アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 嵐のメロディ 〜アイドル編〜 』 1ページ ■
2015年5月23日




 ●プリプレイ

 セッション会場となる某カラオケにて。
 GMとなるマーサーを中心に、ぷぇ辰巳りんにとに子水波の5名が集まっていた。


マーサー(以降、GM)/『アナザーワールドSRS』(以降、『AW』)を始めまーす。
一同/よろしくお願いしますー!
GM)/今回のセッションには『AW』初プレイとなる方もいらっしゃいますので、初心者対応シナリオをご用意しました。『4版』で追加された新要素を多く含んだ話になっています。具体的には……まずはハンドアウトをお読みください!



 アナザーワールドSRS〜シナリオ名『嵐のメロディ』



【レギュレーション】
 『4版』ルール使用。キャラクターレベル4で開始。

 全員が知り合い設定であることが望ましい。一度、同じ仕事を受けたことがある仲。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:アーティスト  関係:興味  推奨クラス:魔術師 or 世界遣い

 5月22日、君は悪夢を見た。全身の穴という穴から血を垂れ流す人々。なすすべもなく彼らが死んでいく悪夢を。
 その夜、「アーティストの会場」にて、とあるアーティストの卵に出会った。
 人懐っこく君に見せる笑顔を、悪夢の中で見たような気が……?
▼セカイのイベント:アーティストと仲良くなる
▼NPC1:アーティスト

 音楽に関わる人物。名前、性別、設定はPC1が自由に決めてよい。
 会場で出会い、PC1と親しくなるところから物語が始まる(クラスメイトなど、元から知り合いでも構わない)。
 駆け出しのバンドボーカル、歌姫に憧れる少女など、まだ未熟なアーティストの卵。
▼公式NPC1:龍の聖剣
 人外。超越的な話題をする金髪の幼女。とってもふしぎ。
 君は既に何度か時間を跳躍してもらったことがある。彼女が目の前に現れるということは、世界が異端の手によって危機であるということだが……? 詳しくは4版ルルブP.82参照。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:異端犯罪者『ハーリケイン』  関係:敵対  推奨クラス:聖職者 or 処刑人

 5月22日、君はPC1と共に「アーティストの会場」にいた。
 音楽を楽しみにきた君は、会場で殺人を見かけてしまう。
 ウズマキから武器を取り出し、男性客の頭を弾き飛ばした男、教会で指名手配されていた異端犯罪者『ハーリケイン』が、姿を変えて会場に現れた。
▼セカイのイベント:『ハーリケイン』と戦う
▼NPC2:異端犯罪者『ハーリケイン』

 退魔組織『教会』で指名手配されている異端犯罪者。
 魔術師の男性だが、魔術師の副特技≪千枚皮≫により、姿を自在に変えられる。
 様々な形で依頼を受け、金次第で殺しまわるという能力者の暗殺者。
▼公式NPC2:高坂
 退魔組織『教会』の仕事斡旋人。異能事件の仲介屋をしている男性。
 君は既に何度か『教会』の依頼を受けたことがある。詳しくは4版ルルブP.82参照。

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:『巨大な黒い影』  関係:不安 or 興味  推奨クラス:稀人 or 異端者

 君は人外のことにとても理解がある能力者or人外だ。
 5月22日に「アーティストの会場」であった殺人事件を、PC1〜2達と共に追うことになった。
 しかし、あの日から嫌な予感がしてならない。周囲の人外達もざわついている。
 どうやら『招かれざる者』と思わしき巨大な黒い影が現界したらしいが……?
▼セカイのイベント:『巨大な黒い影』から人々を守ろうとする
▼NPC3:『巨大な黒い影』

 詳細不明。人間なのか男なのか女なのかも判らぬ、その名の通り『巨大な黒い影』。
▼公式NPC3:藤原 幸正
 『教会』の現場復旧委員会のメンバー。その正体は、冥府の神・ハーデス。
 君とは人外関係繋がりで何度も話をしたことある。不穏な噂を警告しにきてくれる。詳しくは4版ルルブP.82参照。

【ハンドアウト:PC4】
 ハンドアウトパターン1〜3を兼用する。
 PC1の場合、同じ夢を見て、アーティストと親しくなる。
 PC2の場合、異端犯罪者の現場を目撃する。
 PC3の場合、藤原幸正の警告を聞く。

【その他】
・「アーティストの会場」は、アーティストの設定によって変化する。ライブハウスやクラブなど。
・「追加ライフパス:英霊」ルール解禁。PC3は英霊でも構わない。ただし、レベル4まで下がっている理由を考えること。4版ルルブP.9-D参照。
・「追加クラス:アーティスト&イレギュラー」ルール解禁。4版ルルブP.5参照。
・「追加ルール:異端堕ち」ルール解禁。4版ルルブP.98参照。

プレイヤー5・水波/『4版』で新クラスとして[アーティスト]が追加されて、そのアーティストが関わるシナリオなんですね。
GM/うん。どんなアーティストかはPC1のハンドアウトを選んでくれたプレイヤーさんに決定してもらいますが、シナリオ名の『嵐のメロディ』でも判るように、音楽のアーティストがNPC1になります。
プレイヤー3・りん/アーティストって大抵音楽じゃ……?
GM/クリエイターやアスリートもアーティストだからね。芸術は音楽だけに限りません。シナリオのオープニングでそのアーティストの会場に行ってもらうので、全員ファンだったり興味があったり、無くても他のPCが誘って連れて行ける仲になってください。

プレイヤー1・ぷぇ/PC1ハンドアウトを選択。
プレイヤー2・辰巳/PC1ハンドアウトを選択。
プレイヤー3・りん/PC2ハンドアウトを選択。
プレイヤー4・にとに子/PC2ハンドアウトを選択。
プレイヤー5・水波/PC3ハンドアウトを選択。

プレイヤー1・ぷぇ/NPC1の設定をアイドルにしようと思います!
GM/ということは、全員アイドルのコンサートに行くというオープニングになるんだね。先にそのアイドルの設定を決めておこうか?
プレイヤー1・ぷぇ/(プレイヤー間で相談して)NPC1の名前は、飛鳥 美希(あすか・みき)にしました。17歳の女の子で、グループアイドルの中の1人です。
GM/グループアイドルの名前って何にしようか?
プレイヤー2・辰巳/AKB48的な名前で……うーんと……。
プレイヤー3・りん/……IKBとか?
GM/池本 康(いけもと・やすし)さんプロデュースによるIKB48(アイケイビー・フォーティーエイト)にしましょう(笑) それじゃあみんな、IKBの劇場に来てね!
プレイヤー1・ぷぇ/カラオケってサイリウムが売ってたよね? せっかくだから買ってこよう!(笑)
GM/サイリウムってなんだか小学生心がくすぐられる光り方をするよね……セッション中にそんなもん振り回されたら、テンション上がるわ(笑)

GM/それでは、キャラクターメイキングが終わったのでPCの自己紹介に参りましょう!

プレイヤー1・ぷぇ(以降、友陽)/キャラクター名、田組 友陽(たくみ・ともひ)と申します。16歳、高校1年生の女の子です。ライフパスの『重要キーワード』で「上流階級」が出ましたので、古川財閥の一つをやらせていただくことになりました。
GM/ということは、お嬢様キャラ?
友陽/はい。古川家の分家を新しく作ってみました。『田組家』は工業の家系です。今まで古川財閥に無かった分野を開拓してみました! 性格は、ライフパスの『背景』でもありますように「窮屈なのが嫌い」。
プレイヤー2・辰巳/窮屈なのが嫌い。お嬢様っぽい!
友陽/元気な性格で、じっとしているのが嫌い! 今はアイドルオタクをやっています! ピンクのサイリウムを回して攻撃するよ!
プレイヤー3・りん/サイリウムで攻撃なんだ! 可愛い!(笑)
友陽/≪イノセントヒット≫でサイリウムをヒットさせるよ! ≪スポットライト≫で周囲を照らすことができるので、むしろ自分がサイリウムです。
プレイヤー5・水波/一体どういうことだろう……(笑)
友陽/アイドル大好きなので、週8でライブに行くよ! アグレッシブな子でいきまーす!
GM/午前の部と午後の部、どっちも行ったな(笑)

 田組 友陽(プレイヤー名:ぷぇ)
 クラス:[狂戦士2/世界遣い1/アーティスト1]
  体力:15(+5)  反射:13(+4)  知覚:16(+5)
  理知: 8(+2)  意志:10(+3)  幸運:13(+4)
  HP最大値:25  MP最大値:17  正気度:5
重要キーワード:上流階級  背景:窮屈なのが嫌い  特徴:スリルを求めている
ボーナス効果:≪L:特技取得≫を取得  スキルウェポンのイメージ:サイリウム
職業:高校2年  性別:女  年齢:16  身長:145cm  髪色:金  瞳色:赤
 スキルウェポン→≪イノセントヒット≫
 狂戦士→≪会心の一撃≫ ≪乱舞≫ ≪失われた日々≫ ≪狂舞≫
 世界遣い→≪逆転運命≫ ≪狂気の世界≫
 アーティスト→≪スポットライト≫ ≪ミラクルドロー≫
 一般特技→≪強化手術:知覚≫

プレイヤー2・辰巳(以降、デイヴィット)/キャラクター名、デイヴィット・パッカード。24歳男性です。メリケンです。日本で愛する人を見つけました。アイドルの美希ちゃん最高!
GM/お、表の顔は?(笑)
デイヴィット/高校教師で英語を担当しています。
プレイヤー3・りん/先生キャラだー! ティーチャー!
友陽/わー、先生と推しメンがいっしょだー!(笑)
デイヴィット/友陽さん達の担任で、IKBのファン同士の交流をしています。クラスは[魔術師]レベル4のガチ特化系にしました。≪魔導書≫で後方から魔法攻撃をします。実家が魔術の一族で、そこで魔法を教わりました。
GM/データといい、THE魔法使いって感じのアメリカ人の先生だねー。

 デイヴィット・パッカード(プレイヤー名:辰巳)
 クラス:[魔術師4]
  体力: 9(+3)  反射: 6(+2)  知覚:12(+4)
  理知:15(+5)  意志:18(+6)  幸運:12(+4)
  HP最大値:17  MP最大値:31  正気度:11
重要キーワード:崇拝  背景:アイドルのために全力で頑張ることができる  特徴:本の虫である
ボーナス効果:≪L:敏捷力上昇・行動値≫を取得  スキルウェポンのイメージ:一族伝承の魔術
職業:英語教師  性別:男  年齢:24  身長:?  髪色:黒  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪魔導書≫
 魔術師→≪飛行の札≫ ≪ニュクスの冠≫ ≪法則拡大≫ ≪心身置換≫ ≪幻想式≫ ≪望遠鏡≫ ≪魔の感知≫ ≪刻印増強≫

プレイヤー3・りん(以降、普也)/キャラクター名、加賀 普也(かが・しんや)です。男性で、16歳の高校生! 友陽ちゃんと同級生、クラスメイトです。
友陽/おなクラだー(笑)
普也/クラスは[狂戦士]3レベルで、[狩人]が1レベル。【理知】が低いと高いダメージが出る≪殺戮の身体≫で攻撃するのですが、≪単一化≫で【理知】をより低くしてみました。
GM/思いっきり【理知】低いアピールが入りました(笑)
普也/複雑なことは無い! マイナーアクションですることも無いから単純です! とりあえず殴る、迷ったら殴る!
デイヴィット/判りやすくて良いなー(笑)
普也/「平凡」な『特徴』の高校生です。普也の普は、普通の普です。平凡なのが嫌すぎてそんな自分を変えようと思いました!
プレイヤー5・水波/ライフパスが全部「平凡」だ……!(笑)
普也/平凡が嫌なので探偵になります。もう探偵です。
GM/既になった!?(笑)
普也/友陽ちゃんと先生と一緒にライブに行きたいんだけど普通の理由でライブに行きたくないので、「このライブには何か事件があるに違いない……!」と思い込んで向かう健康優良男児です。
友陽/めんどくせぇ!(一同笑)
GM/見ようによっては歪曲したツンデレキャラかな……?(笑)

NO IMAGE 加賀 普也(プレイヤー名:りん)
 クラス:[狂戦士3/狩人1]
  体力:19(+6)  反射:21(+7)  知覚:12(+4)
  理知: 3(+1)  意志: 9(+3)  幸運: 9(+3)
  HP最大値:33  MP最大値:14  正気度:4
重要キーワード:平凡  背景:平凡で特に目立った特長がない  特徴:平凡である
ボーナス効果:≪L:ダイス振り直し≫を取得  スキルウェポンのイメージ:素早い身のこなしの体術
職業:高校1年生  性別:男  年齢:16  身長:?  髪色:黒  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪殺戮の身体≫
 狂戦士→≪不屈≫ ≪失われた日々≫ ≪狂舞≫ ≪獲物を狙う眼≫ ≪戦神の巣≫ ≪単一化≫
 狩人→≪投擲≫ ≪狩猟感覚≫

プレイヤー4・にとに子(以降、ロッテ)/キャラクター名が、石屋 ロッテ(いしや・ろって)です。田組家のメイドで、友陽お嬢様つきの護衛です。
友陽/友陽の専属メイドです! ボディーガード!
GM/使用人じゃなくて、護衛なんだ……(笑)
ロッテ/クラス配分は[聖職者]1レベル、[処刑人]3レベルです。≪凶々しき武器≫で、義手に巨大なカギ爪を付けて敵を切り裂いたり握り潰して戦います。
デイヴィット/凄い強そう! ありがてぇ!(笑)
ロッテ/ライフパスの『重要キーワード』は「崇拝」なので、友陽お嬢様を崇拝しています。他にも≪薬物調合≫で薬を作ったり、≪闇の衣≫で【防御点】をアップさせたり戦闘で頑張ります!
GM/古川一族のメイドはみんな格好良くて強い子が多いなー(笑)

 石屋 ロッテ(プレイヤー名:にとに子)
 クラス:[聖職者1/処刑人3]
  体力:15(+5)  反射:15(+5)  知覚:10(+3)
  理知:10(+3)  意志:12(+4)  幸運:11(+3)
  HP最大値:25  MP最大値:19  正気度:7
重要キーワード:崇拝  背景:ご主人様が神様だ  特徴:メイドである
ボーナス効果:≪L:回復力上昇・HP≫を取得  スキルウェポンのイメージ:義手の大きなカギ爪
職業:メイド  性別:女  年齢:20  身長:150cm  髪色:黒  瞳色:黒
 スキルウェポン→≪凶々しき武器≫
 聖職者→≪悔改めよ≫ ≪主の恵み≫
 処刑人→≪死神の赤≫ ≪影の軍勢≫ ≪黒水晶の盾≫ ≪薬物調合≫ ≪強力調合術≫

プレイヤー5・水波(以降、花乃子)/キャラクター名が、葉木根 花乃子(はぎね・かのこ)です。クラス配分は[領域遣い]3レベルの[稀人]1レベルです。回復支援系ですね。
GM/凄く……植物系の名前と特技で揃えてあります……。
花乃子/ハンドアウトのコネクションに藤原さんがいたので、冥界の人をやってみようと思いました。正体はザクロの妖精です!

 藤原 幸正
 異端との戦いで破壊された建物や自然・街並みを元通りの姿に戻すべく、PC達の任務後に現場へ派遣される『現場復旧委員会』のメンバー。
 物腰柔らかい紳士。その正体は、ギリシャ神話に登場する豊穣を司る冥府の神・ハーデス。絶対的なカリスマを武器とする『ライダーの英霊』として現界している。


花乃子/ハーデス様のご活躍を見張るために冥界から送り込まれました。
デイヴィット/み、見張る……?(笑)
GM/ハーデス様はこの世に現界なされて教会のエージェントとして就職しましたからねぇ……冥界的には気になることでしょう(笑)
花乃子/でもハーデス様は真面目な方なので冥界に報告することも少なそうです(笑) 私も教会のエージェントとして登録していますよ。お金が無いとライブにも行けないし!
GM/花乃子ちゃんもアイドルオタなのね?
花乃子/はい、美希ちゃん推しです。
友陽/なんなら、うちの庭に住んじゃう?
花乃子/いいですね! 田組家の庭の隅でこっそりオタ活しています(笑)

 葉木根 花乃子(プレイヤー名:水波)
 クラス:[領域遣い3/稀人1]
  体力: 9(+3)  反射: 9(+3)  知覚:12(+4)
  理知:15(+5)  意志:16(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:16  MP最大値:32  正気度:10
重要キーワード:真理  背景:美希ちゃんオタクだ  特徴:世話焼きである
ボーナス効果:≪L:耐久力上昇・MP≫を取得  スキルウェポンのイメージ:植物を使役
職業:おっかけ  性別:女  年齢:25  身長:170cm  髪色:金茶  瞳色:緑
 スキルウェポン→なし
 領域遣い→≪生命の叫び≫ ≪イバラの城≫ ≪食物錬成≫ ≪武装粒子1・2≫ ≪テリトリー≫
 稀人→≪模倣犯≫ ≪友の華≫
 一般特技→≪興奮剤≫

GM/PC1とNPC1の関係を確認しようか。デイヴィットさんは日本にお仕事の関係で来たみたいだけど……?
デイヴィット/はい。日本に来てからIKBのファンになりました。なのでNPC1との関係は友陽ちゃんの方が親しいと思います。
友陽/友陽は……美希ちゃんと幼稚園と小学校がいっしょっていう設定にします。
普也/アイドルと幼馴染、おいしい!
友陽/幼稚園の頃、美希ちゃんと2人で「アイドルになりたい!」って言ってました。でも友陽は家を継がなきゃいけないからってアイドルになれなくて……今は幼馴染を応援するためにサイリウムを振ってます。美希ぃー! 可愛いよぉー!(一同笑)
GM/もしロッテさんが昔から田組家に仕えていたなら、小さい友陽ちゃんと美希ちゃんがアイドルごっこしている姿を見ていたかもね。
ロッテ/きっと昔から見ていますね。
友陽/昔からよくお家に遊びに来てたかも! 我が家にカラオケルームとか作っちゃおう!(笑)
GM/さすが金持ち、夢を諦めてもやることが派手だ(笑) というわけで、早速シナリオを始めていきましょうー。


 ●オープニングフェイズ1/友陽&デイヴィット 〜血まみれの悪夢〜

GM/初めに……PC1の2人、友陽ちゃんとデイヴィット先生は登場をお願いします。
デイヴィット/ハイ。
GM/君達は会場にいます。
友陽/はーい、会いに行ける劇場だー! フゥーッ!
GM/周囲の全員が血を噴いて倒れています。
デイヴィット/……オウッ!?(笑)
GM/かろうじて立っている人間は、君達2人のみ。他の人達は血を流して死んでいる。
友陽/お、思わず絶句して……倒れている人達の中に美希の姿は無いか探す!
GM/美希ならステージの上に居る。IKB48は複数人の女の子で構成されているアイドルグループだ。出演者である彼女達も例外なく死んでいる。その中にいた美希も……体の穴という穴から血を垂れ流して倒れていた。
デイヴィット/死屍累々、阿鼻叫喚ですね……。そんな情景を見ちゃったら吐いちゃいます。
GM/デイヴィット先生が膝をついて吐いたとしても、視界の端には死体がある。
友陽/と、友陽は……死体を飛び越えて、美希のいるステージ上に駆け上がります!
GM/美希が咳をするたびに血を吹く。目からも血も涙を流しているようだけど……。
友陽/ま、まだ助かる! きっと動かさない方がいいとか、自分の身の危険とかあるけど……何も考えずに美希を抱えちゃいます!
GM/苦しげに血を流す美希の体を抱き締めた瞬間、友陽ちゃんは「ギシッ」と自分の体が強張るのを感じた。
友陽/うっ……。
GM/嘔吐していたデイヴィット先生も、吐いたものの中に自分の血が混じっていることに気付く。もしかして自分も、彼女達のように、周囲の客のように、ここに居る全員と同じような症状になってしまうのでは……?
デイヴィット/お、オオウ……コレは……!? ノオオオオォー!(一同爆笑)
花乃子/外人キャラっぽい絶叫だ!(笑)
友陽/せ、先生、落ち着いて!(笑) 一刻も早くここから脱出しましょう!
デイヴィット/オウ、レスキュー!
友陽/イエス、レスキュー!(笑)
GM/君達は劇場を出ようとする……が、その入口に何者かが立っていた。外は明るく会場は暗い。だから逆光で何者かの顔は見えない。なのに君達はその巨大な影を見た瞬間、途轍もない恐怖心に襲われる。
デイヴィット/ヒィッ!?
友陽/……だ、誰よ!? 足を止めずその何者かに近づいていきます!
GM/友陽ちゃんの問いかけに答えるように、黒くて大きな人影はブワッと霧を吐くように盛り上がる。そして君達は急激な喉の痛みを感じ、次第に鼻血が出ていることに気付く。
デイヴィット/ううっ!? 会場のみんなと同じに……ギャー!?
友陽/せ、せんせ……い……! 先生の絶叫を聞きながら、その場で膝をつきます。
GM/君達は意識を失う。次に目を開けると……ライブが始まる前の会場にいることに気付きます。
友陽/……ふぇっ!?
デイヴィット/こ、ここは一体……?
友陽/呆然として、パッと周りを見渡します! さっきの惨状は……?
GM/普通の劇場だよ。16時55分だからあと5分で公演開始だ。お客さん達はアイドルが出てくるのを「まだかなー」「あともう少しだー」とワクワクして待っている。
デイヴィット/ザワザワしている会場デス……?
GM/うん、普通の劇場。今日は5月23日の土曜日。君達は今、IKB48のライブに来ている。美希ちゃんの出番があるのは今日の公演だ。
友陽/みんなはまだかなって待っているけど、友陽の顔色は真っ青です……倒れそうな状態かな……。
デイヴィット/……田組サン、アナタもですか?
友陽/せ、先生も……もしかして、見たんですか? 血まみれで倒れて……。
デイヴィット/見ました。あんな……オソロシイ光景を……オーウ!? オーウ! オーウ!
友陽/だ、大丈夫!? 先生の背中を摩ります(笑)
GM/デイヴィット先生の背中を摩っている友陽ちゃんは、あることに気付きます。デイヴィット先生の服装も、今の私の服装も……夢で見たお互いの服装と違う。
友陽/え?
GM/夢の中で自分が着ていた服は、今日着ている服とは違う。気分的には……明日着ようと思っていた私服だ。
友陽/明日着ようと思っていた服!? デイヴィット先生の格好は……。
デイヴィット/オタTです。これが戦闘服ですよ!(一同笑)
GM/では、戦闘服の色が若干違います(笑)
友陽/せ、先生。服装……違う……。
デイヴィット/言われたら気付きます。確かに……美希チャンを抱えていた田組サンの姿を見ていたから、今の田組サンの服装が別物だと気付く。でも夢にしてはあまりにもリアルで……。
友陽/……何かの予兆?
GM/「田組友陽。デイヴィット=パッカード。ご機嫌いかがかしら」 困惑する2人のもとに、小さな女の子の声がします。君達2人の前に、龍の聖剣が現れます。
デイヴィット/ワッツ!?
友陽/はっ! あー……聖剣ちゃんかな?

 龍の聖剣
 金髪碧眼ゴシックロリータ服の女の子。通称「ロリ」。
 神の決定した運命を尊重し、異端が歪めた誤った世界を正すべくPC達に時間跳躍を提案する超越的存在。
 一度助けたことのある人物には親しく話をしにくるが、基本的に[世界遣い]や[稀人]以外の能力者の前には姿を現すことがない。


GM/ロリが現れるということは、異端事件が何かしら自分らに関わってくるということです。(龍の聖剣になって)「私が現れたということは、判るわね」 小さな彼女は、真剣な顔で君達を見上げます。
友陽/コクンと頷きます。
デイヴィット/とっても悪いニュースですネ。
GM/「貴方達は、違う世界の光景を見た。そう、貴方達が見た夢は現実に起きたこと。だけど……あの場所で死んだ全ての人間を、世界は認めない」
友陽/……私達は、明日起きることを予知夢として見たのね? 明日着ていく服の自分を見たことを話します。
GM/龍の聖剣は静かに頷きます。「あの大量の死は、とある存在によって引き起こされたもの。300人が犠牲になるという事件を認めてはならない」
デイヴィット/300人……!
友陽/人気のアイドルだもの、それぐらいはお客さんも入っているよね……。
GM/「貴方達の力と勇気は知っている。お願い……この世界を救ってほしいの」
友陽/もちろんだよ! そんなこと、絶対はさせない! 嵐だろうが何だろうが、絶対にこのサイリウムで阻止してみせるよ!
デイヴィット/エエ、阻止しなくてはなりません! ガッテン承知!
GM/デイヴィットさんの言語チョイスは卑怯だな(一同笑) ビシッとサイリウムを構えた友陽ちゃんを見て微笑んだ龍の聖剣は、安心したように頷きます。次の瞬間、2人の目の前から龍の聖剣は消えている。代わりに……他のPC達が登場してください。
ロッテ/友陽お嬢様!
花乃子/あっ、やっと見つけた。やっほー!
普也/お〜い、探したよ先生〜!
友陽/あ……花乃子ちゃんに、普也くんに、ロッテちゃん……。
普也/なんだ、ガタガタしてるぞ? 水分を摂っておけってあれほど言っただろ!?
友陽/ち、違うけどありがとう(笑)
花乃子/どうしたの? 何かあったなら話してみ?
デイヴィット/実は……かくかくしかじかで、とてもオソロシイ光景が……と3人に話します。
友陽/うん……明日着ようと思っていた服を着ていたし、今日起きることじゃないとは思うんだけど。
ロッテ/友陽様のおっしゃることは絶対です、それはきっと明日必ず起きることでしょう。
友陽/起きたら困るんだよ!?(一同笑)
ロッテ/今からどうやってお屋敷に閉じ込めるか考えます。だって命が一番大事です!
花乃子/それはそうだけど!(笑)
友陽/だ、大丈夫だよ! もしかしたら気のせいかもしれないし……2人で同じ夢を見てたけどさ(笑)
GM/そんな話をしていると、会場内にアナウンスが流れます。IKB48の公演前にメンバーの子が「会場でのご注意」を交代に読み上げるファンサービスをします。今日は美希ちゃんがその当番だったのか、美希ちゃんの声が会場内に響き渡ります。
花乃子/おおっ!
GM/「本日はIKB48のライブにお越しいただきありがとうございま〜す!」から始まり、「携帯電話の電源はお切りください」や「撮影はおやめください」などの台本を読み上げた美希ちゃん。そしてステージが始まります。
普也/ライブが始まった!
友陽/さっきまで顔色が悪かったけど、ライブが始まったら元気になります! こんなことで美希の活躍を見ないで帰るのは嫌だ!
デイヴィット/そうですネ! 今は美希チャンの応援を!(笑)
友陽/そう! 応援を! する! ガンバレー! サイリウムを取り出します! 見事なオタ芸をし始めます!(笑)
花乃子/オタク強い!(笑)
GM/オタク心に火のついた友陽ちゃんとデイヴィット先生は、元気にごくごく普通のライブを楽しみます。……ロッテちゃんもオタ芸、するの?
ロッテ/完璧にダンスをこなします。
友陽/きっと友陽の影響で覚えちゃったんだね!(笑)


 ●オープニングフェイズ2/ロッテ&普也 〜嵐のような歌の中で〜

GM/ライブ1曲目、2曲目と、ライブは進んでいきます。しかしPC2の普也くんとロッテさんは……あることに気付きます。魔力の波動だ。何者かが魔術を使ったのではないかと感づいてしまいます。
ロッテ/……おや?
普也/これは何か……事件のニオイがする!?
ロッテ/普也様のお言葉を聞いて、周りをキョロキョロと警戒します。
GM/周囲を見渡したロッテさんは、ライブを楽しむお客さんの中で……ある男性を見つけます。少し元気が無さそうな彼は、グッタリと肩を落として立っています。
ロッテ/……友陽お嬢様とその男性の間に立つようにして、注視します。
友陽/友陽は横で、「エルオーブイイー・ミキティー!」とかやってます!(笑) 全力で応援しています!
普也/オレも応援に混ざりたい! オタ芸に混ざりたいけど、こっちの事件も大事だ!
GM/男性は力無く立っています。その背後には……茶色いジャケットを着た男性が立っています。
デイヴィット/ほう?
GM/背後に立った男性は右手に瞬時に銃を取り出す。ウズマキからスキルウェポンを出しました。
普也/あっ。
GM/元気の無い男性のうなじに小さな魔法陣が現れます。そこ目掛けて銃を突きつけ、タンッ! 茶色いジャケットの男は引き金を引く。
普也/あああっ!?
GM/ちょうど激しい歌の最中だったせいか、音の無い銃だったせいか凶弾に気付くお客さんは誰一人としていない。うなじを撃たれた男性は膝をついて座り込むような形で崩れ落ちる。横になった訳ではないので、普通に見たら「気分が悪くて座り込んだのかな?」としか思えません。
ロッテ/でも……死んだ?
GM/少なくとも銃弾で撃たれる瞬間を見た普也くんとロッテちゃんには、殺されたと思います。
普也/普通に悲鳴を上げます。
GM/「ミキティーサイコォー!」 会場はうるさいので掻き消される。
デイヴィット/フォー! フオオオー! ヒャッホオォー!(笑)
普也/オ、オレの悲鳴に気付かれねーだとぉ!?(一同笑)
ロッテ/男性達のもとに向かいます! 騒ぎになる前に何とかしないと……!
GM/男性を撃った茶色いジャケット姿の彼は、ライブには興味無いのかそのまま去って行こうとする。
ロッテ/……私もスキルウェポンを出して犯人を追います! カギ爪を装備して犯人に気付かれないように追いかけます!
普也/じ、じゃあオレは死んだ方に行くぜ! 断末魔を上げたのに柄の悪いオタ芸とか思われたりノリが悪いって思われたり散々だからなッ!(一同笑)
花乃子/いや、さっきは曲の運が無かったんだよ……(笑)
GM/先に犯人を追いかけたロッテちゃんのシーンから。犯人と思しき茶色のジャケットの男は、会場の外に出ようとしていた……だが通路で追いつくことができる。
ロッテ/腕を掴んで捻じり上げる。捻って壁にガンっと当てる! 貴様、今……何をした?
友陽/ろ、ロッテちゃんカッコイイー!(笑)
GM/犯人は異能による犯行に気付かれるとは思ってなかったのでしょう、かなり驚いています。が……すぐに魔術を使ってロッテさんの間合いから離れ、ウズマキからスキルウェポンの銃を取り出します。
ロッテ/私も戦闘態勢に入ります!
普也/戦うメイドさんだ!(笑)
GM/「まさか気付かれるとはな!」 男が殺気を丸出しにしてロッテちゃんに応戦する! だけどそのとき、男の前に黒い霧が発生する。そしてロッテちゃんは尋常ではない恐怖心を感じます。
ロッテ/ん……!?
GM/ロッテちゃんには判る。男の前に「物凄く強い何か」が現れたと。彼よりも強力な何者かが参戦してきたのだと。
ロッテ/……お前は何者だ? 目に見える男に対して尋ねます。
GM/茶色いジャケットの男は「名乗る気など毛頭無いが……」と笑います。「たしか教会では……この俺のことを『台風』と呼んでいるらしいな? その通り。俺はその名に相応しいモノを用意できたよ……」 黒い霧が、彼の体に纏わりつく。
ロッテ/なんだ……?
GM/「まだ殺戮の宴には早い。せめてあと一夜は、俺のポリシーであるもう一人を殺るまでは。……行くぞ」 彼は、黒い霧にまかれて去って行きます。
ロッテ/慌てて追いかけようとします……が、追いつかず。廊下の真ん中で突っ立っているんでしょうね。
GM/そうだね。……黒い霧は霧散していき、残されたのはロッテちゃんのみ。ロッテちゃんは「強いモノが去って行った」という恐怖心から解放されます。
ロッテ/……お嬢様に何かあってはいけない。急いで会場に戻ります。
GM/ザッとメイドのロングスカートを翻して会場に帰っていくロッテちゃん。……一方その頃、普也くん。
普也/うわああああぁー! し、死んでるー!?(一同笑)
デイヴィット/フウウウゥーッ! ミキティー!(笑)
友陽/ロッテちゃんが会場の外に出たのは気付いているけど……。でもロッテちゃんなら心配ないよねってライブを楽しんでます!(笑)
GM/そんな感じで普也くん以外は盛り上がりまくりです。なんとこれから美希ちゃんの初ソロ曲お披露目だよ。しかもこのソロ曲、美希ちゃんが作詞作曲し、池本康先生がアレンジを加えてくれたというものだ!
花乃子/わあ、すごーい!(笑)
GM/美希ちゃんはステージの上で、深呼吸をした後……マイクに向かって力強く言います。「今日、初めてみんなの前で唄います。それでは聞いてください、『嵐のメロディ』!」 ロック調の激しい演奏が始まります。
友陽/カッコイイよぉ美希イイイィ―!(笑)
GM/死体が動き始める。
普也/はい?
GM/膝をついていた死体が立ち上がります。
普也/あれ、生きてた。
GM/死体が立ち上がります。
普也/……生きてる? 死んでる?
GM/普也くんはこう思う。ゾンビだと。
普也/アレじゃね!? バイオハザードとかに出てくるアレ!? 近くに寄っていきます!
GM/ゾンビは血をポタポタと垂らしながら、死んだときの驚きの表情を晒したままゆらゆらと揺れている。このまま放っておいたら他のお客さんに気付かれて大変なことになるんじゃね?
普也/その人を羽交い絞めにして外に連れていきます!
GM/普也くんは自慢の体力でズルズルと外へ連れていけます。廊下に連れていき……誰も居ない所までゾンビを連行できたとき、ゾンビがガブっと普也くんに噛みつこうとします。
普也/ぎゃあ!? 逃げたい逃げたい! 払いのけます!
GM/払いのけられたゾンビは壁に頭を激突。動かなくなりました。
普也/動かなくなった!? その辺にあった棒きれ……じゃなくて、落ちてた使用済みサイリウムでツンツンします。
GM/死んでるよ。
普也/し、死んでるー!?(一同笑) まさか楽しいライブ会場がこんなことになるなんてまだこのときのオレは思いもしませんでした……犯人は多分この中にいる筈!
GM/いや君、犯人の姿を見てるから(笑)
普也/あいつが怪しいと思ってたんだ! ……じゃなくて! 通報しなきゃ!
GM/犯人は異能力を使っていた、なおかつ被害者がゾンビになった。これは警察じゃなくて教会を呼ぶべきでしょう。騒ぎを起こす前になんとかしてくれたのでパトカーが現れたりすることもなく……駆けつけてくれた教会の人達に処理してもらえますよ。騒ぎが終結し、ライブは終わり、教会を呼んだPC2が事情聴取を受けました。
デイヴィット/今日の美希ちゃんのパフォーマンスはアメージングでした!
友陽/うん、楽しかったの! 無事ライブが終わったところで、何があったか教えてもらうんでしょうね。ロッテちゃん、お手柄!
ロッテ/はいっ。
普也/さっき人が死んで蘇って死んだー!
デイヴィット/ワッツ!? どういうことですか!(笑)
ロッテ/落ち着いてください。演出で≪薬物調合≫で作った≪鎮静剤≫を与えます。
普也/オレは感染されてないっ!
花乃子/まずはそれ気にするよねー(笑)
普也/ロッテさんだけじゃなくてオレも頑張ったよ! オレだってゾンビを羽交い絞めにしたよ!
友陽/よ、よく噛まれなかったね!(笑)
デイヴィット/普也さん、ナイスプレイです!
普也/イェーイ!
GM/会場の外にいて今日のライブの感想を言ったりゾンビの件を話していると……会場裏から、私服に着替えた美希が出てきます。
友陽/あっ、美希ちゃん! お疲れー!
GM/「友陽ちゃーん!」 ライブを終えてお帰りの美希は、「ライブに来てくれたんだね。ありがとう!」と友陽ちゃんに抱きつきます。
友陽/もちろん見にきたよー! あ、この人は私の担任の先生だよ。英語を教えてもらってるの。
デイヴィット/は、初めまして! ワタクシはデイヴィット=パッカードと申します! 友陽サンの通う高校のELTをしています!
GM/「先生なんだすか? ナイストゥミーチュー?」
デイヴィット/ハイッ! アナタのファンです!
友陽/先生はね、美希ちゃん推しなんだよ。
GM/「わぁ、ありがとうございます〜!」 美希はデイヴィット先生の手を両手で包み込むように握手をします。アイドル握手です。
デイヴィット/今日のライブ、拝見しました! とてもアメージングでファンタスティックでした!
GM/「ソロ曲、初めてやったんですけどどうでした?」
友陽/すっごく良かったよー!
GM/「初めてのソロ曲披露だったから……凄く緊張したんですけど、良かったなら嬉しいです」 笑顔で答える美希。ですが、彼女は物凄く疲れているのが判ります。
友陽/……ど、どうしたの? いつもより疲れているの?
GM/美希はライブで疲れているというより、何かに悩んでいるような……思い詰めているような気がした。デイヴィット先生的には「進路相談で苦しんでいる生徒の顔と同じ」と思えるかな。
デイヴィット/オヤ? ライブを終えて大変だったことは判ります。でもそれだけではないのでしょう?
友陽/何か悩んでいることでもあるの? 先生なら聞いてくれるよ! 先生は凄く頼りになるし!
GM/「で、でもライブで楽しんでくれたお客さんにそんな……。そうだ、後で連絡くれないかな?」
友陽/後で?
GM/「うん。今日は私も体力切れだし、友陽ちゃん達も疲れているでしょ? また……明日、付き合ってほしいな。それともし良かったらライブがあるから今日も来て!」 友陽ちゃんに5人分のチケットを渡し、明日の公演に招待します。そしてよろしくとペコリと頭を下げて去っていきます。バイバーイ。
友陽/ありがとう! バイバーイ。……うう、でも心配だよ……。
デイヴィット/デスネー……。
GM/さて、さっきのオープニングシーンで美希ちゃんのソロ曲を聞いた人は『イベントキー:歌』をゲットしてください。聞いていない人は入手できません。
ロッテ/ロッテは聞いてないですね。
普也/羽交い絞めにして必死になっていたので聞いてなかったですね。
友陽&デイヴィット&花乃子/『イベントキー:歌』を手に入れます。
GM/友陽ちゃん、デイヴィット先生、花乃ちゃんの3人はゲットしました。


 ●オープニングフェイズ3/花乃子 〜嵐の捜索〜

GM/翌日、日曜日の朝。君達5人は早朝に「教会の礼拝堂に来てくれ」と仕事斡旋人の高坂から連絡があります。
花乃子/はい、お仕事ですね。
普也/タカさんからだ! これは名探偵の出番かな!?(一同笑)

 高坂
 様々な事件の仲介屋(コーディネーター)をしている男。PCのような能力者達に「仕事」を紹介することを仕事とする斡旋人。
 詳しくは『AW公式NPC・パーソナリティーズ』参照。


ロッテ/友陽様と共に礼拝堂に行って、部屋に入るときは先にドアをロッテが開けますよ。そしてロッテはお嬢様の傍に立ってます。
友陽/護衛だー(笑) ロッテちゃんありがとー。
デイヴィット/メイドの鑑だなぁ。ワタシも皆さんと一緒に来ましたよ。
普也/礼拝堂にはオレが最初に来てます! みんな時間厳守って言ったよねぇ!?
花乃子/ま、まだ集合時間になっていないと思うよ!(笑)
GM/時間になると、教会の奥から高坂が現れます。(高坂になって)「みんな、朝早くから来てくれてありがとう。昨晩ロッテちゃんと普也くんが連絡してくれたあの事件についてまとまったよ。報告と、それと関わる事件を君達に依頼したいんだ」
友陽/うん?
GM/「犯人を実際に見ているロッテちゃんと普也くんに頼りたいからね」
普也/まあ、タカさんがそこまで言うのなら!
GM/『異端犯罪者ハーリケイン』という男がいる。退魔組織教会で指名手配されている異能力者だ」
友陽/そういや昨日、ロッテちゃんが「台風がどうの」って言ってたね。
ロッテ/ええ……。
GM/「何故ハーリケインの仕業かと判断したかというと、ロッテちゃん達の目撃証言からだ。うなじの部分に小さな魔法陣を張って、魔法の銃で背後から一発弾丸で殺す。多くの人がいる場所で騒ぎを起こすようなやり方。ハーリケインと名付けられた異端犯罪者の奴は、既に8人もの人間を異能を使って殺害している。こいつは、[魔術師]の暗殺者なんだ」
普也/なにぃ!? 暗殺者!?
GM/「そいつは≪千枚皮≫という変身特技で姿を変える。だから今まで捕まえることができずにいた。そして昨日、9人目の被害者が出た。被害者の名前は、沼田 博人(ぬまた・ひろと)。関西中心に商売をしていたが、最近になって関東に進出してきた……ネット販売中心の観葉植物栽培業者だ」
デイヴィット/オ、オウ! 9人も殺してるのか、早急に対処しないと……。
友陽/暗殺者って言うけど……ゾンビを作ったのは何だろう?
GM/「……ああ、そこがちょっと引っかかるんだよな」 高坂は、友陽ちゃんの疑問に頷きます。「今まで8人の被害者の中に、ゾンビになったというケースは無かった」
友陽/そうだよね? 暗殺って殺して終わりだよね。なのにどうしてゾンビを作ったりするなんて……。
GM/「ただ、既に8人の被害者を生んだ異端犯罪者だ。わざと人が大勢居る所で殺人を起こして混乱を楽しんでいるような奴だ。もしかしたら新たな秘術を手にした可能性もある」
友陽/ゾンビが現れてパニックになったら今まで以上の負の感情を味わえるから……とか? もしかしたらゾンビの件は協力者のせいだとは考えられないかな? だって犯人の男以外にもう一人いたんでしょ?
ロッテ/ええ。黒い霧が出てきたとき……雰囲気が変わった気がしました。
GM/「なるほど、ハーリケインに協力者が現れた……それは考えられる。だとすると、より早い対策を練らないとだな!」 高坂は、まだ近くにいるかもしれない異端犯罪者ハーリケインの討伐を依頼します。詳しい資料はこっちを見てくれなどなど話します。
普也/もちろんです! 名探偵ですから!
ロッテ/承知しました。友陽様を危険な目には絶対に遭わせません。
友陽/ロッテちゃんがいれば大丈夫だよ。だって自慢のボディガード兼メイドだもんね! ……それに、あの夢のこともあるよね。龍の聖剣ちゃんが現れたのだから「近い未来で大事件が起きる」ってことだし。
デイヴィット/デスネ……。
GM/これからどうしようかと相談タイムを始めようとしたとき、礼拝堂に男性が入ってきます。教会の現場復旧委員会のメンバー・藤原幸正ですね。
花乃子/あ、ハーデス様だ! お久しぶりですっ。新しい事件をこれから受けることになったんですよ〜。
GM/(藤原になって)「お久しぶりです、葉木根さん。貴方が昨日の事件に携わるのですか。なら……このことを話しておいた方が良いでしょう」
花乃子/はい?
GM/「実体を持たぬ霊体の者達が騒いでいます。感受性の高い者達が言うには、『招かれざる巨大な黒い影を見た』という報告が上がっています」
花乃子/むむむ。……確かに、周りの木々もザワザワしているような?
GM/「騒ぎがあったライブ会場近辺の下級霊達が消えたという連絡も受けています。しかし我々、現場復旧委員会が出向いたときには何も見つけられなかった。恐ろしい影はいたにも関わらず、移動し、姿を消しているということ。忠告しておきますよ」
花乃子/……嫌な予感がします。
GM/「以前から貴方にはよくしてもらっている。捜査をするのでしたら充分に気を付けるように。どうかご無事で、ご武運を」
花乃子/ありがとうございます。貴方からの加護があればきっと大丈夫でしょう!

【AF判定ルール】
・『契約』は、ミドルフェイズ前に可能。
・『供給』は、マイナーアクションで可能。1シナリオに1回まで。

『AF判定:調査「異端犯罪者ハーリケイン」』
 ・使用能力値:【知覚】【理知】
 ・難易度:40
 ・ラウンド制限:なし

※「異端犯罪者ハーリケインについて調べる」演出に成功すること。成功した場合、ハーリケインの情報を得る。

『AF判定:調査「被害者 沼田博人」』
 ・使用能力値:【理知】【意志】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:なし

※「昨晩の被害者である沼田博人について調べる」演出に成功すること。成功した場合、被害者の詳細を知ることができる。

『AF判定:探索「巨大な黒い影」』
 ・使用能力値:【体力】【知覚】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:なし

※「藤原幸正が言っていた『巨大な黒い影』について調べる」演出に成功すること。成功した場合、黒い影に関するイベントが発生する。

『AF判定:「ハーリケインの儀式」』
 ・使用能力値:【理知】【意志】
 ・難易度:40
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「ハーリケインが残す魔法陣について調べる」演出に成功すること。成功した場合、儀式の詳細を知ることができる。

『AF判定:交流「飛鳥 美希」』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「飛鳥 美希と交流する」演出に成功すること。成功した場合、彼女の話を聞くことができる。

『AF判定:調査「歌」』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:20
 ・ラウンド制限:なし

※『イベントキー:歌』もしくは『イベントキー:ダウンポーソング』を取得している人のみ判定可能。

※「歌について調べる」演出に成功すること。成功した場合、歌の情報を得る。


友陽/ダウンポーソング……?
GM/どっかのAF判定をクリアーすれば手に入るイベントキーだよ。『AF判定:調査「歌」』は『イベントキー:歌』を持っていれば判定できるから、現状3人なら挑戦可能だ。
友陽/そうだね。……うーん、美希ちゃんが思い悩んでいたのも気になるなー。
花乃子/早めに相談に乗ってあげるのもいいかもよ。美希ちゃんに連絡して、友陽ちゃんのお家に招待してあげるとかさ。今日は日曜日だからね。
友陽/カラオケに誘うか、お家に誘うかだなー。……お家にカラオケ施設ぐらいありそう。
花乃子/あるな。……ありそう!(笑)
ロッテ/田組家に友陽お嬢様のカラオケ専用部屋があるんですね。プライベートカラオケルームが!(笑)
デイヴィット/防音で、カラオケボックスのライブルームみたいな部屋が! パパが頑張って造っちゃったぞ!(笑)
友陽/バッチリありそう!(笑) そうだ、『契約』はどうしようか?
普也/探偵は常に孤独なので。
花乃子/いや、『契約』はしようよ!?(笑)
普也/ゾンビハンター探偵普也は常に孤独なのだ……!
デイヴィット/ワタシと『契約』すると【行動値】が上がる≪飛行の札≫が使えますよ。
友陽/それいいな。普也くん、私と一緒に先生のサーヴァントになろうよ!
デイヴィット/……教え子2人をサーヴァントにする。なんだかアブナイ教師に思えてきた(笑)
ロッテ/先生が道を踏み外したらその前に処刑します。
普也/お嬢様に何かあったら処刑! ですね!
友陽/せ、先生は大丈夫だから!(笑)
花乃子/じゃあ、私は田組家のお庭にお世話になっているので……。ロッテさん、私をお世話してください〜。
ロッテ/かしこまりました。お庭のお世話をします。サポートが必要なときは言ってくださいね。

 『契約』の相談の結果……。
 デイヴィットがマスターで、友陽と普也がサーヴァントに。ロッテがマスターで、花乃子がサーヴァントになった。







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