アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 第4話『 苛烈を極めるコンティニュー・後半 』 2ページ ■
1998年〜2004年(仮想リプレイ公開2017年12月4日)




 ●ミドルフェイズ4/ドリス 〜ハートのイベント〜

ドリス/あ、ハートとハートが揃った。イベントが起きるのかな?
GM/ハートのイベントが発生だ。ドリスもドザニコフによって「ガウガウ」とジーク誘拐の件を話して協力をしてもらっている訳だが。
ドリス/ドザニコフに詳しい説明をしてもらう。
GM/「ガウガウ」
ドリス/がうがう。
GM/「ガウ」
ドリス/がう。
GM/かわいい。
ドリス/かわいい。
オーウェル/判る。
ユーキ/にゃー。
ドリス/かわいかった。そろそろドザニコフに詳しい説明をしてもらう。
GM/今のが説明のつもりだったんだけど!?(一同笑) 「ガウガウゥ〜!」とドリスにジーク誘拐の件について話しました! 以上!
ドリス/判ったよ。判ったからドザニコフ、お布団から出ておいで……。
オーウェル/まだ布団の中に居たのかよ……(笑)
トンプソン/布団の中で長くガウガウしていたんだな。そんなことしてたら、それはもう、うとうとスヤァ……。
ユーキ/がぶ。
ジーク/何かがドザニコフを噛んだ。
GM/「フガアァ〜ッ!? フンガー! ガウガウゥー!」 ……そろそろドリスくん、ジークの探索をしてくれませんか?(笑)
ドリス/はい……彼にはお留守番をしてもらっていて、ドザニコフを手を繋いで外に出ます。寒いからちゃんとドザニコフにマフラーを巻いて……いや元々ドザニコフはマフラーとかマントをしてるか……(笑)
GM/ではここでハートのカードが揃ったイベントなので、ハートがドキドキのイベントが発生します。突然ですがドリスの背後にワゴン車が停まり、男達が出てきてドリスを誘拐しようとします。
ドリス/へっ?
オーウェル/また!?
GM/【体力】判定で難易度10に成功すれば誘拐されずに済む。なおかつ、【体力】で成功した次に【反射】に成功すれば奴らを……。
ドリス/(ころころ)もちろん失敗です。
GM/お前【体力】は普通よりある筈だよなぁ!?(一同爆笑) で、ではここで特別ルールを説明します。その名も『逆転世界ルール』。これは判定の失敗を成功にできるルールです。
ジーク/わ、凄いルールだ。
GM/ただしその代償として、「大切な物に支障が入る」「大切な物に傷がつく」「大切なものが失われる」。失敗しろという運命に抗って、成功させるけど運命が巡りに巡って違うものが失敗するという風に世界が改変されていく……というシステムだ。
トンプソン/おー、すげー。前回のセッションで、あまりに失敗しすぎるプレイヤーの救済措置としてGMが作ったルールと見た。
GM/その通りすぎて何も言えねぇよ……(一同笑)

 注釈。この『逆転世界ルール』が生み出された背景に「プレイヤーが失敗ばかりする」ということを説明していますが。
 現在の『アナザーワールドSRS』はFEAR社が開発した「スタンダードRPGシステム」と呼ばれる汎用TRPGルールをもとに作られたTRPGシステムです。

 ですが当時、まだルールが完成していないこのセッションでは、
(例1)GM「ここでは1つダイスを振って6が出たら失敗ね」 プレイヤー「(ころころ)2だったので成功です」
(例2)GM「3つダイスを振って合計が10以上だったら成功でいいよ」 プレイヤー「(ころころ)2と2と3だったので失敗です」
(例3)GM「2つダイスを振って2と5が出たら気絶した人への回復魔法が発動したことにしよう」 プレイヤー「(ころころ)2は出たけど、5は出ませんでした」 GM「じゃあ傷は癒えないけど、目を覚ましたということで」

 などなど、GMが提案するその場のノリと勢い、プレイヤーが全部ダイスによる運任せで進んでおりました。

 スタンダードRPGシステムのように「難易度の平均は、易しい行為なら6。難しい行為なら12」といった指針も無かったため、ただひたすら運頼りです。
 第3話セッションで失敗だらけだったのは、当然と言えば当然かもしれません。
 GMはそんな中で、令呪ルール(束縛は強いが絶対成功させる)と同じように、
「ドラマ性を高めつつ判定を成功させる手段」を確立させたのでした。
 ※なお当初は名前が定まっておらず、「逆転運命」とか「世界創造」とか「世界操作」と呼ばれていましたが、
のちの『AW』で全て[世界遣い]の主特技名に採用されてしまったため、このリプレイでは名称を『逆転世界』と改めて掲載しております。

GM/ということで、ドリス……この『逆転世界』ルールを使いますか?
ドリス/使いません。
オーウェル/使わないの!?
ドリス/だ、だって……大切なもの、オレ……「家族」にしちゃったもん。1回目使っちゃったら……家族が誘拐されたり傷付くってことだし……?
トンプソン/あっ、確かに。
ユーキ/にゃー。
ジーク/だよなー。多分ドリスが誘拐されそうになっているのって、俺達が全員人外種族だからどのPCを狙っても敵の思惑通りだからだよな。でもってドリスの家族なんだから、もちろん人外な訳で……。
ドリス/オレは比較的人間に近い種族だけど、でもここでオレが成功させたら家族の兄さんが誘拐されることになりそうだし……なら大人しくここで失敗します。
GM/そ、そっかー……そっかー(笑) ではドリスは突如現れた黒服の男達に羽交い絞めにされ、何か布によって口に覆われ、車の中に押し込められ……。
トンプソン/待って。そんなことしてたらドザニコフが抵抗して助けるとかするだろ!?
ジーク/そうだ! 丸いものを見せよう! ドザニコフが暴れて男達をとっちめるかもしれない!
ユーキ/にゃー!
GM/ドラニコフなら興奮して暴れるかもしれないがドザニコフだからな。……とはいえ、ドザニコフは結構ドリスに懐いているし助けてもらえるかもしれない。【幸運】判定で難易度11に成功したらOKとするよ。
ドリス/【幸運】!(ころころ)……うっ、達成値10。さっき出ていれば成功したのに……。
GM/ドザニコフはポコスカと男達の足元でジタバタしている。が、男達を止める力には及ばない……残念だ。
ジーク/もう1人いるだろ?
トンプソン/留守番していた奴が助ける!
GM/そ、それは難しいかな……だけど【幸運】判定してもらおう。難易度は一番難しくて13で!
ドリス/(ころころ)お……おおおっ!? クリティカ……ルはしないけど、達成値13ピッタリで成功!
オーウェル/すげぇ!? 成功した!(笑)
GM/おおお! これは熱い!(笑) 突如、ドリスを誘拐しようとしていた男達の体が燃え始める。
ドリス/えっ!?
GM/突然炎に襲われて、あまりの熱さで逃げ出す男達。車も炎上する。そこらに居た奴が全部燃えるから。
オーウェル/……大事件になるんじゃね? 町に大火災とか起きないか?(笑)
GM/(←深いところまで考えてないGM)え、えーと……その車はワープする車だったんだ! なのでワープした連中が居なくなったことで町は無事!(笑)
サブGM/……それによってドリスも無事になるんだが、背後の道端で倒れている何者かがいる。令呪によって「人間を襲うな」と命令されたので男達を燃やした魔族の男が、心臓を抑えて過呼吸になって苦しんでいる。死ぬより苦しい霊的な束縛で苦しんでいるようだ。
ドリス/ああああっ!? お、オレをこっそり追いかけてきて……助けてくれたから……!?
トンプソン/こいつ、炎使いだったんだ?
GM/今、決めた。……だってこいつの設定何一つ考えてないからな! まさか前回のセッションで助かるとは思わなかったし! 「赤いの」って言ってたから炎を操っただけだからな!(笑)
ドリス/か、回復! 回復させてください……!
サブGM/回復はできない。胸に刻まれた令呪の刺青が「規則を守らなかった」という罰則を与えてるだけだから。……っていう「令呪を破るとどんなことになるか」シーンがやりたかった。
GM/でも……家を出てすぐのところで誘拐されたので、すぐ自宅に戻って看病はできることにしよう。
トンプソン/これにはドザニコフも感激。もうガブって噛んでも怒らないでやろうと決めたドザニコフであった。
ユーキ/にゃー。よしよし。
トンプソン/ドザニコフが家まで運んでいく! ベッドまで連れて行ってやる! そして撫でる!
GM/あ、思いついたからもう一つ。……令呪の束縛を破って苦しんでいた男を、ドザニコフが丸い手でよしよしと撫でてあげる。するとゼエゼエと苦しんで蒼白だった男の顔色が、少しずつ和らいでいった。
ドリス/……あれ? もしかしてドザニコフ、ジークさんみたいに回復魔法が使えるの?
GM/「ガウゥ〜」 頷くようなドザニコフに撫でられていた男は、何とか落ち着いていった。全快まではしないけど激痛は収まり、眠れるようになる。
ドリス/……良かった……。ありがとうドザニコフって頭を撫でます。助けてくれた彼にも……ありがとうって赤髪を撫でておきます。
GM/「ガウ〜!」 ……思ったより長いシーンになっちゃったな。GM側は「2人目の誘拐」が成功しなかったので、ラストバトルでパワーダウンします。ここで2人目のPCまで捕われると敵が強くなるというルールでした。
ジーク/助かったー! ……『逆転世界』ルールは面白いからそのうち使おうー!


 ●ミドルフェイズ5/ジーク 〜ジョーカーのイベント〜

ジーク/うおっ、ついに来たジョーカーのペア! GM、ジョーカーを引いたよー!
GM/おめでとう、しかも引いたのはジークか! ピッタリのイベントシーンをご用意してあるぞ……という訳で、ジークは捕らえられた実験室でどうしてた?
ジーク/かっぱ海老せん食べてた。
GM/だな(一同笑) 逃げようとか逃げ出す手段を考えようとかいう意思が全然感じられない。そんなジークのもとに、部屋の外からカツカツと足音が近寄ってくる。
ジーク/お、誰か来た。
トンプソン/変態親父? 変態親父っ?(笑)
GM/お前は「変態親父」って言いたいだけだろ(笑) 扉を開けたのは1人……マーティという男だ。
ジーク/マーティ。あんたって何人? 俺はドイツ人!
GM/まず第一声がそれ!?(一同笑) 「マーティっていうのは仕事上のコードネームだ。俺は日本人だ」 ちなみにスウィフトもハンターとしての通り名として使っているだけで、日本人らしい本名があるぞ。
ジーク/えー、そうなんだ。じゃあ本名を教えてよ! お近づきのしるしってやつでさ。
GM/「……教えたところで何になるっていうんだ。俺に何の得がある」
ジーク/真の名前を教わったら本物の陰陽術で呪い殺せる!
GM/「余計に教える訳にはいかないなぁ!?」(一同爆笑)
オーウェル/何故それを堂々と敵に言った!?(笑)
ジーク/冗談だって。だって俺、回復系よ。陰陽術で殺せることなんてできないよー。本場の陰陽師じゃないしー! 日本の暗殺魔法ってスゲーよなー!
ユーキ/陰陽師は暗殺術を使わないと思う。
トンプソン/ユーキがまさかの「にゃー」以外の反論をするレベル……。
GM/ぜ、全力でツッコミをしたくなるレベルだった……(笑) マーティは扉を開けるが、部屋に入ってくる様子は無い。入口で寄りかかってジークを無愛想に見ているだけだ。
ジーク/なになに? どうした?
GM/「……ここにいるお前ら人外は、人間様の使う人造兵器として生まれ変わることになった。儀式が正式決定したからな、今夜にでもお前らは新たな生を受けることになる」
ジーク/ほほう、説明ありがとう。あれか? 硲村でやっていたギガースの核にされちゃうのかな、俺?
GM/「……やはりお前は硲村に入り込んでいたという連中の一人だったか。そのこともよく知っているな」
ジーク/マーティも俺のこと、よく知ってるね?
GM/「調べたんだ。……硲村研究所に設置されていた魔術監視カメラに映っていたからな」 硲村研究所というのは、トンプソンやユーキが寝ていた学校を改造したあの施設のことだ。
ユーキ/にゃー。
ジーク/見ていたんだ。……でもあの村、ミサイルで燃やされたんじゃなかったっけ?
GM/「カメラは燃えたが、カメラから送られていたデータはあったからな。……俺もあの村に居た。お前とは会ってないが暴力的な人外と応戦しながら、探し物をしていたんだよ」 腕組みをして話しているマーティだが、その腕には……大きな傷痕がある。歯型もあるな。
トンプソン/あ、もしかして……俺が食った男!
GM/そう、マーティはトンプソンによって噛みつかれた槍の男だ。マーティはジーク達と同じように硲村である物を探していた。
ジーク/ある物……オネ?
GM/……そしてそのオネを、捕獲した。
ジーク/俺達が村から脱出している間に逃げちゃった王ドザを捕獲できたんだ。そっちはミッション成功したんだね!
オーウェル/で、ミッション成功して……その後に。
ジーク/次にしていることが、またギガース作り?
GM/「……驚異の魔力を持つ自立型アーティファクトを入手できた上司達は、更なる魔道具開発を進めていった。オネという変な生き物1つで、膨大な量の魔力を確保できたらしい。だから今は実験も儀式もやりたい放題なんだと」
トンプソン/王ドザ、すげーな。
ユーキ/にゃー。
ジーク/オネをゲットできて嬉しいから……いっぱい人外を誘拐して大実験開催ってことかな? 判るー、あったら使いたくなるよねー。
GM/「…………」 軽いジークのジョークに、マーティは眉間に皺を寄せながら腕組みして聞いている。【理知】での交渉判定、【意志】での説得判定、そして【幸運】で……3回の判定に成功すれば、マーティの行動が変わるかもしれない。難易度は全部10だ。
ジーク/【理知】いくよ。(ころころ)はい、10成功。
ドリス/ぴ、ピッタリギリギリ……!
ジーク/次は【意志】だね。うん、これも10で成功。
オーウェル/よしっ。
ジーク/最後の【幸運】。(ころころ)お、これは高い。達成値12で成功だ。3回全部成功!
トンプソン/やるぅ!
ユーキ/にゃー。
ジーク/交渉と説得をするんだっけ? じゃあこう言うかな。探し物は得意そうな顔だけど、拉致誘拐人体実験は苦手そうな顔だね? 可哀想に〜。
GM/「……そんなの、好き好んでやる奴がいるかよ。上司からの命令が無きゃやらねーよ」
ジーク/いやー、そういうの好きな人はいるっぽいよ。オネを使って魔力いっぱいで儀式をやろうと考えた研究者とか、家族を襲って子供をやっちゃう変態親父とか?
GM/「ああ、いる。確かにいたな。……気に入らねぇ」
オーウェル/あ……こいつ、良い奴だ(笑)
トンプソン/仕事だから仕方なくやってるって感じの傭兵っぽいな。
GM/「俺だって人外は気持ち悪い、人間以外の生き物がうろついているなんて気味悪い。……なんで人間語を話すんだよ、異星人語でも話せばこんな……クソ」 そんな一方的な悪口を言って、マーティは部屋を出て行く。閉まっていく扉。だけどマーティが立っていた所に、意図的に落とされたのか……何かを発見する。ジークの首輪を解除する鍵と、実験室の扉の鍵だ。
オーウェル/おおおーっ!? 2つも!?
ジーク/まず首輪を解除するよー! やったー! ……他の子達には使える?
GM/残念ながら使えない。だけどこれでジークはここから逃げても危険な目には遭わなくて済むだろう。
ジーク/ですよねー。でもって扉の鍵も開けちゃう! はー、ありがとなマーティさーん。後で本当の名前、教えてくれよー! ガチャリンコ、オープン・ザ・ドアー!
オーウェル/せめて周囲に見張りがいるかどうかぐらいは確認しろ!(笑)

 そうしてこうして、神経衰弱は進んでいき……結果が発表された。
 1位:ドリス→6セット(12枚) ハートのペアをゲット。
 2位:ジーク→5セット(10枚) ジョーカーとダイヤのペアをゲット。同着がいたが、イベントカードが2つあったので2位に繰り上げ。
 3位:トンプソン→5セット(10枚) クローバーのペアをゲット。同着がいたが、イベントカードが1つだったので3位になる。
 4位:GM→5セット(10枚) 同着がいたが、イベントカードが0枚なので優先度は低く4位にランクダウン。
 5位:オーウェル→4セット(8枚) スペードのペアをゲット。
 6位:ユーキ→2セット(4枚)


GM/1位は6セットも取ったドリスだ! おめでとう。そんなドリスにはチョコパイをあげよう。
ドリス/ありがとうございます! チョコパイは好きだけど彼にあげます。
GM/えっ(←リアルでチョコパイをプレイヤーにあげようとしていたGM)
ドリス/えっ(←シナリオ内でドリスの頭の上にチョコパイが降ってくるものだと思っていたプレイヤー)

 1位ドリス:最善の状態で戦闘に突入。戦闘開始直後に好きな場所を決定し、任意のエンゲージからスタートできる。お菓子もプレゼント。
 2位ジーク:最善の状態で戦闘に突入。1位と同様に任意のエンゲージからスタートできる。

 3位トンプソン:【HP】と【MP】にそれぞれ1D6点のダメージを受ける。
 4位GM:【HP】と【MP】にそれぞれ2D6点のダメージを受ける。
 5位オーウェル:【HP】と【MP】にそれぞれ3D6点のダメージを受ける。ランダムで特技1つが使用不可になる。
 6位ユーキ:【HP】と【MP】にそれぞれ3D6点のダメージを受ける。ランダムで特技1つが使用不可になる。大事なものを失う。


GM/さて、3〜6位の面々は探しに探しまくった結果……負傷をしてしまう! 全員受けてしまうダメージロールをどうぞ。
トンプソン/1D6ダメージだ。(ころころ)3点削れた。いってぇー、コケた!
GM/2D6だけラスボスが負傷っと……。(ころころ)8点ダメージか。そこそこだな。
オーウェル/(ころころ)よし! 1と2と1! 4点しか受けてない!
ユーキ/にゃー。(ころころ)13点。にゃー!?
GM/オーウェルは掠り傷程度だが、ユーキはわりと大ダメージだったな。次にオーウェルとユーキは何の特技が使えなくなるか決めてくれ。
オーウェル/(ころころ)≪殺法:麻痺≫が使えなくなった……せっかく覚えたのに。
ユーキ/にゃー……(ころころ)≪お守り≫……ふにゃー。
GM/さらに、ユーキは大事なものを失う。「逆転世界」が発生してしまう。さて、ユーキの大事なものは……。
ユーキ/しっぽ。
GM/…………。
ユーキ/しっぽ。
GM/ユーキの尻尾が爆発しました。
ユーキ/じゅどーん。
トンプソン/猫の尻尾がぁー!?(一同爆笑)
ジーク/大丈夫だよ、人外だからそのうち生えてくる。
GM/ジークの中にある人外像、強すぎねぇ!?(笑) え、えーと……命には別条は無いけどペナルティのロールとして「平衡感覚がおかしくなる」ようになった、とか、そういう代償にしておこう!
ユーキ/にゃー。……ふらふら……。
ドリス/ユーキが……尻尾の短い猫になった……(笑)
GM/それともう一つ。1位の人がジークが監禁されていた建物はどこか発見するということになるんだけど……。ドリスが自宅に戻っちゃったんだよね(一同笑)
オーウェル/自宅から出てすぐ戻ったから、町中を徘徊してない!(笑)
ドリス/あ、じゃあ……オレを誘拐しようとして取っ組み合いをしたときに相手が着けていたバッジを引き千切ったとか、そこがとあるオフィスビルの社員証だったとかどうだろう?
ジーク/おお、それカッコイイ! 外から見たら普通のサラリーマンが行くようなビルっぽかったのに、中は実験施設だったってやつ!
GM/それでいこう! ドリスはいち早くそれに気付き、ドザニコフ達を使ってみんなに連絡し……そのオフィスビルに向かうのだった!
ドリス/ベッドで落ち着いた彼を寝かせた後に、こっそり外に出て行くよー……!


 ●ミドルフェイズ6/謎の研究所

サブGM/ねえ、ジークが誘拐されたっていうオフィスビルに来た訳だけど……どうやって入るつもりなの?
トンプソン/ドーンって入る!
ジーク/それ! 車でドーンって入口から突っ込んでくるのが派手で良いんじゃない!? 雨が降ってたのが上がって、良い天気になって、そこで派手にドーンって!
オーウェル/誰がその車を用意して運転するんだよ。
GM/車を用意してドーンと会社に突っ込んだ君達だが。
オーウェル/有言実行された!?(笑)
GM/もちろん車で建物に突っ込んでくれば警備員が「な、なんだ貴様らは!?」と止めに掛かってくる。
ドリス/そりゃそうだよね……(笑)
トンプソン/おう! なんだ貴様らはだって!? 俺達は、何だ!?
ユーキ/にゃー。……ふらふら……。
GM/あ、ユーキがふらふらしてる(笑) 警備員達は銃で応戦するのではなく、剣とか槍とか斧を取り出して魔法をブチかまして応戦してきます。
オーウェル/おいっ!? 思いっきり能力者じゃねーか!?
GM/そう、彼らは思いっきり能力者だ。一般人の警備員が拳銃で「止まれー!」ってするんじゃなくて、「邪魔者は死んでもらおう! これから行なわれる儀式の邪魔だ!」と襲撃してくる。
ジーク/はえーな、おい!(笑)
ドリス/儀式……このオフィスにジークさんが捕らわれているのが当たりだってことだ……。
トンプソン/うっしゃー! ジークを返してもらうぞー! 襲ってくる奴みんな食ってやる!
ユーキ/にゃー。……ふらふらふら……。
GM/ユーキが真っ直ぐ立っていられなくなっている(笑) では大勢の警備員達が君達に襲いかかってくる訳だが……そこにある声がフロア全体に響き渡る。
オーウェル/ある声?
GM/ヒーッヒッヒッヒッヒィー! 実験動物となる化け物どもが易々とやって来るとはぁ! 飛んで火にいる(台詞が終わる前に一同爆笑)っておおい!? まだ言い終わってねーぞぉ!?(笑)
トンプソン/絶対こいつ小物だぁー!(一同笑)
GM/小物なんて失礼な。私はドクターT! どっかの会社にカモフラージュをして研究所の所長をしているマッドサイエンティスト(やっぱり台詞が終わる前に一同爆笑)なんですけどもうちょっと笑うの待ってくれませんかねぇ!?(笑)
ジーク/ドクターTってどんな外見してる?
GM/眼鏡でツルッパゲの白衣の科学者。
オーウェル/ど、ドクターTだと……! Tって何だ!?(笑)
トンプソン/ドクターTのTは、正しい実験を行なうのT!
ユーキ/本名は高橋 正(たかはし・ただし)。
GM/じゃあそれで!(一同爆笑) 「私の本名を知った貴様らを生かしてはおけん! 死ねぇーい!」
オーウェル/いやっ! それは言いがかりが過ぎねぇ!?(笑)
GM/サブGM、なんかカッコイイこと言わせてくれ。
サブGM/「つべこべ言わず敵は死ねぇーい!」(一同爆笑)
ドリス/(爆笑しながら)えっと……ドクターTって直接オレ達に襲い掛かってくるの?
GM/ううん、ドクターTはポチッと手元のスイッチを押す。ポチッ。
トンプソン/あっ。
ユーキ/にゃっ。
GM/ポチッの結果を言う前に、ちょっとシーンを変えよう。ジークが捕らえられた実験室のシーンだ。ジークは一方その頃……鍵を使って首輪を外していたとき、トンプソンが運転する車で建物ドーンした衝撃に気付く。
トンプソン/俺は運転免許無いからユーキが運転しました。
ユーキ/にゃー。ふらふら。アクセルギュイイイインドゴオオオオオオオオオオオン!(一同笑)
ジーク/大事故だー!?(笑) ユーキって勢い良い運転するよね!? あっ、この音はきっとみんなが助けに来てくれた音だな! きっとそうだ! みんな凄いなー!
GM/ジークが揺れる建物に安心しているとき、そしてドクターTが「ポチッ」と何かのスイッチを押した瞬間。実験室に、ケーブルに繋がれ台に寝かされた人々の首輪が光り、台の下の魔術式が発動し始める。
ジーク/おっ? おおっと?
GM/眠っていた人外達は一斉に苦しみ始める。みんな……何かの儀式によって生命力が、魔力が、全部の力が吸い取られていく苦しみに、もがく。だがしかし、首輪を外した後のジークは吸い取られはしない。ジーク1人だけ苦しくない。
トンプソン/ジークは助かった。
ジーク/他の子達の首輪を外してあげようとするけど!?
GM/手持ちの鍵はジークの首輪を外すだけで、他の人外達を救うことはできない。
ジーク/うわぁ。
GM/その間にも周囲の人外達は泡を吹いて苦しんだり、血の涙を流して苦しんだり、助けてと悲鳴を上げて苦しんだりしている。
オーウェル/ひでぇ……その状況を俺は見てないけど見たら、怒り狂う。
ドリス/……これ、吸い取られるってことは……どこかに行くんだよね?
GM/ああ。大勢の生命力や魔力は……ドクターTの後ろに控える3メートルぐらいの禍々しい巨人に全て蓄えられていく。
オーウェル/……ギガース!
トンプソン/そのギガース、やっぱり核になっている人外がいるんだよな? ……きっとあの子だな! 魔法で殺されかけたけど連れて行かれた女の子!
GM/あ、その通りだよ。今まさに女の子がギガースの肉コクピットに押し込められて、既に体が中身に一体化している。
ドリス/……肉コクピット……。
GM/機械じゃなくてブヨブヨした赤い肉まみれのコクピットで……無理矢理に科学者達によって押し込められた女の子も「助けてー!」って声を上げようとするけど……。
トンプソン/どんどんと送り込まれる魔力とタコ触手で押し潰されていって……。
サブGM/足も手もギガースの体の一部となって完全に一体化して……口の中にまで肉が入り込んできて……。
ジーク/「意識のあるうちに私を殺して!」とか言うやつ……。
オーウェル/お前ら、そういうの大好きだな?
GMサブGMトンプソン/うん好き。
ユーキ/わりと好き。にゃー。
ジーク/弁解するけど俺はそうでもない(笑)
ドリス/可哀想……可哀想だよぉ……(笑)
GM/話を戻すけど、ドクターTは「おおお! 人外どもの魔力がギガースに集まっておる! 実験は成功だ! ギガースはギガース・マーク2へと変化する!」と大興奮。
オーウェル/ギガース・マーク2……だと!?
トンプソン/なんか滅茶苦茶ダサイけど、なんかヤバイものが完成してるのは判った! ドクターTが滅茶苦茶ダサイけどな!
サブGM/最初から「ギガース・ゼータ」とか言わないだけ好感度が持てる。
GM&ユーキ/確かに。
オーウェル/そ、そういうものか……?(笑)
GM/あ、そろそろジークは実験室を鍵で開いて飛び出してこっち来ていいよ。「さあ! そして最後の仕上げだ! ギガース・マーク2よ! 更なる魔力を引き出し、真の力を見せてみろ! ヒーッヒッヒッヒ!」 ゴゴゴゴゴ、待機していたギガースが動き出し、オーウェル達に襲いかかっていく……。
オーウェル/おおおお……!?
トンプソン/ドクターTすげー!(笑)
ジーク/すぐ俺もそこに駆けつけるよ! わー!? みんな凄いもんと対峙してるー!? 俺も混ーぜーてー!(笑)
サブGM/と思ったときだった。それを見ていたある人物が、「これだけでは足りないな」と呟いた。
GM/その瞬間、BGMが全部停止したような静けさが走る。
ドリス/えっ?
ユーキ/にゃー?
オーウェル/……誰の台詞だ?

 サブGM/いつの間にか周囲を見渡していた、人間とは思えないオレンジ色の髪をした人物だ。

ジーク/人間とは思えない……まあ、ここに居る殆ど全員が人外キャラなんだけど。例の怖いあいつ?
GM/そう。人外なんてギガースを動かすための部品程度にしか思っていないドクターTだが、その人物に対しては何故か態度が違った。「な、何が足りないと言うのでしょう……? 数十人という生贄! ギガースの核には相応しい天使の女! そして貴方という力の協力があって全てが完成した! 完璧な兵器となったギガース・マーク2に何も足りないものは……」
トンプソン/ドクターTが!? あのドクターTが! ドクターTこと高橋正さんが焦っている!?
オーウェル/お前「ドクターT」って言いたいだけだろ!?(一同笑)
ジーク/判る、「ドクターT」って声に出して読みたい日本語だもん(笑)
サブGM/……オレンジ色の髪の人物は、口元に笑みを浮かべ「ああ、君達の組織が現在造れる中では完璧な兵器だろうな……」とドクターTを褒め称えはする。だが、その声は目と同じく、冷酷そのもの。一身に冷たい声の矛先となったドクターTは震え上がり、それを聞いてしまったPC達も「ゾワッ!」という恐怖心を抱いてしまう。
ジーク/ぞわっ。
トンプソン/うわっ、まただ!
ドリス/怖いっ……!
オーウェル/な、なんだあいつ……。
ユーキ/ふら……ふら……。
GM/(ドクターTになって)「じゃあ、何が足りないと!? こいつらを全員殺せるだけの完璧な兵器を造り出したというのに何が足りない!?」 完璧主義のマッドサイエンティストことドクターTは、オレンジ色のそいつを恐れながらも興奮して声を荒げる。
サブGM/(謎の男になって)「全員殺せるだろう。圧倒的な火力でここにいる全員を殺してしまうだろう。それでは、ゲームとしてつまらない」
GM/「はぁ?」
サブGM/「力は貸してやると言った。貸してやる代わりに『我らを楽しませてみせろ』と言ったよな。圧倒的なレベル差ではドクターT、お前が勝ってしまう。俺はそんなもんじゃなくて……『どっちが勝つか負けるか判らない、ハラハラとしたゲーム感覚』を楽しみたいんだよ」
オーウェル/はぁ? ……なんだこいつら、仲間割れか?
サブGM/どう見ても仲間割れだね。オレンジ色のそいつは、ギガースに向かって「ドクターTは、戦闘能力が無いから一発殴るとどうなると思う?」と……体の芯まで溶け込むような声で話し掛ける。
ジーク/あ、ドクターTって弱いんだ。
GM/それを聞いたギガースの核の女の子は、自分をこんな目に遭わせた科学者憎しでギガースの巨大な拳を振り上げ、ドクターTを叩き潰して殺した。
オーウェル/あっ。
ドリス/えっ。
ジーク/死んっ……。
トンプソン/死んだぁあああー!? ドクターTが! なんかラスボスくさかったドクターTが死んだぁー!?(笑)
ユーキ/合掌。
トンプソン/ドクターTだって良い奴だったのに何てことをぉーっ!? てめえ許さんっ!
GM/トプさんのドクターTに対する好感度の高さは何だよ!?(一同笑) ドクターTを叩き潰した巨大な拳は、ドクターTが持っていたスイッチのあるリモコンとか全てを破壊する。その結果、ギガースは止められないぐらい滅茶苦茶な暴走を始める。辺り一面を破壊し始め、周囲の警備員達にまで襲い掛かる。
オーウェル/え……ええええっ!?
ドリス/さ、最悪な状況になってる……!?
サブGM/しかしその暴走はあまりに滅茶苦茶なもの。隙もありまくりで、頑張れば止められそうに見える。「完璧な兵器」とは程遠いものになっていた。それを見たオレンジ髪の人物は……。
ユーキ/……嗤ってる?
サブGM/そう。楽しそうに、悲痛で滅茶苦茶で止め甲斐のある破壊の限りの暴走を楽しそうに眺めていた。
オーウェル/お、おい……! 何なんだよお前!? さすがにこれには男に剣を向けるぞ……!
サブGM/「いやなに、あのロボットのレベルダウンをしてあげたんだよ。これなら君達も勝てるだろう? さっきまでの状態では君達は殺されるだけになるところだったからな」
ジーク/ありがとう!
オーウェル/ありがとう! ……じゃなくて!(笑) 何が目的だよ!? ……ドクターTに協力を、していたんだろ!?
サブGM/「協力をしていたさ。翻弄して暴走する人間を見るのは楽しかったからね。何が目的だと言ったか? ……俺達の目的は、『世界を崩壊させること』。そのゲームを俺達の勝利で終わらせること。それに尽きるな」
オーウェル/……ゲーム?
ドリス/世界……崩壊……?
ジーク/ひゃあ、なんかスケールでっかい野望の持ち主だね! お兄さん……だよね? お兄さん何者? お名前は何て言うのー?
トンプソン/真名を言ったら陰陽術で呪われるぞ。
ジーク/なんか強そうな人を呪い殺せる陰陽術なんて使えないよー! 俺、回復系だしー! でも真名教えてー! その方が仲良くなれるよ!
GM/ジークはどうしたいんだよ(笑) じゃあ、それを聞いた奴は……。
サブGM/カッ。一面が光に包まれる。閉じた瞼を開いた先には、オレンジ色で赤い服を着て「アチョーッ!」って言いそうな猫型ロボットがいた。
ドリス/えっ。
オーウェル/……わ、王ドザ!?
サブGM/カッとまた一面が光に包まれる。次に瞬きした先に居たのは……さっきのオレンジ色の髪の男だ。「今までは『王ドザ』という器の名前で通していたが……わざわざ神と仲良くだなんて言うなんて珍しい。教えてあげようかな。俺の名前は、ユウメイイスタディオ。この世界を滅ぼすゲームに興じている八柱の一つさ」
トンプソン/は? ユウ……なんだってぇ?
サブGM/ユウメイイスタディオ。「神である以上、堕天するためには小さな器にならなければ行動が出来ない。そこで二足歩行する猫のような形になれば怪しまれず堕天できると思った……が、ドクターTが王ドザ相手では話しずらいと言うのでな……今はこんな人間と同じ姿をさせてもらっている」
トンプソン/ドクターT、やるじゃん。
ドリス/でも……王ドザとお話する方が、可愛い(笑) えっと、「神である以上」……って、神……?
サブGM/「そう、神。この世界を滅ぼすゲームで遊んでいる神だ」
ジーク/へー、神様。ここ人外ばっかだから神様ぐらいいてもおかしくないよねー?
トンプソン/だな。
ユーキ/にゃー。
GM/……おっ、挑発してるな?
サブGM/挑発してるね。
ジーク/だって、いきなり神様って言われてもねぇー?(笑)
オーウェル/しかも王ドザだし。
ドリス/……ドザニコフ達も神様だったの?
GM/なんか信じられてないね。
サブGM/信じてもらえてないね。「そうかい。……敬わないのは、悪いことだと思うよ?」 オレンジ色の髪の男は、カッと光り始める。また王ドザに変身するのか……と思ったが、違った。
ジーク/違った?
サブGM/違ったよ。全長1キロメートルぐらいある炎の鳥に変身して『真の、神である姿』を見せつけた。
ジーク/うわ、炎の鳥だ!
トンプソン/かっけぇ!
オーウェル/……1キロ?
ドリス/……1キロ……?
ジーク/でかくね?
サブGM/いや、だいぶ出力を落とした姿なので超小さい。本来の『光を操り、全人類の生殺権を握るほど生命の扱いにうまい不死鳥ユウメイイスタディオ』という巨大な悪は、その何倍もの姿をしている。それが君達の目の前に現れた。
オーウェル/……1キロメートルの?
トンプソン/どうやって?
GM/そりゃもう……ビルをメキメキメキメキバァーンして、ゴゴゴゴゴゴと崩して、ビルが崩れたと思ったらバサーッて翼を羽ばたかせてこの町の空一面を真っ赤な炎の空にするぐらいだ。
ジーク/なんかすげぇ。
トンプソン/なんかすげぇとしか言えない。
GM/そう、なんか凄い。という訳で、崩れゆくビルから脱出する【体力】判定と瓦礫に押し潰されないようにする【反射】判定と炎に焼かれないように逃げる【知覚】判定と恐怖心に立ち向かえるかの【意志】判定と周囲の一般人達をどれくらい助けられるかの【幸運】判定をするぞ。
一同/えええええええーっ!?(笑)

 それぞれの判定は、PC5人中3人が成功したら問題無かったことに。
 過半数が失敗したらダメージなどペナルティが入るものとする。難易度は全て10で統一。

▼1回目:崩れゆくビルから脱出する【体力】判定
 ドリス以外全員成功。ドリスのみ1D6→5点の【HP】ダメージを受ける。
▼2回目:瓦礫に押し潰されないように素早く逃げる【反射】判定
 5人全員成功。
▼3回目:巻き上がる炎に焼かれないように逃亡する【知覚】判定
 オーウェル以外全員成功。オーウェルのみ1D6→5点の【HP】ダメージを受ける。
▼4回目:絶体絶命という状況で死ぬかもしれない恐怖心と立ち向かえるかの【意志】判定
 トンプソン以外全員成功。トンプソンのみ1D6→1点の【MP】ダメージを受ける。
▼5回目:ビルの周囲にいた一般人達をどれくらい助けられるかの【幸運】判定
 ユーキ以外全員成功……。


GM/ユーキは【幸運】判定に失敗したな? じゃあ1D6振ってくれ。
オーウェル/【HP】ダメージや【MP】ダメージみたいに1D6減少か?
ユーキ/にゃー。(ころころ)3。
GM/300人の被害者が出ました。
オーウェル/はあああぁ!?(笑)
ドリス/他の人が失敗してたら……1D6×100人の被害者が増えていたってこと!?(笑)
トンプソン/被害、出過ぎだろ!?(笑)
ユーキ/にゃー。
GM/でもビル倒壊と……全長2キロメートルの炎の鳥が翼を羽ばたかせたのだから、もちろん空からは……。
ジーク/……炎の雨が降ってくる!?
GM/そう、日中ということで外に出ている人も多かった。だから突然の炎の雨に打たれた死傷者が約300人だ。もちろん炎の雨が直撃で300人というのではなく……。
オーウェル/……炎が色んな建物に燃え広がったとか?
GM/そう、それ。
ドリス/う、うえ……! 大惨事すぎる……!?
GM/そんな大惨事な中でもジタバタと暴れているものがいる。レベルダウンしたというギガースが、隙のある動きで暴走中だ。至る所を破壊しながら町中を闊歩しようとしていくよ。
オーウェル/ヤバイのが残っていた!
ドリス/ぎ、ギガースを止めなきゃ……みんな助けなきゃ!
トンプソン/みんなは無理だろ。寝ながら生命力を吸われた奴らは瓦礫の下だし。しかもこの間も上では炎の鳥が……。
ユーキ/地獄。
ジーク/ぎゃー、なんだこりゃー!?(笑)

 神経衰弱ゲームの順位によって決定した報酬によって、暴走するギガースから距離を取ったり距離を詰めたりする一同。
 すでに【HP】も【MP】の半減状態の中、ギガースとの戦闘は始まった。

ジーク/まずはみんなを回復しなきゃ! ≪清浄の使者≫で……。
GM/いや、ギガースが早い。全員を対象にした無作為ビームを撃つ。
ユーキ/にゃー。
トンプソン/わー。……って、ユーキがほぼ死にかけなんだけど!? 「にゃー」って言ってる場合じゃないぐらい【HP】もみんな減ってるんだけど!(笑)
ユーキ/にゃー。ふらふら。にゃー。

 神経衰弱ゲームによるペナルティは途轍もなく重かった。それに加えて先ほどの崩落ビル脱出のペナルティも重し圧し掛かってくる。

オーウェル/ギガースに近寄って、≪戦乙女の知恵≫+≪片手武器≫の攻撃!(ころころ)命中は15で当たったな、≪殺界≫を使用!(ころころ)…………。
ジーク/うわ、見事に1と2しか出てない。
トンプソン/俺も行くぞー! ≪殺戮の身体≫に≪特攻≫を使ってダメージロールだぜー!(ころころ)よし出目が良い……ぐっはぁ死ぬぅっ!?
ジーク/≪特攻≫はダメージ高すぎると自分に跳ね返ってくからな!(笑)
GM/ギガースも攻撃するぞ。(ころころ)よし、ジークに当たった。
ドリス/≪影の軍勢≫でジークさんを庇う!(ころころ)1D6の3点だけ軽減する!
GM/はーい。(ころころ)それではドリスに……ブチリダメージ41点物理をドーン。
ドリス/うっ……【HP】は38点……。41マイナス3は、38点……。
オーウェル/だ、ダメだった!?
ドリス/……だけど、自前の【防御点】が1点あるので、【HP】1点で生き残ってます……ギリギリだ(笑)
ジーク/オーケーオーケー! 生きてたから俺が回復してあげるよー! 陰陽術パワーメイクアップ!
ユーキ/にゃー。…………ところでさ。
GM/なに?
ユーキ/ジークが手に入れた『イベントキー:緑のアクセサリー』は何の意味があるの?
GM/…………。
サブGM/……何の意味があるの?
オーウェル/サブGMも知らないのか。
サブGM/私は設定に口出しするのとマスタリングのサポートをするだけで、シナリオギミックまでは知らないから。
GM/…………。存在を忘れてた(笑) 四つ葉のクローバーイベントでラッキーな【幸運】判定に成功したキャラは「1シナリオに1回まで使える全回復アイテム」をゲットできるというアイテムだった!
ジーク/超便利なアイテムじゃん!?
トンプソン/忘れんなよ!?(笑)
ユーキ/にゃー!

 大波乱の先に待ち受けていたのは、やっぱり大波乱だった。

トンプソン/これで最後だ!(ころころ)物理ダメージ……20点!
GM/……その一撃を受けたギガースは、【HP】が0になる。ギガースの動きを止めることに成功したよ。どうやって倒す?
トンプソン/ギガースのコクピット部分を開けて、パイロットを≪食鬼≫でガブッ!
GM/中に取り込まれた『核となった人外』は、完全に中に密着して融合している。だけどトンプソンはそこをこじ開け、心臓が脈打つような胸を見つけることができ……。
トンプソン/胸に手刀でドスッ! 心臓を引き摺りだす! でもって、いただきまーす! ガブゥッ!
GM/その瞬間、ギガースは動きを止めた。……これでギガースとの戦闘終了だ!
ジーク/終わったぁ〜。
オーウェル/……いや、終わってない。
GM/うん、全然終わってない。頭上の空には、今も翼を羽ばたかせた炎の鳥がいる。
トンプソン/まだいるのかよ!? おーいヤキトリー!? 食べちゃうぞー!?
ユーキ/にゃー。
ドリス/ど、どうしてるんだ鳥は……?
GM/どうしてるって……何をしているという訳ではない。ただただ空に浮いている。それだけで空は炎になっている。そして風に飛んで炎が降ってくる。
ジーク/ありゃあ。これ300人じゃ被害は済まなそうだよ。
サブGM/そのとき、声がした。君達の頭上から……君達がギガースとギリギリの戦闘を見ていた声がする。「お見事! やはり捻り潰すだけの圧勝なんてゲームにならない、ギリギリの駆け引きが見ていて楽しいもんだ!」 その声は鳥から発せられていた。
オーウェル/……あいつ……。
トンプソン/だんだんこの声がムカついてきたぞ。
ユーキ/にゃー。
ジーク/じゃあ上を向いて大声出すね。……いつの間にゲームになっていたか知らないけどさー! 俺達ギガースとの戦闘に勝ったんだからさー! そろそろ下りてこないー!?
サブGM/「ああ、判ったよ」 そう言って炎の鳥は君達に近づいてきます。
ジーク/近づいてきた。
GM/近づいてきた。
サブGM/炎の鳥は君達に近づいてきます。
トンプソン/熱っ。
ドリス/熱いね。
サブGM/全長1キロメートルの炎が君達に近づいてきます。
オーウェル/…………。死ぬよ?
サブGM/うん、死ぬ。
トンプソン/死ぬわあああぁー!?(笑)
GM/そ、そのときだった! ……えーと、まずダイスで誰が助けてくれるか決める! 1が出たらエルマタドーザで2がドザニコフで3がドザザキットで4がドザメット3世!(ころころ)2が出たから、ドザニコフが声を掛ける!
ジーク/なんて!?
GM/「ガウウウウウゥウウゥゥゥ〜!」
トンプソン/なんて言ってるか全然判らねぇー!(一同爆笑)
サブGM/カッ! ドザニコフの体が光った!
オーウェル/うおっ!?

 サブGM/次の瞬間、ドザニコフが立っていた所に、マフラーっぽいマントを被った厚着をした青年が立っている!

ドリス/わっ、ドザニコフ……!?
ジーク/こいつもヒト型になった!(笑)
サブGM/ドザニコフだと思われる青年は、「ウズの中に逃げてー!」と叫び……炎が近寄ってくる絶体絶命なジーク達を虚空の中へ入れと言う。
トンプソン/あっ、俺が入れたワープゾーン!
ジーク/それだぁー! それを使ってここから一時撤退しよう!
オーウェル/は、入るぞ! 全員……ウズマキの中に入る!
ドリス/あ、ありがとう、ドザニコフ……!
ユーキ/にゃー。あちち。
GM/ドザニコフが誘ったウズマキの中に5人は入る。もちろんその中にはドザニコフも、残りのドザエモンズも全員入り込んだ。そして渦が巻いた異空間の入口がシュボッと縮まった瞬間……炎の鳥は激突した。
トンプソン/あっちぃー!?(笑)
GM/危機一髪。みんなは炎に呑み込まれることはなかった。
サブGM/あ、一応言っておくけど……別にあの炎の鳥はPC達に、多くの人々に危害を加える気でやったのではない。「空に上がったのも信用しなかったみんなに姿を見せて信じさせるため」「ただ空に浮かんで羽根を羽ばたかせただけ」「下りてきてと言ったらから下りただけ」。そこに悪意など無かった。
オーウェル/め、滅茶苦茶だ……!
ジーク/悪意が無くても熱くて死ぬもんは死ぬよー!
GM/……という訳で、後半に続く!