アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 第1話『 はじまりのゲーム 』 1ページ ■
1998年〜2004年(仮想リプレイ公開2017年3月3日)




 ●前書き

 このリプレイは、1998〜2004年にマーサーが中心になって企画したオリジナルTRPGセッションを、ノートに書かれた記録と記憶のみで再現した『仮想リプレイ』です。
 1996年に発売された『RPGツクール2』でオリジナルゲームを作ろうという企画から、ノートで大勢と話しているうちに作成されたオリジナルTRPGは、のちの『アナザーワールドSRS(以降、AW)』の基盤となっていきました。
 「『AW』に繋がる全ての原点を、もし『AW4版』でプレイしてみたら?」という想定で執筆されています。
 ストーリー展開は当時のまま、GM進行・判定・ダイスロール結果は2017年現在の『AW』のルールに則っております。

 約20年前に起こされた『ゼフィロス』という世界の原点を、どうぞあたたかい目で見守っていってください。


 ●プリプレイ

GM/それじゃあキャラを作っていこう。キャラを作ったら、「こういうシナリオがやってみたい」というリクエストを頂戴ね。みんなの注文をお題にしてシナリオを作っていくから。
プレイヤー3/『もののけ』がやりたい。ようやく『もののけ姫』を観られたから。
プレイヤー1/陰陽師がやりたい。
プレイヤー5/陰陽師?
プレイヤー1/『ファイナルファンタジー タクティクス』でそういうジョブがあったんだ。なんかよく判らないけど漢字をいっぱい使うジョブ。
GM/それって一応、魔法使いのジョブなんだよ……やるとしたら頭悪そうな説明しか出来なそうだな(笑) ハンドアウトは用意しているよ。キャラ先行で作ってほしいけど、思いつかなかったらハンドアウトを参考にしてね。



 「アナザーワールドSRS・シナリオ〜ワンアンドアナザー第1話〜はじまりのゲーム」



【レギュレーション】
 キャラクターレベル3で開始。
 追加クラス[アーティスト][イレギュラー]禁止。追加ライフパス禁止。『異端堕ち』ルール禁止。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:赤い精霊  関係:興味  推奨クラス:魔術師 or 感応力師

 君はN市にやって来たばかりの能力者だ。
 引っ越して数日しか経っていない君は、まだ慣れていない中央駅でオロオロして困っている『赤い精霊』を発見した。
 兄弟と逸れてしまってこのままだとお茶会に遅刻してしまうという。助けてあげなくては。
▼セカイのイベント:赤い精霊を助けてあげる
▼コネクションNPC1:赤い精霊

 PC達にしか視えない人外。ひとりぼっちで頼れる人がいないので困っている。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:幼馴染  関係:旧友  推奨クラス:闘士 or 聖職者

 君はN市で久々に出会う幼馴染と再会の約束をしていた。
 中央駅で待ち合わせをしていると、真剣な表情の幼馴染が現れた。
 「あそこに居るPC1はこの後、死ぬ。自分の≪未来視≫がそう告げている」
▼セカイのイベント:PC1を助けてあげる
▼コネクションNPC2:幼馴染

 [世界遣い]の能力者。未来が視えたり時間を操る能力を持っている。
 大人しい性格で、死を予言してしまったPC1に話し掛けていいのか迷っている。

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:異端犯罪者リゲル・イル・サディスト  関係:目標  推奨クラス:狩人 or 異端者

 君は、精霊遣いの異端犯罪者リゲル・イル・サディストの討伐任務を受けた能力者だ。
 どうやらターゲットはN市に出没したという報告がある。
 N市にやって来た君は、訪れた中央駅で不思議な存在に出会った。見たことのない精霊だ。
セカイのイベント:異端犯罪者を討伐する
▼コネクションNPC3:異端犯罪者リゲル・イル・サディスト

 ダークエルフの精霊遣い。
 派手かつ好戦的な性格で、大勢が居る場所でも能力を使った殺人を行なおうという危険人物。


GM/それでは……キャラクターメイキングが終わったことだし、自己紹介をしていこう。

プレイヤー1(以降、ジーク)/【ハンドアウト:PC1】を選びました。キャラクター名は、ジーク=ドレーパー。20歳の男で、陰陽師です。
GM/……結局GMは陰陽師が何なのかいまいち判っていないんだけど、プレイヤーは判っているの?
ジーク/陰陽師はアレだよ、漢字をいっぱい使う格好良い魔法使いだよ。なので漢字をいっぱい使う魔法を使います。「不変不動!」とか叫んで戦います。
プレイヤー2/≪不変不動≫はバステ回復特技で戦えないけどな。
ジーク/滅多に本気は出さない主義です。『ライフパス/特徴』が「身体的特徴〜」が出たので「でかい」にしておきました。身長はダイスを振ったら198センチになったよ。父親はオーガ族、母親は人間のハーフという設定です。
プレイヤー4/巨人族の子なんだ。
ジーク/ハーフということで半端者扱いされて何か過去にあったんじゃないかな? 知らんけど。いつもは実力を見せない非戦闘主義なので、攻撃は全部他人に任せます。でも≪対人交渉力≫はあるから後衛は任せて!
GM/巨人族であることは人外のキャラが作れるからいいが……。名前が「ジーク」だけど、どこの国の人なの?
プレイヤー2/ジークはドイツ語で『勝利』だな。『ジークフリート』とか北欧神話とかでいるしドイツ人だろ。
ジーク/俺ドイツ人なの? 凄いな。ドイツ人も陰陽師っているんだ。凄いな。漢字できるんだ。凄いな。
プレイヤー5/もう喋るな、どんどん馬鹿が露呈する(笑)

 ジーク=ドレーパー
 クラス:[感応力師1/霊媒師1/異端者1] ※アイコン「ちびメーカー」
  体力:10(+3)  反射:11(+3)  知覚:12(+4)
  理知:15(+5)  意志:13(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:18  MP最大値:22  正気度:9
重要キーワード:人ではないもの  背景:身体的特徴(でかい)
特徴:中性的である  ボーナス効果:≪対人交渉力≫
職業:陰陽師  性別:男  年齢:20
 感応力師→≪念動障壁≫ ≪テレキネシス≫ ≪不変不動≫
 霊媒師→≪清浄の使者≫ ≪御符≫
 異端者→≪悪喰らい≫ ≪美しき我が世界≫

プレイヤー2(以降、スウィフト)/ジークと同じ【ハンドアウト:PC1】を選びました。名前はスウィフト。偽名です。家を飛び出して「化け物退治の賞金稼ぎでもしようかなー」って気分でコードネームを決めた名前がスウィフトです。
GM/異端退治のハンターなんだ? なんで家出したの?
スウィフト/実家が凄くでかい魔術の一門で、後継者問題が面倒臭くなったから。なので魔術の腕は昔から修行していたので良い。今はジークと一緒にフラフラしています。
ジーク/フラフラしてたらN市に来ました〜。
スウィフト/きっとジークと中学が同じ仲だったとか……。いやそりゃないな、相手はドイツ人の巨人だし(笑)
ジーク/ジークは漢字がカッコイイって思って日本に勉強しに来た。スウィフトの実家で修行してたのかもしれないよ?
プレイヤー5/漢字がカッコイイだけなら中国に行かないのか……(笑)
GM/どんどんジークの馬鹿が露呈していく。……クラス編成も[魔術師]特化だし、完全後衛火力系だね?
スウィフト/攻撃特化です。身長は低め。食べることが好き。あと『ライフパス/重要キーワード』に「従者」があるから、きっと良くしてくれる弟分みたいな人がいます。何かあったらそいつに頼ることにしよう!

 スウィフト
 クラス:[魔術師3] ※アイコン「ちびメーカー」
  体力:10(+3)  反射: 6(+2)  知覚:12(+4)
  理知:15(+5)  意志:18(+6)  幸運:12(+4)
  HP最大値:16  MP最大値:27  正気度:11
重要キーワード:従者  背景:(いいとこ)の子供だ
特徴:カレー好きである  ボーナス効果:≪薬物取得・興奮剤≫
職業:魔術師  性別:男  年齢:17
 スキルウェポン→≪魔導書≫
 魔術師→≪魔法のローブ≫ ≪幻想式≫ ≪火炎術式≫ ≪ニュクスの冠≫ ≪魔の感知≫ ≪刻印増強≫
 一般特技→≪興奮剤≫

プレイヤー3(以降、オーウェル)/【ハンドアウト:PC2】を選びました。名前はオーウェル=ドレファス。種族はエルフです。
GM/エルフ?
スウィフト/あれ? 『もののけ』にするって言ってなかったっけ?
オーウェル/名前表を振ったらしっくりくる名前がカタカナばっかりだったから、もっと西洋的な人外種族にしてみた。だから絶滅寸前のエルフ族の騎士です。
GM/絶滅寸前!? 絶滅しかけてる設定なんだ!? なにそれ!?(笑)
オーウェル/何者かによって村を焼かれて今やエルフは数える程度しかいなくなってしまいました。その何者かに復讐するためにハンターをしています。このキャンペーンでそいつを倒すことが目的です。
プレイヤー4/おおおー、いきなりハードな設定だー(笑)
GM/おおお……種族を絶滅させるほど凄い奴をラスボスにしなくては(笑) なら、ハンドアウトの幼馴染もエルフの生き残り?
オーウェル/そういうことになる。幼馴染の名前は……(名前表をころころ)マクエールで。この感じだと男かな? 俺の身長は175センチだからそれよりもチビのエルフでお願いします。弟的な存在だと思っているかも。
GM/じゃあマクエールは160センチぐらいの子供のエルフで……ってエルフの年って長寿なんだっけ? じゃあ数十歳かもしれないけど。どうしよ、エルフかぁ……(笑)
ジーク/北欧神話の陰陽師よりは何とかなるよ。
オーウェル/ジークよりは判りやすい設定だとは思うんだが(笑) 普段は一匹狼で一人で活動しているハンターです。よろしく。

 オーウェル=ドレファス
 クラス:[闘士2/稀人1] ※アイコン「ちびメーカー」
  体力:15(+5)  反射:15(+5)  知覚:12(+4)
  理知:10(+3)  意志: 9(+3)  幸運:12(+4)
  HP最大値:28  MP最大値:13  正気度:6
重要キーワード:生き残り  背景:(何者か)が仇
特徴:バイト魔である  ボーナス効果:≪ダイス振り直し≫
職業:エルフのハンター  性別:男  年齢:18
 スキルウェポン→≪片手武器≫
 闘士→≪武闘家の血≫ ≪撃滅≫ ≪鳥躍≫ ≪命の糧≫
 稀人→≪光の一手≫ ≪見通す眼≫

プレイヤー4(以降、ドリス)/名前……名前……全然決まらない……どうしよう……。とりあえず名前表を振ってみる……(ころころ)アスカ……トモコ……ドリス……うーん……。
GM/どれもしっくり来ない? データは誰よりも早く作ったのに(笑)
プレイヤー5/兄弟姉妹の名前は決めたのに、なんで自分の名前が決まってないんだよ(笑) もうドリスでいいじゃん。
ドリス/あ、うん、じゃあドリスにする……女の子の名前はドリスで。クラス編成は[闘士]2レベルで[世界遣い]1レベル、≪両手武器≫で攻撃するし≪禍福のさざなみ≫で大ダメージを与えます。≪命の糧≫で【HP】は高く作ってあるので前線でみんなの前に立てるし、≪逆転運命≫で振り直しをみんなにも自分にも使う万能戦士です。
スウィフト/隙の無い構成だ。
ドリス/さっき「女の子の名前はドリス」と言いましたが、種族は『魔導種族』というもので性別が無い設定です。魔力が高くて自由にコントロールできることが特徴で……大人になったら自分で男か女か好きな方を選べる種族で、まだ成人してないので無性です。
GM/なにその設定!? 凄い滾る!(笑)
ドリス/女子名がドリスってだけで、男の子名もちゃんとあります。体はスラッとしていてペタンコで、いつもズボンを履いていて、一人称は「オレ」なので小柄な男の子か少し力強そうな女性に見える外見です。
GM/選んだのは【ハンドアウト:PC3】だったっけ?
ドリス/はい、ハンターをやってます。た、頼りなさそうなハンターに見えるかもしれないけど頑張ってるよ〜。

 ドリス
 クラス:[闘士2/世界遣い1] ※アイコン「ちびメーカー」
  体力:15(+5)  反射:14(+4)  知覚:11(+3)
  理知:10(+3)  意志:10(+3)  幸運:15(+5)
  HP最大値:27  MP最大値:14  正気度:6
重要キーワード:兄弟姉妹  背景:(ハンター)の伝説を持つ
特徴:母性的である  ボーナス効果:≪耐久力上昇・各+2≫
職業:ハンター  性別:無性  年齢:14
 スキルウェポン→≪両手武器≫
 闘士→≪戦士の勘≫ ≪命の糧≫ ≪熱血の防壁≫
 世界遣い→≪逆転運命≫ ≪禍福のさざなみ≫ ≪絆の断層≫

プレイヤー5(以降、ドレーク)/最後、【ハンドアウト:PC3】で名前はドレーク=イングラム。イギリス人の上級魔族だ。
ドリス/上級魔族?
GM/多くは人型をした異端のことで、死んでも昇華されずに死体が残るタイプの人達のことだよ。主に異端の親玉とかになる。ドレークはどんな異端なの?
ドレーク/吸血鬼かな。生まれつきの吸血鬼で真祖の貴族で、でも後継ぎとかは上の兄姉がどうにかしているので奔放に旅立ってハンターをしている。[狩人]の≪無の射撃≫で、ウズマキから大きな銃を出して撃つ。
GM/ハンターが多いな、さっきから。ドリスと同じ【ハンドアウト:PC3】ってことは、2人は知り合い?
ドリス/こっちの親が海外出張が多くて……イギリスに居たときに会ったとか?
ドレーク/それでいいかな。親御さんも能力者とかで仕事で何回か世話になって、しかも珍しい種族だからめちゃくちゃ血が美味くてハマったとか。
スウィフト/吸われてる。
ジーク/めっちゃ吸われてる。
ドリス/(普通に)えっ、やだ……困る……。
ドレーク/普通に変態扱いされて傷ついたので今のは無しで……(笑) ドリスのことは何とも思ってないことにしよう! 普段から男の方の名前で呼んでるとかで! 名前決まった!?
ドリス/……………………。
GM/また名前が思いつかなくて困った顔してる(笑)

 ドレーク=イングラム
 クラス:[狩人1/異端者2] ※アイコン「ちびメーカー」
  体力:12(+4)  反射:12(+4)  知覚:13(+4)
  理知:12(+4)  意志:12(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:21  MP最大値:20  正気度:8
重要キーワード:放浪  背景:兄弟姉妹に(セレブ階級)がいる
特徴:百戦錬磨である  ボーナス効果:≪耐久力上昇・HPMP≫
職業:上級魔族のハンター  性別:男  年齢:22
 スキルウェポン→≪無の射撃≫
 狩人→≪狩猟感覚≫ ≪圧縮撃≫
 異端者→≪毒の魔弾≫ ≪野獣の鼻≫ ≪悪喰らい≫ ≪飢えし甲冑≫

GM/なんていうか……舞台は日本なんだけど、日本人の名前が無いのが不思議というか。
スウィフト/僕、日本人ですけど?
ドリス/一応、日本人です……(笑)
GM/みんな名前が判りずらいよ! 巨人にエルフに無性に吸血鬼って人外率高いし!(笑)
スウィフト/名前表がカタカナしかなかったのが原因だな。あと、ハンドアウトが精霊とかダークエルフとか多い時点でそうなったんだと思う。
GM/な、なるほど……? それではシナリオ本編を始めまーす!


 ●オープニングフェイズ1/ジーク&スウィフト 〜なんか赤いの〜

GM/まず最初に、ジークとスウィフトのオープニングシーンから。
ジーク/はーい。
GM/君達は今、N市にある中央駅にいる。最近N市にやって来たばかりであまりこの街のことは知らないが、都心にも近く、それでいて大都会すぎないこの街は……人知れず人を脅威に陥れようとしている異端と戦う能力者としては生きやすい場所だった。今日は特に仕事も無いオフの日です。適当に駅にいてください。
スウィフト/ふむふむ。じゃあ、駅のカフェにでも入って適当に行き交う人々を見ていることにしようか。GM、今の時間は何時ぐらい?
GM/正午より前。11:30ぐらい。
ジーク/スウィフト。オレもそろそろ偽名に変えようと思うんだよね。
スウィフト/なんでまた?
ジーク/借金の取り立てが怖い。
スウィフト/[魔術師]はいいぞ。≪千枚皮≫で誰にでも変身できるから。
ジーク/次のレベルアップで[魔術師]になるべきかな。って既に3クラス分が埋まってるから無理か。あーあーどっかに金になる何かが落ちてないかなー?
スウィフト/困っている人を見かけたらさりげなく声を掛けて恩を売っていこう。金持ちそうな老人が狙い目だよ。
オーウェル/……お前ら、クズいな(笑)
ジーク/生きるためには仕方ないっていうか?
スウィフト/実家に帰ればいいんだけどね。
GM/君達がそんなクズい会話をカフェで楽しんでいると、あらら……駅の真ん中で、オロオロしている小さな赤い何かを発見する。どうやら普通の人の目では視えない存在らしく、妙な姿でも人々は困っているそれを素通りしていく。
ジーク/おや? どんなの?
GM/赤くて、頭から牛の角のようなものが2本生えた……小さな2.5頭身ぐらいの精霊だ。猫型ロボットぐらいの大きさがある。
ドリス/ドラえもんだ。
ジーク/赤いからミニドラだろ?
スウィフト/ミニドラだと小さすぎるじゃん。赤くて牛なんだからエルマタドーラだよ。
GM/ドラえもんなんて立派な名前を出しちゃいけない。エルマタドーザは駅をウロウロしている。
ドリス/……ドザエモンズ……?(笑)
ジーク/なにあれ面白そう! 見て見てエルマタドーザだよ! カフェから出て声を掛けよう。おーい、何かお困りかい?
GM/エルマタドーザはビックリして、近寄ってきた背の高いジークを見上げている。「おおお……オレの姿が視えるのか……?」
ジーク/うん、オレは能力者で[霊媒師]だからね。さっきからオロオロしているみたいだったけど、どうしたのかな?
GM/エルマタドーザは泣き出して小さな腕でぎゅーってジークに抱きついてくる。「聞いてくれよ〜! 兄弟と逸れちゃったんだ〜! このままだとお茶会に遅れちまう〜!」
スウィフト/お茶会?
ジーク/お茶会かぁ、大層なご身分だね? 集合場所はどこだって約束してないのかな? もしくはそのお茶会の場所に先に行ったのかもしれないから、そっちに向かってみるとか。
GM/エルマタドーザはグスグスしながら、「う、うん……集合場所は決めてない……お茶会の会場は……えっと……兄弟が知ってる」。どうやらかなり心細いらしい。
ドリス/……エルマタドーラに泣きつかれてる。可愛い(笑)
ジーク/んー、じゃあ兄弟を発見してあげればいいかな? ところで君はちゃんとお金は持ってる? お金に代わる価値のものとか持ってたりしない? お礼って後で支払える? できれば足がつかない現金払いで。
オーウェル/やんわりとした恐喝だ!(笑)
GM/それならエルマタドーザは「お兄さん、好きな人とかいない?」って尋ねてくる。「恋のキューピットにならなってあげてもいいぜ!」
ジーク/詳しく。
GM/「なんてったってエルマタドーザは愛を司るからな、セニョリータ! 気になるあの子の心を奪う手伝いだったらしてあげられるぞ!」 ひょいっと先端にハートが付いた弓矢を、お腹のポケットから出す。
ドレーク/猫型のくせに天使なのか、こいつ(笑)
ジーク/別にそういうつもりはちっともオレには無いんだけどね。でもその弓矢をくれるなら全面協力も辞さないよ?
GM/「使ってあげるだけじゃ駄目?」
ジーク/オレが使わなきゃ商売できないじゃん。好きな人の心を奪う商売とかわりと受けるよ。オレなら成功するよ。1日10000円でもお客殺到するよ。
ドレーク/クズい。
スウィフト/僕なら1回5000円以下でスタートしてリピーター増やす方に動くよ。
オーウェル/クズの商売に乗っかるなよ!(笑)
GM/とりあえずエルマタドーザはジークに「のび太くーん」みたいに抱きついて協力を願ってきた。そのとき、ジークの胸がドクンと妙に高鳴った。
ジーク/うん?
GM/左胸がジリジリと痛い。まるで胸に焼きごてを押し付けられたかのような……奇妙な感覚を覚える。というところで、シーンエンドだ。


 ●オープニングフェイズ2/オーウェル 〜未来予知〜

GM/次にPC2、オーウェルのオープニングシーンにいこう。オーウェルは中央駅の改札前で、ある人物と出会う約束をしていた。幼馴染のマクエールという少年と出会う約束だ。
オーウェル/時間ピッタリにやって来ます。エルフなので耳が長いけど、そんなの気にしないで。
ドレーク/それだと下手に目立たないか?
オーウェル/目立っていいんだよ、もしかしたら俺を狙ってる『奴ら』が見て襲い掛かってくるかもしれないから。
GM/だ、誰だろう『奴ら』って……(笑) オーウェルは好戦的だが、マクエールは人間達が住まう街での生き方を熟知しているからか……大き目の帽子にゆったりとした服装。目立たないようにしているのが判る。だがその目はエルフ族らしく鉱石のように輝いていて、数年ぶりに出会ったオーウェルは一目で彼だと判った。
オーウェル/よう、マクエール……久しぶりだな。
GM/(マクエールになって)「やあ、オーウェル。久しぶり。村を焼かれてバラバラになった以来だから何年ぶりかな」
オーウェル/まだ5年しか経ってない。その間にも『奴ら』はホビット族まで滅ぼしたって話じゃねーか。
スウィフト/なんか知らんが『奴ら』が酷いことしてるぞ。
GM/ななな何してるんだろうね『奴ら』って!?(一同笑)
オーウェル/何が目的なんだ、『奴ら』は……! あと、なんで俺達は再会したんだ?
GM/マクエールから「話があるから」と連絡があった。会う約束をしたのが3日前、11月28日のことだ。
オーウェル/ということは、今日は12月1日……冬か。マクエール、話っていうのは?
GM/「そう焦るもんじゃないよ。5年ぶりに会ったことだし、そこのカフェで一服しながら……」とマクエールは続けるが、何故か視線はオーウェルではなく別の方向を向いている。チラチラッ。
オーウェル/寒いしどっか店に入るか。と言いながら、チラッとマクエールが気にしている方を見る。
GM/マクエールが見ている視線の先には、背の高い男が屈み込んで猫型ロボットみたいな赤いものと話をしているのが判った。赤い何かは、黒いマントを羽織って頭には角がある。
オーウェル/エルマタドーラだ。
GM/エルマタドーザだ。駅の通路の真ん中で話をしている彼らを、人々は気にしない。もう一人、少年が背の高い青年に近寄っているけど、みんな精霊っぽい何かの方には見向きもしない。人外と話をしている2人がいるのが見えた。
オーウェル/あのデッカイのはオーガ族で、赤くて小さいタヌキなのは精霊か。
GM/エルマタドーザは困ってオーガ族っぽい青年にぎゅーって抱きついている。それを見ていたマクエールが一言。「……あの巨人、死ぬよ」
オーウェル/え?
GM/「オーウェルは知っているだろ。オレに≪未来視≫の才能があるってこと。その能力があの男の人が死ぬってことを告げている。あの人……このままだと、『黒い異端』に心臓を串刺しにされて死ぬ……」 マクエールは思いついたままを口にし、焦り始めます。
オーウェル/そうだ、お前の未来予知は当たるんだった。その≪未来視≫のおかげで俺達は狩りに出かけて村を離れて炎を放った『奴ら』に遭わなくて済んだんだ、お前がいなかったら俺は今頃……!
スウィフト/盛大な能力になってしまった。
ドレーク/この後で俺達は『奴ら』と全面戦争をするんだな?
GM/ぷぷぷプレッシャー掛けるなよぉ!?(一同笑) マクエールはクイッとオーウェルの上着を掴む。大人しい性格のマクエールは、あの巨人の青年の死が視えてしまったものの……それからどうしたらいいか迷っているようだ。
オーウェル/判っている死なら、止めればいいだろ。
GM/「判っていると言っても……彼が死ぬってことぐらいしか判らないんだ……ど、どうしよう?」
オーウェル/マクエールの頭をグシャッと撫でて、ジークの方に近づいていきます。……異端によって殺されるのを、お前が視たんだろ? それだけ知っていれば充分だ。その言葉を信用するし、あいつを助ける。単純なことだ。
GM/おおーっ、ヒーロー力のある言葉だ! 時刻は11:45。マクエールは静かに頷き、オーウェルと一緒にジークの方に近寄っていきましたとさ……。


 ●オープニングフェイズ3/ドリス&ドレーク 〜異端犯罪者を捕縛せよ〜

GM/次に、ドリスとドレークのオープニングシーンだ。2人は現在、ハンター協会からの依頼を受けている。異端犯罪者リゲルを討伐するという仕事だ。
ドレーク/どんな異端犯罪者なんだ?
GM/『異端犯罪者リゲル・イル・サディスト』。ダークエルフの精霊遣いで、非常に凶悪犯ということで指名手配をされている。能力者の異能はどの世界でも隠匿義務があって人前では使ってはならず、なるべく一目につかないようにするという暗黙のルールがある。しかしリゲルは……。
オーウェル/それを破ると。
GM/そう、相手が一般人だろうが何だろうが堂々と異能で殺人を行なう。しかもその理由が「人が苦しむ様が見たいから」という異端そのものの考え。そんな本能で動く快楽殺人鬼でありながら、下級の異端と違って人並みの知能があるから逃亡を続け、何度も事件を起こしているが一向に捕まる気配は無く……。
ドレーク/莫大な報酬金が積まれてそうだな。
ドリス/大変だー……これは早く捕まえないと。
GM/そしてリゲルの使っている精霊魔術がなんとN市で確認された。リゲル討伐のため2人はN市の中央駅に電車でやって来た。ここは日中、人が多い。そんな中でも奴は現れる。顔写真や能力はハンター仲間の資料で見せてもらえたよ。黒い長髪、黒い肌の男だね。
ドリス/悪そうな顔……。
ドレーク/頭の悪そうなツラだ。だから何も考えず人前で異能をぶっ放すんだろうな。気を付けろよ。
ドリス/ドレークこそ。見つけたからってウズマキからいきなり銃を出すとか駄目だよ。
GM/さて、2人は中央駅に降り立つ。そこそこ人通りの激しい時間のホームに降りると……見たことのない精霊を発見する。
ドレーク/早速、精霊のおでましか。
GM/しかしその精霊はリゲルの使う小鬼ではない。もっと丸っこい……2.5頭身ぐらいの布をぐるぐる巻かれているようなロシアっぽい格好の猫型ロボットっぽい何かが、フガフガと困っている。
スウィフト/フガフガ?
ジーク/ドラニコフだ!
GM/ドザニコフだ。どうやら誰か仲間を見つけられずにいて困っている。精霊らしく他の人はドザニコフをスルーしている。
ドリス/……このセッション、ドラえもんズが全員出るの?(笑) 困っているなら近寄って声を掛けてみる。君……大丈夫?
GM/ドザニコフはビックリ。キューンと耳を下げたまま、覗き込んでくれた君を困った目で見つめている。どうやらこいつは言葉がうまく喋れないらしい。
ドリス/喋れないんだ? こっちもキューンって耳を下げてしまいます。……ドラニコフ、可愛い(笑)
GM/ドザニコフだ。ドリスが精霊と目と目で会話しているとき、ドレークは違うものを発見してしまう。魔術で偽装しているがリゲルと思わしき男。水晶玉を手にした黒い肌の男が、ホームから改札に向かう姿を。
ドレーク/……って、居た!?
GM/普通の浅黒い肌の人間に化けているリゲルは、改札に向かう登りエスカレーターを昇っていく。幸い追いかけているドレーク達の存在には気付いていないようだ。
ドレーク/おい坊主! 猫型ロボットは後にして獲物を見失うなよ! 注意して追いかけます!
ドリス/あ、でもドザニコフ……放っておいたら困ったままだよね。……ねえ、オレについて来てくれる……?
GM/迷子でフガフガ困っていたドザニコフは、優しそうな人を信用して手をギュー。
ドリス/可愛い、丸い手でギューしてくれてる……(笑)
GM/いきなりターゲットを発見した2人はホームを走り出す。時刻はもうすぐ11:55。では、共通のオープニングにいこう。