えるとこ、見守ろうね」。……そうして、亜紀と航は一旦引き返し……ミスターBと運転手をしていたオッサンが居る場所まで戻ってきます。
亜紀/お、お2人ともどうしてここに……?
GM/ミスターBが「本当によくやりましたね」と言い、オッサンが「お疲れさんお疲れさん! ここまで頑張ったなぁ!」と言います。
盟/続けて青森になって)「正直、ここまで無事に来られるとは思ってなかったぁ! よくやった、偉いなぁ!」
亜紀/し、失礼ですね……(笑) みんなと協力したからここまで来られたんです。
盟/……今、「ありがとよ!」と言いながら斬りかかるオッサンが見えた(笑)
GM/それ、採用。
盟/あ。
GM/ウズマキから日本刀を取り出したオッサンが、亜紀に斬りかかります。亜紀くん、回避判定をお願いします。
亜紀/うわっ!?
航/≪カバー≫します!
GM/では航に命中します。(ころころ)7点の霊力ダメージを受けてください。
盟/『キョウジたん』を出して……(青森になって)「ごめんなー! でもアイツに聖杯をやるワケにはいかないんだよ!」
航/あ、貴方は……テレビ局の人!?
盟/(青森になって)「いやぁ、渚さんの息子を手に掛けるのは心苦しいなぁ!」
GM/(ミスターBになって)「ここまで試練を打ち破って下さったこと、感謝しています。おかげで我々の令呪は一つも削れることなく聖杯の間まで辿り着くことができました」
亜紀/なんで……教会の人じゃないんですか!?
盟/(青森になって)「教会の『方から』来ましたー!」(一同爆笑)
亜紀/……俺を守ってくれたのは、何だったんですか?
GM/「教会に所属していたのは事実。最初は仕事だから守っただけです。……ですが、守りたかったという想いも確かにあった。しかしその私の想いを蹴ったのは貴方だ」
亜紀/う、うわぁ……。
GM/「……こんなことを告白するなんて女々しいこと、私には似合いませんね。只一つ言えるのは、今の私は貴方を守る身ではないということだ」
盟/(青森になって)「ということだ、引いてくれや!」
航/……あ、あの! 10年前の火事は、未完成の聖杯の暴走のせいなんですか? もしかしてそれを止めに来たんじゃ……?
GM/「いえ、止めに来たのは我々が願いを叶えるためです。……残念ながら私の知識を持ってしても『未完成だから暴走するか』は、様々な魔術結社の調べによっても解明することはできませんでした。聖杯が未完成でも願いを叶えてくれるかどうかは、実際願いをこめてみなければわからないのです」
盟/(青森になって)「そうそう、もしかしたら成功するかもな!」
GM/「……私は10年前に起きた事故というのは、何処ぞの心無いサーヴァントが犯した火災だと思っています。今はとにかく、聖杯の手を我々以外が取ってもらう訳にはいきません。……貴方達が聖杯の前にいる彼らの仲間だというなら、我々の敵だ」
盟/(青森になって)「そう怖い顔をすんなって! 兄ちゃん達、退いてくれるなら怪我はさせねえ。だがそれ以外のことならば……」
航/……アンタ達は、聖杯を手に入れて何をするつもりなんだ!?
盟/なにするの?
航/おおいっ!?(笑)
GM/そればっかりはプレイヤーなんだし知らなくて当然だから!(一同爆笑) 「そんなこと……敵である貴方達に教える訳ないでしょう? ただこの姿を見て……判ってください」と、ミスターBは姿を変えます。
航/わ……!?
GM/先程のスーツ姿から一変、法衣、数珠、巨大な槍を備えて……まるで何かの人形劇に出てくるような古風な格好に変身します。
航/まさか……お前がランサー!?
GM/「私の敵になった道を選んだのは貴方だ。行きますよ!」
亜紀/そんな、航を助けてくれた恩があるのに……!
GM/……さて、聖杯の前にいる盟ちゃん。後ろで何やら戦闘が始まったのに気付いてください。
盟/なにあれ!? やり合いをやっている……こんな所に来るのはサーヴァント……サーヴァントが足りないと言われた……よし、狩ってこよう!(一同笑)
GM/相馬さんも怒鳴り声を聞きます。「どうする、お父ちゃん? あ、あっちのキャスター組は戦う気満々みたいだね」
相馬/なんかワクワクしとるのぉ(笑) 正直、ワシらは傍観していたい気持ちは山々なんじゃが……いきなり現れたあやつらがワシらに害を及ぼさんとも限らん。助太刀に行くか。

【注意事項】
@PC4人が共闘しているため、NPCであるセイバー、アーチャー、キャスターの3名は戦闘に参加しない(描写的にはランサー戦に加勢しているものとする)。
A【行動値】はランサーが15、青森が14、次にPC側(亜紀→航→盟→相馬)となる。
Bランサーの目的は、聖杯に願いをこめようとしている者の殲滅。
C青森の意向により、サーヴァント以外のキャラクターが戦闘不能になってもトドメを刺さない。


GM/今回の戦闘がラウンドで区切るよ。……では1ラウンド目、セットアッププロセス。青森が≪完視≫を宣言、対象は航!
盟/わっ?

 青森は高い出目により判定を成功させ、次にランサーが≪本能の拐引≫を使用。
 PC側はセットアップ中に何も行わず、早々にメインプロセスに移行した。


GM/ランサーが航に攻撃します。≪聖者の友≫使用、命中をクリティカル扱いにします。
航/えーっ!?(笑)

 ≪聖者の友≫
 シーンに[聖職者]のクラスの人物が自身を含め3人以上いる場合、行為判定1つをダイスを振ることなくクリティカルとして扱うことができる。
 今回のシーンでは、航、ランサー、青森の3名が[聖職者]に該当するため使用できた。


航/とりあえず回避!(ころころ)……ダメ、クリティカらない!
GM/クリティカルで命中させ、ダメージに≪撃滅≫を乗せます。(ころころ)26の防御点無視ダメージ!
航/[闘士][聖職者]……俺と似たようなクラスなのになんて使えるんだ! さすが弁慶さん!(笑) 亜紀、助けて! ≪念動障壁≫に令呪を使用!
亜紀/これで令呪を3つ使用したので契約が解除されました。(ころころ)ダメージを26点軽減させて!

 亜紀のバリアーを塞いだ後、青森が≪浄化の一撃≫で航と亜紀を範囲攻撃。その攻撃を航が≪英雄の宣言≫で自分だけで受け行動済になり、またまた亜紀の≪念動障壁≫付きで庇うことに成功。

GM/(青森になって)「おー、オッサンのアストラルナイフ投げに耐えるとはやるねぇ! 若いっていいねえ!?」
亜紀/うう……≪興奮剤≫を使って回復してから、エンゲージを抜けます。

 盟は≪籠抜け≫を使用し、青森から20メートル先に移動。その後≪天空の羽≫を使用し、≪魔導書≫で青森を標的にした。

盟/腹立つのでオッサン撃ちます。
GM/(青森になって)「挨拶も無しかよ!?」(笑)
盟/挨拶代わりにドーン!(ころころ)命中24です。
GM/「マジでー!?」(ころころ)回避失敗。
盟/(ころころ)霊力ダメージ8点です。何してんだよ、ドーン!(笑)

 相馬は≪獣化≫を使用した後、ランサーのいるエンゲージまで残り22メートルのところまで移動した。
 2ラウンド目に移行し、セットアップで盟は≪魂砕≫、ランサーは≪本能の拐引≫を使用する。
 盟は≪天空の羽≫の効果により【行動値】が16になったためラウンド最初に動けることに。マイナーアクションで≪強化術式≫を使用し、再度青森を大将に選んだ。


盟/あーあー、なんでこんな所に居るんだよー!(ころころ)ダメージも高い……19点の霊力ダメージ、おうおうおう!?(笑)
航/……親戚だからホント容赦ないね(笑)
GM/次はランサーの番だな……回復役の亜紀くんを落としたいのは山々だが、先にカバー要員を潰す!

 ランサーは容赦なく航に命中させ、≪撃滅≫を乗せた2度目の大ダメージで21点を叩きだした。
 ≪念動障壁≫で持ちこたえようとするが、不運にも亜紀の出目が振るわず、ピッタリちょうど航の残り【HP】は0になり、戦闘不能になってしまった。
 その後、青森は亜紀だけを命中させようとするが、クリティカル避けされてしまう。亜紀もすかさず青森を攻撃するが、ギリギリのところを避けられてしまった。


相馬/1ラウンド全部潰して、ランサーと同じエンゲージに入ります。
GM/亜紀くんの前に相馬さんがバッと現れる。……ランサーの視線がそちらに行きますね。では、3ラウンド目のセットアップに行きましょう。
盟/≪魂砕≫を使用。……メインプロセスで≪強化術式≫を使ってオッサンを攻撃!(ころころ)命中21! うわ、オッサンごろし……霊力ダメージ24点です!
GM/(青森になって、まるで格闘ゲームのキャラのように)「うーわ、うーわ、うーわぁ……!」。青森のオッサン、倒れます。
航/よし、オッサンが倒れたからこれでランサーさんが令呪を使うことがなくなった!
盟/え……何も考えてなかったけど、やったー! 腹立ったからオッサンを倒しに行っただけだったけど、やったー!(笑)
航/盟ちゃんの本能が勝った!(一同笑)
GM/ではランサーが倒れて行く青森を見て「父上っ!?」と叫ぶ。
盟/(青森になって)「すまねぇな……正直同じシーン内に自キャラが2人いるの面倒くさいんだよ……!」(一同笑)
GM/ごめんねぇ!?(一同爆笑)

 無傷のランサーは、接近してきた相馬に防御点無視ダメージを与える。
 亜紀がすかさずダメージを軽減し、亜紀のターンになったら≪興奮剤≫で【MP】を回復し、相馬を≪清浄の使者≫で回復する。相馬は反撃を試みるが、寸前のところでランサーに避けられてしまった。
 4ラウンド目。相馬はセットアップに≪自己再生≫を使用し【HP】を回復。メインプロセスに移行し、盟が相馬にマイナーで≪強化術式≫をかけ、メジャーで『ボーナス効果:【MP】を2D6点回復』を使用した。
 ランサーは変わらず相馬に物理防御無視の大ダメージを与え、亜紀が軽減。秋のターンになったら≪興奮剤≫≪清浄の使者≫で回復、相馬が反撃……という戦闘が、2ラウンド分も繰り広げられた。


相馬/これじゃあ自転車操業だ……しかし、この調子でいけば勝てる!
航/ごめんね、車輪が一つ脱落して(笑)
GM/……では。4ラウンド、5ラウンド目が終了したので、マスターシーンが入ります。

 ――ガチャリ。
 重い教会の扉が開かれた。
 入って来るのは一人の男と、異形の獣。


盟/……あっ!?
亜紀/ここで……今回ずっと出なかったのに、藤原さんがぁ!?

 荘厳な礼拝堂の中、祭壇の前に立っていた黒須が足音に振り返る。
 中央に立つ神父に近寄って行く、獣を連れたスーツの男。
 神父は無感情に男を見る。
 男は……わなわなと震わせた口を開いた。
「いきますよ……? それで、いいんですか……!?」


亜紀/…………なにそれ。
盟/…………なに、これ!?
GM/では6ラウンド目セットアッププロセス。……ミスターBが、槍を置きます。
相馬/お……?
GM/(ミスターBになって)「……我らに勝ち目が無いと判断しました。これ以上やっても時間のムダです。ならば、潔く負けを認めましょう」
盟/……やった! 残り【MP】が危ないところだったんだよ、助かった!
GM/こっちもギリギリで、正直1ラウンドもたないと思ったので負けることにします。「私は早々と昇華されることとしましょう。では、さようなら」。……ランサーは槍を逆手に持ち、自分の胸に槍をザクリと突き刺す!
亜紀/ああっ……!?
GM/ランサーは、そのまま光になります。
相馬/……これが武の士としての境地か。
亜紀/……「また会う」って約束したのに……。
GM/ヨロヨロと青森のオッサンが立ち上がります。「うんしょっと。ハーイ、お手上げー! ホールドアーップ!」
亜紀/もう斬りかからないですか?
GM/「ああ、斬りかからないって!」
盟/とりあえず僕は聖杯のところに行ってくる! 行くぞ、弥生!
亜紀/あっ……待って! 航が『未完成のままで使うと暴発するかもしれない』って言ってたんだ!
盟/よしやろう!
相馬/リスクよりも目先の利益!?(笑)
航/相馬さんにアーチャーが飛びこんでその場でチュー! 「お父ちゃん、大丈夫ー!?」
相馬/おうおう、大丈夫じゃ。よしよしイチャイチャ(笑)
亜紀/航……どうすればいいかな。教会に行けば黒須さん治してくれるかな。
GM/じゃあそれを聞いて青森は「俺が車で教会まで走らせてやろうか?」と提案します。
亜紀/……本当ですか?
GM/「本当でーす」
亜紀/……じゃあ、お願いします。航を運んでください。
GM/航、目覚めていいよ。【HP】は0のままだから戦闘には参加できないけど意識があっていいことにします。「ほら、教会に行くぞ。黒須がすぐにそんな傷、治してくれるって!」
航/うう……。聖杯、大丈夫かな。
盟/(青森になって)「ダイジョブダイジョブー! んじゃ行くぞー!」


 ●エンディングフェイズ/February 7th Scene 2

GM/航と亜紀くん、エルはオッサンの車に乗り、教会へ向かいます。
盟/(青森になって)「いってー。やっべ、頭クラクラするかもー。カーブ曲がれっかなー?」
航/……隣でエルがオッサンの首元に剣を突き付けています(笑)
盟/(青森になって)「あははは、マジメにやりまーす。大丈夫、オッサンはゴールド免許一歩手前だから!
相馬/違反してるじゃないか!(笑)
GM/では教会に辿り着きます。航は傷だらけの体を引き摺るようにして、亜紀は精神的になりながらも教会に入ることができますよ。
亜紀/コンコンとノックして……黒須さーん。
GM/…………。無音だ。
亜紀/聞き耳を立ててみます。話し声は?
GM/無い。いつもだったらノックすればすぐ出てくるのに、今日は出てこない。
亜紀/なんか……静かすぎる?
航/嫌な感じがするんで、扉を開けます。黒須先生っ?
GM/一見、居ないように見える。
航/黒須先生ー……ヨタヨタ。
GM/ヨタヨタと礼拝堂に入っていく航。……そこで見てしまう。台座がある場所に、血だまりがあることに。
航/えっ!? く、黒須先生!?
GM/赤い血だまりの中に、黒須が凭れかかるように倒れている。
航/……先生? 黒須先生!?
GM/……ゆっくりと目を開けます。「あまり揺するな……もう、逝くから」
航/あ、だ、ダメ! ダメダメダメッ! ……亜紀、亜紀ぃ!?
亜紀/な、なに……わあ!? 黒須先生、どうしたんですか……この傷っ!?
GM/「……もう、助からん」
亜紀/……誰に!? 誰にやられたんですか!?
GM/「……悪い奴らに食べられたんだよ」
亜紀/だってここ、教会って中立ですよね!? その教会を襲う人っているんですか!?
GM/「居ない。教会で戦闘するような奴は、普通は居ない」。……倫理観に欠けたアサシンでさえ教会に入ってこなかったのに、でも今、黒須は教会の中で倒れている。
航/今回……色々イレギュラーなことが多いから?
GM/「……青森、すまないが……俺はもう助からん。誰か新しい奴を呼んで航達を癒してやってくれないか」
盟/(青森になって)「……手間掛けさせやがって。めんどくせ」
航/ま、待って……先生も治療しなきゃ。
盟/(青森になって)「無理だろ。本人も無理だと言ってる。生きる気力が無い奴には何やったって無理なんだよ」
航/…………。ねえ、黒須先生。死ぬとか、ないですよね……?
盟/(青森になって)「最期ぐらい良い言葉を囁いてやれよ。迷わず逝けるようにな」
航/む、無理だよそんなの! 何も……言葉なんて出てこないよっ! 先生、居なくならないって言ったのに……そんなぁ……!
亜紀/航、大丈夫!? しっかりして!
航/……亜紀は、いなくならないよね!? いなくならないよね、ずっと俺と一緒だよね!
亜紀/う、うん!
GM/……黒須は、眼を閉じます。君達が立つ尽くす前で無言になり……完全に黒須が動かなくなったとき、世界が白くなります。
亜紀/……わ?
GM/周りが真っ白くなっていく。『爆発などの衝撃や火災によって真っ赤になるのではなく』、まるで世界がそこで途切れるかのように、真っ白く染まっていく。まるで……リセットボタンを押されたかのように。

 ……それと同時刻。
 遺跡に留まった盟や相馬は……。


GM/盟ちゃんはキャスターと共に聖杯の祭壇のもとに戻っています。(キャスターになって)「やったー! 封印が1つ増えてるっぽいー! 聖杯サマも機嫌良さそうだよー!」
盟/やったー、これでイケるかもー!
GM/「じゃ、手……取っちゃいましょう!」
盟/取るよ! はーい、ウィナー!
GM/今回の聖杯戦争、貴方が優勝者です。では、3D6を振ってその出目を教えてください。
盟/どきどき!(ころころ)……6・6・4です。
GM/「うわあ、体の中に魔力がこもってくるねー!」
盟/うわー! すげー!
GM/君自身に何者か、女性っぽい声が聞こえてくるね。まるで体にしみ込んでくるかにように……「アナタの願いは何……?」。
盟/……『魔術師が表立って管理する社会』!
GM/そうハッキリと述べた瞬間、世界が真っ白くなる。「――判りました、そのせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」



 ANOTHER WORLD
  「 DROWNING/phantasmagoria 」

 Third Loop 『 ...Cloudiness world... 』




    ◆



GM/――亜紀くん、今日は2月1日です。バイト終わったし帰るか。
亜紀/ハンドクリームぬりぬり。帰ろう帰ろう! 早くあったかい所に行きたいなぁ! てくてく。
GM/ろりん。
亜紀/あれぇ、こんな時間にお嬢ちゃん……?
GM/「貴方、生きたい? 死にたい?」
亜紀/えっと……。順風満帆だから今のところ死にたいようなことはないなぁ?
GM/「でしょうね。頑張ってね」
亜紀/あ、はい……?
GM/「まーたあの子ったら『生きたい』を選んだわね。と言っても、『まだ4回目』なんだけどね!」……ロリは闇の中に消えて行きます。
亜紀/うんっ!? とりあえず寒いし、早く帰ろうか……。
GM/ぐあぁっ!?
亜紀/ううっ!?
GM/前方から男性がヨタヨタと近寄って来て、亜紀くんの前でバタンと倒れる。
亜紀/だ、だ、大丈夫ですか!? 抱え起こそうとするけど……。
GM/「キミ……逃げろ!」。そのとき……近くでカキンカキンという剣劇の音がする。
亜紀/しゅぱーん……前髪が切られました。誰、なに、何の戦い!?
GM/では【知覚】をしてください。……ぶっちゃけて言いますと、『エルと真セイバーが戦っている姿』を見られるかどうかの判定です。
亜紀/(ころころ)8です。
GM/それだと……フルアーマーフルメットの騎士姿の人と、目が逢ってしまいます。
亜紀/ち、チラッ。
GM/チラッ。……首根っこをムンズっと掴んで、拉致っ!
亜紀/ええええー!?(笑) なにこれ、攫われた!? ちょ、助けてぇー!
GM/「黙って! あのひと危ないからぁ!」……鎧の中から男の人が叫んだ。
亜紀/あ……いいひとだ。
GM/戦っている人から逃げて、2人で茂みに隠れます。「はあはあ……!」と頭から足先まで鎧姿の男が息を切らせてます。
亜紀/と、とりあえず何が……。
GM/「シィッ! シィ! シィ!」ガタガタガタガタガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!
盟/お前がガタガタしてるから鎧がガチャガチャいってるんだよ!(笑)
亜紀/小声で……。ど、どうされたんですか?
GM/「マジあのひと危ないと思ったから! 危なかっただろぉ!?」
亜紀/はい、前髪がちょっと切れましたね。
GM/ごめんね! 超ごめんね! マジごめんね!
亜紀/このひと、絶対いいひとだ!(笑) あの、危ないって……今、何が起こってるんですか?
GM/「えっ、聖杯戦争とか判んない人!?」
亜紀/今オンシーズンなんですか!?(笑)
GM/「とりあえず黙って! 多分この辺りに隠れていれば3日ぐらい見つからないと思うからっ!」
亜紀/≪神域の耳≫で追いかけてる人がいないか聞いてみます。
GM/……何者かが、うろうろと誰かを探しているようだよ。物凄い勢いで探そうとしているのが判ります。
亜紀/……足音が近付いてきますね。
GM/カタカタカタカタカタカタカタカタカタ。
亜紀/そんな音立ててるから見付かるんですよ!(笑) とにかくここから逃げましょ!
GM/「逃げる場所ってワカンネー!」
亜紀/ウチで良ければ来てください!
GM/「どんなトコだよ!?」
亜紀/魔術師の家です! 助けてくれましたし、今度は俺が助けます!
GM/「行っていいかな!? 行くぜ!」ガタガタガタガチャガチャガチャ!
亜紀/一時的にでもその音のする鎧を脱ぎませんか!?(笑)
GM/「それダメじゃね!? オレ、鎧キャラだし!
亜紀/いやでも音がガシャガシャいってるからエルに殺されるんですよ、きっと!(笑)
GM/「しょーがねーな……」。ぱさっっと兜を外します。兜の下に見えた顔は、どうやら君と同い年ぐらいの男の子のようですね。全身フルアーマーをウズマキにポイッ!
亜紀/時空鞘に放り投げましたね(笑)
GM/これでオレは一発斬られただけで死ぬぞー! 防御点全無視だぁー!
亜紀/ば、バレなきゃ大丈夫ですよ!(笑)
GM/しかし、鎧は全部外したけど護身用にと2メートルほどの長剣は手にしたままです。
亜紀/長っ!? ちゃんと隠してくださいよ!
GM/亜紀くんに庇われながら、なんとかして元鎧男は早乙女家に逃げ込むことができたのでした。「マジありがと、助かった!」
亜紀/貴方は……一体?
GM/「詳しくは…………次のループでな!」(一同爆笑)

    ◆

GM/……という訳で、次回『第4ループ』から『新しい扉』を開くことができるようになります。エルが真セイバーがいることを告白したので、新ルートを開拓できました。
相馬/おお、新キャラですね。
盟/鎧の男……超気になる!
GM/ですが、オープニングで『新しい扉を開かない』を選択すれば、今まで通りの展開でループを始めることができます。……まさかこんなに早く真セイバーが解禁されるとは思わなかったので、GMはまだ『新しい扉』を開くことをオススメしません(笑)
航/もう暫く真セイバーには眠っておいてもらった方がいいかもしれないな。……それにしても、『ドロリア』界最大の不憫キャラが出たなぁ(笑)
GM/一応鎧男の呼び方は『真セイバー』、もしくは『新セイバー(エルが旧セイバーなので)』という呼称でいくよ。
航/じゃ、とりあえず仮名は『あらたさん』ですね!(笑)




to be continue...