アナザーワールドSRS・リプレイ・狂気の使者は我にくる
■ 『 第1話 』 1ページ ■
2015年4月26日




 ●プリプレイ

 ――2015年4月26日。世の中では近年稀な超大型連休がが始まる初日とも言える日。
 セッション会場となるGM・マーサーの自宅に、新たなキャンペーンに参加するしゅうらすずか火種MUMAの4人が集まっていた。


GM/お久しぶりの長期『アナザーワールドSRS』キャンペーンセッションを始めていきましょう。まずは皆さん、お集まりいただきありがとうございますー!
プレイヤー2・すずか/ありがとうございます!
プレイヤー1・しゅうら/楽しみにしてきましたー!
GM/『ビクティムガール』以来、久々の長編シナリオを作って参りました。そして『4版』ルール公開後、初めての長期です。気合を入れて作ってきたので、一応は3〜4回のセッションを予定しています。
プレイヤー4・MUMA/一応、なんですね。
GM/最短で終われば3話の予定です。まずは、キャンペーン1話のハンドアウトをお読みください!



 アナザーワールドSRS 長期キャンペーンシナリオ 『狂気の使者は我にくる』



【レギュレーション】
 キャラクターレベル5で開始。PC1は教会外の能力者(教会非協力者)、PC2〜4は教会所属であること
▼シナリオ終了時、3〜4レベル分のレベルアップを予定。
▼追加ライフパス取得可能。機関、英霊など制限無し。
▼追加クラス[イレギュラー][アーティスト]取得可能。
▼合成ルール、狂化ルール、異端堕ちルール解禁。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:誘拐犯   関係:敵意 or 興味   推奨クラス:イレギュラー

 君はごく普通の一般人だ。5月1日22:27に電車に乗り、自宅に帰る予定だった。
 だが目が覚めたら、どこか知らない場所に閉じ込められた。
 「――さあ、儀式を始めよう――」
 能力者である親が「危険な世界がある」と教えてくれていたが、まさか自分が巻き込まれるなんて。
 何者かに恐ろしいことをされる! 恐怖に襲われた君は叫び声を上げると、PC2が助けに来てくれた。
▼セカイのイベント:何者かに襲われ、恐怖心を抱く。
▼NPC1:誘拐犯

 君を誘拐したらしい犯人。目隠しをされていたため、どのような人物か判らない。自分を使って何かの儀式をしようとしていたようだ。
▼初期配布イベントキー:『誘拐』
 君は何者かによって誘拐されたということを表現するイベントキー。このイベントキーは特技の効果で譲渡することができない。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:親しい人   関係:好意   推奨クラス:自由

 君はとても親しい人がいた。君と会う約束をしたまま、その日とは失踪してしまった。
 探しても行方不明になったまま、半年が過ぎるが未だに連絡は無い。
 そんなある日、5月3日。偶然通りかかった場所でPC1の声を聞く。
 拘束されたPC1は「何者かに誘拐された」という。君はすぐにPC1を保護した。
 もしかして、親しい人がいなくなったのも誘拐事件だったのではないだろうか?
▼セカイのイベント:誰かを助けたいと思う。
▼NPC2:親しい人

 半年前から姿を消してしまった人物。親友・恋人・家族など自由に設定してよい。
 失踪する前日、君と会う約束をしていた。何も言わず消えるような人ではなかった。

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:ライバル   関係:ライバル   推奨クラス:自由

 君にはとても強い能力者のライバルがいた。
 5月3日。そのライバルが死体になって発見されたと報せが入る。
 死体の体は悲惨な状態だという。簡単にやられるような奴ではなかった。一体ライバルの身に何があったのか。
 君は進んで教会の依頼を受けることにした。
▼セカイのイベント:ライバルの死を悲しむ
▼NPC3:ライバル

 [闘士]の能力者で、教会に所属していたエージェント。互いに競い合う戦友、喧嘩仲間、兄弟や師弟など自由に設定してよい。
 行方不明になる前日の夜まで連絡を取り合っていた。突然音信不通になり、死体となって帰ってきた。

【ハンドアウト:PC4】
 コネクション:『2225失踪事件』   関係:興味   推奨クラス:聖職者 or 処刑人

 君は、教会から『2225失踪事件』を調べる依頼を受けたエージェントだ。
 中央駅にて、5月1日の22:25、とある電車がホームの中に入ってきた。その電車は、ある筈の無い電車だった。
 電車に乗り込んだ乗客が行方不明になったという。しかもこれは、一度目ではないらしい。これ以上の被害者を出す訳にはいかない!
▼セカイのイベント:事件を追うため情報を集める
▼初期配布イベントキー:『2225失踪事件』

 読み方は、「にーにーにーごー・しっそうじけん」。
 その時間に入ってくることのない電車に乗った者が失踪するという事件。一回目は既に半年前に起きている。


プレイヤー2・すずか/PC1が、いきなり誘拐されてる……。
GM/PC1は目隠しと拘束をされ、誘拐犯が何者か一切判りません。そこにPC2が駆けつけてきてくれるオープニングを想定しています。……ああ、キャンペーンタイトルはね、全然思いつかなかったんだよ。なので『狂気の使者は我にくる』なんて長いタイトルは、仮名ってことで。
プレイヤー4・MUMA/にーにーにーごー……。に……こにこー……にー……(笑)
プレイヤー1・しゅうら/あ、やっぱりそれ考える?(笑)
GM/今回元ネタがありまして、『現実はどこだ』と『札幌地下鉄2226失踪事件』という、既存のお話を私なりにごちゃ混ぜアレンジして『AW』仕様にしました。今までの『ドロリア』が『Fate/staynight』、『アウトレイジエリア』が『Remember11』、『ビクティムガール』が『魔法少女まどか☆マギカ』みたいな元ネタレベルだけど、プレイするからには検索して調べることのないようお願いします!
プレイヤー1・しゅうら/はーい。どちらの話も見たことがないので大丈夫です!
GM/『現実はどこだ』は主人公が誘拐されるところから始まるシナリオ、『札幌地下鉄2226失踪事件』は電車で誘拐されるシナリオなんだけどね。クリアー後にチェックしてみてください……。さて、キャラメだけど。

 話し合いの結果、以下のハンドアウト結果で決定することに……。

プレイヤー1・しゅうら/PC1ハンドアウトを選択。
プレイヤー2・すずか/PC2ハンドアウトを選択。
プレイヤー3・火種/PC3ハンドアウトを選択。
プレイヤー4・MUMA/PC4ハンドアウトを選択。

プレイヤー2・すずか/以前、単発セッションで[イレギュラー]のPCを作らせてもらったので、今度は[アーティスト]のPCがやりたいな。
GM/ああ、『4版』テストプレイのセッション『傍らにある囀り』で、警視庁能力特命課の ゆたかさんをやっていたね。

 警視庁 能力特命課
 異能力関連事件担当の独立捜査課。
 異端や異端犯罪者の関わる事件は世間一般には公表されない。それは警察内部でも同様である。そんな中、ごく少数の能力者で構成された特命課によって、表向きの社会は守られている。
 今回のプレイヤー・すずかは、特命課の検視官・佐久間 ゆたか(画像 右)の中の人である。詳しくは、『AWリプレイ〜傍らにある囀り』か『NPCパーソナリティーズ』参照。


プレイヤー2・すずか/なので、今回は……アイドルのキャラとかやってみたい!
GM/いいね、いかにも[アーティスト]って感じで。大歓迎です。
プレイヤー2・すずか/…………。いなくなっちゃったNPC2って、プロデューサーさんとか?
プレイヤー4・MUMA/えっ。
GM/武内P、いなくなっちゃったの?(←この当時、『アイドルマスター シンデレラガールズ』放映中だった
プレイヤー2・すずか/あ、これは早く名前を決めてあげないと外見が武内Pで固定されちゃう(笑)
GM/そんないい人、なんでいなくなっちゃったの?
プレイヤー2・すずか/なんでですか!? 知りませんよ! PC2の私が聞きたいわ!(一同爆笑)
プレイヤー1・しゅうら/……うーん、PC1のハンドアウトに「能力者である親が」ってあるんですよね。どんな家なのかな?
GM/ごく一般家庭でお母さんが魔術師ってやつかもしれないし、大きなお屋敷なのかもしれないよ。
プレイヤー1・しゅうら/じゃあヤクザがやりたいです。
プレイヤー4・MUMA/ヤクザ?
GM/ヤクザか! ……しゅうらちゃん、本当に元ネタを知らないよね?(笑)

 実は……元ネタになった『現実はどこだ』はチャイニーズマフィアが絡む話、『札幌地下鉄2226失踪事件』はジャパニーズマフィアが絡む話である。
 今回の『AW』シナリオではヤクザ要素はカットしていたのだが、なんだか不思議な偶然であった。

GM/それではキャラクターメイキングが終わったので、長期シナリオ第1回を始めましょう。『4版』のルールブックはみんな、読んでくれたかな?
プレイヤー4・MUMA/はーい。
GM/今回は長期ということで色んなネタを仕込んでいるので、『世界観設定』や『NPCパーソナリティーズ』を読んでおくといいことがあるかもよ。さて、自己紹介をしていきましょう。PC1からどうぞ!

プレイヤー1・しゅうら(以降、桐久雄)/PC1の名前は、月見里 桐久雄(やまなし・きくお)です。主に前線に出るカバータイプです。精一杯みんなを守るぜ!
プレイヤー2・すずか/おお、良い子だ。
桐久雄/……あの、GM。かなり今更なんですが、追加ライフパスの≪L:機関「チルドレン」≫を取得してもOKですか?
GM/『4版』追加ライフパスの機関コネだね。強力な特技だから取得すればかなり有利になるけど……設定が結構特殊なものになるよ。それでもいい?

 ≪L:機関「チルドレン」≫
 ライフパス『ボーナス特技』で取得できる追加ライフパス特技。
 邪教信仰の超人類能力研究所『機関』で開発された強化人間、そこで生み出された異端や魔族、実験体にされた能力者であることを表わす。
 いかなるダイスロール+10。1シナリオに3回まで使用可能。

桐久雄/大丈夫です! それじゃあ、プチ令呪が3回使えるようになります〜。
GM/その機関チルドレンの桐久雄くんはどういう子なの?
桐久雄/性格はヤンチャ。お家はヤクザさんなんですけど、引き取られた養子です。高校3年生の今、家業には一切関わっていません。ただこれから関わる兆しがあって、「やだなー。卒業したくないなー。ずっと高校生を謳歌していたいなー」と思っています。
GM/青春してるなぁ。外見はどんなの?
桐久雄/髪の毛にカンザシを着けています。動くとチャラチャラ音がするよ!
GM/一見チャラ男成分と、育ちの良い名家の坊ちゃんぽさがあって良い外見だね。

 月見里 桐久雄(プレイヤー名:しゅうら)
 クラス:[闘士2/イレギュラー3]
  体力:11(+3)  反射:21(+7)  知覚:11(+3)
  理知: 6(+2)  意志: 9(+3)  幸運:14(+4)
  HP最大値:30  MP最大値:16
重要キーワード:失敗作  背景:(未来)から逃げている
特徴:床下手である  ボーナス効果:≪L:機関「チルドレン」≫
職業:高校3年生  性別:男  年齢:17
 スキルウェポン→≪デスブリンガー≫
 闘士→≪カバー≫ ≪命の糧≫ ≪護りの契り≫ ≪鳥躍≫
 イレギュラー→≪ヘル≫ ≪ソウルデバイス≫ ≪インドラ≫ ≪プロパゲイト:単一化≫ ≪デュプリケイト≫ ≪クイックコート≫

プレイヤー2・すずか(以降、あゆむ)/PC2キャラクター名は、叶 あゆむ(かのう・あゆむ)。アーティストの支援系で、回復もできます。私がクリティカルをするとみんなのダメージが上がる特技などがあります。
GM/おお、アーティストだー。
あゆむ/職業は、一応……事務所に所属しているアイドルです! ライフパスの『重要キーワード』は、「生き残る」。
プレイヤー3・火種/重要ですね!(笑)
あゆむ/ライフパスの『背景』は、「アイドルの仕事をしていた」……。特徴は「平凡」。
プレイヤー4・MUMA/か、可愛い。課金したい(笑)
あゆむ/中学までグループアイドルをしていました。地下から頑張ってきて、「明日はちょっと大きめなところでライブができるよ! プロデューサーさん、頑張りましょうね!」と言ってたのに……ライブ当日、プロデューサーさんは現れなかった。
桐久雄/か、悲しい……!(笑)
GM/ライブはできたんだね?
あゆむ/ライブの結果はガタガタでした。その後、他のメンバーも「もう中学卒業だしそろそろ芸能界も引退して高校受験に専念するわ!」と言い出したり……空中分解的に解散。
プレイヤー4・MUMA/ああ、悲しい……。
あゆむ/私は「プロデューサーさんが無責任にいなくなったりする訳が無い!」と事務所に残って頑張ってます。レッスンをしたり、他のアイドルの子のライブでの物販バイトをしています。だから最後までキャラメで悩んだけど、≪A+:ステージドレス≫じゃなくて違う特技を取りました。
GM/【防御点】を捨ててるのか。
あゆむ/取ったとしても【防御点】が2点上がるだけですし、あってもなくてもいっしょかと。ステージ衣装はなかなか着れないけど……きっとプロデューサーさんは戻ってきてくれるから私大丈夫です!
GM/悲しい……。なんでプロデューサーさん、いなくなったの?
あゆむ/GMに訊いてください!(笑)
プレイヤー3・火種/GMが……既に泣き咽んでいらっしゃる……(笑)

 叶 あゆむ(プレイヤー名:すずか)
 クラス:[領域遣い3/アーティスト3]
  体力: 9(+3)  反射: 9(+3)  知覚:15(+5)
  理知:13(+4)  意志:13(+4)  幸運:14(+4)
  HP最大値:18  MP最大値:28
重要キーワード:生き残る  背景:アイドルの仕事をしていた
特徴:平凡である  ボーナス効果:≪L:特技取得≫
職業:アイドル…です…。  性別:女  年齢:16
 スキルウェポン→≪ツールマスタリー≫
 領域遣い→≪強化術式≫ ≪箱庭の主≫ ≪大地の勅命≫ ≪彼方の音≫ ≪テリトリー≫ ≪全方位視覚≫
 アーティスト→≪ミューズ≫ ≪ミネルヴァ≫ ≪マイガーデン≫ ≪アメノウズメ≫ ≪ヒーロータイム≫

プレイヤー3・火種(以降、日葵)/PC3キャラクター名は、晩間 日葵(ばんま・ひまり)。29歳で一番年上のお姉さんです。職業は警備員。固定された場所で働くのではなく、派遣されるタイプの警備員です。ライブ会場の警備員とかもするときがあります。
桐久雄/じゃあ、あゆむちゃんのライブにも?
日葵/たびたび仕事で行くことがありました。それ以来、地下アイドルのファンになりました。ライフパスの『特徴』は「世話焼き」です。困った子がいると面倒を見たくなる女性です。それと……【HP】が59もあります。【体力】が11もありますから。
あゆむ/強い! 高い!(笑)
日葵/力関係なら任せてください。背も高めで声も低め、目つきもきつめで、ちょっと厳しめに見られてしまうお姉さんです。実際話してみると、そんなでもないです。
プレイヤー4・MUMA/名前も「ひまりちゃん」だしな、可愛い!(笑)

 晩間 日葵(プレイヤー名:火種)
 クラス:[狂戦士5]
  体力:33(+11) 反射:15(+5)  知覚:12(+4)
  理知: 1(+1)  意志: 9(+3)  幸運: 6(+2)
  HP最大値:59  MP最大値:15
重要キーワード:権力  背景:(地下アイドル)が好き
特徴:世話好きである  ボーナス効果:≪L:戦闘力上昇・命中値≫
職業:警備員  性別:女  年齢:29
 スキルウェポン→≪殺戮の身体≫
 狂戦士→≪乱舞≫ ≪特攻≫ ≪狂舞≫ ≪狂舞2≫ ≪単一化≫ ≪単一化2≫ ≪戦神の巣≫ ≪破壊者の孤独≫ ≪未完の奥義≫
 一般特技→≪強化手術:体力≫

プレイヤー4・MUMA(以降、ルリチカ)/PC4、二木 ルリチカ(ふたつぎ・るりちか)です。21歳大学生なんですが、大学が暇な時期なのでエージェントっぽいことをしたり、教会の書物庫で司書バイトをしています。犬神筋の生まれで、ライフパスの『重要キーワード』は……よく判らないけど「真理」です。
あゆむ/よく判らないんだ!?(笑)
ルリチカ/自分でもよく判ってないです(笑) データは回復系ですね。ファンブルでも振り直せる≪悔改めよ≫も持っているので、超頑張ります。あとは動物と話せたり、≪最奥の記憶≫を持っているので情報収集がメッチャ得意です。
GM/安定した回復役がいるから戦闘に関しては全然問題無いわー。ルリチカくんのデータはガチ組みだから、そのキャラシで10レベル戦闘ぐらいできそうだね。
ルリチカ/10レベル戦闘ならあの特技も取りたいし、この特技も取りたいですよー!(笑)

 二木 ルリチカ(プレイヤー名:MUMA)
 クラス:[感応力師4/聖職者1]
  体力: 9(+3)  反射:12(+4)  知覚: 9(+3)
  理知:15(+5)  意志:16(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:20  MP最大値:30
重要キーワード:真理  背景:(犬神筋)の血を引いている
特徴:コミュニティ(教会の書庫)の古株である  ボーナス効果:《L:薬物取得・興奮剤)
職業:司書バイト  性別:男  年齢:21
 スキルウェポン→なし
 感応力師→≪空間知識≫ ≪肉体復元≫ ≪肉体復元2≫ ≪念動障壁≫ ≪念動障壁2≫ ≪覚醒具≫ ≪空と心のリング≫ ≪バベルの唄い手≫ ≪最奥の記憶≫
 聖職者→≪霧暴き≫ ≪悔改めよ≫
 一般特技→≪興奮剤≫

GM/NPCのご紹介をしましょう。ハンドアウト2にあるNPC2……設定してもらった名前は、榊原 始(さかきばら・はじめ)。榊原Pか。あゆむちゃん、どんなキャラにする?
あゆむ/二つ性格がパターンを考えてきたんですけど、GMが選んでくれませんか?
GM/どんな人?
あゆむ/一人目は……見た目が怖いけど本当は凄く優しい。誰にも判らないところで一生懸命やっている縁の下の力持ちタイプ。
桐久雄/ああ、良いですねー。
あゆむ/もう一人は、笑顔で「大船に乗ったつもりでいてくれよ!」と大袈裟なぐらい胸を張るけど、裏では緻密なことを滅茶苦茶必死にやっている人。
日葵/そっちも良いなー!
GM/じゃあ、見た目が怖くて誤解されやすいけどアイドルの子達を笑顔にしようと胸を張って「大船に乗ったつもりでいてくれよ!」と言いながら誰も見ていない裏で緻密なことを一生懸命必死こいてやっている縁の下の力持ちをやります。
あゆむ/足して2で割りましたね!?(一同笑)
日葵/結局全部じゃないですか!(笑)
GM/まあ、そんな人はもういない。
あゆむ/ああぁーっ!?(笑) ……みんなは「逃げたんじゃないの?」って言ってるけど、私はそんなんじゃないって信じてます。
GM/プロデューサーさんがいなくなる前日をオープニングシーンでやろうか。(泣きそうな声で)なんでそんないい人、いなくなったの!?
あゆむ/本当ですよ! つらいですよ! プロデューサーさん、私高校生になっちゃったんですよー!?(笑)
ルリチカ/そっか、プロデューサーさんはあゆむちゃんの卒業式の姿を見ないでいなくなっちゃったんだ……(笑)
GM/あゆむちゃんは16歳、高校1年生だもんね。そういや榊原Pって何歳?
あゆむ/20代後半。……32歳にさせないように必死です(笑) 日葵ちゃんと同い年の29歳にしようかな。
桐久雄/……今、思いっきりGMが落胆した顔をしたんですけど(笑)

GM/次にNPC2。設定してもらった名前は小野 喜行(おの・よしゆき)さんだったね。どんな子かな?
日葵/私とは正反対で、とにかくチャラい。会ってくると「ウェーイ! 日葵ちゃーん!」って絡んでくる。
GM/ああ、日葵ちゃんがしっかりした女性だもんね! 年齢はどれくらい?
日葵/一回り違ったら面白いかな。
GM/一回り? というと、高校生か大学生?
日葵/大学入りたてですかね? 10歳年上が相手にも同等に接してくるタイプ。……あんなに元気に懐いてきてくれた男の子が死体で発見されたとなったら、凄く辛くなると思います(笑)
あゆむ/わ、判る……(笑)
GM/なるほど、19歳のチャラ男のエージェントね。了解。……榊原Pが29歳男性だから、大人キャラと子供キャラで演出を分けられて嬉しいな。
日葵/この調子でいくと誘拐犯は9歳ですね。
GM/業を背負いすぎだな!?(一同爆笑)
桐久雄/誘拐されたオレが「キミ、お家判る? どこから来たのかなー?」って言ってあげなきゃいけないの!?(笑)
GM/で、その喜行くんだけど、前日まで日葵ちゃんと元気にラインで話をしていましたが……彼は謎の死を遂げてしまうというオープニングシーンをやるよ。なんで死んだんだろうね。
日葵/夜の休憩中に話していたときは元気だったのに……。私が仕事中にも関わらずずっと「ねー? まだー?」「返事まだー?」って話し掛けてきてたのに……。
GM/君が知っているのは、彼が『進撃の巨人 関西弁バージョン』のスタンプを大量に貼りつけてくる男であったということだけ。
日葵/腹立つ!(一同爆笑)


 ●マスターシーン1

GM/早速ですが、マスターシーンから始めていきます。PC1の桐久雄くん、登場してもらうよ。
桐久雄/はい。
GM/桐久雄くんは今、水の中にいる。
桐久雄/え。
GM/水の中です。イン。ゴボゴボゴボ。口から鼻から、水が体内に入ってきます。
桐久雄/イタイイタイイタイ!?(笑) ヤバイヤバイヤバイ!? 水の外に出ようと もがきたいんですけど!?
GM/上に行けば水面に出られそうだけど、凄く遠いから無理なんじゃね?
桐久雄/なんだとぉ!? このままオレ、死ぬのかなぁ!?
GM/うん。そう思う。
桐久雄/ヤベエ。意識が薄れてきてる。
GM/体がどんどん重くなる。服が水を吸っているからだね。君自身が水を体内に吸い込みすぎて重くなっているんじゃないかな。
桐久雄/相手方のヤクザに沈められるとか映画でしか見たことないよー! こんなの現実にあるんだなー!?(笑)
あゆむ/でもコンクリのドラム缶も無いよ! まだ頑張れるって!(笑)
GM/水は赤い。こんな赤い海があるんだろうか。そもそも何故自分は溺れているのか思い出せない。
桐久雄/なんで……? って、考えている場合じゃないよー! もがもがもがー!
GM/ではここで、ボーナスの判定をしたいと思います。【意志】判定で。あくまでここはオープニングフェイズでもなくマスターシーンでの演出判定なので、失敗しても桐久雄くんにペナルティはございません。
桐久雄/オレ、【意志】は低いんですよー!?(ころころ)9です!
日葵/9だと……「普通の判定」の達成値ですね。
GM/赤い水が体内に入る。体が熱くなる。その熱さは痛み。激痛に体が耐えられなくて意識が歪んでいく。……だが。
桐久雄/えっ?
GM/桐久雄の手を掴んで引き上げようとしている腕がある。
桐久雄/……ええっ……。
GM/でもそれは、君の意識が朦朧としている状態の出来事。一体何者が、どのような存在が君を引き上げようとしたのか判らない。……そのまま君の視界は、真っ暗になっていく。

 「――さあ、儀式を始めよう――」
 暗闇の中、桐久雄の体に……そのような不穏な声が響き渡った。




 AW長期キャンペーンシナリオ 『狂気の使者は我にくる』 第1話



桐久雄/うわーい!? オレ、死んじゃったよー!
日葵/でもこれ、『AW』ですから。
あゆむ/まず死ぬから。安心して(笑)


 ●オープニングフェイズ1/あゆむ

GM/PC2のあゆむちゃんのオープニングフェイズからいきます。
日葵/まずはあゆむちゃんの心が死ぬターン!(一同笑)
あゆむ/心して死にます!(笑)
GM/明日は10月31日。ハロウィンです。いくつかのグループとの対バンの前日。……ライブの前日ってどんなテンションなの?
あゆむ/衣装を揃えてインカムをつけて通しのリハを二回して、「これで大丈夫! 明日は初めてのライブ! みんないけるよね!」ってニコニコしています。
GM/どうぞみんな、メンバーの子のロールをしてくれ。
桐久雄/(メンバーの子になって)「明日は頑張ろうね! ファンのみんなだって応援してくれているよ!」
ルリチカ/(メンバーの子になって)「絶対成功させようね! やっと私達、ここまで頑張ってきて……一つの目標に辿り着いた気がするよ!」
日葵/(メンバーの子になれなかった)つ・ら・い!(一同爆笑)
桐久雄/(メンバーの子になって)「長かったね……CDを手売りしていたときからここまできたんだよ。観客3人しかいなかったけど私達、頑張れた!」
ルリチカ/(メンバーの子になって)「それがこんなに大きなステージに立てるようになって、ほんっとーに夢みたい!」
GM/…………。オープニングフェイズを終わらせたくない!(一同笑)
あゆむ/終わらせてくださいよ!(笑) ……あ、あのね、明日のお客さんが楽しんで帰ってもらえるように頑張ろうね!
桐久雄ルリチカ/(メンバーの子になって声を揃えて)「うんっ!」(笑)
GM/キラキラと光り輝く大舞台を夢見て練習をしている中に、裏で立っていた榊原Pが「お前ら、ちょっと気が早すぎるんじゃないか。有頂天になりすぎると成功できるものも失敗しちまうぞー」と笑顔でやって来ます。とりあえず今日はリハはこれで終わり。解散の時間です。
日葵/ああ……Pが登場してしまった……(笑)
GM/榊原Pは笑顔で君達を激励します。「良くやった、とはまだ言わないぞ。明日が終わってからだ! あゆむ、今夜唐突な熱とか出すんじゃないぞ?」
あゆむ/は、はいっ! 榊原さんもお気を付けて!
GM/「冗談言えるぐらい余裕があるな。……以前みたいに鼻風邪を引いてたって仕事はできる」
あゆむ/ホントですかー……?(笑) 明日はみんなで、Pの恩返しだと思って頑張ります。見ていてくださいね!
GM/「おいおい、今から俺を泣かそうとしてるのか? まだ泣かねーぞ」 まだ中学生の君達は、プロデューサーさんの車に乗って自宅まで送り届けられることが日課になっています。A子ちゃんとB子ちゃんは先に家へ届けられ、一番家が遠かったあゆむちゃんは最後まで車の中にいます。
あゆむ/B子ちゃん、おつかれー! 明日は遅刻しちゃ駄目だよー! バイバイー!
ルリチカ/(メンバーの子になって)「あゆむちゃんこそー!(笑) バイバイー!」
桐久雄/……ニコニコ動画だったらそろそろコメントで「ざわ、ざわ……」って出ている頃ですよ(笑)
GM/時刻は夜10時。Pの車は榊原Pとあゆむちゃんの2人きりです。(榊原になって)「明日のことだけど……いや、何度も言ったな。明日のことは明日考えるのが一番だな」と、繰り返しあゆむちゃんを元気づける言葉を言おうとしているPがいます。
あゆむ/……プロデューサーさん、泣くのはまだ早いですよ。明日になったらステージ裏で泣かせてあげますから! みんなやる気満々ですから。ここまできたのはプロデューサーさんのおかげです。
GM/「……そうだな」 そのPの横顔。君の活躍を本当に期待している。……失踪する前兆など一切無い。「あゆむは、アピールポイントを書けって言ったのに履歴書に『平凡です』って書いたことがあっただろ」
日葵/キャラクターシートにそう書かれてますね(笑)
あゆむ/だ、だって……他の二人は可愛いし、歌も上手いし。でも私は全然何の取り柄も無いから。
GM/「それは今でも言うのか?」
あゆむ/いえっ! 平凡ですけど、頑張ってきたことだけは嘘じゃないです。それが私の取り柄です。……って言うのも平凡ですかね?
GM/「……オーディションに受かったお前を初めて見たとき、重圧に潰れはしないかって心配だったんだ」
あゆむ/うぅ。
GM/「でも、お前は……もしものとき、A子やB子よりも根性がある。何がっても諦めない、何事も長続きするように思える。あゆむは人を立てることが得意だからな、それを武器にこれからも頑張れよ」
あゆむ/私達、3人でユニットですからね! ……もうやだ、判っているのにこの展開つらい(一同笑)
GM/あゆむちゃんの家の前に到着します。Pは、暗い顔をします。「……不安だが。お前なら、どんな世界でも前に突き進んでいける……な」
あゆむ/もちろんです! だから……Pも一緒にこれからも頑張ってください。
GM/「……お前達アイドルを見ていると、キラキラと眩しくて……人間には良い人生があるんだなって思えてくるよ」
あゆむ/そんな、榊原さんもまだまだじゃないですか(笑) 男は30からってみんな言いますよ!
GM/「…………。ほら、中学生。もう10時すぎだ。いくら車の中でも、いつまでも家に入らなかったら親御さんも心配するだろ」
あゆむ/あ、はい、おやすみなさい! お疲れ様です!
GM/大袈裟な別れの挨拶もしない。数時間後にはまた会える。彼は駅前の駐車場へと車を走らせていく。……そうして、24時間後。
桐久雄/あ……ああ……(笑)
GM/ライブが終わった。お客様は帰っていく。……結果は、散々と言ってもいいんじゃないだろうか。
あゆむ/ええ……。
GM/ちゃんと歌も唄えた。ダンスも踊れた。パフォーマンスもできた。……ただ、何かが足りなかった。君達は朝から浮ついていた。不安が顔に出ていたのか、応援ですら悲痛なものになっていた。
あゆむ/つ、つらい……。言葉も出ない感じですね。
GM/もしプロデューサーさんが……失踪せずにこの場に居たとしたら、愛のあるお叱りをしたことでしょう。それをする人もいません。……代理の人が辛うじて君達の世話をしてくれたけど、榊原Pには到底及ばない。
あゆむ/……何度もラインをしたりメールをしたり、電話をしてみたりしますが?
GM/返事は何一つありません。メールも何も無い。事務所にも連絡は一切無い。……数日後、「警察が動いている」という噂を子供ながらに耳にした。
あゆむ/……中学生のできることを精一杯します。でも、たかがしれてますよね。本人の絶望ばかりが募ります。
GM/ハロウィンイベントは散々だった。A子ちゃんは「高校受験があるから」とグループ脱退を口にする。1月が過ぎ、2月が過ぎ、3月卒業……。高校卒業と共に、アイドルをやめるというB子ちゃん。「辛いことがあって、こんな精神状態でアイドルは続けられない」というのが彼女の引退台詞った。
あゆむ/うぅっ、妥当だよ、その理由……。プロデューサーさんのケータイに……「A子ちゃんが名門の○○高校に受かりました」とか「B子ちゃんは最後までレッスンを楽しそうにやってくれました」とか送りますよ。ちゃんと……新しい高校の制服姿の写真だって送りますよ。
日葵/ううう、でも返事はこないんですね……。
GM/あゆむちゃんは諦めずにメールを送り続ける。理由は、メールが何も返ってこないから。
桐久雄/……え?
GM/デーモンメールすら返ってこない。
あゆむ/うん。『送れる』んだよ。音信不通でも意図的に連絡先を変えられて切られた訳じゃないんだ。……送れる限りは送ります。ちゃんと警察にもメールが届くことを話します! なのになんで電波を追ったりとかで居場所が判らないんですか!?
GM/それは君には判らないことだ。……そうして月日が流れ、今日は5月3日ゴールデンウイーク。高校生になった君は、一人で……違うアイドルの子が羽ばたいていくのを見ている状態。ある先輩の女の子があゆむちゃんに話しかけてきます。「ねえねえあゆむちゃん! うちのPが凄い仕事を取ってきたの! 天気予報を読ませてもらえるんだって!」
あゆむ/す、凄い! 先輩、おめでとうございます! イエーイ!
GM/「イエーイ! あゆむちゃんありがとー!」
あゆむ/あっ、その天気予報って全国区ですよね! 先輩のご実家でも映るじゃないですか! 凄いですー!
GM/「そうなんだよ、やったー! これから星のことでも調べちゃおうかなー!? これから流星群とか見られる時期らしいしー!」……という風に、違う子を応援している日々を送る君。
あゆむ/うん……つらい。先輩が凄い仕事をできるのは自分のことのように嬉しいけど、やっぱりつらいな……。ちょっと図書館で天気の本を読む。……私もこれぐらい読めたら天気予報の仕事とか貰えるかな……。
GM/君は図書館からの帰り道、トボトボと歩いている。そこは駅前のような賑やかさは無い、住宅地でもない、人気の無い林の道。……そのとき。

 ンンンンー! ンンンンンー! ドタバタドスン!
 たっ、助けてくれぇーっ!


GM/……という、声を聞いた。
あゆむ/…………。犬かな?(笑)
桐久雄/キャウーン! 誰かー! 助けてくれぇー!(笑)


 ●オープニングフェイズ2/日葵

GM/長々とPC2のオープニングフェイズをしてしまいましたが、次はPC3・日葵のシーンです。
あゆむ/つらいの第2段がくるよー!(笑)
GM/警備員の日葵ちゃん。君は5月1日の夜勤の休憩時間、自分のスマホがピカピカと光っていることに気付いた。
日葵/……スマホを開く。『喜行 未読32件』……ああ、またか(笑)
GM/そんなに返事を急かしてくるなんて急用か? 君はそう思い、スマホを見ると……内容はどうでもいい内容だ。「ウサギかわいい!」
あゆむ/ウサギ?
GM/19歳の大学生である彼は、ゴールデンウイークにウサギカフェに行ってきたらしい。
日葵/ウサギの写真がめっちゃ送られてきてるんだな(笑) 奴が高校だったときも「これ夏服だよー! 見てー!」「うるさいっ!」みたいなやり取りをしました。
GM/可愛いな、君達(笑) ……喜行は、高校時代から教会のエージェントとして活躍している[闘士]の能力者だ。そんな彼も大学受験のときは不安がって、君にいっぱい相談してきたこともありました。
日葵/受験か。学生は大変だな。
GM/AO入試であっさり受かったんだけどね。作文で。
日葵/9月で受かってるじゃねーか!(笑) 心配して損したよ! 「やっぱ俺、天才じゃね?」ってやかましいわ!(一同爆笑)
GM/そんな彼は5月初日の今日、ずっとラインで「カワイイ子と夜までキャッキャウフフしてきたよ」とウサギと戯れる写真を無駄に送りつけてきてます。
桐久雄/健全だな!?(笑)
日葵/……32件を全部見る。返事は、「私の休憩時間は前に教えただろ」で。
GM/既読がすぐにつく。新しいウサギの写真が貼り付けられてきます。
日葵/謝罪が無いッ!(一同笑)
GM/「カワイイ子多くってウハウハだったよ。ねーねー、日葵ちゃんって動物好きでしょ? 今度連れて行ってあげる!」
日葵/私自身は動物が好きだが、動物には好かれない体だ。怖がらせるのは……。
GM/「リハビリだと思って。ゴー!」
日葵/アウトだ。
GM/「えー。日葵ちゃんだってゴールデンウイークでも休みぐらいあるでしょー?」
日葵/アイドルのイベントもゴールデンウイークだからあるに決まってるだろ。
GM/「せっかく俺、大学生になれたんだよ。遊び放題の大学生なんだから遊んでやってよ。男とかいないでしょ?」
日葵/これですよ、求めていたのは。
ルリチカ/求めていたんだ!?(一同笑)
GM/「あ、電車きた。乗るね」
桐久雄/……あ……。
GM/「で、日葵ちゃん。いつ休みなの?」
日葵/…………。ゴールデンウイークすぎの7日か8日ぐらいに休みになる。それまでお前は大学の友達と遊んでいろよ。
GM/「確かにサークルに2つも入って友達いっぱいできたけどさー。まあ、合コンいっぱいいって早くカノジョつくって姐さんに紹介できるようにするよ!」 ドヤァなスタンプをペタリ。
日葵/それは親に連絡しろ。私に連絡するな。
GM/既読はつかなくなります。
日葵/あれ? ……電池でも切れたか。あいつのことだから電池も見てないんだろうな。
GM/それから12時間後。返事は無い。
日葵/そのまま寝て、電池が切れたまま出掛けたか。
GM/24時間後。ツイッターもフェイスブックも一切更新は無し。
日葵/…………。
GM/そうして48時間後。5月3日。……世の中のゴールデンウイークは4月後半からスタートします。その頃から連勤だった日葵ちゃんは、ゴールデンウイーク中日である今日と明日は連休になりました。
日葵/結局ゴールデンウイーク中に連休が取れたのに……あいつと連絡がつかない。
GM/代わりに、高坂から電話があります。(高坂になって)「日葵ちゃん、今……大丈夫かな?」
日葵/高坂さんだ……! って私のこと、「ちゃん」付けなんだ?(笑)
GM/高坂は年下の女の子には誰にでも「ちゃん」を付けます。
あゆむ/謎の高坂ルールが発動した(笑)

 高坂
 様々な事件の仲介屋(コーディネーター)をしている男。PCのような能力者達に「仕事」を紹介することを仕事とする斡旋人。
 詳しくは『AW公式NPC・パーソナリティーズ』参照。1歳でも年下だったらどんなにダンディな男性でも「○○くん」、年上の魅力溢れる女性キャラでも「○○ちゃん」と呼ぶ。


日葵/……こちらは大丈夫です。どうかしましたか?
GM/「教会からの依頼だ」
日葵/仕事ですか。すぐに向かいます。
GM/即決した君に、高坂は押し黙る。「……先に心構えをした方がいいな。君に言っておかなければならないことがある」
日葵/なんでしょうか。
GM/「小野 喜行くんが遺体で発見された」
日葵/…………。
GM/「異常な状態で発見された。それ絡みの事件を君に話す。……喜行くんと親しかった日葵ちゃんにこの仕事をお願いするのは酷だと思う。でも、彼のことをよく知っていたのも君だ。頼んでいいかな。もし嫌なら違う子に……」
日葵/いえ、私にやらせてください。やります。
GM/「……日葵ちゃんはルリチカくんと仲良しだったね? 彼にもこの依頼を頼もうと思っている。礼拝堂で待っているから、彼と君が揃ったときに詳しい話をするよ」
日葵/判りました。礼拝堂に向かいます。……バイクで。
ルリチカ/か、カッコイイ!(笑)
GM/高坂は電話では詳細を話せません。電話は切られますが……日葵ちゃんの今の心はどんなものかな?
日葵/……流石にもう大人なので、泣いて取り乱したりはしない。でも、前日まで連絡を取り合っていたのが……余計に心にくる。あのときに何か異常に気付いていれば……後悔があります。
GM/……若干の後悔が胸を締めつける。でも、悲しんでいる場合じゃない。君は悩みを振りはらいつつ、教会の礼拝堂に向かいます。
あゆむ/ああ、喜行……。惜しい喜行を亡くした……。
桐久雄/オシユキを亡くしましたね……(笑)


 ●オープニングフェイズ3/ルリチカ

GM/ルリチカくんのオープニングです。このシーンに日葵ちゃんも合流してもらいます。……ねえ、ルリチカくんと喜行くんって年齢が近いから、面識があることでいいかな?
ルリチカ/はい。性格も絶対ウマが合うと思います。大学も一緒じゃないかな。
日葵/「俺、ルリチカのいる大学入るからー!」っていきなり言ってくるんですよね。入学式に。
ルリチカ/マジかよ! 俺はセンター入試で入ったぞ!(笑)
GM/「ルリチカセンパーイ! ルリチカのことちゃんとセンパイって呼べるようになりましたよー!」って1ヶ月間ずっと甘えてきてたね。
ルリチカ/よし、単位が取りやすい教授を教えてやろう!
GM/「センパイ優しい! 学食奢ってください!」(笑) 相性が良かった君達は頻繁に話をしていました。それに……[闘士]で前線系の喜行と[感応力師]で回復系のルリチカくんの戦闘的相性も凄く良い。
あゆむ/た、確かに(笑)
GM/では、ルリチカくんは高坂からいくつか話をされて、礼拝堂にやって来ます。時刻は正午前。一般人のシスターやお手伝いさん達が居ますが、君達のような異端絡みの仕事を受け持つ人が来ると気遣って席を外します。
ルリチカ/……高坂さんから「喜行が亡くなった」と電話があった後、すぐに礼拝堂に来ました。彼女ほどじゃないけど俺も喜行とは親交があった。……日葵ちゃん、大丈夫かな。
日葵/礼拝堂に入ってきます。……頷きだけで状況が判っていると伝えます。
ルリチカ/……机の上には事件の資料を積んでます。
日葵/……ルリチカくんに、喜行と会話をしたラインの履歴を見せます。
ルリチカ/ウサギ、可愛いね。
GM/(いきなり喜行になって)「このウサギ、ルリチカに似てる」
日葵/口元がかな!?(一同笑) ……これは2日前の会話だ。電車に入った彼は既読がつかなくなった。お前にも何か連絡は無かったか?
ルリチカ/いや、何にも。
日葵/そうか……。
GM/ルリチカくんと日葵ちゃんが集まりました。高坂ですが……なかなか来ません。
ルリチカ/ん?
GM/約束の時間は過ぎたけど、高坂は奥の部屋からやって来ません。中で誰かと話しているようです。
日葵/誰かと?
GM/ガチャッ。奥の部屋の扉が開き、高坂と男性の二人が出てきます。「それでは後ほど……」と高坂はスーツ姿の男性に頭を下げます。男性が何者か知りたい人は【理知】判定で難易度10。[聖職者]か[処刑人]である人はボーナスでプラス5してください。
日葵/【理知】か。(ころころ)10です。
ルリチカ/ファンブらなければイケる。(ころころ)プラス5だから達成値19です。
GM/二人とも判ります。彼は、鶴瀬 総支配人。教会で一番偉い人です。
あゆむ/ヨッシャ。
ルリチカ/キャー!? 鶴瀬さんー!?(笑)
日葵/やったー! 鶴瀬さんが出たー! 後で自慢してやろー!(笑)

 鶴瀬 総支配人
 PC達が所属している退魔組織『教会』日本支部 総支配人。
 異端事件の救助と解決への能力者派遣のシステムを生み出した創始者一族の生まれであり、かつて自身も教会のエージェントであった叩き上げのトップ。物凄く強いことでも有名。
 詳しくは『AW公式NPC・パーソナリティーズ』参照。もちろん組織のトップがそう簡単に出てくることがないので、NPC欄の中では結構レアキャラ扱いされている。


ルリチカ/ね、猫背のルリチカはそっと背筋を伸ばします!(笑)
GM/鶴瀬総支配人は君達に気付くとスッと会釈をし、そのまま礼拝堂から去って行きます。彼の存在に気付いた2人はこう思ってくれて構いません。「……総支配人が自ら来てるの?」「おおごとじゃないの?」
日葵/で、ですよね……教会で一番偉い人だもの。「こいつはヤバイ」なとルリチカと視線で会話します(笑)
GM/高坂が「遅くなっちゃってごめんよ」と君達2人に近づいてきます。「本当はこの場に……」 あれ?
日葵/どうしました?
GM/……GMのメモに「あゆみちゃん」って書いてあるんだけど、名前はあゆむちゃんであってるよね?
あゆむ/はい。あゆむです。
GM/ご、ごめん。直しておきます。(メモを修正して)……話を戻します。「本当ならこの場にあゆむちゃんをもう一人呼ぼうと思ってたんだけど、電話に出なくてね。後々彼女にも連絡するよ」
日葵/あゆむちゃんとも面識はあるんですね。
GM/ハンドアウトのレギュレーションに「PC2〜4は教会所属であること」って書いてある通り、一度か二度一緒に仕事をしている仲にしておいてください。「……先にルリチカくんには簡単な概要を話したんだが、改めて説明するよ」
日葵/お願いします。
GM/「5月1日22:25。中央駅の8番ホームにとある電車が入ってきた」
日葵/電車……。
GM/「しかし、その電車はこの世に無いものだった。本来8番ホームに入るべき電車は、22:27の下り線。知っていると思うけど日本の優秀な鉄道事情では1分でも遅くなれば大事件、もし早まったとしても時間になるまで必ず発車はしない……そうだろ?」
ルリチカ/確かにそうですが……。
GM/「だがあの電車は現れた。あの時間に中央駅8番ホームに入ってくる電車は15分に一度だ。ある筈の無い22:25の電車が発車したわずか2分後、本来の電車が到着した。……22:27に乗る筈だった50人は謎の電車に乗り込み、以後家に帰っていない。50人全員が行方不明となった。……電車に乗った全員が失踪したんだ」
ルリチカ/50人も行方不明ですか……!?
GM/「……喜行くんもあの時間、ホームに居た」
日葵/ラインの画面を確認します。
GM/きっかりと「電車きた」という文章の隣には、「22:25」とあります。
ルリチカ/……キャプチャ画像を、高坂さんにも送っておきましょう。
GM/「実はな、この事件と似たようなことが去年2014年の10月30日にも起きている。そのときにも45名の行方不明が出ているんだ。大人数だが行方不明者は未だ見つかっていない。……一度に45名が消えるなんて大事件で世間が騒ぎ出す前に、教会の手で記憶操作をした」 異能事件は隠匿が義務づけられているので、≪特権階級≫や≪マインドロスト≫+≪記憶の香り≫で一般人に対しては怪しまれないようにカモフラージュされています。
あゆむ/……あっ……!
GM/「なので、この事件は教会上層部と現場復旧委員会、警視庁能力特命課……それと君達ぐらいにしか情報を明かされていない」

 現場復旧委員会
 異端との戦いで破壊された建物や自然を元の姿に戻すべく派遣される教会内の部署の一つ。街並みを修復するだけでなく、異能を目撃してしまった人々の記憶操作なども行なっている。
 画像の人物は、委員会メンバーの領域使い・藤原 幸正。正体は、冥府の神・ハーデスであり、訳あって教会に就職している。

GM/この事件は明らかに異能の仕業だが、ここ半年間進展は無しだった。だが……ああ、5月1日にホームに入ってきたあの電車はおかしいものだった。確実にあの電車は、変な反応……そう、あの霊的な光は……」 確信をもって高坂は話しています。
ルリチカ/もう既に色々と判っているような口ぶりですね?
GM/「……俺もその場に居た」
日葵/えっ?
GM/「俺もあのとき、ホームに居たんだ」 高坂は、偶然違うホームで電車を待っていました。そこでメタ的に言うなら、[狩人]で[霊媒師]である高坂は【知覚】判定で喜行くんが8番ホームにスマホを持って立っていることに気付き、【意志】判定で22:25に入ってきた電車が異常なオーラを発していることに気付いたんです。
ルリチカ/そんな……。
GM/「……昨日の段階で何人かのエージェントと共に8番ホームを調べさせてもらった。見た者は俺だけだったがまだ残り香があったからな、あの電車が人工生命体であることが判った。言わば、ネコバスに喰われたようなもんだ
あゆむ/一気にファンシーになっちゃった!?(一同笑)
ルリチカ/ファンシーですけど……い、異端の口の中に入ってしまった? 自分自身で? それってオオゴトですよね!? そして高坂さん、最近『トトロ』見てましたね!?(笑)
GM/う、うん(笑) 「異端のような生命体ではなく、あれは人の手が加わった人工生命体だと思うんだが……。ううん、俺は存在に気付いただけで専門家ではないからな。まだ調べてみないとなんとも言えない」
ルリチカ/生き物ではなく、作り物というのは?
GM/「異端犯罪者が作った兵器の可能性もあるし、人に作られた異端というケースもある。研究の末に異端を製造していた研究も過去にあったしぐらいだしな」 過去のリプレイで例を出すなら、『サークルビショップ テラー』の異端「サークルビショップ」は魔物であり餌を得るため犠牲者を出していましたが、『ギフト』の異端「浸蝕者」はとある魔術師によって製造された人工生命体スライムが自我を目覚めて人を襲い始めたものです。また、『アナザー イブ ウィークス』の異端「ランダー」は、元からいた魔物をとある魔術師が改良して更なる脅威に進化させちゃったケースでした。
日葵/……色々、種類があるんですね?
GM/このような資料は教会の書庫に行けば全部見られるよ。きっとルリチカくんに言えばパパッと出してくれる。
ルリチカ/異端は人を食らえば食らうだけ強くなりますよね。……45人の次は50人を食いましたか。ヤバイですね。
あゆむ/お腹を空かせて口を開けたら人間が勝手に入ってくる……。ただ駅のホームに入ればいい。最高のコストパフォーマンスですね。
日葵/なんか……クジラみたい(笑)
GM/「それは、その電車が異端そのものだったらの話だがな。もし口に入った者をそのまま捕食して吸収するタイプだったら相当恐ろしい事態になる。別の可能性もあるから注意してくれ。……さて、話を少し変えるぞ。喜行くんの話だ」
日葵/遺体になって発見されたんですよね。
ルリチカ/……あ、そうだ。もし異端が電車を装って喜行くんを捕食したなら、吐き出したってことになるんですか?
日葵/異端がたった一人だけを吐き出した、と?
GM/「憶測でものを話す前に、実際に起きていたことを説明しよう。……ここから数分行ったところに『N神社』ってあるだろ。線路を下っていって、しばらく畑がずらっと並んでいるところにある竹林の神社だ。電車を使っている人なら電車内から見たことあるだろうけど、その神社で彼の遺体が発見された」
ルリチカ/どんな状態で?
GM/「彼は全身水浸しだった。衣服は水を吸い、全身は戦闘をした後なのか傷だらけ。刃で傷付けられていたよ」 写真を見せます。そこに映っている喜行は、かなり酷い状態です。
日葵/ぐっ……。
GM/日葵ちゃんには、ウサギと「イェーイ!」としていたあの写真の服装だと判ります。
日葵/……あの時間の後に電車に乗って、その後に何者と交戦した……と。
GM/「異端と思わしき電車が喜行くんや大勢を攫った。その後、彼は異常な状態で発見された。……君達に頼みたいのは、この電車は何者なのか、消えてしまった50人と45人はどこに行ったのか、喜行くんは何と戦ったのかを調べてほしい。表の警察と共に状況を確認を続けるがが、能力者である君達の協力が必要なんだ」
日葵/もちろんです。全力を尽くします。
GM/では、ルリチカくん。君に『イベントキー:2225失踪事件』を差し上げます。これにはデータがあります。

 『イベントキー:2225失踪事件』
 タイミング:オート   判定:自動成功   対象:単体   射程:視界   代償:なし
 2225失踪事件に関する資料を所持し、事件について調べていることを表わす一般特技として扱うことができる。
 効果:2225失踪事件に関する判定に達成値に+4。1シナリオに1回まで使用可能。


GM/この効果を使ったことによるイベントキー消失はありません。(高坂になって)「資料も簡単にだがまとめてもらった。だけどたった1日しか経ってない状態でまだ情報は少ない。君達には一から調べてもらうことになる。……日葵ちゃん、大丈夫かい?」
日葵/即答で、もちろんと答えます。仕事に私情は持ち出しません。……今回は違ったとしても、事件は必ず解決させます。
GM/「……俺も電車を見た唯一の目撃者だ。何でも協力しよう」
日葵/……早速仕事の話を始めます。二木、この資料を人数分コピーしておいてくれ。
ルリチカ/か、カッコイイ……!(笑)
GM/高坂の話は以上です。……さて、ルリチカくんは「コピーを取ってきますね」とその場を後にします。
ルリチカ/はーい。コピー機があっちにあるんで行ってきますねー!
GM/コピー機の上に女の子がいる。
ルリチカ/上!? そんな所にいたら機械が壊れちゃうよ!
GM/ごめん、言葉のあやだ(笑) 金髪ツインテールゴシックロリータ服の女の子は、すっと高い所から下に降ります。
ルリチカ/……(笑) つい注意をしてしまったけど、この子……誰だろう? ねえ、こんな所でどうしたの?
GM/彼女は早口で喋り始めます。「これから貴方達は、いえ、世界は大変なことになる」
ルリチカ/え。
GM/「貴方達を救済するために時間を超越しても、5月3日午前11時よりも前に遡ってはいけない。たとえそれ以上時を戻しても無意味になる可能性が高い」
ルリチカ/えっ……?
GM/「味方が集まったら始めるの。それが一番貴方達の救済にとって、最善の……」 ハッキリと彼女はそれを告げ、お腹を抑えて……ルリチカくんが瞬きをした瞬間に、彼女の姿は消えてなくなります。
ルリチカ/…………。
GM/コピーはできます。
ルリチカ/……コピーを取ります(笑) 何だったんだ、今の……。呆然と立ちながらコピー機を起動しますね。
GM/以上で、ルリチカくんのオープニングフェイズは終了です。次のシーンにいきましょう。
あゆむ/……ふええ。なかなか緊迫感のあるロリでしたね……。

 龍の聖剣
 金髪碧眼ゴシックロリータ服の女の子。通称「ロリ」。
 神の決定した運命を尊重し、異端が歪めた誤った世界を正すべくPC達に時間跳躍を提案する超越的存在。
 一度助けたことのある人物には親しく話をしにくるが、基本的に[世界遣い]や[稀人]以外の能力者の前には姿を現すことがない。


ルリチカ/ロリがお腹を痛い状態で情報を伝えてくれたってことは……メタな視点で言うなら、かなり世界がピンチだってことですね。
日葵/そうなんですか?
GM/ロリはどうすればセッションが終わるか大体の答えを知っているんだけど、直接PC達に「○○をして!」って命令しちゃいけないんだよ。やると消滅しちゃうから。……GMが「○○しなさい」ってゴールを言ったらTRPGセッションが破綻するけど、「こうするといいよ」ぐらいのアドバイスなら許されるってやつみたいなもん。
あゆむ/な、なるほど?(笑)
GM/しかもロリだけが消滅するだけならまだしも、運が悪いと世界自体も滅亡しちゃうぐらい大変なことになるんだ。「TRPGやる必要無いじゃん! こんな世界いらね!」って神様達が世界を消しちゃうんだよ。
桐久雄/だけど時々、本当に「これは無理ゲー! 何もしなかったらみんな死ぬ!」って思ったときだけ、ロリが無理してでも情報をくれるときがあるんだよ。あんな風にお腹を下しながら……。
ルリチカ/……つまりは世界滅亡シナリオってこと? ありがとうロリ、プレイヤーは無駄にしないよ! ルリチカは全然判らないけど!(笑)