アナザーワールドSRS・リプレイ・DROWNING/phantasmagoria
■ 第5ループ1話 『strike lovers』 2ページ ■
2010年3月9日




 ●ミドルフェイズ3/February 4rd Scene 3

GM/では亜紀くんのシーンに戻ります。……卒業間近の形ばかりの試験を受けていると、上から霊体化した真セイバーが覗いてきたりします。
亜紀/楽しい、セイちゃん?
GM/「ああ。こういうものなんだって理解を深めているよ」
亜紀/そっかー、もう少し待っててね。
盟/(先生になって)「早乙女、なにブツブツ言ってるんだ!」
亜紀/す、すみません! 独り言です!(笑)
GM/霊感のある子が「なんかこの辺痒いんだよねー」って言ってたりする(笑) ……では試験が終了して帰宅時間になります。「アキちゃんお疲れ。それじゃあ動物園に行こうか」
亜紀/ふー、行こうか! あ、そうだ……言っておくけど俺、動物と喋れるんだ。
GM/「へえ、オレも喋れるよ」
亜紀/え、そうなんだ? 仲間だー!
GM/「と言ってもオレは一部しか喋れないんだけどね」……ということで君は1人分の入場料を払って動物園に入ります。
亜紀/やっほー、鳥さーん。
GM/鳥さんのところに行くの? じゃあ……いつものフラミンゴのところにやって来る。
盟/(フラミンゴになって)「アンタ来タノ? マタ来タノ?」
相馬/(同じくフラミンゴになって)「アンタ来タノ? 鳥頭ダカラヨク覚エテナイワ!」(笑)
GM/セイちゃんが「よっ、久しぶり!」とフラミンゴに声を掛けます。「ちょっと前に霊体化して来たときに話だけしたんだ。アキちゃんって結構ここには来る?」
亜紀/うん、動物と喋れるから来ちゃうな。
盟/美川憲一調の豹になって)「アーラ亜紀チャン久シブリー、アラ来タノ。学生ッテ暇ナノネ」
GM/「何て言ってるの?」
亜紀/豹は判らないんだ……鳥さんだけは判るのかな。「暇なのね」って言われちゃったんだよ。俺は猫が一番好きだからよく喋るな。
盟/(また美川憲一調の豹になってに)「アタシハ猫ジャナイワヨォ?」
亜紀/でも顔がネコ科じゃないですか、可愛らしいですよー。
GM/「アキちゃんは動物を大切にする人なんだな。……しっかし、ここで閉じこもってる連中は大変そうだな」
亜紀/でも外敵もいないし、ご飯も出てくるから幸せじゃないかな?
GM/「幸せなのかな、彼らは。……アキちゃんも生きていて楽しい?」
亜紀/今は……色々大変だけど、楽しいよ。あ、紫芋バニラアイスだって! 買おうぜ!
GM/「うん、よく判らないけどそれ貰うね。ウマイウマイ。……久々に美味い飯食ったよ
亜紀/俺の飯じゃ好感度は上がらないっていうのか!?(一同笑)
GM/「飯で死にそうになる経験は英霊でも味わえなかったよ!(笑) ……うん、たった3日間だけだったけけど楽しかった」と、別れの話をします。
亜紀/……そんな。……えっと。
GM/「どうした?」
亜紀/あのさ……聖杯って何でも願いを叶えてくれるんだよね。
GM/「ああ。聖杯はそういうモンだよ」
亜紀/……10年前。聖杯戦争で、一般人を大勢巻き込む事故があったんだ。父さんから聞いた。
GM/「……そうなんだ」
亜紀/だから、一般人を巻き込むぐらいの危険性があるから、無くなっちゃえばいいのにと思ったんだ。そうすれば黒須神父だって忙しくなくて済むし、一般人だって傷付く確率は0になる。
GM/「どうかな。戦はどんなに根源を潰したっていくらでも生えてくるもんだぞ」
亜紀/……やっぱこんな考えで聖杯戦争に参加するのは、ダメかなぁ?
GM/「でも、そう君が願うことは決して悪くない。それが正義だと思ったならその正義は尊重すべきだ」
亜紀/なら……。
GM/「ただ! ……君は、それで命を削りたい? それは君の命を投げ出してでも叶えたい願いなの? そうでないなら……殺し合いに参加するなんて悲しいことだよ」
亜紀/…………。
GM/「聖杯戦争は所詮騙し合いの世界だ。騙して、寝首を掻いて、それでも生き残っていくゲームだ」
亜紀/……でも、俺はこの街が好きだし……ずっとここで生きている人達が平和に暮らせたらなと思う。
GM/「平和を願う気持ちだけで勝てる?」
亜紀/う、うん! 俺だって……その、俺だって……。
GM/「ゴメンゴメン! 厳しく言ったのはちょっと脅しをかけただけだよ。……オレは戦を経験したし、騙し合いにも遭ってきた。だからわざわざ平和に暮らす人間を戦場に巻き込みたくないだけなんだ」
亜紀/けど俺は、確実な平和を手に入れたいんだ! もう……航の両親や、盟ちゃんの両親みたいに誰も亡くなってほしくないんだよ! 俺の家族だって下手したらそうなったかもしれない! だから……これ以上犠牲を出さないように、俺の出来ることがあるならしたい!
GM/「……。ラッキーだな、オレは。親しい人が傍に居てくれた方がずっと心強い。でもそれで君の人生を台無しにさせたくない! ……だからお願いだ、オレにアキちゃんを守らせて。……オレのマスターになってくれ!」
相馬/……なんだ、コイツ……すごくセイバーだ。
航/カッコイイ、セイバーっぽい!(笑)
盟/初めて良い人に会ったような気がする!(一同笑)
亜紀/じ、自分の身ぐらい自分で守れる! 俺は……俺の願いが出来たから参加したいんだ!
GM/鎧の男は兜を外し、亜紀の前に跪いて手を出す。「契約してくれますか、マスター?」
亜紀/……こっちこそ、宜しく!
GM/そろそろ沈みかけ、夜になる夕陽の前で跪く鎧の男。……では契約完了! キャラクターシートのサーヴァントの欄に『真セイバー』と書いてください。
亜紀/ありがとう。頑張ろうな、セイちゃん。
GM/「ああ! 感謝しておかないとな、この日までオレを生き延びさせてくれた……あの女の子に感謝しなきゃ」
亜紀/……『あの女の子』?
盟/(美川憲一調な豹になって)「アタシノコトジャナイワネェ
航/(同じく豹になって)「アンタ、女デスラナイジャナイ
相馬/なんでオネェ系の豹ばっかなんだよ!?(一同爆笑)

 BLキャンペーンで女の子成分が恋しくなったからです。

GM/では亜紀くん、家へ帰ろうか。
亜紀/うん、帰って夕飯作ろう! ……どうしたの、そんな航達みたいな微妙な反応して?(笑)
GM/「航達って誰か知らないけど悲しい話だね。悲劇っていけないことだと思う。今日はコンビニでレトルトでも買って行かないか!?」
亜紀/えー、作るよーっ!?
GM/「オレ、カップラーメンってヤツが食べたいなー!」
亜紀/あれってお湯を入れるだけなんだよな、それじゃ物足りないよな!? ガムシロップでも入れようか!
GM/ヤメテ!」……と君はセイちゃんとワイワイしながら帰ります。ところでこのままだと公園でアサシンの女性殺害を見かけるイベントが、誰も公園周辺にいないので発生しません。代わりに、違うイベントが発生します。
盟/うん、どうなるんだろ……。


 ●ミドルフェイズ4/February 4rd Scene 4

GM/では次は盟ちゃんのシーン。夜、君が教会に居ると、にゅるっと使い魔が連絡を寄越しにやって来る。ミスターBが使い魔と応対します。(ミスターBになって)「……また公園ですか」
盟/公園で何かあったの?
GM/「参加者さんには関係ない話です」
盟/あ、僕はもう参加者じゃないんで!(笑)
GM/「……。そうでしたか。それでは黒須神父を呼んでください」
盟/はーい! 黒須ー、公園で何かあったってー。
GM/(黒須になって)「……お前、本当に教会に入る気か?」
盟/うんっ! 黒須のスッゴイ嫌そうな顔が見られて僕は満足だよ!(笑)
GM/黒須とミスターBは相談し、そのことを盟ちゃんにも話してくれます。「公園にて女性の死体を発見した。どうやらそれがサーヴァントによるものではないかという話だ」
盟/どうすんの? 様子見に行くの?
GM/「……ミスターB、行ってくれるか?」
亜紀/……あ、そういえば『第3ループ』で亜紀がじっくり観察しているときにミスターBが来てましたね。
盟/黒須、僕は何をすればいいの?
GM/「……好きにしろ」
盟/……なんだと。僕は教会につくことにしたの! 黒須の傍に居ることにしたの! だから黒須、何か仕事ちょうだい!
GM/「……まずは、その派手な格好をどうにかしてこい」
盟/真っ赤な服とか着てそうだもんね!(笑) じゃあ勝手知ったる黒須の家、予備の神父服を折り曲げながら着ます!
相馬/ブカブカで肩の位置が全然違うだろうね(笑)
航/黒須の服を着ようとして、「無理だろ」ってSサイズを渡されるんだ(笑)
盟/しぶしぶ。じゃあ判った、お茶を淹れてくる。……暇になったら資料室を漁ったりやるんだー。
GM/……では次に、相馬さん。夜の同じ時間帯でシーンを立てましょう。(キャスターになって)「そろそろ夜なんで外出したいんですけど、お腹は満たされましたー?」
相馬/うむ。けふっ。いやあ、馳走になった。
航/皿がズラーっとあってトランプの騎士が皿を片付けます(笑)
相馬/しかし、おぬしの使い魔は随分と変わっておるのぉ。
GM/「一応これでもキャスターですから従者の1人や4人はいないと! 僕は人を操ったり掌の上で踊らせて笑うのが性分なんで」
相馬/ほほう……悪趣味じゃ。
GM/マップを提示します。どこに行きますか?
相馬/うむ、そうじゃの……(暫く悩んだ後に)……『ビル街』でも行こうかな。
GM/では相馬さんとキャスターはビル街にやって来ます。以前アーチャーらしき少年と戦った場所だ。ヒュインと飛び、屋上にスタッと降り立つ。
相馬/さて、どこかのー。探します。
GM/……おや、向かいのビル。人影は全然無いのに微かに音がするぞ。
相馬/息を殺してそのビルに近付きます。
GM/あるオフィスの窓から……アーチャーが、誰かの骸の前に立っている姿が見えます。どうやら「なむなむ」と合掌しているようだ。
相馬/……。静かにその中に入ります。
GM/何やら作業をして……「おーわり!」と叫ぶとクルリ振り返る。「なーに、作業が終わるまで待っててくれたの?」
相馬/……いや、そういう訳ではないがの。刀を構えます。
GM/アーチャーも槍らしきエモノをウズマキから出します。「後ろに居るのはマスターかな? ……ねえ、正々堂々って良いことじゃない?」
相馬/うむ?
GM/「現在マスターが『とある理由によって』オレの目の前で死んじゃったんだ。でもそっちはマスターを持ってオレに襲いかかろうと準備万端。……少年としてみればここは逃げたいと思うんだけど、ダメかな?」
相馬/お前がマスターを殺したんだろ!(笑)
GM/「そんなの見てるかどうか描写してないもーん!」(笑)
相馬/……ううむ、仕方ないのぉ。これは聖杯戦争とはいえ、ワシもおぬしとは万全の状態で遣り合いたい。でもそう言うとキャスターが後ろで「ないわー! ちょっと僕急いでるんだけど早くしてよ殺っちゃおうよ」って言ってくるんだな(笑)
GM/だね。キャスターは「殺りどきだとは思うけど?」と言うよ。
相馬/だが……実はワシと此奴は因縁があってこのままではワシの気が済まん。今すぐ此奴と相手をしなくとも良かろう。他の奴から先に倒していけば良い話ではないか。
GM/(アーチャーになって)「ありがとーお父ちゃーん!
相馬/だからお父ちゃんと呼ぶなと!(笑)
航/(アーチャーになって)「お父ちゃんへの好感度上げておくからー!」(笑)
盟/なんだ、可愛い男の子と綺麗な男の娘とハーレムルートか。爆発しろ。
航/爆発しろ。
相馬/お前らがロールしたんだろぉ!?(一同爆笑) 次までには絶対にマスターを見付けておけよ、と逃します!
GM/(アーチャーになって)「またねー!」とアーチャーは飛んで行きます。……その後、使い魔らしき小さな動物がやって来ます。おそらく教会の者で、死んだ女性を後々処理に来るようだ。決して君達には干渉しません。
相馬/とりあえず場所を移動するかの。
GM/キャスターが大袈裟に溜息を吐くよ。「うーん、僕ってば気難しいサーヴァントを手に入れちゃったのかなぁー?」
相馬/次のサーヴァントはいないのかのー。うろうろー。

 一方その頃。
 聖杯戦争とは全く関係無い、日常に生きる高校生・祐希と航は……。


GM/航は祐希の家で大勢と夕食を食べ、お風呂に入って落ち着いた夜を過ごします。
航/すげえ、食事が戦争とか超楽しい! 風呂上がりに牛乳を飲んで超幸せ!(笑)
GM/祐希が「部屋は僕と一緒の部屋でいいかな……?」と尋ねてくるよ。
盟/(子供になって)「ユーキずるいわたると寝たいー!」
相馬/(同じく子供になって)「オレもオレもー!」
航/イエーイ、祐希兄ちゃんは俺が貰っていっちゃうからなー!
GM/時刻は夜9時。子供が眠いと言う時間です。という訳でジュリアちゃんやレオ君達は退散していきます。
亜紀/(ジュリアになって)「もう眠い……わたるー、また明日ね。ふらふらー」
航/また明日なー。……なんか、すっごく疲れたなー。
GM/祐希の部屋である畳部屋にやって来ます。布団を2つ敷いて……「航、早めに寝ておく?」
航/それもいいなー。でもなんか……修学旅行みたいでワクワクしないか? 枕ボンボンしながら言います。
GM/「……1on1?」
航/それはガキ共と一緒にやろうぜ(笑) またこんな風にみんなと遊びたいな。この前、盟ちゃんの家に泊まりに行ったときも楽しかったじゃん。
GM/「うん……みんなと居た方が楽しいよね」
航/そうだね、こんなに人といっぱいいると楽しいわー。
GM/祐希の動きがビクンと止まる。
航/んっ?
GM/「……。ちょっとごめん」
航/なになに?
GM/「……ちょっと部屋で待ってて」。祐希が部屋を出て行きます。
航/トイレか?
GM/障子をパタン。出て行って……5分経ちます。
航/はい。
GM/10分経ちます。
航/……はい。
GM/15分経ちます。
航/…………。障子を開いて、廊下を見てもいいですか。
GM/廊下は廊下です。何も音がしないけど。
航/うん? 祐希ー……おじさん、おばさーん……? 携帯を持って、祐希が居そうな所に行ってみます。
GM/部屋を出て廊下を歩く。……ん、なんだここ? 廊下が泥で汚れているじゃないか。
航/……ちょ!? な、何か怖いんだけど!? 祐希……!?
GM/おや、あちらの障子の部屋が明るい。人影が見えた。誰か居るのかな。
航/ガラッ!
GM/障子を開けると、中で……帽子を被ってコートを着た男が、レオ君を刺そうとしている!
航/えええええええっ!?
GM/その周辺には、お兄さん、お姉さん、女の子達が倒れていて、先の廊下には血糊でびっしり。
航/う、うわあああっ!? リアル殺人犯っ!?
GM/タイミング:オート、≪破壊者の孤独≫使用!

 ≪破壊者の孤独≫
 周囲の者を蹂躙し尽くす。そのシーンに登場している任意のエキストラ全員を戦闘不能、もしくは、死亡させる。1シナリオに1回まで使用可。

盟/ちょっ、エキストラ全員殺害!?
亜紀/まさか……真セイバーを連れていたらエルに襲われると思って公園を回避したけど、こんな展開になるんだ!?
GM/いや、これは全くの偶然だよ。アサシンはマスターを殺した後に『力のあるフリーの人間』を求めて行動するんだ。その対象が『一般人に紛れて生活している』祐希になっただけで、真セイバーとは関係無い。とにかく、アサシンはこの屋敷に居る全員を殺害します。
航/……あの、これって≪英雄の宣言≫で攻撃の対象を俺1体にって出来ませんか!?
GM/……ああっ、それは面白い!(笑) じゃあ、レオ君に襲いかかろうとしている男の前に航がバッと飛び出す!
航/待てぇ!
GM/(アサシンになって)「おおっとぉ? なんだ、殺されに前に出たの!?」……帽子とコートの男は、出刃包丁を手に狂気の目で輝いている。航の肩にザシュッと包丁が襲いかかります。
航/痛い……超怖い! でも立ち向かおうとします! 日本家屋に血糊だらけって恐怖だよ!
GM/ジャック・ザ・リッパーは舞台型の殺人鬼だから、手でベタベタとわざと汚してるかもね。「さっさと逃げた方が良くない?」
航/言われながらも……耐えます! みんな逃げろぉ!
GM/「ふー」……男がばんっと航を押し倒す。
航/うわっ!?
GM/腰の上に座る。
航/ひっ! ……なんだよ、殺す気か!?
GM/「……」。航の首を、上からガッと掴みます。「……お前、見たことある……」
航/え……?
GM/「なんだ……なんで……?」
航/ええっ? ……俺、デジャブっているからこの人を見たことは。
GM/あるね。どことなくこのコートの男に見覚えがある。そして男も君に見覚えがあるらしい。……ちなみにこれも偶然で、前のループで君と一緒に『パブ・ラマーサ』に居たのって。
航/…………アサシンだ!
盟/凄い偶然!(笑) 記憶を持っていないアサシンの唯一の記憶が、航なんだ!
相馬/うわ、超フラグ立った!(笑)
GM/「お前、誰だよ……」。さっきまで笑っていた男の顔が変わり、全く余裕が無くなった顔になる。
航/お前の方こそ、誰なんだよ……!
GM/男は胸を抑える。「知ってるような知らないような……ザワザワする……気持ち悪ぃ」
航/怖いけど……悪い人じゃないような感覚はする……?
GM/「気持ち悪ぃ! いなくなってくれ!」……アサシンがナイフを向けるけど、激しく動揺しているせいかすぐに突き飛ばして逃げることができます。
航/なんとか避けて……祐希を探しに逃げる!
GM/逃げまどう君の背中に≪無の射撃≫でナイフを投げつけたりします。でも男は頭を抱えて呻いて追いかけてこない。
航/今だ……! 祐希、どこだ……!?
GM/……走った先の部屋の向こうで「うっ……」と祐希の声が聞こえた気がした。
航/祐希!? 障子を開けます!
GM/壁に包丁で貼り付けられている祐希がいる。
航/うわああっ!? ぴ、ピン付け……!?
GM/普通の人間だったら失血で終わっている筈だけど、意識があるようだ。
航/祐希! 大丈夫か!? 刺さっている包丁を抜いて……に、逃げよう! アイツヤバイ!
GM/貼り付けられた包丁を抜かれ、ぐらっと祐希が倒れて……航に寄りかかります。「航……」
航/な、なに……?
GM/「生き残るためだから……許して」
航/なにが……。
GM/「契約しよう」
航/……えっ!? な、何言ってるんだよ……それより逃げよう!
GM/「僕は、航を生かしたい」
航/俺だってそうだよ!
GM/「じゃあ……僕の手を取って」と、ぶらっとなった手を動かします。
航/……意味が判らないけど、バシッと手を掴みます! 祐希……必ず生き残るんだからな!
GM/契約完了。ここで選択肢です。どちらかを選択してください。

 @航が、祐希のサーヴァントになる。
 A航が、祐希のマスターになる。


航/えっと、なら……祐希年上だし、今回は祐希のサーヴァントになる!
GM/君ではマスターが祐希になります。……航の傷口と祐希の傷口が重なって、供給が行われ1D6回復したのかもしれない。何故かさっきよりずっと動きやすいことに航は気付く。
航/なんか足が軽い? ……きっと今なら≪片手武器≫も使える!(笑)
GM/「……みんなならもう大丈夫。逃げよう」。力強く祐希が言います。
航/わ、わかった! でもおばさん達は……。
GM/航が廊下に出てみると、今さっきまで倒れていた人達が無くなっている。……祐希の能力が回復したことで、従者である彼らを回収することができたという演出です。
航/みんな逃げたんだな……よし、とりあえず俺の家に行こう! ≪クリエイトゲイト≫
GM/君だけが知っている近道を使って、傷だらけの祐希を抱いてボロリアに向かいます。……ではシーンアウトする前に、ちょっとしたマスターシーンを入れようか。

 アサシンが頭を抱え、壁に寄りかかりながらもよたよた歩く。
 自分が血まみれにした廊下。先程までいたる所にあった死体はどこにもない。血糊はあるが殺した筈の連中はどこかに消えていた。
 唸り声を上げながらアサシンは屋敷の外に向かう。
「ああん!? まだ……生き残りが居やがったか」
 アサシンが吠える。庭へ。
 そこには金髪褐色の男が立っていたからだ。
「…………」
 金髪の男は、アサシンには目をくれず遠くに目を向けていた。
 先程、この屋敷を飛び出したばかりの少年2人だけを見つめてる。
 アサシンは駆ける! ナイフを握りしめ、ただ庭に立ち尽くすだけの金髪の男に斬りかかろうとした。
 そして……。


相馬/……続きは!? 続きはどうなった!?(笑)
亜紀/あ、そういえば祐希とエルって何か確執がありましたよね。それで来たのかな……?


 ●ミドルフェイズ5/February 5rd Scene 1

GM/盟ちゃんのシーンからいこう。……真夜中、また使い魔からにゅるっと連絡がありました。
盟/使い魔をガシッ。なんだ?
GM/『櫻庭家でアサシンが暴走中。なんとかして』。
盟/……は、はわわわわ!? 櫻庭先輩の家がぁ! 黒須、僕行ってくるぅ!
GM/(黒須になって)「さっき帰ったばかりのミスターBも一緒に連れて行け」
盟/そこの目が細くて大柄でGMがロールしやすそうな人来てー!(笑) 櫻庭の家へダッシュします!
GM/ダッシュ! では到着します。……うわ、なにこの血の壁。
盟/わあ……ホラーゲームみたい。
GM/しかし、遺体が1つも無い。
盟/うん? この量で、この血で、この短時間で、何で?
GM/(ミスターBになって)「見たところ引き摺った跡も無い。魔術で隠匿したのでしょうか」
盟/≪魔の感知≫を使って【意志】判定をしてみます。(ころころ)……18です。
GM/……まずこの屋敷自体にビンビンに魔力、霊的なもの、とにかく強いものを感じる。
盟/なにこのサーヴァントがずっと住んでそうな家。
GM/ぶっちゃけそうなんだけどね(笑) 血として付いているということは現実化できるもの……でも遺体が無いということは霊体化でもしたか光になって消滅か?
盟/まさかやられたのは……サーヴァント? でもこんな多くの? いっぱいいるサーヴァントってあるのかな。
GM/(ミスターBになって)「あります。群れを1つとして動く使い魔も存在するでしょう?」……ちなみに、アサシンの影はもう無い。既に去った後のようだ。
航/そして盟ちゃんの頭をよぎる。「じゃあ俺、祐希と遊び行ってくるー!」の言葉……(笑)
盟/航ぅ!?(笑) あわわ! 祐希の部屋を見たら布団が2人分ある! 航の荷物もある! この前ゲーセンでこのストラップ取ったって言ってた! 可愛くないストラップに見覚えが……。
GM/ああ、確かにこれは航のたくあんストラップだ。
盟/たくあんのストラップぅ!?(笑)
GM/黄色いたくあんに足が生えているストラップです。……ミスターBがまじまじとそれを見ている。
航/なんか今、源平合戦のゲームが流行っているらしくってさ! 沢庵畑でたくあんを育てるゲームらしいよ!(一同笑)

 詳しくは、『迷宮キングダム・リプレイ〜夢魔炎上』……の弁慶さんの台詞参照。

GM/一方その頃。……航は≪クリエイトゲイト≫を使ってなんとか自宅のメゾンボロリアに到着します。おお、ナイフでメチャクチャ斬りつけられたのに何故か体が痛くなくなっているぞ。
航/そんなに深い傷でもなかったのかな……? そんなことより祐希、大丈夫か?
GM/祐希も同じようだね。足も刺されていたのに走っていたよ。
航/……上着を脱がして刺されていたところを見ます。
GM/回復してます。(祐希になって)「航……平気だった?」
航/……祐希が無事で良かった。
GM/よしよし、とした後に……。「暫くここで休もう。航……眠って」
航/う、うん……でも警察に連絡しなきゃ。
GM/「大丈夫。もう平気だから」……何故かその声にとても説得力があります。
航/……判った。布団に祐希を引き摺りこみます。ちゃんと鍵も掛けたし誰も入って来ない。休もう。
GM/目を閉じると、すーっと眠気に襲われます。
航/……凄く眠い……盟ちゃんから電話が来てるみたいだけど俺もうダメ……ぐー(笑)
GM/次は亜紀くんのシーン。……真夜中に青森のオッサンから電話があります。(電話先の青森になって)「櫻庭の家が襲われたらしい。サーヴァントの手によってな」
亜紀/祐希の家がっ!? し、心配そわそわ……!
GM/「Bと盟が調査に行っている。お前には同じエージェントだから教えるだけであってお前はお前の仕事に集中しろよ。……あと」
亜紀/はい?
GM/「お前、何かやってるか?」
亜紀/え……?
GM/「隠し事してないよな? ここ3日間、すぐ家に帰ってただろ。試験期間だからってのもあるけど何かあったらすぐにオッサンに言ってくれよ」
亜紀/……青森さんにだったら教えてもいいかな。あ、あの、秘密にしてくださいね。
GM/「なんだー? 好きな人でも出来たかぁ?」(笑)
亜紀/その……青森さんと同じように参加することに……なりました。
GM/「あー? どういうこったぁ?」(笑)
亜紀/俺もお願い事が出来ました。
GM/「なんだぁ?」(笑)
亜紀/……青森さんにはランサーがいるってことを教えてもらっているから言います。……俺もいるんです。
GM/「何がだぁ?」(笑)
亜紀/サーヴァントが……。
GM/(低い声になって)ああんっ!?」……真剣な声になります。
盟/……怖っ!? ちょっと怖いこのオッサン!(笑)
GM/「なんだ、お前……マスターになった訳?」
亜紀/……ええ、なりました。俺……聖杯戦争を無くしたいんです。それが俺の願いなんです。だから、ごめんなさい!
GM/それに凄く黙ります。……何故なら、彼も同じ願いだから。「正義感に溢れる少年で良いねぇ。……お前、無理矢理マスターにさせられたんじゃないよな?」
亜紀/ち、違います! 絶対違いますっ!
GM/「お前の意志で聖杯戦争に参加したんだな」
亜紀/……はい。
GM/「……。はは、参ったな、今日から……俺はお前の敵じゃねえか」
亜紀/青森さんにトキメいてしまった!(笑)
盟/なんだこのオッサン。ちょっとキュンとしちゃった。私のロールではありえないぐらいカッコ良いぞ!?(一同爆笑)

 重ね重ね説明するが、青森恐一は盟ちゃんの中の人のプレイヤーキャラクター以下略。

GM/「Bもお前の敵になっちまうけれど……それを判ってお前はマスターになったんだよな?」
亜紀/はい。
GM/「そっかそっか。じゃあ……極力お前には手を出さないようにしてやるよ!」
亜紀/……いいんですか、そんな?
GM/「だって俺の願いもお前と殆ど似たようなもんだからなぁー! じゃあなー!」ブチッ。電話が切れました。
亜紀/切れちゃった……。でも落ち込んじゃダメだ。頑張らなきゃウンウン!
GM/セイちゃんが「どうしたん?」って尋ねてくるよ。
亜紀/うん……。青森さんのことを話します。
GM/「知り合いがマスター!? そんな人がいたの!?」
亜紀/いた。
GM/「マジゴメン! 今から契約解除する!?」
亜紀/ううん、俺だって叶えたい願いができたから参加するんだ! これは俺の意志だから!
GM/「でも親しかった人と戦うなんて……殺し合うなんて……」
亜紀/頑張ろうよ!
GM/「……そ、そうだよな。倒すのはサーヴァントだけだしな! そうだ、サーヴァントを殺せば済む話だ!」
亜紀/ミスターBもサーヴァントだけどな……でも乗り越える! 俺が選んだ道だから乗り越えるんだ!

 一方その頃。
 アサシンの騒動など知らぬ相馬とキャスターは……。


GM/相馬さんはビルの上から、とある一軒家に教会のエージェント達が集まっているのに気付きます。(キャスターになって)「誰かがえげつないコトやったみたいだねー」
相馬/うむ……そんな奴らの手が及ばぬよう、ワシらはさっさと倒すしかないのぉ。
GM/「うん。……おっ、あそこに何か不思議なモノがいるようだよ」と、キャスターが学校を指差します。
相馬/ほほう、行って確かめに行くかの。もしこれがサーヴァントであるなら倒す絶好の機会……行くか。
GM/では学校へポーンと飛びます。……学校の敷地に足を踏み入れると、いきなり背筋がゾワッと凍った。
相馬/な、なんじゃこりゃ……。
GM/結界バリバリ張っている。今、まさに『何か』儀式をしているようだ。「なるほどー、ここを拠点にすればいつでも若い子を食べられるよね」
相馬/食べられる……一般人を巻き込むということか? やれやれ……兎も角、ザワザワの原因を探します。
GM/探すなら、【意志】判定難易度10。
相馬/期待値が出れば成功!(ころころ)お、ピッタリ10だ。
GM/……学校の半地下にある体育館に魔力が集まっている。そこへ向かうと、中央に……見覚えのある影がある。藤原だ。その周囲には多くの霊達がざわめきあっている。
亜紀/幽霊の1人になって)「キャー! ハーデス様ー! ハーデス様が来たー!」(笑)
航/幽霊の1人になって)「ハーデス様、さ、差し入れですっ! コレ、手作りの藁人形です!」
盟/幽霊の1人になって)「コレ、私が死んだときの骨です! 愛でてください!」
GM/「ハハハ」と幽霊女子に手を振ってる藤原さん。
相馬/愛しいな!(一同爆笑) 流石冥府の王様!
GM/ゆっくりと君らの居る方へ藤原は振り向きます。「おや、相馬殿ではありませんか。貴方の元にすぐに駆けつけることが出来ずに申し訳御座いません」
相馬/久しいな。……ワシも別に主を見付けておったからな。
GM/(キャスターになって)「主でーす! 僕は寛大なマスターだから前のマスターと喋ってても妬かないよー。どうやらサーヴァントは連れていないみたいだから……今やれば僕らが勝っちゃうかな?」
相馬/という事じゃ、藤原。残念だがおぬしとは敵対することになった。言って刀を抜きます。
GM/「以前もお聞きましたが、貴方はこの国を治めたい」
相馬/ああ、そうじゃ。
GM/「実は、私もその一人だ。日本だけではない……私が手に入れたいのは、貴方の知っている世界だけではないのです。どうですか、私と貴方が再度手を組むことを考えては」
相馬/ワシがおぬしの傘下に下れば丸く収まるとでも言いたいのか。
GM/「それもまた一つの手ではございませんか」
亜紀/けどキャスターが低い声で「僕の願いどうしてくれるのー? 僕以外の男と手を組むのー」って言うんじゃないですか?
相馬/だな。……藤原よ、断る。おぬしほど優秀な奴がいずれワシの寝首を掻かないとも限らん!
GM/「……そうですか。仕方ありませんね。私と貴方は対立する運命だったと割り切ることにしましょう」
相馬/あの時におぬしを探し出せなかった、その結果がコレじゃ。致し方ない。
GM/「非常に残念です。貴方は見所のある男だったのに……ここで果ててしまうなんて」……藤原を称賛するかのような怨霊達がゾワッと湧き上がる。
亜紀/幽霊の1人になって)「キャー! ハーデス様ぁー! キャー!」(笑)
相馬/外野がうるさいのぉ!(笑)
航/……でも、日本の学校なんだから将門さんも凄い人気はあると思うけどね。
盟/(幽霊の1人になって)「ねえ、あれって……もしかして、将門様じゃないの!?
亜紀/(幽霊の1人になって)「えっ、まさか三大怨霊の1人!? こんな所に!? アタシ、首塚行ったことありますー!」
盟/(幽霊の1人になって)「やだアタシったら今日スッピンだった! どうしましょ、肉付いてないのにー!
航/花子さんが慌てて自分のトイレを掃除しだした! (幽霊の1人になって)「やだもう、2人も有名な方がいらっしゃったのに! ちょっと退いてくださらない? 見えないじゃない!」
盟/(幽霊の1人になって)「見えるでしょ、透けてるんだから!
相馬/ヒデエな、怨霊女子!(一同爆笑)
GM/(藤原になって)「さあ、戦いましょうか……あんなに可愛らしいレディ達の前で殺伐としたことはしたくないのですけれど
亜紀/キャー! カッコイー!
相馬/ええい黙れ!(笑) ……くそぉ、おなごとは判らん!
航/キャスターも幽霊女子に混じって「キャー、相馬さんカッコイー」って言ってます。
相馬/おぬしも茶化すなぁ!(笑)
GM/では藤原が指先をパチンと慣らすと、異形の触手がゴウッと現れる。戦闘態勢を取ります。おぞましい姿を曝け出しながら相馬に襲いかかる! ……というところで、シーンを切りましょう。


 ●ミドルフェイズ6/February 5rd Scene 2

GM/航のシーンです。……君は夢を見ます。
航/寝てまーす。携帯の電源も切れてまーす(笑)
GM/……そこは古い日本の街並み。時代はいつなのか判らない、江戸時代より前かもしれない、鉄筋コンクリートの家など無く、和服というより布服の生活の人々のいる世界。
航/わー……小川に丸太を置いただけの橋があるー。
GM/君の目に、死に装束を着た少年が映る。
航/え?
GM/それは小川に映る、自分の姿だ。顔はまるで祐希のよう。
航/わっ! え、縁起でもない……俺が祐希って、何で?
GM/体が勝手に動き出す。ここは夢の世界だからだろう。……身だしなみを整えてた君の体は不穏な真っ暗な洞窟へと突き進んで行く。自分の意志で歩いているけど、反面「絶対に行きたくない」という心もある。
航/ムリムリムリ! なんか凄い怖いんだけど!
盟/(いきなり夢の登場人物になって)「ごめんなぁ、とっちゃとかあちゃが……」「ごめんなぁ、力が無くてごめんなぁ……」「村の為になるんだから怖くねぇかんな……」
GM/イメージはまさしくそう。……暗闇の中に君は進んで行く。どんどんどんどん進んで行く。
航/こんなの嫌だよ……祐希、帰ろうよぉ!
GM/真っ暗の闇の中。……いつしか、考える力さえも無くなる。
航/……怖い……。
GM/君はパッと目を覚ます。目の前に居るのは少年だ。5歳ぐらいの少年かな。
航/あ、ああ、夢っていきなり飛ぶよな。……ぼく、お名前はー?
GM/「……わたる」
航/えっ?
GM/5歳ぐらいの『現代の服を着た少年』は、自分を「わたる」と名乗る。
航/わたるかー。お兄ちゃんも航っていうんだぞ。
GM/「えっ? 同じ?」
航/ああ、秤谷航だ。
GM/「おれも、はかりやわたる」
航/ええっ!? ……お母さんの名前は?
GM/「お母さんの名前は渚だよ。お父さんの名前は港一」
航/……なにそれ……。
GM/……君の意識がフッと晴れる。気が付くと、ボロリアの天井を見ていた。……今度こそ目が覚めたね、隣で祐希が寝てるよ。
航/鏡を見る……俺だ。祐希は寝てる……起こしちゃ可哀想かな。
GM/暫くすると祐希も目を覚ますよ。「お、おはよう……航……」
航/おはよう。……一緒に居たからかな、祐希の夢を見たよ。
GM/「ん……うん、僕も航の夢見た。初めて会ったときの夢……」
航/幼稚園のときのことかな? 俺は……祐希の夢というより、俺が祐希になって白い格好をして、暗い所にどんどん歩いて行く嫌な夢だった。怖いな。
GM/「……」。祐希が、自分の頭を航の肩に寄せます。
航/あれ……疲れてまだ眠い?
GM/「これから……航に本当のことを話す」
航/……え?
GM/「でも……絶対気分が悪くなる話だから航が嫌なら言わない。……それでも構わないなら僕は、本当のことを話す」
航/……。この間から盟ちゃんも亜紀も変なことをしてるね。もしかしたら祐希もそうなのかな……。手を握ります。
GM/ぎゅっと握った瞬間に力が湧いてくる気がする。
航/こうすると安心するな。……話してくれるか?
GM/「うん……」一息つきながら、祐希は口を開きます。「……聖杯戦争って判る?」
航/……なにそれ。
GM/「7人が7つのサーヴァントを用いて戦って、最後の生き残った1組の願いが叶う戦争」
航/なんだ……ゲームみたいな話だな。
GM/「ゲームだよ。この場所を使っての殺し合いのゲーム。……そのゲームに参加するために召喚された者のことが英霊。魔法使いが英霊を召喚して、みんなで殺し合うんだ。参加者じゃない人を守ってくれるのが教会で、黒須先生や亜紀は……みんな守る人達」
航/その人達が色々裏で動いて、俺達一般人を守ってくれているってこと?
GM/「うん。……僕は、10年前の参加者だった。召喚された、サーヴァントって呼ばれる人達の1人だった」
航/……人間じゃない、の?
GM/ゆっくりと頷く。
航/10年間ずっと……人間みたいにしてたけど、そうじゃなかったんだ?
GM/「そう。……人間の真似事をしていただけ。僕は、10年前の戦いで……生き残った」
航/……願いを叶えたとか?
GM/首を振る。「僕は優勝者じゃない。でもそれほど大きな夢じゃなかったから、自分の手で願いを叶えることができたんだ」
航/聖杯にお願いしなくてもいい夢?
GM/「……僕はね、日常に憧れていただけなんだ。……現界して……ごく普通に起きて、ご飯を食べて、みんなと話して、眠る、その生活さえできれば良かったんだよ。だから聖杯戦争に勝ってもそれを願っていただろうし、勝たなくてもこの世界に居られただけで願いは叶っていたんだ」
航/……そうなんだ。
GM/「でも、願いを叶えてくれる聖杯ってね……7人のうちから6人を捧げて、願いを叶えてくれるものなんだ。なんでも叶えてくれるんだけど……6人を捧げなくても願いを一応は叶えてくれる。あくまで『一応』。……少しだけ願いを叶えてくれる聖杯が10年前に出来上がった」
航/だよね……祐希が生き残っていて優勝者がいるんだから、効力が落ちた不完全な聖杯になったの?
GM/「うん。……僕が6人目の生贄にならなかったから、不完全な聖杯になってしまった」
航/…………。
GM/「僕の夢はとっても地味で、どうしようもない、本当にショボイものだった。……本当なら誰かに願いを譲った方が良かったのかもしれない。そうすれば……あんな悲劇が起こらずに済んだ」
航/……悲劇? あの……火事のこと?
GM/「そう。……航、僕があの火事を起こしたようなものなんだよ」
航/え……。
GM/「とある人が願いを叶えようとした。でも僕が聖杯の中に昇華されなかったから、その願いが暴走して大事故が起きた。……僕は我儘で『この世に居られればいい』だけを考えて、聖杯の中に入らなかった。だから大惨事が起きた。結果……航のお母さん達を始め多くの人達が死んだ」
航/……で、でもそれって……本当に祐希のせいなの? だって……祐希は生きたかっただけなんだろ。
GM/「……僕だけの願いを諦めさえすれば、何千人という被害者が出ずに10年前の戦争は終わっていた筈なんだ」
航/それって……俺に、父さん達と祐希を天秤にかけろって言ってるの?
GM/「…………」。
航/起きちゃったことは戻せないし、俺にはどっちも選べないよ。自分のことを責めないでくれよ……。
GM/「ごめん。そう言ってもらえるって判っているのに、航が優しいって知ってるのに……僕、話したんだ。……今もまた、聖杯戦争が起きている」
航/……ああ。
GM/「あれから10年経って、新しい願いが叶うだけの魔力が聖杯に戻って、7体のサーヴァントが召喚されて今まさに殺し合っている」
航/……そんなのほったらかしといていいのかな? また10年前の火事みたいなことが起きるかもしれないんじゃ……。
GM/「かもしれないね。でも……世界はそうやって作られてきたっていう話もあるよ」
航/……どういうこと?
GM/「もしかしたら昔起きた大地震は、表沙汰にならなかっただけの聖杯戦争の結果なのかもしれないよ。人々が経験している事故や災害は全てそういうものの積み重ねなのかもしれないね」
航/でも……だからって放っておいたら俺みたいな奴が出るし、祐希みたいに自分を責めちゃう人もいるだろ。それはやっぱり……嫌、だよ。
GM/「……」。
航/出来ることがあったら何かしたい……けど。でもそれって、祐希の日常にいたいっていう願いとぶつかっちゃうかな。
GM/「……。僕は10年間楽しく過ごせたから……もう満足してる。だから……何が起きても僕は受け入れていくつもりだ」
航/そ、それじゃあダメだよ……!
GM/ここで航に与えられた選択肢は、『1:黒須先生のもとで全ての記憶を消してもらう』『2:記憶を残して教会に保護してもらう』『3:聖杯戦争に首を突っ込んで行く』『4:ご自由に。TRPGだもん』(笑)
航/教会に行けば保護してもらえるのか?
GM/「うん。記憶を消してもらうことも可能だ。……航が願うなら教会に行こう。記憶を消してもらうのもアリだよ」
航/……。よし、決めた! 祐希、教会に行こう。
GM/「うん……」
航/俺は一般人を守りたい。祐希は日常の中にいたいって言ってるんだから守られるべきだ。俺が祐希を守る! だから……祐希は全部忘れて普通の一般人になろう!
GM/……おおっ、祐希を忘れさせるか!? 航が教会のエージェントになるってこと?
航/それが一番自然な……で、2人の願いがぶつからない方法だと思うんですよ。祐希は魔術師だけど聖杯戦争に関わってないって巧く記憶を書き変えてもらえば、何にも苦しい想いをしないでずっと一緒にいられるよ。
GM/『第1ループ』の亜紀くんみたいになるのか。……令呪はどうするの?
相馬/残しておくことはできるんですか?
GM/できるよ。魔術師同士の盟約として交わすこともあるぐらいだからね。絆として残しておくか。祐希も賛成します。
航/祐希は日常の中にいるっていう夢を諦めないでいいし、俺も祐希を諦めずに済む。だからいい手だろ?
GM/「……うんっ。じゃあ教会に行こうか」
航/着替えをして、手を繋いで行きます。
GM/「……航」
航/うん?
GM/「ありがとう。……それと、どれくらい夢を見た?」
航/えっと……夢見た内容を全部言います。白装束の祐希と、なんか小っちゃい俺の夢。
GM/「そっか。……それだけか、良かった」

 2人は教会に向かう。
 明るくなった空。外では新しい朝の中、活動し始める人も目に入る。
 朝日を浴びながら2人は黒須の元へ向かった。


GM/教会に来ると、どんよりと目の暗い盟ちゃんが座ってます。
盟/航コノヤロ何してたラリアットドスぅ!(笑)
航/どうぞダメージを!(笑)
盟/(ころころ)1Dだけ振って6点のダメージだ! 一晩中調べて黒須に泣きついて亜紀にも電話して死んだんじゃないかって絶望的な気持ちになったところにヒョッコリ来た航に対して殺意が目覚めた!
航/物理防御が4あるから2点だけ貰っておきまーす!(笑)
盟/櫻庭先輩、大丈夫ですかー!?
GM/「だ、大丈夫です……」
亜紀/セイちゃんを家に置いて教会のお仕事しに来ました。……わ、航ー!
盟/さあ、ダメージをどうぞ!
亜紀/そんなことしないよ!(笑) 航、祐希、無事だったかー。
GM/ではみんなでワイワイしているところに……奥から黒須が現れます。「航、祐希。ここに来たということは話があるんだろ」
航/は、はい!
GM/「お前らは出て行け。シーン退場しろ」と……航、祐希、黒須の3人だけで話しましょう。
航/……祐希から大体のことを聞きました。
GM/「大体……聖杯戦争について聞いたのか」
航/はい、10年前のことも。昨日巻き込まれた事件も聖杯戦争絡みだったってことも。
GM/「お前は記憶を消しに来たんだな」
航/いえ、祐希の記憶を消してください。
GM/黒須は驚きます。「お前は消さないのか」
航/はい! それと黒須先生、俺を教会の人間にしてください!
GM/その発想は無かった」(一同笑)
航/ですよね、俺もありませんでした(笑) でもそうすれば一般人である祐希やこの街の人達も教会の力で守れるでしょう? 俺は無力な一般人かもしれないけど力になりたいんです。
GM/「……お前に決心があるなら、認めてやろう。祐希も了承を得ているなら、すぐにでも記憶改竄の手術を行う」
航/先生、ありがとうございます。
GM/「ただ、俺の術がキャスターである祐希にかかるかな?」と祐希に向かって言います。
航/キャスターだもんなぁ……。黒須先生頑張ってと≪叱咤激励≫しておきます(笑)
GM/(祐希になって)「航。さっき話していなかったけれど……僕の家に居た人達もみんな……僕と同じものなんだ。僕が使役していた使い魔だと思えば判りやすいと思う」
航/……あの人達もサーヴァントなのか。
GM/「みんなを出現させていたのは、これから聖杯戦争が始まって危険だと思って武装していたからなんだ。だから……みんな、僕の半身達だったから航に優しかったんだよ」……祐希に一般人としての記憶を与えるという事は、明らかに人外である使い魔の彼らと決別することになります。
航/そっか……それは寂しいよな。家族と一緒に居られなくなるんだから。
GM/「でも航が一緒に居てくれるから、寂しくなんかない」
盟/……今、みんながバッと現れて「航、バイバイ」って言うのが見えた。
GM/あ、それいいね。祐希の家に居たみんなが現れます。トドメを刺された人達以外、戦闘不能状態までの人達がバアッと祐希から出てきます。
盟/(祐希の従者達になって)「航、バイバイ元気でね。私達ずっと愛してるわ」「ユーキのこと宜しくね。寂しくしくないよ、ずっと一緒にいるんだもの」
航/うっ、それは悲しい……! 祐希の手を取って、みんなに頷きます。
GM/みんなが消え、航も部屋を出て行くよう黒須に言われます。……これから記憶改竄の術を使います。昼までには終わらせると言ったところで、シーン終わらせておきます。

 一方その頃。
 夜から朝にかけて、藤原と戦った相馬達は……。


GM/今朝方、相馬さんはキャスターが本拠地にしているパブ・ラマーサに戻って来ました。(キャスターになって)「昨晩はお疲れ様ー。ちゃんと回復はするよー」
相馬/ふむ。……しかし、アヤツもあそこまで強いとは。
GM/≪籠抜け≫で逃げられちゃったねー。『今夜はこれまで。またごきげんよう、次の舞台で』だってさ! とりあえずお疲れさん、寝床を用意するよ」と言うと、トランプの騎士さんがベッドを用意してくれます。
相馬/トランプ柄のシーツなんだな(笑) ベッドに倒れ込みます。
GM/その隣にキャスターが座ります。「疲れてるねえ?」
相馬/まあな……ここのところ供給無しだったからのぉ。だからメシを食っておったのじゃが。
GM/「供・給、するよ?」
相馬/そうじゃの。お互い今宵も出向かわなければならん。
GM/「そうでしょそうでしょ、さっさとやっとくよ。ホラ、ちゃんと脱ぎなよ」
相馬/え、ワシからか?
GM/早くケツを高く上げて」(一同爆笑)
相馬/おいっ!?(笑)
GM/「僕の上に乗っかって腰振ってくれてもいいんだよ?」
相馬/おい待ておぬし! ワシは男じゃぞ!
GM/「僕って男の子だよ」と言って胸を曝け出します。
相馬/あれ……男?
GM/平らです。……もしかして、女の子だとずっと思ってた?
相馬/え、えっ、おぬし、男じゃったのか!?
航/そういや名言してなかったしね(笑)
GM/「僕、付いてるよ。別に僕はどっちでも構わないんだけど」……で、どっちなの?
相馬/数秒間硬直した後に……。ダイスを振ろうか。
GM/ダイスで決めていいの?(笑) 2分の1だよ?
相馬/一応振っておこう。偶数だったらこちらがワシが攻、奇数だったらキャスターに掘られる。(ころころ)……おめでとう、1だ(笑) 失礼させて頂くかのと押し倒そうとしますが……。
GM/≪ヒュプノスの枝≫使用」
相馬/ほえ?(笑)
GM/「大丈夫大丈夫。疲れている人をそんな腰振らせるなんてことしないよ。ほらー、ちゃんと気持ち良くなってくるくるくるー」……一旦フェードアウト。
相馬/ふにゃー……酷いのじゃー……ばたん(笑)
GM/……数時間後、君はムクリと起き上がる。なんか体がだるいと思いながらも起き上がると……隣には煙草をすぱーっと吸っているキャスターがいる(一同笑)
航/情事後だけど服も脱いでないし帽子も外してないんだな!(笑)
相馬/な、なんじゃこの腰の鈍痛は。なんか嫌な予感がする。お、おぬし……ワシに何をした?
GM/「ほら、変な痕とかキスマークとか気にしない! 回復したってことで3D6回復してー! ……それより話し合いたいことがあるんですけど」
相馬/お、おう、なんじゃ……話を聞きながら服を着ます。なんでワシだけ脱いでるんじゃ!(笑)
GM/朝のティーをトランプの騎士が出したりしながら話し始めます。「作戦会議ですよ。夜、戦ったって誰だしたっけ……梶原でしたっけ?」
航/ノー!(笑) フジワラだ!
相馬/梶原だと別のキャスターさんが出てきちゃうだろ(笑)
GM/「そのフジさんって結構強かったですよね。サーヴァントを従えてはいなさそうでしたがあんなに自信満々でいられるんだから何か手札を持っているんでしょう。もしかして何か裏があるのかもしれないな」
相馬/うむ……キャスター、賢いな。
GM/「それに、あの人……学校に何やら仕掛けを作っていましたね。戦闘に必死で壊しきれませんでしたが。何が起きるか判りませんけれど、やるとしたらあの人のことだし気持ち悪いことですよね」
相馬/そうじゃの……。うむ、壊しに行くか。
GM/「昼間に学校行ってきます? 1人でおつかいお願いします。僕はここ、パブ・ラマーサで待機していますよ。……僕眠いし、夜に色々頑張ったから」(笑)
相馬/ふむ(笑) おぬしは此処で休んでおれ。しかしおぬし本当に何をしたんじゃあ?
GM/「言ってほしいんですかー? 事細やかに説明するよ!」
盟/……なんか、キャスターの後ろに怪しげな箱の幻影が見えた。オモチャが沢山入っていそうな(笑)
航/(キャスターになって)「だって僕の生みの親って世紀の変態ですよ(一同爆笑) 2回ぐらい捕まってるんですよー」
相馬/き、聞くのはやめておこう。行ってきますなのじゃー!(笑)