アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 第4話『 苛烈を極めるコンティニュー・後半 』 3ページ ■
1998年〜2004年(仮想リプレイ公開2017年12月4日)




 ●プリプレイ???

 ジークが誘拐され、居場所を発見した一同がビルに突入し、あれよあれよとギガースと戦闘……そして決死の逃亡。
 そこでセッション時間はタイムアップとなり、逃げ延びたジーク達の行方を追うセッションは後日行なわれることになった。
 ……これは、4話の後編が始まる前の一幕である。


GM/そろそろ俺もプレイヤーに戻りたい。というか戦闘がしたい。
トンプソン/戦闘が楽しい。もっと戦闘していたい。
GM/判る! 戦闘がしたい!
トンプソン/戦闘やりたい!
ユーキ/にゃー。
サブGM/あ、じゃあ4話の後半をやる前に……おまけパートでもやっちゃう? 外伝的なミニセッションで良ければ私がGMをするよ。
GM→スウィフト/やる!
ジーク/俺もやるー!
トンプソン/やったー!
ユーキ/にゃー!
サブGM→GM/ということで、今から即興でセッションするよ。メンバーはスウィフト、ジーク、トンプソン、ユーキの4人でね!


 ●オープニングフェイズ???

GM/ジーク達はドザニコフに「ウズマキに入れー!」と言われたことで、異空間の中へと突撃した。
ジーク/そのおかげで丸焼きにならずに済んだ。
トンプソン/ヤキトリに、丸焼きにされるところだった!
ユーキ/にゃー。
GM/ジーク達は異空間のグルグルと渦の巻いた空間に飛び込んだ。ぐるんぐるん、ワープゲイトの中を巡りに巡って……ついた先は、見たことのない草むらだ。
ジーク/べしょっ。落下!
トンプソン/しゅたっ。着地!
ユーキ/にゃー。
GM/どうやらオーウェルとドリスは違う所にワープされたらしい! なんてことだ、2人と分かれてしまったようだ!
ジーク/おおっと、これはピンチ!
トンプソン/おーい! 2人ともー! どこだー!?
ユーキ/にゃー。
GM/というシーンです。スウィフトもウズマキの中に入って偶然にもジークに合流してください。
スウィフト/難しい無茶ぶりだな!?(一同笑) えーと、スウィフトも……例の炎の鳥の被害に遭っていていいかな? 実家帰省中だったけど戻ってきて、ジークのアパートに行こうと思ったらいきなり空が……。
ジーク/いきなり空が真っ赤で、炎の雨が降ってきた。
スウィフト/むぐぅ、雨が続いていた日だったけど、まさか炎の雨が降ってくるとは思わなかったよ……世も末だな。と思っていたら死にかけた。生きなきゃと思ったスウィフトのもとに駆けつけてくれたのが、ドザエモンズの誰かだった!
GM/それが良いね。ドザニコフ以外の子がスウィフトの元に駆けつけてくれたんだ。(ころころ)ダイスの結果、エルマタドーザになった。「お助けしてやるぜセニョリータぁ〜!」とヒラリマントで華麗にステップを踏み……。
トンプソン/スウィフトの背中を押して、無理矢理ウズマキの旅へ!
スウィフト/うわぁ説明も無しにー!? ……そしてジーク達に合流、と(笑)
ジーク/あ、スウィフト。久しぶり!
スウィフト/むぐぐ、久しぶり。……ここどこ?
ジーク/知らない!
スウィフト/助かったんだね。
トンプソン/すげー運だな! ラッキー!
ユーキ/にゃー。
GM/さて、スウィフトの言う通り「ここどこ?」だけど……草むらというか、林というか、街灯も一つも無い未開の地のようだ。時刻はもう少しで夜になるような夕方ぐらいかな。
スウィフト/N市じゃなさそうだね。
GM/N市とは全然違うね。もっと田舎……いや、田舎よりも田舎かもしれない。何せ街灯も、電柱も、道すら無いような場所だから。
ジーク/うえー。逃げてこられたのはラッキーだったけど、どこかも判らないのは困るなー。
トンプソン/また硲村みたいな捨てられた村とか? 何か無いか探す! すんすん!
ユーキ/にゃー。
GM/じゃあそこに、お待ちかねの新展開。君達が大声で話しながら周囲を見渡すと……草むらから「ガサゴソッ!」と誰かがやって来る。
ジーク/おっ、第一村人発見!?
スウィフト/すみませーん! 声を掛ける!
GM/鵺です。
ジーク/はい。
GM/鵺がいます。
スウィフト/…………。はい?
トンプソン/ヌエって何?
ユーキ/妖怪。
GM/ユーキさん、よくご存知で(笑) 判る人も判らない人も、【理知】判定難易度10でダイスを振ってみよう!

 『鵺(ぬえ)』。
 日本に伝承される妖怪、物の怪。猿の顔、狸の胴体、虎の手足、蛇の尾を持つ。頭が猫や胴体が鶏という資料もある、獣の合成体。
 「ヒョーヒョー」という気味の悪い声で鳴き、不吉な声が聞こえないように平安時代ではこの鳴き声が聞こえたら大事が起こらぬよう祈祷したという。


ジーク/(ころころ)成功! イェーイ妖怪だー! 陰陽師の本領発揮じゃーん!? テンション上がっちゃうねぇー!
スウィフト/(ころころ)成功。うわぁ、妖怪が出ちゃったよ……一応分類的には異端なのかな。
トンプソン/(ころころ)失敗! でも猿と狸と虎だろ!? 色んな味がするよな! 食べよう!(笑)
ユーキ/にゃー。(ころころ)成功。
GM/ジークとスウィフトが成功してくれて良かった。という訳で鵺がいます。どこかも判らぬ場所、夜が近い田舎道、現れたのは物の怪……。
トンプソン/とりあえず倒しちまおうぜ! 妖怪退散ー!
ジーク/イェーイ、悪霊退散ー!
GM/そんな血気盛んで戦闘したがりのみんなですが、ここ草むらとか林とか言ったよね。ガサゴソ、ガサゴソ。ぴょこり。草むらから顔を出します。
ジーク/何が?
GM/鵺です。
スウィフト/また来た。
GM/ぴょこり。鵺です。
トンプソン/また来た。
GM/ぴょこり。鵺です。ぴょこり。鵺です。ぴょこり。鵺です。いっぱい鵺です。
スウィフト/何匹いるの!?(笑)
GM/えっとねー……ざっと36匹。
スウィフト/いっぱい居すぎー!?(笑)
トンプソン/いっぱい食えるぞー!
ジーク/陰陽師が光って唸れと轟き叫ぶー!
スウィフト/いやいや!? いくらなんでも多すぎるから!(笑)
GM/という訳で、戦闘開始です。

【エンゲージ】
 エンゲージ1:ジーク、スウィフト、トンプソン、ユーキ
 (↑5メートル離れている↓)
 エンゲージ2:鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺 鵺


スウィフト/多い多い多い!?(一同爆笑)
GM/(←マップに36体の敵を配置してから爆笑している)
トンプソン/GMが自分でやったネタに爆笑してる!(笑)
GM/し、失礼しました……(笑) もちろんここで36匹の妖怪達と戦っても構わない。ただし鵺のデータは、4話で戦ったギガースとほぼほぼ同じだ。それが36体も並んでいる。
ジーク/うわ、勝てない。
ユーキ/にゃー。
スウィフト/勝てないな! いや! 策はあるぜ!
ジーク/えっ!?
トンプソン/なんだってスウィフト!?
スウィフト/たった一つだけ策はある! とっておきのやつだ!
ジーク/とっておき? ハッ、スウィフト……ま、まさか! そのとっておきというのは!?
スウィフト/いいか! 息が止まるまでとことんやるぜ!
GM/それは?
スウィフト/……逃げるんだよおおおおおぉー!(一同爆笑)

 戦闘がやりたい! 戦闘がやりたいやりたい! そう連呼している人達の為に用意した殺意溢れるミニシナリオ。
 その冒頭は、大勢の敵に囲まれながらの逃亡から始まったのだった。



 ●ミドルフェイズ1???

GM/ここでルール説明に参ります。第1回は、「どれだけ鵺から逃げることができるか判定」です。
ジーク/あ、判定勝負をするんだ。
GM/最終的に戦闘はするよ。でもお判りの通り、36匹の鵺はさすがに多すぎて相手にしたら負けるよね。だから適正難易度までみんなで下げてから、勝てると思ったところで戦ってもらうよ。
スウィフト/なるほど。4話のギガース同等の強さって言ってたし……せめて2〜3匹まで減らさないと勝てないよな。
GM/あ、そこまでこっちも鬼じゃないので4話のギガースと同じデータは使っても数値は若干、鵺の方が低いです。だから複数体は相手にできそうかも。それでも36体は多すぎるからね、死にたくなければこれからラウンドごとに発生する「数を減らす判定」に勝利していってください。
ジーク/オッケー!
GM/さて、逃げるかの判定なんだけど……これからPCの4人の【体力】判定をしてもらって、その達成値を合計します。鵺も4体が【体力】判定をし、その達成値の合計を算出します。もし鵺の合計よりPC側の合計が上回っていたら、その数だけ鵺の数も減ります。
トンプソン/おー、その分の鵺がまけたってことになるのか。
スウィフト/例えば、PCが合計20で鵺の合計が15だった場合、鵺が5匹減るってことか。
GM/その通りです。だけどPC合計が15で鵺の合計が20だった場合……鵺の数は増えないけど、差分だけPC側全員にダメージが入ります。この場合だと4人に5点の【HP】ダメージだね。
トンプソン/痛ぇー!
GM/単純なルールだからサクッとやっていくよ! みんな、ダイスロールして!
ジーク/【体力】は低いんだよなー。(ころころ)11!
スウィフト/ジークと同じく【体力】は低いんだ。(ころころ)9だ。
ユーキ/にゃー。(ころころ)13。
トンプソン/【体力】なら、おりゃー!(ころころ)10! 合計で……43!
GM/さて鵺側の4体が振るよ。(ころころ)……合計で、42!
スウィフト/1点差!? 危ない!(笑)
ジーク/やったー勝ったー! でも……1匹しか減らねぇー!
GM/という訳で君達は一目散に走り出した。しかし36匹の鵺はドタドタと君達4人を追いかけてくる。……ノロマな1匹がどっか違う方向に行ってしまったけど、35匹が未だ君達を食べようとドタドタドタ……。
スウィフト/ひぇー、疲れるー!
ユーキ/にゃー。……ふらふら……。
GM/あ、早くもユーキの平衡感覚が限界に(笑) ちなみに3ラウンド勝負をするよ。2回目の【体力】で逃げ切れるか判定をしよう!
ジーク/(ころころ)13!
スウィフト/(ころころ)14!
ユーキ/にゃ。(ころころ)11。
トンプソン/(ころころ)14! ……合計は、さっきよりも高いぞ! 52だ!
GM/さて鵺側の合計は(ころころ)……47! 5匹も鵺がおいていかれた!
ジーク/よしよし順調! 3ラウンド目にいくぞー!(ころころ)10!
スウィフト/(ころころ)9!
ユーキ/(ころころ)11。
トンプソン/(ころころ)13! だから合計は……43!
GM/3回目の鵺の走りは……(ころころ)44!
トンプソン/あ、負けた!
ジーク/でも1点だけなら掠り傷程度だよ!
ユーキ/にゃー。……ぜーはー……。
スウィフト/こ、これ……地味に痛いな……絵柄的にもただただ走っているだけか(笑)
GM/という訳で第1回、鵺とのマラソン大会はジーク達4人バーサス鵺30匹になったところで終了したのでした!


 ●ミドルフェイズ2???

GM/君達は道なき道を走り続けて判ったことがあります。……ここ、何処だろう?
スウィフト/走っても判らなかったの?
GM/うん、全然日本じゃないみたい。いや、雰囲気は日本なんだけど……みんな知っている場所じゃないね。
ジーク/じゃあドイツだ。
GM/雰囲気は日本だって言ってるだろが(笑) 林を走り抜けてきた君達は、集落を見つける。
スウィフト/集落?
GM/田舎村だなぁ。電線も車も見当たらない古臭い村だなぁ。そろそろ夜も更けてきているというのに明かりを点けているお宅はどこも無いよ。
スウィフト/……むぐっ、無人とか? 硲村みたいに住民に捨てられた村?
トンプソン/ごめんくださーい! お宅訪問! 家の前で声を掛ける!
GM/誰も居ない。つい最近まで人が住んでいる形跡はあるけど、今は誰も……と思っていると、「おい、まだこんな所に人が!」「まだ近隣の村へ避難してないのか!?」と数人が近寄ってくる。
ジーク/わわわっ?
GM/10人、古めかしい衣装を着た男性達がいる。
スウィフト/……古めかしい衣装? 具体的には?
トンプソン/着物とか、モンペとか?
GM/うん、そういう感じ……どっちかって言うと、平安時代の陰陽師っぽい。
ジーク/陰陽師!? 本場の陰陽師がいるの!? そっか鵺退治に来た陰陽師が村を守るために村人を避難させて今から鵺たちをおびき寄せて一斉駆除するってやつだね! プロフェッショナル陰陽師すげぇー!
GM/…………。まさかのジークが全部お見通ししてくれた(一同笑)
スウィフト/まったくその通りなんだな?(笑)
GM/その通りだよ! 説明の必要が無いよ!(笑) 彼らは京から派遣された陰陽寮の陰陽師達。最近この辺で妖怪が大量発生しているから村人には安全な所に移動してもらって、今日か明日には鵺退治をしようとしていたんだ。この時代の夜は物の怪達の世界だからね。異能を操る官僚達じゃないと太刀打ちできないよ。
ジーク/すげー! 本物の陰陽師だー! 日本人の陰陽師初めて見たー!
トンプソン/俺も陰陽師ってドイツ人以外で初めて見た! すげー!
ユーキ/にゃー。
スウィフト/……待って。普通に話が進んでいるけど、待って(笑)
ジーク/うん、慌ててないから待つよ。
スウィフト/そうじゃなくて。「平安時代の陰陽師っぽい」とか、「京から派遣された」とか、「この時代の夜は物の怪達の世界」に思うことは?
ジーク/俺達タイムスリップしてるね。
GM/君達タイムスリップしてるね。
スウィフト/説明無しで問題無いかよ!(一同爆笑) ……まあ、ドザエモンズのワープ空間だしな。どこにでも飛ぶよな、タイムマシンの空間的に(笑)

 ジークがあまりに陰陽師が好き(に見えるが実はそうでもない)なので、「せっかくなので本場の陰陽師と会うセッションをしよう→本場って平安時代かな?」という思いつきから生まれたタイムスリップ。
 ……これがのちの時間跳躍TRPG『アナザーワールドSRS』を生み出す、大きなキッカケとなったのでした。


ジーク/イェーイ! 皆さん本物の陰陽師なんだよねー! 俺も陰陽師やってるんだ! ドイツ人だけどよろしくー!
GM/数人の陰陽師達はジークを縄でグルグル拘束します。
ジーク/あたたたたた!?(一同笑) なんでぇ!? 俺、家賃払わないぐらいしか悪いことやってないよぉ!?
GM/「なんだこいつは!?」「でかいぞ! 全長2メートルはある!」「目の色がおかしい! 鼻が高い! 髪が黒じゃない! 新たな妖怪か!?」 皆さん、人間とオーガ族のハーフであるドイツ人陰陽師には厳しいです。
スウィフト/そりゃな。
トンプソン/そりゃなぁ。
ユーキ/そりゃにゃー。
ジーク/酷い酷い! ぐるぐるの簀巻きにされる!(笑) でもさ、それだとさ、何でも食べちゃう獣人のトプさんと喋る猫のユーキも駄目だと思う。
GM/では陰陽師達はトプさんとユーキもグルグル拘束します。
トンプソン/あだだだだだ!?(一同爆笑)
ユーキ/にゃにゃにゃにゃぐるぐる。
GM/簀巻きが3つに増えました。
スウィフト/酷い……何がどうしてこんなことに……(笑) あ、僕は普通の人間の魔術師なんで。どっちかって言うと陰陽師の皆さんと同類です。ナカーマ!
GM/「ナカーマ」「ナカーマ!」 彼らと友情が芽生えました。ということで一緒に鵺を倒しましょう。
スウィフト/こんな流れでいいのか!?(一同笑)
GM/さて、第2回判定対決です。「どれだけ鵺を陰陽トラップに引っ掛けて討伐し、数を減らせるか判定」です。とっても簡単ルール、さっきの差分合戦の【意志】バージョンだよ!
スウィフト/よし、【体力】じゃなくて【意志】なら活躍できるぞ!
ジーク/簀巻き、解放してくれますか?
GM/ダメ。平安時代の陰陽師の皆さんと交流を深めるまではそのままでダイスロールして。
ジーク/ちぇー。グルグル巻きまま寝てやろっかなー?(ころころ)はい、【意志】は高いから達成値13だ。
スウィフト/同じく【意志】は一番高いよ!(ころころ)12!
ユーキ/にゃっ。(ころころ)10。
トンプソン/【意志】は3しかないんだ。(ころころ)よし、それでも出目が良かったから12! 合計で……47!
GM/鵺達のターンだよ。合成獣である鵺の【意志】は【体力】よりも低い設定だ。(ころころ)合計は、35。差分は、12!
ジーク/おーっ! 鵺の数が18体まで減った!
スウィフト/これを3回繰り返せば結構な数が減るんじゃないか!?

 2回目のPC側の合計は、45。対する鵺側の合計は、35。差分は10。鵺の数はなんと8体に!
 3回目のPC側の合計は、38。対する鵺側の合計は、42。残念ながらPC側に4点のダメージが入ってしまう。


ジーク/イテテテテ……。でも、残り8体になった。1桁まで削れたよ!
スウィフト/失敗したけど、良い調子じゃないかな。一気に22体も減ったのは大成功だ。
GM/都会から派遣された一流の陰陽師達のトラップが効いたんだろうね。……でもそれを大成功に導いたのは、一緒に手伝ってくれたスウィフト達のおかげだろう。まさか22体も減らせるとはと、みんな大喜びしています。
トンプソン/やったぜ大成功!
ユーキ/にゃー。
ジーク/陰陽術大成功! なあなあ、有名な陰陽師っていないの!? 安倍晴明とかこの中に居たりしない!?
GM/あー、それは……「安倍晴明なんて有名人がここに来る訳ないし。それにあの人、もう何年も前の人だから」とリーダー格っぽい陰陽師の男性が言います。
ジーク/何年も前の人なの? ……ていうかここ、何年?
GM/いついつだよってリーダー格っぽい人が教えてくれるよ。言われた年を西暦に直すと、なんとここが999年の世界だと判る。
トンプソン/1000年前だ!
GM/安倍晴明は1005年に84歳という高齢で亡くなった人なので、一世を風靡してもう数年も経った人ということにしている。彼らは安倍晴明のいた陰陽寮という……異端と戦える力を持った異能力結社に所属する、後輩達だね。人々が化け物の手で困っているときに駆けつける異能集団だ。
スウィフト/昔のハンターやエージェントみたいなもんか。
トンプソン/俺達みたいなもんだ。
ジーク/彼らは安倍晴明の後輩で、彼らは俺達の先輩。つまり俺は安倍晴明の後輩になる。
GM/ジークのそういう前向きなところ、嫌いじゃないよ……(一同笑) 陰陽師達は、デカくって顔立ちが鬼みたいなジークや耳や、尻尾が人ではないモノであるトプさん&ユーキを警戒していた。けど、鵺討伐トラップを手伝ってくれたということで信頼を得たことにしよう。
スウィフト/この3体は僕の使い魔です。
GM/「把握した」
ジーク/あれぇー!? 俺が陰陽師なのになぁー!?(笑)


 ●ミドルフェイズ3???

GM/残り8体をどうするか……陰陽師達のリーダー格っぽい人とご相談するタイムです。というのも、夕方から夜が深くなって参りました。
トンプソン/それって問題なの?
GM/夜はどんどん物の怪達の時間。人間が活動する時間から遠ざかっていく……これは単純に、敵の方が有利ということです。昔は今と違って電気が無かった時代だからね。18時を過ぎたら深夜よ。その分、朝の活動が早いんだけどね。……それでも夜じゃない時間に討伐ができないのは、妖怪達が夜じゃないと姿を現してくれないからだ。
スウィフト/むぐ……難しいところだね。一番良いのは夕方から本格的な夜になる前に討伐を終えることだったけど。
GM/それでもまだ活発的な8匹を逃がしてしまった。大問題です。……ですが。
ジーク/ですが?
GM/ぶっちゃけ、今19時です。
ジーク/うん。
GM/陰陽師達は真夜中でヘトヘト、疲れた顔です。……みんな、19時だけど眠いかい?
スウィフト/いや、全然。
トンプソン/家に帰ってテレビ見ながらメシ食う時間だわ。
ジーク/風呂も入ってない時間だ。
ユーキ/にゃー。ゲームしてる。
GM/リーダー格の男が「何故お前達はそんなに元気なんだ!?」と驚いております。
スウィフト/で、ですよねー(笑) これからは僕達だけで討伐しろと?
GM/そんな無茶ぶりはしない、したくない……けど、リーダーは「すまないが、君達の力を借りたい」と頭を下げます。「我々も最善を尽くす。が、未だにピンピンしている君達がいればどれほど心強いことか」
ジーク/オッケオッケー! まだまだ7時ぐらいじゃ眠たくならないから手伝えるよー!
トンプソン/夕飯を食えばもうひと踏ん張りできるぜ!
ユーキ/にゃー。
ジーク/で、具体的にはこれからどうすればいいの?
GM/リーダー格の男が口を開きます。「我々が囮になる。我らの屍を越えて、その隙に鵺を確実に仕留めるのだ」
ジーク/ほうほう、囮作戦。
GM/判定ルールは変わりません。第3回は、「みんなの力を合わせて鵺全滅のチャンスを掴め!判定」です。【体力】、【意志】に次いで今度は【幸運】での3本勝負だね。この3回ダイスロール対決が終わったら、残った鵺との正面対決になります。
トンプソン/これが最後の数を減らすチャンス!
ユーキ/にゃー!
GM/ちなみに今回は特別ルール付きです。「我々を囮にしろ」と言っている通り、10人いる陰陽師1人を犠牲にするごとに達成値にプラス1をすることができます。
ジーク/えっ。
スウィフト/……10人を犠牲にできる?
GM/うん、つまり最大10点は割り増しできるってこと。「深夜になってしまったら私達は無力だ。鵺も本領発揮をし始めて太刀打ちできないだろう。なら私達は……自らの力を全力解放し、君達の役に立とう。これで確実に鵺の数を減らせる」
トンプソン/うわ、カッコイイ。
ジーク/いやぁ、それって言い過ぎじゃない? 自爆ってカッコイイけどさ〜。
GM/「物の怪達によって多くの人達が被害を受けた。彼らを助けるために私達はいる。私達は己の職務を全うするだけさ」 リーダーの清々しい声に、一同は全員頷いています。
ジーク/カッコイイね。これが本場の陰陽師ってやつ?
スウィフト/陰陽師じゃなくてもきっとこの人達はカッコイイよ。
ジーク/良いね。じゃあ俺達はもっと格好良くやってみせようか。
GM/というのは?
ジーク/誰も犠牲なんて出さないで鵺を0体にしてやればいいんじゃない?
GM/おお、良い言葉だね。では運命のダイスロール、【幸運】判定1回目いこうか!
ジーク/(ころころ)はい、6・6でクリティカル。
スウィフト/えええええっ!? じ、ジーク、それは……(笑)
GM/この流れでそのクリティカルは格好良すぎでしょう!?(笑) く、クリティカルは12+能力値で、「もう一度振り足し」というルールを設けておりました。なのでジーク、もう一回判定して。
ジーク/はーい。(ころころ)10だね。
GM/ジークの【幸運】は4だから、16+10で26になります。
トンプソン/すげー!(ころころ)俺は8!
ユーキ/にゃー。(ころころ)11。
スウィフト/(ころころ)14だ。4人合計で……59!
GM/鵺の合計を算出するよ。39……あっ……。
スウィフト/20体減った。もう鵺の残りの数は8体だったから……。
トンプソン/……あっという間に、全部倒した(笑)
ユーキ/にゃー!
GM/うわ、残り3回ダイスロールしてちょうど良く36体が削れるかなという計算だったけど……圧倒される早さで討伐されたな。お見事です。「私が囮になろう」と言って出て行こうとしたリーダーを抑えたジークは……。
ジーク/はいはい、眠いんでしょ? 後ろで下がっていてー。ここで俺はとっておきの陰陽術を使う!
GM/使ってください。
ジーク/なんか凄い陰陽術を使った結果、鵺が全員倒された!
GM/締まらないなぁ(一同笑) しかしジークの言う通り、鵺達の方が太刀打ちをすることができずに……バタバタと無力化し、みんな昇華されていくのでした。
トンプソン/おー、すげー! 終わっちまったー!
GM/……そう思った瞬間! 「あ、危ないっ!?」 リーダーの男がスウィフトを身を挺して庇う!
スウィフト/うわぁっ!? なにっ!?
GM/幸い大事ではない。なんと……次々と倒されていく中、鵺の1匹……これまたリーダー格の鵺が! 最期の力を振り絞って戦闘を仕掛けてきた! ということで、第4話のギガースと同等のボスデータ1体との対決を始めるよ!
トンプソン/よし、クライマックス戦闘だな!
ジーク/36匹はさすがに無理だけど、1匹なら全力を出せば!
スウィフト/よし、やってやるぞ。犠牲0人で済んだのだから、このまま突っ走ってあげよう。綺麗に戦闘を終わらせる。
ユーキ/にゃー!

 「犠牲0人で済んだのだから、綺麗に戦闘を終わらせる」
 スウィフトのこの言葉通り、4人の鮮やかな全力連携プレイで……強敵である鵺は、綺麗に敗北していったのだった。



 ●クライマックスフェイズ???

GM/鵺は1匹残らず昇華し、村に今後も物の怪が山から下りてこないように陰陽術で結界を張ります。こうして後処理も終われば、この一帯は平穏を取り戻していくでしょう。
ジーク/おお、なんだか穏やかなラストだ。
スウィフト/ギガース1体分でもなかなか苦戦したな……そりゃそうだよな、元々は5人プレイ用の敵を4人プレイで倒したんだから(笑)
トンプソン/1回戦ったことがある敵だったけど、楽しかった!
ユーキ/にゃー。
GM/ちなみに、その後処理は早朝にしたよ。さすがに夜通しだと平安時代の人達は辛いってことで(笑)
トンプソン/逆に俺達の方が早朝は辛くてクタクタになるやつ!
ユーキ/にゃー。ふらふら。
GM/だろうねぇ……ということで、鵺討伐が終わった後は民家で休ませてもらって、朝日で起きたら朝が早い陰陽師の皆さんが全てを終わらせてくれた後だった、ってところかな? リーダーさんが「おはよう。大した食事も用意できないが食べていくといい」ってご飯をあげるよ。
トンプソン/メシだメシだー!
ユーキ/にゃー!
GM/ヒエとアワ、草を煮た物が平安時代の一般的な主食らしいよ。少なくともご飯いっぱいは無理。
トンプソン/……なんだこれ……肉……。
ユーキ/……にゃー。ふらふら……。
ジーク/陰陽師と同じ食事とか貴重な体験だし良いじゃん?
スウィフト/タイムスリップ自体が貴重な体験だよね。
GM/リーダーの男は言います。「これから私達は避難させていた村人達に『もうこの村は安全だ』と伝えに行く。君達も来るか? きっと感謝されるぞ」
スウィフト/いや、それは皆さんのお仕事ですよ。
ジーク/感謝されることは出来たけど、感謝されたくてやった訳じゃないしねー。
スウィフト/そう。感謝されて明日の励みになる皆さんが、その言葉を真摯に受け取ってください。
GM/ではここで、リーダーの男が頭を深く下げる。「ありがとう。君達のおかげで犠牲者は0人で済んだ。我々の犠牲者も無く、村が壊されることも、逃げた村人へ魔の手が及ぶことも無かった。本当にありがとう」
トンプソン/判定がどこかで失敗していたら、陰陽師の人達や村人達が全滅する可能性もあったかな。
スウィフト/でも、それが無くて済んだ。良かったね。……頭を上げてください。もう仕事は終わったんだからみんなもそんな気張らないで。
GM/「いや、仕事はまだまだある。もう安全になった村に村人達を連れてきて、今後は妖怪達の被害に遭った人達の治療に専念しなければ。あとは結界以外にも村が安全になるように整備や、私達がいなくても治療ができるように何人かに医学を教えたり……」 彼ら陰陽師は、お巡りさんでもあるけどお医者さんみたいなところもあるのよ。
ジーク/すげー。俺には到底できない。
スウィフト/ここにきてまさかの憧れの陰陽師を全否定するなよ(笑)
トンプソン/いっぱい仕事するんだなー。無理するなよー。
GM/「いやいや、これが本職だし。それに楽しくてやっているからな。みんなを救えること、みんなが笑顔になっていくこと、これ以上の喜びがあるだろうか」
スウィフト/あー、なんかむず痒くなってきちゃった(笑) ……で、鵺退治を一晩手伝っちゃったけど、どうやって元の時代に戻るの?
GM/その言葉を発した瞬間、突如……空に渦の巻いた穴が空いて、ひょっこりドザニコフが現れる。
ジーク/あ、ドザニコフ。
GM/「がうがうー!」 どうやら「探したぞ、変なところにワープするなよ」と言いたそうです。あのウズマキに入って行けば、第4話後半のセッションへ戻れます(笑)
スウィフト/なんだ、悩まなくてもあっさり帰れたな(笑)
ユーキ/にゃー。
トンプソン/お迎えご苦労様ー! ありがとー!
ジーク/じゃあ元の時代に帰ろうか! ということですみません、俺達空へ帰りますー!
GM/空へ帰ります……という言葉には戸惑う陰陽師さんですが、事情があるなら止めないということで笑顔で見送ってくれます(笑) 何度も何度も感謝の言葉を言いながらね。
ジーク/じゃあねー! ……あっ、待って! 名前を教えて! 真名! 真名を教えてよ! いつも本当の名前を聞かずに終わっちゃうから今日ぐらいは聞きたい!
GM/あー、名前は考えてないよ。
トンプソン/ドクターT! ドクターTはどう!? 未来のドクターTとか!?
GM/やだ! 絶対にドクターTはヤダ! 実はドクターTの先祖という設定とかも絶対に嫌!(笑)
スウィフト/同意!(笑) ドクターTだけは嫌だ! っていうかなんでトプさん、そんなに「ドクターT」って言葉が好きなんだよ!?(一同笑)
トンプソン/ちぇー。じゃあ平安貴族っぽい名前にしてやろうぜ。
ユーキ/安倍。
GM/安倍晴明じゃないし、この人は陰陽寮所属のただの後輩なので別の姓にしてあげてください。あ、蘆屋もダメね(笑)
ユーキ/坂上、清原……あと、橘?
トンプソン/つまりドクターTだなッ!?
GM/ドクターTとは無関係のTさんな!?(一同爆笑) という訳で橘さんです! 高橋さんじゃないです! 凄く綺麗で良い名前の陰陽師さんだね! ということでバイバイ!
ジーク/橘さん、いつかまた会おうなー! 違う時代かもしれないけど! じゃあねー!