アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンダフルワールド
■ 『 バッドルイド 2 』 3ページ ■
2011年12月21日




 ●ミドルフェイズ2/ヒロイン 〜樫村美砂〜

GM/若本全長38メートルの話は置いておいて、本題に……。
アクセン/なんで少し縮んだ!? そもそも何故伸び縮みするんだ!?
まりさ/散々ネタにしてきたお前がツッコんでんじゃねーよ!(笑)
GM/これからやっていくシーンは、ヒロインパートだ。どのヒロインのロールをするか決定してくれ。
アクセン/了解。(4面体をころころ)2だから、『アナザーイブ』の美砂のシーンだな。
まりさ/おっ、美雲ちゃんの妹キタ!
アクセン→美砂/よーし、デレデレ地獄にするぞ〜!
GM/一度状況を整理しておこう。ここは教会の礼拝堂だ。礼拝堂に居るのはまりさ、千歳、美砂、祭、美月、それと赤毛の男の6人。突然まりさが倒れたことで5人は慌てていたが、倒れてから目を覚ますまでの時間は10秒ぐらいだ。
まりさ/一瞬だけ死んでたのか……。ルージィルと話していたあの長話も、たった10秒のシーンだったんだな。
美砂/10秒でもいきなり女の子がバタンって倒れたらビックリするよ! 大丈夫なの平気なのって心配しちゃうよ〜……。
まりさ/顔からベシャって転んでそうだけど、これぐらい大したことないって強がるよ。
GM/それから1分後。一瞬の騒ぎが落ち着こうとしていたとき、礼拝堂の奥にある扉が開く。そこから出てきたのは、騒ぎなんて全然知らない高坂だ。書類を持ってやって来るぞ。
美砂/高坂さんは女の子達がアワアワしてるところを見たら、キョトンとしちゃうんじゃない?
GM/だな。(高坂になって)「うん? どうしたんだ、何かあったのかい?」
美砂/りっちゃんが貧血で倒れて!
まりさ/りっちゃん!?
GM/りっちゃん!? そのセンス、良し!
まりさ/勝手に美砂が「変なアダ名を付けるキャラ」になってますよ、『アナザーイブ』の皆さん……(笑)
美砂/『アナザーイブ』はミックミクでルッカルカでフォイフォフォーイの、愛称が輝く卓だったからね。でも美砂は知ってる、一番輝いていたのはゆーくんだったよ……!
まりさ/それ絶対、恋人目線だよな。過剰演出だよな(笑)
GM/本題に入る前に。……今回のシナリオではヒロイン達が「とある事情」を抱えて教会の手伝いをし始めたことになっている。千歳さんの場合は「自分の成長のために家族である皆から離れたところで修行」という理由だったけど、美砂さんはどうなる?
美砂/美砂も似たような理由です。一言で言えば「修行」。しかし千歳よりノリノリです。
まりさ/ノリノリ?
美砂/『アナザーイブ』のラスボス・スコットに憑依されてしまったことで能力者になってしまった美砂は、その事件をキッカケに裏社会のことを知りました。そして恋人やお姉ちゃんがバイトで化け物と戦っていることを知ってしまいました。
まりさ/バイトで……確かに(笑)
美砂/大好きな恋人や尊敬するお姉ちゃんが、だよ。か弱い美砂にとっては憧れの存在である2人が、人々を守るバイトをしているんだよ。尊敬値がカンストするよね。
GM/尊敬値という未知のステータスが誕生した(笑)
美砂/自分を守ってくれるカッコイイ恋人のことは更に好きになっちゃう。同時に、双子のお姉ちゃんのことを想うと複雑になってしまいました。
まりさ/複雑?
美砂/双子の姉である美雲は、自分より強い。それは姉という立場、明るい性格においても。加えて能力者というスーパーウーマンだったと知る。しかもそれは恋人と同じステージに立っているではないか。そこで美砂は思う。「(両手で口を抑えながら)うわっ、私の魅力低すぎ!?」(一同笑)
GM/それで教会のエージェントになろうと?
美砂/「お姉ちゃんと同じになる! お姉ちゃんが出来るならわたしだって! でもって女子力アップしたところをゆーくんに褒めてもらうんだえへへ!」作戦です。自分だって出来る筈だってエッヘンしてる美砂ちゃんが、何が得意なのか全然知らないが……。確かクラスは[世界遣い]だったけど。
GM/データを見る?(バラッとキャラクターシートの束を見る)
美砂/え、あるの?
まりさ/……うわ!? ちゃんと4人分キャラシがある!

 ここで唐突だが、ヒロイン4人のデータを簡潔に公開しよう。
 4人のキャラクターレベルは3。全員初期レベルメイキングである。


 ▼ラブアゲインPC:矢島 祭
 クラス[感応力師1/異端者2]
 所持特技は、≪思念の刃≫ ≪瞬足≫ ≪アンドショック≫ ≪異常鉱物≫ ≪麗しき犠牲の盾≫ ≪器の支配≫ ≪魔印≫

 ▼アナザーイブPC:樫村 美砂
 クラス[世界遣い3]
 所持特技は、≪落下する光≫ ≪歪んだ奇跡≫ ≪因果の蝶≫ ≪リバース≫ ≪圧縮された世界≫ ≪いつものアレ≫ ≪マイヒーロー≫

 ▼サークルビショップPC:伊賀崎 千歳
 クラス[魔術師1/聖職者1/世界遣い1]
 所持特技は、≪落下する光≫ ≪幻想式≫ ≪仮初の創造主≫ ≪特権階級≫ ≪心霊医学知識≫ ≪禍福のさざなみ≫ ≪特殊増強剤≫

 ▼デイズPC:堤 美月
 クラス[狂戦士1/霊媒師2]
 所持特技は、≪蒼の衝撃≫ ≪失われた日々≫ ≪特攻≫ ≪狂舞≫ ≪魂装支援≫ ≪降霊術≫ ≪風霊操作≫

美砂/うわー、シナリオ内で使っていた特技や持ってそうな演出がちゃんと入ってるー……。
まりさ/……なあ。このパーティー、アクセンを含めて[世界遣い]の無差別攻撃が6人中3人もいるんだが(笑)
GM/だって美砂さんは作中で≪リバース≫を使用してるから[世界遣い]レベル3は確定なんだよ、[世界遣い]から【スキルウェポン】を取るしかねーだろ。千歳さんも「お母様譲りの≪落下する光≫」って言ってるから……。
美砂/フィギュアスケートをやっていた設定の祭ちゃんが≪瞬足≫を持っているのは良いなぁ! 美月ちゃんは前線タイプの[霊媒師]か。演出重視とはいえ、結構頼りになる。
GM/で、肝心の美砂は。
美砂/えーと……正直、ぱっとしない(笑) 火力も無いし支援系でもない、[世界遣い]の「単体だと微妙に使えない」特技を取ってる。同じ攻撃方法の千歳お嬢様は、判定値上げ、ダメージ上げ、達成値上げの3種類揃えて超使える子だから余計に……美砂ちゃんはお姫様感がする。
まりさ/今、凄く言葉を選んだろ(笑)
美砂/千歳お嬢様は優秀な執事やメイド達によって教育を受けてるしね、シナリオ中でもヒント役としてのコネクションだったから今すぐ1人で活動させても使えるぐらいだ。でも美砂ちゃんは、やる気はあるけど空回ってる……って感じかなぁ? 大体≪いつものアレ≫って何だ(笑)
まりさ/説明文には「心を落ち着ける自分専用のアイテム」ってあるけど。
GM/同人誌じゃね?
美砂/持ち歩かないよ! ケータイの画像ボックスにはいっぱい保存してるけどね!
まりさ/何を!?(笑)
美砂/美砂ちゃんは『スカーレット』だとルイス×レスター、『ドロリア』だとミスターB×亜紀派でした!
まりさ/なんか判るぞ!?
GM/でも『夢魔』では頼朝好きでした。
まりさ/なんか判んねーぞ!?
GM/美砂は無愛想で寡黙で強面の男が好きなんだよ。
まりさ/なんでゆーくんを好きになった。
美砂/(目をカッと見開いて)二次元と三次元のシュミを同じにしないでくれる!?
まりさ/ごめんなさいっ!?(笑) 特技公開とか性癖公開じゃなくて! ヒロインの導入シーンだよ、今は!
美砂/おっとそうだった。……さっきGMが「美砂はロリータ入ってる」と言ったけど美砂は絶対axesとか着そう。偽装できる程度のロリ服を買ってそう。お姉ちゃんと福袋で。
まりさ/偽装て。完全に美砂のイメージが801ちゃんになってしまった……(笑)
美砂/そんな結構フリーダム女子大生美砂ちゃんは、りっちゃんが大丈夫だと言ったのを信じて安心し、上司の高坂さん登場でテンションが上がって仕事モードになりますよ。キリッ。
まりさ/精一杯の「キリッ」だな(笑)
美砂/キャラクターレベル8になるだろうお姉ちゃん達にはまだまだ到底敵わないけど、せめてレベル3エージェントとして頑張るよ! 異端がいたら倒すし、今問題になっている事件も解決してみせるよ! 凄くやる気です。
GM/高坂はまず、美砂達ヒロイン4人に向かって話し始める。まりさと赤毛はひとまず置いて、4人に向けて口を開くね。
美砂/はいっ!
GM/(高坂になって)「君達には暫くお暇を出す」
美砂/えっ。
まりさ/突然のズコー!?
美砂/えっ、えっ。どうしてですって尋ねますよ。一番に!
GM/「逃亡犯が逃げたまま、まだ捕まっていない。それどころか千歳ちゃんが、その逃亡犯に怪我を負わされた。彼女の家の人達にも被害が出ている」
美砂/それを聞いた隣の千歳お嬢様は、少し暗い顔をする。自分が怪我を負ったせいで、屋敷のみんなに酷いことをさせてしまったという自覚があるから。……その表情の変化を、美砂は見ます。
GM/「それに、君達はアリス=ブロッサムズと接触した。千歳ちゃんにあんなことがあった後、次に何かあるとしたら……」と高坂は言って、千歳以外の3人を見る。
美砂/わたし達に何かあるかもしれない……と? だから自宅待機しろと?
GM/自宅待機とは言わない。インフルエンザのような隔離しなきゃいけないものじゃないから。けど、教会の活動はやめろと言われる。今後はなるべく1人にならないようにとも忠告もされる。……実質、騒ぎが収まるまで大人しくしてろと言われたようなもんだ。
美砂/えっと……そりゃ、今までの展開からして判るんですけど……。
まりさ/ちなみに、それを言われて美砂以外の他の3人はどんな反応だ?
美砂/千歳お嬢様は既に被害に遭っているから納得顔だね。納得というか、怖かった経験を思い出してちょっとだけ肩を震わせてる。
GM/千歳さんはもう怖い目に遭ってるんだもんな、忠告はちゃんと受けるだろ。
美砂/祭ちゃんは千歳お嬢様に「大丈夫だよ」って肩を撫でて安心させてる。そんな祭ちゃん自身は、最年長だし大人で物判りの良い子だから「自分達よりずっと状況が判っている高坂さんがそう言ってるんだ、従おう」という顔。自分の身が危険になって、他の人に迷惑を掛けたら困るもの。祭ちゃんも、他人に迷惑を掛けた経験があって反省してる子だし。
GM/ふむふむ。
美砂/美月ちゃんは……ちょっと違うかな。
まりさ/違うんだ?
美砂/「教会の為に働けないの? 無力だから何もするなって……?」と、不満というか、自分が何も出来ないことを痛感してショックを受けてる顔。美月ちゃんも美月ちゃんの理由で動いているから、それなのに……って、今にも何か発言しそう。シャイな性格だし彼女のシーンじゃないので口にはしないけど。美砂も美月ちゃん寄りだ。
GM/なるほど。高坂は「今度の土曜日、集落センターで小学生対象の和菓子作り教室があるんだ。それの先生役にみんな来てくれないかな?」と、裏社会の教会とは全く関係無いような仕事を提案する。
美砂/そ、それはそれでやりますけどー……。
GM/以後、高坂は能力者やアリス=ブロッサムの話は全然しない。しようとしても、「それよりも」と表向きのボランティア活動の方を推してくる。「これも立派な教会の仕事」と付け足しながらね。
美砂/ぐぬぬ。
GM/美砂達ヒロイン4人に配られた書類は、その和菓子作り教室や、年配の人対象の手作り楽器講習会のお手伝いについての詳細。あと大学生である美砂と祭には、受験生相手に特別講師をやらないかというチラシも配られる。
まりさ/普通にバイト募集じゃないか、教会(笑)
美砂/教会は地域密着型ボランティア組織なので、こういった細々した活動で信頼ゲットや地道な資金確保をしてたりするんだよ……的屋で稼いでるぐらいだし。何せ異端関連の事件のとき、「依頼人からの金を一切取らない」「活動するエージェントには報酬を出す」善人の太っ腹組織だからね。
まりさ/ホント、よく経営が成り立ってるな……。
GM/教会は寄付で成り立ってるからな。どっかの国の有名秘密結社みたいに、政治家や大金持ちに投資されてるから続いてられるようなもんだし。でも、これでも節約経営になったんだ。昔はもっと大口の支援者がいたけど、今はそこがいなくなったから。
美砂/……まあ、それはともかく。チラシを受け取って、話は終了かな?
GM/うん。4人は高坂に「解散!」と言われてしまう。さて、まりさ達の方に向く高坂だが。
まりさ/今度はあたし達に話をする番か。
GM/「まりさちゃん。君は……アリス=ブロッサムズとは友達だったね?」
まりさ/ああ。……親友だったよ。
GM/「アリスが行きそうな場所に検討は無いのかい?」
まりさ/あるのかな?
GM/ある。あそこじゃないかって思いつく。ゲーム的に言うなら、「まりさは他のキャラクターが持っていないイベントキーを所持しているので、情報収集の際に有利になる」。
美砂/わっ、スゴーイ!
まりさ/具体的に凄い理由が出た! 高坂には素直に心当たりがあると言う。でも口頭で説明したんじゃイベントキー譲渡ができず……。ああっ、説明がややこしいな、あたしが直接アリスを迎えに行くよ! それでいいんだろ……って言う!
GM/うん、理想的な流れだ。「アリスに最も近いのは君だった。君を頼りにするよ。……だけど」 高坂は、少しだけ言い渋る。
まりさ/どうした?
GM/高坂の顔色を見たなら【意志】判定、難易度6。
まりさ/簡単な判定だな?(ころころ)11で成功。
美砂/美砂も振ってみていい?(ころころ)10で成功だよ。
GM/まりさと美砂の2人には、高坂は声に出さないけど心の中でこう思っているのが判った。「……『親友』というのが怖いな。まりさちゃんは情に弱いし、アリスを逃がすことになったら……まだ若いから変な行動をするかもしれないし」
美砂/た、高坂さん……。
GM/でもそれと同時に、「まりさちゃんは正義感が強い。きっと悪いことをした子を捕まえてくる」と信用し、「頼んだよ」と言ってくる。
美砂/高坂さん……顔に出過ぎだよ(笑)
まりさ/信用されてるけど、本当に信頼されてるかは微妙ってことだな。
GM/高坂はまりさに「現状まとめてあるアリスの情報」を全て渡す。アリスが人形師であること、2年前に事件を起こしたこと、そして伊賀崎家で起きたときの事件の全容とそのときの戦闘データ全てだ。現段階で掲示されている情報は全部渡したと言っていい。
まりさ/すぐに資料を捲って目新しい情報は無いか探すけど……。
GM/ぺらぺら捲っただけじゃ判らないぐらい資料は多い。少し時間を掛けて読まないとダメだ。
まりさ/ちゃんと情報シーンを立ててからってことだな。じゃあ……資料の中に絶対あるだろうアリスの顔写真を見て、ぐっと辛そうな顔をしておきます。なんでこんなことをしてるんだよって言いそうな顔で。
GM/高坂は「俺は違う仕事に行くよ。他のエージェント達に追加情報を渡してやらないとね」と言って、去って行く。残されたのはPC達だ。
美砂/……そこに話し掛けていいかな?
まりさ/話し掛けるんだ?
美砂/まりさは14歳だよね? 自分より明らかに年下の女の子なのに、高坂さんは「頼んだよ」と言ってた。わたし達には帰れーって言ったようなものなのに、14歳のまりさちゃんにはそう言うんだ……という目をしてます。
まりさ/お、そう来るか。
GM/なんせ、まりさはキャラクターレベル15の能力者だからな。この辺りじゃ物凄い評判の良いエージェントだからな。
まりさ/半分までレベルが減ってるけどね! 高坂、気付いてないだけで!(笑)
美砂/このゲームの成長って身体的な熟練度じゃなくて、「魂の成長」が基本だからね……。「肉体を鍛えてるから大剣が使える」じゃなく、「[闘士]としての経験が多いから[闘士]レベルが高い」だもの。じゃないと「レベルが高いまま年齢を逆行させる」タイムスリップセッションができないからなんだけど(笑)
まりさ/よって外見ではレベルが減ったかどうかなんて判らない! まりさは昨日までレベル15として生きてたから周囲もレベル15だと思ってる! ……いっそ「腕が1本無くなった」みたいな判りやすいレベルダウンなら気遣ってもらえるんだろうけど、このままだと……。
美砂/みんなからレベル15だと思われて、危険な任務に連れて行かれるね(笑) で、美砂の話し掛け方は……。りっちゃんは、大丈夫なの? 
まりさ/大丈夫だってさっきから言ってるよ。あたしは強いから平気だって、心配しないでいいよ! ……と、ついついレベル15の調子で言う。これはそのうち強がりで死ぬ!(笑)
美砂/りっちゃん、そのままだと背負わなくていい苦労も背負うよ!(笑) ……わたしに出来ることって無いかな?
まりさ/出来ること? 手伝ってくれるのか?
美砂/手伝うなって、なるべく大人しくしてろって言われたけど、でもわたしは「今のアリスちゃん」の姿をつい数日前に見た訳だし……! ほら、わたしを囮にするとか!
まりさ/ば、ばかっ! そんなことできるか!
美砂/使えると思うんだけどな? わたしだって誰かの為になれるんだよ! お姉ちゃんほど心強くはないけどさ! さあ、盾として使おうよ!
まりさ/そんな手段、誰が使うか! 高坂が言ってた通り、なるべく1人にならないようにしなよ。何が起きるか判らないんだから……。
美砂/でも! お、囮じゃなくたって……りっちゃんのサポートが出来るかもしれないからお買い得だよ!
まりさ/サポートって何をしてくれるの。
美砂/メロンパン買ってくる!
まりさ/あたしがパシリさせるようなキャラか!?(笑)
美砂/夕張メロンパンでもいいよ?
まりさ/ランク上がって美味しいけどいらないよ!(笑)
美砂/えっ、ちーちゃんメロンパン食べたことないの!? あ! チョコチップメロンパンでいいなら今持ってるから食べなよ! やだちーちゃんたらメロンパンをちぎって食べてる! お嬢様だー! メロンパンだからボロボロ落ちて大変だよ! かわいいーっ!
まりさ/お前、美砂ロール楽しそうだな!?(笑)
GM/きっと祭が、千歳の口を拭いてやってるよ……(笑)
美砂/ま、祭ちゃんがお姉さんだー! ツキちゃんはメロンパンは食べたことあるよね? え、メロンならいつも病室にあった? やだーこの子もお嬢様だー! 祭ちゃんもフィギュアスケートやってるぐらいだから絶対お嬢様だー! やだ私のバイト年収低すぎ!? ゆーくんとデートしたいから頑張ってるのー! 待っててゆーくん! ゆーくんが輝いてるのはわたし知ってるからー!
まりさ/美砂、ゲームに戻ってこいッ!
美砂/(物凄く真面目な顔で)ゆーくんカッコイイんだよ?
まりさ/中の人がピロさんだし知ってるよ! 羨ましいな、なちこさんの妹で!(一同笑) それにパン買い出しだったらそこの赤毛にやらせるわ!
GM/その赤毛は、高坂が女の子達に話している間は邪魔にならないように壁際に居た。
まりさ/……ん?
GM/単に、キャラクターが多くなるから高坂の会話シーンから除外させてただけだ。位置を離して会話に参加しないようにしてた。
美砂/あ、そっか。このシーンだとアクセンはNPCだもんね。
GM/まりさと美砂が視線を向けると、彼は壁に背を凭れて腕組みをしている。高坂の話も、まりさと美砂の会話も全部聞いていたらしい。時々顎に手を当てて、考え事をしているポーズを取る。眼鏡の下の目は鋭く、何か思考を巡らせている。
まりさ/メガネ?
GM/アクセンは研究者っぽいことをするとき、眼鏡を掛ける。
美砂/あの人、形から入るタイプね。
GM/ご本人もそう言っている(笑) ちなみに高坂はアクセンが「協力者である」ってことを、ときわから聞かされている。ときわと高坂は教会に関与する者同士、親密な関係だ。なのでこの場にアクセンが居ることに何のお咎めもない。
美砂/そうだ。ヒロイン達とアクセンの関係はどういうのなの? しかも美砂は……アクセンに一度会ったことあるんだった。
GM/まず美砂は【意志】判定をしてくれ。この判定は4人分の判定とする。美砂が代表として振り、もし成功したら全員成功したという描写になる。なお、これはGMとの対抗ロールだ。
美砂/GMと勝負するの?(ころころ)12だけど……?
GM/(ころころ)こちらは13。では美砂はこう思った。「あの男性、前に一緒にゴミ拾いをしたことがある。話も何回もしたことがある」
美砂/あっ、ボランティア活動で一緒になったことがあるんだ!
GM/「大柄だし年上の男性だし外国人だから最初は怖かった。でも女の子達と混じって話をしたこともある。だから高坂さんはここに彼が居ることを認めてたんだ」と、協力者かどうかを知らなくてもアクセンが礼拝堂にいてもおかしくないと確信する。
美砂/ふむふむ。この結果は、他の3人のヒロイン達にも適応される……と。
GM/では次に、突発的にオープニングで「美砂がアクセンに会ったことがある」という設定が生まれたから、美砂だけに「とあるボーナス」をしよう。ただしこれは【意志】判定でマイナス2のペナルティ付きだ。
美砂/おお、ボーナス判定……でもペナルティ付きなんだ。なんだろ?(ころころ)達成値はマイナス2をして……8です。
GM/(ころころ)12で成功。美砂はこう思う。「以前、慌てているときに助けてくれた人だよね? しかもまりさや高坂の知り合い? 信頼できる男性だなあ!」
美砂/……な、なんだこの結果。どういうこと?
GM/ただそう思ったってだけだよ。……もし最初の判定に失敗してたら、GMは何て言ったと思う?
美砂/え? なんだろ……? もしGMの達成値を上回っていたら……「一緒にゴミ拾いしてたのに覚えてなかった。自己紹介からまたやり直さなきゃ」かな。
まりさ/「思い出し判定」は、大体【理知】か【意志】だしな。
GM/そう思っておくといいんじゃないかな。美砂は無事「昔に会ってた」って思い出したけど。では壁に背を凭れて考え事をしていたアクセンが、美砂に声を掛ける。「……君は何が出来る?」 その声は重く、威圧感のあるものだ。
美砂/えっ!? あ、はい!?
GM/口元には笑みが無く、美砂を問い詰めるように言う。「君は何が出来るというのだね? 私には何も出来ないお嬢さんにしか見えんよ。高坂も口にしなかっただけでそう思っていただろう」
美砂/ぐさっ。
GM/ぐさっと言います。
美砂/み、身の程を知れって言うんですか……!
GM/「自分の持っている力がどのようなものか判らない訳ではなかろう? 無力かどうか自覚はあるのか、君はお荷物なのかそうでないのか。どっちなんだ」
美砂/じ、自覚はありますよ。邪魔になるかもしれないっていうことぐらいは判りますけど……!
GM/「自覚がある? 自分は邪魔になると宣言しておいて、迷惑を掛けるためにまりさに声を掛けたと? 自己満足、自分勝手、そう言われても仕方ない。困ったお嬢さんだな」
美砂/ぐぬぬ! ……でも、できますもん……やれること探しますもん。
GM/「それで搾り出したアピールポイントが、メロンパンだったか? それもとても魅力的ではあるが……」 嫌味ったらしく皮肉屋っぽく、フッと笑うよ。「お姫様はお城で戦士達の帰りを待ってあげることが、一番の仕事じゃないのか」
美砂/あ、あうっ。
まりさ/アクセンを殴る。痛くないように冗談めいたパンチ。
GM/では、痛くないパンチに痛くないのに「痛いぞ」と言う。
まりさ/あたしが何も言わなくても伝わるよな。
GM/「そう怖い顔をするな」
まりさ/怖い顔をさせたのはお前だ。さっさと本音を言えよ。
GM/「……『わたしだって誰かの為になれるんだよ』か。素晴らしい言葉だ。その言葉が君を守る戦士達に伝わるといいな。勇敢になりたいお姫様?」 そう言って、彼は馬鹿にしたような目から一転、ニッコリ笑う。
美砂/あ……えっと。わたしを挑発したんですか……?
GM/「正直、私は君に帰ってほしくて言った。だが『誰かを救う』という純粋な気持ちで協力したいと申し出てくれたんだ。……まりさ、良いんじゃないか?」 笑いながらまりさを『全員同行させるよう、説得にかかるよ』。
まりさ/くっ、あたしを説得するような描写にしやがった……仲介役になりやがって(笑) そんなこと言われたんじゃ、仕方ないなって言うよ。顔をぷんとあっちに向けながら、美砂に握手します。
美砂/あ、握手してくれるんだね!
まりさ/メロンパン買ってこさせるぐらいだけどな! 自分より弱い人を盾にするなんてしないから! 無茶するんじゃないよ?
美砂/ありがとりっちゃん〜! ぎゅーって抱きつく〜! オタクにはありがちなスキンシップの激しい女子大生ノリ〜!
まりさ/最後の一文いらない!(笑)
GM/ゲーム進行上、高坂から「自重しろ」とは言われてもヒロイン4人はPCに協力しなきゃだからこんな感じにしたけど……美砂以外の3人も同行でOKだよね?
美砂/美月は真っ先に「ワタシもお手伝いします!」と言う。千歳も「私もエリスさんがどうしてあんなことをしたのか気になります」と言い出すし、祭も「協力できることは少ないけど、何でもやるよ」って言うね。
GM/よし、じゃあ6人が協力し合う手順になったのでシーンを終了しようか。全員が笑顔で「頑張ろう」と言い始めたところで……。
美砂/ふう、どうしてもヒロインの自己紹介も兼ねてだから長くなっちゃったけど、楽しいなぁ! 美砂は「ゆーくんと一緒にいるためにはどうしたらいいか!」を真っ先に考え、「お姉ちゃんみたいになってみせる!」と変身願望がある女の子でした!
まりさ/2人のこと、大好きで仕方ないんだな。
美砂/あと、GMのするアクセンロールが腹が立って……好きだ(笑)
GM/僕のアクセンのイメージは正直者の馬鹿というより、純粋すぎて捻くれてる人という方が印象強いから。最後に……ヒロイン4人にイベントキーを配布。千歳のときはオープニングフェイズだったから渡さなかったけど、ミドルフェイズに突入したから、条件が揃い次第イベントキーを渡すぞ。
美砂/はーい。何だろ?

 『イベントキー:世界滅亡ポイント2D6』ゲット。

まりさ/……え?
美砂/……え?
GM/はい。美砂は2D6を振って。
美砂/えええ!?(ころころ)3! 3でした! 出目が1・2で、たった3ですよ!
GM/世界滅亡の可能性が3点上昇しました。
まりさ美砂/えええええ!?


 ●ミドルフェイズ3/アクセン 〜復活〜

美砂→アクセン/世界が……3点滅亡したよ(笑)
まりさ/これって、アレか……一定数に達したら世界滅亡するシナリオなのか?
GM/それはどうだか判らない。さて、次はアクセンのシーンだが……少し時間が逆行する。まだ伊賀崎万里の誕生日が来る前。杜谷柚弦がクリスマスデートに行く前。去年12月18日。
アクセン/だいぶ時間が巻き戻ったな。確かときわとレストランで話したのが、いつだったかな……?
GM/11月19日の金曜日。ちなみに12月19日の夕方頃、『アナザーイブ』のクライマックスフェイズが終了する。『アナザーイブ』で言うところの情報収集2日目だ。
アクセン/じゃあ……ちょうど1ヶ月経ったときじゃないか。ときわ殿には『異端刑務所の不祥事について』調べるように頼まれたんだったな?
GM/早速だけど『AF判定』をします。

 『AF判定:調査「異端刑務所の不祥事」』
  ・使用能力値:【理知】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:1ラウンド

※判定目的は、「異端刑務所の不祥事について調べよ」。この判定に成功すれば、教会で起こった事件についての情報が手に入る。
※判定を行なえるのは、アクセンのみ。
※このときのAF判定は現在のキャラクターデータだけではなく、前回のセッション『バッドルイド』でアクセンが所持していた特技を使用してもよい。追加できる特技は、≪特権階級≫≪+50天真爛漫≫の2つ。


GM/まりさが単独AF判定をしたんだから、アクセンも1人で判定するべきだよな?
アクセン/うんうん、公平なバランスだと思うよ……ちゃんと使用特技が増えるボーナス付きだし。
まりさ/1ヶ月の間に調べきることができたかっていう演出になるんだな? まりさが1人で『難易度50』をクリアーしたんだ、きっと大丈夫だ! ファンブらなければ!
アクセン/私には≪リライト≫があるから、まりさのようにはならない。
まりさ/コノヤロウ! いっそファンブりやがれ!(笑)
GM/レベル差があるからちゃんと『難易度30』まで落としたしきっと成功できるだろ、ファンブルさえ出なければ。
アクセン/おい、コツコツ死亡フラグを立てるんじゃない(笑)
GM/では一発限りのAF判定、スタート。
アクセン/まず、≪偽りの太陽≫でごく普通に人間らしくコンビニに入ります。
GM/ふぁみふぁみふぁみーまふぁみふぁみまー。いらっしゃいませー。
アクセン/アンパンとコーヒー牛乳を買おうとします。捜査にはこの2つが必要だと本で読んだので≪物品調達≫
GM/どちらも普通にコンビニに置いてあるよ。
アクセン/だが、私の求めているアンパンはなかなかコンビニには置いていない高級品。そこで≪君に幸あれ≫≪禍福のさざなみ≫。これは【幸運】達成値24以上が出なければ手に入ってなかっただろう。なんと運良く1つだけ高級アンパンは残っていた。私はなんて幸福なんだ。
GM/市民、貴方は幸福ですか?
アクセン/はい、幸福は義務です! そのとき、私はとある少女とぶつかった。彼女の名は、傘畑若菜。
まりさ/あ、『デイズ』の若菜ちゃんだ。
アクセン/彼女は私に尋ねる。「それ、美味しいの?」「食べると幸福になるぞ」「なにそのブレインハレルヤ! こわい! 食べてみたい!」
まりさ/ブレインハレルヤって薬物のことだろ(笑)
GM/俗に言う「幸福薬」ってやつだな。
アクセン/彼女に「どうぞ」と渡す。「えっ! いいの!?」「幸福は平等に分け合わなければならない。それにアンパンも君のような可愛い女の子に食べられるのが本望だろう」「お兄ちゃん、意味が判らないよ! ありがとう!」
まりさ/とても素直な子だった。
アクセン/実はとても食べたかったけど我慢した。私なら我慢できるさ。何故なら≪強化手術:意志≫≪黒のヨロイ≫+≪鬼の肌膚≫+≪悪喰らい≫+≪竜喰らい≫の鋼の心だからな。
まりさ/お兄ちゃん、意味が判らないよ!
アクセン/彼女ならきっと鳩ちゃん達とおいしく高級アンパンを分け合うことだろう。君に幸あれ。それとアンパンは奢ってあげた。≪特権階級≫で金なら無駄にあるからな。代わりにロールケーキを買う。
まりさ/ロールケーキとコーヒー牛乳で張り込みかよ……口が甘い(笑)
GM/しかもそこのコンビニのロールケーキって、フォークで食べるタイプだろ。絶対張り込みに相応しくない。
アクセン/≪+50謹厳実直≫で「あ、温めなくて結構です」。
まりさ/特技の無駄遣い!(笑)
アクセン/≪+50天真爛漫≫で嬉しそうにコンビニから出て、公衆電話に入ります。≪+50美声≫の真面目な声で、情報屋に「調べておいたアレについて判ったか?」で判定。
まりさ/ただコンビニに行ってきただけじゃねーか!?(笑)
GM/お前は何もやってねーじゃねーか!?(笑)
アクセン/「1ヶ月前から情報屋に調べさせたんだよ」というAF演出だよ! ちなみに使用特技13個、難易度は26減ったから『難易度4』になる。私の【理知】は4だから(ころころ)達成値11。無事成功した。
まりさ/なんか、お前……ルールに基づいたサボリ方が巧いよな(笑)
GM/ルールに基づいてるからいいんだけどな。普通に成功したから言うけど……情報屋ってどんな人だ?
アクセン/うーん、あまり考えてないけど……昔から教会に居るエージェントだといいな。この街のことに詳しい人だと更に良い。≪物品調達≫で2シーン後には情報を持ってきてくれるぐらいの便利キャラって感じで。
GM/じゃあ、年は結構いってる男かな。(情報屋になって)「異端刑務所の不祥事……また難しい話を持ち掛けてきたな」
アクセン/そろそろ依頼して1ヶ月が経った。何か判ったことはあるかい? 前に連絡したとき、良い話があると言ってただろう。何でもいいから話してくれ……と、AF判定に成功したから情報ゲット前提で聞き出すよ。
GM/「まず、喉を自分で掻き切った看守の身元を調べてみたよ」
アクセン/ふむふむ。
GM/「ごく普通に生きてきた真っ当な青年だと思っていたんだが、一部気になることがあった。とある宗教に傾倒していたようだ」
アクセン/宗教……?
GM/「『マキョウ様』という、この国古来の神を信仰するという宗団だ」
アクセン/マキョウってどういう字だ?
GM/カタカナでいいよ。
アクセン/マキョウ……(言いながら、ノートにメモをする) 日本古来の神というが、そのような神がいるのか。
GM/「その宗教に説明するより前に、先に言っておいた方が良い話がある」
アクセン/なんだね?
GM/「異端刑務所の汚職事件についてだ」
アクセン/今話してもらっているのが、異端刑務所の事件についてではないのか?
GM/「そうではない。『10年以上前にも異端刑務所絡みの汚職事件があった』んだが、知らないか?」
アクセン/…………。
GM/この情報は、【理知】判定難易度10に成功すれば知っていることにしてもいい。なお、[聖職者][処刑人]のクラスのPCは自動成功で知っていてもいい。
まりさ/……まりさは[処刑人]でアクセンは[聖職者]だから、2人とも知ってるな。
アクセン/……ああ、知っているよ。だが確認したい。どんな事件だったかな。
GM/「異端刑務所は、能力者関係の事件に関わった犯罪者を収容している施設だ。それ以外は普通の刑務所となんら変わりない。たとえ異能関係の事件でも、それに精通した弁護士と検事と裁判官の元で罪が問われ、罰が下される」
まりさ/一般人と変わりなく、な。
GM/「昔、教会は異端刑務所に収容された受刑者を無期懲役にした、または死刑にしたと見せかけて、とある『異端の組織』に送っていた。教会のお偉いさん達が人間を扮した異端から金を受け取り、組織に受刑者を送り続けていたという。送られた能力者の犯罪者達は、異端の元で人体実験に使われたり、観賞用や愛玩用に改造されたり、食材として卸されていた」
アクセン/……その話を聞いて、眩暈がして頭を抱えます。
GM/「能力者の体を長年弄んできた組織の名は、『機関』という。当時の写真を見たことがあるが、酷いものだった。非人道的な人体実験が行なわれ、恐ろしい改造手術の結果、人外になってしまったモノもいた。頭から指先まで調理された能力者の姿なんて……まさに地獄というのはあのような光景のことを言うのだろう」
まりさ/現場検証、凄いことになっただろうな……。[聖職者][処刑人]は自動成功っていうのは?
GM/その後、教会が賄賂を貰い受刑者を食い物にしていたということが発覚。教会は汚職を働いた者を捕まえ、更に異端の組織『機関』も解体に成功。今後このような事件が起きないように、第三者の介入や警視庁の監視を義務付けるようになった。現在はクリーンな団体として活動するよう、昔の汚点を隠そうとしていない。
まりさ/だから、教会に関わる[聖職者][処刑人]のPCは必ず知っている情報にしたのか。昔あった事件を教訓にするために。
GM/その異端の組織『機関』は、表向きには地元有力宗教団体を取っていた。宗教って聞くと怪しいかもしれないが、普通の寺ってことなんだけど。そこの寺で興された新興宗教が、マキョウ様。教会は多くの団体から寄付を貰って経営をしていたから、そのマキョウ様のお寺が異端の組織だってことに気付かなかったっていう構図。
アクセン/今回、受刑者を逃がしていた看守もマキョウ様信者だった……つまり『機関』の者だったと見ていいと?
GM/「その可能性は高い。だが確信は無い。今はもうそんな連中いないとされているんだから。『機関』は事件発覚後、教会によって解体された。中心人物達は処刑され、幹部達も死刑になり、多くは無期懲役の大犯罪者として今はムショ暮らしだ。実験の結果生み出された化け物も退治や封印をされて、信者のマインドコントロールを解かれた。もうだいぶ前の話だが、大変な事件だったよ……」
アクセン/……現在、組織は跡形も無い。表向きには。
GM/「そういうことになっている。だが実際には判らない。何せ教会は前科を作ってしまったからな。『クリーンと言っておきながら実は……』という話があってもおかしくない」
アクセン/そうでなくても……危険思想のマインドコントロールを解いたとしても、またその考えを引き継ぐ者、ぶり返す者がいたって不思議じゃない。大きな事件を起こすと、その直後は社会が蔓延を許さなくても、数年後に事件を知らない世代が信仰し始めるものだからな。
まりさ/実際に、20年前に某テロ事件を起こした新興宗教の信者が徐々に増えてるんだっけ。
アクセン/名前を変えて似た活動をしてれば、当時のことを知らずに入信する人が多くなるからな。それに中心人物が既に、その場で処刑されたり死刑に課せられたりしたそうだが……無期懲役の者達もいるって言ったな。刑を免れた一員が再度、立ち上げるケースだって……。
GM/その辺の推理はとりあえず置いておこうか。それと思い出してほしい。ときわが言っていた自殺した看守の話によると、「第二の機関を復活させる」と明言してる。
アクセン/そうだ……また同じように、罪を犯した能力者を食い物にしようという考えが出始めたんだ。これはもしやではなく、確定なのか。
GM/……さて。君は恐ろしい話を聞いてしまった。この事実は知っていたけど、改めて思い出してしまった。よく知っている話だったろう?
アクセン/……ああ、よく知ってる。その光景は全部……見たことがある。
GM/捕らえられた人間は全て犯罪者だったし、もう日の目を見ることのなかった者達だった。だから悪行の被害に気付かれなかった。表向きは普通の人間の集団だったが、実際は異端の山だったその組織は……人体実験とは名ばかりの拷問を繰り返し、自分達の快楽のまま人間達を弄び、食べていた。その光景を鮮明に思い出してしまったアクセンは、吐き気を催してしまう。
アクセン/受話器は落とさないけど、左手で口元を抑える。
GM/同時に、目が痛くなる。目の奥が熱くなる。しかもカラカラに……喉が乾いてくる。それと、このイベントキーをやろう。

 『イベントキー:世界滅亡ポイント2D6』ゲット。

まりさ/ここでこのイベントキー!?
GM/ちなみに……この判定、さっきは美砂の出目が低かったから何も起こらなかったけど、一度に7点以上ゲットすると『特別なこと』が起きる。しかも今回は特別にプラス1D6。3D6ゲットしてくれ。
アクセン/(ころころ)……12点だ。美砂の出目を足すと15点。7点以上になったが……なんだ、一時的狂気にでもなるのか?(笑)
GM/あながち間違いじゃない。……アクセンは、無性に何か飲みたくて仕方ない。喉がカラカラに乾いているから。でもそれはコンビニで買ったものでは満足できない気がした。飲むなら……そう、もっと猟奇的なものがいい。
アクセン/……では、気付いたら口を抑えていた左手を食べてたことにしよう。
まりさ/ええっ!?(笑)
アクセン/ガリガリ、ブチブチ、指を食べて……受話器から「大丈夫か?」という声を聞いて、ハッとする。気付けば左手が真っ赤になってる。人差し指や中指には歯型があって、ずっとそこから流れていた血を口にしていたらしい。
GM/わざわざGMが指定しなくても猟奇的な構図にしてくれたよ、この男。ラクで良いな(笑) 公衆電話を偶然見た人がいたら恐怖判定モノだぞ。男が青い顔をしながら自分の手を食べてるんだから。
アクセン/自分で傷付けた手を見て……。ああ、傷だ、傷なんて作ったら痛いな、ってぼんやり呟いておく。
まりさ/痛みにも気付かなかったのかよ。
アクセン/呆然としてたからね、傷を見るまで痛いって感じなかったってことで。ああ、暫くは消えない傷になってしまったな……あとでコンビニで絆創膏を買いに行こう。えっと、動揺してしまったが情報は以上か?
GM/「その自殺した看守が、よく行っていた場所を教えよう」
アクセン/ほう。行きつけの場所があったのか。そこに行けば何かヒントがあるかもしれないな。どこだね?
GM/「A市の河川敷だ」
まりさ/河川敷!?
アクセン/千歳お嬢様達がゴミ拾いに行った場所……というのは、来月の話だから言えんが。河川敷に何か目立った建物でもあったか?
GM/「いいや、あそこはただの川。景色は良いが、行くとしたら散歩かホームレスがうろうろするかのどちらかだろう」
アクセン/特に何も無い場所。なのに看守はそこに頻繁に行っていた……ふむ、怪しい。河川敷に行ってみるとするか。ありがとう。
GM/「……気を付けた方がいい。1人では行くな。教会は、今は安心できる組織ではあるが、それを利用する者達も多い。大きな力を持っている場所だからこそ怪しい動きが生じてしまう。お前さんの探っているものは、予想以上に恐ろしいものかもしれない」
アクセン/その恐ろしい可能性を調べ上げてくれた貴方は良い人だ。以前言った依頼料では足りんな。些細なものしか用意できんが上乗せさせてくれ。
GM/「また面白い話でいいぞー。お前さんの話は支離滅裂で面白いからなー」
アクセン/そう言って電話を切ろう……とした受話器の先で、「もー! 温水さん、また長電話しちゃってー!」と看護師の英子さんの声がする、と!(笑)
まりさ/えっ、今の『デイズ』のおじいちゃんだったの?(笑)
アクセン/温水さんだったら面白いなぁって思ってたんだけど?(笑)
GM/意識してなかったけどそうしよう。年いってるし、教会のこと詳しそうだし、寧ろ『機関』を解体したメンバーだったのかもしれない!
アクセン/温水さん、実は現役時代はまりさ以上のレベルのエージェントだったんだ……(笑)
GM/では、この辺りでアクセンのシーンを終わりに使用。
アクセン/絆創膏を買ってから河川敷に向かおう。……ってGM! 私、まだハンドアウトのアリスに会ってないんだが!?
GM/うん。会ってないな。出てないもの。
アクセン/まさかのコネクションに会えない。斬新なセッションになってきたぞ……(笑)


 ●ミドルフェイズ4/まりさ 〜堤美月〜

まりさ/よし、ついに情報収集シーンの開始か!
GM/時間は、ミドルフェイズ2の美砂のシーンからの継続。マーサーは今回のシーンでは、アクセンではなくヒロインをやってもらいたい。
アクセン/ヒロインパートじゃないのに?
GM/まだシーンプレイヤーになっていないヒロインが2人いるから、先にやっておかないと最後の1人が3シーン後に登場になるぞ。
アクセン/うーん、それだと遅いか。早くてミドルフェイズ8まで続いちゃうし……じゃあヒロインロールを早めにしておこう! 今回は(ころころ)『デイズ』の美月ちゃんをすることになりました。
まりさ/おお、美月か。美砂と同じようにやる気のある子だったんだよね?
GM/それ気になってたんだよ。まず、美月はどんな理由で教会に来たんだ?
アクセン→美月/美月は、悪い異端に憑依され、5年間……病院で監禁されていたようなものでした。毎日「コロセコロセ」という異端の声に苛まれ、365日【意志】判定に成功し続けなければ殺人を犯してしまうという生活を強いられていました。
まりさ/うわ、なんという悲劇のヒロイン臭……。
美月/【意志】判定に失敗したときは自分の体を傷付けることで、なんとか殺人から逃れてきました。いつ自分が異端になってもおかしくない生活の中、病院で一人で暮らしてきました。……5年間ずっと個室で入院してたんだし、体的には健康でも病院に押し付けておけるぐらいには家がそこそこ裕福。政治家の一人娘なんじゃないかなって考えてます。
GM/ほうほう。親御さんとの関係は?
美月/悪くはないけど、疎遠でした。表向き「美月がゆっくり休める場所は病院だから」と優しく言ってたけど、実際は寺に押し込めたような感じ。自殺まで考えていた彼女を救ったのは『デイズ』の3人……アンドゥちゃんと鳩ちゃんと健吾くんでした。
まりさ/感謝しきれない存在だよな。
美月/救ってくれたし優しくしてくれた。しかも鳩ちゃんと健吾くんは、あの事件以後に退院してくれたけど仲良くしてくれている。なんとかしてお礼をしたい、彼女達の為になりたいと考えています。
GM/そこで教会?
美月/自分がエージェントになって、とは考えていません。でも教会って色んなものが発見できるでしょう?
まりさ/うん?
美月/例えば、「アンドゥちゃんが元の世界・エリンディルに帰る方法が何かがキッカケで判明するかもしれない」「記憶を失くした鳩ちゃんが思い出せるキッカケが見付かるかもしれない」。彼らに「ありがとう」と言ってもらえることを探すには、力も情報も集まってくる教会は最適なんですよ。
GM/そのキッカケを掴むために、教会に近付こうと……?
美月/美月にとって、異端は怖いものです。5年間ずっと虐げられてきたものだしね。でも異能によって救われたから、いっぱい知識が欲しいんですよ。「教会のお仕事をする代わりに」能力者の話を聞かせてもらったり、教会の資料を読ませてもらっている……っていうキャラにしようと思います。
GM/教会は様々な資料を保管しているけど、普通の一般人は読ませてもらえるものじゃないしな。エージェントだって任務に必要な物しか見せてくれないだろうし。
まりさ/そもそも裏社会なことは、一般人には内密にされることだし。
美月/それでも、調べていけばエリンディルへの戻り方や失った記憶の取り戻し方が判るかもしれない。そういう文献があるかもしれないと思って、いっぱいお勉強させてもらうんです。
まりさ/その話、まりさは聞いたってことにしていい?
美月/うん。まりさだけじゃなくみんなにも判ってもらいたいことだから、調べ物をしようとしてたときに話したことにしますね。
まりさ/へー。調べ物だったらさ、あたしの実家の骨董品屋にも来なよ。
美月/えっ、いいんですか……?
まりさ/教会ほどまとまった資料は無いけど、昔ながらの書物ならいっぱいあるし。古い魔導書の中には変なものも沢山あるから、もしかしたら見付けたいものがあるかもしれないし。
美月/そういうのって……他人に見せちゃって大丈夫なんですか?
まりさ/おじいちゃんはそういうの気にしない人だよ。アリスがやって来たときも嫌な顔しないで迎えてくれたし!
美月/あ、ありがとうございます……! 良かったら、お友達も連れて行っていいですか……魔導書があるなら、きっと高橋さんがいっぱい読んでくれるかも。
まりさ/そうやって情報収集の手を多くする戦法か(笑)
美月/いえ、今のは「[魔術師]だし魔導書好きかなー」って思って言っただけなんだけど(笑)
まりさ/世の中には「影を濃くする魔法」があるかもしれないぜー?(笑)
美月/か、彼が欲しいと言ったら……探してみます(笑)
GM/……なあ。その美月さんの話を聞いて、アクセンが発言していいかな。
美月/どうぞ。
GM/「君は友人と別れたいのかね?」
美月/えっ。
GM/「元の世界に帰すと言ったが、君は大切な友人と別れたくて手段を探しているのかね。異世界がどうと言っていただろ。遠くの国に行ってしまうのは悲しくはないのか」
美月/それは……えっと。
まりさ/まーた、こいつは……(笑)
GM/「遠くにいっても悲しまない程度の友人なのか。そうか、別れても惜しくない存在なのか」
美月/そんなんじゃないです! 大切だからこそ、ですよ!
GM/「友人が『探してくれ』と言ったのか? そもそも『元の場所に戻りたい』と言ってたのか?」
美月/ぐさっ。
GM/ぐさっと言います。
まりさ/あのさ、美月はそういうんじゃなくて……。
美月/いいです、ワタシが言います……!
GM/おっ。
美月/あの、確かにワタシに『探してくれ』なんて言ってませんけど……。ワタシ、あの事件以後、お家に帰れたんですよ。
GM/「ふむ」
美月/一時帰宅でしたけど……その後も「まだちょっと入院した方がいいから」ってことで入院生活続けてますけど……。
まりさ/まだ続けている設定なんだ。
美月/美月的には、それは「アンドゥちゃんと一緒に楽しく暮らせてる」から良いんだけどね。きっと異端が憑依していた以外にも、元から体は強くない設定なんだよ。……それで、お家に帰って、家族は冷めきってましたけど、でも喜んでくれたんですよ。
GM/「冷めきったけど、喜んでくれた?」
美月/表向きだけかもしれないけど……でも、「少しずつ元気になって良かった」って、両親は言ってくれたんです。「元気になったなら帰ってらっしゃい」って。今まで無かった台詞だったんですよ? お家に帰るって、元居た場所があるって嬉しいことなんだって気付きました。
GM/「ふむ」
美月/安藤さんも、花井さんも、今は大丈夫かもしれないけど寂しいかもしれないです……。その、だから、元の居場所に戻れることがあったら、嬉しいかもしれないし、寂しくないけど寂しくなる可能性が減るというか……お家って帰らなくても有ると無いとじゃ全然違うっていうか!
まりさ/が、がんばれー(笑)
美月/……ワタシ、安藤さんに「帰れ!」だなんて言いません! 実際帰られたら寂しいですけど、でも「いつでも帰れる!」って安心してる寂しくない安藤さんは居てほしいです!
GM/「君がそう思っていることを、彼女達は知っているのか」
美月/い、言ってません……勝手にワタシが一人で調べてます。友達を……親友を喜ばせたいって思うのは、自然なことだと思いませんか? 親友って、無条件で喜ばせたい人じゃないですか!
GM/「……なるほど、君はサプライズプレゼントがしたいんだな」と、アクセンは笑う。「お茶目な子だな」 そしてイベントキーをゲットしてくれ。

 『イベントキー:世界滅亡ポイント2D6』ゲット。

まりさ/……これ、一体何のポイントだ? ヒロイン達とアクセンのロールをしたらゲットするのか?
GM/追々判ってくるよ。今回はプラスのダイスもないから、2D6を振ってくれ。
美月/(ころころ)4です。7以上じゃないから『特定のイベント』も発生しませんね。美砂、アクセンの分も足すと19点です。
GM/では、本題に入ろう。このシーンから情報収集が始まる。
まりさ/そうだった。まだオープニングが終わったところだったんだよな。登場キャラが多いお祭りシナリオとはいえ、長い導入だった(笑)
GM/今回のシナリオは、AF判定で進行していくぞ。