■ワールドガイド Q&A 一般教養編〜高坂が回答!『AW』は、何をするゲームなの? 『異端』と呼ばれる悪しきものと戦う、特殊能力者達の異能力バトルを演出するTRPGだ。 現代日本を舞台に魔術や超能力を操るPC達が、人々を危機に陥れようとする化け物と戦う。特徴として「時間」がキーワードになっているRPGだ。「神様によって与えられた寿命を捻じ曲げてくる悪者に殺される前に事件を解決する」というのが一般的なスタイルかな。 『異端』って、何? 『異端』とは、魔物、化物、怪物、怨霊、悪霊などとも呼ばれている存在のことだ。共通しているのは「他者を傷付けることで己の欲望を満たそうとするもの」だということ。 この世界の生き物は、「感情を得ること」で成長する。様々な経験を経てレベルアップするのは、人間も同じだ。 だが異端は、「苦しい」「辛い」「痛い」「イヤだ」などの『負の感情』を好物としている。人を殺すという経験を積みレベルアップをするだけではなく、わざと人を苦しめ殺したいと本能的に考えている。自分の快楽のために他者を傷付ける、恐ろしい存在だ。 退魔組織『教会』は、悪さをする異端達から人々を守るために立ち上がった能力者集団だ。異端達の出没情報を集め、見つけ次第、捕獲または処刑する。危険な仕事だが、誰かがやらなきゃいけないことだ。 『異端』は、人外だけなの? 人間でも異端と同じように、負の感情を手に入れて他者を傷付けて悦になる者達がいる。そいつらは『異端犯罪者』として己の快楽や探究のために人を巻き込み不幸にしようとする。能力を使って他者を傷付けたなら、種族が人間でもそいつは立派な異端だ。処刑の対象になる。 逆に、種族が人外でも悪さをせず真っ当に生きようとするなら、それは異端ではない。実は、魔物や怨霊を異端と言うことが多いけど、「異端」というのは他者を傷付ける連中の総称なんだ。たとえ人外の種族でも、負の感情を得たいなど闇の衝動に溺れず日常を送ろうとするなら、[異端者]のクラスのPCとして扱うことができるぞ。 『異端犯罪者』は事件後、どうなるの? 人間として日常に戻れないほど破壊活動を行なうような異端なら、現行犯処刑される。そうしないと他者の日常が危ういからな。 でも更正の余地があったり、罪を償わせることができる状態だったら『異端刑務所』に送られる。 そこから先は、一般的な司法の世界と同じだ。犯罪者は裁判にかけられる。異能事件を取り扱う弁護士と、異能事件に詳しい検事と、決断を下す裁判官の元で、正しい処罰を下されよう。 人間の意思を持ち、戸籍を持った人間であれば、普通の人間として罪を償う。能力者だからって身構える必要は無い。 ちなみに、『異端刑務所』ってのは「能力者が逃げられないような細工がしてある刑務所」ってだけで、他は何も変わらないぞ。 異端と戦う組織『教会』って、何? 日本で一番メジャーな、異端から人々を守る秘密組織が退魔組織『教会』だ。 教会は日本各地に支部を置いている異能事件専門対策組織だ。能力者の集まりで、人々を襲う異端を討伐し、一般人を守ることを目的としている。一般的な事件を扱う警察とも繋がっているから、変な事件が起きたらすぐ教会が動けるように手を回してくれるよ。 異端や異端犯罪者が引き起こした事件に対し、教会から派遣されたエージェント、あるいは協力関係にある能力者達が調査し、解決を行なう組織って言えば判りやすいかな? 教会という名前だが、某宗教の建築物に限った話じゃない。これはただ同名なだけで、日本ならどこにでもある集落センター(教会、寺、学校、商店)を借りて活動しているんだ。 秘密組織ではあるけれど、不可思議な事件の駆け込み寺だから一般人がやって来ることも多い。 ゲーム的なことを言うと、能力値2の[一般人]でも期待値が出れば調べられる難易度6ぐらいで発見できる組織だ。能力者じゃなくてもインターネットの裏サイトや、情報通の人ならすぐに調べ出すことが出来るだろうな。 教会以外に退魔組織は無いの? 退魔組織なら教会以外にもいっぱいあるぞ。 日本で一番メジャーな組織が教会なだけで、他にも秘密結社や能力者組合は沢山ある。 だが分かりやすく警察バックアップを得られるため、『AW』のPCは基本的に教会に所属している者達としよう。 退魔組織とは違う話だが……現地の警察・軍事組織と協力することもあるけど、殆どの場合、現地の組織は情報提供などの支援のみを行い、事件の全貌は知らされない。秘匿義務があるからな。 異能力による事件を対処できるのは能力者だけだし、異端に関する情報統制が徹底されているんだ。 教会の内情はどうなってるの? 教会は『エージェント』と呼ばれる活動員によって支えられている。エージェントはスカウト形式で人員を採用しているんだ。 教会にエージェントとして登録しておくと、事件を紹介されることがある。あくまで紹介なので強制的に事件を解決しなきゃいけないことはないが、事件解決にピッタリな人材に声を掛けているから是非仕事を受けてやってほしい。 教会は表向きには、善意のボランティア団体として活動している。ゴミ拾いや地域イベント支援、街の相談所として動いてるな。 一般人も教会に協力していることもあるが、大半は能力者が関わっている。異端と戦うにあたって、身を守る手段の無い一般人だと教会内で動きづらいだろうしな。 ……余談だが。昔、教会と異端刑務所は、汚職を働いたことがある。刑務所に送られた受刑者を死刑にしたと見せかけて、とある異端の一族の元……『機関(きかん)』と呼ばれる研究所に送り、そこで人体実験に使われたり食材として卸されていた……という過去がある。 2006年1月にこの事件は発覚し、それ以後、第三者組織の介入や警視庁の監視を義務付けるようになった。現在はクリーンな団体として胸を張っているから、安心するといいよ。 教会は、能力の扱い方を教えてくれる? 一般人を守るのが我々の役目。もちろんその役を買って出よう。 保護した能力者に能力の制御法を身につけさせるため訓練してくれる者達もいる。日常から離れてしまった人々が、無理なく社会に溶け込めるよう指導をすることもあるんだよ。 能力制御を訓練してくれる道場もある。『三剣道場(みつるぎ・どうじょう)』というんだが、主にここは武術の鍛錬を行なってくれるところだ。 教会の仕事って、報酬が発生するの? ああ、給料は出るよ。 下は時給600円前後の最低賃金レベルから、上は日給1億円まで。生命の危機と隣り合わせだから、1シナリオの相場は100〜200万円ぐらいだろう。 学生や未成年のエージェント相手には、「大人になってから一括で払う」や「月に数万ずつ渡す」など対処している。いきなり通帳に200万が入ったら、能力者だって知らない親御さんはビックリするだろ? そこは人によって契約が異なるな。 だけど、現実では無償報酬で活動しているエージェントが過半数を占めている。専業エージェントやアルバイトとして教会の仕事をしている子以外は、「人々のため」や「己の修行のために」など、無償で仕事を受ける人が多いんだ。 毎日のように退魔業をしているエージェントなんていないからな。毎日200万円が稼げるとは思わないでくれ。 ゲーム的にはお金のルールが無い。なので、きっちりと賃金を換算してプレイヤー達に公開するといった作業をGMがする必要は一切無い。報酬に関しては、あくまで演出程度に留めておいてくれ。 教会の経営はどうなってるの? 教会はボランティア団体だ。寄付で成り立っている。 「教会を支援すべき」と思っている財閥や組織が複数あるから、そこから経営資金を得ている。依頼人から金を取ることは、まず無い。 かと言って、経営は困難かと言ったらそうでもないぞ。そんなに羽振りが良いとも言えないけどな……。 エージェントの登録ってどうするの? 名前、連絡先、自分のできることなどを書く必要書類に記入をしてくれ。 本名を書くのは嫌だ? 構わないよ、コードネームでも登録できる。呼ばれたい名前を書いてくれ。 住所を書くのは嫌だ? 構わないよ、でも仕事を持って行くときの連絡先をちゃんと書いておいてくれ。 ……そんな訳で、制約はとても緩い。どんな人物でも対応できるようになっているから、誰かのためになりたい人なら大歓迎だよ。 余談だけど、今の教会総支配人になる前は、エージェントはみんなコードネームで呼び合っていたんだ。本名を出さずに会話をしていたんだよ。 今は、そういった取り決めは無くなっている。だから十年以上活動しているエージェントにはコードネームがあって、その名で呼び合っているというケースもある。驚かないでくれ。 そういえば……討伐する異端の名前が判らないとき、便宜上、教会のトップがつけたコードネームで呼ぶようにしている。判りやすくするためだけど、これはあの頃の名残な気もするな。 異端のコードネームを付けているのは、教会の総支配人を中心とした上層部だぞ。 『能力者』って何? 普通ではない力を扱う者、それを大まかに『能力者』と呼んでいる。 能力者がどうして能力を使えるのか、それは人による。 「自分の家は代々魔法を操る血を継いできた」という子もいれば、「生まれつき超能力が使えた」「突然、変身できるようになった」という子もいる。「吸血鬼に噛まれて吸血鬼の力を使えるようになった」「ジェイソンの子孫だ」「魔法使いの祖母から魔法を教わった」「異端の研究のせいで異端者になった」という人もいたな。そもそも「異世界から来た」っていう子もいるぐらいなんだ。 能力者と呼ばれる人達に共通しているのは、「その力で誰かを傷付けないこと」と「誰かを守れること」。これが一番大事なんだ。 『ウズマキ』って何? 不干渉の式、時空鞘、異界の貯蔵庫……色んな言い方があるけど、俺達は渦が巻いたような異空間だから『ウズマキ』と呼んでいる。 ウズマキは、能力者なら持っている概念だな。異端を倒すための武器を保管できる、虚空のロッカーのことだ。いつでも物を仕舞えるし、好きなタイミングで取り出すことができる。 【スキルウェポン】の特技を取得した能力者なら、ウズマキの扱い方をマスターしていると言っていい。……逆を言えば、【スキルウェポン】の特技を取得してない人は、少しウズマキの使い方が下手という話も……いや、これは個人差があるから気にしないでくれ! 「ウズマキの中は、時間が流れていない」と言われている。だからって食べ物や生き物は入れたらダメだぞ! あそこは無限の空間なんだ。物を入れることができても、その物を正しく認識しないと取り出すことが出来ない。もし存在を忘れてしまったり、正確に知覚できなければ、一生ウズマキから取り出せなくなるんだ。 だから、人間を入れるなんて絶対しちゃダメだ。ウズマキの中はどうなっているか判らない。意思のある者がウズマキから出てくることが可能なのかもまだ判ってない。一生出られなくなるかもしれないし、もしかしたら、あらぬ時代や異世界に飛ばされるかもしれないからな……。 ちなみに、[稀人]の≪盟約の痕≫という特技を取得しているキャラクターは、自由にウズマキの中を行き来できる。これでも判る通り、やっぱり普通の人間はウズマキに入るのは無理だということなんだな。 『供給』って何? 生命力を回復する手段のことだ。 生命力は日々減少する。生命力が無ければ活動できない。回復するためには充分な食事と睡眠を取ること。それと『供給』だ。 2人以上の人間が体液を交換するんだ。それだけで生命力はみるみるうちに回復していくぞ。 握手での汗の交換、吸血、性交渉などの様々なやり方がある。お母さんが腹痛の子のお腹をさすってやることや、スポーツマンのハグやハイタッチで喝を入れるのも、供給行為の一つだな。 『契約』とは? 魂と魂の結びつけて霊的な主従関係を作ることだ。 主人(マスター)になった者は、配下(サーヴァント)になった者を従えることができる。サーヴァントはマスターの命令に絶対従わなければならなくなるが、その代わり、マスターから大きな力を授かることができる。それが令呪だ。サーヴァントはマスターに絶対服従という代償を支払う代わり、3回だけ超越的現象を起こせるようになるんだよ。 契約は必ず、自分の意思で結ばなければ完了しない。洗脳状態のような意識が無い場合では契約できないんだ。 契約するとマスターになった人間の体に「令呪刻印」が生じる。サーヴァント1人につき1つ、痣のようなものが発生するんだ。どこに浮かぶかは人によるな。 体に生じているとはいえ、契約は魂の繋がりのこと。どんなことがあっても繋がりは消えることはない。だからもし時間が巻き戻っていても、マスターとサーヴァントの意思がハッキリしていれば(契約したという記憶を共有できていれば)、契約以前の時代でも契約状態にあるんだ。 契約の破棄したい場合は、「刻印箇所を切り離す」「心霊治療を受ける」「令呪によって契約破棄の命令を下す」など方法があるよ。 契約は計画的に! 教会はどれくらい昔からあるの? 少なくとも500年は続いている組織じゃないかって説がある。1500年頃っていうと……室町幕府の時代か。そんな昔から人間と異端の戦いはあったんだな。 代々創立者一族が世襲制で継いできたらしいけど、ここ数年は優秀なエージェント達が運営しているらしいな。今の総支配人の鶴瀬さん……教会で一番偉い人も、数年前まで現役エージェントだった男性だ。もしかしたら君も声が掛かる日が来るかもしれないぞ? 『古川財閥』って何? 古川財閥とは、さまざまな世界でその名を轟かせている一族、「古川」を中心とした団体のことだ。 運営は、古川の名を持った個人資産家たちによって支えられている。現在古川財閥のトップは、古川将人(ふるかわ・まさと)という名の男性であり、彼の手腕によって日々多くのビジネスが展開されている。 古川一族は、1000年前から続く由緒正しい貴族の出だ。その頃から当主は、さまざまな血族を取り込むことにより発展していくことを考えたらしい。そうして後世に「古川一族に無いものは無い」という言葉ができるほどに、多くの分野で特化した家を手中に入れていていったんだよ。 でも、不思議なことに古川の直系一族には「何の特殊能力も無い」らしい。敢えていうなら、回りを取り込むカリスマ力こそが、古川の本来の武器なのかもしれないね。 古川一族は、教会とも手を組んでいる。先にもあるように、古川財閥に無い分野は無い。PC達は古川財閥を利用して(または、自由に演出して)、情報収集(コネ「裏社会」「政治」など)をすることが可能だ。 古川一族出身、または財閥に関係したPCをしても構わない。その場合は優先して、一般特技のコネを使用してもらいたい。 ここで、古川の一部を紹介しておこうか。 ●指導者の古川家。 中央に立つ一族だ。異能力は無いが、多くの血を取り込んで束ねてきた財閥トップ。何人も優秀な有権者を輩出してきたって話だ。 ●武術の三剣家。 古川家を守る武術の家で、道場経営をしている。この道場は、能力者の能力制御の訓練をしてくれる場所だ。力をうまくコントロールできない人は、ここにお世話になるだろう。 ●芸術の白石家。 特に音楽に長けた芸術の一族だ。何人も有名なアーティストを世に送り出してきたんだよ。 ●魔術と貿易の八木沼家。 魔道具の輸出輸入でやりくりしている一族だね。海外からやって来る魔法のアイテムは、大抵八木沼のおかげと言ってもいい。 ●霊能力の青森家。 霊能力者で有名な一族だ。恐山のイタコと言えばこの家。もちろん本拠地は青森県だよ。 ●不動産の伊賀崎家。 多くの土地を管理している家だな。S市にある大きなお屋敷は、あそこの当主さんのものだよ。 ●造船業と流通の鏡原家。 「海の鏡原」ってCMでよく聞くんじゃないか? 先日、大きな事件があって大打撃を受けたみたいだけど、未だ業界トップの座は譲らないみたいだね。 ●病院と新薬開発の永丘家。 病院を経営している一族だね。能力開発の薬を研究しているっていう話も有名だ。 ●出版とメディアの神木家。 情報といえばこの家だろう。きっと読んだことあるあの情報誌やこの漫画雑誌も、神木が絡んでいるよ。 舞台となる街について教えて! 舞台は『中央駅』と呼ばれる駅を中心にしていることが多い。どんな街でも『AW』は楽しめるが、ここはよく俺達が活動している街について紹介しよう。 中央駅は、首都圏からやや離れた、とある地方都市にある駅だ。出口によって様々な場所に行けるという、まさしく街の中央地にそびえ立つ駅だな。 駅の南口が、自然豊かで寺院や古墳などの多いN市。 駅の西口が、数百年前から宿場町として栄え自衛隊基地や学校施設の多いA市。 駅の東口が、首都圏のベッドタウンとなっているS市。 駅の周囲には飲食店、食品取扱店、衣料品店、書店、薬局や、市役所や郵便局など日常に必要な施設が揃っている。 駅の近く、徒歩10分のところに少し大きめの教会がある。礼拝堂にいつでも入ってきてくれ。大抵、誰かしら待っているから。 他にも、専門用語があったら教えて! それじゃあ、箇条書きで説明しようか。 ●結界による監視・使い魔によるパトロール 教会は常時、街に危険が無いか魔術結界による監視活動、使い魔によるパトロールを行なっている。何か異変を察知すれば、すぐの常駐のエージェントの元に情報が届くようなシステムを構成している。 ●情報統制 異端や異端犯罪者、異能力の存在自体の情報は、徹底して秘匿されている。先進国政府でも、ごく一部の高官しか把握していない。 事件関係者やニュースの報道も、記憶操作を行われている。このときの記憶操作の方法も、異能力によるものである。 ●禁書 高度な魔導書。「特技ページ」の項目にない、強力な効果を記した本。禁忌の魔法などを記しているものが多く、非常に危険な魔術や儀式の詳細が書かれているため、教会本部が保存しているか、信頼できる能力者のウズマキの中に保管している。 ●未来を読む御子(みこ) 教会上層部の一人。[世界遣い]の力に長けた能力者。 予知能力や遠隔視能力を持ち、常識では計れない未来を読むことができ、事件に関わる人間を見分けることができる。この能力を駆使して、異能力が関わる事件が発生したとき、御子がその事件に一番近しい人物を選別し、この情報をもとに事件解決のチーム編成を行なっている。ただし、予知が全て当たるとは限らず、あくまでチーム編成の材料にしている程度。 正体は不明。決して誰の前にも立たないと言われている、謎の能力者である。 ●機関 数年前に教会によって解体された、能力開発研究所。元は、能力者による能力者のための研究組織であったが、いきすぎた非人道的能力開発、違法な魔道具開発の研究が行われていた。有益な実験結果を得るために、判っているだけで数百人以上の被害者を出している。 更には、強力な力を追い求めるあまり、手段を選ばなければ無限の力を与える者――異端を生み出す『欺く神』を信仰するようになった。新たなる世界の変革を求め、『欺く神』を呼び寄せようとする彼らは、邪教と呼ぶに相応しい。 現在は解体され、無くなったと言われているが、未だに残党や生き残りが問題になっている。 ●欺く神 異端を生み出す悪しき神。主な目的は、世界を負の感情で呑み込み、全ての存在を苦しみの中で消滅させようとしている。あらゆる生物と相容れない絶対的な悪である。 ■ワールドガイド Q&A 世界の謎編〜龍の聖剣が回答!この世界って、どんな世界? この世界の名前は『ゼフィロス』というの。 神様がそう名付けたのよ。他にも色んなTRPGがあるけど、この世界の特徴は「時が巻き戻りやすい」ってことかしら? この世界の仕組みを教えて。 この世界の生き物は、必ず神様によって寿命が設定されているわ。 例えば、Aさんという男性がいる。神様が決めた彼の設定を見てみると「20歳のとき美術の学生。50歳のとき事故で入院。80歳で天寿を全う。ポニーテールの女性と結婚する」とあるわ。 以上の決定事項『世界のイベント』さえこなせば、後は自由に生きていいとされているの。 ところが、異端は神様が決めた世界のイベントを捻じ曲げる力を持っているわ。 異端は18歳のAさんを殺すことができる。その結果、20歳のときに美術に関わろうとしていた彼がいなくなる。美術の大学の定員が1人空くから違う人を入学させるわ。50歳の彼がいない世界では、彼が入院させなかったことで病院の利益が下がるでしょう。そもそも結婚する筈のポニーテールの女性は誰と結婚するのかしら……? 1人男性が死んだだけでも、最低でも3人の人生が変わる。こんなことを続けたら、いつしか世界は滅茶苦茶になるわ。 だから神様は、「異端に殺される前まで」時間を巻き戻し、能力者達に異端を退治させるようにしているの。これがこの世界と『ループ』の仕組みよ。 『ループ』って、どういうこと? 時間を巻き戻す現象、または巻き戻す行為自体を『ループ』と呼んでいるわ。 異端によって殺されたままだと、世界は綻び始めて滅茶苦茶になってしまう。だから殺される前に時間を戻す。戻した後は殺される前に異端を倒して、元通り平和に時間を過ごしてもらうわ。 でも時間を戻しただけだと被害者はまた同じように異端に殺される。そこで「一度経験した世界の記憶」を持ったままループする特別ルールを作ったの。自分が殺されると判っていれば死を回避できるでしょ? 凄く有利になれるルールね。 これは本来ならご法度行為。そもそも時間を巻き戻すこと自体、いけない行為だということを忘れないで。だってみんなが積み上げたものを無に帰すことだもの。一瞬一瞬を本気で生きていた人に失礼だわ。 ……でも世界崩壊になったら意味が無いから、特別措置を作って頑張ってもらっているのよ。 ギリギリのラインを許してもらっている状態だから、みんながみんなループできる訳じゃない。記憶継続できる人は限られるわ。全員が記憶を持ってループすることがあったら、それは相当頑張らないと回避できない事件ってことね。 ループの『代償』って、何? 時間跳躍は、本当ならやってはいけないことなの。でもペナルティを受ければ、「時間跳躍を行なう」という有利になることを許してくれる。『代償』を払えば、ループができると言っても過言ではないわ。 有利になるとはいえ代償を払えばその分、動きづらくなることも多くなる。事件解決は大変かもしれない。1度目のループは無償でも世界は許してくれるかもしれないけど、2度も3度もループはさせてくれないわ。それでもループをするときは代償を払って。 代償ってどうすればいいかって? 代表的なのは、身体的喪失。片腕や片目を無くすなどね。 他にも、「その人によってペナルティとなるもの」であれば何でもいいわ。 例えば「歌が得意だった歌手が声を無くす」なんて、その人の人生や価値観に関わる超ペナルティね。こんなに大きな代償だったら、ループだけじゃなく他にも好条件を貰えるでしょう。そう、ペナルティが大きければプラス情報が貰えることもあるのよ。 決してやってはいけないのは、説得力の無いペナルティね。「男勝りな子が女の命と言われる髪を捨てる」、これは精神的苦痛ではないでしょ? 心が全然痛まないならペナルティにならないのだから、却下されるわよ。 『ループの核』『ループの知覚者』って、何? 時間を巻き戻しているなど「ループの中心」である者のことを『ループの核』。時間が巻き戻ってる、世界がループしてることに気付いてしまった者を『ループの知覚者』と呼ぶわ。 時間が巻き戻っている事態でも世界中でそのことを知っているのは、時間を巻き戻している本人の『ループの核』だけ。事態に気付いてしまった人のことを『ループの知覚者』と言うの。それ以外の人達は、世界が重複していることなんて知らない。違うシナリオでループの核だった人でも、別のシナリオではループしていたなんて気付かず普通に暮らしているものよ。【幸運】判定で成功したなら「あれ? デジャブ?」って勘づくかもしれないけど。 ちなみに、ループの知識や技術を持っていたり、妙に勘が良かったり第六感が働く人達のことを[世界遣い]と言うの。 少しでも知識や技術を持っている方が私達のことを理解してくれるから、ついつい私達超越的存在と関わるのは[世界遣い]になってしまうのよ。 ループの核になる条件はある? 厳密な条件は無いけど、選ばれやすい特性はあるわ。 一つ目は、愛情が深い人物であること。 愛が無い人は、感情が無いから成長しない。愛を知らない人は生に執着しないことも多いわ。「生き返りたい?」と手を差し伸べたとしても「別に。死んだままでいいよ」と言うなら、私達は去るしかないわ。多くのものを守ろうとする愛に溢れた人の方が、私達も好ましいしね。 二つ目は、社会的地位が高い人物であること。 これは単純に、人生を変えるにあたって有利だからよ。異端に殺されないようにするためには、以前の生活とは違う生き方をしなきゃいけない。でも、例えば「刑務所に捕まっている人」が生活を変えることは出来るかしら? まず無理ね。義務教育中の子供も同じよ。変えようと思っても制約が掛かるわね。 だから多くのループの核は、自分の人生を変えられる立場である人が多い。一番理想的なのは、20〜30代前後の大人かしら。その年頃だと立場に拘らず、周囲を動かす力を持つ人が多いしね。 三つ目は……些細なことだけど、女性より男性の方が多いみたい。 女性の体は弱い。それだけじゃなく、女性は狂気に逃げやすいの。元々強烈な痛みに耐性がある女性は、ループ生活での度重なる苦痛を防ぐよう、無自覚に防衛策を取ってしまう。これは「感情を捨て、成長しなくなってしまう」恐れがあるわ。成長しなくなってしまった人に世界を救える可能性は……残念だけど低くなるの。 これは性別に限らず、度重なる苦痛の末に感情を失くしていって……痛みに強そうに見えて実は廃人だったというケースはいくつもあるわ。 どこまでループできるの? 何年でも。魂があればどの時代にだって飛べるわ。 我々がループと呼んでいる『時間跳躍』の種類は、大まかに二つある。 一つは、過去の自分の体に今の自分の魂(記憶)を入れること。 二つ目は、魂を含めた体ごとタイムスリップすること。 一つ目の『記憶入れ替え法』は、私達に頼めば簡単にしてあげられるわ。本人の体に未来の魂を入れることは、結構簡単なことなの。老人の魂を若かった頃の体に入れるのはすぐに出来るわ。 でも二つ目の『体ごとタイムスリップ法』は、移動させる物が多いから少し代償は多めに払ってもらわなきゃいけないかもね。 余談だけど、知識や経験はすべて魂に記録されるものなの。そこに肉体は関与しない。「成人までに鍛え抜かれた体があるから[闘士]レベルが高い」ではなく、「[闘士]としての経験が高いから[闘士]レベルが高い」と考えた方が良いわ。だから成人男性の魂を未熟な子供に入れてループする際も、元からある[闘士]のレベルが低下することは無いわ。 同じように、『契約』のような霊的な記録も全てループで引き継げるの。契約は『魂の繋がり』だから、契約した以前の時間へ跳躍したとしても「お互いが『契約している』という意識がある限り」関係は継続するわ。 ただし、「契約は自意識が無いと結ばれない」のは判っているわね? お互いがマスターである、サーヴァントであると自覚をしたままループしているなら、主従関係のまま次の世界を送ることができるわ。 何故、異端は生まれるの? 神様から生き物が生まれるように、異端にも親がいる。『欺く神』という親がね。 欺く神とは元々、デカルトの『省察』に出てくる用語ね。「神とは全知全能完全無欠の超越的存在。その神から生まれる人間はどうして完全ではないのか? それは不完全を生み出す神がいるからだ。人間を苦しめる神がいるから我々は苦しまなければならない」という考えよ。 欺く神という、人々を苦しめることを目的にした神がいる。彼らによって「幸せを壊すため生み出された存在」、それが異端よ。彼らは己の生まれた使命のため、本能的に破壊活動を行なうの。 神様が異端を倒せばいいんじゃないの? 完全無欠の神様だもの、異端ぐらい倒せるでしょう。でもやってはいけないの。何故なら、神様自身が創作物をコントロールしてしまうと、世界が消滅してしまうからよ。 TRPGで例えましょうか。GMがプレイヤーにアレしろコレしろと逐一、指示を出す。そんなことされたらプレイヤーは「GM、吟遊詩人すぎる!」って席を立つでしょうね。神の視点からステージ操作したら、PCを動かしている意味なんて無い。セッションをしている意味なんて無くなる。プレイヤー達が席を立ったら、その世界は継続不可能となり、セッションは消滅する……。 神様は提案を出したりヒントを与えることはできても、生き物たちに「やりなさい」と強制することは出来ないの。だから私達はいつも「手助けしてくれる?」と手を差し伸べているのよ。 神様が直接、人を助けるとどうなるの? 先に述べた通り、神様自身が創作物に手をかけようとすると世界は消滅してしまう。では、ギリギリのラインで手を貸すぐらいならどうか? ……可能よ。でもね、世界を消滅させないように手を貸そうとすると、神様自身がペナルティを受け、最終的には死んでしまうの。 PC達がループするたびに肉体や精神的喪失の代償を払うとおり、神様も肉体的喪失を代償に払うことで事を有利に進められる。そう、神様は寿命を削ればどんなことだってできるのよ。ゲーム的に言うなら、寿命を50年減らせば達成値を[n×50]することができるの。 なら「自分の命を投げうって、人々を助けなさいよ」って思った? 神様なんだから? ……ええ、私達が貴方達に話をすること自体、直接介入していることに変わりない。今こうして話している最中にも、私のような存在は寿命を1年ずつ削っているの。 だからって黙らないで。私達のような存在は、命を削ってでも貴方達に会いたくてやって来ているんだから。貴方だってそうじゃない、1秒1秒を削りながら毎日生きているでしょう。超越的存在は億を生きているけど、単位が違うだけで貴方と同じ生き物よ。 そんな訳で、私のような存在や神様達は急激に寿命を減らして手を貸すことができる。突然お腹が痛くなったり吐血したりするけど、私達にとっては普通のことだからあまり驚かないでね。……無理な話かしら? 神様はどんな人達なの? 神様も、この世界に生きる生き物の一つ。生き物を生む仕事をして、ご飯を食べ、眠り、死んでいく。 自分の姿は自由に変えられて、数千年は生きる。何でもできて、何でも知っていて、不完全など無い……全知全能完全無欠の存在。 でも生き物だから、首を絞めれば死ぬの。「神殺し」という言葉がよく神話にはあるでしょ? 不老ではあるけど不死ではなく、死ぬときは死ぬわ。 [稀人]のように神様も、人間界に紛れて生きていることがあるわ。もちろん、欺く神も。人間として暮らしている神様は、案外近くに居るのかもね……? ちなみに、神様は必ず目か髪の毛が「ある特定の色」を持っているの。≪六色の光≫のことね。紫、銀、金、赤、緑、橙。地毛やカラコンを点けずにその色の人がいたら、もしかしたらその人は……。 そういえば私やルージィルも金髪碧眼ね。というより、普通の人間で有り得る組み合わせと言ったら金髪碧眼ぐらいだと思うわ。目が赤い人って、いかにも禍々しいでしょ? 余談だけど、この六色って色んなところに現れてるの。≪赤の君≫、≪オレンジの記憶≫、≪紫神の宝玉≫……。ゼフィロス的に紫色は一番高貴な色でね、この世界の最高神の眼の色が紫なの。何かと紫色の物には曰くがあるものよ。 神様はどうやって生まれるの? 生まれ方は全部で三つあるわ。 一つ目は、神様が子供を作ること。神様同士が子供を作ることもあれば、人との混血の例もあるわね。 二つ目は、神様によって神様にしてもらうこと。全知全能完全無欠の何でもできる神様が「チチンプイプイ、貴方は人間から神様になーれ」と言ってくれればその瞬間から、神と同等の力を手に入れることができるの。 三つ目は、神様になるという試験をクリアーすること。「この試験に合格できれば神様になれる」という試験を、何でもできる神様が作り、それに受かればいいの。 例えば、「46億個の魂を集めろ」とか「3万の人間の血肉を捧げて特定の呪文を唱えなさい」とかあるわね。「四つ葉のクローバーを5つ集めて満月の日にお祈りしなさい」なんて難易度が低いものでも、正式に神様が作ったものならばクリアーしたら神様になってしまうわ。 あくまで理論的には可能だけど、試験を出す神様なんてまずいないわ。いたとしても、200年に1人いるかいないかの難易度でしょうね。 私? 私は……一つ目と三つ目の複合ケース、かしら。 ■パーソナリティーズ
■GMガイド
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