アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 嵐のメロディ 〜バンドマン編〜 』 1ページ ■
2015年5月30日




 ●プリプレイ

 セッション会場となる某カラオケにて。
 GMとなるマーサーを中心に、あまとう天音せいさん氷鏡の5名が集まっていた。


マーサー(以降、GM)/『アナザーワールドSRS』(以降、『AW』)を始めまーす。
一同/よろしくお願いしますー!
GM)/先週も同じシナリオをやってきました、初心者対応シナリオ『嵐のメロディ』をご用意しました。『AW』初プレイとなる方もいらっしゃいますので、『4版』で追加された新要素の説明をしながらやっていきましょう。まずはハンドアウトをお読みください!



 アナザーワールドSRS〜シナリオ名『嵐のメロディ』


【レギュレーション】
 『4版』ルール使用。キャラクターレベル4で開始。

 全員が知り合い設定であることが望ましい。一度、同じ仕事を受けたことがある仲。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:アーティスト  関係:興味  推奨クラス:魔術師 or 世界遣い

 5月22日、君は悪夢を見た。全身の穴という穴から血を垂れ流す人々。なすすべもなく彼らが死んでいく悪夢を。
 その夜、「アーティストの会場」にて、とあるアーティストの卵に出会った。
 人懐っこく君に見せる笑顔を、悪夢の中で見たような気が……?
▼イベント:アーティストと仲良くなる
▼NPC1:アーティスト

 音楽に関わる人物。名前、性別、設定はPC1が自由に決めてよい。
 会場で出会い、PC1と親しくなるところから物語が始まる(クラスメイトなど、元から知り合いでも構わない)。
 駆け出しのバンドボーカル、歌姫に憧れる少女など、まだ未熟なアーティストの卵。
▼公式NPC1:龍の聖剣
 人外。超越的な話題をする金髪の幼女。とってもふしぎ。
 君は既に何度か時間を跳躍してもらったことがある。彼女が目の前に現れるということは、世界が異端の手によって危機であるということだが……? 詳しくは4版ルルブP.82参照。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:異端犯罪者『ハーリケイン』  関係:敵対  推奨クラス:聖職者 or 処刑人

 5月22日、君はPC1と共に「アーティストの会場」にいた。
 音楽を楽しみにきた君は、会場で殺人を見かけてしまう。
 ウズマキから武器を取り出し、男性客の頭を弾き飛ばした男、教会で指名手配されていた異端犯罪者『ハーリケイン』が、姿を変えて会場に現れた。
▼イベント:『ハーリケイン』と戦う
▼NPC2:異端犯罪者『ハーリケイン』

 退魔組織『教会』で指名手配されている異端犯罪者。
 魔術師の男性だが、魔術師の副特技≪千枚皮≫により、姿を自在に変えられる。
 様々な形で依頼を受け、金次第で殺しまわるという能力者の暗殺者。
▼公式NPC2:高坂
 退魔組織『教会』の仕事斡旋人。異能事件の仲介屋をしている男性。
 君は既に何度か『教会』の依頼を受けたことがある。詳しくは4版ルルブP.82参照。

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:『巨大な黒い影』  関係:不安 or 興味  推奨クラス:稀人 or 異端者

 君は人外のことにとても理解がある能力者or人外だ。
 5月22日に「アーティストの会場」であった殺人事件を、PC1〜2達と共に追うことになった。
 しかし、あの日から嫌な予感がしてならない。周囲の人外達もざわついている。
 どうやら『招かれざる者』と思わしき巨大な黒い影が現界したらしいが……?
▼イベント:『巨大な黒い影』から人々を守ろうとする
▼NPC3:『巨大な黒い影』

 詳細不明。人間なのか男なのか女なのかも判らぬ、その名の通り『巨大な黒い影』。
▼公式NPC3:藤原幸正
 『教会』の現場復旧委員会のメンバー。その正体は、冥府の神・ハーデス。
 君とは人外関係繋がりで何度も話をしたことある。不穏な噂を警告しにきてくれる。詳しくは4版ルルブP.82参照。

【ハンドアウト:PC4】
 ハンドアウトパターン1〜3を兼用する。
 PC1の場合、同じ夢を見て、アーティストと親しくなる。
 PC2の場合、異端犯罪者の現場を目撃する。
 PC3の場合、藤原幸正の警告を聞く。

【その他】
・「アーティストの会場」は、アーティストの設定によって変化する。ライブハウスやクラブなど。
・「追加ライフパス:英霊」ルール解禁。PC3は英霊でも構わない。ただし、レベル4まで下がっている理由を考えること。4版ルルブP.9-D参照。
・「追加クラス:アーティスト&イレギュラー」ルール解禁。4版ルルブP.5参照。
・「追加ルール:異端堕ち」ルール解禁。4版ルルブP.98参照。

 プレイヤー間での相談の結果、以下のようなハンドアウト配分になった。

プレイヤー1・あまとう/PC1ハンドアウトを選択。
プレイヤー2・天音/PC2ハンドアウトを選択。
プレイヤー3・煌/PC2ハンドアウトを選択。
プレイヤー4・せいさん/PC3ハンドアウトを選択。
プレイヤー5・氷鏡/PC3ハンドアウトを選択。

GM/オープニングシーンでは、PC全員が「アーティストの会場」に集まってもらいます。なのでPC1にはアーティストの設定を決めてもらうんですが……どういう子にする?
プレイヤー1・あまとう/(プレイヤー間で相談して)NPC1の名前は、逆登 丸(さかのぼり・まる)にしました。22歳の男の子です。
GM/まるくん、か。どんなアーティスト?
プレイヤー1・あまとう/ギター兼ボーカルで、売れないバンドマン。
プレイヤー3・煌/売れないんだ。
プレイヤー1・あまとう/才能はあるけどまだまだ芽が出てないって感じ。だからバイトしながら小さなライブハウスで少しずつ頑張ってるんじゃないかな。「今度ライブがあるから来てよ〜、これチケットだからさ〜」って配ってきたので、仕方なく行きます。
GM/仕方なくでもライブに行ってあげるPC1は優しいなぁ(笑) という訳で、みんなはライブハウスに行くことになったよー。

GM/それでは、キャラクターメイキングが終わったので……PCの自己紹介をしてもらいますよ!

プレイヤー1・あまとう(以降、吊子)/キャラクター名、御前院 吊子(ごぜんいん・つるこ)です。
プレイヤー4・せいさん/ごぜんいん……凄い名前だね。
吊子/クラス配分は[魔術師]1レベル、[感応力師]2レベル、[領域遣い]1レベル。出来ることと言えば、回復とバステを入れることです。魔力を感知したり何かを探したり、小さな物を隠したりする便利な人です。
GM/確かに情報収集に長けた後衛便利系だ。キャラはどんな性格なの?
吊子/ちょっとチャラい姉ちゃんです。元ヤン的な?
プレイヤー2・天音/姐さんキャラなんだ!(笑)
吊子/NPC1の子のことも「あいつダメな奴じゃないんだけどさぁ〜」って手を焼いてやってる感じでいきます。よろしくお願いしまーす。

 御前院 吊子(プレイヤー名:あまとう)
 クラス:[魔術師1/感応力師2/領域遣い1]
  体力: 9(+3)  反射: 9(+3)  知覚:12(+4)
  理知:15(+5)  意志:16(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:16  MP最大値:32  正気度:10
重要キーワード:転生体  背景:嘘泣きだけは通用しない  特徴:罠師である
ボーナス効果:≪L:耐久力上昇・MP≫を取得  スキルウェポンのイメージ:レーザーのような光魔法
職業:スーパーの店員(お惣菜を作るよ)  性別:女  年齢:27  身長:160cm  髪色:茶  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪魔導書≫
 魔術師→≪魔の感知≫
 感応力師→≪風舞う翼≫ ≪肉体復元≫ ≪パスアウト≫ ≪アンドショック≫ ≪覚醒具≫
 領域遣い→≪全方位視覚≫ ≪原子の楼閣≫

プレイヤー2・天音(以降、天月)/キャラクター名は、蘇芳 天月(すおう・あまつき)です。[聖職者]の支援キャラクターで……自分の手番では何もできませんが、≪悔改めよ≫で振り直させたり、≪叱咤激励≫で達成値を上げてあげることができます。
吊子/こっちも便利キャラだ。
天月/支援なら任せて。職業は神社の神主で、動物が大好きです。色んな動物を受け入れています。結婚するとしたら動物好きな人か、動物そのもの。
GM/わりとガチな動物好きだった!(笑)
プレイヤー4・せいさん/こ、これは色んな動物をお友達を紹介してあげた方が良いのかな?(笑)
天月/何でも寛容に受け入れる人です。頭のネジが吹っ飛んでるから受け入れ過ぎてるんじゃないかなー?(笑)

NO IMAGE 蘇芳 天月(プレイヤー名:天音)
 クラス:[聖職者4]
  体力:15(+5)  反射:12(+4)  知覚:12(+4)
  理知:12(+4)  意志:16(+5)  幸運: 9(+3)
  HP最大値:25  MP最大値:28  正気度:9
重要キーワード:動物  背景:知り合いに動物がいる  特徴:土地勘である
ボーナス効果:≪L:耐久力上昇・MP≫を取得  スキルウェポンのイメージ:??
職業:神社の神主  性別:男  年齢:28  身長:175cm  髪色:黒  瞳色:青
 スキルウェポン→なし
 聖職者→≪深き守り主≫ ≪悔改めよ≫ ≪叱咤激励≫ ≪白き守り手たち≫ ≪心霊医学知識≫ ≪コネクト≫ ≪戦闘聖衣≫
 一般特技→≪強化手術:意志≫ ≪+50動物愛≫

プレイヤー3・煌(以降、ローズ)/キャラクター名、ローズ・ヴァンベルトです。[闘士]で[狂戦士]の女性! 出来ることは、ひたすら戦うことです! でも説得力があります。
吊子/説得力?
ローズ/大人しくジーッと≪勇気の瞳≫で見つめます。でもまあ【体力】があれば何とかなる≪戦士の勘≫でどうにかします。
GM/結局は力押しじゃん(笑) どんなキャラです?
ローズ/お淑やかなお姉さま系です。余裕があって「あらあらまあまあ」ってあまり焦らないタイプ。
プレイヤー4・せいさん/この卓にはお姉さんとお姉さんがいるのか。
天月/吊子ちゃんはアネゴ系、ローズちゃんはお姉さま系かな?(笑)
ローズ/でも戦闘は得意です。外見と性格に合わず、グロイのは大丈夫です。表の顔は音楽教師。ゴスロリ風な衣装をいつも着ています。
GM/……えっと、ローズちゃんってどこの人なのかな? ヴァンベルトってどこの名字? 一応、音楽教師なんだね? でもゴスロリって?(笑)
ローズ/うーんと……国籍不明です。どこの人なんだろ? きっと偽名で、素性も隠しているエージェントなんだと思います(笑)

 ローズ・ヴァンベルト(プレイヤー名:煌)
 クラス:[闘士1/狂戦士3]
  体力:18(+6)  反射:15(+5)  知覚:12(+4)
  理知: 7(+2)  意志: 9(+2)  幸運:12(+4)
  HP最大値:35  MP最大値:14  正気度:4
重要キーワード:真理  背景:音楽教師の仕事をしている  特徴:世話好きである
ボーナス効果:≪L:耐久力上昇・MP≫を取得  スキルウェポンのイメージ:煌びやかな大鎌
職業:音楽教師  性別:女  年齢:25  身長:160cm  髪色:?  瞳色:?
 スキルウェポン→≪巨大武器≫
 闘士→≪撃滅≫ ≪勇気の瞳≫ ≪戦士の勘≫
 狂戦士→≪狂舞1・2≫ ≪猛る身体≫ ≪破壊者の孤独≫ ≪獲物を狙う眼≫ ≪戦神の巣≫

プレイヤー4・せいさん(以降、ちゆ)/キャラクター名が、鏑木 ちゆ(かぶらぎ・ちゆ)です。人外で、正体は南米にいたチュパカブラです。
吊子/ほー、チュパカブラの異端?
ちゆ/普段は人の姿をしています。見た目は高めの身長の女の子。元気そうで、運動部にいそうな女子大生っぽい外見かな? クラスは[狩人]と、人外だから[異端者]。
GM/チュパカブラってどんな攻撃をするの?
ちゆ/後方から銃っぽいのを撃ちます。≪鬼の肌膚:物理≫があるから物理ダメージには固めで、≪闇纏い≫で隠密状態になったりします。チュパカブラは消えるからね! まだ生まれて間もない、新人なUMAです!
ローズ/UMAだからな、捕まらないんだね(笑)
天月/新人な人外って……(笑)
ちゆ/南米にいたんですが≪機関「チルドレン」≫を取得したので、機関によって日本に連れてこられた設定です。
GM/何やってんだ機関。
ちゆ/そのうち南米に帰りたい。今は天月さんの神社に居候させてもらって掃除とかしています。一応、教会のエージェントとして登録はしているのでバッグアップは貰っていますね。ありがとう教会!

NO IMAGE 鏑木 ちゆ(プレイヤー名:せいさん)
 クラス:[狩人3/異端者1]
  体力:12(+4)  反射:12(+4)  知覚:15(+5)
  理知:12(+4)  意志: 9(+3)  幸運:12(+4)
  HP最大値:22  MP最大値:18  正気度:7
重要キーワード:ギャンブル  背景:生魚が嫌い  特徴:スリルを求めている
ボーナス効果:≪機関「チルドレン」≫を取得  スキルウェポンのイメージ:銃
職業:チュパカブラ  性別:女  年齢:20  身長:?cm  髪色:?  瞳色:?
 スキルウェポン→≪無の射撃≫
 狩人→≪悪雨≫ ≪闇纏い≫ ≪覇魔矢≫ ≪交わる矢≫ ≪狩猟感覚≫
 異端者→≪闇の血統≫ ≪鬼の肌膚:物理≫ ≪野獣の鼻≫

プレイヤー5・氷鏡(以降、光)/キャラクター名は、神山 光(かみやま・ひかる)です。[霊媒師]で[稀人]の、狛犬です。
天月/可愛い、狛犬だー(笑)
光/狛犬をやっていたり、人型になってたり、気分で姿を変えます。人間モードだと20代ぐらいのイケメンになれます。
ローズ/20代だと美少年とは言えないから……美丈夫系なの?
光/美青年タイプのナルシストです! 範囲回復持ちの支援系キャラで、セットアッププロセスで支援をする≪魂装支援≫や、戦闘不能回復の≪黄泉がえり≫を使います。死んだら狛犬のパワーで蘇る。
吊子/さすが神様の使い。
光/神社にご神体として飾っている鏡を覗いては「オレ、イケるんじゃない?」っていつも思ってる狛犬です。神社が建った当初から住んでいたんだけど……気付いたら相方がいなくなってた。
吊子/いないんだ!?(笑)
GM/台風で吹き飛ばされたのかな?(笑)
光/双子のお兄ちゃんは飛ばされていきました。なのでこの神社には阿吽の吽しかいません。
ちゆ/じゃあ、私が阿吽の阿の方を担当しています(一同笑)
光/『ライフパス/特徴』が「神秘が大好きである」なので、神秘的な生き物は大好きです。妖怪とか好きです。最近のブームはカッパ!
ちゆ/カッパ! チュパカブラもカッパ好き!
光/カッパいいよねカッパ! 出来れば会いたいよね!
GM/脳裏に浮かぶカッパが『妖怪ウォッチ』に登場する気の抜けたカッパなんだが……あれ、すっごく可愛いよね。A市やS市にはカッパがいるって言うし、もしかしたらセッション中に会えるかもね?(笑)

NO IMAGE 神山 光(プレイヤー名:氷鏡)
 クラス:[霊媒師3/稀人1]
  体力: 9(+3)  反射: 9(+3)  知覚:15(+5)
  理知:15(+5)  意志:13(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:19  MP最大値:29  正気度:9
重要キーワード:人ではないもの  背景:兄弟姉妹に狛犬がいる  特徴:神秘が大好きである
ボーナス効果:≪L:耐久力上昇・MP≫を取得  スキルウェポンのイメージ:??
職業:神社の狛犬  性別:男  年齢:20代中盤  身長:?cm  髪色:?  瞳色:?
 スキルウェポン→なし
 霊媒師→≪魂装支援≫ ≪清浄の使者≫ ≪御符≫ ≪黄泉がえり≫ ≪地霊操作≫ ≪霊的神経≫
 稀人→≪光の一手≫ ≪守護の石≫

GM/NPC1の丸くんとPC1の吊子さんとのご関係は?
吊子/吊子が勤めているスーパーのバイトがNPC1です。ライブがあるからってチケットを配られたんで、私もみんなに配ってあげました。
GM/まだ発展途上のバンドマン設定だから……対バンのライブにでも出るのかな?
ローズ/音楽教師だから音楽には興味があるので行きますー。
天月/自分も音楽は好きだし、チケットを貰ったとなったらみんなを連れて行きますね。
光/これが今の芸術かーって学びに行きますよ。
ちゆ/みんなが行くなら私も行こうーっと(笑)
GM/全員ゆるーくライブハウスに入ってきたな(笑) それでは、本編を進めていきましょうか。


 ●オープニングフェイズ1/吊子 〜血まみれの悪夢〜

GM/PC1の吊子ちゃんのオープニングシーンを始めます。吊子さん、君はライブハウス会場の中に立っています。
吊子/はい。
GM/君一人が立っています。足元には人、人、人。
吊子/えっ? えっ?
GM/人々は穴から血を噴き出して倒れている。目から、鼻から、口から。血を垂れ流して苦しみながらみんな倒れている。会場のお客さんも、主演者も、スタッフもみんな。……ステージの上に立っていた彼すらも血を噴いて倒れている。
吊子/あ、足の踏み場も無いですか……?
GM/そうですね、ライブハウスだもの。人はぎゅうぎゅうだった。Zeppホール的なライブハウスは死人で溢れている。
ちゆ/意外と良い所だった。
吊子/あ、足元の人を揺らしてみます。大丈夫、大丈夫ですか!?
GM/全員事切れてきます。
天月/う、うえぇ……まずい!
吊子/うぐう! 話など聞けぬ!
GM/何故古風に言った!?(一同笑) 君は発見してしまう。そんな死人の中に……天月さんやローズさん達がいることを。ああ、綺麗な格好をいつも心掛けていたローズさんの体も血で塗れている。天月さんも既にもう……。
ローズ/なんという私!(笑)
吊子/ど、どうしよう……どうしよう……。
GM/急に喉が痛くなる。風邪を引いたかのような痛みだ。すると、ドクンと体が不自然に鼓動した。ああ、今から自分は血を噴き出すんだ……最後に生き残った君は、自分の体が何者かに侵食されていくような感覚に恐怖します。
吊子/か、体が……。口をとにかく抑えます……!
GM/ライブ会場にある、唯一の入口に何者かが立っている。男だと思ったけど姿はちゃんと見えない。入口が逆光になっていて黒い人影しか見えなかったからだ。
吊子/お、お前は……!? せ、せっかく生き残っているんだし……口を塞ぎながら、人を避けながら、入口の方に向かいます。
GM/入口にあの影がいたとしても? ……自分を鼓舞しながらも、ゆらゆらと出口に向かう。

 「生き残りか。しかしそのようなか弱い生命、今この場で生き延びられたとしても後は災厄を振り撒くのみ。
 しかしこの日本にもこのような例外がいたとは。まだ楽しめそうだ。だが……貴様はこれで終わりだ。爆ぜよ!」


吊子/爆ぜる!?
GM/……君は、目を覚まします。ここはライブハウス。時刻は16時55分。あと5分でライブが始まる時間だね。
吊子/び、ビックリした……夢か。
GM/目覚めた吊子さんは、あることに気付きます。……今の私の服装と、さっき見た悪夢の私の服装が違う。
吊子/えっ?
GM/夢の中で着ていた私の服……「明日着ようと思っていた服だわ」と思います。
吊子/あれぇ? やっぱ夢は夢かぁ……?
GM/「ご機嫌いかが、御前院吊子」 いきなりだけど吊子さんに声が掛かる。振り向くと、声がした先に……金髪碧眼ゴシックロリータ服の6歳ぐらいの女の子・龍の聖剣が立っている。
ちゆ/……来ましたー!(笑)

 龍の聖剣
 金髪碧眼ゴシックロリータ服の女の子。通称「ロリ」。
 神の決定した運命を尊重し、異端が歪めた誤った世界を正すべくPC達に時間跳躍を提案する超越的存在。
 一度助けたことのある人物には親しく話をしにくるが、基本的に[世界遣い]や[稀人]以外の能力者の前には姿を現すことがない。


吊子/あ、ごきげんよう。可愛い可愛い(笑)
GM/(龍の聖剣になって)「御前院吊子。ご機嫌なのは良いけれど、私が貴方の前に現れたということは……判っているわね」
吊子/……だよねー? 溜息をはぁーっと吐く。……悪夢を見ちゃった。見ちゃったよ。
GM/「違う世界の夢を見たわね。あの世界は、この世界がこのままだと辿るだろう未来。異端によって捻じ曲げられた、誤った世界。だが世界はそれを認めない」
吊子/……うん。
GM/「貴方が何もしなければ異端の手によってあのような惨劇が起きるわ」
吊子/……そしたら、私は何をやったらいいの?
GM/「貴方が、貴方の身近な大事な人を助けてあげればいいの。そうするだけで世界は救われるわ」
吊子/大事な人を? ……ねえ、龍ちゃん。具体的に突っかかってきた相手が誰か来るのよ?
GM/苦笑いしながら「私は直接的なヒントは言えないの」と首を振ります。だけど龍の聖剣は最大限君達を助けたいと思っている。だから……。「これから貴方はとある人から誘いを受けるわ。それを引き受けていれば、最悪な結末にはいかないわ」
吊子/誘いを受ける……?
GM/「ごめんね、私が言えるのはこれぐらい」 龍の聖剣はお腹を抑えながら言います。彼女は答えを知っていますが言ってしまうと罰が下ります。それを無視して苦痛を受けながら与えたヒントがこれです。
吊子/龍ちゃん、良い胃腸薬があるよ。使う?(一同笑) 良かったらあげるよ、はいっ!
GM/「大好きなアイスに混ぜて食べるわ」
吊子/アイスに混ぜるのは考えた方がいい!(笑) お腹を痛くしながらも私に教えに来てくれたんだよね。……もちろん世界を救うわ。安心して。
GM/「……ありがとう。お願いね」 ペコリと龍の聖剣は頭を下げます。
吊子/良い子だなー! なでなでなでー!(笑)
GM/そこには誰もいません。君はライブハウスで一人立っているだけです。そろそろ他のみんなと合流しようか。
天月/あ、吊ちゃん発見!(笑)
ローズ/あらぁ、なんだかフラフラしてますけど大丈夫ですか?
吊子/……いやぁ……。まあ、イケるイケる。
天月/ねえ、吊ちゃん。もしかして疲れている?
吊子/かもしれない。今日9時間以上ぶっ通しで働いてきたから。
GM/スーパーで働いた後にライブに来たんだ? 朝の出勤お疲れ様(笑)
吊子/でもさ、来ないとあの子が可哀想だしさ……。
ローズ/あらあら、優しい人ですねぇ。でも変な夢でも見たような顔ですね?
天月/立ったまま寝るなんて……やっぱ吊ちゃん、疲れているんだよ。
GM/PC1組とPC2組が合流しました。PC3組も合流してOKですよ。ライブ開始まであと5分!
ちゆ/わーっ! 5分前ー! あぶなーい!
光/わーっ! 来たぞー! お疲れー!
天月/ああ、お疲れ2人とも。
ちゆ/ちゃんと冷蔵庫に夕飯作って入れてきたよーっ!
吊子/夕飯作っていたから遅れてきたの? かわいいな!(笑) 何を作ってきたの?
ちゆ/カボチャの煮つけー!
吊子/よし、うちも今夜はカボチャにしよう!
光/見て見て、僕ってイケメンでしょ。
天月/いきなりアピールしてきた!?(一同笑) よしよし、夕食準備してくれたし撫でてあげよう!
GM/乱れ髪になっても美しい光くんであった。
天月/うん、うちの子達が可愛い!(笑)
GM/悶えている天月さん……というところで、ライブがついに始まります。今日は吊子さんの知り合いの丸くんが参加する複数のインディーズバンドのライブです。みんなは音楽は好きかな?
ちゆ/ジャカジャカしてて好きー。
光/そこそこ好きー。
天月/よく判ってないけど好きー。最近の音楽は凄いなー。
ローズ/音楽教師としては興味はある。とりあえず来たよ!
GM/わりとみんなふんわりしてるな(笑) 1組目のバンドの演奏が始まります。テレビに出ることはあまり無いけど、そこそこCDが売れていると思われる人達が音楽を奏でていきます。
光/凄い音楽だー、そわっそわっ!
GM/そして2組目。坂登丸くんが登場します。
吊子/あっ。あれあれ、あれだよ!
ちゆ/おー、あれかー! 吊子さんの友達!
GM/対バンだと演奏者が入れ替わるたびに最前列が大移動したりして楽しいよね。2組目の丸くんになると、前にいる女の子達がキャーッと歓声を上げる。結構大きなライブハウスに呼ばれるぐらいには、そこそこ人気はあるようです。
吊子/……へー……。
ローズ/なぁに、その顔?(笑)
吊子/「ステージに立つとナルシストな顔をするんだなぁ」って思っただけ(笑)
GM/彼は1人でギターを弾き語りするタイプです。さてステージに立った丸くんは、偶然客席にいた吊子さんと目が合います。ステージでのナルシストな顔をするかと思いきや、「あっ! 吊子さん来てくれたんだ! 嬉しいな!」と目を輝かせました。
天月/か、可愛いっ!
吊子/可愛い反応じゃん!(笑) それにはつい手を振っちゃう!
GM/しかし彼もステージに立てばプロの仲間入り。自分のキャラに徹するように演技に入ります。演奏を聞かせるのは吊子さんためにだけじゃない。他の応援してくれる子達や、自分自身のためにも彼はギターを奏でて歌を唄います。
光/おー、すげー好感度が高いじゃんー!(笑)
GM/彼の演奏は一流と言うにはまだ拙いもの。でもこれから光るものがあるんじゃないかな? 音楽教師のローズちゃん的には「音程も合ってる。声の伸びも良い。自作の歌詞もなかなか良いな」と思えます。まだ甘いところが多いけどね。
ローズ/あらあら、まだ若いけど……若いことは良いことですわ。
ちゆ/ソウルは感じるね!
GM/対バンの最初は、他バンド目当てに来たお客さんの掴みを良くするための明るい自信作を披露するもの。だからジャカジャカと騒がしく元気で楽しい曲が会場に響いていきます……。


 ●オープニングフェイズ2/天月&ローズ 〜嵐のような歌の中で〜

GM/ライブ1曲目、2曲目と、ライブは進んでいきます。しかしPC2の天月くんとローズちゃんは、気付いてしまいます。魔力の波動だ。何者かが魔術を使ったのではないかと感づいてしまいます。
天月/うん?
GM/……君達が立っていたところから、斜め横にいたお客さんが……ぐったりした状態で立っているのを見つけます。
ローズ/あら? 調子が悪いのかしら。
天月/そうだね、さっきの吊ちゃんみたい……?
GM/魂を奮い立たせるような演奏の丸くんによって、会場は盛り上がっています。周囲はノリノリです。しかしあそこにいる彼は……まるで動けないように、ぶらーんと立っている。
ローズ/ちょっと様子がおかしいわね。
天月/な、何かあったのかな……?
GM/男性は力無く立っている背後には……茶色いジャケットを着た男性が立っています。背後に立った男性は右手に瞬時に銃を取り出す。ウズマキからスキルウェポンを出しました。
吊子/あ。
GM/元気の無い男性のうなじに小さな魔法陣が現れます。そこ目掛けて銃を突きつけ、タンッ! 茶色いジャケットの男は引き金を引く。……男を撃った。撃たれた男は膝をつく。
ローズ/あら。殺人事件だわ。
天月/殺人事件だわ、って言ってる場合じゃない気がする!(笑)
GM/盛り上がっている会場は、男が一人膝をついた程度じゃ全然気にしない。でも君達は見ていた。背後の男が、ウズマキからスキルウェポンを取り出して男性を殺した瞬間を。
ローズ/とりあえず近づいた方がいいわね。笑顔で近づいていきます。
天月/う、うん! 行こう! ろ、ローズちゃんは女の子だから、気を付けて!
ローズ/あらあら、大丈夫よ〜。
GM/可愛い紳士だ(笑) スキルウェポンである銃をウズマキに入れて、彼は……会場を後にする。そして残される死体。
ローズ/犯人逃げちゃったわねぇ。
天月/そ、そんなゆっくりしてていいの!?(笑)
ローズ/どうします? 死体の方に行きます? それとも追います?
天月/じ、じゃあ……死体をお願いします! 出口に行きます!
ローズ/判りました〜。すっすっとお客さんを避けながら死体のもとに向かいます。
GM/二手に分かれましょう。……天月くんは、撃った男性を追いかけます。犯人と思しき茶色のジャケットの男は誰にも怪しまれることなく、まるで自分を怪しまないように周囲に暗示をかけているがごとく去って行く。お客がいない、静まり返った廊下で追いつくことができます。
天月/…………。な、何も考えていなかった!(笑)
GM/例えば武器を突き付けるとか、魔術を使って拘束を試みる……とか?
天月/すみませんっ! 声を掛けます!
吊子/普通に声を掛けた。
天月/だって僕、スキルウェポンを持ってませんし!
ちゆ/そうだった!(一同爆笑)
GM/男だから危険な方に来ただけだった!(笑) すみませんと言われて、犯人はピタリと止まります。
天月/……ま、まだライブは始まったばかりです。もう帰っちゃうんですか!?
GM/「ああ」と肯定。
天月/そんなに面白くなかったんですか!?
GM/「何者だ」
天月/……単刀直入に訊きますよ! さっきの人に何をしたんですか!
GM/彼は……天月さんへ振り向くと同時に、その手にはウズマキから取り出した銃を天月さんに向けます! 銃の引き金を、犯人は躊躇も無く撃つ!
天月/わあっ!?
光/何かで銃弾を弾くとか……!
天月/は、弾ける訳ないじゃないですかー! 何もしません。
GM/……銃で撃たれた。撃たれたと思った。しかし犯人はわざと外したのだろうか。奴が本気なら天月さんの脳天は今頃……。
天月/う、うわぁ……。い、いきなり撃ってくるなんて怖いですね?
光/ぬしは心が強い。
天月/実際はただ戦えないだけなんですけどね!(笑)
GM/また犯人の男が銃弾を天月くんに向ける。今度こそ……というとき、男の前に黒い霧が発生する。そして天月くんは尋常ではない恐怖心を感じます。
天月/なっ……何だ?
GM/天月くんには判る。男の前に「物凄く強い何か」が現れたと。その黒い霧を見た男は、銃を納める。「……まあいい。俺の仕事は済んだ。まだ殺戮の宴には早い。せめてあと一夜は、俺のポリシーであるもう一人を殺るまでは。……行くぞ」
吊子/あと一夜……?
GM/犯人は独り言を言う。そして天月さんを無力だと判断した犯人は、シュンッと姿を消しました。
天月/あ……逃げた。能力者で殺してきた……教会に連絡かな?
GM/うん、教会の高坂さんに連絡したらすぐ動いてくれるよ。
天月/……ローズちゃんが心配だ。死体だから大丈夫だろうけど、心配だ。会場に戻ろう。
GM/天月さんが会場に戻ろうとする。一方その頃、ローズちゃんのシーンにいきましょう。死体が会場にありますが、周りの人達は幸い気付いていません。
ローズ/今ここでバレちゃんと周りがパニックに陥って怪我人が出そうね。撃たれた男性を抱えて、人気の少ない所に連れていきます。
GM/まるで急病人を介護しているかのようにローズちゃんは動きます。まさか周囲も人が死んでいるとは思うまい。
ローズ/はーい、すみませーん。常に笑顔で!
GM/そのとき。ステージの丸くんが3曲目を始めようとします。「それでは……今回初めて歌わせてもらう新曲、いかせていただきます。聞いてください、『嵐のメロディ』!
ちゆ/わーっ! 新曲だってー!
光/わーわーっ!
GM/ピクピクッ。ローズちゃんが抱えていた男性が動き始めたよ。
ローズ/あれ? ……大丈夫ですか? 脈を測ります。
GM/死んでいます。
吊子/えっ。
ローズ/……死んでいるのは確定なんですね?
GM/スキルウェポンの銃で撃たれて死んだのを君は見ています。
ローズ/死んでいた筈なのに生きているなんて最悪だわ。首をポキッ。
天月/えっ。
GM/ガクン。動かなくなります。
ローズ/これで良し。運びます。
光/…………。良し、なの?(笑)
ローズ/ゾンビが私に襲いかかられたら困るわ。ライブ会場でパニックになられたら大変だし。早いうちに対処をしておいたの。
GM/……ローズちゃんは[闘士]で[狂戦士]。戦闘のプロです。だから君の勘が「もしこのまま私が何もせずにいたら突如動き出した死体……ゾンビは自分を襲ってきた」と告げていました。この対処は適切です。
ローズ/私の首を噛もうなんて百年早いわよ(一同爆笑) さあ、どっか見えない所に運ばないとね。
GM/動く死体なんて教会でなんとかしてくれるだろうなと考えながら外に出ると、帰ってこようとしていた天月さんと合流します。
天月/ただいまー……。
ローズ/天月さん。見て、これ動く死体よ。
GM/いえ、首が捻じれて動かない死体です。
天月/なにこれぇ!?(一同爆笑) ろ、ローズちゃん! 襲われなかった!?
ローズ/襲われる前になんとかしたわ。
天月/ローズちゃん、[狂戦士]で強いけど君は女性なんだからね!? 気を付けないといけないよ!
GM/なかなかにフェミニストだった(笑)
天月/僕は動物にしか興味はありませんっ!
ローズ/そんな心配してくれるなんてありがとう。とりあえず教会に連絡を入れましょう。お仕事のところに電話をしまーす。
GM/了解です。一方その頃……ライブ会場では大盛り上がり。ソウルフルなソングが大盛況で終わりました。
ちゆ/イイ……。
光/イイ……!
吊子/2人とも魅了されてる!?(笑)
ちゆ/熱いおミュージックだった……! ジャパニーズにもロックって演奏できるものなんだー!?
光/琴や三味線しか聞いたことなかったから……ガチャガチャしてる音楽だったけど現代の音楽ってイイ……! 
GM/感動する動物達だった(笑) 特に3曲目の新曲は丸くんの魂がこもった歌でした。別バンドを目当てに来たお客さん達も、「あのミュージシャン良いね!」と感激してる人が多いです。物販のCDを即買いする人もいるかも?
吊子/おおっ、それは凄いな! ……丸、やったね。
天月/吊ちゃんも良い笑顔だね!(笑)
ちゆ/ちゆ達もCDを買って帰ろうー!(笑)
GM/今日初披露の新曲だから物販のCDには収録されてないけどね。さて、丸くんから3組目のバンドに交代します。そうして次々と演奏が続き、ライブが終わります。ライブ終了頃には天月くん達の処理も終わっていることでしょう。
天月/処理終わりましたー(笑)
GM/丸くんの歌をちゃんと聞いていた人は、『イベントキー:歌』を入手してください。この場合だと……吊子ちゃん、ちゆちゃん、光くんは入手かな? ライブが終わって、お客さんが次々と外へ散っていく。
ちゆ/楽しかったー。
光/楽しかったー。
ちゆ/ねー。
光/ねー。
天月/楽しかったみたいだね。吊ちゃん、誘ってくれてありがとう。
吊子/反応が思ったよりも良くて安心したわ。みんな薄ら笑いを浮かべると思っていたから(一同笑)
GM/ではそこに、吊子さんに声を掛けてくる男がおります。「吊子さーん吊子さーん!」 キャップとサングラスを掛けた男の子です。
吊子/ビンタ!
ちゆ/弾き飛ばした!?(一同笑)
GM/スパーンとキャップとサングラスが外れます!(笑) どうも、ライブ終わりの丸くんです。「吊子さん! ライブに来てくれてありがとっす!」 しっかりと頭を下げて、本当に嬉しそうな笑顔でお礼を言いに来ました。
ちゆ/おお、えらいーっ!
光/わー、ステージの上に立ってた本物だー!
吊子/ま……。
ローズ/ま?
吊子/丸くんが……お礼を言いに来た、だと……?
GM/オレってそんな失礼なキャラでしたか!? 今まですみませんでした!(一同爆笑) でもオレ、日本男児っすから! わざわざ来てくれたお礼ぐらい言うっすよ!」
天月/日本男児。(静かに爆笑しながら)……にっぽん……だんじッ……!
光/あ、ぬしが潰れた。
ちゆ/ジャパニーズボーイだよ、ぬし。
GM/なんでそんなところに爆笑してるの!?(一同笑)
吊子/いやぁ、丸くん。今日はお疲れさん。良かった良かった。大盛況だったじゃん?
GM/「ここまで大きいステージは初めてだったので緊張しましたよ。まぁ……オレの実力を考えれば当然というか……?」
吊子/(即答して)ソウダネ。
ちゆ/お姉ちゃん、もうちょっと優しくしてあげて!(一同爆笑)
吊子/ああ、3曲目がすっごく良かったよ。なんというか……パトス(?)が……舞ってたっていうか……?(一同笑)
GM/「あれ、思い出の曲なんすよ」
吊子/へー、思い出の曲? なに、好きな子にプレゼントしたとかそういうの?
GM/「そんな綺麗な話だといいんですけどね! そりゃあ……22年も生きてれば悲しいストーリーも1つや2つありますからねぇ……!」
吊子/(即答して)ソウダネ。
GM/なんだその修羅を乗り越えてきたような顔は!?(一同爆笑) 「あの、吊子さん! 確か明日も夜シフトじゃなかったですよね!」
吊子/うん。今日が重労働だから明日出勤しなくていいってリーダーに言われた。
GM/バイトリーダーが常識人で良かったっす!(笑) もし良かったら2日目のライブもオレ唄うんで、来てくれませんか!? 時間は今日と同じっす!」 丸くんがお誘いをしてきます。
吊子/行くよ。暇だし。
GM/「あざっす! またズバズバとストレートに感想を聞かせてくれると嬉しいっす!」
吊子/私はズバズバ言うよ。
GM/「お友達がいるんだったらどうぞあげちゃってください! チケット5枚あげますんで!」
吊子/はい、友達にあげます。
ちゆ/やったー!
光/やったー!
天月/わーい!(笑) チケット無くさないようにね。
GM/「じゃあまた明日! よろしくお願いっす!」 丸くんはキャップをシャッと被ってその場を去っていきます。
ローズ/あらあら、格好つけ屋さんね。
光/今時の若者って感じだねー。
ちゆ/波に乗ってるからこそ、だねー!


 ●オープニングフェイズ3/ちゆ&光 〜嵐の捜索〜

GM/翌日、日曜日の朝。君達5人は早朝に「教会の礼拝堂に来てくれ」と仕事斡旋人の高坂から連絡があります。
ちゆ/高坂さんだ! タカサカタカサカ!
光/タカサカカサカサ!
GM/はい、高坂だよー(笑)

 高坂
 様々な事件の仲介屋(コーディネーター)をしている男。PCのような能力者達に「仕事」を紹介することを仕事とする斡旋人。
 詳しくは『AW公式NPC・パーソナリティーズ』参照。


光/ぬし、お仕事だよー?
天月/お仕事だよー。眠いー(笑)
ちゆ/礼拝堂に行くよー。着いたよー。礼拝堂だよー。
光/昨日とは違った美しさで行くよー。キラキラだよー。
ローズ/今日も貴方は眩しいわねー(笑)
吊子/教会か。……結婚してえなぁ……。
GM/教会に来てそう発言するアラサー女性、嫌いじゃないわよ!?(一同爆笑) 君達5人は礼拝堂に集まります。約束の時間になると、高坂が現れます。「来てくれてありがとう。朝早くからすまないね」
ちゆ/いいえー。
光/いえいえー。
ローズ/おはようございます、高坂さん。仕事ですから大丈夫ですよ。
GM/「ローズちゃん、昨日の今日の連絡で忙しくってごめんよ。例のことを報告するから……ほら、吊子ちゃん達も礼拝堂に見惚れてないで長椅子に座って座って!」
吊子/はーい、お邪魔しまーす。
GM/高坂は全員に資料を配ります。「実は、昨日の殺しなんだが……退魔組織教会で指名手配されている『異端犯罪者ハーリケイン』の仕業ではないかと思われている。
ちゆ/はーりけいん? 指名手配?
ローズ/あら、物騒な話ですわね。
GM/「何故ハーリケインの仕業かと判断したかというと、ローズちゃん達の目撃証言からだ。うなじの部分に小さな魔法陣を張って、魔法の銃で背後から一発弾丸で殺す。多くの人がいる場所で騒ぎを起こすようなやり方。ハーリケインと名付けられた異端犯罪者の奴は、既に8人もの人間を異能を使って殺害している。こいつは、[魔術師]の暗殺者なんだ」
天月/8人! 多いね!
ローズ/そんなに殺して何がしたいのかしら。
GM/「そいつは≪千枚皮≫という変身特技で姿を変える。だから今まで捕まえることができずにいた暗殺者だ。そして昨日、9人目の被害者が出た。被害者の名前は、沼田 博人(ぬまた・ひろと)。関西中心に商売をしていたが、最近になって関東に進出してきた……ネット販売中心の観葉植物栽培業者だ」
天月/暗殺者……仕事人でしたか……。
ちゆ/ローズちゃん達が会場にいなかったときに、そんなことが?
ローズ/そんなことがあったんですよ。
ちゆ/関わっちゃったからにはやるかぁ。
光/やるかぁ。
天月/やるよぉ。
GM/のんびりした会話だなぁ(笑) 「10人目が出ない前に早急にハーリケインを取り押さえたいと考えている。昨日報告をしてくれたローズちゃん達、そして吊子ちゃんや光くんやちゆちゃんにも捜索をお願いしたい。もしかしたらこの街にはもう居ないかもしれないが、それなら奴が去ったかどうかを調査しなければならない」
ローズ/そういえば……殺された人が、少し時間が空いてから私に襲いかかろうとしたんです。あれって他の被害者にもあったんですか?
GM/「……初耳だよ」 高坂は過去の資料を捲ります。被害者がゾンビ化したという事例は、見当たりません。
吊子/おやおやおや?
ローズ/あらぁ? ……どういうことかしら? あれは対処して良かったってことね。今度は犯人の首を折ってさしあげましょう。
天月/う、うん。でも無茶しないでね?
ローズ/私だって演奏が聞きたかったんですよ。残念な気分なんです。その報いを受けさせないと!
GM/「ローズちゃんは力強いなぁ(笑) 多くの人の死を求めている異端犯罪者だ。新たな被害を生むためにゾンビ化させる新しい術を獲得したのかもしれない。気を付けるんだよ」
吊子/そうですね。大丈夫でーす。
GM/高坂との話が一段落します。……ちょうどそのとき、礼拝堂に入ってくるスーツの男がいます。教会の現場復旧委員会のメンバー・藤原幸正ですね。
ローズ/まあ、お疲れ様ですわ。
ちゆ/お世話になってますー。

 藤原幸正
 異端との戦いで破壊された建物の修復、一般人への記憶操作処理を担当する教会の部署『現場復旧委員会』に所属する、35歳ほどの物静かな男。日本人名で名乗っているが、外見は掘りの深いギリシャ人男性。
 その正体は、冥府の神・ハーデス。ライダーの英霊として召喚された人外であるが、現在は訳あって教会に就職して人間達に協力をしている。


GM/藤原は高坂に「昨日のライブ会場の処理は終わりましたよ」と報告します。そして……PC3である光くんとちゆちゃんと目が合います。
ちゆ/じー。
光/じー。
GM/人外同士である藤原と2人は何度も話をしたことがあるでしょう。「お疲れ様ですよ、そちらの2人も。昨日の件、異端犯罪者ハーリケインの事件は君達が受け持つのかな?」
光/そういうことになりましたー。
ちゆ/そういうことになりましたー。
GM/「よろしい。こちらも何かあったら力になろう。そうだ……君達と話があると言ってついて来た者がいるよ」 藤原の後ろから、ぴょこっと何かが飛び出してきます。カッパです。
ちゆ/ふぇっ!?
光/カッパぁ!?
ちゆ/カッパだぁ!?
光/びしっ! お、おはようございます!
GM/物凄いテンションの上がりよう。呑気なカッパは「いよぉ」と挨拶をします。「お正月におみくじを引きに行った以来ですなぁ〜」
光/あのときはあまりお相手を出来ずすまなかったです!
GM/「年末年始の神社はお忙しいですからなぁ〜」 せっかくカッパ好き人外という設定を作ってくれたので、ハンドアウトにあった藤原さんの出番を半分にしました。
吊子/出番を削られた!?(一同爆笑)
天月/カッパさんの出番が急遽!?(笑)
GM/だってプレイヤーが良い設定を作ってくれたらそっちを採用したくなるよ!(笑・カッパになって)「これからおぬしら、街をまわりに行くのだろ? 気を付けろよぉ……」
ちゆ/はぁ?
光/ほぅ?
GM/「街に住む下級霊達が『巨大な黒い影』を見たという噂している。招かれざる者がこの街に現れたようだ……カッパ的にも悪い予感がビンビンだぁ」
ちゆ/カッパ的に悪い予感……!?
光/それは一体……!?
GM/「昨日行ったという会場近くにいた無害な浮遊霊達がなぁ、一斉に消滅したっていうんだ。何者かは誰も把握してないけど、危険なものであることには違いない。用心した方がいい」
ちゆ/し、消滅……!?
光/ガタガタ……!
GM/「怖いもんを見たらみんな逃げるように話をしておる。今は実体無き者達が被害に遭っているが、もしかしたら実体のある者達……人間達に被害が出るかもしれん。光やちゆも、友人達を傷つけたくはかなろう?」
光/うん!
ちゆ/カッパ様もお気を付けて!
GM/カッパはぺちぺちぺちと礼拝堂を去って行きます。
ちゆ/ああっ、足音が可愛いっ!
光/カッパ様に手を振ります!(笑)
GM/お尻をフリフリしながら去りますが……歩くのに疲れたので藤原さんにぴょこっとだっこを強請ります。
天月/ああああかわいいー!(一同笑) ……霊体達が消えてしまうのは悲しいな。
光/そうだよ、なんとかしないと。じゃないとオレの【防御点】が消えていく。
ちゆ/兄弟が消えてしまうかもしれない!? なんとかしないと! これで頑張ればちょっとはカッパに近づけるかも!?
GM/徳が上がればチュパカブラもカッパになれるのだろうか(笑)

【AF判定ルール】
・『契約』は、ミドルフェイズ前に可能。
・『供給』は、マイナーアクションで可能。1シナリオに1回まで。

『AF判定:調査「異端犯罪者ハーリケイン」』
 ・使用能力値:【知覚】【理知】
 ・難易度:40
 ・ラウンド制限:なし

※「異端犯罪者ハーリケインについて調べる」演出に成功すること。成功した場合、ハーリケインの情報を得る。

『AF判定:調査「被害者 沼田博人」』
 ・使用能力値:【理知】【意志】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:なし

※「昨晩の被害者である沼田博人について調べる」演出に成功すること。成功した場合、被害者の詳細を知ることができる。

『AF判定:探索「巨大な黒い影」』
 ・使用能力値:【体力】【知覚】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:なし

※「藤原幸正が言っていた『巨大な黒い影』について調べる」演出に成功すること。成功した場合、黒い影に関するイベントが発生する。

『AF判定:「ハーリケインの儀式」』
 ・使用能力値:【理知】【意志】
 ・難易度:40
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「ハーリケインが残す魔法陣について調べる」演出に成功すること。成功した場合、儀式の詳細を知ることができる。

『AF判定:交流「坂登 丸」』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「坂登 丸と交流する」演出に成功すること。成功した場合、彼の話を聞くことができる。

『AF判定:調査「歌」』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:なし

※『イベントキー:歌』もしくは『イベントキー:ダウンポーソング』を取得している人のみ判定可能。

※「歌について調べる」演出に成功すること。成功した場合、歌の情報を得る。


ちゆ/ミドルフェイズの前にまずは『契約』しよう! ぐるっと契約しようか。

 『契約』の相談の結果……。
 吊子は天月をサーヴァントに、天月はローズをサーヴァントに、ローズはちゆをサーヴァントに、ちゆは光をサーヴァントに、光は吊子をサーヴァントに『契約』を行なった。

GM/サーヴァントの人は、マスターの言葉になんとなく逆らえなくなります。基本的に「契約したマスターの言うことはゼッターイ!」になります。
ちゆ/ゼッターイ!
光/ゼッターイ!
ローズ/ほらー、ちゆちゃんー。私がマスターだよー。
ちゆ/なんか勝てねぇー!(笑) 私だってサーヴァントだぞー!
光/天月はマスターじゃないけど、ぬしだぞー。
ちゆ/マスターはローズさんだけど、ぬしは天月だぞー。
天月/か、可愛いな、お前ら……(笑)






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