アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 番外編2『レジスタンス編』 2ページ ■
2005年(仮想リプレイ公開2020年3月21日)




 ●ミドルフェイズ3/4周目挑戦

 「我らは神に選ばれた者として、爛れた世界を救済する義務がある。我らは神を降臨させ、全人類を救わなければならない」
 死んだと思った。だが目を覚ますと、死ぬ前の最も恐ろしいあの時間に戻っている。

 爆発。火災。スプリンクラーの雨。さらなる揺れ。崩落。絶叫。
 巨大な暗黒の渦。這い寄る闇。混沌。名状しがたき何者か。
 地獄を目にしてしまった人間が、敵味方関係無く恐怖して、訳も分からず死んでいく。
 「ギャアアアアアアアアア助けてええええええええええええ!」 ……またあの叫びを聞いてしまった。

タツヤ/(ころころ)……5だ。2D6の期待値が5か6だからなぁ、よく出る……。
GM/みんな「5:発狂している機関の戦士に何度も何度も殴打され、殺された。原型が残らないほど攻撃され、死ぬ。」になってくれて嬉しい。

 新たな世界でもまたみんなが殺し合っている。邪神がみんなを食いまくっている。
 違う逃げ方をするタツヤもまた、どっかで見たような同じ死に方を辿ってしまうのだろうか。

タツヤ/もういいかげん、何度も死ぬのは嫌だ……なんとかしたい! ≪神域の耳≫でこっちに寄ってくる足音を聞きとる! ≪エアライダー≫で素早く逃げる! ……もし襲いかかってきたのならば、≪無の射撃≫と≪覇魔矢≫と≪悪雨≫で迎え討つ! 一心不乱で≪乱れ撃ち≫+≪技芸の雨≫、射ちまくる!
ときわ/バトルの方向に舵を取りましたね!
タツヤ/難易度14の【反射】判定! 成功してくれ!(ころころ)……よし、成功!

 血まみれの戦士が無言で巨大な斧を振るう。
 彼はこの地獄がスタートしたときから、ひたすらに周りの人間を狩り続けてきたようだ。既に多くの人々の血を浴びてきたようで、周囲には屍が転がっている。
 見たこともない恐怖に襲われ発狂し、敵味方関係無く殺している者をタツヤは何度も見てきた。そういう状況に陥る人がいるのも理解できる。
 ……だが。

タツヤ/だが……なんだ?

 目の前で自分を殺そうとしている男は……何かが違う。周囲の狂人とは違う雰囲気だ。
 淡々と殺している。黙々と殺している。人が狂って死んでいく地獄が始まったその瞬間から、待っていたかのように戦い続けている。
 そこで気付いた。レジスタンスとして活動していたタツヤは、機関に突入する前の作戦会議にて、機関の重要人物についての名簿に目を通していた。そこにあった顔写真や特徴、名前を思い出す。

GM/教会発のアザーズにも指示を飛ばし、機関の『人外狩り』を行なう戦闘集団の頭領。「機関最強の男」と呼ばれ、数多くの戦いに赴いては大勢を殺してきた人物。長年、裏社会の要注意人物として名が知られている男。名前は確か、一本松とか言ったような……。
タツヤ/「機関最強の男」って……やべえ、やべえ肩書きの人だってことは分かるぞ!
P-27/…………。

 沈んだ目、返り血まみれの体、異能の戦いに人生を捧げてきたような戦闘狂。
 血を啜った斧を捨て、新たな武器を……今度は槍を取り出して、どんどん殺しまくってくる。
 ――口元は歪んでいた。声を荒げずに笑っている。敵味方見境なしに、殺したいから殺しているようだった。

タツヤ/……どうしろっていうんだ……。
GM/今はどうしようもない。真正面からやり合ったら負ける。そんな確信を得て……次の判定にいこう。【意志】判定で難易度10だ。
タツヤ/【意志】なら既に固定値で勝てる。(ころころ)成功。
ときわ/そのボーナスでどんどんいきましょう! 次は、【理知】判定で難易度8!
タツヤ/(ころころ)ファンブらない! 成功。
GM/もしやタツヤ、一本松と良い勝負ができてるな? 次は、【知覚】判定で難易度10。
タツヤ/まだまだいけそうだ。(ころころ)大丈夫だ……17で成功。
アトゥーニ/一気に畳み掛けてー! 次は、【意志】判定で難易度12!
タツヤ/さっきのP-27じゃないけど、いっぱい振ってると1ゾロが出る気がしてきた……!(ころころ)オッケー、まだ成功!
GM/20個までいった! 次は関門、【体力】判定で難易度14!
タツヤ/(ころころ)ぐううう……ここで、達成値13、失敗だ……死んだ!

 タツヤの武器は弓矢だ。至近で撃てる技能を身につけているといるとはいえ、間合いに入られるとひとたまりもない。
 だから素早さを生かし、崩壊する建物の残骸に紛れる形で逃げ続け、迫りくる戦士から距離を取っていた。……それも限界だ。
 手槍が飛んでくる。凄まじいスピードで放たれた槍にバランスを崩したタツヤは、敵の接近を許してしまった。
 「……なかなか骨のある奴だった。これだからやめられない。……だが、最期だ」
 微かに息切れしていた男が、ニヤリと笑ってタツヤの喉元に……新たに握った刀を突き立てた。
 「ありがとう、俺を楽しませてくれて」

タツヤ/こえー……怖かった……。4回連続で成功し続けるというプレッシャーも怖い(笑)
アトゥーニ/そうそれ(笑) 難易度が簡単な判定でも、何度も振ると「いつか1ゾロする、ファンブルしても仕方ない」って弱気になってくるんだよね……。
ときわ/それでも運命力で勝負して勝ち続けなきゃダメですよ。さて、僕のチャートですが……(ころころ)9。
GM/「9:レジスタンスから裏切ったリリルラケシスのメンバーに不意打ちされた。何も分からぬまま殺された。」
ときわ/アクセンさん自分の部下の管理ぐらいしっかりしておいてくださいよぉ!? っていうかまたあのくだりをやるんですか、ループしてもそれぐらい覚えておいてくださいよキいいいいーックぅぅうッ!
タツヤ/また蹴った。
GM/また蹴られた(一同笑) えー……またあの長話で仲直りするのが面倒なので、不思議な力でデジャブを覚えたアクセンはもう既にときわを知っている設定にする(笑)
ときわ/不思議な力ってスゲー!(一同笑) やるじゃないですかアクセンさん! そうそう平和に穏便にいきましょう! ラブアンドピースですよ、トライガン調にいきましょう!
GM/(トライガン調に)みなごろし〜♪ みなごろし〜♪ ひとりも〜残さねぇ〜♪
ときわ/(トライガン調に)ラララルラ〜ジェノサイド〜♪ リリルリル〜血のオ〜シャ〜ン〜♪ レッツビギンさぁキリングタぁ〜イ〜ム〜!
タツヤ/(トライガン調に)歌ってるぞ! なんて嫌な歌詞なんだ!
P-27/でも現状そのものの歌ですね。
ときわ/そうっ! 出会ってすぐミュージカル調に分かり合える僕達ってベストフレンドですね!
GM/よく判らないが賛同して歌ってしまった。まあ、判定失敗したらときわが不意打ちで死ぬのは変わらないんだが(笑)
ときわ/アクセンさん僕を殺したら化けて出ますよ! なにせ僕は[霊媒師]で既に≪守護霊≫とかいますからね! 自分も死んだら魂だけの存在になってラララルラリリルリルでやって来ますよ! ソウルだけの存在になってもベストフレンドしてくださいね、僕この戦いが終わったら今までの人生で貯め込んできたもの全部発散して髪染めてデビューして都会でジャンバリティータイムするんだ……!
GM/「ときわ殿の言っていることは難しくて分からんなぁ」
アトゥーニ/素で「訳ワカンネ」って顔された(笑)
ときわ/うっ、色々喋り足りないのに演出が思いつかない……(笑) アクセンさん、≪悔改めよ≫しません? ラブアンドピースしましょって言いましたよね?
GM/「しながら君が歌った歌はジェノサイドでキリングタイムだったではないか」
ときわ/ラブアンドピースでトライガンといったらあの歌でしょう!? ……って脱線したのは僕だった! すみません真面目にやります! ……アクセンさん、貴方が邪神を守りたい気持ちはよく判ります! そんな話を≪母の腕≫で結界を張って、一時的に安全地帯を作りながらします。
タツヤ/お、結界を張った。
ときわ/一時的なものなのでスーパー脆いですけどね。でもアクセンさんと至近距離で、恐れずに話します。≪命の糧≫や≪強化手術:体力≫や≪武闘家の血≫+≪聖戦士の血≫でいざとなった喧嘩には負けないぞ精神で!
GM/何を話す?
ときわ/何でもいいんです。再会を喜び合うんです。……そうしている間にも、『ワンアンドアナザー本編』のPC達が邪神封印のために頑張ってくれることでしょう。魔王をときわが食い止めている間に結界を完成させるんだ! ときわはそんなこと全然知らないのでただトークしてるだけですけどね!
タツヤ/忙しい奴だなぁ(笑)
GM/(←本編で結界を完成させるため頑張っていた人)任せたぞ、ときわ。世界の運命はお前のトーク力に掛かっている(笑) ではそろそろ、 20個目の判定である【体力】判定で難易度14をやってくれ。
ときわ/いきます! これクリアーしたら何か話をしてくださいねアクセンさーん!(ころころ)ああああ危ない!? 達成値14でギリギリ成功!
アトゥーニ/あれだけ演出しても、ギリギリ成功!(笑)
P-27/でもギリギリだって成功です。お見事。
ときわ/勝ったッ! 第3部・完!
GM/それダメなやつだから(笑) ……ときわって、上門所長の息子なんだよな?
ときわ/そうです。と言ってもお父さんほど凄い人なら後継者候補をそれなりに居そうですから、兄弟やライバルの親戚はたくさんいそうです。……あ、良かったら新座さん(スウィフト)のご実家の魔術結社で親戚にさせてください。新座さんとは親戚で、新座さんほど直系に近くない感じで。
P-27/ということは、鶴瀬リーダーとも親戚?
ときわ/あ、それならときわが機関から知り合いのいるレジスタンスに鞍替えするのもおかしくない……けど、鶴瀬さんとは血の繋がらない親戚っぽいなぁ。新座の母方のイトコが鶴瀬で、新座の父方のイトコがときわとかで。
GM/なるほど。では機関の内情にも精通しているかもしれない。……元機関であるときわは唐突に思い出す。この「死んでも蘇って何度も繰り返してる」おかしな現象、機関の一部署が研究していた筈だ。その資料が施設内にある筈。今すぐ見つけに行けば分かるかも。ここで特別に【体力】か【幸運】で難易度10に成功すれば、資料を発見して読み解くことができる。
ときわ/そんなことよりアクセンさん、パーティー抜け出さない!?
GM/甘いよ小沢さん。「私は本編のクライマックス戦闘で忙しいから一人で行け」(一同爆笑)
ときわ/一人じゃ寂しい……誰か一緒に来てもいいんですよー!?(ころころ)【体力】達成値13で行きます!
P-27/(ころころ)自分も達成値13で成功しましたので行きましょうか。
アトゥーニ/(ころころ)あ、私は失敗なので無理です。行きたかったけど残念……。

 ときわは地獄の野外から、いつ崩落するかも分からない研究所別館に侵入する。
 元機関の一員であるときわ(と言っても父親が関係者なだけであり、自分は研究者ではない)は、僅かな記憶で目的の資料がある場所を走って目指す。
 ……そこでP-27に遭遇した。逃げることもなく、敷地に残っている謎多き彼に。

ときわ/あ、貴方は……。自分のことを偽名で名乗るベリークールなお兄さん……!
P-27/そう言われるとちょっと照れます。でも教会やハンターの皆さんは、基本的に本名を隠しておりますよ。
ときわ/中の人が名前を決めたりするのがハイパー苦手なのでコードネーム考えない主義なんですよね! GMに「GP-01の本名を考えてくれ」と言われて「テキトーに駅名でいい!? 1がつくから一が入った駅名を探すからそれでいい!?」って言うぐらいには!
P-27/だから貴方もお父さんの名前も地名なんですねぇ(笑) そして貴方は本当にいつも元気な人だ。ニコニコ。
ときわ/この状況でこの余裕……只者じゃないです……。あの、僕達ループしてますよね!?
P-27/そうですね。
ときわ/もしかしたらこの現象、研究していたチームがいたかもしれないんです! 僕の勘ですけど! だからあっちの研究室に一緒にゴーしませんか!?

 2人は崩落寸前の建物を捜索する。そしてある研究室に辿り着いた。
 時間跳躍する勾玉を作り出したチームの研究室だ。
 ときわはすぐさま研究資料に目を通す。どうしてこんなことが起きているか、いつまでループするのか、そして……この現状を打開するすべもあるのか、希望を抱きながら。
 それは研究資料とは名ばかりの、研究員の手記。けれど大事な情報だった。

 ――ある日。『金色の大太刀』と名乗る女が、上門所長のもとに現れた。所長の秘書、片腕として傍らに立つ彼女を見て、愛人だと思った。眩い金の髪に、不思議な色の碧の眼。人とは思えないほど美しすぎる女で、思い立った言葉が『傾国の美女』だったからだ。

ときわ/ニョロニョロ蛇さんのことだ!
タツヤ/あの蛇の詳細が、ここで分かるのか。

 ――上門所長はその『金色の大太刀』と名乗る女を、「神の使者」だと言った。大真面目に。曇りない目で。
 ――『金色の大太刀』は千年前からいる人外だという。人外種族の研究をしている機関にとって、そのような話は珍しくもない。千年前にスーパー人外大戦なるものがあり、彼女は『悪しき忌々しいモノ』と戦った。その際に、相棒といえる存在を喪ってしまったという。

タツヤ/もっと良い名前が考えられなかったのかよ。
GM/考えられなかったんだよ。誰も考えてくれなかったんだよ。
アトゥーニ/そのまま採用しちゃうGMもどうなの……(笑)

 ――相棒なのか、伴侶なのかは分からないが、愛する片腕を失った彼女の対となる存在は、彼女と同じ、邪神の配下だったという。相棒は『タイマストトバール』の手足、『神々の装具』だったそうだ。……この辺りは研究不足でよく判らない。
 ――相棒を復活させたいがために彼女は、神の使者と呼ばれるほど凄まじい力を持った人外種族として、力を、上門所長に貸すという。
 ――相棒を蘇らせて、邪神『タイマストトバール』の降臨を願う。それが彼女の望みだそうだ。「相棒を蘇らせた上に、邪神を降臨できたら一石二鳥」なんて言っている。そう簡単に巧くはいかないだろう。「もし完全な召喚方法でできたなら、全て叶うだろうが」

GM/実際は、『ワンアンドアナザー』本編でラスボスの航が「敗北して、逆転勝ちしたことで中途半端な召喚」になったから、相棒しか蘇らせられなかった。真の邪神タイマストトバール召喚にはならなかった。所詮は、手足の一部しか召喚していない……のが現状だ。

 ――彼女の異能は桁違いだ。邪神やその配下がどんなものか知らないが、そこらのエルフやドワーフや獣人どころの話じゃない魔力と知識を提供してくれている。
 ――所長が彼女を利用しているのか、彼女が所長を利用しているのか。……この辺りもよく判らない。

ときわ/お父さんは……きっとこの女に騙されて、色々暴走しちゃったんです。そういうことだと思います!
P-27/「所長が彼女を利用する」という考えも間違いではないと思いますよ。結局は利用されていたんでしょうけど。

 ――彼女は知識を提供するだけでなく、自らの血肉も機関に捧げてくれた。
 ――それによって造られたホムンクルスは素晴らしい出来だった。また、血肉を植え込み力を増大させた強化人間も、尋常ではない数値を叩き出す傑作となった。

P-27/…………。

 ――彼女の提供により、上門所長自身の研究も進んだ。
 ――最強の人形の誕生、最強の戦士の創造、そして……。
 ――最強の魔道具の開発。神の領域とも言える、『時間を越える手段 自由自在のタイムスリップの方法』。もうあれは、ほぼほぼ完成だった。まだコントロールに若干の不安が残るが、『時間跳躍ができるアーティファクト』は着実に出来上がっていた。

ときわ/えええ……勾玉って、お父さんが造った物だったんですか!?
GM/「機関のトップがやれるほどの凄い研究」って何だろうと考えたら、『ワンアンドアナザー』最終回で肝となったアレかなと思って。
P-27/納得です。「対象を2D6月前に時間跳躍する」というのはまだ自由自在とは言い切れませんが、使いたいときに使えるという域にまで到達させたのは、偉大な発明かと。

 ――最強の勾玉は、盗まれた。最強の人形も結局は「失敗作」として廃棄。機関ではない場所へ移ったという。
 ――しかし、全ての記録・技術・ノウハウと、適性体である「成功品の強化人間」は、機関に残っている。やむをえず無くなってしまったものは仕方ない。ならもう一度、時間跳躍の手段を造ろう。
 ――時間を跳躍できたら。どんなことが起きても時を巻き戻し、やり直す。満足いくまで何度でも繰り返せる。
 ――だから強化人間に『全て』を詰め込む計画が、進められようとしている。

GM/手記は以上だ。
ときわ/……以上です? えっと、つまり? 何だあ……?
P-27/女は神の遣い……という悪鬼で、全ての諸悪の根源です。邪神召喚を実行したのは夜須庭航ですが、その手筈を整えたのは女に付け込まれた上門所長です。
GM/夜須庭 航がラスボス戦で勝利すれば儀式は正しく成功して邪神タイマストトバール本体を召喚し、世界崩壊エンドになっていた。だが夜須庭 航は敗北、その上で訳あって召喚をしたので本体ではなく手足……ここで言う「相棒」が召喚された。
タツヤ/あくまで「手足」程度だから、ゲームオーバーから免れてPC達が封印できたって処理になったんだな。
P-27/上門所長は『金色の大太刀』を使って3つの発明に成功しています。1つ目は神の細胞から造ったホムンクルスP-27。2つ目は時間跳躍の勾玉。3つ目は……神の力を授かった強化人間、GP-01。これは、『チャートの5』に出てくる戦士、一本松という男でしょう。
GM/そうだ。
P-27/1つ目のホムンクルスは機関を離れた。2つ目の勾玉は盗まれてしまった。3つ目だけが残り、今度は『勾玉と強化人間を合体させてみよう』という計画が持ち上がった。
GM/その通り。
P-27/……これはもう、成功したのですかね?
ときわ/成功したから……時間跳躍を何度も繰り返せるようになっちゃったんです? なんで、こんな地獄を何度も繰り返してるんです?
GM/それは、繰り返す能力を植え付けられた本人に訊いてみるといい。……25番目をクリアーすると、全てが分かるかもしれない。
アトゥーニ/あと判定を5つ、クリアーすれば……。
GM/……長々とネタ晴らしタイムになってしまったが、判定ラッシュに戻ろう。ときわは【幸運】判定で難易度8に挑戦してくれ。
ときわ/はい。(ころころ)よし、苦手分野でしたが余裕で成功です。
タツヤ/次は、【反射】判定で難易度10だ。
ときわ/まだまだイケますよ。(ころころ)成功!
P-27/簡単な判定です。【理知】判定で難易度8です。
ときわ/(ころころ)大丈夫、ファンブルじゃないので成功です!
GM/これは一気にいけるか? 24番目、【知覚】判定で難易度12。
ときわ/(ころころ)うっ、ダメでした! 達成値11で失敗……!

 バァンッ。リリルラケシスのメンバーらしき影が放った銃弾が、ときわの心臓を貫く。
 無限に殺される地獄の糸口が、少しだけ見つかったかもしれない。
 だが、地獄へと導く使者が大勢いることには変わりない。ほんの少しの油断が、一瞬でときわの命を掻き消していった。

P-27/(ころころ)チャートの結果は……2でした。
タツヤ/1ゾロって……「2:もう誰も助からない。何もできない。自殺した。」か。
P-27/GM。25個までクリアーしたらクライマックスフェイズに移行しますよね。では……そろそろ、見つけてもいいでしょうか。
GM/ああ。では……ルージィルがやりたかったシーンをしよう。

 銃弾で倒れたときわの遺体を無視して、P-27は研究所を突き進む。
 何度死のうが、地獄の中を走ろうが、逃げるのではなく……あるものを探して突き進む。
 訪れた場所は、機関の主任研究員・夜須庭 航の私室。鍵をこじ開け、凄惨な研究にその身を捧げた研究員の内部へ入り込んだ。

 そこでようやく、再会を果たす。

P-27/……お久しぶりです、マスター。貴方に遠くへ吹き飛ばされてから、戻ってくるのに、■■年も掛かってしまいました。なにせ失敗作ですので、不出来な私をお許しください。

 『それ』は、何とも形容できない。『P-27のマスターであったもの』としか言いようのない物の前に、跪く。

P-27/貴方を機関から助け出す、そう考えていたのですが。……もう貴方はそんな姿になってしまいましたし、僕も、疲れてしまいました。これでも逃げるの、結構大変だったんです。マスターに会えなかった日々も大変だったんです。そんな訳で、疲れてしまいましたから、どうか一緒に眠らせてください。……今は、再会できただけで幸福なのです。この幸福な気持ちのまま、終わらせてください。

 ゆっくりとP-27が目を瞑る。
 途端、その体は不自然な角度で崩れ落ちた。
 ニコニコと笑っていた人間らしい姿から、電源スイッチを切ったことで機能停止したような、ただの物体へと変貌したのだった。

GM/……最後、アトゥーニのターンだ。
アトゥーニ/(ころころ)チャートの結果は……「3:逃げようとしたら死体に躓いて転んだ。その一瞬のうちに触手に捕まり、邪神に食われた。痛みに襲われ死ぬ。」……ああ、最悪……。
GM/まだ転んだとは限らない。判定をしよう。【知覚】判定で難易度12だ。
アトゥーニ/(ころころ)あっ、12で成功……! 成功した!
タツヤ/生き残ったぞ!
GM/……これで本当に最後。25番目、【幸運】判定で難易度14をどうぞ。
アトゥーニ/危ないものから全部の魔力を使ってバリアーを作る。≪武装粒子1・2・3≫や、≪氷河の城≫や、≪大地の守護者≫や≪元素の陣形≫を使って全部から、檻に閉じこもる!(ころころ)ええええ!? ここまで使って、出目1・2で失敗!?
ときわ/うえっ!?
P-27/それは運が無かった……。
タツヤ/いけると思ったところで……。

 バリアーで全身を守り、全てのものを弾きながらアトゥーニは逃げる。
 だが、転がる死体に躓いて転んだ。俯せに倒れてしまう。その一瞬のうちに触手に捕まり、邪神に捕まり口の中へと放り込まれた……だが。

 死なない。全身を見えない壁のようなもので覆っているから、歯が襲い掛かろうとも死ぬことはない。
 だがそれは、口の中で固い飴を噛んでいるようなもの。飴の中に入ったアトゥーニという果肉を味わうべく、ガリッ、ガリッと、何度も噛んでいる。
 魔力や削れ、バリアーが溶かされていく。少しずつ体を守る障壁の氷が消えていく。口の中から飛び出すことも敵わず、少しずつ少しずつ、早く早く中身をと歯が飴を砕いていく。

 「早く」

 「早く」

 「早く、死なせて」

 そう願ってしまうほど。ゆっくりと死が近づき、なかなか最期まで至れない。
 中身に到達するまでの間、激痛に襲われることよりも恐ろしい時間を、アトゥーニは延々と味わうことになってしまった。

タツヤ/うげえええええ……。
ときわ/おわああああああ……。
P-27/えー……まさかのプレイヤー全員が描写のグロさにストップを掛けました(笑)
アトゥーニ/これ「こういうことをするセッション」だって分かって参加しているからみんなノリノリで死亡描写しているけど、今までで一番えげつない死に方だったんじゃない……?(笑)
GM/や、やばい、このアトゥーニの死に方が一番GMも嫌な気分になった……(笑)
タツヤ/もう……終わりにしたいな……(笑)
P-27/もうすぐ終わりますよ……あと判定は1つなんですから……。
アトゥーニ/ちょっと色々やりすぎたね……もう終わらせよう……。
ときわ/最初は「あーでもないこーでもない」って死亡演出してたんですけど、なんかもう……前向きに生きたいですね……いえ僕は最初っから「無理! ギャグに走らなきゃやってられねえ!」って突っ走ってましたけどね! 楽しいけど!(笑)


 ●ミドルフェイズ4/5周目挑戦

 「我らは神に選ばれた者として、爛れた世界を救済する義務がある。我らは神を降臨させ、全人類を救わなければならない」

 上門所長は本気の眼で、心からその願いを叶えるために女を引き込んだのだろう。
 その願いの行く末が、数秒後の地獄だ。またあの爆発が、火災が、崩落が……絶叫が始まる。

 「ギャアアアアアアアアア助けてええええええええええええ!」
 巨大な暗黒の渦。這い寄る闇。混沌。名状しがたき何者か。
 地獄を目にしてしまった者達が殺し合う。時には笑い、時には泣き、何も分からないまま死ぬものもいれば……何かを掴んで生きようと走る者もいる。

タツヤ/(ころころ)……チャートの結果は、5。
GM/すげえ。ちょっとした運命を感じるダイス目だ……「5:発狂している機関の戦士に何度も何度も殴打され、殺された。原型が残らないほど攻撃され、死ぬ。」 重要人物である一本松に会うというチャートを引き続けている。
タツヤ/ただ俺の出目が期待値よりも低いだけだけどな。
アトゥーニ/それは言わないであげて(笑)
GM/この25番目の判定をクリアーすればクライマックスフェイズに移行する。つまり「5」の結果で死ぬという結果がカットされる。その後の結果でどうなるかは、PCの頑張り次第だ。
ときわ/……僕、生きてまた立っているんですよね?
GM/ああ。周囲は逃げ惑ったり早くも殺されたりしてる。描写は自由にしていい。
ときわ/じゃあタツヤさんに叫びます。……タツヤさーん! その人が! ループの原因っぽい人です! その人をなんとかすると僕らが生き残る可能性が増えまーす!
タツヤ/はあ!? なんだって!? いきなり意味不明なこと言いやがって!?
ときわ/僕もよく分かってませんよ! でもその男性がこの『繰り返し』の中心人物っぽいんです! まずは【幸運】判定で難易度14に成功して回避してくだぁーい!(笑)
アトゥーニ/私も蘇って……また生き返って逃げる今になって……よたよたしてるところで、その大声を聞いちゃう。
ときわ/そこっ! アトゥーニさん、しっかり! その顔、もう5回ぐらい死んで生きてを繰り返してる顔ですね!? 大丈夫です、4回も5回も死んだなら逃げ方もうまくなってますって!
アトゥーニ/ううう、変な励まされ方をされた〜……(笑) でも支えられて、何とか踏ん張ります。
P-27/…………。はあ、僕としてはあんなに綺麗に自殺ができて満足していたのですが、ループが続く限りこうしてスタート地点に戻ってきてしまうのですね。
ときわ/ご無事でしたか貴方!? 一緒に謎を追及しにいきましょう! 生き返れる限り僕らは生きられますよ! 諦めないこと逃げのびないこと信じること!
P-27/負けないこと投げ出さないこと逃げ出さないこと信じ抜くこと、です。
タツヤ/絶妙に全部間違ってるじゃねーか(笑)
ときわ/素で間違えました!(笑)
タツヤ/じゃあ、ここは……確実に成功させにいく。≪無の射撃≫+≪圧縮撃≫+≪覇魔矢≫で、一斉射撃! 危ない奴らー! 誰も近寄るんじゃねー! ≪乱れ撃ち≫!
ときわ/どんどんやっちゃってください!
アトゥーニ/う、運良くタツヤの後ろに隠れられたことにする〜(笑)
タツヤ/【幸運】判定!(ころころ)……達成値14で、成功!

 錯乱して無我夢中の奴らを弓矢で牽制し、自分の安全を確保しようとするタツヤ。
 意気消沈していたが、偶然にもタツヤに守られるような形になったアトゥーニ。タツヤに声を掛けるときわ。呆然とスタート地点に立ち尽くし、地獄の景色を眺めるだけのP-27。
 5度目の世界にやってきた4人。そんなタツヤが放った矢を……刀で弾き飛ばした男がいた。

 数々の武器を持ち、捨て、また握り、屍を増やしていく者。
 邪神が蠢き、炎が揺れる地獄の中で……ただひたすら殺し続けている男。

タツヤ/またお前……! 来やがったか!
GM/タツヤの声に、男は口を開く。「……『また』? そうか、お前は、この『ループする地獄』を気付いてしまった奴か。死んでも死んでも、ある時間から再開し、何度も何度も殺される地獄にいることに、気付いてしまった者……。可哀想に」
ときわ/気付けない人と気付いてしまった人がいるんでしょうね。ええ、僕は記憶を引き継いでどんどん死んだり生きたりを繰り返してました。
タツヤ/俺もだよ。というか気付いてしまった奴って……最初から気付いてたよ!
アトゥーニ/これを生かせばここから逃げられると思ったけど、まだ出口という出口が見当たらないから死にっぱなしの5回目だけどね……もう5回も死んだからそろそろ終わりにしたいよ……。
GM/「フッ。なんだ。まだ5回目か」
タツヤ/まだ?
GM/「(3つダイスをころころ)514回中、たった5回。それでもう飽きたか
ときわ/ごひゃくじゅうよんかい。
P-27/514回。律儀に回数まで数えながら何を遊んでいるのです。年末はお暇なご身分なのですか、羨ましい限りですねGP-01。
GM/「…………」 ピクッと、血にまみれた男が動きを止める。止めて、P-27を見る。
P-27/あの頃からちっとも変わっていないP-27ですよ。……あの日から姿を変えるのはヤメましたので。
アトゥーニ/あ、お知り合いなんだ……って顔してる(笑)
P-27/質問します。昔馴染みのよしみで答えてください。機関に『時間跳躍の能力』を植え付けられた強化人間の貴方は、その能力で、何度もここの時間を巻き戻してる。そうですか?
GM/お前なんぞに答える義理は無いとか言いたいところが……さっきのアトゥーニの死でGM含めプレイヤー全員が「こんな所にいられるか! 俺は出ていくぞ!」モードに入っているので答える。
アトゥーニ/私の死が無駄じゃなかった……。
タツヤ/参加者全員がダイレクトアタックというシーンだったからな……(笑)
ときわ/いやホントあれ……キツかったんですよ……(笑)
GM/「ああ。邪神が召喚して、殺戮が始まって、封印されて陵珊山に残された全員が生き絶える寸前までを……ずっと繰り返している。それができる能力を植え付けられたからな。まあ、巻き戻せて数時間しかできないのだが」
ときわ/うわっ、それでも時間コントロールできちゃってる……!
GM/「本来であれば『ループの核』になっている俺以外は世界を繰り返していると認識できない筈なんだが。500回以上繰り返していると、例外が生まれるものだな」 ……4人は偶然デジャブを覚えたということだ。
P-27/何度も生きて死んでを繰り返しているうちに、魂が経験を積んで、イレギュラーにも対応できるよう頑丈に成長してしまったのでしょうね。500回もしていれば、そこの素早い……塩崎タツヤ様は、この山から逃げ延びた世界もあったでしょう。
GM/「ああ」
タツヤ/あったんだ!?
GM/「だが繰り返した。無かったことになった」
P-27/佛田ときわ様が生き延びる世界も、アトゥーニ・ナルダーク様が生き延びる世界も、あったことでしょう。……私は逃げようとしないのでおそらく必ず死ぬでしょうが。
GM/「だが繰り返した。無かったことになった」
アトゥーニ/……それは、何故?
GM/「それは…………」

 「……機関が無くなれば、俺の居場所が無くなる」

タツヤ/……は?

 「……『強くなれ』と戦士に仕立てられて、戦って殺してを繰り返して、そのまま何年も経って老いていくしかない俺の居場所が、無くなる。
 耳元でずっと殺せ殺せ殺せ殺せと囁かれてきた。嫌でも殺せ殺せ殺せと女の声が、邪神の声が、両親達の声が研究者達の声が鳴り続けてきて、諦めて言われた通り戦って殺し尽くして殺しまくって。それしか生き方を知らない。その居場所が無くなったら、俺自身も無くなる」

P-27/それは……そうですね。悪い人を逮捕しにやって来たのが我々レジスタンスなのですから。殺め続けてきた貴方は、然るべき場所に入って制裁を受けるでしょう。死刑という報いを。
GM/「刑務所に入れば、もう、殺せなくなる」
ときわ/アイデンティティクライシスが嫌だから!? 自分の唯一の居場所を守るために、ずっと殺し続けられる地獄を500回も繰り返していたんですか!?
GM/この地獄をずっと繰り返せば、老いることなく、疲れることもなく、永遠に「課せられた使命」を果たすことができる。彼は「これから先」を嫌がって自分のために「邪神が召喚して、みんなが殺しまくってる中で自分も殺しまくって、邪神が封印されるまで」を繰り返していた……ということだ。
アトゥーニ/う、うわぁ……。じゃあ、彼を倒せばループが終わるから、私達は生き延びて「先の未来に行ける」かも……?
GM/その通り。

 「殺せ殺せ殺せと声が聞こえる……子供の頃からずっとだ。破滅に導く邪神の遣いの声かもしれないし、両親かもしれないし、機関の連中の声かもしれない。
 誰のものかは分からないけど、最初は拒んだ。無言で耐えてきた。でもある日……一瞬でも大切に想えた誰かを斬ったとき、もうどうでも良くなった。
 もう自分にはこの道しかない。この生き方しかない。この世界が無くなったら……もう……どこにも行けない」

P-27/僕は自分であの人について行きました。だから「この生き方しかない」みたいに自暴自棄になりませんでした。貴方は連れて行ってとも言わず、自分からどこにも行こうとしなかったくせに、何を言っているのですか。
GM/「……うるさい」
P-27/自分で言った後に、言葉に詰まります。……自暴自棄。前の、自殺をしたとき、自分も「もうこれでいいや」と思って死んでみせた……と思い出しました。
タツヤ/あ、そういえば……。
P-27/……思い出しました、けど、私は同時にこうも思います。これ以上繰り返しを続けるべきではない。……殺せ殺せという声に誘われ殺し続ける貴方を、マスターが見たら、止めに入るでしょうから。
GM/GP-01は……一本松は持っていた刀を、P-27に……ルージィルに向ける。襲い掛かってくる様子だ。
P-27/タツヤ様、アトゥーニ様、ときわ様。聞いてください。

 「貴方達は死ぬかもしれない、ですが、生きる可能性も大いにある。しかし彼がいる限り、貴方はずっと地獄に囚われたままだ。
 あれを倒してから、もう一度、生きようと走ってください。そうすれば今度こそ……貴方達は救われる。
 この地獄はいずれ終わるという未来が、僕には視えています。通りすがりの≪未来視≫を信じてくれるなら、今は共に戦ってください!」

ときわ/前向きな≪未来視≫ほど力強いものはありませんよ! 共に戦います!
タツヤ/前の世界で、倒せなかったのが悔しかったんだ……! リベンジ戦をしてやる!
アトゥーニ/どっちにしろ、目の前に居る脅威を取り除かない限り、逃げられないでしょ……! 今度はヘマしない!


 ●クライマックスフェイズ

【戦闘マップ】
 エンゲージ1:タツヤ、アトゥーニ、ときわ、P-27
  (↑15メートル離れている↓)
 エンゲージ2:一本松

【行動値】
 一本松:24
 タツヤ:16
 ときわ:15
 P-27:13
 アトゥーニ:12


GM/第1ラウンド、セットアッププロセス。GP-01が≪聖剣の加護:魂装支援≫+≪機能維持≫を使用。このシーンの間、クリティカル値を−2し、ダイスロール+2する。
P-27/前回と違って、敵は1体ですが……はたして。セットアップで≪空間知識≫を使用します。
アトゥーニ/セットアップで≪箱庭の主2≫を使用。シーン間、クリティカル値を−2する!
GM/それではメインプロセスに移行。まずは【行動値】最速の一本松が……。
ときわ/イニシアチブプロセスに≪鳥躍≫を使用! 先手を取ります!
タツヤ/こいつ、速い!?(笑)
ときわ/マイナーアクションで敵がいるエンゲージ2に移動! メジャーアクションで≪戦乙女の知恵≫+≪蒼の衝撃≫で攻撃!(ころころ)命中、18!
GM/(ころころ)命中19で回避!
ときわ/≪斬り返し≫を使用! もう一度命中判定をします!(ころころ)命中19……1上がった。
GM/それなら、受動側優先で回避……。
ときわ/≪特権階級≫を使用! 達成値+1をして、当てます!
タツヤ/おおおお!? 自力で当てにいった!(笑)
ときわ/クリティカル特化は【HP】が少ないんです! まずは当てることを優先、先手必勝!(ころころ)出目が走りませんでした……霊力26点ダメージ! ダッシュで近寄りながらサブマシンガンをパララララと撃ち込んでいきますよ!
GM/ぐっ、しかも霊力ダメージか……。いきなりダメージを食らった。しかもエンゲージ接近された。遠距離攻撃型じゃないのかよ……。
ときわ/もしPCが多いエンゲージに行くなら、そこからでも攻撃できるってだけですよ。
GM/一本松のターン。……仕方ない、目の前の奴を叩く。その間にイニシアチブプロセスで≪血のいざない≫を使用。モブを作成、ときわとモブに対して≪EP:範囲攻撃≫+≪惨劇≫+≪戦場の華≫+≪合成:巨大武器+血と骨の武器≫+≪征圧術≫で攻撃。(ころころ)出目が6と4、命中クリティカル!
P-27/ついに、クリティカルが……!
ときわ/(ころころ)13で、回避失敗です!
アトゥーニ/≪大地の守護者≫の準備を……!
P-27/使わなくて結構です。僕がサポートします。
GM/(ころころ)物理ダメージ70点。
ときわ/即死。【HP】が0になります。
P-27/≪不滅の声援≫をときわ様に使用。戦闘不能になった直後に、【HP】を1D6点まで回復します。(ころころ)5点回復。
ときわ/むくりなう!
P-27/さらに≪不滅の声援≫は、未行動・行動済に関わらず、未行動状態になります。よってときわ様はこのラウンド、もう一度攻撃が可能です。
タツヤ/すげー、よく動くぞアイツ!(笑)
GM/さすがに一度戦ったことがあるP-27がいるせいか、すぐに倒しきれないな。……しかし、モブには攻撃が命中した。
ときわ/……そうなんですよね。
GM/≪修羅≫が発動。一本松が未行動状態になる。【行動値】最速の一本松の方から動く。さっきと同じ攻撃を、再度ときわに攻撃!(ころころ)クリティカル無し、命中25!
ときわ/当たらなければどうということはない!(ころころ)16で失敗。
GM/ダメージ算出を……。
タツヤ/≪零力射撃≫使用! 一本松の命中判定をファンブルにする!
GM/……行動終了。次はタツヤだ!
タツヤ/やったぁ! タツヤはマイナーアクションでエンゲージを分断。メジャーアクションで≪覇魔矢≫+≪無の射撃≫で攻撃。(ころころ)6ゾロ、命中クリティカル!
アトゥーニ/凄い凄い!
GM/(ころころ)回避失敗。
ときわ/クリティカルのダメージロールに≪戦術指揮≫を使用!(ころころ)10点ダメージ追加してください!
タツヤ/(ころころ)≪圧縮撃≫も叩き込む!(ころころ)物理ダメージ、48点だ!
P-27/……いきなり2撃、入りましたね。僕は待機します。
GM/ぐぐぐ、これは痛い。……次は、未行動状態になったときわ。
ときわ/変わらず攻撃です! ≪蒼の衝撃≫!(ころころ)命中23!
GM/(ころころ)……命中20、当たった!
ときわ/(ころころ)よし、霊力ダメージ30点です!
GM/げっ、これは一気にやられる……。次は、アトゥーニ。
アトゥーニ/マイナーでエンゲージ分断。メジャーで≪爆界≫+≪大地の一撃≫で攻撃! 爆発力のある一撃をくらえー!(ころころ)命中……出目が1と2……。
ときわ/そ、それには≪悔改めよ≫!
アトゥーニ/もう一度振り直す!(ころころ)ええええ!? 1ゾロファンブル!?
タツヤ/あっ、それは……。
GM/ファンブルした相手に≪重圧撃≫を使用! 『バッドステータス:重圧』を与える!(ころころ)【反射】で達成値13以上を出さないと、特技が全部使用不可になる。
アトゥーニ/まずいまずい! 防御特技が使えなくなる!(ころころ)だ、だめ……失敗! 重圧になりました!
タツヤ/げげっ。
ときわ/まずいですよこれは……!
アトゥーニ/≪鏡像≫で未行動に……。いや、ダメなんだ、重圧状態だから≪鏡像≫が使えない! 連続攻撃も、バステ解除も、できない!
タツヤ/あー!? やばい!?
P-27/待機していたP-27のターンです。マイナーアクションで≪興奮剤EX≫を使用し、全員の【MP】を3D6回復。(ころころ)13点回復。その後、≪不変不動≫を使用しアトゥーニ様の重圧を解除します。
アトゥーニ/ありがとー!? これで≪大地の守護者≫と≪元素の陣形≫が使える!
タツヤ/あ、あぶねー……持ってて良かったバステ回復(笑)
GM/あ、また忘れた特技が1つあった。イニシアチブプロセスに≪ハヤテの爪先≫を使用。GP-01が未行動化する。
P-27/……GM、また忘れていましたね(笑)
GM/うん、手番が多い敵がいつも忘れる……(笑) という訳で、目の前のときわに対して攻撃だ。(ころころ)命中クリティカル!
ときわ/(ころころ)これは、失敗……。
アトゥーニ/今こそ使う! ≪大地の守護者≫で、ときわくんのダメージを0に!
ときわ/……生き延びました。でもなんとか全員、第2ラウンドにいけましたね。

【戦闘マップ】
 エンゲージ1:タツヤ
 エンゲージ2:アトゥーニ
 エンゲージ3:P-27
  (↑15メートル離れている↓)
 エンゲージ4:一本松、ときわ


GM/第2ラウンドセットアップに移行。一本松は≪上級処刑術≫を使用し、ダメージアップ。
P-27/セットアップで≪空間知識≫を使用します。
GM/メインプロセスにいこう。……【行動値】最速の一本松が、イニシアチブプロセスでモブを作成。そしてモブを含めてときわに範囲攻撃!(ころころ)命中クリティカル!
ときわ/クリティカル多すぎませんか!?(ころころ)出目が良い……けど、回避失敗です!
P-27/…………。回避失敗で、見送ります。
GM/ダメージロール。(ころころ)ときわとモブ双方に、物理ダメージ49点!
ときわ/……やられません。【防御点】を引いて、【HP】12点で立ってます!
GM/なんと、受けたか。でもモブを倒したことで≪修羅≫が発動。もう一度ときわに攻撃。(ころころ)命中24!
ときわ/避けたい! 避けましょう!(ころころ)ああああ!? 1ゾロファンブル!?
アトゥーニ/そっちも1ゾロ!?(笑)
ときわ/≪ファンブル無効化≫はあるんですが……どっちにしろ当たりますね……ダメージください。
GM/物理ダメージ55点……。
ときわ/……今度こそ倒れました。ぷしゅん。戦闘不能です。チクショー! 化けて出てやりますよー!
GM/ときわを倒したことで、≪修羅≫が発動。……マイナーアクションで、タツヤのいるエンゲージまで移動!
タツヤ/お、俺に来るか!?
P-27/タツヤ様が一番安定して火力が出せて、逃げられやすい[狩人]ですからね。当てにきましたか……。
GM/メジャーアクションでタツヤに攻撃!(ころころ)命中21!
タツヤ/(ころころ)回避18……いけるか≪ミネルヴァ≫!(ころころ)よしきた、6追加で、達成値24だから回避成功!
GM/すばしっこいな。次は、タツヤのターンだ。
タツヤ/≪悪雨≫があるから至近距離でも攻撃できる! ≪乱れ撃ち≫+≪覇魔矢≫+≪無の射撃≫で攻撃だ!(ころころ)命中は19!
P-27/≪未来の吐息≫を使用! タツヤ様の命中判定をクリティカルに!
GM/(ころころ)回避は19、負けた。だがここなら使える。判定直後に本来の振り直し特技≪修羅≫を使用。……クリティカルで受動側優先回避!
タツヤ/……なっ……。
GM/回避成功により、≪カウンター≫が発動! タツヤに対して命中判定!(ころころ)命中22! −4のペナルティ付きの回避判定をどうぞ。
タツヤ/(ころころ)回避12、当たる!
GM/ダメージロールに≪失われし日々≫を使用。「……失わせない、俺は永遠に殺し続ける……殺せ殺せ殺せと叫んでいる声がまた聞こえ……。ああ、俺を、止めるな!」(ころころ)物理ダメージ、48点!
アトゥーニ/≪元素の陣形≫は……ああっ、ギリギリ足りない……!?
タツヤ/ち、ちっくしょう……! 【HP】がほぼほぼピッタリ0で、落ちる!
ときわ/1ラウンド目にはイケると思ったけど……逆転されました。
P-27/……アトゥーニ様は、≪爆界≫をまた打てますか?
アトゥーニ/≪爆界≫は1シナリオに1回までなので打てない……でも、≪爆散≫なら打てます。【MP】は残り10点ぐらいだけど……。
P-27/打てますね?
アトゥーニ/……はい。打てます。
P-27/……では、打ちますか。
ときわ/……アトゥーニさんが≪爆散≫を取ったのは、あくまで≪爆界≫を取るための必須条件ですよね? ≪爆散≫を使用を目途に入れてのキャラメではありませんよね……。
P-27/ですが、【霊力防御点】が弱い彼に有効な攻撃手段を使わない訳にはいかないでしょう。
アトゥーニ/…………はい。≪爆散≫+≪大地の一撃≫で、攻撃します。(ころころ)命中、16!
P-27/出目を僕のものを採用してください。(ころころ)6ゾロ、クリティカル。
タツヤ/そこでクリティカル出すかぁ!?
ときわ/ひどい……この人、ひどい……(笑)
GM/クリティカル回避しか残っていないのか……!(ころころ)よし、出目が6と5。クリティカル回避!
アトゥーニ/なんでそんなに出目が高いの!?(笑)
P-27/≪逆転運命≫を使用。その出目、振り直してください。
タツヤ/凄い戦いだ!?(笑)
GM/……もう一度クリティカルを出せばいい。(ころころ)出目が5と5。クリティカル回避!
アトゥーニ/えええええ!?
タツヤ/ま、また出した……!?
ときわ/さっきから2人でクリティカル対決してる……(笑)
P-27/…………。本当に申し訳ございません。アトゥーニ様、本当に……本当に……。
アトゥーニ/いや、あの……あはは……こういうこともあるよ……顔上げて……仕方ないよ、≪爆散≫ってこういう特技だから……。

 ≪爆散≫
 設定した領域を爆発させる[領域遣い]の主特技。≪爆界≫の取得条件になっている特技でもある。
 ダメージ+[クラスレベルD6]、さらに【防御点】無視にする特技だが、【MP】を9D6点を消費し、【MP】が0になった場合、使用者は即座に死亡する。


アトゥーニ/(9D6ころころ)……31点。死亡しました。
ときわ/自爆技なんですね、これ……。
P-27/自爆技を強要してでも……ダメージ9D6点の防御無視ダメージを与えられれば、既に何回かダメージが入っている彼を倒せると踏んだのです……申し訳無い、申し訳無い……。
アトゥーニ/でもこれは使用できますよね? カウンター技の≪爆砕≫を使用! 「戦闘不能になった直後に使用」は「死亡時でもOK」って、キャラメ段階でGMに許可を貰ってる! 今こそ使用します!
タツヤ/そんな酷いカウンターを用意していたのかよ……(笑)
アトゥーニ/これは軽減可能だけど、9D6点の霊力ダメージを与えます。(ころころ)あ、出目が低い……25点ダメージです。
GM/……【防御点】を引いて、まだ生きてる。息切れをしてはいるが。
アトゥーニ/……爆発、爆発に次ぐ爆発……そして、プツンと糸が切れたように倒れます。……魔力を全部吸われて、死にました。
P-27/……ごめんなさい……。
GM/返り血ではない、確かな攻撃を受けて瀕死になりつつある一本松が血を流しながらも攻撃をしようと戦おうとするが……。P-27の番だ。どうする?
P-27/自分が≪落下する光≫で攻撃をすることもできますが、当たったとしても物理ダメージのため[狂戦士]の【防御点】を上回れるとは思いません。相手に回避成功されたら≪カウンター≫で落とされます。
GM/ああ……悪いが、回復役のP-27の【命中値】だと、回避は容易だな。
P-27/…………。タツヤ様かときわ様のエンゲージに入り、≪リバース≫で戦闘不能回復することが可能です。
ときわ/ですが次のラウンドで先手を取られるため、回避判定に2回ほど勝利しなければまたダメージを受けて戦闘不能になります。
P-27/【MP】はまだ回復手段があり、それを2〜3回は可能です。そのたびに蘇って、死んで、蘇ってを繰り返すことになります。
タツヤ/なんか……さっきまでの俺達と同じだな。
P-27/はい。これも【MP】の限界があります。悪あがきで勝てる見込みがありません。
アトゥーニ/つまりこれは、「詰み」……?
P-27/……≪念動障壁≫や≪結合双生≫、≪一心同体≫を捨てて≪逆転運命≫や≪不滅の声援≫を取って対策はしたものの、ダメでしたね。……しかも自分が3人を戦いに誘っておきながら、自分一人が生き残るというのも……申し訳無い。
GM/……負けたと、ギブアップ宣言するか。
P-27/……ですがそれも、つまらない。ちょっと言葉で遊びましょうか。手を引くのは、貴方かもしれません。

 「……GP-01。本名を、一本松なんて名前でしたか。
 私は元々、この山へマスターに再会した後に命を終えるつもりでした。おそらく500回の中で、私は何度もマスターのもとで自ら命を絶ったでしょう」

P-27/元々、死ぬ気だったのです。そしてマスターのもとで命を絶った記憶もある私は、既に死んでいるも同然。むしろさっきまで自ら死のうと考えていたぐらいでした。
GM/「それが何だ。お前は『ここで戦って、俺に殺されて死ぬ』に変わったのだろう?」

 「ありがとうございます。貴方が終わらせてくれるのですね。私を本来の目的である『マスターと共にこの地で死ぬ』を、貴方が叶えてくれるのですね。
 私は当初の目的を果たす。清々しい気持ちで、満足して。こんなに清々しく満足したとなったら『私の勝ち』でしょう?
 『貴方はマスターに置いていかれてずっと一人で殺しまくって』、『私は目的を果たして大勝利』。……では、どうぞ。私を勝たせてください

P-27/ニコニコ。
GM/「…………」
P-27/ニコニコ。
GM/「…………」 悔しい……こいつを勝たせたくねえ……ってGMが一瞬でも思ってしまったので、P-27に向けた刀を下ろして、戦闘離脱します。

 「終わらせてくれませんでしたか。ああ、目的を果たせなくて私の負けですね。
 そして貴方がこの戦闘をギブアップした。私が生き残ります


 ●エンディングフェイズ1/タツヤ

GM/……戦闘終了。だけど、ラスボスを倒すことはできなかった。なので、「ループから抜けられず」、抜けたとしても「封印が完了した山から脱出することもできない」。……アトゥーニは死亡確定、タツヤとときわは戦闘不能なので儀式の生贄化。P-27は……ちょっと相談しようか(笑)
P-27/自分は死んでも生きてもハッピーエンドですけどね。……それでも戦闘不能にならず全滅エンドにはならなかったので、P-27が何とかすればタツヤ様とときわ様は助かることにしてもらえますか?
ときわ/いや、実質あれは全滅エンドですからバッドエンドでデッドエンドも覚悟の上ですよ(笑)
タツヤ/元々「死にまくるシナリオ」「生きて帰れる保証は無い」って了解してプレイしていたから、このまま封印の養分になるのもいいもんだ(笑)
アトゥーニ/私は生贄にもなれず、ただの屍になりましたー……(笑)
GM/復活から封印までを繰り返すループは、誰かが奴を止めない限り永遠に続きます。500回でも、1000回でも。ただ、これから先の未来は『ワンアンドアナザー』本編で決定している。封印結界は完成し、邪神は収まり、地下へ封じられた。P-27以外の3人はループを抜けてもいずれ死ぬ。
ときわ/ループが終わっても、結局死ぬ。
GM/そのことを前提に演出していこう。まずはタツヤのエンディングシーンから。
タツヤ/……延々と繰り返される地獄の中でのエンディングシーンをする。

 機関最強の戦士と戦って、死んだ。でもそれも、何回目だ?
 気が付くと君は、施設の中に居た。
 「我らは神に選ばれた者として、爛れた世界を救済する義務がある。我らは神を降臨させ、全人類を救わなければならない」
 偉そうなスーツ姿の中年男が、血迷ったことを言っている。隣には彼の小さな息子。中に入れないように封鎖している研究所員達に、共に突撃してきたレジスタンスの仲間達……。
 この光景は、本当に何回目だ?

タツヤ/またここからかぁ……今度は俺、どうやって死ぬのかなぁ……。

 爆発。火災。スプリンクラーの雨。さらなる揺れ。崩落。絶叫。
 巨大な暗黒の渦。這い寄る闇。混沌。名状しがたき何者か。
 地獄を目にしてしまった人間が、敵味方関係無く恐怖して、訳も分からず死んでいく。
 「ギャアアアアアアアアア助けてええええええええええええ!」 ……この叫び声、もう飽きてしまった。

タツヤ/もう何回目だか分からないけど、とりあえず座り込みます。

 施設の中で座り込んだタツヤ。
 まだ正気なレジスタンスメンバーがタツヤに対して大声で怒鳴る。
 「おい、塩崎! 何やってる! 早く逃げるんだ! 逃げないと死んじまうぞ! ここは俺達がどうこう出来るもんじゃねえ!」

タツヤ/(ころころ)そいつは……「4:狂乱に陥った機関の研究員に撃たれた。何発も体に弾丸を受け、殺された。」だって。その場にいた奴に射殺されたなぁ。

 「アハハハ! もうダメだ! みんな死んじまうぞぉー!」「ギャアア!?」
 呆然と座り込んだタツヤの目の前で、狂人達が銃を乱射している。みんな、邪神ごときを見たぐらいであんなに狂っちまうなんて。情けねえ。

タツヤ/はぁー……そろそろ俺も逃げるかなぁ。でも逃げ延びたところで、またここに戻ってくるんだよなぁ……。

 立つ気力が湧かない。どんどんと血で汚れていく施設の中で、タツヤはずっとその惨劇を眺めていた。
 すると、目の前に瓦礫が落ちてきた。邪神の行く先にこの建物が選ばれてしまったらしい。天井が崩れてくる。
 だけどタツヤは、動く気が全く湧かない。……こんな無気力状態また、殺し合っている者達と同じ、狂人になってしまったということだろうか。
 あっ、頭の上に瓦礫が落ちてくる。また「神を降臨させ、全人類を救う」からスタートする時間に戻るのか。
 ……あの声の言う通り、みんなを救ってくれる神様が現れてくれないかなぁ……。思いながら、タツヤの■■■■回目は、あっさり終わった。


 ●エンディングフェイズ2/アトゥーニ

アトゥーニ/私も、繰り返されるループの中で死亡するエンディングシーンをします。

 爆死。焼死。圧死。狂死。
 刺殺。銃殺。絞殺。自殺。怖い死に方を何度も体験する。世界が廻っていることを知ったときからずっと生きては死に、死んでは生きてを繰り返している。
 ……なんで自分はこんなに死ななきゃいけないんだっけ?

アトゥーニ/そうだ……私、機関が何をしていたか知りたくて、この任務に参加したんだった。……死んでばっかりで忘れてた。

 何かを知ろうと走り続けてみた。でも最終的には死んだ。
 以前ときわ達が何か情報を得て「ループから抜け出せる手段を得た顔」をしていたが、倒せない存在だと知り、絶望。……それきり新しい情報を得るのが怖くて、走り続けてはみたけれど、何も変わらなかった。

アトゥーニ/帰りたい。この山から出たいよ……お家に帰りたい……。

 興味があるものが出来たらフラフラとどこかに行ってしまう悪癖、こんなにも恨むことになるなんて。
 最近は、死んで蘇った直後に遺書を書く癖をつけてみた。「お母さん、お父さん、今までありがとう」 書いた後に殺されて、また蘇ってしまうのだけど。
 何回も何回も遺書を書いていたら、気が滅入ってきた。でも癖になってしまったので書き続ける。死ぬたびに、書く。つらくて怖くて助かりたいという叫びを、毎度毎度死ぬたびに書いて始めるようになる……。

アトゥーニ/帰りたい! 帰りたい帰りたい! お父さん達のところに帰りたい! 変な所に来ちゃってごめん! フラフラしててごめんなさい! 謝るから! 謝りたいから! ……お願いだからお家に帰してよう! ……もう死にたくないよぉ……!

 蘇ったら遺書に書く。そして死に、蘇ったらまたそのことを遺書に書く。そして死に、更なる叫びを新たに遺書に書く。
 ……もしこの遺書が残った先でループが終わったら。未来が訪れたら。
 全てを片付けにきた人達が、この凄惨な遺書を読むのだろう。無数の狂人のひとりが書いた、支離滅裂なこの遺書を。

タツヤ/あのさぁ……。
ときわ/あのさぁ……。
P-27/あのですね……。
GM/なんでアトゥーニは参加者全員にダイレクトアタックな描写がこんなにうまいんだ……? こんなセッションをしてごめんなさい……(一同爆笑)


 ●エンディングフェイズ3/P-27

P-27/自分は死ななくていいとのことですが、ループから抜けたとしてどうすればいいんでしょう……。少し思いつきませんね……死ぬ気でいましたから。
ときわ/あのー。思いついた演出があるので、ちょっとGM交代してもいいですか?
GM/どうぞ。生存してもいいというP-27のエンディングシーン、どんな風に出も演出していいよ。自由に。
ときわ→GM/ループから抜けた後の未来を描きましょう。邪神封印結界が完成した後の光景をP-27は見ることになったら、結界の外から見る? それとも結界の中で生贄になって見る?
P-27/ラストバトルで生き残りましたし、まだ気力があります。なので結界の外まで逃げてみましょうか。
GM/山の森まで逃げてみたP-27。すると……あっちの方で、とある女が蛇を異空間にポイッと捨てていた。
タツヤ/あっ、あのシーンだ。
P-27/……その蛇は、『金色の大太刀』の手足……いえ、指先ですか。逃がしたのですね。
GM/女が振り返る。「あら? 貴方も金髪碧眼? 『金色の大太刀』の息子かしら。お母さんを追ってここまで逃げてきたの?」
P-27/いえ、ここまで来たのは偶然です。あの女性を母と呼んだことはありませんし、流れで知っただけですから。……ちょっと失礼、そう言って木に寄り掛かってズルリと崩れ落ちます。
GM/「貴方も、致命傷でも負ってるの? 助かりたい?」
P-27/いえ、別に。……ループをしているうちにたまたま訪れた儀式封印を見てみたくてノリで外に出てしまいましたが、僕はマスターと共に死ぬつもりでした。何度も同じ時間を過ごしていると、やはり狂人になるようですね。ここまで外に出てしまったのは初めてです。大人しくここで機能停止でもしておきます。
GM/「もったいない。貴方、綺麗なのに」
P-27/神様みたいに綺麗でしょう? 神様から生まれていますからね。しかも失敗作の僕にはもったいない話ですが、神様の名前まで付けてもらっているのです。これは自慢できることですからニコニコ話しますよ。
GM/「神様の力を持って生まれて、神様の名前まであって、とても綺麗。もうこれは神様になるしかないのでは?」
P-27/なれるものですか、簡単に。
GM/「ええ。私、神様だから」 手を差し出します。
P-27/僕に静電気で死んじゃいますよ。……それでも手を差し伸べてくれた人がいてくれたものですが。
GM/「神様は何でもできる。貴方を仲間に引き入れ、神の手足にすることも。神様はいつでも『世界を良くしよう』『楽しくしよう』『楽しんで遊ぼう』と思っている手足を募集してるわ。貴方……あの『金色の大太刀』のように、世界を楽しく弄ってみる気はない?」
P-27/……良い意味でですか、悪い意味でですか。
GM/「どちらでも。良い方で世界を弄りたければ、人々を楽しませてみたいなら、貴方が思う良い神様に仕えればいい」
P-27/……神様は、爛れた世界を救済して綺麗にしてくれるらしいですよ。僕にそんなことできますかね。
GM/「はー。貴方の思う神様って、そういう人なの? そういう人になりたいなら、目指せばいいんじゃない?」

 「いえ……自分の……私の……僕の思う神様は……。
 どんな人にでも手を差し伸べる、ちっぽけな存在にも悪い奴にでも何でも手を差し伸べて、目についたものなら全て救ってくれる……そんな人で。
 そんな人に……なってみたいです。もしあの人に相談したら……『助けて』と言うこともできないような弱い人の味方になれと、きっと言うでしょうから」

 ――ルージィルは、弱々しく手を伸ばす。
 『上階』に住まう者、混沌と銘打つ『堕天した女』に手を伸ばし、『上へと昇る契約を果たした』。

 ――――そして消える。封印儀式終了後に訪れた捜索隊によってしても、P-27と名乗っていた人物の遺体は発見されなかったという。


 ●エンディングフェイズ4/ときわ

ときわ/ループから抜けた先の未来を描いていいやつですかね。……とは言え、僕は戦闘不能になったので儀式の生贄にカウントされて死んでしまいましたが。
P-27/死んでしまいましたね。
ときわ/アクセンさん、助けてくれませんか?
GM/直球な命乞いをしてきたな(笑) ……じゃあ、【幸運】判定で難易度12に成功したら「死んでるけど助けてくれる」よ。
タツヤ/なんだそりゃ。
ときわ/なんですそりゃ。頑張りたいですね。(ころころ)よし、達成値12でピッタリ成功です!

 ときわは死んだ。
 一本松にやられて戦闘不能のまま倒れているうちに、儀式結界が完成。邪神を封印する生贄として、封印の養分として命が吸われていった。

ときわ/きゅ〜……ぽっくり。

 ……目を覚ます。
 ときわは目覚めると、自分ではないものになっていた。自分の体を見ると、見知らぬ人になっている。別人に成り代わっていた。

アトゥーニ/生まれ変わった!?
GM/レジスタンスに参加していたエルスの錬金術師がときわに説明します。「起きたんですか!? 儀式封印が終わった山に戦後処理に行ったらなんか『死んだら化けて出てやるー! 化けて出てやるー!』ってずっと喚いていた魂がいたので怨霊になる前に回収して人形に入れたんです!
ときわ/なんですって!?(笑) ずっと戦闘不能後も「化けて出てやるー!」って言い続けた甲斐がありました!?
GM/あれメチャクチャうるさかったよ(一同笑) 空っぽの器である人形に魂を入れて、憑依合体させた。その人いわく、「何故かそうしなきゃいけないという使命感に駆られまして……」。という訳で「死んでるけど生きている」よ。【幸運】に成功したから。
ときわ/へー、一体なんでそんな使命感に駆られちゃったんでしょうねー!(笑) ……あの、お父さんはどうなりましたか?
GM/死んでいるか……もし生き残ったとしても、逮捕されて死刑になるんじゃないかな。
タツヤ/……レジスタンスがカチコミしていた真ん中にいたんだし、しっかりと確保されたんじゃないかな。
アトゥーニ/ということは……逮捕からの死刑ルートか。
ときわ/……非常に重い罪を犯しました。僕はお父さんに罰を与えたくてカチコミに参加したんです。……当然の結果になってくれて嬉しいです。嬉しいです……。
P-27/本当に?
ときわ/嬉しい訳ないじゃないですか! だからって「やっぱそれ無しで」って言って助けに行くこともできません! ……最期に面会ぐらい……できるかなぁ……怒られそうだ……あの人と最後まで相いれられるとは思えない……。
アトゥーニ/しょんぼり……。
GM/身内だからと刑務所に入れられた上門所長に面会しに行っても、「いずれ第二第三の機関が……!」とか言うよ。
ときわ/あああ言いそうだから困る! 「私は死んでも代わりはいるのだ!」とか「いずれ我らの神は復活する」とか言いそうですね! お父さんカッコイイ!
タツヤ/最後まで大好きか(笑)

 後日。ときわの魂と新たな器がしっかりと繋がって動けるようになった頃、いわゆる大怪我からの退院後みたいな自由に動けるようになった頃。ときわはある人に呼び出された。
 場所は喫茶店。新しい体を動かしながら、自分を呼び出した何者かを探す。
 顔や姿が変わっている状態だ。呼び出されて店を訪れたとしても、ときわが来たと分からないかと思ったが……。

 「やあ、ときわ殿」

GM/アクセンが、普通に、席についている。
ときわ/なんでここにいるんですか。
GM/「異端刑務所、脱獄してきた」
ときわ/手を叩いて大爆笑します。
タツヤ/いいのかよ!?(笑)
ときわ/機関のトップですら捨て台詞を吐いて死刑にされたっていうのにあの山で一番大暴れした人が何してんですかー!? 笑うしかないでしょ! そしてありがとうございます、きっと怨霊になりかけた僕の魂を誰かに回収させたのってアクセンさんのおかげでしょ?
GM/「さあ、何のことやら」 紅茶ずずー。
ときわ/ヘイ、ウェイトレスカモン! アクセンさんの前に座って僕もお茶とケーキを頼みます! ……えへへ、また一緒にケーキを食べられますね。
GM/「だが、ここには……ブリッドがいない」
ときわ/ブリッドさんは……邪神に呑みこまれて、レジスタンスによって地下に封印された訳だから、ようは地下に邪神ごと幽閉状態ってことになるんですか。
GM/「いや……遺体は私が回収した」
ときわ/遺体? 回収? ……あ……そっか、本編のラストで……。邪神の中から出られたんですね、それでも……死んでしまったんですね……。ときわはどういう最期だったか、事情を知らないでおきます。
GM/「彼の体をすぐにウズマキに入れることで、レジスタンスらに回収されるのを阻止した。今は我が城で棺桶で眠らせている」 永久保存した。
アトゥーニ/遺体、盗んだんだ……。
ときわ/…………。凄いです、アクセンさん! 行動力が素晴らしいですね! すぐ出来ることじゃないですよ!? 永久保存できて遺体をそのまま眠らせておけるなら、蘇らせる手段、探して見つかればできるんじゃないですか!?
GM/「君は、応援してくれるのか」
ときわ/当然です。僕が機関を抜けた理由も、レジスタンスに入った理由も、全ては「貴方とあの人と僕の3人でまたティータイムがしたいから」です。でも、手段は選ばない非人道的な手段はダメですよ。それは僕の正義が許しません!
タツヤ/……ときわって、正義とか言っているけど脱獄者を笑って許すし、遺体窃盗もスルーするし、魔王と共闘するし……ナチュラルに狂ってるよな(笑)
P-27/機関のトップの息子なだけありますねぇ。
ときわ/人間の僕は死にましたから真っ当に生きられませんよ。髪を染めたり悪いことしますよー、カラフルな色の頭にするかもですよー、海外にだって遊びに行っちゃいますよ! アメリカとかエジプトとか行きましょう!(笑) あ、あんまり出しゃばった真似をしていると、また異端刑務所に入れられますよ。一般人のふりをして、また、研究者として教会にこっそり協力することで、密かに蘇生する方法を探しましょう!
GM/「ふむ、一般人のふりか」
ときわ/ルーマニアから来た留学生とかになりましょう。魔王だから色んなことして隠れて研究するぐらい、出来るでしょう? ≪魅了の魔眼≫で教会に入り込むぐらいできますよ、刑務所脱獄のとき鶴瀬さんを操ったぐらいですから!(笑)

 「……君は死んだ。しかしホムンクルスに身を宿した後も、賑やかな君のままか。
 相変わらずエキセントリックなことを言う。参考にさせてもらおう。……私の野望のために」
 「僕達の野望、ですよ。ただあまり酷いことをしたらダメです。
 あくまで一般人のふりをしながら、異能とか魔王とか知らないふりをしながら平和に……3人でまた楽しくティータイムするため、お互い頑張っていきましょうね!」

GM/狂人ばかりの中の地獄を走るというセッションではあったが、一番の狂人が世界に残ってしまった気がする……(笑)
アトゥーニ/でもおめでとう。私達の代わりに生きてね!
タツヤ/死んだけど生きられたんだから好き勝手に生きるんだぞー(笑)
ときわ/やったー。みんな優しいですね。まだまだ地獄は続きそうですけど楽しんでいくぞーっ!




『ワンアンドアナザー番外編2』 END

番外編3に続く

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