ガンドッグ・リプレイ・バーサスガンドッグ
■ 第1話 『アウトローサイド』 ■
2006年12月1日




 二〇〇六年、冬。とあるイタリアンレストランにて、TRPGに会話に盛り上がる二人がいた。

▼マーサー
 今回の『バーサスガンドッグ』GMであり、このリプレイの編集者。週に一度の正規活動で11月から『ギガントマキア〜ファネスプロジェクト』(リプレイで発表中)で毎週GMをしており、久々に大好きなガンドッグの長編キャンぺーンをしようと考えている。
 現代ステージが好きだが宝箱や妖精や魔法が大好きなマスター。

●亜梨子
 マーサーがキャンペーンのGMをしている『ギガントマキア〜ファネスプロジェクト』のNPC「ブロッコリー」の中の人であり、キャラクターデザイナーであり、ネタの宝庫。
 当時、毎週のように格安イタリアンレストランでTRPG話をさせていただいていた。特技は速筆とカオスの合わせ技。


マーサー/久々に『ガンドッグ』のキャンペーンをやりたいんですが、大人数で騒げるものをやりたいんですよ。5人プレイヤーでガヤガヤお喋りしながらのセッションが好きなので考えてるんですが……。
亜梨子/大人数って2桁とか?
マーサー/せめて8人にさせてください。そこまで目がまわりません(笑) 前にささら先輩がやっていた『真・女神転生』のネタで、プレイヤーとプレイヤーがバトルし生きるか死ぬのシナリオをやったことがあるんですけど、あれは良い大人数プレイでしたね。
亜梨子/ならガンドッグでそれをしてみたら? シビアにデッドオアアライブができるよね。
マーサー/でもガンドッグは大ダメージを簡単に叩き出すシステムだから……。あ、回数射撃を規制すればいいのかな。(色々考えて)……うーん、ガチバトルとなると先制を取ると途端に有利になりますね。ガンドッグの戦闘は撃ったもん勝ちなところがありますから。
亜梨子/じゃあプレイヤーVSプレイヤーでも、本当の敵は他のところにいるといいんじゃないかな。
マーサー/他ですか。
亜梨子/見えない敵と戦うの。実際戦ってるのは敵グループなんだけど、って。

 なるほど、それは良い。プレイヤーVSプレイヤーでは、一番最初の戦術判定を成功させた側の勝利確率が高くなってしまう。
 そこで考えたのは、『事前のシナリオまでに立ったフラグの数だけ有利になる』システムだ。
 VSをする前に1話以上、情報収集メインのシナリオを体験してもらい、時間内にフラグを集め、その条件下で戦ってもらう。ある程度情報収集をしなければならないので、戦闘だけにスキルを割るだけでは不利になってしまうのだ。
 尚且つ、同じ舞台を2チームが別れて情報を集めまくるのだから必ず情報の齟齬が発生する。「一体何が起きているか判らない」「道理が通じない無常さ」を楽しめるのではないか。
 逆に思い通りにならず納得も出来ない展開に不満を漏らすプレイヤーもいるだろう。それには納得してもらおう。今回のテーマは、『訳の判らない殺し合い』だ!
 戦うといったらライバル同士。お約束の(ガンドッグらしい)対決相手と言えば……『警察官と犯罪者』じゃなかろうか?


「とりあえず守るべきものを作って……無力な女の子と男の子とか」
「ここはありがちな理由でいくべきだ」
「エステに行ったら激痛で……ちょっ、なんか凄いイラスト描いてません?」
「何故キノコ」

 そんな感じで。
 1チームは4人、合計8人のPCが戦いあうシナリオ『バーサスガンドッグ』。
 まずは『逃げる者』から始めるのだった……。



【アウトローサイド】


マーサー(以降、GM)/アウトローサイド4名が集まりましたね。では、『バーサスガンドッグ〜アウトローサイド』セッションを始めたいと思います!
一同/おぉ〜っ!(拍手)
GM/早速ですが、自己紹介をどうぞ。
PC1(以降、武井)/はい。プレイヤー名は、Mr.ポチの助。PC名は、武井真吾(タケイ・シンゴ)でございます。日本人ボディガードで、男四十歳AB型アサルト/スカウトで、クラスアーツ【オフハンドレーニング】を修得して二丁拳銃を武器にしています。ボディアーマーの上に迷彩服を着て……あとは何を言えばいい?
GM/経歴はどんなので?
武井/警察官→探偵→ボディガードの転落人生……じゃなくて。警察に夢を抱いて入ったのに今の警察はダメでね! 失望しちゃってどんどん警察嫌いになっちゃった!
PC2(以降、エドアルド)/アンタ、高校生か(笑) では……プレイヤー名はピロ、PC名がエドアルド=シュティレットです。もちろん偽名で、イタリアンマフィアの手下です。男の血液型A型、クラスはメディック/アサルト、経歴は士官→傭兵→ヒットマンというマフィアの下僕です。あと、【言語】スキルを持っているので英語とイタリア語の他に日本語が喋れるよ、通訳はまかせろ。……銃はファンブルでジャムったときのために二丁持ってます。
GM/そんなファンブルなんて滅多に出ないと思うんですけどねぇ。

エドアルド/もう過去に何回か経験してるから!(笑) 今回もちゃーんとナイトビジョンも買ったよ!

 百分の一のくせにやたらファンブルは出るものである。
 あと、暗闇描写はどのシナリオでもあるのにナイトビジョンを買い忘れるもので……最近はこの2つを阻止するため皆が躍起になっているほどだ。


PC3(以降、マルチェッラ)/プレイヤー名はT。……PC名がマルチェッラ=ベルガ。マフィアの娘っ子で三十四歳A型、イタリア人。クラスがオペレーター/コマンダー、経歴はビジネスマン→メイド→プログラマーです。
エドアルド/……よく判らない経歴だねえ。
マルチェッラ/ちゃうねん。本人「マフィアなんてイヤやねん!」って普通にOLやってたの! けど世間のOLテンションについていけなくって、お家に帰って気付いたらマフィアの仕事任されてたの! 【調達】スキルが3レベルあったりするから! ……あ、ウチ日本語喋れないわ!
GM/日本語喋れるのは……エドアルドさんと日本人の武井さんだけですね。でも英語が共通語なので大丈夫でしょう。

 と、言いつつも実はGM自身、この設定は不安要素の一つだった。
 元々GMはキャラメと8人チーム分けの段階で「日本が舞台で、追う者と追われる者に分かれてください」と言った。そこでプレイヤー達の話が盛り上がり「イタリアンマフィアVS国際警察」になってしまったのだ。
 考えていたものより世界が大きくなってしまったのだが……まあ、ガンドッグの世界は非常に国際的になっていると思うし、世界共通語は英語だろうし……とりあえず『アウトロー側には』全く影響は及ばないだろう。


PC4(以降、リー)/じゃ最後ネ。ガンドッグは初参戦の焔。PC名は、リー=レイジン。怪しい中国人、スナイパー/スカウト。経歴は特殊部隊→ゲリラ→犯罪者でコロコロ堕ちていった男デース! とある理由で中国にいられなくなりましてネ!
マルチェッラ/中国で警察に追っかけられているところで拾いました(笑)
エドアルド/……って、中国の方が広いじゃん。なんで狭い方に逃げてるの(笑)
リー/金髪美女が見たかったんですよ。快楽殺人者って言われてますけど心外です(一同爆笑)
GM/では自己紹介を終えたところで。オープニングに参りましょう。
武井/ハーイ。
GM/……舞台は、日本……。
マルチェッラ/日本……。
GM/……を離れて3日。
リー/……3日!?(笑)
GM/ここは、『豪華客船ライトランド』。
エドアルド/ライトラ……って、船の上か!?

 このときまでプレイヤーには「日本が主体になる」というだけで何の情報を与えてなかった。
 事前に与えた情報は「警察に追われている身であり、警察とバトルするハメになる」ということ。あとは多少の情報収集技能を持っていなければならないということぐらいで、相手チーム4人に関しても知らず0の状態からのスタートである。


GM/日本を始めとする多くの企業が合同で豪華客船を造り『ある実験』をしています。コンセプト「人が大地を離れても生きていけるか?
リー/実験って……なんかコワイなあ。
GM/いえ、マッドな意味でなく。……人口が増え続けている世界、埋立地が造られていますが、更なる居住区を求めて「移動型の島」で不都合なく本物の地上同様暮らせるかを実験をしています。一か月ほど海の上をあちこち行くので、生活スペースが確立されている海上都市なのです。第一の旅は日本の『栄港』から某アジアの国へ向っています。
リー/タイタニックから早何百年、氷山にぶつからなきゃ海の上でも大丈夫ヨ。
エドアルド/……太平洋に氷山は無ぇよ(笑)
GM/ではその都市のマップですが、
 A地区【ガーデン】/広場。イベント会場。
 B地区【オフィス】/多くの企業の会社本部、高級住宅など。
 C地区【ショップ】/ショッピングモール。
 D地区【住居】/一般住居。
 Y地区【倉庫・機械室】
 Z地区【操舵室】

 最先端の技術により全く揺れを感じない完璧な『地上』。そんなライトランドに貴方達はいます。……『滝峰公社』という日本の企業に招待される形で。
エドアルド/どんな会社ですか?
GM/運航業で『栄港』にて力をつけた企業ですね。出港場所が本拠地ということと、海産物の大きな取引を行っていることからライトランド内の企業として選ばれました。……しかし、貴方達は滝峰公社に呼ばれたのではなく……『滝峰組』にお世話になっているのです。
武井/……ヤクザか。
GM/なんでも滝峰組のお仕事は密輸とか。ブームになっている食材を流通させるだけでなく麻薬の受け渡しも行っています。……貴方達ベルガファミリーは、彼らに手を貸して貰いました。そして4日前、滝峰組にライトランドに呼ばれ日本を去ることになりました。前に警察と一悶着あったけどなんとか逃げております。
マルチェッラ/日本の連中に匿われているのか。
GM/手を結んだ組にお互い協力しているのですね。……今、貴方達がいる場所は高級ビル群の中……Bの滝峰オフィス。窓の外を見ればごく普通の街の風景。ここは本当に海の上なのかと疑ってしまうような場所で……貴方達が応接室で待っていると、一人のオジサマが入ってきます。名前は、滝峰佐吉。
リー/何歳ぐらいですか?
GM/五十過ぎの、孫のいる年齢ですね。「やあ。お嬢さん達のおかげで今回の仕事は非常に良いものだった。このまま本国の方までゆっくりしておくれ。ウチのモンが用意させたBの部屋の住み心地は気に入ってくれたかな?」
マルチェッラ/異存は無いわ、宜しく頼むわよ。ミスター。
リー/絶対、乗員名簿は偽名で登録してるんだろうなぁ(笑) あと何日ボク達は船に乗ってなきゃいけないの?
GM/最低でも2日は。船のチェックのため某港に着くので、そこで消えるつもりでいます。
リー/そうなの。じゃあハイハイお茶デスヨ、日本茶をペチャと出す。
武井/嗚呼哀愁漂う味だな。日本警察は嫌いだが日本の文化は好きだぜ。ミソスープが恋しい。
エドアルド/……本国に戻る前に買っていかれては良いのでは?
GM/ショッピングモールに行けば米も売ってますよ(笑) それに海外の人たちも大勢いるので、イタリア人や中国人が歩いていてもそれほど目立つことはありません。
マルチェッラ/そうね、ミスター滝峰。少し買い物に出かけたいんだがいいかしら?
GM/「……お出かけする前にちょいと話をして良いかね?」
マルチェッラ/構わないわ。
GM/「ありがとう。……つい4日前、お前さん達の力を借り色々やらせてもらっただろう? ウチのモンが撒いたと思ったんだが、どうやらしつこく追いかけてくる犬がいたらしい……」
エドアルド/この船にですか?
GM/「ああ、海上都市の警備に警察が入るのは当たり前だ。警備会社もオフィスにある。それは仕方ない話だが……どうやら勘の良い奴が滝峰の動きを察知したらしくな」
エドアルド/警察の犬は鼻がききますからねぇ。
GM/「その中でもちょいと目立った奴がいる。……是非とも海へ旅立ってほしい奴が」
武井/ふうん……?
GM/「今までのお前たちの腕を知っている。脅しをかけて牽制させるか、困った奴にお灸を添えることを手伝ってはもらえないか?」
マルチェッラ/……ミスター滝峰。我々は貴方の掃除屋ではない。共同宣戦を張っているだけだということを忘れるなよ?
GM/「ハハ、それはそうだな! ……しかし、4日前にお前達があそこまで頑張ったあの件を台無しにしようとしている。あと2日で逃げきれると言うが、コイツ1人がいるだけで双方に被害が出るという迷惑な存在だぞ」
エドアルド/ここで素性がバレて捕まるのはファミリーにとっても良いことではありませんね。
武井/誤って転落すればいいのにな……ターゲットはどんな奴だ?
GM/「工業社マユダというのはお前達も知っているだろう?」マユダというのは、ロボット工学の成功をおさめた日本スゲーの会社です。名前を聞くと、すぐにアレだと判ります。
マルチェッラ/何を作っているトコ?
GM/新型の義足・義手・運送機材・人工知能・警備ロボットで世界第一位をリードする会社です。「そこの技術者でもある日本人の男……名前は、竹中悟。コイツは警察とも仲良くってね。滝峰の方としても仕事を奪われるわ、必要資材を奪われるわで頭を悩ませている。何より、警察の手を使ってくるのが気に食わん。優秀なのはワシも認めるがな」
武井/もう警察はダメだねー。会議が現場で起きてるから。
エドアルド/……日本人の言ってることが訳判りません(笑)
マルチェッラ/英語づけだったから日本語忘れちゃったんだよ(笑)
武井/事件は会議室で起こってるらしいよ? ……アレ、見たことないから判らないけど。
エドアルド/お前、青島に謝れ!
武井/ゴメンナサイ青島さん!(一同笑)
エドアルド/とにかく、上が良くてもしたが腐っていれば少しは手の打ち様がありますよね。
武井/あ、こちら側に引き込むことはしなかったのか? それほど有能であればこちらの仲間にしてしまった方がいいのでは?
GM/「……引き込めないから余計に目障りなんだ。非常に残念だ」
リー/ウマが合わないのか。「オレが正しい!」「いやオレが正しい!」で有能同士が対決して社長と理事長が別れちゃうようなもんかなー。
マルチェッラ/ま、長いバカンスよりはこういうことがあった方がいいだろう。
エドアルド/多少刺激がある方が楽しいですし。
武井/トレーニングになるしな。
リー/船の上で寝てるだけじゃ退屈するヨ?
GM/さて、貴方達を警戒している動きを発見した人物がいます。それに気付いたのが1日前。だからこうして3日目の朝に貴方達にお話しした訳ですが、では探し当てた人物が現れます。「どうも、一日ぶりです。滝峰猿年です」若者ですが、メインクラスにオペレーターが入っているような子で、滝峰佐吉の孫です。「警備会社に、ちょっと不思議な奴が乗り込んでいることを掴んだんですよ」
マルチェッラ/警備じゃなく? どんなの?
GM/「イタリア人で、すっごいオーラのある名前でしてね。俺もネーサン達の以前の会話で聞き覚えがあるっつーか」……その話を聞くと、貴方達には一人の男性の顔が思い出されます。
マルチェッラ/……出たか。
エドアルド/……奴なのか。
GM/ハイ。……敵チームのプレイヤーのささら先輩のPCです。

 セッションが始まる前の会話にて。
 プレイヤー同士の話の盛り上がりで「イタリアンマフィアとインターポールの対決って面白くね?」という話になった。そこでアウトローサイドはマフィア、警察サイドのリーダーがインターポールになったのだった。
 GMとしてみれば日本のヤクザ(滝峰組)が警察に喧嘩を売ることさえ守られていればいいのでその案を採用したが、……結果『イタリアから来たリーダーのみがアウェイ』という警察サイドが出来上がってしまったのである。
 アウトローサイドは信頼しきった4人で行動しているのにひとりぼっちでカワイソウなインターポール。キャライラストのメガネを掛けていた男は、『カワイソウな子』としてプレイヤー内では認知されていた(笑)


エドアルド/えーと、名前は……カンパネルラでしたっけ? あれ、それは奴の殺した犬の名前だったかな?(笑)
マルチェッラ/……ヤヤコシイのよね、アイツ。4日前に日本でも見たのに追いかけてきたの?
武井/熱烈ラブコールか……良かったな、モテモテじゃないか。
リー/ネーサン、ストーカーなら殺そうか? それとも『触らぬ神に祟りなし』で関わらないことにする?
マルチェッラ/……『触らぬ変態に祟りなし』。あんな粘着質な男に付き合いたくないがメガネを叩きつけたくもある。
エドアルド/でもあの男、コートの下はビッシリとメガネだらけですよ。
リー/うわ、ホントに変態じゃん!(笑)
マルチェッラ/間違いなく変態だよ、妙な格好で飛び跳ねたり匍匐してきたりするし……ってゴメンね勝手にこんなコト言って!(一同爆笑)
エドアルド/ゴメンねー! 勝手に変態とか言ってー! 5日後の警察サイドのセッション日にそんなロールプレイをしてねー!(笑)

 まあ、相手方のフラグがネタバレしてしまうので、叫んでもこの声はプレイヤー本人には伝わらないのですが。

GM/「では、情報収集するときの部屋はこちらをお使いください。あと自由に使っていい部屋はこっちで……」などと猿年が案内する中。貴方達は……女子高生ぐらいの女の子がいることに気づきます。
マルチェッラ/ん? ……サル。
GM/「ハイ、なんすか」
マルチェッラ/あれは、誰だ?
GM/「え、あ? その……俺の女ってヤツですよ。あはははは」
マルチェッラ/女の子の方にも訊く、名前は?
エドアルド/通訳します。……お嬢さん、貴方のお名前は何と?
GM/その子はまさか外人さんが自分に声を掛けてくるとは思っていなかったのでしょう。驚いて、猿年を見ながらも呟くように答えます。「……コウです」
エドアルド/コウちゃん、か。
GM/「コウ、ここは今からこの人たちが大切なお仕事で使うから」コンピューター一式が揃った部屋にいたその子を、猿年は追い出します。そして大人しく出ていく女の子。お辞儀をして去っていきます。
エドアルド/笑顔で手を振ります。
リー/アー、可愛い子はいつ見てもイイネー。
マルチェッラ/……アンタ、手をつけるんじゃないわよ。
リー/ヤラナイヨ。ミスター滝峰の関係者だもん、大丈夫ヨ。
GM/それでは、これから情報収集のターンになります。
 朝のスロットは3つ。お昼休み(イベント)を挟んで、昼のスロットが3つ。また休憩(イベント)を挟み、夕方のスロットは2つ。
 それが終わると強制イベントが発動します。プレイヤーにはもう既に伝えてありますが、『最終的には警察サイドの4人と対決することになっています』。それまでに『竹中悟というマユダ社と警備会社にコネがある男を好きにしろ』というシナリオをこなしてもらいます。【調達】スキルなどを駆使して夜まで過ごしてください。
エドアルド/自由に動けるスロット8個のうちに竹中の動きを調べなきゃいけないんですねー。
マルチェッラ/警備の配置と入れ替わりのローテーションが手に入れたいわね。

 ●朝・スロット1
マルチェッラ/1スロット目。どうしようか。
武井/ネーサン、大変なことを言っていいでしょうか。
マルチェッラ/なによ。
武井/全員、小型無線機と隠匿用ホルスターがありません(一同爆笑)

 こそこそ動くアウトローシナリオ中の、驚愕の事実である(笑)

マルチェッラ/……ハイ、1スロット目はアイテム調達を行います!(笑) 小型無線機4つと隠匿用ホルスターを【調達】で!(ころころ)成功。達成値は16。
GM/お、高い。では猿年が「Yに向かってください。おやっさんがいますから、そこで用意したものを受け取ってください」と言います。
エドアルド/じゃあ私が行ってきましょうか。出かけます。武井、いっしょに来てくれ。
GM/ではエドさんが調達にYに向かいます。……運航業をやっている滝峰組のおやっさんが「こちらだ」とエドさんを呼びます。
エドアルド/では(ルールブックを読んで)合計金額の八百ドルを払いますよ。
GM/「これが例のブツです」と調達で手に入れたものを取引します。「いやあ、ちょっとコッチも隠していたものをこうも早く出すとは思いませんでしたねえ」
エドアルド/……すみません、隠密行動する意識が無くて(笑)
GM/「いやいや、こっちの区域もちょっと騒ぎがあったんだが、何事もなく落ち着いたトコだったからなあ。そちらさんも気を付けな」……では【感知】で判定してください。
エドアルド/(ころころ)成功、達成値7。
武井/(ころころ)武井、成功で13。
GM/では武井さんのみ。……ここは倉庫です。さっきの滝峰組のオッサンは何かやらかしたり物騒なことをしたと言ったけど、比較的普通の港風景を再現した所です。あちらではガションガションと機械達が動き回っている。そこで貴方は感じる……フルーツの良い香り。
武井/え? この匂いって……?
GM/柑橘系の匂いです。
武井/柑橘系? おやっさん。ここはフルーツを運んでいるのか?
GM/「え? そりゃモチロン……そうでもしなきゃレストランで出せないだろ?」
武井/ここに置かれているのか?
GM/「えー……あるんじゃないかな」そうは言いますが、ここは『機械が動き回ってる』倉庫で生鮮食品が置いてるとは思えません。いくらなんでも木材と機械系と食材は分けますね。
武井/匂いのする場所がおかしい? 換気が故障したか……流石に故障したら大変だろ。

 ●朝・スロット2
マルチェッラ/2つ目スロットいきます。何しよっかな。『竹中悟と警備会社のタイムスケジュール』を【情報処理】スキルで調べようか。
リー/お仕事表デスネ。出来れば……特殊部隊の奴ら、気になるネ。
マルチェッラ/バレないように頑張ってやるぞ。(ころころ)成功で達成値は15。
GM/おお、出目が高いなぁ。……竹中悟が住んでいるのはBの高級住宅の1つ。警備会社の本部もBのオフィスにあるようですが、竹中はBの住宅には戻ることがないようです。忙しい人だからでしょうか。そしてマユダが……Eという箇所にあることが発覚します。
リー/E? マップが増えた?
GM/ハイ。Bに隣接した箇所に、『関係者以外立入禁止区域のE・マユダ社』が現れます。竹中は主にEで活動をしているようです。

 ●朝・スロット3
マルチェッラ/あともう1スロット。……ジョヴァンニについて探っておこうか?
リー/ジョヴァンニも、きっと他に3人ぐらい連れてる筈ヨ! 怖いヤツなんだよね?
マルチェッラ/ええ。最高の変質者なの。犬は何匹も連れてるわ、メガネを光らせるわ変態だわ、それが指揮をとるんだから今の警察は最悪……ってゴメンよ本当に!(笑)

 何度も言いますが、まだジョヴァンニ役のプレイヤーはジョヴァンニを演じたことがありません(笑)

マルチェッラ/どっかにツメてるのよ!【情報処理】で特殊部隊について調べます。(ころころ)はい成功、15。
GM/おー。さっきから達成値がデカイ! では、特殊部隊の人達が居住スペースとしてとっているのはDだということが発覚します。お仕事の方でどうしてもBのオフィスの方に出入りはしていますが。……そして貴方は警察の動きを察したタレコミを聞き『ジョヴァンニという男と竹中がコンタクトをとっている』ことを知らされます。
マルチェッラ/……インターポールめ、こんなところまで出しゃばりやがって(笑)
GM/さて。貴方は『相手チームを調べる』という判定を行いました。ここで新しく2D10をしてください。達成値15以上出すと、彼らのこれから行うことを1つ知ることができます。
マルチェッラ/ええええ! それって超大切なロールじゃん!(笑/ころころ)出目は11……無理! 全然判らない!
GM/では「アイツら、ドコをうろついてるんだ……」と探りを入れましたが、流石にそこまでは調べられませんでした。そろそろエドさん達も帰ってきてください。

 ●昼イベント
エドアルド/帰りながらネーサンが何かヘマをやらかしたと思いながら帰ってくる(笑) ……何か失敗しませんでしたか?
武井/スゲエな、直感で判るものなの?(笑)
エドアルド/ネーサンのことは直感で判るのです。アンタいいかげんにしないとまーたパパに怒られますよ!(笑)
マルチェッラ/なんで怒られなきゃならないのよ! しかもアンタに! OLに戻るわよ!
リー/エドさん、ネーサン叱っちゃダメヨ(笑)
GM/ではそんな賑やかなところに、女子高生ぽい子がお盆にお茶とクッキーを乗せてやってきます。「どうぞ……」
エドアルド/ああ、ありがとうございます。セニョリータ・コウ。
マルチェッラ/うっわ、ウゼエ!(笑)
リー/チョット、エドさん。コウちゃんに桃マン食べるって訊いてくれる?
エドアルド/宜しければいっしょにお茶などいかがですか? もちろんサル君といっしょに。
GM/「そうっすね……そろそろお昼で食事休みにはちょうどいいっすね」ということで休憩時間です。女の子がお茶を淹れてくれます。その隣に、猿年が一生懸命話しています。
リー/アー、カワイイネー。
武井/ラブラブだなあ。こうして見ると普通の女子高生と日本男児って感じか。
GM/ですね……サルの方がぎこちなくワタワタしてるようだけど。
武井/おい、猿年。
GM/「は、はい?」
武井/お前の『コレ』だろ? 男がそんなワタワタするなんてみっともねぇぞ。
GM/「は、そ、そうですね……ここはハッキリと胸張って俺の嫁だって構えればいいんですね! って、嫁だなんて言っちゃったー!」
エドアルド/はいはい、ウチの日本人が失礼しました(笑) そしてみんなで取り囲んでサルの尋問タイムを始めます(笑)
GM/「は……あ、あの、はい。一応コウと俺は仲良しさんなんですよ。でも合体まではしてない仲っていうか……」
エドアルド/友達以上恋人未満? ……時には力押しも必要ですよ。
GM/「アドバイスありがとうございます、外人さん」(笑)
マルチェッラ/ん、カノジョじゃないのか?
GM/「オヤジとジーサンには『コレ』って言っておいた方が近くに居させやすいから皆にはそう伝えてます。前々からお付き合いをしていたというかのようにカモフラージュして、俺のところに置いているって感じです」
エドアルド/……彼女に何かあるんですね?
GM/「ぶっちゃけ言いますと駆け落ちです」
マルチェッラ/…………ぼふっ!(一同爆笑)
リー/ああっ、ネーサンが飲んでた抹茶噴き出した!?(笑) そのお茶高いのに!
エドアルド/駆け落ちってことはこのままライトランドに乗って逃避行……ってリアルにお茶吹いたのか、汚ねえな!(笑
武井/思いっきりワッハッハと笑ってやろう。お前、家の力を使って何してんだ。
GM/「そ、そんなに笑わないでくださいよ! ……コウのお家であまり良くないことがあったみたいなんです。ならウチに来ないかって」どうやら『女の子を匿っている』ようです。
エドアルド/このまま海外へ行方を晦ますつもりですか?
GM/「元々俺も仕事でイタリアには行くつもりでいました。ちょうど貴方達もそっちに帰る。この船はそちらに向かう。コウはどこかに行きたがっている。だから連れて行くんです。偽造ぐらいだったらオペレーターの俺の力と滝峰の技術でなんとかなります」……もちろんサルは、表向きではライトランドに正式に迎えられている日本企業の一人ですけど。
マルチェッラ/コウちゃんの親は船の中にいる訳じゃないのね?
GM/「…………いません」
エドアルド/そういやサルくん、彼女の苗字を教えてくれないかい?
GM/「……」
エドアルド/……。
GM/「…………田中です」
エドアルド/嘘つけ、そんなあからさまな名前があるか!(笑)
GM/「なっ、それは全国の田中さんに謝ってください!」
エドアルド/お兄さんは嘘が嫌いだよ! その苗字の中に『KE』とか入ってないかい!?(一同爆笑)
マルチェッラ/……サル。その秘密で我々の仕事が阻害されるのであればお前でも許さないぞ。
GM/「そ、阻害するつもりなんてありません! 本当に彼女は『田中コウ』ですから!」
マルチェッラ/……なら構わん。
リー/ハーイコウちゃんコウちゃん、コレ美味しいヨ。あーん?
GM/サルが走り寄って中国人からペイッと引き離します!(笑) ……ではそこでお昼のお休みを終わらせたいと思います。
エドアルド/……あ、柑橘系の匂いがしたことを言っておきます。

 ●昼・スロット1
GM/また情報収集に戻りましょう。『E』という新しいマップを発見したということで、事前に調べた情報をサルが話し出します。「Eは地下……船体の最奥にあたります。竹中はEで仕事はしていますがEだけでなくBやYにも顔を出すことはあるようですね。Eがマユダの施設なのでここにいるのは間違いないと思います」
武井/……マユダって何やってんだろ?
GM/「ロボット工学ですよ」
エドアルド/いや、ちゃんと実態を把握したい。Eのマユダのことを調べてほしいな。
マルチェッラ/じゃあまずマユダの研究について調べよう!(ころころ)成功、達成値は8だ。
GM/マユダは義手・義足・義眼などを作っていることで有名です。さて、現在ロボットはどういった意図で作られるかというと、『足を失くした人の為の足』『2足歩行車椅子』などが重視されています。そういう技術が進んでいるのが日本ですね。
リー/……そういや、前にテレビ番組で日本の大学がロボットコンテストの世界大会までいったってやってたネ。
エドアルド/.……なんか、軍事産業に関わり合いがありそうですね。
リー/人形に知能つけてライフルでも持たせたら立派な戦場が出来上がるしネ?
GM/……それも義体の開発と併行して進められるべき重要な技術です。マユダはロボット工学で高い実績を持っているという。このライトランドで1ヶ月間のテストを行っていく訳だから、研究成果がEにあってもおかしくはない。……エドさんと武井さん、プラス20で思い出し判定を知覚系で判定してください。
武井&エド/(ころころ)失敗。
GM/じゃあ判らないですね。……どうやらマユダが開発したロボットの名前は『マシーナリー』と呼ばれているそうです。
エドアルド/メイドロボットが「お掃除ですー」って襲いかかってくるかもしれないんですね。
マルチェッラ/船も合体してくるんじゃない?
リー/実はスタッフは全部部品なんですよ(笑)

 ●昼・スロット2
マルチェッラ/引き続き特殊部隊について調べよう。……プレイヤーと同じ知識までは引き上げたい。(ころころ)成功、達成値は18!
GM/高いな出目……。どうやら特殊部隊は今、重要な任務をしているらしい。その中心に滝峰は……関係していないようだ。
マルチェッラ/お、こっちに関わらないでほしいものね。
GM/でも調べているリーダー自体はイタリアンマフィアを探しているっぽいけどね。あっちもあっちで任務がありライトランド内を動いているようだ。……では相手方のことを調べたので、2D10判定15以上を!
マルチェッラ/(ころころ)GM、クラスアーツの【コンピュータブレイン】使ってもいい?
GM/……パソコンで調べていたことなので許可しましょう。
マルチェッラ/それなら使用して、18!
GM/……どうやらジョヴァンニ達は、『あるモノを探している』ようだ。逃げているマフィア以外にね。
リー/任務で我ら以外の何かを調べてるよー。なんだろネー?

 ●昼・スロット3
エドアルド/……田中コウについて調べたいな。本国の住所録を調べてみるとか。
マルチェッラ/やってみるわ。(ころころ)成功、達成値は15だ。
GM/ではでは出てくる彼女の個人情報。……『田中コウ』という名前で、乗客名簿ではなく一般の住基ネットから引き当てました。
リー/本名であってたネ、あのコ嘘つきじゃなくて良かったヨー。
GM/栄港町の高等学校に通う三年生で、どこの中学にいたやら血液型や生年月日が出てくる中……『家族構成』が目に入ります。家族構成は自分と、母と……義父。
マルチェッラ/……誰やねん。
GM/残念。判らなかったということで。どうやら『実父』とは別れちゃったみたいですね。今家族にいるのは父は『義父』のようです。
武井/なんだか複雑な家庭環境なんだ……。

 ●夕方イベント
GM/カタカタとネーサンが調べ物をする中。ハタから見ている男性陣は、外で賑やかで明るい動きがあることに気付きます。
リー/ん? ナニかあったの?
GM/それには猿年が答えます。「今夜は祭があるんですよ。出港から3日経ちましたからね、ライトランドが完全稼働して一番最初のイベントをA地区で行うんです」
武井/縁日みたいなもんか?
GM/「イベント会場で何かショーがやったり、酒を飲んだりする普通の祭ですね。でも一番最初がどんな演出をされるのか楽しみだから行く人も多いんだと思います。おそらく警備会社の出番でしょうね」
リー/となると、Aに警備が重視されて他が手薄になるってコト?
マルチェッラ/それはありうる。どんだけ警備が数いるのかは知らないけど今日の一番の大仕事と言えばコレだ。チャンスかもしれないな。
エドアルド/……すみません。先ほど武井が言っていたYの異臭が気になります。アレは何だったんでしょう?
マルチェッラ/私があと2スロット分、調べている間にアンタ達がYに調べに行ったら?
リー/そうネ、のんびりしてるよりそっちがいいヨ。それじゃ二手に分かれるネ!

 ●夕方・スロット1
マルチェッラ/Eの警備状態について調べる。地図や監視カメラの位置、命令系統が知りたい。
GM/それは【情報処理】ですね。ただし達成値は高めに設定します。
マルチェッラ/(ころころ)お……クリった。
GM/オオッ!?(パチパチと拍手) そりゃ凄い。E内の監視カメラの位置は全部把握していいことにします。尚且つ、マユダの開発室の奥部『E’』という新マップが発見されます。
マルチェッラ/わあ、やった! あと監視カメラが動いて映像が残るじゃない。そこを統括しているトコも判っていい?
GM/さっきから出目が高い上に、ここぞというとこでクリティカルだからオマケしましょう。セキュリティのことを完全把握し監視カメラ云々も思い通りにする手段を得た!
マルチェッラ/了解。マユダ、軽いわね。
エドアルド/日本の警備意識なんてそんなもんですよ。

 ●夕方・スロット2
マルチェッラ/祭の時の警備の出動人数を調べよう。警備が手薄だといいな。(ころころ)7だ。
GM/Aには警官がそれなりな数、向けられるでしょう。ゲーム的なことを言えば敵データ『警官』ぐらいですがモブ戦闘なります。Dは極端に少なくなるので……人数が多い順にA→C→B→Dです。
マルチェッラ/Eやその他には?
GM/残念ながらEは「いない訳がない」。Zはほぼいませんが……Yは、いるっぽいですね。倉庫なんで盗まれたり問題が起きないようには仕方ないことだと思いますが。
マルチェッラ/……Eに竹中はいるようだから、そこで致命傷を負わせた後に場所を移動するでしょう。スカウトがいるから気絶させてその後は滝峰の好きにさせちゃいましょ。
エドアルド/そうですね。海に流しちゃってもいいですが、滝峰も最初は目をつけていた男です。生けどりで滝峰組に好きにさせた方が喜ばれると思います。
GM/では、男性3名はYに来ました。どうしますか?
武井/……まだのときの匂いはするか?
GM/気付くために【感知】判定をお願いします。達成値は10以上。
リー/(ころころ)あ、成功したけど9。
武井/(ころころ)成功、低いかな、8。
エドアルド/(ころころ)く、失敗だよ。血の匂いなら嗅ぎ慣れてるんですけどねー(笑)
GM/残念ながら判りませんでした。わっかんねえ。おやっさんの汗臭い匂いしかしない。
リー/そうネ。匂いのしそうな……ダフトの中で物品渡しとかヤバイことされてない? 盗聴器もあったらイヤだから調べたいな。
GM/盗聴器や発信機の類を調べますか。では【知覚系】判定を。
武井/(ころころ)成功の11。
GM/では、警備をしているらしい『機械』が各地にあります。倉庫にも監視カメラがありますが、無い方がおかしいです。そして倉庫の奥に機械室があったりしますが、それも船や倉庫の管理には当然あるものです。
武井/ダフトの中って入れる?
GM/入ろうと思えば入れますよ。周りのオッサン達に怪しまれず潜入してみる、ということになれば【市街行動】スキルで判定です。
武井/よし、市街迷彩服を着てるから大丈夫!
マルチェッラ/オシャレ迷彩服か(笑)
武井/アキバ系じゃないねん!(ころころ)成功成功、達成値は12。
GM/では中に入ってみると……人が通れる通路が発見されます。暗い道で、これは、臨時通行用の通路ではないかと思った!
武井/隠し通路発見? どこからどこまで?
GM/A〜EがYに続く道です。
リー/……全部に繋がってるの!?
GM/……まあ、Yを倉庫と言ってますが『機械室』ですから。イベント会場や店から事故ったら機械室へ、Bのオフィスにいても機械室へ、Eの整備の人も機械室へ走っていける仕様です。
エドアルド/あ、そっか。全部の場所から繋がってないと事故ったときに危険なんだ。
リー/もし奴らに捕まりそうになったとき逃げるのに便利な道を発見したヨ!
マルチェッラ/ちゃうねんちゃうねん……奴らに使われちゃ、困るの。
エドアルド/え。じゃあ……潰す?
マルチェッラ/いや、潰さないでテキトーに網掛ける程度でいいの。逃げられても少し時間掛けられるから。重たい箱を置いておいて、簡単に逃げられないようにしましょ。
エドアルド/(いきなり倉庫で声を張り上げて)どーもお疲れ様でーす、こちらの木箱移動させまーす!(笑)
リー/イタリア人と中国人と日本人のグローバルな会社で失礼しまーす!(笑) あ、そっちの木箱もこっちに持ってきてー!
GM/……ということで、道が塞がりました。これで多少は通りづらくなったので……「なんでこんなところに木箱なんてあるのかな」って警察サイドが思えばいい(一同爆笑)

 ●夜イベント
リー/ということでネーサンの部屋に戻ることにするヨ。
エドアルド/しかし、フルーツの匂いの正体は判りませんでしたねー。
マルチェッラ/そうだな……でも、それほど関係無いだろう。こっちの仕事は竹中の体を回収することだからな。
GM/では、今の時刻は十八時に近づいてきました。人々が更にAのイベント会場に引き寄せられていることが判ります。
エドアルド/祭……行きますか? それとも祭りの手薄を乗じてEに突入しますか。
マルチェッラ/突入するけど一度Aに行ってからE’に向かいましょ。
エドアルド/そうだ、サル君とコウさんもお祭に行ってみてはいかがです?
GM/それを聞くと、「そうだなぁ……行ってくるか?」「あ、そうね」と二人は頷きます。
エドアルド/コウ、彼とではなくボクと一緒に行きませんか。イタリアンビームで誘います。
GM/サルがジャパニーズシールドでカバーリングします。……さて、十八時から祭が始まりますが、突入するのはどなたになりますか?
マルチェッラ/私は近くの車で待機してるわ。そこでEの監視カメラを操作してる。滝峰組の護衛をつけさせるから心配しなくていいわ。
GM/それだと3名でEに突入する訳ですね。……ではカーニバルがドンヒャラやっているイベント会場Aに着きます。
エドアルド/離れると危ないですから、と言ってコウの手を取ります(笑)
マルチェッラ/うわ。サル頑張れ!(笑)
GM/サルは、コウちゃんの肩を抱きます!「人がいっぱいいるからこっちに行こうか!」
エドアルド/クスクス。こっちはチョッカイして楽しんでいるだけだから大丈夫ですよ。障害があるほど燃えるって言うじゃないですか。
リー/ホドホドにしとけヨ? サル君も……マゴマゴしてると取っちゃうヨ?(一同笑)
マルチェッラ/そんな会話を車内で一人聞いてる。……みんな楽しそうでいいなぁ(一同爆笑)
GM/滝峰のボディガードがポテチでもあげましょうか。
マルチェッラ/そんなのどこでも買えるよ!(笑) アンタら、適当な時間過ごしたらE’へ3人で潜入しなさい。
エドアルド/判った。酔っぱらった二人を介護するカワイソウな外人の役するよ(笑)
武井/じゃあ飲むかー。ふらふらふら。
マルチェッラ/GM、監視カメラの映像を映し出していいですか。
GM/では本当にセキュリティを操れるか判定をお願いします。達成値15以上の【通信】で。
マルチェッラ/(ころころ)15。ピッタリだ。パソコンの中でEの施設内を監視カメラの映像を見て、竹中を探します。
GM/パパッと探してみると、……人影は少ない。竹中の姿も見つからない。
エドアルド/……どうする、行く?
マルチェッラ/……行きなさい。監視カメラが完全に私のモノになった訳じゃないんだからEにいる可能性はあるわ。
エドアルド/ハイハイ、じゃあお二人。イイカンジに酔っ払ったコイツラの介抱をしますので、そちらで楽しんでいてください。
GM/「はい」……猿年達と別れます。言うまでもなく猿年にはおやっさんを始めとするガードが何気なく近くに集まっていますので。
武井/Eに向かうぞ。酔ったフリでオエエェ!
エドアルド/カモフラージュとはいえあんなに飲むから!(笑)
GM/それではEに潜入するためのTRSを行います! セキュリティをマークしているオペレーターのおかげで判定にプラスあり!

 ◎TRS【マユダに潜入せよ】
 レンジ@【サバイバル】    Eに潜入せよ。
 レンジA【戦術】       潜入の経路を判断。
 レンジB【運動】【局地行動】 接近。
 レンジC【感知】       周囲の警備を確認。
 レンジD【攻撃スキル】    警備員を無力化せよ。


武井/おい、サバイバルなんか無いよ!(笑)
エドアルド/プラスが来てなきゃダメだっただろうな。あまり騒ぎにならないよう行きますよ。

 様々な技能を使ってEに忍びこむ3人。
 警備員を牽制しながら彼らは21ターンでクリアーした。
 気付いた人の警備員も伏せられ眠りにつく。
そうして3人は、『地価の研究所』と言い表すのに相応しい白い場所へやって来た――。


GM/……では、E´のところまで着けます。
エドアルド/中の様子は?
GM/何も応対する声はしません。が、開ける扉のようです。
エドアルド/失礼します、……入りましょう。
GM/いかにも研究所という風な施設だ。さすがロボット工学の本場という雰囲気です……。
エドアルド/オイル臭いですね。竹中さんを探します。キョロキョロ。
マルチェッラ/監視カメラで周囲を確認するよ。
GM/周囲には人の姿は無い……と思ったとき。ポッと何者かの姿が瞬間的に浮かび上がります。
マルチェッラ/ポッ?
GM/カメラを見ていたときに、いきなり人が瞬間移動してきたかのように現れた。
マルチェッラ/……んっ!?
GM/それはカメラ視点の出来事。……3人には、さっきまで誰もいないと思っていた場所に突然人が現れます。
エドアルド/わっ! ……セニョール竹中?
GM/「ええ、そうですとも」人影は答えます。
エドアルド/……姿を確認します。
GM/気配も一切無く人が現れたように思えました。ですがそこにいるのは、竹中悟として見ていた写真と同じ男だ。「貴方達は……まさか、ベルガファミリー?」
エドアルド/急な訪問をして申し訳ありません。こちらにも少し用事がございます。
GM/「それは如何様な? まずは受付で話を通してきてほしいものですが」
エドアルド/「受付を通す必要はございません。滝峰さんからお願いをされまして……貴方がいると迷惑なのですよ」
GM/「迷惑……になるようなことはやっていなかったのですが」
エドアルド/滝峰様にとっては迷惑。我々も貴方が連れている犬に迷惑している。利害の一致ということです。お互いにお互いがいると迷惑ですから対立しあうのは必然ですね。
GM/「私達も迷惑を被っております。そうですね。では早速ですが、実験の方を開始します
エドアルド/実験って何ですか!?(笑) 貴方には消えていただきます!
GM/「はい。私は消えますね」ブツッ。竹中の姿が無くなりました。
エドアルド/うそお、そういう意味かい!(笑)
GM/いえ、単に『竹中の映像』がとても鮮明に映し出されていただけですよ。……そうしていると、奥の方から黒光りする鎧を纏ったようなモノが2体出現します!
リー/ははあ、これが噂の日本のロボットネ!

 実は男3人は『既に目撃している』筈なのだがマユダの警備ロボットに驚きながらも戦闘開始。データはサプリメントブック『バリアント』の『機械兵・軽装タイプ』×2を使用。
 TRSで戦い慣れた3人は、研究室の様々な遮蔽を取りながらロボットを打ちのめした――。


マルチェッラ/E’の部屋を調べて。私は竹中を探すわ。(ころころ)やった、達成値13!
エドアルド/(ころころ)ピッタシ成功した!
GM/では先に、エドさん達が部屋を調べると……ある道を見つけます。Yまでの直通と、BやDにも行ける道だ。
武井/わお。なんとセコイ道を作ったもんだ。
GM/ディ●ニーランドの下ですよ。なおかつ……倒したさっきのロボットの『出血(ダメージペナルティ的な意味で)』から……嗅いだことのある匂いがします。
武井/……柑橘系?
GM/と、思われる匂い。この匂いを嗅ぐことと部屋を調べる意味で、【医療】を持っている人は判定可能です。
エドアルド/何なんだ、これは?(ころころ)成功、達成値は15。
GM/香しい良い匂いがしますが、これは……麻酔だ。しかしあまり見かけない……。
リー/……まさか、新薬?
GM/いや、部屋に隠されていた資料に記述されているものだとそうではない。……名前は『アンエッサ』というらしい。麻酔薬のようだ。
武井/……違法薬を使ってるのか? 麻酔と麻薬ってよくいっしょにされるだろ?
GM/いえ、これは普通に使われるものですよ。エステとかで痛みを和らげるためにプシューっと気発で麻酔として使われます。……医療行為の麻酔は許可がないと使われないけど、整備や美容って微妙なラインなんですよね……違法でも合法でもない不思議なおクスリです。
エドアルド/……麻薬密輸の商売敵って、まさかコレか? 変装用の白衣を脱いでオイルに漬けます。でもってビニールに密封するよ。
GM/次に、竹中の居場所を探すネーサンの結果ですが、……ある場所で竹中らしき人物を発見します。
マルチェッラ/どこッ?
GM/……どうやらYにいるらしい。
マルチェッラ/Yッ? なんでそんなトコに!
エドアルド/……機械室が船を動かすだけの機械じゃなかったってコトか! Yに行くのならさっき見つけた隠し通路から行けますね。
マルチェッラ/そうだな。怪我人は自分で治せ、銃弾も入れておけよ。お前ら、Yに向かえ!
武井リー/ラジャーッ!
GM/ではネーサンが車の窓を開けたとき……なんだか良い香りが。
マルチェッラ/……あん?
GM/耳を澄ますと街行く人達が「なんか良い匂いするね?」「どっかでフルーツの盛り合わせでも食べられるんじゃない?」と話しているのも聞こえる。
マルチェッラ/……この船の空調をやっている所はドコ?
GM/YかZですね。
マルチェッラ/滝峰に電話する。
GM/それに答えます。「なんだか異臭騒ぎが数時間前からしているそうだ。オフィスの方にも連絡がきた」
マルチェッラ/整備をしているのは機械室か……こちらもYの方に向かうぞ。
GM/男3人が昼間に訪れていた倉庫と隣接していますね。3人も隠し通路を使ってYにやって来ます。
リー/今、人は?
GM/現在は人が殆どいない場所ですが……代わりにいる何か。
武井/……またロボットか!?
GM/ええ、『ここを警備していた機械』が、貴方達を発見次第襲いかかって来ました。
エドアルド/また戦闘か!
GM/はい、では戦闘開始!
マルチェッラ/【戦術】判定!(ころころ)よし、クリット! さっさと倒して竹中を探せ!
リー/ハーイ。まずは1体目を遠距離からライフル撃つよー。(ころころ)成功……。
GM/ドカーンと爆発音!
一同/エッ!?
マルチェッラ/爆発した!? なんでッ!?
GM/地が揺れた。今まで波のことなど感じたこともなかったのに急に揺れがくる。戦闘は中断し、【感知】判定を行ってください。
リー/(ころころ)お、成功。チャイニー頑張ったヨ!
GM/……機械室があっちにある。そこに、人影がいる。
リー/誰! 竹中か!?
GM/そう思った。竹中は携帯電話で誰か会話をしているようだ。「……ああ……そうか……今は仕方ない、逃がせ……」
エドアルド/……逃がせ?
GM/「安全を……」電話で話しながらも竹中は背を向けて走っている。追いかけるなら【運動】で判定してください。
リー/チャイニー走るよ。【アクロバティックフィート】使用!(ころころ)よし、成功。
GM/タッタッタ……追いつけます!
リー/竹中の服を掴んで、取り押さえる! シャラップ!
マルチェッラ/ミスター竹中、どなたと電話してたのかしら?
GM/それには口を割らない。「……今はそれよりも救助を優先するべきではないかな?」
エドアルド/……ああ、今回は実体なんですね? 我々は人命救助が仕事ではございませんので貴方達がやればいいのですよ。
GM/「そう……か」先ほどの映像の顔とは違い、非常に苦い顔をする竹中。
マルチェッラ/リー、気絶するまで殴って。
リー/判ったヨ。腹に一撃だけ、みずおちにゴスッとな!
GM/腹に硬いものが当たる。
リー/ウン……?
GM/ボディアーマーとも違う、金属的な硬さだ。ジワリ、と何か液体が染み込む。
リー/……ナニ?
GM/……何かのアンプルかな。殴りましたから割れてしまってます。でもまだ中身があるものが4本ありますね。
エドアルド/よく判らないけど取ってください。上着脱がせて。それとネクタイで縛って……。
GM/その前に、……殴ったリーさん。2D9ハイアンドローをしてください。
リー/じゃあローで。(ころころ)……0。
GM/2D9で0は、ローですね。……ゲホッ。竹中は大人しくなった。
リー/……脈は?
GM/ピクリともしない。
リー/……死んだ?
GM/はい。……そのとき、ある方から声が上がる。「悟……! お、お前らは……!?」
マルチェッラ/声がした方を見ます。
GM/見れば1人の男が立っている。「よくも……こっちだー!」叫ぶ男。周囲は騒いでいる声、揺れる大地。走り寄ってくる……4人の男性ら。その中に……一番前に立つのは、メガネの男!
マルチェッラ/ジョヴァンニだ!(笑)
リー/ジョヴァンニキター!(笑)
エドアルド/わあぁ、ジョヴァンニ! ……って『メガネの男』だけでジョヴァンニって判るってカワイソウな話だけど!(笑)
GM/「貴方達は……ッ」と噂の彼が呟いたところで、『アウトローサイド』セッションを終わりにしまーす!
一同/えええーっ!?