アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 狂った果実 』 1ページ ■
2023年7月8日




 ●プリプレイ

 2022年、年末に『アワフェス2』のセッションを終えて「次は何のセッションをする?」といういつもの流れになったときのこと。
 マーサーは、参加者の1人イガにとある提案をした。
 「2012年頃にイガちゃんが作って遊んでいた某シナリオを私も遊びたいので、この『アワフェス2』のメンバーでGMしてください!」
 その会話から、半年が経過し……。


イガ(以降、GM)/昔やったシナリオを『アナザーワールドSRS』最新版でリメイクしました。良かったらご参加ください。
プレイヤー1・ピロ/新鮮なセッションのハンドアウトだ!
プレイヤー2・しゅうら/タイトルもキャッチコピーも格好良すぎてめっちゃワクワクしてます!

※注意! このリプレイには18禁表現が含まれております。
 望まぬ性行為の描写や反社会的な言動など過激な要素がありますので、苦手な人はご注意ください。
 また、プレイヤー達が「このシナリオが初発表されてから後に作られた作中設定」を話すシーンが多く含まれています。
 実際のシナリオプレイ順は『初発表時のセッション(2012年・リプレイ未発表)』→『ジェノゼロ(2016年)』『悪夢卓(2019年)』『月雫(2021年2月)』『ある裏卓(2021年10月)』『アワフェス2(2022年10月)』『OGF亜種特異点(2022年11月)』→本作(2023年)、となります。
 とあるキャラクターの認識について混乱する表現が多く含まれていますが、ふんわりした認識で乗り切ってください。




 アナザーワールドSRS・シナリオ「狂った果実」



【レギュレーション】
 キャラクターレベル6で開始。
 PC1は現代の時間軸に生きる人間。PC2は昭和後期に生きる人間とする。
 4人プレイの場合、PC1とPC2を2人ずつ分配する。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:貴瀬  関係:親愛  推奨クラス:世界遣い

 君は大切な人を火事で亡くした。
 月島邸で開かれたパーティーで発生した事件は、明らかな異端事件だった。
 だが時間は戻らなかった。それが許せない君は、時間を戻すように迫った。
 絶対に大切な人を取り戻すために。
▼セカイのイベント:龍の聖剣かルージィルにタイムスリップをさせる。
▼コネクションNPC1:貴瀬(デフォルト名。変更OK)

 PC1の恋人、家族など、大切な人。
 1988年7月に洋館で開かれたパーティーに参加し、火事で亡くなった。
▼コネクションNPC2:龍の聖剣かルージィル
 時間を戻す力を持つ存在。君と親しい関係を築き始めた。
 NPC1の貴瀬を救うために動いてくれなかったが、君が説得することで……。

▼PC1配布イベントキー『月島邸火災事件』
 1988年7月31日に発生した月島裕次郎宅の大規模火災事件。
 夏休み中に開催されたパーティーに多くの若者達が参加しており、40名焼死、生存者無し。
 表沙汰になっていないが、邸宅には魔法陣の痕跡、魔道具の設置、奇妙な焼死体など異端事件と思われるが、残念ながら犯人と思しき異端や異端犯罪者は特定できなかった。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:月島邸の少女  関係:興味  推奨クラス:自由

 君は貴瀬の知り合いだ。
 貴瀬から「小学生の女の子の家庭教師バイトをしないか?」と誘われた。
 悪くない話だ。とりあえず会ってみた約束の日……未来人が現れた。
▼セカイのイベント:月島邸で未来人(PC1)と出会う。
▼コネクションNPC2:月島邸の少女(名字は月島。名前自由変更OK)

 金持ちの親を持った女の子。洋館に住むお姫様のよう。

【解説】
 1:舞台は1988年。昭和後期です。バブルが弾ける前。「20〜30年前にタイムスリップするシナリオ」です。最初にやった卓は2016年頃だったので30年前設定でした。現代を2023年にしてもいいし、現代をズラしてもOKです。スタートは何年でもOKです。

 2:PC1にやってもらいたいことがあります。龍の聖剣かルージィルに、「NPC1を助けるためにタイムスリップさせてくれ!」と説得してください。
 龍の聖剣達は自分から提案はしません。PC1の説得に応じる形で、オープニングが始まります。説得に応じますので、自由にロールしてください。


プレイヤー1・ピロ/ハンドアウト:PC1を選択。
プレイヤー2・しゅうら/ハンドアウト:PC1を選択。
プレイヤー3・マーサー/ハンドアウト:PC2を選択。
プレイヤー4・ぷぇ/ハンドアウト:PC2を選択。

プレイヤー4・ぷぇ/すみませんイガさんGM! 英霊PCをやっても大丈夫でしょうか!? 昭和初期に没した文豪、夢野久作をやりたいなあと思っていまして……!
GM/想定してなかったですけど、やってくれてもOKです。でもシナリオの想定が「肉があって心がある人間」を対象にしています。なので人間みがないキャラを持ってこられると多分シナリオを楽しめない恐れがあれます。
プレイヤー4・ぷぇ/文豪なのでわりと人間くさいし、肉も心も血もあるやつ想定です!
プレイヤー3・マーサー/私は「バブルの遠坂凛」みたいな昭和のキャラをしたいです。肩幅ガッチリしたスーツを着込んだウーマンがしたいな〜。
プレイヤー1・ピロ/バブルの遠坂凛、バブル弾けたらヤバそう。
プレイヤー3・マーサー/まだバブル崩壊まで3年あるから。それに先のことなんて判らないわよ。そう、ここに未来人でもいない限りね! 犯人たちの事件簿ッツラ。
プレイヤー1・ピロ/それならPC1が金田一っぽいキャラにすれば良い? あ、推奨クラス[世界遣い]なら、≪逆転運命≫取ったら「ここでチェス盤をひっくり返す!」って戦人ごっこ出来るじゃん。
プレイヤー2・しゅうら/探偵っぽいキャラがいるなら助手っぽいキャラやるか〜(笑) ロリに迫れる強火っぽい性格の子……つまり蘭姉ちゃんみたいな? 2023年だと年齢的に人妻蘭姉ちゃんになるのでは?


 鴨頭草 縹(プレイヤー名:ピロ)
 クラス:[感応力師2/霊媒師1/世界遣い3]
  体力:12(+4)  反射:12(+4)  知覚: 9(+3)
  理知:12(+4)  意志:13(+4)  幸運:16(+5)
  HP最大値:24   MP最大値:32   正気度:8
  分類1:人間(MP+4)
  使用命中値:10  回避値:6  行動値:11  物理防御点:0  霊力防御点:0
重要キーワード:一族(古川家の親戚)  背景:心強い相棒がいる  特徴:大屋敷に住んでいる
ライフパス特技:≪コネ:魔王の落とし子・1「古川財閥 古川家」≫≪コネ:魔王の落とし子・2「居酒屋さきがけ」≫  スキルウェポンのイメージ:煙草の火、ライターの火
職業:探偵  性別:男  年齢:55  身長:180cm  髪色:茅色  瞳色:金青色
 スキルウェポン→≪パイロキネシス≫
 感応力師→≪一心同体≫ ≪過去視≫ ≪バベルの唄い手≫
 霊媒師→≪魂装支援≫ ≪断末魔の叫び≫
 世界遣い→≪逆転運命≫ ≪リライト≫ ≪未来の吐息≫ ≪禍福のさざなみ≫ ≪君に幸あれ≫ ≪未来視≫ ≪逆さ落ち≫

▼鴨頭草 縹(つきくさ・ひょう)の設定
 古川財閥分家・青森家筋の生まれで異端・異能力関係専門の探偵事務所を構えている。旧家の出なので実家はわりとでかい。
 異端者と関わる事も多く、魔王勢力や居酒屋さきがけとのコネも深い(『サクラ卓』のセンと関りのある古川家の人間、コイツでは?)。
 貴瀬とは昔馴染み。大事な友人であり、片想いの相手、だった。
 貴瀬の事件をきっかけに探偵業を始めた。


 三田 奈奈緒(プレイヤー名:しゅうら)
 クラス:[狂戦士3/処刑人2/世界遣い1]
  体力:17(+6)  反射:15(+5)  知覚: 9(+3)
  理知:10(+3)  意志:12(+4)  幸運:13(+4)
  HP最大値:33   MP最大値:23   正気度:7
  分類1:人間(MP+4)
  使用命中値:10  回避値:7  行動値:10  物理防御点:0  霊力防御点:0
重要キーワード:生き残り  背景:心強い相棒がいる  特徴:3D6人家族がいる
ライフパス特技:≪機関「チルドレン」≫  スキルウェポンのイメージ:大斧
職業:助手  性別:女  年齢:40  身長:170cm  髪色:青緑  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪巨大武器≫
 狂戦士→≪狩場≫ ≪暴食鬼≫ ≪仮面の帝王≫ ≪竜巻の群舞≫ ≪不屈≫
 処刑人→≪蛇の道は此方≫ ≪血の媚薬≫ ≪影の軍勢≫ ≪修羅≫ ≪赤の君≫
 世界遣い→≪禍福のさざなみ≫
 一般特技→≪興奮剤≫

▼三田 奈奈緒(さんだ・ななお)の設定
 どこにでもいる自称人妻(バーサーカー)。自宅からチャリで10分の鴨跖草さんの探偵事務所で助手兼家政婦としてパート勤務している。
 貴瀬は従姉妹の大好きなお姉ちゃん。この頃から友人の鴨跖草ともよく遊んでもらっていた。事件当時5歳。
 事件から程なくしてお引越し、家族みんなで機関のお世話になって楽しい(楽しい?)機関青春ライフを過ごす。機関が解体してしばらくしてから鴨跖草さんの探偵事務所にお世話になった。とっても信頼しています。
 お掃除なら任せてください! ビルごと吹き飛ばせます!


 宇津々 陽子(プレイヤー名:マーサー)
 クラス:[魔術師2/アーティスト4]
  体力:10(+3)  反射: 9(+3)  知覚:15(+5)
  理知:12(+4)  意志:12(+4)  幸運:15(+5)
  HP最大値:23   MP最大値:33   正気度:8
  分類1:人間(MP+4)
  使用命中値:10  回避値:6  行動値:16  物理防御点:2  霊力防御点:2
重要キーワード:ライバル  背景:服装を操ることができる  特徴:生真面目である
ライフパス特技:≪L:情報収集力≫  スキルウェポンのイメージ:宝石魔術・ガンド
職業:女子大学生  性別:女  年齢:20  身長:159cm  髪色:黒  瞳色:明るい黒
 スキルウェポン→≪ファインアーツ≫
 魔術師→≪千枚皮≫ ≪スペシャリスト:異端≫ ≪飛行の札≫ ≪幻想式≫
 アーティスト→≪ステージドレス≫ ≪オーバーパワー≫ ≪ミネルヴァ≫ ≪スポットライト≫ ≪アテナ≫ ≪セイシンオウヤ≫ ≪ミラクルドロー≫ ≪トランキライザー≫

▼宇津々 陽子(うつつ・ようこ)の設定
 1988年に20歳の女子大生。
 同級生・貴瀬から家庭教師のバイトを誘われてOKするぐらいそこそこの才女。頭がそれなりに回って自信がなきゃカテキョバイトなんてできるか。
 文学部2年。家は中流〜上流のなんちゃってお嬢様(長女ひとりっこ)で、魔術師の家系。一応進路希望は教師だが、華やかな人生を送れるなら何でもいいマイペース思考。
 大学は卒業まで遊んでコネを作る所だと思っている。洋服いっぱいお洒落満載で遊び惚けている。
 キャラクターイメージは「バブルの遠坂 凛」。どっちかっていうと「昭和のイシュタル」。


 夢野 久作(プレイヤー名:ぷぇ)
 クラス:[感応力師3/稀人2/異端者1]
  体力:10(+3)  反射:12(+4)  知覚: 9(+3)
  理知:15(+5)  意志:15(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:23   MP最大値:40   正気度:10
  分類1:人間  分類2:神霊
  使用命中値:9  回避値:9  行動値:9  物理防御点:0  霊力防御点:0
重要キーワード:平凡  背景:色んな仕事をしていた(大学の文学部中退、軍人、僧侶、新聞記者、郵便局長、農園主)  特徴:特殊性癖である
ライフパス特技:≪英霊「キャスター」≫  スキルウェポンのイメージ:鳴り物、火星の女召喚
職業:小説家  性別:男  年齢:30代前半  身長:185cm  髪色:藍色  瞳色:ニコ目(黒)
 スキルウェポン→≪パイロキネシス≫
 感応力師→≪サイコメトリー≫ ≪肉体復元≫ ≪最奥の記憶≫ ≪シンパシー≫ ≪覚醒具≫
 稀人→≪光の一手≫ ≪友の華≫ ≪却奪:心≫ ≪日常の復元≫
 異端者→≪偏執:異端≫ ≪異端の集い≫
 一般特技→≪コネ「魔法少女」≫

▼夢野 久作(ゆめの・きゅうさく)の設定
 大正から昭和初期にかけて生きた文豪。代表作品は日本三大探偵奇書の一つである『ドグラ・マグラ』、『少女地獄』や『瓶詰地獄』、デビュー作『あやかしの鼓』。
 猟奇な内容や狂気を描いた小説を、多数執筆している。猟奇嗜好だが、当人にサイケデリックなエピソードは殆どない。
 穏やかで淑やか、常にニコニコした顔の三十代男性。強い女性であるマスターに恭しく好ましく仕えている。
 大学中退ながら子どもに勉強を教えられる程度には知識もあり、愛妻家で良き家庭の父だったため、子どもは好きな性質である。


GM/PC1組さん、オープニングシーンに出てくるNPCは龍の聖剣とルージィルのどっちがいいですか?
プレイヤー1・ピロ(以降、縹)/龍の聖剣で。……俺、ルージィルさん、しゅき。正気が保てない可能性がある。
プレイヤー2・しゅうら(以降、奈奈緒)/正気を失っているところも見たいですが(笑)
GM/了解です。あと質問なんですが、1988年7月段階だとPC1の2人は何歳でしたっけ? 特に奈奈緒さんは結構な年の差がありますよね?
縹/同い年の幼馴染ですね。
奈奈緒/奈奈緒は当時5歳です。2人の足元にひっついてるイメージで、忙しなく股の間をぐるぐる回ってました。
プレイヤー4・ぷぇ(以降、夢野)/かわいい〜。飴ちゃんあげようね。
プレイヤー3・マーサー(以降、陽子)/1988年のブームの何かをあげよう!
夢野/(しばらく1988年の流行でググってみて)……1988年ってファイブミニの発売年だった。
縹/(同じく1988年でググってみて)1988年はドラクエ3が社会現象になったらしいよ。あとヒットチャート第1位は「パラダイス銀河」らしい……じ、時代(笑)
夢野/光GENJIがトバしていた頃ですね。
奈奈緒/ななお、炭酸飲めるもんよ〜!
夢野/シュワシュワするもの飲めるのエラーイ!


 ●マスターシーン

 『戦略は実にシンプルです。
 私達が望んでいるのは、信じられないほど優れたコンピューターを、持ち歩いて20分で使い方を学べる本にまとめることです。
 そして、これを無線リンクで実現したいと考えています。これにより、無線リンクを何にも接続する必要がなくなり、多くの大規模なデータベースや他のコンピューターに接続できるようになります』
 ――スティーブ・ジョブズ 1983年アメリカ国際デザイン会議にて


陽子/えっ、ジョブズ!? 1983年に会議で発言するジョブズ……って今めっちゃ高齢なんだね!?
縹/ジョブズ、すげえな……。
夢野/1983年でその発言って……叶ってるなぁ。

 「電卓もずいぶん小さくなった。私が考えていることなどその程度のもので、実にシンプルだ。全てを小さく、誰もが持ち運べるようにしたい」
 例えば……あの公衆電話を小型化したら。重いカメラを小型化したら。とても便利だろう? 現にレコードも今や10センチ以下に収めてしまった。今年にでもCDの売り上げはレコードを追い越すそうだよ。まだレコードの音が良いと思うが、そのうち音質にも文句がつけられなくなるようになる。
 今はこの大人1人分の機械だって、いつか知識が無い小学生でも難しい計算が簡単に使えるようになる。そういう未来が来るだろう。
 そういう未来は必ず来る。出来れば、私の代でそのような未来が見たい。見てみたいものだ」

 「……なんでもかんでも持ち歩けて、誰もが使えるようになる……。まるで全員が魔法使いになれるみたい。夢が広がりますね!」

 「その通りだよ。万人が魔法を使えるような世界にしたい。
 そのためには……複雑な電話やカメラといった魔法を、もっと手に取れる形にしていかないとだ」

 「ですよねー。あとは価格も安くするように作ってほしいです。魔法が使えるようになったよって言われても1億円必要って条件だったら庶民には絶対無理ですから」


夢野/昭和の人間にとって、令和世界は魔法世界か。

 「確かにそうだ。でも今やコンピュータも高校生がバイトをすれば買えるようになった時代だ。そこは未来の技術者諸君に頑張ってもらうとして……。
 そういえば貴瀬くん、君は夏季休業中にバイトは入れたのかい?」

 「あっ……ちょっとお家で色々あって、実は何にも決まってません。
 私、健全な学生なのでお金が必要なんですけど、まだバイト情報なーんにも仕入れてなくって」

 「それは珍しい。この時期、学生なら入れ食いだろうに。では、それなら…………」


奈奈緒/気になるリゾートバイト……。
縹/夏のホラー番組の冒頭じゃん……(笑)


 ●オープニングフェイズ1/縹&奈奈緒 〜思い出の人〜

GM/1988年7月26日。世は夏休みです。PC1達の知り合い貴瀬 紗々音は、どうやら数日出かけるそうです。亡くなる前の彼女と最後のシーンをします。
陽子/亡くなる前のNPC1。唐突なネタバレ!(笑)
夢野/覚悟を決めさせてくるやつ……。窓を開けると小学生のはしゃぐ声が聞こえてくる頃だね。
縹/大学前期が終わって解放感!
奈奈緒/お姉ちゃんが亡くなるなんてこの時は知りもしなかったのだ……。5歳児だからプールとか入っていよう。
陽子/夏だし家の外にビニールプールを出して水遊びしよ! なお、1988年の最高気温は32度だそうだ。
GM/2023年は7月段階で39度なのに!? 令和おかしいよ(笑)
縹/あちー、とか言ってるけど30度そこそこなんだよな……(笑)
夢野/令和の魔法で地球ごと冷やしてくれねえかな(笑)
奈奈緒/令和ちゃんもまた狂った果実! ビニールプールでちゃぱちゃぱ!

 GM/お外のビニールプールで遊んでいる奈奈緒のもとに、親戚のお姉ちゃんである紗々音がチューペットを持ってきます。「ななちゃん食べるー?」

奈奈緒/やた! チューペット! 食べるうー! 濡れた体で2人にひっつきます!
縹/びっしょり。うわあ、もう煙草もびしょびしょだよ……。俺のはー?
GM/「私のが無くなる」
縹/なんで1本しか持ってこねえの!?
奈奈緒/はんぶんこ! チューペットはんぶんできるよ! 2こをはんぶんこすると4こだから! みんなで食べるとななおが2こもらえる。お得!
夢野/かわいい方程式。天才〜(笑)
GM/奈奈緒の親戚である紗々音は、家はそこそこ遠いがたまにこうやって遊びにきてくれる。7月上旬は忙しかったが世が夏休みになると毎年来る。アイスとかスイカとか持ってきてくれる人だ。
奈奈緒/ななおの好きなもの全部知ってる! ささねーちゃんは天才! 親戚のお姉ちゃんお兄ちゃん、この時期一番大好きな存在になるやつ!
陽子/カルピスとかも持ってきて。
GM/そこまで金持ちじゃない(笑)
縹/お母さんには内緒で濃い目のカルピス作ってやろう。
奈奈緒/ひょう兄ちゃん濃いめのカルピス作れる! 天才!
GM/「そう……私は金持ちじゃない。だから金を稼がなきゃならない……」
縹/子供の前で世知辛い話すんなよ(笑)
GM/「ってな訳で明日から清里高原でバイトすることになったの。お土産は買ってくるから楽しみにしていてね!」
縹/お、いいな。避暑地じゃん。
奈奈緒/遠いとこ? しばらく会えないのー?
GM/「予定だと2週間滞在。そこ凄く色んなものあって、食べ物もグッズも……」
陽子/……清里高原、山梨県か。当時は芸能人のアンテナショップいっぱいあったらしいよ。
GM/イメージ的には「山の上の原宿」です。遠方の都外ではあるけど、原宿の竹下通りみたいなところでバイトに行くとでも思ってください。
夢野/おお、かなり栄えてる! アイドルのブロマイドとか売ってるんだ?
GM/きっとありますね。令和の今は廃墟都市な駅前になっちゃったらしいですが。
縹/今ちょっとググって調べてみたら「メルヘン廃墟」って出てきて悲しみ……。「ファンシーショップ全盛期の建物が空き家になってメルヘン廃墟」なのか。昭和レトロだな……。今だとグランピングみたいな自然を楽しむ観光が主流っぽいな。
陽子/清里高原だけじゃなく昭和に流行った大型施設や温泉街みたいな観光地は、今はどこもそうよね。
GM/自然豊かな所ですから。なので「人がいっぱいいる観光地に夏バイトしに行く!」と判ります。「お土産は何がいい?」
奈奈緒/あんぱんまんー!
夢野/アンパンマンは当時から子どもに人気(笑)
奈奈緒/幼女は近所のおねーちゃんにーちゃんがアイドルだから!(笑) あと……ささねーちゃんの写真! たくさん撮ってきて!
GM/「凄くかわいい建物もたくさんあるから撮ってくる! 縹は? 何が欲しい?」
縹/なんか地酒とか買ってきてくれればいいよ。
GM/「私まだ20歳なって浅いんだけど、酒ってそんなに美味しいもん?」
縹/酒、最高だろ。こういう暑い日に冷えたビールとか生きてる〜て感じするだろ。昭和だからどうせ未成年飲酒してます。
夢野/まだ緩やかな時代(笑)
GM/「縹ったら大人ぶってる〜。……あっ」 紗々音は、奈奈緒の母を呼ぶ。「おばさーん、ちょっとお願いがあるんですけどー」 そう言って奈奈緒の家へと入っていった。「おばさんありがとうございます! ななちゃん、これ借りるねー」
奈奈緒/んー?

 GM/奈奈緒の家にあった、女の子の人形を紗々音は抱えています。

奈奈緒/わあ! ばーちゃんちにあるやつ!
陽子/昭和レトロな人形!
夢野/なんか夜中に動きそう。
GM/うん、動く。ぽん、と紗々音が人形の頭に手を置くと、オルゴールの音が鳴ります。
縹/あー、オルゴール付きの人形か?
GM/「うん。バイト先の子がななちゃん……よりもちょっと年上だけどちっちゃい子でさ。お人形が好きだからちょっと借りるね」
奈奈緒/いいよー! ななおだと思って大切にしてね!
GM/「もちろん大切にする! 壊したりしないから! 暴れるような子じゃないしね」
奈奈緒/両手でハサミとか持って追いかけてきそう。
縹/オルゴール部分が壊れてくると、怖い。実体験(笑)
GM/「あ、そろそろ友人と待ち合わせしてるんだ。じゃあね」
奈奈緒/ばいばい、おねーちゃーん!
縹/気を付けて行けよ。あ! 8月に花火大会行くからそれまでには帰って来いよ〜!
GM/「8月中盤だっけ? ちょうど帰る頃だから行くー」 気楽に彼女は手を振っていく。お土産を約束して。
夢野/……それが彼女を見た最後の姿だった……。
奈奈緒/君と夏の終わり……将来の夢……大きな希望……忘れない……。

 ――Y県K市の住宅で火事があり、周辺建物が立ち並ぶ辺り一帯に避難網が敷かれるほどの大火事となりました。
 警視庁などによりますと、31日午後9時すぎ、建物付近の住民から「煙が出ている」などの110番通報がありました。
 ポンプ車やはしご車など合わせて10台が出て消火活動が行われましたが、周囲は一時、煙が充満して騒然となりました。
 火は約2時間後に消し止められましたが、約■■平方メートルが焼け、20代から40代とみられる遺体が見つかっております。
 事件当時、多くの人が集まっており、住人の男性と連絡が取れていません。警察は遺体の身元を確認するとともに、詳しい出火原因を調べています――。


GM/2023年現在、当時のニュースはそう報じられたと君達は知っている。
奈奈緒/現実に戻ってきた……。
GM/2人が認識している事件は、こうだ。

 ・40人近い若者達が立食パーティーを行なっていた。
 ・そこで起きた火災で、古い建物だったせいか火災防止の施設が不十分だったため、避難が遅れたと思われる。
 ・近隣で営業している酒屋からアルコールが提供されているパーティーだったということ、また、大人数が全滅ということから、おそらくは燃え広がる前に一酸化炭素中毒で身動きが取れなくなった後に火が……という状況だと考えられる。


縹/ホテル火災とか……そういう事件もあったな。
奈奈緒/まだ防火扉とか設置義務も無かった筈。未然に防げる訳もなく……。
GM/火災報知器の義務化も無いです。1982年のホテルニュージャパン火災があってから5年は経過していますが、10年あれば違っても、たった5年では既存の建物、個人邸はそこまで徹底して火災対策をしていません。
陽子/ああ、まだ法律が整っていない時代なのか……小学校の防災訓練って偉大だな。そういう時代だったとはいえ、悲しい。
奈奈緒/仕方ない、で終わらせられれば良いのですけど、気持ちはそうもいきませんよ……。

 ・何らかの魔術的儀式の痕が発見された。
 ・異能力者による戦闘の痕跡が発見された。
 ・途轍もない魔力の残り香が観測された、が、全て消失している。
 ・エージェントの捜査は打ち切りのような形で事件は終息。


GM/PC1達がちゃんと落ち着いて調べたなら、このような結果も出てきます。
縹/…………。
奈奈緒/……納得、いきませんよね?
夢野/大事な人の事故だから、調べたのか。
縹/そのために探偵になったんだし、調べたよ。当時は教会も真っ当な組織じゃなかったし、まともに捜査してたのかも判らん。
陽子/そうだったわ……2000年初頭まで教会は癒着べったりな組織だもんね。
縹/って思うと、機関絡みの事件だったのかもしれんな。
奈奈緒/背景に隠蔽したい何かがありそうですもんね。……悔しいですよね、憎らしいですよね、現実って……。
GM/しかし何も判らなかった。時効も過ぎた。以上! エンディングフェイズです。セッションお疲れ様でした!
縹/終わっちゃった!
陽子/何も判んなかったね!(笑)
縹/はあ、こんだけ分かってんなら当時にタイムスリップでも出来りゃあなあ!
奈奈緒/ろりいいいいい! ヘイカモン!
夢野/呼ばれて飛び出てエクスカリバー!(笑)

 GM/「…………」 友人に呼ばれたので、龍の聖剣が出ます。

縹/出た!
GM/GMから先に言いますね。『龍の聖剣は何も発言しようとしません。頑張ってください』。
陽子/……異端事件だって丸判りなのに、ロリが動かない。理由……怖いやつだ、これ……。
奈奈緒/教会がダメなら、私達で何とかするしかないじゃないですか。私達でダメなら、貴方の手を借りるしかない。
縹/明らかな異端事件、多くの人命が失われた事件ならアンタらの出番なんじゃないか……と、おじさんずっと思ってるワケ。
GM/「…………」
縹/……おじさんになるまで、ずっと思い続けてた。でも世界は変わらなかった。
奈奈緒/私達、こんなおじさんおばさんになるまでずうっとこの事件調べてたのよね。……今更何を犠牲にしたって、怖くないわ。何に変えても、お姉ちゃんを救いたいのよ。
縹/ああ、何を犠牲にしてもあの事件だけは解決したい。
奈奈緒/お願い、龍の聖剣。
縹/たとえ今からでも、間に合うなら、戻らせてくれ。あのとき能天気に見送った後悔を晴らさせてほしい。……貴瀬がどうして死んだのか、死んだ原因は何なのか、そしてどうして今日の今日まで放っておかれたのか、それを知りたい。知らなきゃならない!
GM/龍の聖剣が、ある物に視線をやります。それは……遺品。火災があった館で奇跡的に燃えずに発見された、壊さないという約束を守り切ったかのように君達のもとに戻ってきた人形。それを龍の聖剣は、見ます。
奈奈緒/オルゴール人形……。
縹/……これが、鍵、か?
GM/「…………」
奈奈緒/手に持ちます。
GM/、  、     。音が鳴りますが、流暢な音はなりません。音階はもう歌えません。音が途切れ途切れに、吐息のように出るだけです。壊れているけど、破壊されてはいない遺品です。龍の聖剣はそれを苦々しく見ます。
夢野/何十年もたってるもんナア……悲しんでいるようだ。
縹/……人形≪過去視≫、できますか。
GM/≪過去視≫ですが……難易度20でOKとします。判定は【意志】でお願いします。
縹/(ころころ)達成値8……やっぱり見えんか。
GM/何故か≪過去視≫は発動しない。失敗する。  、    、    。途切れた吐息。
縹/きっと毎回、失敗してたんだな……。
奈奈緒/相当、見てほしくないのねえ……。
GM/あ、じゃあ【知覚】判定で難易度10をどうぞ。これは「嫌な顔をした龍の聖剣に対する判定」ですね。どうしてそんな顔をしたかを察するかの判定です。
奈奈緒/おお?(ころころ)11で成功です。
GM/奈奈緒は「龍の聖剣まじで悲しそうな顔してる。これ以上この話に首を突っ込むな、いや……酷すぎるだろ……でも気持ち判るけど」って顔してる。本気で悲しんでる、と解る。
夢野/2人を思って口を閉ざしているのだね?
GM/そう。優しさで遠ざけてる気になった。知らんけど。
奈奈緒/……優しいのね、聖剣。
縹/それでも、俺達は知りたい。
奈奈緒/ええ。聖剣は優しいから、きっと私達のこと、助けてくれるって信じてるわ。
GM/「ひどい子」
奈奈緒/うふふ、言われ慣れた言葉だわ。
縹/利己的ですまんな。
GM/「…………。1988年7月30日。そこへ貴方達を運ぶわ。世界を守りたい私から言えることは、『世界は既に守られた後なの。余計なことはしないで』。……でも、私は貴方達の心も守りたい。そう思ってしまったから……気が迷った、気が狂った。そうにでも思ってちょうだい」
縹/……ありがとう、恩に着る。
GM/「このことで世界が崩壊したら、私が悪かったんですとでも責任転嫁してくれて構わないわ」
縹/バカ、そこまでケツ持たせられるか。
奈奈緒/貴方のせいじゃないわよ。私達、私達がいけないって背負うから。狂ってるのは私達2人で十分。
縹/そうだそうだ。そんときゃ「狂った2人を止めるセッション」でもしてくれ。
陽子/狂った……。
夢野/果実……。
GM/龍の聖剣は棒読み気味に「あっそう、じゃあ貴方達のせいね。いってらっしゃいいってらっしゃいひどいひと」と言い、最後に本気の声で「……気を付けて」と声を掛ける。
奈奈緒/ありがとう、行ってくるわね、優しい子。
縹/無事に戻ってきたら貴瀬と一緒にアイスでも食いに行こうな。
GM/そうして彼女はウズマキのゲイトを開く。君達は、意を決してそこへ踏み込んだ。1988年7月へ。
縹/俺達のセッションはこれからだ!
奈奈緒/終わりそう!(笑)


 ●オープニングフェイズ2/陽子&夢野 〜いざ夏のバイトへ〜

GM/次はPC2のオープニングシーンです。先に、夢野さんに謝らないといけないことがあります。英霊キャラということで、人間として該当しないので一部描写を夢野さんだけ省略してしまうことがあります。
夢野/大丈夫ですよ! 覚悟で連れてきたので!
GM/代わりに陽子さんに犠牲になってもらいます!
夢野/ヨウ子、骨は拾おう。一番良い骨壺を抱えてるよ。
陽子/英霊は骨も残らんもんな!(笑) 何されるんじゃい!?
GM/PC2のオープニングは設定から例外的に「陽子さんのみのシーン」になります。訳あって夢野さんは登場しません。
陽子/はーい。
GM/PC2の陽子さんは暗闇の中で身動きを取れずにいます。
陽子/はい。
GM/…………。
陽子/はい?
GM/…………。
陽子/おひとりです。
GM/…………。
陽子/……こんにちはー?
GM/…………。
陽子/来い! キャスター!
GM/…………。
陽子/来い! あたしのサーヴァント!
GM/…………。
陽子/来ないんですね。
GM/…………。
陽子/うーん困った。これ夢かな?
GM/…………。
陽子/あとはウズマキの中……ではないな、何も見えないし。ウズマキだったら渦が巻いてる演出が入るしな。
GM/…………。
陽子/周囲をぺたぺた触ってみたりとかは?
GM/身動きができません。
陽子/ん〜……紗々音? いる?
GM/いません。誰も来ません。3D6振ってください。
陽子/ね〜、誰か〜!(ころころ)2と1と1だから……合計で4です。
GM/211日が経過しました。
陽子/ひえ?
縹/出目が低くて良かったねー!?(笑)
陽子/……生きてますか?
GM/身動きできません。生きてます。誰もいません。
陽子/……よく211日だって時間経過が判ったわね……どう精神を保ったんだか。
夢野/か、駆けつけたい気持ちがいっぱい出てきた……。
GM/4D6をしてください。
陽子/(ころころ)1と5と4と2……。
GM/1542日が経過しました。
夢野/ちょっとぉ!?
陽子/…………。なんじゃいコラ。
GM/5D6をどうぞ。
陽子/66666が出たらどうしてくれるんじゃい!?
夢野/逆にそんな奇跡が見てみたいが!?(笑)
陽子/(ころころ)4、2、6、6、1……。
GM/42661日が経過。身動きができず、生きてます。
陽子/なんで生きてるんじゃーい!? 恐怖ー!
夢野/えげつないな……。
縹/生きてるけど、逆になんでまだ生きてられるの……?
陽子/そしてあたしは考えるのをやめた! ふよふよ氷漬けエンド! 第二部・完!
GM/「私の声は届いたか?」
陽子/え?
GM/「おはよう。ちょっと電車の時間が長かったよね、やっと最寄り駅に着いたよ」 目を開けると君の友人・貴瀬 紗々音が肩を揺さぶり、起こします。
陽子/…………。夢? 夢オチか〜!?
GM/電車の外は青い空が広がる清里高原。席の隣には、もう1人のPC2である夢野さんも居ます。夢野さんも陽子さんの居眠りを起こしてください。
夢野/ヤア、長旅だったねえ。ヨウ子、どうかしたのかい?
陽子/おはよう青空! おはよう夢Q! おはよう髪カーテン!
夢野/髪カーテン!?(笑)
GM/紗々音は笑って、「おはよー。変な顔して寝てたわよ。疲れてた?」と声を掛ける。
夢野/あるいは、夢見が悪かったかい?
陽子/うーん……電車の中で首が変な角度で寝ちゃったから妙な夢を見たみたい。真っ黒で閉じ込められる超悪夢……。
夢野/ホウ? それはそれは、ゾッとしないね。
陽子/長旅だから休めるときに休もうと思ったのに……うーん悪夢。
GM/「何時間も電車がガタガタする中で寝てたんだし、逆に熟睡できたでしょ」
夢野/悪夢に利くマジナイがあるよ。せっかくなんでヨウ子に≪サイコメトリー≫で共有しても良いです? マスターのメンタルも和らげるためにも。
GM/共有してもいいですよ。60000日ぐらいの虚無を味わってください。
陽子/圧倒的虚無!(笑)
夢野/キミは俺の嗜好を知っているだろう? お言葉に甘えて≪サイコメトリー≫。……ああ、これはスサマジイ戦慄だ……。
陽子/なんで涼しい顔してんのよ、こっちは絶叫したっていうのに。
GM/「あ、バスが来た来た。あれに乗ってバイト先まで行くよ」 駅を出た紗々音は、明るく夏の青空の下で指を差す。まさに旅行1日目だ。
夢野/いいタイミングでバスが来たのがアリガタク思えるよ。
GM/「2人にバイトの詳細はだいたい説明してあるけど……あらためて説明しておくわね。バイトの内容は『小学生の女の子の家庭教師』よ。山の中、森の中の洋館で療養中の女の子がいるの。……ご病気でね」
陽子/わあ、お姫様みたい!
GM/「私も初めて会ったとき白雪姫かなって思っちゃった。体が急激に悪くなっちゃって学校に通えなくなったそうなの。夏休みの前からずっと休んで自宅でお勉強中。夏休み中……そのお相手をしてくれっていうバイトよ」
夢野/成程、ようするに深窓の令嬢と友達になるお勤めだね。
GM/「深窓の令嬢……まさにそんな感じ。でも性格はいい子だよ」
陽子/既にお知り合いなの?
GM/「バイトを教授から紹介してもらってすぐにね。2日間ぐらい相手をしたけど、体が弱いとこ以外は普通の子。浮世離れしてる訳でもないから、普通に接してあげてほしいな」
陽子/確か……ななちゃんよりも年上だっけ? 陽子もななちゃんのこと知っている設定にしますね。
奈奈緒/知り合いのねーちゃんが増えた!(笑)
GM/「うん、小学2年生だから7歳。ななちゃんはまだ5歳だからちよっとお姉さん」
陽子/小2か〜。かけ算を覚える頃ね!
夢野/良いバイトだ。子どもと遊ぶのは好きだよ。仕事としても仕事抜きにしても、お友達として勤めさせてもらおう。
GM/「夢野さん、助かります〜。というか陽子の知り合いに頭が良さそうな人がいてビックリ!」
陽子/それはあたしの知り合いがみんなアホだというのか、アホの友よ。
GM/「陽子は友人多いから助かる。それに、陽子には打って付けのバイトでしょ」
陽子/まーね。こちらとしては大学生のうちに様々なコネクションを作りたいし! これを機に教授とか色んな人との交流をしてね! 就活とか出世とか結婚とかで有利になって楽をしたいためにも頑張りたいの!
夢野/ヨウ子は人脈作りに余念がないね。いろんな経験を積むのは素晴らしいことだ。
陽子/ほら、頭良さそうな人が素晴らしいことだって言ってるでしょ!? 紗々音も敬え!
夢野/お恥ずかしながら大学は途中で抜けてしまったけれどね。けれども小学生くらいの子どもなら相手に慣れている。安心してほしい。
GM/「良かった〜。我々以外にも色んな人を呼んでるらしいし、夏休み中だからいっぱい出会いがあるかも?」
夢野/ワア、賑やかでステキじゃあないか。
陽子/楽しみ〜! そうだ、せっかく観光地に来たんだからお土産いっぱい買うわよー!

 GM/「すみませーん、もしかして君達……月島邸に行く予定なの?」 男性が話し掛けてきます。

縹/ギャルゲの男主人公みたいな人が来た。
夢野/確かに(笑) オヤ? 何か御用ですかな?
陽子/なーに? ナンパ?
GM/「もしかして、目的地が同じなのかなって」 20代前半ぐらいの、普通の今時(1988年)の格好をした男性です。
陽子/あら。もしや、家庭教師バイトのご参加の人です?
GM/男性は頷く。「俺も月島邸のバイトで呼ばれた大学2年。■■大学に通っていて……」と紗々音達とは別の大学名を言います。「良かったら一緒に行かない? このバスに乗るのでいいんだよね?」
陽子/あたしも清里高原初めて! こっちには紗々音っていう清里経験者がいるから頼りましょ!
夢野/俺も賛成だよ。旅は道連れ、という言葉もある。賑やかな方が楽しいし。
GM/紗々音は「2人がいいなら……」と頷く。「俺は沖田 猛(おきた・たける)。デジタル工学部に通ってる。よろしく」
陽子/沖田くん! デジタル工学部! なんかカッコイイわね!? あたしは宇津々 陽子、文学部2年よヨロシク!
夢野/沖田氏か。よろしく頼む、俺は……。マイナーだしそのまま名乗っていいか。夢野 久作だよ。
GM/紗々音も「貴瀬 紗々音です。陽子と同じ大学に通っていて……」と自己紹介します。沖田は「みんな美女だからモデルさんとかやってるのかと思った〜」と笑う。
陽子/美女でしょ〜!
夢野/エエ、咲き誇る花々と歩いている心地でしょう。
陽子/これ夢Qも美女カウントされてない?
GM/したつもりはなかったが面白いのでカウントしよ(笑) こうして4人はバスで月島邸に向かう。山を登る道に入り、数十分ほど揺られ、賑やかな駅前とは打って変わって物静かな……山奥の屋敷に到着した。古くも美しい洋館だ。庭も豪勢で広い。
陽子/すっごい雰囲気が良いお屋敷ね!? テンション高くなる! 人様のお家だから写真を撮ったりできないけど、ここも観光地みたいじゃない!?
夢野/弁えていてエライね、ヨウ子。網膜に焼き付けておくといい。
陽子/そしてこれは火災報知器なんて無いなと中の人は確信。
夢野/それな(笑) 俺の時代……大正の頃から在ったような風格だ。

 GM/はしゃぐ一同。そして、2階のバルコニー部分に小学生の女の子が居るのが見える。

陽子/あっ……あの子が?
夢野/オヤオヤ、これは何とも愛らしい。
GM/2階のバルコニーに居た女児は、誰かが来たことを見て、パァッと顔を輝かせて片手を振る。もう一つの片手には人形を抱いている。おそらく紗々音という既に知ってる人物を見て、「また来てくれた!」と嬉しくなったんだろう。
陽子/お元気!
夢野/フフ、子どもは元気が一番だね。ヤア! こちらも手を振り返しましょう。
GM/身を前に乗り出して、わーわーと手を振る。とても明るい笑顔の少女だ。新しいお友達を連れてきてくれたというのがとても嬉しいようだ。
夢野/身体が弱いと聞いていたけれど、思ったよりも明るくてホッとしたよ。
GM/パッ。……ひゅー。ぼすん。片手から、抱えていた人形が落ちた。
陽子/嬉しすぎてテンション上がって落としちゃった?
夢野/地面に落ちて汚れないようにキャッチしてあげたい。
GM/キャッチは……できません。遠くから手を振っていたので。でも拾い上げることはできますよ。近寄って拾ってあげてください。
夢野/じゃあ、オットって駆け寄って拾ってあげましょう。
GM/紗々音も笑って、「危ないから身を乗り出さないでね真白ちゃんー!」と夢野さんのもとへ近付きます。
夢野/ウチの子どももあんな時期があったよ。パタパタと人形から土埃を払ってあげて、人形のおててで、待ってて、ってジェスチャアします。
GM/    、    。
夢野/ン?
陽子/おや? それ、何か鳴った?
GM/「あ、きっとななちゃんちの人形と同じやつなんじゃない?」 紗々音は荷物から、オルゴール人形を出します。
陽子/あ、ドールの音ってこと?
夢野/ホウ、オルゴールが内蔵されていると。
GM/「多分ね。それは男の子の人形だけど……ああ、結構汚れてるね。いっぱい遊んだんだろうな」
陽子/もしかしてオルゴール人形って壊れやすいのかな? いや、子供がいっぱい遊んでたらそうなるか……。
GM/「ふふ、そうね。精密機器なのに子供の玩具にされるんだもん。そりゃ音も出なくなるわよ」
夢野/いいことだ。人形は子どもと遊んでクダビレルのが仕事だもの。
陽子/だからこそゲームボーイは凄い。爆撃にも耐える(一同笑)
GM/さて、庭園にはチラホラと人影がいます。どうやら沖田や君達のようにバイトで集まった人っぽい。数人が既にわいわいしています。
陽子/仲良くなれそうな人がいっぱい!
夢野/大盛況だね。ヨウ子も姫君も帰る頃には友達が山ほど増えるだろう。
GM/「逆に私は知り合い以外がいっぱいでちょっと不安……だったから、陽子達が来てくれて安心したわ」
陽子/夏休みなんだし色んな出会いした方がいいわよ? 山ほどコネを増やしましょ! 小学生の遊び相手でお金貰えるなんてサイコー!
GM/「小学生の遊び相手でお金貰えるなんてサイコー!」 そう陽子は叫ぶ。それをPC1組は聞いてください。PC1の2人は、洋館前の庭園で若者達がはしゃいでいる場所に降り立ちました。
夢野/お、PC達が合流した!
縹/到着早々、がめつい台詞が聞こえたな……(笑)
陽子/小学生の遊び相手でお金貰えるなんてサイコー! よーし今日から2週間のバイト頑張るわよー! ね、紗々音! 夢Q!
縹/親切な説明台詞!(一同笑)
奈奈緒/判りやすいわ〜(笑)
陽子/そういやこの屋敷の子の名前って真白ちゃんだっけ? 小2だけど光GENJIゲンジの曲好きかな? 光GENJIは今年の流行語間違いなしでしょ〜!
夢野/ウーン、彼らも爆発的な人気だが、今年の流行語はあれじゃないか? “今宵はここまでに”。俺達もあのオルゴール人形のように、彼女といっぱい遊んで清々しくクタビレよう。
縹/あっちはあっちで妙に不穏な言い回ししてる。犯人か?
奈奈緒/犯人みたいな顔してるわあ。
GM/タイムスリップしたてのPC達に親切(笑) なお、NPC達はイレギュラーな人が2人ほど増えても「バイトの人か」と思うので邪険にはしません。
奈奈緒/凄く混じりやすくて助かるわ(笑) でもみんな若いのね……浮いちゃわないかしら。
GM/では、紗々音が「夏休みの大学生ばっかだと思ったけど、あちらの人達は……教授の知り合いかな?」とPC1組を見ていることに気付く。
奈奈緒/……おねえちゃん……。
縹/……貴瀬、がいるな。
陽子/教授の知り合い! 大学関係者!? これは顔を売っておかないと! こ〜んにちはぁ〜!
縹/勘違いされた!(笑)
奈奈緒/コミュ強ねえ(笑)
陽子/こんにちは、あたし宇津々 陽子って言います! ■■大学の2年ですこれからよろしくお願いします! こっちは友人の貴瀬 紗々音! 今回のバイトを紹介してくれた友人で同じゼミに通っていまして〜!
縹/あー、こんにちは……。宇津々 陽子、そういや貴瀬の話に出てきたことがあった気がするな? 友達の友達だから小耳に挟んだ気がする……。
GM/では宇津々 陽子の名前を聞いた2人。【理知】判定で難易度6に成功したら陽子は7月31日の死亡者リストに記録された名前であると思い出せます。
陽子/死んだ。
夢野/えっ、まじかよマスター。
縹/(ころころ)11で成功。……確か、死亡者リストに名前があった子の一人だな。
奈奈緒/ですよねえ。(ころころ)7で成功。
GM/ちなみに、夢野さんも普通の人間設定で紗々音の友達だったら死亡した記録がありました。この卓では「マスターである陽子が死んだことで英霊の夢野は昇華された」という形で死にます。
陽子/夢Q! あんたも死ぬのよ!
夢野/死なば諸共。
奈奈緒/ここに集まっている人間はおそらく殆ど死んでるでしょうねえ……。
GM/紗々音も自己紹介をします。「貴瀬 紗々音です。ここのバイトには前にも来たことあって。でも先輩面できるほどではないので、むしろ色々教えてくださいね」
夢野/謙遜だね、貴瀬嬢。存分に先達として導いてくれてもいいんだよ。
GM/「そんなそんな、私より年上の方なら小さい子のお世話もお上手でしょう」 自分の母親ぐらいの年の奈奈緒を見て、そう言う。
縹/お嬢さん達も……ここの洋館に?
夢野/そう、そちらの貴瀬嬢の紹介で。俺は夢野久作と言います。まあ知らんやろ。
奈奈緒/有名人じゃないですか!(笑)
縹/夢野久作ってあの夢野久作の英霊!?(笑) えっ、サイン貰っとく?
夢野/え、我が作品をご存じで!?
奈奈緒/ドグラ・マグラ読んだ夜は毎晩ちゃかぽこしたものよ。
夢野/サテは同じ嗜好をお持ちで!? 手をがっしブンブン握手!
縹/夢野久作と同じ嗜好って言われると何かヤだな(笑)
奈奈緒/電子書籍で買ってるから本にサイン直接貰えないの残念だわ。
陽子/電書! 現代ワードだなあ!(笑)
GM/(紗々音になって)「たまに夢野さんの名前を聞いて驚く人がいるけど、夢野さんって実は芸能人?」
陽子/そのうち清里高原でもブロマイド買えるようになるんじゃない? ……えっと、お二人のお名前は?
縹/……なんて名乗ったものか、という顔。
奈奈緒/……どう名乗るか悩みますねえ。
縹/あ〜……花田といいます。縹色(はなだいろ)から、花田で!
奈奈緒/友達からは「ミタちゃん」って呼ばれてたからそう呼んでいいわよ〜。
夢野/では、ミタ嬢とお呼びしよう。
陽子/っていうか……お二人とも、夢Qが英霊だってすぐ判ったわね? もしかして能力者? 異能に理解あるタイプです?
縹/…………。立ち話もなんですし、そろそろ中に入りませんか? バイトの説明とか、他の子達とも顔合わせもあるでしょう。
GM/「あっ、そう言ってたら『入ってきてくださーい』って声が掛かりましたよ。行きましょう!」 紗々音は屋敷へ入っていく。
夢野/オオ、そうですね。お姫様が首を長ァくさせてしまう。
陽子/そろそろ入らせてもらおうー!
GM/縹と奈奈緒は、元気に入っていく3人を見る。……ここは1988年7月30日。紗々音はまだ生きている。明日ここで火災で死ぬなんて思ってない顔をして去っていきました。
縹/…………。はあ、緊張した。
奈奈緒/緊張したけど、なんだか感動しちゃった。
縹/ああ、そうだな。……救ってやらんとな。
奈奈緒/絶対に助けましょうね。今日初めて会った2人もいい子だったし、生きててほしいもの。
縹/というか、貴瀬に能力者の友達がいるなんて聞いてねえぞ。貴瀬さん自体は能力者かどうかは知ってます?
GM/2人は「貴瀬は普通の一般人」だと認識しています。
縹/偶然能力者と友達で、偶然行ったバイト先で異能関係の事件に巻き込まれて、か……。
奈奈緒/異端事件に巻きこまれた被害者って捉えていいのかなあ〜。起こす側じゃないといいなあって目を細めます。
縹/年取ると疑い深くなって嫌だねえ、奈奈緒さんや。
奈奈緒/あらあ、まだ私若い気持ちでいるわよお。でもま、疑わなきゃ生きていけないかもしれないから、大事よ探偵先生。
縹/エル知っているか、もうあいつらぐらいの子供が居てもおかしくない年齢だってことに。あっ、やべ、言ってて自分にダメージ来たわ……。
奈奈緒/いるわよ子供。そういえば奈奈緒は3D6人家族いる設定だったわ。
陽子/設定が「人妻」だもんね!(笑)
奈奈緒/3D6振りますね。(ころころ)3、3、1だから……。
GM/331人ですか?
縹/多いわ!(一同爆笑) 331人いたらちょっとした集落だよ!?(笑)
夢野/331人家族面白すぎる。野球チームどころじゃあねえ(笑)
奈奈緒/7人でもかさばるっていうのに! いやでも、機関出身ならあるかもしれない?(笑)
陽子/ほ、ほら! 旦那とお父さんとお母さん含めて7人かもしれないし! つまり3人子供がいるね! 充分多いわ!(笑)

 GM/「声は届きましたか?」

陽子/え。
縹/タイム。
夢野/……ん?
奈奈緒/……どなたかしら?
GM/「先ほどのメイドの声、届きましたか? 『お入りください』という声が。もう既に皆さんは入りましたよ」
奈奈緒/あらあらご丁寧に。入りますわあ。
GM/「ああ、いきなり失礼。この家の者です。こんなに集まってくれるとは思わなかったもので……皆さんをご案内してます。どうぞ、お入りください」
縹/お待たせして申し訳ない。いま入ります……。
陽子/…………。
縹/…………。この顔、アキバ特異点で見た! っていうか中の人が作った顔だが!?(笑)
陽子/中の人がGMしたラスボスの顔だが!?(笑) なんで悪魔がこんなとこに居るのぉ!?