アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 2014年度OG誌『春を呼ぶ円環』 ■
2014年7月5日




 ●プリプレイ

マーサー(以降、GM)/OG誌掲載用セッション『アナザーワールドSRS』を始めます。よろしくお願いします!
プレイヤー1・しゅうらプレイヤー2・すずかプレイヤー3・ピロ/はーい!
GM/マーサーが製作したオリジナルTRPG『アナザーワールドSRS』をやらせていただきます。3回目のOG誌リプレイということで、今回は3人プレイヤーでいきます。
プレイヤー2・すずか/今回のお題は「童話」「花畑」「呪いのリング」ですね。意外に難しそう……。
プレイヤー3・ピロ/面白そうなテーマだけど、上手く繋げるのが難しいよね。

【レギュレーション】
 キャラクターレベル5で開始。
 PC1とPC2は知り合い設定。PC1&PC2とPC3はお互い面識が無い。
 PC1とPC2は2014年の世界の人間であり、PC3は1944年の人間である。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:祖母   関係:家族    推奨クラス:魔術師or感応力師

 君には大好きな祖母がいた。
 おしゃべりが好きで、絵本の読み聞かせや花の手入れが趣味。人当たりの良い祖母は君に色んなものを遺してくれた。
 その中の一つが『呪いのリング』だ。物騒な名前だが、大好きな祖母のプレゼントを君はいつも肌身離さず持っていた。
▼NPC1:祖母
 PC1の実の祖母。2年前に亡くなっている。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:異端『ナーブリム』    関係:敵視    推奨クラス:聖職者or処刑人

 君はPC1や仲間達と共に、『イースの禁書』を持つ異端『ナーブリム』を討伐すべく戦っていた。
 次々と倒れていく仲間達。君とPC1だけはなんとか踏みとどまったが、ウズマキの中へと逃げ込んだナーブリムを討つことは出来なかった。
 今度こそ奴を討伐するため、君達は龍の聖剣の助けを借りることになった。
▼NPC2:異端『ナーブリム』
 教会から『イースの禁書』を奪った異端。逃走の間も破壊活動を行ない、PC1達の仲間に重傷を負わせた。

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:和尚さん    関係:自由   推奨クラス:自由

 君は1944年に生きる能力者だ。
 3月30日。今日もいつものお寺にいると、不思議な二人組が突然現れた。
 「困っている人がいたら助けなければならない」。そう和尚さんから教わっていた君は、二人を快く迎えることにした。
(時代背景として、若い男性は徴兵されている場合が多いため、PC3は子供、もしくは女性であることが望ましい)
▼NPC3:和尚さん
 PC3と親しい寺の和尚さん。まだ日本で絶大な権力を持ち始める前の退魔組織『教会』の一員。


GM/今回のOG誌リプレイは、タイムスリップものです。第1作がループもの、第2作がパラレルワールドものだったので、PC1とPC2には過去の世界に飛んでもらいます。
プレイヤー2・すずか/1944年……戦時中?
プレイヤー1・しゅうら/ほえー、お芋が味方だった時代ですね!
プレイヤー3・ピロ/『呪いのリング』って……字面だけ見ると貞子が出てきそう(笑)
プレイヤー1・しゅうら/空のリング、心のリング、呪いのリング……!(笑) 祖母の名前は貞子で決定ですね!
GM/その孫はおばあちゃん譲りの黒髪ロンゲにしなよ。
プレイヤー1・しゅうら/それならひきこもりニートにしましょう!
プレイヤー2・すずか/PC2が教会で仕事してるんだしPC1も働こうよ!(笑)
プレイヤー1・しゅうら/社会復帰のボランティアとして教会の仕事を受けてるんですよ。ひきこもりニートでゲームばっかしてる……けど、おばあちゃんは大好き!
GM/まあ、このおばあちゃんは数年前に亡くなってるんだがな。
プレイヤー1・しゅうら/おばあちゃーん!? もっとおばあちゃんが作ってくれた里芋の煮っ転がしを好きって言っておけば良かったー!
GM/グッドです(一同笑) で、PC2のハンドアウトにある『イースの禁書』について説明しましょうか。これは『イースの大いなる種族』によって作られた魔導書です。
プレイヤー3・ピロ/『イースの大いなる種族』って?
GM/元ネタはクトゥルフ神話ですが、このゲームでは「時間跳躍ができる種族」のことを指します。時間跳躍は超越的存在にしかできないのですが、この種族によって書かれた魔導書の呪文を唱えれば、どんな時間にも飛ぶことができます。龍の聖剣ことロリのような力を使えるようになりますね。
プレイヤー2・すずか/なんと……。
GM/『禁書』というのは、ルールブックに載っていないような特技を記した本のことです。とても大きな力を持つ危険なアイテムなので教会に保管されていましたが、異端『ナーブリム』に奪われてしまいました。PC1とPC2はナーブリムを討伐し、禁書を取り戻す任務にあたっていましたが、次々と仲間達はやられていき……。
プレイヤー3・ピロ/や、山田ー! 死ぬなー!
プレイヤー2・すずか/仲間の名前、山田に決まっちゃったじゃないですか!(笑)
GM/そしてPC3の説明ですが、1944年3〜4月の日本に生きる能力者をやってもらいます。
プレイヤー3・ピロ/その頃って……(ウィキで歴史を調べながら)へえ、宝塚が休演してる……「贅沢は敵」の時代になった頃かな?
GM/3月10日に東京大空襲があって、その後です。能力者は異端と戦う力がありますが、「その力を一般人に向けてはならない」というルールはいつの時代も変わりません。あくまで一般人として扱われるので、徴兵もされます。村に残ったPC3は、子供か女性であることが望ましいです。男性の場合は徴兵されずに村に残っている理由を作ってね。

 ウィキペディアで第二次世界大戦について調べながら、ハンドアウトを選択すること数十分……。
 PC1→しゅうら、PC2→すずか、PC3→ピロに配分は決定し、キャラクターメイキングが行われた。


GM/PCは完成したかな? それでは、PC1から自己紹介をしてください。
プレイヤー1・しゅうら(以降、榛名)/キャラクター名は、明石榛名(あかいし・はるな)。20歳のひきこもりです。
プレイヤー2・すずか/職業ひきこもり!(笑)
榛名/クラス配分は[感応力師]3レベル、[処刑人]1レベル、[魔術師]1レベルです。ライフパスの『重要キーワード』は「一族」。『背景』は「家に帰るために全力で頑張ることができる」!(笑) 『特徴』は「大屋敷に住んでいる」です。
プレイヤー3・ピロ/何の一族? ……「ひきこもりの一族」とか?(笑)
榛名/支援特化のPCとして作りました。≪空のリング≫≪心のリング≫、呪いのリング……リング三兄弟を所持しています!(笑)
GM/「出たな、余分三兄弟!」って言いたくなるな(笑)
プレイヤー3・ピロ/呪いのリングは末っ子だから甘えん坊かもな……(笑)
榛名/その3つのリングはチェーンに通して首からかけてます。あと≪魔法のローブ≫相当の布団をいつも被っています。最近のブームは『艦これ』です、よろしく!(笑)



GM/次に、PC2の自己紹介どうぞ。
プレイヤー2・すずか(以降、萌々花)/キャラクター名は、橘萌々花(たちばな・ももか)。15歳の女の子で、中学校卒業手前のもうすぐ女子高生! クラスは[魔術師]3レベル、[世界遣い]2レベルです。『重要キーワード』は「魔法使い」、『背景』は「虫が嫌い」。両親から魔法を受け継いで、部活感覚で教会のお仕事を受けています。ひきこもりの榛名に「ハルナハルナー!」とうるさくまとわりついてこの世の春を謳歌しています。
榛名/リア充眩しいよ!(笑)
萌々花/スキルウェポンは≪魔法剣≫ですが、演出は今時の子にしたいのでiPadで攻撃します。iPadでパパパっと錬成陣を描いて、空中に魔法の剣を召喚するイメージ。
プレイヤー3・ピロ/おお、凄い。……でもiPadの電池が切れたら?
萌々花/iPadで殴る。
GM/物理攻撃だった!(笑) ≪魔法剣≫は防御点無視を3回までできる武器だから、3回使ったら充電が切れちゃうんだね。
萌々花/≪タナトスの足枷≫≪法則拡大≫もアプリですよ!



GM/最後に、PC3の自己紹介どうぞ。
プレイヤー3・ピロ(以降、サトル)/キャラクター名は、巡木サトル(めぐりぎ・さとる)、10歳です。クラス配分が[狩人]3レベル、[稀人]2レベル。『重要キーワード』をダイスで振った結果「生き残り」が出たので、山にいたサトリの妖怪の生き残りにします。
榛名/おお、悟られるー。
サトル/お寺の和尚さんに拾われて、そこで村のガキ大将をしています。野生児で、森で≪食糧調達≫をしたり、≪神域の眼≫≪神域の耳≫で目と耳が良かったりします。



GM/NPCの名前ですが、おばあちゃんの名前はPC1の榛名くんに決めてもらったところ、明石サダ(あかいし・さだ)さんに決定しました。
榛名/両親は共働きだったので、いつもおばあちゃんと一緒でした。大事なことはおばあちゃんから教わった!(笑)
GM/榛名くんの年齢が20歳なので、サダさんはひいおばあちゃんにあたるね。でもおばあちゃんって呼んじゃうと……。一方、和尚さんの名前をPC3のサトルくんに決めてもらったところ、椿原正顕(つばきはら・しょうけん)さんに決定しました。
サトル/正しく顕現するだって。[聖職者]っぽい名前だね。
GM/それでは、自己紹介が済んだので早速セッションを始めていきますよー。


 ●オープニングフェイズ1/榛名

GM/二年前、榛名くんが高校を卒業するとき……大学の入学式のために、ひいおばあちゃんがスーツを買ってくれました。大人の正装を初めて身に着けた榛名くん、どう思う?
榛名/おばあちゃん、丈が長いよー! 文句を言います!
GM/おばあちゃんは「男の子はどんどん成長していくんだから長いぐらいがいいんだよー」と笑っています。良い笑顔の彼女はこのとき83歳。夫には戦時中に先立たれ、一人娘である榛名の祖母を数十年育て上げてきました。晴れ姿にニコニコです。
榛名/は、恥ずかしいよ!
GM/男の子である榛名本人は恥ずかしいかもしれないけど、おばあちゃんは幸せそうです。ニコニコしているおばあちゃんを見て、周囲の方が笑顔になるぐらい。おばあちゃんの初孫である榛名のお母さんが「榛名、おばあちゃんと一緒の写真を撮りましょう」と言ってくるよ。
榛名/……でもばあちゃん、これ1枚だけだからね!(笑)
GM/「そうだねぇ。これからお友達を作りにいきたいよねぇ。友達百人作ってくるんだよぉ」
榛名/百人作ったら……授業に出なくていいな。
GM/せやな(笑) 「友達を作ったらお家に呼ぶんだよぉ。おばあちゃんがご飯を作ってあげるからねぇ」
榛名/お、おばあちゃんの料理……。古臭い、だなんて言えねえ!
GM/そこでツンしないんだ?
萌々花/死ぬの判っててツンできないよ……(笑)
榛名/……おばあちゃん! 今日は早く帰ってくるから! ご馳走作って待っててくれよな!(笑)
GM/「お花のお稽古が終わったら里芋の煮っ転がしを作らないとねー」 お稽古というのはおばあちゃんの大好きなお花いじりの教室のことです。君の住む大きな家には庭があり、綺麗な花でいっぱいです。おばあちゃんはコンテストに何度か入賞したことがあるぐらいお花が大好きです。
榛名/へえ、庭には花壇だらけなんだ……。
GM/そんなおばあちゃんが83歳を天寿を全うし、天国へ旅立ってから、早2年。
榛名/ば、ばあちゃん……!? ばあちゃんの料理が好きだって、俺はどうして言えなかったんだ、ううっ! ……そしてどんどん自堕落に、大学にも行かず部屋からも出なくなってしまいました。
GM/庭の手入れをしてくれるおばあちゃんがいなくなって、庭は廃れてしまいました。
榛名/母ちゃん父ちゃんもやってやればいいのに。……でも俺からはしない。
GM/ご両親もおばあちゃんの趣味に理解はあっても、引き継ぐほどではなかったようです。ひきこもった部屋の窓から見える庭は、あまり良い光景ではありません。……少し心苦しくなって、君はおばあちゃんから譲り受けた指輪を見つめます。
榛名/あんなに綺麗な庭だったのになぁ……。そう言いながらリング三兄弟をしまって……。
GM/君はブラウザをつける。
サトル/「艦これ!」(笑)
萌々花/そのとき、榛名のお母さんが「榛名ー、お友達来てくれたわよー!」
榛名/い、いないって言っておいて!
萌々花/おばさん、ありがとうございます! 後は一人で大丈夫です! ドアをコンコン! ハルナハルナ! 雪だるま作ろうー!
榛名/外に雪なんか降ってないでしょ!?
萌々花/なんで雪だるま作らないの!? 雪だるま作るよ!?
榛名/毎日雪だるま作ろうって言われたらノイローゼにもなるよね!? ねえ、山田も一緒に説得して!
サトル/(突然山田になって)「ありのままの自分見せろよ!」(笑)
榛名/俺がありのままの姿を見せつけられるのはこの部屋だけだよ! 俺は逆雪の女王なの!(笑)
萌々花/艦これの榛名は大丈夫なのになんでハルナは大丈夫じゃないの!? じゃあ≪すりぬけの式≫を使って榛名の部屋に入るね! ひょい!
榛名/ひぃっ、勝手に入ってきた!(笑)
萌々花/ハルナ、一緒に部屋を出ないと防犯ブザーを鳴らすよ! 密室で防犯ブザーだよ、社会的に殺すよ!
榛名/ひどい! 女子中学生怖い!(笑) 犯罪者にはなりたくないから出るよ! 出るから防犯ブザーは置いて!
萌々花/ハルナが部屋を出るのが先だよ! せっかく天気良いんだからレリゴー! 教会の高坂さんから仕事を貰ってきたんだよ! 回復役が足りないんだからお仕事行くよー!
GM/部屋から出てきた榛名にお母さんが「ちゃんとご飯までには帰ってくるのよー」と言う。
萌々花/ちゃんと門限までには帰しますんでー!
榛名/い、今すぐ家に帰りたいー! 八時までには絶対帰るからなー!(笑)
サトル/(山田になって)「……二十歳にもなって門限があるのかよ、使いづらいエージェントだな」(笑) 


 ●オープニングフェイズ2/萌々花

GM/では次に、山田の最期のシーンをしましょう。
サトル/山田の最期!?(笑)
GM/PC2のオープニングです。そんなことがあった数日後、君達は異端ナーブリムを追い込むセッションをプレイしました! そのままクライマックスフェイズに突入! だがしかし、圧倒的に情報量が足りなかった!
萌々花/うわあ、ファンブル連続のままラスボス戦闘に突入しちゃった感じ?(笑)
GM/この数日間で集めた情報をここで挙げておくよ。

@ナーブリムは、手足を持たない異端である。正体は黒いスライム。液体が意思を持って動き、宿主となる人間の体に入り込む。ナーブリムは言葉巧みに人間を誘惑し、自分の手足にしようとする。ナーブリムの誘惑を受け入れ、宿主となった人間は、強力な力を得る。
Aナーブリムの目的は、多くの死を得ること。大量の不幸を味わい、己の力を高めようとする、異端の中の異端である。
Bナーブリムは、憑依した相手の能力を強化したり、憑依した相手に「モブ操作系の特技」を使わせたりすることができる。また、それによって操作されたモブにも、ナーブリムの強化は適応される。
C現在、ナーブリムの宿主となっている人間の名前は、野尻竜一(のじり・りゅういち)。教会のエージェントで、超能力で周囲の物品を操作することが得意。ナーブリムに唆され、教会で保管されていた『イースの禁書』を強奪した。


榛名/そんな異端がいたんだ!
GM/そんな異端が行ったんだ。どっかにな。……そのどっかというのが街中です。榛名と萌々花、そして山田の三人は野尻竜一を追いかけている最中です。時刻は夕方十八時。
榛名/門限まであと二時間しかない!(笑)
GM/車が行き交う交差点のど真ん中を突っ切っていく野尻。追いかける君達。野尻を避けようとする車が急ブレーキをかけ、クラクションを鳴らし……そんな激しいアクションシーンです。
サトル/山田は二人を脇に抱えて≪鳥躍≫します!
榛名/や、山田! もっとスピード上げて追っかけてー! クリティカル出してー!
サトル/(山田になって)「無茶言うなよー! ≪鳥躍≫でピョンピョーン!(笑)」
萌々花/山田にしがみ付きながら上空から魔法剣を出して、足止めしようとします!
GM/しかしナーブリムの強化によって凄まじい速さになった野尻は、恐ろしいほど身軽だ。彼を追い詰めようとしていた山田。だが山田は【知覚】判定に失敗。山田のもとに車が突撃してきます。
榛名/えっ!?
GM/顔面蒼白になった運転手が操縦のきかなくなったハンドルを握りしめたまま、山田に直進してきます。
榛名/う、運転手さんが事故る前に≪念動障壁≫
GM/それなら運転手に怪我は無いかな。
サトル/山田は咄嗟に山田は二人を放り投げ、≪黄金の身体≫で車を受けとめます。
榛名/放り投げられた榛名がベシャって潰れました!(笑)
萌々花/地面にゴロゴロと転がりながら、山田の名前を叫びます!
GM/車を受けとめた山田。そんな彼のもとに無人のバイクが突っ込む。ラウンドが変わってしまい≪黄金の身体≫の効果が切れた山田……そこに次々と車やバイクが突撃。山田の【HP】は0になった。
榛名/ぎゃあ! ね、≪念動障壁≫が間に合わないー!(笑) 山田、お前がいなくなったら前衛がー!?
萌々花/……もういい! わたしが前に出る! ダッとナーブリムの元へ走り出して、iPadでパパッとトレースして剣を作る!
GM/おお、カッコイイ! では野尻もスキルウェポンの剣で応戦する。ガキンガキンと剣で打ち合っていると……野尻の耳からニュルッと黒いスライム状の物が出てくる。
榛名/で、出た!?
GM/でも顔の無いスライムが耳から出たのは一瞬。すぐにニュルニュルと野尻の体に入る。
萌々花/き、気持ち悪い……! 一瞬うろたえて剣を落としてしまいます!
GM/「……これで充分時間は稼げた」 そうエコーがかった声で呟き、野尻はウズマキの中から一冊の本を取り出す。その本こそが、『イースの禁書』だ。
萌々花/それを返せ! コンクリートの破片を投げつけながら言います!
GM/破片を投げつけた先に、通りすがりの豆腐屋の自転車が飛び出して野尻を庇います。
榛名/ああっ、自転車ー!?(笑) ≪念動障壁≫で運転手を守るー!
GM/では豆腐屋さんはノーダメージ(笑) 野尻は禁書のページを捲ると、ある呪文を唱える。すると彼の背後に、人が入れるほど巨大なウズマキが現れる。普通、人間がウズマキに入ることはできない。それが出来てしまうのは……。
萌々花/イースの禁書だから……にゃー! ナーブリムから禁書を奪うAF判定に失敗しちゃったみたい!
GM/そうだね、クライマックス戦闘に時間切れで負けちゃったようだ。「私は多くの死が見たい。お前達を殺すだけでは飽き足らない……。そうだ、もっと多くの絶望と憎しみが生まれた世界がいい! 私は今、旅立つことができる!」 そう言って、彼は巨大ウズマキの中に入っていく。
萌々花/ま、待てー!
GM/萌々花ちゃんが手を伸ばしても届かない。そこは誰も最初からいなかったかのようだ。だけど……遠くでは救急車やパトカーの音が鳴り響いている。
榛名/ど、どうしよう! 大事故だよ! どうする!? 山田も死んじゃったよぉ!
萌々花/山田はまだ生きてるから! 戦闘不能なだけだから!
GM/「……大変なことになったわね」 萌々花ちゃんの背後からいきなり、女の子の声がします。
萌々花/グシグシと涙を拭いながら振り返ります!
GM/あ、悔し涙を零してた(笑) 萌々花ちゃんが振り返った先には、金髪ツインテールでゴシックロリータ服の女の子……龍の聖剣が難しい顔で立っています。
萌々花/……大変なことって何。どういうこと? 説明して!
GM/「異端ナーブリムは今から70年前の世界に飛んだわ。そこで新たな悪さをするつもりみたい」
萌々花/70年前? 1944年ってiPadで検索をしてみる。戦時中……?
GM/「多くの絶望と憎しみが生まれた時代よ。……異端ナーブリムは、自分自身を強化するため、多くの人間の死を望んでいた。この時代では飽き足らず、更なる悲劇を求めて……今よりも不幸が多い時代へ時間跳躍したみたい」
萌々花/そんなことが出来るぐらい、あの禁書は危険な物だったのね。
GM/「このままでいくととんでもないことになる。……貴方、行ってくれるかしら」
萌々花/その方法があるの!?
GM/龍の聖剣は難しい顔をします。「……私の力で飛ばせるのは、二人までが限界よ」 そう言って彼女は……萌々花ちゃん達が入れるぐらいのウズマキの穴を開きます。
萌々花/……ハルナ!
榛名/な、なんすか!?
萌々花/山田、生きてる?
榛名/い、生きてるよ。
萌々花/……ハルナ、まだ任務は終わってないよ。行くよ!
榛名/ど、どこに!?
萌々花/1944年!
榛名/ナンデ!?(笑)
萌々花/龍の聖剣、ありがとう! ハルナの手を引いてゲイトの中に飛び込む!
GM/普通ならウズマキの中なんて入れない。でも二人は一緒に時空の果てへ飛び込んでいく。そのまま右も左も上も下も渦が巻いているような未知の世界へ突入し、落ちていくのでした……。
榛名/アイエエエ!? ナンデ!? モモカナンデ!?(一同爆笑)


 ●オープニングフェイズ3/サトル

GM/舞台は1944年3月。3月10日の東京大空襲の後も、空襲は何回かありましたが、多くの都会の児童達が疎開してきたこの山奥のお寺はとても平和です。サトルくんはどんな風な毎日を過ごしてますか?
サトル/都会から来た子供を苛めてます。やーいもやしもーん! お前ら薪も割れねえのかよー!(一同笑)
萌々花/(都会育ちの女の子になって)「もー! 山の男の子って野蛮ねー!」(笑)
GM/都会っ子を苛めてるサトルくんの元に「こら、やめなさーい!」と和尚さんがやって来ます。「みんなと仲良くしないと駄目だろう!」
サトル/だって全然使いもんにならねーんだもん! あいつら、蛙も取れないんだぜ!
GM/「お前だって蛙取りをやったことがない都会の子だったらできないかもしれないだろう」
サトル/オレ、山の子だからそんなん知らねーし! ……竹やり一号を担いで和尚さんの前から逃走します!
GM/あ、逃走された(笑) では……君はお寺の裏山にやって来る。
サトル/子供達が秘密基地を作っていそうな裏山だ。じゃあみんなで作った秘密基地に行きまーす……。
GM/秘密基地の前に、身なりがしっかりした女の人がいます。年は二十歳……よりちょっと下ぐらい。
サトル/うん? ……オレは見たことありますか?
GM/知っているかどうか【理知】判定を。
サトル/よっと。(ころころ)達成値14だ。
GM/じゃあ知ってる。あいつ……ひきこもりだ。
サトル/ひきこもり?
GM/最近この村に引っ越してきたらしいけど、村の手伝いもしないで家にひきこもっているって噂の女だ。名前は確か『大滝さん』だったっけ。
サトル/あいつ……大滝の座敷童じゃん! なんだ、あんな所で何をやってるんだ?
GM/石を詰んだ子供お手製の秘密基地の近くで、野花を見ているようだ。
サトル/ピョーンとそっちに行きます。おい! オレ達の秘密基地に何か用かよー!? ここはオレ達の秘密基地だぞ! 座敷童のくせになんでうちから出て来てるんだよ!
GM/女性はビクッと驚く。おどおど。びくびく。「……ここに秘密基地、作るのはいいけど……お花、全部潰れてる」
サトル/……下を見ます。
GM/男の子達が遊びまくったおかげで、お花はべしょっと潰れてます。「ご、ごめん!」 そう叫んで彼女は走って行ってしまいました。
サトル/……んー。お花をじっと見つめている。
GM/では萌々花ちゃん達が登場します。
榛名/基地の上にグシャッ。
サトル/オレの秘密基地がー!?(一同笑) 所詮子供が作った秘密基地なので人が乗ったら簡単に壊れるよ! なんだよお前らー!? 竹やりを構えます!
榛名/ギャー!? 原住民だー!?(笑)
サトル/なんだ変な服を着て茶色い髪の毛しやがって! お前ら鬼畜米英だろー!?
榛名/に、日本人だよ!
サトル/日本人がこんな黄色い髪の毛な訳あるかー!?
萌々花/あんた達うるさいッ!
サトル/うわーん鬼畜米英に怒られたー!
萌々花/全然ネットが繋がらないので途方に暮れています。……ねえ、君。この辺で、変な力を使う人っている?
サトル/和尚さんは変な力を使うけど? オレもウズマキに竹やり一号をしまって竹やり二号を出す!
榛名/うわ、すげー!
萌々花/いや、ハルナ。なんでハルナまで「すげー」って言ってるの(笑) わたしは萌々花っていうんだけど、君は?
サトル/巡木サトル、10歳! この山にはオレと和尚さんぐらいしかこういう能力使える人はいないんだぜー! だからオレ、和尚さんの手伝いしてるんだ! 偉いだろフフーン!
萌々花/えらいえらい。偉いついでにお願いなんだけど、人を追いかけてきたの。その人を探すために和尚さんのところに案内してくれない? ……って、大人ぶって言います(笑)
サトル/判った! ……大滝の座敷童に用があるんじゃないんだな?
榛名/座敷童? そいつ、怪しいの?
萌々花/ハルナも似たようなもんじゃない……(笑)
GM/では榛名くん。君だけ【意志】判定で何かを思い出すことができるよ。
榛名/(ころころ)達成値14です。
GM/『大滝』って、ばあちゃんの旧姓だ。
榛名/…………。ぱっと思いついちゃったよ(笑)
サトル/和尚さんの所に案内するね。……なあ、兄ちゃん達ってそこの潰れたお花って直せる?
榛名/花なら水をやればいいんじゃないの?
サトル/兄ちゃん達、使えねーなー!(笑)
GM/それではサトルくんの案内でお寺に招待されます。お寺には大勢の子供達と、彼らを世話をする女性達がいっぱい。……その中にいた和尚さんが、榛名くん達の姿を見てギョっとします。
萌々花/そっか、茶髪でミニスカートを履いてたら目立つか(笑)
榛名/お、俺達は鬼畜米英じゃない! 大丈夫! えーと……の、能力者です!
GM/和尚さんは暫く考え込んだ後、「……どこか違う世界、違う時代から来た人間……かな?」と言います。
榛名/イグザクトリー!
サトル/兄ちゃん、そういうこと言うと捕まるぜ。
榛名/アグレッシブな時代だな!?(笑)
萌々花/和尚さんにiPadを見せます。魔術師にしか読めない字で打たれたプログラムがあるのでそれを見せます。……こういう物ができるぐらいの未来から来ました。
サトル/なにそれ!? それも妖怪!?(笑)
GM/最初は意味が判らないという顔をしていた和尚さんですが、「違う時代や異世界の人間が、やってくることがある。古文書で読んだことがあったよ」と言います。[世界遣い]に理解がある和尚さんは、君達の存在を理解してくれます。このゲームは『時間跳躍をするTRPG』なので、そのような人が現れたという歴史的文献も数多く存在するんです。
萌々花/ですよねー、タイムリープRPGだもん(笑) わたし達の時代で悪さをした異端が、この時代にやって来て……。
サトル/異端が居たんだ?
萌々花/この時代にもそのダジャレが!?(一同笑)
GM/「かつてはこの村にも異端を討伐する教会の者達が何人かいたが、今では徴兵されてしまって、活動できるのは私とサトルぐらいだ。私も協力しよう。……サトル」
サトル/はい!
GM/「判っているな。協力してあげなさい」
サトル/和尚さんが言うなら!
萌々花/素直でいい子だ(笑) 協力ありがたいです、異端に然るべき処置はわたし達でしますので!
GM/和尚さん達はお寺に居てくれていいと懇意に接してくれます。ですが子供や女性達は君達をジロジロと好奇の目で見てくるね。(近くの子供になって)「あのねーちゃん、足をすっげー出してる。やらしー!」
萌々花/ちゃんとスカートの下にスパッツ履いてるもーん!(笑)
GM/そんな村の中で、君達は異端の捜索を始めます。

『AF判定:ナーブリムの捜索』
  ・使用能力値:【知覚】or【理知】
  ・難易度:100
  ・ラウンド制限:1ラウンド

※「1944年の世界でナーブリムを捜索する」演出に成功すること。成功した場合、ナーブリムの居場所が判る。
※1ラウンド以内に判定に成功しなかった場合、ペナルティが発生する。


GM/シーンごとに一人一回AF判定を行えます。ミドルフェイズが始まる前に『契約』が行えるよ。誰がマスターになるか相談してね。
サトル/(暫くプレイヤー内で相談して)サトルがマスターで、残りの二人がサーヴァントになりました。
萌々花/サトルくんは後衛で死ににくいし、何より現地の人だから色々教えてくれるし!
GM/判りました。キャラクターシートのマスターとサーヴァントの欄にそれぞれの名前を記入してください。それではミドルフェイズを始めましょう!


 ●ミドル1/サトル

サトル/この辺はオレが案内するよーってことでサトルのターンいきます!
GM/では、AF判定を開始してください。
サトル/腹は減っては戦はできぬって言うからな! ≪眠りの心臓≫で死んだふりをします。
榛名/なんで死んだ!?(笑)
サトル/死んでるオレのもとになんだなんだと寄ってきた猪に対して≪却奪:眼≫≪覇魔矢≫≪幻の射撃≫≪投擲≫で、竹やり一号を≪投擲≫します。
萌々花/猪を射止めたー!?(笑) 物影から心配そうにそれを見てます……。
サトル/いや、猪は二回ほどクリティカルで避けた。なので≪零力射撃≫≪光の一手≫で追い詰めて≪食糧調達≫します。その間も≪痕跡発見≫≪神域の耳≫≪神域の眼≫で怪しい物はないか探して……うん、無い!(笑) みんなの所に戻ります!
榛名/い、猪って危なくない!? 暴れたりしない!?
サトル/もう仕留めてるから暴れたりしないって。お前、猪も獲ったことねーのかよー(笑)
GM/猪を抱えて帰るサトルくんは特技を11個も使いました。11×2で、AF判定の難易度が22も下がり、『現在難易度:78』になりました。
サトル/探し物という描写なので≪痕跡発見≫の効果を使って達成値+3でロールします。調査も食料も調達できて一石二鳥だな!(ころころ)……クリティカルだ。
萌々花/えっ。クリった? AF判定でクリティカルは出目の値が30になるよ!
サトル/じゃあ……達成値38?
GM/『現在難易度:78分の38』です。めっちゃ美味しい肉が獲れたみたいです。和尚さんは「ありがとう、流石サトルだ」 村の子供達も「すげー!」とヒーローを見る顔。都会の子達も「すごーい!」と感心してるね。
萌々花/都会の子からしたら「村に来てお肉が食べられる」って凄いことじゃない?
サトル/こうやってガキ大将になったんだよ。でもね、調査は何も判らなかった!(笑)
GM/榛名くん達は、1944年という世界が暗い時代と思ってたかもしれない。でも元気に笑い合う子供達を見ていると、どんな時代でも、生きている人達は明るく楽しそうにしてるんだなぁと思った。
萌々花/なんか……昔も意外に普通なんだね。
榛名/凄いや……。頑張ったサトルくんにコーラを渡します! これ飲みなよ! ≪興奮剤≫相当のコーラだよ!(笑)
サトル/なんだこれ、シュワシュワするー!(笑)
萌々花/ハルナ、ウズマキに食べ物を入れちゃいけないって言ったでしょ!(笑)
GM/えーと、達成値が30を越しましたので、イベントが発生します。一発でイベント発生だね。お寺でお鍋の準備をしていると、サトルのお友達が騒ぎ始めます。「あ、座敷童だ」「座敷童が和尚さんと話してるぞー」
サトル/ん?
GM/和尚さんと女性が二人きりで話しています。その会話を聞き耳したいなら【知覚】判定を。サトルくんは≪神域の耳≫を持っているので達成値にボーナスでプラス4してください。
サトル/なんだよ座敷童、また何か用かよー?(ころころ)クリった。
GM/(低い声で)ピロ先輩。
サトル/出目操作は一切行なってません!(笑) ほ、ほら! オレってサトリだから! めっちゃ聞こえるんです!
GM/では二人の会話が鮮明に聞こえました。「大滝さん、後でお話があるんだ。来てくれないか」「……はい」「そんなに暗い顔をしないで。そうだ、サトルが良い肉を狩ってきたんだ。君も食べていかないかい?」「いえ、私はいいです……あまり人の前には」
サトル/オレの獲ってきた肉を食べないのか! 気に食わん!(笑)
榛名/あれが……例の座敷童?
GM/榛名くん達の目から見ると、和尚さんの隣に立っている女性は、お嬢様っぽいなぁと思えます。他のもんぺ姿のお姉さん達と比べると、畑仕事や力作業なんてしなそうに見えるね。
萌々花/こ、これは……和尚さんとラブロマンス的な関係!?
榛名/えー? でもあのお姉さん行かないって言ってるじゃん?
萌々花/今できる話をわざわざ後で二人きりでするっていうのがロマンチックなんじゃん!
サトル/むー……。いいから二人とも肉を食おうよー! 敢えて空気を読まずに和尚さんと姉ちゃんの手を引く!
GM/ではサトルくんが彼女の手を握ったとき、掌にゴリッとした石の感触がします。
サトル/痛いっ!
GM/指輪が当たって痛いね。
サトル/指輪をしているのはどの手ですか?
GM/左手の薬指ですね。
萌々花/結婚指輪じゃん! ホラホラ、やっぱ何かあるんだよー! きっとあのお嬢様には許嫁がいてー!(笑)
榛名/……この時代に指輪?
GM/日本で指輪をする文化が生まれたのは、明治二十年ほどからだそうだよ。「和服には指輪が似合う」ということでブームになったそうだ。だから指輪自体はそんなに珍しい物ではない。
榛名/へえ。
GM/……けど、「贅沢は敵」の時代に、目立つような宝石が付いた指輪をしているのはおかしいかも。この時代で働く人から見れば、怒りが湧いてきてもおかしくないです。
サトル/むー! やっぱ和尚さんだけ一緒に食べよー! あっかんべー!
萌々花/あー、意地悪してるー(笑)
榛名/……女性に声を掛けます。一緒に食っていかねえの? え、遠慮なんてするなよ……!
GM/(女性になって)「……お邪魔ですから」 【理知】判定難易度10に成功すれば誘いに乗ります。
榛名/ファイト!(ころころ)11で成功しました。
GM/「……私がご一緒しても大丈夫ですか?」
榛名/オーケー牧場だよ。
サトル/どこの牧場だよ(笑)
GM/それではめっちゃ美味い肉をみんなで食べます。彼女は他人とご一緒することに気おくれしていたみたいだ。
サトル/どうだ、うめーだろ! オレが獲ってきた猪! オレが! 獲ってきた! イノシシ!
榛名/ハイハイお前は凄いから!(笑) 彼女の様子は?
GM/美味しいぼたん鍋に顔を綻ばせています。
萌々花/「わー、綺麗な子だなー」と呑気に見ています。……なんで一緒に食べようとしなかったの、やっぱ居づらい? 不登校の子がクラスに来たときみたいに声を掛けてみます。サトルくんて意地悪だけどなんだかんだで優しいよねー!
榛名/萌々花が対応に慣れてるー(笑)
萌々花/もしかして体調悪いの? 周りに聞こえるぐらい大きな声で「この子は悪い子じゃないよ!」ってアピールします。体が悪いなら仕方ないよね。お肉どんどん食べなよー!
GM/「……ありがとう。みんな、優しいんだね」 一緒に鍋を食べさせてくれた、彼女の好感度が上がったPC達は全員、『イベントキー:彼女』を手に入れてください。
榛名/おお、イベントキーをゲットだ!
GM/楽しいご飯が終わります。片付けをしている女性達の中、お客様だった彼女は去って行こうとします。
榛名/ま、待って! こんなに飯とか食って色々話したけどさ、まず俺……あんたの名前を知らないんだよね! 名前を呼ばせてくれない?
サトル/座敷童じゃねーの?
榛名/本名があるだろが!(笑)
GM/彼女は榛名くんを見て驚きます。でもすぐにごめんねと謝ります。「そ、そうだった、名前を名乗ってもいなかったよね。私……大滝サダっていうの」
榛名/ばあちゃん。
GM/ばあちゃんと同じ名前です。
榛名/……ばあちゃん!
萌々花/えっ、何!?(笑)
サトル/兄ちゃん、なんで泣いてるの!?
榛名/ば、ばあちゃん! ばあちゃんだ! この子、俺のばあちゃんだよ!
GM/『イベントキー:彼女』を没収します。
萌々花/ええっ!?
榛名/い、イベントキーを没収された!
GM/今回のイベントキーは、NPCの好感度を言語化したものだからです。突然変なことを言われて動揺した彼女は怖くなり、逃げ出します。「さ、さようなら……!」 シーン退場。
萌々花/は、ハルナ! 未来から来たって話はしてないでしょ!
榛名/…………。ごめんなさい。布団の中に閉じこもります。俺、もうカノジョとかできなくていいです(笑)
サトル/兄ちゃん、名前を聞くまでは良かったのにな(笑)


 ●ミドル2/榛名

榛名/俺のターンで下がった好感度を上げにいきます……。今度はこっちが「雪だるま作ろー」になるんですね。
萌々花/おお、ハルナが積極的に動いている!(笑)
GM/朝が来た。希望の朝だ。お寺の朝は早い。
榛名/ひきこもりには辛い! まず≪魔法のローブ≫の布団を被る。いつも肌身離さず持っていた呪いのリングと≪空のリング≫≪心のリング≫を確かめて……立ち上がり、お寺を出る。家に帰るためにもナーブリムを探さなきゃ……山の上から≪空間知識≫を使って見渡してみよう。
サトル/昨日のうちにオレが案内しておいたから判るよな。あそこの一本松がデーンってあってそこからドーンと……
榛名/そんな説明で判るかー! と、本性の≪闇の衣≫を晒け出す。
萌々花/それ、本性だったんだ!?(笑)
榛名/ファイト一発、≪興奮剤≫のコーラを一気飲み! 自分しっかりしろよーと≪血の媚薬≫相当のリポビタンDを飲む!
GM/ウズマキに何本入れてるんだよ(笑)
榛名/途中で転びそうになったところを≪念動障壁≫でカバー! 昨日いっぱいご飯を食べてお腹が痛かったけど≪肉体復元≫≪超復元≫のおかげで全然大丈夫! ……実は裏山で花束を作ってきました。その花を≪過去視≫したら、サダさんが愛おしそうに見ていた野花だと判明しました。
GM/おおっ。
榛名/俺は手が泥だらけになるのも構わず野花を摘んだということで≪心身置換≫を使用!(笑) そのまま山を下りて、ひきこもりのサダさんの家を確認します。戸をトントンとノック……。
GM/大滝家という表札のお家を訪ねると、中からお手伝いさんと思われるおばちゃんが「はーい?」と出てきます。
榛名/あ、あの……昨日、サダさんとお話をした者なんですが……。
GM/「まあ! サダちゃんのお友達! 来てくれたの!? 嬉しいねぇ! さぁさぁお入り!」
榛名/えっ!? あ、ありがとうございまーす。……入っちゃった(笑)
萌々花/いいな、いいなー!(笑) わたしもそのシーンにちょこちょこついて来たことにしまーす!
榛名/いいよ、やりたいことは仲直りだから。これで特技を12個使ったので難易度が24減少。【理知】で振りましょう。ぺいっ。(ころころ)えっと……達成値は15です。
GM/『現在難易度:54分の53』になりました。もう少しだね。……では、流れも同じだしここは成功しておいてもらいたいな。一緒のシーンに出ていたことにする萌々花ちゃんも振っておこうか?
萌々花/はーい!


 ●ミドル3/萌々花

萌々花/ちょっと時間が巻き戻って、お寺の早い朝、戸を開けました。そしたら戸を開けたらでっかいバッタが飛び込んでくる。ギャー!
サトル/な、なんだなんだ!?
萌々花/お寺では駆けつけてくれる≪マイヒーロー≫がいっぱいいた(笑) 思っていたよりも怖い世界じゃないけれど、虫は嫌……。
サトル/なんだよ姉ちゃん、こんなの怖いのかよ。森にお帰り!(笑)
萌々花/貸してもらったモンペをジャージみたいに着こなして、朝ご飯の支度を手伝います。
GM/そうしていると、榛名くんが山に出て行くね。
萌々花/あ、ハルナ! 山に行くならこれを持っていって撒いといて! 自分の魔力をこめた石を持たせます。≪法則拡大≫≪波動の声≫です。
榛名/おお、萌々花の魔力がめっちゃこもってるな。山に撒いておけば何かあったとき反応するんだな?
萌々花/うん! その後、和尚さんの蔵書がある書庫にそっと≪すりぬけの式≫で入ります。書物を広げてキラキラした目で読んでみます。……読めない。
サトル/旧字体だもんね(笑)
萌々花/本に意志を持たせる≪本のクチ≫で、iPadに覚えさせます! この時代の魔術や異端がどうなっているのか、一通り教え込ませとく。
GM/そんなことをしていると充電がどんどん減っていきます。
萌々花/頑張れベシン! ≪魔法剣≫でiPadを叩く!(笑) そうしているとハルナが戻ってきてサダちゃんの家に行くって言うからわたしもついて行くー!
GM/そうやって君も大滝家に向かったと。特技を6つ使ったので難易度が12減少します。
萌々花/これで振ればOKだね。【理知】で(ころころ)達成値は12。
GM/『現在難易度:42分の65』。難易度を上回ったのでAF判定は成功です。では……彼女の部屋の戸をノックしたのが榛名くん、最終的に声を掛けたのが萌々花ちゃんってことにしよう。
萌々花/ごめんくださーい!
GM/良い所のお嬢様であるサダちゃんは、お家の奥の部屋にいました。顔を出した彼女は「な、何? ど、どうかした? わ、私、何かしちゃった……?」とオドオド。
萌々花/ハルナ、ファイト!
榛名/き、昨日はすみませんでした! 頭を下げます。あんな大勢の前で目立つようなことをされたら嫌だよね。俺も考え無しだった! あんたの気持ちを判ってあげられなくて。……謝りにきました! これ! ……そう言って、花束を渡します。ばあちゃんに教え込まれた華道の知識を詰め込んだ花束です。
GM/「わ、わあ……これを私に? いいの……?」 彼女は目を輝かせます。
榛名/あ、あんたの為に作ったんだから、貰ってくれないと困る!
GM/「う、うう……あり……がと……」 コミュ障にありがちの途切れ途切れの返答をするよ。……正直さ、榛名くんのライフパスで『一族』と『大屋敷』と『ひきこもり』って設定が出たときにGMビックリしたんだ。ハンドアウトにそんなこと書いたかなって確認しちゃった(笑)
萌々花/運命だね! ハルナったらひきこもりなのに朝から外に出て花束を作ってたんだよー!(笑)
榛名/ひ、人に誠意を見せるときはそれぐらいの努力をしなきゃダメだろ!
GM/それは嬉しいね。彼女は二人をお部屋に招き入れます。色のある洋風のお茶を出すよ。
榛名/ティーカップだ……やっぱお嬢様なんだ。
GM/「貴方達……和尚さんと一緒に居たということは、そういう人達なんでしょう?」
榛名/ん? そういう人っていうのは……。
GM/彼女がティーカップに手を寄せると、触れてもいないのにカップが独りでに動き出す。超能力だ。
榛名/あっ。か、[感応力師]!
GM/「他にもね」と彼女が手近にあった洋書を開くと、中から赤ずきんちゃんらしき人形がぴょこんと飛び出してきてご挨拶をします。ぴょこぴょこ動くそれは……≪血の彫像≫です。
萌々花/可愛いー!(笑)
榛名/俺も[処刑人]なので、おばあちゃんの人形を出して赤ずきんちゃんに挨拶させます(笑) ……そういえば、ばあちゃんにこうやって超能力の使い方を教えてもらったなぁ。
GM/偶然の一致、凄いね。「……この力はあまり外に出すなって、お父さんに言われてるんだ。疎開してくる前に、外でこの力を見せたら……みんなに怯えられちゃった」
榛名/それで……ひきこもりに?
GM/「でもそのとき、凄いって言ってくれた人がいるんだ。その人のおかげで今の私はいるようなもので……」
萌々花/そ、それって……いいひと?
GM/ちょっと顔を赤くした彼女の左手薬指には指輪が嵌められています。「私、人の目が怖くて外に出られなくて……そのときにあの人が外に連れ出してくれて、二人でお花をよく見に行って……」
萌々花/あの人、とは!? 恋バナ大好きワクワク!(笑)
GM/榛名くんのおじいちゃんの名前を言います。何て名前か設定はある?
榛名/えっと、じゃあ……おじいちゃんの名前は陸奥(むつ)にします。
GM/「陸奥さんという人でね、この指輪をくれて、海外の小説が好きで文系の大学に通っていて……」
榛名/……その人、今は?
GM/「…………」 常識的に考えて、年頃の文系学生は戦いに行ってるでしょう。
萌々花/……か、必ず帰ってくるよ! 無責任ぽく言います!
榛名/そ、そうだよ! だってそれ……約束の指輪なんだろ!
GM/「そうだね……」 ちょっと落ち込んだ顔をしますが、その後は二人との楽しい会話をしたおかげでとても元気になります。好感度が上がった人は『イベントキー:彼女』を、既にお持ちの人は更に『イベントキー:彼女2』を入手してください。
萌々花/わたしは『イベントキー:彼女2』をゲットしました!
GM/そうしていると楽しい時間は過ぎ、お手伝いのおばちゃんが「もう遅いからお帰りよー」と声を掛けてくれます。
榛名/そうだね。じゃあ、また……。
GM/君達は大滝家を出ました。家を出たところで、とあることが判ります。……AF判定に最終的に成功したのは萌々花ちゃん。萌々花ちゃんが判った演出にします。
萌々花/はい。
GM/榛名くんが石を置いた裏山に、妙な魔力の反応があった。
萌々花/うん? ハルナ、反応があったよ。
榛名/マジか。どこだ?
萌々花/裏山だね。サトルくんも連れて行こう。一緒に来てくれるかな?
サトル/いいともー!
GM/あれ、未来の言葉を(笑) では君達は、山奥で野尻竜一の遺体を発見しました。
萌々花/えっ。
榛名/えっ。
サトル/……えっ?
GM/突っ伏して死んでいる野尻さんの遺体がありました。
サトル/……ええっ? こ、このオッサンって……。
榛名/子供なのでサトルくんには見せないようにする! ……本当に、死んでる?
GM/≪眠りの心臓≫じゃないよ。死んでるね。
榛名/……異端の反応は?
GM/無いね。
榛名/完全に中身が抜けてやがる……? 外傷は?
GM/無いね。
萌々花/≪波動の声≫で近くにイースの禁書があるか探せますか?
GM/【意志】難易度8でどうぞ。
萌々花/禁書の気配を探します。(ころころ)余裕、14で成功!
GM/この辺りにはありません。どこかに隠したか、誰かが持っていたかでしょう。
萌々花/……ハルナ! ≪過去視≫
榛名/そう、それだ! 野尻さんの体に触れて≪過去視≫を使ってみる……!
GM/では榛名くんは野尻の体にある記憶を見ます。突っ伏した彼が見たものは……耳から出て行く黒いスライムの姿。にゅるにゅると出て行くナーブリムは、そのまま静かに……山奥の野花を見ている、身なりの良い女の子に忍び寄ります。
サトル/ああっ……!?
GM/何も気付かない彼女の足元にナーブリムは近付き……。そこで野尻は事切れ、ブラックアウト。ここでシーンを終わらせるよ!


 ●マスターシーン

GM/AF判定が成功したので、マスターシーンに突入します。……君達が帰って数分後のことです。大滝家に和尚さんがやって来ます。
萌々花/和尚さんが……?
GM/「昨日は楽しめたかな。肝心の話ができなくてごめんよ」「いえ、こちらこそすみません」 和やかに話をする和尚さんとサダちゃん。だけど和尚さんの顔はどんどんと真剣なものになっていく。
サトル/何を……?
GM/「……もう少し君の体と心が落ち着いてから話をしようと思ってたけど、役所から催促が来てしまったんだ。大事な話をしよう」「はい……?」「実は、君の夫の話なんだけど……」 それでは、クライマックスフェイズに突入します。
榛名/おじいちゃんが、なんだよー!?(笑)


 ●クライマックスフェイズ

GM/さて、状況から察するにサダちゃんの近くにナーブリムがいたことを見てしまった榛名くん。どうする?
榛名/一刻も早く大滝家に戻ります! 大変なことになる前に! 二人の手を取ってそのまま走ります!
萌々花/わー!?
サトル/よ、よく判らないけど……兄ちゃん! 早く戻りたいんだったら、そこの崖を飛んで!
榛名/崖を!?(笑)
サトル/大丈夫、下は腐葉土だから柔らかい!
榛名/ええい、ここは飛び降ります! そのままダッシュ!
萌々花/あ、あのハルナが!? 自分から寺を出ただけでもビックリなのに前を出て走ってる……!
GM/超特急で大滝家まで走る君達。すると家の近くでお手伝いのおばちゃんが大声で「サダちゃーん! 戻っておいで、サダちゃーん!」と声を上げている。和尚さんも慌てているのが見える。
榛名/お、和尚さん! サダちゃんがどうしたの!?
GM/「……多分、裏山の丘に走って行ってしまったんだ」
榛名/……丘? なんでそんな所に?
GM/「彼女を追いかけながら話す! 一緒に来てくれないか!」
サトル/あそこの丘なら、オレ、近道知ってる! 先導します!
萌々花/おお、頼もしい! 頼んでいい!?
サトル/合点承知!
GM/走りながら、和尚さんは話し始めます。「実は……彼女の夫、陸奥さんが戦死したという通知が、数週間前から来ていたんだ
榛名/えっ……ええっ!?
萌々花/いいひとって言ってたけど、旦那さんとはもう結婚してたんですか? ……子供は?
GM/「……彼女のお腹の中にいるよ」
榛名/マジかよー!?(笑)
GM/既に彼女のお腹には、榛名くんの祖母にあたる女性がいるんです。身重である彼女を気遣い、この話はしないでいました。
榛名/でも……ぼたん鍋を食べて栄養がついたから話したの!?(笑)
GM/いや、そうじゃなくて。「実はその報せはもうだいぶ前の話で……親族に遺品の引き取りを来てほしいと、役所にせがまれてたんだ。もう通知が来てから相当時間が経っている。……いつか話さなければいけないことだった。だから」
榛名/……それが、今日かよ。丘に向かったって言ってたけど、何があるの?
GM/「あの裏山は、花が好きな彼女と彼の、お気に入りの場所だったんだ」 PC3のサトルくんが秘密基地という設定を作ってくれた裏山ですが、元々あそこは、彼女がいつも野花を見に行くお気に入りの場所でもあった……という設定でした。サトルくんのオープニングで彼女が現れたのもそれが理由。
榛名/か、彼女を慰めればいいの? コミュ障には一番キツイ難題だよ!?
萌々花/頑張るの! さっきは出来たでしょ!
榛名/が……頑張る!
GM/では、サトルくんが先導してくれた丘に到着しました。村が一望できる崖の前には彼女が立ってます。
萌々花/火サス!?(笑) そんな所にいたらいけない!
サトル/おーい、座敷童の姉ちゃん! 大きい声を掛けます!
GM/彼女は高い所から村を見ています。
榛名/こ、こういうときどんな顔をすればいいか判らないの……!
萌々花/もうっ! ハルナったらもういい! わたしが行く! サダちゃんー!
GM/サダは耳からスライムがニョロっと出ます。
萌々花/んにゃあっ!?(笑) こ、腰を抜かしそうになるけど……パンッと足を叩いて踏ん張ります!
榛名/……やっぱり体の中にナーブリムが!
GM/彼女の体の中から、エコーがかった声がします。「来る。お前の力でやって来る」
サトル/な、何が……?
GM/サトルくんは≪神域の耳≫を持っていたね? ……ウウウウウウウ。不穏な音が聞こえる。
サトル/へ、変な音がする……! 耳を塞ぎます!
GM/大量の機械の音だ。何百ともいうその唸り声は……戦闘機の音だと判る。
榛名/え。
GM/……東京大空襲。一番大きな被害を受けたのは3月10日。ですが実はこの歴史的事件、5回の空襲の総称なんです。4月上旬……470機ほどのB29が「偵察のために」上空に現れた。
榛名/偵察で470機!? 多いよ!(笑)
GM/「あの戦闘機……私が力を強化してあげれば、操ることができるだろう? そうだ、お前の力を使って、多くの犠牲を出してごらん。そうすれば……払われた犠牲の数だけ、お前の願いは叶う」 ナーブリムを調べていた萌々花ちゃんには判ります。奴が≪贄の儀式≫≪世界創造≫をしようとしていることに。

≪贄の儀式≫
 1人を犠牲(戦闘不能や死亡)にすることで、GMの設定した値分、消費しなければならない代償を減らしたり、制限を無くしたりすることができる[異端者]の特技。

≪世界創造≫
 願いを叶えることができる[世界遣い]の特技。≪贄の儀式≫を使用することで、その代償を抑え、より願いを叶えやすくすることができる。


萌々花/iPadを起動して、魔法剣を飛ばしてナーブリムを打ち抜こうとする! サダちゃんから離れなさい!
GM/彼女の近くにウズマキが現れ、その中の本からピョーンと赤ずきんが出てきて、バスケットで飛んできた魔法剣を弾く。
萌々花/にゃっ!? か、可愛い!(笑)
GM/「童話の人形達も強化してやろう。お前が……犠牲を出せば、なんでも望みが叶う。夫も帰ってくるさ」 ナーブリムは野尻を誘惑したときのように言葉巧みに、彼女の欲を引き出します。彼女はコクリと頷き……2ラウンド終了後には、470機の戦闘機を操ってシーン攻撃をし始めるでしょう。
榛名/そ、そんなの……させねーよ!
GM/それでは、戦闘開始です!

【戦闘エンゲージ】
 エンゲージ1:榛名、萌々花、サトル
 (↑5メートル離れている)
 エンゲージ2:人形A、人形B
 (↑3メートル離れている)
 エンゲージ3:サダ、ナーブリム

【行動値】
 サトル:14
 サダ、ナーブリム:12
 榛名:10
 萌々花:9
 人形A、人形B:8


GM/戦闘の勝利条件は、敵の全滅。もしくは、AF判定に成功すればOKです。

『AF判定:彼女を無力化せよ』
  ・使用能力値:【体力】or【意志】
  ・難易度:50
  ・ラウンド制限:2ラウンド

※「彼女を無力化する」演出に成功すること。成功した場合、彼女を無事保護できる。
※この判定を行なうためには、彼女が使用者のスキルウェポンの射程以内にいる状態でメジャーアクションを消費すること。



 ●第1ラウンド

GM/まずはセットアッププロセスです。サトルくんは何もしない? ならナーブリムが≪異形の触手≫をサトルくんに使用して【行動値】を減らします。
萌々花/うぎゃあ! ニョロニョロだー!
GM/サトルくんより早く動きたいから耳からニョロっと出て来て動きを封じる!(ころころ)命中17だ。
サトル/回避!(ころころ)16……ああっ、1点足りない!
榛名/なら達成値を1点上げましょう! ≪血の媚薬≫で榛名の【HP】を4点消費して達成値を1上げます! そっちじゃない、こっち行けー! こめかみの血管が破れる!
萌々花/テンションたっか!(笑)
サトル/に、兄ちゃんが喚いてる!(笑) 達成値が17、同値になったので受動側優先で避けます!
榛名/俺のセットアッププロセスは≪闇の衣≫≪心身置換≫を使用。ドンドン行くぞー!
サトル/ヤベエ、ここにきて兄ちゃんがかっこ良く見えてきた!
萌々花/そうそう、ハルナはたまーにカッコイイんだから!(笑) 
GM/人形2体はセットアップで≪闇の血統≫を使用して、ダメージをアップ。これでセットアッププロセスが終わって【行動値】順にメインプロセスが始まるけど……イニシアチブプロセスで人形が2体とも≪鳥躍≫を宣言。
榛名/ぎゃあ! 先に動かれる!
萌々花/やめて! 来ないで! ……いや、マイナーアクションでわたし達のいるエンゲージまで接近してもらえればわたしが範囲で叩ける? 寧ろこっち来いよ!(笑)
GM/凄い掌返しを見た。それでは赤ずきんちゃんと狼の形をした人形が……マイナーアクションで3人のいるエンゲージまで移動して、メジャーアクションで攻撃をします。
萌々花/来いよー!
GM/対象はダイスロールで決定します。(ころころ)萌々花ちゃん、≪両手武器≫で攻撃。狼が両手でガオーと襲い掛かる!(ころころ)命中16です。
萌々花/≪天使の守護≫を使います。回避判定を2回振って高い方を採用します。(ころころ)オッケ、16が出たので避けます!
サトル/やった! 姉ちゃんカッコイイ!
GM/うーん、当たればダメージが高い敵なんだけどな。(ころころ)次も対象は萌々花ちゃんに攻撃。(ころころ)命中は15。赤ずきんちゃんがワインの瓶を逆手に持って襲い掛かってきました。
萌々花/怖いよ!?(笑) しかもモテ期到来!?(ころころ)16で避けました、イェイ!
榛名/おお、出目が良い! 次はサトルのターンだ。
サトル/オレはAF判定に挑戦します。……まず、≪神域の耳≫+≪神域の眼≫で、迫りくるB29の群れを見つけます。これはヤバイ。和尚さんに知らせないと! ≪痕跡発見≫で周囲を見渡すと、、近くに村の子供が一人居ることに気付きました。
GM/お、誰か居たぞ。
サトル/なんかヤバイのが来てる! 防空壕に行って! 「戦闘機が来たから逃げて」と殴り書いた紙を≪投擲≫して子供に渡します! そして……自分のお守りである≪守護の石≫を握りしめて、「オレがここを守るんだ!」と決意を固めます。
榛名/おお! イケめてる!(笑)
サトル/≪強奪:眼≫≪覇魔矢≫+≪幻の射撃≫で、ナーブリムに狙いをつけます。ナーブリムの攻撃や妨害を≪零力射撃≫≪光の一手≫で凌ぎつつ、奴の本体に攻撃!
GM/使用した特技の数は10。難易度が20も減って、現在難易度は30になりました。
サトル/【体力】で振るよ!(ころころ)達成値14。一射入魂! キモチワルイの、早く姉ちゃんから出ていけよ! 行け、竹やり一号ー!
GM/槍を投げられたけど、ナーブリムがサダちゃんの耳から出て彼女を守り、直接のダメージはまだ入らない。次は【行動値】14のサダちゃんのターンか。
萌々花/サダちゃんも攻撃してくるの?
GM/うん。ナーブリムの強化により高速詠唱が可能になった彼女は、B29を操るのとは別に違う魔法を撃ってきます。≪タナトスの足枷≫≪アンドショック≫≪魔導書≫で攻撃。(ころころ)対象は榛名くん。よりにもよって榛名くんか。
榛名/よし来い! よくばあちゃんに≪アンドショック≫はされたもんだよ! 俺ならイケる!(笑)
GM/[魔術師]は命中固定値が高いぞ。(ころころ)命中達成値は19。
榛名/クリティカルすれば避ける!(ころころ)回避15……あと4点足りないか。バッドステータスは受けたくないので、≪血の媚薬≫を使用して【HP】を16点減らします。達成値19にして避けるよ!
萌々花/い、生きてる……?(笑)
GM/仕方ない。ナーブリムがサダに令呪を使用して、命中達成値を39にします。
榛名/……俺達も令呪を使おう!
サトル/兄ちゃん、伏せてー! 兄ちゃんの分の令呪1つ使用!
榛名/回避39で避ける! サッ!

 榛名は自分のターンで≪興奮剤≫で【MP】を回復、≪肉体復元≫で【HP】を21点回復させた。

萌々花/次はわたしのターンだね。≪法則拡大≫≪魔法剣≫で、防御点無視ダメージの攻撃します。(2回ころころ)【MP】を4点消費して、人形2体に命中23!
GM/(2体分ころころ)2体とも回避できませんでした。
サトル/そのダメージロールに令呪を使用! いけいけゴーゴー!
萌々花/(ころころ)達成値にプラス20をして、32点のダメージです! ……生きてます?
GM/生きてますね。
萌々花/≪禍福のさざなみ≫を使用!(ころころ)4、成功! これでダメージは……52点!
GM/大ダメージを受けて、2体の人形は倒れます。
萌々花/よっしゃ、一撃! 一掃したぞ!


 ●第2ラウンド

GM/ナーブリムはセットアップで≪魅了の魔眼≫を使用。対象は(ころころ)榛名に決定します。
榛名/俺のこと大好きだね!? 俺もおばあちゃんのこと大好きだから仕方ないね!
GM/命中は(ころころ)21。耳から出た触手が凄まじい早さで地を這い、榛名くんの体まで届き、耳に入ろうとします。
榛名/うわぁ!? く、クリティカル狙いで振ります!(ころころ)……無理です!
サトル/≪光の一手≫でその特技を自動失敗にする! 地を這う触手を、竹やりでグサッ!
萌々花/しっしっ! あっち行けー!

 榛名はセットアッププロセスに≪空間知識≫を使用。
 全員のセットアッププロセスが終了し、メインプロセスに移行した。


サトル/フルコンボでナーブリムに竹やりを投げる! ≪却奪:眼≫≪覇魔矢≫+≪幻の射撃≫で攻撃します。(ころころ)命中14!
GM/(ころころ)ナーブリムの回避12、当たります。
サトル/フルコンボだドン!(ころころ)13点の霊力ダメージです。
GM/食らいます……が、ダメージロール直後に≪檻触手≫を使用。サダの耳から出て体を大きくしたナーブリムは硬質の壁になり……(ころころ)カッキン。ダメージ0にしました。
サトル/しょんぼり。やっぱAF判定じゃないと無理だ……。
GM/サダのターンいくよ。≪法則拡大≫≪アンドショック≫を使います。≪アンドショック≫の効果は……(ころころ)バッドステータス、重圧を与えます。(ころころ)命中は19。≪法則拡大≫で対象は全員。
萌々花/このタイミングで重圧は辛い! しかも2D6で13以上を出さないと無理だ! なんか榛名の≪空間知識≫≪法則拡大≫って遺伝かもね(笑)
サトル/オレも避けられる気がしない。それなら……≪零力射撃≫でその行為を失敗させる! 竹やり三号を飛ばして打ち止めるー!
榛名/その竹やり、何号まであるの!?(笑)
GM/では重圧攻撃は失敗。次は……榛名くんのターンだね。
榛名/マイナーアクションでサダちゃんのいるエンゲージまで接近します。
GM/このニート、動くぞ。
榛名/ニートは本気を出せば早いんだよ、本気出さないだけで!(笑) その後、メジャーアクションでAF判定をします。おばあちゃんの近くまで寄って≪魔法のローブ≫の布団を脱ぐ!
萌々花/お、お布団をキャッチ!(笑)
榛名/代わりに≪闇の衣≫を羽織る! ≪血の媚薬≫を使ったから何も攻撃を受けてないのにこめかみからは血がずっと出てる! ≪興奮剤≫も飲んだからだいぶ興奮してるぞ!
GM/本当だ、怖い(笑)
榛名/無鉄砲に見えるだろうけど≪空間知識≫でちゃんと周りは見えてる! それと≪空のリング≫≪心のリング≫……呪いのリングを胸に持って確かめる。触れたリングに≪過去視≫をすると、おばあちゃんのどのような想いがこめられていたかが伝わってくる。こんなところで終わらせることなんてできない!
GM/8つ使ったので、16減少。『現在難易度:14』です。
榛名/振ります!(ころころ)【意志】で達成値は11……だから、『現在難易度:14分の25』でAF判定は成功! しゃらくせえ、触手を引っ張ります! ニュルニュルニュルニュルニュルー!
サトル/ああっ、耳から触手がニュルニュルと引っ張られて……!
萌々花/思ったより長い!(笑)
榛名/俺の知ってるあんたは! すっごく強い人でお淑やかで綺麗で芯のある人だから! こんなのに負けない! 未来をちゃんと見据えてる俺の大好きな人だから! こんなちんけな囁きに負けるような弱い人じゃない筈だ!
GM/彼女は……指輪を抱きながら榛名くんの声を聞いています。
榛名/あんたの旦那さんだって……今の状況を見て嬉しい訳ないじゃん! 今以上の被害を出さないように、この戦争を終わらせるために旦那さんは戦地に行ったんだろ! それなのに、あんたが被害を増やしたら、旦那さんが悲しむだろ!
GM/その言葉を聞いてハッとします。……彼女の夫、陸奥さんは、降りかかる不幸を少しでも減らすために戦争に行った。なのに自分が周囲の人を被害に遭わせるようなことをしている。自分の過ちに気付き、ボロボロと泣き始めます。そしてニュルニュルと榛名くんの手によって触手が彼女の身体から完全に引き離されました。
榛名/すっぽん!
GM/にゅるっと出てきた触手が地面をびちびちしています。……萌々花ちゃんは知っている。ナーブリムは誰かに何かをしてもらわなければ動けない異端。こいつ自身は誰かを傷付けたりできない。びちびち、びちびち。
萌々花/弱い! 教会に連れて行くとかいう任務のことを端から忘れて、バッとでかい剣を作って打ち抜く!
サトル/べっちん!
GM/「キエー!」 ナーブリムは、弱々しい声で息絶えます。
萌々花/ぐりっ!
サトル/姉ちゃん、よっしゃ!
GM/その場に座り込むサダちゃんの元に和尚さんが駆けつけます。呪文を唱える素振りも見せないサダの体に、もう何も潜んでいないことを確認し……ていると、サトルくんには不快な機械音が遠のいていくのが判ります。
サトル/良かった、変なの帰ったー!
GM/きっと戦闘機の通信では、英語で「オーウ! 操縦がきかなくなったネー!」「デモそうでもなかったネー!」「このままだと危険だから帰るネー!」というやり取りがあったことでしょう。
榛名/(いきなり米軍パイロット達になって)「ワーオ! ノーコントロール!」「バット、ノープロブレム?」「オーケー! シーユー!」(一同笑)
GM/戦闘機達は元々の偵察任務の空に戻っていきました。……正規の歴史でもこの日、空襲は行なわれてはいません。誰も被害を出すことなく、クライマックス戦闘は終わりになります。
榛名/おばあちゃんの前にしゃがみます。な、泣かないで……あんた、笑った方が綺麗でしょ!
GM/(サダになって)「貴方……名前は、榛名さんでしたっけ……」
榛名/は、はい!
GM/「……なんだか、その言い方……あの人に似てる」 涙を拭いながら言います。
榛名/じいちゃんも同じこと言ってたのかよー!?(笑)
萌々花/ハルナは二十歳だから、旦那さんの若い頃に一番似てる頃なんじゃないかな?(笑)
GM/「彼が死んだという現実は……受けとめなきゃいけないことなんですよね。誰かを巻き込んで、自分だけ助かる方法を考えるなんて、いけないことですよね……」
榛名/……現実は乗り越えていくものなんだよ。その先であんたは凄い人になる。えっと……自分を強く持って! 生きるんだよ!
GM/「……気付かせてくれてありがとうございます。毎日この指輪ばかりを見ているから私、ひきこもったままだったんだ……これにずっと呪われて生きていたら、駄目なんだ」 そう言って、サダは薬指の指輪を外そうとします。
榛名/だ、ダメ! 止めます!
GM/止めるの?
榛名/代わりに、自分が着けていたチェーンを外します。
GM/……うん?
榛名/指輪を抜き取って、そのチェーンをサダさんが持っていた指輪に通して、首に掛けてあげます。ネックレスにすれば……指輪ばっか見てないで前を向けるし、肌身離さず持っていられるでしょ?
サトル/ヒューッ!(笑) ネックレスなら着物に隠れるから良いよね!
GM/良いアイディアだね。……いや!
一同/グッドです!(笑)
GM/彼女はクスクス笑いながら「これなら水仕事ができますね」と冗談ぽく笑います。彼女はお嬢様だからという甘えだけでなく、旦那さんから貰った指輪を片時も外したくないという理由で、ひきこもりをしていました。だから周囲の女性達から「あの子ったら家事もしないで……!」と冷たい目で見られていました。
萌々花/そうだったんだ……。
GM/心を閉ざしてお花に打ち込んだ彼女を癒したのは、これからの時間です。数十年後には、君の知っている優しいおばあちゃんになります。本当は数十年もの時間が必要でした。けど……今のサダちゃんは、笑顔で榛名くんに頷きます。
榛名/おばあちゃんが前向きになって良かったよ……!
GM/……萌々花ちゃんの背後から龍の聖剣の声がします。「お疲れ様。異端ナーブリムが消滅した今、この世界での異端による不幸は無くなったわ」
萌々花/とりあえず被害は防げたのね! ……でもこれから先、戦争の不幸は続くんだよね。
GM/「それは人間が生んだ不幸だから変えられない運命よ。神が定めた運命ではない『異端による不幸』なら貴方達は変えることができる。でも日本が負ける運命は変えられないわ。……それでも貴方達は、亡くなる筈のなかった多くの命を救うことができたの。ありがとう」
萌々花/……多くの不幸を防げた。それなら悪くないよね! 彼女を止められなかったらハルナは今、ここにいないかもしれない。……この時代に連れてきてくれてありがとね。
GM/「お礼を言うのはこちらの方よ。何十万という命を助けられたわ。それに……心が救われた彼女の世界は、きっと良いものになっていく。前向きな心は更なる良い世界を生み出していくわ」 それでは……最後にPC1の榛名くん、【幸運】判定をしてください。
榛名/おっ?
GM/その前に確認ですが、セッションに参加しているPC達の中で『イベントキー:彼女』を持っているなら達成値にプラス2ずつ、『イベントキー:彼女2』を持っているなら更にプラス2をしてください。この判定に令呪は使用できません。
榛名/合計でボーナスは8点? それで【幸運】判定だな……よしっ。(ころころ)ピッタリ達成値20です!
GM/ピッタリ成功だね。……ロリが君達の後ろにゲイトを作ります。そのゲイトに入れば2人は元の時代に戻れます。
萌々花/ハルナ、帰るよ!
榛名/も、もう!?
サトル/兄ちゃん達どっか行くの?
萌々花/サトルくんをギュー。
サトル/な、なんだよー? 姉ちゃん、胸ねーなー。
萌々花/3回ビンタ!(笑) 言っていいことと悪いことがあるんだよ!
榛名/さ、サトル。……これからこの世界、大変なことになって、もしかしたらお前も。そうだ、サトルも一緒に2014年に来るか!?
サトル/んー……。モモ姉ちゃんとハル兄ちゃんと一緒にいたら楽しいと思うけど、オレの家族はあそこだから。そう言って、丘から見える寺を指差す。
榛名/……うー。
サトル/オレだけどっかに行くのは、和尚さんに心配かけるから無理!
萌々花/……サトルくんがいなくなったら、村の子供達が困るもんね。
榛名/……俺達はこれでさよならだ。大変な世界になるだろうけど……頑張るんだぞ! ……強く生き抜けよ! 絶対だからな!
サトル/なんかそのうち会えるんじゃねーの? オレをナメんなよ! 鬼畜米英なんて竹やり一本で充分よ!
榛名/お前、ウズマキの中に3本ぐらい持ってるだろ!(笑)
萌々花/長生きしてね、約束だよ! 和尚さんも、サダちゃんもお気を付けて!
GM/サダちゃんも和尚さんも頭を下げます。それでは二人は、ウズマキの中に入って行きます……。
サトル/じゃあなー! 手を振りますー!
GM/ウズマキが閉じ、ふうと息をつくと……大滝家のお手伝いのおばちゃんが「サダちゃーん! 和尚さーん! こんな所に居たんですねー!」と走ってやってきます。
サトル/……おや?
GM/「サダちゃん! 良い報せだよ、陸奥くんが……! 陸奥くんが帰ってきたんだよ!」
サトル/えっ。
榛名/えええええっ!?
GM/和尚さんも「えっ」と驚きます。「どういうことですか?」「戦死したのは別人だったんだよ! 陸奥くんは誰も判別できないぐらいボロボロに負傷して、数週間の昏睡状態になって、それでも目を覚まして戻ってきたんだよ……!」「そんな……あれは間違いの報告だったってことですか!?」
サトル/あー、戦時中あるあるだね!(笑)
GM/サダちゃんは信じられないって顔をしたまま固まっています。
サトル/……やったじゃん! サダ姉ちゃん、早く旦那さんのところに行ってあげようよ! 手を繋いでダッシュします!
GM/頷く彼女は、今度は嬉し涙を流しながら駆け出します。サトルくんに手を引かれながら、嬉しそうに笑みを浮かべながら……最初に見せていたオドオドも無い彼女は、旦那さんの待っているお家に戻るのでした。……という【幸運】判定成功の結果です。
榛名/じいちゃんが戻ってきたよー!?(笑)


 ●エンディングフェイズ

GM/元の時代に戻ってきた榛名くん達は、教会にイースの禁書を提出します。ちなみにナーブリムが起こした大騒動だけど、追跡している最中に榛名くんが一般人に≪念動障壁≫≪肉体復元≫をしてくれていたおかげで死傷者0だよ。
榛名/良かった! 戻ってきたら山田も元気になってるー!(笑)
GM/……ちなみに、榛名くんのチェーンが外されたリングは、心なしか記憶にある物よりとても綺麗な物に思えた。手入れが丁寧にされていたみたいだね。
榛名/ばあちゃん、指輪を大切にしたんだな……。
GM/そして榛名くんが家に帰ってみると、居間に飾られている両親の古い写真の中におじいちゃんがいる。
榛名/……あれっ?
GM/お母さんに訊いてみると「部屋を掃除してたら昔の写真が出てきたのよ。だからたまには変えてみるのもいいと思ってー」と話してくれます。……そういや、こんなに和やかにおじいちゃんの話をしてくれたことってあったっけ? そもそも君はおじいちゃんの写真を見たことがあったっけ、と思う。
榛名/……おじいちゃんってどんな人だった? お母さんに訊いてみます。
GM/終戦後、早くに亡くなっちゃたみたいだけど……。戦争で傷だらけで帰って来た人だったわ。おばあちゃんととっても仲が良くてねぇ……」と笑顔で話してくれるぐらいには、とても良い記憶になっているようです。
萌々花/……過去が、ちょっとだけ変わったんだね。良い方向になってるみたいで良かった。
サトル/……では、それから事件が終わって数日後。教会に二人が事件の報告書を提出しに寄っていると。コンコンと礼拝堂の戸を叩く音がする。迎え入れてくれ。
榛名/えっ?
萌々花/はいはーい。ガチャっとな。
サトル/戸を開くと、そこには身なりの整った老人の姿が。高坂は居るかね?
萌々花/高坂さんなら奥でナーブリム事件の処理を……。高坂さーん、お客さんですよー。
GM/(高坂になって)「あー、どうもどうも……」 その人の名前はもちろん……ですね?
サトル/変わってませんね。
GM/巡木さん、お疲れ様です! すみませんね、わざわざ来ていただいて……!」
サトル/いやいや、あれじゃよ、暇をしてたからのぉ。たまには若いもんにまじって任務をするのも悪くない。
榛名/アイエエエ!?(一同笑)
サトル/竹を加工したような杖をカツンカツンとしながら礼拝堂に入る。これが今回の報告書じゃ。手書きの書類を渡す。……おや、こちらの若いのは?
榛名/……サトル!
サトル/じぃーっと見る。……ハル兄ちゃん達ぃ!?(笑)
榛名/じいちゃんに兄ちゃんって言われちゃったよぉ! や、約束……守ってんじゃん!(笑)
萌々花/な、長生きしたねえ! あの後、戦争を生き抜いてくれただけでもわたし達は嬉しいよね!(笑) 齢80のエージェントとして活動してるなんて、凄いー!
GM/サトルとしては何十年ぶりの再会を喜びながら……そんな感じで、フェードアウトしましょうか!


 アナザーワールドSRS・リプレイ
 〜 春を呼ぶ円環 〜




END


 ●アフタープレイ

萌々花/お疲れ様でーす。わあ、良い話だったなー!
サトル/ハンドアウトを選んだときから、エンディングはこうしようと思ってました!(笑)
GM/私も絶対にそうしようとも思ってました!(笑) ピロ先輩、ありがとうございます。さて、セッションの裏話をしますと……実はこのシナリオ、GMの実の祖母をモデルにしています。
榛名/そうなんですか!?
GM/お花コンテストで賞状を貰っているのも、指輪のくだりも、戦争から帰ってきたけどおじいちゃんが早くに亡くなっているところも全部実話です。今回の3つのお題が決定したとき、私のおばあちゃんのこと以外思いつかなかったんですよ(笑) 生涯一人だけの男から貰った指輪のことを「呪い」と言っていたのも実話です。
萌々花/へえ! 良い話ですね(笑)
GM/今回はライフパス設定の引きが見事だったなぁ。思わずシナリオを見られたかと思ったよ。
榛名/ひきこもりの男の子がひきこもりの女の子を慰めるって……まさかここまで合致するものになるとは思いませんでしたね(笑)
萌々花/ピロ先輩の戦時中のガキ大将ロール、凄かったです!
榛名/サトルくんは引っ張ってくれるし、弟的に盛り上げてくれたりって良いキャラクターでしたねー。
サトル/ありがとうございます!(笑) モモ姉ちゃんのAF判定の流れは綺麗だし、ハル兄ちゃんの説得ロールも凄く良かったと思うよー。
GM/今回も素晴らしいセッションができました。念願の戦争テーマのタイムスリップもの、出来て本当に嬉しいです。皆さん、ありがとうございました!




END

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