アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 アイビスパーティー 』 1ページ ■
2024年3月11日




 ●プリプレイ

GM/『狂った果実』『絶糸絶命』に続く3部作の完結編シナリオのハンドアウトを公開します。続投する縹さんが前回からレベルアップできるよう、開始レベルを8スタートにしました。
プレイヤー1・ピロ/ハンドアウトありがとうございます! 完結編だ〜!
プレイヤー4・しゅうら/なんか完結編って感慨深いですね。果たして縹さんはスケベな目に遭ってくれるのか……!


 アナザーワールドSRSシナリオ「アイビスパーティー」



【レギュレーション】
 キャラクターレベル8で開始。
 PC1とPC3は知り合い設定だと導入がスムーズ。PC2は1990年頃に死亡した能力者。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:連続爆破事件  関係:究明  推奨クラス:霊媒師or世界遣い

 君は連日爆破テロ事件を追いかけている。
 異能の爆弾による無差別殺傷事件を捜査する中、十数年前に置き捨てられた廃墟に辿り着いた。
 手がかりとなる物品、無惨な被害者の魂を発見した君は、凶悪犯から家族や仲間を守るため事件解明を決心した。
▼セカイのイベント:廃墟を訪れ、重要なものを発見する。
▼初期配布イベントキー:連続爆破事件

 異能により作られた爆弾によって人が殺される事件。
 通常の爆発物と違い、設置された対象は霊力の拘束具によって固定され、一般人では解くことができず、爆破される。呪いの拷問器具が使われた連続殺傷事件。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:異端犯罪者エンポニティス  関係:怨敵  推奨クラス:前線系

 君は1990年初頭に異端犯罪者エンポニティスを追いかけていた。
 そして異端犯罪者エンポニティスに捕まり、殺された。
 尊厳を破壊され、苦痛・絶望・怨恨で満たされた君は成仏できず、怨霊として目を覚ます。
 目を覚ました廃墟は自分が殺された現場だ。そこに居合わせたPC1、なんとかしてくれ!
(機関解体事件前に生きていた能力者となる。「教会のエージェントとして異端犯罪者を追った」「ハンターとして指名手配犯を捕縛しようとした」「機関の暗殺者として暗殺任務を受けた」など)
▼セカイのイベント:殺され、PC1の前に化けて出る。
▼コネクションNPC1:異端犯罪者エンポニティス

 1990年頃に異端テロリストとして指名手配犯されていた、元機関所属の魔術師。
 洗脳からの自爆テロ誘導、アーティファクト強奪など悪行に手を染め、君は討伐に出たが、返り討ちに遭った。
 君に負の感情で満たされる最悪の死を与えた。君の殺され方は自由。

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:芸術の友  関係:友愛  推奨クラス:後衛系

 君には仲が良い芸術家がいる。
 絵画や音楽が好きな友と平和な日々を過ごしていたが、友の家族が爆破された。
 友は震える体で必死に立ち直ろうとしている。それを見た君は、自分が出来ることを探す。
 ……異能による連続爆破事件を解決する。君はPC1と共に戦うことに決めた。
▼セカイのイベント:友のため、PC1に協力する。
▼コネクションNPC2:芸術の友

 芸術家。年齢は10〜20歳。ジャンルは絵画や音楽など。君と親しい仲。
 凄惨な事件を目にしたことで塞ぎこむこともあったが、それでも前に進もうと修行・レッスンを始めている。

【その他】
・英霊禁止。
・4人プレイの場合、ハンドアウト1〜3どれかを兼用する。
・PC2は怨霊(死んでいる。幽霊)設定だが、PC1と協力や契約したことで一時的に肉体を得て行動できるものとする。通常のPCと同じように運用可能。HP0→トドメを刺されると完全消滅。

 狂った果実、絶糸絶命に続く3部作の完結編です。
 独立したシナリオとして作ってありますが、異端犯罪者エンポニティスで分かると思います、前作前々作の繋がりがあります。
 PC1〜PC3からやりたいハンドアウトを教えてください(続投希望の縹さんはPC2以外がいいと思います。レベルも縹さんが+1レベルになれるようレベル8開始にしました)



プレイヤー1・ピロ/縹で参加希望なので、ハンドアウトは1を希望しますね。
プレイヤー2・マーサー/ど、どのハンドアウトもやりたい〜! ……PC2をやれば、ぼくがかんがえたさいきょうの尊厳陵辱死フィーチャリングむさしさまができる? 機関朱指の暗殺者設定にすれば放置された無惨な死体を頭領に発見されるのでは!?
プレイヤー3・ぷぇ/ハンドアウトにっこにっこしちゃいますやん、最高。
プレイヤー1・ピロ/PC2の「君の殺され方は自由」ってなかなか斬新な自由記述枠……。
プレイヤー4・しゅうら/私は予告通り、三田の末妹でキャラクターを作ろうと思います。
GM/もれなくスケベな目に遭ってほしいです。女の子だともれなくスケベで俺が小説を書きます。
プレイヤー2・マーサー/煩悩、素直すぎで草。
プレイヤー4・しゅうら/果たして三田家初のスケベ柱となれるのか期待が高まりますね。
プレイヤー1・ピロ/三田家は俺が守護るー!(笑)

プレイヤー1・ピロ/ハンドアウト:PC1を選択。
プレイヤー2・マーサー/ハンドアウト:PC2を選択。
プレイヤー3・ぷぇ/ハンドアウト:PC2を選択。
プレイヤー4・しゅうら/ハンドアウト:PC3を選択。

 鴨頭草 縹(プレイヤー名:ピロ)
 クラス:[感応力師3/霊媒師2/世界遣い3]
  体力:12(+4)  反射:12(+4)  知覚: 9(+3)
  理知:12(+4)  意志:13(+4)  幸運:16(+5)
  HP最大値:28   MP最大値:38   正気度:10
  分類1:人間(MP+4)
  使用命中値:12  回避値:8  行動値:13  物理防御点:0  霊力防御点:0
重要キーワード:一族(古川家の親戚)  背景:心強い相棒がいる  特徴:大屋敷に住んでいる
ライフパス特技:≪コネ:魔王の落とし子・1「古川財閥 古川家」≫≪コネ:魔王の落とし子・2「居酒屋さきがけ」≫  スキルウェポンのイメージ:煙草の火、ライターの火
職業:探偵  性別:男  年齢:55  身長:180cm  髪色:茅色  瞳色:金青色
 スキルウェポン→≪パイロキネシス≫
 感応力師→≪一心同体≫ ≪過去視≫ ≪バベルの唄い手≫ ≪超越感覚≫
 霊媒師→≪魂装支援≫ ≪断末魔の叫び≫ ≪棺の門≫
 世界遣い→≪逆転運命≫ ≪リライト≫ ≪未来の吐息≫ ≪禍福のさざなみ≫ ≪君に幸あれ≫ ≪未来視≫ ≪逆さ落ち≫
 一般特技→≪コネ「心霊治療医院会」≫ ≪コネ「ハンター協会」≫

▼鴨頭草 縹(つきくさ・ひょう)の設定
 古川財閥分家・青森家筋の生まれで異端・異能力関係専門の探偵事務所を構えている。異端者と関わる事も多く、魔王勢力や居酒屋さきがけとのコネも深い。
 『狂った果実』後の世界線では貴瀬 紗々音と結婚。子供はいないが2人で仲睦まじく暮らしている。例の魔術師と変な因縁が出来たことは誠に遺憾。さっさと縁切りしたい。



 日ノ下 崇号(プレイヤー名:マーサー)
 クラス:[闘士5/狂戦士3]
   体力:21(+7)  反射:15(+5)  知覚:12(+4)
   理知: 1(+1)  意志:13(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:58  MP最大値:36  正気度:5
 分類:人外(MP+4)、異端(MP+4)、従魔(MP+4)
 使用命中値:11  回避値:9  行動値:13  物理防御点:13  霊力防御点:13
重要キーワード:奉仕  背景:朱指に鍛えられた  特徴:混血である
ライフパス特技:≪機関「頭垓 所属」≫  スキルウェポンのイメージ:槍
職業:朱指の戦闘員  性別:男  年齢:享年25  身長:190cm  髪色:黒  瞳色:緑
 スキルウェポン→≪片手武器≫
 闘士→≪護りの契り≫ ≪カバー≫ ≪英雄の宣言≫ ≪武闘家の血≫ ≪聖戦士の血≫ ≪戦の申し子≫ ≪命の糧≫ ≪ライフコイン≫
 狂戦士→≪自己再生≫ ≪猛る身体≫ ≪暴食鬼≫ ≪戦神の巣≫ ≪単一化≫ ≪乱舞≫

▼日ノ下 崇号(ひのもと・たかご)の設定
 1990年頃の機関の朱指所属の戦闘員。剣菱一本松のやや後輩(90年頃だと一本松は頭領なりたて30歳ぐらいの筈なので)。
 とある蛇の異端の因子を掛け合わせたキメラ。超大物ヤマトノオロチ……には及ばないオロチの子(イブキなんとか)を機関が捕まえてきて完成したという強化兵。本名はP-05(名前は当時の頭領・照行が付けた)。非常に頑丈な皮膚をしているので傷が負いにくく、負傷してもすぐに再生する。
 機関の裏切り者・剣菱武蔵討伐任務を受け、相棒と共に出撃した、が、返り討ちに遭う。先に相棒を殺されてしまい、≪カバー≫や≪護りの契り≫があったのに救えなかった後悔・絶望の中で死亡。怨霊になった。



 北斗辺 琢磨(プレイヤー名:ぷぇ)
 クラス:[聖職者3/処刑人5]
  体力:15(+5)  反射:15(+5)  知覚: 9(+3)
  理知: 9(+3)  意志:13(+4)  幸運:12(+4)
  HP最大値:36  MP最大値:31  正気度:7
 分類:人間(MP+4)
 使用命中値:11  回避値:9  行動値:8  物理防御点:0  霊力防御点:0
重要キーワード:名誉  背景:戦闘こそが生きがいだ  特徴:中性的である
ライフパス特技:≪機関「朱指 所属」≫  スキルウェポンのイメージ:妖刀
職業:朱指所属の戦闘員  性別:女  年齢:25  身長:172cm  髪色:黒  瞳色:朱
 スキルウェポン→≪凶々しき武器≫
 聖職者→≪主の恵み≫ ≪悔改めよ≫ ≪十字軍:異端者≫ ≪叱咤激励≫ ≪聖印≫
 処刑人→≪葬送の衣≫ ≪異端審問≫ ≪邪の道は此方≫ ≪罪ありき≫ ≪怪力無双≫ ≪封印の牙≫ ≪闇の勇姿≫ ≪強力調合術≫ ≪故に報いを≫ ≪処刑時刻≫
 一般特技→≪興奮剤≫

▼北斗辺 琢磨(ほくとべ・たくま)の設定
 1990年代の機関の朱指所属の戦闘員。純然たる人の身でありながら、生粋の武闘派。
 朱指に己が武を捧げており、女であることを前向きに擲ち、性別を一切感じさせない振る舞いで生きていた処刑人。相棒の崇号ともまた、性差を越えた絆で居た。
 出自は女系の家。女性が利用されやすい異能の家系だったらしい。
 剣菱武蔵の討伐に相棒とともに向かうが、捻じ伏せられて敗北。あらゆる尊厳も矜持も両腕も奪われて死亡、ただひとつ相棒の無事を願うも、怨霊と化す。


 三田 八重花(プレイヤー名:しゅうら)
 クラス:[魔術師7/アーティスト1]
   体力: 9(+3)  反射: 6(+2)  知覚:12(+4)
   理知:15(+5)  意志:19(+6)  幸運:12(+4)
  HP最大値:24  MP最大値:48  正気度:11
 分類:人間(MP+4)
 使用命中値:11  回避値:5  行動値:12  物理防御点:0  霊力防御点:0
重要キーワード:芸術  背景:隣人を大切にしたい  特徴:床上手である
ライフパス特技:≪機関「チルドレン」≫  スキルウェポンのイメージ:スケッチブック
職業:女子高生  性別:女  年齢:17  身長:162cm  髪色:黒  瞳色:赤
 スキルウェポン→≪魔導書≫
 魔術師→≪幻想式≫ ≪刻印増強1・2≫ ≪ホムンクルス生成≫ ≪暗黒の渦≫ ≪這いよる混沌≫ ≪幻惑の衣≫ ≪心身置換≫ ≪賢者の脳髄≫ ≪堕落の訓え≫ ≪マナのタクト≫ ≪魔の寵児≫ ≪魔の結界≫ ≪紅蓮の指≫
 アーティスト→≪アポロン≫ ≪マイガーデン≫

▼三田 八重花(みた・やえか)の設定
 三田の末妹で高校2年生女子。どこにでもいる美術部副部長、が表の顔で、部活後は兄同様に街歩きが生き甲斐の女子。
 兄や母がぐだぐだな性格なので、しっかり者の年上のお兄さんお姉さんに夢を見て彷徨っています。よって、祟号さんは「お兄様」と呼びたいし琢磨さんは「お姉様」と呼びたいし縹さんは「叔父様」と呼ぶけど実兄は「愚兄」呼びです。
 大昔に母親が元職場からもらった(盗んだ)というレシピ本からホムンクルスを作った経緯があります。食堂とかで働いていたホムンクルスらしい。普段は生体侵入でスカートの内側にいる。


 ヒガシマル(NPC)
 クラス:[異端者5/イレギュラー1]
   体力:15(+5)  反射:15(+5)  知覚:15(+5)
   理知:15(+5)  意志:16(+5)  幸運:15(+5)
  HP最大値:38  MP最大値:51  正気度:10
 分類:異端(MP+4)、従魔(MP+4)
 使用命中値:11  回避値:9  行動値:16  物理防御点:0  霊力防御点:50
重要キーワード:食物  背景:八重花の所有物だ  特徴:父性的である
ライフパス特技:≪耐久力上昇:MP+4≫  スキルウェポンのイメージ:
職業:女子高生  性別:女  年齢:17  身長:162cm  髪色:黒  瞳色:赤
 スキルウェポン→なし
 異端者→≪鬼の肌膚≫ ≪異常鉱物≫ ≪生体侵入≫ ≪俯瞰の誘惑≫ ≪黒のカブト≫ ≪異端の集い≫ ≪黒のヨロイ≫ ≪背徳の従者≫ ≪御供の舞≫ ≪美しき我が世界≫
 イレギュラー→≪シュテンドウジ≫ ≪プロパゲイト:心身置換≫
 一般特技→≪興奮剤≫

▼ヒガシマルの設定
 体はうどん粉で出来ている。血潮はぬるま湯で心はうち粉。幾たびの夕飯を越えて不敗。ただの一度も未完食はなく、ただの一度もお残しされない。彼の者は常に独り、副食のない食卓で勝利に酔う。故にカロリーに意味はなく。その体は、きっと麺でできていた。


プレイヤー1・ピロ(以降、縹)/ブッキーがさりげに機関に捕まってる(笑) 日ノ下 祟号さん……日本号さんか、と思ったら日ノ下さんだった。
プレイヤー2・マーサー(以降、崇号)/あ、日本号を元ネタにした名前で大正解です。「槍使いにした→三名槍から取りたい。照行おじさんが武器マニアだしそこからもじったんだろう」という意図です! あと、せっかくの三部作完結編なので前回までの卓のネタは何かしら入れたかったんですよね〜。
GM/PC2……女騎士系ですね、かっこいい! 勇ましくて頼りになる女性で活躍が楽しみです。あまりに好きなものを口に詰めこめられたのでGMとして日本語を取り繕うのに必死です。
プレイヤー3・ぷぇ(以降、琢磨)/ジャンルとしては女騎士ですね。女にさせられちゃった系の生粋戦士をやります。

 GM/PC3の名前を見て、NPCの名前を決まりました。神町 芽実(かみまち・めぐみ)にします。

プレイヤー4・しゅうら(以降、八重花)/NPCは八重花の先輩で美術部の部長だと嬉しいな! 八重花が一番尊敬しているし、いつも帰り道は一緒だしイヤホンは2人で半分こしたい。
琢磨/八重花ちゃんかわいいねー! 麺類ホムンクルスで笑っちゃた(笑)
縹/無限の麺製! 麺の貯蔵は充分か――(笑)
八重花/麺が嫌いな人類はきっといないから……! 長く機関の食導あたりで研究されていた筈! 右手から麺が出て左手からヒガシマルのうどんスープが出ます。
GM/一真もこんな可愛い妹がいたなら紹介してくれればいいものを……。
八重花/オカズは八重花のこと第二のバーサーカーに思っているので、妹のことは知る人ぞ知るレベルの情報になってそうです。床上手を搭載したことでスケベな展開全対応機種となりました! 縹さんのスケベも楽しんで実況できます!
縹/スケベしないよ!? よしんばしたとしても未成年に実況されるのは全力回避だよ!?

 なお、ハンドアウトが公開されて、キャラクターメイキングが開始されたのが2024年の1月21日。
 実際のセッション初回日は、同年3月11日開催に決定したのだが……2月のこと。


GM/崇号さんと琢磨さんの過去を書いたスケベ小説、書きました。
縹/筆が早すぎ……(笑)
GM/昨日の深夜2時に飲み会でピロさんと喋っていたとき、琢磨さんのキャラ情報が来たのでそのまま書き上げました。エアプ小説です!

 この小説は、GMのpixiv小説ページで掲載されている。
 琢磨のエアプ小説『アイビスの失墜・女』、崇号のエアプ小説『アイビスの失墜・男』はこちらから読めます。内容はR−18Gのため、ご注意を。


琢磨/おお……エアプありがとうございます(笑)
崇号/めっちゃ興奮した……リョナ助かる。まだ本編エアプなのに何万字も小説書けるの、凄くない?(笑)

 そんなフライングで楽しんでいた新セッション。「三部作の中で一番長い」と豪語するシナリオが、開始となった。


 ●マスターシーン

GM/実はセッション開始1週間前、PC2の2人には簡単に「オープニングみたいなマスターシーン」を事前に作ってもらいました。
縹/ほうほう?
GM/PC2の過去を事細かにやると時間が掛かり過ぎると判断したため、既にみんなで作成済みのナレーションを流すだけになります。
崇号/事細か……R−18です(笑)
琢磨/ノリに乗った結果を出します(笑)
八重花/楽しみ!

 ――1990年、晩秋。

 「……ろしてやる、殺してやる! 奴の四肢を落として、息の根を止めてやる……!
 ああ、そうだ、復讐に、憎悪に煮えるのはこの身だけでいい……! どうか彼は、こんな感情を知ることなく、生きていてくれ……。
 くそ、誰か居ないか、死のくびきからこの身を解き放つ者は……!」

 異端犯罪者エンポニティスの討伐指令が各退魔組織、協会、異能団体に広まっていた。
 機関もまたその人物は見逃せない。かつて機関に所属していた魔術師・名を剣菱 武蔵。
 悪行を重ねてきた彼を追い詰め、捕獲し、殺せという命令を受けた暗殺部隊は連日連夜、彼の消息を追っていた。
 機関員十数名を動員、規格外の異端テロリストを捕らえるため、日ノ下 崇号と北斗辺 琢磨はエンポニティスの拠点へと潜入した。
 2人は魔術師を追い詰めた。屋敷の中で激しい攻防が繰り広げられた。
 北斗辺琢磨の刀術であれば憎き裏切り者へ届き得たかもしれない。だが、暗殺者の刃は魔術師へと届く寸前で――かき消された。
 ……崇号が、魔術師の人質に取られたのである。崇号は武蔵からの攻撃を受け、血塗れで床に倒れ伏した。

 「……僕は、いいから……僕のミスなんだから、早く……逃げて……」

 魔術師が嘲笑し、琢磨に投降を求める。琢磨は、仲間を守るために武器を捨て置いた。

 「……何が条件だ。言え」


GM/以下、プレイヤー3・ぷぇさんのふせったーより。

『相棒を助けるためにされるがままを耐え、心身ともにどうしようもなく女性として扱われ、最期には武器を握るための両腕も失う。命令に従えば相棒を助ける、と言われて女としての快楽を叩き込まれる。女であることを、女の快感を無理矢理に認めさせられる。ついには両腕を失わされて、肉体改造を施されて女であることを強調され尽くした、身の毛もよだつ程の羞恥と屈辱に満ちた身体にされ、肉体的精神的な衰弱により、陵辱の果て、琢磨は殺害された。』

GM/以下、プレイヤー2・マーサーさんのふせったーより。

 『その光景をずっと見させられていた崇号は、異端と掛け合わされて造られた強化兵だった。そのことを武蔵に見抜かれて、「では異端と掛け合わそう」とそのまま大量のゴブリンに輪姦された。強靭で不死に近い戦士の体はなかなか壊れず、男としてのプライドも戦士としてのプライドも人間としてのプライドもゆっくりとじっくりとズタズタにされた挙句……半年後に絶望のまま死亡した。』

GM/2人の遺体は、同じ廃墟の敷地内だがそれぞれバラバラ遠くの場所で、崇号の死亡後に彼らが所属していた組織・朱指の所属員たちにより発見されたという。

 しかし、それには時間が掛かり過ぎてしまった。
 琢磨は強烈な怒りと憎しみを持ったまま、崇号は長くの絶望に落とされたまま、死んだ。
 その怨念は尋常ではなく魂は解放されないままその場に留まり――。

 「……まだ、戻れるなら。次があるのなら。
 今度こそ彼女を、守りたい。小さなことでもいい、小さな存在からでもいい、何か……任されたい。それで……褒めてもらえたら。……僕を見てくれる人がいてくれたら。…………そんなことが、あったら……」


GM/30年の月日が流れた。……以上で、3人で作った過去マスターシーン、おしまいです。
崇号/やりました……。
琢磨/やってやったぜ……。
八重花/最高でした。
縹/ひどい話だ……これを縹は≪断末魔の叫び≫で見るのか(笑)
崇号/確かにこれは事細かに演出すると3時間ぐらいのエロールが始まりますね。
八重花/3000時間くらい浴びてたい。


 ●オープニングフェイズ1 〜絵画展〜

 「私はそれに出会ったときの感激は忘れるはずもありません。あまりの衝撃、強烈さに言葉を失いました。私は人が生み出したそれをこの目にして、こんなにも心が動かされるのかと感動しました。
 そして悔しくも思いました。私だけが感動して、落胆して、この感情の揺さぶりを、平等にこの感動をみんなに味わってほしいと思うようになりました。
 芸術は独創的で奇抜こそがカッコイイ……そう思ったこともありますが、あのとき私が芸術を受け取って『美しい』と思った感情をみんなで共有したくて、私はその一心で感激を追い求め続けています」

 ――作品名『羽ばたく』。鳥が爽やかな空を飛んでいる絵。
 夏の爽快感を感じさせる青空。朱鷺のような、それでいてファンタジックな誇張表現をうまく生かした美しい鳥が元気いっぱい羽を動かしている。
 下方にはどんよりとした街並みと人の影がう蠢いているが、その陰鬱さからの脱却、上空へ向けて、未来への解放感を表した、老若男女誰もが理解できる「美しい絵」。
 
202×年9月9日 絵画コンクール特別賞受賞作品 神町 芽実 作

琢磨/朱鷺のような鳥の絵……アイビス?
GM/さて、本編スタートです。縹さんと八重花さんの2人は、絵画コンクール展に来ています。商業地域にある会場で開催される授賞式で……八重花さんの所属してる美術部の部長が、今年の特別賞を受賞しました!
崇号/特別賞授賞、凄い!
縹/おじさん、場違いじゃない?
八重花/叔父様、一緒に行きましょう! 腕を両手で掴んで引っ張ってきました!
GM/保護者代理として縹さんは来ました。
縹/あ〜、連行される〜。お母さんの奈奈緒ちゃんが忙しかったから代理になったのかな。
八重花/母は芸術にはとんと疎いので叔父様と一緒がいいですわ!
縹/おじさんも別に芸術には詳しくないんだけどねえ。
八重花/叔父様でも作品における感情の機微くらいお分かりになるでしょう? ね?
縹/全く、仕方ないなあ……。
GM/この授賞式は高校3年生で受賞したら快挙と呼ばれるレベルの賞で、地方新聞だけでなくNHKのニュースでも報道されるものです。美術部としては大盛り上がりですね。
八重花/尊敬する先輩がこんな栄誉ある賞を受賞するなんて後輩として喜ばしいことこの上ないですの!
崇号/「部長がめっちゃすげー賞を取った!?」って大騒ぎするやつだね。隠れて同人誌とかラミカ描いてる場合じゃねえ。
縹/プラ板を焼いてたり……(笑)
琢磨/イラストばっか描いてたりする美術部……(笑)
GM/最優秀賞や金賞を取るのはプロのアーティストとか現代の有名画家ばかり、そこに並ぶ女子高生ということでも凄いです。そんな訳で展示会にお呼ばれされた美術部。受賞した部長は、授賞式のインタビューとかされています。
崇号/凄い、レベルが違った。部のみんなも集合写真を撮って新聞に載せられるな。
縹/高校3年生で賞を取るなんて凄い子だな。
八重花/はあ……先輩がフラッシュで眩しいですわ……美しい……きっと展示会の中でも一際絵の周りに人が集まってるんだろうな。
GM/芽実は新聞の撮影やインタビューをこなします。最初は笑顔でしたがあまりの規模の大きさに「な、なんか凄いことになっちゃってごめんねー」と後輩たちを気遣います。「八重花ちゃん、もう疲れてない? 朝からやってるし、大丈夫?」
八重花/先輩! 先輩が一番疲れていらっしゃるでしょうに……私のことなどお構いなく、ね?
GM/「あはは、ありがと〜。多分昼過ぎ1時ぐらいには終わるから! もうちょっとだね。これでうちの美術部にも箔がつつくし頑張ろう」
縹/若いのにしっかりした子だね。
八重花/自慢の先輩ですわ。にっこり。ハッ、何時間でも見てられる先輩の笑顔と最高の絵があるのにもうすぐ終わってしまう……?
崇号/八重花ちゃん、ガチ勢か?(笑)
琢磨/ガチ勢だな(笑)
八重花/自分ガチ勢やらせてもろてます。
GM/「この話題が続いて、文化祭や展示会が盛り上がってくれたら嬉しいな。みんなやる気出て、みんなの作品がどうなるか楽しみ!」
八重花/今年の文化祭は確実に素晴らしいものになりますわ! 私は先輩の作品が今から楽しみで楽しみで仕方ない身ですわよ。
GM/「どうしよっかな、どんなの描こうか……あとね、文化祭が終わったらクリスマスとか予定は〜」 そう八重花や後輩たちと話す部長。
八重花/叔父様。私の先輩、可愛くないですか?
縹/こっちに話を振って来た(笑) 若いのにしっかりした部長さんだね。
八重花/おっしゃる通りでしっかり者なのに優しくて元気で気遣いもできる聖母なのです。私の先輩ですよろしくお願いします。
縹/お、おう……。八重花ちゃん、部長さんのことになると早口だね?
琢磨/ガチ勢の主張に気圧される縹さん(一同笑)
八重花/早口な上に眼鏡も高速で上げますよ。
GM/次に××社のインタビューが入ります。「神町さん、来てくださーい」と言われた彼女は「行ってきまーす」と退場します。
八重花/ふう、先輩充しましたわ。やはり叔父様を連れてきて正解。
崇号/推しについて喋る相手は必要。オタクか?
琢磨/強火オタクよ(笑)
縹/まあ、誰かに向かって喋りたいよね……でなきゃ不審に思われちゃうもんね。
GM/では、そんな八重花に声を掛けてくる大人がいます。芽実のご両親です。
八重花/あら。ご両親からのご挨拶? 結婚……? ありがとうございます、一生かけて幸せにします。
縹/もうどっから突っ込んだらいいかわっかんねえな(笑)
GM/芽実の父親が「そのオモシロ挨拶、もしかして三田さんですか? うちの娘がいつもお世話になっています。話には聞いています」と言います。
琢磨/おもしれーお嬢さんとして認識されてる。
八重花/先輩が私の話を!? 叔父様の背中を叩きます。
縹/イッタ!?(笑)
崇号/バァンって凄く良い音がしたな(笑)
八重花/先輩のお父様、お母様、ごきげんよう。いつも先輩にはお世話になっております。ちゃんとお辞儀はします。
GM/隣の母親も「ふふ、ご挨拶ありがとう。いきなり声かけてごめんなさいね」と微笑む。「娘は、いつも三田さんの話を私達に聞かせてくれるんですよ。とても仲良くしている後輩だと話すんです」
八重花/仲良くしている後輩!? 叔父様の肩を殴打します。
縹/あだだだだだ!?
琢磨/さっきから甚大なダメージ音が(笑) お話が終わる頃には腫れて3倍サイズになってそう。
GM/(父になって)「私達夫婦は長年子供を持てず、私も若い頃は仕事ばかり……妻には一人寂しい想いをしました。そうしてようやく家族として迎えることができた娘を、大事に育ててきました」
琢磨/……ん?
縹/なんか、変な言い回しをしなかったか?
八重花/私が新しい家族になりましょうか。という言葉を飲み込みつつ。
縹/飲み込んで偉いぞ(笑)
GM/「そのせいか、自分でも反省していますが親馬鹿が過ぎる育て方をしてしまいました。やりたいと言ったことはやらせて、与えて……甘やかせて育ててしまったんです」
崇号/親馬鹿。自覚があるなら安心だね。
八重花/先輩はとても優しくて、実直で、頼りがいのある方ですわ。自由な画風ものびのびしたご家庭で育った故でしょうね。
縹/口が上手いのは、一真くんに似てるなあ……。
琢磨/さすが兄妹。
GM/(母になって)「そう言ってくれてありがとう。……正直、甘えんぼな娘がちゃんと友達ができるのか、学校生活がうまくできるか……いつも心配していたの。だけど、家でも部活動の話を、貴方のようなお友達の話をたくさんしてくれるようになって、本当に嬉しい」
八重花/私も、先輩と日々お話できる時間を楽しみに過ごしていますの。とても光栄ですわよ。
GM/八重花の言葉に、両親はニッコリ微笑む。「娘はこうやって多くの人に評価されるようになりましたが、甘ったれな娘を知っている私達としては、支えてくれるお友達がいてくれたこそ娘は羽ばたけたのだと思います。本当に、本当にありがとう。これからも娘をよろしくお願い致します」 両親は深々と頭を下げます。
八重花/まあ……頭をお上げになって。私の方こそ、随分良くしていただいてますのに。過分な評価を頂いているようでとても恐縮ですわ。でも、これからも先輩とたくさん仲良くさせていただきますね。
GM/「ぜひよろしく。彼女は芸術を本格的に勉強したいと言っているので、私達もその応援を欠かさずしていくつもりです。もし良ければ……たとえ部活動だけでも、いっしょにいてあげてください」
八重花/部活動と言わず! ちょっと大きい声出しちゃいますね。いつだって、一緒にいたいんですもの……。
縹/……娘思いの良いご両親だな。過保護、とも言えるが。
八重花/先輩の稀有な才能は必ず美術界での宝になりますから。是非サポートさせていただきますわね。毎日ライン100通送りますし。
縹/場合によってはストーカー行為になるから、気を付けようね……。
八重花/楽しく送り返してますわ叔父様! 興奮をぶつけます。
縹/回避判定させてえ?(笑)
GM/そんな話をしていると、インタビューが終わり、自由解散の時間になりました。他の作品も鑑賞して帰ってください。後で作文の提出が待ってます。
八重花/先輩の作品について10万字述べてもよろしくて? 帰宅だなんて名残惜しいですけれども、致し方ありませんわね……。
縹/帰りにお茶とかしていけば良いんじゃないの? ほら、部長さんだってずっとインタビュー受けてお疲れだろうし。でもご両親がいたらご両親と帰るか?
GM/両親は娘が友達との時間を楽しむのを優先します。他の作品を観たりしてますね。それにここは商業地区の会場なので近くに飲食店はたくさんありますよ。
琢磨/おデートチャンスだよ!
崇号/部員みんなでファミレスとかカラオケに行こうぜ! 楽しいよ!
八重花/宇宙の果てまでご一緒したい。先輩……同伴出勤させていただいても?
縹/言い方! キャバクラじゃないから!(笑)
GM/「ご指名ありがとうございます〜」 芽実は八重花と腕を組んで歩き始めます。
縹/ノリが良いな!(笑)
八重花/無言で叔父様の二の腕を摘まみます(一同爆笑) 叔父様、では私行ってきますわ。満面の笑みで先輩と一緒に帰ります。
琢磨/縹さんに全ての興奮と衝動がぶつけられてるの面白すぎる(笑)
崇号/縹さん、回復特技でも取りますか?(笑)
縹/真面目に≪肉体復元≫を取るのはアリだと思ってきたよ……(笑)
GM/他の後輩や同輩も「次は私〜!」「私も〜! 部長こっち〜!」とかふざけてはしゃいでます。
八重花/次のその次も私ですわよ! 他の後輩ともみくちゃになってます。
縹/強欲か?(笑)
GM/なお、この会場にはこういう絵画展に来そうなキャラがいたら見ていてもいいです。
崇号/光兵が夢Qと来ました!
琢磨/いそう〜! 絶対いる〜!(笑)
縹/光兵くん、陽子ちゃんとじゃないんだ……?
崇号/(光兵になって)「お母さんはバリバリのきゃりあうーまんなので仕事です!」
琢磨/(夢野になって)「ホウ、この作品はなかなか……俺の好みの作風だ」 のんびり光兵のおてて引いてます。
崇号/(光兵になって)「ここ見終わったらバナナクレープ食べに行きましょうね!」
琢磨/(夢野になって)「光兵はホントウにクレープが好きだなあ。昨日も食べただろう? 自分はイチゴあずきクレープを食べるよ」
八重花/かわいい、永遠に見てられる光景だ(笑)
縹/バリバリはカタカナで言えるのに、キャリアウーマンはカタカナで言えないんだね光兵くん(笑) おじさんは若者たちを見送って、のんびり作品を眺めてようかね。
GM/客ものびのびと、女子高生たちはわいわいと仲良く話をすることでしょう。楽しい時間が過ぎていく。
崇号/平和だ……。
縹/いいセッションでしたね……。
琢磨/なお、オープニング……(笑)
GM/縹はのんびりと展示物を見たりしていきます。飾られている作品は、色々な絵画があります。「広島の原爆の記憶を描いた、戦争反対・平和を願う優しい絵画」「綺麗な人たちが貧しい人たちに愛を与える美しい絵画」「青空の中を羽ばたく鳥の絵画」などです。
縹/ほうほう。
崇号/展示作品のテーマは「平和」とか?
八重花/「博愛」かもしれない。
GM/テーマは「愛」ですね。
縹/職業柄、こういうのは≪過去視≫で触れるぐらいしか見たこと無いから、芸術鑑賞として見るのは新鮮かもしれない。

 9月9日、14時。
 授賞式やインタビューを終え、展示品を見学してそろそろおひらきと言える時間の頃。1人の入場客が訪れた。
 展示会は商業施設のイベントホールで執り行われており、一般開放されている。ショッピングモールから直に訪れることができる絵画展は、買い物客からアーティストのファン、学生など問わず色んな人間が絵を見に来ている。だから多少、歩きが不審な客が入場しても、気に留める者はいない。

 ……ジャラッ。鎖が空を舞った。


縹/え?

 飛んだ鎖は近くにいた人に纏わりつく。
 混雑した展示品の前にいた人達が鎖を浴びる。
 それは一瞬のことだった。
 ――ドオン。衝撃。


GM/ドカアアアアン! 爆発。縹さんと八重花さんは1D3を振ってください。

 1:爆発の近くで咄嗟に≪念動障壁≫などを使って九死に一生。
 2:爆発は遠いが衝撃で体が吹き飛んだ。
 3:爆発だと気付くのが遅れたが確かに衝撃を感じて焦る。


縹/(1D3ころころ)2。うお!? や、八重花ちゃん!
八重花/なん……!?(1D3ころころ)1です!
GM/2人とも爆心地に近い所にいたことになりました!
八重花/音と同時に、≪生体侵入≫していたホムンクルスが庇ってくれました!
琢磨/偉いぞ、ほむ!
崇号/ほむほむ凄い! ……爆破テロが起きた。
GM/そう。それは自然のものでもなく、事故ではないものです。
琢磨/混雑場所の爆破テロ、大惨事まったなし……。
八重花/叔父様っ! 辺りを見回します!
GM/八重花は爆心地に近い所にいましたが、なんとかホムンクルスが庇ったことで無事。縹さんは爆風で吹っ飛ばされましたが……。
縹/ごほっごほっ! 八重花ちゃんどこだ!? 無事か!?
八重花/私は大丈夫ですわ! 叔父様も……良かった!
崇号/光兵は多分夢Qに庇われてますね。
琢磨/夢Qは≪念動障壁≫を持っていないので≪他人をかばう≫で光兵を庇いました。
八重花/夢Q!(笑)
縹/夢野せんせーが負傷してる……!(笑) 良かった、無事だったか。一緒に居た部長さんや他の子たちは大丈夫か……?
八重花/はっ!? 先輩、先輩……!
GM/八重花は咄嗟すぎて気付かなかったが、自分のホムンクルスが芽実をしっかり庇っているのを見て安心してください。
縹/お、有能。
八重花/ヒガシマルナイスうどん!(一同笑)
GM/能力者の縹と八重花は、一目で分かる。明らかに異能だ。[領域遣い]の≪爆塵≫相応の異能が使われ、殺傷事件が起きた!
縹/異能テロ……!? 教会に連絡を!
GM/中央にいた人物は、爆発四散。バラバラになっている。そして、その近くにいた人物も、ボロボロになっている。「あ」
八重花/あ……先輩の、ご両親……。

「あああ、あああ……? お父さん、お母さん……? お父さん!! お母さん!! お父さん!!!!! お母さん!!!!!!!」
 爆発四散した何かのもとに、彼女が……君達を押し退けてでも、走っていく。
 今は後輩を気遣う姿は、無い。両親の服装をしたそれに、必死に呼びかけている。


八重花/先輩……! 手を伸ばすけど……掛ける言葉すら見当たらないのに、掴める訳がない。
縹/ここは危ない、まずは避難を。君だけでも、助からないと……。
GM/消防車を、救急車を、警察を、すぐに……縹さんのように無事だった人は連絡できます。ところでサンシャイン60みたいな商業ビルの中が爆破されたらどう思う?
縹/ビル倒壊だよ!
崇号/に、逃げなきゃ!
琢磨/避難最優先!
八重花/ごめんなさい……! 精一杯先輩をご両親から引き剥がして、逃げます! ヒガシマルが先輩を持ち上げてそのまま走る!
縹/警察と消防はいくらでも通報されてるだろうから、こっちは教会とかに連絡した後……八重花ちゃんたちを連れて避難しよう! 危険は≪未来視≫で避けていくぞ!
八重花/ごめんなさい…ごめんなさい……! 謝りながら、走ります!
縹/なるべく周りの人たちにも声を掛けつつ避難!

 けたたましいサイレンの音、泣き叫ぶ声、パニックになる人達の顔、君達はその中にいた。
 しかし無事に君達はその絶望の中を、脱出するのだった。
 ――その日のニュースは、大騒動だった。
 商業施設で爆発が起きたこと。それにより7名の死者が出たという報道だ。その7名の中に、神町 芽実の両親がいた。


崇号/ああ……。
縹/……痛ましいな。
八重花/7人、少ないようで、それでも一つが重い命……。

 あまりもの大惨事。現場復旧委員会による現場封鎖や記憶処理は間に合わず、大きく報道された。
 連日報道される爆発事件の原因は何か。そして……これを行なったとされる自爆テロをした大学生の青年は何者か。
 そして縹と八重花は、思うだろう。だが無情にも……世界は戻らない。このまま時間は進んでいった。


琢磨/そっかあ……時間跳躍が、起こらないんだ。
八重花/また戻らないんだ……母の追体験をしております。時間が戻ったらまた厄い感じなの!?
縹/異能や異端絡みだと分かっていても、実行犯が一般人ならそれは「一般人が起こした事件」ってことになるからとか……?
崇号/「セカイにとってこれは戻さなくてもいい判定」が下っちゃったんだね。なるほど、今回もそういう厄ネタなんだろうな……。


 ●オープニングフェイズ2 〜教会〜

 あれから数日が経過した。
 縹と八重花は商業センタービルで起きた絵画コンクール展示会に偶然居合わせたということで、特命課から事情聴取を受けた。そうして教会にスカウトをされる。
 「今回の事件を追うエージェントになってくれないか」と。


GM/シーンの場所は教会です。縹さんと八重花さんは礼拝堂に来ましたが、周囲はバタバタと切迫した状況で、約束の時間になっても高坂がなかなか現れません。教会はかなり大変っぽいです。
縹/高坂さんが来るまで、事件のニュースとかスマホで見ていよう……。
琢磨/高坂さんも超多忙だろうから、適時休憩を取ってほしい。
八重花/お疲れ様に尽きますわ……。
崇号/光兵は夢Qの看病中です!
琢磨/庇って怪我したからな〜(笑)
八重花/……高坂さんからのスカウトは願ってもない提案ですわ。スカウトが来た後、すぐにお返事しました。
縹/こっちも直接被害に遭ってますしね。協力しますよ。
GM/ではやっと来た高坂が、「ありがとう。少しでも早く事件解決のためになんとかこちらもチームを多く編成するつもりだ」と言います。
八重花/亡くなった方は帰ってこないけれど……それでも、真実を知ることに意味はあると思いますの。
GM/「……ああ。それに、これ以上被害を増やさないようにするためにも、ね」 これ以上、と強調させます。
縹/また同じような事件が起きる、と?
GM/高坂はコクリと頷いた後、あらためて説明を始めます。「お二人の証言により、犯人の青年鈴木 隆宗(すずき・たかむね)は異能により大量虐殺を行なった。それによる事件の調査を、通常の警察の管轄ではない、特命課および退魔組織で調査を行なうことになった」
縹/ふむ……。
GM/「自爆テロにより主犯者・鈴木は死亡した。だが、これは一度で済まないかもしれないと我々は警戒している。……似たようなこと、いや、まったく同じようなことが30年前に起きているからだ」
八重花/30年前……?
GM/「今から30年前、少なくても28名がテロにより亡くなった連続異能爆破テロ事件。それの初回事件と同じことが今回起きた。『鎖が見える爆弾』。これを証言してくれたね。鎖が現れて、それを振り払おうとしても取れず、相手を確実に殺そうとする必中のスキルウェポン……『爆弾をつけられた大学生』の犯行。商業施設での爆発テロ。……まったく同じことが30年前にも起きているんだ」
縹/模倣犯の可能性があると考えてるのか、教会側は。しっかし必中のスキルウェポンいいなあ!(笑)
琢磨/鎖型追尾爆弾、ヤバすぎるだろ……。
八重花/『ハンター×ハンター』のボマー的な……厄介な。
縹/ヴィーナスラブミーチェーンがまず思い浮かんだ俺は反省すべき。
崇号/それにしても、死者28名の爆破テロか。多いな。東アジア反日武装戦線の事件っぽい……。
GM/「30年前、事件は重ねて起きた。商業施設での爆破の数日後、別の場所でも同様の爆破事件が、計4回も行われた。そして4回目を最後に、主犯とされる異端犯罪者が討伐され……事件は終息したんだ」 30年前の事件ということで、記憶力が良い人は【理知】難易度10に成功したら覚えていてもいいかもしれません。
八重花/(ころころ)達成値8。知らなかった〜。
GM/さすがに八重花は生まれる前の事件だから知らなかったな。
縹/(ころころ)お、ぴったり成功。いや、つか……これ……縹なら、あれのこと調べてたから知ってたとかそういうあれでは……。
琢磨/例のあの人?
縹/名前も言いたくない例のあれ。
GM/「30年前に討伐されたことにより事件は終息になったその異端犯罪者のコードネームは、エンポニティス
縹/苦虫一万匹噛み潰しました。
GM/「討伐された異端犯罪者が復活……なんて考えられないから、おそらくあの大々的な事件だったあれの模倣犯だろう。もちろん全て30年前に倣うわけがない。1ヶ月後かもしれないし、明日起きるかもしれない。だが警戒と調査を行なう理由としては充分だとして、我々は部隊を若干名編成した」
縹/30年前の事件の首謀者について知らない世代もいるでしょうし、慎重に慎重を重ねても十分だと思いますよ。八重花ちゃんなんか生まれる前の事件だしねえ。
八重花/こくこく頷きます。
GM/「ああ、その通りだね。1度きりの事件であってほしいが警戒は必要だ。我々は警戒を怠らずに周囲を捜索を開始する。何も無ければそれでいい、だが、何かあるかもしれないを常に念頭において……しばらくの間パトロールに付き合ってほしい」
琢磨/30年前も今回も事件もきっちり7名死亡者が出てるの、気持ち悪いな……意図があるのか偶然か?
GM/声を掛けられた人達の前に周辺地図を出され、あっちをパトロールこっちを警戒をお願いなどと話が始まります。縹さんと八重花さんも「ここパトロール頼むよ」などお願いされます
八重花/ええ。
縹/わかりました。
八重花/神妙な面持ちです。真相を必ず暴いてやる。
縹/……あまり、気合入れ過ぎないようにね。
GM/「君」 相談してると、声を掛ける人がいます。
縹/おや?

 アクセン。
 目立つ赤毛の男性。教会の資料製作に携わっている。
 正体は欺く神に命じられた異端の指導者・魔王。機関に個人的な恨みを持ち、教会に協力する。


縹/おっと、魔王さん。
八重花/ごきげんよう、アクセン様。
GM/「ごきげんよう。ごきげんかね?」
八重花/あまり好きな質問の仕方ではありませんね。ノーコメント〜。
GM/「事件現場にいた当事者と聞いた。気分はどうだ?」
縹/はは、最悪ですよ。
GM/「そうなのか。……周囲に負の感情が満ちている。世間に異端事件が隠しきれずに広まってしまったことが大いに関わっているだろうな」
縹/あれだけ大きな施設で、白昼堂々行われちゃあ、流石の教会も隠蔽しきれないでしょうな。
崇号/特命課も現場復旧委員会も、可哀想……。
琢磨/教会の休憩室にエナドリ興奮剤が何本も転がってそう(笑)
縹/夜輝さん、頑張ってほしい。
八重花/(←夜輝の中の人)「世界早く平和になって〜!」(笑) 一方、異端のみんなは大はしゃぎパーティだろうな。
GM/「後から事件を聞いた身としてはその凄惨さに実感は無い。君は悔しいか? 苦しいか? それとも何とも無いか?」

 『イベントキー:ショック』
 凄惨な事件の当事者であることを表すイベントキー。
 PC1とPC3はシナリオ開始時の【正気度】を−[1D6+3]点する。最低値1。


GM/後で【正気度】を回復する機会がたくさんありますので、オープニング段階で「どんだけ絶望したか」を決めてください。
縹/はい。(1D6+3ころころ)5点減りました。
八重花/(1D6ころころ)1……。
縹/八重花ちゃん、1D6+3だよ。
GM/出た目に+3して4点減少ってことにしていいですよ。
八重花/いえ、間違えたのでしっかり振り直しますね。(1D6+3ころころ)8点減少。増えちゃった!(笑)
GM/2倍になった!(笑)
琢磨/でも、八重花ちゃんはそれぐらい削れるよな……。
縹/そうだよね、八重花ちゃんは間近だったし……敬愛する先輩のご両親が亡くなった現場に立ち会ってるもんね。
崇号/しかも神町家のお葬式とか行っただろう。ショックが重ね掛けされそう。
八重花/行きましたね……ほぼ憔悴に近い。
GM/しかも報道が駆けつけるようなお葬式です。
崇号/あんなテロの被害者となったらマスコミも来るよね。……あ、ていうかあの場には新聞社がいた!
GM/ええ。新聞社やテレビ局が現場にいました。記録はバッチリ、すぐ報道されています。
崇号/秘密にできなかった理由これか! いつもなら相当ヤバくても現場復旧委員会が抑えたのに、それすら出来なかった……!
縹/しかも、有名な絵画の賞……未成年の受賞者がテロで両親を失う。格好の的じゃん。
琢磨/多忙の極み! 【正気度】ごりっごりに削れるタイミングいっぱいありそう。
八重花/とっても絶望でしたね! 私でなければ発狂してましたよ……。
縹/縹は大規模なテロ現場に嫌な男の影に気付いて【正気度】削れるけど、八重花ちゃんほどショックでは無いかな……。

【現在正気度】
 縹:5
 八重花:3


GM/次に、2人は【理知】判定10に成功したら「アクセンという男、この状況だが何故か楽しいらしい」というのを察せます。
縹/(ころころ)達成値15。ほぼクリで察しました。
八重花/(ころころ)11で成功。察しちゃうんだなあ。
縹/……そういう魔王さんは、ご機嫌麗しいようで。
GM/「ふむ? 今の私はそういう風に見えたかね?」
八重花/本当に不謹慎極まりないですわ。
GM/「それはすまない。指摘されて気付いたぐらいだ。……敢えてこれに理由を探すなら、我ら異端にとっては好都合なことが起きているのかもしれないな」
崇号/(←アクセンの中の人)腹が立つなこの魔王。
GM/(←ドレークの中の人)弟はいつもこれを見てたんだよ(一同爆笑)
八重花/ドレークさん、後で握手しようね!(笑)
琢磨/白目の部分を触ってやりたい。
GM/「明確な答えまでは判らん。判っているようなら、皆に説明しているだろうよ」
縹/まあ、死傷者多数で怨嗟の声が満ちるような事件、異端にとっちゃあご馳走なんじゃないですか。
GM/「ああ、そういうことだろうな」
縹/人間にしてみりゃ迷惑極まりないことですが。
GM/「人間、頑張りたまえ。直感で物を言うが、今回の事件は……長丁場になりそうだ」 去って行きます。
八重花/言われなくても頑張りますわよー! 叔父様の腕とかえいえいしときます。
縹/俺の腕が犠牲に(笑)
崇号/やっぱ縹さん、近いうちにダメージ軽減特技か防具特技を取った方がいい。
琢磨/じゃないと八重花ちゃんのせいで腕幅1メートルになっちゃう。
縹/鴨頭草探偵事務所は前のめりな人材しかいないから、回復か防御特技は取っても良いんじゃないかっておじさん思うワケ。
八重花/防御ならヒガシマルが請負いますわよ。
崇号/光兵が「爆弾が必要ですか!?」と駆けつけます。
縹/爆弾は回復できないじゃん?(笑) ヒガシマル優秀だから防御頼むよ〜。
八重花/ヒガシマルがねっとりと叔父様に絡みついておきます。
GM/うどんネチャア。
縹/イヤーッ!?(笑)
八重花/まかせろ触手責め!
縹/うどんってそういう物質だっけ!? っていうか触手って言っちゃってんじゃん!
八重花/うどんも麺も広義では触手ですのよ?
縹/違うよ?



 ●オープニングフェイズ3 〜廃墟〜

GM/そうして捜索の日々が始まる。君達は色んな場所を歩いて探します。いっぱい日々探索しました!
縹/沢山歩き回ったけど、今日のところは収穫無しか。
崇号/見るところが、見るところが多い……!
GM/本日の君達は、とある古い住宅地を歩きます。築40年以上の家が多く、廃屋も多く、既に住民を失った空き家がいくつもあります。
崇号/昭和の建築!
縹/空き家か……こういうとこ、ほったらかすと危ないんだよな。
GM/手がつけられない空き家は浮浪者だけでなく犯罪者もたむろすることがあり、何者かがいるにはもってこいの場所です。
八重花/割れ窓理論というものですわね。
GM/空き家。廃墟。幽霊屋敷。そういう言葉が合う場所に辿り着きます。嫌な霊力の流れを感じてください。
縹/治安も悪くなるし、良くないものが溜まる事もあるしね……ほら、言った傍から。
八重花/この流れ……只者ではないですわ。いつでも対処できるように臨戦態勢になります。
縹/霊除けとして煙草に火を点ける。
GM/建物に、人避けの結界が張ってある。何も力が無い、霊感が無い一般人だったら「ここに居たくない」と思ってどっかに散っていってしまうような結界です。30年前にPC2が異端犯罪者を追う際に張った結界という設定です。
琢磨/なるほろ。
崇号/我々PC2の仕業だった(笑)
GM/しかし、何も知らない縹さん達としては「な、何故こんな所に結界が!?」となります。
縹/こんなところに人除けの結界が……。いかにも怪しいな。
八重花/何か隠してある……? もしくは誰かがいるのかしら?
GM/建物に入ることができます。そう、能力者ならね!
八重花/行きましょう、叔父様。
縹/軽く調べてみよう。手に負えなさそうだったら無理せず撤退するよ。いいね?
八重花/……承知しましたわ。
GM/2人は、廃墟に入ります。グニャアァリ。入った途端、変な感覚。
縹/う……?
GM/縹さん、間もなくして……自分1人になっていることに気付いてください!
縹/……八重花ちゃん?
崇号/逸れた!
琢磨/分断イベだ!
GM/ここではPC1のみのシーンになります。後で八重花さんと合流できます。
縹/しまった、分断されたか……!?
GM/きっと八重花さんの方も「叔父様……!?」ってしてる最中です。
八重花/叔父様ー! んもうー! 逸れないでって言いましたのに!
縹/俺が迷子扱いされてる!(笑) ……仕方ない、八重花ちゃんを探すか。幸いね、おじさんは≪超越感覚≫があるので人探しは得意なんですよ。
GM/さすが! ……ここは霊感がある人間なら「今すぐここから離れた方がいい」と思えるぐらい霊力が強い室内だと分かります。何かの魔法陣、術式、呪詛が込められているんじゃないか。
縹/……嫌な建物だ。
GM/嫌すぎですね。縹さんは、ある部屋に行くと……霊がいくつも漂ってうろうろとしているような恐ろしい部屋を発見します。そこには「強力な霊がいる」と思います。
縹/ひゅう。
GM/意を決してその中を覗き込んだなら、霊が見えます。今さっき実体化してきたところじゃないかというぐらい存在が濃い存在が。
縹/覗きます。万一にも八重花ちゃんが居たら危ないので。
GM/……覗いた先には、「後に死んだ方」のPC2、崇号がいます。
琢磨/タカの方だね。
GM/ここまでしっかりと魂が形を成しているなんて相当強い怨念でもこもっているんじゃないかと思います。崇号さん、シーン登場してください。
崇号/…………。
縹/男の、霊……。いや怨念、怨霊か。
崇号/部屋の隅に蹲って泣いています。
GM/すすり泣く男の怨霊だ。
崇号/顔を上げず、ずっと膝を抱えて蹲っています。
縹/様子を見るように部屋に入る。……わざと足音を立てる。
崇号/ビクッ。
縹/襲い掛かってきたりはしない?
崇号/音がした瞬間、崇号の周りから負の感情がバアッと波のように襲い掛かるとかどうですか。「縹さんに途轍もない悪寒が走る!」みたいな。
GM/いいですね、怨霊ぽい!
縹/OK。……ゾッ!
GM/非常に強い怨霊だ。近寄るのは危険だ。縹はそう思う。
縹/おい。
崇号/顔を上げる。涙を流しながら。
縹/お前は何者だ。どうしてここに居る?
崇号/…………。どうして……? 僕は、ここで……。思い出して、怯えて、また俯いて泣く。
縹/おいおいおい……。
GM/縹さんは≪断末魔の叫び≫を使ったなら、悲惨な最期を迎えたことを見るでしょう。見ますか?
縹/そうですね。会話が成立しないのでとりあえず≪断末魔の叫び≫をしてみます。
GM/縹さんは使用しました。……冒頭マスターシーンのあれを、自分が体感するように見ます。
崇号/剣菱武蔵と戦い、仲間を殺され、半年間痛めつけられ、絶望の末に死んだ。それが分かります。
琢磨/見るのが被害者の視点なのキツすぎる……。
縹/うっ、あ、あああああ!? 反射的に吐きます。
崇号/っ……。あ、あの……?
縹/こんな、こんな死に方を……あの男の、仕業で!?
崇号/だ、大丈夫……? 吐いている人に対して心配します。
GM/縹は、この男の怨霊の記憶の中で、剣菱武蔵の姿を見ました。見てしまいました。
縹/くそ野郎が……!
崇号/ご、ごめんなさいっ! ……くそ野郎と言われたので謝罪。
縹/……あ、ああ、あんたのことじゃないよ。
GM/崇号は、目の前に生きている人間が居ることに気付きます。長い時間の中でそれは初めてのことです。

 『イベントキー:ショック』
 凄惨な事件の当事者であることを表すイベントキー。
 PC2はシナリオ開始時の【正気度】を[1]点にする。


GM/崇号と琢磨は、【正気度】1点スタートです! 怨霊は1です!
琢磨/いぇーい!
崇号/お揃いね私達!(笑)
縹/後で早く回復しようね!(笑)

 【現在正気度】
 崇号:1
 琢磨:1


崇号/……あ、生きてる人だ。久々に、生きてる人を見た……。
GM/生きている人間に出会えた崇号さんは、自分が生きていないこと、死んでしまったこと……その原因を思い返します。湧き上がってくるのは、後悔や恨み。崇号の場合は、後悔でしょう。その後悔を晴らさなければ、自分は一生気が済まない……成仏できないと思えます。
崇号/成仏できない……ずっとここで後悔してる……どうしてこんな所に居るんだろう。
縹/記憶が無いのか?
崇号/……ううん。記憶は……ある。はっきりと、覚えている……。大切な相棒を、助けられなかったこと。あの人を追いかけていたのに、捕らえられなかったこと、それどころか、殺されたこと……全部覚えていて……。
縹/そうか……。
崇号/全部覚えているのが……つらい……。
GM/縹はあるものを発見します。……朽ちて床に落ちた鎖。煤。何らかの儀式の痕。
縹/おや? ……この、鎖は。
GM/そして≪断末魔の叫び≫で見た……男の姿。異端犯罪者エンポニティス。剣菱武蔵の姿。その武蔵に殺された男の怨霊。全部が全部、証拠品ですね!
崇号/アイアム証拠品!
縹/元気な証拠品だなあ!(笑)
琢磨/せめて証言者って言って(笑)
縹/あー、その、俺はある事件を追ってこの廃墟に来た。君の眠りを妨げるつもりはない。君がここに居たいのなら、悪さしないって条件付きだが、大人しくしてるなら必要な調査だけして出ていく。
崇号/……あ。あ、あの。
縹/うん?
崇号/……さっき、何者だ、って訊いたから、僕の名前……たかご、です。ひのもと、たかご。
縹/きょとん。
GM/天然か?(笑)
縹/ああ、そうか、名前ありがとう。俺は鴨頭草 縹だ。
崇号/ひょう……ひょうさん……?
縹/それで話の続きだが、祟号くん。君は俺が追っている事件に浅からぬ関係があるらしい。そして、君を殺した人物とも誠に遺憾だが関わりがある。厭な感じでね。
崇号/……か、関係者……。
縹/なんで、もし君が良ければだが俺の調査に協力してもらえないだろうか。
崇号/……逃げませんか?
縹/逃げる? 協力を申し出てるのはこっちなのに?
崇号/怖い、のでは? 僕、死んでるし……幽霊だし、足、無いですよ……?
縹/おじさんねえ、こう見えて霊媒師なのよ。
崇号/……あの。成仏、どうすればいいか、知ってますか? ずっと……ここでこのまま苦しいままなのは、嫌だから……。
縹/そうだな、一番分かりやすいのは無念を晴らすとかかな。あとは、高位の霊媒師に頼んで浄霊してもらうとか……。
崇号/…………。仲間を守れなかった。それがずっと後悔で……。もし次があるなら、守りたい、そればかりずっと考えていて……。協力、誰かの為になる、それが出来たら、もしかしたら……無念が晴れるしれない、なら……ひょうさんに協力……したいです。
縹/……そう。そういう事なら、協力してもらおうかな。そのお礼として、俺も君の無念が晴らせる協力をしよう。
崇号/……は、はい!
GM/縹さんは崇号さんに近付いて『供給』をすれば、一時的に実体化させることができます。それだけ彼は強い怨念があるという設定です。
縹/必要なら、こっちの伝手……古川と青森のコネを使って浄霊できる霊媒師を紹介しても良い。よろしくね。手を出す。
崇号/……手を出す。ひやりとした手を……。
縹/≪棺の門≫を使用。肉体を持たない存在に実体のある肉体を与える特技です。
GM/特技の使用ありがとうございます。……実体化してそうなほど強い手を掴む。
崇号/……あ……握れた……握ってくれた。
縹/ぎゅっ。調査、協力してもらうなら身体ぐらい用意しないと。
崇号/物理的な手になります。……ぼろっとまた泣いて、ありがとうございます……お力に、なります……って誓います。
縹/うん、こちらこそよろしくね。よいしょ、と座り込んでる祟号くんを立ち上がらせるように引っ張る。
崇号/立ち上がると身長190センチです。
縹/でっか!
崇号/あ、あの……もしかしたら、あっちの部屋。
縹/あっちに?
崇号/あっち、あっち……多分……あっちに……ひょうさん、お願い、ぎゅってして……。ずーりずーりと縹さんを引き摺ります!
縹/あ〜? ずりずりあっちの部屋とやらに引きずられます。犬にリードを引っ張られる飼い主の気分(笑)
崇号/あっち! あっちに……彼女が、いるかも、だから……! ずりずりずり……来てる? ひょうさんほんとに来てる? 定期的に振り返る犬(一同笑)
GM/では、ある部屋に到着! そのとき八重花さんも合流OKです。
縹/祟号くんに引っ張られながら到着……あ、八重花ちゃん。八重花ちゃんの目の前には知らない男と手を繋いでる縹が。
八重花/え!?
崇号/びくっ。
八重花/う……浮気ですの? 私という者がありながら? ちょっと目を離した隙に!?
縹/違うよ!?
崇号/うわき?
縹/もっと違うよ!?
崇号/うわき、でもいいから、あっち……ずりずりずり。
縹/よくないよ!?
八重花/ほらお兄様は認めておりますわよ!?
縹/違うよ! ちょっと! 誤解が誤解が酷い! 引っ張られながら叫ぶ!
GM/ずりずりと崇号さんに連れられた縹さんたちは……琢磨アヴェンジャールームへ来ます。
縹/うわ、ここもまた強烈な負の匂い……。部屋の奥に、何か……誰かいるな。
八重花/……この建物、なんなんですの?
GM/怨霊がいるハウスです。そして冒頭マスターシーンのような怒号の怨念が見える部屋です。
琢磨/誰だッ!?
縹/うわっ!?
八重花/すごい怒ってる!? 敵意むき出しなのですがあ!?
琢磨/ずる、と外れかけたようにぐらつく手足で、一歩、二歩、君達の方へ……!
GM/これ、話の前に戦闘イベントが入りそうなやつだ(笑) 今にも襲い掛かってくる怨霊がいる!
縹/誰か、と言われると……ここを調べに来た探偵だよ。
琢磨/……探偵? 歩みが止まる。
縹/敵意は無い。彼の案内でここに来た。
琢磨/……彼?
崇号/ぁ……う……。八重花ちゃんを盾にしてひょこっと顔を出す190センチ。
八重花/私が盾にされている!?(笑)
縹/こらっ!(笑)
崇号/だってさっき「浮気!?」って強そうな声を出してたから強いかなって……。
八重花/こちらのお兄様かわいい系ですのね。好感度が上がりましたわ。顎とか撫でておこう。
崇号/ごろごろごろ〜(笑) ……あ、あの……。
琢磨/そこに居た顔に、持ち上げようとしていた妖刀の切っ先が、だらりと下がる。……ぼんやりと、憤怒に焼かれていた意識に、記憶が舞い戻る。……タカ?
崇号/……名前を呼ばれて、前に出る! やっと……話せる……。
GM/崇号さんと琢磨さんは、30年ぶりの再会です。
琢磨/タカ、実体はあるようだな。けれども怨霊になっていることは分かる。分かってしまう。……そうか、君も……。
縹/落ち着いたかな?
崇号/その、ここ、出て……ぎゅ! すれば! 行こう!
琢磨/ぎゅ?
縹/説明が不足しすぎだが。
八重花/端的でいいですね(笑)
琢磨/貴方がたは、彼をここまで連れて来てくれたのか?
縹/ああ。俺は鴨頭草 縹。こっちは三田 八重花。ある事件の調査のためにここに来た。君は……どうしてここにいるのか、そんな強い念を抱いているのか、覚えているか?
GM/武蔵にあんなことこんなことされたからです。琢磨は殺意剥き出しですが話自体は落ち着いてできます。
琢磨/……縹と八重花か。なら、名乗らねばならないな。この身は、北斗辺琢磨という。
八重花/落ち着いて見れば綺麗なお姉様ですわ……。
琢磨/覚えていることは……。知りたいのか? 語るつもりはない、好きにしろ。
GM/縹は、崇号の記憶を見たので琢磨の過去も見えました。
縹/いや、すまない。記憶の欠落が無いか確認したかっただけだ。悪かったね。
八重花/見なくとも、きっとつらい過去だったのでしょうね……とだけ八重花は言っておきます。
琢磨/……取り乱した。悪かったな。
崇号/あの。……僕達は、異端犯罪者エンポニティス、剣菱武蔵を追って……やられた。
琢磨/タカの言葉に、瞑目する。深い溜息が肯定だ。
縹/そして俺たちは、その30年後にそいつの関係がありそうな事件を追っている。
崇号/……まだ、いる? あの人が……まだ?
縹/いや、公式の記録では死んでいるよ。……死んでいる、筈だ。
琢磨/記録では、か。なら生きている可能性はゼロではないと?
縹/ああ。君たちはあれと関係がある。琢磨くんにも可能なら調査に協力してほしいんだが……。
崇号/無念、晴らせば、楽になれる、ってひょうさんが言ってた、から。だから……いっしょに。
琢磨/……この身とて渦巻く憤怒と怨嗟をそのままにしておきたい訳ではない。無念を晴らせる機会があるのなら……。
縹/もちろん、あれと関わるのは嫌だ、静かに眠りたいって言うならその意志は尊重しよう。
琢磨/眠れる訳がない。この負を抱えたままでは眠れまいよ。
八重花/お姉様……きゅん。
縹/そうか。なら、君の安眠の協力をさせてほしい。手を差し出します。
琢磨/ああ。我らの無念、晴らさせてくれ。この身も喜んで協力しよう。
縹/助かるよ。実体のない手を握る。
崇号/……ぎゅ、して……!
GM/『供給』で実体化するほどの力が入ります。霊媒師ではない八重花でも普通に人間のように触れるようになります。
縹/≪棺の門≫を再び使用。その手に実感が伴う。
琢磨/灼けつくような陽炎の怨霊体が、普通の人の肌の温度になる。
縹/うん、いい手だ。戦う人の掌だね。
琢磨/それは、戦士として誇らしい言葉だ。礼を言う。
崇号/うん、うん……! でしょ、でしょ……! 彼女が褒められて、自分のことのように嬉しい顔!
八重花/凄い……心強い味方が一気に2人も増えましたわ。
縹/うん。という訳で……2人も怨霊を拾っちゃった(笑)
八重花/また奥様にどやされますわねえ。
GM/縹さんと八重花さんは「今すぐここを出よう」と思う。それぐらいここは恐ろしい場所だ。そしてきっとこの新しい仲間の2人がいれば出られるだろう。だって結界はこの2人が張ったやつだから!
崇号/僕らがやったやつ!(笑) 僕、出口、案内できる……!
琢磨/解除の手順、まだ覚えていて良かった(笑) はずしはずし。
縹/……あ、琢磨くんの周囲にも鎖や煤、魔術の形跡はありますか?
GM/縹さん限定で【知覚】判定で難易度12をしてください。
縹/(ころころ)達成値10。ちょっと足りない……惜しい。うん、また後で調べに来ようか。ここもおいおい浄化してもらわんとなあ。
琢磨/我らがずっと居たからなあ……。
八重花/凄い場所でしたわね。
崇号/えへへ……褒められた。
八重花/凄い場所なんですのよ? お分かりでらっしゃる? がっくんがっくん。
崇号/ほ、褒められてない……!? がっくんがっくんされてる。
琢磨/結構、激しいお嬢さんだな……(笑)
縹/まあまあ、後でここの掃除を手伝ってもらおうね。
琢磨/勿論、手を貸すさ。幾らでも。……出口はこっちだ。
崇号/ぎゅ。縹さんの手を、ぎゅ! 出口まで連れて行く!
八重花/お姉様は格好良くて、こちらのお兄様は可愛い……健康になりますわね。
縹/格好良い系女子と可愛い系男子、バランスが良いな(笑)
GM/そうして君達は外に出た。廃墟を出た先の夜の空気は、まだ負の感情に満たされている。それでも2人は、いや4人は、その負に満たされた街の中で追い求める。事件の裏の裏を――。