アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 第4話『 苛烈を極めるコンティニュー・後半 』 4ページ ■
1998年〜2004年(仮想リプレイ公開2017年12月4日)




 ●トリガーイベント

スウィフト→GM/前回の続きからいくぞー。全長1キロメートルほどある炎の鳥が突進してきて、危うく炎に呑み込まれるところだった一同は……異空間へとワープできる渦の巻いた穴へと飛び込み、逃げ出した。
オーウェル/間一髪だった。
トンプソン/その間に俺とユーキとジークとスウィフトは、平安時代へタイムスリップしてきた!
サブGM/それはおまけパートなので、あまり深く考えないように(笑)
GM/先に別のところへ飛ばされたドリスとオーウェルのシーンから始めるぞ。まずはドリスから。時間の進みがおかしい異空間……ウズマキに入り、ワープしてきたドリスは。
ドリス/ど、どこに出た……?
GM/自宅の前にいる。
ジーク/あ、お家に戻ってきたんだね。
オーウェル/その自宅って無事なのか?
GM/幸い無事だ。というか他の家屋と比べて焼け落ちてもいないし、崩れて住めなくなっていることもない。ドリスの家の周辺だけ無事だ。
ドリス/良かった。……でも、どうして?
GM/ほら……ドリスの家族は能力者だって言ってたし、結界を張っていたからとかで空からの襲撃をこの一帯守ってくれたとかだよ。運が良く寝られる場所が失われなかったってことにしてくれ。
ドリス/了解。……でもここ一帯が無事なだけで、他の所は大変になってるんだよね?
GM/そうだな。プチ空襲に遭ったかのような被害だ。
オーウェル/プチ空襲……凄い言葉だな(笑)
ドリス/おそるおそる玄関に行きます。……た、ただいまー?
GM/家の中から心配した家族がバーンと出てくる。「バカ! どこ行ってたんだよ! 電話が無かったから死んだかと思ったぞ!」
ドリス/に、兄さんも無事だ、良かった……。逃げてここまで来るだけで精一杯だったから遅くなったんだ、ごめんね……。
GM/「だからって、1週間も連絡を寄越さないとかバカだろ! バーカバーカ!」 兄さんは心の底から心配して怒りながらも、すぐに家の中に入れてくれます。
ドリス/……い、1週間……?
トンプソン/もう1週間も経ってたのか?
GM/ドリスの体感的にウズマキに入ってからここに来るまで5分も掛かってないよ。……ジーク達が一晩だけ平安時代にタイムスリップしたように、ドリスは1週間後の未来にワープしてしまったようだ。
ドリス/う、うわぁ……大変なことに……父さんにも心配させたよね、ごめん。
GM/事件直後だとバタバタするから1週間遅らせることにしたんだよ。自宅に帰ると、心配した家族が出迎えると同時に……。
ドリス/……彼は元気?
GM/うん、魔族の彼は無事だし、戻ってきたドリスを心配してなかなか離れようとしない。という訳で現状を説明するけど……ここ一帯は無事とはいえ、この1週間、町は大惨事だった。
ジーク/だよね、空襲があった後なんで凄い騒ぎだよなー。
GM/一般人は「炎の鳥が現れただけなんです!」なんて説明にならないからな。
サブGM/……政府は「竜巻の中に火花が散って、それによって火災の嵐が吹き荒れることが起きる」って災害説を公開すると思うよ。実際そういう自然災害が起きるらしいしね。異端とか化け物の情報は少ないからそうやって処理するんじゃないかな?
GM/しかし、世論は「どっかの国が攻撃をしてきたんだろ!」とか「テロリストの仕業だ!」とか大騒ぎになっている。町が燃えて3000人の死傷者が出たから仕方ないな。
オーウェル/被害者が300人から3000人に増えてる!?
ジーク/そりゃ3000人ぐらいにもなるよねー。
ユーキ/にゃー。
ドリス/予想以上に大惨事になってた……。に、逃げないの? お家で留まっていていいのかって兄さんに訊きます。
GM/「はあ? 逃げるってどこにだよ。今もなお、近くで炎の雨が降ってどこに行ったって危ないっていうのに」
オーウェル/1週間経ってもまだ収まってないのか!? というか、まだ飛んでる!?
GM/ドリスの父親が異能によって結界を張るという咄嗟の行動をしたおかげで、家のある一帯は比較的平和を保っている。周囲の人間は不思議がっているだろうけどな。それでもどこに逃げろという勧告も出てないから、現状は騒ぎが落ち着くまで自宅から出ないが一番の対策と言える。
ドリス/……お、おおごとだ……。
GM/「だから、もうどこにも行くんじゃねーぞ! 危なっかしいからな!」とプンプンと兄さんが怒ったりするけど、後でオーウェル達と合流してほしいので適当に外出してくれ(笑)
ドリス/はーい(笑)
GM/一方その頃。……オーウェルは、ドリスと同じく事件から1週間経った後の世界に飛ばされた。
オーウェル/ううっ……頭を振るいながら、ここはどこだと見渡すぞ。
GM/焼け野原だ。大火災があって全部焼け落ちて、ようやく落ち着きを取り戻したような町がある。
オーウェル/……マジかよ……。店も何も無いし、信号も止まってるし焼け落ちてる……。
トンプソン/マジで大空襲後じゃん!
ユーキ/にゃー。
ジーク/あ、オーウェルが出た先は俺のアパートがいいな!
GM/率先的に自宅を焼きにいった(笑) なんでジークのアパートがいいんだ?
ジーク/家賃払わずに済むから。
オーウェル/コタツも寝床も全部燃えた訳だが、それはいいのかよ……(笑) 焼け落ちた古びたアパートを見る。楽しくジーク達が住んでいたのは知っているから、心が痛くなる。アパートの他の住人とか、大家さんとかは……。
GM/死んでるんじゃないかな。
ジーク/ひでぇことしやがる。
GM/GMは何かしら理由をつけてPCの自宅は残すつもりだったぜ?(一同笑) オーウェルも生き延びた人達や逃げている人達の話を聞いて、ここが1週間後の世界であることや、多くの死傷者が出ていること、対策という対策が取れないまま未だに炎の雨が降ることを知る。
オーウェル/なんでこんなことになったんだ……?
GM/それな。
サブGM/それな。
オーウェル/それな。……って、理由は?
サブGM/何だろうね。
GM/何だろうね。
ドリス/……うん? なんでこんなことになったか、理由が何かあるってこと?
オーウェル/そういうことか?
サブGM/どうだろうね。
GM/どうなんだろうねぇ……。じゃあそこに、ドリスがやって来て……そしてそれとほぼ同時に、ジーク達が平安時代から帰ってくるのはどうだろう? そろそろ全員合流しようか。
ジーク/はーい。空に穴がボンッと開いてベシャッとみんなが落ちてくる!
トンプソン/1000年前からワープ!
ユーキ/にゃー。ごろん。
オーウェル/わわわっ!? お前ら、無事だったか!?
ドリス/わぁー……兄さんに見つからないように外に出てみたら、凄い瞬間を見ちゃった(笑)
GM/ウズマキから出てきたスウィフトが「あっ、オーウェルとドリス! 久しぶりー!」って言うよ。
オーウェル/お、おう久しぶり。大変なときに再会しちゃったな?(笑)
ドリス/久しぶり……。ドレークはイギリスに帰国している最中で良かったね、日本に戻ってきたら大変な目に遭うことになる(笑)
ジーク/運が良かったと言うべきかなー。って、うわぁー! 俺のアパート焼けちゃってるー! 何も無いー! 鍋もフライパンも全部溶けてるー!
トンプソン/すげー火力で焼かれたな!
ジーク/冷蔵庫に残しておいた9割引きの廃棄ヤキトリがヤキトリになってる! 全部、炭じゃん! わー!?
ユーキ/にゃー。すんすん。くしゅん。
GM/ジークはどれだけ徹底的に自宅を焼きたいんだよ(笑) この焼け野原にはジーク達しかいない……そんな寂しい場所になっている中に、一人……やって来る奴がいる。
オーウェル/誰だ。
GM/「…………がう」 口元まで布で覆った二足歩行狸。ドザニコフだ。
ドリス/あ、ドザニコフ。……オレ達を助けてくれてありがとう。
トンプソン/平安時代に行ってた俺達を助けてくれてありがとう!
オーウェル/お前ら、どこまで行ってたんだ……(笑) ドザニコフに訊きたいことがある。
ジーク/何を訊くの?
オーウェル/全部だ。あれは何で、お前らは何で、何がどうしてこうなっているか全部話してもらおう。
トンプソン/でもドザニコフは喋れないぜ。
ユーキ/にゃー。喋ってた。
ドリス/うん、喋っていた。……ヒトの形になれる?
GM/「……がう」 頷くと、カッと光が舞って……目を開けると、そこにはドザニコフとほぼほぼ同じ格好をした青年が立っている。
トンプソン/うお、眩しっ!

 GM/よく見ると、その姿はドクターTと話していたオレンジ色の髪の男と少し似ているような気がした。

ジーク/似ている……兄弟か? ドザエモンズは兄弟機だし!
GM/同時に、青年の爛々と輝く緑色の目を見てしまった一同は、途轍もない恐怖心に「ゾワッ」と言葉を失う。
トンプソン/ぞわっ!
ユーキ/にゃっ。
ジーク/ぞわわっ。うわー、またこれかー(笑) で、何なんだよこれー?
GM/まずは自己紹介だな。「俺の名前は、ユウストタディアス」
トンプソン/……また長い名前だ。覚えきれない。
GM/前に話していた王ドザの格好をしたオレンジ色の髪の男がユウメイイスタディオ。ドザニコフの格好をしたこの男はユウストタディアス。ちょっとだけ似てる。ということで、訊きたいことをどんどん質問してくれ。ドザニコフことユウストタディアスは話してくれる。
オーウェル/……何度も尋ねるけど、お前は何者だ?
GM/「俺は死神。死を司る神。生きるモノ達を死へ導く闇の神だ」
ジーク/おおー、闇の神様だってー! すげー! あの炎の鳥も神様なんだっけ?
GM/「あれも同じく神だ。俺とユウメイは双子のようなもので、ユウメイが光を操る神で俺が闇を操る神だ」
トンプソン/なんか凄い。
ユーキ/にゃ。
ジーク/なんかすげー。……その神様が、何してるの? ユウメイの口ぶりからして世界崩壊を目論んでいるんじゃないかって思ってるんだけど。
GM/「俺達は、神のゲームをしている」
オーウェル/……神のゲーム。何のために?
GM/「ゲームはゲームだ。遊戯だ。遊ぶためにゲームをしている。お前らだって一つの机を囲んで、茶を飲んで飯を食べながらサイコロを振って話をして楽しむこともあるだろう。神もそうやって遊んでいるだけだ」
トンプソン/……俺達と同じことしてる。
GM/「俺達はゲームの中で、違う神と勝負をしている。俺達の陣営は、敵陣営を負かすことを目的としている。このゲームで勝利を収めること、つまり世界崩壊をすることができれば、俺達の勝利だ」
ドリス/……うんっ?
ジーク/えっと? もう一度説明して?
GM/「この世界は『ゼフィロス』というゲームの基盤だ」
オーウェル/は、はあ……。
GM/「紅組というチームと白組というチームが争い合うゲームをしている。紅組は白組を倒して世界を守りきれば勝利。白組は紅組の対策を回避して世界を崩壊させれば勝利。ユウメイイスタディオとユウストタディアスの兄弟は、他のドザエモンズも含めて、みんな白組だ」
オーウェル/……お前、紅組じゃないのかよ。よりによって白組の方なのかよ。
GM/「ああ、判りやすいから白組と言わせてもらった。俺達は、この世界を崩壊させることが目的だ」
ジーク/ふおー、凄い連中だなー! 具体的にはどうやって世界を崩壊させるの?
GM/「世界に災厄や崩壊の種を撒き、それによって世界に住む者達が存続不可能になること。そのために我々は、人々が不幸になるためのものを送り込んでいる。……異端と呼ばれる化け物や妖怪、それに魅了された犯罪者達は我々が送り込んだ種によって生まれたものだ」
トンプソン/うわ、カッコイイ。じゃあなんだよ、ドザエモンズが災厄や崩壊の種を撒いて悪を生んでいるってか!?
ドリス/……本当に、していることが……神様だ……。
オーウェル/どっちかっていうと、邪神だけどな。
GM/ああ、その通り。彼らは邪神と言うのが相応しい。「俺達は……普段はこの世界を『一つ上の世界』から見下ろして、駒を送り込んで世界を崩壊しようと四苦八苦している。ゲームに勝利したいからな。……一つ上の世界、ここでは『上階』と言わせてもらうが、上階でサイコロを振って悪を生み、また紅組の神達はサイコロを振って悪を倒している」
サブGM/紅組の神様のことを『プレイヤー(PL)』といい、その正しく世界を治めようとする神様の作った命は『プレイヤーキャラクター(PC)』と言う。白組の邪神のことを『GM』といい、PC達の生涯になる命は『異端(悪者、シナリオボス)』となる。
トンプソン/で、この世界の名前は『ゼフィロス』……。神様が遊んでいるゲームの名前……。
ジーク/……なんでゲームで勝敗を決めているかって理由は、そりゃ楽しいから。そういう遊びだから?
GM/そうだ。
ジーク/ほうほう。確かにドザニコフ達は悪い神様……GMだ!
サブGM/あ、別に「GM=悪い奴」って式にするつもりはないよ。「PCの相手役、倒すべき存在を生み出す敵役を作る人」ということで、化け物を生み出す邪神としているだけね。
ユーキ/……それでもドザニコフはメタ視点で、悪い神様。ふにゃー。下がる。
トンプソン/ユーキに後ろへ下がられた。……あのさー、神様が何で上階からこの世界に降りてるの? でもってなんでドラえもんズの格好してたの?
ジーク/そうそれ! それが一番訊きたい! なんでドラえもんズなの?
サブGM/ぶっちゃけ可愛いから。
GM/それはぶっちゃけ過ぎだ(笑) 「神は命なんて、それこそ世界なんて簡単に壊せる。命というキャラクターシートをビリビリに破り捨ててしまえばいいんだから」
ドリス/た、確かにそんなことされたら死ぬ……。
GM/「でもそれだと楽しくない。少し悩んで、運に勝負して、ドラマを築いて、その中で不幸や絶望を味合わせてから殺す。その葛藤が無くては楽しくない。上階で下界の命を殺すのは容易いことだ。だが我々は、本来の力ではなく『出力を落とした弱い姿』で、『化け物や犯罪などを駆使して命に介入する』、それが楽しいと考えている。だから……」
オーウェル/……神様の姿ではなく、違う姿になって下に降りて……。
ジーク/悪さをする……。
ドリス/……人がいっぱい死んで、苦しむような、ことを……する……?
GM/「その通り。猫型ロボットの形をしたのは、この世界にいても怪しまれないようにしたに過ぎない」
オーウェル/……どう見てもドラえもんズの姿でいたら怪しいって言わないでおくべきか?(笑)
トンプソン/どう見てもドラえもんズは怪しいだろッ!?
オーウェル/敢えて言っていくスタイル!(笑)
サブGM/ちなみに、ドザニコフとエルマタドーザはリゲル・イル・サディストという異端犯罪者を生みました。ダークエルフに『闇の衝動』となる悪い意思を植えつけたとか、そういう感じね。
ジーク/あれ、お前達の差し金かよ! なんで黙っておいたんだよ!?
オーウェル/いや言わないだろ。……というか言われたら困る。つまりお前らは……マクエールを間接的に殺した存在だってことだからな。
サブGM/そしてドザザキットとドザメット3世は……2話に関わっていたりする。
GM/4話のドクターTは、王ドザに力の協力を得ていたって言ったよな。王ドザにアドバイスとか貰って、どんどん悪さをしようとしていた……ってことでした。
サブGM/でも、ドクターTは圧倒的な力で周囲を破壊しようとしたから……。
GM/『それじゃあ、楽しくない。少しレベルダウンした方が葛藤して楽しいから』……という理由で、敵を弱体化させるように仕向けた。自分好みの異端で世界を壊した方が楽しくゲームがやれている気になって良いからだろう」 という訳で、ドザエモンズは邪神であり、邪神は色んな人や化け物に影響を与えて『異端』と呼ばれる駒を使って遊んでいるってことだ。
ジーク/設定説明、お疲れ様。壮大な設定暴露だ!(笑)
トンプソン/よく考えたな。なんかカッコイイゲームになったぞ(笑)
サブGM/ゲームの世界観に神様のしょうもない思惑が関わっている作品が好きだから、相談してこういうことにしました!(笑)
ユーキ/にゃー。難しいけど面白い。
オーウェル/……でもそれって……神様が好き勝手、俺達の命で遊んでいるって言われたようなもんで。良い気分はしないな。
トンプソン/まぁな。ドザニコフの首根っこ掴んでギューってしてやろうか!?
ユーキ/ぎゅー。
GM/ドラニコフは抵抗しない。
トンプソン/……おっ?
GM/ドザニコフは悩んでいる。
ジーク/んー? どうしたー?
GM/……ドザエモンズこと邪神の行動って、大体ダイスを振って決めているんだよ。その中でもドザニコフが……やたらと優しい行動をしているんだよな。
ジーク/そういやそうだったね。ワープ回避させてくれたのもドザニコフだったし、1000年前にタイムスリップして救ってくれたのもドザニコフだ。
GM/これから『命はゲームの駒という感覚だったドザエモンズとどうやって対決していくか』……という展開にするつもりだったけど、今までの流れからして……『ドザニコフはみんなのことが気に入りすぎて悩んでいるんじゃないか』って思ったんだ。
ドリス/あ……みんなのことを友達に思うようになったとか、好きになっちゃったとか?
ジーク/懐柔されちゃったってことか。
GM/少なからずドザエモンズ何匹かをそういう流れにしていくつもりだったけど、ドザニコフがそれが一番早く出たのかなって思った。……だから、こういうシーンを作るぐらい。敵の悪役がみんなに事情を説明するのも、好感度が高いからにした。それぐらいドザニコフは邪神とヒトの中で揺れている。
ジーク/なんだよー! そりゃ俺達一緒に鍋を囲んだ仲間じゃーん! 友達に思って大事にしてくれても全然おかしくない話だよなー!
トンプソン/悪い奴でも良い奴じゃん!
ドリス/……ドザニコフは悪い神様……なんだよね? でも、炎に巻き込まれて大変な目に遭うときに……オレ達に「逃げろ」って言って助けてくれた。……何度も言うけど、ありがとう。
オーウェル/……ああ、そこは感謝している。
ユーキ/にゃー。
オーウェル/でも、これは確認しておかないと。……お前は俺達を助けたが、これからも世界崩壊を進めようとするか? お前らだけが楽しいゲームを続けるようなら、お前を敵視しなくちゃいけない。
ジーク/…………。
トンプソン/…………。
ドリス/…………。
ユーキ/にゃー。
GM/「…………」 ユウストタディアスと名乗った青年は、カッと光った後にポンッとドザニコフの姿になります。
サブGM/でもって二足歩行狸になった彼は……ぽてぽてと短足でドリスに近づき、ぎゅーっと抱きつく。ぎゅうー。
ドリス/ぎゅううー。……か、可愛い(笑)
GM/「がうぅ〜……」 その目には涙も浮かべている。その姿は「敵になりたくない、友達のままでいたい」と言うように見えた。
オーウェル/それでも俺は敢えて確認するぞ。ドザニコフ、お前は……世界崩壊をしないな?
GM/「がうっ!」 頷いた。
ジーク/よーし! お前は俺達の友達のままだぞー!
トンプソン/邪神が仲間になった!
ユーキ/にゃー。
ジーク/……じゃあ、他の連中は? エルマタドーザやドザザキットやドザメット3世は友達になってくれないの?
GM/そういや全然あいつら現れないな。……どうやら思うところがあるらしい。あいつらも一緒に過ごしたからもしかしたら仲間になるかもしれないけど、ゲームを続けるかもしれない。それだからか呼びかけても彼らはやってこなくなってしまった。
ドリス/ドザニコフ1匹だけオレ達について来てくれるのか……。よしよし。
ジーク/みんなこっちの仲間になってくれればいいのになー! ……あ、そうだドザニコフ。みんなの本名を教えてよ。
GM/それには話を聞いていたスウィフトが「真名を知って呪うため?」と笑って茶化すぞ。
ジーク/神様って呪えるのかなー? まあその手段も考えておくとして、さっきから長い名前で覚えきれないじゃん。どんな奴がいるのか教えてよ!
サブGM/それじゃあ、一覧を作っているから公開するよ。天から……上階から堕天してきたときに姿を借りたドザエモンズ名も全部載せておくね。

『タイマスト トバール』
 第七位。愛、希望、欲望を司る『大蛇』の神。イメージはFF7のミドガルズオルム。堕天外見アバターはエルマタドーラ。
『ドースン マナンデイ』
 第六位。自然、知識、知恵の欺く『合成獣』の神。イメージはFF6のヴァリガルマンダ。堕天外見アバターはドラザキット。
『ユウスト タディアス』
 第五位。闇、混沌、死へと誘なう『死神』の神。イメージはFF7のハーデス。堕天外見アバターはドラニコフ。
『ユウメイ イスタディオ』
 第四位。光、生命を操る『不死鳥』の神。イメージはFF6のフェニックス。堕天外見アバターは王ドラ。
『トゥルウス タリアルウス』
 第三位。治癒、安息、死の安らぎを与える『夢魔』の神。イメージはFF8のディアボロス。堕天外見アバターはドラメット3世。
『ツヴァイク クウォター』
 第二位。闘争、力、文明開化を意味する『竜王』の神。イメージはFF4のバハムート。堕天外見アバターはドラリーニョ。
『ドーマ サキエル』
 第一位。時空、時間、宇宙の力を操る『巨大な剣』の神。イメージはFF6のラグナロック。堕天外見アバターはドラえもん。


ドリス/7体いる……。なんか、全体的に呼びにくい名前が多いね?
GM/どうせなら別次元の存在っぽく、敢えて無さそうな名前と発音しにくい名前にしてみた。人名にも聞こえるけど少し異質に聞こえるような音って異世界人らしいし。
オーウェル/全部『ファイナルファンタジー』の幻獣イメージがついてる。なるほど、この表記があるとどんな形をしているのか想像しやすい……。ユウメイイスタディオはフェニックスか。間違いなく炎の鳥だな。
トンプソン/7体の邪神! カッコイイ!
ユーキ/でもドラえもんズ。
オーウェル/……なんでよりにもよってドラえもんズにしちまったんだ……(笑)
サブGM/7体いて、でもなんか強そうで勝てなそうなイメージがするだろ?(笑) いかなるときも運命共同体の最強ドザエモンズ!
ドリス/どんな神様か判らないけど……第一位のドラえもんは、絶対強い(笑)
ジーク/うん、間違いなく強い! ドラえもんだから絶対トップだしな!
サブGM/そう言うなら、ドザニコフがヒト型になって解説しようか(笑) 「ドーマ兄貴は俺達兄弟の長男だ。一番強いし、リーダーだから全員を指揮している」
トンプソン/やっぱり一番強いんだ? さすがドラえもんだよな!(笑)
オーウェル/個人的には、第二位のドラリーニョが力を意味するバハムートっていうのも怖いんだが……(笑)
サブGM/ドラリーニョはよく判らない暴走をして怖いでしょ? 言葉にならない謎の怖さがあるよね(笑)
GM/ドザニコフことユウストタディアスは提案する。「……ユウメイ兄貴を止める方法を、教えよう」
ジーク/おっ!? 教えてくれるの?
GM/「ゲームにはルールがある。俺達はこの世界の生き物に間接的に関与して、不幸を撒き散らして人類の存続不可からの世界崩壊をするべく暗躍している。でもやっちゃいけない禁止事項がある」
オーウェル/禁止事項……?
GM/「俺達神様は、ゲーム内に生きる駒に直接介入することはできない。した途端、消滅する。ルール違反ということでこのゲームの外に追い出される。上の階へ帰ることになるんだ」
オーウェル/ゲームの外に追い出される……この世界から出て行かせられるってことか?
トンプソン/でも、既に王ドザは3000人ぐらい殺してるんだよなー?
GM/殺してないよ。勝手に死んでるだけ。だってユウメイイスタディオはジーク達に神様が信じられないからって姿を見せて、空に羽ばたいただけだ。殺意のこもった炎をぶつけて殺しちゃいない。
トンプソン/なんだそれ!?
オーウェル/でも炎が降って、結果的に人が死んでるだろ!? 3000人ぐらい死傷者が出てるんだろ!?
GM/でも殺した訳じゃない。死んでるだけで。
サブGM/さっき「なんでこんなことに」って言っていたけど……「みんなに姿を見せたから」だけだね。「理由は何かあるか」って言ったら、ハッキリ言って「無い」よ。
GM/そう。前回もジークが「こっち来い」って言ったから近寄って来ただけで、みんなが逃げなきゃ結果的に炎に巻き込まれて死んだかもしれないけど、ユウメイイスタディオは殺すつもりなんてなかった。
ドリス/……ひ、酷い……。
トンプソン/あのヤキトリ、倒す方法あるか!?
GM/「ユウメイ兄貴とお前達の【HP】を比べちゃいけない。いくらたった1キロメートル程度の小さな姿で出力を抑えているとはいえ、最大【HP】は数万、数億あるぞ。……しかし」
ジーク/しかし?
GM/「神は、この世界の創造物に手を出した時点でルール違反になる。だからユウメイ兄貴と戦って、ユウメイ兄貴がお前達に……能動的な接触を図ってくれば」 つまり……邪神達は邪神達から攻撃をした途端、みんな消えちゃうってことです。
ジーク/へえ? 邪神達を消すには、邪神達にヒトを攻撃させればいいって?
オーウェル/……わざと俺らへ攻撃させて、ルール違反で世界から追い出す?
GM/「ああ、それしかない!」 ということで、みんなはこれからユウメイイスタディオと戦ってもらう。でもユウメイイスタディオはみんなを相手になんかしない。その気にさせることで、ユウメイイスタディオが反撃をしてくるようになる。
ジーク/ほうほう?
GM/その前に戦闘準備を整えなくちゃいけない。ユウメイイスタディオと戦う場所を決めて、そこに呼び寄せよう。どうやって呼び寄せるか、どこに呼び出せたかは神経衰弱の1位が決定する。
トンプソン/神経衰弱リベンジか!
GM/また神経衰弱の結果で色んなことが決定するぞ。勝った順位ごとに戦闘の内容が変わる。そうして最後にクライマックス戦闘を行なって、ユウメイイスタディオの設定された【HP】の数値まで減らすことができれば……本気になったユウメイイスタディオが攻撃してきて、消滅して終わる。
ジーク/この場合のユウメイイスタディオの【HP】は0になっても死ぬんじゃなくて、0になったらやる気が出ちゃって戦闘終了、になるんだな。
GM/そうなるよ。もちろんPCのみんなは【HP】になったら戦闘不能になるけどな。ユウメイイスタディオも自分のターンになったらダメージロールを振る。このダメージはユウメイイスタディオからの攻撃じゃなくて、「勝手に近寄ってきたことによる火の粉から避けられるか」だ。
オーウェル/……描写が今までの戦闘と違うだけで、やっていることは変わらないか。

 1位:最善の状態で戦闘に突入。戦闘開始直後に好きな場所を決定し、任意のエンゲージからスタートできる。お菓子もプレゼント。
 2位:最善の状態で戦闘に突入。1位と同様に任意のエンゲージからスタートできる。
 3位:【HP】と【MP】にそれぞれ1D6点のダメージを受ける。
 4位:【HP】と【MP】にそれぞれ2D6点のダメージを受ける。
 5位:【HP】と【MP】にそれぞれ3D6点のダメージを受ける。ランダムで特技1つが使用不可になる。
 6位:【HP】と【MP】にそれぞれ3D6点のダメージを受ける。ランダムで特技1つが使用不可になる。


オーウェル/まだ≪殺法:麻痺≫が使えない上に、また5〜6位になったら特技が使用不可になるのか……。
ユーキ/にゃー。≪お守り≫無い。にゃー。
GM/そろそろダメージが重なって大変だから「大切なものを失う」は削除しておいた。あと今回も、ペアになったら特別イベントが発生するようにしてあるぞ。

 特別イベント1:ダイヤのAが入ったペア

 特別イベント2:ジョーカーのペア


GM/第2回、始めよう。順番はまたダイスで決め直そう!

 ダイスで順番を決定した結果、ユーキ→オーウェル→トンプソン→GM→ジーク→ドリスの順に動くことになった。


 ●ミドルフェイズ7/ジーク 〜ジョーカーのイベント〜

ジーク/あ、ジョーカー同士が揃った。イベント発生だ。
GM/ジークがジョーカーのイベント発生を引いたか。……おおおっ、ジークが引いたか!? ピッタリなイベントが待っているぞ!
ジーク/おっ、もしかしてラッキーイベント!? やったー!
GM/このジークが登場するイベントに、他のPCが登場することが可能だ。シーン登場したい場合は【体力】か【知覚】で難易度11の判定に成功してくれ。
オーウェル/(ころころ)【体力】で成功。
ドリスユーキトンプソン/(ころころ)失敗。
GM/シーン登場するのはジークとオーウェルだけで頼む。……神経衰弱中の間、みんなは「どうやって戦うか?」「どこで戦うか?」「どうやって戦わせるか?」などを相談したり、買い出しに行ったり街を徘徊して良い場所を見つけたりしてると思うんだけど。
ジーク/じゃあメシ食いに行こうぜ!
オーウェル/街はみんな燃えてるんだろ、一区画以外はな。レストランやスーパーも無くなってるんじゃないのか。
ドリス/……生き残った人に向けて炊き出しとか、キャンプ場近くで配給とかはあるんじゃない?
GM/ああ、まるで戦時中かってぐらいの状況になっているかもしれない。
ジーク/じゃあ配給を貰いに行こうぜ! 俺達だって生きてるんだからご飯を貰っていいよなー?
オーウェル/まあ……止める必要は無いか。飯は食っておかないとだし。
GM/では2人は、焼き焦げた建物を抜け、コンクリートが剥がれたり黒く歪んでいる道を行き、信号機が曲がっていたり車がひっくり返っているような街を行く。ちょうど今いる所は人が居ない。
オーウェル/ここ、本当に日本か……。
GM/……そうやって歩いていると、「お前、生きていたのか」とジークに声を掛ける男がいた。マーティだ。
ジーク/あっ、生きてたんだ!?
GM/マーティは無愛想にジークを睨んで立っている。偶然歩いているジークを見つけて、「なんで生きてるんだ」と怪訝そうな顔をしている。
ジーク/いやー、俺も運良く生きちゃったよ! 日頃の行ないが良いからかなー!?
オーウェル/……俺はマーティと直接会ったことないから、後ろで黙っておこう。
ジーク/なら俺が説明しちゃう。オーウェル、この人は俺を誘拐した連中の一味だよ!
オーウェル/なんでそんなニコニコしながら言えるんだよ!?(笑)
GM/なんでそんなニコニコしながら言えるんだ(笑) マーティはジークが生きてることに「良かった」とも「クソ」とも言わない。ただ声を掛けて、何か複雑なことを思って……黙って終わり。
ジーク/俺からしてみるとマーティの方が良く生きてたね? いち早くこの辺りから逃げてたとかかな?
GM/「まぁな……ビルの地下に避難シェルターが完備されていたから無事だったんだ」
ジーク/すげー。今度そこに住まさせてくれよ! 俺のアパート燃えちゃったし!
GM/「…………」 とにかく黙っているマーティ。何か話したいことや訊きたいことはあるか? 1つ2つぐらいなら答えてくれるかも。特に無ければ、ちょっと判定を挟んだイベントを発生させる。
ジーク/訊きたいことならあるよ。なんでギガースを作ったの? マーティってあんなのが必要だった?
ドリス/……おっ?
オーウェル/それをまず訊くのか。
GM/さくっと訊いたな。「……俺が、あんなの要る訳ないだろ」
ジーク/でも硲村で王ドザを捕獲したじゃん。
GM/「あれはギガース・マーク2を造るための材料として膨大な魔力の塊であるオネが必要だからって、上から回収命令が下っただけだ。仕事だから探しただけだ……」
ジーク/それは俺達も同じだよなー。俺達にオネなんて必要が無いけど、依頼主が欲しがってたから硲村に探しに行っただけで〜。
GM/「俺が所属する部隊『アザーズ』は……『アザーズ』という組織である俺達は、力だけは有り余っている。だからオネ回収として村に向かった。けど元々俺達は……異端や化け物狩りのために能力を使っているだけだ。ギガースを作るための組織じゃない」
ジーク/ふんふん。ギガースを作っている理由までは判らない?
GM/「ギガースを作るための理由。そんなの決まってる」
ジーク/ほう?
GM/金になるからだろ。1週間前のアレは暴走しちまったが、強力な兵器で扱いやすい人造人間だから高く売れるんだ。技術者連中が作りたがって、売りたがる奴がいて、買う奴もいるから量産して……質の良い品物を開発しているんだ」
オーウェル/……はあ? 金になるから?
GM/「そうだよ」
オーウェル/それだけか?
GM/「それだけだよ」
オーウェル/……ふ、ふざけんなよ。大勢の人外種族を誘拐して無理矢理乗せておきながら、理由が「金になるから」ってどういうことだよ?
ジーク/でもさ、お金以外に理由ってあると思う?
オーウェル/あるだろ。……大勢を誘拐して、命を使ってまでやりたい野望とかが。
GM/「そんなのねーよ。作りたいから作って、売りたいから売って、それで金ができるだけだ」
オーウェル/……無いのかよ、本当に。本当にか!?
ジーク/……オーウェルは、どんな返答を期待していたの?
オーウェル/期待とかそんなもんはしていない。だけど、そうしなければならない理由とか、壮大な計画とか、そんなもんじゃなくてただ私利私欲のためだって言われたら……俺の種族は、単なる欲望の為に殺されたってことになるだろ!
ジーク/その通りなんだろうね。
ドリス/……う……。
トンプソン/うわあ。
ユーキ/うにゃー。
オーウェル/……ふざけるなよ……。ってマーティに言っても無駄なのは判っているが、それでも、ふざけるなよとしか言えない……。
GM/……怒りを隠しきれないオーウェルを見ていたマーティが、口を開く。「話は変わるが……炎の鳥が突如現れて、辺りを飛んでいるというのは知っているか?」
ジーク/あ、うん。ユウメイのことでしょ?
GM/ユウメイと言われてもマーティは初めて聞く名前だから、首を傾げる。「炎の鳥はただ飛び回って、被害を拡大させている。敢えて火で攻撃するとか、何かをするという訳でもなく、ただただ居るだけで被害を拡大させていく。……討伐するために大勢の力が必要だろう」
ジーク/まあ、そうなるだろうね。たくさんハンターや能力者の出番かな?
GM/「よって、ギガースが売れている」
オーウェル/う、売ってるのかよ!? それと、買う奴がいるのかよ!?
GM/「こういう、人間にとってどうしても力が必要なときに使いやすい強力な武器は役立つだろ。マーク2ほど性能は良くないが、既に初期型はいくつか完成しているからな……」 ドリスが助けたあいつの仲間や、オーウェルの同僚が乗ったギガースは既に商品になっているよって話だ。買っている人が全員「ギガースの中身」を知っているかは判らないが。
ジーク/……なんか嫌な話だねー。
オーウェル/…………。炎の鳥とは俺達も戦う。そのときギガースがいたなら、何とか止めて核にされた連中を救うか。
GM/それは……難しいんじゃないかな。ドリスがしたときだって、『契約』をするまで持っていけたから辛うじて出来ただけだし。
ジーク/うーん……じゃあ嫌な話のままにしとけって言うのかよ〜。
GM/……そろそろ話を終わらせていいかな? それじゃあイベントを起こしたいので……ジークとオーウェルは【知覚】判定をしてくれ。難易度は10。
オーウェル/(ころころ)13で成功。
ジーク/(ころころ)6で失敗だー。
GM/失敗したジーク目掛けて、斧を振りかぶった男が攻撃!
ジーク/おおっとぉ!?
GM/だけどオーウェルが成功したので、ジークに「危ない!」と伝えることで2人とも無傷でいいよ。
オーウェル/チッ! バッと剣でその攻撃を弾いて、ジークを庇う!
GM/ガキイイン。
ジーク/ひゃーっ!? イイね、イケメンだよオーウェル!(笑)
GM/斧を持った男はよろけながらも「ありゃあ、先制攻撃失敗しちまったか〜」と笑っている。その声でジークは判るだろう、自分の頭を殴打してあのビルへ誘拐した張本人であると。
ジーク/おおっ、やってくれたあいつか! 二度も同じ手は効かないぜ!
オーウェル/いや、お前は回避失敗してるだろ……(笑)
GM/斧を持った青年は「ギガースの素材になる人外も探せばいっぱいいるんだね、バイトに励んでいるなんてやるじゃん!」とニコニコと……再度武器を構える。その口振りからして、マーティの仲間だというのは一目瞭然。人外狩りをしている能力者だというのも一発で判る。
ジーク/あ、ヤバイね狙われちゃう。
オーウェル/……俺達の天敵だ。
GM/しかしそれに対して、「違う! カディン、俺はあの仕事を受けた覚えはねぇ!」とマーティは斧を持った男に叫ぶ。
ジーク/おっ?
オーウェル/こいつ……。やっぱりマーティって良いNPCだな!(笑)
サブGM/ここからカディンのキャラロールは私がさせてもらおう。(カディンになって)「はー? 何言ってるのマーちゃん。あんな金になるお仕事を蹴るとかありえなくない? マーちゃんてば奨学金とか払わなきゃいけないんでしょー?
トンプソン/奨学金! マジかよ!(笑)
ドリス/学生さんだったの……?(笑)
GM/(マーティになって)「今そんな話をするんじゃねぇ! 兄弟が多いから金は欲しいが俺が頑張って働いて稼げばいいだろぉ!?」(一同笑)
オーウェル/マーティがどんどん良い奴に見えてきた(笑)
サブGM/このキャラは良いキャラだね(笑) 「えー? 今更降りるって言うのー? 気味悪い人外連中なんて人間様の為に道具になってもらった方が良いと思うよー。それに例の空飛ぶ炎の化け物退治にギガース大量生産したいって上の先生達も言ってたじゃん。ビッグビジネスチャンスだよ、だからそいつら捕獲して連れて行こうぜ」
GM/(マーティになって)「知るか!」
サブGM/「じゃあどうするの、マーちゃん」
GM/マーティは、槍を取り出して……同僚である斧を持った男に向ける。
ジーク/おおおーっ!?
サブGM/「……オイオイ、ふざけるのも大概にしてよ、マーちゃん? そこにいるデカイの、オーガ族でしょ。隣に居るのはエルフ族で……まあそこそこの利用価値もありそうな素体だよ。特にエルフは観賞用としても売れるんじゃない? 妖精系は欲しがる変態も多いってことぐらいこの辺りでうろついているハンター連中や俺達の仲間も全員知ってるよ」
トンプソン/(突然カディンになって)「エルフはエルフでも男なのが残念だけどな! ヒャッハアアアアー!
オーウェル/いきなりなんだよお前!?(一同笑) 変態が多いな! 唐突に趣味悪いシナリオにしやがって!
サブGM/日本が舞台なのに人外だらけのセッションだったからさ、つい。
GM/なら人外キャラが戦えるシナリオにしていこうと思ったら、つい。スウィフト以外日本人かつ純粋な人間がいねーんだもん。
オーウェル/正直判らんでもない。
ドリス/そ、そうかなぁ……?(笑)
ユーキ/にゃー。
トンプソン/あれ? でもスウィフトは名前がカタカナじゃん。
GM/スウィフトは偽名というかハンターをやるにあたってのコードネームだよ。卓のメンバーが全員カタカナだったから揃えたかっただけな(笑) という訳で戦闘が始まりそうな雰囲気……だが、ここはシンプルに判定でくり抜けていこう。

(1)マーティに加勢しつつ、カディンを倒す。
 【体力】判定(難易度:12)→【反射】判定(難易度:12)→【意志】判定(難易度:12)に成功すること。
 1回でも失敗したら1D6点ダメージを受け、1度目の【体力】判定からやり直すことになる。3回失敗したら、(3)になる。
(2)マーティに任せつつ、カディンから逃げてこの場を切り抜ける。
 【反射】判定(難易度:10)→【幸運】判定(難易度:10)に成功すること。
 1回でも失敗したら【HP】に1D6+2点ダメージを受け、1度目の【反射】判定からやり直すことになる。2回失敗したら、(3)になる。
(3)カディンに負けて、捕まる。
 何もしない場合はこれになる。
※ジークとオーウェルの2人がシーンに登場しているので、判定者はどちらか1人のみダイスロールを行なう。


ジーク/うえー、倒すルートが若干難しいなー!
オーウェル/俺が【体力】と【反射】なら高いから受け持てるけど、ラストの【意志】はジークにやってもらえばカディンを倒せる筈……。それでも難易度12はキツイが。
ジーク/オーウェル。あいつ、倒したい?
オーウェル/倒したい。
ジーク/じゃあ倒そう。ここで恨みを晴らしておくの良いと思うよ。という訳で(1)に挑戦だ。
GM/了解。まずは1回目、【体力】判定難易度12だ。誰が判定する?
オーウェル/もちろん俺が【体力】を振る! 頼むぞ。(ころころ)……ぐぅっ!? 達成値10で失敗!(ころころ)1点のダメージを受けた!
GM/なかなか強敵だ。じゃあ2度目の【体力】判定をいってみよう。
オーウェル/た、頼む良い出目……!(ころころ)よし、達成値12で成功!
ジーク/よしよし! 剣筋が良い!
GM/次は【反射】判定、難易度12だ。これで失敗するともう一度【体力】判定からやり直すはめになるぞ。
オーウェル/いくぞ!(ころころ)うそだろぉ! 出目が1・2!
トンプソン/うわぁー。
ユーキ/にゃー……。
GM/残念。1回目の【体力】判定に戻ろ。
オーウェル/も、もう一度【体力】から……(ころころ)今度は出目が良かった、【体力】は16!
GM/押されたと思ったがオーウェルは反撃をした。2度目の【反射】判定にいこう。今度失敗したら負けてしまう。
オーウェル/【反射】!(ころころ)……よーし! 達成値13で成功!
トンプソン/よっしゃーっ!
ジーク/うわー、ハラハラしてきたー。じゃあ最後は俺の【意志】判定どーん!(ころころ)……達成値13! 成功!
ドリス/やったぁ……!
GM/おめでとう! ギリギリの戦闘だったがオーウェルが耐え、ジークが確実に抑え込むことに成功した!
サブGM/剣と槍の猛攻撃に、青年の斧を持つ手がポロリ。
オーウェル/覚悟っ……トドメを刺す!
GM/そのとき、マーティが「……あ……!」と声を漏らす。かつての仲間を殺さないでくれ、と言うかのような制止だ。
オーウェル/えっ。それは……止まる。
GM/声に反応して手を止めるオーウェル。……一応ここでトドメを刺すことは可能とする。刺さなくても判定に勝利したジーク達はこの場を無事切り抜けることはできるよ。どうする?
ジーク/……殺さないの? 倒したいんじゃなかったっけ?
オーウェル/聞くな。……正直、俺もどうしたらいいかよく判らない。殺しておいた方がいいのか? 俺達を素材扱いしたことに腹が立つのは確かなんだが……冷静になれば「別にこいつを殺したところで」というのはあるんだよな……。
ドリス/……殺さないでおいても、いいんじゃないかな。
トンプソン/オーウェルが殺したいって思うならトドメを刺せばいいだろ?
ジーク/んー……ユーキはどう思う?
ユーキ/にゃー。
ジーク/ユーキの中の人はどう思う?
ユーキ/殺したらここまで凄く上がっていたマーティの好感度が下がる気がする(一同爆笑)
サブGM/ゆ、ユーキの中の人のそういうツッコミ大好き……(笑)
ジーク/そうだね! カディンって奴が可哀想っていうより、理念に反して仲間割れをした挙句にかつての仲間を殺されちゃうマーティが可哀想に思えるから……殺さない方がいいな!
オーウェル/確かに……。マーティの為に、ここは剣を納めておこう。
GM/殺さないという選択肢をしてくれたのを見たマーティは、ほっと安心しながら……すぐにキリッと口を出す。「おい、早く行け。出来ればどこかに隠れていろ。俺の仲間達に見つからないように暫く姿を消せ」
ジーク/それは無理かなー。俺達、これからでっかいことするから!
GM/「でっかいこと?」
オーウェル/お前らの上の連中が金を作りながらやろうとしたことを、俺達は個人的にやらせてもらう。……じゃあな。その場を去ります。
ジーク/じゃあねー! あ、このタイミングで真名を教えてくれてもいいんだよー!? バイバーイ!
GM/小平 優(こだいら・まさる)
ジーク/……へっ?
GM/「コードネームじゃない俺の名前だ。金目になる物や役立つ情報なんて無いからな。こんなもんで礼になるなら持っていけ」
オーウェル/……うわ、こいつ本当に良い奴だ(笑)
ジーク/凄いよマサルさんってやつだね!(一同笑) へへへありがとさーん! また会おうなー!
GM/2人はその場を切り抜けた……訳だが、少しだけ優ことマーティと……カディンのロールを挟ませてもらおうか。

 「はぁ……はぁ……」
 「……すまんな、カディン。傷、治してやるから……痛いところを見せろ。そして本拠地に戻れ……」
 「何のつもりだ? マーティ?」
 「…………。すまない、俺は部隊の一員だがあんな命令は聞きたくない。俺が受けた依頼はオネ探しだけで、材料探しの人外狩りなんてする気は……」
 「馬鹿じゃねーの!? 奴らは人外だよ!? 人間じゃないんだよ! 人の為に使われるべき下等生物だろ!? なにフザけたことを言ってるんだ! 1週間前の事件で頭でも打ったのか!? 上の先生達から命令があっただろ!? なら……!」
 「……はあ……。だからカディン、俺は確かに『アザーズ』に所属しているが、仕事をまわしてもらっているだけで絶対服従になったつもりはねーぞ。それにお前がやる気満々なのは知っているが、俺はそんな依頼を引き受けた覚えは……」

 疲れた顔で溜息を吐きながら、カディンの怒号に応えるマーティだったが。
 ――ザシュ。
 突然マーティの腹部から、剣の頭が生えた。背後から、マーティの体を貫いた人物がいたからだ。


オーウェル/えっ……!
ジーク/ええええっ!? マサルさん!?

 怒号を飛ばしていたカディンも、これには呆然とした顔になってしまう。
 だが……マーティの背後に立っていた仲間を見て、仕方ないなと笑って済ました。
「マーちゃん……あーあ、惜しい仲間をなくしたね。上の先生達には『凶暴な人外に襲われました』って報告しておくよ。リーダーも最期を見届けたってことにしておいていいかな、ユリウス」
「ああ、そうしておけ。……ついでに『アザーズ』一同、任務に励めとも連絡しておけ」

 硲村に向かっていた3人のうちの1人、剣を持ったリーダーは、血で濡らした刃を払い……倒れたマーティを一瞥した。

ジーク/あ、あああー……。死んじゃった……マサルさん死んじゃったー……?
トンプソン/容赦ねーな。
オーウェル/だ、駄目だ……あいつら、絶対殺しておかないと……。


 ●ミドルフェイズ8/トンプソン 〜ダイヤのイベント〜

トンプソン/おっ!? ダイヤのAとハートのAが出たー!
GM/トプさんがイベント発生か。……さっきジークとオーウェルが濃厚なイベントをしたから、今回はトプさんとユーキとドリスの3人でシーンを作ろうか?
ドリス/判った、いいよ。
ユーキ/にゃー。
GM/と言っても今回はシンプルな内容だ。「みんなで休めるか」判定を行なう。【意志】判定で難易度10が出たら、回復行為が行なえる。
トンプソン/前のギガース戦でだいぶ減ってるからありがたいな。
ユーキ/にゃー。
ドリス/(ころころ)……あ、ごめん、6・6でクリティカル。
GM/どうやって回復するか説明する前にクリティカルを出された!?(笑) あー、これはクリティカルっぽく回復しないとな。PC全員、4D6回復していいことにしよう。
トンプソン/太っ腹!(ころころ)13点回復するぜ!
ユーキ/にゃー。(ころころ)14。
オーウェル/俺達も回復していいのか?(ころころ)11点回復。
ジーク/サンキュー。(ころころ)12点。
ドリス/みんないっぱい回復できた……。(ころころ)9点、オレはそこそこ回復だ。自宅が残っているのでそこでホットケーキを作って、お茶を淹れてみんなにあげよう。
トンプソン/わー! 食べるぜー! ケーキー!
ユーキ/にゃー! がぶ。紅茶あちち。猫舌あちち。
GM/呑気にお茶会してる場合か(笑) 帰ってきたオーウェルとジークも食べたり飲んだりできたってことで。
ドリス/魔族の彼にも食べさせてあげよう。ハチミツと生クリームと苺があるから……おいでー……。
ジーク/それだけあればクリスマスケーキっぽく作れるな!
GM/最初は「なんだこれ」って顔をしてたけどホットケーキを食べ……って、こいつオープニングでもホットケーキを食べてなかったっけ?(笑)
サブGM/そのうち「ケーキと紅茶が人間の主食」だと思い始めるな。もぐもぐ。
ドリス/よ、良くないなら血をあげようか……?(笑) ドザニコフはどうしてる?
GM/「がうぅー!」 四角く切ったケーキを食べている。
トンプソン/……ドザニコフ以外のドザエモンズは?
GM/現れない。
ジーク/……おーい! みんなー! 集まれー! ホットケーキ食べるぞー!
GM/えーと……じゃあ、呼びかけたジークは【幸運】判定難易度12で。
ジーク/(ころころ)10で失敗。
ドリス/【幸運】が高いオレも呼びかけてみていい? みんな、おいでー……。(ころころ)……うん……。
ジーク/……失敗?
ドリス/……出目が6と5で、ほぼほぼ成功……。
GM/殆どクリティカルで成功してるじゃねーか!?(一同笑) じゃあ……(ころころ)エルマタドーザが「すんすん、良い匂いがするー……餡子があれば完璧ー……」とケーキの香りに釣られてやって来る。
トンプソン/捕獲!
ユーキ/にゃー!
GM/「うわー! 捕まったー!?」
ドリス/ホットケーキに餡子を挟んでドラ焼きにしよう。あーん。
ユーキ/がぶ。もぐもぐ。
GM/「あーっ!? 俺のドラ焼きー!? 猫に食われたー! うおおおー!?」
オーウェル/普通にお茶会に混ざりにきやがったぞ……この邪神(笑)
ジーク/そうだ、こいつらの正体って邪神だった。エルマタドーザも邪神なんだよね。お前も悪いことしたがってる?
GM/「もぐもぐ大丈夫もぐもぐ俺はドザエモンズの中でも一番の小物もぐもぐもぐ!」
オーウェル/(邪神の表を見ながら)……ああ、確かに順位だとエルマタドーザって7番目で一番下だな?
GM/「だからもぐもぐ世界崩壊も半壊ぐらいしかできないってもぐもぐもぐ!」
ジーク/そっかー、じゃあ安心だなー!
オーウェル/半壊させられるぐらいにはヤバイ神様だってことだろ……(笑) ハッキリさせてくれ。お前も世界崩壊をしたいのか? 答え方によっては……ドラ焼きをあげない。
GM/「しません」
トンプソン/エルマタドーザ が  なかま に なった!
ユーキ/テッテレー!
GM/こいつは一番の小物なのであっさり懐柔されました。
オーウェル/……良いのか、こんなんで?(笑)

 そうしてこうして、神経衰弱は進んでいき……結果が発表された。
 1位:ジーク→6セット(12枚) ジョーカーのペアをゲット。
 2位:トンプソン→5セット(10枚) ダイヤのペアをゲット。同着がいたが、イベントカードが1つあったので2位に繰り上げ。
 3位:ドリス→5セット(10枚)
 4位:ユーキ→4セット(8枚)

 5位:GM→4セット(8枚) 同着だったが、PC優先で5位に繰り下げ。
 6位:オーウェル→3セット(6枚)


オーウェル/うお、ヤベェ……油断してたらまた順位が下になっちまった!(ころころ)≪見通す眼≫が封印された。命中値を下げておこう。
GM/3位〜6位のみんなは、それぞれ【HP】と【MP】の消費をしておいてくれよー。ということで1位はジークだ! 好きに演出をしてくれ。
ジーク/俺のアパートがあった所で戦闘をします! 思い出の場所でラストバトル!
GM/ほう。……どうやってユウメイイスタディオをおびき寄せる?
ジーク/エルマタドーザとドザニコフを囮にする!
ドリス/わわっ、囮作戦……?
オーウェル/そうくるか。……2体は囮になってくれるのか?
GM/ドザニコフもエルマタドーザも能動的な行動はしない。でも、「一緒に寝泊まりした場所に来てくれ、そこで立っていてくれ」と言えば……間接的に協力をしてくれたことになる。
ジーク/立っているだけでいいからねー!
GM/では……ここでスウィフトが「周囲の人達に危険が無いよう、僕は避難誘導をしているよ」と周りに被害者が出ないように言い出す。
オーウェル/おっ、ありがたいな。
GM/(スウィフトになって)「これから大きな戦闘になるからね。頑張って!」
トンプソン/おうっ!
ユーキ/にゃー。
ドリス/気を付けて。……みんな、逃げていてくれよ……。