アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 番外編3 2ページ ■
2006年(仮想リプレイ公開2021年5月15日)




 ●トリガーイベント 〜運命〜

悠理/トフィのギガース暴走から1年後に雪御化復活の2月2日なんですよね。……生まれ変わった悠理は、もう一度、鉄先輩との最期の会話をすることになりますか。
GM/うん。今回の人生でも悠理は「機関の研究所に侵入した人間が捕まった」という話を聞いた。
悠理/……あの人は……また……。助けに行きます!
GM/助けに行くか。だが断られる。まったく同じ会話を、悠理は聞くことになる。「自分からここにいるようなもんだ。約束が守りたい。P-27と、GP-01を、頼む」と彼は悠理に頭を下げる。
悠理/…………。また私は、先輩に……何もできないのか。私の手で無理矢理にでも先輩をここから逃がすことはできませんか!?
ノエル/(←マリアベルの中の人)無理だね、鉄が全部放棄して逃げるとは思わない。
憲子/(←サクラの中の人)逃がそうとしたら怒鳴られて戦闘するかもしれないぐらい頑固な男だよ、あいつは。
当真/周囲の見解が一致してる……(一同笑) でもこれって、トフィを救うためギガース開発中止を訴えてもダメだった悠理にとっては、2つ目の絶望だよね……。
悠理/……ショックで暫く何も出来なそうだ。再度織葉に行くまでの1年間、何してようかな……。
GM/悠理は意気消沈して1年間何もできなそうだけど、他の3人は1年間どうかな?
当真/……トフィをまた殺してしまったことを、めちゃくちゃ後悔してる。「遺体が回収できたなら墓参りぐらいさせてくれ」って機関に頼み込むよ。
GM/「残骸は回収したけど遺体までは……」という回答で、墓参りは無理だと言われます。
当真/……ちっくしょう、ホンマに、何も出来てねえやん……ちっくしょう。
ノエル/…………。当真。心機一転、ハンター業に励むのか?
当真/トフィを二度も救えなかったことに後悔しながら、「もっと力が欲しいな……」って鍛錬しつつ今まで以上にハンターを続けるかな。……普通の人間より2倍生きてるっていうのに、何やってんだ俺は。
ノエル/俺は1年……舞台の仕事をこなしながらも、少しだけ異端退治の仕事に熱を入れてみるかな。当真と同じで、もっと力があったら変われたかもって思いながら。
当真/憲子は?
憲子/……1年間、雪御化を探してみる。復活するってことは、どこかにギガースに倒された奴が生きていて潜んでいるってことだから。もしくは、雪御化2がいるってことだから。
悠理/復活じゃなくて、2体目の可能性?
憲子/親子だか兄弟だか判らないけどね。雪御化がギガースになったのは、どういう理屈か調べていく。データ的には変身特技なんだろうけど。1年調べ続ければ、なんとか……。
GM/なんとかならなかった。君達は虚無のまま、1年後を迎える。

 ――1年後の、1987年2月2日。君達は、織葉市の某団地に向かう。
 鬼と対決した君達。両者は戦った。
 すると鬼の外身がバキバキバキと弾けて崩れ、中が現れ……その体積は、何故かどんどん大きくなり……。
 何かの違いが生まれるかと思いながら、君達は直面する。見覚えのある巨体と。


ノエル/やっぱり出るのか!
当真/雪御化がギガースになって……トフィは、生きているのか。
悠理/これ、「雪御化という化け物が実は生きていて、1年前のギガースを真似てしまった」ってことですよね? ギガースを真似られるなんて、恐ろしいことを……!
GM/そうして君達は、攻撃を繰り出すような高エネルギー体を感じる。

 立ち向かわなければならない運命。直面する運命。
 それは、黒い光が、全員を……街並みを全部呑みこむように広がっていくという運命。
 全てのリソースで対抗しても、強大なギガースの力は君達を打ち払っていく。

 だから君達の2度目の人生は、これまでだ。


GM/ギガースの放ったビームが全てを殺しつくす。君達は死ぬ。
当真/ヒエッ。
GM/意識が暗くなってブツリと切れる一同。……ここで、GMは確認します。「このループ内で、上門狭山、もしくはトフィと最も接したのは誰ですか?」
ノエル/関わって難易度減少ができたのは、悠理と憲子と当真だな。
悠理/最も接したといえば……憲子か?
憲子/物理的に接していた憲子ですね。愛人だから。物理的に。
GM/物理的に(笑) では次に、PC全員は【正気度】を1D6減少させてください。
憲子/あ、死にますわそれ。

 PC達は、【正気度】1D6減少させるロールした結果……。
 悠理:3点減少。(現在【正気度】7→4)
 ノエル:3点減少。(現在【正気度】8→5)
 当真:1点減少。(現在【正気度】5→4)
 憲子:4点減少。(現在【正気度】2→0)


GM/……憲子が【正気度】0になったので、特別イベントが発生します。


 ●トリガーイベント 〜邂逅〜

 ――憲子は、投げ出される。
 上も下も右も左も判らぬ、感覚を失った不思議な空間に。


憲子/ここは……時と時の狭間……?
GM/得体のしれない空間。理解できないような未知の場所。ここが死後の世界だろうか。【正気度】0だから、情緒不安定になる。
憲子/……そりゃあ……2回も焼かれて殺されたんだから、気も狂うわ……。
GM/訳が判らぬ空間。君はひとりぼっち。暗いどこかも理解できないところを漂う。……そんな不安になる憲子は、優しくあたたかい声が聞く。
憲子/……ん……?

 GM/「つらかったね。頑張ったね」

憲子/…………えっ?
GM/「今まで苦しかったね。そんな小さい体で、よく精一杯生きてきたね」 凄く、安心する声がします。
憲子/安心できる声……誰?
GM/凄く安心させる声の誰か、です。「おつらいでしょう? 長くを生きること、悩めること、独りきりで抱えていくことはつらいでしょう?」
憲子/…………。そうね、つらいわ。痛いのは、誰だって嫌……つらくてたまんない……。
GM/「つらいわね、苦しみを抱えていくのはつらいわね。器にはそれ相応しい魂しか入らない。なのに小さなヒトの器に大きな意識を入れ過ぎてしまった。苦悩が両手に溢れて重くて喘いでいる貴方は苦しまなくていい。必要なもの以外、捨ててしまえばいい」
憲子/……捨てていい……?
GM/「ええ、苦から解放されて自由になった方が美しいわ。貴方は自由に生きるべき……」
憲子/誰か知らないけど……慰めてくれているの?
GM/「もちろん。貴方のことが、心配だから」
憲子/……ありがとう。不安定になっている状況で優しい声を投げかけられたら、嬉しくなります。
GM/「もう頑張れそうになくても必死に足掻いていく、そんな貴方達を、応援させて」

 『イベントキー:寵愛』
 理性を外し、人間性を失ったことで縦横無尽に生きる活力を得るイベントキー。
 「主特技1つ+副特技2つ」を削除するごとに、【正気度】を1D6+1点ずつ回復できる。
 【正気度】が1以上になったPCは、セッションに再参加できる。【正気度】0のままのPCは、GM側に仲間入りすること。

 なお、一度『イベントキー:寵愛』は違うシーンでもPCに『イベントキー:寵愛』を譲渡することができる。
 譲渡された対象は『イベントキー:寵愛』を所持したことで、【正気度】を回復することができる。
 このイベントキーを得たPCは「バッドステータス:寵愛」を受ける。


GM/愛をプレゼントします。
当真/愛、これが愛?(笑)
悠理/愛がバステって、何だこれ……?
憲子/【正気度】回復できるんだ。でも0になったら「GM側に仲間入り」って……そんなことできるの?(笑)
GM/できるよ。それはつまり「PC側と敵対」ということになるけど。
憲子/……この流れでどう敵対するんだ? PCの敵になるってことは、声の主……貴方は、雪御化?
GM/「違うわ」 ノーと答えます。
憲子/雪御化ではない? ならトフィ……でもないし、まさか所長でもないから、新キャラ? 黒幕? ……でも優しい声だし敵対することができない感じなんだよな。……どうしよ……。
悠理/GMはPVPもありうるって言っていたけど、このギミックがあるから?
ノエル/多分。そういうことかな……。
憲子/きっとそうなんだろうけど、どうして敵になるのか気になるじゃん? という訳で、ここは敢えて【正気度】を回復しないことにします。優しい声を受け入れるってことで。
悠理/GM側になった!?(笑)
ノエル/優しいもんな、誰だか判らんけど信頼しちゃうよな(笑)
憲子/どれくらい信頼しちゃおうかな。ダイスを振って1が出たらちょっと、6が出たら凄く信頼しちゃおう。(ころころ)6! ラブラブゾッコンになります!
ノエル/今日の出目、全体的に高いね!(笑)
憲子/精神が不安定で心細いときに優しい声で自分を慰めてくれた誰か! 好き!(笑) ……ねえ、貴方……姿を見せてくれる……?
GM/では、右も左も上も下も判らないような不安定な異空間に、スッと女性の姿が浮かび上がる。穏やかな笑みの美しい女性だ。優しい笑顔で君を包み込む、まるで本当のお母さんのような安心感が得られる聖母だと思った。
憲子/き、綺麗! ママ! 好き!(笑) ……貴方の名前は……?
GM/名前は……と尋ねようとしたとき、突然「マキョウ」と男性の声が掛かる。君はその声に、ハッと目を覚ます。
憲子/ハッ。……目を覚ます? えっと……夢から覚めたってこと?
GM/周囲の状況は、雪だらけの林の中だ。
憲子/あの綺麗な人はどこ……!?
GM/いるよ、目の前に。
憲子/良かった! ねえ、貴方……ここは……。
GM/自分が、自分が魂だけの存在になっていると気付きます。幽霊みたいになってます。
当真/体が無い?
憲子/……今度こそ、本当に死んでる?
GM/器を持たない、魂だけ彷徨っている状態だ。体が無いから雪は寒くないけど心は寒い。
憲子/じゃあ適当に人間を見つけて乗っ取ります。
ノエル/迷いが無かった!(一同笑)
GM/そっか、憲子は[異端者]で≪生体侵入≫があるんだっけ(笑) じゃあテキトーな人間を見つけて乗り移って器をゲット、肉体を手に入れた憲子は成仏する心配が無くなって話せます。
憲子/これで安心。
悠理/安心していいのか?(笑)
憲子/なんかさっきから私のシーンばっかり時間を掛けてごめんなさい!(笑) ……で、貴方の名前とここはどこかを教えてほしいんだけど?

 GM/「この女の名前はマキョウ。ここは織葉と呼ばれる地だ」 雪の中、陰陽師の男が、憲子となった女に警戒しながら話しかける。

憲子/いきなり誰!?(笑) 陰陽師って何!?
ノエル/……あっ、陰陽師ってもしかして!?
GM/(陰陽師の男になって)「貴様こそ何者だ? この織葉の地を荒らす異端か。……いや、貴様から異端の力を感じるが、敵意は感じない。何か訳ありなのか」
憲子/先に身の潔白を証明しよう! 私は大館 憲子。異端の力は使うけど異端じゃないし、織葉の地を荒らしているという敵じゃないわ。突然私もこんな所に放り出されて困っているところなの。助けて。
GM/そんな憲子の横に、聖母のような女性が「彼女は心細くて泣いている可哀想な子なの。どうか助けてあげて」と憲子の前に出て援護します。
憲子/か、庇ってくれた! 優しい! 好き!(一同笑)
GM/「異端の女であるマキョウが味方するなんて、怪しすぎるとしか言えないのだがな。……だが、助けが必要な者を救うのが私の役目だ。助けてやろう」 陰陽師風の男性は「私は、橘川越という」と自己紹介します。
当真/やっぱ橘さんか!
ノエル/平安時代の陰陽師だ!(笑)
憲子/ってことは、今度は平安時代……なに、今度は20年どころじゃなくて1000年後にタイムスリップしちゃったの?(笑)
GM/そうです、一応西暦1005年という設定です。(女になって)「私のことはマキョウと呼んでくれていいわ。よしよし、怯えないでいいわよ。この人、私には勝てないから」
憲子/よ、よしよしされた(笑) マキョウ……覚えたわ。ありがとう。
GM/(川越になって)「ここは織葉。京からずっと北東の地方だよ。君の本来の肉体が見つかるといいんだがな、どっかのシーンで」

 『魂の扱いについて』
 魂は、適切な器でないと器を使役すること(肉体を得ること)は難しい。
 だが適切な器(本来の肉体)がシーンに登場し、同一人物同士が直面した際、魂の強度が強い方が優先して主導権を得て、融合する。


GM/PCは無条件で勝てます。頑張って1000年後に生まれてくる憲子に出会って器を乗り継いでください。
悠理/1000年間生きろと?(笑) す、凄いスケールの話に……。
憲子/それにはさすがに……頭を抱える(笑) とりあえず乗り移った女だって普通に50年しか生きられないでしょ、また乗り継いで1000年後まで頑張れって? 女さえいればできなくはないけど。
GM/……ちなみに憲子が乗り移った女はモブAなので好きに使ってくれていいけど、乗り込まれたモブAの意識とかはどうなってるの?
憲子/体を乗り移られた時点で憲子の情報に上書きされて食べられて死にます。
悠理/すげー迷惑な異端じゃねえか!?(一同笑)
GM/それを知ったら川越は怪訝な顔をするぞ(笑) 「……貴様を野放しにしていると、1000年間罪の無い女性達の魂が被害に遭い続けることになる。私の屋敷に来い」
憲子/あら、匿ってくえるの?
GM/「器ぐらいなら創れる」 式神、ホムンクルスを生成するのでそれに入って被害者を出すなって提案します(笑)
憲子/ありがとう。でも私、こうやってちゃんと自分の姿になれるし。屋敷に招かれたってお礼は何も出来ないわよ? 1000年前からタイムスリップしてきて、何も判らない身一つの状態なんだから。
GM/(マキョウになって)「カワゴエ、家事手伝いとして雇えばいいんじゃない? お医者様として働いていて毎日忙しいのだから女手があると助かるでしょう?」
憲子/…………。マキョウと川越は親しそうですか?
GM/【理知】判定をどうぞ。
憲子/(ころころ)達成値10。
GM/男女の仲だなって思います。
憲子/この男、泥棒猫かッ!?
ノエル/いや逆じゃない?(一同笑)
憲子/……厄介になるわよ。優しくて強そうな人にすぐ会えて、私はラッキーな女だったわ。平安時代のこととかよく判らない平成時代の人間もの。
GM/(川越になって)「平成? ほう、やはり世界を渡る奴はたびたび現れるな。君の話を聞かせてくれないか? 未来の魂というならその知を深めておきたい」
憲子/貴方の態度次第ね。って言いながらマキョウの腕にヒシッてしがみ付いて警戒しておきます!(笑)
GM/マキョウは「あらあらまあまあ」と聖母の微笑みのまま、屋敷に向かいますね(笑)

 『時間跳躍の代償ロール』
 【正気度】を1D6減少する。
 なお、その出目が奇数だった場合のプレイヤーは、前回と同じように1D6歳から人生をリトライする。
 出目が偶数だった場合、その出目×100年前に魂だけが放り出されてリスタートする。


GM/悠理とノエルは3歳から、当真は1歳から人生をまた再スタート。けど、今後もし偶数が出たら憲子のように魂だけ放り出されます。
悠理/どうしよ、憲子みたいに体を乗っ取るとかできないよ!(笑)
憲子/できるできる、なんとか気合で入ればなんとかなる。
ノエル/気合で入られても被害者が出るからやめてほしいんだけど……(笑)
GM/さて……1005年に魂だけの状態で放り出されてしまった憲子。再び幼児から再スタートする悠理とノエルと当真。そんな2ラウンド目、3度目の強くてニューゲームがスタートします。
当真/はーい。ノエルはまたダンサーやるのか?
ノエル/もちろん! せっかく強くてニューゲームできるのに天才子役スターをやらない理由が無い!(笑)
憲子/……『ワンアンドアナザー本編』に関わらない程度に色んなロールをしていいんですよね?
GM/『本編』に関わらない程度なら……と言いたいけど、面白かったら本編無視して別時空の話だってことでどんどん改変してもいい。
憲子/やったー。じゃあどんどんやりたいことやっていこう! ギガース開発中止はできなくても航を殺してもいいよ!
ノエル/航を殺すの!?(笑)
悠理/……でもそれ、一度は考えますね。航先生がいなければ、鉄先輩の命を助けることも、ギガースの開発も、のちのち「ギガースに邪神を乗せる計画」も無くなる訳だから、邪神復活の騒動が無くなる。26年前にタイムスリップしてきた悠理が航先生を殺そうと画策してもおかしくはない。
憲子/おおおー、それは面白い! そういうシーン見たい! ぜひ次の機会にそういうシーンをして!


 ●ミドルフェイズ5/悠理 〜運命を変える〜

 前回のセッション(ミドルフェイズ4まで)から、数日後。
 『ワンアンドアナザー』を元ネタに新規小説連載の執筆を始めたマーサーの自宅に集まった一同。
 いやその前に……マーサーの自宅近くの漫画喫茶を見た一同の話。


悠理/ゲラゲラ。
当真/ゲラゲラ。
マーサー(以降、サブGM)/なに? どうしたの?
悠理/いや言いたいから言った。だってあそこに、ゲラゲラがあって。
GM/漫画喫茶ゲラゲラがある。ちょっと俺達の中で流行語になっていて。ゲラゲラ。
サブGM/そのゲラゲラの下にゲームショップがあるから、みんなが集まるまでそこで待機してようか。(ゲラゲラ下のゲームショップに移動して)……これから「タイムスリップしたPCが航先生を殺そうとするセッション」をするんだっけ? あれだけどの卓でも殺せなかったのに超ウケる。
GM/ゲラゲラ。
サブGM/ゲラゲラ。あ、『はじめてのおてつだい』が売ってる。
鉄/『はじめてのおるすばん』と『はじめてのおいしゃさん』は名作。でも『おてつだい』はまだノータッチなんだよな……。
サブGM/私は君からどちらもプレイさせてもらってハマったから、『おてつだい』も買おうかな……。でも今年は『咎狗』とか『ホロウアタラクシア』とか『鎖』とか『智代アフター』とか『ゴッデス』とかPCゲームいっぱい買ったから自重しなきゃだしな……。
GM/『はじめての』シリーズって面白い?
サブGM/面白いっていうか……可愛くて、不思議な味があるというか。
鉄/発想がぶっ飛んでいるけど日本語を喋っているから判るというか、でも絵が可愛いしシナリオが簡潔で判りやすいから嫌いになれないというか……。
悠理/(←途中から話に入ってきて)何の話? 航先生を殺す相談してる?
サブGM/はじめてのこうせんせい?
GM/ゲラゲラ。
鉄/ゲラゲラ。

 そんなセッション開始前の雑談は、おいといて。
 参加プレイヤー全員が集合し、セッション後半戦が開始された。


『AF判定:雪御化に殺された1987年2月2日まで生きる』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:958分の68

※「時が戻った人生から雪御化と戦うあの日まで生き続ける」演出に成功すること。


悠理/最初のシーンを悠理から貰います。機関に入る前の航先生を殺しに行きます。
ノエル/ほ、本当に殺しに行くんだ?
サブGM/他の『ワンアンドアナザー』参加者からも「いいんじゃない? 殺しても」と返事を貰ってあります。中には「オーウェルの恨みを晴らしてやれ!!!!!」という熱い声援も大勢から受け取っています(一同笑)
GM/ただし、判定をしてもらおうと思います。何回か判定をして全部に成功したら「この世界線は航先生が死んだ世界です」って別ルートの『ワンアンドアナザー』が始まるということで。
憲子/おー、そうなったら新シリーズ開幕だ。
ノエル/あの男がいなくなるだけで大体の事件が解決できるからな……(笑)
悠理/凄い重要な世界の選択を託された気がする! いきます!
ノエル/はじめての航先生殺し、スタート!(笑) ……そういや航先生って何歳頃に機関に入って活動を始めたの?
サブGM/えーと、色んなプレイヤー達の証言を集めてきた結果……「最初は成果が出なくて思い悩んでいた」らしいよ。機関に入る前に殺すなら高校生頃がベストだね。
当真/将来のことについて悩んでいるのかな。
サブGM/それなんだけど、航先生ってどうやら天涯孤独らしいのよ。家族の話が今までどの卓でも出てこなかったし。学校には行って一生懸命勉強をしているけど、まだこの頃は自分がどう進めばいいか判らず、人生に行き詰っている感じかな。
ノエル/ここから異能研究という天職を見つけてしまうのか。
憲子/そんな人生があったんだ……。
悠理/事故に見せかけて殺したいんですけど交通事故だと轢いた運転手が可哀想ですね。
サブGM/聞いちゃいねえ(一同笑) 事故にしたいなら、溺死とか、落下死とか?
悠理/落下死! 進路に思い悩んで学校の屋上から飛び降りてほしいです! できませんか!?
GM/それをやるのがお前だよ(笑)
悠理/悠理は洗脳特技を持っていない! でも≪本能の拐引≫で人を遠ざけて航だけの場所を作って、≪幻想式≫で自殺しやすい環境を作っていきますよ。当時まだ12歳ぐらいの悠理が背後からこっそり魔法で操る感じで!
GM/では3回ある運命のダイスロール1回目をしてもらおうか。魔法を使うということで、【意志】判定で難易度12で。
悠理/(ころころ)出目が5と6! 達成値19で成功!
ノエル/ヤル気満々だ!(笑)
サブGM/自殺に見せかける殺人現場の準備は万端だ!(笑) どうやって航を引き込むの?
悠理/自分が航先生を呼び寄せる……のではなく、自分から死にたいという気になってもらいましょう。決して後ろからドンと押して転落死させるとかじゃなく、自ら飛び降りてほしいので!
当真/ひでえ話だな(笑)
悠理/この人が死ねばギガースの開発だけでなく後々の事件も起きなくなるんですよ! そういう強い≪強化手術:意志1・2≫の意思で、≪薬物調合≫で作った薬をこっそり彼のご飯に混ぜて飲ませて自殺してもらいたい病になってもらいます。
憲子/そのヤバイ薬だけでセッションシナリオ1つできるよ?(一同笑)
GM/では2回目の運命ダイスロール。その薬が効くか、怪しまれず食べさせることができるかの判定を【反射】判定で難易度12で。
悠理/【反射】は低い……がここで負ける訳にはいかない。ここで殺せば、もしかしたらトフィも助かるかもしれないんですから! ≪幻想式≫を使用して判定いきます。(ころころ)ぎ、ギリギリ成功です!
ノエル/凄い、成功しちゃった……(笑)
サブGM/オレンジ色の夕焼けの校舎屋上に、高校生の彼に立ってもらいましょう……。
悠理/≪ニュクスの冠≫で放心状態にしながら、≪飛行の札≫で飛んでもらいます。こっちが魔法を使ったっていう証拠は残さないように≪刻印増強≫で精巧に、注意して……! 航先生がいない機関の研究室の穴は、しっかりと自分が埋めさせてもらいます。安心して逝ってください。
GM/では……3回目の運命ダイスロール。本当に殺せるか、【幸運】判定難易度15で。
当真/高っ。
憲子/いや、でも、それぐらいは必要でしょ……。
悠理/おおお世界の抑止力を感じる! でも負けられない戦いがある! ≪幻想式≫を使えば固定値で8あるので、2D6で7が出れば成功します!
ノエル/期待値が出れば、いける……!
憲子/うわあ半々か、これはいけなくても仕方ないって諦められるし……!
悠理/その場合はまた挑戦すればいいだけです! 夜須庭航、死んで! 判定いきます!(ころころ)ファンブルです!

 (一同ゲラゲラ爆笑)

鉄/夕日の屋上から飛び降りて浮いた航の腕を、走って、掴む。
GM/(高校生の航になって)「あっ……」
鉄/ブランってなった航を、引き上げて、馬鹿野郎って助ける。どこの誰だか知らねえが、飛び降り自殺なんてする奴がいるか! この馬鹿! 死ね!
GM/「いや、その……死のうと思ったんだけど」(一同笑)
鉄/うるさい! なんで死のうしてるか知らんけど、とりあえずダメだ! 口ごたえするな死ね!
GM/「だから死のうとしていたんですけど……(笑) どうして事情も判らない僕を止めたの?」
鉄/理由なんていらないだろ。
GM/「理由は必要だと思うよ。なんでそんなに怒ってるの。なんで必死に走って止めたの。自殺にも理由があると思うんだけどそれを無視して自殺するなと言う理由は何?」
鉄/お前凄い喋るな。元気じゃねえか。なら生きられるな。
GM/「いやいや質問に答えてよ。これでも僕は将来を思い悩んで何をしても誰も褒めてくれないぐらいに寂しい人生送ってるし絶好の死に場所を見つけて今なら死ねると思って飛び降り自殺を決行したのだけど、何も関係ない君はどうして止めるの」
鉄/人を助けるのに理由とか無い。そう母さんから教わってきただけだ。頑張れよ。誰も褒める奴がいないなら俺が友人になって応援してやるから、生きろよ。
GM/「…………」
鉄/泣いてる頭を撫でて、連れて帰ってやる。で、お前の名前何だ。教えろ。
GM/初対面かよ。泣いてたことにされたし連れて帰られた。……2人は屋上から立ち去られる。自殺に見せかけて殺すのは、無理だった。
悠理/…………。
GM/次のシーンもリベンジ戦、やる?
悠理/……次のシーンは、次のシーンプレイヤーに任せます。……2人が帰っていく途中で、会えませんか。
GM/鉄が会ってもいいなら。
鉄/泣きべそかいてるバカに制服の上着をかけながら、ばったり悠理に会ったってことで。よう悠理。もう暗くなるから小学生はさっさと帰れよ。
悠理/……先輩。その人は。
鉄/俺のダチだ。ちょっと送っていく。お前は1人で帰れるか。小6なんだから帰れるよな?
悠理/小6なんだから1人で帰れます。でも、その人は高校生なのに1人で帰れないんですね。
鉄/そうだな、困ったことに。だから俺が連れて帰ってやるんだ。じゃあな。
悠理/はい。…………。ボソッと先輩が通り過ぎるときに、「後悔しますよ」って呟こう。
鉄/後悔なんてするかよ。
悠理/……即答された……。なんで、後悔、してくれないんですか。……貴方はその人のせいで死ぬのに……。
憲子/……先に言っておくけど、私は航を殺すシーンに加担しないから。
ノエル/俺もしない。
当真/トフィを助ける一つとしてやってくれたのは嬉しいけど、このシーンとファンブル失敗を見せつけられたら、ね……俺もしないことにする。
悠理/……はい。何も成果は無かった、ということを噛み締めながら、判定します。(ころころ)達成値13だったので、『現在難易度:944分の81』です。
GM/達成値77で、ラッキーセブン到達。悠理は【幸運】判定で難易度10をして成功したら情報2つ開けていいよ。
悠理/こんなに心が晴れないラッキーもなかなか無いぞ……。(ころころ)10でピッタリ成功。

【選択できる入手情報】
(1)顔が無い白鬼の伝説について
(★入手済)ギガースについて
(★入手済)機関について
(★入手済)トフィについて(必須『イベントキー:機関について』)
(★入手済)上門狭山について(必須『イベントキー:機関について』『イベントキー:ギガースについて』)
(★入手済)上門狭山について2(必須『イベントキー:上門狭山について』)
(7)上門狭山について3(必須『イベントキー:上門狭山について2』『イベントキー:トフィについて』)
(8)ギガース停止方法について(必須『イベントキー:ギガースについて』)
(9)始祖について(必須『イベントキー:機関について』)


悠理/悠理が知るべきなのといえば、8のギガース停止方法だと思います。なので1つ目は8を選びましょう。

 『ギガース停止方法について』で判明すること。
 所詮はギガースは魔道具である。全能の逸品ではないので穴がある。機能停止する手段は、ある。
 機関の知識を集結させて造られたギガースは、千年前を生きたという偉大なる始祖の知恵の数々によって製造された。
 始祖は『いかなる異能・いかなる魔道具も制止させる異能』を編み出していたという。
 その異能の仕組みをもとに造られたのが異能界に広まっている抑制装置(封印結界とか、異端・異端犯罪者束縛手段)である。
 始祖が編み出したという最重要異能と指定された秘術は、始祖自身と、その伝承を受け継いだ上門所長他重役しか知るはできないだろう。

 最後に。
 ギガースの停止自体は、「いつでもどこでもできる」。


当真/ここにきてまた「始祖」だ……。
悠理/始祖については機関を調べていればゲットできるやつですね。このまま始祖について開示するべきですか?
ノエル/個人的には1番上の、伝説についても気になるんだけど……。
憲子/確かに。何が気になるって、項目の1番上なことだよね。
悠理/そう言われてみると気になってくる……。そうですね、他の情報には前提条件が必要だけどこれだけ無いのも「最初に知っておくべき基礎情報だから」かもしれません。素直に明けておきますか。
GM/じゃあ、1の「顔が無い白鬼の伝説」の情報を掲示するよ。ちょっと長いから気を付けて。

 『顔が無い白鬼の伝説について』で判明すること。
 昔々、旅人が雪深な国を訪れました。
 旅人の前に、恐ろしい雪女が現れました。
 女の鬼は何百年も生きる慧敏で狡猾で凶悪な人ではないもので、訪れた男をいたぶって殺そうとしました。
 ですが男は女の美しさに惚れてしまい、化け物の女が望む恐怖の顔を見せません。


悠理/ほうほう、本当に昔話テイストですね……。

 悪しき女は旅の男を美味しく食べようとあの手この手を仕掛けます。
 男は負けません。女も負けじと張りあいます。
 言葉を交わし、感情をぶつけ、多くの時を過ごせば所詮は男女。2人は結ばれたのでした。

 ですが、人ではない女は生きるために人を食らおうとしたのです。
 男の暖かさだけで腹が膨れることはなく、共に時を過ごせば過ごすほど、彼女は痩せ、
 恐ろしい化け物は見る影もなく死んでしまうのでした。

 男は悲しみます。
 深い悲しみに暮れる男でした。
 彼は一塊の雪に、愛してしまった女の名をお七夜の命名書のように記し、また彼女に逢えるように願うのでした。


ノエル/お七夜の命名書?
GM/そういう名前を付ける儀式だと思ってください。命名式な。

 すると、男の想いが通じたのか、紙を籠めた雪が動き出しました。
 そこに命が灯ったのです!


当真/命が生まれおった!

 しかも真っ白なそれは、筆を使えばどのような姿も描けます。
 男が愛をこめて名前を記した真っ白のそれに、女の顔を描くのでした。
 そして女の姿になったのです!
 まるで彼を慰めるように、傍に寄り添えるように。

 しかし、いつしか男とも別れの時が訪れます。
 人と、人ではないものですから。
 男と一生の別れを体験した紙は、誰にも見つからないまま何処かに消えてしまいました。

 ただその年、とても深い雪が降りました。
 男が鬼女と会った雪深い頃の国を思わせるような雪でした。
 もしかしたらこの雪は、男との別れを悲しんだそれが、それでも彼が求めた女の姿を追い求めて……見も心も全て鬼女になってみせようと雪を振らせたのかも。

 ――この地域・織葉では時おり大雪が降るのが『雪御化』という顔の無い変化(へんげ。妖怪)のせい。
 それはとても悲しいが、どこか人情味溢れる愛の物語として語られることが多いという。
 この逸話は、どうやら王朝国家頃・平氏政権以前(西暦1100年以上前)には成立したものではないかという民間伝承を調査した結果が出ている。
 10世紀初頭〜12世紀後期ぐらいには「顔の無い雪の鬼伝承」があったと判明します。


ノエル/ほうほう、10世紀初頭ぐらいから成立したらしい伝説。
当真/……平安時代の、川越とマキョウ?
憲子/それ思った。これ、あの2人じゃない?
悠理/あの2人が無関係に出てくる訳ないし、女の方は人外ぽい雰囲気が出てたからきっと……。憲子のシーンで言及してみたらいいんじゃないか?
憲子/そうする。……もう悠理はシーンエンドしていいの? 私のシーンになったら1000年前にカメラを移すけど。
悠理/…………。それから十数年後、鉄さんはまた機関に捕まって、死ぬのですね。
GM/何も歴史が変わってないからな。また彼は牢屋の中で君に「自分からここにいるようなもんだ。約束が守りたい。P-27と、GP-01を、頼む」と言う。
悠理/自分では何も変えられなかったと思い知る。……このままシーンエンドします。


 ●ミドルフェイズ6/憲子 〜愛〜

鉄/セッションが終わったら呼んでください。それまでサブGMのノートパソコンで『月姫』プレイしてます。
サブGM/ちゃんとヘッドホン着けてセッションの邪魔にならないようにパソゲしてます〜(笑) このセッションが終わったらみんなで笑笑に打ち上げに行こうね〜。
GM/あいよー。サブGMは戦闘シーンになったら呼ぶからよろしく。(ころころ)では次のシーンプレイヤーは、憲子だ。平安時代からスタートいける?
憲子/丁度良いのでこのままシーンプレイヤーやります!

『AF判定:雪御化に殺された1987年2月2日まで生きる』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:944分の81

※「時が戻った人生から雪御化と戦うあの日まで生き続ける」演出に成功すること。


憲子/1000年前、平安時代の暮らしをすることになった訳ですが。マキョウと川越はどんな生活してるの?
GM/川越は医師(くすし)、この時代の医者です。貧しい人達の病気や怪我を見つつ、色んな医学・薬学の勉強をして、その合間に異端退治もやっていたりする。
当真/橘さん、相変わらず凄い人だ……(笑)
GM/で、マキョウはその伴侶だと思ってくれれば。妻なんでしょう。
憲子/本当に夫婦だったのね、残念。それでもお姉さまと呼んでお慕いしますが。
悠理/突然『マリみて』に目覚めた?(笑)
憲子/ダイス目で惚れたからね!(笑) だって知らない時代に一人放り出されて心細いときに気遣ってくれたら惚れるよ。なんか異端ぽいけど、私も[異端者]だしその辺は気にしないし。
ノエル/憲子の視点からマキョウを怖がる理由なんて何も無いな。
憲子/2人の家政婦的ポジション、もとい、妹的存在で一緒に過ごしていきます。……前回は20年やり直すだけで良かったけど、今回は1000年間か。長いな……。
GM/川越は陰陽師として異端を討伐する教会エージェントや特命課的な仕事をしながら、表の顔として医者として病を治したり人々の暮らしを清潔に指導してあげたりと過ごしています。
憲子/そうだ。川越って物知り? なら雪御化って異端のことは知ってる?
GM/(川越になって)「雪御化? すまないが知らないな」
憲子/マキョウは?
GM/(マキョウになって)「聞いたことないわね」
憲子/……ふーん。そっか……伝説が成立したのが後々だから、2人は知らない可能性あるな。
GM/そんなことをしているとモブ村人が「川越様! うちのモンが熱出して倒れちまった! 助けてくれー!」と医者である彼に助けを呼ぶ。川越は救援を聞き入れ、すぐに自宅を駆け出していく。
憲子/そう。
GM/あっさりしてるな(笑) ……悠々と座っているマキョウが問い質そう。(マキョウになって)「ノリコ、貴方は人を助けに手伝いに行かないの?」
憲子/私は家政婦よ。ご飯を作ったり洗濯はやれるけど、看護婦じゃないわ。人を癒す異能だって一つも無いの。出来ることと言ったら≪暴食≫+≪食鬼≫で何かを食らうことぐらいね。
GM/「そうなの。……貴方のことが知りたいわ。色々とお話してくれる? これからずっと一緒に過ごすのだから。ねえ、彼が帰ってくるまでおしゃべりしましょう?」 彼女はいつも優しく憲子を誘う。
憲子/お話……あまり可愛い話は出来ない女なのだけど、どんな話をすれば貴方は喜んでくれるかしら。
ノエル/せっかくだから、憲子の身の上話が聞きたい!
当真/教会のエージェント以上のことは言ってなかったから、話してみれば?
憲子/…………。私は、捨て子よ。親の顔を知らない。思いっきり日本人の名前を付けられているけど、それは施設で付けてもらった名前で、異人の子みたいで昔は外人だ外人だって指差された。
悠理/そうなんだ……。
憲子/しかも≪闇の血統≫を引いていて、≪野獣の鼻≫や≪毒の魔弾≫の異端としての特徴もある。きっと「あってはいけない子」だから捨てられたんでしょうね。だから強くなるためエージェントをしていた。はい、不幸自慢ごめんなさいね。
GM/彼女は笑います。
憲子/何か気に入った?
GM/「そんな境遇を聞いたからってノリコを嫌うと思う? 貴方と長くおしゃべりができて嬉しかった。だから笑ったの」
憲子/そう。……一回人生を再スタートしたけど、不幸な人生に変わり映えは無かった。普通に捨て子として6歳のとき施設で目覚めて、相変わらず指を差されて、普通にエージェントになった。つまらない人生を二度も送ったわ。
GM/「あら、人生を二度も送ったの? 珍しい生き方をしているわね」
憲子/ええ、実はこれで人生三度目なのよ。まさか自分が産まれる1000年前から人生三度目をスタートするとは思わなかったわ。これも≪女神の悪ふざけ≫ってところかな。
GM/「三度目もつまらなくなるかしら? 今回は私がいっしょにいるからつまらなくはないわね」
憲子/…………。貴方がいっしょだと、つまらなくはない?
GM/「好きな人といっしょにいる人生はつまらなくはならないでしょ?」
憲子/…………。
GM/「……あれ? 私のこと、好きなんじゃなかった?」 マキョウは綺麗な笑みを浮かべる。
憲子/…………。これは……ダイスの出目とか関係なく好きになっちゃうな(笑)
ノエル/うん。凄く優しいもんね(笑)
憲子/裏があるとか、何かを企んでいるとか、プレイヤーとして色々考えていたけど……これ、憲子は心酔するしかないよ。
GM/孤独な出生の話、二度目の人生がつまらなかったという話、そして見知らぬ時代に独りぼっち。そこに全力で甘やかしてくれる人に出会ったら……。
憲子/……ああもう、1000年後のことなんてどうでもいい。ここで人生何十年を終えていいかなって思います。
当真/うん、良かったね(笑)
憲子/……うー、1000年分の演出をして判定をするべきなんだろうけど、今が幸せで動きたくないなって憲子が思ってしまった……。ごめんなさい、この状況のままシーンを終わらせてください!
GM/OK。ではマキョウの優しさに触れてこの時代で生きていこうと決めた憲子。日が落ちた頃に仕事を終えた川越が帰ってくる。
憲子/主人が帰ってきたなら、家政婦としての仕事はしますよ。夕飯の準備とかはちゃんとします。
GM/(マキョウになって)「カワゴエ、おかえりなさい。ノリコのご飯は他の女が作るものより前衛的な味がするのよ」 (川越になって)「ほう? 君は料理ができない女だからな、憲子から学ぶといい」
憲子/私だって元の時代じゃ料理が出来ない方の女だったのよ。期待しないで。
GM/「期待するさ。帰ってきて女が2人、出迎えてくれる。華やかで良いな。君達の表情も明るいと疲れが吹き飛んでいい」
憲子/明るい顔なんてしないわよ、私。
GM/「そんな可愛い顔をしておきながら何を言うか。では早速、2人の夕食をいただくとしよう」 そう、平安時代で3人の明るい生活を始める。
憲子/…………。くそ……凄く、悪くない生活……。こ、このままサイコロを振るわせてください!(ころころ)達成値8、『現在難易度:934分の89』です。
GM/情報はゲットできないけど、良い生活を送ってください。数年間は。
悠理/数年間は?
ノエル/数年間は、なんだ……(笑)


 ●ミドルフェイズ7/当真 〜大スペクタクルショー〜

憲子/うおおおお、どうやって1000年間過ごそうかな、1000年後まで生きる気力がわいてこない……!(笑)
ノエル/めちゃくちゃ憲子のその後が気になる! そのまま憲子の1000年間が見たい!(笑)
憲子/元から「GM側につくルート面白そうだから怪しい女についていこう!」とは思ってたけどさ、憲子の過去設定を暗いやつにしちゃったせいで……本気で1000年後まで生きるメリットを考えられなくなっちゃった! どうしようー!?(笑)
悠理/1000年後にギガースに殺される運命だけど、別に1000年間生きなきゃいい話だしな。
GM/あれ、もしかして大変なことになってる?(笑) いっぱい憲子には考えてもらうとして……先に現代のシーンをしておこうか。(ころころ)当真、シーンプレイヤーいける?
当真/はーい。ノエル! いっしょにトフィを救うシーンやろうぜ!
ノエル/OKやるー!

『AF判定:雪御化に殺された1987年2月2日まで生きる』
 ・使用能力値:【知覚】【幸運】
 ・難易度:934分の89

※「時が戻った人生から雪御化と戦うあの日まで生き続ける」演出に成功すること。


当真/当真は1歳で前世の記憶に覚醒しました! すぐにトフィを助けに行こうと思う!
ノエル/どうやって!?
当真/……どうしよう!(笑) 足腰が立つようになったらもう修行を始める! そして、トフィを救う方法を考えました。トフィ以外がパイロットになればいいじゃね!?
GM/トフィ以外。
当真/ギガースの開発が止められなくて、ギガースが暴走するのが止められないのなら、こう考えたんだよ。「パイロットをトフィにしなきゃいいんじゃね?」って。
ノエル/じゃあ……三度目の強くてニューゲームのおかげで天才子役ダンサートップスターとなった俺が来日して当真に会ったとき。
当真/ゲラゲラ。
ノエル/レベルアップしたことに笑われた(笑) 俺が来日して当真に会ったとき、当真のその計画を聞かされる。そして俺はそう言う。「それでトフィは喜ぶと思うか?」って。
当真/そんなん、俺はトフィじゃないから判らへんけど、救ってくれたことには喜ぶと思うで。
ノエル/どうかな。そのやり方はアカンって言うだろ。
当真/何がアカンの? 助かることはアカンくないやろ。
ノエル/トフィめっちゃいい子じゃん。
当真/うん、トフィめっちゃいい子。
ノエル/本当、めっちゃいい子。それはこの文が物語っている。

『御臓発注で製造されたチルドレンには、「心は必要無い」とされている。
 そうはデータで記されているが、PC達には非常に懐いていた。ここに書かれていることは半分嘘だと、理屈なく考えられるだろう。
 トフィは、皆を愛していた。機関の絶対服従の命令があったとしても、大好きな皆のためなら命すら投げ出して危機から救ったのではないかと確信できる。』


ノエル/普通の倫理観と、正義感と、優しさを持った良い子だよ、トフィは。そんな子が「自分は助かったけどその裏には誰かが死にました」って教えられたら、悲しむと思うな。
悠理/……多分、他にホムンクルスはいっぱいいるだろうしなぁ。
憲子/トフィ以外にパイロットになってもらえばいい。それはつまり……トフィ以外の人を犠牲にしてトフィを救うということになる。
当真/じゃあ……ノエルは、トフィを救うなっていうやつかよ。
ノエル/真っ当に救いに行けってことだよ。トフィの命を助ける。ギガースの暴走を止める。雪御化の事件も解決する。ついでに機関ってやつもぶっ潰す。誰も死なずにみんなで生き残る。それを目指さなきゃダメだ。
当真/……いくらなんでも、高望みしすぎやで?
ノエル/何のために強くてニューゲームしたんだよ。俺は今じゃ神童で知らない人もいないトップスターまで上り詰めたぜ。
当真/強くてニューゲームしてもダメやったやろ。
ノエル/たった1回しか強くてニューゲームしてないからだろ。2回目の強くてニューゲームで勝利したらいい、2回目がダメなら3回目だ。それで完璧を目指す。ならイケるだろ?
当真/それは……。無茶言ってるで。だってさぁ……。
GM/【正気度】の問題で、ゲームオーバーはいつかはやってくる。ノエルの現在【正気度】は5だから、次の【正気度】減少でずっと1D6で1を出し続けても、あと4回が限度だ。
ノエル/でも3回目の強くてニューゲームは何も支障もなく臨めるじゃん! しかも「あと4回もできる」とお墨付きになったぞ!
当真/ノエル。お前、そんな底抜け前向きバカだったんかい。
ノエル/うん、底抜け前向きバカだったみたいだ。自分でも驚いてる! ……既に人生合計50年以上やってるから気づいちゃったな。
当真/……はー。……そっか。で、具体的にはどうする? そんな理想的なゴール、どうしたら作れるもんなん?
ノエル/まだ空いていない情報、それを見よう。

【選択できる入手情報】
(★入手済)顔が無い白鬼の伝説について
(★入手済)ギガースについて
(★入手済)機関について
(★入手済)トフィについて(必須『イベントキー:機関について』)
(★入手済)上門狭山について(必須『イベントキー:機関について』『イベントキー:ギガースについて』)
(★入手済)上門狭山について2(必須『イベントキー:上門狭山について』)
(7)上門狭山について3(必須『イベントキー:上門狭山について2』『イベントキー:トフィについて』)
(★入手済)ギガース停止方法について(必須『イベントキー:ギガースについて』)
(9)始祖について(必須『イベントキー:機関について』)


ノエル/「上門狭山について3」と「始祖について」。まずはこれをクリアーするのを目指す訳だが、どういうロールでこの2つに辿り着こうか考えよう。
当真/……「トフィについて」が必要条件になっている「上門狭山について3」の方が気になるかな。となると、狭山を調査するロールをしたい。
ノエル/憲子のときのように愛人になって調べるような物理的に近寄る演出、悠理のように仕事として近づく演出が既にあるから……やっぱり、「敵対して調べる」ロールがしたいな。それでいこう!
当真/……もうちょっと具体的に煮詰めてくれる?
ノエル/GM、トフィ以外のパイロット候補ホムンクルスって何人いる?
GM/んー……ルージィルと同型機が27人いるって話だったし、(D66ころころ)16体いることになった。
ノエル/よし、トフィ含めた16人を誘拐しよう。
当真/誘拐。
ノエル/でもって開発されたギガース全てを爆破しよう。今から16人を誘拐して爆弾セットしてドカーンと逃げるメタルギアなシーンをするぞ!
当真/は、派手だー!(笑)
憲子/自殺に見せかけて殺人するシーンとか、誘拐爆弾事件を起こすとか、この卓派手だね。
悠理/じ、自分ももっと派手な殺人にした方が良かったかな!?(笑)
ノエル/今日は……1月2日! トフィと一緒に2月2日に雪御化退治に行く1ヶ月前! もうこの頃にはギガースも実戦配備するぐらいになってるよな?
GM/機関の某研究所の格納庫にしまわれてます。
ノエル/当真。爆弾作って。
当真/俺が用意するんだ!?(笑)
ノエル/だってこれ当真のシーンだから!(笑) 俺は体が軽いから潜入して誘拐して爆弾セットして逃げるのはできるよ。スネークごっこできる!
憲子/段ボール被らなきゃ!(笑)
当真/……はー! よし、腹括ってやるか! ≪強化術式≫+≪クリエイション≫でギガースを吹っ飛ばす超高精度爆弾を作成! ≪貫きの紫電≫、奥の奥まで吹っ飛ばすやつな!
ノエル/吹っ飛ばそう! ギガースって何体作られてる?
悠理/16人パイロットがいるんだから、16体?
当真/じゃあ爆弾16個作るか! ≪箱庭の主1・2≫で自身のクリティカル値を下げてクリティカルな出来の爆弾量産!
悠理/ギガース16体の全部吹き飛ばす爆弾って……なんかもう、施設爆弾どころじゃないと思うんですが(笑)
当真/それぐらいしないとギガース壊せないしな!
悠理/施設にいる人みんな爆死しますよ、私も含めて(笑)
ノエル/そうだよな、機関は潰したいけど、皆殺しは避けたい。という訳で、その爆発させる施設には人を寄せ付けないようにすればいいんだ!
憲子/人払いをしておく?
当真/≪見通す眼≫で施設のことは把握しておいて、≪彼方の音≫で「ここは危険です! 逃げてください!」って人間を退かしておく。そして騒ぎで人が逃げ始めた研究所に≪霧の一員≫で姿を欺いて突入する!
GM/これも悠理のときと同じ、運命を変えるやつだから……3回ダイスロールで成功したら良いやつにしようか。まず1回目の判定。突入だから【体力】判定で難易度12をどうぞ!
当真/実は【体力】ボーナスは3なんやけど(ころころ)達成値11……うわ、いきなり足りんかった。使っちゃえ、≪ミネルヴァ≫!(1D6ころころ)2点追加で成功。
ノエル/潜入完了!
GM/次は、トフィ他ホムンクルス達を誘拐できるかの判定だな。うまく救出できるか……これは運じゃないかな? 【幸運】判定で難易度12をどうぞ。
当真/【幸運】なら≪ちいさな呪い≫があるから、それを使用!(ころころ)よっしゃ、達成値15で成功や!
ノエル/トフィー! 助けにきたぜー!
GM/任務で出会う前だからトフィは2人のことを知らない。そもそも「ギガースに乗る」という使命のために生まれてきたホムンクルスだ、それを破るような2人をどう思うだろうか。
ノエル/そうだとしても、2回もギガースで死んだトフィを救いたい。
当真/我儘でもなんでも、救いたいから救わせてくれ。
GM/……どうしてか、2人の願いは運良く天に届いたのだった。では最後のダイスロール。しっかりとギガースを爆破できるか。【反射】判定で難易度15をしよう。
当真/こういうのもアレなんですけどね。無理ですわ、当真の【反射】は3やで。
ノエル/振ってみなきゃ判んないぞー! やっちゃえー!
悠理/仕方ありませんね……見かねた悠理が出てきて、判定直前に≪幻想式≫を使用。その【反射】判定に+4します。
当真/あっ、悠理!?
悠理/うちの研究所を爆破しようという犯人は、やはり貴方達ですか。みんな逃げましたけど迎撃されるとは考えなかったのですか?
当真/その迎撃隊が悠理ひとりかよ? ……なのに魔術で爆破を助けてくれるって、どういうことだ?
悠理/そういうことですよ。
当真/……サンキュ。成功させるぜ!(ころころ)達成値14で失敗です。
悠理/まぁそういうこともありますよね爆発失敗とか(一同笑)
ノエル/できないか〜! やっぱギガース爆破はできないか〜!(笑)
GM/爆破はできなかった。ギガースは破壊できず。爆発しなかった研究所は無事。なので、機関は今後もギガース開発を進めていくだろう。……だが。
当真/……トフィと他のホムンクルスは、誘拐できた。
ノエル/救出できちゃったね!
GM/救出できちゃったねぇ……。じゃあ、無事機関の追っ手から逃れて連れてきたトフィ他15人とノエルと当真。お前らこれからどうするんだ?
ノエル/大所帯で逃げてきちゃったね! ……あっはっは! どうしようか!
当真/救出することばっか考えていて、何も考えてなかったな!
ノエル/本当にどうしよう!
当真/何も考えてねえ!
ノエル/でもまぁ! ……なんとかなるよね!
当真/追われる身になっただろうけど! 悠理みたいな奴もいるし、なとかなるよな!
悠理/何も考え無しに笑ってますね……(笑)
GM/……誘拐された15人、そしてトフィがどんな感情なのかここで決めよう。偶数が出たら当真達に好意的、奇数が出たら否定的で。
当真/否定的になられたとしても、俺達はお前達を救いたかったんだって言い続けるけどな。
GM/(ころころ)……ああ、すげーな、偶数で好意的。(ころころ)(ころころ)(ころころ)4、6、4……何度振っても偶数しか出ない。
憲子/うわ、ほんとだ。
GM/やり方は無理矢理でいきなりで驚いてはいるけど、トフィもみんなも、2人に感謝していくだろう。ギガースは破壊までこぎつけることはできなかったけど、間違いなく2人はトフィ達を救った……そんな気がした。

 「……トフィ!」
 戸惑ってるトフィに、当真達は話しかける。
 好意的でも……やっぱり最初は戸惑ってしまうトフィ。何がなんだか判らなくて怯えた彼は、「な、なんですか……?」と身構えてしまう。だけど。

 「初めまして! これお近づきの印に!」
 ひとりは、どこか懐かしさを感じるシルバーアクセサリーの≪お守り≫をプレゼントしてきた。

 「初めまして。敬語なんか使わなくていいぜ! 仲間同士、気楽にやろうな!」
 ひとりは、清々しい笑顔で手を差し伸べてきた。

 機関の研究所から突然誘拐されたエルフ型のホムンクルス達。一体これからどうなってしまうのか。まだまだ戸惑いは消えない。
 でも、何故だか……初めて会った変な2人なのに好意的に感じてしまうトフィは、当真特製シルバーアクセサリーを受け取るのだった。


GM/イイハナシダナー。
当真/良い話だった!
悠理/ハッピーエンドじゃん。
憲子/ヒロインを救えた。このセッション、終わったな!
ノエル/そこでパソコンゲームやってる2人を誘ってお疲れ様会の笑笑に行こうぜ!(一同笑)

 『現在難易度:918分の89』になった当真は、判定を行なう。
 その結果、達成値は9。『現在難易度:918分の98』となった。
 達成値90到達で、情報が1つゲットできるようになった当真は、残り2つの未開放情報「上門狭山について3」を選択した。


 『上門狭山について3』で判明すること。
 ウズマキには耐久値があることが発覚。「穴を開けて行き来ができる」と発表された。
 ウズマキ全土にも耐久値があると予想される。
 「ウズマキという霊的な概念を破壊」を目的にした狭山は、ウズマキに驚異的な霊力ダメージを与えてウズマキ(時間という概念)を破壊する計画を打ち出した。

 狭山所長の目的は、ギガースを使って凄まじい霊力攻撃をウズマキに向けてダメージロールをして、ウズマキ自体を破壊し、「XYZ軸を失くした視点」を生み出すことだ。
 過去現在未来上も下も右も左も空間感覚を失くした「全てを見る視点」は、確かに全知全能だろう。
 全知全能の神を創り出す計画に、現在機関の主戦力商品であるギガースを使おうとしている。
 PCは思い至る。トフィの乗るギガースは、時を壊すために用意された試作機であると。
 人体を焼かれ、器を捨てて魂になった自分達は、時が壊されつつあった(だが、ダメージ量に足りずにウズマキ破壊とまで至らなかった)ウズマキに放出され、あらぬ時代に飛んだのではないかと。

 ギガースに殺されるたびに魂が時間跳躍していた理由が発覚する。
 ギガースを止めなければ。


悠理/そうか……ギガースによって死ぬことで、時間の渦に吹っ飛ばされて、色んな時代に跳躍してしまってたのか。
ノエル/やっぱりギガース以外で死ぬと、時間跳躍はできないんだな。
当真/ていうか「時間という概念を破壊」するって……そのための装置がギガースって……とんでもないもん発明してやがる。
憲子/ただの巨大ロボット兵器じゃなかった。凄い。
GM/上門所長が何を目指していたかというと、「右の宝箱と左の宝箱、何が入ってる? 中身が判らない? 『中身を隔てる壁』とか『どっちから先に見る時間』とかそういう概念を全て破壊すれば、どっちに何が入ってるか全部知ることができるよね→全知じゃん」ということです。全ての時間を破壊、掌握すると、全知全能になるという考えです。
当真/なんとなく判るけど……めちゃくちゃや!
ノエル/そのためのテストプレイでトフィは亡くなってるし、織葉市の人達だって大変な死に方してるぞ!
悠理/でも……こりゃ、やめられませんね。「ダメージロールを突き詰めれば全知全能の神になれる」と判ったら、探究心が止まりませんよ。ギガース失敗しなきゃいいだけですからね、成功させるまで開発は進みますよ。
当真/そういうもんなのかよ……やっぱり止めなきゃ。
ノエル/トフィを救えたとしても、やっぱりギガースは止めなきゃ!
憲子/……止めに行くのね、やっぱり。


 ●??? 〜別離〜

ノエル/ノエルのやりたいことはトフィ救出でだいたい終わっちゃった。……個人的には、憲子のシーンをじっくりと見たい。憲子、1000年後まで生きていられる? 元の時代まで生きてギガースを止めるエンディングまでいける?
憲子/……んー……。
悠理/だいぶ悩んでる?
GM/ああ、それなら……1000年前の憲子のシーンで色々演出していっていいかな? 数年間、川越とマキョウのもとで過ごした憲子に伝えたいことがあるから。
ノエル/どうぞ、それ先にやっちゃってください!
GM/では、憲子は1D6を振って。
憲子/(ころころ)4。
GM/憲子が2人と出会って4年後。マキョウが死にます。
憲子/えっ!?
悠理/死ぬんだ……。死因は?
GM/栄養失調。
憲子/栄養失調!? 家政婦としてつらいんだけど!? 良い物を食べさせられなかった!?

 ……憲子は、若く美しい女性だと思っていたマキョウが人間である川越と違って「何も食事をしない」ことにすぐ気付いただろう。
 川越も、「マキョウが異端の女」だと言っていた。彼女は普通の人間と違い、人の命を喰って生き永らえていくモノだった。
 だが彼女がその食事をしている姿を君は見たことはなく、次第に弱り、寝たきりになる。
 人を食さない異端は、死を迎えようとしていた。


憲子/……異端なのに人間を食わないから、死ぬ? どうして……って寝たきりの彼女に話しかける。
GM/若い体ではあるけど寿命も間近、もう長くはない寝たきりの彼女は憲子に話します。「カワゴエが、人を食うなって言ったから。カワゴエは私のような化け物を殺しにきた人間。人を食わなければ化け物じゃないから殺さないと言ったの。だから食わないでいる」
憲子/それによって貴方は死ぬのに? なのに食わないでいる?
GM/「そう。何も食べられないまま私は死ぬ」
憲子/……それでいいの? そんな、命を捨てるような下らない約束を守りたいほど……彼を愛している?

 「ええ」
 死にかけの体だというのに、力強く、彼女は憲子に答えた。

 ――憲子の魂がこの時代に現れる先日、旅人の男が雪深な国を訪れた。
 そこに現れた恐ろしい雪女。女は凶悪な人ではないもの・異端であり、訪れた男をいたぶって殺そうとした。
 言葉を交わし、感情をぶつけ、多くの時を過ごせば所詮は男女。2人は結ばれ、共に生きることになったのだった。

 だけど、男の暖かさだけで腹が膨れることはなく、共に時を過ごせば過ごすほど、彼女は痩せ……恐ろしい化け物は見る影もなく、普通の衰弱した人間のように、死んでしまう。
 全て、1000年後まで語り継がれる伝説の通り。


GM/マキョウは、君と……愛する男に看取られながら、亡くなった。憲子は、どういう感じ?
憲子/…………。
GM/…………。
憲子/…………。
GM/……先に川越の描写をしておこう。彼は、彼女が亡くなったことを大いに悲しむ。4年間いっしょに過ごしてきた憲子でも見たことない姿で悲しんだ。そして彼女を弔うように……。
憲子/マキョウの遺体を食べます。
悠理/……おうっ!?(一同笑)
GM/憲子は食べた。確か異端の遺体は消えて無くなる設定だと思ったけど。
憲子/じゃあ息を引き取る直前に食べます。≪暴食≫と≪食鬼≫で髪の毛から足の爪まで全部食べます!
ノエル/……なんで?(笑)
憲子/ヤダ! マキョウいなくなっちゃうのヤダー! 死んじゃうのヤダだしこれから先マキョウいないのヤーダー!
GM/美味しかった?
当真/GMもその質問どうなの!?(一同爆笑)
憲子/偶数が出たら美味しい、奇数なら美味しくない!(ころころ)1……全然美味しくない! ……ヤダー……。
GM/そっか。……偶数が出たら川越怒る、奇数が出たら怒らない。(ころころ)5、怒らない。
ノエル/お嫁さん食べられたのに、怒らないんだ……(笑)
GM/偶数が出たら俺も食べる、奇数が出たら食べない。(ころころ)4、食べる。
悠理/食べた!?(笑)
当真/なんでそんなのダイスで決めたの!?(笑)
GM/ついノリで。どこの部分を食べたら愛し合っている者同士ぽいだろ? 唇? 顔は川越が食べていい?
憲子/ほ、ほっぺの肉は憲子にちょうだい! 唇は川越が食べていいから、頬肉ぐらいは私に食べさせて!
悠理/なんだこの異端の会話。
憲子/異端だもん! これぐらい普通!
GM/こっちは普通じゃないけど、ついノリで食べちゃった。えっと、それぐらい取り乱した彼は彼女を弔うように……。
鉄/(セッション外から)うわあああやべえええ!?
悠理/何っ!? いきなり大声どうした!?
サブGM/すみませーん、『月姫』初プレイ中なんですけど人が食べられちゃう怖いシーンを見て震えているだけでーす。
当真/そっちも食べられてるのかよ!?(一同爆笑)
憲子/あっちもこっちも食べてるみたいだから、食人は普通。川越も普通。
GM/川越も普通。元気出すわ。…………。これから何を言おうとしたか忘れちゃったからセッション休憩していい?(一同笑)
サブGM/わりとセッション時間も長引いているしさ、いっそもう笑笑に行ってお酒を飲みながら続きやろうぜ(笑)

 ……という訳で。
 これから先、この卓は
飲酒状態での無法地帯セッションが始まるのであった。