アナザーワールドSRS・リプレイ・アウトロウ ファミリア
■ 第1話『ノーゲーム・ユアタイム』 1ページ目 ■
2015年12月5日




 ●プリプレイ

GM/『アウトレイジエリア ver,2』改め、『アウトロウファミリア』第1話セッションを始めます!
一同/よろしくお願いしまーす!
GM/せっかく旅をすることになった円子くんと小夏さんの2人、面白いデータを作っていただいたので戦闘ができる旅行シナリオをご用意しました。
プレイヤー1・にとに子→円子/戦闘をやれるのメチャクチャ楽しみです。魔王様のお使いも頑張ろう!
プレイヤー2・ぷぇ→小夏/魔王様、キャンピングカーありがとうございます! ちゃんとキャンピングカー分は働くよー!
GM/まずはハンドアウトを公開します。相庭脩駕から生まれた2人だからこそできる設定で、魔王の落とし子であり、キャンピングカーで旅をしているということを前提に考えてきたシナリオがこちらです。



 アナザーワールドSRS シナリオ名『ノーゲーム・ユアタイム』



【レギュレーション】
 『4版』ルール使用。キャラクターレベル6で開始。
 『アウトレイジエリア ver.2』を終了し、全国各地を渡っている間にN市を訪れたという設定からスタートする。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:『ユウメイイスタディオの禁書』  関係:自由
 11月19日。君達は援助者である魔王から依頼を受けた。
 「11月5日、物聞山(ものきき・やま)にて『ユウメイイスタディオの禁書』に記されているという黄金色の光が確認された。禁書を回収してきてくれないか」
 物聞山なら1日もかからず行ける場所ではないか。君達は伊香保温泉へ向かった。
▼セカイのイベント:禁書を探す
▼コネクション:『ユウメイイスタディオの禁書』

 光と生命を司る神ユウメイイスタディオの秘術について記された魔導書。
 詳しくは、「追加ライフパス特技〜神の能力一覧」参照。
▼公式NPC:魔王
 君達のパトロン。異端の頭領であるが、人間とは中立の立場を保っている。
 世界各国様々な禁書を所有しており、また、新たな秘術を常に探し求めている。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:(宿屋の子供)  関係:好意 or 友情

 11月20日。君達はとある民宿に泊まることになった。
 豪華なホテルではないがゆったりと過ごせる雰囲気の良い民宿で、その子供に出会った。
 「久しぶり! まさか会えるとは思わなかった、いっぱいお話がしたい!」
 ……元の体の持ち主と仲が良かった子供を、無碍にすることはできなかった。
▼セカイのイベント:子供を無碍にしない
▼シナリオNPC:(宿屋の子供)

 年齢は10〜15歳ほどの、民宿の女将の子。名前、年齢、性別、大まかな性格は相談で決定すること。
 君のもとになった人間と親しい関係だった。

【その他】
▼NPC:ひなた
 10歳の女の子。最近レベルアップをして[世界遣い/イレギュラー]レベル3になった。
 ≪+50イタズラ≫を仕掛けてくる元気いっぱいの女の子。超越的存在ルージィルとはたびたび連絡を取り合うお友達になったらしい。
▼NPC:カオル
 50代の男性。キャンピングカーの運転手をつとめる一般人。
 趣味の≪+50文学才能≫のおかげか、伊香保温泉のことは詳しい。


 プレイヤー同士の相談の結果、PC1ハンドアウトを小夏、PC2ハンドアウトを円子が担当することになった。

GM/舞台は、群馬県にある伊香保温泉です。……私とぷぇが所属している大学TRPGサークルの合宿所として毎年行っていて、私の出身地でもあります。いつか「自分がGMするセッションで伊香保舞台のシナリオをやりたい!」と思っていたので、ここでやらせてもらいます。
小夏/おおー、伊香保が舞台だ! 何度も遊びに行ったから凄くイメージしやすい!
円子/私は行ったことはないんですが、実際の土地を舞台にするのは判りやすくていいですね。
GM/『デスエデュケーション』という卓でも伊香保舞台の『AW』をやらせてもらったんだけど、GMとしてもここを使ってみたいって思っていてね。イメージをもっと湧かせやすくするために、以前後輩に作ってもらった『伊香保シーン表』を使わせてもらいます。

2D6 伊香保シーン表
2 清廉な気配が漂う川沿いの道。登っていくと、源泉に辿りつくらしい。
3 石段街。様々な店が観光客で賑わっている。
4 うどん・ラーメン屋の中。店主は熱心に名物水沢うどんを薦めてくる。
5 遊技場で射的にチャレンジ! ごちゃごちゃと並んだおもちゃが景品のようだ。
6 歩き疲れた観光客を癒す足湯。PC達も一時の休息を得る。
7 伊香保ゆかりの芸術家達の作品が展示された美術館。入館時にはポストカードが貰える。
8 竹久夢二 伊香保記念館。アンティークのオルゴールが心地良い音色を届けてくれる。
9 馴染みの宿の中。レンタルの浴衣と下駄を身につけた宿泊客とすれ違う。
10 みやげ物店で何を買おう? 湯の花饅頭は何個入りならば足りるだろうか。
11 ロープウェイの乗り場。晴れていれば、伊香保の街が一望できるが。
12 石段を登り切った先にある伊香保神社。おみくじで吉凶を占うこともできるし、東屋で休息を取れる。

GM/前回のセッションから1レベル上がったので、自己紹介をしてもらおうかな。PC1ハンドアウトを選んでくれた小夏さんから!

小夏/キャラクター名、美淑 小夏(みよし・こなつ)です。食い意地が張ってPC1になりました! だってユウメイな禁書を食べられるかもしれないんだよ!?
GM/いや、食うなよ。回収してくれよ。せめてコンビニで複写した後に食べてくれ。
小夏/コンビニでコピーしていいのかな!?(笑) [感応力師]を3レベルまで上げて、≪念動障壁2≫と≪掌の君≫を取り全体的に固くなりました。頑張って禁書を探すよ!

 美淑 小夏(プレイヤー名:ぷぇ)
 キャラクターレベル6:クラス[感応力師3/狂戦士1/異端者2]
 聖職者より、主特技≪念動障壁2≫ 、副特技≪掌の君≫を取得。

円子/キャラクター名、円子 慎也(まるこ・しんや)です。[異端者]が4レベルになって≪麗しき犠牲の盾≫と≪異常鉱物≫を取りまして、モブを作成して庇わせることができるようになりました。
小夏/さらに固くなったな。
GM/作成するモブの形状ってどんなの?
円子/狐ですね。狐3号を作って、主にひなちゃんを庇ってもらうことにします!
GM/大きさはピカチュウぐらいかな? それならずっとひなちゃんがぎゅうって抱いてることにしよう〜。

 円子 慎也(プレイヤー名:にとに子)
 キャラクターレベル6:クラス[魔術師2/異端者4]
 異端者より、主特技≪麗しき犠牲の盾≫ 、副特技≪異常鉱物≫を取得。

GM/今回から、ひなちゃんがGMが動かす半NPCですがプレイヤーキャラクターとして昇格しました。ちゃんと数値のあるキャラシで参戦します。キャラクターレベルは3からスタートですが、2人のサポートをします。
小夏/≪星の息吹≫で、セットアップで回復する手段を持っているんだね、凄い!
GM/キャラロールはGMが担当しますが、ダイスロールはプレイヤーさんがやってもらいます。ファンブルを無かったことにしたり、GMに直接質問をしたり、戦闘不能になった人を蘇生することができるので困ったときに使ってあげてね。
円子/俺達の妹がとても心強いぞ!(笑)

 ひなた(プレイヤー名:マーサー・NPC)
 クラス:[世界遣い2/イレギュラー1]
  体力:12(+4)  反射:12(+4)  知覚:12(+4)
  理知:11(+3)  意志:12(+4)  幸運:15(+5)
  HP最大値:18  MP最大値:18  正気度:7
重要キーワード:人ではないもの  背景:(3人)家族がいる
特徴:保護動物的である  ボーナス効果:≪L:特技取得・蘇生薬≫
職業:こどもの人格  性別:女  年齢:10
 スキルウェポン→なし
 世界遣い→≪星の息吹≫ ≪運命の予感≫ ≪リライト≫
 イレギュラー→≪ソウルデバイス≫ ≪トリックカーズ≫ ≪オールラウンド≫
 一般特技→≪+50イタズラ≫ ≪蘇生薬≫

GM/さて、今回登場するNPCの設定をお聞きします。PC2ハンドアウトに登場する『宿屋の子供』の設定を教えてください。
円子/名前は、今野 勇太(こんの・ゆうた)くんにしました。円子の肉体である斎藤初実くんが仲が良かったという、元気な男の子です。ひなちゃんが小学生なので、中学生ぐらいがいいかな?
GM/じゃあ中学1年生13歳。まだランドセルを背負っていた頃が抜けてない感じの、幼い子にします。
小夏/名前的にホビーアニメの主人公みたい(笑)
GM/うん、中学生になったけどまだまだガキンチョな『妖怪ウォッチ』のケータくんのイメージだな。頑張り屋さんで、可愛い女の子は好きだけどまだ恋愛もしたことないような子でいきます。お家である民宿のお手伝いを元気いっぱいしています。
円子/仲良くなれるといいなぁ。
GM/きっとなれるよ。……それでは、早速第1回『アウトロウファミリア』始めていきましょう!


 ●オープニングフェイズ1/小夏 〜悪夢と依頼〜

GM/オープニングはPC1の小夏さんから。円子くんも一緒にシーンに登場してもらうけどね。君達は今、畳の間にいます。
小夏/うん?
GM/そして大量の蜘蛛に囲まれています。
小夏/え。
GM/君達を取り囲むようにぐるっと、大きさ2メートルぐらいの蜘蛛がいっぱいいます。
円子/でっか!?
GM/時刻は真っ暗の深夜。電気が点いていないけど奴らが蜘蛛だと判る。何故なら蜘蛛の赤い目が全員を照らし合って大量だということを知らせてくるから。
小夏/うわあ! 嬉しくないライトアップ!?(笑)
GM/戦闘を始めます。(言いながら、戦闘マップとポーンを配置し始める)
小夏/早ぇ!? ホットスタートかよ!
円子/えっ、マジでもう戦闘開始ですか!?(笑)

【戦闘マップ】
 エンゲージ1:円子、小夏、ひなた
 (↑5メートル離れている↓)
 エンゲージ2:蜘蛛×4

【行動値】
 蜘蛛×4:15
 小夏:12
 円子:10
 ひなた:5


円子/ひなちゃん大丈夫かな、蜘蛛がいっぱいいるけど……!?
GM/(ひなたになって)「びえーっ!」
小夏/怖いよね! そりゃ怖いよね!(笑)
GM/敵は蜘蛛A〜Dという名称ですが、4体ではなく、1体につき5〜10匹のトループを表現しています。この戦闘は1ラウンドのクリンナッププロセスまでPC達が生き残っていれば終了です。戦闘で敗北すると後々のミドルフェイズでペナルティが発生します。
小夏/ふんふん、生き残ればいいんだね! 小夏は≪生体侵入≫をします。円子、ごめん失礼する! にゅるっと円子の中に入る!
円子/構いませんよ。円子は≪異常鉱物≫でモブである狐3号を作成します!
GM/狐がコーンと1匹、円子くんの隣に出現。蜘蛛はセットアッププロセスには何もしないのでそのままメインプロセスにいき、4匹とも全員≪落下する光≫で4連発攻撃をします。
小夏/やめろ。

 ≪落下する光≫
 全体攻撃を繰り出す[世界遣い]のスキルウェポン。
 命中判定前に1D6を振り、1が出たらシーン内の味方全員に、2〜5が出たら敵全員に、6が出たら使用者のみに物理ダメージを与える。


小夏/自滅しろ! じーめーつ! じーめーつ!(笑)
GM/(ころころ)蜘蛛Aは全体に攻撃だ。命中は……20! 2メートル近い蜘蛛がドドドと押し寄せてきます。
円子/め、命中高いな!? ひなちゃんに当たったらモブに庇わせます! 行け、狐3号!(笑)
GM/庇ったらモブは消滅するけど、おかげでひなちゃんは無事になるね。
小夏/大丈夫、狐3号は3コマ目には元通りだから!(笑)
GM/なお、1D6で1が出たら蜘蛛達は辺り一面、自分達を共食いし始めます。
小夏/え、えぐいなぁ……!

 続けて蜘蛛B、蜘蛛C、蜘蛛Dと押し寄せる大群……。
 多くの蜘蛛達が一斉に襲い掛かり、敵味方関係無く食い始めるという地獄。そんな中を、3人は回避し続けた。


GM/……クリンナッププロセス終了。以上で戦闘を終わりにします。
小夏/はぁー……本当に生き残り戦闘だった……。
円子/でも円子の≪鬼の肌膚≫があるのでなんとかなりました。生き残り戦闘には強いです。
GM/小夏さんの≪生体侵入≫と円子くんの≪鬼の肌膚≫のコンボはなかなか面白いし強いよ。戦闘テストプレイは味わえたかな?
小夏/はーい、良いお試し戦でした(笑)
GM/初戦闘をする意図もあるけど、もちろんオープニング演出も兼ねてるよ。……襲いかかってきた蜘蛛達は自分達すら食い散らかしている。畳の上は蜘蛛の赤い体液でまみれていきます。
円子/ひ、ひなちゃん……あんまり見ない方がいい……。
GM/目を覚ましてください。君達は夢を見ていました。
円子/えっ。
小夏/ハッ。……むくり。
GM/そこは君達の住処であるキャンピングカーの中。車の中に備え付けられている二段ベッドで眠っている2人は、同時に目を覚まします。
小夏/あんな夢を見ていたら飛び起きるよね。……で、車の中の二段ベッドだから天井が低くて頭をガンッてぶつける!(笑)
GM/そのガンッという音に、運転をしていたカオルさんがビクッと驚きます。運転席からカオルさんの「だ、大丈夫かーい?」という声がする。
小夏/い、いってぇ〜。す、すみません大丈夫です。額を摩ってます。
GM/カオルさんは運転中だったキャンピングカーを、コンビニの駐車場に停めます。「どうしたんだ2人とも。いきなり飛び起きて」
円子/す、凄く夢見が悪くって……。
小夏/えっ。……円子も?
GM/ならカオルさんは「朝食を食べて元気を出さないとかな。コンビニで朝ご飯を買ってくるよ」と車を降りていきます。
小夏/い、行ってらっしゃーい。……円子、お前も見たのか?
円子/夢の中で、蜘蛛がワラワラいました。……ひ、ひなちゃんは!?
GM/ひなちゃんはびえーって泣いてます。(ひなたになって)「狐3号が死んだー!」
小夏/き、狐3号は不死身だよ!(笑)
GM/めそめそと麗しき犠牲の狐をフカフカギューって抱いています。「……夢? あれ? お兄ちゃん達もひなたと同じ夢を見たの?」
円子/そうみたい。不思議だけどそういうこともあるんだね。
GM/「こういうことってあるんだね。……本当にあるのか訊いてくる!」 ひなたはお布団を頭から被ります。
円子/え?
GM/チッチッチ、ポーン。ガバッとお布団を退けて「あるってー!」
小夏/誰に訊いたの!?(笑)
GM/「金色の髪で緑色の目をしたルーさん!
円子/ルーさん!?(笑) そ、それって……俺達を助けてくれた人かい?
GM/「うん! 『変なことがあったらなんでも聞いてください』って言ってくれてたの。だから訊いてきたよ! えっとね、難しい漢字を使うとあれって『予知夢』ってやつなんだって!」
円子/予知夢か。……待て待て待て。
小夏/それ、これからあんなことが起きるってことなのか!?
GM/「うん。……怖いっ!
円子/ごめんっ!(一同笑) 大丈夫だ、ひなちゃん! 君は狐2号だ、だから大丈夫なんだ!
GM/「そうだね、狐2号は強いー!」 そう話しこんでいると、コンビニで朝ご飯を調達してきたカオルさんが帰ってきます。(カオルになって)「ほら、片付けてあるちゃぶ台を出して。朝食の用意をするよー」
小夏/はーい。ちゃぶ台と座布団を出して、お茶を淹れまーす。
GM/君達が住処にしているキャンピングカーにはIHコンロもあるし、水道もある。狭いワンルームアパートのキッチンぐらいのスペースはある。だからお茶だって淹れられるし、ちょっとした調理だって可能だ。……凄いよな、キャンピングカーって。
小夏/凄いよね、めっちゃ快適だ(笑)
GM/快適に朝食を楽しめるよ。先ほどのオープニング戦闘に勝利した君達は、【正気度】減少や何かのペナルティが起きることもなく、朝を過ごすことができたのでした。
円子/良かったー。朝のお茶が美味しいー(笑)
小夏/朝だから薄めの文庫本を食べる。
円子/古本市とかでいっぱい買いつけておいたんですね(笑)
GM/小夏さん以外はちゃんと野菜のある健康的な朝食を食べるよ(笑) 最近はコンビニでも野菜を売ってるからちょっとしたサラダを作って、電子レンジで温めた白米と納豆とインスタントの味噌汁をどうぞ。飲みたい人は牛乳やバナナジュースを選んでね。
小夏/蜘蛛は気持ち悪かったけど、特にペナルティも無いし……なかなか良い朝で良かったー。
GM/さて、今日は11月19日。これからの予定は、N市に在住しているという……君達のパトロンに会いに行きます。何か頼まれ事があるそうなので、関東地方を通りかかった君達はお昼頃に魔王と呼ばれる男性と面会する予定です。待ち合わせ場所はいつもの喫茶店とかかな?
円子/魔王様のお家には行けないのか。
小夏/魔王の家って禁書がいっぱいあるんだよ。お腹が空いて話どころじゃなくなっちゃうよ!(笑) だから喫茶店待ち合わせで!
GM/約束の場所に到着するととある席に赤い髪の男性が座っています。……一応名前を出しておこうか、彼の名はアクセンといいます。
小夏/イエッサー、魔王様!(笑)

 アクセン
 目立つ赤い髪をした、大柄で年齢不詳な男性。
 過去の文献や世界各国に遺された禁書を研究しているため、『教会の資料』製作に携わっている。
 その正体は吸血鬼の真祖(生粋の吸血種)であり、異端を束ねることができる魔族の王の一人。現在は訳あって、人々を苦しめる異端側ではなく、人間達の守る教会側に協力している。


GM/「ああ、久しぶりだな」 来るまで読書をしていた彼は、君達を快く迎え入れ、目の前の席に座るように言います。
円子/お久しぶりです!
小夏/お久しぶりです。貰ったキャンピングカー、凄く使い心地良くって満足してますー!(笑)
GM/良い笑顔だ。そんなの見せられたら気分も良くなるよ(笑) 「滞りなく過ごせているなら何よりだ。早速だが話をしてもよいかね?」
小夏/はいっ! 何でしょうか?
GM/「今から2週間ほど前の11月5日。群馬県にある物聞山にて怪しい光が目撃された」
小夏/山で……怪しい光?
GM/「山全体を覆うような一瞬の黄金色。私の配下が解析した結果、おそらく『ユウメイイスタディオの黄金の光』ではないかという意見が出た」
円子/ユウメイって……神様の名前ですよね?
GM/光と生命を司る神ユウメイイスタディオ。赤と金色の翼を持つ鳥の姿として描かれる、この世界『ゼフィロス』の神の一つ。能力を行使するとき、黄金の光を発するという」
小夏/神様の光がしたってことは……神様が力を使ったってこと?
GM/「まさか神が降臨したとは思えない。考えられるのは、『ユウメイイスタディオの力を記した禁書が使われた』ぐらいだな。神の力を記した魔導書があるのは知っているが、実は私もまだその禁書を見たことがない」
小夏/魔王様も見たことがない禁書。ジュルリ!
GM/もう涎が出ているような顔をしているな(笑) 「そんな場所に原本があるとは思わないが、複写だとしてもお目にかかりたい。……何が言いたいか判るか?」
小夏/つまり、探し出してアナタに提出しろってことですよね。コピーは取っていいですか!?
GM/「私が確認した後なら構わん。やろう」
円子/いいんですか!?
GM/あくまで魔王の興味本位であり、読みたいだけだから断ってくれてもいいよって言います。もちろん手に入れられたら報酬を払うけどね。……小夏さんってどういう味、どういう本が好みなんだっけ?
小夏/ジャンルは問わず、人間の負の感情を描いたドロッとした内容の本を食べるのが好きです。好きな味は、夢野 久作です!
GM/アクセンはスッと一冊の本をテーブルに乗せます。……1935年刊行の『ドグラマグラ』初版本で良ければ前金としてお納めください。
小夏/あああああああああ!? 前金!? 受け取った! 丁寧に受け取った! 返さないっ!(一同笑)
GM/円子くんには……「そろそろクリスマスだな、食べたいケーキを選びたまえ」と、クリスマスケーキのカタログを差し上げます。来年のおせちカタログとセットで。
円子/やったぁー!? ありがとうございます! ケーキだ! おせちだ! みんなで食べよう!
小夏/つまりこの依頼を受けたら年末の支援をしてくれるということですね!? わーい! ありがとうございますー!
GM/こいつら安すぎじゃね?(笑) ざっくりと三行で説明するなら、「物聞山で神の光が見えた」「禁書を探してこい」「見つかったら年末保障してやる」です。「ああ、しまった。すまない、先に報酬の話をしてしまったな。こちらを渡しておくべきだった」 現金20万円が入った茶封筒を渡します。
円子/……え?
GM/「物聞山の近くには温泉街がある。観光地として栄えている場所だ。そこへ調査に向かうのだから旅費としてこれぐらいは必要なのだろう?」
円子/か、観光まで支援してくれるんですか? お土産は何がいいですかっ!?(笑)
小夏/伊香保っていうなら湯の花まんじゅうと水沢うどんかな!?
GM/この卓、あったけえな。
小夏/異端一家、あったけえだろ!(笑) やったー、伊香保の旅だー。温泉だー!
円子/この20万はカオルさんに預けていいですか?
小夏/いいっす! カオルさんに預けるのが一番安心だからね、カオルさんだもん!(笑)


 ●オープニングフェイズ2/円子 〜再会と不安〜

GM/早速、伊香保の地を踏みましょう。……魔王と別れた後の夜は、20万円のおかげでちょっと豪勢な夕飯を食べました。君達が寝ている最中にカオルさんが車を走らせてくれているので、翌日11月20日の午前中には山奥の温泉街に到着します。
円子/先に20万を使っちゃうんだ(笑)
小夏/ガストじゃなくてジョナサンで夕食だ。しかも1人2品も注文できるぞ!(笑)
GM/君達がちょっと遅めの朝に起床して窓の外を見ると、揺られるキャンピングカーから「伊香保温泉にようこそ」という看板が見えました。なかなか良い天気です。
円子/おー、大自然! みんなでロープウェイを乗るのも良いですね。上から見れば何か判るかもしれないし。
GM/カオルさんは「まずは観光案内所に行こうか。そこで今日の宿を探そう」と車を走らせ、大きめな駐車場に停めます。民宿を探そうとしていると……男の子が円子くんの背後にやって来ます。
小夏/ん?
GM/背後にやって来て、突撃カンチョー!
円子/わあっ!?(笑) 間一髪で飛びのきます!
GM/「なんだよ気付いちゃったのかよー!?」
円子/え。えーと……君、誰?
GM/「誰って……判らないのかよ、悲しいなー!」 笑いながらわざとらしく言います。「初実、オレのこと判らないのかよー!」
円子/えっ。
小夏/あ。……それを聞いて、ハッとします。
GM/「勇太だよ! 今野 勇太! でっかくなったから判んなかったかー!」と150センチ以下の男の子がエッヘンと笑う。「お面を被っているデカブツが一人も二人もいてたまるか!」
円子/斎藤くんもお面を被ってたの!?
GM/斎藤くんの体を相庭 脩駕の魂が借りたんだから、狐面を持っていたのは初実くんの方だと思ったんだけど……?
円子/そっか(笑) え、えっと、ゆ、勇太くんかー。……斎藤くんの脳味噌から知識を取り出そうとしますけど?
GM/……彼の名前は、今野 勇太。斎藤 初実と親しかった年下の友達。毎日のように遊んだけれど、斎藤くんが高校進学のためこの街から引っ越したことがキッカケで離ればなれになったという、旧友です。
円子/……旧友……。
GM/つまりは斎藤くんはこの近くの神社で化け狐を食べちゃったのかな? その神社はこのセッションには出てこないんだけどね。……勇太くんはとても元気な性格で、人前でカンチョーをするようなちょっと品の無い悪ガキ坊主です。今は中学1年生の筈。ちなみにお家は民宿を経営しております。
小夏/中学1年生にもなってカンチョーするのかよ(笑)
GM/まだコロコロコミック派のガキンチョよ。「旅行に来たのか? パンフレットを見てるってことは泊まるところ探してるの?」
円子/そう! 今日、君の家の民宿って泊まれたりする?
GM/「いけるに決まってるだろ!」
円子/小夏さん、カオルさん! この子は……俺の昔の友達で、今野 勇太くんです。お家が民宿をやっているんですよ。
小夏/おおっ。カオルさん、良い民宿が見つかったよー!
GM/カオルさんは「オススメがあるならそこに行かせてもらおう」とOKします。勇太くんは大人である小夏さんとカオルさんを見て、シャッキリ気をつけをします。
小夏/そんなシャキッとならなくていいよー。オレは美淑 小夏っていうんだ。よろしく。
GM/「今野 勇太、13歳! 中1ですっ!」
小夏/もっとラクにして喋っていいからなー(笑)
GM/さらに勇太はひなちゃんを見て、「女だ……!」という顔をします。ひなちゃんが太陽のような全開の笑顔を向けると、ドキドキと照れて……「今から母ちゃんに連絡してくるから!」とダッシュでお家に向かいました。
小夏/面白い奴だなー(笑)
GM/1分後には「母ちゃんOKだって!」って戻ってきます。
円子/早いな!?(笑) そんなに近い所にあったっけ!?
GM/早速ですが4名様は、中央地から少し離れた小さな民宿に案内されます。円子くんの手を引っ張って「こっちこっちー!」と連れて行こうとします。
円子/おっとっと! そんなに急がなくっても民宿は逃げないだろ!?
小夏/小学生気分が抜けてない奴だね(笑)
GM/到着した民宿は、一流ホテルと比べると見劣りするかもしれません。だけど雰囲気の良い、小ぢんまりとした可愛らしい民宿だと思います。
小夏/へー、良いとこじゃん! 落ち着ける感じの場所だな。
GM/「へへへー、良いとこだろ!」 円子くんの体は、懐かしさを感じています。ただ円子くん自身は「知識にはあるけど実感は初めて」なので、気分的には「事前にストリートビューで見ておいた場所に来た」ぐらいでしょうか。
円子/変な感覚だ……。でも話を合わせることができるんだな。
GM/そうだね。……民宿に入ると女将さんことエプロン姿のお母さんが出てきます。「どうも、今日泊まってくれる4名様だね? 『民宿 今水園』に来てくれてありがとね。嬉しいわぁ」
小夏/急にすみません、お世話になります。
GM/お母さんは円子くんを見て「もう射的で遊んで景品でも貰ってきたのかい?」って狐面を見ながら笑います。
円子/いや、これは自前です。
GM/自前かい(笑) 勇太が「いただろ、こいつ!」とお母さんを小突き、お母さんは「アンタの友達全員覚えてる訳ないでしょー」って小突き返している。家族仲はとても良好そうです。
小夏/微笑ましやかー(笑)
GM/「母ちゃんは休んでいてくれよ。オレがこいつらを部屋に案内してくるから。まだ体調が戻ってないんだから無理するなよー」 勇太はお母さんの仕事を奪い始めます。
小夏/あれ? ……お母さん、体調が悪いんですか?
GM/見た限りでは元気そうお母さんは「いえいえ、そんなそんな」と、お客様を心配させないと首を振ります。すると勇太が「母ちゃんは最近まで寝込んでたんだよ! だからオレが頑張らないとな!」と言っちゃいます。
円子/そっか……大丈夫かな、仕事を増やしちゃって。
小夏/急に来ちゃったんでお気遣いなくー。
GM/「むしろ来てくれなきゃ商売なんねーよ!」 勇太はみんなの荷物を奪うようにして持って、本日泊まる部屋まで案内しました。通されたお部屋は綺麗な和室で、4人が寝るには申し分ない大きさです。
小夏/わあ、すごーい……。
GM/円子くんと小夏さんはこの和室に覚えがある。
小夏/あ。
円子/あ。……た、畳の部屋、かぁ。
小夏/……蜘蛛の巣とか無い?
GM/無いよ、綺麗な民宿だもの。カオルさんは勇太くんに部屋の鍵を貰ったり、お宿の料金の話をしたり、料理やお風呂の話を聞きます。……さて、これからミドルフェイズが始まります。ひなちゃんは円子くんと小夏さんについて行きますが、メインの行動権を持たない付属品として扱ってください。
小夏/ひなちゃんは装備品なんだ、可愛い(笑)
GM/民宿で休んでいるカオルさんは特に何もしません。GMはカオルさんを狙って意地悪をするようなことはしないので、安心して探索をしてください。
小夏/カオルさんは長時間の運転で疲れているでしょう? 休んでいてください!
GM/「君達はせっかくの青空なんだから外で遊んでくるといい」と外に出ることを薦めてくれるカオルさんです。勇太くんは、民宿のお手伝いをしています。女将さんであるお母さんでなくても施設や温泉、周囲の観光案内までベラベラ話せるぐらい仕事はできる子のようです。
円子/凄いなぁ、勇太くん。お手伝いをいっぱいしてたんだね!

【AF判定リスト】
※『契約』はミドルフェイズ前に可能。ミドルフェイズ中ではマイナーアクションで可能とする。
※『供給』は1シナリオに1回まで、マイナーアクションで可能とする。
※協調行動は全て難易度10とする。

『AF判定:今水園で過ごす』
  ・使用能力値:【理知】
  ・難易度:20
  ・ラウンド制限:なし

※「宿で過ごす」演出に成功すること。成功した場合、今水園である物を発見する。
※協調行動OK。

『AF判定:物聞山の調査』
  ・使用能力値:【知覚】【意志】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

※「物聞山での情報収集する」演出に成功すること。成功した場合、山の中である物を発見する。
※協調行動OK。

『AF判定:文献あさり』
  ・使用能力値:【理知】【幸運】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

※「記念館や資料検索」の演出に成功すること。成功した場合、文献から情報を得ることができる。

『AF判定:伊香保温泉街探索』
  ・使用能力値:【体力】
  ・難易度:20
  ・ラウンド制限:なし

※温泉街を探索する演出に成功すること。成功した場合、ある人物を発見する。
※協調行動OK。


小夏/円子と小夏は、前回のセッションで円子マスターで『契約』していたのでそのままでいこう。新たにサーヴァントがひなちゃんで、小夏をマスターとして『契約』します。円子の中にいる限り戦闘不能になることはないんで、ひなちゃんの令呪はずっと使えるようになるだろ。
GM/(ひなたになって)「せんせー、お願いしまーす! ぎゅーっ!」
小夏/ぎゅっ、がしー! 『契約』完了しました!(笑)
GM/キャラクターシートに名前を書いてあげてください。(ひなたになって)「小夏さんは、狐面をつけないの?」
小夏/オレも?
円子/つけましょうよ! 小夏さんも! 狐が増えたぞヤッター!(笑)
小夏/……じゃあ、色違いで赤い狐面を(笑)
円子/ハーフとフルフェイスどっちがいいですか?
GM/どっちもあるんだ!?(笑)
小夏/……フルフェイスかな。初心者なんでフルフェイスで(笑)
円子/小夏さんと出会った頃は「視界が狭い」とか「苦しくて嫌」とか言ってたのに、嬉しいなぁ!
小夏/いや、顔につけないで後頭部につけるだけだよ(笑)


 ●ミドルフェイズ1/円子 〜捜索と発見〜

円子/まずは、物聞山の調査からいこうか。

『AF判定:物聞山の調査』
  ・使用能力値:【知覚】【意志】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

※物聞山での情報収集の演出に成功すること。
※協調行動OK。


GM/せっかくだからシーン表を振ろうか?
円子/はい(ころころ)えっと……9です。

 シーン表9:『馴染みの宿の中。レンタルの浴衣と下駄を身につけた宿泊客とすれ違う』

GM/民宿は満席ではないけど、他のお客さんが数人いるようです。浴衣のお姉さん達が「安くて穴場だったねー」「良い天気だから足湯でも行ってみる?」なんて話をしているのが聞こえてきます。
小夏/せっかくだからオレらもレンタル浴衣を着ようか?
円子/そうですね。ひなちゃんもカオルさんも一緒に着よう! 宿に用意されてますか?
GM/ご用意があるよ。勇太くんのお母さんがひなちゃんに子供用の着付けをしてくれます。これで狐面が目立たなくなるな(笑)
小夏/浴衣姿の立ち絵だー! ひなちゃん可愛い! しかもオレ達も浴衣を着たら狐面がしっくりくるね。ここまで来たらカオルさんにも狐面を渡す?
円子/か、カオルさん、どうですか!? そっと狐面を渡します。
GM/「貰おうか。これは大事にしまっておくよ、汚したら困る物だし
小夏/あ、つけない!?(笑)
GM/「後でみんなで写真を撮ろうなー」 そんな感じで君達は調査に向かいます。協調行動が可能だけど、円子くんは何の能力値で判定をするつもりかな?
円子/【意志】で振ります。
小夏/なら【意志】で10を出せば協調行動ができるな。せーの!(ころころ)達成値11で成功です。
GM/小夏さんの協調行動が成功したので、一緒に探索することができるようになりました。……どうやら魔王の話によると、物聞山に光ったらしい。山の上には神社、そこに続く長い石段沿いに温泉街になっているから、つまりは観光地から離れた山に登らなきゃいけないです。
円子/山に行きましょう。≪野獣の鼻≫で異常があったかどうか察知します。
小夏/森の中に入るなら、迷子になったら困るし≪魔印≫をつけておこうかな。異能GPSでこれで安心!(笑)
円子/狐面は≪飢えし甲冑≫相当のものです。みんなに渡せたので円子はめちゃめちゃ満足しています。
GM/みんなお揃いになったしね(笑)
円子/≪魔の感知≫で山全体を見ます。光輝いていたなら魔力の反応がありますよね? 森の中に入って獣道を歩いています。枝が危ないな、≪鬼の肌膚≫でビシビシと弾きます。
小夏/≪念動障壁1・2≫で補助します! これで万全! ≪単一化≫で伸ばした【幸運】と≪強化手術:幸運≫で、偶然にも何かがないかを探します。
GM/その頃、ひなちゃんは……って、あれ? ひなちゃんのキャラクターシート、どこ?
円子/あれ? そっちのテーブルにありませんか?
小夏/さっき見てたけどGMに返したつもりだったよ。
GM/……あれ? あれあれ? ひなちゃんが迷子?(笑)
円子/えっ!? ひなちゃんどこ行った? 探そう!
GM/…………ああっ、ごめんなさい! GMの色んなシートの中に紛れてました! 迷子になったひなちゃん発見です!
小夏/良かった! 怪我はない!? ≪過去視≫と≪最奥の記憶≫でひなちゃんが無事かどうか確かめるよ!(笑)
円子/≪異常鉱物≫の狐さんを作って、ひなちゃんにつけておこう!(笑)
小夏/さらに≪掌の君≫で補強します。過保護だ!(笑) ……それとお腹が空いてきたので、耳につけているUSBメモリーを咥えています。≪暴食≫+≪食鬼≫の演出です。
GM/それ、非常食なんだ?(笑) 2人で特技を14個使ったので、難易度が28も減って『現在難易度:2』になりました。
円子/これで判定いきます! 【意志】なら5もあるから平気!(ころころ)……あぶね、でも≪魔の感知≫の効果を足して、達成値16です!
GM/OK、判定成功です。円子くんが≪魔の感知≫で魔力の気配を辿りつつ、小夏さんが幸運的にもあるものを発見しました。……木々が生い茂っている中を抜けて、光のあった中心地、森の中には小さなお稲荷さんの祠がポツンとありました。
円子/狐か! 居心地が良いな(笑) 祠に近づいてみます。
GM/祠は砕けていたり、飾りが取られていたり、倒されていたり散々なことになっています。
小夏/……荒れてる?
円子/それは自然に時が経って廃れてしまったのではなく、人為的に壊されたようですか?
GM/「ここ最近、ハンマーで砕かれたのではないか」と思えます。
小夏/ひゃあっ。神も仏もねー奴がやったのか。
円子/酷いことをする人もいるなぁ……。砕けた狐さんを何とか戻そうとします。
GM/ここで器用さを表わす【反射】か、修繕する知識を持っていることにする【理知】判定難易度12に成功すれば、壊れた祠を修復できます。
円子/なんと。(ころころ)11……足りない!
小夏/(ころころ)あ、こっちも1足りない!
GM/どっちも失敗だね。「砕かれた物は直せないな」と君達は思った。
円子/ど、どうしよう……令呪を使うか?
小夏/つ、使ってもありだとは思うけど……。
円子/……あっ、GM。ひなちゃんが≪運命の予感≫を持っていましたよね! それを使って「令呪を使ってでも直すべきか」を訊いていいですか?
GM/いいですよ。……答えは、イエスです。直しておくとこれから起きるイベントで最悪の状況を回避できるでしょう。
小夏/わざわざAF判定で提示された場所でのプラス要素があるんだ。使ってしまってもいいと思う。
円子/じゃあ……せっかくなので使いますか。小夏さんに令呪を使用。達成値をプラス20します!
小夏/ありがとう。≪肉体復元≫の能力を無機物にまで及ばせます!
GM/成功だね。令呪を使っての修復は、祠を完全に元通りの形に戻しました。何故だからここでの居心地がとても良くなり、同時に気分も良くなります。
円子/それは……清浄な空気になったってことですか? 流石です、小夏さん!
GM/【知覚】判定をお願いします。
円子/(ころころ)14です。
小夏/(ころころ)6です。
GM/達成値12以上の円子くんがいるね。なら気付く。カサカサカサカサカサッ!
円子/んんっ!? こ、この音は……!?
GM/カサカサカサカサカサッ!
円子/な、何か来ます! みんなを一ヵ所に集めます!
GM/カサカ、サ、ザザザザザッ! ……音の何かは遠ざかっていきます。音の何かは完全にシーン退場して聞こえなくなりました。君達は『とある戦闘』を回避したことになります。
円子/良かった……のかな? これは、祠を直したから何かが現れなかったってこと?
小夏/多分やって良かったことだよ。
円子/……なんだか、このお使いは簡単なものではなさそうですね。
小夏/そうだなぁ、でも魔王様のお使いだしな。納得の顔!(笑)


 ●ミドルフェイズ2/小夏 〜食欲と知識〜

小夏/次は資料検索をしよう! 協調行動はできなくても2人とも手伝ってね。せっかくだからシーン表を振るよ。(ころころ)5。

『AF判定:文献あさり』
  ・使用能力値:【理知】【幸運】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

※「記念館や資料検索」の演出に成功すること。


 シーン表5:『遊技場で射的にチャレンジ! ごちゃごちゃと並んだおもちゃが景品のようだ』

円子/資料館の側に射的ができる場所があったんだ(笑) ひなちゃんが遊びたさそうな顔をしている……。
小夏/じゃ、先にやろっか!
GM/(ひなたになって)「やるー! 【反射】か【幸運】判定で難易度10に成功したら景品が取れることにしよー! ただしセッションには関係無いっ!
円子/なんと!?(笑・ころころ)成功!
小夏/【幸運】なら!(ころころ)11で成功!
GM/2人ともパンパンと見事景品ゲットしました。ひなちゃんの分も判定してあげて。
小夏/ひなちゃん、頑張れ!(ころころ)……8。
GM/ぽしゅっ。すかっ。しょぼん。
小夏/……ひなちゃん! ぬいぐるみを取ったからあげるよ!(笑)
GM/「わーい! ぬいぐるみモフモフ!」
円子/ひなちゃん、良かったねー(笑)
GM/狐3号が嫉妬の目でぬいぐるみを見ている。
円子/……円子がでんでん太鼓を取ったから、狐3号にあげよう(笑)
GM/でんでん太鼓を貰った狐3号はキューンキューンと喜んでおります。ポコポコ、ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ。
円子/うるさいなっ!?(一同笑)
GM/そんな休息を楽しんだ君達は、和やかに観光資料館に向かいます。図書館みたいなイメージで資料検索できるよ。
小夏/よーし、じゃあ資料館に入って……。
GM/ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ。
小夏/シィーッ! でんでん太鼓で遊ぶのは資料館を出てから!(笑)
円子/資料整理ぐらいなら手伝いますよ。古語で書いてあることだったら読めますので言ってください!
小夏/頼もしい。あと、オレがクッキーモンスターになって食いそうになったら止めてくれ。
円子/そうですね、なるべく手荒な真似はしたくないですけど……。
小夏/資料館に入っていきなり早々≪暴食≫+≪食鬼≫で食べようとします。
円子/演出で≪異形の触手≫を使ってダメですって止めます!(笑) 魔王様から貰った本があるじゃないですか!? あれを後で食べましょう!
小夏/≪−50天真爛漫≫で暫くギチギチと暴れています!(笑) でも≪単一化≫+≪強化手術:幸運≫で円子の声が耳に届きます!
GM/……ねえ、せっかくだから小夏さんは【正気度】を減らしてみて。セッションには何も関係無いけど2D6を振って【正気度】が0になるかどうかやってみて。
小夏/(ころころ)はい、ピッタリ0になりました。
GM/止めてなかったら小夏さんはマジで資料という資料を食いあさってました。
円子/全力で止めますよ!(笑) そうだ、口を塞げばいいんじゃないか!?
小夏/ハッ、こんなときのためにフルフェイスの狐面!? 怪しさマックスだけど!(笑)
円子/みんなでつければ怖くないです!(笑)
小夏/落ち着いたところで、さっきのカサカサという音が怖いから2人に≪掌の君≫でやんわりと防御壁を張りつつ、いざとなったら≪念動障壁≫と≪無の射撃≫で戦闘には備えつつ、検索を始めます。
GM/万全の状態だね。
小夏/ついつい本の汚れとかページが折れ曲がりが気になって……さっきの祠を直したのと同じ要領で≪肉体復元≫しちゃう。
GM/おお、なるほど。OKです。
小夏/次は博物館に行こう。博物館来館者の知識も欲しいので、専門家っぽい人に≪魔印≫をつけてから≪生体侵入≫。体内から≪過去視≫や≪最奥の記憶≫で知識をあさります。
GM/これで『現在難易度:4』だよ。[異端者]っぽいなー。
小夏/知識食いの異端ですもの! イケる!(ころころ)達成値15でした。
GM/判定成功だね。君は資料や他人の知識から、伊香保の歴史や逸話を取り込むことができます。……史実とオリジナル設定を混ぜた伊香保情報をご説明しますね。
円子/はい、お願いします。
GM/伊香保温泉とは、群馬県渋川市伊香保町にある温泉です。草津温泉と並んで県を代表する名湯で、365段の石段が温泉街のシンボルです。石段の下には『黄金の湯』の源泉あり、引湯口から各旅館に分湯されています。
小夏/『黄金の湯』? 黄金の光が見えたところに黄金の湯か……。
GM/発見は今から1900年前、西暦100年頃。その名が万葉集にも登場しています。
円子/へえー! かなり昔なんですね。
GM/戦国時代は某武将が療養地として使っていました。怪我をした人をここで癒すんですが、ゲームっぽく言うなら「回復の泉的」な扱いをされていました。温泉に浸かったら【HP】も【MP】も全回復するよ。「何の怪我でも治すという蘇生の湯」。まさしく黄金の名に相応しいものでした。
小夏/……ユウメイイスタディオって、確か生命の神様だったよね?
円子/そ、そうっすね。神様の加護を貰ったんですかね?
GM/うん、そのことが伝説に残っている。「不死鳥の神様が、ここで水浴びをいっぱいしていた。だからここのお湯はそのおこぼれを貰っている」だって。
小夏/あー、それ完全にユウメイさんがここで遊んでいたってやつや(笑)
GM/ちなみにこの不死鳥、遊戯好きで有名です。
円子/遊戯好き?
GM/ゲームが大好きで、何かあるごとにお遊戯やお祭りをしていたようです。もしかしたら遊技場がいたる所にあったりお祭りがあるのも、それが影響してるのかもね。……さて、他にも「色んなアーティストが伊香保温泉を訪れている」とか「温泉まんじゅう発祥の地として有名」とかありますが。
小夏/はい。
GM/負の歴史も持っています。……それは、温泉偽装問題。黄金の湯は、実は10〜20年前に枯渇しました。
小夏/ほ、ほう? そうなんだ?
GM/源泉を使えるのは、一部の旅館のみ。現在は、疑似的な温泉『白銀の湯』が開発されました。でもこれって水道水なんです。
円子/普通に沸かして入れただけですか。
GM/温泉の効力は一応あるんだけど、ご自宅に入れる入浴剤と変わらないね。しかもこれを「本物を使ってます」と言っちゃってたせいでニュースになったこともありました。そんな問題があったため、今は「ここは本物です!」「ここは水道水です!」とちゃんと情報を公開するようになりました。
小夏/へー。
円子/……ここまで探しても、禁書のショの字もありませんね?
小夏/そうだね。本を探しに来たのに肝心の本の話が無いんだよなぁ。……博物館の休憩スペースで、情報交換します。
GM/じゃあ、そんな君達の元に現れる人がいます。浴衣を着て、本やノートを抱えた男性です。「色々とさっきから難しい顔をしているね。学生さんで調べものでもしているのかい?」と尋ねてきます。
円子/え、えーと……そ、そうですね。
小夏/ちょっと名所の歴史を調べているんですよ。
円子/珍しい本があると聞いてきたんですけど、全無くって……。
GM/「珍しい本? へえ、どんなもの?」 ずずいと前のめりにやって来る彼は、馴れ馴れしいというかフレンドリーなタイプのようです。年齢は25〜30歳ぐらいかな? 彼はどうやら≪+50ナンパ≫を持っているようです。
円子/うわっ、ビクビクしちゃう! ≪−50ナンパ≫なのでビビります!(笑) 小夏さんの後ろに隠れます!
GM/女の子であるひなちゃんを見たら「君、可愛いね! お近づきのしるしに」と湯の花まんじゅうをプレゼントします。「もうちょっと大きくなったら温泉デートしようねー」
円子/良かったねー、ひなちゃん。……でもひなちゃんをちょっと遠ざけておきます!
小夏/さすが≪+50ナンパ≫。そしてお兄ちゃんセコムが発動だ(笑) いやー、実は……不死鳥の神様にまつわる本を探しているんですよ。
GM/彼は大きく反応します。「焦らなくてもそのうち探し物は見つかるさ。それと、気を付けなよ」
小夏/……気を付けろ、ですか?
GM/「伝説を調べていると、伝説の方が近寄ってくるもんだからさ」
小夏/深淵を覗く者は深淵に覗き込まれる……的な?
GM/「そうそう、そういうやつ。神様は自分にアプローチをしてくれた子を無碍にはしないもんさ。『お、コイツ、オレに興味あるんだな』って思ったらあっちから近寄ってくるもんだよ。だから焦らなくったって今判らなくてもいずれ判るようになるって」
円子/へー……。
GM/なんだか彼はとっても物知りっぽい。疑問点をぶつけてみたら何でも答えてくれそうだよ。
小夏/……そうだ、蜘蛛についての文献や知識が全然出てこなかったな。あの、この辺りに蜘蛛の伝承ってありますか?
GM/「蜘蛛かい? この辺りで不死鳥と一緒に祀られているものって言ったら、狐と蜘蛛だよ」
円子/狐と……蜘蛛!?
GM/「大昔に大地震があったんだ。今は大地震の一言で済むけど、昔の人は『不死鳥様が不機嫌だからこんなことになったんだ!』と解釈した。しかも災害の後、火事場泥棒や散々な人災が次々あって大問題になってね……。全部人間のせいなんだけど、それも人々は『我々の領地を荒らす蜘蛛のせいだ』と解釈したんだ」
小夏/……「都合の悪い蛮族を蜘蛛のせいだと言う」って、昔話で聞いたことあるような?
GM/「もう一度不死鳥様には落ち着いてもらいたい。蜘蛛にも大人しくしてもらいたい。ということで、人間は新しい守護者を用意した。……それが狐だ」
円子/狐?
GM/「人間側は狐と手を組んで、荒ぶる蜘蛛を鎮圧した。その結果、『狐も蜘蛛も不死鳥もみんな同じように崇めるから悪さしないで』って約束した……という伝説があるんだ。新しい歴史だけどね」
円子/新しい歴史というと?
GM/「鳥と温泉の出現は西暦100年頃。蜘蛛と狐は西暦1500年だ。1400年も新しいよ」
円子/それでも……もう500年は歴史があるんですね、結構長いですよ(笑) ……あ、あと一つ質問いいですか? 山で光がピカーって光ったことがあったそうなんですけど、貴方は何か知ってます?
GM/「ああ、以前あったね。それと今朝もあった
円子/えっ? ……今朝!?
小夏/ど、どの辺で?
GM/「あっち。あっちの旅館さ」 彼は、君達が泊まっている旅館の方を指差します。
円子/そ、それって……今水園? な、何かライトアップするようなイベントでもあるんですかね? そう言ってお茶を濁しましょう。いやぁ、こんなに教えてくれるなんて親切な人だなぁ!
GM/「物知り博士と呼んでくれ」
小夏/アナタとは一度オススメの本について話をしてみたいです! 良かったらお名前を聞いてもいいですか? 自分は美淑 小夏って言います。
GM/「モジモジくんだよ」
小夏/……モジモジくん?(笑)
GM/「本名は、茂次郎(もじろう)って言うんだ。だからモジモジくん」
小夏/茂次郎さんですか。縁があったらまたお話しましょう。
GM/「いっつもこの辺りにいるからー」 彼は去っていきます。どうやら口ぶりからして現地民のようだ。カラカラと下駄を鳴らして石段を上がっていきます。
円子/か、カッコイイ格好してるな(笑) これで今水園を探るのにも理由ができましたね!
GM/じゃあここで、1ラウンド目が終わったということで……ちょっとしたマスターシーンっぽい一言演出を入れさせてください。

 ――ガシャン。ハンマーで石を砕く音。

 「よくやったね。今回のゲームも、そちらの勝ちだ」


円子/ほ、ほう……?(笑)
小夏/ゲーム? 誰が何してんのかなぁ? ゲーム好きな人がいるっぽいけど……オレ達はマスターシーンのことは知らない(笑)