アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 傍らに立つ囀り 』 1ページ ■
2014年11月16日




 ●プリプレイ

 大量の、できたてほやほやな印刷物を抱え、席に着く一同。
 セッション会場のGM・マーサー宅に、ろってしゅうら犬熊猫すずかの4人は集まっていた。


GM/『アナザーワールドSRS(以降、AW)』のセッションを始めるよー。2009年に初めて公開された『AW』、ついに満を持して『4版』が発表されましたー。
プレイヤー1・ろって/5周年だからですね!
GM/というのは嘘で。
プレイヤー4・すずか/はい?
GM/私のパソコンから『3版』のデータが全部消えました。なのでネットに上げていた『3版』のサイトをひーこら言いながら再度復元していたら、手直しをし始めてしまい、いつの間にか『4版』が完成してました!
プレイヤー3・犬熊猫/イエーイ、結果オーライ! 怪我の功名ー!(笑)
GM/みんな、バックアップは取っておこうな!(笑) という訳で、まだ未完成状態ですが『4版』のデータをプレイヤーの皆さんには印刷してきました。これでキャラメをしてもらいます。
プレイヤー2・しゅうら/GM、『4版』で追加された新クラスの説明をしてほしいです!
GM/そうですね。このたび『4版』では新しいクラスが2つ追加されました。それをご紹介していきましょう。一つは、[アーティスト]。
プレイヤー1・ろって/アーティスト?
GM/『芸術を扱い、正の感情を呼び起こす人達』です。『AW』の世界では負の感情を餌にする異端がいたり、正の感情でレベルアップするPC達がいます。美しいや面白い、楽しい気分にさせてウッヒョヒョーイとさせる職業クラスです。
プレイヤー4・すずか/ぶはっ。
プレイヤー3・犬熊猫/ぶはっ。
プレイヤー1・ろって/あっ、「ウッヒョヒョーイ」で物凄い被弾してる(笑)
GM/他のTRPGだと、「バード」と呼ばれている人達っぽいクラスだね。効果射程の大半がシーンで、絵を見た人全員、歌を聞いた人全員に効果があるような、基本的に支援系のキャラクターが作れます。シンガー、ミュージシャン、パフォーマー、クリエイター、アスリートなどができます。
プレイヤー3・犬熊猫/芸術かぁ……うーん、どんなものをやればいいか思いつかないなぁ。「戦隊物のヒーロー」もアーティストに入りますか?
プレイヤー4・すずか/入るよ、スタントマンも芸術だしね。自分の何かを見せることで他人の感情を湧き立たせる人だもん。
プレイヤー3・犬熊猫/なるほど! 肉体派な芸術家もいるってことですね。
GM/もう一つの追加クラスは、[イレギュラー]。枠からはみ出た人を表わします。基本イメージは『教会所属ではない、エージェントではない人』を想定していますが、『普通でない人』をやってもらうためのクラスです。ちょっと違う力を得ている一般人や、堕天した神などもできます。
プレイヤー3・犬熊猫/なんか凄い人ができるらしいぞ!?(笑)
GM/過去のリプレイキャラだと、『越境ソドム』のレニさんは教会外のハンター、明虎くんや翼さんも教会に所属してない能力者というキャラだったね。『バッドルイド』の小陰ちゃんは神様だったのでこの例に当てはまるでしょう。「ちょっと普段と違う」「いつもの子とは変わっている」という意味で、こっそり潜入したりする特技も多いです。データ的には「アイテム使いのキャラクター」ができますよ。
プレイヤー1・ろって/おお、楽しそうですねー。
GM/今回のシナリオは、テストプレイも兼ねていますので[アーティスト]と[イレギュラー]を2人ずつ作成してもらいます。それでは、今回のセッションのハンドアウトを読んでください!



 アナザーワールドSRS シナリオ名 『傍らに立つ囀り』



【レギュレーション】
 キャラクターレベル7で開始。
 PC達は全員知り合い設定。全員教会に協力している能力者。PC4人中、2人がアーティスト、2人でイレギュラーであること。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:(愛する人)  関係:愛情  推奨クラス:イレギュラー

 君の愛する人は、恐怖症研究家だ。
 いつも患者のことを気に掛けていた彼は、研究のため1ヶ月前にケニアに飛んだ。
 2週間前、彼は帰国した。ケニアで恐ろしい目に遭ってきたらしい。傷心の彼を助けようと考えていたとき、彼からメールが届く。
 「ラジオをつけてくれ。自分が出演する恐怖番組が始まる」
▼セカイのイベント:NPC1を助けること。
▼イベントキー:NPC1(愛する人)

 PC1の恋人、家族など大切な人。名前や性別、年齢など自由に設定してよい。
 恐怖症(フォビア)研究家で精神科医。テレビにもよく出演している。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:(被保護者)  関係:愛情  推奨クラス:アーティスト

 君の愛する人は、余命いくばくもない。
 まだ幼いのに末期患者の彼を救えるのは現代医学ではないと言われて、早数年。それでも君は彼を支えてきた。
 知り合いのPC1と共に、NPC2の主治医であるNPC2を立ち直らせようとしていると、とあるメールが届いた。
 「自分が出演する恐怖番組が始まる。恐怖は駆逐できるんだ」
▼セカイのイベント:NPC2を助けること。
▼NPC2:(被保護者)

 PC2を慕ってくる子供。末期患者であり助かる見込みはない。
 タナトフォビア(死恐怖症)である。

【ハンドアウト:PC3&PC4】
 コネクション:異端『ベラーター』  関係:敵対  推奨クラス:アーティスト or イレギュラー

 君は、教会のエージェントと現役刑事だ。
 ここ1週間、謎の自殺事件が相次いでいる。異端の反応もあり、近々自分達が駆り出されると思っていたところにまた新しい自殺事件が舞い込んできた。
 次から次へとやって来る報告。君達が事件解決へ動き始めたとき、龍の聖剣が現れた。
▼セカイのイベント:異端『ベラーター』を討伐すること。
▼NPC3:異端『ベラーター』

 20〜30センチほどの大きな虫の形をした異端。自殺事件が起きた周辺で発見された。
▼NPC4:龍の聖剣
 人外。超越的な話題をする金髪碧眼の幼女。とってもふしぎ。
 君達の元に焦った様子で現れる。


プレイヤー4・すずか/ケニアに飛んだ……1ヶ月前に……?
プレイヤー1・ろって/なんか『プロジェクトX』っぽい。風の中の昴。
プレイヤー4・すずか/砂の中の忍者。
GM/みんなどこへ行った。
プレイヤー2・しゅうら/あ、アイエ? ニンジャナンデ!?(笑)
GM/今回のセッションの元ネタは、貴志佑介さんの小説『天使の囀り』です。正確には、その小説を元ネタにした某TRPG動画のシナリオを『AW』風にしてやらせてもらいます。みんな、読んだことは……(一同、首を振る)ないね。作者の貴志さんの作品は分類的にはホラーだけどちょっとファンタジー入ったものも多いので、異能ものとは相性は良いと思います。後で原作も読んでね!
プレイヤー3・犬熊猫/恐怖症に関しての話なんですか?
GM/はい。人にはごく普通に怖いものがありますが、恐怖症というのは日常生活に支障をきたすレベルで怖いものを指します。例えば、先端恐怖症の人はペンの先を見ただけで気絶してしまう人もいますね。それだと生活ができないので、治さなければならないという病気として通院をしている方もいるそうです。
プレイヤー1・ろって/それを研究しているのが、NPC1……。
GM/ええ。「タナトフォビア」についてですが、死に関して感じてしまっただけで発作を起こしてしまう人です。自分に死が近づいているにも関わらずタナトフォビアなんて辛いねぇ。
プレイヤー1・ろって/タナトフォビア……タナトスって言葉がありますよね。「死」って意味でしたっけ。
プレイヤー4・すずか/何らかの声を聞くやつですね。病気で死にそうなのに死恐怖症って、二重苦じゃないですか……コンボが決まってる。あ、ハンドアウトに書かれている『セカイのイベント』というのは?
GM/『セカイのイベント』とは、『4版』から追加された新ルールです。ルールというより、「キャラクターを作るにあたってそれさえ守っておけばGMは怒らないよ」というハンドアウトで提示される項目です。たまに「このハンドアウトは私に何をさせたいの?」っていうのがあってね、一文だけでも明文化させるのは大事だと学んだんです。という訳で、この『イベント』は「クエスト」や「使命」のようなもので、その一文を中心にキャラメをしてください。
プレイヤー3・犬熊猫/はーい!
GM/なお、『イベント』に書かれていることは広い意味で受け取ってください。今回のPC1は『イベント:NPC1を助けること』と書かれていますが、「死んだ方が助かる」と思ったら殺してもいいです。
プレイヤー4・すずか/い、いいんですか?
GM/GMはもし本当に殺してほしくなかったら、『PC1を生かすこと』って書くから。でもここに書かないということは、GMは『NPC1と強い縁があるPCを作ってほしい』という意図だと思ってください。
プレイヤー1・ろって/はーい。……私、[アーティスト]で音楽家がやりたいです!
プレイヤー4・すずか/おっ、早かった!
プレイヤー1・ろって/ソリスト、ヴァイオリン奏者をやりたいって思ってたんです! クラシックもやるし、フィドルといってケルティックな音楽をやる人を作りたいですー。
プレイヤー4・すずか/なら私は[イレギュラー]がやりたいかな。刑事がやれるのか、いいなー!

 そんなこんな、どのハンドアウトを誰がするか、話し合いを始める面々。
 相談の結果、以下のハンドアウト結果で決定することに……。


プレイヤー1・ろって/PC1ハンドアウトを選択。
プレイヤー2・しゅうら/PC2ハンドアウトを選択。
プレイヤー3・犬熊猫/PC3ハンドアウトを選択。
プレイヤー4・すずか/PC4ハンドアウトを選択。

 そうして相談し合うこと、数時間。データの相談だけでなく、PC達の関係について話し合うことまた数時間……。
 新データということで相談は長くなり、いつもなら2〜3時間程度のところ、今回は6時間という長時間を費やしながら4人のPCが完成。
 早速、ゲーム本編に移行した。


GM/キャラクターメイキングが終わったので、自己紹介をしていきましょう。PC1からどうぞ!

プレイヤー1・ろって(以降、小夜)/キャラクター名は、雨弦 小夜(あまづる・さよ)。[闘士]を5レベル、[アーティスト]を2レベル取りました。ヴァイオリニストをやっています。前に出て≪イノセントヒット≫で物理ダメージを与えます。最大7D6点のダメージが叩き出せますが、戦闘特化なので情報収集は何が出来るかって感じです。
GM/ほうほう、戦闘キャラなんだね。
小夜/NPC1の研究者の恋人、NPC2は面倒を見ている女の子という間柄です。
GM/……戦闘キャラなんだね。
小夜/はい。
GM/……戦闘キャラなんだね。ヴァイオリニストなのに、前線キャラなんだ。どんな戦い方をするんだろう?(笑)
小夜/ハンドアウトではPC1は[イレギュラー]推奨だったんですが、PC1で[アーティスト]をやらせてもらうことになりました。NPC2の患者さんを音楽療法で見守っていきたいと思います。

 雨弦 小夜(プレイヤー名:ろって)
 クラス:[闘士5/アーティスト2]
  体力:11(+3)  反射:12(+4)  知覚:14(+4)
  理知:11(+3)  意志:11(+3)  幸運:14(+4)
  HP最大値:26  MP最大値:26  正気度:6
重要キーワード:消失  背景:私の母は先生だ  特徴:研究者である
ボーナス効果:最大MP+2  スキルウェポンのイメージ:音叉で殴る
職業:バイオリニスト  性別:女  年齢:26  身長:?  髪色:?  瞳色:?
 スキルウェポン→≪イノセントヒット≫
 闘士→≪黄金の身体≫ ≪撃滅≫ ≪守護者の盾≫ ≪軍神の知恵≫ ≪殺界≫ ≪鋭敏感覚≫ ≪武闘家の血≫ ≪希望の勇姿≫ ≪受芸≫ ≪熱血の防壁≫
 アーティスト→≪ミネルヴァ≫ ≪セイシンオウヤ≫ ≪ミラクルドロー≫ ≪ライナーブロウ≫

プレイヤー2・しゅうら(以降、みすず)/PC2、キャラクター名は佐久間 みすず(さくま・みすず)! 性別は妹、年齢は17歳です!
プレイヤー3・犬熊猫/性別は、妹!?(笑)
みすず/動画サイトの投稿者をしている[アーティスト]です。えっと、ニコニコじゃなくて……ヌルヌル動画、いや、ニヤニヤ動画?
プレイヤー3・犬熊猫/ヌルヌル動画って、いやらしいな!(笑)
小夜/それ、多分ダメなサイトだからね!(笑)
GM/『ニヤニヤ動画』でいきましょう。ついつい見ちゃうとニヤニヤしちゃう動画サイトです。
みすず/そのニヤニヤ動画で、ゲーム実況や歌ってみた投稿をしている女の子です。ユーザー数は結構多いんじゃないかな? 特技は範囲選択でみんなの回避ダイスを増やしたり、ダメージをアップさせたりします。【HP】を回復させることもできるよ。
小夜/色々できるんだね。
みすず/でも≪念動障壁≫は1までしか取ってないので、ダメージ軽減は少なめかな? 令呪を使って補えていけたらいいね。攻撃方法は、実況で流れてくるコメントが実体化する。
小夜/凄い!? コメントが当たるんだ!?(一同笑)
みすず/弾幕でダメージ軽減するし、「wwwww」を生やせば生やすだけ≪念動障壁≫の効果が増します。
プレイヤー4・すずか/「おまえらの愛で敵に攻撃が当たらない」!(一同笑)
GM/凄い……凄く現代的なキャラクターだ……その発想は無かった(笑)

 佐久間 みすず(プレイヤー名:しゅうら)
 クラス:[感応力師1/聖職者1/アーティスト5]
  体力:12(+4)  反射:11(+3)  知覚:12(+4)
  理知:13(+4)  意志:13(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:29  MP最大値:33  正気度:8
重要キーワード:動物  背景:リスナーが神様だ  特徴:世話焼きである
ボーナス効果:特技1つ取得  スキルウェポンのイメージ:動画コメントを実体化させて攻撃
職業:動画配信者  性別:妹  年齢:17  身長:161cm  髪色:黒  瞳色:黒
 スキルウェポン→なし
 感応力師→≪念動障壁≫ ≪過去視≫
 聖職者→≪悔改めよ≫ ≪叱咤激励≫ ≪戦闘聖衣≫ ≪物品調達≫
 アーティスト→≪トート≫ ≪ハーメルン≫ ≪ミューズ≫ ≪アポロン≫ ≪オルフェウス≫ ≪アメノウズメ≫ ≪アメノウズメ2≫ ≪ライナーブロウ≫ ≪マイガーデン≫ ≪クリエイション≫

プレイヤー3・犬熊猫(以降、狛)/PC3、キャラクター名は伊伏野 狛(いぶしの・こま)です。26歳男性で、刑事さんをやっています。まだ新米だよ!
小夜/敏腕刑事さんじゃないの?
狛/『相棒』でポカやって殴られてる方です。先輩であるPC4さんに「センパイ!」って懐いてます。データは戦闘特化で、真っ先に≪デスブリンガー≫で敵を殴り、バステを与えます。
GM/頼りになる前線系だね。
狛/性格は、「センパイ! 見て! タンポポ!」って感じです。
プレイヤー4・すずか/タンポポに対してコメントを求められても困る。
狛/そんな感じの馬鹿をやりたいと思います。センパイの妹さんとも仲良しで、小夜さんとは小中高とずっと同級生でした。
みすず/あたしの兄ちゃんの愚痴は全部コマちゃんに言ってる。
狛/(いきなり相談を受けたように)えー、センパイはすっごくいい人ですよー! みすずさんの言ってるほどじゃないです、んなことないっすよー!
GM/愚痴を全部受け入れてくれるコマさん、優しいな……(笑) そして、小夜さんとは長い付き合いなんだ?
狛/同じ[闘士]だし!
小夜/同じ[闘士]だし。
GM/同じ[闘士]……だし……?(笑)

 伊伏野 狛(プレイヤー名:犬熊猫)
 クラス:[闘士3/狂戦士1/イレギュラー3]
  体力:14(+4)  反射:15(+5)  知覚:13(+4)
  理知: 8(+2)  意志: 9(+3)  幸運:13(+4)
  HP最大値:44  MP最大値:19  正気度:5
重要キーワード:一族  背景:センパイの命令を絶対に聞かなければならない  特徴:百戦錬磨である
ボーナス効果:特技1つ取得  スキルウェポンのイメージ:体術と銃
職業:刑事  性別:男  年齢:26  身長:?  髪色:黒  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪デスブリンガー≫
 闘士→≪獣のごとく≫ ≪守護者の盾≫ ≪軍神の知恵≫ ≪鳥躍≫ ≪浸蝕≫ ≪命の糧≫ ≪武闘家の血≫
 狂戦士→≪仮面の暴君≫ ≪機能維持≫
 イレギュラー→≪ヘル≫ ≪ゾーンバースト≫ ≪ハスター≫ ≪デュプリケイト≫ ≪インビジブルマン≫

プレイヤー4・すずか(以降、ゆたか)/PC4、キャラクター名は佐久間 ゆたか(さくま・ゆたか)。性別は兄。
小夜/性別が妹だったり、兄だったりなんなんだ(笑)
ゆたか/年齢は35歳、男性。職業は検視官です。遺体の出た現場に検証をしに行って事件性を探る仕事の人です。[霊媒師/世界遣い/イレギュラー]なので、視えます。
GM/幽霊も視えるし、ロリにも会えるね。
ゆたか/背景は「○○に命令できる」。……狛ぁ!
狛/はーいっ!(一同笑) センパイに呼ばれたらすぐ現れます!
ゆたか/ダメージ上昇や回復、情報収集特技など幅広く取得しています。≪断末魔の叫び≫を持っているので、異端に殺された現場に行くと、判っちゃうんだ。
小夜/まさに検死ができるんですね!

 佐久間 ゆたか(プレイヤー名:すずか)
 クラス:[霊媒師1/世界遣い1/イレギュラー2]
  体力: 9(+3)  反射:13(+4)  知覚:15(+5)
  理知:11(+3)  意志:10(+3)  幸運:15(+5)
  HP最大値:29  MP最大値:24  正気度:6
重要キーワード:権力  背景:部下に命令できる  特徴:朴念仁である
ボーナス効果:≪興奮剤≫取得  スキルウェポンのイメージ:拳銃と霊能力
職業:検視官  性別:男  年齢:35  身長:高い  髪色:白髪まじりの黒  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪グロウカリバー≫
 霊媒師→≪清浄の使者≫ ≪断末魔の叫び≫
 世界遣い→≪逆転運命≫ ≪君に幸あれ≫
 イレギュラー→≪ペネトレイトアイ≫ ≪シヴァ≫ ≪ハーデス≫ ≪インドラ≫ ≪ヒストリアー≫ ≪マジックコスメ≫ ≪リストーン≫ ≪ストリートワイズ≫ ≪ハスター≫
 一般特技→≪興奮剤≫

GM/NPCの確認をします。NPC1の名前が、神無 智純(かみなし・ともずみ)さん。男性で、PC1の小夜さんの……婚約者?
小夜/婚約者です。
GM/もう指輪を渡しているかな。お互い仕事で勢いがあるので、まだ結婚は先のようです。患者さんを抱えているのもあり、大変なお仕事を任されていますが、日常生活はとても充実しております。ちなみにコメンテーターとしてテレビにも出ている感じ。小夜さんはどんな人がタイプかな?
小夜/研究熱心な方だったらいいですね。強気に引っ張っていってくれる人だといいです。
狛/イケイケの研究者かぁ、それならテレビにも出演してそうな……?
GM/『ホンマでっか』みたいな番組に出ているイメージだけどいいかな。
みすず/イケイケ研究者ってことは、話している間についつい「チーン!」ってしちゃうタイプですよね!(笑)
GM/次にNPC2の紹介ですが、お名前は信濃 杏(しなの・あんず)ちゃん。みすずちゃんのお友達とのことだけど、どういう関係?
みすず/親戚です。一緒によく遊びました。同じクラスの同級生で、宿題を渡しに行ってます。
GM/どういう病気かイメージはある?
みすず/うーん……筋ジストロフィーですかね。
GM/体が動かなくなっちゃって病室から出られない末期患者というイメージでやりますね。
狛/これから自分で呼吸すらできなくなっていくんだね。
みすず/はい。……つらっ!
GM/今回のハンドアウトは辛いよ。後味の悪い小説を元ネタにしているからね。……さて、PC3とPC4さん。君達は「教会の高坂から依頼を何度か受けたことある設定」にしておいてください。二人とも警察という設定になったため、教会とコネクションがあることにしないとシナリオが始まらないからです。
ゆたか/了解です。
狛/警察組織での異能特命課なので、教会とは仲良しです!
GM/……『相棒』だから2人だけの特命課だけれども、連絡係のモブキャラを作ろうと思うんだ。教会と警察を繋いだり、GMが説明をしやすくするためのNPCをね。
ゆたか/そうですね。いた方が便利です。
GM/でしょ? 狛さんがワンコ系の性格らしいから……同じ後輩キャラだったらニャンコ系の子を出そうと思うんだ。名前を決めてほしい。
ゆたか/名前? ……ここに、コマさんがいるじゃないか。
GM/うん。
ゆたか/柳葉くんにして、ギバニャン(一同爆笑)
みすず/ギバニャーン!(笑) それ絶対署内でもいじられてるー!
小夜/ギバニャン! ギバニャン!(笑) ゲラゲラポーがずっと脳内にかかってしまう!
狛/ああっ、もうどうしても耳に残る歌と名前!
GM/最高の名前です!(笑) 連絡用のNPCはギバニャンでいくよ。それでは、早速ですが本編を始めていきますか!


 ●マスターシーン

GM/PC1の小夜さんのもとに、恋人の智純からメールが送られてきます。

 11月1日  TO.雨弦小夜  FROM.神無智純
 やっと飛行機に乗れたよ。
 検査が大変だったけど、なんとか調査団の人達と合流ができた。これから頑張ってくる!

 11月3日  TO.雨弦小夜  FROM.神無智純
 お休みは何をしている? 演奏会が忙しいかな。今年は聞きに行けなくて残念だよ。
 こちらは村人に歓迎されている。ビールはあっちの国でも人気みたいだね。凄く喜んでもらったよ。

 11月5日  TO.雨弦小夜  FROM.神無智純
 そろそろ生活には慣れてきたけど、疲れてきたかな。調査団の人達も泥まみれの生活には大変みたいだ。

 11月10日  TO.雨弦小夜  FROM.神無智純
 ちょっと忙しくなってきた。今みたいに毎日メールできなくなるかもしれないけど、寂しがらないでね?


小夜/毎日メールしてたんですかー!(笑) もうっ、無理しないでください!
狛/優しい人だなぁ(笑)

 11月15日  TO.雨弦小夜  FROM.神無智純
 大変なことになった。死ぬかもしれなかった。
 詳しい話は守秘義務があるから小夜には話せない。早く君に会いたい。帰るときは楽しい土産話を持って行くから、待っていてくれ。


GM/それから2日間、智純からメールは送られてこなかった。小夜さんは彼からメールが届くよりも先に、日本でとあるニュースを見て彼に起こった事件を知ります。『ケニア、○○地方で大規模な落石事故!』 その国名、地方の名前は智純が居る場所だ。
小夜/うわああ、大事件だ! 巻き込まれてるんですね、不安になる……!
みすず/れ、連絡はケニア大使館へ!
小夜/それだ! ……でも現状判っていることだけでも訊こうとしても難しいですか?
GM/うん。事務的な「日本人の生存者を確認しておりますので、何か判りましたらご連絡します」という返答だけしかこない。でも安心してください。翌日、ニュースで「日本人の死者はいません」と報道されました。……そうして今日、小夜さんは帰国する智純を待つために空港に居ます。もうすぐ智純が乗る飛行機が到着するよ。
小夜/はい、迎えに行きますー!
GM/テレビの報道陣が帰国した日本人を取り囲む……ということはない。君は落ち着いた空気の空港で、恋人の帰国を待つことができる。
小夜/智純さんの姿を見かけたら慌てて駆け寄りますね。と、智純さん……!
GM/声を掛けられて、疲れた顔の智純が君へ手を振ります。
小夜/ペコリとお辞儀をします。疲れているのなら、お荷物を運ぶのを手伝いますよ。
GM/(智純になって)「いやいや、そこまで女の子にやらせる訳にはいかないよ」
小夜/でもお疲れでしょう!? 少しぐらい私を頼ってくださいよー!
GM/「えー。……じゃあ、お願いしちゃおうかな」 どんなときだって笑顔を見せていた勝気な智純は、たとえ冗談でも君に重い荷物を持たせるなんてことはなかった。でも今は君に甘えている。心身ともに疲れているという証拠だろう。
小夜/……詳しい話を聞くにも、もう少し経ってからですね。
GM/「同僚に暫く仕事をするなと言われたよ」
小夜/智純さんは根を詰めすぎるときがありますから、それくらいでちょうどいいと思います。今は少しでも静養なさってください。
GM/話していると、智純は小夜さんの顔をすっと撫でる。
小夜/照れる。……ど、どうしたんですかいきなり!?
GM/「だって久々だったから」
小夜/そ、そうですね。だいぶ長いこと会えませんでしたから。
GM/彼は目立ちたがりで明るめな性格という設定ではあるんだけど、ここでチューする仲ですか?
小夜/ど、どうだろう!? ……公衆の面前ではしないと思います。
GM/じゃあします。
小夜/したー!?(一同笑) なんでー!?
GM/智純はしないキャラだと思っていた君でしたが、智純はまさかそんなことをしちゃいます。欲望だだ漏れてます。
小夜/あわわわわ!(笑) 気が気じゃなくて、どうしたんですかとも聞けない!
GM/「怖かったんだよ。あっちで死ぬかと思った目に遭ったからね。いくら杏ちゃんの死恐怖症を治そうとしてる医者の俺だって、死ぬのは怖い。だから、無事日本に帰ってこられて……君に会えて良かった……」
小夜/……そ、それは私も……です……。
GM/子供みたいに素直に甘えます。「大袈裟に言ってごめん。一歩間違えば怖い目に俺も……だったけど、体はこの通り元気だから。でも2週間ばかり仕事は休ませてもらうよ」
小夜/はい、そうしてください!
GM/「……ところで、杏ちゃんは元気かい?」
みすず/ラインでツーショット写真が送られてきます。
小夜/あ、元気です(笑) 写真を見せます。みすずちゃんと一緒で元気ですよ、変わらないでしょう?
GM/小夜さんのスマホを覗きながら、智純は「二人とも元気そうで何よりだ」と笑います。「病院には仕事しに来るなって同僚に言われたけど、顔を見に行くぐらいだったらいいかな?」
小夜/でも、本当に顔を見るだけですよー(笑)
GM/笑う智純。その顔は患者である杏ちゃんの様態を心から心配しているものです。……そういや小夜さんは智純と同棲してる?
小夜/結婚を前提にお付き合いしてるなら……。でもお互いお仕事が忙しいので、半々でしょうか?
ゆたか/通い妻、的な?
GM/彼の住むマンションに泊まることもあるけど、それぞれお家はあるって感じか。では彼は「……やっぱり疲れているみたいだ。暫く一人になりたい」と言います。
小夜/そうですね、落ち着きたいという気持ちはあると思います……。判りました。ただ、くれぐれもお気をつけてください。
GM/「うん。君だって年末に向けて大きな舞台があるんだろ? 根詰めないでくれよ」
小夜/大丈夫ですよ。アーティストは精神管理が大事ですから!
GM/「そうだった。でもクリスマスに体調崩したら嫌だよ。……じゃあね」 空港からタクシーに乗った君達。小夜さんは君の自宅前に下ろされる。そして小夜さんを送り届けた彼は、そのタクシーに乗って自分のマンションへと帰っていきました。
小夜/……彼を乗せたタクシーが見えなくなるまで見ている。けど、やっぱり不安ですね。
GM/それから2週間。たびたびメールをしたり電話で声を聞くことがあった。彼は優しく君と話し、君を気遣う。だけど心身ともに休息が必要なのか、君の前に姿を現すことはなかった。
小夜/音信不通ではないけど2週間経っちゃったんですね。本当によっぽどのことがあったんだな、どうしたんだろう……?



 ANOTHER WORLD SRS
  〜 傍らに立つ囀り 〜




 ●オープニングフェイズ1/小夜&みすず 〜病室の少女〜

GM/PC1とPC2、NPC2の杏ちゃんのシーンを始めにしましょう。12月1日の病院にて、杏ちゃんは闘病生活を送っています。PC2のみすずちゃんはお見舞いに来てくれるかな?
みすず/はい。杏ちゃんって好きなものはありますか?
GM/みすずちゃんと同じものが好きだよ。だから……ゲーム実況をしているみすずちゃんには負けるけど、ゲームが好きなんじゃないかな? 昔はよくゲーセンとか行ったね。数年前まで杏は君とどこにでも遊びに行くごく普通の女の子だった。でも今はもう学校に行けず、ずっとベッドの上で過ごしている。
みすず/どんどん足が動かなくなって、病室で一緒に過ごすことが多くなってきたんですね……。じゃあ杏ちゃんのベッドの横に座って、一緒に『Mマス』をしてます!
GM/……そっか、ビデオゲーム持ち込みは病室だとダメかもしれないけどスマホぐらいならOKか。現代人って良いなぁ(笑)
みすず/あたしハイジョ推しなんだけど、杏ちゃんは誰が好き!?
GM/アスラン(笑)
みすず/あとあたしはまいたるが好きー! ……という話をしてます!
GM/アプリゲームならタッチで済むし、複雑な動きもいらずに最新のゲームがプレイできる。良い時代だ(笑) 彼女の様態は悪化する一方。年を越せるか難しいらしい。……杏はスマホを置きます。「疲れちゃった……」
みすず/ブルーライトの見過ぎは良くないからね! 緑を見るといいよ、観葉植物とか!
GM/「……嫌。みすずちゃんと同じことする」 彼女はゲームにハマっているというより、みすずと同じ遊びがしたいらしい。でも動きがどんどん鈍くなってきます。……いきなりボロッと杏は泣き始める。
みすず/ええっ!?
GM/過呼吸気味なぐらい泣きじゃくり始めます。「なんっ……なんでっ……さっきまで遊べてたのに……なんで苦しく……なって……! なんで動かなくなっちゃうの……!?」
みすず/……手はみんな疲れるものだもん! 杏ちゃんだけじゃないよ!
GM/「……みすずちゃんも同じ?」
みすず/うん、同じ! あたしだって、ここの筋肉めっちゃ痛いもん!
ゆたか/それはやりすぎだ、ゲームは1日1時間な(笑)
みすず/そうそう、ゲームは1日1時間だって兄ちゃんも言ってたし! 1時間以上やってたんだから痛くなるのも当然だよ!
小夜/ヴァイオリンを持って、病室にコンコンっとノックします。お邪魔します。
みすず/あっ! ど、どうぞー!
GM/小夜さんは病室に入ると、ベッドの上で顔を抱えて泣く杏と、それを慰めているみすずちゃんの姿が見えました。
みすず/せ、センセイセンセイセンセイどうしよー!? みすずも半泣きですよ!?
小夜/みすずちゃん、貴方も落ち着いて(笑) 杏ちゃん、どうしたの?
GM/杏は言葉にならないぐらいガタガタと震えています。これはいつもの発作で、杏は死を実感してしまうと癇癪を起こしてしまうんです。「体がうまく動かない、そのうち全部動かなくなる、死ぬ……」といった風に、ナイーブになった瞬間大泣きしてしまいます。
小夜/咄嗟に『アヴェマリア』を演奏します。
みすず/おおっ。
GM/……すっと小夜さんは、ヴァイオリンを取り出した。
小夜/ゆったりめに演奏をします。いつもしてあげているように。
GM/……優しい音色は人の心を落ち着ける。それは彼女にも効果があった。杏は少しずつ泣きやんでいく。「ごめんね、みすずちゃん……ごめんね、小夜先生……わたし、怖くなっちゃって……ごめんね……」
みすず/いいんだよー! ねー!? センセイありがとねー!
小夜/いえいえ、落ち着いて良かったです。頭を撫でます。
みすず/わー、わぁー!
小夜/……みすずちゃんの頭も撫でます(笑)
みすず/わーい! 撫でられてるー!(笑)
GM/泣きやんだ彼女は、泣いていたことを誤魔化すように関係無い話をしようとします。「……ね、ねえ小夜先生。智純先生とはうまくやってるの? これからデートとかじゃないの?」
小夜/いいえ、今日は何も予定は無いですよ。最近彼は忙しそうなので……。
GM/「やることやってないの?」
みすず/やることやってるんじゃないのー?(笑)
小夜/や、やってないですよ!(笑)
GM/「やだよ、クリスマス前に別れるとか聞かされるの!」
みすず/そうだよ、クリスマス前って結構別れやすいんだよー?(笑)
小夜/ぐ、グサーッ! だ、大丈夫ですもん!(笑)
GM/……少しわざとらしい切り替えですが、杏ちゃんもタナトフォビアという恐怖症であることを自覚しているので、なるべく楽しい話をしようと頑張っています。さて、いきなりだけど小夜さんとみすずちゃんにメールが届きます。智純からの一斉送信のようです。
小夜/う、噂をすれば智純さん!?(笑)
みすず/わあ、もしやクリスマスデートのお誘いかな!? ……いや、だったらあたしにメールは来ないね。
小夜/もしかしたら杏ちゃんやみんなを呼んでのパーティーはありえますよ。メールの内容を確認します。
GM/「○時から○○局でラジオ放送がある。ぜひ放送を聞いてくれ。俺が出演する恐怖番組が始まる。そう、恐怖は駆逐できるんだ」
小夜/…………。何してるんだ、あの人?(笑)
みすず/小夜センセイ。智純センセイがラジオ番組に出演するって聞いてた?
小夜/ううん、ちっとも。……ラジオはつけられますか?
GM/スマホやノートパソコンからでもラジオを聞けるよ。
小夜/じゃあ、スマホアプリで聞きますね。
みすず/……あ、でも杏ちゃんには聞かせないようにできますか? メールには「恐怖番組」ってあったし、聞かせたくないと思うんですが。
小夜/そ、それもそうですね。
GM/OKだよ。杏ちゃんは智純先生のメールが気になるけど聞かないようにします。
みすず/はーい、スマホにイヤホンをつけて聞きますねー。
GM/小夜さんとみすずちゃんはイヤホンでラジオ番組を聞こうとしました。……一旦、シーンを終わりにします。


 ●オープニングフェイズ2/狛&ゆたか 〜自殺と虫〜

GM/12月1日、師匠が走るぐらい忙しい時期です。そして……2人だけの我らが特命課のもとにハンドアウトに書かれている事件が起きます。
ゆたか/変死体が上がったという電話が特命課にまわってきた。……行くか。狛、現場に向かうぞ!
狛/ハイ、センパイ!
GM/現場だという駅に到着。キープアウトされた女子トイレに入って行きます。現場は数人の警官が見張り、ギャラリーが群がり、若者が「何があったんだろー?」と写メり……。
みすず/(若者になって)なに、何かの事件かなー? パシャパシャッ!
ゆたか/撮るな! 散って散って!(笑)
狛/こらー、ツイッターに上げるんじゃないぞー(笑)
GM/そんな感じで警察の調査が入る駅は物々しい雰囲気になってます。駅では完全にトイレが使えない状態だ。
みすず/(若者になって)ぽんぺなう。
ゆたか/可哀想! ごめんね!(一同笑)
GM/先に現場へ到着していた柳葉くんことギバニャンが、ゆたかさん達に敬礼をします。「こちらです」と女子トイレの個室の前、女性の遺体が横たわっているところまで案内します。
ゆたか/手を合わせて、遺体の様子を見る。
GM/女性の遺体は、頭から水浸しになっています。
狛/うわっ。なんすか、便器に顔を突っ込んだんですか?
GM/「ご明察です」
狛/えっ。……オレ、凄くない!?(一同笑)
GM/「狛さんの言う通り、女子トイレの便器に顔を突っ込んで溺死だそうです」
ゆたか/ま、またえらい場所を選んだもんだな?
狛/……本当に自殺なんすか? 暴れた痕跡などは?
GM/「衣服の乱れなどは無く、トイレ前を映す監視カメラにも彼女以外に不審な利用者はいなかったとのこと。……なお、第一発見者である女子トイレの利用者は、『個室で鍵も掛けずに便器に顔を突っ込んで変な行為をしている女性を見た』らしいです」
狛/見ていたんすか。
GM/「最初は『昼間からの酔っ払いか』程度にしか思わなかったそうです。あまりの奇行に薄気味悪くなった第一発見者は、そのままトイレを去りました」 目に見えての事件なら叫び声を上げられるけど、単独の奇行だと見なかったふりしたくなるもんだし。
みすず/それは判る。
GM/「ですが、明らかにおかしいと気付いた利用者は駅員に声を掛けました。……駅員が確認しに行った頃には、水の張った便器に顔を洗うように突っ込んだまま、溺死していたとのことです」
狛/……センパイ! これ、怪しいですよ! 凄い怪しいですよ!
ゆたか/あのな、怪しくなかったら俺ら呼ばれないから。寝てられるから。
GM/「まったくですね」 ……ギバニャンも特命課ってことは能力者だから、何か能力を使えるんだよね。出来ればゆたかさん達に無い能力がいいな、何がいい?
ゆたか/おお、何にしよっかなー? ギバニャン、[領域遣い]とかどう?(笑)
狛/あ、ありがてえッス! [領域遣い]はメシがうまーい! ギバニャンの作るカツ丼はうまーい!(笑)
小夜/警察署で出てくるカツ丼って、刑事さんが作るんじゃないと思うけど……(笑)
GM/ごめん、脱線した。……鑑識の人が現れます。「実は駆けつけたとき、これが現場に……」 鑑識は、透明な袋に入ったセミの抜け殻っぽいものを見せます。
ゆたか/セミ? ……12月に?
狛/センパイすげえ! すげえセミっす、センパイ!
ゆたか/センパイすげえって言ってねーでお前も見るんだよ!(笑)
GM/能力者の君達はそれが普通のセミではないことが判る。……以前異端の調査ファイルで読んだ気がする。確かこれは、『ベラーター』と名付けられた異端だ。
ゆたか/ベラーター……見たことあるな。
GM/ちなみに、『AW』の世界に住む人外や異端は「上級魔族」と呼ばれる存在でなければ、死んだとき蒼い光になって死体も残らず昇華されます。このセミの抜け殻には魂が無くても消えないのは、透明の袋が魔術によって造られた特殊製だからです。
みすず/きっと[領域遣い]お手製の、ちょっとやそっと異端が暴れても破れない魔法の袋なんですよね!
GM/そうそう、≪自然の檻≫のように対象を閉じ篭める特技もあるからね。あともう少し発見が遅かったら消えちゃうところだった異端の痕跡ですが、早期発見で確保できたんです。
狛/(ハンドアウトを読んで)……あれ? セミの抜け殻って言ってましたけど、ハンドアウトには「20〜30センチほどの大きな虫」ってありますね。
GM/うん。20〜30センチほどの大きな虫だよ。
ゆたか/……うわ、キツイ!(笑)
GM/鑑識の人が言います。「2日前、4日前、1週間前にも不可解な自殺が起きている。確か2日前のガイシャは、昨日まで化粧に気を遣って綺麗にしていたのにいきなり自分の顔を壊し始めて死ぬとか……そういう死に方だった」
ゆたか/以前までの不可解な自殺事件で、虫がいたことは?
GM/(鑑識になって)「発見されてないな。だけど、この様子だと到着が早ければこの異端がいたと考えてもいいかもしれん」
狛/異端がいたんすね!(笑)
GM/異端がいたかもしれないんです(笑) ギバニャンは「……これは表の警察ではなく、我々能力調査課である特命課が全事件を再調査することになるでしょうね」と言います。
ゆたか/ギバニャン。お前、案外凛々しい奴だな。
GM/でもギバニャンは寒がりです。
小夜/「ギバニャンは腹巻をしてるよ」っていう情報が出た!(一同笑)
狛/は、腹巻をしてるんだ、ギバニャン。……負けぬ!
みすず/コマさんが負けない宣言をした!?(笑)
GM/ゆたかさんって検視官なんだよね。良い設定なので、【幸運】判定難易度10に成功したら、オープニングフェイズでもおまけの情報を手に入ることにしちゃいます。
ゆたか/俺に幸あれ。(ころころ)達成値14です。
GM/俺に幸あった。……遺体の様子は、顔以外はとても綺麗な格好をしている。持ち物からは、ウェットティッシュやアルコール消毒液が発見されます。
ゆたか/……このガイシャ、むしろ潔癖症なんじゃないか?
GM/ええ、潔癖症だと思います。外傷、薬物の気や魔術の痕跡などは発見できません。ではそんな捜査中の君達のもとに、とある協力者がやって来ます。名前は、高坂です。
ゆたか/うわぁ、本格的にあの人が来ちゃったー(笑)

 高坂
 退魔組織『教会』にて、様々な事件の仲介屋(コーディネーター)をしている男。PCのような能力者達に「仕事」を紹介することを仕事とする斡旋人。詳しくは『AW公式NPC・パーソナリティーズ』参照。
 普段は教会にエージェント登録しているPC達に仕事を持っていく。今回は任務を受ける系ハンドアウトのPC3とPC4が外部組織のキャラクターなため、いつもの「礼拝堂に集まってください」のオープニングシーンではなく、協力者として特命課の仕事場に登場した。


GM/(高坂になって)「今回の事件で異端の反応があったため、教会に協力要請をとご連絡がありましたので参りました。このたびもどうぞよろしくお願いします」
ゆたか/いえいえ、いつもどうもどうも……。
GM/「今回教会からエージェントとして派遣する予定の人物は、こちらに所属契約している雨弦 小夜と佐久間 みすずという2名の能力者に……」 高坂は事務的に話を進めますが、目の前の佐久間 ゆたかさんを見てハッとします。「……あれ? ゆたかさんの妹さんでしたよね、みすずちゃんって」
みすず/キラッ!(笑)
ゆたか/ゲッて顔をします。普通、身内って捜査に加えないんだけどなー!?(笑)
GM/「いえ、教会では普通なんですよ。申し訳無い」 夜鷹兄妹とか、赤林姉弟とか、家族内でのパーティーは何度も組んだことあるでしょ?(笑)
ゆたか/教会の人とはこういうとこが合わねーな!(一同笑) ……妹は出しゃばらせないように言っておきますグチグチ!(笑)
みすず/よーし、出しゃばろうーっと!(笑)
GM/「あ、でもみすずちゃんって前の事件でも大活躍したし、今期待の[アーティスト]ですよ! 頑張ってますんで! 今回もきっとハリキってくれて……」
ゆたか/だから心配なんですよ!(笑)
GM/「そうだ、こちらのカードキーをどうぞ。これを提示してくれればいつでも教会の書庫を利用できます」 外部組織の人間でもちゃんと情報収集できるよって宣言しておきます。
狛/ありがとうございます。でもオレ、このカードキーで情報収集できる気がしません!
ゆたか/物を取りに行かせるぐらいするかもしれないだろ!(笑) では……検視官としての仕事も行ないます。
狛/ということでギバニャン、調査だ!
GM/「かしこまりました」と……君達がまばたきをした瞬間、そこは現場ではなく上も下も右も左も判らないような空間になっています。
ゆたか/…………。
狛/……センパイ! オレ、この感覚に覚えがあります!
ゆたか/うん、俺もある。そしてめっちゃ帰りたい。今すぐ帰って自分の仕事に戻りたい(笑)
GM/ちなみにここにはギバニャンはいません。君達2人だけが……このウズマキで彼女の声を聞きます。龍の聖剣です。

 龍の聖剣
 金髪碧眼ゴシックロリータ服の女の子。通称「ロリ」。
 神の決定した運命を尊重し、異端が歪めた誤った世界を正すべくPC達に時間跳躍を提案する超越的存在。
 彼女が現れるということは、つまり異端が世界を歪めているということである。

GM/(龍の聖剣になって)「……伊伏野 狛、佐久間 ゆたか。お元気かしら?」
狛/ハイ、元気です!
GM/「……そう。元気そうね……」 そう言う龍の聖剣は、息切れをしています。
ゆたか/ん? そちらは元気ではないようだ。珍しい。
GM/「貴方達……今回の世界も……何も覚えていないのね……」 彼女の台詞を聞いて、【意志】判定難易度20で何かを思い出すことが可能です。難易度20のデジャブ判定なので、成功できたらラッキー程度で振っちゃってください。
みすず/20!? これは一体何人目の兄ちゃんなんだって話かな!?(笑)
小夜/ええ、一体何匹目のコマさんなんでしょう?(笑)
狛/トウッ!(ころころ)ダメでした、12です。
ゆたか/頑張れよ、[世界遣い]!(ころころ)俺も達成値12です。ロリの前でポカーンとしています。
GM/ロリは息切れを直しながら、キッと君達を見つめます。「……私が貴方達の前に現れるのは、これが最後。これ以上はループはできない。もう、体がもたない……。だからどうかこの世界を最後にして、じゃないと多くの人が死に……それだけじゃなく、最後まで頑張ろうとしたあの命が無駄に……」
狛/え?
GM/君達の視界が、ウズマキから現場に戻ります。
ゆたか/……キョロキョロ。
GM/ロリはいません。
狛/……センパイ、今のは?
ゆたか/……ちょっと珍しいパターンだったな。「これが最後」? 狛、覚えはあるか?
狛/いえ、オレには覚えがないです……。でも「これ以上はループはできない」って言ってましたね。つまるところ、オレ達は絶体絶命大ピンチって感じッスか!? どうしましょうね、これ!?
ゆたか/どうしような。……って働くんだよぉ!(笑)
GM/ギバニャンが「ゆたかさん達、どこに行ってたんですか」とやって来ます。
狛/あーっ! ギバニャンこそ何してたんだよぉー!?(笑)
GM/「調査を始めようと言ったのはそちらです」 ……では、2人は【幸運】判定難易度6に挑戦してください。君達が偶然にも「とあるラジオ放送」を聞いているかの判定です。
ゆたか/(ころころ)成功です。
ゆたか/2人とも成功したな。……署に戻る途中、車の中でラジオを聴いていることにします。なんか面白ぇ番組やってねーなー。ポチポチ。
狛/あ、ゲラゲラポーが流れてますよ。最近『妖怪ウォッチ』人気ですよねー(笑)
ゆたか/ごめんな、ギバニャン。ケータでもウィスパーでもなくて(笑)