アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 パンドラの箱 』 4ページ ■
2020年2月22日




 ●ミドルフェイズ10/希の夏 〜ついに判明〜

祈/夏です。調べるやつをやろう。
希/妹がさっき自分のAF判定をしてくれたから、今度は俺がシーンプレイヤーをやるのでいいかな。【体力】振りまーす!
ノア/さすがにみんな、箱をなんとかしないとと思って動き出した……。

『AF判定:悪い異端について調べる』
 ・使用能力値:【体力/幸運】
 ・難易度:中20

※「祈の夢を叶える」演出に成功すること。
 成功した場合、相応の思い出ポイントを獲得。
※協調行動OK。難易度なし(自動成功)。


希/みんなで本腰入れて調べます。怪しい所や大丈夫な所に印……≪聖印≫を付けてマップを埋めていき、≪狩猟感覚≫で高めた知覚力で変なものがいないか調査。見つけたモブ異端を≪浄化の一撃≫+≪圧縮撃≫+≪悔改めよ≫+≪交わる矢≫で撃退します。フォーイ!
節花/フォイが相手なんです?(笑)
祈/フォイからの攻撃は≪念動障壁≫でカバーをします!(笑) お兄ちゃんが≪聖印≫を付けた場所を、頭の中で地図を作って把握していく≪空間知識≫。色々調べたことをみんなで共有しておく≪同調録≫。
彰/さっきの戦闘、怪我が無くてラッキーだったね! ≪君に幸あれ≫。
希/調査中に足りない物があったらその都度≪物品調達≫で手に入れます。
節花/絶対に外せない調査には≪聖者の友≫でクリティカルにする!
彰/3人合わせれば何とかなるよ。
ノア/3人寄れば文殊の知恵!
彰/そうそう、矢も3ついっぺんまとめてバキッて折る。
希/文殊の知恵ぇー!?(一同笑)
ノア/それ違う! ≪光の一手≫!(笑)
希/シャノアールで、今までの調査結果を話し合う作戦会議をします。『現在難易度:1』だから(ころころ)【体力】達成値13で成功です。(ころころ)お、【HP】1点だけ消費だ。
GM/成功したので、調査したという夏を過ごせました。みんな何事もなく平和に調査できて良かったね!
祈/……本当に何事も無くていいのかなぁ……。
希/せめて異端の名前だけでも分からないかな? ……鶴瀬総支配人は、イイカンジのコードネームを付けてくれてないですかね?
GM/いつもシナリオタイトルを数分で付けてくれるぷぇ、今すぐ異端の名前を考えて。
節花/はいっ!?(一同笑)
ノア/凄い勢いで振ってきた!(笑)
節花/レーテ。
GM/え?
節花/パンドラ。ギリシャ。だからレーテで。
希/レーテって……ああ、飲ませると記憶が無くなる川か。
GM/なんで5秒でそんなの考えられるのぉ!?(一同爆笑) つ、鶴瀬総支配人により「一連の記憶強奪事件の異端の名をレーテとする」という報告が入りました!
祈/こ、この間10秒も掛かってないんですけど!?(一同笑) どんだけ名前決めるの早いんですか!?

 アナザーワールド小話。
 マーサーGMは、シナリオタイトルや異端の名前を決めるのがとても遅い。1週間ぐらい掛かっても名前が決まらないことがある。
 プレイヤー2・ぷぇは、数分で決める。『冥夜行路の非常灯』『ダブルダウン』『春を呼ぶ円環』『アトラクト・ミラージュ』『ラブシックス・ヤー!!』などは、ぷぇ作のタイトル。マジでマーサーが「作って」とお願いしてから数分後には作ってくれる。
 教会では
「一連の事件や異端のコードネームは鶴瀬総支配人が命名している」という設定があることから、プレイヤー間では「鶴瀬の脳内にはぷぇっとしたものが住んでいる」というネタもまかり通っているぐらいである。

希/早い! さすがぷぇさん! めっちゃくちゃ早い!(笑)
ノア/凄い……凄いものを見てしまった(笑)
祈/「鶴瀬さん、もう2年も経つ訳だから異端の名前決めてくださいよ〜」「レーテで」「えっ」というやり取り、教会の上層部の人達は絶対してましたよ!(笑)
GM/……何か凄すぎて笑い疲れたから、もうこのシーン終えていいかな?(笑) あ、異端レーテの話をした途端、希くんのウズマキにいた小箱がバタバタしているのを感じていいよ。
希/なんかウズマキの中でキモイ動きしてる気がする!
節花/バタバタ、のたのた。フシャーッ!
ノア/箱が威嚇してる!?(笑)
節花/ズザーッ。
希/箱がチョロQみたいな動きしてる!?(笑)
節花/ウズマキの中を覗くとピタリと止まってる。
希/怖っ!(一同笑) 俺のウズマキの中、怖っ!
ノア/ネコミミを被せておけば可愛いかも。
彰/可愛いかも? 箱にネコミミ付けよう。
祈/そんなの猫への冒涜だと思う!(笑)
ノア/怒られた。ネコミミを外そう。
節花/しゅーん。
希/レーテさん落ち込んでる!?(一同笑) キャラクター性が芽生えちゃったぞ! そんな変な動きを始めた箱を預かってる俺の気持ちになってくれる!?
彰/私が箱を保管してもいいけど、スキルウェポン未取得だからウズマキの扱い下手だしヤメた方がいいよ。
祈/あたしもスキルウェポン無いからウズマキ下手だし無理。
節花/私のウズマキを庇う。
ノア/ウズマキを庇う、とは!?(笑) あ、僕はアイザックさんから「ウズマキの整理整頓はしっかりしろ」と言われているので……。
節花/箱がスキップしてノアくんに近寄る。
ノア/嘘でしょ!?(笑) いくらなんでも箱がスキップするのはダメでしょう!?
希/ぷぇさんのその邪悪な発想は何なの?
節花/プレイヤー名指しで邪悪って言われた!?(一同爆笑)
祈/箱はお兄ちゃんが持っておくべきだよ。だって、お兄ちゃんの師匠から預かった物だからね!
節花/希くんのウズマキにゆっくりと戻っていく。
ノア/懐いてますよ。
希/勝手にウズマキに入るなぁ!?(一同笑)
彰/彰は真顔で言います。怖いから倒そ?
希/正論っ!(一同爆笑)

 現在の思い出ポイント:36点


 ●ミドルフェイズ11/彰の秋 〜レーテとの日々〜

彰/彰がまだ1回もシーンプレイヤーになってなかったので、ここらでお手伝いするね。

『AF判定:異端事件について解決する』
 ・使用能力値:【知覚/意志】
 ・難易度:高25

※「ノアの夢を叶える」演出に成功すること。
 成功した場合、相応の思い出ポイントを獲得。
※協調行動OK。難易度なし(自動成功)。


彰/早く倒そうよ〜! 運任せでも何とかなるよ〜! ≪君に幸あれ≫〜!
節花/ダメダメ、ちゃんと情報収集しなきゃ! ≪悔改めよ≫!
希/やる気があるのは良いけど、空回って失敗する方が怖いぞ。そういう意味での≪叱咤激励≫。やる気があるのは悪くない。
彰/だって……せっかく楽しい大学生活が始まったのに、ずっと爆弾を抱えているみたいで怖いよ……。
節花/でも、このまま開けて……敵の攻撃に対処できず≪失われた日々≫になってしまう可能性だってあるんだよ。そうならないように事前の準備は大事だよ、≪戦術指揮≫。
希/今は高坂さんにも相談して、必要な物資を≪物品調達≫しているから待とうぜ。
節花/私も≪心霊医学知識≫で調べたり、しっかり≪浄化の武具≫+≪チェルノボーグ≫を研いでいるから!
希/俺もウズマキの中の≪浄化の一撃≫を研いでいるから(笑)
節花/ウズマキからレーテがヌルリ。
希/勝手に動くな≪圧縮撃≫+≪零力射撃≫!(一同笑)
ノア/なんでウズマキから勝手に出てくるの!? ≪光の一手≫!(笑)
祈/……箱に自我が芽生えたってどういうことなの? レーテさんを≪肉体復元≫+≪サイコメトリー≫で調べてみます!
GM/レーテさん。お言葉を聞かせてください。
節花/(レーテになって)名前を呼ばれて恥ずかしい!
希/シャイなの!?(笑)
ノア/シャイというバステを解除してあげよう、≪浄化の閃光≫。
祈/≪空間知識≫+≪愉悦の波≫で全貌を明らかにしてやるからな! 最後の希望まで引き摺り出してやるからな!?
節花/キャー! ……望むところだ。
希/急に強気になった!(笑)
彰/「バステ:恥ずかしい」を解除されたからだ!(笑)
ノア/レーテさんにヘッドドレスを被せる、≪ステージドレス≫。≪セケル≫でもう一回!
節花/ご機嫌。ルンルン。
希/また可愛くなっていく!(一同笑) 可愛いんだけど……禍々しいんだよなぁ(笑)
彰/これで『現在難易度:1』だね。彰が振る!(ころころ)達成値9で成功しました。【MP】は6点消費しておくよ。
希/……まあまあだ。それで思い出ポイントは、41点になったな。
ノア/『箱の中の小鳥』が発生可能になった。オープンしましょう!

 現在の思い出ポイント:41点


 ●トリガーイベント/箱の中の小鳥

GM/シチュエーションは「高坂が箱について話をする」シーンです。高坂が箱に関する報告会をしますので、礼拝堂にみんなを呼びますね。
希/高坂さん……最近この箱、意思を持つようになったんですよ。
GM/(高坂になって)「うわっ、本当に動いてる! チョロQみたいに動く!」(一同笑)
ノア/シャーッってウズマキに滑り込んでいく……(笑)
GM/「と、とりあえず異端レーテについて分かったことを話そう」 異端レーテとはこういう存在で、教会は「こういう選択肢もある」とPC達に提示します。

 『イベントキー:箱』
 箱状の異端についての情報を表わすイベントキー。
(1)この箱は生きており、「分類:異端」のキャラクターとして扱う。この箱が生きている限り、多くの魂を箱の中に収集する。
(2)箱の中には、「多くの魂が収納されている」ことが確認された。
 その数は膨大なものだと判っているが、実際の数や誰の魂が入っているのかは、箱を開けるまで判明しない。
(3)魂とは各人間の記憶・情報媒体である。「記憶が奪われる」という事件が数年間起きていたため、箱を開ければ人々の奪われた記憶は元通りになるだろう。
(4)箱の中には、「良くない魂=悪い異端の存在」もいくつか収納されていることが確認された。
 大勢の記憶は戻るが、同時に多くの異端も蘇り、活性化し、事件が多発するかもしれない。箱を開けることでエージェントは異端討伐に駆り出される日々に戻るだろう。

(5)「異端が大量に開放される恐れがある」という報告から、教会上層部は
「箱を完全封印する(もうこれ以上、魂を収集しないように施す)方法」を模索している。
 PC達が「タイミング:オート」で「完全封印する」と宣言した場合、クライマックスフェイズを発生させないで、そのままエンディングフェイズに移行することができる。そして「箱を開けず、異端を倒さなかったエンディング」が発生する。


ノア/箱を、完全封印エンド……。
GM/記憶は蘇らず、クライマックス戦闘は起こらず、事件を全て押し込めるエンディングですね。PC全員が満場一致で「完全封印する」と決めてくれれば、そういった処理を高坂は進めます。
節花/それは……何も判らずモヤモヤエンドだよね。
希/……どうして異端レーテは、魂を集めているんだ? 記憶を奪っている理由って何だ?
祈/……気になるよね。それも判らないまま終わってしまう。
節花/異端は、事件で起こった負の感情を食べて成長するんだよな? 異端レーテは魂を集めることでパワーを得ているかもしれないけど……その場合、「他の異端の力を奪っちゃってる」ことにならない?
祈/例えば……覚えてないことを思い出したとき、ショックを受けるよね? 「箱を開けたときの感情の落差を味わおうとしている」とか?
節花/それに一番危惧していることは……箱が記憶を奪っているという話だけど、私達は本当に生きているのかどうか。
ノア/そんな、もしかしたら……「死んでいることを忘れている可能性」が?
祈/それは、ありえる。私達じゃなくても、誰か大切な人が死んでいるのに忘れている可能性もあるよ。
希/……あ、そっか。犠牲者がいないから龍の聖剣が動かないんだ。このシナリオに今の今までロリが登場しない理由ってそこか。
祈/ああっ、確かに! ……どんな事件があるか、無いのか、それは箱を開けるまで確定しない……。
ノア/シュレディンガーの猫ですね……。ここまできたら『シュレディンガーの猫』というイベントを見るまで開けないことにしたいです。
GM/了解です。高坂は君達の意見を最優先します。では、このシーンを終えて次に移行しましょう。


 ●ミドルフェイズ12/ノアの冬 〜楽しい冬の日常〜

GM/冬でござる。色んなモヤモヤや爆弾を抱えながら、君達は……生活を両立できるのか。
節花/この事件は解決するけど……飲食店は! 掻き入れ時だー! いらっしゃいませー!(笑)
希/クーリスマスが今年もーやーってくるぅー!(笑)

『AF判定:きちんと両立した生活を続ける』
 ・使用能力値:【体力/理知】
 ・難易度:中20

※「節花の夢を叶える」演出に成功すること。
 成功した場合、相応の思い出ポイントを獲得。
※協調行動OK。難易度なし(自動成功)。


節花/いらっしゃいませー! いらっしゃいませー! 今の私は喫茶店の定員、≪シュテンドウジ≫でモブ!
祈/はい、差し入れの≪興奮剤≫!
希/差し入れに≪物品調達≫で手に入れた≪興奮剤≫を渡して、≪交わる矢≫という名の励ましの言葉!(笑) 効率良く動こう、≪強化手術:理知≫! ≪叱咤激励≫で節花ちゃんを励ます。
節花/差し入れを≪聖者の友≫から貰えた。……もしかしたらお客様の中にも≪失われた日々≫になった人達もいるんだろうな。……ちょっとナーバスな気持ちになったけれど、≪悔改めよ≫!
彰/節花ちゃん、疲れてる? 頑張れ≪リバース≫! クリスマスはこれからだ〜!
節花/1年も働いていればすっかり慣れてきたよ。≪チェルノボーグ≫で【行動値】を上げつつ頑張ります。
ノア/臨時アルバイトに来ました。≪ステージドレス≫という名のエプロンを着て≪食物錬成≫で厨房に立ちます!
節花/ありがとう、天の助け!(笑)
祈/あたしも臨時バイトでフロアに入りまーす。≪空間知識≫+≪機能維持≫で完全把握、完璧なオペレーションをするのです!
節花/じゃあ……祈、1番テーブルにこれをお願い。≪戦術指揮≫で効率良く指示を出す!
希/客席に座っている自分は、コケそうになったノアくんを≪零力射撃≫で「コケるという行為」をファンブルにします(笑)
ノア/ありがとうございます。火加減を間違えて焦げそうになったら≪光の一手≫で無かったことに(笑)
希/時々来るクレーマーは≪圧縮撃≫で倒す。お帰りください!
節花/た、助かる!(笑)
祈/クリスマス時期なので、お店の外にポップや飾りを出します。≪異常鉱物≫を作成!
彰/アレンジなら任せろ〜。≪千枚皮≫でアドバイスしておく〜!
希/……その≪異常鉱物≫で作ったサンタ、動かない?(笑)
祈/そんな動かないよ。小さな純粋な子供にウインクするだけだよ。
希/(小さな子供になって)「わー! 今サンタさんが動いたー!」
彰/わ〜! 今あそこにある箱が動いた〜!
希/いつの間にレーテの奴、ウズマキの外に!?(一同爆笑) なんでお前もサンタ帽を被ってるの!?
ノア/箱がサンタ帽を被ってるの、可愛い(笑)
希/お正月になったら、箱が門松になってたりするのかな……(笑)
ノア/鏡餅の日もありますね。もう『現在難易度:1』なので……忙しい飲食店のクリスマス、効率的に動くぞ。(ころころ)達成値11で成功。【HP】は2点減りました。
GM/バタバタと忙しいけど、節花ちゃんは楽しいと思える日常を送れました。
節花/みんなが手伝ってくれたおかげで、シャノアールの仕事が終わった後のエージェントの仕事にも体力が残っている。だから任務に臨むこともできる。
祈/同じ職場で働いていると、事件の情報共有もしやすいよね。
希/みんなで頑張ったおかげで……これで思い出ポイントが44点になった。これで最後の『シュレディンガーの猫』が発生できる。
ノア/そこまでいけたか。では、最後のイベントを開放しましょう。

 この時点で『供給』をすることになった一同は、3〜4D6点【HP】と【MP】を回復した。



 ●トリガーイベント/シュレディンガーの猫

GM/シチュエーションは「彰が猫を拾う」というシーンです。登場したいキャラクターは来てください。
ノア/猫を……拾う?
祈/なんという偶然だろう、猫を拾うイベントだ! 猫と聞いてシーン登場しない訳にいかない!(笑)
GM/それでは……5人でわいわいと街中を歩いていると、彰が「あ、猫だー!」と叫びます。あっちには歩いている猫が。
節花/おー、猫!
希/ネコチャン!
GM/彰はワーッと走って行って、ワーッと捕まえます。
祈/猫を捕まえられる身体能力! なんと速い!(笑)
GM/≪君に幸あれ≫で【幸運】的に頑張ったことにして(笑・彰になって)「おお〜、お前〜、結構いい顔してるな〜」
節花/イケメン猫なの?
祈/美猫? 美猫っ?
GM/彰の顔がどんどんと強張っていく。
ノア/……うん? どうしたの?
GM/彰は、猫を地面に置きます。猫を手放してしまいます。「あ……私、賞味期限が切れる納豆があったから今日中に食べなきゃ! 今すぐ帰るね!」 言い訳をして立ち去ります。
節花/言い訳が斬新だな!?(一同爆笑)
希/賞味期限なら1日ぐらい大丈夫だろ!(笑)
GM/ここでPC達には選択肢が2つあります。1つは、逃げ去る彼女を追いかけるか。もう1つは、猫を追いかけるかです。

 彰を追いかけるか、猫を追いかけるか。相談の結果……。
 祈と希が猫を担当し、節花とノアが彰を追跡することにした。


GM/先に彰を追うチームのシーンをしよう。……彰は、みんなに言い訳をして去って行きました。すぐに追いかけた節花ちゃんとノアくんなら彰を引き止めることができます。
節花/彰、どうしたのー!? 納豆だって言ってるけど……。
ノア/納豆は消費期限じゃなければ大丈夫だって聞きました!(笑)
節花/……いくらなんでも様子がおかしいよ。何があったの?
GM/彰はハラハラと泣いています。
ノア/えっ。
節花/ど、どうしたの……? 背中を撫でて落ち着かせます。
GM/(彰になって)「……昔のこと、思い出しちゃった」
ノア/昔のこと? どんなことでしょうか……?
GM/「私が……私が、あの箱を作ったんだ」
節花/…………。どういうことか、聞いていい?
GM/今からGMは突拍子もないシナリオ全貌を読み上げます。これはPCの皆さんに「全く記憶が無い」という表現をするため、今まで伏線も何一つ張っていないような「初耳のネタ」を公開します。
ノア/……はい。

 彰は昔、研究者だった。
 彰は『パンドラの箱』というアーティファクトを作り出した。
 その箱の中に、「嫌なもの」を全部入れた。恐ろしい異端、死んでしまった人の魂などを入れ続けた。
 何故入れたか、理由は
「死など無い、平和な世を作りたいから。嫌なものや悲しいことは、見なければ・覚えてなければ・知覚していなければ無いも同然。嫌なものを全部失くせば世界は平和になれる。そんな理想郷を作りたかった」から。そのような極端な思考に陥った彰は、パンドラの箱を創造した。
 『パンドラの箱』は正なる神が生んだ魂ではない、彰が生んだ「分類:異端」のキャラクターである。
 異端であるが故に、別の恐ろしい異端や魂を吸収し続けた箱は、成長し、意思を持ち、
「もっと大きな箱になりたい。(彰と同じように)平和な、自分なりの理想郷を作りたい」と思うようになった。
 箱は彰の手を離れ、自らの意思で様々な異端や無関係の人の魂を収容するようになった。
 途中で「とんでもないことをしてしまった」と気付いた彰は、何もかも嫌になり、「嫌なものを全部入れる」という本来の意思に則り、自分自身の魂も箱に入れた。


 この世界は、彰が作った『パンドラの箱』が作った「理想郷」である。

ノア/箱を作った張本人は、彰さんだと……。
GM/(彰になって)「あの箱を開けたら、封印した異端達も、死んでしまった人の魂も、失った記憶も全部出てくる。いっぱい真実が出てくる」
節花/そっか……。
GM/「箱を開けた途端、収容された異端が世界に散らばるだろう。世界に被害が増えるだろう。そして、死んだ魂は元の世界に戻るだろう。元の世界に戻った魂は死を認め、成仏し、昇華される。……それに」
ノア/……それに?
GM/「死んでいる人の魂と記憶を箱の中に封じている。封じている間は、死んでいる人は『自分が死んでいることを忘れている』。生きているものとして活動している。封じた魂と記憶を解放したら、死んでいる人は死んでいるものになる。……つまり、死ぬ」
節花/…………。
GM/「箱を開けないままでおけば、異端は封じられたまま。死んだ人達の悲しい記憶も無かったことにしたままだ」 自分が作った物の記憶を思い出した彼女は、断言します。
ノア/そうなんですね……。
GM/「このまま箱を開けないまま箱を倒そう。そうすれば、平和なままで終わる。死んだ人なんていない、悲しい記憶も蘇らないままで日常に戻れる。今までみたいな平和な世界が維持できるから」 断言します。
節花/……彰。その考えは、今も変わらない?
GM/「変わらない。むしろ思い出したことでより強くそう思えるようになった。……私は平和な世界を作りたくて箱を作った。でも成長した箱は『無関係な人』の魂……つまり記憶を盗むようになってしまった。これ以上、無関係な人を巻き込むのは良くないから箱を倒したい!」
ノア/……でも、「真実は知りたくない」?
GM/「知りたくないよ! 悲しいことや嫌なことは無かったままにしたいもん」
節花/……私は、「箱を開けた上で倒したいな」と思っている。
GM/「逃げた方が、良くない?」 彰は反論します。
ノア/その気持ちは判りますよ。見たくないものに蓋をしておくのは大事です。でもそれは、あくまで個人のレベルです。
節花/……うん。
ノア/自分個人の問題ならそれでいいです。ただ、あの箱に入っているのは……彰さん自身のことだけではないでしょう? きっとあまりにも多くのものが入り過ぎている。
GM/「うっ」
ノア/それ全部「無かったことにしよう」と個人の意思で決めるのはどうなんですか?
GM/「……う、ううう……」
ノア/……多分、彰さんが思い出して泣いていたのって、「そのことが大きすぎる」からですか?
節花/彰……。彰は、しんどいことから逃げまわっていたけどさ、一度しっかり向き合ったら全部乗り越えたよね。
GM/「……そうだね」 受験を乗り越えたもんね、我ら。
節花/開けたとしても、みんなも一緒だしさ。……きっと悪いようにはならないと思うよ。これまでみたいに、きっとね。
GM/「悪いこと……いっぱい起きるかもしれない、けど」
節花/起きないかもしれない!
GM/……彰はぐずぐずと泣きながら、節花ちゃんに項垂れます。
節花/ぎゅー。
ノア/……箱舟に詰めたものは、ちゃんと確かめておきたいですね。そして全部出したいです。
節花/ちゃんと……何があったのか確かめる意味でも、開けよう。私は、開けたいな。

 一方その頃。
 彰が記憶を思い出したキッカケである猫を追う祈と希の双子チームは……。


祈/あたしに憑いてる猫ちゃん用の猫缶がここにあってなー! サササッ!
希/チュールを出せー! ネコチャンネコチャーン! シャシャシャシャ!(笑)
GM/君達が必死にネコチャンネコチャンと追いかけていたおかげか、背を向けて逃げていた猫がススススと近寄ってきます。触って良いのですかという顔をする猫です。
希/ええで! さあ!(笑)
GM/希くんにネコパンチ。バチィッ! 激しい静電気のような反応に襲われます。
希/痛ぁ!? こ、このネコチャン、電気タイプか!?(笑)
GM/猫は祈ちゃんにピョーン! バチィッ! 電気が走るような痛みが走る。
祈/わあっ!? なん……何なの!? どこに帯電してたんだ!?(笑)
GM/「バッドステータス:違和感を抱くの禁止」が解除されます。
希/……おんっ?
GM/「申し訳ございません。私に触れると痛いことになってしまうのですが、厄介な呪いやバステ解除にはこれが一番手っ取り早く。しかし私から自主的に貴方達へ接触するのは許されず。44点という最高難易度まで頑張って生きようと思った貴方達へのプレゼントを贈りたくて、つい来てしまいました」
祈/なっ……その口調……。

 GM/猫から、ルージィルの声がします。

希/シャベッタアアアア!?(一同笑)
祈/えっ!? そんな!? 猫から金髪イケメンの人みたいな声がするなんて!?(笑)
節花/一気に猫のビジュアルが、素朴な野良猫からシュッとした美猫になったんだけど?(笑)
希/こ、心なしかキリッとしたんですけどこの猫!? ああっ、毛並みが突然ビロードのように!(笑)
GM/「限られた時間の中でおしゃべりをしましょう。ズバリ言ってしまうと、貴方達がいる世界は『箱庭』です」
希/はこ、にわ。
GM/「この世界は作られた世界であり、本来の世界とは異なります。貴方達はその世界に『生かされている魂』です」
祈/生かされている……魂……。
希/つまり……ネコチャンのルージィルさんは、箱庭の外の世界から介入していると?
GM/「ええ、猫のアバターでログインしています。可愛いでしょう?
祈/超キュートです!(笑)
GM/「貴方達は本来、『違う世界の住民』です。箱庭の世界に引き摺り込まれ、この平和な世界に生きる人間として生かされています。その事実を伝えにきました。……ですが」
ノア/……ですが?
GM/「私はあくまで『伝えにきただけ』であり、『箱庭から出て元の世界に戻るか』は貴方達次第です。もし貴方達が『この世界で生きたい! この世界は尊い! 帰りたくない!』のでしたら、そのままで結構です」 GMからは、この箱庭は壊さなきゃいけないものですとは絶対に言いません。ここは悪でもなんでもない、平和な世界だと明言します。
節花/……うん。
GM/「それはそれとして。この世界は、真実ではありません」
希/作られた箱庭……だもんな。
GM/「この箱庭は、この箱庭の中に住む『とある能力者』が作りました。箱庭を壊す手段は簡単。『その能力者が作ったアーティファクト』を壊せばよいのです」
祈/い、一体その能力者は誰でアーティファクトって何なんだー!?(笑)
希/……これだろ? ウズマキからズルッと小箱を出します。
ノア/門松モードの箱がズルッ。
GM/「おや、お可愛らしい姿。そのまま箱と貴方達が共存すれば、永遠にこの世界は平和ですよ」
希/この箱と……共存?(笑)
節花/コクコクコクコクコクコク。
希/高速で頷くなッ!(一同爆笑) つぶらな目で見るな! ……いや、目なんて無いけど!(笑)
節花/ゴロゴロゴロゴロ。
ノア/箱が猫に張り合ってゴロゴロ喉を鳴らすんじゃありません!(一同笑)
GM/えーと、ややこしいと思うので、プレイヤーが選択できる展開をまとめると……。

(1)開けずに、倒さない。
 真実は明かされない。これからも記憶が奪われる事件が起こり続ける。無関係な人達の失われた記憶は蘇らない、奪われたまま。
(2)開けずに、倒す。
 真実は明かされない。もう記憶が奪われる事件は起こらない。無関係な人達の失われた記憶は蘇る。オープニングフェイズのような日常が戻ってくる。
←彰が推奨してるルート。
(3)開けずに、完全封印をする。
 真実は明かされない。もう記憶が奪われる事件は起こらない。無関係な人達の失われた記憶は蘇らない、奪われたまま。戻らないものはあるが、日常が戻ってくる。
(4)開けて、倒さない。
 真実が明かされる。これからも記憶が奪われる事件が起こり続ける。無関係な人達の失われた記憶は蘇らない、奪われたまま。知ってしまう前の日常には戻れない。
(5)開けて、倒す。
 真実が明かされる。もう記憶が奪われる事件は起こらない。無関係な人達の失われた記憶は蘇る。知ってしまう前の日常には戻れない。
(6)開けて、完全封印をする。
 真実が明かされる。もう記憶が奪われる事件は起こらない。無関係な人達の失われた記憶は蘇らない、奪われたまま。知ってしまう前の日常には戻れない。


GM/「最初の頃、箱はただ『嫌なものを収容して、世界を浄化して理想郷を作るための物』でした。ですが箱は、『各世界から、各時代から、魂を誘拐して閉じ込めてその中自体を理想郷にする物』に変貌しました。箱の外を理想郷にするか、箱の中を理想郷にするか、まったくの別物になってしまったんですよ」
節花/はあ。
GM/「……さて、これから私は酷なことを言いましょう」
希/は、はい。
GM/貴方達は本当の世界では……。いえ、酷過ぎましたね。言うのをやめましょう」
ノア/…………。わ、分かったぞぉ。察しちゃったよ(笑)
節花/だ、大体は分かった。…………あ。骨箱を叩くって、そういうことか。
祈/え?
希/えっ? …………ああっ!? そういうこと!?
GM/……あら? もうそこまで察しちゃったか、凄いね。本当なら箱を開けるまで『PCは』判らないけど、プレイヤーがもう判っちゃったなら、暴露していい?

【時代を選択してください。君はどこの時代?】
 (1)昭和〜平成初期。1970〜1990年、高度成長期からバブル景気、バブル崩壊頃まで。←節花が選択。
 (2)戦国時代。15世紀末〜16世紀末にかけての、戦乱が頻発した時代。←祈が選択。
 (3)第二次世界大戦。1939年から1945年まで、人類史上最大規模の戦争があった頃。←ノアが選択。
 (4)現代。2020年周辺。←希が選択。
 (5)平安時代。800年前後〜1200年前後、平安京が政治の中心だった時代。←彰が選択。


GM/希くんは現代人。オープニングのマスターシーンのお葬式は、希くんが死んだシーンです。
希/マジかー!?(笑) PCのうち誰かの葬式だとは思っていたけど!
GM/祈ちゃんが選んだのは戦国時代。祈ちゃんは戦国時代に死んだ女性です。
祈/マジか!?
GM/女の子なので戦場で死んだ武者とかではなく、飢饉で死んだ農民とか、とにかく戦国時代に死んだ日本人女性の魂です。
希/マジか! ……まさか、俺のひいひいひいおばあちゃん?
ノア/同じ名字なのは、家系だったってこと?(笑)
祈/やだ! 同い年なのにおばあちゃん呼ばわりはやめてよ!(笑) ……戦国時代に20歳って生き遅れだから、そりゃカレシできないよな。
希/がっついてた理由ってそれなの!?(一同笑)
GM/ノアくんは第二次世界大戦を選択しましたね。ノアくんは、第二次世界大戦で死にました。
ノア/わかる。
希/わかるー(笑)
GM/アメリカ人のノアくんが第二次世界大戦を選択したときに、GMは心の中でガッツポーズをしてたよ(笑) 節花ちゃんは、日本高度成長期からバブル期、またはバブル崩壊頃に死んだ女性です。
節花/わあ、30年前ぐらい……昭和の女だ……(笑)
GM/ちなみに、彰は平安時代を選択してました。『八尾 彰』という名前も、少しでも平安ぽくした結果です。
ノア/な、なるほどなー。古文やその辺りの歴史が得意って言ってたのも……?
祈/『源氏物語』をガチで読んでいた可能性!?(笑)
GM/現状、プレイヤー達にはその事実を明かしました。だけどPC達には「何一つ実感がありません」。箱を開けてないからです。しかし箱を開けたら真実が明かされて、PC達の記憶が全部戻ります。
祈/ほえー……そうなるのか。戦国って言われてもなー……。
希/俺ぐらいだよ、認識に齟齬が無いの(笑) ……あの、ルージィルさん。箱を倒すと、元の時代に戻れるんですか?
GM/「いえ、箱を壊しただけでは戻れません。『箱を開けて、真実を知って、それを認識し、事実を事実と受けとめた上で箱を倒して全てを明かさなければ』、元の時代に戻れません」 真実を知らないままでは、実感が湧かないので、魂が事実を認識しません。自分が『この世界の住民ではなく、違う時代で死んだのだ』と認識しなければ、元の時代に戻って死ねません。
祈/元の時代に戻って……死ぬ……? 死ぬのは、確定なの!?
GM/確定です。彰が箱に入れたのは、死んでしまった悲しい魂。PC達はそれぞれの時代で死んだ魂ですから。
希/箱を開けずに、元の時代で死んだという真実を認識しないで、このままでいれば……仲良し5人組のまま、ずっとこの世界で生きていける……。
GM/そうです。プレイヤーは事前に知っていますが、PCはまだ認識していません。箱を開けるまで「そうらしいよ。実感無いけど」ぐらいのニュアンスでキャラロールしてください。
節花/……仲良し5人組のまま、ずっとこの世界で生きていける。悪くはない、けれど……。
希/…………。箱を倒さないままだとどうなる?
GM/「平和な世界で何も変わらずハッピーエンドですよ」
希/言い方を変えよう。「箱を倒さないままだと、箱の外の世界的には何が困る」?
節花/え?
GM/……本来の箱は『死んでしまった魂』を外から中へ入れるものだった。ですが今の箱は『無関係の人の魂』さえも中から中へ入れるようになった。
ノア/あっ。
GM/『世界の抑止力ルール』で死なない筈の高坂 圭吾や永丘 燐音やアイザック・ブラックモアがこの世界にいる。つまりこの箱庭に彼らは捕らわれているということです。
祈/あっ。……あああー!?(笑)
希/そっか! ……開けよう! これ箱を開けよう! じゃないと、他の卓のPCが捕らわれのままになる!(笑)
ノア/NPCのみんなは、この世界に捕らわれているんですね!? ……うまいなぁ、NPCに過去のPCを使うことでプレイヤーに助けたいという気にさせてる……(笑)
GM/ルージィルはニッコリ言いますよ。「えー? 外の世界で彼らは死んだ扱いになっちゃいますが貴方達が幸せなら他の人を犠牲にしてもいいんですよー?」
節花/いやいやいや! 高坂さんや燐音先輩やアイザックさんがキャラロストしちゃうって!(笑) ……あっ。もしや、一本松さんって……。
祈/あっ……まさか、一本松さんの魂が、元の時代に戻るってことは……。
節花/平和な現パロみたいな世界にいたのに……また機関に、戻っちゃう……ああああ(笑)
希/もしくは、既に機関解体事件で死んだ後で……死んだ魂だからこの箱に収容されて、平和に……うわああ(笑)
GM/一本松は生前から「機関はもう長くない」と常々話していたし、「自分は機関でしか生きられない」とも話していた。だから「俺みたいな奴が機関と無関係の平和な世界に生きているなんて、ありえない」と自覚してた……ってことにしました。
節花/残酷すぎる……(笑)
ノア/なんか……強い人だ……。
GM/なお、このセッション内で名前が一度でも挙がったキャラクターはみんな箱庭に捕らわれている設定です。しをんちゃんや恭介くんの名前が挙がったので、彼女達も捕らわれの身ですね。外の世界では、「このセッション内で名前を挙げられなかったキャラクター達」が心配しています。
節花/ああっ、そうなるんだ……。
GM/例えば……奏志お兄ちゃんは今のところ一言も名前が挙がりませんでした。捕らわれていないので、今頃「アイザックさんが倒れて目を覚まさない! 魂が無い!? このまま死ぬー!?」と慌てていることでしょう。
ノア/ど、どうしよう……!?(笑)
希/なるほど。フォイは箱庭にいるけど、ルカちゃんは生きてるってことだな……。
祈/大山様まで捕らわれてるじゃん。
希/大山様はここに閉じ込めておいたままの方がいいんじゃないかなぁ!?(一同笑)
祈/待って。私達、アクセンさんや鶴瀬さんの名前も呼んじゃったじゃん!(笑)
GM/各団体のトップがオールお亡くなりになられてますね。
希/このままだと鶴瀬総支配人が死んでしまう!(笑) でも……魔王は、敢えてこの世界に居そうな気がする。
節花/わかる! アクセンさんは「アーティファクトが意思を持って世界を創造するなんてウケるー」とか笑って受け入れてそう!
ノア/静かにキャラの仕分けが始まってしまった(一同笑)
GM/(ルージィルになって)「なんだか盛り上がって参りましたが、それはともかく貴方達の幸福を優先してくださいね」
祈/……ルージィルさんは、そういうことを言う人ですよね(笑)
GM/「おっと、猫の形がグニャグニャしてきました。箱庭の主人の干渉ですかね、そろそろお別れです」
希/わあ!? 猫が名状しがたきものにー!?(笑) せめて最後にその毛並みを堪能させてー!
祈/良い毛並みだー! もふもふー!(笑)

 猫のルージィルは消滅する。
 箱庭に呼ばれていない、魂を誘拐されていないのにも関わらず無理矢理この場に現れたルージィルは、強制退場されてしまった。
 猫がいなくなった祈と希は、彰を追った節花とノアと合流をする。
 二手に分かれた5人は、お互いが知りえたことを話し合うのであった。


希/我々は、箱庭の中で生かされているだけの、死んだ魂だったんだよ……。
祈/今のところ実感は一切無いけど……。正しくこの時間を生きている人達が何人も、この世界に閉じ込められているっぽい……。
節花/それは……開けなきゃなってなるな。この世界に捕らわれた魂を開放しないと、箱庭の外の人達が……心配したまま、救われないままになる。
ノア/うん……。
祈/あたしとしては記憶も実感も無いけど、あたしはあたしの時代であたしの人生を全うした筈だからいい。でも思いっきり人生を歩んでいる若人達をここに閉じ込めておくのは良くない!
希/なんで急におばあちゃんロールをしてるの!?(一同笑) 徐々に記憶の片鱗を取り戻し始めた!?(笑)
彰/私は……自分で箱に魂を詰めたって思い出したけど、まだ平安時代の人間だったなんて実感が湧かないよ。箱を開けてないから……。
希/ボールを彰に投げてみる。
彰/ポーンと天高く蹴ります。
ノア/体が蹴鞠を覚えてる!?(一同爆笑)
節花/……全部分かってスッキリしたし、今なら箱を開けてもいいなって思っている。それに……「おまけを貰った」んだなって思うとね。
祈/それなんだよね! ……あたしはね、彰ちゃんに「ありがとう」って言いたいんだよ! 「この世界を作ってくれてありがとう」って!
彰/えっ?
祈/だってあたし、本来なら戦国時代に死んだ筈なのに……令和を体験して、フランス語まで堪能になったんだよ! 凄いよ! こんなボーナスステージが人生にあるなんて最高じゃない!?
希/確かに……『ロスタイムライフ』だ!
祈/それに……みんなと会えた。なんか……お兄ちゃんまでできたし。
希/……俺には多分、妹はいなかったと思う。それなのに妹ができて、後輩ができて……。
節花/みんなでキャンプもできた。シャイニアにも行った! ……楽しかった!
ノア/未来に、こんな平和な世界に広がっているって知ることができた。とんでもないものを頂いてしまった。
彰/みんなの好意的な言葉を聞けるとは思わなかった。彰はビックリします。
ノア/……今を生きる人達にも、こういう平和な未来があるに違いない。そんな人達のために、ちゃんと箱を開けて、正しく世界を育てていっていただきたい。彼らを、止めたくないです。
希/それに……この世界は楽しいけど、違うって判っちゃったら……元に戻した方がいい。スッキリしないままずっとこの箱の中で過ごすのは、モヤる。
祈/この世界の外に「心配している人がいる」って知っちゃったからね。知ってしまったら、これまで通り楽しく生きられない。メリーバッドエンドって感じ!
彰/みんなは……「箱を開けて、箱を倒す」。それでいいの?
節花/うん。……彰も、箱の中に捕らわれた魂の一つなんでしょ。死んだ魂じゃなくて、自分で箱の中に入れたんだから生きているんでしょ。なら魂が元の時代に戻っても、ちゃんと私達のこと、覚えていて。
GM/…………。これは、条件を満たしたな。
ノア/条件?
GM/ぐすぐすと泣いていた彰は、みんなの言葉を聞いて、「嫌なものばかりだった世界で、前向きに生きること……それも、ありなのかな」と呟きます。そして、ウズマキからある物を出します。
節花/おおっ?
GM/「試作品だったから本当に効果があるか判らないけど! これあげる! 納豆じゃないよ!
ノア/納豆を引き摺っていた!?(笑)

 『イベントキー:猫の手も借りたいチョコ』
 [稀人]の≪さだめの解放≫や≪打ち震える霊魂≫とか、なんか人とは違うとってもふしぎな力を込めて作られた肉球型のチョコ(「ゴンチャロフ 猫」で検索)を表わすイベントキー。
 タイミング:オート  対象:自身  射程:至近  代償:なし  回数:1シナリオに1回まで
 効果:死亡から戦闘不能状態になる。戦闘中には使用できない。自身にしか、使用できない。


節花/あ……あらー!? これは、凄い!?
GM/これは最高難易度まで辿り着き、「元の世界へ帰る」という選択をして、「彰を前向きにさせた」報酬であり……思い出ポイント44点まで集めたPC達へのプレゼント、「死を乗り越えた人達」への贈り物です。
ノア/44で、死を乗り越えた!(笑)
GM/このイベントキーがあれば君達は、元の世界に戻っても死亡回避できます。
希/やったー! 祈が生き返って旦那と子供を作れば、俺の先祖になるかもしれない!(笑)
祈/名字が同じ可能性ってそうだよね!(笑)
ノア/もし第二次世界大戦から生き残れば……ワンチャン、節花さんと希くんには会えるかもしれない。
祈/昭和初期と昭和後期と平成生まれだし、ワンチャンいけるよ。あたしとは教科書で会おう!(一同爆笑)
希/よし、これで箱を開けても何も怖くない! ……みんなで、最後のAF判定をしよう。悪い異端をやっつける!