アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 忘却の彼方になるエゴイスト 』第1話 1ページ ■
2016年3月12日




 ●プリプレイ

 2016年3月12日。『アナザーワールドSRS(以降、AW)』も4版が発表されて早1年以上が経過。
 戦闘シナリオも数をこなしてきたGM・マーサーと、幾度も高レベルセッションに参加したなちこMUMAしゅうらの3名がセッション会場に集まっていた。


マーサー(以降、GM)/皆さん……お集まりいただきありがとうございます……。
プレイヤー2・MUMA/す、既に死にそうな声ですね(笑)
GM/いえ、今日は死ぬ訳にはいきません……今日は「殺してもらうセッション」ですから! 万全の準備はしてきました!
プレイヤー3・しゅうら/わーい、倒そうー!(笑)
GM/先に、今回のセッションのコンセプトをご説明します。……私はたくさん『AW』のセッションGMをしてきた中で、たくさん敵データを作ってきました。過去5年間で、唯一「PC達に倒されなかったキャラクター」がいるんです。
プレイヤー1・なちこ/はい……。
GM/剣菱 一本松(けんびし・いっぽんまつ)という人で、長編小説『さわれぬ神 憂う世界』の登場人物でもありました。『機関』に所属している戦士という設定で、「人外狩り」という名目で多くの人達を殺してきたという異端犯罪者のキャラでもあります。作中では、『機関解体事件』で処刑されたことになっています。ちなみに、顔はこのような方で……。



GM/1年前にMUMAちゃんとしゅうらちゃんが参加するセッションで、敵キャラクターの1人として登場させたんですが。
プレイヤー2・MUMA/勝てませんでした。……くぅ、殺したかった〜!
GM/そのセッションの勝利条件が「○ラウンドまでPC達が生き残れ!」という防衛戦だったため、PC側は勝利したんですけど倒さなくても良かったんです。……その半年後、また一本松をボスデータに出して機関シナリオのGMをしたんですが。
プレイヤー3・しゅうら/今度は、戦闘回避しちゃったんですよね……。
GM/「PCがあるマップまで到達したらクリアー!」という撤退戦だったため、これもPC側は勝利したんですけど倒さなくても済んだんです。……その後、また一本松をボスデータとして出したところ、今度は全滅。「PCに倒されるために作ったボスデータなのに未だに勝てた人がいない」というキャラクターになってしまいました。
プレイヤー2・MUMA/なので、今日こそ倒しましょう!(笑)
GM/ええ、今日こそ倒してもらいましょう! 私怨だだ漏れのセッションですみません!(笑) データは今まで使ったものから変えていません、4度目の正直の勝負をここで決めたいと思います。
プレイヤー3・しゅうら/GM、今のうちにダイスの出目を落としておいてください。
GM/う、うん。私、ダイスの出目高いから……今のうちに呪いでもなんでも受けます(笑)



 アナザーワールドSRS シナリオ名『忘却の彼方になるエゴイスト』



【レギュレーション】
 『4版』ルール使用。キャラクターレベル12で開始。戦闘重視の機関シナリオ。レベル30のキャラクターとの戦闘をテーマにしている。
 以前のシナリオで使用したボスキャラクターの流用するが、『3+版』→『4版』ルールコンバートによるデータ改変しているので注意すること。
 機関が教会に解体されず脅威をふるっていた2000年初頭頃が舞台。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:剣菱 一本松  関係:懐旧  推奨クラス:前戦系

 君は『機関』に所属していた研究者、もしくは『機関』に協力していた能力者だ。
 かつて共に過ごした知人がいる。少年時代から武器を取っていた彼は、君と約束をした。
 「俺が道を誤ったなら、お前が処刑してほしい」
 彼はその約束をおそらく覚えていない。このことを記憶しているのは、自分だけだ。
▼セカイのイベント:闇の衝動に敗北した彼と再会する
▼コネクションNPC1:剣菱 一本松(けんびし・いっぽんまつ)

 『機関』の本部メンバー。機関の荒事を受け持つ第三部署『朱指』の責任者。機関で「最強の戦士」と言われている。
 PC1とは10代のときに知り合い、親しくなったが今は随分長く会ってない。(舞台設定や時代はPC1の年齢に合わせる。彼の年齢を20代にしても30代にしてもよい)
 現在は『異端堕ち』をして狂気の戦士と化しているが、少年時代は己の中に潜む『闇の衝動』に悩んでいた。
 10代後半のときに愛しい人を殺めてから、『異端堕ち』を誘う悪魔の声の虜になってしまう。PC1はまだ自分の在り方と悩んでいた頃に出会う設定。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:機関  関係:自由  推奨クラス:後衛系

 君は『機関』に所属していた研究者、もしくは『機関』に囚われていた能力者だ。
 非人道的な研究を繰り返す地獄から生還し、普通の生活を送れるようになった君。あのような事はあってはならない。
 異端狩りと称した能力者狩りを行なう『朱指』の悪行をついに明かすときがきた。
 戦わなくては。己の過去を清算するために!
▼セカイのイベント:機関と戦う
▼初期配布イベントキー:≪キメラの翼≫

 タイミング:オート※  対象:単体  射程:視界  代償:なし
 戦闘に赴く君に持たされた特製の魔道具。どんな結界などが張られた状況でも生還させる魔法のアイテム。
 対象をシーン退場させる。タイミングは令呪の強制退場ルールに則る。シーンに再登場したい場合、【体力】もしくは【幸運】判定難易度12に成功すること。1シナリオに1回まで使用可能。

【ハンドアウト:PC3】
 ハンドアウト1かハンドアウト2を兼用する。
 ただし、ハンドアウト2を兼用しても初期配布イベントキーは取得できない。

【その他】
・[アーティスト][イレギュラー]取得禁止。
・『異端堕ちルール』解禁。『英霊ルール』禁止。『神のライフパス』はGMと応相談で取得可能。
・ミドルフェイズは1ラウンドのみ、AF判定に成功したらボーナスが発生するが戦闘特化シナリオである。


GM/ただ戦闘をするだけのセッションでも良かったんですが、「どうせならドラマも楽しみたい」ということで簡単なシナリオを付けてみました。
プレイヤー1・なちこ/1ラウンドで終了して、すぐ戦闘ができるシナリオなんですね。
GM/戦闘重視には変わりないけど、それでも「彼を倒そう!」というモチベーションを上げるには良いかと思いまして。もちろん途中のAF判定に成功したらボーナスが発生するよ。シナリオの舞台は2000年初頭、鶴瀬総支配人による『機関解体事件』が起きる前です。それではキャラクターメイキングをしましょう!

 こうして相談の結果。
 なちこがPC1ハンドアウト、MUMAしゅうらがPC2ハンドアウトを選択し、キャラメをすることになった。


GM/キャラクターレベル12の高レベルPCを作ってもらえたので、早速ですが自己紹介をお願いします。

プレイヤー1・なちこ(以降、榴湖)/キャラクター名は、登 榴湖(のぼり・りゅうこ)。47歳の男です。クラス編成が[感応力師]8レベル、[処刑人]4レベルです。とにかく薬を作って回復させます。
プレイヤー3・しゅうら/回復役ですね。
榴湖/昔、機関で働いていた研究者です。何にも考えないでヘラヘラお薬を作っていたんですが、思うところがあって機関を8年前に脱退しました。現在は薬局で薬剤師をしています。
GM/機関は閉鎖的な場所だと思われがちですが、実はちゃんと成果を世に出してる企業です。裏ではいけないこともしていますが給料や休暇もちゃんと出るホワイト企業なので、ちゃんと退職手続きを取れば辞めることだってできます。
榴湖/ちゃんと手続きを取らないと、地獄の底まで追いかけまわされるけど(笑) 企業秘密を漏らすとドツキ回されるんですよね!
GM/ええ、地獄の底まで黒服の戦闘集団『朱指』に追い回されます。その朱指に所属しているのがNPC1ですね。……榴湖さんは現在、教会の依頼は受けてくれますか? それともフリーで活動中ですか?
榴湖/そうですね……娘の学費が欲しいので仕事を受けています(笑)

 登 榴湖(プレイヤー名:なちこ)
 クラス:[感応力師8/処刑人4]
  体力:11(+3)  反射:13(+4)  知覚: 9(+3)
  理知:13(+4)  意志:15(+5)  幸運:12(+4)
  HP最大値:38  MP最大値:45  正気度:9
重要キーワード:絶望  背景:(機関)の仕事をしていた
特徴:床下手である  ボーナス効果:≪特技取得≫
職業:薬剤師  性別:男  年齢:47
 スキルウェポン→なし
 感応力師→≪空間知識≫ ≪覚醒具1・2≫ ≪肉体復元1・2・3≫ ≪念動障壁1・2・3≫ ≪空と心のリング1・2・3≫ ≪創まりの熱≫ ≪愉悦の波≫ ≪上級感応力≫ ≪最奥の記憶≫ ≪ターニングセット≫
 処刑人→≪薬物調合≫ ≪強力調合術≫ ≪異端審問≫ ≪血の媚薬≫ ≪躍動の呪歌≫ ≪最高調合術≫ ≪血の彫像≫ ≪血のいざない≫
 一般特技→≪興奮剤EX≫

プレイヤー2・MUMA(以降、珠希)/キャラクター名は、水地 珠希(みずち・たまき)。高校3年生の女の子です。PC1の榴湖パパの娘です!
榴湖/えへへー、可愛いお嬢さんだ(笑) 名字が違うから、ママとは離婚したのかな?
珠希/珠希はちゃんと離婚の際にお母さんとちゃんと話し合って、自分の意思でパパについていったよ。
GM/パパと一緒に教会のお仕事を受けてくれるのかな?
珠希/ですね。「パパには私がいなきゃ!」って思っています。PC3の子の面倒も一生懸命見ようとしています! 身長は146センチで小さくしてみました。
GM/わりと小柄な女子だ。データの方は……。
珠希/[狩人]が10レベルで[世界遣い]が2レベルという、[狩人]特化の戦闘系です。遠いエンゲージから攻撃をしつつ、ちょいちょいサポートもします。振り直しや振り足し特技を持ちましたが、戦闘不能回復の≪リバース≫も取ってみました。あとモブ絶対殺すマンです!
GM/≪一網打尽≫でモブ絶対殺すウーマンな(笑)

 水地 珠希(プレイヤー名:MUMA)
 クラス:[狩人10/世界遣い2]
  体力:13(+4)  反射:12(+4)  知覚:15(+5)
  理知:12(+4)  意志: 9(+3)  幸運:12(+4)
  HP最大値:41  MP最大値:31  正気度:7
重要キーワード:真理  背景:家族に(パパ)がいる
特徴:神秘が大好きである  ボーナス効果:≪特技取得≫
職業:高校3年生  性別:女  年齢:18
 スキルウェポン→≪幻の射撃≫
 狩人→≪射法訓1・2≫ ≪狩猟の銀手1・2・3≫ ≪矢止めの胸当≫ ≪蜂の唄≫ ≪闇纏い≫ ≪乱れ撃ち≫ ≪覇魔矢≫ ≪一網打尽≫ ≪圧縮撃≫ ≪銃幕≫ ≪ハヤテの爪先≫ ≪零力射撃≫ ≪交わる矢≫ ≪女神のいたずら≫ ≪技芸の雨1・2≫ ≪雨降らせ≫ ≪罠師のサガ≫
 世界遣い→≪君に幸あれ≫ ≪逆転運命≫ ≪禍福のさざなみ≫ ≪リバース≫

プレイヤー3・しゅうら(以降、雪代)/キャラクター名は、雪代(ゆきしろ)です。18歳の高校生男子にしました。クラス編成は[闘士]7レベルの[狂戦士]5レベル。
GM/THE前線系っていうデータだね。
雪代/≪カバー≫をしながらひたすらダメージを入れていく、起き上がりこぼしです。≪ライフコイン≫+≪不屈≫で何度でも起き上がる! ≪獣化≫で犬に変身することもできるよ。『ライフパス/背景』が「一本松さんが仇」なので、一本松さんの敵です。
GM/例えば……「人外狩りの被害者である」とか? 犬に変身する人外種族なんだし。もしくは、物凄くブラックに酷使されたとか?
榴湖/直々のご指導があった、とか?
雪代/機関にいたときの友達をたくさん実験に使われてたり、殺されるようなことをされている中、自分だけが生き残ったことを負い目に感じています。……彼を倒すことで、敵討ちになるのかな?
榴湖/可愛い(笑) 退職するときに連れて行きたい。
GM/榴湖さんが機関から引き抜いてくれたんじゃないかな? 機関では『監督者システム』というものがあるし。

 『監督者システム』
 機関に所属する一員には、『監督者』と呼ばれる監視員が必ず1名配置される(監督者1名につき、対象者1〜3名が一般的とされている)。
 監督者は対象者の素行を監視し、問題があれば第一部署『御臓』に報告して『聯合(処刑のこと)』にかける責を負っている。
 機関のメンバーにはランクというものがあり、創設一族や上層部はランクA、普通のメンバーはランクB〜Eになる。今回のNPC1はランクA、榴湖はランクC、雪代はランクDの設定。
 詳しくは、『AW』ルールブック「機関コネ」P.9-E参照。


GM/きっと榴湖さんが雪代くんの監督者をしてくれて、面倒を見てくれていたんだろうね。「対象者は監督者と共同生活している」ものだから、寝食を共にした仲なんでしょう。
雪代/そしたら雪代の『重要キーワード』が「従者」なのも納得です。機関から連れ出してもらったんだ!
珠希/私は小さい頃からパパの職場に遊びに行っていたことがあるので、そのときからの幼馴染になるのかな? 同い年だし今はクラスメイト!
雪代/命の恩人の娘さんなので、逆らえないな(笑)
珠希/5歳の頃に「おままごとをしましょう! 貴方、犬ね!」って言ってました(一同爆笑)
雪代/……パパ、「楽しそうでいいわー」とか見てないで止めて!(笑)
GM/PC2である雪代くんは、初期配布イベントキー≪キメラの翼≫があることを忘れずに持っていてください。これはGMからのプレゼントです。
雪代/忘れないようにするー! 使わないように済むと良いですね。
珠希/……ドラクエにこんな名前のアイテム、ありましたよね?
GM/はい、ドラクエが元ネタです(笑) 教会から持たせてもらったのでもいいし、機関にいるときに貰ったものにしてもいいよ。

 雪代(プレイヤー名:しゅうら)
 クラス:[闘士7/狂戦士5]
  体力:24(+8)  反射:15(+5)  知覚:12(+4)
  理知: 1(+1)  意志: 9(+3)  幸運:12(+4)
  HP最大値:81  MP最大値:25  正気度:4
重要キーワード:従者  背景:(一本松さん)が仇
特徴:優等生である  ボーナス効果:≪機関「チルドレン」≫
職業:高校3年生  性別:男  年齢:18
 スキルウェポン→≪巨大武器≫
 闘士→≪武闘家の血≫ ≪聖戦士の血≫ ≪戦の申し子≫ ≪希望の勇姿≫ ≪命の糧≫ ≪殺法崩し≫ ≪黄金の身体≫ ≪鳥躍≫ ≪軍神の知恵≫ ≪殺界≫ ≪浸蝕≫ ≪英雄の宣言≫ ≪カバー≫ ≪ライフコイン≫
 狂戦士→≪単一化≫ ≪狂舞1・2・3≫ ≪戦神の巣≫ ≪獣化≫ ≪機能維持≫ ≪乱舞≫ ≪カウンター≫ ≪不屈≫

GM/NPCの確認です。名前は剣菱 一本松(けんびし・いっぽんまつ)さん。この剣菱っていうカッコイイ名前はMUMAちゃんに付けてもらったんですよ!(笑)
珠希/えへへ、気に入ってもらえて嬉しいです(笑)
GM/他所からの続投NPCではありますが、基本的に今回のプレイヤーさんのご希望に則る設定でキャラロールします。年齢はどうする……?
榴湖/榴湖と同い年でお願いします。
GM/となると、47歳か。……榴湖さんとは10代からの仲だから、つまり30年以上前からの付き合いになるんだ。
雪代/子供達は生きてないし、カケラも無い頃ですね!
GM/榴湖さんは8年前に機関を脱退したんだっけ? 5歳の珠希ちゃんが職場に遊びに来て雪代くんに会ってたから……40歳近くまで機関にいたんだね。
榴湖/珠希ちゃん達が10歳のときに、嫁に逃げられたことを言い訳に退職したんです。「このシフト、無理」とかで(笑)
GM/なるほど。なら最初のシーンは……30年前の回想から参りましょう。子供達はまだ生まれていないので休んでいてください。
珠希/はぁーい!
雪代/すやぁー!
GM/子供達が総じて可愛いな(笑)


 ●オープニングフェイズ1/榴湖 〜些細な約束〜

GM/榴湖さんは10代の頃から機関に所属していました。機関は「人々の発展と未来の為の」異能力開発研究所です。今の『AW』で使われている『能力抑圧装置』や街で危険な異端がいないか見る『監視結界』の仕組みを開発したのも機関で、大変社会に貢献しております。
榴湖/表向きは(笑)
GM/ええ、表向きは。機関は常に新しい研究員を募集しておりました。若くてやる気もあって才能がある能力者だった榴湖さんには最高の職場だったでしょう。研究施設は最新鋭、研究するための資材も何でも用意してくれるし、給料も悪くなかったです。
雪代/ホワイト企業だなー、下手したら死ぬけど(笑)
GM/機関は、創設一族が一番の権限を持っています。元は家族経営の組織。本部で働く優秀な榴湖さんは、何人か創設一族の人の顔も覚えたことでしょう。……榴湖さんはどんなテンションで勤めていたの?
榴湖/喜んで来ちゃったクチですね。薬だけ作っていればお金がいっぱい貰えるなんてと喜んでいました。勉強は出来ても、ちょっとお馬鹿だったのかも……。
GM/最初は能天気だった。しかし君は18歳にして本社で働くことになり、研究だけしていればいい世界ではないことを知るようになった。……機関という場所は、単なる研究所ではない。創設一族の独裁国家で、非人道的な出来事がごく普通に行なわれていた。
珠希/実験に使われている被験者が、明らかに無理矢理連れてこられていたり……。
雪代/使っちゃいけない薬剤を、普通に使っていたり……。
GM/そうそう。そしてわりと、同僚が死ぬ。親しい同僚も次々死んでいく。昨日まで休憩時間に笑い合っていた研究員が、次の日にはいなくなったという話を聞いたりする。
榴湖/……なんで死んだんだって訊いても、「そんなの考えずに次の研究をしろ」って言われたりするんでしょうね。
GM/ある日、同僚のAさんが亡くなったと告げられた夕方頃に、本部の人間が訪れます。
榴湖/あっ、お偉い人の登場か?
GM/機関で大きな発言権を持っている創設一族の人が、君の職場にやって来た。上司は訪れたお偉いさんに頭を下げ、仰々しく話をしている。そのお偉いさんとは……君と同い年18歳の少年です。
榴湖/おっ……?
GM/大人達に頭を下げられている若い少年。しかし既に機関の指揮系統の一端を任されている指導者らしい面立ち。……名前を、剣菱 一本松といいます。榴湖さんは彼と親しい設定にしますか? それともここで初対面設定にしますか?
榴湖/じゃあ同い年ですし親しい設定で! ……あ、でもこの場は周囲の人に合わせて頭を下げています(笑)
GM/たとえ任された立場が相当なものでも中身は18歳の少年、同じく年少者で本部に置かれた榴湖さんと何かと一緒にされたのかもね。……一本松は上司のおじさんと話をします。「昨晩『聯合』されたAの私室は?」「○○号室でございます」「先日、朱指から彼に預けた資料の返還がされていなかった。上がらせてもらう。ついでに部屋も片付けておこう」
榴湖/ほうほう?
GM/えっとね、大まかに言うと「昨日処刑されたAさんのお部屋を片付けにきました」ってだけです。……一本松は榴湖さんと目が合うと、「榴湖を借りるぞ」と上司さんに許可を取ります。
榴湖/え、俺っ?
GM/「人手は多い方がいい。一緒に来てくれないか」
榴湖/ああ、そういうことならもちろん! えへへ、荷物持ちでもなんでもやるよ!(笑)
GM/えへへって、パパが可愛いぞ(一同笑) 社員寮的な個室に来ました。この部屋に住んでいたAさんはもう死んでいる。一本松は必要な資料だけ抜き取ると、他の私物はゴミ袋に入れていきます。
榴湖/それを手伝います。ゴミ袋を持ちながら……。
GM/回収、回収、回収。……一本松は、無言で仕事をこなしています。昨日処刑されたという男の私物を見ることもありますが、何も言わずに淡々と捨てていきます。
榴湖/受け取って、袋に入れる。受け取って、袋に入れる……をやりながら。あいつ、処刑されたんだって訊いちゃいます。
GM/「お前とは比べられないぐらい成績が悪かったからな。『成果が全く見込めない、奴の居る意義など無い』と上に判断された」
榴湖/……ああ、そっちぃ? 確かに受け取った資料がお粗末な出来だったので、なるほどねと言います。可哀想だと思うが、ねぇ。剣菱さんは褒めてくれますけど、俺もいつ片付けられちゃうか、ハハハ!
GM/「お前は、あいつとは親しかったか?」
榴湖/飯の時間があったら一緒に食ったりしましたよ。……そう考えると、仲は良い方かな?
GM/「……俺は今まで奴とは話をしたことはなかった。だが……殺すまでの間、あいつの言葉を全部聞いていた」
榴湖/……ん?
GM/「これも修行だと、父にAが死ぬまで面倒を見ろと言われてな」 まだ年若い彼は、鍛錬という名目で「まだ死にたくない」とか「許してください」って言うAを殺すまで見させられていたらしい。そしてまだ彼は、それを「命令だから」とか「必要なことだから」といって割り切れるほど、大人ではないようです。
榴湖/……それは……。
GM/「あいつが聯合されると告げられたときの顔、死を待つ間の声、断末魔の悲鳴。全て見てきた。……正直、気が滅入っている」
榴湖/ああ、そうだったんだ……。
GM/「慰めろ」
榴湖/え?
GM/「気が滅入っているから慰めろ」
榴湖/慰める? 俺が床下手だし勃たないってこと知ってるでしょう? 顕微鏡を覗いている方が興奮するタイプだよ?
GM/一本松は「……別に、そんなことをしろって意味で言ったんじゃない……」って困惑します。
榴湖/あ、ごめんなさいっ!(一同笑) ほら、[魔術師]とか[感応力師]って性に大らかだし。≪堕落の訓え≫とか≪愉悦の波≫とかあるし! 俺の≪愉悦の波≫は薬頼りだけど!(笑)
GM/純粋に慰めてもらいたかった若造は、同い年の男の子が一歩先をいっててショックを受けます(笑) 「お前に期待してたのが悪かった……」
榴湖/ごめんなさい本当ごめんなさい! じゃあ……両手を広げてウェルカムポーズ!
GM/「…………」
榴湖/こ、こっちも違った!?(笑)
GM/1D6を振って、偶数が出たら榴湖さんに抱きつきに行く。奇数なら行かない。(ころころ)6。
雪代/わーい、偶数だ!(笑)
榴湖/さすがにこれはないかー……って思ってたら、来た!?(笑)
GM/すっと榴湖さんの元へ寄りかかります。「……さすがに24時間悲鳴はつらかった。よく判らない感情に襲われた。胸騒ぎがする……」
榴湖/う、うん……しんどかったんだなぁ。頭なでなで。
GM/「ああ……興奮していた」
榴湖/……えっ!? そっち!?
GM/「そうだよ。……悲鳴を聞いて気持ち良かったんだ」
榴湖/ええ……お前、そっちなのかよ……。
GM/「そう思うよな。……人を傷つけたり苦しめたりすることで悦を感じるだなんて、異端と同じだ。人を殺すことに快感を覚えているなんて、そんなのおかしいって判っている。でも……『それでいい』という声がする」
榴湖/……声?
GM/「……頭の中で、『それでいいんだ』と声がするんだ。何度も、何度も。傷つけることは快楽だと、殺す快感は正しいことだと、そんな異端めいた感情でもいいと……どこかから声が……」 暗い顔になっていく彼ですが、ずっと寄り添って頭を撫でられていたことにハッとして、離れます。榴湖さんから離れると、ゴミ回収を再開します。
榴湖/あっ……。
GM/「……負の感情を好物として暴れる異端を対策するために、異能力結社の機関は生まれた。その一員として生を受けたんだ。……判っている、人を殺すことを笑いながらやるなんて、いけないことなんだって。……すまん、もういい。充分だ。吐き出せただけで気持ちが落ち着いた」
榴湖/……こんなんで良ければいつでも相手になるよ。あはは。
GM/「……お前は優秀だから数十年は生きてるだろ。そう簡単に処刑の対象にはならないだろうし、相手をしてもらおうかな」と暗い顔を隠そうとします。
榴湖/それはそれは、ありがたいですねー。十数年無事なら、愚痴ぐらいなら全然。いつでもいけますよ!
GM/「ずっとここにいるなら、頼みがある。俺が道を誤ったなら……お前が処刑してほしい」
榴湖/…………。
GM/「……と言いたいところだが、榴湖には無理だな。スキルウェポン無いし」(一同笑)
榴湖/そっすね(笑) でも、薬を盛るぐらいはできるかも?
GM/「ああ、それならラクに逝けていい」
榴湖/あ、それも難しいな。ここの飯、きっちり出るから。
GM/「その飯の時間になったな。腹も減ったし、行くか」
榴湖/閉じたゴミ袋を抱えて行きます!
GM/2人で食堂へ向かいましょう。……君達は20歳を過ぎたら酒を一緒に飲んだり、一緒に任務に出たりすることもありました。ですが年を重ねると……一本松は分家の長男だったということもあり、わりと使い勝手の良い立場もあってどんどん出世していきました。プライベートの時間も少なくなり、榴湖さんと全然会わなくなってきました。
榴湖/創設一族の方ですもんね。俺も役職を貰えて、気が付いたら奥さんぽい人もできて、子供も生まれ……互いが互いの仕事や家族のことで忙しくなりました。
GM/退職した40歳の頃には、全然交流が無くなった。
榴湖/研究をしている『頭垓』と、彼の『朱指』は全然違う部署ですしね。退職するとき、少し心残りではあるけど、でも剣菱さんもお忙しいだろうから……って挨拶せずに去ってしまいました。


 ●オープニングフェイズ2/珠希&雪代 〜不穏な未来〜

GM/『機関解体事件』が起きる前の2000年初頭まで時間を進めましょう。雪代くんは数年前まで機関にいました。ですが、榴湖さんが退職する際に引き抜いてもらって今は普通の高校生をしています。
雪代/超ありがてえ! 命の恩人だべ!(笑) 感謝してるし何でもやりますよ! おにぎりでも作ります!
榴湖/お弁当を作ってくれてるの?(笑)
雪代/おにぎりを詰めて詰めて詰めて! って、おにぎりだけでいいんですか!?
珠希/おにぎりの中には唐揚げとウインナーを入れて!
雪代/隣で唐揚げを揚げますー!
榴湖/それだけ詰まってるなら、おにぎりだけでいいかな……(笑) 職場にそのお弁当を持っていくよ。
雪代/……あ、ナチュラルに同居しちゃったんですが、いいんですか!?
珠希/逆に10歳児を放り出すのも問題だよ(笑)
GM/普通に雪代くんは登家が引き取ったことになるんじゃないかな? 結婚している家庭じゃないと養子は取れないもんだし。……雪代くんと珠希ちゃんは今、教会に居ます。教会で依頼を受けるため、礼拝堂に呼ばれました。
榴湖/パパは薬局の仕事に行ってますね。
珠希/学校が終わってから教会に遊びにきました! こんにちはーっ!
GM/礼拝堂には「こんにちはー」と挨拶してくれる仕事斡旋人のおじさんとおばさんが居ます。2人は丁寧に「お仕事のお話をさせていただきます」と雪代くん達に話し始めます。
雪代/はい、お願いしますー。
GM/「教会に所属している[世界遣い]のエージェントが、不穏な≪未来視≫を視たため数人をとある村まで派遣してほしいという話が挙がりました」
雪代/不穏な≪未来視≫?

 ≪未来視≫
 未来を覗く未来視を所有していることを表わす[世界遣い]の副特技。
 「この場でこれから何が起こるのか」を客観的に視聴することができる。


雪代/どんな未来を視たんですか?
GM/「山が燃える、村が燃える……というものです。エージェントの名前は、千方(ちかた)さんとおっしゃるんですが、その山村のご出身で、未来視を視てから不安で仕方ないので来てくれというのです」
珠希/山火事だ! そりゃ大変だ!
雪代/ふぇー、そりゃあ確かに不安でしょう……。
GM/ここで【理知】判定、難易度8。交渉判定なので交渉技能を持っていたらプラスしていいよ。
雪代/(ころころ)7で失敗。
珠希/(ころころ)11で成功です!
GM/おじさんとおばさんは、丁寧に話をします。ですが、珠希ちゃんは「2人ともあまりやる気が無いな」と思います。だって異端が出てないし、実害が無いし、お金は支払われてるけど何も無い場所に誰か派遣するのはなー……誰でもいいから派遣してさっさと終わらせよう! って感じ。
珠希/……盥回しされてる依頼か。いつ頃起きる未来の話なんですか?
GM/これから先です。
珠希/……いつ山火事になるかも判らない、と!?
榴湖/≪未来視≫って外れることもあるよね……。
雪代/未来は無限に広がってるからね!(笑)
GM/いつもの『AW』にありがちな「異端が出たから退治して!」ではなく、「依頼料は払うから警備して!」という依頼です。正直どうしたらいいかおじさん達も判らないけど、「オラの村が火事で大変になる気がするんだべ〜!」と熱心に訴えられては仕方ないので重い腰を上げたようです。だから「誰でもいいから適当に暇そうな学生を」という魂胆がミエミエ。報酬も普通の異端退治の半額以下です。
雪代/お小遣い稼ぎには良いかなー? 家計の足しにはなるよね。
珠希/一緒にお弁当を作ってくれたり掃除してくれるだけで凄く助かってるんだよ!(笑) それに、異端が出ないという確証はないんだし……という訳で今回のお小遣い稼ぎ、受けます!
GM/おじさんとおばさんはニコニコ。更に詳しい資料を渡されます。村の名前は、二与郷(によごう)村。ここから県を2つほど渡った所にある、海無し県の山奥の村ですね。
雪代/二与郷村かぁ。キャンプでもする?
珠希/キャンプ!? わくわくする響きだ!(笑)
GM/おばさん曰く「観光地という訳じゃないけど、5〜10月末までは急流下りもしているそうよ」。ただ今は1月、雪の季節なのでちょっと遊べそうもないね。
珠希/そっかぁ。雪かー、楽しみだねー! 雪合戦しよー!
GM/という訳で、時間を進めます。……本日は1月20日前後。約束の日となった君達は、パパも連れて二与郷村の最寄り駅にやって来ました。
珠希/パパと一緒に来ました! 何かあったときに保護者が居なきゃ困るしね!
榴湖/職場には有休を貰ってきました〜。
GM/最寄り駅の雰囲気から、いかにも車が無いと生活できなさそうな田舎です。観光地にしては少し寂れていて古臭い雰囲気。シーズンがシーズンならば景色も良く楽しめそうだけど、今はとても寒そうな山の景色です。
雪代/さ、寒々しい……。
珠希/シーズンオフってことは、旅費が安く済むってことだよ!
GM/そうして寒い中で待っていると、車がやって来ます。帽子を被ってマフラーをしているおじさんだ。「どもどもども、初めまして。依頼をした千方と申します」
珠希/ああ、例の千方さん! お世話になりますー!
GM/「オラも教会に所属しているエージェントってやつなんですが、本業はこの村で自給自足農家をやってます。ささ、荷物があればお持ちしますよー」 車に乗せてもらえるよ。
榴湖/パパが娘達の荷物を持っちゃうよ。
珠希/パパ、ありがとー!(笑)
GM/車に乗って二与郷村にゴー。道の途中で、急流くだりや果樹園の看板を見かけます。シーズンに来ればそこそこ楽しいっぽいね。
珠希/それなら5月にまた来ようよ!
GM/「そう言っていただけると嬉しいよ、ありがとうな〜」 千方さんは車を運転しながら「3人とも教会のご依頼で来てくださったエージェントさんでいいんだよね?」と本題に入ろうとします。
雪代/そうそう、その通りですー。
GM/「じゃあ改めて今回の依頼をオラの口から……。と言いたいところなんですが、既にご存知の通りです」
珠希/ええ。
GM/「オラの村が、燃えます。複数の人間の手によって、村が焼かれます。みんな殺されます。それを何度も視るんです」
榴湖/殺さ……えっ?
雪代/……人為的なんですか。
GM/「ええ、未来視の中では奴らは真っ暗で、どんな人間か、異端なのかも判りません。……何故この村がと思いましたが、思い当たるものはあるんです」
珠希/それは……?
GM/「二与郷村は、今でこそ外から人を呼んでますが……」 運転しながら話していた彼は、運転席で帽子とマフラーを取ります。頭に牛の角があります。
榴湖/おっ?
GM/耳も若干尖っていて、しかも髪の生え際が赤い。鬼だと一目で判ります。
珠希/髪を……染めてらっしゃる!?
榴湖/人外だ。もしかして二与郷村って、[稀人]の村なんですか?
GM/「ええ、酒呑童子と呼ばれているものなら皆さんも聞いたことがあるでしょうか」 【理知】判定難易度6以上出せば知っています。
一同/(ころころ)成功です。
GM/日本ではあまりにも有名な鬼ですね。……6世紀後半から様々な文献で出現されるようになった山の神。明るい赤髪をしており、牛の角、虎の牙と爪を持つ麗しい人々です。主に鍛冶職をしていたそうだよ。
榴湖/イケメンだ!(笑)
GM/「二与郷というのも当て字でしてね、正確には如国(にょごく)という……かつてはここも『羅刹の国』の一つ、鬼の住む場所だと言われてました」 ちなみに今回のNPCの千方さんという名前も、「藤原千方の四鬼」から取っています。
珠希/な、なるほどー!
GM/「今は髪を染めるのもラクでいいですねー。80年後半あたりからタレントが髪を染め始めて、一般の家庭にもブリーチが流行り始めたときヨッシャって思いましたよ」
榴湖/言われなかったら判らなかったですよ、カモフラージュもバッチリです!(笑)
GM/「うちは鬼は鬼でも、神様に近い……上級魔族というもので、言っちゃ悪いが他よりも高等な鬼の種族です」
雪代/襲われるには充分な理由ですね。……そんな人達を狙ってくるなんて、かなり手練れですか。
珠希/≪未来視≫で見たのが一度だけじゃなく、何回もってことはそれだけ発生しうる要因があるんだと思います。
GM/「そうですね……いや、出来れば外れてほしい未来ではあるんですが」と言ってると、村に到着です。「宿泊施設も村にはありますが、オラの自宅に泊まるのでいいですかね?」
雪代/千方さんちに泊まっちゃっていいんですか?
GM/「ええ、もちろん!」 村の道を車で走っていると、途中で第一村人のおばあちゃんを発見します。よくよく見ればあのおばあちゃんも角が生えてると思えるような、不自然な帽子の被り方です。
雪代/あー……村の人は殆ど全員鬼なんですか?
GM/「何人かは外から来た人間もいますよ、この現代日本ですからね。ですが住んでいる人は鬼の一族に嫁ぐことを了解した物好きです」
榴湖/となると、みんな鬼か鬼のハーフって考えていいのか……。
珠希/今は帽子やマフラーがあるから隠しやすいけど、夏場が大変そうだね?
GM/[異端者]の≪偽りの太陽≫や[稀人]の≪マインドロスト≫など、人々にとけ込むような努力を村中がしています。「ほら、寂しい所ではありますがあっちの山の景色はなかなか綺麗でしょう? あそこはスキー場でして……」と千方さんが話す先には、ペンションがあります。
珠希/おお、スキー場!
GM/ペンションの前にワゴン車が停まっています。何人かの男性達がカメラを持ってワイワイしています。
雪代/……あれは、観光客ですか?
GM/「おそらくは……ダイヤモンドダストを見にきたお客さんでしょうね。冬はオフシーズンではありますが、カメラに納めたいという観光客が来るんですよ」
榴湖/あー、確かにみんな立派なカメラを持ってますねー(笑)
GM/一本松の姿が見えた。
榴湖/えっ。……い、今! 見間違い!?
珠希/どうしたの、パパ?
榴湖/いや、あの……あそこの団体さん、前の職場の人がいたような……。
珠希/パパの、前の職場?
雪代/……前の職場?
GM/「ああ、お知り合いでもいたんですか?」 このシーンが終わったらミドルフェイズが始まります。君達はここで車を降りても構わないし、このまま車に乗って千方さんの家に行きシーンを終えても構わない。
榴湖/…………。挨拶をしてくるわ。
珠希/ぱ、パパ……?
榴湖/珠希達は車にいていいぞ。……子供達を車に置いていって、集団の方にざくざく行ってみます。
GM/男性の集団は、ワゴン車の前でワイワイ「雪が綺麗ですねー」とか話しています。
榴湖/寄っていって……こんにちはー。
GM/若い男性達は「こんにちはー?」と挨拶。……みんな若者ですが、奥に居た男性だけが40代後半で1人だけ年が離れています。榴湖さんと同い年ぐらいの男……大柄で威圧感のある姿、最近は会ってなかったけど見覚えのある人だ。
珠希/コットン100パーセントの白い清潔なシャツを着てほしい。
雪代/綿指定で! 敏感肌か!?
GM/なんやて工藤!?(一同爆笑)
榴湖/そ、その洋服の男性にお久しぶりですって言います。あのー……俺のこと、覚えてますかね?
GM/「……榴湖……?」
榴湖/ああ、良かった! お久しぶりです、剣菱さん。観光ですか?
GM/相変わらずのこの声、この喋り。間違いなく剣菱 一本松です。「……そうだ、観光だ。榴湖もか?」
榴湖/ええ、子供達を連れて。まさか機関の外でまたお会いできるとは思わなかったので。いやぁ、最後はご挨拶ができずにすみません〜。
GM/「頭垓のリーダーである夜須庭から榴湖が退職した話は聞いていた。お前も私生活が大変だったそうだな」
榴湖/いやぁ、事実上の妻に逃げられましてねー(笑) 子供達が小さかったもんですから、娘の面倒が見られなくなっちゃったんで退職させていただきました。
GM/一本松は車の方を見る。そこには雪代くんがいるよね。「ああ、あれは……チルドレンの」
雪代/……むっ。
榴湖/そうそう、俺のお手伝いをしていてくれた子で。ありがたかったんで引き抜いて一緒に暮らしているんですよ。
雪代/……帽子を取って、会釈だけします。
GM/「ペットの躾は出来ているようだな」
榴湖/ペット……。いやぁ、あんだけ娘と一緒に居てくれた子なんでペット感は無いですね。息子が1人増えたようなもんですよ。
GM/「そうか。……私も観光に来たんだ。2日ばかりあのペンションに滞在するつもりだ。といっても、色々仕事もあってな」
榴湖/仕事……ここで?
GM/「ああ。仕事が終わったら話でもしようか。2日後に酒でも飲めるといいな。……観光が終わったならさっさと帰れ」 一本松はフッと笑います。その笑い方は、30年前の彼には無かった冷たいものだった。
榴湖/……仕事って、まさか……って、乾いた笑い方をします。
GM/ではここで、一本松以外の人が顔を出します。元気にワイワイしている若者達の中で、際立って明るい男性ですね。「あれれー? もしかして昔、機関にいる人でした!?」
榴湖/いたいた。ずっと頭垓で薬作ってた。
GM/「そうっすよね!? 絶対見たことある顔だなって思ったもん! 俺、越生 匠太郎(おごせ・しょうたろう)って言います! 一本松兄さんがお世話に……」
珠希/お、越生さんだ!(笑) 一本松さんの弟さんですよね?
雪代/明るくて元気の人なんだ。
GM/ええ、長編小説の方でも登場します。所属は第五部署の『食導』で『頭垓』の榴湖さんとは縁が遠いと思うんですが、腹違いの兄の一本松に引っついて顔だけは覚えていたということで。「登先生の作るお薬にお世話になってました! あ、あっちのお子さん達は?」
榴湖/俺の娘と息子だよ。
GM/「めっちゃ可愛いですね!」
珠希/フフンって顔をする!(笑)
雪代/やらんって顔をする!(笑)
GM/「今が旬って感じの可愛い子達ですね! ……おいしそうだな……
榴湖/ひくっ(笑) そ、そういうこと言わないでくださいよー……。
GM/「あ、そろそろ時間だから行きますよ!」 匠太郎は一本松や大勢を連れて車に乗り込みます。彼らは去って行きました。
榴湖/…………。なあ、雪代。多分、剣菱さんは、仕事で来てる……。
雪代/判ってます。……99パーセント今回の山火事は、あれが原因です! 2日後に……山が燃えるということでしょう。
榴湖/……ここに残っていたら、巻き込まれる。はー、どうする……。
雪代/やるしかないじゃないですか!
榴湖/本当にそれ、言ってるのか……?
雪代/何を弱気になっているんですか! 殴ればいいんですよ!
榴湖/剣菱さんを殴れと!? 正気か!?
雪代/あの人はもう上司じゃないんですよ。
榴湖/うん、上司じゃない。上司じゃない……けど……。
珠希/……パパさぁ、あのおじさんと知り合いだったの?
榴湖/そう、知り合い。……たまたまパパと年が近かったから親しかったけど、本当だったら俺なんかが仲良くなれないような人だった。
珠希/知り合いだったから……わざわざ2日後とか情報を流して「逃げろ」って言ってくれたんだね?
榴湖/うん。あの人の名前は、剣菱 一本松さんっていってね。パパが前に勤めていた機関の凄く偉い人なの。
珠希/偉そうな人だったね!
GM/確かに偉そうだったね(笑) 大勢を乗せた車は観光ということで去って行きましたが、彼らはどうやらペンションに泊まるようです。
雪代/ペンションを選んでいたら、一つ屋根の下だったんですね。……怖いな(笑)
珠希/一本松さんもそうだけど、匠太郎さんの存在も怖いよ!(笑)
GM/彼らが二与郷村にいるということが判ったところで、ミドルフェイズに参りましょう〜。