アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 オーメン・ガールフレンド 第三特異点 』 1ページ ■
2022年4月2日




 ●プリプレイ

GM/『オーメン・ガールフレンド』第3回セッション、第三特異点を始めます。
ロア/イエーイ!
GM/早速だけど今回のハンドアウトを配っちゃうよ〜。



 アナザーワールドSRS・キャンペーンシナリオ『Omen Girl Friend』
 第三特異点 幻想絶縁都市 disロンドン 人理定礎値:B




【レギュレーション】
 キャラクターレベル8で開始。第二特異点から数日後が経過。新たに発見された聖杯探索のため、1816年に時間跳躍する。
 また、今回のセッションは「プレイヤー自身」に語りかける展開があることを許してほしい。

【ハンドアウト:ロア&デュナ】
 コネクション:文学少女とそのおつき  関係:救出

 君は第三特異点に時間跳躍した……途端、男女が恐ろしいモンスターに襲われていた!
 どうして都市部で、居る訳がない異形に襲われている!?
 窮地を救おうとしたとき、君が救おうとした彼女が「あるもの」を召喚した。
▼セカイのイベント:襲われている者達を助ける
▼コネクションNPC1:文学少女とそのおつき

 天候の悪い都市のど真ん中でモンスターに襲われていた者達。
その中心にいるのは、理知的な顔立ちをしたイギリス人の女性。

【ハンドアウト:八雲】
 コネクション:カリスマ持ちイケメン台風系貴族  関係:うわぁ……。

 君は都市部に鳴り響く(なんで?)声を聞いた。
 「レディースアンドジェントルメン! 本日もグレイトなリテラクチャーをクリエイトしてるかいー!?
 文学聖杯戦争開催真っ只中のロンドンへようこそ!(笑)」
 ……生前からあの人、あまり好きじゃなかったんだよなあ……。
▼セカイのイベント:イギリス一のお騒がせ有名人に「あっ……」と察する
▼コネクションNPC2:カリスマ系イケメン貴族

 都市の中央から聖杯片手に戦争を開始しちゃってる男。一応話そうと思えば話せる人。

【ハンドアウト:ミズ】
 コネクション:おじさん英霊  関係:親戚のおじさんみたい

 どうやら都市を丸ごと幻で乗っ取ってスットコドッコイ聖杯戦争が始まっているらしい。
 とりあえず聖杯を持っている奴を倒して回収すればOK! と状況把握した君達を襲い来る異形達。
 その異形もまた、英霊達によって動かされているようだ。
 そして、騒がせ貴族の部下らしき言動をする英霊達が現れた。
▼セカイのイベント:英霊達と戦う
▼コネクションNPC3:おじさん英霊

 異形を自在に召喚するものたち。SAN値が低い目をしている。



デュナ/やったー! 今回はロンドンが舞台だ!
八雲/文学聖杯戦争って何!?
ミズ/スットコドッコイ聖杯戦争って何だよ!(笑)
ロア/エイプリルフールネタかな!?(笑) ハンドアウトも……「関係性:うわぁ」って何だ?
GM/「うわぁ」と思う関係性のことです。今回のシナリオでは「生前、小泉八雲と関わりがあったらしいNPCさん」が出てくる予定です。
ミズ/「関係:親戚のおじさんみたい」って何だよ……オレに親戚なんていないんだけどさ?(笑) 親戚のおじさん概念を擦り付けられている。
ロア/「親戚がいたらこんな奴なんだろうなあ」っていうキャラなのかな?(笑)
GM/イメージは、サバフェスとかワルツコラボみたいなイベント系シナリオをするよ。このハンドアウトに載ってることをやるつもりだけど……違うこともしますよ。こんなの作りました。



ミズ/強化クエストだ! すごーい!(笑)
GM/クソコラして作りました。
ミズ/クソコラって言うな(一同笑)
ロア/ヤバイヤバイヤバイ! 凄いー!(笑) ロアが強化クエスト1人目になりましたー! 嬉しいー!

 ≪死の宣告:強化版≫
 【意志】対決に成功した場合、対象は[1D6÷2]ラウンド後に【HP】が0になる。
 また、上記のラウンド決定時にダイスロールした1D6点、味方1体の【戦闘値】1つを増やす。
 【意志】判定に失敗した場合は【HP】0になる即死はかからないが、【戦闘値】を増やす効果は自動成功とする。このダイスロールには令呪を使用できない。


デュナ/即死ミスしても効果が打ち損にならないってありがたいね! OGF運営くん、凄い(笑)
八雲/その通りで凄い……強い特技になってる。スゴーイ!
GM/そう言ってもらえて、頑張って画像を作った甲斐があった(笑) カルデアゲート的なところで強化クエストのAF判定をして、それを終えた後にロンドンにレイシフトしてもらうよ〜。


 ロア・ラダ(プレイヤー名:現空)
 キャラクターレベル8:クラス[感応力師5/稀人2/アーティスト1]
 アーティストより、主特技≪≫、副特技≪≫を取得。

 ティンダロスの猟犬 ミズ(プレイヤー名:ぷぇ)
 キャラクターレベル8:[世界遣い1/異端者2/イレギュラー5]
 異端者より、主特技≪≫、副特技≪≫を取得。

 力天使 デュナ(プレイヤー名:ピロ)
 キャラクターレベル8:クラス[霊媒師1/聖職者6]
 稀人より、主特技≪光の一手≫、副特技≪別れの刻≫を取得。

 小泉 八雲(プレイヤー名:ろって)
 キャラクターレベル8:クラス[霊媒師4/領域遣い2/世界遣い2]
 世界遣いより、主特技≪≫、副特技≪≫を取得。

 霜月 千早(NPC)
 キャラクターレベル6:クラス[魔術師2/世界遣い1/聖職者2/アーティスト1]
 魔術師より、一般特技≪コネ「特命課」≫、副特技≪堕落の訓え≫を取得。




 ●マスターシーン

GM/それでは、まず……シナリオ開始前にマスターシーンから入りたいと思います。断章パートです。
八雲/ハッ、断章だ。

 ――場所は、某高層マンション最上階。
 一同は会食している。その中央に居るのは、赤い髪の吸血鬼、魔王、名をアクセンだ。


 GM/どうも、『サクラ卓』ではお世話になりました魔王です。

しをん/ぶす。
柚弦/出会いがしらに目を潰すな!(一同爆笑) ごく自然な流れで魔王の目が潰されたぞ!?(笑)
しをん/ついつい。あたしの手が失礼。お茶目。

 アクセン「もとより、この世の生命体は完全無欠である。
 全知全能の神が創造した命が不完全である筈が無く、神は全ての生命を『その在り方こそ完璧である』として生み出している。
 この世に在る生命は全て、神の寵愛を受けて生まれてきたものだ。しかし自由意思を与えておきながら全てを運命づけられているだなんて、つまらなくはないか。
 そう考えた神もいた。予定調和の完全無欠を欺き、想定外に四苦八苦する滑稽味こそが生命の美しさであると。
 それが我らが神、『欺く神』と呼ばれる存在である。
 神はこの世から一つ上の次元、『上階』に住まっている。上階では我らの全てを見通し、全てを決定することができる場所だ。
 我らがウズマキと称している異空間、あれはこの世と上階の狭間と言っていいだろうな」

 魔王は一息をつき、グラスに入ったワインを口にする。
 その一息を見てか、会食に参加している青年……奏志が手を挙げた。


奏志/え? あ、あわわ! はい!?(笑)

 奏志「俺はウズマキの中にロリに連れられて入ったことあるけど、あれってようは神様の世界に入ってたってことですか?」
 アクセンは頷く。

 アクセン「『神様の世界一歩手前』だな。
 完全に上階に上がることも『神々の装具』となればできるが、そこまで行ってしまえば君はもうこの世に戻ってくるのは難しいだろう。できなくない話だが」


しをん/まあ、マスタースクリーンの裏側に行っちゃうのと同意だからなぁ……。
GM/この辺りについては、『無貌の雪』というリプレイを読んでもらえると判りやすく解説をしているので、とてもオススメです。

 奏志「凄い。ヒトが『神様側』に行けるんだー?」
 隣の席に座っていたアンラが口を挟む。
 アンラ「行ったところで、だから何ができるって話じゃないか? 神様になった訳じゃないんだし」
 アクセン「いや。そうでもない。上階に行けば、それだけで、全てを操作できる力を手にするだろう」
 奏志「行っただけで?」
 アクセン「神の力は絶対だからな。例えば」

 アクセンは、目に入った青年の名前を呼ぶ。
 アクセン「杜谷柚弦。君は神の決定によってこの場にいる。だが杜谷柚弦の生命を創造した正なる神が異を唱えたとしよう。


GM/ピロ先輩が「GM。柚弦を断章パートで使っていいと1話セッション時に言ったけど、心変わりをしたんでシーンに登場させないでくれますか?」と言ったとする。するとGMは「今すぐ訂正しまーす!」と即座に「杜谷柚弦が魔王城で会食していたという世界」は無くし、改変する。
柚弦/柚弦がシュインと消されちゃう!
GM/「『上階』の者達が上階にいるだけで下階の全てを操作できる」というのは、こういうことです。
奏志/ほう。……神の手、だなあ。

 柚弦「上階の一言で……消えると。怖っ」

柚弦/消えるの怖い……俺はまだ会食を続けたいのに!(笑)
しをん/ご飯おいしい! もぐもぐ!(笑)

 アクセン「とはいえ、この世界の者ではない存在が何か力を行使したとしても、世界に敷かれたルールの方が優先される。
 異端が何かをしてもだいたいが時間跳躍されてなかったことにされるかのように。生きている人間が起こした事象は撤回されないけれども。例外を発生しない限りない」

 しをん「あのさー。孫ー!」
 ひとしきり豪勢な食事を終えたしをんが、孫(孫ではない)口を開く。

 しをん「あたし、難しい話をしに来た訳じゃないんだよね。
 『今めちゃくちゃ異端が大量増殖していて教会のエージェントであるあたし達がいっぱい働いてるからその原因何よ? 原因がまだ判らん。そうだ魔王なら知ってるんじゃね!? たのもー!』しただけなんだよね。
 夕食誘われたからご馳走になってるけど、話が脱線しすぎでは?」


しをん/早く吐けよ。吐け!
柚弦/なるほど……それで俺達はここでご飯を食べてるんですね。俺、難しい話はよく判んないけど、このアワビが美味いってことだけは判るぜ!(笑)
奏志/もぐもぐ、もぐもぐ(笑)
アンラ/このフォアグラめっちゃ美味しい! なんだかよく判らん状況だけどうめえ!(笑)
しをん/うわ、ツバメの巣ってこんな味するんだ!? 初めて食べた! へー!
柚弦/凄く節操のないメニューだな?(一同笑)
しをん/もぐもぐ。おらっ、キリキリ情報を吐けー!

 アクセン「それは失礼致しました、おばあさま(おばあさまではない)。現在盛んな『例の者達』の話をする前に、前提知識としてこれらを説明をした方がいいと思ったのです。
 必要無いのであれば、早々に暴露しましょう。このキャンペーンのラスボスは……」

 ――その瞬間。アクセンは手にしていたグラスを落とす。
 カシャンと割れ、赤い液体が高貴なダイニングテーブルを汚す。
 アクセンは目を見開いていた。……自分の指に、全く力が入らなかった。いつもの加減が判らなかった。そう訴えるかのような表情だった。

 アクセン「……私の力が、失われていく? 私の力が、無くなる……?
 なるほど、そういう世界改変もあるのか。明らかに世界のパワーバランスが崩れるな。この改変は……大ごとだ」


柚弦/えっ……。しをんちゃん、今なら目潰しできるよ?
アンラ/煽るな煽るな!(一同爆笑)
しをん/孫を鼻フック。
GM/鼻フックされました。
柚弦/女子中学生が鼻フックなんてしないの!(笑)


 ●オープニングフェイズ 〜いまさら〜

GM/場所はカルデアこと夜城家。ロア、ミズ、デュナ、八雲の4人は出会ってそろそろ2週間が経とうとしております。第一特異点が2週間前、第二特異点が1週間前、そして今回……第三特異点が、今日! みんなで半月ぐらい共に共同生活をしております。
ミズ/もう半月か、早いな〜。
ロア/リアルでは第1回セッション日からもう1年近く経つんですよね、早いなー(笑)
GM/そんな皆さんは、現在……医務室に千早と蛍と一緒に居ます。2人は深刻そうな顔というか、申し訳なさそうな顔をしています。
デュナ/なんだと? どうしたんだ?
八雲/医務室……って今、言いましたね。
ロア/千早……? どうしたの?
GM/医務室の椅子にちょこんと座っている千早。その隣で何かを説明しようとする蛍。(千早になって)「えー、お集まりいただきありがとうございます……」
デュナ/そんな改まって……どうかなされたんですか。
ロア/千早、なんか悪い物でも食べた?
GM/(千早になって)「元気でーす! 第一特異点で怪我を負っていたけど、今はピンピンです!」
ミズ/そいつは良かった。
GM/(蛍になって)「みんなも半月一緒に暮らして問題無いね。というかみんな、仲良いね。喧嘩とかしないしね」
ロア/比較的みんな大人な集まりだよね!(笑)
ミズ/そうだね、喧嘩はしないメンツだな。
GM/(蛍になって)「僕は勘違いをしていたことがあります。千早共々謝罪したいと思います」
八雲/何が?
GM/千早が重い口を開きます。「……私達、みんなに何も説明していません!」
ロア/うん。
ミズ/うん。
八雲/……うん?
GM/「何もみんなに説明せず、第二特異点の攻略を終えました! そのまま普通に暮らしてました! 聖杯が何だとか何故レイシフトするのかとか、普通に説明をしたつもりで何もしてません!」「ごめんなさい!」「ごめんなさーい!」
デュナ/……うん、そうだね!? 私達、何も説明されてないね!?(笑)
ミズ/そうだったね!? そろそろここが何なのかとか何が目的とか説明すべきだな!?(笑)
デュナ/ま、まあ……お互いバタバタした状態でしたからね(笑)
ロア/そう! 体調を戻すことが先だったし!(笑)
GM/みんな優しい……(笑・蛍になって)「みんなとても優しく、落ち着いて第二特異点も攻略してくれたから……僕はてっきり千早の口からみんなに説明したのかと思ってました。すみません」 (千早になって)「私はみんな一緒にすぐ行動してくれたから、お兄ちゃんの口から説明があったのかと思ってました。すみません」
ロア/あまりに飲み込みが良すぎた我らのせいだった!(一同爆笑)
GM/「という訳で! 千早の怪我もやっと完治したことだし、今日は説明をします! キャンペーンが始まってリアルで1年、ようやくこの旅の目的をご説明します!
ミズ/ありがとう!(笑)
GM/蛍が中心になって話しますね。「我々、夜城家は魔術師の一族だ。魔術師の一族というものは総じて『自分らの異能』を研究し、完全無欠を目指すことが目標としている。夜城家はまさしくそれであり、『力を求め、最強を目指して常に自分達を高めている一家』と言える」
ロア/うんうん。オーソドックスな魔術師の一族って感じだね。
GM/これを、FGO……いえ、Fateシリーズ的な言い方で「根源を目指す」という表現を使いたいと思います。「自分の家を最強にしよう=根源を目指す」という使い方をします。
デュナ/はい。それっぽい言い回しですね。
GM/「夜城家が根源を目指すため研究していた異能、それは『幻想式』と『時間跳躍』。達成値アップの特技と、時間跳躍についてを長年研究し続けてきた。特に時間跳躍については力を入れており、本家一族は稀人を取り込み交配し、人外の力を身につけながら何百年と続けた結果……ついに夜城家は開発に成功したんだ、『聖杯』という名のアーティファクトを!
デュナ/ほ、ほう!?
ロア/聖杯を……作っちゃったの!? 夜城家が!?
GM/「そう! 君達に回収を頼んでいる赤聖杯とは、元は夜城家が開発したアーティファクトなのだ!」
ミズ/ぼ、冒涜的な物を作ったんだな!?(笑)
GM/「そ、その……赤聖杯の赤は『力強い』とか『ヒーロー』とかの意味で、『血肉』や『禍々しい』とかの意味で付けた名称じゃないんだよ。あくまで『達成値+4の≪幻想式≫の応用バージョン』として『さらに達成値アップするのアイテム』ということで開発したんだ。そう、アイテムを開発した夜城家は考えた……『これ、量産して流通させたらお金持ちになるんじゃね?』と」
ロア/なるほど、実に人間的。
ミズ/量産して流通か。……させるなよ!?(一同笑)
デュナ/聖杯を安売りするな!(笑)
GM/FGOだって今は月に2つも自作できるようになったじゃないですか。
デュナ/鋳造するなぁ!(一同笑)
ミズ/最近じゃログインするだけで貰えるようにもなった。
八雲/ホントFGOみたいな話になってきた!(笑)
GM/「ほぼほぼ流通させる商品として、完成に近い状態で量産できたんだよ。しかし、流通させるより前に……夜城家から異端堕ちした能力者が出たんだ」
ミズ/あっ。
GM/異端堕ち。それは、【正気度】が0になった能力者が暴走した姿。正気を失くした者、理性を失った者。世界を滅ぼすために生まれた『異端』のように我欲にまみれ、好き勝手なことを始める狂気の存在。PC達であればその危険はお分かりいただけるかと。
ミズ/異端がいたんだ。
GM/「異端堕ちしたその人物は、達成値アップのアイテムを奪って逃走。……そう、事の始まりは、完全に自分達から出た失態なんだ。夜城家が生んだ赤聖杯、夜城家が生んだ異端、夜城家が生んだ災厄……。異端となった者は、我欲のまま赤聖杯を使って『世界を壊す本能』を満たすだろう。だから、夜城家は尻拭いという当然のことをすることになったんだ」
八雲/そりゃまあ……当然と言えば当然ですね。
GM/「この国には多くの退魔組織がある。けど、今のところはどこにもこの事件を相談していない。完全に自分達が起こした失敗だからね、良く言えば『人様に迷惑を掛ける前に自分達で解決したい』し、悪く言うなら『他所に赤聖杯の存在をバラしたくない。夜城家渾身の技術だから』」 ……このキャンペーンに退魔組織『教会』が関わらない理由は、そこですね。
デュナ/身内の恥を外に出さないようにしているんですね?
GM/その通り。自身のプライド、他者への申し訳なさ、何よりも驕りや打算……色んな要素が絡んで、「夜城家のことは夜城家だけで解決する」方針を取っているのです。
デュナ/これは……フラグでは? 自分達だけで解決しようとして他の人も巻き込んでしまうフラグでは?(笑)
GM/「その『異端堕ちをした夜城家の能力者』は、夜城家の異能を全て把握している。夜城家が持っていた時間跳躍の知識、赤聖杯の使い方……それを効率良く、異端として利用し始めてしまった。……異端堕ちした夜城家の汚点、その名を霜月 立香(しもづき・りっか)という」

 『イベントキー:霜月 立香』

 夜城家の能力者。霜月千早の身内。


ロア/りっか……?
GM/女性の名前です。千早と近しい関係にしようと思うのですが、「マスターの母親、姉、妹、従姉妹」のうちどれにしましょうか?
ミズ/千早と近い関係の方がいいかな? 従姉妹ぐらいがいいかな。
GM/じゃあ……「母方のイトコ姉」はどうでしょう? 千早のイトコのお姉ちゃん設定にしますね。(蛍になって)「霜月立香に奪われた赤聖杯は、全部で7つ。みんなに2つ回収してもらったから残り5つを持っていることになる」
デュナ/めっちゃ聖杯作ってるな。
GM/1ヶ月に2個作れるぐらいだからね。
ロア/やめろやめろ! 何を犠牲にそれを作ってるんだ!(笑)
GM/サーヴァントコイン。
ロア/ボク達のコインがー! 聖杯ばっか作ってたらアペンドスキルが開放されないだろー!?
八雲/そうだね、アペンドにもコイン使うもんね(笑)
ミズ/……この霜月 立香という人物は、何が目的でこんなことをしているのですか?
GM/「それがどうして判らない」
八雲/へえ。動機が不明なんですか?
GM/「ああ。彼女はごく普通の……夜城家の意思に則った魔術師の女性だと思っていた。異端堕ちに関してもどうしてなのか検討がつかない。だが、異端としての本能が芽生えたのなら、おそらく『世界を壊すため』『快楽で人々を殺すため』、または『邪神を呼ぶため』などが考えられる。彼女が悪行に手を染めた理由は判らないが、何故悪行をするかは想像がつく」
ロア/異端になったなら、結局それをしちゃうのか……。
GM/そんな話をしている蛍さん……の隣に座っている千早ちゃんですが、「何も考えていない顔」をしています。
八雲/ん?
GM/千早の顔は……「興味が無い」「実感がわかない」、まるで「話を聞いてない」ような表情です。ぼけー。
ミズ/……千早さ。この立香って奴は、お前のイトコなんだろ?
GM/(千早になって)「う? うん……」 歯切れが悪い。
ミズ/仲は良かったのか?
GM/「正直、全然覚えてないの」
ロア/覚えてない?
ミズ/あまり縁が無かった?
GM/「その……私達、夜城って名前が付いてないでしょ? 分家なの。分家と分家同士で、全然関係無いっていうか……」
ミズ/そんなに会わなかったのか。
八雲/……あの。マスターが「記憶操作や感情操作をされている」可能性ってあります? されているか判る方法ってありますかね?
GM/それでは……【意志】判定で、難易度13に挑戦してみてください。あ、【理知】判定でもいいかも?
八雲/やってみたーい! 振ってみよう!(ころころ)達成値11だな……。
ロア/(ころころ)ああ、12だ。失敗。
ミズ/振るだけ振ってみよう。(ころころ)うーん、失敗。
デュナ/(ころころ)1たりない、達成値12だ。……誰かに≪叱咤激励≫しよう。達成値12で惜しかったロアさんに、≪叱咤激励≫で+2します!
ロア/それなら達成値14で成功になります!
GM/了解です、ではロアは思った。……どうして目の前で話をしていることにすら、徹底的に無視しているような行動をしているんだ? これはおかしい。半月一緒に過ごした千早の性格的に、そんなことをする子じゃない。だからこそ核心する……「千早は外的要因で操作されている」と。
ロア/……あー……。千早の膝に、うんしょと乗ります。
ミズ/かわいい(笑)
ロア/千早、千早。色んなものを見てしまったんだね? 思い出せるときに思い出せばいいんだよ。でもね……それが何かで蓋をしているなら、それを外す手伝いをボク達はできるからね。
GM/「……え?」
ロア/大丈夫、大丈夫だよ。ボク達は君を守るよ。
GM/……おー。いきなりですが千早は【意志】判定をします。
ロア/おっ!?
GM/(ころころ)……あれ!? 1ゾロでファンブルが出た!
八雲/わあ、ファンブル!?(笑)
ミズ/何か判らないけど……思い出したくないのかな!?
GM/「ごめんね、ロアくん。なんか眠くて話し半分になっちゃった……ちゃんとお話聞くから許して!」 そういった風に千早は笑顔で話を終わらせます。……ごめん、せっかくの素敵なキャラロールだったのに。
ロア/いいよいいよ、千早は悪くないからねー! 難しい話でもまた一緒に聞こうね。お膝の上でもちもち。
八雲/もちもちかわいい(笑) ……ファンブルか、そうか……でも【意志】判定ができるんだ。≪絆の両眼≫、使いどころかもしれないな。
GM/蛍が咳払いをして、話を戻します。(蛍になって)「どうして分家の千早が異端堕ちした霜月立香を追う『夜城家の役目』をしているかというと……元より、時間跳躍は特異能力者でも扱える力ではない。時間跳躍というものは、『体がバラバラになるほどの苦痛を伴なうもの』なんだ」
ミズ/おこがましい行為だしな。
デュナ/ミズさんが真顔になった(笑)
GM/「一般人はもちろん、能力者だって選ばれた者でしか時間跳躍はできない」 『AW』のセッションでも時間跳躍が自在にできるのは、限られたキャラクターのみです。過去のリプレイ『越境ソドム』『可能性の卵』を読んでいただくと理解が深まりますよ。
ミズ/はーい。
GM/「千早は分家の生まれでありながら、夜城家の異能『時間跳躍』に秀でた器を持っていた。だから彼女がマスターとして選ばれたんだ」
デュナ/レイシフト適性があったということですね。
ロア/そっか……千早は、マスターをやらされてるんだ。
GM/そのロアくんの言葉には、千早自身がお答えしましょう。(千早になって)「悪い異端を止めないと、被害者が出てしまう。それは嫌なことだよ。私は出来るからお願いされたんだし、困っている人が生まれるのは良くないことだと思う。だから私は、やるよ。義務感とか責任感だけでやっている訳じゃないよ」
ロア/……うん、そっか。
GM/「夜城家は夜城家から出た失態を自分達で解決したい、それは事実だと思う。……失態をどうにかしなきゃみんなが困る。私はみんなに困ってほしくない。だからやるよ。……この話を聞いてみんな、夜城家に幻滅したと思う。でも、それでもついて来てくれるなら……まだ味方でいてほしい」
八雲/……うん。
GM/「い、異端を放っておくことはできないよ。第一特異点ではゾンビがいっぱい現れた。第二特異点では怨霊がいっぱいだった。そのまま放置していたら世界はもっと酷いものになっていた……だから、異端の思う通りにはさせたくない!」
デュナ/それは同意ですね。
八雲/ああ、同意する。だが、本当にそれだけか? 千早と蛍の2人に、念を押すように言います。……君らは魔術師なんだろ? この事件を利用して自分達を成長したいという野心はあるか。
GM/「そ、それは……」と千早は口を噤む。そして蛍は「野心は、ある。回収した聖杯のデータを僕らは取っている。また大量生産して流通……まではいかないが、そのデータをもとにまた最強を生み出すことはするだろう。全てさっぱり終わらせるなど、綺麗事は言えない」と否定しません。
八雲/……すまない。先生の気質が出た。野心は持っておいた方がいい。なんでもかんでも「誰かのため」でやるとつまらなくなる。
GM/……千早は、意を決して言います。「お兄ちゃん! そのっ……回収した聖杯は、『絶対に悪用されないようにする』って約束できない!? 完全に封印とか、無力化させるとか、悪いことなんてしないってみんなに約束しようよ!」
八雲/おおっ……。
GM/蛍はしばらく黙った後、重い口を開きます。「……そうあるべきだと思う。僕も『違う意思』が働かないことを祈っているよ」
デュナ/……分家があるほどの一族というなら、蛍さん一人の一存では決められないことがあるでしょう。
八雲/そうか、大きな家っぽいもんな。……いきなり違う魔術師が現れて「私がこの事件を解決してやる!」と言って介入してこないとも限らないしな。
デュナ/そういえば、蛍さんは時間跳躍の適性が無いのですか? 夜城の名前を有している人間なのに、千早の方が時間跳躍適性が高いんですね。
GM/(蛍になって)「ああ。僕は千早ほどじゃないよ」
ミズ/千早の方が高いから使っているだけか。
デュナ/適性があったとしても、マスターはうら若き乙女の身。あまり無理はさせぬよう、監督役である貴方がきちんとたずなを握っていてくださいね。
GM/「ああ……。さて、話はまた変わるが! 千早が元気になったので修行をするよ、強化クエストの時間だ!
デュナ/急だな!?(笑)
八雲/話の途中で悪いがワイバーンだ?(笑)

『AF判定:ロアの強化クエスト』
 ・使用能力値:【体力】【意志】
 ・難易度:30

※「ロアの強化クエストをクリアーする」演出に成功すること。
 成功した場合、スキル強化に成功する&成功報酬が貰える!
※協調行動OK。サーヴァント全員参加でクエストをクリアーしよう!


ロア/わあ、ボクが強化されるぞー!(笑)
八雲/「成功した場合、スキル強化に成功する&成功報酬が貰える」……石が貰えるそうだよ(笑)
GM/強化クエストと言っても、みんなの日常パートをAF判定で表現してもいいことにします。……確か千早の設定をみんなで決めたとき「巫女さんの家系」というものを頂いていたので、夜城家はアインツベルンや遠坂家というより衛宮家のような和のお屋敷だと思うんだよね。
ミズ/和風なのか。
GM/少し大きめの日本家屋でみんなで過ごしているよ。そんな訳でみんな楽しんでいこう! ロアくんの強化クエストだからロアくんに判定してもらいたいな。
ロア/うん! 【体力】で判定するぞー。
八雲/よし、早速だが≪英霊「キャスター」≫の陣地作成でトレーニングルームを作った。
ロア/作ってくれたー!(笑) みんなに≪同調録≫で伝えます!
ミズ/早々に≪インビジブルマン≫で駆けつけます! おっ、良い部屋じゃーん! ちょうど良いカドがある。
八雲/四角い方がいいかなって(笑) 修行を前におにぎりを作りましょう、≪食物錬成≫。
ロア/この部屋でバタバタするならちょっと強化しておこうかな? ≪念動障壁≫、これで部屋が壊れない!
八雲/ちょっと試練は必要だよね。オブジェクトを配置していく≪イバラの城≫。
ミズ/難易度を上げるか? ≪インドラ≫を塗り込む。
デュナ/私も守護天使を埋めておきますね、≪力強き隣人≫(笑)
ロア/途中であっと驚くようなことがあったら面白いよね、≪突然変異≫!
GM/このクエスト、敵の数が多くない?(笑) 普通、3ウェーブに3体ずつぐらいでしょ?
デュナ/6体一気に出てくる戦闘なんだよ。最終ウェーブには私が立っておきますね(笑)

 八雲「頑張れ、バフを盛るよ。≪魂装支援≫」
 千早「着ける礼装は麻婆豆腐でいいかな?」
 デュナ「終わったらその麻婆豆腐を食べましょうね、≪物品調達≫」
 ロア「麻婆豆腐で回復した! ≪肉体復元≫!」
 ミズ「美味そう! ≪グリーディ≫」
 千早「≪グリーディ≫だと攻撃力が上がるから辛くなった!?」


ロア/じゃあ、デュナさんと戦ったところで……(ころころ)判定成功、強化クエスト終わりました〜!
GM/おめでとうございます、スキルが強化されました! ロアくんの強化クエストをこなした千早も「こういう風に魔力を送るとサーヴァント達を強化できる」ということを学びました! ロアくんだけでなく、彼女の修行にも成功したことになります。
ミズ/マスターレベルが上がった!
ロア/APも回復した!(笑) 千早千早、もっとボクを使ってね。フフーン上機嫌!
GM/「頑張るよ! あ、なんかキラキラした綺麗な石も貰えた」
八雲/クエストクリアで聖晶石が貰えた(笑)
GM/「私もなんだか成長したみたい……だから、ちょっとやってみたいことがある!」
八雲/何か?
GM/「今の私はとてもワクワクしている。これは良い兆候。きっとガチャ運も良い!」
ミズ/……ガチャを、引くのか!?(笑)
GM/「さっき貰ったキラキラした石を使って、単発で引く!」
八雲/単発で!? 大した自信だな!?(笑)
デュナ/マスターはどんな宗教ですか? 極大成功教? 時間帯教ですか?(笑)
GM/「え、えーと……おはガチャ教です!(一同笑) おはガチャは心なしか星4以上が出やすい気がするんですよ!」 という訳で千早は、ガチャ画面を開きます。
八雲/ガチャ画面のBGMが流れます(笑)
GM/千早は呪文を唱え始めます。
ミズ/満たせ満たせ満たせ〜!
GM/「天秤の守り手よ!」 シュイーン……金色のサーヴァントカードが出てきます。
ミズ/おっ!?
デュナ/線が3本! 金鯖が来たぞ!(笑)
ロア/すごーい!? いったい誰だー!?
GM/こんにちは! 喜びましょう、貴方はこの最強で最高で最優のサーヴァントを手にしたのですから!
デュナ/呉用かよ。
ミズ/呉用!?(笑)
GM/GMが名乗る前に判ってもらえた。「その通り! 星5アヴェンジャーの最強軍師、天機星智多星 呉用でございます! ストーリーガチャの召喚ありがとうございます!
ロア/スト限の星5だったのか!?(笑)
八雲/クリアー条件を満たしたから召喚できちゃったんだね……(笑)
GM/第二特異点を攻略しましたからね。どうも、第二特異点のラスボス枠だった呉用が仲間になります。テスラやオルタニキ枠ですよ。「これからどうぞよろしくお願いします」 呉用は千早に近づき、両手で千早の手を握り、真っ直ぐと彼女を見つめます。
ミズ/詐欺師の仕草。ダメじゃね?(笑)
デュナ/胡散臭いのでマスターをガードします! サササッ!(笑)
GM/「またお会いできて光栄ですよ。これからは貴方のことをマスターとお呼びします」「えっ……第二特異点の記憶があるんですか?」「最高の軍師ですから覚えておりますとも! これから僕は貴方の右腕になる男、どうぞ思う存分コキ使ってください!」
デュナ/特異点の記憶があるのかよ!? ……あ、アヴェンジャーだから記憶補正があるとか?
八雲/だ、大丈夫ですか……覚えている上で、仲間になってくれるんです?
GM/そのようですね。では千早のテンションを決める1D6チャートを振りましょう。誰か1D6をしてください。
デュナ/では私が代理で振ります。(ころころ)1。……怒りんぼ?
ロア/怒ってる? 「あんなことしておいてー、ぷんぷん!」ってこと?
GM/うーん、そうだな……では千早は「ステイステイ!」って言います。「みんなに挨拶からです! 一人だけ特別扱いなんてしませんよ!」
ミズ/おお、偉い! ちゃんとしっかり躾をしようとしている(笑)
ロア/千早しっかりしてるー!(笑)
GM/(呉用になって)「ご安心ください! 僕は軍師、皆さんの補助役として徹させてもらいますよ。自分は前線に立つ兵士ではなく、頭領の知恵袋として活躍する天才軍師ですからね!」 さて、呉用が仲間になりました。これにより「PCが2人以上いないと千早が攻撃対象になる」という縛りルールがより緩和されます。PCが1人だけになっても、呉用がいれば千早に攻撃がいくことが無くなります。護衛役が増えることで、PCがより動きやすくなりますよ。
ロア/おお、それは良かった!
八雲/確かにマスターを守る手段が増えるのは良いことですね。
GM/あと、これは先に宣言しておきますが……ガチャで引いたプレイアブルキャラ扱いなので「いきなり裏切る」などの展開は予定しておりません。そこはご安心して仲間扱いしてください。
デュナ/はーい。……そういうポジションになった呉用さんは、かなり信頼できる存在なのでは? 性格はともかく。
八雲/そうですね、忠誠心が強そうな人ですし。
ミズ/確かに! これ以上ない壁になってくれそうだ。
GM/私が好きな、中国で放映されていた『水滸伝』のドラマで、呉用が身を呈して主人の宋江を守るシーンがあるんですよ。これがFGOで言うところの「自身にターゲット集中して全ダメージを受けて守り抜く」シーンで、これがめちゃくちゃ感動できて大好きなんです……。そんな呉用の補正もあるのでGMは「呉用の意思でマスターの壁になることを約束」します。
ロア/それは凄い。これからよろしくー!
GM/さて、強化クエストとガチャを終えたところで……次なる特異点に行くとしますか!


 ●オープニングフェイズ1

GM/第三特異点。時代は1816年。まだ産業革命が始まる前。今回のセッションで使用するマップを公開致します。



デュナ/凄い、ロンドンのマップだー!
GM/蛍が先にレイシフト先についてご説明します。(蛍になって)「どうやら、1816年のロンドンで『ありえないこと』が起きているらしい。街中にモンスターが現れているようなんだ」
八雲/も、モンスターが?
GM/「何かしらが聖杯を使ってありえない現象を起こしていると思われる。みんなには、前回と同様に赤聖杯を持っている者を探し出し、回収を頼む。今回は空から落ちたり分断されることがないようにするよ!」
デュナ/ええ〜? ほんとでござるか〜?(笑)
ミズ/大丈夫かな、大丈夫だよな?(笑)
八雲/一度あることは二度ありそうなんだよなあ……(笑)
ロア/ボク、ミズの背中に最初から乗っておくね! のしっ!(笑)
GM/それでは……ロンドンへいざレイシフト! レイシフト、びゅううううん! ……君達はロンドンに到着します。寒い。
デュナ/寒い。
GM/天気が悪い。
八雲/霧の都だね?
GM/この寒さは異常だ。なお、ロンドンがガス公害で天気が悪いと言われるのは、もう半世紀ほど先の話です。……寒さの理由ですが、前年の1815年にインドネシア・スワンバ島のタンボラ火山で大噴火が起こりました。その噴火により灰がまかれ、北半球が寒冷化しています。
ミズ/噴火の影響?
GM/はい。1816年は「夏が無い年」と言われ、一年中ずっと冬だったそうです。つまり異常気候の年なんですよ。
ロア/へー! なるほど、全部灰が空を覆って寒くなっちゃったってこと?
GM/そうそう。だからか千早も震えています。「さ、寒い……緯度的に北海道とは聞いていたから寒さ対策はしていたけど、なんか予想より寒いかも……」
デュナ/マスターの肩に外套をかけます。
ミズ/どっか暖が取れる所に移動してえな。
GM/「うん、そうだね。……そういえば街にモンスターが出たってお兄ちゃんが言ってたけど、普通の街に見えるね?」 見渡すと、1816年に相応しい街並みが広がっています。
デュナ/人通りが途絶えているとか、判りやすく悲鳴がするとかではない?
GM/それはないですね。では、あっちの道を行くと……屋根が無い剥き出しの馬車が走っているのが見えます。
八雲/うん?
GM/その馬車とは別に、道を歩いている人がいます。その人が……走っていた馬車を見つけた途端、叫びます。ポケモントレーナーのように「勝負だ!」と。
デュナ/どういうこと!?(笑)
GM/「聖杯戦争を始めるぞ!」 目が合った瞬間にバトルを仕掛けます。
ロア/せ、聖杯戦争!?(笑)
ミズ/そんなライトに聖杯戦闘って始めるもんなのか!?(笑) ポケモンの戦闘BGMが聞こえてくるんだけど!?
GM/ポケモントレーナーのように勝負を仕掛けた人は、作詞を始めます。
デュナ/なんで!?(笑)
GM/するとその歌の内容が、実体化します。妖精がダンスをする歌の内容が実体化し、妖精召喚。襲い掛かります。
ロア/召喚術式かー!?(笑)
八雲/ラップバトルじゃん。
デュナ/もしくはデュアルマスターズじゃん!?(笑) 襲われた人はどうするの!?
GM/襲われた女性は「な、何か私も文学をしなくては……!」と慌てています。「そう、何か創作をするんだー!」
デュナ/どういうことだよ!?(笑)
ロア/な、何か歌わないとやられちゃうのー!?(笑)
ミズ/旧支配者のキャロルでも歌うか?
ロア/それはいけない!(一同爆笑)
GM/ミズくん、それ歌ってもいいよ。
ミズ/マジかよ。オレ、宗派が違うんですけど?(笑)
GM/試しにミズくんがそれを歌うと、何故か目の前に名状しがたいものが現れました。皆さんSANチェックをお願いします。
ロア/出ちゃったー!?(一同爆笑) 【正気度】判定しなきゃー!? ミズ! あれ何!? なーにー!?(笑)
GM/それを見た通行人達、「なんて素晴らしい創作力!」「あんな文学バトル、滅多に見られたものではないわ!」と大歓声を上げます。
デュナ/なにこれ!? ロンドン・ディビジョン!?(笑)
GM/ドカーン。大爆発ののち、戦闘が終わります。
デュナ/今なんで爆発したの!?(笑)
ミズ/虎戦車みたいな効果音がしたんだけど!?(笑)
GM/ヒプノシスマイクは最後に爆発して戦闘が終わるじゃないですか。
八雲/やっぱりヒプマイなんだ!? ミズ、いつどっから持ってきたの、そのマイク!(笑)
ミズ/マイク、いつの間に持ってたんだ……。こいつがどうなってもいいのか!
デュナ/一体どうなるっていうんだ!?(一同爆笑)
GM/「こんにちは最優の呉用軍師でございます! 状況を説明しましょう!」
ロア/ハッ、呉用さんの出番だね!?
デュナ/判るんですか今のこの状況が!?(一同笑)
GM/「どうやらこのロンドン市民達、全員魔力を帯びています! 普通の人間が誰一人おりません! どう見ても全員クラス[一般人]ですが、普通ではない魔力を付与されているようです! このセッションに出てくるNPC全員、召喚士だと思ってください!」
ミズ/えっ……全員マスターってこと?
八雲/ 一般市民ではないと……? みんなデュエルするの? みんなデッキ持ってるの?(笑)
GM/「いえ、一般市民なんでしょうが……皆、目を合わせた瞬間いきなり襲い掛かって来るポケモン的な習性があるので気を付けて!
デュナ/怖っ!?(笑)
ミズ/怖い! ポケモントレーナーって思っていたより怖い!(笑)
八雲/ポケモン+ヒプマイなの、このロンドン……?(笑)
ロア/これが、この世界で起きている異常? 異常も異常だよ(笑)

 GM/「わ、私も創作しなきゃ……えいっ!」 馬車にいた女の子が声を上げます。ポコンッ! 何かが召喚されます。

ロア/わっ、綺麗な人だ〜!
GM/馬車に乗っている彼女……中流より上っぽい、学がありそうな女性です。そんな彼女も当然のように何かを召喚しました。
デュナ/な、何を出したんだ……?」
八雲/むしろ一般人が「えいっ!」で召喚できる世界って、何……?(笑)
GM/「で……出た。出来た。私にも創作ができた〜!」 感激、初めての創作に驚いておりますね。
八雲/お、おめでとうございます?(笑)

 GM/「す、凄い! メアリー凄いよ! 君も創作ができたんだね〜!」 同じく馬車に乗っていた男性が言います。

デュナ/作画の差が凄い!(一同爆笑)
GM/メアリーと呼ばれた女性は感激したまま、PCの皆さんに言います。「貴方達の創作バトルを参考に創作をしてみたら、私もついに創作できました! ありがとうございます!」
デュナ/アッハイ?(笑)
八雲/参考……に、なれたのかな?(笑)
デュナ/わ、私達はこのロンドンに着いたばかりで右も左も判らない状態なのですが、いったいここでは何が起きているのですか……。
ミズ/そもそも創作バトルって何なんだよ……(笑)
GM/「えっ、ロンドンに入ってこられたんですか? 何故かロンドンに謎の霧が立ち込めて外に出られず中に入れずのおかしなことになっているのに」
八雲/それは……市民の皆さんも閉じ込められているということでよろしいか?
ミズ/そして、よく判らないままバトルに付き合わされていると?
GM/「そうなんです。私もよく判らない状況だと思っていますが、説明はできますよ。よく判らない説明を受けましたので」
デュナ/もし宜しければ、もう少し落ち着ける場所でお互いお話をさせていただけませんか。こんな往来で立ち話をしていたら、またポケモントレーナー達に襲われるかもしれません(笑)
GM/「ええ、目が合ったら文学聖杯戦争になります。馬車で身を縮めながら私のお家へ行きましょう!」
デュナ/頭が痛い話をしている……(笑)
ロア/聖杯戦争が軽い……(笑)
GM/では君達は馬車に乗ってお家に向かいます。……彼女が生んだという創作物ですが、ロアくんと同じぐらいの大きさの生き物ですね。その姿は、ツギハギだらけの人造人間……とても有名なキャラクターに見えます。
ミズ/あれ? これって……。
GM/ロアくんサイズのフランケンシュタインの怪物です。
ロア/わあ! かわいい!
デュナ/もしかして、彼女は……フランケンシュタインの作者?
GM/彼女が自己紹介をします。「私の名前は、メアリー・シェリーと申します」

 メアリー・シェリー
 1797〜1851年に活躍した、イギリスの小説家。ゴシック小説、または世界で最初のSF小説と呼ばれる『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』で知られる。
 母はフェミニズムの創始者、父はアナキズムの先駆者という、高等教育を受けた文学少女。プロの作家として執筆を可能とした女性作家。


ミズ/フランケンシュタインって女性が作者さんなんだ? すげー!
ロア/お母さんがフェミの創始者って凄いな?
デュナ/インテリ・オブ・インテリじゃないか。それに、親父は親父でアナーキー?
ミズ/し、思想がやべえ。癖が強い両親を持っているな。しかも、世界初のSF作家!? そういう癖の強い一家じゃないとSFなんて書けなかったのかな?
八雲/そんなSF作家の人が……ちびフランちゃんを呼んだんだ。
ロア/かわいい! ちっちゃいフランちゃんだ!(笑) よろしく!
GM/「ウ、ウウ……ヨロ、シク……」 ぎこちない声でフランちゃんが言います。本来「フランケンシュタイン」という名前は怪物を作った博士の名前なんですが、今ではこの怪物自体をフランケンシュタインと呼ぶようになっているので、ここでもフランで通したいと思います。
ロア/はーい。フランちゃんかわいい! かわいいねー!
ミズ/お前もオレの背中に乗るか?
GM/「ノ……ノル」 たたっ、すとっ。
ロア/ミズのここに掴まるんだよ! ここに乗れば痛くないからね!
ミズ/オレの背中の定員は3名までだ(笑)
GM/さて、安全な家屋に来たのでメアリーは説明を始めます。「1週間ほど前、ロンドンは謎の閉鎖空間にされました。外に出られない街になってしまったのです」
ミズ/1週間も出られないカンヅメ……大変だな。
GM/「そしてここの市民は、何か洗脳を受けたかのように一心不乱に創作活動を始めるようになりました。その名も文学聖杯戦争!
ミズ/本当にカンヅメじゃん(笑)
デュナ/一都市カンヅメってヤバイな(笑)
ロア/みんなで原稿合宿してるの? 金を積んだオタクがやりたいことじゃん(一同笑)
GM/「文学聖杯戦争とは、創作活動をすることで生み出される創作力によって創作キャラクターを創作し、それを競う創作バトルを行ないます。バトルで生き残った者……最も強い創作者に『聖杯』という優勝賞品をプレゼントするそうです」
八雲/賞品が……聖杯?
GM/「市民は『ある放送』を聞き、疑う余地もなくバトルに参加するようになりました。自分を見失わなかった【意志】が高かった人達が『どうしてそんなことをしなければならない!?』と声を上げましたが……『創作は素晴らしいだろ!』という物凄い演説を聞かされ、次第に『ウン! スゴイネ!』と創作バトルにのめり込むようになってしまいました」
八雲/洗脳されてるじゃないですか(笑)
GM/「その洗脳の声の主は、定期的に放送をします。放送が定期的に流れているので、市民は全てそのルールに則ってバトル生活を送り続けているのです。【意志】判定に成功した市民は私のように正気を保っていますが、【意志】判定に失敗した市民はひたすら創作バトルを繰り返す羽目に……」
ミズ/だからさっきみたいにバトルを仕掛けてくると……。
デュナ/辻文学をしてくると……(笑)
GM/「戦争やバトルなどと言っていますが、暴力行為は禁止されています。ロンドンにいる限り、何故か暴力で訴えることができないのです」
ミズ/「自分の作品で殴れ!」ということだな?(笑)
デュナ/な、なるほど……。ちなみにその放送を流している人物は?
GM/「とても有名な人です。私も懇意にやり取りをしている男性なんですが……彼の名前は」「レディースアンドジェントルメン! 本日もグレイトなリテラクチャーをクリエイトしてるかいー!?  文学聖杯戦争開催真っ只中のロンドンへようこそー!」
ミズ/あっ……。
GM/「……あの声です」 サイレンのような放送ではなく、脳内に直接うるさい声が語り掛けております。
ロア/キイイイン!? 大声で耳が痛い!(笑)
デュナ/うるせえ!(笑) 神託以外はチューニングしてないんです!
GM/「ルールは以下の通り! ……さーてルールは全員判ってくれたかなー!? 聖杯戦争を優勝した暁には、何でも出来るようになるこの素晴らしい聖杯が貴方のもとにー!」
八雲/「この」ってことは……放送している人の手元に聖杯があるんだな?
GM/小泉八雲さん。……君はこの声、めっちゃ聞いたことあるような気がした。
八雲/え……はい?

 GM/「バトルに勝利し創作に自信がついたキミ! シティ・オブ・ロンドンの特設ディオダディ荘で会おう! キミの文学を待ってるからネ! 以上、本日のバイロンでしたっ!」

 バイロン卿
 1788〜1824年を生きた詩人。第6代バイロン男爵ジョージ・ゴードン・バイロン。『チャイルド・ハロウドの巡礼』『異端者』などを執筆。
 ゲーテも絶賛する作家であり、正義感に溢れた政治家や軍人であり、超美男子で男女構わず惑わす「イギリスでその名を知らぬ有名人」。
 「事実は小説より奇なり」という言葉を生んだ人物としても有名。


GM/イメージ的にはヒカキンのような有名人だと考えてくれてOKです。
ロア/あー……あああー……困る(笑)
GM/なお、小泉八雲はこのバイロン卿に関する評価で「バイロンさんって悪い人じゃないんだけど……うっざ」という記録が残ってるそうです(一同爆笑)
ロア/そんな感想が残ってるのぉ!?(笑)
ミズ/八雲さんが「ちょっとアレはなー……」って言うレベルの人!?(笑)
八雲/せ、正義感が強くて悪い人じゃないんだけど……私とは噛み合わなさそうな気がしますもん(笑)
GM/そんなバイロンさんですが、大ベストセラー作家でめちゃくちゃ正義感が強い軍人・政治家で、高等教育を頑張りましょうとか人種差別はいけませんとか言う人です。あまりの積極的政治活動に煙たがられて政界を追われてしまいますが。ギリシャ戦争には私財を投げうって戦いに行ったよ。
ロア/思ったよりずっと真面目でマトモな人だ!?(笑)
GM/ええ、凄い人です。超美男子で金持ちで男女ともに食う凄い人なんですけど……うるせえ。存在がうるせえ。
ミズ/まず声がでかい。「悪い人じゃないんだけどー……」の代表格って感じだ(笑)
デュナ/設定が濃すぎて編集さんから「もうちょっと薄味になりませんか?」って言われるキャラだよ(笑) あの……八雲さん、知り合いなんですか? なんか皺くちゃのピカチュウみたいな顔してますけど。
八雲/知り合い……知り合いなんですが……知ってはいるけど関わりたくない(笑)
GM/あ、このセッションでの関係は「知り合い同士で、顔を合わせれば話が出来る仲」でOKですよ。
八雲/捜査の手掛かりにはなれるよ。なれる、けどさ……(笑)
GM/そんな知り合いである八雲さんはこう思います。「バイロンさんがもし聖杯という何でもできるアイテムを手にしたらどうする? こんなことするか? ……する。あの男ならこんな面白いこと、する! イギリスナンバーワンのスットコドッコイ超面白お騒がせ男だぞ!?」と。
八雲/そ、そんな人が聖杯を手に入れちゃったんだな?(笑)
デュナ/お祭り男に聖杯をあげちゃダメだよ……(笑)
GM/では……メアリーが深呼吸して、言います。「今日の放送がやっと終わりましたね」
デュナ/あれが毎日放送されるんです!?(笑) 心中お察しします!
GM/「複雑なルールって忘れがちじゃないですか。だから毎日あんな風に親切に説明してくれたり、誰でも平等に脳内放送してくれるんですよ……凄く公平な人ですよね〜」 げんなり。
デュナ/悪意があってやっている訳じゃないんだ……。
ミズ/悪意が無いからタチが悪いよ(笑)
八雲/あの……この聖杯戦争、脱落するとどうなるんですか?
GM/「……深刻なことになりますよ。見てください、そこのジョン!」 いらすとや絵の男のことですね。「『じ、自分なんて……ピクシブでブックマークが1つしか付かないんだ〜!』ってショックを受けてMP0のまま回復してません!」 創作力を失くす。筆を折る。それは、作家の死。
デュナ/そ、そんな!? 創作力が失われてしまうということは、つまり「生きる気力も失われてしまう」ということ!?
ロア/あくまで「作家として死ぬ」だけなんだよね!? 実際に死ぬとは違うよね……命が関わってないだけマシというべきなのかな?
デュナ/でも……これ、「強制的に作家にしておいて負けたら死」ってなかなか理不尽では?(笑)
GM/そう! そう思いますよね!? 私も筆を持つ者なのでそう思います! 楽しく自分の筆を持てないってダメじゃないですか!? 創作なんて一回もしたことない人だっているんですよ!?」
ミズ/読み専に書かせるなんて拷問だよ。
GM/「ジョンなんて文才が無いんですよ! それなのに頑張って書いてあのザマです! 付いたブクマ1つだってもしかしたら情けで押してくれただけかもしれないんですよ!?
ミズ/身内がブクマしてくれたのかもな。
デュナ/可哀想!(一同笑)
GM/「あっ……ジョン泣かないで! ジョンは悪くない! 悪くないよ〜!」 メアリーが慰めますけどジョンはMPが0のままです。(ジョンになって)「じ、自分だって……勉強はできる筈だ……」
デュナ/勉強ができるのと作詞ができるのは違うから、ジョン……(笑)
GM/(メアリーになって)「と、とにかく……筆を折って悲しくなる以外の被害はあまり無いです。ちなみに戦闘時に爆発しますがあれはエフェクトなので痛くも痒くもないです
八雲/むしろなんで爆発するんですか?(一同爆笑) 無差別に「市民全員創作しろー!」は理不尽すぎるだろ……何をさせたいんだ、あいつは。
GM/八雲さんは「面白いことがしたいんだろうな」と思いました。あ、バイロンさんは自己中で癇癪持ちだよ。
デュナ/八雲さんが自問自答でゲンナリしちゃった!(一同笑)
GM/……えっとね、バイロンさんは理由とか理屈とか吹っ飛ばして成功させるタイプの天才です。「僕が出来るからみんな出来るよね? やろう!」派の人ですね。
ロア/天才肌の天才なんだ!? 「なんでできないか?」を考えないタイプなのか!(笑)
デュナ/「僕は詩を書ける。みんなも詩を書けるよね? じゃあ詩で戦おうか!」ってやつなのか。これ一番聖杯を持たせちゃいけない奴ですよ!?(笑)
ミズ/め、迷惑!(笑) これ、早く聖杯を回収しなきゃダメだ……。
GM/「あ、あの……ところで。皆さんは創作はお得意なんですか?」
ミズ/オレは創作物そのものだよ。
デュナ/得意か得意じゃないかと言われても、力天使だから無理だよ……。
ロア/ボク、呪物は作れるよ〜。歌は唄える! 既存のものは歌えるけど、新しいものを作るのはどうかな……?
GM/「それも立派な創作ですよ。既存のものを元に作るのは『二次創作』って言うんです!
ロア/そっか〜、ボクは『にじそーさく』ってやつををすればいいんだね〜!(笑)
ミズ/まあ、オレ達には先生がいる。な、先生!
八雲/…………。
デュナ/どうして目を逸らすんです?
八雲/……正直に申しますと、私は編纂をした作家であって文豪とはちょっと違うんですよ(笑) 仕事として作家は名乗っていますけど、一次創作の作家であるかは……。
ロア/そ、そっか!(笑) でも「お話のどこが良いか」を見る目はあるよね!
GM/「私は先にロンドンでバトルをしていましたから、少しは皆さんの創作のお手伝いができると思います。……それに」 メアリーは、さっき召喚したばかりのフランケンシュタインを抱っこします。
ミズ/うん?
GM/「は、初めて創作に成功したんですけど……か、カワイイですね、自分の創作キャラ」 うちの子、かわいい。そういう顔をしています。
ミズ/いい顔をしてる!(笑)
デュナ/おっ、作家として目覚めてきたな?(笑)
GM/この子にドラマとか複雑な家族構成とか悲惨な過去設定とか作ってあげたいです
デュナ/もしかして貴方、闇の腐女子ですか?(一同爆笑)
ミズ/フランケンシュタインの過去設定と家族設定は……お察しだよね(笑)
八雲/初めて創作をする人がとんでもない物を生み出したりするんですよ……(笑)
GM/「このロンドンをご理解していただけたでしょうか。皆さんにロンドンの様子をしっかりと把握してほしいので、まずがご一緒に外に出てみましょう」 そんな訳でロンドンの街を歩きます。
ロア/はーい、お願いします!
GM/あっちでは「聖杯バトルだー!」という声が、こっちでは「俺の解釈を食らえー!」という声、そっちでは「解釈には解釈をぶつけるんだよ!」という激しい戦いが繰り広げられています。
ロア/まさに「解釈違いで戦争」が起きている……!(笑)
デュナ/「地雷で失礼します」どころじゃなくて「地雷があったら吹き飛んでください」状態だな(笑)
GM/あちこちで創作バトルが広がっている中……君達の耳に、こんな創作の声が聞こえてきます。「いあ、いあ、はすたあ。はすたあ、くふあやく、ぶるぐとむ……」
ミズ/……はあ!?
GM/「ぶぐとらぐるん、ぶるぐとむ……あい! あい! はすたあ!」
ミズ/待って待って待って! ……お前! 出てきちゃいけない奴だろ!?(笑)
八雲/あっ……これって。
ロア/まさか……(笑)
GM/ロンドンの街並みに……巨大生物の影が現れます。その影を見て、ミズくんはこう思います。「あっちに親戚のおじさんがいる感覚がする」
ミズ/これがハンドアウトの「親戚のおっさん」かー!?(笑)
八雲/貴方も心中お察しします。さっきの私と同じですね!(笑)
GM/影を見たロンドン市民は阿鼻叫喚です。「ぐわー!? なんて……名状しがたきものなんだー!」 続々とMPが0になってやられていく市民達。
デュナ/それ、ただただSAN値が0になってるだけじゃない!?(笑)
ロア/直葬になってるだけだよ!(笑)
GM/おじさんがいる感覚がするあっちを見ると、メリケンのおじさんが立ってます。「どうだ、素晴らしい世界観だろ! 俺が愛するハスターばんざーい! ハスター神話をみんなに伝えていくんだー!
ロア/「ハスター」って名状しちゃったよー!(笑)
GM/「よし俺のハスター! このバトルフィールドは俺達の完全勝利だ! ……みんなお疲れ様! 一旦戻れー。ハスター以外の神話生物もみんな一旦戻れー。そこの青いべちゃべちゃした犬も戻っていいぞ!
ミズ/戻らねーよッ!(一同笑) オレはアンタとは関係ねーよ! 確かにあっちに行ったら実家のような安心感がありそうだけど!
デュナ/実家のようなというか、本物の実家の可能性ありますね?(笑)
ロア/でもミズはこっちの仲間!(笑)
ミズ/親戚のおじさんだって分かったけどさ! あんた誰だよ!? ラブクラフトか!?
GM/「ら……ラブクラフトっ!? いるのか!? ラブクラフトが!? 会いたかった……!」
ミズ/むっ……その様子だと、ラブクラフトじゃない? でもクトゥルフ関係者だよな?

 GM/「お前、ラブクラフトを知っているんだな? 俺も知っている! なんてったっておじさん、ダーレスだから!」

 オーガスト・ダーレス
 1909〜1971年を生きたアメリカの小説家。『ウェイクリー家の殺人』『永劫の探究』シリーズ、『ハスターの帰還』など執筆。
 出版社アーカムハウスを創設し、師事したラヴクラフトの作品を世に知らしめ、コズミックホラーと呼ばれるジャンルを確立した。
 ラブクラフトと共に連名で出版する商業作家としての才だけでなく、編集、企画者として有能。二次創作における想像力は非凡なものであり、また、彼のもとで修業を積んで大成した作家や著名人も多い。


デュナ/ああっ、ダーレスの方か!
ミズ/実家にニアミスだ(笑)
GM/有名なラブクラフトはクトゥルフ神話を作った作家ですが、このオーガスト・ダーレスは「クトゥルフ神話を広めた人」ですね。「ラブクラフトが作ったクトゥルフ神話って素晴らしい! みんな読んでくれ! みんなで遊ぼう!」というシェアワールド概念を広めた二次創作作家さんです。
ロア/ラブクラフトファンの人ー! ラブクラフト大好きな人かー(笑)
八雲/作家としての在り方が共感できそう。いいよね、世界観が良い作品って広めたくなるよね〜(笑)
ミズ/オレらの世界を気に入って広めてくれた人……めっちゃ気分が良いな! 悪い気はしない。
GM/そうだね、ミズくん達を「君って凄い! 大好き! みんな愛して!」って絶賛する人ですから。奈須きのこにおける武内社長みたいなものです。
デュナ/凄く判りやすい(笑)
GM/そして、ミズくんは……このおじさんが英霊だと判ります。「俺は英霊として召喚されたオーガスト・ダーレス。1816年に生きちゃいねー人間だったからな。今の俺はバイロン卿に召喚されたキャスターの英霊さ!」
ミズ/えっ……召喚された英霊?
GM/「そうだよ。聖杯を手にしたバイロン卿はこんなことを願った。『文学をもっと広めたい。文学の素晴らしさをもっとみんなに味わってほしい。この楽しさをみんなで知るべきだ、だから拡散力がある人が文学聖杯戦争を活性化してほしい!』って」
デュナ/なるほど、シェアワールド概念を生み出した人だもんな……文学聖杯戦争の盛り上げ役に相応しい。バイロン卿、人選が的確すぎる!(笑)
八雲/バイロン卿、やっぱ天才なんだな……(笑)
GM/「だからおじさんの役割は、文学聖杯戦争を盛り上げること。いっぱい創作をして市民を刺激し、良い作品を生んだ市民にはもっと戦ってもらい、さらに戦争を白熱させる。そのためにロンドン中をハスターで攻撃してるんだぜ!」
ミズ/あー……。アンタがめちゃくちゃテンション高くシェアワールドを満喫してるのは判るけど、オレはバイロン卿を止める側の英霊。アンタの活躍はオレ達が止めさせてもらうぞ。
GM/つまり俺達は文学バトルする仲だな!?
ミズ/脳筋か?
八雲/ハンドアウトにSAN値低いって書いてあるから。
ロア/そういう意味でSAN低い目だったの!?(笑)
GM/簡潔にこのキャラを説明すると、「バイロン卿が召喚したキャスターで、PCの敵役」です。大丈夫、血生臭いことはしないよ。ただ邪神ハスターを召喚して大暴れしているだけで。
デュナ/ハスターを召喚してる時点で血生臭いよ!?(笑) ……オーガストさんだけがバイロン卿に呼ばれた英霊なんですか?
GM/「いや、もう1名いるぜ」
ロア/えっ。……誰?

 GM/「……ダーレス殿。落ち着きなされ。一度はディオダディ荘にお帰りになられよ。大怪獣を召喚して魔力を使いすぎだ」 黒い着物に、黒いマントを羽織った日本人男性が現れます。

ロア/こ、怖っ!?
デュナ/なんだ……気品のある喋りの人だな?
ミズ/こ、こっちもSAN値が低そう……!
GM/(ダーレスになって)「魔力を使いすぎ? そっちはいっぱい吸ってきたみたいだな! 創作バトル大勝利だったのかな?」「……ええ。自作に向けられる歓声、とても甘い蜜でした。全て吸い尽くしてきましたとも」
八雲/え。MPを吸うタイプの創作……?
GM/黒い着物の男は、ダーレスと話すPC達を見ます。「……おや、まだ生きている顔だ。生命力に溢れ……幸せが歩いているようだ」
デュナ/い、言い方が怖い!(笑)
ミズ/なんだ? オレ達とやる気か?
GM/「……そうですね。貴方達は、まだ創作バトルをしていない。処女作、味合わせてもらいましょう。初めての作品でなければ味わえない甘美を頂けるなんて……拙は嬉しいですよ」「おいおい、俺に帰るって言っておきながらお前は創作バトルをするって? 身勝手だなあ! それにバトルをするなら名乗った方がいいぜ〜?」
ロア/うん、そっちの人の名前は?
GM/静かにお辞儀をします。「初めまして。拙の名は、横光 利一。バイロン卿に味方する英霊です」

 横光 利一(よこみつ・りいち)
 1898〜1947年を生きた日本の小説家・評論家。代表作は『日輪』『蠅』『機械』『春は馬車に乗って』など。
 新感覚派と呼ばれる擬人法と比喩の手法を導入し、従来の日本語の文体、読者自身の精神に影響を与える作風など、文学界に大きな影響を与えた。
 多彩な表現法を生み出したことから「文学の神様」と称されたが、終戦直後の戦犯追及により非難されるなどもされた。


ミズ/横光 利一だ! わかるー、『機械』とか書いてる顔してるー!(笑)
ロア/えっと、あまり詳しくないんですが……どんな作家さんなんですか?
GM/日本で「小説の神様」と言われた文豪です。擬人法と比喩をメインに使うようになった新感覚な表現技法で、読者に感情を直接訴えかけるような次元越えの作品を書きました。
八雲/……「終戦直後の戦犯」? これは?
GM/戦後、「第二次世界大戦を賛美した、推奨派だった」と非難を受けたことで「堕ちた神様」などと言われたことがあるんです。……今となっては「戦争は絶対悪。戦争を良く言うなんて」と思われる部分もありますが、当時を生きた人には仕方ない話でもあって。
デュナ/戦争は非難されることだろうけど、当時の人が非難したらそれこそ「非国民」扱いを受けるもんな……。
ミズ/そればっかりは当時の環境や世論があるだろうし。そっか、そのやり玉に上げられちゃったのか……。
GM/「では……美しい声で歌ってみてください。文学ファイト・レディゴー!
デュナ/ポケモンとヒプマイだけじゃなく何か色々混ざってない?(笑)

 『文学聖杯戦争に参加』
 ボードゲーム
『たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。』で勝敗を決する。

 
どんなゲーム?→カードを使って素敵なプロポーズ台詞を作ってバトルするカードゲーム。
 各プレイヤーは指輪を3つ、初期カード6枚(繰り返し使うカード)を持ってスタート。
 ジャンケンで「親」を決め、「子」は山札からカードを6枚ずつとって伏せておく
 「親」が顔を伏せ、ゆっくり10数え始めたら、「子」は伏せられたカードをオープンし、自由に組み合わせ、素敵なプロポーズの言葉を作る
 「親」が10数え終わったら、左隣の「子」から順番に、プロポーズの言葉を読み上げ、最後に「結婚しよう!」と言いながら、自分の指輪を親に差し出す。
 「親」は一番グッときたプロポーズの言葉を捧げた「子」の指輪を受け取る。
 左隣の「子」が次の「親」になるのを繰り返し、一番最初に3つの指輪がなくなったプレイヤーの勝利

(1)このゲームで完成した作品は、各々が執筆した文学として扱う。
 作品が評価された→点数を稼げた場合、優秀な文学を生み出したものとして扱われる。

(2)作品を完成させたとき、執筆した文学を「PC(担当するサーヴァント)が執筆したもの」か「プレイヤーが執筆したもの」かを決定すること。
 PCが執筆したものとする場合はピンク、プレイヤーが執筆したものとする場合はグリーンのラインマーカーでラインを引くこと。
 これは「このプロポーズしか思いつかなかったけど、私のキャラ、こんなセリフは言わない・思いつかないな……」という解釈違いを回避するためである。
 PCが執筆した場合、獲得点数を通常の2倍とする。プレイヤー執筆の場合は等倍。

(3)最も点数が高かった者が、最優秀文学者として評価される。

(4)「特別ルール:特徴づけ」
 一人称や口調を、それぞれのキャラクターに合わせて変更してもいい。
 ボードゲームカード上での一人称が「僕」でキャラクターの一人称が「俺」なら「俺」を採用していいし、敬語キャラなら敬語を優先してくれて構わない。
 また、1台詞に1ワードのみ、「各々の時代背景・宗教観・欠かせない特徴」に変更しても構わない。
 これも決定的な解釈違いを回避するためである。


ミズ/「オレのキャラはこんなこと言わない!」の解釈違いを回避するシステム、良いな。
GM/「こんなプロポーズ台詞を考えてみたけど、ミズはこんなこと言わないな〜」って絶対発生すると思うんだよ。その場合は「これはPCじゃなくて、中の人が考えました!」と正直に言ってくれてOKです。
ロア/逆に「このキャラがそういうこと言っちゃうの!?」が楽しめそうでいいですね!
GM/プレイヤーの4名と、GMを含めた5名でバトルを行ないます。GMはNPCを交代して遊ばせていただきます。登場NPCは、千早、ダーレス、横光、メアリー、おつきのジョンなどから選出させていただきますね。5人分のキャラクターを扱いますがGMは1つのカウントです。それでは、素敵な愛の創作をしてくださいね!