アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 第8話『 邪神封印特攻編 』 2ページ ■
1998年〜2004年(仮想リプレイ公開2020年3月21日)



    ◆

GM/エンディングフェイズ……の前に。ちょっとロールしたいことがあるから、させてほしい。動かなくなって中身をバラ撒いた邪神のもとに、スウィフトに妨害を受けたアクセンが駆けつける。
スウィフト/……まだ生きてた。
GM/彼は人より魔力がある異端の王だから、生命力を吸われてもまだ動きができたってことで。無数の人体の欠片や泥や血や臓器の中から、一人の身体を探し当てる。……細く痩せた、魔力の強いある体を。「ああ……会いたかった……助けにきたぞ。私の愛する人よ……」
ドレーク/……あっ……。
GM/生命力が無い状態でも、その体を抱き寄せて、微笑む。「私を助けてくれてありがとう。ずっと言いたかったんだ。十年前の私は、声すら奪われていたから。これを言いたかったんだ。だから、攫われたお前を探して……救いたくて……ずっと、お前に、会いたかった……」
マァサ/あの頃は、喉を切られて発声できなかったもんね……。
GM/「心配しなくていい。大丈夫だ。少し待っていてくれ。今からお前を蘇らせてやる」 ≪背徳の従者≫で。
ドレーク/ああっ、ここで、その特技を使うのか……!
GM/復活させる特技です。……前回、マァサが使わせてるのを見て、もしこいつがこの戦闘で生き残ってたらこういうロールやらせたいなって思ってたんだ。「これからはずっと一緒にいてくれ。我が神を、復活させてみせる」
ジーク/…………。一応訊くけど、邪神は復活、しないよな?
GM/どうかな。
オーウェル/どうかな、なのかよ。
スウィフト/そう、それ……≪背徳の従者≫で、戦闘不能になった邪神が復活、また暴走とか、ならないよな?
GM/えっ、なにそれ面白いね?
スウィフト/まーたGMの悪い性癖を目覚めさせてしまった!?(一同爆笑)
オーウェル/いやいやいや!? それはヤメろよ!?(笑)
ドレーク/本当にまたそれやったら「ふざけんじゃねえぞ」だからな!?(笑)
マァサ/あのさぁ、GMが「その考えはなかった」って顔して感動してるじゃん。みんなが提案するからさぁ(笑)
GM/えー、やりたい……凄くそれ面白いよ……「まだまだ『ワンアンドアナザー』の戦いは終わらない!」って感じで、ダメ?
マァサ/ダメ……かどうか、それは、復活させられる人に訊いてみればいいんじゃない? ドリスことブリッドさん御本人にお聞きしましょう。
ジーク/それだっ!(笑)
マァサ/ちょっと待っていて。……ねー、中の人ー! 君、好きな人が「死にかけの君を救いたいから邪神を蘇らせるね」って言ったらどうするー!?
ドリス/え。やだ。

 そりゃそうだ。

GM/やだ……ですか……ダメ?
ドリス/ダメ。
GM/面白いと思うんですが……ダメ?
ドリス/ダメ。
GM/その、キャラクター的にはこのまま愛するキャラをロストさせたくないので心から生き返ってほしいと説得しますけど、ムリ?
ドリス/ムリ。
GM/泣いて説得しますけどダメ?
ジーク/中の人が全力拒否してるから諦めろ(笑)
スウィフト/野郎、フラれたな。
オーウェル/シンプルにひどい会話だ(笑)
ドレーク/その……ニイサン、ここは、折れておけ……(笑)
トンプソン/フラれたので、復活は無しってことで。
マァサ/あまりに面白い展開なんですけど、今はシリアスをください。シリアスに戻してください(笑)
GM/…………。「何故だ? 私はお前と一緒に生きたい。他の大勢が死んだとしても、お前にいなくなってほしくない。ここにいる大勢の命を使えば、お前が再び私の隣にいてくれれば……!」
ドリス/……このまま、最期の、キャラロールしていい?
ドレーク/してくれ。……最期のキャラロールを。
ドリス/オレは、いくつか欠けてるかもしれないけど、倒れてアクセンくんに抱き上げられてるのかな。……でも、首を振る。そんなことはしなくていいって言うかのように。
GM/「蘇らせてやるから、蘇らせてみせるから!」 救いたいがため、叫ぶように説得をする。
ドリス/人間を愛してあげて。犠牲になんて、しないで。……人間を犠牲にして蘇らせたいなんて願いは、ダメ。
ジーク/……真っ直ぐ、言った。
ドリス/……絶対に、君は、オレを蘇生なんかしちゃダメ。命令。
オーウェル/念押し、された……。
GM/「だが……だが……!」
ドリス/今まで言ったこと全部、令呪で約束しよ。あ、ギアスって3つまでOKだったっけ……じゃあ最後の命令。オレを殺して。
GM/はあ!?
ドレーク/ちょっ……!?
マァサ/それは……ひどい……ひどすぎる!?
GM/お、思わず本気で大声を出してしまった……! GMはただ、初期参加PCを生かしたいだけだったのに!?
スウィフト/……地獄だ……。
オーウェル/今日だけで何度「地獄だ」って言ってるんだよ、俺達……(笑)

 「……いやだ……やめてくれ、それは、ダメだ、止めてくれ……! ブリッド、私はただ、愛するお前を救いたいだけなのにッ……!!!」

 抱き締めていた人の首に、両手が掛かる。
 首を締める指が震えながらも、力がこもっていく。
 大の大人の、剣を振り回すほどの豪腕によって、細く、既に途切れかけていた命のともしびは、呆気なく……消失した。



 ●エンディングフェイズ 〜ジーク&スウィフト〜

GM/……………………。
ジーク/本気でGMが落ち込んでるんですけど?
GM/……ユーキが死んだときより、つらい……。
マァサ/なんで……こんな地獄にしたの?(笑)
ドリス/だって、みんなには生きてもらいたい。頑張って勝利したことを無駄にしたくない。
オーウェル/正論すぎて、何も言えねえ(笑)
ドレーク/容赦なさすぎるだろ、坊主(笑)
スウィフト/正直笑っていいのか泣いていいのか引いていいのか、見てる周りも困っているんだが……(笑)
GM/……邪神封印から逃げられず、ロストが確定したジークとスウィフトのエンディングシーンをします。と言っても死んでしまったので、回想シーンなり幽霊シーンなり好き勝手に演出してもいいよ。どうする?
ジーク/死んだらどこに行くのかなぁ。
マァサ/哲学的なことを言うね。……死んだら魂は時空の狭間でウロウロしてるのかもしれないなぁ。上も下も右も左もよく分からない、ドラえもんのタイムマシンに乗ったら出てくるような時の狭間、『クロノトリガー』の時の最果てみたいな場所にいるかもしれない。
トンプソン/死後の世界っぽい。
ジーク/じゃあそこに居ます。よう、スウィフト。
スウィフト/僕達、時空の狭間に来ちゃったのか。
ジーク/うん。死んじゃったみたい。
スウィフト/そっかぁ。
ジーク/残念だなぁ。
スウィフト/そうだなぁ。……まぁ、真っ直ぐ山を降りて逃げなかった時点で、誰かがこういう所に来るかもとは思っていたけど。
ジーク/みんな、生き残るとは思ってなかったよなぁ。
スウィフト/二人だけならラッキーだったんじゃないかなぁ。
ジーク/実際は何十人、何百人もあの山で死んじゃってるかもしれないけどなぁ。
スウィフト/だよなぁ。……意識があるのはこの時間が最期らしいし、思う存分、何か話そうか。
ジーク/俺、まだクリアーしてないゲームがあるんだよね。『FF10-2』。
スウィフト/あれ僕あまり好みじゃなくて10はやったけど2をクリアーする気になれなかったんだよね。僕は『メルブラ』全部クリアーできてないなぁ。G秋葉が強くて。
ジーク/でかいの頑張って倒すんだよなぁ。倒したなぁ。
スウィフト/倒したなぁ。……僕達、でかいの、倒せたよなぁ?
ジーク/倒した倒した。俺がドーンと倒した!
スウィフト/「召還」っていうから跡形もなく無くなると思ったけど、GMは時々「封印」って言ったりしてたし、微妙にこの世に邪神が残ったままになるのかなぁ?
GM/ずばりその辺は急すぎて何も深い設定を考えてなかったので……(笑) 封印って方が神様相手に奮闘した気ががするし、落ち着かせて鎮められたってことにしよう。
スウィフト/らしいよ。後片付けは他の人に任せよう。
ジーク/それがいい。オーウェルとドレークならなんとかしてくれるよ。2人とも生きてるか知らないけど!
スウィフト/生きてるよ。ちゃんと逃げてるよ。
ジーク/見たの?
スウィフト/見てないけど、ここに居ないってことは、そうだろ。
ジーク/そっか。頭良いー。
スウィフト/ジークも頭良かったし、運が良かったし、格好良かったよ。最高の最期だった。
ジーク/最期なんだなぁ。
スウィフト/うん。…………。スウィフトは、泣いてます。
ジーク/あー、泣いたー! 泣いてやがんのー!
スウィフト/そりゃあ、泣く。死んじゃったんだから。ジークも、ずっと一緒に頑張ってきた仲間が死んだんだから、泣く。
ジーク/オッサンなのに泣いたー!
スウィフト/オッサンでも泣くさ。オッサンでもジークより年下なんだから、泣いてもいいだろ。
ジーク/泣くなよ。スウィフトは死んでないよ。
スウィフト/死んだからここにいるんだよ。
ジーク/思い出してみ? 俺は邪神に捕まってムシャムシャ殺されちゃったし生首ゴロンで死亡間違いなしだったけど、スウィフトは戦闘不能で、倒れていただけだ。
スウィフト/いや、儀式は成功してあの一帯にいた人間達は封印の生贄になった。生命力を全部奪われて、殺されたようなもんだって。
ジーク/生贄になって邪神の一部になったけど普通に喋れた人が数分前にいたよ?
ドリス/あっ……はい、オレですか(笑)
GM/それは、喋ってほしくて、つい……(笑)
ジーク/だからさ、何かキッカケがあってこの渦が巻いたウズマキのような空間からぴょんっと外に出たら、普通に喋って外で生きていけるかもよ。死亡じゃなくて戦闘不能だったんだから。スウィフトは死んでないって。
スウィフト/……死んでないのかな。
ジーク/生きてる生きてる。俺は死んだけどスウィフトは生きてる。良かったじゃん! 喜ぼう!
スウィフト/…………でも、ジークは死んだ。泣く。
ジーク/泣くなよー。
スウィフト/仲間が死んだんだから悲しんだっていいだろ。
ジーク/泣ーくなーよー。
GM/……というやり取りを、ずっとずっと、2人はしてる。
ジーク/ずっとずっと、してる。
スウィフト/大した話もしない。あのゲームをクリアーしてないなとか、あれ食べてないなとか、家に何かを置きっ放しだったなとか……この数ヶ月間いくらでも出来たであろう会話を、死の世界でもずっと喋ってる。
ジーク/でも、それにも、限界があるよなぁ。
スウィフト/限界が、くるんだろうなぁ。
ジーク/タイムリミットがあるんだろうなぁ。……あ、俺の体がバラバラに! ついに終わりのときが!
スウィフト/ジーク。
ジーク/現実では分離していた体だから、今更って気もするけど! これで終わりだなぁ。じゃあなスウィフト。
スウィフト/呆気ないよ、ジーク。
ジーク/なんか良いことでも言って終わりにしてもらいたい? 俺に?
スウィフト/……ジークにはそういうこと、求めてないかも。
ジーク/俺もそう思う。こうやってヘラヘラと、何も考えずに、楽しく喋ってゲームしているの、すっごく楽しかったよ。
スウィフト/僕も楽しかった。……言いたくないな、さよならとかバイバイとか。
ジーク/言えよー。
スウィフト/…………。言わなきゃ、駄目なのか。
ジーク/言わないと俺が成仏できない。怨霊になって出てきてほしい? スウィフトは陰陽師じゃないから俺を祓えないって!
スウィフト/…………。バイバイ、ジーク。
ジーク/バイバイ。俺はスウィフトの魂は外に出られると思う。生きてるんだって信じてるから。もし体が山火事とかで亡くなっていても、おしゃべりしてるこの魂があれば何とかなるだろ?
スウィフト/……えっ、「山火事で体が焼失してる」とか考えてなかった(笑)
ジーク/あー、体が燃えちゃった? それじゃあ戻れないね。なら……魂と時空の中を適当に彷徨っていたウサギを捕まえて合体させよう。
スウィフト/なんでいきなり!?(笑)
ジーク/はい、今日からこれがスウィフトのボディねー。合体! ウサギとして新たな生をスタートさせよう!
スウィフト/むぐー!? むぐっ、むぐー! むーぐーっ!
オーウェル/なんで鳴き声が「むぐむぐ」なんだ?(笑)
マァサ/『ミシディアうさぎ』……かな? 「魔法使い+ウサギ」って要素から(笑)
ジーク/ほーら、だんだんこのウサギがスウィフトに見えてくーるー! 良かったなぁー! いっぱいご飯食べてもこもこふかふかにしてもらえよー! ウサギを投げます。
スウィフト/むぅーぐぅー!?(笑)
GM/投げられたウサギは、時空の穴に落ちていってどっかの時代へ飛ばされました。現代とは限らない世界でどっかのウサギになりました。
スウィフト/僕の人生を投げるなー!? ……このままこのウズマキの中を支配するウサギになるぞ!?(笑)
マァサ/謎のウズマキ兎の誕生の瞬間(笑)
GM/ウサギの世界征服……いや時空征服の旅は始まる。しかし、ジークの旅は、ここで終わる。……「ガウー」
ジーク/おっ、その声は、ドラニコフか?
GM/ドザニコフです。ぽてぽてとウズマキの中を渡ってジークのもとにやって来ました。邪神八柱ユウストタディアスは、死神だから。お迎えに参りましたのガウ。
ジーク/出迎えご苦労さん。お前の仲間のタイちゃん、すっごい姿だったよ。
GM/「ガウー」 ご迷惑おかけしましたのお辞儀。でも格好良かっただろうのフフン顔。

「でっかくって触手いっぱいで大変だったけど、凄かったよー!
 やっぱ邪神的に仲間の邪神が活躍すると嬉しいやつなの? 良かったなー! 俺達めちゃくちゃ大変だったけど! 俺って陰陽術で超活躍したんだぜ? 聞いてくれよー! いっぱい喋りたいから何か奢って!」
「ガウガウー。……ガウッ」


 いつも楽しそうな声で繰り出される彼の話を聞いてくれるドザニコフは……死神は、手を取る。
 ジークは手を繋いだ。バラバラに砕けてていくジークの体を引いて歩き出すユウストタディアス。手を引いて、手を引かれて、二人は遠くへと消えていく。
 ……バイバイ、ジーク。



 ●エンディングフェイズ 〜トンプソン&ユウキ&マァサ〜

GM/トンプソンとマァサ、何かエンディングをやっておく?
トンプソン/俺達も何かさせてくれるの?
GM/ドリスもやれたし、全員PCは話をしておくべきかなって。トンプソンとユーキはどっちも死んでるんだけど。にゃー。クローンも死んだんだけど。にゃー。
マァサ/クローンもとっくに邪神の生贄になってそうだね……。でも封印されたときに、ちょっとだけ出来ることがあるかな?
トンプソン/えー……生贄にされて邪神と一体化しちゃって、あの中で何か出来ることー……。うーん、この場に居る全員に凄い力をあげていい?
ドレーク/なんと?(笑)
トンプソン/経験値をあげるとか、報酬をあげるみたいなボーナスをプレゼント。邪神とか言われるけど神様になっちゃったんだから、神様なら何かしらパワーをくれそうだし。山に居た人、助かった人全員に祝福をあげよう。「みんな元気でいてねー」って。
マァサ/あっ、優しい神様の一部だ。
GM/大勢が取り込まれたけど、神は神。その一部が勝手に作用して不思議なパワーをあそこに居た大勢に授けた。ユーキも「みんないつまでも生きろよー」って祝福をあげたい。にゃー。
オーウェル/神の優しさの一部が、加護をくれた……。
トンプソン/という訳で、俺とユーキのエンディングは神様パワーを操って、あそこから生き残った人達に「元気でいろよ、いつまでも生きろよ」って力をあげることにします。
GM/なるほど。つまり、この事件を生き残った連中に不老不死になれと呪いをかけたと?
スウィフト/なんでそう酷い解釈をする?(一同爆笑)
トンプソン/うーん。不死いらない。不老だけでいい。
GM/運良くこの事件を生き残った生還者達は、山奥の結界の中で邪神の瘴気を浴びてしまい、体の時が止まってしまいいつまでも元気でいなければならないという呪いがかかったとさ。ただし不死ではないので死ぬときは死ぬ。
トンプソン/良かったな。ボーナスじゃん。
ドレーク/良い……かなぁ……?(笑)
マァサ/呪いなんだから、しっかりと呪いを解除する手術をすれば治るよ、きっと……(笑) マァサのエンディングシーンですが、燃え盛る山の死闘の様子を、ずっと遠くで花火大会の鑑賞をしているように空から観ていることにします。
GM/おっ、なんか強そうなロール。
マァサ/……数十メートルの混沌の塊。タイマストトバールは召喚された……と思ったけど、あれはタイちゃんの一部に過ぎないかな。きっとタイちゃんの指先、装具か何かだろうなぁ。って思いながら、空にいると……森の中を逃げて行く蛇を見つける。
ジーク/あ、蛇だ。
マァサ/持っていたストールが伸びて蛇に絡みついてゲット。
GM/「きゃっ!?」 蛇、捕まる。
マァサ/こんばんは、逃げて行く子蛇さん。大本が封印されたり討伐されるたびに逃げて、また機会を見つけて、親玉復活のために適当な人間を惑わせて邪神復活へ導く奮闘をする健気なチビッコさんね?
GM/「きゃー。きゃーきゃー」 逃げようとする蛇。ここで生き延びなければ、次のリベンジ戦に繋げられないから。
マァサ/このままそっちに逃げると鶴瀬リーダーのいる待機テントの方に行っちゃうわよ。
GM/「それはイヤ!?」(一同笑)
ジーク/絶対あいつに会ったら殺される!(笑)
マァサ/逃げるなら、時の狭間に逃げましょう。貴方なら出来るでしょう? どう見ても邪神の配下、人外、稀人。ウズマキの中に逃げて、色んな時代で頑張って神様を降臨する手足として活躍しなさいな。
トンプソン/(配下の子になって)「ハッ、その手があった……慌ててそこまで考えられなかった! そうするわ! って、何でそんなこと教えてくれるの?」 純粋に尋ねるよ。
マァサ/そういう駆け引きが大好きだから。ゲームの中で頑張っている子を上の世界から眺めて楽しんでいる身からよ。じゃあ、ウズマキへぽーん。どっかの時代に行っちゃえー。
GM/「あーれーー」 ウズマキうさぎが投げられたように、邪神の配下も時空の狭間へと消えていく。
マァサ/そうしている間にも、タイちゃんの欠片は封印されていく。邪神と呼ばれた物を、また空から眺める、何者かの女。
オーウェル/……参加は、しないのか。
マァサ/しない。あくまで私は……駒に動いてもらうだけの情報屋、協力者、部外者だもの。ちなみにマァサのキャラクターイメージは、『デモンベイン』のナイア。そういう存在。
GM/あー。
スウィフト/あー……。ニャルラトホテプ……這いよる混沌……。
トンプソン/あー、なるほど……。
ドレーク/『デモンベイン』知らないからよく判らないんだが……『上階でゲームを楽しむ側』っていう神様側の存在だってことは、なんとなく分かった。
マァサ/そこまで分かっていればOK。このゲームは、ここで終了でいいんだから。

「ひとまず……ただの邪神降臨で世界崩壊のゲームオーバーにはならなかった。これにて一件落着。
 破壊を導く側ではなく、正しい魂を導いた側の勝利ね。おめでとう。心から拍手を送っておくわ。
 これで長かった貴方達のゲームはおしまいになるけど……笑って、泣いて、別れを経験して、いっぱい苦悩して、楽しかったかしら?
 ならば、よろしい。上から見守る我ら『正なる神』は、駒が精一杯楽しんで生きる姿を見たくて、この世界を創って開いたのだから」

 ――女は、消える。もう二度と、ふざけた女の姿でオーウェル達の前に現れることはない。

「次のゲームを、次の苦悩を、次の頑張っている新しい貴方達を、楽しみに待っているわ」



 ●エンディングフェイズ 〜オーウェル&ドレーク〜

GM/儀式が完成し、発動したとき。5つの柱の中の結界内の空間は、ドーム状の不思議な色に満たされる。あの中に残った者は、邪神封印のための生贄となって邪神と一緒に眠りにつくことになるだろう。
オーウェル/そこから外に出た俺達は、ドーム状の結界を眺めることになる……。
ジーク/何か魔王は生き残ってそうだけどな。
スウィフト/魔王だからな。【MP】は他の名も無きトループ達よりはあるだろうし、生き残ってそう。
GM/マジか。じゃあドレークが1D6を振って偶数が出たら生き残るってことで。
ドレーク/(ころころ)4。俺はこの結果を喜んでいいのか分からない……(笑)
オーウェル/でも無力化ぐらいはできるだろうから、一段落ついたところで捕獲……逮捕ぐらいできるんじゃないか。……他の生き残りはどんな感じだ?
GM/鶴瀬と、鶴瀬が率いていたレジスタンスの後方支援メンバーが逃げてきたオーウェル達を出迎えて、治療してくれる。そして山火事も起きている訳だから、一般人の消防隊員達が駆けつけて結界外の火災を抑えつけている。
ジーク/冬の山は火事が起きるもんだからね。
スウィフト/あるある。12月31日の山火事ニュースか……ニュースになるだろうな……。
マァサ/みんな紅白歌合戦や特番ドラえもんに夢中で観てないよ、多分(笑)
GM/一般の消防車、救急車、パトカー達への情報統制は鶴瀬が何とかしてくれる。一体何があったんだとザワザワしていた周辺住民達への対応も、きっと鶴瀬が対応を指示してくれるだろう。儀式の中央で頑張ってくれたオーウェルとドレークには、今は治療して休むんだと声を掛けて、各々へ指示を飛ばしまくってる。
スウィフト/……やっぱ彼を生かして良かった。
オーウェル/……声を掛けに来たときに、こっちも声を掛ける。スウィフトは、帰ってこなかったな。
GM/それを敢えて言うのか。
スウィフト/どう想っているのか、表情を見たくて。
GM/表情は……崩さないよ。特にコメントは無い。的確な判断ができる、信用してるよと言われたんだから、指導者としてするべき仕事を優先する。
オーウェル/……そうか。
ドレーク/真逆の方向に逃げた訳だし、そろそろオーウェルと合流する。治療を受けている場所で。
GM/山の下にある後方テントの中で治療中のオーウェルの所に、ドレークがやって来きた。
ドレーク/……よう。
オーウェル/……生きてたか。
ドレーク/生き残ったのは。
オーウェル/……俺達だけだ。
ドレーク/……そうか。
オーウェル/…………。大人数、死んだみたいだな。
ドレーク/最初から邪神を復活する生贄として大人数が殺されたし、邪神に捕らえられて大勢が死んだし、その後も、みんな……死んだ。
オーウェル/酷い戦いだった。……まだ終わってないか。
ドレーク/そうなのか?
オーウェル/封印だけだと、後々復活されるかもしれない。レジスタンスの手で、封印を厳重なものにして、絶対に今後復活させないようにすることはできるか?
GM/それは……今後のレジスタンスの活躍による。まずは落ち着いたら、儀式の中央に第一部隊を派遣して小さくなって動けなくなったであろう邪神の塊を回収しにいこう。儀式発動が成功したおかげで、たったの5メートルぐらいの物体になってるから。
オーウェル/それでも5メートルなのか……。その第一部隊、俺が行く。しっかりと回収して、誰にも手が届かないよう厳重に……地下の奥深くにでも眠らせるよう、見届けないと。
GM/じゃあ地下施設をどこかに決めないとな。
オーウェル/レジスタンスの本拠地の地下とか。
スウィフト/鶴瀬が何とか良い地主さんを見つけて封印の封印を最後までやってくれるよ。
GM/ほんと手際が良すぎるし何でも出来るし何なのコイツ?(一同笑) ……1時間後、オーウェルは治療も中途半端に、儀式発動した中央に再び登山する。火災はまだ続いているかもしれないけど、誰かが手を出す前にレジスタンス第一部隊が到着した。イメージは、バルサンを焚き終えたばかりの個室。
オーウェル/判りやすい! 判りやすいけど何だその例え!(一同爆笑)
マァサ/アースレッドみたいな臭くはないけど嫌な匂いがして、目もシバシバして、あまり呼吸がしたくないような『清浄な世界』って感じ……(笑)
GM/閉じ込められて、殺虫霧を撒かれて、みんな死に絶えた後の中央に……脈打つ謎の塊があった。触手は襲い掛からない。中身の多くを吐き出し終えた後、剥き出しの心臓のような5メートル以上ある物体が、ぶよぶよ、ぐにょぐにょと蠢いていた。
オーウェル/……こんな状態でも、俺達には殺せないんだな。
GM/殺せるとかそういう次元にいるモノじゃない、神様だから。しかし、魔法の鎖でぐるぐると巻いて回収し……オーウェルが提案した通り、信頼できる場所の地下奥深くへと一時保存……そしてそこは誰も立ち寄らせないような厳重なセキュリティのもと管理され、二度と邪神が日の光を浴びることがないように施されたのだった。
ジーク/これで、本当の終わり……。
オーウェル/……判らない。これからもまた、何かがあるかもしれない。だから俺は……ハンターをやめて、ずっとレジスタンスとして邪神が蘇らないよう見張っていくよ。
GM/見張る人になるんだ。
オーウェル/もし邪神が蠢くようなことがあるならすぐに対処できるようになる。もし邪神を復活させるような動きがあったなら、すぐに動く。
GM/また、夜須庭 航みたいな奴が現れるようなことがあれば。
オーウェル/すぐに殺しに行く。
スウィフト/それなら……鶴瀬は、そんなオーウェルを信頼してレジスタンスの一部隊を任せるようになるだろうね。
ジーク/そうだな。鶴瀬は大勢が亡くなったことの処理とかで追われそうだし。もっと偉くなってほしい。
ドレーク/機関の偉い人とか出資者とか繋がっていた会社とか、教会や政府で汚職していた連中を一斉粛正もやってくれ。悪い連中は全員逮捕してくれ。
GM/じゃあ超偉くなります。……だから安心して、オーウェルはみんなを守る仕事に専念してほしい。
オーウェル/ああ、専念する。……スウィフトやジーク達がこなした成果を無碍にはしない。ずっと見張っていくよ。
ドレーク/リリルラケシスは、人外を守る組織として生まれ変わらせたい。人類が共存できるように……とまではいかなくても、少なくとも機関のような奴らから不当な扱いを受ける少数部族を守るような組織にさせたい。
GM/おー、ドレークがそのトップになるの?
ドレーク/……どうだろ。俺に出来るとは思えないけど、そういう風になれって言い続けていきたい。あの馬鹿兄がもっと人間寄りだったらやらせたんだが……捕縛というか逮捕されたしなぁ。刑務所の中で更正してくれるといいんだが。
スウィフト/あそこまで痛めつけてきた奴が更正するかー?
トンプソン/どっちかって言うと脱獄しそう。
GM/そうだ脱獄しよう。
ドレーク/京都に行こうみたいに言うんじゃねえ!(一同爆笑) 出るなよ!? また騒ぎを起こすなよ!? お前どんだけPCにダメージ与えた迷惑な奴だと思ってんだ!?(笑)
オーウェル/大丈夫だ、鶴瀬が絶対そんな奴を見逃す訳ないから……(笑)
スウィフト/そうそう。魅了系特技とか記憶操作特技を使われてもクリティカルで……(ころころ)あ。1ゾロ。
マァサ/ファンブル。
GM/あ。
オーウェル/あ。
ドレーク/あ。
ジーク/……脱獄、しちゃった(一同爆笑)
GM/「やあ、レジスタンスの全員を洗脳して脱獄成功したぞ愚弟」
オーウェル/ああああああもううううううこいつはあああああ!?(笑)
スウィフト/鶴瀬……鶴瀬くん……ばか……なんで10回以上やったセッションで6ゾロばっかだったのにここで初のファンブル出すんだよ……後で通りすがりのウサギが噛みに行く(笑)
ドレーク/お前! 脱獄して早速騒ぎ起こすなよ!? 暫く一般人のふりとかしてろよ!? 何もするなよ!? 暫くでいいから! 1年ぐらいは謹慎してろよー!?(笑)
オーウェル/謹慎させるなら、刑務所にまたブチ込んでおけよ……(笑)
ドレーク/いや、その……こいつが居ればリリルラケシス再建がラクになるだろうなって思って(笑) という訳で、リリルラケシスは人外を救い合う人外同盟として活動させていきます。こういうときは、魔王の後ろ盾とか弟の身分とか、存分に使おう……。
GM/オーウェルは邪神封印を守る傍ら、なんかドレークがコネいっぱい使って同盟を運用してるなぁってことを風の噂に聞きましたとさ。
オーウェル/が、頑張れよー……(笑)
GM/そんなオーウェルが、今日も封印された邪神が眠る地下奥深くへ続く入口……誰も立ち寄らない何処かの入口を守っているとき。不思議な足音を耳にする。
オーウェル/不思議な足音?
GM/「ガウ」
オーウェル/……ドラニコフか。
GM/ドザニコフだ。
オーウェル/おい。邪神が降臨してたらゲームが終わっちゃうんじゃなかったのか。
GM/「これはあくまでアバターだから平気、本体じゃないから大丈夫」って、隣のドラえもんが言う。
オーウェル/ドラ……。おい、主役がいきなり現れるなよ(笑)
GM/出番が無かったから、最後ぐらいドーマサキエルを出しておかないと。これから大山のぶ代の声真似をする。
スウィフト/わりとGM、似てるから困るんだよな……(笑)
GM/(大山のぶ代の声真似をしながら)「君の背後の扉の先にエルマタドーザの一部がいるんだ。本体ではなくただのエルマタドーザの配下とはいえ、封印は成功、君達を勝利させてしまった。この世界の崩壊ゲームはこちらの勝利目前だったのに大不評で止められてしまった。残念だよ、のび太くん」
オーウェル/誰がのび太くんだ。
GM/「でもありがとう。お礼を言っておこうと思って。君が起こした一時の気の迷いによって、邪神は降臨して、数百人を殺せた。最終的に食い止められてしまったが、半分こっちも勝利したようなもの。この調子でまた人々を惑わせ、邪神を下ろさせて、今度こそ世界を終わらせる。ここで今回のゲームは終わらせるけど、また邪神なりに頑張るよ」
オーウェル/……ゲームが始まるたびに、また食い止めてみせるさ。
GM/「頑張りなよ、のび太くん。また夜須庭 航のような、異端の王アクセンのような駒を使っていくらでも挑戦してみせるから。君の起こした気の迷い、宙から観ていてとても愉しかった。またあの楽しい瞬間を味合わせておくれよ」 ドラえもんは、この世を破壊するべく微笑む邪神の総帥ドーマサキエルは、通り抜けフープで時空の狭間ウズマキの中へ消えていく。
オーウェル/邪悪な捨て台詞を言いやがって……。
ジーク/大山のぶ代っぽい声で……邪悪なボスを出してきやがった(笑)
GM/「ガウ。……ガウー!」 バイバイって手を振って、死神も去って行く……けど。
オーウェル/けど?
GM/オーウェルに近づいてきたドザニコフは、どっかで見たことのある『黒い帽子』をオーウェルに手渡して、バイバイ。消えます。
ドレーク/……ジークの、帽子……。
スウィフト/形見を、渡してくれた……?
オーウェル/…………。ああ……良いことしたつもりかよ。……最期の最期で、仲間が死んだことを見せつけやがって……最悪な奴らだな、お前らは……。

 「でも……ありがとよ。コレがあれば、ジークのことを忘れることはない。
 絶対にジーク達が成したことを、無駄にはさせない。これからも勝利していく、その決意が揺らぐことはない」

 ドレークは独自のやり方で大勢を救うために動いている。鶴瀬は大勢をまとめ上げ、より良い組織を作ろうとしている。
 賛同する者達も多い。ある邪悪な団体を壊滅させたことで、救われた者達も多い。
 失ったものが多くても、得られたものはそれ以上ある。

 だから負けない。決意する。

 彼らの戦いは、そう、終わることはない。始まったばかりだ。



 ANOTHER WORLD SRS
  〜 ONE AND ANOTHER 〜   END





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