アナザーワールドSRS
■ 『 イベントキー入門 』 ■
2016年7月9日




Q:シナリオでイベントキーをどのように配置するのか? 配置する時のポイント(配置しなくてもよいシナリオ、した方がよいシナリオ)があれば教えてください!

A:AWのイベントキーシステム運用のススメを書いていきたいと思います。


【はじめに】
 イベントキーとは、視覚化した情報です。イベントキーを持っていることで「その情報を入手した」ことを表現します。
 AWはフラグ建設型シナリオが中心になるため、シナリオクリアーのための情報を入手するたびにイベントキー配布をすることが望ましいです。


【どのようにイベントキーを配置するのか?】
 シナリオをクリアーするためにはA・B・Cという3つの扉を開けなければならないとしましょう。
 扉にはそれぞれ鍵が必要で、PC達は様々な場所を回り鍵を3本見つけなければクリアーできません。
 このときのクリアーのための鍵は、物質ではない場合もあります。「A:NPCへの説得」「B:道具の入手」「C:行く手を遮る敵の排除」など、クリアーへの扉は話の数だけあります。

 PCがクリアーフラグであるNPCへの説得を終えたとしましょう。GMはこのとき「イベントキーA」をPCに渡してください。
 するとPC達はこのイベントを成功したことを実感し、達成感を得ます。このイベントを終えたなりのアクションを起こせます。他にも「もうこのイベントから離れていいと」いう踏ん切りをつけることもでき、長いセッションの影響で記憶があやふやになっても「イベントキーAを持っているからこのイベントは終わっていると確認」することができます。

 また、GMの処理も、得られる情報が視覚化していると非常に判りやすくなります。

 「例文1:イベントキーBとイベントキーCを持っている場合、ある突発的イベントが発生する。ただしイベントキーAを持っていると起きない」
 このように、イベント発生条件を一発で判断できます。

 「例文2:扉を開けるために必要な解除禁書を持っていて異端ワルイヤツーンを倒しているとイベント発生するけど花子ちゃんと親しいキャラが一人でもいるなら発生しない」
 例文2は、例文1とまったく同じことをいっています。
 状況説明されている例文2の方が判りやすいと思かもしれませんが、複雑な処理をしていたり複数のことを考えるGM作業中は例文1ぐらいの簡潔さの方が事故なくスムーズに進められます。


【何故イベントキーがあるのか】
 「判りやすくするため」です。
 イベントキーはクリアーのための扉を開く鍵を持っているか、持っていないかの確認を一発で見分けるための手段です。
 イベントキー使用例として先程の例文のフラグ確認作業にGMが使いましたが、AF判定の参加条件に「このAF判定はイベントキーAを持っていないとできない」と書いてプレイヤー側にも使ってもらうこともできます。
 「どこかに明確な鍵がある筈だ!まずはその鍵を探せ!」という行動指針を立てさせることができるのです。


【何故イベントキールールを採用したのか】
 AWは、時間跳躍を楽しむTRPGです。
 タイムスリップシナリオ(過去や未来の時間軸に飛ぶ)もありますが、ループシナリオ(同じ舞台を違うパターンで何度もやり直す)やリトライシナリオ(クリアー条件を満たすまで同じ時間を何度もやり直す)の場合、参加者の中で情報入手の齟齬が発生する可能性が非常に高くなります。

 例えば、1回目の世界で「イベントキー:手紙を読む」を入手しました。
 PC達は手紙に書かれた内容を知り、自分の鞄にしまいました。
 ところが時間が逆行し、記憶が継続した状態で2回目の世界を進めたら「手紙の内容は知っているけど、鞄の中に手紙は無い」状況が生まれます。
 しかしプレイヤーの中では手紙のイベントを終えている。手紙(物質)を持っていないのに、手紙(情報)を持っている……これが3つも4つも並行すると、処理しきれず大混乱を招きます。
 なので「イベントキー:手紙を読む(読んだから内容は知っているけど手紙自体は持ってなくて構わない)」というGMからの判りやすい一言に意味を集約させ、混乱を防いでいるのです。


【イベントキー配置のポイント】
 した方が良いシナリオは、リトライシナリオです。
 先程の手紙の件のように「一回でも経験しておけばクリアー条件が満たせる」イベントのクリアー報酬として渡すのがベストです。

 あと、プレイヤーは「一定の時間で成果が無いと飽きます」。ずっと肩透かしだったり、失敗し続けたり、謎が解けないモヤモヤが続くと集中力を欠きます。
 しかし定期的なご褒美・報酬を与えることでセッションのメリハリをつける=飽きを無くすことができます。「このイベントを終えたから、この報酬(イベントキー)をあげるね」は効果的な手段です。
 AWは他のTRPGシステムとは違い、お金やアイテムの概念がありませんから。


【イベントキー運用リプレイ例】
 実際にイベントキーを使っているリプレイをいくつか紹介します。

『アウトレイジエリア』
 「とあるマップに行くとイベントキーAが手に入った。NPCとのAF判定中にイベントキーAを持ったPCを登場させたらイベントが発生した」ケースです。
 最も判りやすいリトライシナリオの例だと思います。

『だれかのねがいがかなうころ』
『ダブルダウン』
『ハルスの悲鳴』
 「イベントキーを持っていると不利になる」「トラップが発生してしまう」「イベントキーを入手しないように立ち回らなくてはならない」ケースです。
 プレイヤーの行動指針を提示するのと同時に、罠が待っている・回避しなくてはという緊張感を演出できます。

『春を呼ぶ円環』
 恋愛ゲームのような、NPCへの好感度を表現する方法として使われているケースです。
 イベントキーがある人物には好意的に接し、無い人物には警戒し、好意が無くなったら没収するという、とても判りやすいフラグ管理ゲームの例です。

『オーバーラップシルエット』
 「ラスボスを倒す条件として、PCが自主的にイベントキー入手に至れるか」という特殊なケースを使っています。




以上