アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 番外編2『レジスタンス編』 1ページ ■
2005年(仮想リプレイ公開2020年3月21日)




 ●オープニングフェイズ1/悪夢の夜、はじまり。

 炎の中にいた。

 一体、何が起きたんだ?
 機関の本丸があるという陵珊山に突入した。機関を打ち破るレジスタンスとして!
 悪逆非道の限りを尽くしてきた研究所がついにお縄につくことになった。逮捕状を裁判所から貰ってきて、警察と一緒に突入したんだ。
 そしたら突然地震がして、建物が壊れて、崩落する施設から逃げ出せたと思ったら……目の前にはトンデモナイ巨大な化け物!
 それを見た者達は正気を失い、発狂して、大混乱して殺しまくって……。

 その一つの凶刃の餌食になって、倒れた。
 ああ、こんな所で死んでしまうなんて……酷い最期だ……。

 気付くと、炎の中にいた。

 一体、何が起きたんだ?
 機関の本丸があるという陵珊山に突入した。レジスタンスとして! ……あれ、これ、さっきやらなかったっけ?


 塩崎 タツヤ(しおざき・たつや)
 クラス:[狩人7/アーティスト2] ※アイコン「ひよこ男子」
  体力:15(+5)  反射:12(+4)  知覚:15(+5)
  理知:12(+4)  意志:16(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:35  MP最大値:32  正気度:9
重要キーワード:専門  背景:自慢できる自動車がある  特徴:拝金主義である
ボーナス効果:≪L:ダメージ上昇≫  スキルウェポンのイメージ:弓矢
職業:雇われハンター(整備士)  性別:男  年齢:25  身長:173cm  髪色:青  瞳色:青
 スキルウェポン→≪無の射撃≫
 狩人→≪悪雨≫ ≪射法訓1・2≫ ≪狩猟の銀手1・2≫ ≪圧縮撃≫ ≪覇魔矢≫ ≪狩猟感覚≫ ≪技芸の雨≫ ≪零力射撃≫ ≪食料調達≫ ≪乱れ撃ち≫ ≪神域の耳≫
 アーティスト→≪ミネルヴァ≫ ≪クリエイション≫ ≪エアライダー≫ ≪トランキライザー≫
 一般特技→≪強化手術:体力≫ ≪強化手術:意志≫

▼タツヤの設定
 弓使いのハンター。本業は整備士で、いつもツナギ姿をしている。機械いじりが趣味で仕事の青年。
 自動車製造工場で働く傍ら、能力者同士の噂から機関やエルスが異能を駆使した兵器を開発していたことを知る。
 機関の悪行を耳にするようになり、機関に対抗するレジスタンスからも協力依頼を受けるようになった。
 何度もレジスタンスを助けてきたことから、最大の戦いになるだろう陵珊山へのカチコミにも参加することになる。
 聴覚が超人的で、音を聞いただけで物の状態、種類などを言い当てることができる。また、料理上手で洋酒通。


 アトゥーニ・ナルダーク
 クラス:[領域遣い9] ※アイコン「好きな顔メーカー」
  体力: 9(+3)  反射: 9(+3)  知覚:12(+4)
  理知:15(+5)  意志:16(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:25  MP最大値:44  正気度:10
重要キーワード:アイドル  背景:たくさんの男性に愛されている  特徴:正々堂々としている
ボーナス効果:≪L:対人交渉力≫  スキルウェポンのイメージ:水と氷を操る
職業:エルスの錬金術師  性別:女  年齢:17  身長:154cm  髪色:青  瞳色:青
 スキルウェポン→≪大地の一撃≫
 領域遣い→≪武装粒子1・2・3≫ ≪強化術式≫ ≪彼方の音≫ ≪元素の陣形≫ ≪箱舟の主1・2≫ ≪大地の守護者≫ ≪成長促進≫ ≪爆散≫ ≪爆砕≫ ≪爆界≫ ≪氷河の城≫ ≪錬金術師の指≫ ≪鏡像≫ ≪食物錬成≫ ≪全方位視覚≫

▼アトゥーニの設定
 水と氷遣いの錬金術師。ロシア人。
 爆発力のある異能を操る、錬金術師協会エルスの研究員。
 エルスと機関はかつて関係を持っていたが、方向性の違いで断絶。機関と繋がっていた頃のことは知らないが、少なからず機関に対して「何をしていたか知りたい、暴きたい」という興味があった。
 新しく活動を始めて盛んになっているレジスタンスについて行けば、謎の組織・機関の研究成果を知ることができるかも。そう思い、レジスタンスに参加。陵珊へ突撃する部隊になる。
 明るく可憐な美少女。性格はしっかり者。興味があるものが出来たらフラフラとどこかに行ってしまう悪癖がある。ちょっと背が低いのが悩み。


 上門 ときわ(かみかど・ときわ)
 クラス:[闘士4/霊媒師2/聖職者3] ※アイコン「少年製造機」
  体力:15(+5)  反射:12(+4)  知覚:12(+4)
  理知:12(+4)  意志:13(+4)  幸運: 9(+3)
  HP最大値:56  MP最大値:29  正気度:8
重要キーワード:末裔  背景:(社長)見習いだ(った)  特徴:潔癖症である
ボーナス効果:≪L:ファンブル無効化≫  スキルウェポンのイメージ:マシンガン
職業:元機関  性別:男  年齢:19  身長:160cm  髪色:黒  瞳色:青
 スキルウェポン→≪蒼の衝撃≫
 闘士→≪命の糧≫ ≪武闘家の血≫ ≪聖戦士の血≫ ≪戦乙女の知恵≫ ≪戦士の勘≫ ≪鳥躍≫ ≪斬り返し≫
 霊媒師→≪視えない腕≫ ≪水霊操作≫ ≪守護霊≫
 聖職者→≪悔改めよ≫ ≪母の腕≫ ≪浄発≫ ≪特権階級≫ ≪戦術指揮≫ ≪情報隠蔽≫ ≪式神返し≫
 一般特技→≪強化手術:体力≫

▼ときわの設定
 機関の最高責任者・所長である上門 狭山の息子。
 所長の数多い息子の一人であり、血の繋がりがあるというだけで後継者になれる訳ではない。しかし経営者であり技術者であり能力者であった偉大な父を尊敬し、彼の力になろうと勉学に励んできた。
 しかし、父が営む施設に入り浸るうちに、そこにいた人物……実験のため囚われた人外種族と友情を育んでしまう。
 父のため友情を捨てることはできず、正義感に燃えて父から脱却。打倒機関を目指しながら人外種族を解放しようとしているレジスタンスの活動に参加した。
 (『ワンアンドアナザー 5話』に登場した5歳児、『ワンアンドアナザー 番外編1』に登場した10歳児と同一人物)


  P-27(ぴー・にー・なな)
 クラス:[感応力師6/世界遣い3] ※アイコン「少年少女好き?2」
  体力: 9(+3)  反射:12(+4)  知覚: 9(+3)
  理知:15(+5)  意志:16(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:28  MP最大値:30  正気度:10
重要キーワード:人ではないもの  背景:髪が金色だ  特徴:機械的である
ボーナス効果:≪L:ファンブル無効化≫  スキルウェポンのイメージ:何でもする
職業:レジスタンスの協力者  性別:男  年齢:27歳(固定)  身長:自由  髪色:金  瞳色:碧
 スキルウェポン→≪落下する光≫
 感応力師→≪ターニングセット≫ ≪過去視≫ ≪掌の君≫ ≪サイコメトリー≫ ≪肉体復元≫ ≪アンドショック≫ ≪空間知識≫ ≪逆転運命≫ ≪不変不動≫ ≪不滅の声援≫
 世界遣い→≪未来視≫ ≪電波受信≫ ≪神性言語≫ ≪バベルの唄い手≫ ≪リバース≫ ≪未来の吐息≫
 一般特技→≪興奮剤≫ ≪興奮剤EX≫

▼P-27の設定
 金髪碧眼の青年。27歳から成長することはない、姿が変わらぬ謎の能力者。
 機関に並々ならぬ感情を抱いており、打倒機関のため活動を立ち上げたレジスタンスという組織に最初期から入団していた。
 常に(胡散臭い)微笑みを浮かべ、誰に対しても敬語口調で対応する。温和な態度で丁寧な物腰だが、どこか他人行儀で、体に触れると静電気のように電流が走って他者を傷つけてしまうため、顔以外の場所は手袋をするなど隠している。
 仲良くなった人物には愛称を教えるが、基本的には「P-27」というナンバーのような呼び名を教えている。


GM/12月31日。タツヤはレジスタンスのリーダー・鶴瀬と数人の護衛と共に、機関の本部施設にカチコミに行きました。偉い人と偉い人がぶつかっている裏では、別動隊が乗り込んで重要人物達を逃げないように追い込んでドンパチやっている真っ最中です。
タツヤ/今頃、地下通路から研究所に入り込んだ連中が主任研究員達を捕まえようとしている頃……。
GM/レジスタンスは何部隊かに分かれて、機関の敷地を取り囲んでいます。山の上に建てられた寺と研究施設を取り囲む部隊、別道を使って逃げないように追い込んでいる部隊、リーダーと共に真正面から責任者と話し合う部隊。タツヤはその真正面組に居ます。
タツヤ/裏で戦いに行ってる連中と一緒にいた方が楽しかっただろうなー。って思いながら、お偉いさん達に家宅捜索令状持って押し込もうとしている姿を見ている。
GM/レジスタンス側と機関側がぶつかり、穏便にすませようとしているが一触即発。そんなシーンです。タツヤ以外のPCはどのあたりにいるか設定ありますか?
ときわ/僕は真正面組にいます。社長がお父さんなので、自ら止めに行きました!
アトゥーニ/私は……外で待機組にします。建物の外で、機関側の変な増援チームがやって来たりしないかを警戒してる。
P-27/それでは自分も外で待機し、警戒しておりましょう。
GM/おっ、P-27はオーウェル達に混じっててっきり中に侵入部隊だと思ったけど、こっちなんだ。
P-27/侵入部隊がこれから恐ろしい目に遭うことは≪未来視≫で分かっております。なので外に出ております。
ときわ/確かに未来はそうなるって確定してるんだけどさ……(笑)
アトゥーニ/わー。あの金髪のお兄さんキレイだなー。どこの国の人だろー? ってP-27をジロジロ見てます。
P-27/ニッコリ。
アトゥーニ/ど、どきーっ!(笑)
タツヤ/外はのんびりしてるなぁ(笑) ……中は、怒鳴り合いとか始めてそうなんだけど。
GM/怒鳴り合い、既に始まっています。
P-27/おそらくはリーダー達も白熱しておりますよ。機関側も、ここで自分達のトップが逮捕されれば破滅ですからね。必死に抵抗するでしょう。
アトゥーニ/どれくらい抵抗するかなぁ。
P-27/私の考えでは、施設入口1階お客様ロビーに20人から30人の人達がブロックしているのではないでしょうか。
アトゥーニ/裁判所から令状が出ているのだから、穏便に道を譲ってくれないのかな。
P-27/ここは彼らの巣ですから難しいかと。ニコニコ。
アトゥーニ/一触即発も秒読み段階だけど、こっちの被害が出ないといいけど。
P-27/数十人は死ぬかもしれませんね。ニコニコ。
アトゥーニ/その死ぬ中にタツヤ達はいるんだよね。ガンバッテー。
タツヤ/当たり前のように不吉な話をするな!
GM/実際リーダーやタツヤの前のロビーには80人ぐらいが待ち構えています。凄い殺気で「出て行けオーラ」を出してます。帰れ帰れ! 警察に話すことなんかねえ、帰れ! おら責任者出てこい! てめーらの悪事を暴いてやりにきたんだよぉ! ヤクザな感じです。
タツヤ/あー……。これ、いつ収拾がつくんだ?
GM/なかなかつかない。
タツヤ/うーんんー……。何かドーンと事が進むキッカケがあればいいんだが……。
ときわ/タツヤさん。もうこのまま許可を取るとかおいといて正面から所長室に殴り込んで誰よりも先にボスの鼻面をぶん殴りたそうな顔をしてますね。やりますか?
タツヤ/俺そんなこと一言も言ってないしどんな顔だよ!?(笑)
ときわ/機関がどんな酷いことをしてきたか、それはレジスタンスで活動している中で充分に思い知ったでしょう! ここには正義の警官達も刑事さん達も一緒に駆けつけてきてくれているんです。僕らの正義を実行しにいきましょう!
タツヤ/いや待て待て! 強行突破に来たとはいえ、お前一人が突撃したって何になるんだよ!?
ときわ/僕の顔をお忘れですか!? 突然ですが前に出ます!
GM/なんだこのチビ?
ときわ/拳銃ぶっぱなします。
タツヤ/ぶっぱなさない! ≪零力射撃≫!(笑)
ときわ/フンッ! 良識的なPCがいてくれて感謝することですね! 僕が凄腕ガンマンだったら頭パーンでしたよ! 凄腕ガンマンではないのでぶっぱなしてもミスって何だコイツって状態でしたが! 所長の息子風情が出たところで何ができるんだって気分ですが前に出てふんぞり返りたかっただけです!
タツヤ/何がしたいんだよお前は!?(笑)
GM/では、そんな大勢の押し問答の後ろから……上門所長が現れる。機関の責任者であり、スーツ姿で威厳のある中年男性だ。……さっきまでヒートアップしていた空間が、凍る。迫力のある男の登場に、全員が震え上がったかのように。
タツヤ/あっ、来た……。
GM/機関側で対応していた職員も、小さく震えているのが分かる。額に汗をいくつも浮かべている。それはレジスタンスの一同を相手にしていたからではなく、所長自ら対応に前に出てきてしまったからだ。
タツヤ/……震えているほど、怖い?
GM/さっきまで押しくらまんじゅうで暴言で追い返そうとしていた職員が、ボソッと……忠告をするように言う。「い、命が惜しかったら所長に失礼な言動はしないでくれ……目が遭っただけで心臓が止まるほど恐ろしい人だ」
タツヤ/そ、そんなに……!?
GM/男は低い声で前に出る。「自己紹介しよう。私が超人類開発研究所機関理事長である上門狭山だ。警察の皆様方が揃って御用のようだが、諸君には何かしら誤解があるようなのでまずは質疑応答の場をご用意を」
ときわ/お、お父さん、カッコイイ……! でもここは心を鬼にして言います! もう機関の悪事は暴かれているのです! それを糾弾しに、裁きに僕達は来たんです! 早く捕らわれの皆さんを解放してくださーい!
タツヤ/ちっさいのが、わーわーしてる……(笑)
GM/「ときわ」
ときわ/はっ、はい!? ……「気を付け」する。
GM/「……お前はこんな所で何をしている。息子として、私を支える幹部として育ててやった恩を忘れて家を切り捨てたお前だ。さぞ崇高な意思があって家を飛び出したのだろう? いずれ育った場所から飛び立つものだと理解していた、だが、こんな連中と遊び惚けていたとはな。私は19年掛けて家に泥を塗ることを教えてやった訳ではないのだが?」
アトゥーニ/めっちゃ怖い声で怒ってる。
ときわ/あっ……うっ……。そ、そうです! お父さんは僕に19年掛けてそんなことは教えてません! 本当に、良い教育をしてくれました! 正義とか、なんかそういう正しいコト!
タツヤ/ふわっふわしてんな!?(笑)
ときわ/お父さんとっても凄い経歴で大きな会社を持っていていっぱい職員のいる研究所の一番トップなんですよ!? グレイトな人に決まってるじゃないですかー!
タツヤ/グレイトな人って……お前どっちの味方なんだよ(笑)
ときわ/レジスタンスの味方ですよ! ……だって! どんなに凄い研究成果を出してるアンビリバボーな組織だったとしても! 貴方達はいっぱい人を殺し過ぎた! 罪無き種族を身勝手に殺し続けた! そして今も殺そうとしている! 地下で何十人も捕らわれていて、なお不当な扱いをされようとしているのだと……別動隊が見ているのです! 今まさにそれを暴いている真っ最中なのです! 悪行は裁かれるべきです、お父さんは早く罪を認めてみんなを助けてあげるべきなんです! 僕達は正義で正義はなんかカッコ良くクールに色々やって結果的には勝っちゃうんですッ! っていうか危ない研究とか邪神召喚の準備とかなんでこんなことしたんですか! もぅーっ!
タツヤ/ぜーはーぜーはー(笑)
GM/……リーダーがぶつけるべきことを、ときわが所長に全部ぶつけてくれたな(笑)
ときわ/泣きながら喚きながらお父さんに言っちゃいますよ……もう、このままお縄についてくださいっ……!
GM/「……ときわ、お前は、我らが何を目指していたか何も分かっていなかったか」
ときわ/……はい……? 泣きながら見上げちゃう。
GM/「この世は乱れている。それは分かるな」
ときわ/は……はい。世紀末を過ぎて、世の中どこも大変ですよね……。
GM/「我らは神に選ばれた者として、爛れた世界を救済する義務がある。我らは神を降臨させ、全人類を救わなければならない。その崇高な意思のもと、異能の解明は進められてきた。……神の召喚による世界を正す。その召喚のために、必要なものがある。お前が解放しろと言っている者達は、人類の幸福を担える存在なのだ。彼らも選ばれたことを誇り、その身を捧げてくれる」
ときわ/……はあ……?
タツヤ/え……あっ、と……。なんかいきなり凄いこと言い始めたけど……。
P-27/機関の頂点の男が明言しているのですよ。これから行なう邪神召喚の正当性を。
タツヤ/邪神召喚……それって……!?

 ゴゴゴゴゴと突然の地響き。
 ただの地震にしては長く大きい揺れが続く。いつまで経っても揺れは収まらない。
 床が割れ、人が落ちた。天井が割れ、瓦礫が人を潰した。そこまで大惨事が目の前で起こらなければ、ロビーで押し問答していた者達は窮地に気付かなかった。

GM/地下が揺れる。施設は崩れる。そして爆発を起こす。
タツヤ/なんだぁーッ!?

 爆発。火災。スプリンクラーの雨。さらなる揺れ。崩落。絶叫。
 施設から飛び出す人達。だけどその場には燃える物がたくさんあった。
 ある研究室には危険な薬品が安置されていた。外には自然豊かに木々が生い茂っていた。
 それらが全部爆発に巻き込まれたのだから――大惨事に他ならない。

 外は12月だし夜になって真っ暗。建物は滅茶苦茶になって爆発、火災。広かった山の上の施設はあっちもこっちも火の海になっている。
 ……何かが、山の中に現れた。
 『本来であれば大蛇』。しかし中途半端な古文書といいかげんな呪文と大量の生贄による魔力によってで『滅茶苦茶な神』が召喚されてしまった。

 巨大な暗黒の渦。這い寄る闇。混沌。名状しがたき何者か。……何か長い物が飛び出すから、一瞬だけ「蛇か?」と思えるかもしれない。長い腕、触手には、ビッシリと目玉が付いていて全てと目が遭う。
 肉塊から飛び出す腕。腕と腕と腕と腕と腕。目と目と目と目と目と目。そこに居た全員が、どの種族だったとしても、会ったことのない未知のナニモノかが、現れた。

アトゥーニ/施設の中は大変だろうけど、地震は外でも大変! 外で揺れを堪えていたけど……ドンと現れた何かに……あれ何……って言うしかない。
P-27/…………神、ですね。

 ヒュイン。風を切る凄まじい音がしたと思うと、隣に居たレジスタンスの一員が、鋭い触手の餌食になっていた。レジスタンスの一員である男の体を捕えた触手は、シュルシュルとその体を自分の体内へと導く。
 「ギャアアア助けてええええ!」
 男の叫び声は、闇が蠢く巨大な体内へと引き摺り込まれ、消えた。その様子が何十人も続く。

 そんな地獄を目にしてしまったレジスタンスの一員が、その場にいた機関の一員が、手助けをしていたリリルラケシスや……火災を聞きつけてやってきた人や騒動で来た一般警察官や訳あってここに居た普通の人が、目にして、恐怖する。
 「ギャアアアアアアアアア助けてええええええええええええ!」 大パニック。全員、発狂する。

 発狂した人達はどうなるか。
 例えばある人は、腰を抜かして動けなくなり触手に捕まるしかなかった。
 例えばある人は、もうダメだと自分の死期を悟って持っていた拳銃の銃口をこめかみに当てた。
 例えばある人は、誰かを犠牲にすることで恐ろしい触手から逃げようとしたがバカをして自ら捕まるようなことになってしまった。
 例えばある人は、狂って味方を殺し始め……。

タツヤ/こ、こんなの見たことねぇ……! すぐさま逃げ出す!
アトゥーニ/思わず凝視しちゃって……ヤバイ、ヤバイヤバイ、こんなの研究とか観察とかしてる場合じゃないでしょー!?
ときわ/ ひ、人が……死んで……殺され……。これで、世界を変えると!? 無茶言わないでくださいよお父さん!?
P-27/おやおや。少し見入られそうになってしまいました。
GM/ではタツヤから順々に2D6をしてくれ。
タツヤ/(ころころ)5。

【逃げられない最期チャート(2D6)】
 2:もう誰も助からない。何もできない。自殺した。
 3:逃げようとしたら死体に躓いて転んだ。その一瞬のうちに触手に捕まり、邪神に食われた。痛みに襲われ死ぬ。
 4:狂乱に陥った機関の研究員に撃たれた。何発も体に弾丸を受け、殺された。
 5:発狂している機関の戦士に何度も何度も殴打され、殺された。原型が残らないほど攻撃され、死ぬ。
 6:邪神の触手に捕まる。そのまま飲み込まれ、捕食される。酷い痛みの中で死ぬ。
 7:邪神の触手に捕まる。丸飲みされ、真っ暗闇の中に消える。ブツンとリセットボタンを押したかのように意識が掻き消える。
 8:隣に居たレジスタンスのメンバーに刺された。発狂した仲間に殺された。
 9:レジスタンスから裏切ったリリルラケシスのメンバーに不意打ちされた。何も分からぬまま殺された。
10:邪神を護る魔王に斬られ、燃やされた。血肉は邪神の餌となった。
11:逃げようとする誰かを助けて触手を庇い、捕まり、邪神に食われた。即死。
12:自分以外のPCの手によって殺された。ランダムでどのPCが殺したかを決定し、そのPCに死因を決定してもらうこと。

GM/発狂している機関の戦士に何度も何度も殴打され、殺された。原型が残らないほど攻撃され、死ぬ。おっ、いきなり当たりを引いたな。
タツヤ/それは当たりなのか!?

 すぐさま逃げ出すと言ったタツヤだったが、炎が舞い上がる夜闇を駆けようとした先に……男の影が現れる。
 「えっ?」
 どうして行く手を遮るのか。尋ねるよりも前に、その戦士は銃でタツヤの足を撃った。
 崩れたタツヤの腕に刀が喰い込む。そして見上げると……斧が振りかかった。
 何度も殴打する。何度も殴打される。いくつも武器を持つ一人の戦士は、タツヤが死ぬまで、タツヤという原型が残らないほどに殺し尽くした。

アトゥーニ/(ころころ)8……。
GM/隣に居たレジスタンスのメンバーに刺された。発狂した仲間に殺された。

 アトゥーニは邪神を見て、こんな所に居てはいけないとすぐさま察し、駆け出す。
 同じように駆け出していく仲間達の波に乗って、山を駆け抜ければ邪神の触手に捕まらず助かるかも……!
 だけどアトゥーニの足は無くなっていた。鋭い刃で切り取られ、膝から崩れ落ちた。
 「何で……?」 斬り落としたのは、さっきまで……施設のドンパチを外で待っていたレジスタンスの仲間じゃないか。
 「アハハハハハ! あんなの誰も勝てっこない! みんな死ぬしかないよ! アハハハハハ!」 気が狂った仲間が刃を下ろす、アトゥーニの顔面を目掛けて。

ときわ/(ころころ)……1ゾロで、2です。
GM/もう誰も助からない。何もできない。自殺した。

 「確かに、あれがあれば、乱れた世界は、爛れた世界は、白紙化するでしょう。綺麗さっぱり洗浄されるでしょう。
 みんな食らう。みんな殺していく。ここにいるみんな食べたら、山の下へ降りて行く。街の人を食べる。日本中を食べる。あれぐらい大きな化け物だったらそれも可能です。
 なるほどお父さんはそれを望んで邪神召喚を推進していたんですね! これはもう……誰も助かりませんね!!!」
 パンッ。ときわは手にしていた拳銃をこめかみに当てて引く。誰よりも早く。そうあるべきだと判断して。

GM/……P-27も、発狂するのかな。なんか……発狂しそうにないキャラなんだけど(笑)
P-27/セッションの方針に則って、ちゃんとロールをしますよ。(ころころ)5です。おや、これって……。
GM/当たりだ。まさか当たりが2つも出るとは。
タツヤ/いや、だから、死ぬことの何が当たりなんだ……?(笑)

 「………………。おや、貴方ですか」
 ブンッ。
 斧が風を斬る。炎を見つめて静かに微笑んでいた彼の身体も、真っ二つに斬る。
 挨拶を交わすまでもなく、機関の戦士は『元人形』を終わらせた。

タツヤ/戦闘も無く、死んだー……。
アトゥーニ/そういうシナリオだって最初から分かっていたけど、酷い死に方だったー……。
ときわ/僕なんて自殺ですよ! なんですかこれ! どうせなら尊敬するお父さん推薦の邪神に食べられるラストが良かったです!
タツヤ/変態なのか、お前は!?(笑)
ときわ/僕はお父さんを尊敬しているだけです! リスペクトです! でも逮捕はします!
GM/死んだ一同は、目を覚ます。タツヤは目を覚ますと、上門所長とときわの姿が見えた。
タツヤ/……おっ?
GM/「我らは神に選ばれた者として、爛れた世界を救済する義務がある。我らは神を降臨させ、全人類を救わなければならない」 聞いたことあるようなことを、目の前にいるときわに言っている。
タツヤ/あ、あれ……さっき言ってたよな……?
GM/ゴゴゴゴゴと突然の地響き。ただの地震にしては長く大きい揺れが続く。いつまで経っても揺れは収まらない。
タツヤ/また……地震だ!?

 爆発。火災。スプリンクラーの雨。さらなる揺れ。崩落。絶叫。
 ……何かが、山の中に現れた。
 巨大な暗黒の渦。這い寄る闇。混沌。名状しがたき何者か。
 そんな地獄を目にしてしまったレジスタンスの一員が、その場にいた機関の一員が、手助けをしていたリリルラケシスや……火災を聞きつけてやってきた人や騒動で来た一般警察官や訳あってここに居た普通の人が、目にして、恐怖する。
 「ギャアアアアアアアアア助けてええええええええええええ!」 大パニック。全員、発狂する。

タツヤ/また同じようなことが!?
GM/そう、まったく同じことが再度起きている。それはアトゥーニ達も同じだ。さっき見たようなことを、世界はもう一度繰り返している。きっとこのままだと……。
ときわ/……死にます!
アトゥーニ/同じように逃げたら死ぬ! ってことは、同じように逃げなければ……?
GM/生きられるかもしれない。その間にも、君達の周りは狂気に陥り……恐怖のアレが近寄って来る。今回のルールを説明します。

【クリアー判定リスト】 1から25まで、順番通りに判定成功させていくこと。
 1:【体力】判定で難易度8
 2:【理知】判定で難易度10
 3:【反射】判定で難易度12
 4:【意志】判定で難易度8
 5:【知覚】判定で難易度14
 6:【幸運】判定で難易度12
 7:【意志】判定で難易度12
 8:【幸運】判定で難易度10
 9:【体力】判定で難易度8
10:【知覚】判定で難易度14
11:【反射】判定で難易度8
12:【理知】判定で難易度12
13:【幸運】判定で難易度10
14:【体力】判定で難易度8
15:【反射】判定で難易度14
16:【意志】判定で難易度10
17:【理知】判定で難易度8
18:【知覚】判定で難易度10
19:【意志】判定で難易度12
20:【体力】判定で難易度14
21:【幸運】判定で難易度8
22:【反射】判定で難易度10
23:【理知】判定で難易度8
24:【知覚】判定で難易度12
25:【幸運】判定で難易度14

(ルール1)【行動値】が早い順に判定を行なう。
(ルール2)判定者は1から順々に判定する。1回でも失敗したら【逃げられない最期チャート】の通りに死ぬ。
(ルール3)失敗した判定から、次の判定者が順々に判定する。失敗したら死亡し、次の判定者にパスする。
(ルール4)PC4人が全員死亡したら、時間が巻き戻る。時間が巻き戻る際に、【正気度】が1D6÷2点減少する。
(ルール5)クリアー25まで到達できればクライマックスフェイズに移行できる。クリアー25に到達する前に【正気度】が0になった場合、ペナルティが課せられる。
※一定のクリアー番号に到達したら、サブイベントが発生する。

アトゥーニ/何度も何度も繰り返して、死を乗り越えてこの場から生還するのが目的ってことね。
タツヤ/こんな所にいられるかー! 俺はさっさと山を降りるぞー!(笑)

【行動値】
 タツヤ:16
 ときわ:15
 P-27:13
 アトゥーニ:12



 ●ミドルフェイズ1/2周目挑戦

タツヤ/えーと、それでは【行動値】16の俺から……。
GM/あ、まず【逃げられない最期チャート】を先に振ってくれ。どんな状況に陥って戦っているかどうかが判っている方が演出がしやすいから。
アトゥーニ/もうそれって死ぬのが確定しているようなもんだね……(笑)
タツヤ/20回連続成功ができるとは思ってないよ。まずはチャートから(ころころ)7。
GM/「7:邪神の触手に捕まる。丸飲みされ、真っ暗闇の中に消える。ブツンとリセットボタンを押したかのように意識が掻き消える。」
P-27/邪神に襲われて、一瞬で終わりますね。
タツヤ/一瞬で終われるだけ優し……やだやだやだ! まだ俺は死にたくない! 瞬時に≪神域の耳≫で奴が近寄って来る音を聞き分けて、【体力】で逃げる!(ころころ)14で成功。
GM/1番目クリアー。次は、【理知】判定で難易度10。
タツヤ/こっちに行けば逃げやすい筈だ! 崩れた建物の方へ敢えて向かうという頭の良さを発揮!(ころころ)13で成功!
ときわ/おっ、これは一気にクリアーできそうですね。次は【反射】判定で難易度12ですよ。
タツヤ/素早さなら任せろ! 駆け抜ける!(ころころ)げっ!? 出目が1・2……達成値7……。
GM/シュイン。タツヤの右脚を触手が掴んだ。
タツヤ/しまっ……!?

 シュルッ。にゅる。ゴクン。
 頭から丸飲み。タツヤの真っ暗闇の中に消える。まるでリセットボタンを押したかのように、一瞬で意識が掻き消えてくれたのは、幸いか。

GM/タツヤが死んだ一方その頃。【行動値】15のときわの逃げるターンです。
ときわ/嫌すぎるアナウンスです!(笑・ころころ)チャートの結果は、4。
GM/「4:狂乱に陥った機関の研究員に撃たれた。何発も体に弾丸を受け、殺された。」 判定は、タツヤが失敗した3番目の【反射】判定で難易度12からだ。
ときわ/あんだけ血気盛んにレジスタンスに応対していた職員が、無差別に撃ちまくってる……【反射】で避けます!(ころころ)……11で失敗。

 ダンダンダンッ。
 どうしてその銃弾が化け物に向かないのか。無作為に撃った銃撃は、全てときわに命中する。
 大量の血を穴から噴き出し、ときわは倒れた。逃げ惑う人達にその身を踏まれながら、呼吸困難になり……絶命する。

P-27/シーンの演出は、好きにやっていいですよね。
GM/もちろん。……継続PCであるP-27がしたい演出は、事前に聞いている。ある程度応用がきくようにはするよ。
P-27/ありがとうございます。まずはチャートを決定します。(ころころ)7でした。
GM/「7:邪神の触手に捕まる。丸飲みされ、真っ暗闇の中に消える。ブツンとリセットボタンを押したかのように意識が掻き消える。」 またテツヤと同じだ。3番目の【反射】判定で難易度12に挑戦してくれ。
P-27/難易度12はなかなかクリアーできそうにないですね。(ころころ)12で、成功です。……邪神の触手をかわしながら、施設の奥に進んでいきます。
アトゥーニ/ちょっ!? どこ行くのー!? 一応声は掛けるけど……!
GM/人の心配をしている暇は無さそうだ。次は、【意志】判定で難易度8。
P-27/異能で攻撃を弾き飛ばしながら、先に進みましょう。(ころころ)12で成功です。
GM/P-27は歩みを止めない。次は、ついに5番目。【知覚】判定で難易度14。かなり難しい判定だ。クリアーするとイベントが起きるぞ。
P-27/残念ながら僕は【知覚】は低いのでした。(ころころ)……むっ? 14ピッタリで……成功しましたね。
タツヤ/すげえ!?
ときわ/ほぼほぼクリティカルで成功しましたね! 難関の難易度14を一発クリアーはグッド!
GM/P-27は……施設のある山から逃げようとする人々と逆行して、機関内をうろついているんだったな。ちょうどいい演出ができそうだ。

 爆発して崩落する施設。だが機関の土地は広い。建物もいくつかあり、研究棟だけではい、居住棟も存在する。
 そちらにも火災が広がっているが、まだ崩壊までは達していない。P-27は何かを探すように、人が去った居住棟を見る。

アトゥーニ/そっちに行くの? ……ねえ、まだこのタイミングだと私は生きているから、P-27について行ったことにしていい?
P-27/どうぞお好きに。ただアトゥーニ様を気遣う余裕はこちらにはありませんので、塩対応しますよ。それでも宜しければ。
タツヤ/ニコニコしながら「塩対応しますよ」って言ってそうだな(笑)
アトゥーニ/待ってー! お兄さん待ってー! なんでそっちに逃げるのー!? ハッ、もしかして敢えて中央であるこっちの方が安全と踏んだの!? じゃあ私も……!
P-27/アトゥーニ様。唐突ですが話し掛けます。
アトゥーニ/わっ!? いきなり前に現れた!(笑)
P-27/貴方は水と氷の能力者と聞きました。ならここの火災を鎮めることができるのでは? 力をお貸しください。
アトゥーニ/えっ、うん。カッコイイお兄さんに頼まれたら断れないなー……≪氷河の城≫で炎を凍らせるよ!
GM/凍った。ひとまずは燃え落ちる心配なくここに居られそうだ。そうアトゥーニ達が思ったとき……何者かがゆっくりした足取りで近寄ってきた。
P-27/どなたですか。
GM/下半身がやって来ます。
アトゥーニ/……もう一度。
GM/下半身が、ゆっくり、来ます。上半身から食われて真っ二つになった、腰から下だけのものが、ゆっくりと。
アトゥーニ/…………。ひ、ひいいいっ!?

 上半身が無いのに、赤い割れ目も見える下半身だけが、よろよろと。
 アトゥーニは悲鳴を上げて後ずさり、P-27は……じっとそれを観察する。
 P-27達の前に立ち止まったそれは、脈動した。ボコボコボコと形を変え、断面図から手が伸び、頭が生まれ、目玉が生えて口のようなものができ、次第に上半身が形成されていき……。
 女性の姿を模った。

 粘土細工で人形を作る光景。それを早送り映像で見せられているかのよう。
 2人の前に、『作ったように美しい、金髪の美女』が出現した。

GM/「あああ……神……ワタシが求めた神……ついに現れてくださる日を待っていた……でも貴方はあくまで一部。タイマストトバール様の手足の一つ。それでもワタシが千年待ち望んでいたヒトに違いない……」
アトゥーニ/い、い、いきなりなんなんですかこの女の人は……!?
P-27/……私達はレジスタンスの一員です。だから、機関が読み解こうとしていた古文書のことは鶴瀬リーダーから聞かされていていいですね。
GM/うん。ではここで確認のためにおさらいしよう。

 機関は『生贄をたくさん使って邪神を召喚する儀式』が載っている古文書を読み解いた。
 外で暴れている邪神は、夜須庭 航が中途半端でも完成させてしまった儀式で召喚してしまったものだ。ただいま外では、決死の覚悟で邪神を封印しようと何人もが地獄の中で戦っている。
 その古文書には、『邪神を呼び出す存在』についても記していた。
 小さな蛇。人の女に変化する蛇。人間を惑わして、邪神召喚の儀式をさせようとする異端の女……。

 目の前にいるのが、その悪女だ。

GM/「千年前……我が主が召還されてしまったあの日から、ワタシは再びこの世界に降臨するべく人に交わってきた……ワタシはある男に近づいた。世界を良くしよう、爛れた人の世を浄化しようと心から願っている男を……」
ときわ/……それ、お、お父さんです……?
GM/「男は元々異端の血を引いていた。ワタシの声を恐れず聞いてくれた。あの人は力があった、生贄を用意する力が! ああ、本当にここまでやってくれるなんて。あの男はいい子だわ。召喚されたばかりの主にワタシを半分食べてもらえて……しあわせ……!」
ときわ/……あー、そういや蛇、邪神召喚された最初に食われてたからなぁ(笑)
GM/「まだまだ供物が必要……ワタシ、もう一度食べられたい……あの御方の血肉になるの……もう一度、もう一度……お会いにならなきゃ……!」 作りたての人の身体で、ゆっくりと女は、外に出て行こうとする。
アトゥーニ/……こちらには、何かすることはなく?
GM/することはなく。あくまでさっきのは独り言という演出です。
P-27/……僕は金髪で、彼女も金髪で、僕は「神の細胞で作られたホムンクルス」です。これは何か意図がありますね?
GM/もちろん。彼女を金髪という外見にして、『ワンアンドアナザー番外編1』で上門所長と親しいシーンで登場させたのは、そういう理由だ。
P-27/なるほど。……このシーンに僕が登場できたこと、嬉しく思いますよ。アトゥーニさん。この女性は、いわば僕の『母親』と言える人です。
アトゥーニ/ええっ!? 親御さん登場!? も、もしかしてお兄さんはお母さまをお探しになってここへ……!?
P-27/いえ、全然。ここで出会ったのは全くの偶然です。

 「なるほど、なるほど。僕が好きな姿に自在に変化できるのも、貴女の特性をそのまま頂いたようですね。
 僕が超人的異能を持ったホムンクルスになれたのも、邪悪でも神の使徒である貴女が機関に根付いていたから。上門所長に媚び入り、機関の内部に携わり、その縁があって細胞を研究者に提供し……僕が産まれた。
 本来であれば涙無しでは語れない再会シーンとなるのでしょう。……ですが」

P-27/ですが、今の僕には貴女は興味ありません。……女を無視して、僕は施設の中を歩きます。
GM/女は無視され、外へ向かいます。「ああ……あるじ……ワタシ……あるじのために、この日まで、人間達を操って、ここまで……!」
アトゥーニ/えっ、ええっ、えええっ……!? お……お兄さんを追いかけます!
GM/ミニイベント終了。第6の判定にいこう。【幸運】判定で難易度12をしてくれ。
P-27/(ころころ)……11で失敗。

 「僕は、母親に会うために機関に来たのではありません。……あの人に会うために……」
 その顔に笑みは消え去り、人間のような無我夢中の顔でP-27は廊下を行く。
 しかし、窓ガラスが割れたかと思うと触手が瞬時に伸び、四肢に巻き付く。
 ……丸飲みまで1秒。P-27の思考速度を越えた速さで、機能が停止した。

アトゥーニ/きゃああああ!? 食われたああああ!?
GM/アトゥーニの番だ。チャートを振って、P-27と同じ、【幸運】判定で難易度12をしてくれ。
アトゥーニ/(ころころ)チャートは……8。【幸運】の結果は、9で失敗……。
タツヤ/「8:隣に居たレジスタンスのメンバーに刺された。発狂した仲間に殺された。」だから……。

 「きゃあああ!? いやああああああ!?」
 目の前を歩いていた男が急に窓から伸びてきた触手に捕まり、あっという間に外へ引き摺り出され、食われる瞬間を目にした。
 あまりの恐怖に耐えきれなかったアトゥーニは、無我夢中に建物の中を走り続けた。
 「お願い! アナタ! 助けて、助けてええ……え……」
 偶然通りかかったレジスタンスのメンバーに縋り寄る。だけどその仲間の目は、既に正気のものではない。……何人もの仲間の血を啜った槍で、アトゥーニの胸を突き刺した。


 ●ミドルフェイズ2/3周目挑戦

 目を覚ますと、あの瞬間に居た。
 「我らは神に選ばれた者として、爛れた世界を救済する義務がある。我らは神を降臨させ、全人類を救わなければならない」
 「何を言っているんですか、お父さん!?」
 邪神召喚の手筈を整えてしまったという、機関の最高責任者の言葉。
 それと同時に聞こえてくる地響き。ただの地震にしては長く大きい揺れが続く。いつまで経っても揺れは収まらない……もうこれも3度目だ。

タツヤ/なんで……時間が巻き戻ってるんだ!?

 爆発。火災。スプリンクラーの雨。さらなる揺れ。崩落。絶叫。
 ……何かが、山の中に現れた。
 巨大な暗黒の渦。這い寄る闇。混沌。名状しがたき何者か。
 そんな地獄を目にしてしまったレジスタンスの一員が、その場にいた機関の一員が、手助けをしていたリリルラケシスや……火災を聞きつけてやってきた人や騒動で来た一般警察官や訳あってここに居た普通の人が、目にして、恐怖する。
 「ギャアアアアアアアアア助けてええええええええええええ!」 大パニック。全員、発狂する。

GM/判定再開です。場所は同じところからスタートだけど、違うやり方で逃げていくという演出で……まずはタツヤから。6番目の【幸運】判定で難易度12をどうぞ。
タツヤ/難易度12は難しいんだよー! 成功してくれー!
P-27/GM。せっかくですから特技で演出したらプラスの修正を付けてみてはどうでしょう?
GM/あ、それでいこう。色々と演出をしてくれたら1つにつき達成値+1にする。
タツヤ/逃げ慣れてきたってことかな!? まずは死に方チャートから(ころころ)7!
GM/「7:邪神の触手に捕まる。丸飲みされ、真っ暗闇の中に消える。ブツンとリセットボタンを押したかのように意識が掻き消える。」……あっさり死ねてラッキーだな。
タツヤ/死ぬんだからラッキーじゃねーよ! じゃあ……≪神域の耳≫で危険な触手が滑る音は全て把握する! 俺は耳が良いことだけが取り柄なんだ!
ときわ/もっと取り柄ありますよ! 自信持ってミスター!(一同笑)
タツヤ/≪エアライダー≫で素早さにも自信があるんだー! あと≪狩猟感覚≫で森の中の活動も得意なんだー!(ころころ)おおおおおクリティカルしたー!?
アトゥーニ/せっかくいっぱい演出したのにクリティカルしちゃった。
タツヤ/シッ! そういうこと思っても言っちゃダメ! 俺が傷つく!(一同笑) 7つ目は、【意志】判定で難易度12か……。
P-27/達成値+3がある状態です。いけますよ。
タツヤ/いきたい!(ころころ)よーし、16で成功!
GM/この調子でいこう。8つ目は【幸運】判定で難易度10だ。
タツヤ/ラッキーを見せつけろ!(ころころ)15で成功! やりぃ!
ときわ/凄いです! 9つ目の【体力】判定で難易度8も余裕ですよ!
タツヤ/イケるイケる!(ころころ)達成値13……これは、いけるか!?
P-27/それは死亡フラグです。
タツヤ/言ってからヤベーな俺って思った(笑) しかも次は【知覚】判定で難易度14だ……めっちゃ難しい。
GM/10番目の判定は難易度高めの14。これをクリアーするとイベントが発生する系だ。
タツヤ/(ころころ)……11、失敗……。でも、凄く走った……頑張った……。

 施設を抜けて、人並みを抜けて、森へと飛び出したタツヤ。
 狩人の勘を頼りに暗い木々の中へと逃げ込んでしまえば、こっちのもの……!
 シュルッ。
 黒い草木に混ざって触手がタツヤの身体を捕らえる。目の前が絶望に染まる。シュルシュルと触手が全身に巻き付き……意識も真っ暗闇に、落ちた。

ときわ/タツヤさん……貴方のおかげでクリアー半分までいきました。なんとか10番目をクリアしますね。
GM/まずは、死チャートの決定から。
ときわ/(ころころ)「10:邪神を護る魔王に斬られ、燃やされた。血肉は邪神の餌となった。」……あ、これは……。
GM/邪神が召喚されたとき、レジスタンスに協力していたリリルラケシスのアクセンは、邪神生存のために動き出した。邪神に歯向かう者達は総じて敵視するという行動である。これのおかげでPCが死んだりPCが死んだり散々な目に遭った……。
P-27/GMがウンザリした顔をするほど散々な目に遭いましたね。
GM/(←ドレークの中の人)あの愚兄……マジであいつ、全然倒せなかったんだよ……被害を大量に出しやがったしさぁ……。
ときわ/ではそんなあの人との判定になります。【知覚】判定で難易度14ですね。……僕には鍛えたこの体、≪命の糧≫がある! ≪戦士の勘≫と≪鳥躍≫によって多少の運動じゃヘコたれません! 何かあったら≪特権階級≫と≪情報隠蔽≫で、やましいことは揉み消します!
タツヤ/それは……いいのか?(笑)
ときわ/お父さんから教わった訓えがあります! 「使えるものは使え!」 シンプルイズベスト!
アトゥーニ/あの親にして、この子あり……?(笑)
ときわ/(ころころ)よーし、達成値16で成功です! 僕ブラボー! GM、プチイベントの内容優先ですが、出来ればアクセンさんとシーンやりたいので演出してください!
GM/ああ、じゃあプチイベントの内容をアクセンに言わせる形で進めていくよ。まずは登場しておこうか。

 崩落する建物から逃げ、外に出たときわの前には、炎の中で戦う人達の姿が見えた。
 発狂して殺し合っている者もいる。邪神に立ち向かって、殺され続けている者もいる。そんな戦いだらけの中で、一際目立つ男がいた。

 真っ赤な髪。人外らしい、凍り付くように冷酷な目。
 炎と大剣を操りながらいともたやすく人間を屠る……異端の王。
 人を食らう吸血鬼がレジスタンスに仲間だと聞いたとき驚いたものだ。だが仲間だと言われていたのに、彼は人々を焼き払っているではないか。

 ときわは、地獄の使者のような彼の姿に目を開き、息を呑み……そして。

ときわ/なああああにトチ狂ったコトをやってるんですかスットコドッコイバーローキィーックッ! 飛び蹴りを赤毛にブチこむッ!
GM/えええええ!?(一同笑)
アトゥーニ/≪鳥躍≫で、蹴った!(笑)
タツヤ/チビが、蹴ったー!(笑)
ときわ/チビって言うな、19歳・男・身長160センチですけどチビって言うな! 軽々としているから仮面も被ってないのにライダーキックができるという計算しつくされたキャラメ結果です!
P-27/もっとやってください。
GM/蹴られた……魔王が頭を蹴られた……(笑) では、頭を蹴られて吹っ飛ばされ……はしない。蹴られても直立不動のまま、ときわを睨みつけて、「……なんだ、人間の子供」。
P-27/強いロールで返しましたね。
ときわ/今から僕はぁ、考えてた設定を暴露大会に入りまぁーすぅ!
GM/あ、どうぞ(笑)

 「お久しぶりですアクセンさーん!」
 「…………………………え? あ、うん」

アトゥーニ/魔王が素で首を傾げちゃってる!(一同笑)
ときわ/こんばんは! 僕ときわです! 覚えてないでしょうね!? 覚えてたら「……なんだ、人間の子供(キリッ)」って言いませんよね!? 貴方ブリッドさんしか見てませんでしたから覚えていないのも仕方ないですよね!? 僕はドレークとドリスの2人プチセッションという名の僕だけが大騒ぎしてオープニングフェイズのみで終わっちゃった与太シナリオで登場した5歳児が成長したときわでーす!
GM/(←ドレークの中の人)あああああー!? そんなのあったなぁ!?
タツヤ/あ……あの、ひたすらマーサーがうるさかったというアレ(笑)
ときわ/僕はあのときの冒険を忘れていません! ドレークは何にもしないでイギリスに帰っちゃいましたけど僕にとって人生で楽しかった出来事ランキングトップ30に入る大変有意義な時間でした!
P-27/もう少しランキング狭めません?
ときわ/あのとき僕達は一緒にケーキを食べ! 紅茶を飲み! ティータイムという優雅な時間の虜になり! 大人の階段をいち早く駆け上がりたかった僕お兄さん達のお家に遊びに行くようになり! 一緒にケーキを食べて紅茶を飲み楽しいティータイムを過ごすようになった仲間なのです!
GM/「…………。君が、あのときの……」
タツヤ/あ、思い出してくれたみたいだ。
ときわ/凄く楽しい日々でした! 僕のお父さんは……その、この通り堅物でしょう!? だから友達が少なかったんです!
P-27/それは貴方自身の問題かと。
アトゥーニ/お兄さん、ツッコミが鋭すぎますから(笑)
ときわ/そんな幼少期に楽しい思い出を作ってくれたのがお兄さんと、貴方でした! 貴方は日本語が不自由でお兄さんを介してじゃないとお話ができなかったですけど! それでも僕達は友達……いや、フレンド!
タツヤ/フレンド!?(笑)
GM/「そうだ。私達はベストフレンドだった」
アトゥーニ/認めた!?(笑)

 「ですが、あの人のお家は……無くなりました。そして、貴方も姿を消した……僕は貴方達に会えなくなった。
 けれどお兄さん……ブリッドさんには再会しました。……機関の研究所で」

GM/……最初に出してくれたPCの設定の「ときわの人外種族の友達」って、ドリスのことだったのか。

 「再会は嬉しかったです。数年ぶりに再会したとき、あの人は優しく声を掛けてくれました。大きくなっても優しい人でいてくれました!
 でもあの人は……研究所で、実験体として、生贄として酷い目に遭わされていた……僕はそれを知って、機関を……。
 僕の願いは、ブリッドさんを助けてあげることです! そして……貴方とブリッドさんとまた幸せにみんなでケーキを食べて紅茶を飲む、あのときみたいに遊びたいんです!」

ときわ/だから僕は敵じゃありません! アクセンさん、貴方の味方です! 貴方の助けになりたいし、彼を助け出したいし、貴方と彼に幸せになってもらいたい!
GM/「ときわ殿……」
ときわ/だから……だから、この【最期チャート】無かったことにできません?
タツヤ/台無しだなぁ!?(一同爆笑)
ときわ/だって! 他の死に方はゲーム的に認めますけど、この設定を積んできたにも関わらず魔王に殺されるって、僕が可哀想すぎませんか!?
GM/素顔すぎるだろ……(笑) でも、凄く納得したし……ドレークの中の人としても、ドリスを救いたいと言うPCを贔屓したい心がある。
アトゥーニ/ドレークの中の人らしい(笑)
タツヤ/そういう贔屓もいいんじゃないかな。
P-27/つまりチャートの振り直しですね(笑)
ときわ/頼む、これで同じ結果にならないでください!(笑・ころころ)「10:邪神を護る魔王に斬られ、燃や……」 ふっざけんなバッカヤロウ!?(一同爆笑)
GM/「それは私は悪くない! 君のダイス目が悪い!」(一同笑)
ときわ/ふう、もう一回赤毛に蹴り入れるところだった。(ころころ)「11:逃げようとする誰かを助けて触手を庇い、捕まり、邪神に食われた。即死。」……おっ、これは。
P-27/良いのを引きましたね。
GM/思わず次のダイスロールをしたくなってしまったが、本題のプチイベントの内容を言わせてくれ(笑)

 「ときわ殿。君に教えておこう。これは私の勘だが。……この世界はおかしいとは思わんかね。
 おかしいのだ。……私は同じ人間を、何度も焼いているような気がしてならない」

ときわ/えっ? ……アクセンさん、それって?
GM/「そのような気がしてならない。何故このようなことを考えてしまったのかもよく分からん。……それでも、私は邪神を討つ者を許さん。だから殺す。それは止められん」
ときわ/……貴方も、「この世界が何度も繰り返している」ことに気付いているんですね?
タツヤ/「この世界が何度も繰り返している」……そうか、逃げることに精一杯だったけど、これっておかしいことだよな?
アトゥーニ/そういや「クリアー25まで到達するぞ!」って頑張って判定をしてたけど、なんで記憶を継続して何度も私達はやり直してるんだろ?
P-27/かつてスウィフト達が持っていた勾玉のような効果が、我々にも働いているのでしょうか。

 機関から邪神召喚について記した古文書を奪った男が、古文書といっしょに手に入れ物。勾玉。
 研究所から盗んだと言われていた時間跳躍の力を持った勾玉は、スウィフトの手から鶴瀬リーダーのもとに渡った。
 しかし邪神の強いオーラによって勾玉による時間跳躍は使用不可になっている……というのが、鶴瀬談。
 勾玉以上の力を持った時間跳躍の手段が、展開されているというのか。

GM/プチイベントの内容は以上。次の判定にいこう。【反射】判定で難易度8を、ときわはやってくれ。
ときわ/(ころころ)んんんっ!? 1ゾロファンブル!? これは……!

 「危ないです、アクセンさんッ……!?」
 再会して話し合う彼らの元に、容赦のない触手が光速で忍び寄った。
 ときわはアクセンの前に出る。小さな体は、あっという間に触手に呑まれ、再会したばかりの友の前で……噛み砕かれた。

P-27/チャートを振ります。(ころころ)「10:邪神を護る魔王に斬られ、燃やされた。血肉は邪神の餌となった。」……魔王のシーンを継続している状態ですね。
ときわ/アクセンさんは、僕の死を、どういう風に見てくれていますか……?
GM/「……ふむ、そんなに食べたかったか。彼もときわ殿に会いたかったのだな。一緒になれて嬉しいか?」 普通の顔だ。
アトゥーニ/ヒエッ。全然怖がってない……むしろ嬉しそうにしてる……(笑)
P-27/このシーンに居合わせるようなチャート結果ですから……魔王が邪神に向かって語り掛けている姿を、僕が眺めている状況ですね。音を立てた途端に殺されてしまいそうです。
GM/殺されるか、殺されないか。その結果を【反射】判定で難易度8でやってみてくれ。
P-27/(ころころ)達成値12です。ひとまずは成功。そして次の判定は、【理知】判定で難易度12。……≪空間知識≫で周囲の様子を見張りながら、これから起きる数秒前の未来を読みつつ動きます。
GM/特技を2つ使ったので、達成値+2していいぞ。
P-27/(ころころ)達成値17で成功。
タツヤ/このまま成功させていこう! 次は、【幸運】判定で難易度10だ。
P-27/(ころころ)おっと、出目が低めでしたが達成値11で成功。
GM/順調だ。次は、【体力】判定で難易度8。
P-27/低難易度なら何もしなくても平気な筈。(ころころ)……11で成功。一気に14個目までクリアーできました。
GM/だが次は高難易度、【反射】判定で難易度14だ。
P-27/(ころころ)……1ゾロ。綺麗にファンブルしました。これだけダイスを振っていれば1ゾロぐらい出ますね(笑)

 「……さっきからコソコソと。邪魔だ」
 静かにその場を去ることなど許さない。瞬時に背後を取った異端の王は、冷酷に刈り取る。
 ただし、崩れ落ちたP-27の体にトドメを刺すことはない。痛みに動けぬ命を終わらせてくれたのは、大勢の絶叫を纏いながら近づく邪神の指先だった。

アトゥーニ/15個までいった……あと10個でクリアー。でも難易度14は難しい!(ころころ)チャートの結果は、5。
GM/「5:発狂している機関の戦士に何度も何度も殴打され、殺された。原型が残らないほど攻撃され、死ぬ。」
アトゥーニ/GMが「当たり」って言ってたやつだよね? ……これ、当たり?
GM/うん。理由があって凄く当たり。しかも15個目なのでクリアーできればイベントが発生するやつだ。……前回のループとは違う道を使って逃げ続けるアトゥーニのもとに、武器を握り締めた男が現れる。全身返り血を浴びて、血まみれだ。
アトゥーニ/ひっ……!? ≪籠抜け≫を使ってワープ! その場から瞬間移動して逃げる!
GM/しかしそのワープは万能ではない。近距離までしか移動できないため、男は追いかけてくる。
アトゥーニ/怖い怖い怖い! 他の仲間もみんな死んじゃったしどうすれば……!? って思いながら≪全方位視覚≫で出来るだけ安全な場所へ! ≪錬金術師の指≫と≪氷河の城≫で自分を守る防壁を造りながら、≪武装粒子1・2・3≫纏う!
タツヤ/達成値+6すれば、なんとか成功できる筈!
アトゥーニ/お願い成功して!(ころころ)ええっ!? 13で……1足りなかった!

 瞬間移動で姿を消し、現れて走り、姿を消し……魔力の限界を感じながらも逃亡する。
 けれど、力には限界がある。そもそも機関の敷地内は異能の弱体化結界でも張っているのか、邪神という異常すぎる存在の影響か、それとも。
 ありとあらゆる原因がアトゥーニの逃走を阻害する。弱っていくアトゥーニはついに、足を使って走ることさえ敵わず……。
 血に濡れた刃の餌食となってしまった。