アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 熾天の箱庭シリーズ『 正義の在方・機関エンジェルダスト編 』 1ページ目 ■
2017年6月5日




 ●プリプレイ

 機関解体事件について語った通称「鶴瀬セッション」こと『正義の在処』が終了した直後のこと。

プレイヤー2・ピロ/機関シナリオって、まだプレイしたことないんだよね。
GM/マジすか。たくさん『AW』のプレイヤーをしてくれていますので、てっきり遊んだことがあるかと。
プレイヤー1・せいさん/まだ噂の機関の人達って、『舟卓』で大山様としか会ったことないですよ。
プレイヤー2・ピロ/お噂はかねがね聞いていますが。一本松さんとか銀之助さんに会いたい!
GM/じゃあ、機関シナリオ入門編ぽいシナリオ『エンジェルダスト』をやってみますか? 既に何度かGMをしているシナリオなんですが、オフセで2時間ぐらいで終わる単発セッションなので軽い気持ちで始められますよ。
プレイヤー2・ピロ/機関シナリオ初心者の2人ですが、よろしくお願いしまーす!



 アナザーワールドSRS シナリオ名『エンジェルダスト』



【レギュレーション】
 キャラクターレベル5で開始。
 機関が教会に解体されず脅威をふるっていた2000年初頭頃が舞台とする。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:兄弟姉妹   関係:好意   推奨クラス:稀人 or 異端者

 君は、機関チルドレンだ。
 君の主である機関の権力者・大山の命令に従い、大事な家族であるNPC1を攫ったNPC2を追うことになった。
 大好きなNPC1の奪還。憎きNPC2の処刑。君は初めて機関の本拠地である仏田寺を出た。
▼セカイのイベント:NPC2を追いかける。
▼コネクションNPC1:兄弟姉妹

 君の家族と言える親しい人物。実際に血縁関係があるかなどは問わない。
 非常に優秀で、君にも優しい憧れの存在だった。
▼公式NPC:器守 大山(うつわもり・おおやま)
 機関の人物。能力者や人外種族の収集・調教・売買を行なう第四部署「天足」のリーダーであり、PC達の上司。
 令呪に関する研究をする高名な魔術師。とても親しみやすい温和な性格。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:機関チルドレン   関係:自由   推奨クラス:聖職者 or 処刑人

 君は機関の研究員、もしくは上位の機関チルドレンだ。
 5月23日。NPC2がNPC1を攫い、機関から逃げて行った。
 君の主である機関の権力者・大山の命令に従い、PC1と共にNPCを追わなければならない。
 君にとっても久々の外界。気を引き締めていかなければ。
▼セカイのイベント:何事も無く生きる。
▼コネクションNPC2:機関チルドレン

 人外種族の孤児。機関に引き取られ、強力な能力を得たがそれ故に契約を破り、逃亡した。
 人食いの鬼。気性が荒く、暴走しがちな性格。NPC1を連れて行ったのはおそらく餌にするため。

【その他】
※「異端堕ち」ルール解禁。
※このセッションはミドルフェイズの1ラウンド経過後、クライマックスフェイズに突入する。



GM/いくつか機関シナリオに関する基礎知識を解説しましょうか。機関シナリオとは、『AW』世界で10年前まで存在していた「超人類開発研究所機関」と呼ばれる場所をテーマにした、研究所もののステージです。
プレイヤー1・せいさん/はい。
GM/なぜ「10年前に無くなった機関」なんて設定があり、よくセッションネタに使われるかというと……『AW』のテーマが「過去に戻りたい」「ループ・タイムスリップしてでも救いたい、やりたいことがある」というゲームであるため、世界観設定で「10年ぐらい前に後悔があるキャラ」「昔、大変なことになってしまった事件や事故」があるとシナリオ作りに大変ありがたいのです。
プレイヤー1・せいさん/なるほど、そう言われてみると。
GM/機関は異端や異能に関する非人道的な研究をしており、10年前に「邪神召喚で世界崩壊の危機」なんて大事件を起こしてしまいました。鶴瀬率いるレジスタンスによって世界滅亡は回避されましたが、何人も死んでそれ以後も深い爪痕を残すものとして、重宝されています。……そんな機関で生きていた人達をやろうというのが、機関ステージでございます。
プレイヤー2・ピロ/ぜひとも≪機関「チルドレン」≫とかのPCがやりたいね!
GM/今回登場する公式NPCは、器守 大山(うつわもり・おおやま)ですね。……『舟卓』をご経験済みの2人には説明不要と思われますが、能力者や人外の能力者を保護、教育、調教する部署『天足』のリーダーです。可愛い子はみんな奴隷にしたい、とっても優しいおじさんです!
プレイヤー1・せいさん/うん……うん……?(笑)
GM/機関の部署は5つあり、トップの『御臓』、研究者の集団『頭垓』、戦闘集団『朱指』、大山がいる商売の『天足』、機関の人達の生活サポートをする『食導』があります。今回のシナリオで主に登場するのは『天足』だけですが、後は研究所の中心である『頭垓』を知っておくといいですね。
プレイヤー2・ピロ/頭垓って、白衣の社畜達がたくさんいる部署でしょ……(笑)
GM/みんな必死に研究をしているから帰らないだけですよ、帰らせないとも言いますが。また、機関では成果が出なかったり、ミスをした場合、『聯合』という処刑をされます。[異端者]の≪混沌の胚≫という特技の応用で、「役に立たない所員は死んで、全キャラクターデータを捧げろ。一つにまとめて保存して、死んでも使ってやるから!」という死刑制度です。その処刑行為をするのが『朱指』、魂をまとめたりするのが『食導』、全部保管しているのが『御臓』だったりする訳ですが、今回はあまり関係無い話……。
プレイヤー1・せいさん/とりあえず「機関のメンバーでもわりと機関に殺されるよ!」ってことだけ判っていればいいんですね!(笑)

プレイヤー1・せいさん/ハンドアウトPC1を選択。
プレイヤー2・ピロ/ハンドアウトPC2を選択。

GM/それでは……データを作っていただけたので、まずはキャラクター紹介だー。PC1を選んだせいさんちゃんからどうぞ。

プレイヤー1・せいさん(以降、キュノス)/PC1の、安藤 キュノス(あんどう・きゅのす)です。性別は女の子、年齢は10歳です。機関チルドレンで[稀人]。人造人間です。
プレイヤー2・ピロ/「安藤キュノスは人造人間である!」(笑)
キュノス/意識ができたときには機関にいました。純機関製人造人間です。色んなパーツをくっ付けられた結果、バインバインで、下にも付いている褐色ロリで主婦的な動きをします。
GM/凄い属性のキャラだ。
プレイヤー2・ピロ/褐色ロリで属性盛り放題! 性癖にダイレクトアタックする!(笑)
キュノス/髪の毛は白です。肌がトーンを貼られるだろうから髪を白にすれば手抜きができる。
GM/作画コストのことを考えているキャラなのか(笑)
キュノス/クラス編成は[闘士4/稀人1]です。『ライフパス重要キーワード:裏切り』で……シナリオの都合上、NPC1に裏切られたと思っています。「そのNPC2は何よ!?」って詰め寄りたいです。
GM/「ここがNPC2のハウスね!」って言ってくれるのかな?(笑)
キュノス/思い込みが激しく、ヤンデレ素質かもしれません。関係無いですけど食導のキッチンを爆破したことがあります。
プレイヤー2・ピロ/銀之助さんに怒られるぞ!?(笑)
GM/ほう、貴重な銀之助さんの宝具で即死させられた経験があるキャラなんですね。
キュノス/次はもう無いと思っています!(笑) 食導のキッチンは借りない、今度はカセットコンロで頑張りますね!

NO IMAGE 安藤 キュノス(プレイヤー名:せいさん)
 クラス:[闘士4/稀人1]
  体力:14(+4)  反射:15(+5)  知覚:12(+4)
  理知:10(+3)  意志: 9(+3)  幸運:12(+4)
  HP最大値:31  M大値:17  正気度:6
重要キーワード:裏切り  背景:食導のキッチンを爆破したことがある  特徴:家庭的である
ボーナス効果:≪機関「チルドレン」≫  スキルウェポンのイメージ:??
職業:チルドレン  性別:女  年齢:12  身長:cm  髪色:  瞳色:
 スキルウェポン→≪片手武器≫
 闘士→≪武闘家の血≫ ≪聖戦士の血≫ ≪希望の勇姿≫ ≪熱血の防壁≫ ≪命の糧≫ ≪斬り返し≫ ≪撃滅≫ ≪軍神の知恵≫
 稀人→≪見通す眼≫ ≪光の一手≫

プレイヤー2・ピロ(以降、碧)/キャラクター名は、白波瀬 碧(しらはせ・あおい)。19歳の男です。クラス配分は[霊媒師2/聖職者3]。
GM/支援型ですね。
碧/基本サポート系ですね。申し訳程度の攻撃もできます。PC1と同じく機関チルドレンです。
キュノス/僕らは機関チルドレン!
碧/イェーイ!(笑) 『ライフパス特徴:楽観的である』。まったくチルドレンらしくない感じです。イメージ的には『刀剣乱舞』の御手杵ぽい。
キュノス/いいですね、お兄さんらしい感じ! PC2とは保護してくれるお兄さんだと考えています。
碧/おーよしよし。
キュノス/よしよしするとたゆんたゆんするよ。誇りに思ってるたゆんたゆんです。
碧/それはちょっとぉ……(笑) 機関で使われている実験動物の世話や、自分より下のチルドレンの子の面倒を見ている仕事をしています。
GM/PC2は大山に親しく話し掛けられる設定になりますが、所属部署は『天足』ですか? それとも個人的に付き合ってる設定にしますか?
碧/……『天足』所属じゃなくて、大山様のところにいるロリショタ達と仲が良いから自然と大山様とも話をする立場です。大山様からの実害は欲しくない!(一同笑)
GM/ご安心ください。大山はどの部署にいても食べます。
碧/来るなッ!(笑)
キュノス/キュノスは面倒を見られている天足の一員です(笑)
GM/さらにご安心ください。大山はストライクゾーンが1桁なだけで老若男女全ての能力者を愛して食べます。『舟卓』のウルリヒも蘭ちゃんも対象です。ご安心ください。
碧/安心できねーよ! 気持ち的には『食導』か『朱指』に所属したい!(笑)
キュノス/いつか『食導』のPCを作って銀之助さんの部下はやりたいですよね! 機関カレーを作りたい。
GM/それは後でやろうな、絶対!(笑)

NO IMAGE 白波瀬 碧(プレイヤー名:ピロ)
 クラス:[霊媒師2/聖職者3]
  体力:15(+5)  反射:12(+4)  知覚:12(+4)
  理知:12(+4)  意志:13(+4)  幸運: 9(+3)
  HP最大値:27  MP最大値:25  正気度:8
重要キーワード:動物  背景:動物に好かれている  特徴:楽観的である
ボーナス効果:≪機関「チルドレン」≫   スキルウェポンのイメージ:??
職業:チルドレン  性別:男  年齢:19  身長:cm  髪色:  瞳色:
 スキルウェポン→≪浄化の一撃≫
 霊媒師→≪清浄の使者≫ ≪魂装支援≫ ≪霊的神経≫ ≪縛呪≫
 聖職者→≪悔改めよ≫ ≪白き守り手たち≫ ≪神託≫ ≪主の恵み≫ ≪心霊治療≫
 一般特技→≪興奮剤≫

GM/PC1に決めてもらったNPC1の名前は、安藤 アン(あんどう・あん)です。女の子で10歳の子にしてもらいました。
キュノス/同じ研究で生まれた人造人間で、キュノスにとっては双子みたいなもんです。彼女と私の違う点は……私は両性具有で全部付いているけど、逆に彼女は全部付いてません。
GM/ツルッツルの無性ってやつですね。
キュノス/対のように生まれてきました。おとなしめの性格だといいな。私がガツガツいくタイプなので(笑)
碧/色んな意味で真反対な子なんだね。
GM/「ねえねえキュノスちゃん〜」って慕うロールをしますね。次に、NPC2の名前が、大鋸 アキラ(おうきょ・あきら)。17歳の男の子。なんか……『ダブルクロス』でキュマイラっぽいキャラ名ですね?(笑)
碧/人食いの鬼っぽい名前にしてみました! 碧の『ライフパス背景:動物に好かれている』なので、好かれたのでしょう。……碧は19歳でチルドレンなので、チルドレンの中でも年上というか、下の子達をまとめていたのかも。
キュノス/面倒を見る役だったんですね。
碧/だから、問題児枠のアキラと訓練や任務を一緒に組まされていたかな。
GM/ならアキラは碧さんのことを「世話役のお兄さん」として突っかかります。ガブガブ。
キュノス/なんか可愛い弟系だなー(笑)


 ●オープニングフェイズ1/碧 〜任命〜

GM/PC2のオープニングフェイズからいきましょう。舞台は春、5月1日。山奥の研究施設には、今日も大勢の研究員達が異能や異端について研究をしています。碧さんの日常はいつもどんなものですか?
碧/任務が無いときは、実験動物と遊んでいます。散歩に行ったりしますね。いっそケルベロスの背に乗りますか! 行けケルベロス3号!(笑)
キュノス/「わふー!」(笑)
GM/機関産ケルベロスの散歩をしてくれたりするんですね。ケルベロスって、どこに首輪を着けたらいいんだ?(笑) 頭の1つが北に行き西に行き東を行く。
キュノス/「ぐえっ」
碧/相談して歩けよ(笑)
GM/そんな日常を過ごしていると、大山が現れます。
碧/さ、さすがに上司がいたらケルベロスから降ります(笑) ステイ!
キュノス/「わふっ!」
碧/ゴーホーム!
キュノス/「きゃうん!」
GM/ケルベロス3号、可愛いなぁ(笑) 親しみやすい笑顔を浮かべた大山が近寄ってきます。「やあ、碧くーん。そろそろお仕事は終わりかい?」
碧/そうですね、山を一周してきたところです。何か御用ですか?
GM/「おじさんとお酒いっしょに飲まない?」
碧/ま……まだ俺19歳なんで。
GM/「えー、真面目だなあ。お酒の席で付き合ってくれる子が欲しいんだよ。君はおしゃべり得意そうだし、美味しいご飯を出すからご一緒しないかい?」
碧/俺は飲めないですけど、お酌するぐらいならしますよ。
GM/「わあ、嬉しいな。遊んでくれる子を探していたところだったんだ〜。おじさんのお部屋においで〜」
碧/遊ぶがあっちの意味じゃないといいけど……(笑)
GM/大山はこんな感じの人です。たびたびこんなどうでもいい頼みをしてくるような、気さくなおじさんです。仕事もできる人だし堅実に成果を出す人で、どんな年や身分の子を相手にしても話し掛けるような、おしゃべり大好きな男性です。
キュノス/性的なお願いじゃなければ、凄く良い人なんですけどね……(笑)
GM/大山に連れて来られた場所は、彼の個人的な趣味の部屋です。執務室でも研究室でもなんでもなく、一言で表現するならキャバクラ。
碧/うえっ(笑)
GM/人外の少年少女だらけ。ネコミミや角や羽根が生えている小さな子供達が、裸エプロンとかメイド服とか着たり鎖で繋がれていたりしながらペドおじさんの相手をしているような部屋です。碧くんはその部屋の真ん中にお客様として座らされます。
碧/うわー……(笑) 手土産ぐらい持ってくるかな。かと言って食導から盗んでくるのは死の危険しかない。
GM/正式に何か貰ってくればいいじゃん(笑)
碧/銀之助さんにお酒のつまみを貰っていきました! お刺身の盛り合わせですよー!(笑)
GM/ではここで、PC1のキュノスちゃんもシーン登場してください。大山コレクションの一味でも構いませんし、碧くんのように一緒に遊ぼうと誘われてきた人でもOKです。
キュノス/はいはーい。キュノスはその部屋の1人でも何の違和感が無いので、ちょっとエッチな格好してお酌をしてます!
碧/『FGO』の酒呑童子みたいな格好とか?
キュノス/いいなそれ、酒呑ちゃんみたいな感じでいこう!
GM/酒呑童子の、お胸が大きいやつか……(笑)
キュノス/しらはせのーん。お久しぶりー、素敵でしょー? 素敵な御召し物を貰ったのよー。
GM/前掛け1枚なので大きいのがよく判ります。
碧/う、うわー……(笑) 久しぶり。相変わらず色んなものがきわどいなぁ。……首から下は見ないようにします。ここは……いつ来ても、アレだね。
GM/「はい碧くん、グラス。お酒飲むよね?」
碧/飲まないですっ!
GM/「もー、しっかり者だなぁ。キュノスちゃん、おいでおいで。キュノスちゃんは何が飲みたいー?」
キュノス/えー、何にしよっかなー?(笑)
GM/碧くんにはジュースを持ってきてくれる子がいます。キュノスの双子の妹、アンです。「あ、あの……こちらでよろしいでしょうか?」 碧くんにジュースを渡そうとする、控えめな女の子です。
碧/ああ、アン。いたのか。お前はいつも大人しいな。なでなで。
GM/なでなでするとテレテレしちゃうタイプです。そしてテレテレしながらキュノスちゃんを見て、「えへへ、褒められたよー」とニコッと笑う子です。
キュノス/アンはかわいいかわいいねー。でももっとグイグイいきなはれ!
GM/京弁っぽい喋り方かわいいな(笑) という訳でアンは一生懸命グイグイとお酌します。
碧/溢れる溢れる! グイグイってそういう意味じゃねーと思う!(笑) お腹いっぱいになっちゃうー!
GM/(大山になって)「したくなったらここで出していいよ」
キュノス/揃ってるよ。
碧/そういう特殊プレイは死ぬので! 特殊性癖も持ってないので!(笑)
GM/楽しいやり取りが暫く続きます。大山さんはキュノスちゃんやアンちゃんだけじゃなく、色んな子と楽しそうにおしゃべりしたり遊んでいます。……数十分後。大山が「イテッ」と小さく悲鳴を上げました。
キュノス/うんっ?
GM/悲鳴の方に視線をやると、どうやら……体を拘束された状態で座らされていたアキラくんを可愛がろうとして、噛まれたようです。
碧/お、おう……大山様、見境なさすぎ(笑)
キュノス/こらー、アキラ、何しとるん?
GM/アキラくんは大山を毛嫌いしている様子ですね。気持ち悪いと言わんばかりの目で睨みつける。
キュノス/気持ちは判るよ。
碧/凄く気持ちは判るよ。
GM/そう言ってもらいたくて今までロールしていた(笑) 噛まれた大山は、叱りつけるような本気の顔面パンチをアキラにかまします。
キュノス/わっ。
GM/血を流すアキラ。それでもアキラは屈せず、相変わらず大山に殺気をぶつけています。アキラの首には能力封じの首輪が着けられ、思ったように力を発揮できず、だから大山にやりたい放題されているようです。
碧/大山様……そいつはあまり大人しい奴じゃありませんから、放してあげた方がいいですよ。
GM/「もう何ヶ月もいるのにねぇ。まったく、この子はお仕置きされるのが好きでわざとやっているのかな?」 アキラは睨んで嫌がっていますが、それでも大山は変わらず、寧ろ倒れたアキラの体の上に座っています。大山を心配したアンが「お、お怪我、大丈夫ですか?」と治療しようとします。
キュノス/アン、優しい〜!(笑)
GM/アキラはそのままにして、大山がおしゃべりを始めます。「碧くん。君にお願いがあるんだ」
碧/……はい?
GM/「キュノスちゃんにそろそろ外の経験を積ませたいと考えていた。だからさ、君がキュノスちゃんの監督官にならない?」 機関には独自の教育システムというか、監視システムがあります。簡単に言うと世話役ですね。未熟なキュノスちゃんの面倒を碧くんが見てくれないかと誘ってきます。
碧/まあ、いいっすよ。キュノスは問題があるような子じゃないですし。
GM/「キュノスちゃんはいい子だもんね」 よしよし、いいこいいこ。
キュノス/たゆんたゆん。
碧/教育としてその服装を正してもいいんですか。
キュノス/えー。お洋服、取られちゃうのかしらー?(笑) でももう大山様にお洋服をおねだりできなくなっちゃうのかなー。
GM/「そんなことないよー! 今まで通り何でも買ってあげちゃうー! ちゅっちゅペロペロ!
碧/言うだけじゃなく物理的ペロペロするのはヤメてください(笑) ……ちょっとアキラが気になるかな。大山様が違う子に行ったとき、アキラに近づいて話します。……大山様にとっ捕まるなんて何したんだよ。
GM/(アキラになって)「見てるんじゃねえよ、変態」
碧/……いっしょにしないでほしいなぁ。本当に! いっしょに! しないでほしいな!(一同笑)
GM/「普通にアイツと話してるなんて、お前も変態の仲間だろ」 汚い手で触るなという態度。
キュノス/うわー、こいつー(笑)
碧/大山様に好き放題されても何も言わないお前も変態だったな。へっ。
GM/ギロリ。明らかに敵意。
碧/あんまり逆らってもここじゃ長く生きていけないから、反抗するのもほどほどにしておけよ。……彼のもとから離れます。でも彼のその境遇には同情しておきます。
キュノス/私は給仕しているアンとおしゃべりしてよー。……無いとは思うけど、アンはあんな風に牙を向いたらアカンよ?
GM/(アンになって)「私はカプッてしても痛くないと思う」
キュノス/そうだねー! かわいいねー!(笑) アンはそれでいいんだよー。
GM/「でも……怖いよね、大変だよね……」 傷を負わされたアキラ、相変わらず涼しい顔して笑ってる大山様を交互に見たアンは、ぼそっと呟きます。
キュノス/あんなんには近寄ったらアカンよー。アンは、大事な大事な私の双子なんだから。離れちゃダメよー。
GM/2時間ぐらいでその飲み会は解散。キュノスちゃんの正式な監督官になった碧くんの生活が始まるのでした。


 ●オープニングフェイズ2/キュノス

GM/次のオープニングシーンに参ります。……数日後の5月24日。キュノスちゃんは「別部屋で眠っていたアンちゃんが消えた」という話を聞きます。
キュノス/ファッ。
GM/起きたらいなかったそうですよ。
キュノス/…………。ちょっと暴れます。
碧/も、問題を起こすとね、大変なことになっちゃうからね! ちょっと大人しくしようか!(笑)
キュノス/アンがいなくなるとか! 聞いてない! 不安なのよ!
碧/急に任務でどっか行ったとかじゃないのか!?
GM/すると違う子が「おい、あいつも……アキラもいなくなってるぞ……」と話をしているのが聞こえます。
キュノス/あ? 言うてみ?
碧/怖い声が出てる!(笑) なんなんだケルベロス3号が門でも破ったのか? さっき散歩に行ってきたばっかりなのに!(笑)
GM/「ケルベロス3号はいい子なので冤罪です!(笑) ……昨夜まではいたアンちゃんとアキラくんが、行方不明です。機関の敷地内のどこにもいません!」
キュノス/はあーん? はあーん!?
碧/ステイステイ!(笑) ……あの2人が組んで仕事なんかする訳ないもんな。と、とりあえず……大山様に報告した方がいいんじゃないか? このままキュノスに暴れられると困るから大山様を出そう!(笑)
キュノス/はーん? まあ、せやねぇ。大山様の執務室に行くわよ!
碧/手を引っ張られて行きます(笑)
GM/大山の執務室に入ると、幼女っぽい秘書に報告を受けていました。(大山になって)「おや、誰かに呼ばせる前に君達から来るなんて。……アンとアキラが行方不明という話は君達の耳にも届いているかな?」
キュノス/真面目な目をしておきます。
碧/大マジな目だね。
GM/「おそらくアキラがアンを連れてここから施設の結界を突破、そのまま脱走した……と思われる」
キュノス/なして?
GM/「アキラが人食いの鬼族であることは知っているな。捕まえて日数は経っていたが、反抗的な態度を未だ見せたまま……。脱走するかと思ってはいたが、まさかあの檻を突破するなんて。しかし結界を抜けて外に出るには体力がいる。餌として、か弱そうなアンを連れて行ったのではないか」
碧/アンをお弁当扱いかよ……。でもアキラを拘束していたのでは? 数日前には鎖でグルグルにされていましたが。
GM/「[狂戦士]には≪抗いの定≫という特技があることを知っているかな? アキラは1シナリオに1回だけ霊力で縛られた拘束ですら弾けてしまうんだ」
キュノス/メタいけど判りやすい(笑)
GM/奴の能力を甘く見ていたと、大山は反省顔です。「一つ確認したい。キュノス」
キュノス/はい。
GM/「アンに反抗の気配はあったかい?」
キュノス/とんでもない。
GM/「そっか。じゃあ……助けてあげないとだね」
キュノス/もちろんです。むざむざ連れて行かれたのが気に食いませんな。連れ帰って思い知らせてあげないとあきません。
碧/……思い知らせるのは、アンちゃんの方かな、アキラの方かな……と思っているけど口には出さない。
キュノス/決まってます。
碧/口には出してないのに!(笑)
GM/「姉妹機であるキュノスもこんなに心配している。そこで2人に頼みだ。アンを連れ戻してきなさい。……ああ、キュノスは外へ出たことがなかったね。外を経験する良い機会じゃないかな?」
碧/お外デビューの準備をしていたところっすね。
GM/「頑張っておいで。帰ってきたら、ご褒美を準備して待っているから」
キュノス/感謝しますわ。頼むよ、しらはせのん。
GM/「帰ってきたらいっぱいペロペロしてあげるからね!」
碧/結構です! そういうのじゃなくて物理的に何か1年分とか報酬をください!(笑)
GM/「僕のペロペロと俺のペロペロと私のペロペロどれがいい?」
碧/一人称が違うだけで全部選択肢が「大山」じゃないですか!(一同笑)

 ミドルフェイズに入る前、相談の結果……マスターが碧、サーヴァントがキュノスで『契約』を行なった。

【AF判定シーンリスト】
※PC達の行動がそれぞれ終了したら、1ラウンドが終了する。
※1ラウンドの描写を1日とする。
※『契約』はミドルフェイズ前に可能。シーン内ではマイナーアクション扱いとする。


『AF判定:アンと交流』
 ・使用能力値:【理知】【幸運】
 ・難易度:30
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「アンと遭遇し、一時的に交流を深める」演出に成功すること。成功した場合、アンの話を聞くことができる。

『AF判定:アキラとの交流』
 ・使用能力値:【理知】【幸運】
 ・難易度:30
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「アキラと遭遇し、一時的に交流を深める」演出に成功すること。成功した場合、アキラの話を聞くことができる。

『AF判定:「大山との交流」』
 ・使用能力値:【理知】【幸運】
 ・難易度:50
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「大山の知っていることに関して知る」演出に成功すること。成功した場合、大山の話を聞くことができる。


GM/猶予は1ラウンドしかありません。2人プレイのシナリオなので、2シーンが終わったらクライマックスフェイズに突入します。AF判定をクリアーしたことで入手したイベントキーによって、エンディングが分岐します。
キュノス/どうしよう……。大山様、気になるは気になる。絶対何やあるんだろ?
碧/でも「難易度:50」だと2人掛かりになっちゃうだろうな。今回のPCは再行動系の特技を持ってないなー……どれを選ぶか。
GM/そんなに心配しなくても、令呪を使えば達成値+20ができるから余裕でクリアーできますよ。それにAF判定でクリティカル成功すれば達成値30固定です。あと、君達には……。
碧/2人とも、ダイスロール+10の≪機関「チルドレン」≫もあるしね! ……堅実にいくなら上の2つのAF判定かな。
キュノス/大山様をクリアーしないのは怖いけどな……ううっ、取捨選択しなきゃ! 中の人は大山様が気になるけど、キュノスとしては「なんであんな奴と行ったん!? なあなあ!?」って問い詰めたい(笑)
碧/なら、アンをクリアーしにいこうよ。
キュノス/アキラを選んで本当に「ここがアキラのハウスね!」をやってもいいんですけどね(一同笑)


 ●ミドルフェイズ1/碧 〜捜索〜

碧/まずは……俺がアンちゃんの交流を目指します。
GM/アンはPCが「いる」って言った場所にいます。お好きに描写をどうぞ。

『AF判定:アンと交流』
 ・使用能力値:【理知】【幸運】
 ・難易度:30
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「アンと遭遇し、一時的に交流を深める」演出に成功すること。成功した場合、アンの話を聞くことができる。


碧/≪霊的神経≫+≪神託≫で、アンの気配を察知したい。神様ー! あの2人どこ行ったか知らんー!?
キュノス/あー、また始まったわ。
碧/またって言うほど俺やってる!?(笑) 探索を始めると神様に訊く癖があるようです……あ、あっちっすか? ありがとうございまーす! 山道を探してみよう。
GM/碧くんにとってこれは「いつもの」なんだ?(笑)
キュノス/これが……おんも?
碧/そうだよ、おんもだよ。……街中にも出てみよう。おんもデビューのキュノスちゃんの支援もします、≪魂装支援≫。
キュノス/おんも! たゆんたゆーん!
碧/……ロリ巨乳に変態が寄ってかもしれないので、≪白き守り手たち≫で守ろう(笑) 手を出そうとしてきた奴がいたら≪悔改めよ≫!
キュノス/まあ、ありがとー。
碧/それでもダメだったら≪浄化の一撃≫、レイピアを投げるぞ! ……相手にやり過ぎちゃった場合は≪心霊治療≫して治してあげます。
キュノス/手ぇ出したらアカンよー(笑)
碧/ふう、疲れたので≪興奮剤≫を飲む。コーラでも飲んでよう。
キュノス/これが……コーラ!(笑)
碧/……街外れで2人を見つけたので、≪縛呪≫の応用で足止めをします。
GM/おっ、早くも2人を見つけた。どうやら2人は街外れに居たようです。特技を10個使ったので、『現在難易度:10』になりました。
キュノス/ふぁーいと! がんばがんば!
碧/【理知】で振ります。せいっ!(ころころ)……ヒィッ、危なかったけど達成値11で成功です!
キュノス/ギリギリで成功だ。ビックリした(笑)
GM/ここで失敗したら「しまった! 2人を逃がしてしまった!」という描写になっていましたね。ギリギリ君達は2人を捕らえることができました。ですがこのシーンは……「アンちゃんの交流」のため、アンとだけ話をします。アキラは逃げ出したことにします。
キュノス/アン……!
GM/アンを置き去りにしたのか、それとも他に何か考えがあるのか。アキラは一旦姿を消します。
碧/……アキラのことは気になりつつも、とりあえずアンを確保します。どうしたんだ、探したぞ!
GM/ビクッと怯え顔のアンは「ごごごごごめんなさい!」とすぐ謝罪。「き、キュノスちゃん、私を探してくれた……の?」
キュノス/当たり前よ! もーっ!
GM/一晩ぶりに会った彼女は、へなへなとその場に座り込んでしまいます。「ご、ごめんなさい……勝手に居なくなっちゃって」
碧/アキラに何かされなかったか? 大丈夫か? 怪我は?
GM/ブンブンと首を振ります。怪我も全然していません。
碧/……何があったんだ? 彼女が落ち着いて話ができる場所に行きます。
GM/では……誰も話を聞いていないような廃屋に居ることにしましょう。シュンとしたアンは「あ、あの……ごめんなさい……」と碧さんに話そうとします、が、キュノスちゃんの顔色をとても気遣っている顔をします。
碧/……ごめんなさいって謝るのはいいんだけど、大山様も心配してたし、俺達も心配してた。なんでアキラに連れ去られてこんな所まで来ちゃったのか、ちゃんと説明してくれないか。
GM/「あのっ! ……連れ去られたんじゃないの!」
キュノス/は?
GM/「……あそこを出ようって、提案したのは、私なの」
碧/…………。ステイ、キュノスステイ!(笑)
GM/キュノスちゃんが何も言わないで目で攻撃してきたのだけは判った(笑) キュノスちゃんの怒りが伝わってきたのでアンは「ひゃあっ!?」となります。
キュノス/何故!? なーぜ!? なんで!?
碧/キュノスちゃんを抑えながら……(笑) なんで脱走しようと思ったんだ? あそこでの生活が嫌になったのか?
GM/「……嫌になったから」
碧/……そっか。
キュノス/なんで!?
GM/「だって……お友達がどんどん減っていく。あそこにいたら私も……キュノスも……殺される! キュノスは知らないと思うけど、ここ、私達の両親が住んでいたらしいの」
キュノス/えっ。
GM/人造人間という設定だから、実の親なのか製作者なのかは分かりません。ですがおしゃべりな大山様が「アンちゃん達のお父さんお母さんの話」をしたのを聞いたのでしょう。「私……両親の故郷っていうの、どうしても行ってみたいと思って。そのことを……アキラくんに話したら『手伝う』って言ってくれて」
碧/あいつがぁ!?
キュノス/ほーん!?
GM/「あ、アキラくん、悪い子じゃないよ……」
キュノス/でもアカン奴だよ! アンを勝手に連れて行ったもん!
碧/……あいつがそんなことするのか。誰かに対して同情的な行動をするとは思わなかった。『逃げたいならお前一人で逃げろ』と言うような奴だと思っていたよ。
GM/「アキラくんは元々、脱走の計画を練っていたみたい。そこに私が偶然提案したから、一緒に行くかと誘ってくれたの。……でも、本当にごめんなさい。私がこんなことをしたら、キュノスの立場が悪くなっちゃうよね……」
碧/……どうしてキュノスを誘わなかったんだ?
GM/ハッという顔をします。「……わ、私……自分のことしか考えてなかった。キュノスのこと、大切なのに、自分勝手なことしか……ごめんなさい!」 涙ながらに謝ります。碧くんは『イベントキー:アンとの交流』を入手してください。
碧/これは、碧だけ入手?
GM/はい。アンのAF判定に成功した碧くんに従順になり、自分の行動を君に委ねるようになります。キャラロールで性格を演出することはあっても、アンの処遇の最終決定権を碧くんに託します。
碧/……キュノス。なんかごめんな。
キュノス/えーのんよ。私達は一蓮托生よ。
碧/……アンの事情は分かった。キュノスは、アンのことを許せるか?
キュノス/帰ってきたからねぇ。……アンをぎゅっと抱き締めます。これが、正しい姿なの。
GM/「……ふぇ……」 抱きついて、わんわん泣き始めます。
碧/もう1人……アキラの捕獲が残っているから、アキラと一緒に戻った方が大山様へ事情の説明がしやすい。アンの口から話をすれば、情状酌量もあるんじゃないかな。
GM/「はい……」
碧/俺も口添えする。反省さえすれば大山様も酷い折檻はしないと思うよ。
GM/「反省します……ありがとうございます」
碧/……あんな所がヤだって思う気持ちは判らないでもないけど、片割れには相談した方が良かったな。アンの頭を撫でながら言います。
キュノス/もー……そうやで。泣きそうな顔をしています。
碧/キュノスもあまり激昂するな。
キュノス/正当な怒りだもーん!
碧/アンのことを想うあまり怒ってばっかだったら、アンも怖がっちゃうだろ?
キュノス/……しらはせのんが、そう言うなら、分かったわ。
碧/じゃあ……残りの1人を捕まえにいこう!


 ●ミドルフェイズ2/キュノス 〜捕獲〜

キュノス/アキラを狙いにいきます。逃がさへんよぉ!
GM/獲物を狙う眼のように言ったな(笑) アンのシーンを優先するため、アキラは一旦逃亡したという演出にさせていただきました。ですが近くにいる筈なので、そのように描写していってください。

『AF判定:アキラとの交流』
 ・使用能力値:【理知】【幸運】
 ・難易度:30
 ・ラウンド制限:1ラウンド

※「アキラと遭遇し、一時的に交流を深める」演出に成功すること。成功した場合、アキラの話を聞くことができる。


キュノス/逃亡したアキラを追っかける! 逃げた方角を追いかけます、≪見通す眼≫。
GM/どんな所でも見通すぜ。
キュノス/どこに隠れても見つけだしたるわー! アキラは攻撃特化系だろう、ならば戦う者としての知恵を……≪軍神の知恵≫があればどこに隠れているか予想ぐらいつくわ!
碧/怖いよう(笑)
GM/完全に戦う者の目になっている。しかも街中で戦闘する気だな?
キュノス/ふふふ、アキラには都合の良い所に逃げてもらおう(笑)
碧/特撮にありがちなドカーンしてもいいような廃墟に行こう。S玉スーパーアリーナとか。
キュノス/じゃあアキラにはS市スーパーアリーナに逃げてもらおう! ここがアキラのハウスね!
GM/セッション前にあたためてきたネタを使われた!(笑) ……某スーパーアリーナに逃げてきたアキラは、キュマイラだし「変身ッ!」とか言うべき?
キュノス/こちとら人造人間だいっ!
碧/どっちが悪役なんだろう……(笑)
キュノス/後ろ姿に飛び掛かる。
碧/警告無し!(笑) 碧の「ステイ!」の声も届かなかった!
キュノス/この泥棒猫がっ!(一同笑) 逃げようとするアキラには≪光の一手≫、目を潰してやるわ。
碧/ひどい!?(笑)
キュノス/アキラを怯ませる。……今ならやりたい放題。≪武闘家の血≫があれば、そんなメチャメチャな攻撃なんて効かへんわ。当たったとしても≪熱血の防壁≫によって生半可な攻撃は通らない。
GM/反撃を試みるアキラ。こっちも必死だよ。
キュノス/≪命の糧≫もある私にはカスリ傷やわ。≪撃滅≫+≪斬り返し≫で攻撃、≪聖戦士の血≫で応対! こっちが正義やよ!
碧/いやいや、それはいいのか(笑)
キュノス/動きを止めるためのトドメとして、鎖鎌で縛りながら……地面にダンッと叩きつける! これで、しまいや。これが本当の≪希望の勇姿≫や。
碧/いや……それもどうなんだ?(笑)
GM/おおっ、スキルウェポン鎖鎌使いか。カッコイイ。これで特技10個使ったので『現在難易度:10』だよ。
キュノス/【幸運】で判定をします。(ころころ)達成値14で成功です。ここまでにしておいてやるわ!
GM/鎖鎌によって縛られ、ガンッと冷たく固い地に叩きつけられたアキラ。完全に無力化します。(アキラになって)「グッ……」
キュノス/この泥棒猫が。大事なことだから2回言わせてもらうわ。
GM/縛られた状態で倒れてながらも睨みつけるアキラですが……一言。「アンは、平気か」
キュノス/お前がそれを言うんか。無事やわ。
碧/碧の後ろにアンはいます。
GM/アンの無事を確認したアキラは、「良かった」というかのように頷く。
キュノス/なんなん? なんなん!? なんなーん!?
碧/ステイステイ! ていうかお前何なの!? アンの男みたいな態度しているけどアキラ何なの!?(笑)
GM/察することは、できませんか?
キュノス/……察したくないわ、しらはせのん。
碧/……お前は、アンを助けたくて一緒に脱走したってことでいいのか?
GM/「ああ。……アンを、助けてあげたかった」 肯定します。
碧/……現実だな、これ。
キュノス/嘘やわ。そんな。こんな奴がそんな情緒あること言うわけないやろ。嘘だって言うてや、アン!
碧/……よし、直接的に訊こう。アンはアキラのどこが好きになったの!?
GM/えっ、それ訊く? (アンになって)「……アキラくんは……優しいよ」
碧/はっ!? 優しいか!?
キュノス/しらはせのんと顔を見合わせましょう!(笑) 我々の知らん間にそんなことしてたん!?
碧/アキラ、お前はアンちゃんのどこが好きになったんだ!?
GM/ええっと……即席でNPC同士が好意を抱くようになった理由を作りますね。アンが大山にお触りされたとき、アキラは大山を齧ってそれを助けました。アン的には大山に対して嫌悪感は無かったし、キュノスちゃんがその行為を認めるなら平然と飲み込む気概でした。ですが、それをアキラは常識的に咎めたのでしょう。
碧/なるほど……そこから、意識するようになったと?
GM/大山を齧ったアキラは激しい折檻を受けました。そのときの怪我の治療はアンがして……。そこからは、アキラが怪我をするたびにアンが付き添うようになったのでは?
キュノス/ええ話やないの……(笑) だが相手がアンだ!
碧/同担拒否、怖い(笑)
キュノス/……言いたいことは判ったわ。アキラ、もう抵抗はしないん?
GM/しない、というか、できませんね。
碧/大人しく2人が帰るのであれば、俺達も2人に危害を加えることはまずしない。大山様の方にも頼むことはできる。口裏を合わせるのに協力してくれるなら、もう少し譲歩できると思うぞ。
GM/……という訳で、キュノスちゃんは『イベントキー:アキラとの交流』を入手してください。効果の主導権をキュノスちゃんが持つことができるようになりました。
キュノス/ウケる。私が上やわ!
碧/あの戦闘でマウントを取ったのが原因かな?(笑) 真実を含ませつつ、マイルドに……「アンの両親が住んでいた場所に行きたかっただけだ」と言おうか。2人が反省した姿を見せれば……なんとかかんとか……!
キュノス/気の迷いだったってことでええかな。私もイイカンジに大山様にデレデレしとくわー。……アキラ気に食わんけど、アレ苛めるとアンが嫌がるんやろ。しゃあないわ。
碧/お姉ちゃん、我慢ですよ。ぐっと我慢ですよ!(笑)
キュノス/んもぉ……「お姉ちゃん」言われると弱いわぁ(笑)


 ●トリガーイベント 〜思惑〜

GM/君達は機関に連絡して、アンとアキラの2人を連れてすぐに本社へ戻ることができました。大山はすぐに執務室に通してくれて、会ってくれます。大山は、アンに対して「大丈夫だったかい。怪我はないかい」と心配してくれますね。アンは「申し訳ございません」と誠心誠意謝罪します。
碧/脱走の意思があったことは伏せつつ、気の迷いですと強調させておきます。
GM/その謝罪に大山は「ちゃんと反省するんだよ。じゃないとキュノスちゃんが可哀想じゃないか」と言います。
キュノス/うんうん!
GM/アキラに対してですが、「檻に入ってもらう。反省はそこでするように」と言います。まるで許してくれるような顔ですね。
碧/……良かったな、だと、いいなぁ。
GM/では……ここで所持しているイベントキーの確認を行ないます。PC達が『イベントキー:大山との交流』を持っていない場合、ここで難易度20の【幸運】判定が発生します。挑戦をお願いします。
キュノス/クリティカればいい話やわ。もしくは、チルドレンの力を今ここで!(ころころ)無理。
碧/俺達のチルドレン力が火を噴くぜ!(ころころ)……おっ、10だった。ここで≪機関「チルドレン」≫を使います。達成値20です! 成功しないと殺される!
キュノス/マジで!? 殺されるか!?
GM/いや、GMはPCを殺すときはちゃんと事前に警告を出します(笑) それに私は殺したいとき、クライマックスフェイズで殺します。
キュノス/でも殺されそうじゃん! 私も≪機関「チルドレン」≫使用して、達成値20にします! 我々は賢いチルドレンなので!
碧/我々は賢いので、使い時を間違えないのです!(笑)
GM/2人とも成功させちゃったよ……(笑) アンは自室謹慎、アキラは牢獄監禁となりました。それでお開きになりましたが、その夜……「成功したPC2人は、大山の話を偶然聞いてしまう」というシーンをしようと思います。
碧/じゃあ……俺は大山様に、夜に会いに行こう。あの後のアキラの様子が気になるし……。
キュノス/「アンのこと、ありがとうございました」ってキュノスも言いに行こう!
GM/大山の元へ行こうと2人で向かっている途中。廊下で……大山が、頭垓の研究員と話している姿を発見します。
キュノス/……あれあれ? どこの部署のもんなん?
碧/どう見ても頭垓です、本当にありがとうございました。
GM/「あのゲッソリした顔は頭垓!」みたいな特徴でもあるの?(笑)
碧/あのくたびれた白衣は頭垓! なんて可哀想!(笑) ……なんかさ、大山様と頭垓の研究員の組み合わせって、怖くない?
キュノス/何の話をしているのかねー……? なんやなんや、コッソリ聞いちゃお。だって頭垓のゾンビみたいな顔と話したい?
碧/出来ればあんまり頭垓とは関わりたくないんだよね(笑) 盗み聞くんじゃなくて、お話が終わった後に行こうって感じです。
GM/(大山になって)「という訳で、例の薬についてだけど。アンちゃんが戻ってきてくれたからそれで薬を作ってくれるかな」
キュノス/……うん?
碧/……アンちゃんを、使って? それを薬に? ……原材料は……。
GM/アンちゃんです。「いやあ、良かったよ。アンちゃんが戻ってきてくれて。じゃないとお気に入りだったキュノスちゃんが聯合されちゃうところだったからね」
碧/……ひえ……。
GM/「もっとキュノスちゃんでペロペロしたかったから、本当に助かったよ。なにより……あんなに大事にしているアンちゃんが突然聯合されたと聞いたキュノスちゃん、渾身の絶望顔を見せてくれると思うんだ! そのタイミングでレイプしたい! めっちゃくちゃ盛り上がると思うんだよー!」
キュノス/…………。知ってた、知っとったわ、大山様がこういうキャラだって(笑)
碧/うん……こういう直接的なことを言うNPCだって中の人は知っていたのに……(笑) あ、そういえばアキラは!?
GM/えっ? 特に無いよ。
碧/……折檻で殺すとかは?
GM/無い。大山は興味無し。大山の命令は「アンちゃんを連れ戻せ」だったし。
碧/……そ、そっかー……そうだ、そういう仕事だったな……。
GM/残り1つの大山を攻略するAF判定をクリアーした場合、『イベントキー:大山との交流』を入手できていました。イベントキーの効果は「大山の考えを好きにできる」です。……今回のセッションでは、PC達はそれをゲットできません。なので、今回の大山は君達の意思を無視します。
碧/……ど、どうする?
GM/では、ここでクライマックスフェイズに至る相談を行なってください。PCが何をするかによって、GMはシーンを作成します。もし「何もせずに寝ます」と行動を起こさない場合でもGMが用意したイベントが発生しますので、自由に決めてくれていいですよ。
碧/…………。この話を聞いた後、大山様に会いに行くか?
キュノス/えっ……話すことなんて……「やめてください」としか言えませんよ……?
碧/「やめてください」って言いに行く?
キュノス/でも、大山様はPC達の話を聞いてくれないんでしょ? イベントキーが無いから……。ちょ、ちょっと……アンの代わりになる奴はいないんですか。
碧/代わりになる奴は、君だよ。
キュノス/…………。
碧/…………。あの……若干パニクってるキュノスちゃんを一旦置いて、碧は大山様のところに行きたいです。
GM/では碧くんは大山と廊下で会います。「モンスター サプライズドユー!」
碧/エンカウントしたみたいな言い方で『すしざんまい』のポーズはやめてください!(一同笑) ……すみません、今から大山様のところに行こうと思ってたんですが、お話が聞こえちゃって。
GM/「ふむ、お話?」
碧/……アンは、どうなるんですか? 改めて訊きますね。
GM/「ああ、さっきの話か。アンは聯合する予定だったんだ。彼女の肉体は霊薬の相性が良くてね、彼女を材料にして≪薬物調合≫をすると10D6点回復の≪興奮剤≫が作れるんだ」
キュノス/ひあっ、なんだそれ!
碧/凄い、[処刑人]大喜びじゃないですか。
GM/「凄いだろ? しかも≪興奮剤≫は[一般特技]だから誰でも使える特技になるんだよ。良い素材だろー?」
碧/そうですね。……そのために、俺達に連れ帰してきてと言ったんですか。……曲がり角にいるキュノスちゃんに聞こえるように言います。
GM/「そうだよ」 大山も聞こえるように言います。
キュノス/……う……。
GM/「同じ血肉であれば、同じ薬が作れるだろう。もしアンちゃんが失踪したままになったら、キュノスちゃんが代役になるところだった。でも、キュノスちゃんって可愛いだろ? 天使みたいだろ? 搾りカスになんかさせたくないだろペロペロしたいだろ?」
碧/…………。つまり、自分の姉妹を殺させるために、連れ戻させる真似をしたんです? 批難めいた顔をします。
GM/「ふふ。碧くん、良い顔をする」 その顔はそんな顔をする君も見たかったよと言うかのようです。
碧/こ、こいつ……!(笑) 苦虫を噛み潰したような顔をしつつ、アキラはどうするんですかと尋ねます。
GM/「アキラ? また何度も暴れるようだったら聯合も考えるが、今のところは何も考えてないよ」
碧/ですが、アンの身に何かあれば、アキラはきっと手が付けられなくなりますよ。……キュノスも、あれだけ慕っている姉妹のことですから、あまり良い影響は及ぼさないんじゃないですかね。
GM/「忠告してくれるんだね、ありがとう。アキラの拘束を強めておくし、キュノスちゃんをいっぱい可愛がるよう気合を入れるとするよ」
碧/……全然、この人には、効かない……。
キュノス/むしろ、敵に塩を送ってしまったかのよう……(笑)
碧/……ど、どうするかな……なんて言えばいいんだ……。
GM/この『エンジェルダスト』のクライマックスフェイズは、ある意味このシーンにあります。誰を生かすか、みんな生かすか、みんな死ぬか。どういう選択をしても構いません。イベントキーがあるアンとアキラはPCの言うことを聞き、イベントキーが無い大山はPCが反抗的態度を取った場合、それなりの対処をします。
キュノス/それなりの対処……。
GM/それなりの対処です。大山は優しいおじさんですが、キャラクターレベル30のデータを所持しています。
キュノス/知ってます、『舟卓』で戦ったこともある……(笑)
GM/『舟卓』は乱戦するセッションだったので大幅弱体化してました。今回は、フルスペックです。対象レベルはキャラクターレベル20ぐらいのセッションで使うようなデータです。
碧/自分は某セッションで大山様と戦ったことあるけど、少なくとも、キャラクターレベル5のPCが2人で戦って勝てる強さじゃなかったよ……(笑)
GM/勝てないと思うのなら、どうする?
キュノス/…………。
碧/…………。大山様、いつ、アンを聯合するつもりなんですか?
GM/「明日にはアンの聯合をするつもりだ」
キュノス/明日だってよ!? 早くない!?
碧/大山様の悪趣味に口出すのは癪なんですけど……ちょっとだけでもいいので、アンとキュノスとアキラで、一緒に過ごさせてあげてはくれませんか?
GM/「一緒に過ごす?」
碧/最期のお別れをさせてやりたいんです。
GM/それは……碧くんとしては、「アンが聯合されて死ぬという未来を受け入れる」でいいのかな?
碧/……碧は、逆らえません。とりあえず、俺に出来るのは、3人で会う場所を提供してやるまでしかできない。そこから先の最期の別れをするも良し、3人で手を取って……逃げるのも良し、なんじゃないかな。
GM/なるほど。……キュノスちゃんとしては?
キュノス/え、えーと……えっと……。
GM/アンちゃんには手術があることを言う? それとも何も知らないままにしておく?
キュノス/……ど、どうしよう。どっちがいいだろう……。
碧/そもそもキュノスちゃんはどうしたいかって話だよ。逃がしたいのか、逃げたいのか、受け入れるのか、だからお別れを済ませたいのか。……碧は、ここまできたら見届けるしかないんだよ。
キュノス/しらはせのん……。う、うう……。に、逃がしたい……。
GM/逃がしたいか。
キュノス/……逃がしたい……いや、逃がしたくない……。
碧/逃がして、お前1人だけ残すのか。お前が死ぬぞ。
キュノス/やだー……あかんわー……アンといっしょにいたいわ……。
碧/アキラに同じことを伝えると、キレるよ。
キュノス/わかるわー……。
碧/でも、伝えたら伝えたで、アンを逃がす大きな戦力になるのは間違いないよね。
キュノス/せやね……。ほんまに、どうしたらいいんやろ……しらはせのんは、逃がすの手伝ってくれるの?
碧/…………。俺はね、組織から逃げるという選択肢は無いんですよ。そっちが逃げても、逃げなくても。
GM/碧くんは出て行く気は無いと。
碧/キュノス達がいてもいなくてもね。……だって、ねえ、責任取る奴は誰か必要じゃん?
キュノス/……お尻拭きか?
碧/そうそう、ここまでお膳立てしちゃっているからね。あとは当事者で決めて。何とかしてやるから。
キュノス/心強いわ……。そっか……それも悪いなあ。どうしよう……選択肢がいくつもあって、どうしよう……。
碧/……でも正直、俺も「どうしよう」とは思ってる。……アンが薬になったとしたら、キュノスはどうする?
キュノス/……私も薬になって「私達いつまでも同じよ」とか言い出すかもしれない。
GM/キュノスちゃんも薬になってくれるの? じゃあ20D6点回復の薬物ができそうだね。
キュノス/みんな死ぬか!?(笑) ……それにそのルートなら、4人死ぬより2人死ぬだけじゃん。私達が薬になって、いつか困ったとき……私達を飲んでねって言えるね。
GM/では、どうしますかね。
碧/…………。
キュノス/…………。薬になるルートで、いいと思う。……いっしょに……。
碧/いっしょがいいか。
GM/アンだけじゃなく、キュノスも聯合を自ら名乗り出るルート。それでいきますか?
キュノス/……はい。
碧/それなら……大山様に甘えます。みんなで会える場所を用意してもらえたら嬉しいって。
GM/(大山になって)「手術室の前の個室でいいかな?」
碧/ひでえ話だ!?(笑)
キュノス/ひでえ話だよ!(笑) ……大山様が去って行って後、キュノスは廊下で、ペタンと座り込んでいますね。
碧/…………。
キュノス/……しらはせのんの裾を掴んで、グスグスと泣いています。
碧/よしよし……まさか、こんなことになるとは。……ごめんな、力になれなくて。
キュノス/しらはせのんは……ようやったわ。ええんよ。よう時間を稼いでくれたわ……。あかんわ。あかんわ。泣いてしまうわ。……
碧/…………。ヘバってる彼女を抱き上げます。どっこいしょっと。
キュノス/たゆーん。ばいーん。
碧/はいはい、おっぱいがめっちゃ当たる。……そのまま3人で会える場所に、大人しく行きます。


 ●クライマックスフェイズ 〜最後〜

GM/アンが聯合される日。いや、キュノスも聯合される日。碧とキュノスとアンとアキラは、とある部屋に通されました。おしゃべりができるような4人掛けのテーブルがある普通のお部屋です。
碧/みんなで会える場所を用意してもらえた。
GM/テーブルには自由に食べられるお菓子やジュースもあるよ。ホワイトロリータとか。
碧/大山様の好きそうな名前だよね!(笑)
キュノス/小学生かッ!(笑) ……もうやだ、暫くあの2人を2人きりにして帰りたい……。
GM/そんなアンとアキラの2人は「アキラくん、ひどいことされてない?」「されてない。お前が無事なら俺は構わない」「あ、ありがとう……私は、キュノスにこれ以上迷惑を掛けないようにしなきゃ」って笑顔で控えめなおしゃべりを楽しんでいます。
碧/的確にプレイヤーの心を抉ってくる!(笑)
GM/確認ですが、アンには自分が聯合……殺されることを言いますか? アンのイベントキーを持っている碧くんが決めてください。
碧/……言いません。何も知らずに、眠ってもらいます。
GM/もう1つ確認ですが、アキラにはアンが聯合……殺されることを言いますか? アキラのイベントキーを持っているキュノスちゃんが決めてください。
キュノス/……言わない。
GM/かしこまりました。2人はここでの楽しいおしゃべりが、最期のおしゃべりになるでしょう。何も知らないアンとキュノスは何気ない会話を楽しみます。
碧/……碧から、言うことは何もありません。
GM/……数時間後。お時間が来ます。どういうタイミングでアンを部屋の外に出しても構いません。アンちゃんは今後のことを一切知らされていないので、深刻な顔をしているキュノスちゃんに「どうしたの……?」と心配します。
キュノス/なんも無いよ。
GM/「……まだ、怒ってるかな。私……本当に反省したの。……どこか行くという相談なら、必ず碧さんを通す。そうしないと、キュノスが心配するって判った。……私、キュノスのこと、好きなのは変わらないから」
キュノス/そうよ、ずーっと私と一緒やな。……それで、私達お外に出たでしょう? 一回精密検査を受けないといけなくなったんや。私も外に出てヘトヘトやわぁ。疲れたから、2人ともベッドを用意してもろてるのよ。
碧/2人は大山様のお気に入りだから、念入りにチェックしておかないとな。
GM/アンは「そっか」と納得する。アンは、死にに行きます。
碧/……これからは何があってもキュノスとは離れ離れにならない。お姉ちゃんのことを大切にな。
GM/「もちろんです。ちゃんと私、反省してますから。ずっといっしょです!」
碧/頭を撫でる。……キュノスの方も、お姉ちゃんをしっかりな。
GM/コクッと飲んだらスヤッと倒れる睡眠薬で彼女は眠ります。……さて、その薬をキュノスちゃんも飲もうとしている訳だけど、大山はキュノスちゃんに言うよ。(大山になって)「君も、薬になりたいだって?」
キュノス/そうよー、大山様には悪いことしたわー(笑) でも……アンタはんも気になるでしょ、私達2人で出来た薬のこと。
GM/「話を聞いたときぶっちゃけ射精した」
碧/拭いて!(一同爆笑)
キュノス/脱いで! 着替えて!(一同笑)
GM/「気にしないで。メッセージウィンドウで下半身は見えないし続けて」
キュノス/メッセージウィンドウありがとう! でも下が気になるー!?(笑) 今まで私達を見てくれてありがとう。大山様にお辞儀をします。……しらはせのんのこと、あんまり、苛めないでおいてね。
碧/お前ってやつは……良い女だなぁ(笑)
GM/「良い女だなぁ」と言いながら、大山もシーン退場しますね。
キュノス/……しらはせのん。短い間だったけど、良い時間だったよ。
碧/……別に悪いことしてないのに、こんな結果になるとは判らなかった。でも、お前の想いは尊重したいと。
キュノス/そっかぁ。なら、薬になって、飲まれるなら……しらはせのんに飲まれるのがいいわ。だから……私達を飲めるぐらい、えらいところまでいったってね。
碧/≪興奮剤EX≫って、キャラクターレベル8で取得できる?
GM/それ以上の効果の薬物ですけど、だいたいそれぐらいのレベルで取得できそうですね。
キュノス/その薬物を飲む許可が下りるぐらい、立派な立派な人になったってね。
碧/それぐらいになるまで俺が生き残っているといいなぁ。……俺とアキラが飲む分ぐらいは残しておいてもらいたい。
キュノス/たくさんになるよ。だってこれだけ持って生まれてきたんだから。ゆっくり偉くなったって、しらはせのんが生きていれば、飲む順番が来るよ。……そう行って、アンと一緒に、処刑場に搬入されていきます。
GM/キュノス自身もその先は、眠るかのように逝くことができるでしょう。
キュノス/……先に眠ったアンを撫でる。……私は全部、この体に持っとる。お前のその体は何も持たない、綺麗なままや。綺麗なままで逝こうや。……瞼を閉じます。ではまた。
GM/そう言って、君は眠り……キャラロストとなりました。お疲れ様です。エンディングフェイズに参りましょう。


 ●エンディングフェイズ 〜最期〜

GM/数時間後、とある薬が完成しました。アンとキュノスという素材によって造られたアイテムは、オートタイミングで【HP】と【MP】が20D6点も回復するという薬物です。効果は1シーンに1回。何度でも使えるものですね。
碧/凄い効果だ……。きっと、赤い血のような薬なんでしょうね。
GM/だろうね。2人の血肉によって作られた素晴らしい薬だ。頭垓の研究員達は「凄い物が開発できた!」と湧き立つでしょう。大山は……薬物が完成した報告を、碧くんにもします。
碧/……まあ、そうですね。医療班が持つのがいいんじゃないですかね。しれっと言います。
GM/(大山になって)「敢えて口に出させてもらうよ。欲しくないのかい?」
碧/喉から手が出るほど欲しいに決まってんだろクソ野郎。
GM/「なら喉から手を出してごらんよ」
碧/…………。大山様のもとに行って、瓶を取る前に……大山様の襟首を掴んでそのまま顔を近付ける。
GM/わお。
キュノス/うわーお!?(笑)
碧/します。……突き放します。……これで、貰っていっていいですか? 死ぬほど嫌という顔をしながら言います!
GM/「…………。いやあ、あっはっは。そこまで根性を見せる子だとは思わなかったよ。碧くん、持って行くがいい」
碧/失礼しました。深々と頭を下げて、大山様の前から去ります。……薬を2つに分けてから、アキラのところに行きたい。
キュノス/分けられた。
碧/自分の口から、アキラに事情を説明します。
GM/それを聞いたアキラは、怒りを露わにします。
碧/それに対しては、冷徹な顔で対応します。
GM/アキラは逆に声を荒げ、掴みかかる勢いです。(アキラになって)「お前は……!? お前らは! アンを殺すために連れ戻したんだな!?」
碧/結果的にはそうなった。
GM/「俺が連れて行かなくてもあいつは死ぬ運命だった。……ああ! 知ってたよ! ここは、そういう所だったよな!」
碧/……アキラに、瓶の片割れを手渡します。これがあの2人の、命の結晶だ。この瓶を叩きつけるなり、飲むなり、誰かに渡すなり、それはお前の好きにしろ。ただ……これを持っているのは、俺達2人だけだ。2人の命の片割れを、どう使おうが俺は知らん。
GM/……アキラは受け取ろうとして、手を引っ込めて、何度も悩んだ挙句、結局は瓶を受け取ってしまいます。飲み干すことも割ることもせず、ずっと瓶を見つめ続けます。
碧/……こんな生活、正直クソだと俺も思うけど、ただ、俺はここから抜けるにはちょっと長く居すぎた。ただ……お前みたいな野生児がこんな山の中で生きていくのは不便だろうし、ここからまた脱走したいなら、それが必要だろ。
GM/脱走を容認するんだ。
碧/お前が出て行ったところで、俺はお前の監督官じゃないからどこも痛まん。好きに生きろ。
GM/その瓶を持ったアキラは……まるで割るかのように強く握り締めて、「チクショウ、今すぐ決められるかよ……!」と呟く。
碧/復讐の牙を研ぐのも、ここで飼い犬になるのも良し。外に出ていくのも、それもまた自由だ。……一切今後関知しないという雰囲気で、立ち去ります。


    ◆


GM/キャラロストしたキュノスのエンディングシーンをします。キャラロストしたキャラクターのエンディングでは回想シーンでもいいし、魂だけの存在で好きなことをしてもいいし、自由に演出を任せています。キュノスは何がしたいですか?
キュノス/しらはせのんは……幻覚が見たい? それとも過去に思い出が欲しい?
碧/じゃあ、幻覚を見ようかな。そうだな、それだったら……機関解体事件のときに、めっちゃ瀕死の重傷を負いたいです。
キュノス/おおっとぉ!? 機関解体事件の本番!?(笑)
GM/……『AW』本編ら約10年前の12月31日。レジスタンスや機関の勢力がぶつかり合い、戦闘が起こり、邪神が復活して機関があった陵珊山が大炎上したあの日。碧くんは居たんですね。鶴瀬の「はいみんな殺すー」の場に。
キュノス/キャー! 鶴瀬さんカッコイイー!(笑)
碧/異端絶対殺すマンこわーい!(笑)
GM/凄まじい戦いだった。レジスタンス達が押しかけたときから戦闘は始まっていた。そして邪神という恐ろしい化け物が召喚されてから、敵味方関係無く殺し合う地獄が始まった。……碧くんも、その戦火の一人。ある少女の刀に斬りつけられて、ひどい重傷を負った。
碧/ぐあっ。
GM/その少女もまた斬られて重傷を負い、仲間に背負わされながらその場から去って行く。君は重傷を負って、動けない。助けにきてくれる味方はいるだろうか。
碧/……ひどい傷を負う。手元には……薬がある。けど、瓶を見つめながら……。
GM/見つめながら。
碧/……瓶の蓋を開けない。
キュノス/……飲まんの?
碧/……という、声が聞こえる。
キュノス/飲んでまえー。
碧/悪夢のささやきかよ。
キュノス/【HP】1から全快やよー。……しらはせのん……飲まんの……?
碧/……いや、だって……。飲まずに、その瓶を握り潰します。
GM/パキン。
キュノス/あーん。……いけず。
碧/自分の血と……2人分の血が混じった赤い薬が混じって……て真っ赤に染まった手を、自分の胸に置きます。……3人分。これで、いっしょだろ……。
キュノス/もーう。……倒れたしらはせのんの首に、手を回します。返信が遅いんよー。……地獄で一緒に一杯やろうや……。
碧/……満足げな笑みを浮かべて、息を引き取ります。


 アナザーワールドSRS
   『 エンジェルダスト 』   END







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