アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 オーバーラップ シルエット 』 1ページ目 ■
2015年12月16日




 ●プリプレイ

GM/突発的『アナザーワールドSRS』を始めたいと思いまーす! 突然の平日立卓なのに集まってくださりありがとうございます。
プレイヤー3・火種/ツイッターで「セッションやりたい!」ってあまとうと話していたら、突然マーサー先輩に声を掛けられてその日のうちに日程が決まりました(笑)
プレイヤー1・あまとう/セッションやりたかったので! ありがとうございます!
GM/「君達かわいいね? どこ住み? ラインやってる? 『AW』は何回目?」って言いながら卓を立てるのとっても楽しかったです(笑) その日のうちに作ったシナリオハンドアウトがこれです。どうぞお読みください。



 「アナザーワールドSRS・シナリオ〜オーバーラップ・シルエット」



【レギュレーション】
 キャラクターレベル4で開始。
 NPC1も含めた全員が知り合い設定であること。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:幼馴染  関係:愛情  推奨クラス:闘士 or 処刑人

 君には子供の頃からいっしょだった幼馴染がいる。
 幼馴染と一緒に神社で遊ぶ毎日だった。
 ある日、事故により大怪我をしかけた幼馴染を助けた。その日が自分にとっての覚醒だったと記憶している。
▼セカイのイベント:幼馴染を助けて能力者に目覚める
▼コネクションNPC1:幼馴染

 PC1の幼馴染。同い年か年下の、子供の頃によく遊んでいた一般人。
 いつもPC1に迷惑をかけながらも一緒に遊んでいたある日、神社の鳥居倒壊に巻き込まれる。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:恋心  関係:自由  推奨クラス:感応力師 or アーティスト

 君はNPC1がPC1に恋心を抱いていることを知っている。
 NPC1は『イベントキー:恋心』をPC1に渡し、自分の想いを告げようとしていることも知っている。
 その行為を応援するか、茶化すか、妨害するか、自分も抱いてみるか。どうしてやろう。
▼セカイのイベント:恋心に気付く
▼コネクション:『イベントキー:恋心(〇〇→〇〇)』

 名前に記した人物に対する愛情を表わすイベントキー。表記は「誰から、誰に対しての恋心か」を明記する。
 このイベントキーはオープニング段階でNPC1が所持している。(表記は、NPC1→PC1)
 PCは「タイミング:オート」で「代償:1MP」を払うことで『イベントキー:恋心』を新たに取得することができる。取得した際に名前を記入すること。

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:異端『アレクソウル』  関係:敵対  推奨クラス:魔術師 or 聖職者

 君は教会から異端『アレクソウル』の討伐任務を受けた。
 この街に突如として現れた赤い影。討伐を決意し、皆と共に教会からの帰り道にて、NPC1がいることに気付いた。
 NPC1は笑顔で手を振ってくる。この笑顔を守らなくては。
▼セカイのイベント:帰り道にNPC1と遭遇する
▼コネクションNPC2:異端『アレクソウル』

 1〜2メートルほどの赤い影。四足歩行の獣らしい。

【その他】
・[アーティスト][イレギュラー]解禁。
・追加ライフパス「機関コネ」「組織コネ」「英霊」解禁。ただし英霊PCの場合、キャラクターレベル4である理由を考えること。
・『異端堕ちルール』解禁。


GM/今回のテーマは「単発で」「シンプルで」「スピーディーに終わる」シナリオです。
プレイヤー2・ぷぇ/ドキドキだね!(笑) ……このハンドアウトを見たときからPC2がやりたかったんだ。PC2を選んでいいかな?
プレイヤー3・火種/はい! じゃあ他の配分は……。

プレイヤー1・あまとう/PC1ハンドアウトを選択。
プレイヤー2・ぷぇ/PC2ハンドアウトを選択。
プレイヤー3・火種/PC3ハンドアウトを選択。

 相談の結果、異常のハンドアウト配分に決定。
 シンプルに、スピーディーに。早速キャラクターメイキングが始まった。

GM/それではキャラメが終わったようなので、PC1さんから自己紹介をお願いします。

プレイヤー1・あまとう(以降、吊太朗)/PC1、キャラクター名は病坂 吊太朗(やまいざか・つるたろう)です。
GM/やまいざか、つるたろう……凄い名前だ。それ本名なのか(笑)
吊太朗/14歳、中二の男子です。[闘士]1レベルの[処刑人]3レベルです。あとは≪カバー≫でお助けに行くことができます。≪薬物調合≫と≪強力調合術≫、≪最高調合術≫があるのでドリンク一気飲みとかできます。
プレイヤー3・火種/14歳の元気がないとできない……(笑)
GM/どんなキャラなのかな?
吊太朗/中二で、ゆるい反抗期のキャラです。文句は言うけど言われたことはなんだかんだ言いながらやるっていう男子です。
GM/中二病なの?
吊太朗/なんか気恥ずかしいことがあると「あまずっぺぇ〜」って茶化しちゃうようなキャラじゃないんですかね?
プレイヤー2・ぷぇ/きっとシャイな人なんだねー(笑)

 病坂 吊太朗(プレイヤー名:あまとう)
 クラス:[闘士1/処刑人3]
  体力:15(+5)  反射:15(+5)  知覚:10(+3)
  理知: 9(+3)  意志:12(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:24  MP最大値:18  正気度:7
重要キーワード:記憶  背景:大切な思い出をなくしている  特徴:家事上手である
ボーナス効果:≪L:限定回復・HP≫  スキルウェポンのイメージ:バタフライナイフ
職業:中学生  性別:男  年齢:14  身長:163cm  髪色:黒  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪凶々しき武器≫
 闘士→≪カバー≫ ≪護りの契り≫
 処刑人→≪薬物調合≫ ≪強力調合術≫ ≪最高調合術≫ ≪闇の勇姿≫ ≪負の空間≫
 一般特技→≪興奮剤≫

プレイヤー2・ぷぇ(以降、お七)/キャラクター名は八百屋 お七(やおや・おしち)。英霊です!
GM/レベル4の。
お七/レベル4の、ゆるふわ「ばーさーかー」の英霊です。キリッ!(笑) クラスは[感応力師]2レベル、[霊媒師]1レベル、[アーティスト]1レベルです。外見は15歳、性別は女子。
GM/(キャラクターシートを指さしながら)見てくれよ、この英霊。めっちゃ可愛いぞ!
プレイヤー3・火種/(キャラクターシートを覗き込みながら)うわ、ほんとだ! めっちゃ可愛いですね!?(笑)
お七/『八百屋お七』というのは……江戸時代の八百屋さんの娘さんで、恋人に会いたい一心で放火事件を起こして火刑に処されました子です。
吊太朗/す、凄い人だった……。
お七/町に火事が起きて家族と一緒に一時的にお寺で住むことになったんですが、そのお寺で好きな人ができちゃいました。でもお寺だから基本的に女子は厳禁。復興した町に戻された後、あまりの会いたさにまた町に火を放ってしまいます。そうすればまたお寺に行けると思って……。
プレイヤー3・火種/め、めちゃくちゃ可愛い子ですね!(笑)
お七/でもこの子、火を放った後に「やらかした!」って我に返るんだよね。「大変です! 火事です!」と火の見ヤグラに登って、一生懸命鐘を鳴らしたっていう娘です。
GM/やんわりとした清姫ちゃんかな?(笑)
お七/≪火霊操作≫を持ってますけど、基本的に支援系のキャラクターとして作りました。【HP】を回復したり、【行動値】を上げたり、≪ミネルヴァ≫で達成値をアップさせたり、≪愉悦の波≫で供給量を増やしたりすることができます。あと≪ラブモーション≫というインスタントフォーリンラブをできます。
プレイヤー3・火種/恋を始められます!?(笑)
GM/はい、そんなお七さん。……なんで召喚されてるの? 志望動機は?
お七/英霊PCがやりたかったし、PC2のハンドアウトを見た時点で「恋愛に関するキャラをやりたい」と思ったんですが……誰かに召喚されたいです。誰か、マスターになってくれませんか?
GM/……中二病に目覚めた病坂吊太朗は[闘士]で[処刑人]にも関わらず魔術に手を出したのであった?
吊太朗/とりあえず召喚してみたら可愛い女の子が召喚されちゃった。
プレイヤー3・火種/ラノベかよ。
吊太朗/召喚してしまった俺は、可愛い女の子と同居することになってしまったのだった。この先、どうなっちまうんだ!?
お七/ラノベかよ。悪くねーな、それでいいよ!(笑)
GM/吊太朗くんのお母さんは「元あった場所に返してらっしゃい」って言う人なのか、許してくれるのかどっちにするの?
吊太朗/「うちの息子は悪い子じゃないから」って言うタイプです。ほら、PC3が[魔術師]だからネットから何か印刷して俺も書いてみたら召喚できたとかそういうやつで!
プレイヤー3・火種/お前は[闘士]なのによくやったな!?(笑)
GM/ネットで印刷してきた何かって何だ。
お七/それでいこう、もう(笑) えっと……呼び方は「旦那様」と「ご主人様」のどちらがいいですか?
吊太朗/照れるなぁ。
プレイヤー3・火種/普通に照れるなよ!?(笑)
お七/……古風な名前ですし「吊太朗様」にしましょうか。
吊太朗/俺、女の子に様付けされるの初めてだ。よろしく!

 八百屋 お七(プレイヤー名:ぷぇ)
 クラス:[感応力師2/霊媒師1/アーティスト1]
  体力: 9(+3)  反射:10(+3)  知覚:13(+4)
  理知:15(+5)  意志:15(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:17 MP最大値:31  正気度:10
重要キーワード:暗殺(というか放火未遂)  背景:ままならない恋に向き合うことから逃げていた  特徴:百戦錬磨である
ボーナス効果:≪L:耐久力上昇・HP≫  スキルウェポンのイメージ:桜の枝
職業:ばーさーかーの英霊  性別:女  年齢:15  身長:155cm  髪色:黒  瞳色:桜色
 スキルウェポン→なし
 感応力師→≪肉体復元≫ ≪念動障壁≫ ≪瞬足≫ ≪愉悦の波≫ ≪覚醒具≫
 霊媒師→≪魂装支援≫ ≪火霊操作≫
 アーティスト→≪ミネルヴァ≫ ≪ラブモーション≫

プレイヤー3・火種(以降、ビクター)/PC3のキャラクター名は、ビクター・サージ。クラスが[魔術師]3レベル、[稀人]1レベルですね。職業は専業エージェント。教会でお金を貰っている、宿舎に住んでいるエージェントです。男性で、年齢は外見19歳。大人の面倒みるマンです。
GM/PC1が14歳、PC2が享年15歳だから大人役だね。どんな稀人なのかな?
ビクター/スレンダーマンです。アメリカの都市伝説のキャラクターで、非常に長身の、執事服みたいな黒衣の男性です。だから身長は213センチ。
吊太朗/でかっ。
GM/そんな都市伝説あるんだ。知らなかったよ。
ビクター/スレンダーマンは「自分の顔を見られると、相手は発狂してしまう」という能力を持っています。だから『ライフパス:背景』を「人の恐怖を読める」にしました。
GM/恐怖という『負の感情』は異端の好物だから、それを察知できるエージェントなんて重宝されるんじゃないかな。
ビクター/ビクター自体にはスレンダーマンとしての異能は無いんですが、でもこの効果があると思い込んでいます。
お七/ふむふむ?
ビクター/相手が自分の顔を見て「怖い」と思ったなら少しでも顔を逸らそうとします。なので、顔を隠すようなケープを被っています。『ライフパス:特徴』は「不幸である」……と思い込んでいて、不幸を周囲にまこうとしないような、少し引っ込み思案な男性をしてみたいですね。
GM/なるほどー。[稀人]で専業エージェントなんだよね。一般人は君のことを普通の人間だと思って接していいのかな?
ビクター/はい。一般人を怖がる節は無いですし、普通に暮らしていますよ。

 ビクター・サージ(プレイヤー名:火種)
 クラス:[魔術師3/稀人1]
  体力:10(+3)  反射: 9(+3)  知覚:12(+4)
  理知:18(+6)  意志:13(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:18 MP最大値:25  正気度:10
重要キーワード:人ではないもの  背景:恐怖を読める  特徴:不幸である
ボーナス効果:≪L:ダメージ上昇≫  スキルウェポンのイメージ:手を剣に変化させる
職業:専業エージェント  性別:男  年齢:19  身長:213cm  髪色:紺  瞳色:金
 スキルウェポン→≪魔法剣≫
 魔術師→≪魔法のローブ≫ ≪火炎術式≫ ≪本のクチ≫ ≪タナトスの足枷≫ ≪刻印増強≫
 稀人→≪見通す眼≫ ≪虚空の翼≫
 一般特技→≪強化手術:理知≫

GM/NPCの名前ですが、笹垣 トウコ(ささがき・とうこ)ちゃん。PC1の幼馴染の異性ということで、14歳の女の子になります。PCみんなのお知り合いです。性格はPC1がラブプラス特権で選択することができます。
お七/ラブプラス! 女の子選択!(笑)
GM/ハンドアウトには「男の子の幼馴染と遊べる性格」「PC1に迷惑をかけながらも一緒に遊んでいた」という設定があるのですが、自由に改変していいよ。どんな子にする?
吊太朗/悩むなぁー。……昔は活発だったが、中学になって女に目覚めて……。
GM/女に目覚めてとか言うな。
吊太朗/たまに昔の活発だった頃が出そうになるのをお淑やかを装ってる子がいいです。
ビクター/男っぽい口調が出そうになるのを抑えている女の子なんだな。
GM/お淑やかぶってるのか。……なるほど、こいつも中二病か(笑) 大人になろうとしている女の子でいきましょう。第二次成長期真っ只中だな。
お七/可愛いですね。
GM/PC2のお七ちゃんは、そんな彼女の本性を知っています。PC1の吊太朗くんに恋心を抱いていることをね。
お七/……はいっ!(笑)
ビクター/お七ちゃんとトウコちゃんはどうやって出会ったんだろ?
お七/吊太朗様のイトコということで紹介してもらったことにしましょう。名前に様付けなのは、海外にずっと居て日本の言葉遣いに慣れてないからとかで。
GM/N市は外人さんが多いからね。なあビクターさん。
ビクター/ええ良かった、ビクターを外人にして(笑)
吊太朗/ビクターさんは吊太朗に勉強を教えてくれているお兄さんとかどうかな。中二ぐらいの勉強ならできるよ、[魔術師]だもん!
ビクター/こっちもどうにか現代に慣れようと必死なので、家庭教師みたいなことをしています。トウコちゃんにも勉強を教える機会があったんじゃないかな。
GM/ならトウコちゃんはビクターさんのことを「先生」って呼んじゃおうかな。では、そろそろ本編を始めていきましょう!


 ●オープニングフェイズ1/吊太朗 〜異性の幼馴染〜

GM/PC1、吊太朗のシーンからいくよ。
吊太朗/はい。
お七/覚醒の時をやるんだね。
GM/うん、今から覚醒してもらうよ(笑) 君には子供の頃から一緒だった幼馴染がいる。保育園の頃から一緒だった笹垣トウコちゃん。幼い頃から君は彼女と神社で遊ぶ毎日を過ごしていた。……ところで中二病になる前の君はどんな子供だった?
吊太朗/純粋に外遊びを楽しむ子供でした。虫を捕まえては女の子を泣かせる系だったかも。獲ってきたカエルを見せつけたり!
GM/そんな君とトウコちゃんは毎日遊んでたんだろ? ならトウコちゃんは……「はい、ミミズ!」って吊太朗に見せつける。
吊太朗/ほんとトウコってビックリしないよなー。
GM/あっちの女子は「男子サイテーッ!」って言って逃げるのにね。でもトウコちゃんは「神社らの裏手にカブトムシを取りに行こうよ!」って君の手を引いてくる。彼女は夏休みの小学生らしく、ショートパンツにシンプルなシャツ姿。そんなショートカットの活発な女の子でした。
お七/ボーイッシュな子だったんだね、可愛い!
GM/異性なんて関係無い、一緒に遊んで楽しいから君といる。そんな関係が続いていた。……この夏休みも、君達は神社でいつものように遊んでいました。
吊太朗/そうですね。暑いから水筒を持たされたけど……さっきまで持ってたのにどっかやっちゃった!
お七/小学生男子はよくやる!(笑)
GM/(トウコになって)「何やってんの、探すよ! 水筒探すよ!」 夏真っ盛り、水分補給のできない君ですがどっかに行ってしまった水筒を探します。では今の能力値でいいので【知覚】判定をしてみて。難易度は12。
吊太朗/頼むぞー。(ころころ)あ、9で失敗です。
GM/失敗ですね。
吊太朗/失敗しました。
GM/ですが。(ころころ)……君は、今さっき「ねーなー?」と思っていた場所に自分の水筒があることに気付きます。
吊太朗/おっ? あるじゃん。やったー!
GM/さっきまで無かったのにあったね。
吊太朗/なんで? あったのは良かったけど……。
GM/トウコちゃんは「あったの?」ってやって来るよ。
吊太朗/めっちゃ日なたにあったから熱くなってるよ。持ってみ!
GM/「あっつ! あっつ!」(笑) それは突然のことだった。鳥居がいきなり崩れてトウコに襲いかかる。
吊太朗/あ。
GM/バキバキバキ。何の前振りも無く襲い掛かる鳥居。
吊太朗/す、スッと滑り込んで行って助けます!
GM/ドシーン。……倒壊した鳥居を二人で呆然と見つめている。何が起きたか判らない顔をする彼女は、抱えて逃げてくれた吊太朗くんをじっと見ています。「あ……ありがと……」
吊太朗/うう、まあ……無事で良かったよ!
GM/倒れた鳥居の横でお互いの無事を確認していると、神社の管理者らしいおじいちゃんが「大丈夫か!? うわぁー鳥居がー!? ちびっ子ども、怪我はないかー!?」と焦りながらダバダバ駆け寄ってきます。
吊太朗/へ、平気! だけど、急に鳥居が倒れ込んできて……!
GM/「昨日の突風で危ないなとは思っていたけど、まさかこんなことになるとはー! 直撃してたら死んでいたぞー!」
吊太朗/えっ、それ危ないじゃん!
GM/その話を聞いたトウコちゃんは「……吊太朗が、助けてくれたから、生きてるんだ……」と複雑な顔です。
ビクター/トウコちゃん、複雑な顔……?
GM/うん。暫く立ち入り禁止だと言われた神社から自宅へ帰る途中も、助けてくれた吊太朗くんに対して「申し訳無いな」って顔をしてるね。
吊太朗/そのトウコちゃんの複雑な表情には気付かないと思うんだよ。こういう奴ですから。
お七/こういう奴ですから(笑)
吊太朗/だから……。神社で遊べないならどうしよっか! 今日はもう帰るか! 俺、トウコの家まで送るよ! って言います。
GM/「……ごめんね」 さっきから口を開くたびにその言葉しか落ち込んで言いません。
吊太朗/なんだよ、トウコらしくねーな。大丈夫って言ってんだから大丈夫だって! なにいつまでごめんごめん言ってるんだよー!
GM/「……もー! 心配してやってるのに! 判ったよ、もうごめんとか言わないから!」
吊太朗/うんうん、そうしろよ!
GM/夕日の帰り道。怖いこともあったけど、それ以上に笑い合うことも多かった子供の頃。それが今ではとっても立派な中二病です。
ビクター/はい、立派な中二病ができあがりました(笑)


 ●オープニングフェイズ2/お七 〜思春期〜

GM/あれから数年。今日は12月16日の木曜日。16時。吊太朗くんとトウコちゃんが下校途中に、お七ちゃんとビクターさんに合流する……っていうシーンがやりたいです。
お七/はい。途中で合流しますね。
GM/トウコちゃんも中学生になり、スカートを制服で履くようになりました。だいぶ女性らしくなってきましたが……。
吊太朗/トウコ、なんか大人しくなってきたな。
GM/(トウコになって)「そんなことはないザマスよ」
お七/イヤミかよ!?(一同笑)
GM/お淑やかでお嬢様っぽい口調のキャラを目指したでザマスよ?
ビクター/そのキャラ、失敗してない!?(笑)
GM/今年一年はお嬢様キャラでいくって決めたザマス。
吊太朗/おっ、トウコ。お前もキャラ変?
GM/「……だってさぁ、女子がいかにもっていう女の子の会話しかしなくなってきたのよ。恋バナとかさぁ……」
吊太朗/恋バナ? まあ、出来ないのも仕方ねぇなぁ。トウコだしなぁ!
GM/「トウコだしなってどういうこと!?」
吊太朗/なんでもないなんでもない!(笑)
お七/そんな下校途中に登場します! ビクター様と一緒に……。
ビクター/一緒、ということはお七さんの勉強が終わった後でしょうか。下校途中の2人と偶然出会います。
GM/2人を知っているトウコは、偶然出会った2人に対して元気に手を振るよ。「あ、ビクター先生! お七ちゃーん!」
お七/まあ、トウコ様。ごきげんよう。
GM/(吊太朗の方をぐるっと振り返って)そうそうあんなカンジのキャラになりたい!
吊太朗/すげえ判りやすい。
お七/なんかいきなり判りやすい例として扱われた!?(一同笑)
GM/「お七ちゃん……いえ! お七様! ご機嫌麗しゅうございます! 勉強なさってたんですの!?」
お七/あ、はい(笑) そうなんですよ、ビクター様と一緒に現代日本について……。
ビクター/……なんか、トウコちゃんのキャラが面白くなってきたんだけど(笑)
GM/……トウコ、絶対オタクだわ。中二病というか14歳でアニメを見始めるようになった女オタだわ。最近見てるアニメは『おそ松さん』だわ。ごめん。
吊太朗/いや、可愛いからそれでいってください(笑)
GM/ちなみに皆さんは、これから教会の高坂に「仕事の話があるから来てくれ」と言われています。その時間まであともう少しですね。トウコは「吊太朗は用事がある」と知っているので、そろそろバイバイしようとします。
お七/そんなトウコ様に……これから吊太朗様はお勉強の予定があるんですって言います。
吊太朗/そ、そうそう。これから先生に勉強を見てもらわなきゃなんだよー!
GM/「そっか、用事ってそのことだったんだ」と、ビクターさんが吊太朗とお七ちゃんの家庭教師であることを知っている彼女はあっさり納得。「ねえ先生、今度私も勉強見てやってください! 中間テストが不安なんでー……!」
ビクター/わ、私で良ければいつでも〜。
お七/吊太朗様。中間テスト、頑張りましょうね。
吊太朗/テストか。あまずっぺぇ〜!
GM/それ、言いたかっただけだろ(笑) 「……ねえ、吊太朗。今度うち来てもいいから」
吊太朗/おっ?
GM/「先生達と教会で一緒に勉強してるみたいだけど……いつもみたいにうち来ていいから! ねっ! お母さんが吊太朗くんが来たらケーキでも焼いちゃおうかしらって言ってたし。良かったらお七ちゃんとビクター先生も……」
吊太朗/そっか! さっすがトウコ、サンキュサンキュ!
お七/わたくしも良ければご一緒させてください。
ビクター/はい、ぜひお願いします。
吊太朗/送っていかなくて大丈夫か?
GM/「すぐ近くだから大丈夫よ」
吊太朗/そうだよな、トウコだしな。
GM/「…………。じゃあねっ!」 一瞬、トウコは「トウコだしな」の一言に無言になった。……その些細な彼女の変化に、お七ちゃんは勘づくことができます。
お七/ピンとくるものは、ありますね。うちに来てって言ったのも、ドキドキしてましたね。あらあらと微笑ましく彼女を見ていました。
GM/……トウコちゃんはお七ちゃんが穏やかーな表情を浮かべているのを気付いて、真っ赤にしながら「な、何なのその顔ー!」って小突いてくるよ。
お七/いえいえ、ただわたくしは色々と頑張ってほしいなと思いましてー(笑)
GM/「勉強の話ですよね勉強の話ですよね!? 大事なことだから2回言いますよ!」
お七/ええ、ええ、もちろん。
ビクター/はあ、日本の女子が戯れているのは可愛いですね〜(笑)
吊太朗/いや、トウコは女子っていうかトウコですし?
お七/まあっ! ……吊太朗様、トウコ様はちゃんと女性ですよっ!
吊太朗/はい、トウコは女性です。
お七/よろしいっ(笑) ……ハンドアウトに「応援するか、茶化すか、妨害するか」って書いてあるけど、こりゃ応援するしかないでしょ。まかせろー!
ビクター/なんだかお七さんがメラメラしてるなぁ〜(笑)
GM/そうしてトウコは自宅への道を走って行きます。……それでは、次は教会のシーンにいきましょう。


 ●オープニングフェイズ3/ビクター 〜異端の影〜

GM/流れるように教会の礼拝堂で仕事を貰うシーンをやりましょう。3人揃って教会に向かいます。
ビクター/はーい、失礼します〜。どーもー。
GM/礼拝堂の奥から「ああ、ビクターくん! 来てくれたかい?」と男性が現れます。高坂ですね。

 高坂
 様々な事件の仲介屋(コーディネーター)をしている男。PCのような能力者達に「仕事」を紹介することを仕事とする斡旋人。
 詳しくは『AW公式NPC・パーソナリティーズ』参照。年齢は永遠の33歳。若くないが中年すぎないお年頃。


ビクター/高坂さん、お久しぶりです〜。
GM/(高坂になって)「おっ、みんなお揃いだね。早速だけど仕事の話をして大丈夫かな?」
ビクター/はーい、おまかせくださーい。
お七/そのために3人で来ましたからね。
吊太朗/ウッスウッス!
GM/高坂は和やかな雰囲気で3人に仕事の資料を配ります。(高坂になって)「さて、今回の件だが。実は2週間ほど前から、とある異端がN市に出没して人を襲っている……」
吊太朗/襲っている……。
GM/「……と思われる」
お七/思われる? 確定情報ではないのですか?
GM/「実際に姿を見たという証言が少なくてな。……2週間前、N市にある氷川神社の神主さんが、境内の掃除をしている最中に岩が突然浮き上がり自分に飛び掛かってきたという話があった」 ポルターガイスト的な現象に襲われたそうです。
ビクター/あら、それはそれは〜……。
GM/「神主さんは擦り傷程度で済んだ。このような事件がN市内だけで既に5件起きている。物が飛んでくるということもあれば、自転車が勝手に動き出して特攻してきたなんてケースもあって……」
吊太朗/こ、怖っ!
ビクター/今のところ、大怪我をした人は?
GM/「現在は出ていない」
お七/でも、先ほどの神主さんだって飛んできた岩が頭に直撃していたら大変なことになっていたでしょう……。
GM/「異常事態となったら異能事件を担当する退魔組織のもとに情報がやってくるもの。5つも頻発しているなら関連性があると見ていいだろうと我々は動き出した。……そして今日から3日前の夜」
お七/3日前に?
GM/「教会の一員である霊媒師が、偶然その現象に見舞われたんだ。教会の一員だった彼は連日のポルターガイスト現象の報告書を読んでいてな、すぐさま現場の調査を行なった」
吊太朗/なんと。
GM/一般人には何も視えなかったけど、クラス[霊媒師]のキャラクターは霊体を発見することに特化しています。だから「異常だ!」と思った時点で判定を行なったんですね。……そして発見したそうです。
ビクター/おおっ。
GM/1〜2メートルほどの赤い影の存在。4足歩行の獣の存在を。
お七/赤い……影?
吊太朗/……赤い獣……。
ビクター/吊太朗さん、今カッコイイとか思いました?
吊太朗/すみません。「俺は黒い獣だぜ」とか思っちゃいました。「俺は黒い獣。そう、ブラックビースト。俺を従えることは誰にもできない」とか思っちゃいました。すみません。
GM/そんな謝らんでも。
お七/この現代ではメンナクと呼ばれる文化があることは把握しています。謙遜しなくていいんですよ?(笑)
ビクター/そうですよ、卑下しなくていいんですよ〜(笑)
GM/しかし一方で高坂は悶えた。
お七/高坂さん、昔そういうの好きだったでしょ!?(一同笑)
GM/「……ま、まあそれはおいといて!(笑) 異常事態の現場に異形の者が居たと確信が取れたんだ。不可視の獣で≪テレキネシス≫を使う異端がいないかと教会が調査した結果……『アレクソウル』と呼ばれる異端がかつていたことが発覚した」

 ≪テレキネシス≫
 念動力で物体を動かす[感応力師]の副特技。
 [クラスレベル]キログラムまでの重量の物を、手を使わずに動かすことができる。

お七/昔、そういう異端がいたんだという資料があったんですね。
GM/「ああ。教会がかつて相手にしたことある異端だったんだ。もしかしてそれと同じものが……と思われるので、正式に調査チームを組むことになった」 高坂は君達に任せたいとします。
ビクター/はい。私は断る理由がございません。
お七/わたくしも吊太朗様が了承して頂けるのでしたら。
吊太朗/…………。
お七/……吊太朗様? 何かご不明の点でも?
吊太朗/「吊太朗様」という響きに気持ち良くなってました。
ビクター/そりゃそうだよね!(一同爆笑) 14歳の多感な時期に可愛い女の子に様付けで呼ばれたらね!
GM/しかも彼女は「貴方の為にいる女の子」だ。ラノベかな。
吊太朗/(クールでニヒルでアンニュイな声で)……吊太朗様、か。
お七/凄く良い声で反芻された!(笑)
ビクター/で、どうなんです。仕事は受けます?
吊太朗/吊太朗は……だいぶ溜めて、フッと笑います。そうか、とうとうこのときが来たか。ブラックビーストとレッドビーストが遭いまみえる時が、な!
ビクター/つらい!(一同笑)
吊太朗/いいぜ!(指パッチン)、受けてやる、その仕事……!(ウインク)
お七/心臓のやわらかいところをカリカリ引っ掻かれているようだよ!?(一同爆笑)
GM/……トウコは知ってる。吊太朗くんが指パッチンを練習してできるようになったことを(一同笑)
吊太朗/うん、1日3時間ぐらい毎日練習した(指パッチン)
お七/な、中の人の腹筋は限界です、が!(笑) お七は「さすが吊太朗様……!」と顔の前で手を組んで感激してますね!
吊太朗/その笑顔にまた気持ち良くなっておきます。
GM/高坂が一段とモダモダと身悶えしながら「し、資料は……資料はこちらになります……どうぞ受け取って……」とビクターさんにお渡してくるので受け取ってあげてください。
ビクター/は、はい! 高坂さん! 生きて!(笑)
GM/ではこれにて解散。君達は礼拝堂を出まることができました。
ビクター/はい、出ました。
GM/さて礼拝堂を出ると、道路を挟んで道の先から……トウコちゃんがこちらへ走ってくるのが判りますね。
吊太朗/おっ?
お七/トウコ様?
GM/あっちからタッタッタと走ってくるのが全員の目で確認できます。手にはノートを持っていて、あれは遠目から見ても息切れをした彼女は「このノートは! あたしのじゃなくて! 吊太朗のものだった! 渡し忘れたー! 帰る前に気付いて良かったー!」って言いたそうに走っているのが判ります。
お七/ああ、さっき渡し忘れちゃったんですね(笑)
吊太朗/そんな、わざわざ返しに来なくても良かったのに……。
GM/その瞬間トウコはトラックに撥ねられます。
お七/えっ。
吊太朗/えっ。
ビクター/……えっ?
GM/何の前触れも無いこと。道の先から走り寄ってくる彼女。道路を走り抜けようとする彼女。やって来るトラック。激突。その一部始終を見ます。
吊太朗/……止める間もなく?
GM/ええ。
お七/……と、トウコ様!? 思わず駆け寄ります!
GM/駆け寄った先は凄惨な事故現場です。トラックは電柱にめり込んでいて、彼女は巨大な塊に轢かれて血まみれで飛ばされておりました。
お七/じ、自分の力で彼女を治そうとします……!
GM/直感で判るよ。もう命の灯は消えていることに。
ビクター/え……ええっ……?
お七/そ、そんな……。
GM/吊太朗くんはこの感覚、ちょっと思い出すね。……あのときの吊太朗は、運良く助けられたけど。
吊太朗/……ぼ、呆然と立ち尽くします……。
お七/……つ、吊太朗様……!
吊太朗/黙って見ていることしかできない……。中学生ですし、とにかく呆然と……して……。
お七/ま、間に合わなくても一生懸命トウコ様を治そうとします! と、トウコ様……!
GM/周囲の人々は「事故だ!」「交通事故だ!」「救急車を!」「運転手は平気!?」「女の子が轢かれて……即死か……」などとザワザワし始めます。
吊太朗/……吊太朗は少しずつ現実に戻ってくるんですけど、やっぱり……訳判んなくなって……お七さんが居る……トウコが倒れているところまで来て……声を掛けて……。
お七/つ、吊太朗……様……。
吊太朗/……と、トウコ。早く……病院に行かないと……。
ビクター/……吊太朗さん……。
吊太朗/怪我……凄いよ……行かないと……。
お七/……そうです、諦めてはなりません! 救急車が今来ます! お七は少しでも延命措置を続けます!
GM/ビクターさんはどうしてる?
ビクター/……お七さんが措置をしている。まずは……病院に連絡をします。
GM/冷静だね。
ビクター/……でも、ビクターは自分のことを「不幸である」と思っているので、周りで起こったことが自分の力によって起きた恐怖なのではないかって思っちゃいますね。……この不幸は、自分がここにいたからではないか……ショックなのは変わりません。
GM/「貴方が不幸を呼び寄せてしまったなんて考えないで、ビクター=サージ」 小さな女の子の声がします。
ビクター/え。
お七/あ。
GM/君達3人がその女の子の声に気付いて振り返った瞬間、世界は真っ暗になっていた。上も下も右も左も無いような、至るところで渦が巻いている暗闇に君達はいます。
吊太朗/こ、ここは……。
GM/「ここは時空の狭間。『ウズマキ』と呼ばれているところよ」 暗闇の中には君達3人しかいない。君達の前に、金髪ツインテール、ゴシックロリータ服姿の6歳ぐらいの女の子が現れます。
ビクター/き、君は……。

 龍の聖剣
 金髪碧眼ゴシックロリータ服の女の子。通称「ロリ」。
 神の決定した運命を尊重し、異端が歪めた誤った世界を正すべくPC達に時間跳躍を提案する超越的存在。
 一度助けたことのある人物には親しく話をしにくるが、基本的に[世界遣い]や[稀人]以外の能力者の前には姿を現すことがない。


GM/彼女は異端による事件があると君達の前に現れて、異端が起こした事件が起きる前の時間まで戻してくれる存在です。
お七/お七は……一生懸命措置をしていた最中にウズマキに飛ばされて、キョトンとします。
GM/(龍の聖剣になって)「八百屋 お七。もう大丈夫よ。手当てする人はここにはいないから」
お七/だ、大丈夫って……。そう言われて自分の手元を見ます。目の前にトウコ様がいないのを確認して、虚脱したように腕をだらんとさせます。
GM/「病坂 吊太朗。貴方も相当困惑していたわね。まずは深呼吸をして」
吊太朗/……困惑っていうか。早く……トウコを病院に連れて行ってやらないと。
GM/「笹垣 トウコは死んだわ」
ビクター/そんなっ。
GM/「笹垣 トウコは死んだわ。だけどその死を世界は認めない」
お七/……それは……。
GM/「私がここに現れたということは、判るかしら。私は異端が犯した世界の歪みを正すためにいるの。彼女の死んだ理由が何であるか……」
ビクター/……笹垣トウコは異端のせいで死んだ。そういうことでしょうか。
GM/龍の聖剣は、肯定するかのような目をします。
お七/彼女は……異端事件の被害者になってしまった。
ビクター/……私のせいじゃないんですね。
お七/そ、そんな! ビクター様のせいではないですよ! ビクター様の元に駆け寄って下から顔を見つめて言います!
ビクター/て、照れる!(笑)
GM/「彼女はあの時間、あの場所で死ぬべきではない。だけど彼女の運命を歪めた者がいる。彼女に近い貴方達なら、彼女の運命を正すことができるかもしれない。もし笹垣トウコを助けたいのであれば、私の手を取れば時を巻き戻すことができるわ」
お七/お願いしますっ! 聖剣様の手をぎゅっと握ります!
GM/お七ちゃん、早かった。
お七/事故や事件には過敏なんです! やらかした身としては!
吊太朗/大きなやらかし歴がある身としては!(笑)
お七/お願いします! わたくしに出来ることならなんなりと! でもハッとして……マスターである吊太朗様をじいーっと見ます。
吊太朗/か、可愛い(笑)
お七/す、すみません先走って……い、いいですか? いいですか?
吊太朗/……吊太朗はトウコが死んだことに実感がまったく湧かないんですよ。
ビクター/そりゃ、そうだろうな……。
吊太朗/このまま……トウコの死を考えないようにします。それに……異端を倒すのが俺達の役目だしな! やってみようぜ!
お七/……吊太朗様……。
吊太朗/時間を巻き戻して異端を倒せば、トウコは怪我しないで済むんだよね! ……死なずに済むんですよねとは絶対に言わない。
お七/……はい。そうです、吊太朗様。前向きに考えなくては。異端を倒し、トウコ様に怪我をさせないようにしましょう!
ビクター/……もちろん私もなんだってしましょう! どうか私も連れて行ってください。
吊太朗/ありがとう、先生。
お七/あ、ありがとうございます、ビクター様!
ビクター/ま、まだお礼を言われるのは早いですよ! これから怖い異端を倒しに行かなきゃいけないんですから!
GM/「……ありがとう、病坂 吊太朗。八百屋 お七。ビクター=サージ」

 「貴方達が願えば時は巻き戻る。もう一度、あの時間がやってくる。
 もしかしたら今度は変えられるかもしれない。短い時間だけれども、どうかお願い……笹垣トウコの運命を守ってみせて」

GM/龍の聖剣が君達の手を取った瞬間。君達はとある場所に立っています。
吊太朗/……どこだ?
GM/お七とビクターは勉強を終えて歩いているところ。そして吊太朗とトウコは中学校からの下校途中。事故からたった2時間前のことです。
ビクター/ああ、ここか!
お七/2時間前に戻ってきた……短いですね!?
ビクター/ループして2時間前って、『AW』ではなかなか珍しいですね。大体今朝からとか、2日前からなのに。
GM/今回はミドルフェイズに入る前にループ案件が起きちゃったからね。では吊太朗くん。君はいつものように中学校の下校途中でしたがハッと目を覚まします。
吊太朗/ハッ。
GM/(トウコになって)「そっかー、今日の吊太朗はお七ちゃんとビクター先生と用事があるのね。じゃあ礼拝堂の前まで一緒に帰ろー……って、ねえ、聞いてる?」
吊太朗/えっ……ええっ、なんで俺……あれ、トウコ!?
GM/「え? なに? 聞いてないの? 今日の予定のことでしょ?」
吊太朗/あ……ああ、だよねー! それそれ!
GM/「そう! 今日の予定のこと! その前は中間テストの話をしていた……ザマスよ!
吊太朗/だからお前、キャラ変に失敗してっから(一同笑)
GM/そんな12月16日、木曜日の16時。教会への道を歩いているとトウコちゃんが「あ、お七ちゃんとビクター先生だ! おーい!」と、あっちの道から歩いてきた2人に元気よく手を振ります。
お七/戸惑ったようにしつつも……笑顔でこんにちはと挨拶をします。
ビクター/どうも、こんにちはですよ。トウコさん。
お七/……トウコ様の生きている姿を見て、じんわりきちゃいます。
GM/「お、お七ちゃん? どうしたでございますか!?」 ちょっと涙を滲ませているお七を見ちゃったら心配しちゃうよ。
お七/い、いえ。お勉強に疲れちゃっただけですよ。
GM/「そんな疲れるまで勉強をやらせたんですか、先生!?」
ビクター/ひいっ、違いますよ!?(一同笑)
GM/「まあ、泣くほど勉強しなきゃいけない人は他にもいるんですけどね!」
吊太朗/イエーイ、ダブルピース(笑)
GM/「ダブルピースなんてしてないで!(笑) ……えっと、そうだ、べ、別にうちにテスト勉強をしに来たって……」と、君達は2時間前に聞いたような会話をまたしますよ。
吊太朗/……あ、そうだトウコさ。今日の俺はほぼほぼスリーピングタイムだっただろ? 午睡だったじゃん。
お七/午睡て(一同笑)
吊太朗/ノートを取り忘れちゃったからさ、貸してくれね?
GM/「あっ! そうだよ、スリーピングタイムだった吊太朗に渡すつもりだったんだ! 忘れてた! 言ってくれてありがと!」 トウコはノートをこのまま吊太朗に渡します。
吊太朗/お、やっぱり持ってたか。
GM/「まずはノートを取ってあげていたことを感謝するべきだとと思いますですわ!」
吊太朗/だからキャラ変ー(笑) っていうか最近お前、キャラ変えようとしてるのとか何なの?
GM/「そ、それはあたしなりに考えて……。もういい! 帰る! 吊太朗は用事があるんでしょ、バイバイ!」と彼女はぷいっと顔を背けて帰るのでしたー。というところでミドルフェイズに参りましょう!(言いながら、プレイヤーに紙を提示する)

【AF判定リスト】
 ※2シーン経過で、1日が経過。
 ※マイナーアクションで契約、供給が可能。

『AF判定:情報収集「アレクソウル」』
  ・使用能力値:【理知】
  ・難易度:15
  ・ラウンド制限:なし

 ※異端アレクソウルについて調査する演出に成功すること。成功した場合、アレクソウルの詳細情報を得る。
 ※協調行動OK。

『AF判定:交流「笹垣 トウコ』
  ・使用能力値:【体力】【知覚】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

 ※「笹垣 トウコと交流する」演出に成功すること。成功した場合、トウコに関するイベントが発生する。
 ※協調行動OK。

『AF判定:N市を調査』
  ・使用能力値:【体力】【幸運】
  ・難易度:40
  ・ラウンド制限:なし

 ※「事件が起きているN市を調査する」演出に成功すること。成功した場合、アレクソウルの潜伏先を予想することができる。
 ※協調行動OK。

『AF判定:回想シーン』
  ・使用能力値:【意志】
  ・難易度:20
  ・ラウンド制限:なし

 ※「過去を思い出して物思いに耽る」演出に成功すること。成功した場合、あるモノローグが挿入される。

『AF判定:交流「笹垣 トウコ 2』
  ・使用能力値:【体力】【知覚】
  ・難易度:15
  ・ラウンド制限:なし

※「笹垣 トウコと交流する」演出に成功すること。成功した場合、トウコの話を聞くことができる。
※協調行動OK。
※このAF判定は『イベントキー:トウコ』がなければ挑戦できない。

【協調行動とは?】

 AF判定をするPCに協力して、別のPCがAF判定を支援することができる。これを『協調行動』と言う。
 AF判定を行なう判定者が使用する判定能力値で、協調行動を行なう協調者が指定難易度:10に成功すれば、協調者の持っている特技すべてを判定者が自分の特技と同じように難易度減少に使うことができる。
 なお、協調行動は1人1ラウンドに1回のみできる。


GM/今回は『協調行動』ルールを採用しているので、2人で1つの情報収集をすることができるよ。
ビクター/『契約』関係はどうしようか?
お七/わたくしは回復役ですし、誰かのサーヴァントにしていただきたいです。
ビクター/私もできればサーヴァントになりたいな。
GM/それなら……もう決まったね?
吊太朗/はい、吊太朗がマスターになります! お七とビクターさんの2人と契約しましょう。
GM/了解です。お互いの名前をキャラクターシートの契約欄にお書きください。既に契約を結んであったという設定にしてくれて構いません。始めていきましょう。


 ●ミドルフェイズ1/ビクター 〜過去の事件〜

ビクター/まずはトウコと交流してほしいな。トウコと交流してもらうなら、吊太朗さんやお七さんとやってほしい。私はアレクソウルの情報収集にいきたいです。
お七/回想シーンをするっていうAF判定もありますね。これは吊太朗様に……。
GM/あ、その『AF判定:回想シーン』はPC全員できるよ。
お七/え? ……本当だ。誰が回想シーンをしてもいいんだ?
GM/ええ、PC1でもいいし、PC2やPC3が過去のことを思い出す演出をしてもいいんです。過去の思い返すなんてこと1人でしかできないので協調行動はできません。
吊太朗/ま、まあそうですよね(笑) 一緒に過去を思い出すことはできませんし。
ビクター/では、私がアレクソウルについて調べましょう。教会に行くのが一番ですね。
GM/教会に来たビクターさんは、スキップ機能が搭載されていることに気付きます。
ビクター/スキップ機能?
GM/高坂が「ビクターくん、来てくれたかい?」と君を迎える。「今から仕事の話をするけど、後で吊太朗くんとお七ちゃんにも資料を見せておいてくれよ」 オープニングフェイズでやった会話をスキップできます。ctrlキーを長押ししてください。
お七/あるある、全部省略できるんだ(笑)
ビクター/あ、あとで資料を渡しておきますね〜(笑) では判定を始めていきましょう。

 『AF判定:情報収集「アレクソウル」』
  ・使用能力値:【理知】
  ・難易度:15
  ・ラウンド制限:なし

 ※異端アレクソウルについて調査する演出に成功すること。
 ※協調行動OK。


ビクター/≪強化手術:理知≫で頭が良い上に物事を整理する力には長けています。調べたいものを的確に見つけることができます。ええい、お前じゃない、お前でもない……。
お七/「お前じゃない」と言われた本が悲しそうにビクター様を見ている。
ビクター/ああっ、ごめん!(笑) えっと、≪本のクチ≫で色んな本にアレクソウルのことについて話してもらいます。
GM/(本になって)「オ喋リスルヨー」
お七/(本になって)「ボクアレクソウルノ情報持ッテルヨ! 持ッテルヨ!」
ビクター/わあ、いっぱい来た!(笑) ≪見通す眼≫で隅々まで本を探していきます。
GM/(本になって)「エッチー」
吊太朗/(本になって)「スケベー」
ビクター/エッチなことなんてしてませんよ!?(笑) ≪魔法のローブ≫を深く被ります!
お七/(本になって)「アッ、ゴメンネゴメンネ!」(笑)
ビクター/高い所にあった本は≪虚空の翼≫で取ることができます。……私、背は高いですけどね。
GM/せやな。これで特技を5つ使ったので難易度が10下がります。難易度が5なので、ファンブらなければ成功します。
ビクター/それ言うとファンブルが出るからやめてください!(笑) 【理知】で判定しますね。(ころころ)達成値11なので成功です。はーはー……。
GM/君は、言われなき罪を受けながら異端アレクソウルについて調べ上げることができます。
お七/(本になって)「ゴメンネゴメンネー」(笑)
GM/内容を読むよ。……異端アレクソウルに関する記載があるのは、100年ほど前の資料だ。1910年の記録だね。
吊太朗/100年前? かなり前だな。
ビクター/スレンダーマンが生まれているかどうか微妙だな……。
GM/N市の神社は500年ほど前からあったそうだよ。江戸、安土桃山時代から人々に祀られていたそうだ。100年前の1910年。異端が今のN市に現れ、人々に被害を加えていた。当時の退魔組織は霊媒師を呼び、その異端をとある神社に封じたとある。その神社は氷川神社といい、氷川さんという一族が代々神主さんをしているそうです。
ビクター/氷川神社ってたくさんありますよね。
GM/ええ、そこから名前を拝借しました。吊太朗くんがその名前を聞いたら覚えているかもしれないね。PC1のオープニングシーンに登場したおじいちゃん神主さんの名前だから。
吊太朗/ああ、あの人のことか。
GM/100年前に現れた異端というのは、狂暴で大きな狐だったそうです。赤い毛並みで、でっかい尾っぽを何本も持った異端でした。その異端はとても強力で、当時の霊媒師達は「昇華させるのではなく、封印が無難だ。それが被害が少なくて済む」と判断しました。
ビクター/封印が無難……?
GM/100年前のPC1達が頑張ってラスボスを倒したんだけど封印エンドがいいやってことにしたんです。
お七/わ、判りやすい(笑)
GM/当時のアレクソウルという異端の手書き資料が続々と出てくるよ。
ビクター/手書きで読みにくい……けど、≪本のクチ≫で本に読んでもらっているから問題無いか。
GM/お、そっか。じゃあ本に読ませるキャラロールをしよう。(本になって)「狐サンハネ、トッテモ嫉妬深イ子ダッタノ!」
ビクター/嫉妬深い?
GM/「恋ヲシテ敗レタ血気盛ンナ狐サン! ソレダケジャナク、彼女自身モ恋バナダイスキ!」
ビクター/……恋バナ、大好き?(笑)
GM/「色恋トカ! 恋慕トカ! 愛情トカ恋愛沙汰トカ大好物ノ狐サンダッタノダー!」 恋愛などで浮ついた感情を好んで食べる、自身も恋愛好きな異端さんだったんですって。
お七/わあ、浮ついた感情を食べるってまさに異端だね(笑)
GM/異端の好物は、痛いや苦しいといった『負の感情』ですが、『正から負に変化する感情の振れ幅』や『揺れ動き』を好む習性もあるからね。無感情では成長しないという世界観が『AW』というゲームにはあるので、恋限定の感情を好む異端はいてもおかしくないでしょう。
お七/恋で苦しんだりするのも立派な負の感情だもんね。
ビクター/吊太朗さん風に言うなら「あまずっぺぇ〜」ってところでしょうか(笑)
GM/その通りだ。……GMも「あまずっぺぇ〜」って言わなきゃいけないのかな(笑) 100年前のPC1達はそんな狐さんと交流したり戦闘したりした結果、「やべ、こいつ昇華できねえ!」と判断。封印した当時のPC2かPC3あたりは資料の最後に「後々の人、頑張って!」って書いています。
お七/なんだって。
ビクター/これは丸投げというやつです!(笑)
GM/当時のPC1達は「やべえ! 時間切れだ! 早く片付けて帰るぞ!」ってエンディングフェイズをおざなりにして終わらせたんだよ。
ビクター/セッション時間切れはあるあるですけど!(笑) 私は色恋に疎いものですので、このような異端がいたとは……驚きです。
GM/もちろんアレクソウルのデータもある程度書かれているよ。不可視の姿で動くアレクソウルは発見するのが難しいそうです。これは能力者にとってもかなり難しいようだ。
吊太朗/能力者が見つけにくいんじゃ、一般人はまず無理だな。
GM/ええ。ちなみにルールブックの「霊媒師まめちしき」に「霊媒師は基本、霊体を判定の必要無く感知し、会話できるものとする」とあります。しかしアレクソウルはその例から外れた、「霊媒師ですら見つけることができないNPC」とします。
お七/お七は[霊媒師]ですけど、お七でも判定をしないと見つけられないんですね。
GM/そう。大抵は「霊媒師さんがいる? じゃあこのシーンに幽霊がいるよ」ってGMは宣言するんですが、今回のシナリオに限り「GMが何も言わないから何も登場していない」って思わないようにしてください。
ビクター/判りました……。
GM/(いきなり凛々しい声になって)「おや、そこに居るのはミスタービクター?」
ビクター/ひゃいっ!?
お七/ど、どっから声を出しました、ビクター様!(笑)
GM/「貴方がアレクソウルの事件を担当したのですね」とビクターさんに声を掛けてくる男の子がいます。ときわといいます。

 ときわ。
 教会上層部と関わりがあり、教会運営に関わる旧き一族の生まれ。非常に真面目な性格の少年。
 裏社会に詳しく教会の任務に必要な情報収集のためありとあらゆる場所に出向いている。詳しくは『AW公式NPC・パーソナリティーズ』参照。


ビクター/と、トキリンだ。声を掛けられてすぐ振り向きます! ……「ミスタービクター」って呼んでもらった。外人の名前にして良かった!(笑)
GM/どんな子かの説明はルールブックに書かれている通りなんですが、敢えて一つ言うなら……[霊媒師]の男の子です。もしPC達の中で[霊媒師]のキャラクターがいなかったときのお助けNPCとして用意しておりました。「作業は進んでいますか?」
ビクター/は、はい。資料も一通り読み終えることができました。
GM/「実はアレクソウルの事件を教会が受けるキッカケになったの、僕が獣の赤い影を見たからです」
吊太朗/ほう。目撃者か?
ビクター/目撃した霊媒師って貴方でしたか。お怪我などはありませんでしたか?
GM/「幸い僕に怪我はありませんでした……が」 はい、ここで【幸運】判定をしてもらいましょう。トキリンが何かを話し始めるかの判定です。難易度は10。
ビクター/【幸運】ですか。(ころころ)おおっ、クリティカル!?
お七/す、凄いですビクター様!
GM/「あの獣、必死でした」
ビクター/必死?
GM/「必死そうに思えました。獣の顔なんて見てません。見えたのはシルエットですからね。ですが……焦っているような、ムキになっているような気がしました」
ビクター/ムキになっている……?
GM/「必死になって暴れている異端です。これから大きな事件が起きるかもしれません。気を付けてください」
ビクター/……助言ありがとうございます。ここでなんとかしておかないと、私の好きなものが守れませんからね。必死で来られたなら必死に抗うのみです。
GM/「……ミスターはクールだ。貴方なら大丈夫ですね。ファイトですよ」 彼は去っていきます。この辺でシーンを終えておきましょう。
ビクター/……あの、中の人は公式NPCだとルージィルさんの次にトキリンが好きなんですよ。吐血していいですか。
GM/そこはクールに頑張ってくれ(笑)


 ●ミドルフェイズ2/吊太朗 〜テスト勉強〜

吊太朗/吊太朗は、トウコちゃんと交流を行ないます!
お七/お七は吊太朗様の判定に協調行動を行ないます。

『AF判定:交流「NPC1:笹垣トウコ』
  ・使用能力値:【体力】【知覚】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

 ※「NPC1と交流する」演出に成功すること。

GM/シーンプレイヤーの吊太朗くんは、何の能力値で判定しますか?
吊太朗/【体力】で判定します。
GM/協調行動参加者のお七ちゃんは、【体力】で難易度10以上を出せば協調可能となります。
お七/せーの!(ころころ)14、出ました。やったー。トウコ様がお帰りになるところを一緒について行ったってことにしますか?
吊太朗/うん。トウコと一緒に帰ることにします。
GM/AF判定の交流だからどんなシーンを演出するのかな? 突然の夕食ご一緒でも、突然のゲーセンに行こうぜでも、突然のテスト勉強でもいいのよ。
お七/……お勉強会、いいですわね。
ビクター/吊太朗にとっては【体力】を使うしな(笑)
GM/なら、トウコちゃんは「あれ? 今日は吊太朗とお七ちゃんでお勉強じゃなかったっけ?」と一緒に帰りながら言いましょうか。
お七/ええ、ですから良かったらトウコ様もご一緒にお勉強はいかがでしょうか?
GM/「それならうちに来て! お母さんは今からケーキ焼かなくても……確か美味しいチーズケーキを買っておいたって言ってたから!」
吊太朗/よっしゃあ! チーズケーキ!
GM/「吊太朗、チーズケーキ好きだもんね」
お七/……この子、吊太朗様の好物を用意しているんですね。思わずなるほどグッジョブって思います(笑)
GM/そんな感じで君達は笹垣家に到着します。ごく普通の一軒家ですよ。
お七/好物を準備した状態で家に呼ぶとは、この子やるな……。その事実に自分も負けていられないと≪覚醒具≫で覚醒します。その調子ですわ!(笑)
GM/なんかお七ちゃんの目が覚めたらしい(笑・トウコになって)「なんだかお七ちゃんの目があたしの全てを判っているようなハンドアウトで安心するわ」
吊太朗/ハンドアウトって何だよ。
GM/「おっと失礼ザマス。てやんでーバーローめ
ビクター/なんか色々混ざりすぎですよ!?(笑)
お七/恋する女の子はわたくしが応援します。≪魂装支援≫!
GM/魂から支援してくれたよ、お七ちゃん(笑)
お七/なんとなれば≪ラブモーション≫で恋のキッカケを作っても構わないんですよ!
吊太朗/じゃあ俺は≪薬物調合≫で眠くならない薬を作ります。もっと眠くならないようにするにはと方法をググって発見して、≪強力調合術≫を使います!
お七/熱して混ぜるんですか? ≪火霊操作≫でお手伝いします(笑)
吊太朗/≪最高調合術≫で、いくら飲んでも大丈夫なので一気飲みしちゃいますね。3回分ぐらい飲んでも大丈夫! ウェーイ!(笑)
GM/トウコは薬物なんて知らないので、吊太朗が淹れた美味しい紅茶だと思って飲みます(笑)
ビクター/ネットで調べて調合したハーブ茶か何かだと思ってるんだな(笑)
お七/万が一お腹が痛くなったら回復できるように≪肉体復元≫と、胃に≪念動障壁≫の準備をしておきますね!(笑) 良い環境で気持ち良く勉強ができるように≪愉悦の波≫を使いますね。
GM/お七ちゃんはアロマでも焚いたのかな。
お七/落ち着くお香を焚きました!
吊太朗/そのお香の匂いを嗅いだ吊太朗は「俺も良い匂いのするお香を作ろう!」と思って≪興奮剤≫を調合します。……でも「これは違う」と思って、しまっておきます。
GM/そうやって初期装備の一つにした(笑) 特技は11個使ったので、難易度が22も下がっているよ。
吊太朗/そろそろ頼むぞ!(ころころ)お、達成値13です!
GM/おめでとう、成功だ。そんな感じで君達は勉強……してる?
吊太朗/し、してるよ!(笑)
お七/エア≪瞬足≫で頑張って勉強してますよ!(笑)
GM/中間テストの勉強に集中とする3人。……お七ちゃんは、ちょっとしたことでトウコちゃんが吊太朗くんに触れたりすると「ドキドキ」という顔をするのを見るよ。
お七/あら……吊太朗様風に言うと「あまずっぱい」ってやつですね(笑)
ビクター/吊太朗は気付いてないんだよね。
吊太朗/気付いてないね。お茶、美味い?
GM/「う? んー、美味しいけど……や、ヤバイもんとか入れてないよね!?」
吊太朗/「ああ、持参したあまずっぺぇ〜やつを入れただけだよ!」
GM/「あまずっぺぇ〜って言いたいだけじゃん!」 ニコニコ楽しそうに笑うトウコちゃん。
お七/微笑ましくそんな光景を見ていますね。
GM/「このお茶飲んでるとなんだか落ち着いてくるね。……これ、作り置きしてくれない?」
吊太朗/いいよー。
GM/「やったー。夜、寝る前に飲むね。これなら今日こそぐっすり休めそう。最近色々あってずっと眠れないし」
お七/あら、何かあったんですか?
GM/一瞬彼女は言うか言うまいか考えた後に、交流に成功して心を許した君達に「聞いてくれる?」と乗り出してきます。
お七/ええ、もちろん。悩み事なら聞きますよ。
GM/「最近……生傷が多いんだよね。それが悩みでさ」 冬なので着ていた長袖をちょっと捲ったトウコちゃんの腕には、打撲痕があります。
お七/あら!? どうしたんですか、この傷!
GM/「自分でも気付かないうちに付けてたの。気付いてないぐらいだから自分の不注意なんだと思うよ。そんな……勝手に物が当たってくることなんてないんだし」
吊太朗/…………。真顔で聞いてたけど、すぐにカッコつけたように「フッ」と笑います。トウコ、お前……俺に隠してたなんてな。この、ブラックに隠していたとはな。
ビクター/ぶはっ(笑)
GM/ブラックって何。
吊太朗/ブラックビーストだよ。
GM/…………。チッチッチ、ポーン。(トウコになって、やたら深刻な声で)「ぶ、ブラックビースト……!?」
お七/トウコ様、なんで共感したの!?(一同爆笑)
GM/「ブラックビースト……あたしの目が届かない場所で、一体何をしていたというの!?」
吊太朗/とうとうお前も目覚めたか、ビーストに。
GM/「あたしもビーストに!?」
ビクター/なんでトウコちゃん、そっち寄りになったの!?(一同笑)
GM/「じ、じゃあ! この足の傷もビーストに覚醒したからなのね!」 チラッと見せる足にも傷があります。
お七/ぜ、全身に傷があるんですか!?
GM/「これは多分別件の傷。今日できたばっかのやつ。いつも間にかできてた」 ……さて、[霊媒師]のお七ちゃん、【意志】判定はちょっと高めの難易度13に挑戦することができます。
お七/13……?(ころころ)えっと、達成値17です。
吊太朗/おお、凄い出目だ。
GM/トウコちゃんの背後に何かの影が揺らめいた。
お七/思わず視線でそれを追います。
GM/お七ちゃんの視線にその影も気付いたのでしょう。部屋の外に出て行きました。
お七/すみません失礼します。慌ててその影を追います。
吊太朗/ふぁ?
お七/退室前に、吊太朗様に目線で「いた」ということを教えます。
吊太朗/……お七が出て行くのを見て、荷物をまとめます! トウコ、ごめんな。お七ちゃんが用事を思い出したみたいだから俺も帰るわ。また明日な!
GM/吊太朗くんも出ていくんだね。トウコちゃんの部屋を出て、玄関への廊下をバタバタと駆け足で出て行こうとするとトウコちゃんのお母さんが「あれ? もう帰っちゃうの?」とご挨拶するよ。手にはチーズケーキのホールが乗ったお盆を持ってね。「いつもトウコと一緒にお勉強してくれてありがとう。また来てねー」
お七/あ、はい。こちらも色々とお世話になっておりますので……。
GM/【幸運】判定難易度15をどうぞ。
吊太朗/15!?
GM/ええ。これは失敗してもおかしくない、高難易度指定の判定です。
お七/(ころころ)うう……8で失敗。
吊太朗/(ころころ)全然ダメでした。9で失敗だ。
ビクター/……私がいたとしても【幸運】は難しい。リソースを切りますか?
お七/今回は……諦め……ううん、諦めたくないなぁ。≪ミネルヴァ≫は達成値+1D6なので使っても無理……。
吊太朗/どうする?
ビクター/成功させたいですか、この判定?
吊太朗/……相当難しい判定でも、GMがさせたんですよ。成功させたいです!
お七/では、吊太朗。令呪をお願いします!
吊太朗/お七の令呪を1つ使います! 達成値+20だ!
お七/達成値28で成功させます!
GM/……了解しました。令呪を使ったことで幸運的にお七ちゃんが「気付いた」という描写になります。荷物をまとめてトウコちゃんの部屋を出て行った2人。トウコちゃんのお母さんは「トウコー、お見送りぐらいしなさーい」と彼女を呼びます。
吊太朗/はい。
GM/「はーい」とトウコちゃんが部屋から出てくる。その瞬間、お母さんが持っていた包丁でトウコちゃんを刺そうとする。
お七/だっ!? ダメっ! 刺さる前に≪念動障壁≫を使って防ぎます!
GM/【幸運】判定に成功したのでお母さんの凶行を止めることができます。
ビクター/あっ……あぶねー!?
吊太朗/よ、良かった……【幸運】判定成功して良かった!
GM/包丁はお七ちゃんの≪念動障壁≫に弾き飛ばされます。お母さんはまるで何かに操られていたかのように、それがごく自然に行なわれるべき行為だというかのように包丁でトウコちゃんを殺そうとしました。……弾き飛んだ包丁が、カランと床に落ちます。
お七/はあはあ、危ない……危なかった……。
GM/「……ふえ?」 落ちていく包丁を見つめるトウコ。「きゃ……きゃああああ!?」 トウコちゃんは半狂乱の声を上げます。お母さんが刺してきたという恐怖に見舞われ、彼女は【正気度】判定に自動失敗します。
ビクター/だ、だよな! そうなるよな!
お七/すみません、そこに≪愉悦の波≫を使用してもいいですか!?

 ≪愉悦の波≫
 触れるだけで恍惚とする快楽の念を放出することができる特技。
 [クラスレベル]人までの対象の意識を強制的に操ることができる。強さを調節することで快楽に溺れさせたり、気絶させたり、人を集めたりすることができる。


お七/発狂する前に意識を失わせます!
GM/あー、良い効果だねー。代償を払ってくれれば判定無しで彼女を昏倒させることができますよ。
お七/慌ててトウコさんと、お母さんを気絶させます!
吊太朗/よ、良かったー! 怖い!(笑)
ビクター/怖い! このシナリオ、スリリングで怖い!(笑)
GM/お七ちゃんが2人を気絶させている光景を吊太朗くんも見ていますね。……すると、吊太朗くんの視界にも「ある赤い影」が見えます。
吊太朗/そ、それは……。
GM/赤く……大きな尾の獣が、君の目の前を舞った。1メートルか、いや、2メートル近いんじゃないかと思われる獣が空を浮いていた。その獣は「チッ」と舌打ちをしたような気がする。
吊太朗/わ……悪い狐だな!
GM/倒れた彼女達を動かすことができないそれは、フッと不可視の姿になり、ここではないどこかへ去って行くのでした。……なあ、そこにプレイヤーに提示していた【AF判定リスト】には「※2シーン経過で、1日が経過」って書いてあったよな。
吊太朗/はい……。
GM/トウコちゃんが殺されるタイムリミットが、2シーン後だったんですよ。
お七/あ。
GM/つまり、このシーンが終わったらお七ちゃんのシーンが始まる前に「トウコちゃんが死ぬようなトリガーイベントが発生する」ということでした。
お七/じ、じゃあ……無事に2日目に移行できるんですね!
GM/はい。明日は12月17日、お七ちゃんのシーンからスタートです。
吊太朗/良かった……トウコが生き延びたんだ……良かった……。
GM/もしここでトウコちゃんが死んじゃったら、また君達の前にロリが現れて12月16日の16時から始めるだけなんだけどね。ただし今度はループの代償を払ってもらうけど。だから君達は、代償を払わずに次の日にいくことができます! 無事AF判定をクリアーしたので、『イベントキー:トウコ』を入手してください。
お七/毎ラウンド代償を払うとか、地味にキツイですよ(笑)
ビクター/お七さんの令呪が1つ失われましたが、その前に私と吊太朗さんが協力してカタをつければいいんです。次を信じましょう!