アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 番外編3 3ページ ■
2006年(仮想リプレイ公開2021年5月15日)




 ――ここは、セッション会場から徒歩数分の居酒屋・笑笑。
 セッション参加者5人、部外者2人を交えた7人は、食事をしながらこれからのことを話し合う――。


当真/「笑笑」って「ゲラゲラ」って読めるよね。
憲子/読めねーよ(笑) ……憲子はですね、マキョウを復活させたいですよ! 蘇らせる方法とかない? 川越は天才なんだからそれぐらい思いつくんじゃないですか?
GM/さすがに死者蘇生は無理じゃないかな。できるならやっていると思うし。天才だから。
憲子/そこを何とか。悠理と当真が判定3回で運命を変えるやつやってたじゃん? あれで憲子も3回判定成功したらマキョウを蘇らせることしたい!
当真/ゲラゲラ! メチャクチャだなー!(笑)
ノエル/もうみんなだいたい判ってるから話しちゃうけど、「雪御化の伝説」ってマキョウと川越のことでしょ? きっとこの後、川越はマキョウそっくりの雪御化……ホムンクルスかな、それを創る流れになるんだよね?
悠理/川越がマキョウを失った悲しみでホムンクルスの雪御化を創って、川越は人間だから寿命で亡くなって、遺された雪御化がどうにかなっちゃって……それで現代にいくでいいのかな。
ノエル/悠理が予想していた通り、雪御化は1986年にギガースによって倒されたけど、実は生きていて1987年にギガースそっくりになって現れて……ってことだよね?
憲子/判るよ、好きな人のそっくりなホムンクルスを創りたいっていうの! でも私はそっくりな人形じゃなくて本人と出会いたい〜! 可能ならしたい〜! 可能でしょ悠理と当真が運命のダイスロールしたんだから〜!
サブGM/蘇生が不可能だから川越はそっくりな人形で我慢したんでしょうが……(笑)
鉄/でも憲子が運命の3回ダイスロールするなら、ここだよな。
ノエル/それで全部成功しちゃって無事マキョウ蘇生しちゃったらどうしよう?
GM/面白いからしよ。
サブGM/わりと即決だね!?(一同爆笑) ダイスがあるからここで振っちゃおうか〜?
憲子/振ります。全力で成功させる!
GM/1回目の判定。食べて殺した異端を蘇生するとか川越が許すかどうかの説得の【理知】判定で難易度12をどうぞ。
憲子/説得しなきゃなの!?(笑) でも交渉判定なら≪絶対の自信≫があるよ!(ころころ)達成値13で成功。
サブGM/説得成功しちゃった……(笑)
ノエル/川越さん、言い負かされちゃった……(笑)
GM/「貴方も、もう一度彼女と会いたいでしょ!?」って迫られたら頷かずにいられなかったんだよ。川越だって彼女のこと大好きだったから。じゃあ次。蘇らせる方法があるかどうか情報収集ってことで、【体力】判定。難易度12でどうぞ。
憲子/(ころころ)達成値12。ギリギリ成功。
悠理/出目高いな!?
当真/やる気だ……(笑)
GM/最後……蘇らせる方法が見つかり、その儀式が成功するかの判定かな。となると、【意志】判定で難易度15ってところか。
憲子/≪女神の悪ふざけ≫を使います。悪ふざけじゃなく本気で! 1か6が出たらクリティカル成功になる!
悠理/それ、チート技じゃない?(笑)
憲子/3分の1の確率で勝てる! いけ!(ころころ)……4んんん!? いかないいいいい!
サブGM/そう簡単にはいかないんだよなぁ……(笑)
GM/そう簡単にはいかなかったなぁ……。あ、なんかネタが降ってきたかも。ちょっと待って。昔のシナリオノートを読み直す。
サブGM/おおっ?
悠理/なんか良いアイディアができた?

 ――GM、シナリオノートと奮闘中。

GM/憲子って、蛇好き?
憲子/蛇? 嫌いじゃない。爬虫類を怖がるタイプではない女かな?
GM/では……マキョウを蘇らせる方法を探っている情報収集の中で、マキョウとはどんな異端だったか憲子は知る。その正体は蛇だ。邪神八柱の第七位・大蛇タイマストトバールの眷属であった女の正体は禍々しい蛇の異端であり、かつて当時の能力者・陰陽師達によって親玉である大蛇は討伐され、子蛇である彼女は本来の力が使えぬ極寒の地まで逃げてきたのであった。
サブGM/……ああっ、なるほど! 『本編』のあの古文書に繋げるのか!
鉄/スウィフトが解読した古文書に書かれた伝説か。
GM/子蛇である彼女は、親である大蛇タイマストトバールを召喚しようと目論んでいた。異端の本能として邪神を顕現させようとしていた。だがその最中、川越に出会ってしまってそれをやめたことにする。
悠理/……あれ? やめたことにすると『本編』と繋がらなくない? 「子蛇が機関の人を誑かして大蛇を召喚しようとしていた」から機関がその方針で動いて、最終的には「航先生が召喚儀式を実行」するんだよね? このシナリオで子蛇=マキョウなら、川越と出会ったことでその計画が無くなるし……。
GM/まあ、本来想定していたシナリオだと「子蛇=マキョウ」ではなかったから。これはパラレルワールドってことで……。
憲子/いや、『本編』と繋げよう。憲子が子蛇になろう。
ノエル/……つまり?
憲子/そのままの意味。マキョウの親玉の大蛇のタイちゃんは討伐されてしまった。子蛇のマキョウも川越との約束を果たして死んでしまった。でも憲子はさっきの運命のダイスロールに成功したおかげで「蘇らせる方法」を手に入れている。『タイちゃんとマキョウをいっしょに』蘇らせる『子蛇の役』を、憲子が受け持つことにしよう。
鉄/あー……。
ノエル/ああー……なんか、判ってきたー(笑)
当真/1000年の歴史の中で、色んなものが混ざって記録がおかしくなった気分(笑)
憲子/えっとね、ちょっと過去設定を語るときにも言ったんだけど、憲子って日本人じゃないんですよ。異人で、髪を染めて別人になってるって言ったよね? で、今は現地人の体を乗っ取って上書きして憲子になったと……。
GM/うん。……すげー凶悪な異端だな(笑)

 憲子/だから今は本来の異端の姿である、金髪碧眼の女性です。

サブGM/あああーっ! 金髪碧眼の所長の秘書! 繋がった……繋がっちゃった(笑)
憲子/川越はこれから寺を作る。その寺は、のちに機関になる。その機関にいた金髪碧眼の、邪神を蘇らせようと呪文が書かれた禁書を渡して暗躍していた女……。それが1000年後の憲子ってことにします。
サブGM/狭山さんの秘書っていうかやっぱあの愛人じゃん! 憲子が愛人やらなくても憲子が愛人やってたんじゃん! もう訳が判らないね!(一同笑)
GM/これは間違いなく【正気度】0。まさかの子蛇PC化である。
憲子/憲子は「邪神召喚が目的」というより、「邪神としていっしょにマキョウも蘇らせるが目的」ですね。もうマキョウのことを「自分を救ってくれた神」だと思っているので、邪神の眷属だろうが神ですよ! いっしょに神として、また会えるようにしますよ!
GM/もういっそ、憲子も異端だし邪神の眷属になろうよ。
サブGM/【正気度】0だし、なれるなれる(笑)
憲子/なります! 新しい異端ネームとか考えた方がいい!?
ノエル/『番外編1』と『番外編2』で出てきたNPCの正体が発覚。なんか凄くなってきた(笑)

 ――孤独だった憲子は、時を越えた先で愛する人を見つけた。
 そして、愛する異端の女を失う悲しみに耐えきれなかった。初めて出会った愛と別れることなど、許せなかった。

「川越。貴方は天才だわ。何も無かった真っ白の雪から、彼女そっくりな命を生み出してしまった。
 でもそれは、彼女じゃない」

 彼女を共に食らって数月後。悲しみに暮れる男は、一塊の雪に、名前を付けた紙を篭めた。
 すると命が宿る。愛を込めて筆を走らせるたびに、命は彼女のようなものへと姿を変えていく。
 だがそれは彼女ではない。憲子は、彼女自身に会いたい。彼の作品だけでは、満足できなかった。

「……そう、これは彼女ではないな。俺が創った、俺の悲しみを慰めるだけの雪人形だ。
 彼女の姿を見て、悲しみを乗り越えようとした。けれど虚しさが募るだけだ。……もう終わらせよう。
 雪御化よ。お前は、マキョウの真似事をするために創られた者。だが、俺が愛するマキョウではない。お前はお前。お前は自由だ。どこにでも好きな所に行くといい」

「それで、川越……貴方は満足できるの?
 お人形遊びをして、それで慰められた? もう彼女のことは忘れられるの?
 私はできないわ。忘れられない。……会いたい。いくら彼女を食べてずっと一緒よと言い張ろうとしても、やっぱり隣に居ないと嫌! 彼女が居ない世界は嫌!
 マキョウに会いたい! マキョウを蘇らせたい! マキョウの願いを叶えてやりたい! マキョウの……為に、何でもしてあげたい。
 会いたい、とても会いたい、会いたいわ、どんなことをしても、どんなに犠牲を払おうとも……。川越、貴方だってそうでしょ。そうなんでしょ!? そっくりな命を創ってでも会いたいと思った貴方なんだから!
 天才な貴方なら彼女を蘇らせる場所を創れるわ。マキョウの傍には貴方が必要。そうでしょう。手を貸しなさい、貴方は私といっしょにマキョウと再び会うのよ――!」


GM/……川越は、その申し出を……偶数なら断る。奇数なら受け入れる。(ころころ)1、受け入れた。
悠理/受け入れちゃった……。
憲子/……やっぱり、貴方は……マキョウのことを愛しているのね。その決断は当然よ。

 川越は蛇を蘇らせる方法を、書にしたためた。
 後世に残るようにして、自分が叶わなくても次の世代へ渡せるようにした。
 だって彼は人間だから。普通に寿命で死ぬ。邪神召喚の記述だけじゃなく、人助けをするために集めた知恵を多く記して、後継者達に託そうとした。
 ――それが彼が興した異能の一門。のちに、雪深い山奥に寺院を持つ仏田家と呼ばれる魔術結社である。


憲子/私は……川越と子供を作るわ。その子が後継者になって、川越が遺した知識を継いで儀式を完成させるように頑張っていくでしょ。それを何百年も続けていくの。いつかマキョウに会える、千年後のために。

 憲子の体が人のように朽ちてきたなら、また新たな女の器を乗っ取り、魂を書き換える。そうやって何年も生き永らえる。
 マキョウと同じ異端ではあるが、人を食さなくても生きる人寄りの存在だ。たまに気まぐれな食事をするかもしれないが……目標を持ってしまえば千年を生きても苦ではない。
 代々、知識を統括する寺の後継者達に寄り添い、名や姿を変えながらも創始者と共に生きたときのように支える。時には裏から彼の一族を操り、大きく発展させていきながら……目指すはただ一つ。

 邪神を召喚しようとした、邪神の装具である彼女を、神共々この世に再び呼び出すこと。
 全ては……愛する人と出会うために。

 夢に向かって進み始めたこのとき憲子は、人としての名を捨てた。そして邪神の装具――『金色の大太刀』として歩み始めることになる。


鉄/あ? つまりルージィルのお母さんですか? いつも俺がお世話になってます(一同爆笑)
憲子/『番外編2』でルージィルの母親って言ってたっけ(笑) 母子ともども鉄さんにはお世話になりました(一同笑)


 ●ミドルフェイズ8/ノエル 〜夢、憧れ〜

ノエル/『現在難易度:918分の98』だから、あと達成値2以上あれば達成値100到達で最後の情報をゲットできるよね。それ欲しさに判定してみていいかな。
GM/いいよ、どんどん判定していこ。……あ、1年前の雪御化討伐の任務だけど、ギガースと共同で討伐する依頼がいくのは……。
憲子/憲子はもう参加しない。
当真/当真とノエルは、トフィ達を連れて逃げ回っているので依頼を受けるどころじゃないです。むしろ機関的には指名手配じゃないか?(笑)
悠理/雪御化討伐の依頼を受けるの、悠理だけになりました(笑) 研究者の後衛ですよ? 誰か別の人を連れてきてください!
GM/じゃあハンター業をしているオーウェル達を……いや、オーウェルに機関のギガースを見せる訳にはいかないな。
憲子/サクラとかマリアベルも、もう機関には関われないようになっちゃったし。タツヤやアトゥーニは、まだ生まれて間もない頃だし。……既存のPCで協力するのは難しい?
GM/既存のPC登用が難しいなら、既存のNPCを出すしかないな。よし、航先生といっしょに任務に行こう?
悠理/えっ、航先生と織葉に行くんですか!? 行けって言われれば行きますけど!(笑)

『AF判定:雪御化に殺された1987年2月2日まで生きる』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:918分の98

※「時が戻った人生から雪御化と戦うあの日まで生き続ける」演出に成功すること。


ノエル/……トフィや他のギガース搭乗用ホムンクルスはノエル達が全員誘拐した。でも、ギガースを使って織葉の任務に行くんだ?
GM/行くね。航先生はギガースのパイロットとして、猫耳を連れていきます。にゃー。
悠理/ユーキだ!? そっか、『本編最終回』でユーキは増やされたっけ……!
GM/増えてました。にゃー。なのでこれはギガース用ユーキです。にゃー。
当真/……やっぱりトフィを救ったとしても、トフィ以外の犠牲者が出るって確定か。
GM/にゃー。
悠理/…………。ユーキに話しかけます。貴方がギガースに乗るホムンクルスですか。寒くありませんか?
GM/にゃー。(航になって)「ああ、言語機能は付けてないから話しかけても無駄。色々と機能を付ける余裕が無くて間に合わせでギガースに乗ることになった備品だから。君はコレに気にせず後方支援をしてくれるだけでいいよ」
悠理/はあ、そうですか……。その台詞、当真とノエルが聞いたらどう思うんでしょうね。そう思ったけど口に出しては言いません。
GM/(航になって)「君もあの研究所爆破未遂事件は知っているだろうけど、ギガース搭乗用に調整された素体が丸っと盗まれたからね。凄い損失だよ。時間と労力の無駄が過ぎる」
ノエル/航的には「大勢のパイロット達を誘拐された」は、「大量の素体を盗まれた」なんだなぁ。
憲子/航らしい。
悠理/急遽用意されたコアがコレだと、正常通り動作するか不安ですね?
GM/(航になって)「十中八九、失敗するだろうね。本日の動作確認」
悠理/……この場をご用意した貴方がおっしゃるのですか。
GM/(航になって早口で)「君も事前に失敗するという計算を出していただろう、君が出した計算に僕が至れないとでも? でも実働回数は積んでおかないとヤル気あるのかって上からドヤされるし織葉は都心から遠いから予定外の暴走が起こっても被害は最小限で済むし暴れたときどれぐらい暴れるかチェックする良い機会だよ」
悠理/航先生になった途端キャラロールがイキイキしてますよ。
GM/にゃー。
憲子/照れ隠しに鳴くな(一同笑)
悠理/……航先生に、しっかりと問い質したいことがありました。この機に話しておきたいです。
GM/(航になって)「なに?」
悠理/貴方は何故、機関にいるのですか。研究をしているのですか。研究をして、何を成し遂げたいのですか。
GM/「はあ。それは、今回の雪御化討伐とギガース稼働実験と何か関係ある?」
悠理/ありませんが、自分の今後のモチベーションに関わる重要な質問です。あと『ワンアンドアナザー』に関わっている参加者が全員知りたがっていることなので明言してください(一同笑)
GM/……あの。このセッションのシナリオに航先生を関わらせる気はここまで無かったんだけど? それでもロールしていいの?
ノエル/いや、もう今更だよ(笑)
憲子/番外編ってそういうものだし(笑)
当真/過去編なんだから色々暴露していこうぜ!
GM/…………えー、じゃあ。

「先に聞かせてほしいな、神宮悠理くん。
 君は何故、機関にいる? 異能開発所で研究者をしている? 研究をして、何を成し遂げたい?」

「自分は、強いものに憧れがあります。巨大ロボット、大型兵器、それらに浪漫を感じます。
 魔術と科学を掛け合わせることで生まれる未知の発明を遂げたい。子供の頃に思い描いた『格好良くて強いもの』と出会いたい、そんな夢のために機関にいます」


GM/(航になって)「へぇ。『強くて格好良いもの』に憧れた男の子だったんだねぇ? 僕も同じだよ」
悠理/ドラえもんやアトム、ガンダムを見てロボット工学者になったっていう人は、多いらしいですからね。……航先生も、同じ考えだったのですか?

「ちょっと違う。
 僕は、別に、機関に居なくてもいい。魔道具を作れなくていい。異能開発をしなくてもいい。だけど、それが可能だし得意だし求められたものができるもんだから、機関に所属しているだけなんだ。
 そう言うと、やる気が無いなって思われるだろうね。やる気はあるよ。君のように夢のために一心不乱ではないけど。……でも」


GM/「でも、僕が凄いことをすると、褒めてくれる人がいる。それは気分が良い。僕はね、強くて格好良い憧れの人に『凄いぞ』って褒められたいから、誰も成し遂げたことがない凄いことをしたいだけなんだ。得意な異能や魔道具開発はそのためにやってるだけだよ」
当真/そのためにコイツは世界を滅ぼすのか。
悠理/……貴方を褒めてくれる鉄先輩は、もうこの世に生きていなくても? ……貴方のエゴで殺したというのに!?
GM/「はあ」
悠理/……どうか考え直してください。貴方は、これからとんでもないことをしでかしますよ。今の貴方のままなら10年後、前代未聞のことをしでかします! 大犯罪者になるかもしれない! そんなことしてほしくないと彼なら言いますよッ!
GM/お前が鉄を語るな。それに、鉄なら、僕の研究所にいるよ。あそこで僕と生きている。いつでも僕を褒めてくれているし僕らは満足しているよ。なんで僕を聞かん坊みたいに見るのさ?」
ノエル/生きているって……キャラロストはしたけど。
憲子/P-27の中の人いわく、「マスターだったもの」状態だけど……。
GM/「はぁーあ。この話つまらないよ。やめよう? にゃーにゃー言ってる素体を早くギガースに乗せて雪御化を葬ってさっさと研究所にデータを持っていこう」
悠理/…………。はい……行きましょう。
GM/じゃあさっさと飛ばすよ。雪御化が現れます。ユーキがギガースに乗ります。ギガースが雪御化を倒します。ギガースが暴走します。
悠理/自爆スイッチを押します。
GM/どーん。ギガース破壊されました。にゃー。死にました。ちーん。
悠理/…………。
GM/「あーあ、やっぱり君と僕の予想通りの結果だったね。想定内の結果ですって報告しよっか」
悠理/…………。パイロット、死にました……死んでしまいましたよ……。
GM/「あの爆発の中で死んでない方がおかしいけど? でも、爆発から生還できる耐久度があったら良いよね。脱出ポットの設計もちゃんと見直そうね。前向きに考えよ」
悠理/…………。さっさと帰ろうとしていく航先生の横で、雪の織葉を見ながら、独り言を言います。

「彼らが繰り返した結果、トフィは生き残りました。トフィは当真とノエルに連れられて、どこかで第二の人生を送っているのでしょうか。
 ハッピーエンドですね。……その代わりに、生きていた彼を殺してしまいました。このやりきれなさは、どこにぶつけたらいいのですか?
 ギガースを生んだ連中にぶつけようにも、できません。航先生ひとり言葉で言い返せない自分には、何ができるというのですか?

 ……機関を終わらせる、そんなこと、一個人ができるとでも?」


ノエル/十数年後に、大勢の力で出来るんじゃないかな。そうなったらラッキー、ってことで【幸運】判定を振ります。(ころころ)はい、達成値10。
悠理/『現在難易度:918分の108』ですけど……あの、ノエルのシーンだったのに全部悠理と航先生の話にしちゃったけど、良かったの?(笑)
ノエル/じっくり見たかったからOK〜! ちなみにノエルは今頃当真とトフィで世界各国旅立ってます! 大道芸人をするよ!
GM/プレイヤーの許可が降りているのでこのまま進めさせてもらいます。……では、達成値100到達なので最後の情報をゲットできます。

【選択できる入手情報】
(★入手済)顔が無い白鬼の伝説について
(★入手済)ギガースについて
(★入手済)機関について
(★入手済)トフィについて(必須『イベントキー:機関について』)
(★入手済)上門狭山について(必須『イベントキー:機関について』『イベントキー:ギガースについて』)
(★入手済)上門狭山について2(必須『イベントキー:上門狭山について』)
(★入手済)上門狭山について3(必須『イベントキー:上門狭山について2』『イベントキー:トフィについて』)
(★入手済)ギガース停止方法について(必須『イベントキー:ギガースについて』)
(9)始祖について(必須『イベントキー:機関について』)


GM/もちろん最後の9番目、あけていくよ。

 『始祖について』で判明すること。
 1000年前に人々を救うために織葉に訪れた陰陽師、医者。
 人々を病から助けるために多くの知識を集めたという人物。
 その最中、陵珊という山に『異端の女』がいることを知り、討伐に向かう。
 だがその女に気に入られ、多くの知識を得た。その知識で様々な異能を能力者達に正しく広め、便利な発明をして異端から身を守る手段を訓え、一般医療に従事して病院(寺院)を建設するなど努めた。
 彼を始祖とする血筋が仏田一族であり、「世界中の知識を集め、より良い魔道具を開発し、人々を守る退魔組織をも援助する」超人類開発研究所機関という異能研究施設の大本となる団体を設立する。
 人と、人ではないものとでも手を取って、大勢を救おうとしたという偉人。

 また、彼は「どんな魔道具でも無効化、無力化させる呪文」を会得していたという伝説がある。
 残念ながら明確な技術として遺ってはいないが、もし「彼に直接教えてもらうことができたなら、どんなものでも無効化、無力化できるだろう」
 しかし川越は千年前の人間である。会うことは不可能である。会う手段は、時を越える以外は無い。
 もし
「時を越えるシーンで『平安時代に行く!!!』と魂が強い主張を口にして発言したならば、その全員が一時的に開いた穴から特定の場所に行ける」。
 特定の願いを、特定の人物に、適切に発言すること。


当真/川越のことか。
悠理/ギガースは機関が創った魔道具。川越は魔道具を無効化、無力化できる。川越に「ギガースを止めろ」と言ってもらえば、ギガースは終わる。そのためには平安時代に行かなきゃいけない……?
GM/平安時代に行くには、「時を越えるシーン」を発生させなきゃいけない。どうすれば時を越えられるっけ?
悠理/……「ギガースに撃たれて死ぬ」こと。この情報を持って、もう一度1987年で死なないといけないんですね。死ななきゃギガースは止められませんよと……その情報を、世界のどこかを回っているノエル達に教えます。
ノエル/教えてくれるんだ?
悠理/教えますよ。ギガースに殺されに1987年の織葉に来なさいとは言いません。止めたければ、来ればいいんじゃないですかって連絡します。みんなテレホンカードぐらいは持っていますよね? 電話かけてきてください。
GM/一応言っておくけど、普通に死んだって時間跳躍はできないから。「時間の歪みを発生させるほどのギガースの大ダメージによって死ぬことで」時を越えられる、だから。
当真/ラクな死に方はさせねえ、ロボットに焼き殺されろっていう注文か。もし1987年2月にギガースが撃つキャノンによって殺されなかったら、今度いつ死ぬって確証が無いから……。
GM/君達は2月2日に死んだから知らないことだけど、大暴走したギガースがどんな被害を生んだかな。で、ギガースが無事に色んな人達によって停止されたらもう時間跳躍チャンスは無いから。
ノエル/うわっ、他の人達を人質に取られた気分!(笑)
当真/これ以上「ジュワッ」で死ぬ人達を増やさないためにも、そして今後自分達が殺される可能性を消すためにも、もう一度2月に死にに来いって……うわ〜、ヤなシナリオ〜! せっかくトフィ救ったのにまた時間を戻すのかよ〜!
悠理/時間を越えて川越を使ってギガースを停止させられたら、全てが丸く収まるかもしれませんよ?


 ●トリガーイベント

GM/【正気度】0になっている憲子と重要なお話があります。まず質問、1987年段階の憲子は、どうなっている?
憲子/1000年間、色んな女性の体に乗り移っては生き永らえて、川越が遺した寺……および機関の中枢部に居続けました。1987年には、機関の最高責任者の上門所長の秘書兼愛人として機関を中から牛耳っています!
当真/もうやりたい放題だ(笑)
憲子/上門所長だって人の子でしょ。だから所長が「ここ判らん〜」って言ってるとき「それはこれこれこうよ〜」って助け船を出す役です。1000年生きてりゃ人間よりは物知りになるよ!
GM/上門所長は、機関を大きくしていった。そのおかげで古文書を解読して儀式を実行できそうな研究者達を大勢集めていけたし、その調子でいけばいずれ……。
憲子/いずれ、私が川越と失敗した復活の儀式を、成功させてくれる。そのためにはもっと機関を大きくして! 力をつけて! そのための支援なら何でもするから!
悠理/1000年間、精力的に活動してたんだな(笑)
憲子/川越も望んだことだから!
GM/……まあ、憲子はそうやって1000年間生きてきた訳で。じゃあ、1958年に生まれた憲子は?
ノエル/あ、本物の憲子の方……。どっちも憲子だけど。
憲子/……そっちの憲子も生きてもらわないと、色んなものがおかしくなる? それなら自由奔放に今まで通り生きてもらいましょう。機関の憲子は、教会の憲子に特に構いません。そのまま1987年に死んでもらうのがちょうどいい。
悠理/タイムパラドックス……。
GM/そうだね、こんがらがるけどそのままギガースに死んでもらわなきゃ。つまりギガースによる二度目の暴走で織葉壊滅は、起こらなきゃいけないこと。止めてはいけないことだ。ここで改めて【正気度】0になったPCにGMからの指示を出します。

 「ギガースを止めるPCを、止めないようにするため、殺してください。
 貴方が自由に生きるために。そう、『貴方は自由に生きるべき』と言った愛する彼女の言葉を思い出して」


憲子/(満面の笑みで)……はいっ! PVPですね!(一同笑)
悠理/【正気度】を回復してPC復帰する気は……無いか〜! そっか〜!(笑)
ノエル/となると、クライマックス戦闘は……「悠理&ノエル&当真 VS 憲子」になる?
GM/いや、「悠理&ノエル&当真 VS 憲子&ギガース」になる。ギガースのデータでバランス調整するつもり。……という訳で、憲子の好きで3人を殺しに行くシーンを作って。
憲子/よっしゃ〜、どう殺しに行こうかな〜!(笑) ……あ、そういや難易度:10000のAF判定はクリアーできてないけどこのままでいいの?
GM/ああ、それは……PC達がクリアーできたらクリアーできたなりのクライマックスフェイズに移行できるのだけど、今回は「PC離反ルートのクライマックスフェイズ」だから、気にしなくていい。憲子側が敗北したらAF判定再開になるかな?

 ――1987年2月2日。
 悠理の連絡を受けたノエルと当真は、三度目の人生で……何度目にもなる織葉へ訪れていた。
 雪が降る街のどこかで、またギガースの姿をしたモノが恐ろしい惨劇を生む。
 その惨劇の被害者となり、そして惨劇を止めるために、3人は再会した。


当真/トフィは……信頼のおけるハンター仲間のオーウェルに預けた! エルフ仲間ってことで喜んでくれるやろ!
ノエル/良かったなオーウェル! 絶滅しかけたエルフの仲間に会えたから仲良くしてくれよ〜!
悠理/それ、偽物のエルフですけどね?(笑)
GM/いやでも、「オーウェルに預ける」から伝わる信頼感。絶対オーウェルなら何とかしてくれる気がする。実際のオーウェルなら何を言う?
鉄→オーウェル/…………。え? 護衛の依頼? 守る守る。
サブGM/我々、『月姫』で吸血鬼退治の佳境だからそれどころではない。
当真/トフィ! 吸血鬼討伐のお手伝い、ガンバレや〜!(笑)
ノエル/トフィも当真達と同じハンターへの道に進んだのか。大きくなってぇ……!(笑)
当真/吸血鬼退治を終えて待っていてくれるトフィのもとに帰るためにも! 俺達も! ……死ななきゃ(一同笑)
ノエル/言いたくねえし死にたくねえ〜(笑)
悠理/では……相変わらず雪が降る織葉の街角……駅の掲示板前だと目立つから、適当な路地の公衆電話前で。当真とノエルと会います。……来ましたか。
ノエル/よう、久々。
当真/連絡おおきに。
悠理/よく死にに来ましたね。勇気があります。
ノエル/死ななきゃ、前に進めないんだろ?
当真/そして止めなきゃ、これからもギガースが大量の犠牲を生み出し続けるかもしれない。どこかで運命を歪めなきゃならないなら、俺達がしなきゃ。
悠理/そんな義務、我々には無いですけどね。
ノエル/無いけど、知っている誰かがやらなきゃいけないことなら。……始祖がいたっていう平安時代に行く方法を知った誰かが死んで止めに行かなきゃ! そう、口に出して自分を鼓舞します。
悠理/じゃなきゃ、やっていけませんか。……それにしても遅いですね、憲子。
当真/憲子にも連絡したのか?
悠理/我々と同じように人生をやり直してこの時代まで生きている筈ですからね。……悠理は、憲子がどんな人生を送ってきたか、どんな心変わりをしたかなんて知りません。だから普通に仲間だと思って連絡しますよ。
当真/そりゃそうだな……ノエルも悠理も変わらなかったなら、憲子も変わってないと思うのが普通。
ノエル/待ち合わせ場所に迷ってるんじゃないか? それとも……死にたくないって思って来なかったとしても、責められないし。
当真/確かに……。約束の時間を過ぎても来なかったら、俺達だけで雪御化を探しに行こう。
憲子/そろそろ現れます。
ノエル/あっ、憲子。
憲子/赤髪の方じゃなくて金髪の方の姿で(D66ころころ)46人ぐらいの配下達を引き連れて。
当真/うわっ。
悠理/……随分、大所帯で登場ですね。
ノエル/なに……憲子、今回の強くてニューゲームで、出世した?
憲子/ええ、大出世したわ。私、前の人生に比べて相当偉くなったの。だから忙しくてなかなか個別に連絡が取れなくてごめんなさい。
ノエル/いっぱい部下を連れられるなんて心強い〜って思うけど、今から俺達がされること判ってる? ……連れて来たって、大勢殺すだけだぞ。
憲子/そうね、ギガースに殺られに来ただけなら46人犠牲者を増やすことになる。でも、違う意図があって彼らを連れてきたのよ。……そろそろ彼らが機関の戦闘員だということに気付いてください。
悠理/…………。その格好……うちの、戦闘部隊ですね。知らないうちに、うちの職場で偉くなっていましたか。
憲子/悠理のところで造られた強化人間。どっかで雇ったハンターや傭兵と違って操りやすいし丈夫だし、替えがきくからとても使いやすい。もっと発展させるべきよって所長に言っておくわ。
悠理/それはどうも。来年の予算が増えそうで嬉しいです。言語機能ぐらい標準装備してくださいって打診できますね。
憲子/そんな会話をしていると、早速46人が悠理達をひっ捕らえようと襲い掛かります。憲子は後ろで立ってるだけ。
ノエル/攻撃されたならぴょんぴょん避ける!
当真/機関の偉い人になったって言うなら、お尋ね者の俺達を狙うのは当然だよな! ……憲子が俺達を捕らえようとしている意味をすぐに理解します!
悠理/ああ、自分も2人に手引きしたことにスパイ容疑とかかけられて捕まることになったんだろうな……って瞬時に理解しますね(笑) もちろん攻撃は魔術で避けます!
憲子/私が貴方達と仲間じゃないって、すぐに理解してくれた。ちょっと淋しいかも。
当真/淋しいって言うならニヤニヤ笑うのヤメてみ!?
憲子/無理。ちょっとじゃなく楽しいから。……GM、このまま憲子はギガースのデータを使って共闘するところを、ギガースとしてじゃなく46人の配下達という演出で戦闘していいですか?
GM/OKです。では用意していたギガースのデータは部下として描写してください。

 第1ラウンドセットアッププロセスから。配下達は≪本能の拐引≫でダメージをアップ。憲子のダメージも4点上昇。
 ノエルは≪魂装支援≫を、憲子は≪闇の血統≫を、当真は≪箱舟の主2≫を、悠理は≪本能の拐引≫でそれぞれ支援特技を使用。


憲子/≪闇の血統≫でダメージアップ。……服の中から、ニュルッと蛇が出てきます。
ノエル/おお、そんなペット飼ってたっけ!?
憲子/ええ、1000年前から飼い始めたの。
GM/まずは配下達から先制攻撃……。≪毒の魔弾≫+≪暗黒の渦≫+≪魔導書≫+≪圧縮撃≫を3人に使います。3人に(ころころ)命中は、22です。
ノエル/範囲で大ダメージだ! ファンブル化してほしい〜!
憲子/ファンブル化の≪零力射撃≫持ってるの私だから。
ノエル/仕方ない、避けるか!(ころころ)おわっ!? 6ゾロクリティカル!
当真/良いところで出したなー!
悠理/当真に≪幻想式≫を使います。回避の達成値+4!
当真/(ころころ)22でギリギリ成功や! 助かったー!
悠理/自分は回避が低いなのでまず当たります。クリティカルが欲しい。(ころころ)期待値が出ても回避13。当たります。
当真/でもそこに、≪大地の守護者≫を使ってダメージ0!
憲子/まあ、そうなるでしょうね。
ノエル/ノエルは……≪アテナ≫+≪ツールマスタリー≫でとりあえず軽く攻撃!
憲子/申し訳ないけど、この戦闘は私が勝つわよ。私、[異端者]だもの。≪鬼の肌膚:霊力≫があるから悠理とノエルのダメージは無効化するから。
ノエル/ああっ!? どう勝てと!?(笑)

 [魔術師/処刑人/領域遣い]の悠理と、[霊媒師/聖職者/アーティスト]のノエル、[領域遣い/稀人/アーティスト]の当真は、どれもも霊力ダメージ。
 そして憲子は【霊力防御点】50点。絶対にダメージを与えられない状態であった。


悠理/これで、どうやって勝てっていうんだ!(笑)
憲子/どうすればいいの、GM?
GM/あ、ほんとだ。悠理達が勝てねーじゃんこれ。
悠理/今の今まで気づかなかったのかよ!?(一同爆笑) GM、何も考えてねーじゃねーか!(笑)
憲子/えっ。……あ、あの! 私、「何か悠理達に得になる展開があってそれで拮抗するから憲子側にギガースのデータを渡して五分五分になるのかなー」って思ったんだけど、本気で何も考えてなかったの!?(笑)
サブGM/残念ながらこのGM、ハワイで鶴瀬に全て片付けさせちゃった奴だぞ。ラスボス戦も私とトンプソンの中の人でデータを組ませた人だぞ。その上で航先生になんとなくで邪神召喚させたんだぞ。誰よりも考えてないぞ。
当真/おーいー!?(笑) しっかりと戦闘準備してきたんじゃないのかよー!?
GM/してないです。雪御化は≪突然変異≫と≪模倣犯≫で他人を真似てギガースの姿になるという設定なので、「回復PCを除いた(この卓の場合ノエル)3人の特技構成」で作られるボスでした。
サブGM/そのアイディアはとても面白いと思ったので、ゴーサインを出しました……! マジで、すがくは……シナリオやキャラの台詞を考えるのは得意だけどデータには無頓着だよね!?(笑)

 のちに『バッドルイド』でキャラクターレベル3のPCがいる中でレベル60の敵を配置したり、『バッドルイド2』でPCのデータを確認せずに襲い掛かって「ダメージは0じゃ」を受けて何も出来ずに帰ったりするようなGMである。

憲子/えっと……どうするの、このまま私が全員の攻撃を無傷で戦っていいの?
GM/…………。
憲子/…………。
GM/にゃー。
当真/だから困ったらユーキになるのヤメろぉ!(一同爆笑) ハワイのときとまったく同じ反応じゃねーか!(笑)
サブGM/えー……(笑) では、わたくしマーサーから提案をさせてください。こういうのはどうでしょう?

(1)「憲子をGM側に渡してしまったという致命的ミス」を犯した事実を受けとめて悠理は全滅する。
(2)ランダム発生による「霊力ダメージを物理ダメージに変更できる」ギミックを戦闘に導入。運が良ければ憲子を倒せる仕組みに改変する。憲子には、追加【HP】を与えて一方的な戦闘になるように調整。
(3)セッションを中断し、戦闘バランスを見直す。1レベルだけでもお互いのレベルを上昇させて、戦闘ができる程度に修正してから再スタートする。


悠理/えー、後日セッションをするのはプレイヤー都合により難しいので(3)は無し。……(2)で、やってみますか?
サブGM/了解。では……(暫し全員と戦闘バランスを相談して)こんな感じのギミックはどうでしょう?
GM/テンション上げるために『こち亀』の万能BGMを流していい?
当真/さっきまでのシリアスを台無しにするなよ!?(一同爆笑)

 ――10分後。戦闘、とりあえず再開。

当真/では憲子に(ころころ)命中22。
憲子/……憲子の【回避値】は9。出目が5と6が出ても当たる。6ゾロでクリティカルを出さなきゃダメ。それなら……運に懸ける。≪女神の悪ふざけ≫を使用。(1D6ころころ)1でクリティカル。
ノエル/うわっ!?
憲子/3分の1で勝てる。しかも無償で。どっちにしろクリティカルが出なきゃ死んでいたんだからこっちを使うよ。
当真/チートじゃん! その技!(笑)
ノエル/でも、何のバフも無い技だったし……先に運を使わせたと思おう!
憲子/女神はまだ私の味方ね。マキョウ、見ていて! 近寄ってきたノエルに≪毒の魔弾≫+≪巨大武器≫、当たったら≪圧縮撃≫でダメージ!(ころころ)命中22! 蛇が大きな炎を吐いて、焼きます。
悠理/ノエルの回避判定に≪幻想式≫! 回避+4します!
ノエル/(ころころ)うわぁ、出目1・2で低すぎ……当たっちまう――!

 ――そうして、さらに10分が経過。

悠理/(暫し相談をした後)……戦闘ギブアップ、してもいいですか。
憲子/ギブアップ、する? 憲子側の勝利でいい?
ノエル/そうだね、これ以上やっても憲子達に勝利できる可能性は低いかな……。一応はダメージを与えることができたから、運が良ければ勝てるぐらいにはなったけど。
当真/それ以上に憲子の運が強い。どうにか配下に集中砲火して【HP】0にはできたけど、それが限界だ。頑張ってもやっぱりこのまま憲子に倒されちまう。
サブGM/あー……そうだね、運が良ければ悠理達も勝てる、けど現状だと憲子が勝利で終わるかな。相談の上でのギブアップ、良いと思います。
悠理/≪女神の悪ふざけ≫、強すぎない? そんなにクリティカル出されるとは思わないよ!?(笑)
サブGM/いやぁ、こんなにクリティカル連発されることなんて無いよ(笑) 行為判定放棄だから本当に望みが1ミリも無い状態じゃないと使えないし。
憲子/マキョウという女神が見守っていてくれたからね。絶対に≪女神の悪ふざけ≫のデータ、下方修正しないでね?
サブGM/(←『AW』のルール製作者)アッハイ。

 『AW』初版の頃から残る……一本松の≪修羅≫の無限行動バグに次ぐ、どんなにチートだろうが修正されない特技の誕生の瞬間である。

GM/全員が納得の上での判断なので、これでクライマックス戦闘を終わりにします。勝者は憲子で。配下達はみんな倒されたけど、1000年間を生き抜いた憲子はとっても強かったってことで勝利。
憲子/はい、勝ちました。みんな、最後の描写を頑張って!(笑)
ノエル/はーい、頑張るー。みんな、シリアスに戻って!(笑)
当真/ゲラゲラ。GM、シリアスに戻して。
GM/(←戦闘苦手なので『月姫』一緒にやりたがっていたけどGM席に戻ってきたGM)まかせろー。

 ――織葉の一角は、憲子が連れ立った機関の戦闘部隊が張った結界によって隔離されていた。
 結界の中でどんなに激しい戦闘が起こっても、大きな炎で焼かれようとも、織葉の市民には影響が無い。ごく普通の冬の生活を送っていた。
 当真の鎖鎌が、強力な戦闘員達を薙ぎ払う。それによって外へ逃げ出すこともできたかもしれない。
 だが、千年を生きた異端の女による猛攻が、逃亡を許さない。

「これでおしまい。そこから一歩でも動いたら、全員燃やすわ」

 3人は、死を覚悟した。


当真/……ここで憲子の手で死んだら、タイムスリップはできない。ギガースの攻撃で死ななきゃ、平安時代には行けない。同じ死でも、お前に殺される訳にはいかないんだ。
憲子/死ねば逃げられる、でも、逃がす訳にはいかないわ。私の手で貴方達を殺す。もう時間跳躍はさせない。
ノエル/どうして! ……ギガースの暴走が止められないぞ!?
憲子/止めなくていいの。止めたら、この街でのうのうと今日を歩いている私が、1000年前に飛べなくなる。そんなことになったら、まだ愛に出会っていない私が可哀想でしょう?
悠理/……それと同時に、織葉の人達も死にます。それと、暴走したギガースを止めるまでに多くの人が戦って犠牲になるかもしれません。
憲子/大丈夫。
当真/何が大丈夫なんや!?
憲子/ギガース1体ぐらいで人類は滅ばないわ。あと20年ぐらいは世界が続くわよ。……それから先は、判らないけど。マキョウが求めた神が訪れたらどうなるか判らないから。
悠理/……貴方も航先生と同じ、どんなに周りが死んでも自分の愛の為ならなんだってしてしまう人でしたか。
憲子/そうね。
悠理/憲子、貴方は、1000年前にタイムスリップしたと言ってましたが。……その間で、正気じゃなくなったのですか。
憲子/ええ、そうね。
当真/そのようやな。
憲子/正気じゃなくなったかもしれないけど、それよりも大事なものを見つけたわ。愛。私がやらなきゃっていう目標。また彼女と会ってみせるわという夢。自由に生きること。私の為に、ギガースの一撃は必要なの。
悠理/…………。
当真/…………。
ノエル/……あー、めっちゃくちゃキラキラした良い目をしてる。
憲子/遺言は、それでいい?
ノエル/違う形で見たかったぜ。
憲子/じゃあ死んで。ギガースの一撃じゃなくて、私の手で3人を殺します。

 ――悠理、キャラロスト――。
 ――ノエル、キャラロスト――。
 ――当真、キャラロスト――。


憲子/全員の息の根を止めたことを確認して、織葉を去ります。教会のエージェントをしている私が、どっかの誰かと一緒に雪御化を討伐するため織葉に居るでしょうけど。
GM/発見された雪御化は、1年前に自爆にとって倒されたギガースの姿を模す。ギガースの形になった雪御化は、天高く飛ぶ。そして辺り一面を焼き尽くすビームを……。
憲子/放たれる前に、私は遠くへ。遠くから、時を壊すほどの光を堪能する。
GM/ジュワッと全部が焼き消える光。織葉の地は……いやその一帯は、巨人の一撃によって葬られた。もちろんその中で生きていたひとりの女も……。

 「……いってらっしゃい、私。マキョウによろしく。
 私は、いずれ機関が呼び出してくれる新たなマキョウに会う夢を頑張る。思う存分、いってらっしゃい!」



 ●エンディングフェイズ

GM/では、まずは勝者の憲子のシーンからです。勝ったからどんなエンディングにしてもいいよ。
憲子/そういえばせっかく上門所長の愛人になったのに愛人っぽいシーンをしてなかった。それをしていいですか?
GM/愛人っぽいシーンって何だろう?(笑)
ノエル/会いたがっていたマキョウとのシーンをするんじゃないんだね。それは意外。
憲子/マキョウとはそのうち会えるからね! 航先生が『本編』最終回で邪神召喚に成功させてくれるから! イエーイ約束された再会の未来!
悠理/めちゃくちゃ嬉しそう(笑) 憲子、オープニングの頃の大人しいロールよりマキョウに会ってからの方がイキイキしていて楽しそうだよな。
GM/楽しくキャラロールができるセッションになれて良かった。じゃあ、ご要望通り愛人っぽいシーンをやってください。
憲子/ベッドシーンですね。
ノエル/きゃっ(笑)
当真/事後にしろ、事後に(笑)
サブGM/(←ときわの中の人)きゃー、お父さんのベッドシー……ン、ってダメだ! 子供は寝るぞッ!(一同笑)

 ――抱擁を交わした夜の一幕。妖艶な瞳で誘い、淫靡な唇を震わせる魔性の女は、今夜も男を翻弄した。
 白いシーツに裸体を包ませながら、男女は静かに語り合う。


憲子/うちに代々伝わってた古文書、あれ夜須庭航に渡してね! きっと解読して実行してくれるからね! あれにうちの夢が全て詰まってるんだから! 約束よ! ……って超カッコ良く言います(一同笑)
GM/オッケー言っとくー。って超カッコ良く答えます。
ノエル/カッコ良く! 2人とももっとカッコ良くして!(笑)
憲子/所長……いえ、上門狭山。貴方に聞いておきたいことがあったわ。
GM/「何か」
憲子/貴方は何故、機関にいるの。何故、研究をしているの。研究をして、何を成し遂げたいの。
悠理/あ、悠理の台詞と同じことを……。
GM/「…………。私は、仏田一族の始祖、橘川越の末裔である」
当真/(←スウィフトの中の人)僕が直系でこいつは下っ端ですね。
サブGM/新座くんは仏田家を家出したでしょ! シィーッ!(笑)
GM/「たとえ血は薄くとも名誉ある末裔として、始祖の『知恵を集めろ』『神を蘇らせろ』という2つの使命を全うする。それは当然のこと」
憲子/ああ……前者は川越の望みで、後者は私の望みか。それが1000年後もしっかり伝わっているのね。

 「全知全能を求め、我らが神を呼び起こす。さすれば、人は救われる。
 始祖・橘川越が求めていたのは多くの智慧によって人にとって良い世界を生み出すことだった。『始祖に寄り添った生涯の妻』は、世界のために降神を願った。
 機関はそれを求め、出来るだけの歴史と力を手にしている。
 ――人々の救済。それが、私が成し遂げたいことだ」


「……素敵! とっても素敵! 川越も喜ぶし、『生涯の妻』も喜ぶわ!
 その願い、絶対に叶えましょう。叶えてさしあげましょう。そのためには、何でも協力してあげる。だって貴方は……それを成し遂げられる時代に生まれた為政者だから」

「ああ。力を貸してくれ。……我が一族に巣くう女よ。より機関を発展させていこうではないか」


悠理/所長……この女が普通の女じゃないって気付いているんだ。
当真/「騙されて邪神召喚させられた」じゃなくて、「自らの意思で召喚の手筈を整えていた」ってことになったな。……どんどん機関の基盤が強固になっていく(笑)
憲子/強固にしていくのが私の夢の一歩だから。これからも機関が私の夢を叶えるために、機関はもっと強くなってもらわなきゃ! いっぱい暗躍していくわよ――!


    ◆


GM/死亡したPCは、好きなシーンを演出してください。幽霊になって好きなことをしたり、過去シーンをしたりでも何でも構いません。
悠理/過去シーンができるなら……悠理は、また先輩を助けようとしていたシーンをやりたいです。
GM/オープニングでやったことを、もう一度やるか。……幽霊で?
ノエル/もう一度って……鉄が航に殺される前、捕まっているときのシーンをするとか?
悠理/はい。先輩との会話をもう一度やらせてください。
GM/牢屋の格子越しでの会話をしよう。ルージィルを飛ばし、マリアベルとサクラを逃がし、牢屋に捕らえられた鉄のもとに、悠理が駆けつける。……これで3度、いや、4度目の場面に悠理の魂はやってきた。
悠理/……先輩。
オーウェル→鉄/……うるさいのが来た。ところでお前、透けてない?
悠理/もう先輩の話は聞きません。問答無用で牢屋の鍵を開けて出そうとします。無理矢理にでも出させます!
当真/強行突破できやがったな。
鉄/いい。やめろ。
悠理/やめません。このままでいたら、先輩、取り返しのつかないことになります! 自分が航先生をなんとかしておきますので、早々にここから立ち去ってください!
鉄/……なに、そんな必死になってるんだ?
悠理/貴方に何を言っても変わらなかったからですよ! 自分が人生3周目だって明かします!
ノエル/言った。
憲子/3周目どころか幽霊だからチャレンジ4回目だよ(笑) 鉄、それ信用するかな。
悠理/先輩、この後、先輩は死にます。航先生によって殺されるんです。それを自分はもう、3度も見てきました。自分が生きてくださいと仕向けても貴方は死んでしまいます。3回も貴方が死んでいく姿を見ているんです! 4度目は、これ以上はもう嫌ですよ!
鉄/…………。お前、人生3度目なのか。
悠理/はい!
鉄/俺が知らないうちに世界が2回とか3回とか……あったんだなぁ……。
悠理/なに感心してるんですか!?(笑) 信用してくれていますよね? 貴方は何度も同じことを言って僕を無視するんですよ! いいかげん聞いてください!
鉄/そんなに怒るな。本当にうるさい奴だな。……何回もお前に同じことを言うのか、俺?
悠理/言うんですよ。
鉄/なんて? ……いや、言われなくても俺が言うことだから判るか。……ちょっとホッとした。
悠理/は? 何がホッとするんですか!?
鉄/俺は多分こう言っただろ? 「P-27と、GP-01を、頼む」って。前にあった世界とやらもお前のおかげで2人は幸せになったんだなって思ったら、あの2人を置いてきた側としてはホッとした。良かったー。
悠理/…………。
鉄/…………。
悠理/…………。
鉄/……あれ? 言ったよな、前の俺?
悠理/…………。
鉄/俺に頼まれて、『悠理は任されてくれたよな』? 『オーウェルが2人からトフィを任されたみたい』に。もう、『信頼できるお前にしか頼めないから頼んだ』のだけど……。

「……………………」
「悠理?」

 鉄自身がどう想っているのか、鉄にしか判らない。
 だが悠理には、その目が、

『俺との約束を、守ってくれなかったのか?』

 にしか、思えなかった。
 悠理には、彼が信頼して頼み込んできたことに対して何一つしてこなかったことを、責めているように思えてしまった。
 たとえ鉄が微塵もそんなことを考えてなくても。


鉄/俺はずっとマーサーのノーパソで『月姫』プレイしてたからセッション風景を全然見てなかったけど……ああ、一度もルージィルとGP-01は出てきてくれなかったの? トフィみたいに引き取るとか、しなかった? そっかー。別に構わないけど。
悠理/ああああごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいい!
鉄/俺の頼み聞いてくれなかったか。別に構わないけど。
当真/ナチュラルに悠理を追い込むなッ!(一同笑) いやだって、あれ一方的な約束だったし! 約束になってなかったから! 悠理は気にするなって!(笑)
悠理/ああああでもおおおお先輩は悠理を信頼してP-27達を任せるって言ってくれたんですよねええええなんでP-27達を思いやるロールとか一度もしなかったんだろおおおお全然考えてなかったあああああ! 「先輩との約束なら何としてでも守ります!」って言ったのにいいい!
鉄/(素の声で、励ますように)いや、本当に悠理は約束を叶えてくれなくたって構わないんだって。責めてないって。ちょっと鉄が失望しただけだから!
当真/尊敬する人に失望される最期。
GM/悠理は他人のことを考えているようで、実は自分のことしか考えてない人間だったってことだよ。
悠理/ああああごめんなさいいいいいい!
憲子/だ、男子ぃ! マジレスやめなよぉ……!(笑)

 未練の塊として現れた悠理の魂は、消えた。

 何も言えず、何も救えず、自分の過ちに気付いてしまって、いたたまれなくて……何も無かったかのように、消えた。
 機関の牢屋の空間に残されたのは、ただひとり。彼は望んだ最期を迎えるだけだった。何も変わらない。……全て最初から決まった運命の通り。


ノエル/これでもかってぐらい救いが無いエンドじゃん。
悠理/でもぉ……ドリスアトゥーニに比べれば……。
当真/そこと比べるなよ。でも悠理の「いたたまれなくて逃亡からの霧散エンド」は同レベルで悲惨だと思うが?(笑)


    ◆


当真/せっかくだから、ノエルと一緒のエンディングがしたい。
ノエル/OK。ちなみにノエルはトフィに「この手紙を読んでいるということは、もう俺はこの世にいないでしょう……」がやりたかった(一同笑)
GM/トフィに手紙を送る? それを受け取るシーンをしようか。……おーい、トフィを預かったオーウェル〜。
鉄→オーウェル/ちょうどネロ・カオスが倒せたところです。
サブGM/キリ良く『月姫』前半部までプレイできました!(笑)
GM/吸血鬼退治の仕事を終えたオーウェルとトフィのシーンをしよう(笑) トフィは……当真達に機関の研究所から誘拐、いや、救出されてから、色々と勉強して人並みの生活を得た。その中でハンターのオーウェルのお手伝いもできるようになった。
オーウェル/いっぱい敵を倒したな。はじめてのおるすばん、いや、はじめてのおつかい良かったぞ。
サブGM/大好きでもここシリアスなんだから はじるすヤメろ(笑)
GM/(トフィになって)「吸血鬼退治、死ぬかと思った! ……でも、勝てた!」
オーウェル/ああ、勝てた。お前が援護をしてくれたおかげだ。……初陣みたいなものだったのに、よくやってくれたな。いいこだ。
GM/「戦闘訓練はいつもしてたから! 当真とノエル、褒めてくれるかな?」
オーウェル/2人が帰ってきたらいっぱい自慢話をしてみろ。あいつら、全力で褒め倒してくるだろ。……お前が成長していく姿、凄く嬉しがっていた2人だから。
GM/「うん。いっぱい褒めてもらう!」 これ、トフィの初陣仕事だった?
当真/そういうことになったな。
GM/「……最初に当真とノエルに見てもらいたかったなぁ。あ、別にオーウェルが嫌って訳じゃないけど!」
オーウェル/判ってるから気にするな。その気持ちも判る。でも、今日はあいつらがいなくて良かったんじゃないか?
GM/「なんで?」
オーウェル/初陣なりに格好悪い姿もいっぱいあった。どうせ見せるなら、強くて格好良い姿を見せたいのが男ってもんだろ。……次、完璧な姿を2人に見せてみろよ。
GM/「……うんっ!」 で、そんなトフィのもとに手紙が届くんだっけ?
ノエル/届いちゃうんだな。……幽霊になってそんな2人のやり取りを見てます。
当真/俺も隣で、幽霊になって見てます。
GM/トフィ達は気づかない。「早く当真とノエル、帰ってこないかな〜。他のみんなも待っているのに!」とずっと帰りを待ってる。
ノエル/……これから俺達の訃報を聞いたら、悲しむんだろうけど。やっべー、幸せ。
当真/なんで幸せなんだよ? 俺達、死んじゃってもう会えないだろ。絶対泣くぞ、あいつ。
ノエル/でも生きてるじゃん。あんなに笑って、誰かと話してる。ギガースの中で死ぬんじゃない。生きてる! こんな人生を作れたこと、幸せじゃない!?
当真/…………同時に、俺達は不幸も作ったやん。これからトフィ達を悲しませることと、オーウェルにあいつを押し付けたことと、それと……また別のパイロットを犠牲にしたこと。
GM/にゃー。
ノエル/そうだね。でも、今……俺が感じているのは、幸せの方が強いんだ。

「トフィは、これから生きる。当真や俺が死んだのを知って悲しむけど、これから生きていてくれる。
 ギガースの中、閉ざされた人生じゃない、未来があってこれからどうなるか判らない人生を送ってくれる。やっぱりそれを俺が出来たこと、幸せだよ。誰かを犠牲にしてでも救えたことは、無駄じゃなかったよ!」

「身勝手な奴やなぁ。生まれ直したときから能天気で、死んだ後も能天気かい。
 そんな清々しいハッピーエンドじゃないぞ、この世界は。……まあ、でも、バッドエンドとも言い切れないかな。
 生き残ったトフィが、何も先が無かったエルフ型ホムンクルスの奴がどうなるのか、バッドなのかハッピーなのか俺が決めることじゃないからな。
 ……これからは、こうやってお空から見守ってお前を褒めていく。それで許してな、トフィ」



 アナザーワールドSRS
    『 ワンアンドアナザー番外編3 無貌の雪 』   END






END

このシナリオをサブGM・マーサーが15年後にリメイクした『令和版 無貌の雪』を読む

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