アナザーワールドSRS・リプレイ・DROWNING/phantasmagoria
■ 第2ループ2話 『 Bonnie And Clyde 』 3ページ ■
2009年12月8日




●プリプレイ

GM/それでは、『ドロリア』第2ループ後半戦を始めましょうー。さーて、どうなるのかなー?
亜紀/航、ラチカンですよ。
航/ラチカンですよ。どうしてしまったんでしょうね。
GM/では後半戦にオープニングを始める前に……ハンドアウトを公開します。
相馬/おっと、今回はハンドアウト作ってきたんですね。
GM/うん。今度から前後編に分かれたときは後編のみハンドアウトを出したいと思います。思い出しも含めてね。まずは……PC1から。

『PC1:秤谷航 用 ハンドアウト』
 コネクション:藤原幸正  関係:敵視

 君は夢を見た。そういえば教会で黒須が言っていたかもしれない。契約した相手の過去を見る夢があると。
 さて、君が目を覚ますと草木によって全身を拘束されていた。
 目の前に居るのは聖杯戦争の参加者。自分の運命は彼に委ねられてしまった今、どうやれば今日をを無事に越すことができるだろう……。


航/……捕まって朝になっちゃったよ……。
GM/次に、PC4のハンドアウト。

『PC4:早乙女亜紀 用 ハンドアウト』
 コネクション:櫻庭祐希  関係:親愛

 君は夢を見る。それは思い出の記憶。10年以上前の、幼馴染が祐希を初めて連れてきたときの夢だ。
 深夜、君は携帯電話の着信で目を覚ました。祐希が真夜中だというのに息を切らせて電話をかけてきたのだ。
 ……2月14日。航が行方不明になって1週間が経ってしまった夜だった。


亜紀/1週間もラチカンされてるじゃないですかぁ!?(一同笑)
盟/こりゃもう……散々色んなことされてるね(笑)
航/1週間もって、バイトどうしよう!?(笑)
GM/一人暮らしの男の子が連絡も寄越さずにバイトに来なかったらもちろん警察に連絡されてるよ。みんな心配になるさ。
航/でもゲームの中の警察ってホント役に立たないからな!(笑)
GM/みんなが不安がっている、そんな中で……次はPC2のハンドアウトは。

『PC2:相馬 用 ハンドアウト』
 コネクション:藤原  関係:自由

 君は夢を見た。それは自分の過去ではない記録。
 マスターの記憶を君は見てしまった。
 夜、目を覚ました君の元に藤原は現れた。すべては今後の戦のために。


相馬/超笑顔で)うむ、うむっ!
航/……なんだよ、その満足そうな「うむ」は?(笑)
GM/で、最後が盟ちゃんのハンドアウトだけど……。

『PC3:八木沼盟 用 ハンドアウト』
 コネクション:青森恐一  関係:ウマが合う


盟/ま・た・か!(一同爆笑) 「ウマが合う」とかいらんわー!
航/……GMが青森って言ったとき、全員が「またか」っていう顔になりましたよ(笑)

 君は夢を見る。それは思い出の記憶。10年前の、両親が亡くなったときの記憶だ。
 さて、君が起床すると朝イチで来訪者が居た。
 客は君も何度も会ったことがある。黒須の同僚で、君にとっても知り合いだ。
 彼は声を小さくして話し出す。「聖杯のこと、お前には話しておきたいと思って……」


GM/盟ちゃんのみ、途中までは第1ループの1.8話と同じハンドアウト内容だね。
盟/って、少しだけ違うんですね。新情報をくれる……のかな?
GM/最初に言っておくぞ。…………私はいらんNPCを出さん。
盟/ですよねー!(笑) 『夢魔炎上』のときから常日頃言ってましたけど……。
航/つまり、青森さんを攻略してもいいんだよというお達しですね。
GM/その場合は盟ちゃんの中の人にキャラロールをお願いします。
盟/ヤだよ、誰も得しないだろぉ!?(笑) もはや青森は路頭に迷ってもいいような年齢だからいいけどさ! 幸せになってほしいとは思うが、人には幸せになる権利があるんだから私は「青森にいくなんてやめなさい」って言うよ!
相馬/そっちの方向かい!(笑)
GM/……ではでは、今回はレベルアップ報告は無いから早速オープニングに参りましょうか。


 ●オープニング/航 〜白の夢〜


 航は夢を見た。
 どうやら夢を見ているようだった。
 だってこんな恐ろしい世界……夢でなかったらなんだというんだろう。あまりに苦し過ぎるものだ。


GM/では最初のオープニングシーンは、航。
航/はーい。どうも、ハカリヤ・拉致られ・ワタルです。
相馬/新たなミドルネームが付きました!(笑)
GM/まず君は、夢を見る。その夢とは……右も左も上も下も真っ白な世界に居るものだ。
航/……グルグル見まわしてみます。何かありますが?
GM/何も無いね。
航/手とか……自分の体を見ようとしてみます。
GM/ずっと自分より大きくて、自分の手ではないことが判る。……西洋人っぽく少し鼻が高くなってたりするのは判るのかな。
航/……辺りを探ったり、声を出してみたりします。
GM/何も無い。真っ白だ。
航/なにこの夢……本当に何も無い?
GM/何も無い。
航/歩いても歩いても何も無い?
GM/何も無い。
航/声を出しても何にも届かない?
GM/届かない。
航/これが……ジャックの記憶なのか? 過去が何にも無いって言ってたもんな……どうしよう。グルグルその辺をまわってみますけど……?
GM/第一ここは大地なのか、床なのか廊下なのか、それさえも判らない。歩いてみても何も見当たることがない。
航/メチャメチャ不安になりますよね……意味も無く走り出してワタワタしてます。
GM/壁なんか見えてくることもなく、っていうか地平線さえも無いね。どこまでいっても白。虚無。
航/……すげえ怖い。不安になってジャックを呼んでみます。……ジャック!
GM/白い扉だけを見つけます。ドアノブがあるだけのドアですが。
航/……近寄って、開けてみます。
GM/開けた先は……夜の公園でした。公園だと思ったときにはもう扉が無くなっていて、夜の公園に立っているだけになる。
航/……見慣れた光景ですよね。
GM/けど、目の前に女性が……恐ろしいものを見たよう目で君を見ている。
航/夢の中だし聞いちゃっていいんだよな……? 女性に「貴方は誰ですか」って尋ねてみます。
GM/「またアナタ、そんな意味の判らないこと言うのっ!? もうアンタみたいな不気味な相手と一緒に居られると思う!?」
航/え……なっ……?
盟/……『こんな殺人鬼となんか一緒に居られるか、俺は部屋に戻る』?
航/まさにそんな感じだよな。……ちょっと待って、手を掴もうとしてみます。
GM/「やめてよっ。……そんなキモチワルイ目で見ないで!」
航/……そんな……耐えられない。……そこから逃げ出します!
GM/すると、いつの間にか君はまた真っ白い空間に戻っていて……手がちょっと熱くなっている。
航/俺……泣いてるってやつ?
GM/そう、君は泣いている。……女性の死体の前で。熱いものの正体は涙と、ドロリと赤いものだ。
航/…………やっちまった。
GM/夢から覚めましょう。……では君が目を覚ますと、そこは檻の中でした。両手足に木々の鎖が絡まっていて体が動かせない状態です。
航/……植物園?(笑) 懸命に腕を引っ張ってみるけど……ギシギシ!
GM/ちっとも外れないしその場から動けません。(いきなり、やたらセクシーさを強調した低い声で)「やぁ、お目覚めかな?」
相馬/ぶふっっ!?
航/ちょっと!? なんで相馬さんが吹いたの!?(笑)
相馬/……すみません、こちらは放っておいて先に続けてください(笑)
亜紀/キャー、諏訪部ーっ!
航/『諏訪部』は悲鳴じゃない!(一同笑)

 度々出ていますが、藤原はキャラクター造形の時点で「諏訪部氏が担当しそうなキャラにする」だったので、プレイヤー内に『藤原=諏訪部順一ボイスイメージ』という共通認識があります。
 ……GMがそのテのキャラロールが好きなだけでもありますが。

GM/もう一度言うよ。(また吐息がエロイような低い声で)「……お・目・覚・め、かな?」
航/ぶふぅっ……!?(笑) 二度言われたら破壊力が増した! 良い声って得ですね!(一同笑) ……藤原を睨みつけます。
GM/そういえばいつの間にかジャックは居ないね。別の所に移されたのかな。……現在は藤原と航の二人きりです。
航/叶う相手ではないけど、一生懸命抵抗します!
GM/藤原が少し手を動かすと、草の鎖が短くなってもっと動けなくなります。
航/い、意地悪! 流石悪役!(笑)
GM/「君と交渉したい。私からの提案を聞いてくれるかね」
航/……交渉? その前に、ジャックをどこにやった。
GM/「二人きりで話がしたかったからいなくなってもらったよ」
航/どこにやったと訊いているんだ!
GM/「……彼だったら私のサーヴァントのもとに居る」
航/あのデッカイサムライの人か……。なんだ、交渉っていうのは?
GM/「どうやら、君は数日前までこっちの世界を知らなかったようだな。出来れば、私は君を助けてあげたいと思う」
航/……助けたいっていうのはどういうことだ。
GM/「君は不運にも野蛮なサーヴァントに脅されてこちら側に引き摺りこまれたのだろう? 私は弱い者に譲歩してあげたい」
航/だから交渉を聞けば見逃してくれると? ……死にたくはないから話は聞くけど、一つ訂正しておくよ。俺は俺の意志でアイツに協力している。
GM/「そうだな、操られた状態では契約は行えないからな」
亜紀/……そうなんですか?
GM/うん。ほら、このゲームシステムって≪セルロイドの心≫とか人を操ったり言うことを聞かせたりする特技がいっぱいあるでしょ。人を騙しこむ『演出過多SRS』だからなんだけど。
盟/確かにいっぱいありますよね……(笑)
GM/けど他人の意志で契約されたら卑怯すぎるじゃないか。だから、『操られている状態では契約は行えない』ことにします。あくまで真の同意がない限り契約は出来ないということです。
航/心からの同意が無ければダメなんですね。……藤原に、続きを言わせます。
GM/「君は一般人に戻ればいい。そうすれば、教会の保護対象になる」
航/……つまり、この戦争を下りろって?
GM/「そう。令呪を使って奴に『自害しろ』と命じろ」
盟/わあっ!? ヒドイ! ドS!
航/藤原のドサド! 何が幸正だ、『幸せに正しい』だ!(一同爆笑)
相馬/ホントすみません、胡散臭い名前付けて! だって知らなかったもん!(←命名したPC2) ……いやぁ良かった、この名前付けて(笑)
航/ネタになったね(笑) ……藤原を睨みつけて言います。絶対に嫌だ。
GM/「もう一度言うぞ。令呪を使って『自害しろ』と命じろ」
航/じゃあもう一度言うね。絶対に嫌だ。
GM/「ふぅ……」と溜息を物悲しげについて、また指をパチンと鳴らす。すると……触手が航に纏わり付く。
航/ひぃっ!? て、抵抗しようと逃げますが……。
GM/次から次と襲いかかって逃れられない。「本当の君の意識でなければ令呪の効果は発動しない。だから、言いたくなるようにするしかないな」……触手が航の体を貪ろうと、ヌルヌルと君の体に入ってくる。
航/やめろ、きもちわるい! アンタ、胡散臭いんだよ!(笑)
GM/「では……24時間後、また同じお願いをしに来るよ」
航/24時間!? ちょ……そんなにやられたら気が狂う!
GM/「まずは24時間もってくれよ」と、笑って藤原はその場から出て行きます。……触手を動かしたままで。
航/クソ……何がなんでもアイツの首掻っ切ってやる……!


 ●オープニング/亜紀 〜淡い夢〜

 亜紀は夢を見た。
 それはまだ幼稚園児だった頃の夢。教会に接した幼稚園で、同じ年頃の子供達とただただ遊んでいた記憶。
 おぼろげな、彼らと初めて出会ったときのことだ……。


GM/次のオープニングは亜紀にしよう。……2月のまだまだ寒い日、君は多くの友達と話をしている。
亜紀/ぐー……泥団子を作るときは水の量をだなー……(笑)
GM/じゃあ泥団子のことに話しあっているとき……若い女の先生が「みんなー! 集まってー!」と大声で呼んでるよ。
亜紀/ハーイ!
GM/「今日からみんなと一緒に遊ぶ、新しいお友達を紹介するよー!」
亜紀/おともだちー?
GM/先生の横には2人、男の子がいます。1人目は、ヤンチャ坊主って感じの男の子だ。「秤谷航くんだよー」
航/(子供っぽい舌ったらずな口調で)「はかりやわたるでぇす! よろしくおねがいしまぁす!」
GM/先生は言います。「航くんはねぇ、あっちの幼稚園にいたんだけどお母さんのお仕事で今日からここの幼稚園のお友達になりましたー。……じゃあ、君も自己紹介できるかなー?」と、今度はもう一人の……おどおどした男の子に先生は促す。
相馬/先生の後ろに隠れて、若干泣きそうな祐希ですね。
GM/「お名前、みんなに言えるかなー?」と言っても、男の子は黙って何も言わない。……先に進まないから仕方なく先生が「櫻庭祐希くんだよー」って言ってくれます。
亜紀/ほえー……無口な子だなぁ?
GM/無口というより、子供独特の「やだ、言いたくない」っていう変な強情さかな。「みんな仲良くしようねー!」
亜紀/……よし新入り! 泥団子作るぞ!
航/おう、負けねーぞ! 俺、前の幼稚園で泥団子ナンバー1だったんだからなっ!
盟/(いきなりどっかの幼き日の子供になって)「泥団子なんか嫌だから向こうでジャングルジムで遊んでくるー!」
GM/じゃあ、ジャングルジムの方に若かりし神父が居る。
亜紀/ちょっと若い神父だー!(笑) ムスってしながら子供を見てるんですね……。
航/アイツ、全然笑わねーな? つまんねーな。
亜紀/神父様だからかな。
航/……神父って笑わないの?
亜紀/わかんない。くすぐれば笑うんじゃない?

 これが後の「教会の人ってもっとムッとした感じの、ねえ?(第1ループ『long day,long night』参照)」である。

亜紀/じゃあもう一人の新入りも連れてこようぜ!
航/ズルズル祐希を引き摺ってきて……あそぼー!
GM/祐希はみんなに加われずもぞもぞしています。「うう……?」
亜紀/なあ、泥団子ぐらい作れるだろ?
GM/「どろ……だんご?」
亜紀/知らないの? コレをギュッギュッてして、磨いて……こうするんだ!
GM/「わ、わぁ……き、汚くない?」
亜紀/汚くないよ、後で手を洗えば大丈夫だってば!
GM/困った顔をするけれど、ゆっくりと言われた通り団子を作り始めます。「あの……名前、なんていうの?」
亜紀/俺? あきっていうんだ!
GM/「あき? ……あき」
亜紀/名前は?
GM/「うう……」
亜紀/言えよ、教えたんだから!
GM/「……ゆうき」
航/俺、はかりやわたる! 4さい!……って言いながら指は3を出す(笑)
亜紀/俺はもっと指多いぞー!(笑) ゆうきはいくつ?
GM/「う……?」
亜紀/5さい? 4さい?
GM/「…………」。神父に助けを求めに行きます。
盟/残念。神父はある子供に、足に纏わりつかれてる!(笑)
GM/……じゃあ神父が無言で指を4つ上げてあげる。亜紀より1つ下みたいだよ。
亜紀/俺より下なんだな!
GM/こく、こく。……では、そんな感じで遊んでいると帰りの時間になって……みんなをお迎えに来てくれるお母さん達がやって来ます。祐希には、幸薄そうな女性が来てくれるね。
亜紀/わあ、ゆうき! お前の母ちゃん美人だな!
GM/「う、うん……」
亜紀/そうか、じゃあ祐希も将来美人になるんだな!
GM/「う? ……うん、じゃあ、美人になる」
盟/凄い約束をしちゃったな(笑)
GM/「ねえ、あき……わたる、また明日……遊んでくれる?」
亜紀/うん、また明日な!
GM/「……ありがとう……」。最終的には、ムスーっとしていた顔がほんわかと笑うようになって一日が終わるのです。
亜紀/じゃあなー! バイバーイ!
GM/……そうやっていると航のお母さんも航を迎えにやって来てくれますね。
航/あ、お母さんだー! ……初めて出演しましたね。
GM/うん。亜紀は航のお母さんを見て「わあ、とってもキレイなヒトだなぁ」と思いました。
亜紀/わたるの母ちゃんも美人だな!?
航/ダメだよ、母ちゃんは俺のお嫁さんなんだから! 俺が大人になって父ちゃんより大きくなったら俺のお嫁さんにするの!
GM/ケラケラとそんな航にお母さんも笑いますよ。「航、お友達ができたの?」
航/そう、あきちゃん!
亜紀/さおとめあきです。よろしくおねがいしますっ!
GM/「あれ、もしかして早乙女って……何番丁目の早乙女さんかしら? お母さんの名前『春美』じゃない?」

 実はキャンペーンが始まる前から決まっていたことだが、魔術師である亜紀のお母さんの名前は『春美(ハルミ)』、お姉さんの名前は『奈津(ナツ)』と言う。お父さんはきっとウィンター関係だろう。

亜紀/あ、そうです!
GM/「そっかー。あのね、亜紀くんのお母さんと私は、お友達なのよ」
亜紀/へー! 母ちゃんにこんな美人なお友達がいたんだー!
盟/……春美さんが今「私だって美人よ!?」って言いました(笑)
亜紀/でも母親は見慣れているので美人と考えません(笑)
GM/「亜紀ちゃん、また明日も航と一緒に遊んであげてね」
亜紀/はーい!
航/あきちゃん、バイバーイ!
亜紀/バイバーイ!
盟/(航のお母さんになって)「航、今日の晩ゴハンはハンバーグにしようかー?」
航/わーい! ポテトサラダはー!?(笑)
GM/それが、亜紀が初めてあの二人に出会ったときのことでした。……むろろろ、むろろろろろろ。
亜紀/んー……?
GM/亜紀の携帯の着信音がむろろと鳴ってます。14日深夜だけどその音で目を覚ましてください。
亜紀/なんか懐かしい夢を見たな……ピッ! もしもし?
GM/「はぁ、はぁはぁ……!」と、誰かの息切れ。
亜紀/……祐希!? どうしたんだよ、こんな時間に……。
GM/「あ……早乙女先輩……」と、まず夜に電話をかけてくることのない声が聞こえます。しかも外みたいだね。
亜紀/……どこに居るんだ?
GM/「え、どこ……? えっと……先輩の家の、近くに、居ます」
亜紀/≪神域の耳≫で聞きます!
GM/耳を澄ますと、確かにポテ、ポテ……と何かが君の家に近づいてきている。この足音は祐希のものだ。
亜紀/歩調的に祐希だ。……今からそっち行くから!
GM/「あ、いや、その! こ……声が聞きたがっただけです……」
亜紀/なんだそんな甘えちゃって。それならいっそのこと会いに行くよ! 支度を整えて外に出ます。……2月の夜で寒いだろうから、2本分マフラー持っていこ。
GM/会ってくれるということで、祐希も家の近くまでやって来ました。もう息を整えて、ただ立っているだけです。「すみません……夜分遅くに」
亜紀/いや、いいけど。……ちょうど懐かしい夢を見てたよ。
GM/「夢……ですか?」
亜紀/航と祐希が転入してきたときの夢。祐希、人見知り激しかったよな。もじもじしてる祐希がすっごく可愛かったぞ。
GM/「あの……可愛いとか言わないでください」
亜紀/ほら、マフラー。
GM/「あ、ありがとうございます……」
亜紀/……ぽんぽん。航が居なくなっちゃったからなぁ……悲しいな。
GM/「え、ええ……」
亜紀/祐希、お前まで居なくなるなよ。で、どうしたんだ? こんな時間に出歩くなんて。
GM/「あ、ですから、その……声が聞きたくなって……」
亜紀/それで家から?
GM/「それは……その。航が……最後に目撃されたのって夜の公園だったじゃないですか」。……流石に1週間消失したら捜索願が出されました。そういった目撃情報はあるらしいけどまだ見つかってないのです。
亜紀/寧ろ捜索願は俺が出した!(笑)
GM/「……もしかしたらどっかに居るんじゃないかって……そう思ったら探さずにはいられなくって……」
亜紀/そういうことだったら俺も誘えよ! 最近物騒なんだから男一人でも出歩いたら危ないだろ!
GM/「あ、そうですね…………さっきも変な人に追いかけられました」
亜紀/ちょおまー!? 何故重要なことを最初に言わない!(笑) どんな奴だった……!?
GM/「い、いや……すぐ居なくなったから平気です……それに、何も変なことされてないし……逃げたし……」
亜紀/ガシッと祐希を掴みます。……祐希、今日は泊まっていけ! もう出歩くなよ、1人で帰す気もないけどな!
GM/「……あの、顔が見られただけで……いいんです」と、一応断ります。
亜紀/こんな時間に帰ってもあんな大人数だ。きっと抜けだしたの誰かに気付かれちまうから。早く来い!
GM/……祐希が亜紀くんのお家にご招待されました。亜紀くんのご両親は快く泊めてくれるとのことです。
盟/お母さんになって)「亜紀ちゃん、毛布とか出さなくていいの?」
亜紀/いいよー、お母さんはもう寝ててよー!
盟/お母さんになって)「そんなだって幼馴染が来てくれたのにちゃんとしないと向こうの親御さんに申し訳が立たないでしょう! この前だって亜紀ちゃん泊まらせてもらったじゃない! ゴハンは食べたの? お風呂入る? あったかい毛布出してくるから!」
亜紀/いいんだよ、祐希にベッド貸して俺が床で寝るからー!(笑)
相馬/……矢継ぎ早に言われたな(笑)
GM/「……あんまり……僕も家と変わらないね」(笑) では祐希は亜紀の部屋でお泊まりさせてもらいますよ。……で、寝る前に、「そうだ……先輩。その、変なタイミングかもしれないんですけど……」
亜紀/うん?
GM/……祐希が、プレゼントっぽい小さな小箱を渡します。
亜紀/なんだ、これ?
GM/「……2009年は逆チョコが流行っているそうです。だから……」
航/……いや、逆チョコは男が女に渡すんだけど。まあいいか、BLセッションだし。ろりぃ〜(笑)
亜紀/わ、わあ……ありがとう、祐希! コレ買うとき恥ずかしくなかった? 女の子に混ざって買ったんだろ?
GM/「だ、だってCMで逆チョコが……」と言い訳(笑)
亜紀/流行なら仕方ないよな(笑) へへ、ありがとー。俺、今からホットチョコレート作ってこようか?
GM/「い、いや……いらないです……僕が先輩にあげたかっただけなんで」
亜紀/でもお返ししたいなぁ。……そうだ、ホワイトデーを楽しみにしとけ!
GM/「……はい。……す、すみません。もう寝ます……」と耳を赤くして布団に潜ります。
亜紀/……凄く祐希にダイブしたくなった(笑) だぼーん! 寒いから詰めろー!
GM/「い……一緒に寝るんですか?」
亜紀/ああ、一緒に寝よう! ……あー、こうやって隣で並んでいるのも久しぶりだよなー。小さい頃はよく3人で川の字に寝てたよな?
GM/「……小学校に上がって暫くしたらしなくなりましたからね」。いつの間にか呼び方も先輩に変わっていったんだろうね。
亜紀/……その呼び方、直してくれないの?
GM/「先輩は……先輩じゃないですか。……人間社会ではこの呼び掛けが普通ですよ」
亜紀/やだー! 航には普通なのになんで俺だけ敬語なのー!? やーだー!
GM/「……じゃあ何て呼べばいいですか?」
亜紀/昔みたいに、亜紀でいいよ。
GM/ちょっと黙りながら「…………亜紀……」と言います。
亜紀/よし、それでいい!
GM/「……はい」。それではおやすみなさい。……寝ているときに、ほっぺたに何か柔らかいものが当たった気がします(笑)
亜紀/うーん、なんだろー……? ゴロンと寝返り打って祐希を抱きしめて寝まーす(笑)


 ●オープニング/相馬 〜汚れた夢〜

 相馬は夢を見た。
 これは夢だ。何故なら、見渡すものすべてが自分の知るものではない、全く違う世界なのだから。
 夢でしかありえない。……そう、これはマスターの記憶なのだ。


GM/では次のオープニングは、相馬さんいきましょう。……藤原さんロールを笑わないようにするから、みんなも茶かすなよ。
相馬/はい、サクサクいきましょう(笑)
GM/相馬さんは、夢を見ます。……契約したからマスターと繋がるということは知っておいてください。
相馬/ふむ、これが藤原の夢の中か……ほほう。何やらけったいな場所じゃのぉ。
GM/美しい石の通路があり、石造りの宮殿。……プレイヤー的には、ギリシャの神殿っぽいのを想像してください。とにかく、相馬さんが知っている世界とは全然違うね。
相馬/キョロキョロ……おお、なんと天井が高い。落ち着かんのぉ。
GM/ではそんな君に何者かが、「何をそんなに忙しなくしているのだい……?」と声を掛けてくる。
相馬/そいつの方を見る。
GM/今の君と同じように、布を纏った服装の男性です。……その目は親愛の色はなく、蔑んだような目だ。
相馬/なんや、いけすかん目をした奴じゃと思いながら男を見ます。
GM/「もうとっくに報告は済んだんだろう? ならばさっさとあのキタナイ世界に帰れ」
相馬/む……キタナイ世界? 別にこの景色を見ていても良かろう?
GM/「はあ? 君が居ると穢れるんだよ」
相馬/ああん? おぬし、失礼だぞ……。
GM/「ああっ、そんな目で視られたらワタシも汚れてしまうではないか……」と、男は散々嫌味を言った後に去って行く。……周りの人々も、君を見ると怯えたり「なんでこんな所に居るの!?」と言われたり逃げ出したり、汚いものを見るように睨む者もいる。
航/男性も「チッ」と言いながら去って行くような感じか。
盟/「早く地の底へ帰ればいいのに……!」とか言われたりね。
相馬/ふむ……ここは気候は良さそうだが居心地が悪いのぉ。
GM/ではそんな所に、また声を掛けてくる人がいる。今度は君の部下のようだよ。「……我が王よ。馬車の準備が出来ました」
相馬/……うむ。このような所にいつまでも居ても仕方がない。さっさと行くとするか。……どんな馬車ですか?
GM/青い馬が引く、黄金の馬車です。……ちなみにケロちゃんは門を守っている役目だからここには居ない。
相馬/お留守番で「ゴ主人マダカナァ!?」ってシッポパタパタしてるんだな(笑) ……座ります。
GM/「王。……我らへの哀れみや恐れ、負の感情を全て受け留める。その覚悟、誠に感謝致します」と、『今日のお勤めありがとう』と部下の老人が言います。
相馬/……うむ、大事無い。
GM/「生を基とする者共にとって死を司る者を嫌悪するは当然。……それが貴方様の役目だとしても、我々は感謝しなければならない。我々が冥府の国に居る限り、死の世界に囚われている限り、貴方様には皆の前に立っていてもらわねばなりません。どうか、我らをお導きください……」
相馬/案ずるな……とだけ言っておきます。
GM/……夢が終わりに近付きます。……君は黒い、禍々しい世界に吸い込まれていく。それなのに心は安らぐ。あんな恐ろしい場所なのに……恐怖心を感じない。
相馬/……目を開ける。
GM/夜の洋館に居ます。
相馬/なんなのじゃ、あの石造りの建物は。しかしあの連中は無礼じゃった、ワシをなんだと思っている! …………藤原か(一同爆笑)
GM/そんなとき、丁度良く藤原が部屋に入って来ます。「……失礼」
相馬/ん? 如何した。
GM/「先の戦い、奴らを捕えるために魔力を使い果たしたようです。……協力してください」と、君に近付きます。
相馬/うむ、ワシとおぬしは一蓮托生。安心せい、ワシとてそちらの嗜みが無い訳ではないから……。
GM/押し倒します。
相馬/いやだから! だからっ!(笑) おぬし、この前もこんなことをしおってジタバタ!(笑)
GM/「貴方の国にはこのような文化はありませんかね?」……口付けをします。
相馬/びく。……硬直します。
GM/唾液を交換するんだなと思うといいよ。……接吻の文化は無いもんね。
相馬/……まったく。おぬしの国にはあの建物といい……不思議なものばかりじゃのぉ。
GM/藤原が動きを止めます。「……ああ、私の過去を見たのですね」
相馬/おぬしとて、ワシの過去を見ているのであろう?
GM/「ええ、見ました。……そうだ、貴方の記憶を見て思ったことがあるのです。先にそれを訊いておきたい」
相馬/なんじゃ。
GM/「……貴方は何故……頂点に立ちたいと思う?」
相馬/…………。おぬしはワシに訊くだけ聞いておいて何も言わん。おぬしの本当の名と、そもそもおぬしの目的を言ったら教えてやらんでもないぞ。
GM/「……言ってくれたら貴方は答えてくれるのですか」
相馬/ああ、答えよう。
GM/「…………。私は、ある国の王でした」
相馬/らしかったの。……おぬしも王であったか。
GM/「どこまで私の記憶を見たかは判りませんが、……国の者は言われのない痛みを受けていたのです」
相馬/……ふむ。
GM/「彼らは『あそこに居たからというだけで言われのない痛みを受けてしまった者達』なのです。あの国は小さな国でした。ですが、あの国が無ければこの世は成り立たないとさえ言われていた。なのに、それでも、皆は蔑んだのです……我らのことを」
相馬/……胸糞の悪い話じゃ。
GM/「ならば立場を逆転してやろうと思いまして。私は彼らを解放してやりたい。私の下にいる者達を自由にする。……私は、彼らの為にこの戦いを勝たなければならない……それが私の夢です」
相馬/……そうか、事情は判った。で、おぬしの名はなんという?
GM/「……本当の名は捨てたのです」と、もう一度あの台詞を繰り返します。そのまま君の口を止めるように口付けますよ。
相馬/むっ。な、待て待て……! ググッと押し退けます。……どうやったらおぬしの本当の名を教えてくれるのだ?
GM/「……私が名を教えないのは、この聖杯戦争に勝つためだとしたら……許していただけますか?」
相馬/……うむ。
GM/「そういうことですよ。勝つために私は立場を隠さなければならない」
相馬/ならば……致し方ないのぉ。引きます。
GM/「……意地汚い言い方になるのかもしれませんが、私が負けるとき、もしくは、貴方が負けるときに我が名を差し上げましょう」
相馬/……まあ、そのようなことはなかろう。必ずやこの戦に勝って、おぬしの口から名を聞かせてもらおう。ニヤッと笑います。
GM/「……では、貴方の答えも聞きたいのですが?」
相馬/おう、ワシが天下を取り日ノ本を集に収めたいのはな……二度と裏切られるという目に遭いたくないからじゃ。
GM/「……ほう?」
相馬/おぬしは夢で見たかもしれんがの。……ワシの父が死んだとき、親戚連中が父の領土を争って、まるで桑の実を食べる蚕のように我が領地を貪り食おうておった。まあ、そいつらをワシは焼き殺した訳じゃがな!
GM/「…………」。
相馬/身内など家族などと言うてはおるけれど、結局腹の内では何を考えているか判らん。もう二度と身内で争うなど……。聖杯戦争で天下を取ればそのようなことを考える輩は何であろうが居なくなるであろう。……どうじゃ、これで納得したか?
GM/「大変結構です。……貴方がとても魅力的な男性だと気付けました。それが判っただけでもこの時間は有意義なものになった」
相馬/……な、なんじゃ。こそばゆいことを言うのぉ、おぬしは。あー……ぬぬ、と、とっとと魔力供給を済ませてしまうぞ! 顔を若干赤らめて言いますよ!
GM/「…………願いが余るなんてことはありませんが。私の国が真の形になったときに……貴方が居ればとても心強いことでしょうね」
相馬/それはこちらも同じじゃ。おぬしはなかなか使える男と見た。共にこの聖杯戦争に勝利しようぞ。
GM/そう言って、ベッドに落ちていきます。
相馬/だ、だからなんでワシが……!(笑)


 ●オープニング/盟 〜黒い夢〜

 盟は夢を見る。
 それは思い出すのも辛い、悲しい悲しい遠い過去。
 何にも知らなかった頃。ただただ大好きだった両親が「戦争」で亡くなり悲しむだけの記憶……。


GM/では盟ちゃんのオープニングです。……10年前、君は葬式を終えた墓前に立っています。君の両親は聖杯戦争に参加し、敗れてしまった。物言わぬ遺体となって君の前に帰ってきて、お別れを言わなければならなくなりました。
盟/ボロボロとお墓の前で泣いてます。……ひっく……えっぐ!
GM/隣に黒須が立っています。……黒須は八木沼と親交の深い弟子だったから、君の家のことはよくよく知っている仲でした。
盟/ひっく……柊兄ちゃん、なんで……お父様と、お母様……なんで、なぁんで! ずっと泣いてます。
GM/無言で足にしがみ付かせています。
盟/ねえ、柊兄ちゃん……なんで……盟が悪い子だから二人とも……居なくなったの?
GM/「そうじゃない」
盟/じゃあ……なんで盟の前から居なくなっちゃったの……!?
GM/「お前のことが嫌いになって消えたんじゃない。あの2人はみんなを守る為に居なくなったんだ。一般人の、平和な世界を守るためにな」
盟/なんでぇ……? 盟より他のみんながいいの……!?
GM/「…………。盟、八木沼の家を畳む気はないか。あの家に居る限り、お前はまたそんな苦しい目に遭うぞ」
盟/……一瞬、止まります。
GM/「あの不気味な魔術書だらけの屋敷に居たら、お前の心を苛むだけだ。それより……全てを忘れて、黒須の家に来ないか」
盟/……。ちょっと考えた後に……ぷるぷる首を振ります。
GM/「どうして?」
盟/だって、お父様とお母様は……盟に、いいこで頑張って良い魔術師になりなさいって……言ったから……盟は……魔術師になる。
GM/「……そうか……。じゃあ、嫌になったらいつでも俺の元に来い。苦しくなったらいつでも俺が迎えてやる」
盟/……コクリと頷きます。
GM/「だが、俺の元に逃げてくるとき……それは、八木沼の名を捨てるということだと覚えておけ」
航/……それってつまり、『嫁に来ないか』ってコトですか(笑)
GM/家を捨てるっていうのは魔術師じゃなくても代々続く一族としては恥だよ。でも……その方がいいと思って黒須は言ったんです。
亜紀/黒須さん、いいひとだ……。
相馬/黒須の家に行った場合、ロザリーとヘンリーはどうなるんですか?
GM/使用人だからお仕えする家が無くなったらバイバイだろう。もしくは、盟と一緒に黒須の家で普通のおばあちゃん達として暮らすとかかな。
盟/僕が……ロザリーとヘンリーも……支えなきゃいけないから。だから、僕は、残るよ……。
GM/「……そうか。今はその答えでいい。3日後でも、1週間後でも、1年後でも10年後でも……嫌になったら、俺がお前を待っていてやるからな」
盟/……。プロポーズだよね、これ!?(笑)
GM/さて、現在は墓地に居ます。君の周囲では、君以外にも葬式に来ている人達が大勢居ます。夢の中の人々の顔は≪賢者の脳髄≫的に全員見覚えのある人達。……だけど、1つだけ、絶対におかしいものがある。
盟/なんですか?
GM/……まるで黒いマジックで塗り潰されたかのように1人の顔だけが見えない。他の奴はみんな顔が覚えているのに、ただそこだけが見えない。
盟/え。……服とか体格とかは……?
GM/大人に見えるけど、何者か判る部品が全部取り除かれている。まるで……魔術で記憶を消されたかのように。
盟/……とりあえず、大人?
GM/そうだな、20〜30代の男性っぽい。
盟/喪服とかは?
GM/着てる。その場に合った服装をしている。
盟/つまり、10年前に20〜30代の男性……? ……わかんない! なんだこれ!?
GM/「なんだこれ!?」と飛び起きた盟ちゃんを見てアーチャーが「あちゃぁっ!?」と驚きます(笑)
盟/…………。あー、疲れる夢を見た……。
GM/アーチャーになって)「ほー、疲れる夢見てたんだー? オレも夢見ちゃったー。じゃあね朝ゴハンいってくるー!」
盟/えっ!? ……お前も見たか?
GM/「なんのことー? 神父とアッチッチー!
盟/そっちじゃなくて!(笑) あの黒い男だよ、判らなかったよなぁ!?
GM/「神父とアッチッチしてたねー!」……としかアーチャーは言いません。どうやら塗り潰された男を見てないようだ。
盟/……そうか、僕の記憶から削除されたものを見ているのか。
航/アーチャーになって)「ごはんごはんー! 階段3段飛ばしでポーンポーンポーン!(笑) ガシャン! 「あちゃぁー!?」(笑)
盟/あーあ、ロザリーに怒られるぞ……猿みたいなガキだな(笑) とりあえず僕もご飯食べて学校に行こう……。
GM/(逞しい良い声で)「たーのもぉー!」
盟/30分ぐらい待たせておく。
GM/30分間たーのーもぉー!
盟/僕は食事をしている!
GM/GMがいらないNPCは作らないって言ったぜー!」(一同爆笑)
盟/……しょうがない、入ってこい。この場に居ることを許してやる!(笑)
GM/君の親戚、草臥れたスーツを着た青森恐一が現れます。「今日は学校サボっちまいなー。遅刻でもいいけど、話をしようぜ」
盟/それは僕に有益な情報か? ……ばあや、欠席の電話を学校にしてくれ。
GM/その前に、アーチャーはどうしますか。
盟/席に着いていてくれ。
航/椅子でガッタガッタしてます!(笑)
GM/青森は、アーチャーを見て……「なんだ、コイツ。イトコか?」と尋ねる。
盟/イトコなんて居る訳ないとお前も知っているだろ。つまらないことを訊くな、サーヴァントだ。
航/(アーチャーになって)「あちゃーでーす!」
GM/「そっかそっか、あちゃぁか……アーチャーだな?」……まるで探るように言います。
航/(アーチャーになって)「あちゃっ!? バレちゃった!」
盟/別にバレたところで痛くも痒くもない相手だ!(笑)
航/(アーチャーになって)「だーよねー! 青森のオッサンだもん!」(笑)
GM/「話すんぞぉ! GMが用意した大事な話すんぞぉ!?」(一同笑)

 ……この会話が、今回のエンディングの大きな伏線になっていることを……このとき、プレイヤーは知らない。

GM/ではオッサンは……「聖杯戦争が困ったことになっている」「モラルの無い奴がいる」「お前はマナー守れよ」という話をします。
盟/……ヤベ、モラルの無い仲間に混ざっちゃった(笑)
GM/「困った事態が多すぎるんだよ、最近! 俺も気に入らないよ、ホントにさ! ……で、参加者であるお前に、ちょっとネタを仕込んでおこうと思ってな」
盟/なんだ……僕は囮にでもされるのか?
GM/「そう思ってくれて構わない。でも損は無いから知っておいてくれ。……『聖杯戦争の、強制終了の方法』だ」
盟/えっ!? ……続けて!
GM/「元々この地は遺跡が発見されて開拓された土地だ。その遺跡に聖杯を隠して……いや、保管されている。これは調べれば出てくる話だよ」……と、【理知】判定で調べれば判明する話題だと言っておきます。
盟/はーい。
GM/「お前の母ちゃんも知っていただろうし、だからお前も知っておいていいなと思って話すんだ。……まっ、俺はミスティックでジャーナリストですからねぇ!」
盟/…………腹立つ。
亜紀/自分の子ですよ!(笑)
GM/「で、終わらせ方だけど……願いをとっとと言っちゃえば、その場で戦争は終わるそうだ」
盟/……それこそ、逆にモラルが無いんじゃないか?
GM/「かもな。でも聖杯って『7体の英霊から6体を封印する』とか言われているけど、正直そんなことをしなくても願いは叶うそうなんだ」
盟/……なんだって……。
GM/「けど6体ちゃんと封印しないと、封印されなかった英霊がそのまま世の中にほっぽり出されたままになる。もしそれが凶悪犯だったら嫌だろ?」
盟/……そうだ、確認したい。最期の勝利者の1人や……残った英霊は、聖杯戦争が終わってもこの世に留まれるものなのか?
GM/「フツーは消えるもんだけど、現界することは可能だ。代償は払っていればな。サーヴァントは普通の人間とは違って常日頃から供給してないといけないだろ? それを永遠にし続けなければならない」
盟/ふーん……ご飯食べ続けなければ生きていけないと同じか。
GM/「そう、当然なことだよな。俺達だってメシ食って生きている。メシの代わりが魔力供給になるだけだ。ただ……俺達にとってはメシだって割り切ることできるけど、強力な英霊を現界し続けるとしたら結構な量だぜ? もし血専門のサーヴァントがいたらどうよ」
盟/……乾涸びるな(笑)
GM/「マスターが乾涸びるぐらいならいいんだけどさ、一般人を襲わないでおいてくれれば……」。とにかく、青森は聖杯がある場所『遺跡』のマップを教えてくれます。

【メインマップ】
 I遺跡


GM/「まあ、聖杯は厳重に保管されているから、まずそこまで辿り着くのに色々あるんだけどよ」……具体的には判定が必要です。
盟/トラップが色々あるとか?
GM/「そんなカンジ。辿り着いたところで易々と手放してくれるような聖杯じゃない。しかもそれは……教会の連中みたいな人間が守ってるんじゃなくて、聖杯自身が拒むんだからタチが悪い」
盟/「身持ちはカタイのよ!」って?(笑)
相馬/聖杯が、女王様に見えてきた……(笑)
航/「アタシ6人欲しいって言ったでしょう!? アタシが欲しければ6人の血を捧げなさい!」って? ……なんかロリで再生されたんだが(笑) 『クサナギノツルギたん』に続いて、『聖杯たん』が出来たな。
盟/『聖杯たん』というより、『聖杯サマ』って感じがする(笑)
GM/「とにかく……強制終了の仕方はそんなカンジだ。遺跡に行って、聖杯を自分のモノにして、さっさと願いを言っちまう。そうすれば聖杯戦争は強制終了される」
盟/ふーん……でも、そんなことは出来ないな。だから僕が欲しいのは全ての力を備えた完璧な聖杯だ!
GM/ぷーっとオッサンはむくれます。「……俺はなぁ、一般人が殺されることが認められた世界は、何があっても嫌なんだよ。だからこんな不条理な戦いを続けられるのは、聖杯を壊してでも止めたいんだよね!」
盟/……だろうな。判った、頭にだけは入れておくよ。
GM/「あー、今日も良い天気だなー! 話したいことも話したし、そろそろ失礼するわ。じゃあなー、俺も仕事行ってくるわ!」
盟/行け。でもって売れない記事でも書いてこい!
GM/……ということでオッサンは、青空の下に、出て行きます。
盟/くそ、学校休めって言ったのにそんなに時間いらなかったじゃないかー!(笑)


 ●ミドルフェイズ1/February 8th Scene 1

GM/……では、シーンが航に戻って来ます。時間は、2月8日……24時間経ったときのことです。
航/ぐでん……早くも限界です……。
GM/出るもの出尽くした感だな。……拘束されている部屋に入って来た藤原が「どうだね?」と訊きます。
航/……もうボケたか? 絶対に嫌だって言っただろ。
GM/「そんなことを言ったら、また24時間後と言うぞ。恐ろしくはないか?」
航/…………怖いよ。けど、諦めたくない。
GM/「……相馬殿は心進まないかもしれんが、私の手で君のサーヴァントをいたぶっているところを見せようか?」
航/ジャックはそんなんじゃなびかねーよ。……アイツ自身はそんなに俺のこと大切に思ってないだろうから。やりたきゃやれよ!
GM/クスッと笑います。「どうやら片想いみたいだな、あの男は」
航/……どういう意味だよ。
GM/「拷問の間、ずっとお前の名前を呼んでいたぞ」
航/惑わそうと思ったって……そうはいかないぞ!
GM/「殺してやった方があの男がラクになるんじゃないか? お前が自害を命じてやった方が幸せだろうよ」
航/……だけど……何にも判らない状態でこの世界に放り出されて、また何にも判らない状態で帰って行くなんて……そんなの可哀想すぎるだろ!
GM/「…………。ああ、あの男はそんな……どうしようもない理由でこの戦争に参加しているのか」
航/どうしようもないだなんて言うなっ! アンタが何者だか知らないけれど、誰にも名前を呼んでもらえない気持ちが判るのかよ……!?
GM/「判らないね。私はいつも崇められていた身だからな」
航/じゃ、一生判んないだろうなっ……!
GM/「……。あちらの精神が死んでしまう前に会わせてやる」
航/……ジャックに何をした。
GM/「本人から訊いてみたらどうだ?」……では藤原はジャックを連れて来るなり、去って行きます。拘束は一切されてないけど、ジャックは倒れて動けません。
航/じ、状況は?
GM/超ボロボロ。【HP】【MP】1桁で、0にならないように痛めつけているのが凄いよ。
航/ジャック……! 大丈夫か、大丈夫……なワケ、ないよな。
GM/「……お前こそ平気か……?」
航/俺は全然大丈夫!
GM/「…………ハハ、俺はもう駄目かもしれねえ」
航/そんな……悲しいこと言うなよ……。
GM/「だってよう……さっきまでずっと弱音言ってたんだぜ。もうアイツったらワタルの腕切ったとか目ん玉刳り抜いたとか言うからさー」
航/大丈夫、五体満足だ! あのヤロウ、胡散臭いツラしやがって……(笑)
GM/「……ああ、また死ぬかと思ったのに、ワタルに会えて……ホントに、涙出るぐらい嬉しいかも」
航/う。……そんなこと言うなよ、ときめくだろ。
GM/「ときめく?」……ジャックは動くのもやっとな体で、縛られている航に近付きます。
航/バカ、動くな……。
GM/「そうやって必要とされるの初めてなんだよ。……明日会えるかも判らないから、繋がらせてくれ」
航/……へ?
GM/唇にキスします。「…………ヤだ?」
航/う。……ふるふる。触れられて、ちょっと安心します。
GM/「いい?」
航/……コクリと頷く。こっちからは触れられないけど。
GM/「最期だと思って」……もっと深いキスをします。
航/……涙を流します。ジャック、生きてて良かった……俺、「最期だと思って」とか、絶対ヤだからな……。


 ●ミドルフェイズ2/February 14th Scene 1

GM/2月14日。亜紀くんは、明るいうちからバイトに励んでます。……ああ、航が消えてからホントに1週間が経っちゃったね。
亜紀/あー、なんで俺バイトしてるんだろー……しょうがないよねバイト入っちゃったんだから。でも航を探しに行きたいよー!
GM/そんなとき、店長さんが「あー、早乙女君! ちょっといいかな?」。
亜紀/なんですか?
GM/「今ね、バレンタイン用のお花宅配をやっているんだけど、運び出しを君にも手伝ってもらいたいんだ!」……詳しい説明をされます。
亜紀/ああ……はい、宅配ですか。いいですよ。
GM/「これから行かなきゃいけないのは『公園』と『教会』。公園の美術館で今夜バレンタインデーのイベントをやるからそっちに花を持っていくのと、教会近くの幼稚園に花を持って行くの……どっちがいい?」

 @公園
 A教会


亜紀/……コレって、重要な選択な気がする。出てくるNPCが変わりそうですよね……。
GM/まあ、ぶっちゃけそうだね。
亜紀/それなら……馴染みの所だし、教会に行きます。
GM/「了解。じゃあ公園には別のバイトに行ってもらうよ」……では亜紀くんは、教会近くの幼稚園にお仕事へ向かいます。夢で出てきた当時お姉さんだった先生がおばさんになって迎えてくれるよ。「まあ、亜紀ちゃんでしょー! 大きくなったねぇ!」
亜紀/わー、やめてくださいー! もうオネショしたとか言わないでくださいー!(笑)
GM/もう皺も多くなってしまった先生達にお花を渡して……「あっ、そっちの植木鉢はここに飾るから……その花束はある人の頼まれものだしこっちにくれる?」
亜紀/花束? 『ある人』ですか?
GM/「ええ、ある人が『花の買い方はどうすればいいのか』訊いてきてね。それならいっぺんにお花屋さんに注文してあげるって話になって……」
亜紀/花の買い方……ですか?
GM/「そう。あ…………いたいた、あの人よ。こっちです、ミスターB!」(一同爆笑)
亜紀/み、ミスター、Bッ!?(笑) まさか、そんな名前……とそっちを見てみます!
GM/男性が立っています。外見は、スーツ姿で、大柄の、目の細い……。
亜紀/中の人がときめく男性ですね!(笑)
航/なんだミスターBじゃないですか。……今回初のミスターBだ!(笑)
GM/男は亜紀くんに近付いてきます。(独特の低い声になって)「……初めまして」
亜紀/は、初めまして……。
GM/「ああ……貴方は」
亜紀/……うん?
GM/言葉に出しませんが『コイツ、教会に来てる奴か』と教会関係者らしいミスターBは亜紀くんを見て思ったんです。「……若いのにお勤め御苦労様です。失礼ですが、貴方はこの辺りの地理には詳しい方ですか?」
亜紀/え、はい。一応出身地なので判りますよ。
GM/「では……この辺りに『遺跡』があるというのは知っていますか?」
亜紀/遺跡……。あ、確かあっちの方にありますね。
GM/「案内していただけませんか」
亜紀/じゃあバイト先に連絡入れます。入り組んでいるから判りずらいですよねー。
GM/……それでは、亜紀くんはミスターBを連れて遺跡の方にやって来ます。そこは目立たないところにある遺跡で……[霊媒師]の亜紀にはちょっと薄ら寒くなる怖い場所です。
亜紀/ぶるぶる……なんかここ来ると肌寒いんだよな。ハイー、到着しましたよ。
GM/「ありがとうございます」。……遺跡に到着するなり、ミスターBは花束を供えるように置きます。
亜紀/さっきの花束……。それ、どなたかに?
GM/「ええ。これから……ここにお世話になるものですから」
盟/……まず絆チェックには贈り物か、気位の高い聖杯サマにプレゼントか! バレンタインデーだし!(笑)
亜紀/……ミスターBは遺跡に聖杯があるって知ってるのか。確か【理知】判定に成功すれば判る情報だって言ってたけど……じぃー……。
GM/「何か?」
亜紀/ミスターBさん……でしたっけ。
GM/「そのように名乗っています。……ああ、もう時間だ。場所が判明したのでこれから訪れやすくなりました。ありがとうございます。連れの者を待たせていますので失礼しますね」
亜紀/連れの者? ……去って行くミスターBを≪神域の耳≫で聞いていていいですか。
GM/それは判定をお願いします。【知覚】判定難易度12で。
亜紀/知覚は高いぞ……(ころころ)よし、13で成功です。
GM/……ミスターBは颯爽と去って行き、道を出るなり曲がっていってしまう。そこで……「ブオーン!」と車に乗ってダッシュで走っていってしまった。
亜紀/車に乗って!? ……そんなに急いでいたのかな。
GM/……では、ここでマスターシーンを軽く挟みましょうか。

 オフィスビルが立ち並ぶ、車通りの多い道。
 その中の一つの車に……先程の男・ミスターBは、後部座席に座っていた。
「そうですか……。では今夜、遺跡に参りましょう」
 静かな声で、運転をしている者にそう伝える。

 ……そして数時間後。
 日が落ち始め、オレンジ色に染まり、やがて暗くなっていく公園。
 公園の中ほど林の中、誰も来ない場所で一人。金髪の男性が項垂れて倒れていた。
 力無く男性は草を握り締める。

「……こんなところで……リタイヤ……いやだ……」

 呟き、彼は光に包まれた。

 2009年2月14日。
 ――セイバー、ロスト――。


亜紀/えええぇー!? エルが、ま、まさか……!
盟/……セイバー、マスターを見付けないんだね。なんだか……『孤独死』っていう単語が出てきたよ。
亜紀/ああ……もし公園に行ってたらエルと契約してたかもしれなかったんだ……。