アナザーワールドSRS・リプレイ・DROWNING/phantasmagoria
■ 第7ループ5話 『 Heavens Feel 』 9ページ ■
2010年6月9日




 第3ラウンドに突入。セットアップで青森は自身に≪魂砕≫を、エルはアサシンに≪灰色の波≫で【MP】を4点、≪結合双生≫で【HP】を10点回復する。相馬も≪自己再生≫で【HP】を24回復した。
 そしてアヴェンジャーは亜紀に≪縛鎖≫を使用し、【行動値】を9まで落とすことに成功する。


GM/では第3ラウンドメインプロセス、一番最初のターンはアサシンです。
航/アサシンは≪乱舞≫≪凶々しき武器≫で、青森と相馬に攻撃を行います。(ころころ)命中23です。
恐一/(ころころ)ああ、奇跡は起こらなかった。16だよ。
相馬/(ころころ)同じ16だ。
航/ダメージに≪特攻≫いきます。特攻しまくりだよお前……(ころころ)31点の防御無視ダメージ!
相馬/……無理、落ちる!
恐一/≪気迫の盾≫で軽減しても……足りない! ごめんな、相馬!
相馬/……相馬、倒れます。
亜紀/ああ、ごめんねっ……!
GM/相馬さんが【HP】0で、倒れました。……アヴェンジャー、消えます。

 アヴェンジャーことナグイェブは、黒須のサーヴァントである。
 黒須は『完全なる聖杯』を求めているため、他の者が完全なる聖杯を手にさえすれば勝敗にこだわることはない。
 バーサーカーとランサーは2人で生き残ることを目指しているため黒須が応援することはなく、逆を言えばアサシンの勝利は何としてでも支援する。……手駒であるアヴェンジャーを消滅させることなど容易いことである。また、アヴェンジャーもこのゲーム盤では『黒須の為にある駒』なので、黒須の一言で消滅することに何の疑問も持たない。


航/ナグイェブが……オートで自殺する。
恐一/それ、ダウナーさんや!(笑) 絶対カンタンに自殺してくれるよ!
GM/……では、最後の1体の英霊になったアサシンの前に、聖杯が出現します。
亜紀/……ついに、出た……。


 ●エンディングフェイズ1/February 15th Scene 3

GM/ビル街に神々しい光が舞う。その光はランサーとバーサーカーから生まれていた。弁慶は倒れかけていても膝をつくことはしない。槍で必死に立っていた。……そして、相馬にアサシンが≪凶々しき武器≫でトドメを刺す。どんな風にかな?
航/じゃあ、相馬さんの武器を凶々しくコピーしたってことでどうだろう。妖気を纏った刀で斬りつけて……。
相馬/うわ、悔しい! 自分の武器でやられるだなんて……! 袈裟掛けで斬りつけられて、悔しさにおのれと声を漏らしながら……膝をつきます。
GM/アサシンは「さっさと逝ってくれよ」と冷酷に声を発しながら、もう一度返すように斬りつけます。
相馬/……ガハッと血を吐きながら倒れます。
GM/容赦無く斬りつけられたとき……自身から光が舞う。昇華の光だ。
相馬/信じられないという目でその光を見ます。その後に……弁慶の方に向き直って、つい彼の本名を……「西白」と呼んでしまいます。
航/……相馬さんが倒れる瞬間に弁慶さんが受け留めてあげそう。
GM/そうだね、相馬が倒れるとき、後ろから受け留めます。(弁慶になって)「……バーサーカー」
相馬/ワシは……また……負けてしまうのか。
GM/「ええ……私も、また負けてしまいました。また……」
相馬/おぬしにせめてもう一度だけ信じてくれと言ったのに……。
GM/「……憎いです」
相馬/ああ……ワシはおぬしに淡い期待を持たせることだけしか出来なかったのか……。
GM/「ええ……憎いです。貴方は私にあれだけ『生きろ』と命じて下さったのに……その命令に従う事が出来ない自分が憎いです!」
相馬/……いや、いっそワシの事を憎んでくれ……! 力が及ばなかったのはワシも同じじゃ。寧ろマスターであるワシの力が及ばなかったからばかりに、あのような事を言ったばっかりに、おぬしにかえって苦しい想いをさせてしまった……。
GM/「令呪はまだありますか」
相馬/……もう、無いな。
GM/「そうですか……では我々は、もう……繋がり合うことすら出来ないんですね」
亜紀/……もう、お互い主従になりきったから……。
相馬/……また来世、ワシはおぬしのことを絶対に覚えておこう。そうすればまたおぬしと共に歩めるであろう?
GM/「……来世、また……私が英霊として現界したときに……お会いできたら……?」
相馬/ああ、そうじゃ……。
GM/「……いいえ、覚えていない方がいい。苦しい想いをしてきた私が言うのです。忘れてください……」
相馬/…………。
GM/「どうか、最初のマスターであった私の言う事を聞いてください。先に主だったのは私なんですから……命令しますよ」
相馬/……そうじゃったな。
GM/「私の事は忘れて下さい。……あ……」
相馬/……あ?
GM/「私は……とても大切なことを、今の今まで忘れていました」
相馬/……なんだ……?
GM/「……チョコレートを、あげていませんでしたね」
相馬/……っ!? 食い物なぞ、もうどうでもいいのじゃ! ただおぬしと傍に居られれば良かったのじゃ! それだというのに……!
GM/……向き直って、抱き締めます。
相馬/すまぬ! おぬしと共に歩むことも出来ず! 苦しみから解放してやることも出来ず! こんなに無力だと生きているときよりも思い知る羽目になった……これほど苦しい事は無い!
GM/……自分から相馬を抱き締めます。「申し訳御座いません……小次郎、愛しております。この言葉をどうか許してください……!」
相馬/西白、ワシもおぬしの事を愛しておる! 愛しておるぞ! たとえもし忘れてしまうことがあったとしても、今のワシはずっとずっと愛しておる!
GM/……その言葉を聞いて、弁慶の目から涙がボロッと零れ落ちる。……そのとき、彼は光になります。

 ――ランサー、ロスト――。

相馬/……光になって消える彼を見て……悔しさに地面に拳を叩き付けながら、泣き叫びながら……自分も消えていきます。
GM/……そのとき。君は気付く。アサシンの前に、ある女性が居ることに。弁慶の夢の中で見た彼女の後姿だ。彼が何度も追い求めていたけれど掴むことが出来なかった彼女がいた。
相馬/……口惜しいのぉ。
GM/くるっと、彼女が相馬さんの方に振り向きます。「……ありがとう、彼を助けてくれて。アナタが止めてくれたおかげで、彼は消滅せずにまたこの世界に生き続けることが出来るわ」
相馬/……これでは助けたとは言わぬわ。言って、完全に消えます。

 ――バーサーカー、ロスト――。

GM/……聖杯は現れました。亜紀と青森の目には、美しい金色の髪を持つ神々しい女性が見えます。
恐一/金髪。……ロリぃ!?(笑) オッサンの頭は「金髪」で真っ先にロリが検索されるから言っちゃうよ!
GM/ロリが後ろから「違うわよ」
亜紀/後ろにいた!?(笑) いつの間に!?
GM/「我想う故にロリあり。……彼女が、一応貴方が求めていたものよ」
恐一/あれが……聖杯?
GM/「そう、願いを叶える絶対的存在よ。英霊がアサシンを残して全て散ったから現れたの。今回はこれでゲームセットってコトね」
恐一/今回……。そっか、10年一区切りだからな。
GM/クスッ。
恐一/……その態度。まさか、ループしてるな!?(笑)
航/流石青森さん!(笑) でもこれは青森さんだから言っていい!
亜紀/る、ループしてるってどういうことですか? そんなまさかループしてるだなんてー(笑)
恐一/ハハハ、何を言う! ここにロリがいる、それが全てだ!(笑) そもそもループとかしてなければロリが現れるなんて不可思議な事は無いッ! つまりそれだけ異様な状況がこの場で起こってるってことだろ!
GM/「そうね、もう随分ループしてるわよ。貴方は2009年をもう7回はプレイしてるわ」
恐一/なんだとー! デジャブくれっ!(一同笑)
GM/「そう簡単にあげないわよ。貴方は所詮駒の一部なんだから」
恐一/じゃあその中枢は誰だよ。
GM/「ん。……言ってもいいけど、それだと貴方に対して譲歩しすぎちゃうから」
恐一/そんな……俺とロリの仲じゃないか!
GM/「まったくね。私と貴方の仲だから言うけれど、これだけは守って。これから言う真実を聞いたら、絶対に再起は出来ない」……PCとして。
恐一/完全なNPCになるってことですね(笑) 別に記憶が無くたっていい。でも……。
GM/「今この瞬間知りたいから尋ねるのね。……じゃあ教えてあげる。あそこにいるわ」とロリが向いた方向に……≪幻惑の衣≫で姿を消していたらしい黒須の姿が見えます。
亜紀/……黒須先生!?
恐一/アイツが世界の中核? 何を望んでるんだ?
GM/「……愛」
恐一/……愛っ!?
GM/「何かおかしいかしら? 生に対する執着や誰かに対する愛情があるから貴方も生き延びたんでしょ」……黒須は、ぼんやりと車椅子に座っているだけです。
恐一/……黒須。
GM/呼び掛けられて、黒須は青森の方に視線を向ける。(黒須になって)「……今回は、お前がこの場に居るんだな」
亜紀/なんで黒須さんがこんなところに……。教会の人じゃなかったの?
GM/「教会の人間でも戦いには参加するだろう。青森のようにな。……俺は、俺の願いを叶えるためにこの戦争の監督官になっている。この地位に居続け、参加者に殺し合いをさせている。どの駒も俺の願いの為に好きなよう遊んでくれた。……盟がその中の一人になってしまったのが、本当に残念だ」
恐一/……本当に残念だと思っていたなら、何故……盟も航もこの戦争から遠ざけようとしなかった!?
GM/「遠ざける?」
恐一/当たり前だろう! アイツらはまだ子供だ! 俺達が守ってやらないでどうするんだ!
GM/クスッと笑います。「……何度も俺は遠ざけようとしたよ。盟も航もどちらもな」
恐一/あ。
航/あ。
恐一/……ご、ごめん(笑)
GM/どのループでも盟ちゃんのシーンで黒須は止めてたり、『第3ループ』で航が黒須ルートにいったときも止めたって話します。「……盟は、この世の中では特に愛おしくは思っていた奴だったよ。俺と話をする奴の仲では一番愛おしいぐらいだった。何度も止めたが、結果は同じだ。だからもう諦めた」
亜紀/諦めた……。
GM/「だから、俺は俺の好きなようにやる」
恐一/……バカヤロウ! じゃあ、あと100回やってみろよ! 世界には何万回やったって諦めなかった奴がいるってロリが言ってた! 7回ぐらいで何言ってやがる!?
GM/……っ!?
恐一/俺だって諦めないでやったんだ、成功するまでロリは付き合ってくれる! ループが終わったって世界とか人生は続いていくんだよ! その後のことを考えないで、何がループだ中核だ愛だ!? 愛っていうのは相手のことを考えて、その後の人生とか守っていくってことなんだよ!
GM/黒須は、言われた瞬間に目を丸くします。……これは黒須が言われるとは思われなかった言葉だ。良い!(笑)
航/黒須は圧倒的上位だからPCでこういうこと言ってくれる人いないしね……(笑)
恐一/これでも45歳だしね!
亜紀/……先生、この世界ずっとループしてるの?
GM/頷きます。
亜紀/もう、先は無いの?
GM/「……いいや、戻れる。俺が死ねば終わる。俺が死ねば、盟も元通りだ。それがループだからな」
亜紀/だから……ループの先の未来は無いの!? ループするだけだったら、なんで俺達生きてるの!? そんなの虚しいじゃん! 先生が死んで盟ちゃんがまた生き返ったとしても、その先の人生が無いんじゃ……そんなの酷いだけだよ!
GM/「……でも、また俺が死ねば、盟は蘇るぞ」
恐一/だけど、また死ぬかもしれない。
GM/「ああ。また俺の言葉を拒否して、戦争に突っ込みだすだろう」
恐一/……それを止めるのがお前の役目だろ!
GM/「……では、まずは俺の生を終えなければならんな」
恐一/バカヤロウ、そんな煮え切れない態度のまんまでこの世界を終わらせてたまるか! ちゃんと変わんなきゃダメなんだよッ!
GM/……黒須が、青森の方を向きます。「……奴の気持ちを、変えることは出来るものなのか?」
恐一/そりゃ出来るさ、人間だからな。……俺がこの手でリセットさせてやる。もう一回ちゃんと生き直してみろ! 今度こそちゃんとやれよ、出来るんだろッ!?
GM/「……やれるものかな」
恐一/……やれるさ! 駄目だったら何度でも試せ、失敗してもいい! そのためにロリがいるんだ! 少なくともお前は『力』を貰ったんだろ! だったら全員幸せにするぐらい、お前の責任だ!
GM/無言でその話を聞きながら、全部受け留めます。聖剣も黒須を見ているけど、その目は彼のことを絶望していないような目だ。「……青森、リセットを押してくれ」
恐一/……下手だったら、次会うときまでに文句考えとけ!
GM/……黒須は、目を閉じます。
恐一/…………黒須を、斬りつけます!
GM/ザクリ。青森の刀で斬りつけられ、黒須は死にます。……世界が白くなっていきます。
亜紀/……青森さん。
恐一/……少なくとも友達を亡くしたようなこんな状態を進めて行くことは俺は嫌だ。だから、次の世界とやらでお前が別の幸せを見付けるのも……俺は良いと思ってる。
亜紀/…………。
恐一/世界が終わりになったって、ここにある気持ちは嘘じゃない。これから続いていくかもしれなかった想いだ。でも、お前が幸せならば……。
亜紀/なんか、悔しいな。色んなことが判ったのにまた振り出しに戻っちゃうなんて……。
恐一/今判ったってことは次も判るかもしれない。もしかしたらもっと判るのかもしれないぞ。
亜紀/俺……青森さんのそういうところ好きだよ。俺、そういうところに惹かれたんだと思う。
恐一/俺は亜紀の、そういう素直なところが好きだよ。お前がいなかったら、俺はお前の友達を躊躇い無く殺していたかもしれない。……次の世界ではみんなが死ななければいいな。
亜紀/うん……。
恐一/お前が一度も悲しい想いなんかせずに、ずっと笑って居られる世界ならいいな。……あと言っておくが、俺達の縁が次の世界で途切れない自信はあるぞ!
亜紀/……そう言われるとそんな気がしてきました。
恐一/俺は……恋人じゃないかもしれないけど、友達だろうとなんだろうと、お前のことをずっと大切に想っている。
亜紀/……俺だって……俺だって、青森さんのコト、大好きだよ!

 世界が、白く染まって行く。白くなる世界の中で、2人はお互いを気遣い合いながら意識を手放した。
 ……真っ白になる世界の中で、聖剣は項垂れ事切れる寸前の黒須に近付く。
「強いダメージを受けたみたいね。ここ最近では一番ツライ顔をしてるわ」
 無表情の黒須に対し、優しい声で語りかける。
「このループは貴方にとって有意義なものになったかしら? 愛しい聖杯に会えて、青森に心を殴られて……満点だったんじゃない? 大好きなあの子を死なせてしまって落ち込んだだろうけど、貴方にとっては最高の世界だったでしょうね」
 ふわりと彼女は笑う。
 ……そして次の瞬間、優しい笑みは一瞬で掻き消えた。

「さて、アヴェンジャーを召喚したあげたんだから次の代償を払ってもらうわよ。いいかげんにしてもらわないと困るのよ。――そろそろ、終わりにしない?」


亜紀/な、なにーっ!?
恐一/そっか……アヴェンジャーを呼ぶたびに黒須はどんどん弱っていくんだ……!

 聖剣が黒須を覗き込み、……彼の『顔』を奪った。

GM/では【HP】0になった航、意識を取り戻してください。……目を覚ますと、航でも人外だと判るほど神々しい女性が居るのが見えます。アサシンが航を抱えるよ。
航/アサシン……これが、聖杯?
GM/「ああ」……アサシンは頷いて、航を引き寄せて言います。「俺と契約しろ」
航/……俺と?
GM/「ああ、お前とだ。……俺は2度目の令呪でそういう風に命じられてたんだ。『もし自分が死ぬようなことがあったとかで令呪が切れた場合、即座にワタルの下につけ』ってな」
GM/「だから契約してくれ。聖杯に願いを言うためにも」
航/……ありがとう。手を掴みます。
GM/契約完了。航がマスターで、アサシンがサーヴァントになります。……では航達に聖杯が、美しい声で尋ねてきます。マスターである航に、「……貴方の願いは?」
航/……言っていいのかな。
GM/どうぞ。
航/航が、一番……今までのことから推察できることを言います。
GM/……なに?
航/ニッコリ笑って……。

「10年前の聖杯戦争の段階から、俺の存在を抹消して」

亜紀/…………え?
航/……そうすればエルは10年間、俺の為に苦しむことがなくなる。……2人が幸せになればいい。エルの為なら自分だって殺せるよって言いたいから、そう願います。
恐一/その願いって……今後のシナリオが変わりそうだから怖いんだけど。
航/うん、凄く変わるだろうね。でも航はきっとそう願うと思うからそれでいきたいんだけど。
GM/……それでいいの?
航/そうなったらどうなるかなって思ったので、それでいきます。
GM/…………。1分考えさせて。
相馬/1分っ!?(笑)
GM/(1分ほど黙って)……よし、構成できた。
恐一/できた!?(笑)
GM/(聖杯になって)「貴方の存在の消滅……それはとても苦しい選択ね。貴方の存在を知る人は誰もいない世界になる。それでもいいのね?」
航/……それでエルは幸せになれる。俺はもう大好きな人に「大好き」って言ってもらえて、この世界で充分に生きた。だから何もいらない。……大好きな人を苦しめている存在なんていなくなっちゃえばいいよ!
GM/エルが航の前にバッと出てきます。「ダメ! 今の無し!」……聖杯に叫びます。「そんなコト言っちゃダメだよ! すぐに訂正して!」
航/……頭を撫でます。
GM/「早く訂正して! 願いが叶う前に! ……そんなに俺と一緒に居るのがイヤ!?」
航/……ふるふる。
GM/「じゃあなんでそんなコト言うの!? 俺は君がいたからここまで生きてこられたんだよ! そうでなかったら……俺はずっと人形のまま、あの教会で苦しんでいただけだった!」
航/えっ。そんなの……今まで知らなかったし……。
GM/「それだけ大切な存在だったんだよ! ずっと大切だって今まで言ってたのは、そういうことだったんだよ……君がいてくれたからこそ俺がいたのに、どうしてそんなコト言うの!? 俺の想いが足りなかったの!?」
航/エル……。ぽんぽんと頭を撫でて……。
GM/「それで誤魔化してるつもり!?」
航/わっ!
GM/「最後に優しくして、それで消えるなんてないよね!? ワタルが俺のことを本当にキライなら俺が変わる! でもなんで好きなのに別れなきゃいけないの!? ……俺に幸せをちょうだいよ。ワタルが、自分のコトどうでもいいって言うなら、俺のものになってよ。俺の為だけに生きてよ! それでもダメなの!? こんなに求めているのに! 俺のコトなんて切っちゃうの!?」
航/……エルに圧倒されそうになった……。
GM/エルは、ずっと言い続けるよ。君が訂正するまでね。
航/……エルの言葉に、すっげえ揺らいだ……。
相馬/……このままだとエル、アサシンに「訂正させて」ってお願いしそうな気がする。
恐一/「ねえ、アサシンからも言ってよ!」って泣きついてるだろうね。
GM/言ってるね。……もちろんGMは、本当に航が「消滅します」というならそのまま考えたシナリオにいくけど、とにかくエルは拒み続けます。
航/…………。
GM/……どうするの?
航/…………そんなに、俺のコト大切に想ってくれてたの?
GM/「大切だからずっといたんだよ。君の中にいて、君のことだけを考えて生きてきたんだ……本当なんだよ! 罪滅ぼしとかじゃない、俺自身が心から君のことを愛してたんだ!」
航/…………。ごめん……。俺……ホントに今の一瞬まで、それを信じられてなかった。俺は……エルのこと、大好きだけど、俺は好かれる資格なんてないって思い続けて生きてきた。ホントにこんなに好きでいてくれるなんて思ってなかった。……10年間ずっと想ってくれてたのに、受け留めてあげられなくてゴメン……!
GM/エルがぎゅっと航を抱き締めます。「今なら間に合うから……また訂正して。もっと違う……ワタルが幸せになれる願いを言ってよ!」
航/……。俺……。
恐一/…………。
亜紀/…………。
相馬/…………。
航/……今度こそ、エルが苦しくない10年間の為に頑張るから……10年前からずっと傍にいさせて。もう一度10年間をやり直したい! エルの家族でいさせて』
GM/「……聖杯! これが本当の願いだよ! 10年前にも同じことを願ったけど……今度こそ叶えて!」……エルが聖杯を見つめます。
恐一/……それで聖杯に受理されるんだ。アサシンの方は?
GM/アサシンは、エルと航の言葉を聞き終えて「はぁーっ」と安心した息を吐きます。
航/ご、ごめんね、アサシン……。
GM/(アサシンになって)「……俺の願い、無くなっちまった」
航/え……?
GM/「ワタルが何を願おうが、俺は……前々から『ワタルとエルが家族になれますように』を願おうって考えてたんだ」
亜紀/い、いいひとすぎるジャック……!(笑)
GM/「でも、お前達がその願いを言うなら、俺の言わなくて済むな。じゃあ……お前らが幸せな人生を10年前からやり直せるように祈っておくことと、それと……『本当の願い』を言おうか」
航/アサシンの、本当の願い……?
GM/世界が白くなり始めます。
航/あ……。
GM/「これから10年前から人生をやり直すんだろ? ……10年後、俺が一人ぼっちだったら……お前達が迎えてくれ」
航/……うん。10年経ったら、またアサシンを迎えに行くよ。
GM/アサシンは笑顔になって、聖杯に向かって叫ぶ。

「――この記憶を、ずっと継続させてくれ!」

恐一相馬/やんよーっ!?
GM/そして世界が白く染まっていく。――世界が、終わりを告げます。
相馬/アサシン、おめでとう! ……初めての記憶おめでとう!
恐一/記憶が無かったアサシンが、『愛された記憶』を持って参戦するという。……美しい流れ!
GM/アサシンは次のループで『完全記憶』を持った『固有アサシン』になって登場します。……それでは、エンディングにいきましょうか。


 ●エンディングフェイズ2/???

GM/……相馬さん、貴方はある場所で漂っています。そこは無限ループの始まりです。
相馬/ふわんふわん。……なんじゃ、ここは?
GM/右も左も上も下も判らぬ、渦の巻いた変な空間。そこに無限ループの始まりの声が聴こえる。「……ワタシの手を取って……」
相馬/誰じゃ……。
GM/「……アナタの願いを叶える者……」
相馬/ああ、このまま死ぬのは口惜しいと思っていたところじゃ。では、ワシの願いを叶えさせてもらお……。
GM/がしっ!
相馬/んっ!?
GM/……誰かが、君の腕を後ろから引いた。
相馬/驚いて振り返ります。
GM/誰か判りません。見たことない人です。男性で、30代ぐらいの気難しそうな顔をした男性です。
亜紀/目は?
GM/細いよ。
航/大柄ですか。
GM/大柄だよ。
恐一/GMがやりやすそうな人ですか!?
GM/ですよ(笑) ……ただ、相馬さんは全然知らない人です。
相馬/……おぬし、何者じゃ。
GM/(ひどく必死な声で)「いけません……このまま彼女の手を取ったらまた苦しむだけです……!」
相馬/……苦しむ?
GM/「地獄がまた貴方の身に襲い掛かる! 彼女の手を取れば貴方の未来は続くかもしれない! もしかしたら貴方が幸福な未来が今度こそ訪れるかもしれない! ですが……苦しい戦いが続くだけです! そんな地獄に貴方は進むのですか!?」
相馬/…………。
GM/「貴方が苦しみ続ける事など、私は嫌です……!」と、自分のループを否定し続ける……弁慶は、言います。
相馬/……生憎とな、ワシはこのまま何も成せず、只訳の判らん空間を漂っているだけなど嫌じゃ。
GM/「…………」
相馬/おぬしには悪いが、ワシは願いを叶える為に行かせてもらう!
GM/「…………………………」
相馬/――聖杯の手を取ります!
GM/腕を離され、彼女の手を取った瞬間に、彼は……遠くに消えて行ってしまう。気付いたときには、君は魔方陣の上に居た。
相馬/む……。
GM/目の前に立っていたのは、さっきの男とは似つかぬ顔。自分は聖杯戦争に呼ばれたんだ、目の前の男こそ自分のマスターだと察する。……じゃあ彼は誰だったんだろう。でもそんなの興味無いね。

「さあ行きましょう。我々の戦いに赴くときです」
 再度生まれた命を、マスターが戦いへといざなう。

「――おう、必ずやこの戦争、勝利してみせようぞ!」


GM/……青森さんは聖杯戦争に参加するため早々にランサーを召喚し、教会のエージェントになりました。まずはエージェントとして仕事をこなす日々を送ります。
恐一/黒須の奴も車椅子なのに監督官やるなんてスゲエなぁ……いやあ、それだけ能力があるってことだよな!
GM/さて、今日はちょっとおかしいことがあります。……いつもだったらキビキビ動いている筈のミスターBが、今日は何故か、黒須の話を聞いているときも礼拝堂の椅子から座ったまま動きません。
恐一/おーい、どうした。あの日か?
相馬/セクハラだ、最低ーっ!(笑)
GM/……そんなこと言ったらいつもならギギギってするのにね。ずっと頭を抑えててます。
恐一/あ? ……どうしたんだ、平気か?
GM/涙を拭うような仕草をする。
恐一/ガビーン泣いてるーっ!?(笑) アンタどこの男に泣かされたのよ!? お父さんに言ってみなさい! ……どうした?
GM/「…………」
恐一/……辛いことでもあったのか?
GM/「……ええ、またありましたよ。そしてそれは……これからも続くでしょう」
恐一/まあ……生きてる限り辛いことなんて続くだろうな。その代わり、いいことだって待ってる筈だ。違うか?
GM/「……。そうですね」。立ち上がって青森さんをギギギギギ。
恐一/あれー!? なんだ元気じゃーん!(笑)
亜紀/(いきなり入ってきて)あのー、すみませーん、黒須さーん。俺、教会のエージェントになりたいんですけどー……あ、あの、大丈夫ですか? ギギギってやられてますけど……(笑)
恐一/大丈夫、死にはしないさ! ギャグキャラだもん!(笑) そっかエージェントになるのか、宜しくな! まあ堅苦しく考えるなよ、まずはあの夕陽に向かって走るぞー!
亜紀/ええーっ!? 夜なのにいきなりですかー!?(笑)

 ……こうして、2009年2月1日はいつも通りすぎていく……。
 それは航も例外ではない。
 航はいつも通り、バイトで忙しい2月1日を過ごしていた。


航/マジ糖分で死ね。みんな死んじゃえばいいのに! でもチョコは買ってー!(笑)
GM/夜10時バイトを終えます。おっと、入口に立っているのは祐希じゃないか?
航/あっ、祐希。こんな寒い中で何してるの?
GM/「偶然本屋に行った帰りだから航に会えるかなって……」では、【知覚】判定をしてください。
航/え、いきなり?(ころころ)10です。
GM/(ころころ)……クリティカル。
航/なにクリティカル出してるんですか、このリアル世界遣い!?(一同笑)
GM/クリっちゃったら仕方無いな。……航に後ろから抱きつく男がいます。「ワタルー! お疲れ様ーっ!」
航/わあっ!?(笑)
GM/抱きついたのは君のお兄さんだ。10年前から一緒に暮らしているエルだよ。「祐希をここにセットしておけばワタルは絶対に俺のコト気付かないと思ってー!」
亜紀/祐希をトラップにした!(笑)
航/くそー、騙されたー(笑) エルをぷにぷにしながら言います。
GM/(祐希になって)「エルもコーヒーで良かったかな?」 (エルになって)「えー、俺、コーンポタージュがいいー」。
航/なにこの光景しあわせ!(笑)
GM/(祐希になって)「じゃあ、僕の家はこっちの道だから……航、また明日。気を付けてね」
航/エルがいるから大丈夫だよ。
GM/「そうだね。エルがいるから大丈夫だ。……あ、チケットがあるんだけど航の好きな人と一緒に行ってくるといいよ」
航/……じゃあ、エルと行こうか?
GM/(エルになって)「俺達毎日会ってるじゃん。俺は仕事あるからワタルの友達と行くといいよ」
恐一/エルが仕事してるー!?(笑) ……そっか、10年前から一緒に居るなら収入無きゃだよな。
GM/エルの仕事は、『パブ・ラマーサ』で裏方をやってます。
相馬/似合うー!(笑)
GM/店長であるオカンに「俺、両親いなくて弟と2人暮らしで……」って言ったら「ウチ来なさい!」って言われました。
恐一/オカンが鼻水ズビズビしながら「アンタ苦労してきたのね! さっさと今日から働きなさい! 今からよ!」って言われたんだな!(笑)
航/良い話だな! その店に行きたいわ! アラビアンパブとか好みなんだよ!(笑)
GM/「それがあったのが10年前、エルが20歳の頃です。今も20歳だけど全然おかしくないよ。……ちなみに現在『パブ・ラマーサ』は2ヶ月ほど社員旅行で休業中です」
恐一/なげーよ!? どこの温泉まで行ったんだよ、地獄か!?(笑)
航/アイツらなら徒歩で地獄行ってるよ! だってGMが「3日ぐらい歩いてかかりますよ」って言った道を半日で走って行ったんだから、オカン達なら高速道路走ってるよ!(笑)
恐一/高速走るな! 警官隊に追われるだろ!(笑)
航/オカンなら荷物持ってて良いハンデだよ!(笑) ……こういう世にも奇妙な系大好き!(笑)
GM/しあわせな日常を過ごしてるね。10年間、航の隣には家族がいる。正真正銘の家族がね。……しあわせなまま10年間をやり直し、ついに2月1日を迎えるのでした……。


 ANOTHER WORLD
  「 DROWNING/phantasmagoria 」

 Seventh Loop 『 ...Heavens Feel... 』






GM/――という訳で、『第7ループ』お疲れ様でしたー!
亜紀/航、幸せルート!(笑)
航/今回バッドエンドにするつもりだったのに!(笑)
GM/いや、最初は絶対バッドエンドになると思ったが……みんな泣ける良いエンディングになったね。さて、次の『第8ループ』で大きく変化することがあります。

 @青森により意識が変わった黒須が、率先的に動き出す。


GM/主に、盟ちゃんに対する黒須の印象が変わります。
恐一/やったー!

 Aエルが航の家族としてメゾンボロリアの同居人でスタート。
 Bアサシンが完全記憶を持った状態でスタート。


GM/祐希が一緒に住んでいるような感覚だね。……やっぱり一番の進歩は黒須かな。
航/オッサン、頑張った!
恐一/始めは黒須のコト殴ってやろうと思ってプレイしていたけど、「まだ改心の余地がある」と思ったら殴れなかったよ……。
GM/まだ黒須の心は凍ってないから。経正みたいに怨霊にもなってないし、カイルさんみたいに壊れてないしね。そして……相馬さん、カッコ良かった!
相馬/恐縮ですっ!
GM/最後の弁慶さんのシーンは、毎度デジャブ判定にクリティカルで成功してるって設定のキャラクターだからあーゆーシーンにしたんだ。……色々とサーセン。
相馬/今回も軽く記憶を継続ってことなんですか。
GM/弁慶さんの場合、完全記憶や世界がループしてることを自覚してるんじゃないんだけどね。ともかく……あのシーンはカッコ良かったです。ありがとう!
航/「覚えていない方が幸せですよ」って弁慶さんは言っちゃったから……相馬さんが手を振り払ったことに安心をしてるのかもしれないな。そういう同人誌が読みたい(笑)
恐一/で、その同人誌はどこで買えるの
GM/読みたーい!(一同爆笑)




to be continue...