アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンダフルワールド
■ 『 バッドルイド 2 』 2ページ ■
2011年12月21日




 ●オープニングフェイズ/ヒロイン 〜伊賀崎千歳〜

GM/まりさの長いオープニングを終えて、次のオープニングにいこう。
まりさ/そのまりさのオープニングは、まだハンドアウト読み上げまで到達していないんだが……(笑)
GM/さて、ここでのオープニングはアクセンではなく別のキャラのオープニングシーンをしたいと思う。マーサーには、各リプレイシリーズのシナリオヒロイン達を演じてもらいたいんだ。
アクセン/シナリオヒロインを?
GM/そう。今回の主役はまりさとアクセンだけじゃなく、単発リプレイシリーズのヒロインも含まれる。『ラブアゲイン』の祭、『アナザーイブ』の美砂、『サークルビショップ』の千歳、『デイズ』の美月も、このシナリオ『バッドルイド2』で活躍するPCになってもらいたい。
まりさ/それは凄い!
GM/参加プレイヤーは2人だから、どうしても他4人はNPCになってしまう。これは仕方ない。でもお祭り企画として、4人には意志を持ってPCになって動いてほしいんだ。
アクセン/ほうほう。
GM/だから実際4人のNPCを演じたことのあるマーサーに、4人それぞれ1シーンでいいからPC運用してもらいたい。
アクセン/ふむ。つまり、私はシーンごとに演じるキャラクターを交代していけばいいんだね?
GM/そう。シーンの順番的には、「まりさ→4人のヒロインの誰か→アクセン→まりさ→4人のヒロインの誰か……」でやっていきたい。GMがNPCロールを担当してもいいんだけど、実際に演じたマーサーなら本物だし文句無いじゃん? リプレイは読んでるけどヒロイン達の実際のロールを見たことない。それだったら、GMは「実際のプレイを見たことあって小説も読んでるからキャラを把握している」アクセンをやった方がいい。
アクセン/了解。お祭り企画だからこれぐらいの遊びはしないとな。
GM/ちなみに、ヒロインパートのときにアクセンのキャラロールをする場合は挙手をしてから【MP】を10点支払ってロールすること。
アクセン/なんで自分のPCを演じるのに代償を支払わなきゃいけないんだ。
GM/そうでもしないとヒロインのロールに専念できないだろ? お前、アクセンみたいなキャラの台詞はペラペラ出てくるからさ。
アクセン/……まあ、いいけど。最初は誰のシーンをしようか?
まりさ/4面体を振って「1:祭、2:美砂、3:千歳、4:美月」でいいんじゃないか?
アクセン/……いや、最初は『サークルビショップ』の千歳お嬢様でいいかな。一番最近『サークルビショップ2』をしたせいか、千歳お嬢様ならすぐにキャラロールが出来る。それ以降のシーンは、ダイスで誰をやるか決めよう。
GM/OK、宜しく頼む。本人達が居ないところでどんどんデレていってくれ(笑) では最初のシーンは、千歳がPCとして登場してくれ。
アクセン→千歳/はい。千歳のオープニングシーンをするの?
GM/「千歳の」ではなく「ヒロイン達の」オープニングシーンだな。ヒロインの1人に教会に来てほしい。今回は千歳でシーンプレイヤーをやってもらうから、千歳が教会にやって来るところからシーンが始まる。
千歳/はい。
GM/時系列は『サークルビショップ2』終了後。伊賀崎の屋敷で起きた事件から、2日経った。教会から、実際に異端テロリストのアリス=ブロッサムズに接触した人物として話を聞きたいとお願いがあった。それで来てほしい。
千歳/はい。1人で教会に訪れます。礼拝堂の扉をギィっと、両手で力をこめて……うんしょ。
GM/小柄な千歳さんが開けるには重い扉だ。教会は物々しい雰囲気を漂わせてるからな。
千歳/そんな教会の扉は、『サークルビショップ2』でまどかに壊されたのでした。だからこの重い扉は、篤史が注文していた特注品です(笑)
GM/有能な執事だな(笑) 1人で礼拝堂に入ると、そこは静かだった。誰も居ない。優等生な千歳さんは約束の数分前に教会に来てしまったらしい。だからまだ友達は1人も居ないようだ。
千歳/ええっと……あれ? まだみんな、来てないのね……。あれから何も無いといいけど、と他の3人の子達を心配します。
GM/礼拝堂には自分1人。そう思った。だけど違った。
千歳/えっ?
GM/長椅子に誰か腰掛けていた。男性が1人、泣いている。
千歳/え……泣いてる? 誰だろう? 知っている人ですか?
GM/知らない人だ。男は両手で顔を覆って涙を呑んでいる。そして「スコット……なんで死んでしまったんだ……」と呟いた。
まりさ/スコット?
千歳/……スコット=バートン! 『アナザーイブ』のラスボスの名前! GM、この名前は千歳が知っていてもいいですか?
GM/優等生な千歳さんなら、近年この街で起きた事件の復習をしてるんじゃないかな。教会に関わりたいと思っているなら尚更。事件の資料を見せてもらったことがあるだろう。1D6振って1が出なかったら知っていてもいい。
千歳/(ころころ)6が出ました、バッチリ復習をして暗記してました(笑) スコット=バートンの死を悲しんでいる人……誰?
GM/泣いている男は、君が礼拝堂に入って来たことにやっと気付いた。顔を上げ、君の顔を見る。女の子に泣き顔を見られたので、大人の男である彼は少し恥ずかしそうにする。
千歳/……教会に居て、スコット=バートンの死を知っているということは、教会関係者と見ていいかな。それに……泣いていたら、心配性な千歳としては慰めたくなる。話し掛けます。
GM/なんて?
千歳/バッグからハンカチを出します。どうぞ、使ってください……。
GM/いきなり低音の男声ロールになって)「綺麗なハンカチを汚してしまう。気にしないでくれ。だがありがとう、名も知らぬ少女よ」
千歳/…………。
まりさ/あ、中の人が陥落した顔をしてる(笑)
千歳/中の人は陥落しました! そういうキザったらしい男キャラが大好きです! 違う! 千歳はただ心配します! ……このハンカチは使うために持たせてくれた物なんです。必要でしょう? 必要……じゃないですか……? と、おずおず訊きます。無理矢理「使いなさい!」なんて言えない子供だから。
GM/「気にしなくていいのに。君は優しい女の子だな」
千歳/そ、そんなんじゃないです……。泣いている人を放っておくことなんてできません! その……スコット=バートンとはお知り合いだったんですか?
GM/「ああ。友人だった。と言っても、一度しか会ったことのない人だったがな。だが友人になった男なんだ。その人が死んだと聞かされて……悲しくて……」
千歳/友人……。異端テロリストにも友人がいたんだ、と思います。
GM/そりゃ居るよ、人間だもの。
千歳/……あの、スコット=バートンって、どんな人だったんですか?
GM/「イギリスで学者をやっていた。とても勉強家だった。日本には仕事の関係で来たらしい。そのとき出会ったんだ」
千歳/……イギリスの魔術師。確かにそう資料にはあったなと思い返しておきます。
GM/「勉強熱心で、純粋な男だった。もっと自分の研究を大きくしていきたいと語っていた。夢を追い掛ける男の目だった。もっと仲良くできると思っていた。もう一度会いたかった。友人として話を聞く日を心待ちにしていたんだが……」
千歳/……異端テロリストでも、良い人な面もあったのかな。人って見る角度を変えたら全然違う印象を抱かせるものだし。……と、千歳は2日前の事件を思い出しながら頭を振ります。
GM/「自分のことを楽しそうに話す男だった。これからも精進したいと口癖のように言っていた。悪い人ではなかったよ」
千歳/……でも、彼は大変な人でしたよ。
GM/「大変な人?」
千歳/だって……イギリスでも事件を起こしたでしょう。それに、もしかしたら日本でも大惨事を引き起こしていたかもしれない……。実際知っている訳じゃないけど、事件の資料からして「おそらく彼の作戦が成功したら1000人ぐらい被害者が出た」と予想して言います。
GM/「……お嬢さん。君は、スコット=バートンがどんな人物が知っているかい?」
千歳/いえ……教会の資料で読んだだけです。自分の悦の為なら人を害する、とても危険な異端者だったと……。
GM/「だが君は今、スコットが純粋で良き若者だったと知った」
千歳/はい……。
GM/「それでも『スコットは死ぬべき人だった』と思うかい? 『死ぬべきだった』と言えるのかい。私は嫌だね」
千歳/ぐさっときます。
GM/ぐさっと言います。
千歳/ちょっと、黙ってしまいます。
GM/黙ったら、君の言葉が出てくるまで男は何も言いません。君の言葉を待っています。
千歳/…………。1000人も殺すような人を、野放しにしておくことなんて出来ません。純粋なら何人も殺めてもいいんですか、自分の夢のためならこれからも人を傷付けようとすることを許していいんですか? そんな人間は……良き人ではありません。
GM/「……それは君自身の言葉かい」
千歳/……どういう意味ですか?
GM/「君は真面目そうな女の子だ。模範解答を言ったようにも思える。そうではないと言えるかね」
千歳/……言えます。私は……自分勝手がダメだと思います。だから貴方がどんなにスコット=バートンが好きだとしても、彼を許してはいけません。
GM/「ほう? 君は自分勝手が嫌いなのか」
千歳/言ってから……「お兄様や巡一郎達に相談しないで教会の仕事をしようとした自分も、自分勝手だよね」と思います。同時に、このことを口にしたら「そんなの自分勝手とは言いません」と言ってくれそうなみんなのことが頭に浮かびます。
GM/言うだろうね。……真面目だな、千歳さんは。
千歳/それは私のことを想って言ってくれること。とても嬉しいこと。……想われるって嬉しいよね、と再認識します。
まりさ/……真面目だなぁ。
千歳/……いっぱい考えたらちょっとズレたね。子供だから混乱したってことで。(泣きそうな声で)……ごめんなさい、私には……貴方が過ごしたスコット=バートンとの良い思い出を否定する権利は無いです。
GM/「ふむ」
千歳/スコット=バートンは罪を犯した人です。だから罰を受けるべき人間であるという私の声は変わりません。それとこれとは別です。貴方はずっと「死なないでほしかった」と思ってあげてください。お友達だったなら、尚更です。
GM/「良いのかな、私は……彼を良く思い続けて」
千歳/はい。……私も「死ぬべき人だった」とまでは言いたくないです。「更正してほしかった」……なんて言ったら、なんて甘いって想われちゃうんでしょうか。……う、うーん……。
GM/ちょっと千歳さんには難しい話題だったかな。
千歳/自分勝手という言葉、想い続けるという言葉を繰り返しているうちに……。巡一郎が言ったとある台詞を思い出します。
まりさ/どんな?
千歳/『執事の草壁としてではなく、草壁巡一郎としての言葉を、我儘ですが聞いてください。貴方が、ご無事で良かった』。
まりさ/ほほう。
千歳/思い出して……赤くなります。信頼する自分の執事が、一人の男性として意識してしょうがないって真っ赤になってワタワタし始めます(笑)
GM/ほほう(笑) 恋焦がれる顔になってきた少女を見て、男性は「どうした?」と声を掛けるけど?
千歳/ふええ巡一郎ふええなにその台詞かっこいいふええというのを千歳っぽくぐるぐるしています(笑)
まりさ/お前が千歳なんだから千歳っぽくロールしろよ(笑)
千歳/出来ないよ! 言葉にならない想いだよ! しっかり者のレディになって巡一郎を安心させてあげたいし、もっと良く想われたいのに、マトモな台詞が出なくって真っ赤になって動けなくなっちゃったんだよー……ああ、まどかや篤史はこんな私を見て絶対笑うー……笑われるー……(笑)
GM/「大丈夫か。顔が熱そうだな。先程のハンカチを貸してくれるか。濡らして額にだな」 男性は気遣い始める。
千歳/ふええごめんなさいいい……と、巡一郎やお兄様が居ないときは比較的ふにゃふにゃしているお嬢様なのです。きっとこの姿はまどかの方がいっぱい見てる(笑)
まりさ/千歳って、巡一郎が居ないときはずっと巡一郎の話をしてそうだよな(笑)
千歳/おかげでお友達になった子達にはいつもからかわれるような、判りやすいデレです。でも! 本人の前では! しっかり者で「子供扱いしないでくださいキリッ」というお嬢様! 好かれたいから!
まりさ/立派なレディになるため、じゃなくて、好かれたいため、なんだ?
千歳/……うん(笑)
GM/「変な話をしてすまなかったな。君をオーバーヒートさせてしまった。休みたまえ」と男は席に座ることを勧める。
千歳/は、はい……ごめんなさい、休みます。
GM/「自己紹介がまだだったな。私はアクセンというんだが君の名は?
まりさ/お前かよ!?(笑)
千歳/私かよ!?(笑) ちょっと待て、私は今まで自分のPCにずっとときめいていたのか!(笑)
まりさ/なんかこの展開、前回にもやられた覚えがあるんだが(笑) ……おい、なんでアクセンの奴、『アナザーイブ』のラスボスと友人になってるんだよ?
GM/逆に訊くが、なんで友人にならないと思うんだ?
千歳/ですよね、なりますよね、あの性格なら(笑) とりあえず千歳は、気遣ってくれたアクセンさんにありがとうと言いながら伊賀崎千歳ですって名乗ります。
GM/自己紹介を終えると、礼拝堂の扉が開きます。「あ、ちーちゃん〜。久しぶり〜」と、のんびりした女の子の声がする。
千歳/ちーちゃん?
GM/樫村美砂の声だ。
千歳/……ユズルンのことを「ゆーくん」と呼んでた美砂ちゃんなら、確かにそう呼びそう(笑)
GM/(美砂になって)「ちーちゃんのお家、大変なことになってたんでしょ? 大丈夫だった?」 頭をなでなで。
千歳/なでなでされた(笑) だ、大丈夫です。樫村さんの方は何ともなかったですか?
GM/「元気ー。それにね、何かあったらお姉ちゃんとゆーくん達が守ってくれるから、きっと大丈夫っ」
千歳/そうですね。もちろん千歳は教会の資料を読んでいるので、樫村さんの周囲がパワフルだということも予習済です!
GM/「あ、違う……!」
千歳/違う?
GM/「守ってくれるから、なんてダメだよね。わたしもお姉ちゃん達の力になるためにここに居るんだもの。ちーちゃんと同じように修行するんだった」 ガッツポーズをする美砂。
千歳/……そうですね! 元気な彼女の姿を見て、にっこり笑ってしまいます。
GM/「早く祭ちゃんやツキちゃん来ないかなー……あれ? そちらの人は?」
千歳/えっと、こちらの男性は……。って、美月ちゃんのことは「ツキちゃん」って呼んでるんだ。可愛い(笑)
GM/……では、伊賀崎千歳のとある1シーンが見ることができたところで、彼女のオープニングフェイズを終わりにします。
千歳/こんな感じで、ヒロイン達のそれぞれの顔を見せていくようにしていけば良いのかな? ……千歳は何事も真剣に捉えちゃうぐらい真面目すぎるぐらいの女の子で、実は物凄く巡一郎を意識しちゃってる……という描写をしました。
まりさ/恋心を匂わせるどころじゃなく、思いっきり執事に恋してるよな?(笑)
千歳/しちゃダメかな……だってあんなにカッコイイ姿を、命の危機の場面で何度も見てるんだもの。いくら「執事だから」という理由でずっと一緒に居てくれるし、無条件で守ってくれる人だからって言っても、誠実な男性に何も抱かない訳ないでしょう……。
GM/千歳のキャラロール中、ずっと「すきー巡一郎すきー」って主張してるのが伝わりますように(笑) ちなみに、今回のシーンでのイベントキー配布は……特に無し。
千歳/ん? ということは、シーンによってはイベントキー配布がありうるセッションってこと……だよね?


 ●オープニングフェイズ/アクセン 〜覚悟〜

GM/さて、アクセンのオープニングをしようか。
まりさ/時系列はいつかな? ハンドアウトを見る限り、アクセンはアリス=ブロッサムズと遭遇するようだけど。
千歳→アクセン/その前に、スコットとのシーンがやりたい!
GM/する? オープニングでやることは決まっていたので、そこにスコットの描写を入れるぐらいだったらいいけど。
アクセン/やってもいいならやりたい。もちろんGMの予定を狂わせない程度で。オープニングシーンでは具体的に何をするつもりだったんだ?
GM/『NPCパーソナリティーズ』に掲載されているNPC・ときわを登場させて、とある会話をするつもりだった。
まりさ/トキリンか!

 ときわ。
 日本中、または世界各国を渡り歩いている、19歳の少年。生粋の日本人だが、誰に対しても英語交じりの不自然な丁寧語で話す。
 旧き一族、教会に関するある事情によりあらゆる場所を渡り歩き、様々な場所で目撃されている。情報収集能力に長けている、教会の一員。ただし教会のエージェントという訳ではなく、どちらかというと教会上層部の仕事に就いている。
 通称「トキリン」。アクセンはときわの友人という設定。


まりさ/トキリンを出すのか! じゃあトキリンのキャラロールやりたい! 好きだから!
GM/時々キャラロールするぐらいなら良いよ。アクセンはときわに「久々にお茶でもしないか」と呼び出される、そんなシーンにしたい。
アクセン/では……レストランで待ち合わせしたことにしよう。美砂がバイトしているレストランで。先に席に座ってるよ。
GM/可愛い制服のウェイトレスが「いらっしゃいませー」と出迎える店で、一番居心地が良さそうな席に座っていると……友人の彼がやって来る。
アクセン/久しぶりだな、ときわ殿。
まりさ/ときわになって)「ハウアーユーですよ、アクセンさん。良い席を陣取って、相変わらず偉そうなツラしてやがりますね」
アクセン/君は斬新な挨拶をする子だな。気分は良いよ。そちらも変わらぬようで何よりだ。ここのデザートは美味いぞ、と早速メニューを開かせる。久々の友人との再会を楽しみたいので常に笑顔。お茶でものんびり飲みながら話そうか……。
GM/ときわはオススメされた甘味を注文して、何気ない近況を話し始める。
まりさ/(ときわになって)「残念ながら貴方を笑わせるほどの面白いトークはありませんよ。折角の再会ですし、何か一つ楽しいトークをしたらどうです?」
アクセン/いきなりの無茶ぶりだな。では、とある小学生女子がえらくコンビニ弁当に感動し「コンビニのお蕎麦大好き! お蕎麦は私のもの! 誰にも渡さない!」と考えた結果、押し入れにコンビニで買った弁当を仕舞い込んで暫く放置した話を。
まりさ/中の人達の話はやめなさい。いいですから、そういう話。
アクセン/この後の展開が面白いんだぞ。事件を収集させるために幼馴染を呼び出して裏山に捨てに行くとか。
まりさ/リアルに思い出したくないから話すな!(一同笑) もっとこう、脳が活性化するような良い話は……。
アクセン/つい最近したことだがココアにマヨネーズの話でも、いや、呼び出しをしたってことは何かあったのではないか?
まりさ/気になることしやがって!(笑)
アクセン/全長18メートルの若本がどうしたって?
まりさ/言ってねーよ!? しかも一気にデカくなったよね、若本!?(笑)
アクセン/ガンダム並みになったから勝てる気がしない。まったく、君はどこに向かっているのだ。
まりさ/アンタが若本ネタ引き摺ってるだけですからねッ!?
GM/(ときわになって)「下らないトークは後にしましょうか。……実は最近、教会管轄について怪しい話がありましてね」
アクセン/む?
GM/「一般人ではない方々を収容する所なのに、通常以上の厳しさで囚人を監視しなければならない。だというのにタチの悪い看守達が居るらしく、教会上層部もこれを黙っておくことが出来ず……。悪い奴らを懲らしめる人達が悪かったら大問題ですよね。何の為の教会ですか、人々を悪い人から守るのが教会ですよ。そのために僕や高坂さん達が頑張っているっていうのに」
アクセン/なあ、さっきから何を。
まりさ/(ときわになって)「アクセンさん。奴らが動き出しましたよ?」
アクセン/ガシャンとティーカップを置く。
GM/一瞬、静まり返る店内。でもそれも「なんだ、カップを強く置いただけか」と判ると、すぐに賑やかさを取り戻す。
アクセン/…………。
まりさ/(ときわになって)「アクセンさん、そんな怖い顔しないで」
アクセン/…………。何が、お望みかな?
GM/(ときわになって)「貴方の協力が、今の教会には必要です。僕も頼りになる友人の力を欲しています。知恵を貸してください」
アクセン/…………。話を、一から聞かせてもらおうか。
GM/「先程さらっと説明しましたが、どうやら異端刑務所で汚職があったようです。犯罪者の逃亡させた看守がいるらしい」
アクセン/犯罪者が逃亡しているのか?
GM/「今は情報を規制しているので、このことを知っているのは教会の一部の人間だけです。ですが、今年に入って3件目です。正直隠し通せるものではないので、年明けには正式な発表をします」
アクセン/何故、今すぐに公開情報にしない? 能力者の犯罪者は、簡単に数千人単位の事件を引き起こすことが出来るだろう。
GM/「まずは内部の闇を捉える方が先です。今後の被害を出さないようにするため、汚職を働いた看守を特定することが優先されました。……1人、明らかに怪しい看守を捕らえることができたんですが」
アクセン/できたが?
GM/「彼は言いました。『これは第二の機関を復活させるため』だと」
アクセン/…………。
GM/「そして、看守は死にました。一言だけ話すと、まるで口封じをされたかのように、喉を自分の爪でガリガリ掻き切り死にました」
アクセン/……紅茶のカップを置いて、考えています。
GM/「ちなみに、このことについてはどう思います? どんなトリックがあると?」
アクセン/それだけでは何も言えん。パッと私が考えられる案は≪器の支配≫≪魂掬び≫か令呪を使って自害させたかだな。≪望淵鏡≫≪千里眼≫があれば下っ端の言動など見張ることが出来る。見張ってしまえばいくらでも手段はある。
GM/「この短時間にそこまで案が思いつくなら、大したものです」 前回のセッションでも作戦参謀をしていただけはあるな。
アクセン/思いついたことを言っただけだ。数秒黙った後に……それ以後事件に進展は無いのかと訊きます。
GM/「はい、進展がありません。このままではいけませんから……アクセンさん。協力、してくれますよね? 貴方はベストフレンドの頼みを断るような人ではないですもの」
アクセン/君は頭の良い子だな。そんなこと言われたら……ああ、断らないよ。友人を助けるさ。
GM/「その割には、不服そうな顔だ」
アクセン/今、私が一番悩んでいるのは……一般人キャラとして通していたのに一気にそれを覆されて、どこまでリプレイ内で匂わせるべきかという中の人の葛藤だ(笑)
GM/という訳で、今回のアクセンは一般人ではなく教会の協力者として事件に関わってもらいます。じゃないと話が進まないからな。頼むよ。
アクセン/ああ、なのでこの展開が判らない人は「このPCは無知な一般人を装っている設定のキャラクターだった」と把握してください。ある程度の裏社会は知っています。寧ろ詳しい人です。しかも教会から協力しろと言われるぐらいの研究者らしいよ。それぐらいの匂わせる程度にしておきますね……(笑)
まりさ/詳しくは別件にて!
GM/「では詳しい話をしましょう」とときわと話し込んでいると、あっちのテーブルでガッシャン。「きゃあ!?」と女性の悲鳴。
アクセン/む?
GM/どうやらあちらのテーブルに居るお客様に、ウェイトレスの1人がコーヒーをぶっかけてしまったらしい。
アクセン/なんと。
GM/「すみませんすみません!」と大失敗に真っ青な顔になっているウェイトレスの女の子。コーヒーをかけられた……外国人の男性は「大丈夫」と言っているが、熱いコーヒーをかけたんだ、店側は大慌て。
まりさ/み、美砂ちゃんのあのシーンだ(笑)
GM/【幸運】判定で難易度12に成功すれば、外国人の男が何か変な行動をしたことに気付いても、い……。
アクセン/(間髪いれずに)≪君に幸あれ≫を使用。(ころころ)達成値18で見抜く。客に火傷を負わせるようなことをして精神不安定になっている美砂の体に≪生体侵入≫したスコットの一瞬を見逃さなかった。
まりさ/はえーよ!(笑)
アクセン/でも、そのシーンだろ?
GM/だよ(笑) 男は縁が無さそうな日本に、自分のスペアを置いておきたいがために≪生体侵入≫できる弱そうな能力者を探していた。そこに気が動転している能力者未満の女の子。咄嗟の判断だが不安定な彼女の体につけ入ることで、別の世界では大きな犠牲を生んだキッカケとなった。
アクセン/席を立って、謝りまくっているウェイトレスに声を掛ける。
GM/美砂さんは「ごめんなさいごめんなさい!」と真っ青になっているけど……?
アクセン/≪+50美声≫を使用した【理知】判定。話術で落ち着かせる。(ころころ)達成値62で、落ち着いて行動をしよう、な?
GM/「……は、はい!」 いきなり目の覚めるような一言に美砂はハッとする。バタバタと慌ててはいるけど、店員達はさっきよりは的確な行動をするようになる。
アクセン/次に、コーヒーを掛けられた男性に向き直る。大丈夫か?
GM/「なんてことはない」と男性は、なるべく人と関わりたくないような雰囲気を醸し出した。
アクセン/そこは≪+50謹厳実直≫で、火傷になっているかもしれないから患部を見せてくれないかと説得する。(ころころ)達成値は60だが?
GM/+50無双だな。演出だけで終わらせるつもりだったから使用OKだけど(笑) 「そんなことしてくれなくていいのに」と言いながらも、アクセンがあまりにしつこいので渋々、コーヒーをかけられた箇所を見せた。
アクセン/容態は?
GM/治療魔術ぐらい即座にかけてそうだよな、優秀な魔術師だったら。だから大怪我にはなっていない。火傷も無いのが判る。
アクセン/怪我は無いか。安心した。では言おう。……彼女に何をした?
GM/「……何を、とは?」
アクセン/彼女に何かしなかったか、と訊いたんだ。
GM/「…………」 こいつは何者だ、と探るような目をする。
アクセン/君は出し渋ることをしたのか?
GM/「……彼女の、気を落ち着かせるためのことをした」
アクセン/ほう? 彼女の中に何かを入れたように見えたぞ。私には虫のような物に見えたが。
まりさ/そこまで判るのかよ。
GM/『アナザーイブ』のシナリオを作ったご本人だからな(笑) 男は「そうだ」と肯定する。「動転した彼女を沈めるための魔術をかけた。怪我が無いのにあんなに慌てられると、可哀想だったからな」と、彼は……嘘を吐きます。
アクセン/信用します。
まりさ/騙されるんかよ。
アクセン/騙されるというか信用だよ。些細なミスで死にそうな顔をしてた可哀想な彼女のために、好意で≪生体侵入≫をしたなんて優しい男だと思うよ。
まりさ/……怪しまないのか?
アクセン/何も言わず怪しいことをしてたから怪しんだ。でも、彼は好意で彼女を救おうとしたと言っている。なら怪しんだら失礼だろう、と思ってアクセンは何もしない。
まりさ/……ときわが「相変わらずお人よしですね」と言ったりして。
アクセン/私にはどんな人間だってみんな同じに見える。だからみんな良い人だと信じた方が幸福に生きられる。……それに、この後のことは『アナザーイブ』本編に繋げます(笑)
GM/うん、ここでアクセンが美砂ちゃんの中の虫をなんとかしたら『アナザーイブ』が別シナリオになるからな(笑)
アクセン/はて、君は旅行者なのかね? 大荷物だな、楽しい旅をしていたようだね……と話し始めます。そしてさっきの千歳お嬢様のシーンで語り合えるぐらいの仲になれます。
GM/色々話し出すんだろうね、あの会話ができるぐらいには。そして数分後、話し終えた男……スコット=バートンは店を去って行く。隣で話を聞いていたときわが言います。
アクセン/なんて?
GM/(ときわになって)「誰とでも仲良くなれるのは感心しますが、素性の知れない人と無駄に仲良くなる必要は無いと思いますよ」
アクセン/誰だって最初出会ったときは素性の知れない者だろう? そんなことを言い出したら友達なんて出来ない。ずっとひとりぼっちのままになるぞ。それはつらくて苦しいんじゃないか。
GM/「……いいんですけどね、『あの人の真似をする』のは、貴方の勝手ですし。ところで、僕からのお願いを再確認しますが。教会の管轄内にある異端刑務所のちょっとした不祥事、調べてみてくれませんかね」
アクセン/善処しよう。ただし荒事は勘弁してくれよ。
GM/「アイシー。期待してます」
アクセン/……依頼を受けてしまって、少し難しい顔をして考えておきます。教会の不祥事の話を思い出したり……自分自身のことを考えたり。暫くして、まりさに電話を掛けます。
まりさ/まりさに?
アクセン/メールでもいい。「もしかしたら手を借りるかもしれん」と一言。その後に溜息を殺して、紅茶に口を付けます。……さて、どうするかな……。


 ●マスターシーン 〜出没〜

GM/ここでマスターシーンを1つ入れておく。舞台は、伊賀崎家。
アクセン/伊賀崎のお屋敷!
まりさ/おお、巡一郎や万里がいるところ!
GM/何の変哲も無い、いつもの伊賀崎家だ。千歳は学校に行っている時間。万里は自室で勉強中。気ままにのんびりと勉学に励んでいる万里は、一息入れようと大きく背伸びをする。
アクセン/確か、卒論真っ只中らしいので……その準備かな。
GM/コンコンと静かなノック。「ああ、そろそろお茶が欲しいと思ってたんだ」と疲れを見せない、爽やかな笑みを浮かべる万里。
アクセン/優雅だ……(笑)
GM/ゆったりとした椅子からぐるりと扉の方へ振り返ると、メイド服のスカートがひらり。
まりさ/メイド……。
GM/メイド服の子は口を開く。「ギギギギギ万里サマオ茶ヲオ持チシマシタギギギギギギ!
まりさ/メカだぁー!(笑)
アクセン/どう見てもメイドロボだぁー!(笑)
GM/「ああ、曽路。いつもありがとう」「ギギギ万里サマオ茶デスオ茶デスデスデスデスデスデスデスデスデス」「うん、美味いよ」
まりさ/万里様、気付けよっ!?(笑)
アクセン/え……これ、普通の反応? 伊賀崎家にはよくあること!?(笑)
GM/同じく万里に茶菓子をと現れた巡一郎が「やっと曽路も、ティーカップでお茶が淹れられるようになったんですね」と一安心。成長した彼女に対して慈愛の目。「ヤレバ出来ル子ナノデスメカまどかハヤラナイダケデ最高傑作ナノデスギギギギギ!
まりさ/おい。今、ハッキリと「メカまどか」って言っただろ(笑)
GM/「はっはっは、曽路も言うようになったなー」「このままもっと精進してくれるといいんですけどね」はっはっは……と笑い合っている部屋に、「失礼します」と入って来る篤史。そしてハッ。

 「お前……まどかちゃんじゃないな!?」

アクセン/アックンかっけぇー!(一同爆笑)
GM/真剣な目と声の篤史の一言に、万里と巡一郎もハッ。「何だと!?」「偽物ですって!?」
まりさ/いや! ちゃんとご本人が「メカまどか」って言ったじゃん!? なんで騙されてるの!?(笑)
アクセン/何故騙されてるか判らないし、なんでアックンが騙されないのか判ら……ううん、アックンなら判定無しでまどかちゃんかどうかって見抜けそうだ……(笑)
GM/一方その頃。とある駅前でから歌声が聞こえてくる。
まりさ/歌声……ってことは、奏志かな?
GM/ああ、奏志だ。彼が唄う歌は10D6人もの心を魅了するもので。
アクセン/(ハッキリと)偽物だ。
まりさ/そんなハッキリ言わんでも!(笑)
GM/ランドセルを背負った女の子が、不安そうな顔でその光景を見ている。「お兄ちゃんは、そんな……KAITOみたいな声をしてないわ!
アクセン/良かった、「お兄ちゃんは3D6で精一杯よ」とか言わない琴子ちゃんで……(笑)
GM/「これは、偽物……? まさか、S市のお屋敷であった事件と関連性が……!」と賢い妹はハッとする。
まりさ/……これは、偽物が増え始めたってことか?
アクセン/でも、性能が随分下がってないか……?(笑) 一部の人は間違えるぐらいだけど、明らかにプレイヤーの目で偽物だと判別できるレベルには下がってる。
GM/「琴子ー! オレも負けてられないぞー!」と偽物の隣で唄い始める男。周囲から「お、同じ顔!?」「双子のストリートミュージシャン!?」という声が上がる。
まりさ/見た目は同じなのか……。
アクセン/でも奏志お兄ちゃんは、2D6ぐらいしか人を集められない訳で……(笑)
GM/「お兄ちゃん頑張って! ってそういう問題じゃないでしょーっ!」と叫んだ妹が居たとか居ないとか。マスターシーンを終了します。
アクセン/可愛い夜鷹兄妹を見てしまった……(笑)


 ●ミドルフェイズ1/まりさ 〜死亡〜

GM/まりさは死にます。
まりさ/いきなりだな。
GM/ポックリ逝きます。歩いていたらバタンと倒れました。死にました。
まりさ/ホントにいきなりだな!?(笑) どうして死んだか説明しろよ!
GM/ワカンネ。
まりさ/……マジで?
アクセン/まず、どこを歩いていた? 場所は?
GM/教会の礼拝堂。教会で仕事の話を聞こと移動したら、バタンと倒れた。
アクセン/症状は? 誰かに撃たれたみたいな物理攻撃を受けたとか、霊力ダメージを受けた感覚とか、突然胸が苦しくなったとか。
GM/突然、糸が切れたかのようにプッツリと。前ぶれもなく、呼吸も心臓も止まった。
アクセン/……どうしろと。
GM/そしてまりさは気付く。……自分が、いつの間にか上か下か右か左か判らないような渦を巻いたい空間に立っていることに。見たことのない異空間だ。
まりさ/まりさはロリの関係者でもないし、世界が巻き戻りやすいとかは知識として知っているけどこんなことは初めて……。そもそもさっき死んだ筈なのに、どうしてこんな所に生きて立っているのかも理解できない……。
GM/「いいえ、貴方は死にました」と男性の声。
まりさ/誰だ!?
GM/「残念ながら君は死んでしまいました。本来貴方がここで死ぬ運命ではなかったのですが、貴方の友人が引き起こす過ちによって、世界は歪められてしまったようです」 まりさの背後には、金髪碧眼の秀麗な男が立っている。
まりさ/咄嗟に武器を出して攻撃!
GM/いきなり攻撃かよ(笑) でも武器は出せない。
まりさ/はあ!? どうしたんだ、ウズマキから武器がシュッと出てくる筈だろ……!
GM/「ここがウズマキですよ。貴方は時間の流れに干渉されない異空間の中に居るのです。ここなら体が死んでいても生きている頃の意識を持てますし、誰にも話を聞かれることがありませんからね」 笑顔で男は説明する。
まりさ/……誰だ。名前は?
GM/「申し遅れました。私の名前はルージィル。魔術師達の文献では『時間の概念を越える超越的存在』と表現されている者です」
まりさ/まさか、神様……なのか?
GM/「いいえ。神も超越的存在ですが、私よりも上位の存在……言わば私達の上司です」 ロリ達はこんな会話を、世の中の[世界遣い]達に会うたびしてるんだろうな。
アクセン/だな。まりさは知識があるから呑み込み早く理解できるだろう。
まりさ/……神様が上司、だって? 凄い奴ってことは判ったけど、つまり何者だ?
GM/「この世界は神によって創られた。全ての生き物は、神に『こうあれ』と『ある程度の運命』を決められ、寿命まで生きるように設定されています。例えば、80歳ぐらいまで生きる男は『20歳のときに運命の人に出会う』『50歳のときに転んで病院のお世話になる』ということが決められます」
まりさ/はあ……。
GM/「決められているといっても、その2つのイベント以外は自由に生きていく。それが人間というものです。……ですが、世の中には悪い奴が居る。さっきの例で言うなら、神が決めた『あの男は80歳以上は死なない』を、歪める者がいます」
まりさ/……それって……異端。
GM/「そうです。異端は『欺く神』という、決められたことが大嫌いで自分の快楽にしか興味が無い神によって創られた邪悪な使者です。異端は80歳以上まで生きると決められている男を、19歳のときに殺してしまうかもしれません。そうすると、どうでしょう? 20歳のときに出会う筈だった運命の人の運命さえも歪められ、50歳のときに男を治療して儲かる医者の利益が減ることになります」
まりさ/そんなことを何回も何回もされたら、世界がメチャクチャになる……んだっけ?
GM/「はい。神は異端を罰することはできません。神は世界の生き物に直接介入する権利が無いからです。欺く神も異端を使って悪さをするでしょう? それと同じく……この世界に住む異端を罰するためには、この世界に住む善良な力が必要なのです」 そう言って、ルージィルはまりさに笑いかける。
まりさ/な、なんだよ。
GM/「貴方は死にました。14歳で死ぬ命ではありませんでした」
まりさ/……異端に殺されたのか、あたしは。
GM/「このままでは貴方は世界から消える。ですが、貴方はチャンスを掴むことができる。私の手を取り、代償を払っていただけるのであれば、貴方の時間を戻してさしあげましょう。私は貴方を蘇らせにきました」
まりさ/代償? なんで間違って殺されたあたしがペナルティを受けなきゃいけないんだよ?
GM/「ただ時間を戻しただけでは、貴方は何も知らないまま時間をやり直し、また殺されるだけです。この記憶を持って過去の自分になるのは、貴方にとって有利すぎる状態でのスタート。有利に始めるためには、多少の不利が課せられてしまうのです」
まりさ/……ったく。長い話しやがって。これは、頷かなきゃいけないんだな。
GM/「無理強いはしません。ですが、元から『一般人には無い不思議な力を持った人間』の貴方は、記憶を持って世界を巻き戻せば異端を倒すことができる。能力者が時を越えなければ惨劇は繰り返されるのです」
まりさ/そう言われちゃ、やるしかないな! ……で、さっき変なことを言ったな。「貴方の友人が引き起こす過ち」って……友人って?
GM/「アリス=ブロッサムズ」
まりさ/アリスっ!? 名前を聞いて大声を出す。
GM/「貴方を選んだ理由は、それもある」
まりさ/アリス……アリスが、あたしを殺したっていうのか!?
GM/「詳しいことは、超越的存在の直接介入になってしまうので言えません」
まりさ/言えよ! アリスが何をしたんだ! 一体何であたしを……アリスはどうしたんだ!?
GM/「言えません。世界が滅亡します」
まりさ/……なんだって?
GM/「先程……神も、欺く神も、世界には直接手を下すことができないと言いましたね。神は『避けることができないイベント』を設定はしますが、それ以外は不干渉という絶対のルールがあります。そのルールを破ったら、ルールに則って世界を動かしている意味が無い。価値も無い。存在してる理由も無くなる……」
まりさ/……どういうこと?
GM/「ジャンケンで例えます。チョキはグーには勝てません。もしグーに勝てるチョキを作ったとする。そんなことしたら、ジャンケンなんてする価値なんてありますか? グーチョキパーで成り立っているからこそのジャンケンなのに」
アクセン/「チョキがグーに勝てない! それだとつまんないからチョキはグーに勝てることにしよう!」なんてしたらパーの意味が無くなるし、単純に勝敗を決めるジャンケンの基盤が壊れて、する意味も無くなる。
まりさ/……ルールを改悪したらダメだよな。
アクセン/「1回だけチョキがグーに勝っていいことにする」程度の一時的なルール変更なら、ゲーム性が高まって面白くなるかもしれない。同じぐらいグーとパーも強化されるけどね。これが『AW』のPC達と敵NPCの縮図だ。
GM/「特例と特例同士がぶつかり合う、それがこの世界の裏なのです。特例がいき過ぎた行動をすれば、この世界は滅亡してしまいます。本来なら『時間を巻き戻す』はNGですが、特別に戻すのです。……ですが、神が『時を遡り異端を倒せ!』と決定している訳ではないので、貴方には拒否権がある。したくないならしなくてもいいのです」
アクセン/……だからわざわざ、ロリやルージィルは毎度「協力してくれる?」と手を差し伸べるだけなんだよ。強制じゃないんだ。強制できないし、本人の自由を尊重しないと世界が消えちゃうから。
まりさ/誰だって死にたくないに決まってるもの、その提案は「OK」としか言えない。ループしないと『AW』というゲームが始まらないから断るプレイヤーはいないだろうけど……卑怯だよな。だがそこが良い!(笑)
GM/「私はアリス=ブロッサムズが何をしたか、どうして貴方が死ぬような運命にしたのかを言うことが出来ない。だが貴方は、自分の死がアリスと関わっていることを知った。世界を捻じ曲げる貴方の友人を殺すもよし、改心させるもよし。ただここで死ぬ貴方ではないでしょう?」
まりさ/……もちろん。あたしは14歳で死んで終わりじゃない。美少女の次は美女になるって決まってるんだ!
GM/「私の手を取っていただけますね?」
まりさ/ああ。生き返って……何があったか知ってやる。あたしと、アリスに何かあったかを。
GM/「では、代償として……『貴方の力』を頂きましょう」 ルージィルはそう言うと、まりさの体に近付き、触れる。
まりさ/触れた。
GM/全身に電流が走ったかのような衝撃を受ける。
まりさ/うおっ……!?
GM/力が抜けていく。キャラクターレベル15から8に減少していく……。
アクセン/文字通り、力が無くなっていくんだ。
まりさ/す、凄いペナルティだな……いつも能力基本値がマイナスされるぐらいなのに。そんなに代償って支払わなきゃいけないものなの?
GM/「今回は特例中の特例なのですよ。何かありましたら私の名前を呼んでください。いつでも駆けつけますよ……」 ルージィルの声はどんどん遠くなり、渦を巻いた世界も見えなくなっていく……そして、まりさは目を覚ます。
まりさ/ぱちっ。
GM/「大丈夫か! 何があった! いきなり倒れて……!」という男の声と、「まりさちゃん! しっかりして!」という女の子の声。
まりさ/こ、今度は誰だ……あたしは、生き返ったのか……?
GM/まりさを抱えて揺すっているのは、赤毛の男。
アクセン/私か!(笑) 一体どうしたんだね、教会で話をしていたらいきなり倒れたんだよ……と、抱えて言う。
まりさ/……死んでたのさ。
アクセン/馬鹿な。君は生きている。
まりさ/そう、生き返ったのさ。……ちなみに、女の子というのは?
GM/矢島祭というサッパリした大人っぽい女子大生と、樫村美砂というちょっとロリータ入った女子大生と、堤美月という長い黒髪のか弱そうな女の子と、伊賀崎千歳というお嬢様っぽい女の子。
まりさ/層々たるメンバーじゃないか……色んなセッションのシナリオヒロイン達に囲まれて気分が良いぜ(笑)
アクセン/抱えているのは私だぞ。
まりさ/ああ、そこだけが勿体無いな! 確かに前回のセッションではヒロイン役っぽかったけど!(笑) っていうかアクセン、女の子の中に男1人で居るとか羨ましい奴だな!?
アクセン/彼女達の恋愛フラグはセッションごとのPCが持っているから、何とも思わないが。
まりさ/このガチムチホモが!
アクセン/誰がガチムチだ!
まりさ/最後の1つは否定しないんだな!?(一同爆笑)
アクセン/……ところで、まりさは「死んだけど生き返った」とか「超越的存在の手を借りてループした」ことをアクセンや女の子達には話すか?
まりさ/GM、その辺りのルールはどうなってる?
GM/『スカーレット』『夢魔炎上』では、時間を超越したなんて普通の感覚では「ありえない」と思われるから、信じてもらうためには高難易度の判定が必要……とあったけど、今回は特に設定してない。話してもいいし、信用してもいい。
まりさ/……その前に、なんであたしが教会に居るのか知りたいな。仕事の話で来たんだろ? 自分と……アリスの状況を見て、アリスがあたしを殺したかをみんなに説明したい。
アクセン/そうだな。「アリスがまりさを殺した」って聞いたら全員アリスを敵視した状態でスタートするだろうし。
GM/了解。まずは次のシーンに行こうか。次のシーンプレイヤーは……ヒロイン達の誰かだ。
まりさ/っていうかアクセン、お前……やっぱ、一般人のフリしてるだけで能力者だったのか? 教会にいて、仕事の話に来たあたし達と同伴してるってことはそうなんだろ?
アクセン/私は単なる「教会の協力者」だよ。少しだけ世界のことを研究していただけさ。武器を持たないし、傷を癒すこともバリアーも張ることも炎も出せないって言っておく。
まりさ/ふーん……研究者か。おじいちゃんの店にあった本を書いた人みたいな奴か。今度は邪魔するんじゃないぞ、と前回のセッションで無茶をしたことを思い出して釘を差す。
アクセン/気遣いをしてくれるのか? ああ、君は優しくて可愛い子だな。
まりさ/……その言い方、腹が立つ(笑)
アクセン/では若本全長40メートルの話をしよう。
まりさ/もうそのネタはいいから! どこまで伸びるの若本さんッ!?(笑)