アナザーワールドSRS・リプレイ・ビクティムガール
■ 第3ループ 『 connect 』 3ページ ■
2013年9月7日




GM/第3ラウンドに突入します。セットアッププロセスで……黒魔女が小鳥に≪魅了の魔眼≫を使用。
小鳥/ふえっ!?
GM/(ころころ)命中25です。回避に失敗したら小鳥ちゃんの【MP】が3D6点減少しますよ。
小鳥/き、キツイなあ……。
しをん/しをんが小鳥の回避判定に≪幻想式≫を、シヲンボックスが≪諸刃の砦≫を使用します。これで出目を7点上昇させるよ!
小鳥/それなら……出目が4以上を出せばOKだから……。(ころころ)よし出た、回避成功です!

 小鳥はセットアッププロセスで≪空間知識≫を使用。

GM/エリがセットアップで、しをんに≪歪んだ奇跡≫を使用します。しをんは対抗判定に成功しないと、このラウンドはエリを攻撃しなければならなくなります。
燐音/げっ!? 魔女を狙えないのは辛すぎる!
GM/(ころころ)えーと、しをんは【意志】判定で達成値16以上を出してね。それに耐えれば好きな相手に攻撃できるようになるよ。
しをん/(ころころ)うーん、達成値12ですね……。
小鳥/しをんさんに、≪逆転運命≫!
しをん/振り直します!(ころころ)あ、達成値14になりました。
燐音/あっ、ならエリさんに≪異端審問≫を使用! 14と14の同値にして、対抗判定成功にさせます!
鴉華羽/ふぅ、≪歪んだ奇跡≫が発動しなかったー!

 無事、自由に攻撃できるようになったしをん。
 自分のメインプロセスになったしをんは≪幻惑の衣≫+≪這いよる混沌≫+≪魔導書≫で黒魔女に攻撃を宣言した。


しをん/(ころころ)ダメージは……霊力111点のダメージ!

 続いて鴉華羽は≪両手武器≫で攻撃。命中19だったが、回避22で避けられてしまう。
 しかしシヲンボックスの≪諸刃の砦≫により、鴉華羽の攻撃を成功させることに成功。


鴉華羽/あ、今……3と3で命中成功したから、ゾロ目でダメージ増大だ!(ころころ)物理ダメージ22点!

 燐音はマイナーアクションで魔女のいるエンゲージまで移動する。
 そして黒魔女に攻撃。≪魔法少女の力≫を使用しての命中判定は、クリティカル成功させることができた。
 燐音の≪覇魔矢≫+≪巨大武器≫、シヲンボックスの≪諸刃の砦≫、鴉華羽による最後の令呪が乗ったダメージは……物理60点。


しをん/こんにゃろー! あとちょっと……!

 ピンクは≪乱舞≫+≪惨劇:会心の一撃≫で範囲攻撃。命中23ったが、鴉華羽は「こんなところで死ねるかー!と」≪失われた日々≫を使って回避。
 鴉華羽は回避失敗した小鳥を≪カバー≫。しをんとシヲンボックスも回避失敗だったが、シヲンボックスがしをんを≪他人をかばう≫を宣言することで、しをんを無傷で守る。
 ピンクはダメージロール直前に≪鋼の理論≫を使用し、令呪を追加して……シヲンボックスは物理ダメージ80点を受けた。


燐音/シヲンボックスは消し飛んだな……。

 小鳥は≪念動障壁≫+≪上級感応力≫を使用し、ピンクのダメージを27点軽減。
 鴉華羽は【HP】33点で生き残ったが、シヲンボックスは戦闘不能になり……。


GM/シヲンボックスが戦闘不能になったね? なら、ピンクが≪修羅≫を使用。未行動化します。
燐音/あっ、そうだ!? こりゃアカン……!
しをん/マ、マジか……!?
GM/もう一度ピンクが行動するよ! 同じコンボをいくよ!

 思わぬ2回行動の範囲攻撃に当たってしまう一同。
 鴉華羽が≪英雄の宣言≫を使用し、小鳥のダメージ軽減で何とか凌いだ。
 そして続く黒魔女は≪闇射ち≫+≪隠者の澱≫+≪法則拡大≫+≪這いよる混沌≫で隠密化による範囲攻撃を行なった。


GM/燐音ちゃん以外のPCに当てるよ。(ころころ)命中26です。みんな避けてね。
しをん/(ころころ)クリティカルしました! しをん、回避です。
GM/素晴らしい!
小鳥/(ころころ)私は当たります……。
鴉華羽/≪魔法少女の力≫使用!(ころころ)クリった! これで心置きなく小鳥ちゃんを庇える! 小鳥ちゃんを≪カバー≫! 来いやー!
GM/(ころころ)ダメージは防御無視93点。最後の防御無視です。
鴉華羽/これは仕方ない、消し飛びます! 鴉華羽は【HP】0になって戦闘不能です。はい、まかせた!
しをん/ううぅ、鴉華羽が倒れちゃった……。
小鳥/小鳥は……自分のターンで【MP】と【HP】を回復するか……もしくは戦闘不能になった鴉華羽ちゃんを≪リバース≫で回復しましょうか。
鴉華羽/私が復活しても優位な攻撃を与えられないよ。
燐音/……でもここで蘇らせないと、『とどめの一撃』を受けるかもしれないよ?
小鳥/その場合……鴉華羽さんのキャラシが無くなります。≪リバース≫をすればみんなに≪肉体復元≫ができなくなりますが……。
しをん/鴉華羽がずっと守ってくれていたから【HP】は大丈夫だよ!

 小鳥はマイナーアクションで≪興奮剤≫を使って、全員の【MP】を1点回復。
 メジャーアクションで≪リバース≫を鴉華羽に使用した。


鴉華羽/【HP】1点で立った!

 追い打ちをかけるようにしてエリは≪落下する光≫で攻撃。全員を命中25で狙う。
 鴉華羽がしをん≪カバー≫。エリによる物理39点のダメージを受けたが、小鳥の≪念動障壁≫によって……。


鴉華羽/【HP】1点で生きてるー!
しをん/良かったー! 鴉華羽、ありがとう!

 クリンナッププロセスの毒の処理を終え、続くセットアッププロセスも既に第4ラウンドに突入。
 PCも敵サイドも令呪が消耗された中……魔女はセットアッププロセスで、しをんに対して≪縛鎖≫を使用。


しをん/げっ!? あたしの【行動値】が減る……!
GM/【行動値】をマイナス20されるよ。トップだったしをんちゃんが鈍足になるよ。でも【体力】判定で(ころころ)12以上が出れば平気だよ。
燐音/魔女に≪異端審問≫を使用! 10で成功にします。これでしをんは出目で7以上を出せば成功できる!
しをん/7なら……期待値以上が出れば!(ころころ)出た! 11で成功!

 セットアッププロセスで、小鳥は≪空間知識≫を使用。

しをん/よし、魔女を狙います! ≪ニュクスの冠≫+≪魔導書≫で攻撃!(ころころ)命中が22です!
GM/(ころころ)回避19で当たります。
しをん/ダメージロール!(ころころ)よし、出目が良い!
燐音/ここぞというときの出目は良いな、ファイトー!
しをん/ここぞというときに強い女です! 霊力27点+放心のダメージ!

 鴉華羽は、目の前のピンクに≪両手武器≫で命中23で攻撃。ピンクは回避20で失敗。
 5ゾロでダメージアップした鴉華羽は、物理ダメージ29点を与えた。


GM/うわっ……ピンク、【HP】マイナス2点で落ちます! 戦闘不能です!
鴉華羽/マイナス2点って……クリってなかったら落ちなかった! 危なかったー!(笑)

 燐音はマイナーアクションで≪興奮剤≫を2つ消費で、【MP】13点回復。
 ≪堕い討ち≫の効果が乗った攻撃を、命中26で成功させる。


GM/しをんちゃんから受けたバステ:放心の影響で、回避ダイスが1D6しか振れず……。(ころころ)しかも1が出るという。
しをん/回避ファンブルやん! よーし!(笑)
燐音/魔女はバステ:毒とバステ:放心を食らっているから、ダメージダイスが+2D6の攻撃! そろそろ、落ちてぇー!(ころころ)35点物理ダメージ!
GM/……落ちます。倒れます。魔女、全員倒されました!
しをん/お、終わった……!
GM/燐音ちゃんが最後の一撃を食らわせた……ところで! 皆さん、逃亡する魔女を捕まえる【反射】判定を。難易度は12!
しをん/(ころころ)クリティカル!
鴉華羽/クリった!? ここでぇ!?
小鳥/しをんちゃん、やる気を出したね!(笑)
鴉華羽/しをんがしをんを止めるって、胸アツだね!(笑)
しをん/魔女の足元を……ピッと指差す! 指を差した先に魔法陣が現れて、しをんの足元を爆発と共に崩す!
GM/うわ、カッコイイ魔法の演出だ!(笑) ドーンと激しく爆発する魔女! 足元は破裂! ここは高良家、君の家は半壊です。
しをん/そんなこと知るかぁー!?(一同爆笑) 足元がもたついた! ……先輩、今です!
燐音/態勢が崩れたところで、もう一度大鎌を振り被った燐音の姿! 「あっ」と思った瞬間には魔鏡の胸に吸い込まれるように刃が沈み込む。これで……おしまいよっ!
GM/ぐっと刃が押し込まれた最後の魔女は……「キャアアッ!」という、しをんちゃんと同じ悲鳴を上げた。しかしその彼女の体から吹き出すのは、赤い血ではない。黒い瘴気だ。
鴉華羽/げげげっ……!
GM/鮮血が噴き出すかのように黒い血を吐き出す魔女。奇妙な悲鳴と共に殺意を、最後の一撃を与えててきた燐音ちゃん達に向けるけど……その体は、蒼い光を纏って昇華されていく。
鴉華羽/はぁはぁ……終わった……。
小鳥/……ええ、終わりました。教会に連絡しましょう。
燐音/地面に刺さった鎌を抜いて、ウズマキに戻します。……エリさん、エリさんの所に駆け寄りますね!
GM/あ、エリの心配をしてくれるんだ。
しをん/エリさん、生きてますか!?
鴉華羽/ダメージ1点も与えてない筈だから大丈夫だよ!
GM/……本当だ。あんなにエリは攻撃していたのに、PCからのダメージが1点も受けてない。これじゃ死ねないな……もちろん生きてます。
しをん/良かったー!(笑)
燐音/ほっとしてエリさんの無事を確認してから、教会と……永丘の息の掛かったリフォーム会社を呼びます(笑)
小鳥/高坂さん! ≪マイヒーロー≫で駆けつけてきていいですよー!(笑)
GM/……住宅地で隠すことなくドッカンドッカン爆発バトルをしていた訳だし、そんなのすぐ教会のエージェントが見つけて駆け寄ってくると思うんですよ。
小鳥/だよね。
GM/「ハッ!? 俺の≪神域の耳≫が反応している!」 走り寄ってくる杜谷柚弦。
しをん/お前かよ。
燐音/よし殴ろう。
鴉華羽/ユズルンに容赦ない!(一同爆笑)
GM/≪神域の耳≫で気付いたユズルンは「なんでこんな市街地でバトルを!? ルカちゃん、結界を張ってー!」と仲間を呼びました。ユズルンと仲良しな[処刑人]のルカちゃんが「はーい、結界を張るよー! 一部しか建物が壊れないようにするよー! 高良家全壊じゃなくて半壊程度に済ますよー!」と……実は1ラウンド目からサポートしていたことにします。
しをん/さっすがルカちゃーん!(笑)
GM/そして戦闘が終わり、エリさんのところに駆け寄っている君達の元へ……「大丈夫かい!?」と騒ぎを聞きつけた高坂が到着。
鴉華羽/高坂さーん!(笑)
しをん/高坂さん! ……魔女退治、成功しました!
GM/「魔女退治が、終わったところだったのかい!? 1週間でよくやってくれたね!
燐音/1週間……せやったな。1年ぐらい戦っている気分だったよ(笑)
GM/駆けつけてくれた教会のメンツによって君達は回復されます。ルカちゃんや琴子ちゃん、由貴乃ちゃんにフランちゃんが……みんなで「よくやったね!」と怪我の手当てをします。
鴉華羽/あ、ありがとー。
GM/高良家は半壊しましたが、教会によってイイカンジに情報隠蔽されました。なのでしをんちゃんは安心して。君からご両親にも説明することは……あんまり無いから(笑) という訳で、君達は傷の手当てが受けられる教会の控え室に送られましたとさ。
鴉華羽/……そういえばクェでむ、何が言いたかったの?
燐音/そうだ。クェでむが何か言っていた。
しをん/少し落ち着いた頃……クェでむを鞄から出してあげます。ずるり(一同笑)
GM/でむーん。でろーん。
しをん/よっ。ぎゅむぎゅむ。クェでむ、無事だよね?
GM/(クェでむになって)「無事でむ!」
小鳥/でむでむよしよし。
鴉華羽/なでなで。……クェでむ、話したかったことって何?
GM/「でむでむ! ……その前に! 話したかったこともあるけど、その前に!」
燐音/その前に?
GM/「悪い魔女を倒してくれてありがとうでむっ!」
しをん/……あっ……。
小鳥/……そうだね。まずは、そうだったね(笑)
GM/「魔女は凄く強い奴でむ! いっぱい魔女によって殺されたでむ! 大変だったし痛かったと思うでむ! ……魔女を倒す戦いで、しをん達が生き残ってくれたことが、とても嬉しいでむ! 無事で良かったでむー!」
しをん/……もふっ! クェでむを抱き締める! お前、良い奴だなー! あたし達をずっと心配してくれたのかー! うりゃうりゃ、わしゃわしゃー!
鴉華羽/なでなでー! ……でも、まだこのままだとダメなんだよね。
小鳥/私達は、あと1週間後に……化け物になります。
燐音/それは、魔女を倒しても変わらない。
しをん/うん……闇タコになる。
GM/「…………。でむ」
燐音/でむ?
GM/「聞いてくださいでむ!」 クェでむが「勇気をもって言おう」と背筋を伸ばし……背筋ぃ?(笑)
燐音/し、姿勢を正し……かな?(笑)
鴉華羽/姿勢をはいっ! クェでむ、どうしたの?
GM/GMはここでイベントキーの確認を行ないます。魔女を1人も逃がすことなく、ラストバトルでクェでむが生存しており、『イベントキー:クェでむ』『イベントキー:直人』『イベントキー:エリ』を持っている人が、1人以上ずついますか。
しをん/います。
GM/『イベントキー:クェでむ』を持っているのは、しをんだね。ではクェでむはしをんに「でむー!」と抱きついて、言います。「魔女を倒したから……魔法少女を増やすことじゃなくて、減らすことを考えてもいい……筈、でむ」
しをん/クェでむ……?
GM/「みんなが魔法少女をやめる方法、あると言えばあるでむ」
しをん/……あるの?
GM/「魔法少女になった証のソウルジェムを、クェでむに返却してほしいでむ」
小鳥/返却……?
GM/「ソウルジェムには魂の記録が全てこめられているでむ。それ1つにつき【MP】200点だと思ってでむ
鴉華羽/200点! 具体的な数字が!(笑)
GM/「しをん達のソウルジェム、クェでむの目から見ると……とっても特殊でむ。他の魔法少女のソウルジェムとは違って、何故かしをん達のはソウルジェムの【MP】が600点もあるでむ」 理由は、ループを3回して3世界分の魂がこもっているからです。
燐音/3ループ分の私達の記憶や力がこめられている……っていう解釈でいいかしら?
GM/そんな感じです。ところで、『ドロリア』に登場した「何でも願いを叶える世界創造確定マシーン」こと聖杯は、【MP】を600点以上一度にドバッと使うことで願いを叶えます。
燐音/ああっ! そういやそういう設定もあった!(笑)
GM/「だから、ソウルジェムの魔力を全部使えば! ……全部でむに返してくれれば、でむがまた願いをいじってあげられるでむ! ……でも」
小鳥/でも……?
GM/「でむも、したことないからちゃんと出来るか判らないでむ。それにソウルジェムを返還したら、しをん達は魔法少女じゃなくなるように願っても、元の願いも返すことになるでむ
しをん/願いを、返す?
鴉華羽/それって……直人の手を元に戻せってこと? 動けるようになったのに、また動けなくなるってこと?
GM/「ううん。それよりも倍返してもらうことになるかもでむ」
しをん/倍? どういうこと?
GM/「鴉華羽の願いながら、手を失うだけじゃなく足も失うかもしれない」
燐音/……今は手が使えない状態だったけど、半身不随になるかもしれないってこと?
鴉華羽/えっ……。そ、それは……。
GM/しをんちゃんと小鳥ちゃんの場合は、お兄ちゃんが不良になる確率が50パーセントだったところを0にしたこの世界が……元に戻って、確率90パーセントぐらいに跳ね上がります。燐音ちゃんは一生、能力者の力を失くせません。
小鳥/お兄ちゃんが不良になって、事故を起こす確率が高くなる……?
燐音/私の場合は、能力者の力を失くすだけじゃなく……今まで能力者が出てなかった家系だったから、「自分の子孫が産まれたときに高確率で能力者になる」になるわね。……異能の力が強すぎて異端堕ちフラグが見え隠れするやつかなかな。
GM/「みんな、希望を抱いて魔法少女になった……その希望をポイしなきゃいけないでむ。……でも、未来はどうなるか判らない。確率90パーセントでも、10パーセントになる可能性もあるでむ」
燐音/…………。
GM/「でむも、でむの魔力全部使って、なるべく悪いことが起こらないようにするでむ。でもボクだけの魔力じゃ、しをん達を戻してあげることは無理でむ」
しをん/…………。
GM/「しをん達を魔法少女から戻す願いを、ソウルジェムを返すことで叶えてあげられるでむ。ただしその際、元の願いは倍返しになるでむ」
鴉華羽/……そんなの、すぐに決められないよ。
GM/「ボクも、精一杯、自分の魔力を使い切るでむ! 早くしないと、しをん達、大変なことになるでむー……」
小鳥/……GM。1シーンずつ、それぞれシーンを作っていい?
GM/時間が許す限りOKです。……それがエンディングフェイズになりますので、お好きな演出をしてください。
小鳥/結論を出すのは……1週間後あたりにということで?
GM/1週間後だと闇タコになってしまうので、明日の夜までにしましょうか。……では、やりたいプレイヤーからエンディングシーンを進めていきましょう。


 ●エンディングフェイズ 〜それぞれ〜

GM/まずは、シーンを作っていいかって提案してくれた小鳥ちゃんのシーンからにしましょう。小鳥ちゃんは誰とどんなシーンがしたいですか?
小鳥/お兄ちゃんと会いたいね。
燐音/ああ……まだキラキラモードのお兄ちゃんと会うんだね。
しをん/悪さをしていると思ったらこっそりバイトをしている程度のチョイ悪のお兄ちゃんですね。
燐音/高校生なのに「大学生です!」って年齢詐称して夜間工事のバイトをしていたお兄ちゃんだ(笑)
小鳥/では……みんなと別れて、自宅に帰ってきます。ただいま。
GM/お兄ちゃんは既に帰っておりました。帰宅する小鳥ちゃんを出迎えます。(兄になって)「おかえり。お前の通学路で爆発事故が起きたらしいぞ! ニュースでも凄い爆発だったってずっと報道してるよ! 小鳥は大丈夫だったか?」
小鳥/凄く大変だったんだよ〜。……普通に家族団欒の顔をします。
GM/家族団欒ですね。まさかその爆心地に小鳥ちゃんがいたなんて知らない大十字家は、ごく普通にお夕食をします。今夜の晩御飯は、お肉が苦手な小鳥ちゃんでも食べられる豆腐ハンバーグだよ。いつも通りのお母さんの味だよ。
小鳥/豆腐ハンバーグでも本当はきついけど……。美味しいね。
GM/ご飯をみんなで食べて、お父さんもお母さんもテレビを観たり。今夜はバイトが無いお兄ちゃんは自室で学校の宿題をしていたり。普段の大十字家のままです。
小鳥/そんな家族をニコニコ笑って見ながら……お兄ちゃんの部屋に行こう。コンコンとノック。
GM/「あいよー」 普通に返事をするお兄ちゃん。
小鳥/お兄ちゃん。久しぶりに一緒にゲームしない?
GM/「おっ? 小鳥が誘ってくるなんて珍しいな。ここ最近、生徒会の活動が忙しいって言ってたのに……マリカでもするか
しをん/マリカだ! 亀の甲羅アタック!(笑)
燐音/コースにバナナを置くんだ!(笑)
小鳥/そんな風にお兄ちゃんとゲームで遊びます。遊んでいる最中に……。ねえ、お兄ちゃん。
GM/「んー?」
小鳥/今、幸せ?
GM/「お前が赤甲羅を飛ばさなきゃもっと幸せ」(一同爆笑)
小鳥/あるある(笑) ねえねえ、お兄ちゃん。
GM/「なんだよー?」
小鳥/私ね、小説を書いているの。
GM/「中学2年生が! 小説を書く! だとぉ!?」
しをん/お、おう!? これは黒歴史になる予感!(一同笑)
小鳥/……その小説には兄妹がいてね。お兄さんが悪さをしちゃうの。それをね……妹は、お兄ちゃんが悪いことをした未来を変えるために、頑張るの。妹が頑張ったから未来は良いものに変わるんだけど、そのかわり妹は魔物になっちゃうんだよ。
GM/「悪くない設定だ」
燐音/なんなの? お兄ちゃんも小説を書いたことあるの?(笑)
小鳥/でもね、私……判らないんだ。
GM/「何が?」
小鳥/自分で考えておきながら、妹さんは正しかったのかって。
GM/「あるある、ろくなプロットを立てないまま長編を書き始めるとエンディング前にキャラクターの方向性が定まらず本編が空中分解するよな」
鴉華羽/お兄ちゃん、実体験ぽい!(一同爆笑)
しをん/お兄ちゃんのギルティの宝庫が開いてしまうよ!?(一同笑)
小鳥/……魔物の女の子は、友達まで巻き込んじゃうの。その友達も魔物になっちゃうの。女の子達は魔物から元の人間に戻りたいと思うんだけど、魔物から元に戻ったら……お兄ちゃんを救えなくなっちゃうの。お兄ちゃんが悪くなっちゃう未来に戻っちゃうんだよ。
GM/「…………。それで終わり?」
小鳥/うん。……その先、どうしたらいいと思う?
GM/「俺の意見でいいの?」
小鳥/うん。……お兄ちゃんの意見が聞きたい。
GM/「俺が続きを書くとしたら、お兄ちゃんを再び犠牲にすればいい」
小鳥/……どうして?
GM/「妹は頑張っている。お兄ちゃんのために頑張っている。でも、それってお兄ちゃんは何もやっていないじゃないか」
小鳥/……うん……。
GM/「お兄ちゃんは悪いことをした。なら、お兄ちゃんが悪いことにさせないようにすればいい。お兄ちゃんの見せ場を作れよ
小鳥/…………。
GM/「どんなキャラクターか俺は全然知らないけど、お兄ちゃんなんだし『男』なんだろ? なら試練を与えろよ。乗り越えさせろよ。兄なら、自分を助けようとしてくれた妹が隣にいる兄なら、妹のために『悪にならない未来』を掴もうとするんじゃないか」
小鳥/…………。それでいいと思う?
GM/「例えば妹に『お兄ちゃん頑張れ!』って言わせるようなモエモエキュンなイベントを挟むとか」
燐音/モエモエキュンとか言うな!(一同笑)
小鳥/……もしお兄ちゃんがその立場だったら、私が「頑張れ!」って言ったら、頑張ってくれる?
GM/「当たり前だ」 何も不思議なことなんてない、それは当然だと言うかのように言う。あっけらかんと君のお兄ちゃんは言ってみせた。
小鳥/……そっか。ニコニコと笑いながら、ゆっくりと立ち上がる。ありがとうお兄ちゃん。……ありがとう。大丈夫。私はもう弱くない。私は今まで何一つ決められなかったけど私はもう大丈夫……。
GM/「もういいのか? もしエンディングが書けなかったら、書きかけのままにしないで燃やしておくんだぞ
燐音/中途半端に押し入れの段ボールの中に入れておくと、10年後がつらいぞー(笑)
鴉華羽/でも「よく書いたなぁ」って達成感はあるんですよねー(笑)
小鳥/お兄ちゃんの部屋から出るよ。……その後ろ姿で、小鳥のシーンは終わります。

    ◆

鴉華羽/鴉華羽は馬鹿正直なので、馬鹿正直に直人に相談に行きます。
GM/だよね。鴉華羽ちゃんは、病室に向かいました。……みんなと解散直後、夕暮れの面会時間ギリギリのシーンにしようかな。もちろん病室には直人以外はいない状態にしよう。
鴉華羽/直人の病室に到着して……。直人、入っていい?
GM/君は個室に入ります。……直人は、ベッドの上ではなく自分の足で立っていました。チェストの前に立ち、引き出しを開けて、『魔導書が無くなっていること』に気付いて驚いている真っ最中です。
鴉華羽/…………。はい、魔導書ならここにあるよ。
GM/(直人になって)「鴉華羽、どういうこと? どうして鴉華羽が僕の……その、大事な本を、持っているの?」 どうして魔導書を奪われたのか。てんで判らない顔をしています。
鴉華羽/私ね、3周目なんだ。……3ループ目。
GM/「あ、鴉華羽は……時間を跳躍している能力者!?」 [魔術師]であり博識な直人は、この世界『ゼフィロス』に時間跳躍者がいることを知っています。「まさか……鴉華羽、君は、まさか僕を捕らえにきた教会のエージェントなのか!?」
鴉華羽/『時間を跳躍している能力者』は正解だけど、『捕らえにきた教会のエージェント』は違う。
GM/「じゃあ、鴉華羽は一体何者で……」
鴉華羽/私ね、直人の手を治したくて魔法少女になったの!
GM/「えっ……」 驚いて鴉華羽を呆然と見る直人。そしてすぐに理解する。「僕が突然、奇跡的に手を動かせるようになったのは……鴉華羽のおかげだった?」
鴉華羽/……うん、そうだよ。2周目の直人にもこの話をしたらね。直人は……魔法少女から治る方法を、一生懸命探してくれたんだ。嬉しかったよ。でね、治る方法……判ったんだよ。
GM/「判ったって? 魔法少女から戻す方法? そんなのっ……」 何も調べていない知識ゼロの直人は、すぐに否定します。
鴉華羽/……魔導書、返すね。第2ループの直人は、探してくれたんだ。方法があるんだって。……教えてくれたのは、クェでむ。
GM/「クェでむが……?」 魔導書を渡されても、受け取ろうとしない直人。
鴉華羽/「願いを叶えたくて魔法少女になった。魔法少女になれば、願い事が1つ叶う。あたしは直人が元気なってほしいって願った。……クェでむはね、その願いを返せば、魔法少女から普通に戻してあげるって……」
GM/「じ、じゃあ! 返そう! ……僕の手よりも、鴉華羽が今すぐ魔法少女でなくなるようにしないと……!」
鴉華羽/でもね! 直人が……これ以上、酷い目に遭わなきゃいけないの!
GM/「……僕が……?」
鴉華羽/あたしはさ……体が丈夫だから、自分が傷つくのは大丈夫なんだよ。何回か死にそうな目にもあっても、みんなを守るためなら平気だった。1人になるぐらいだったら守って死んだ方が良いし……。
しをん/う……うおお、今すぐ鴉華羽を撫でに行きたい……!
鴉華羽/……自分が傷ついたり、化け物になったりするのは正直良いかなって思ったけどさ……思ったけどさ……。
GM/「思った、けど?」
鴉華羽/……本当は、あたしだって! 直人と、初詣に行きたい! クリスマスだって遊びたい! でも直人がこれ以上苦しむのは嫌だよぉ! ……号泣します。
GM/「…………」
鴉華羽/……触ってみて、魔導書を。メッセージは短いけど……自分のメッセージが入っている筈だから。
GM/言われて、手を出さなかった直人は静かに差し出された魔導書に……指を付けます。その瞬間、≪越境の書≫が発動。しをんちゃん達が第3ループのオープニングフェイズで聞いた、第2ループの直人の必死なメッセージが再生されます。
鴉華羽/うん……。
GM/そして第2ループの直人が第3ループの直人に向けた限定メッセージを、鴉華羽ちゃんは隣でお聞きください。
しをん/……お?

『直人に向けたメッセージ』
 第2ループの直人から、第3ループの直人へ。
 「違う世界の僕へ。僕は、一時的にお前の能力を封印する。この仕掛けを作るために、鴉華羽達に渡すメッセージが短くなってしまうが、これが一番僕ができる彼女らへの手助けになる」

小鳥/えっ……?
GM/第弐基関の直人は、魔法少女を増やして、闇タコとして暴走させて殺すことが目的です。なので「クェでむを妨害したり過干渉するような人」を恐れ、敵視します。……第1ループのファンブル化のように。
燐音/うん……今回第3ループの直人は、接続が切れているからファンブル化してこないけど。
GM/そう、鴉華羽達をファンブルにさせたりと妨害工作をしないようにしました。第2ループの直人が。
しをん/あっ……ああっ、そこまでやってくれたんだ!?  直人、男だ……!(笑)
GM/直人は魔女の敵だけど、君達にとっても『クェでむを通した敵』なんですよ。その直人と、クェでむと干渉できないようにした。ループが始まるオープニングフェイズ……鴉華羽が魔法少女になった直後に自動発動する≪越境の書≫でした。
燐音/直人、男前すぎる……早く結婚しよ!(笑)
GM/ではここで、鴉華羽ちゃんはボーナス判定をしましょう。【幸運】判定で達成値10に成功すると、さらに何かが聞こえるよ。
鴉華羽/(ころころ)成功です。
GM/成功してくれた。……変わらず鴉華羽ちゃんは、第3ループの直人の隣で、第2ループの直人のメッセージを聞いてください。

 「僕は鴉華羽を愛している! だから、違う世界の僕! 必ず鴉華羽を救え!
 お前は僕だ、お前も鴉華羽を心から愛しているのは知っている! なら意固地にならずに……鴉華羽を生かすために全力を使って考えるんだ!」


鴉華羽/……な、直人……?
GM/「……魔法少女を治す方法。鴉華羽が、魔法少女になって叶えた夢を返せばいいんだね」
鴉華羽/うん……でも嫌だ。直人がまた大変な目に遭うのは嫌だ。
GM/「鴉華羽、元に戻りなよ」
鴉華羽/ひょっとしたら手が動かなくなるだけじゃないんよ! 足とかも動かなくなっちゃうかもしれないんだよ!
GM/「でも手じゃないか、足じゃないか! 鴉華羽みたいに化け物になるんじゃない! クリスマスだってお正月だって鴉華羽と一緒に生きていられる!」
鴉華羽/…………。
GM/「僕は僕の運命を受け入れればいいだけじゃないか。鴉華羽が、歪んだ運命を受け入れる必要なんて無いじゃないか。……鴉華羽が教会のエージェントじゃなくても、いずれ誰かが僕を異端犯罪者として捕らえにくるだろう。裁きだと言われたら今の僕は受け入れる……」 第2ループで、鴉華羽を結果的死なせる羽目にしてしまった記憶のある彼は、少女を殺す装置を作った罪を自覚し……自首を決意します。
鴉華羽/……あたし、直人の空の絵が好きだったんだよ。小さい頃、私のお父さんとお母さんが死んじゃったとき……直人がお空にいるお父さんとお母さんの絵を描いてくれたんだ。覚えている?
GM/「ああ。……鴉華羽のお父さんとお母さんはお空にいる、お空にいるから安心していいよって言った」
鴉華羽/だから私、高い所に行きたくて……棒高跳びを始めたんだよ。直人のお空が見たくて……。
GM/「なら、迷う必要は無い。1週間後にお空が見られなくなる未来は嫌だろう? 迷う必要は、無い! 倍でも何でも持っていっていいから……鴉華羽、君は生きて」
鴉華羽/直人……私、直人に酷いことをしちゃう……でも、好き……! 頑張る。だから……早く帰ってきてね。

    ◆

燐音/私はもうソウルジェムを返す気でいるので、エンディングシーンではエリさんに会いに行きたいですね。
GM/エリは……高坂から事情聴取を受けて、暫く礼拝堂で待機しているかな。ラストバトルで多少の怪我は負っているけど軽傷。包帯を巻いた手がある程度で、控え室でゆったりと座っています。
小鳥/軽傷で良かった……。
GM/傷より心の負担の方は大きいかな。自分の体が、完全に欺く神の手札として好き勝手に使われていたんだから。魔法少女になった理由も自分の意思が一切無かった訳だし……仲間も気紛れで皆殺しと知って、落ち込んでいます。
しをん/確かに、辛い立場だ……。
GM/燐音ちゃんがエリのいる部屋に入ろうとすると、事情聴取を終えた高坂がちょうど出てきます。(高坂になって)「エリちゃんはひどく混乱している。燐音ちゃん、君は事件の報告書の作成はいいから……エリちゃんと会って話をしてあげてくれないか?」
しをん/さすが安定の高坂さん(笑)
鴉華羽/高坂さん、凄く気遣いができる大人だ(笑)
燐音/はい、少しお話をしてきます。エリさんの居る部屋に入ります。気分転換にお花とお茶菓子を持っていきましょう。……私のこと、判りますか?
GM/(エリになって)「……ああ、永丘だな」 ボンヤリと窓の外を見ている。「魔女に消された3ヶ月前の記憶が、魔女が昇華されたことによって少しずつ判ってきたよ」
燐音/……3ヶ月前の記憶が戻ったんですか?
GM/「私は元々、第弐基関の大本になった某超能力開発研究所に拾われた孤児だった。私の監督官をしてくれた研究者は良い人達でね、研究所が訳あって解体された後も独立して第弐基関を立ち上げ、私を連れていってくれた」
しをん/……あ、エリさんって、あそこの出身者だったんだ。
GM/「私は魔道具開発なんて判らないから、端々の手伝いしかできなかったが……」 記憶を失くしてからのエリは、魔女が作り出した仮初の『別組織のエージェント』です。本物のエリは『家族が第弐基関にいたから所属していただけの普通の女の子だった』という設定でした。
しをん/エリさん……普通の女の子だったのに、魔女に洗脳されて魔法少女にさせられてたんだ。
燐音/……エリさんも、クェでむにソウルジェムを返せるんですか?
GM/返せます。エリも3ループ分の経験を持っていますから、人より倍の魔力のこもったソウルジェムを返却することで非魔法少女になれます。倍返しの結果は……。
小鳥/結果は?
GM/…………。あ、やべえ。
しをん/うん?
GM/え、えーと……(笑) と、とにかく倍返しをしてエリも魔法少女じゃなくなります。すみません、本日のセッション時間が残り僅かなので燐音ちゃんのシーンを進めましょう!

 このとき、GMが「やべえ」と言った理由は……リプレイの最後に掲載しておきます。

GM/(エリになって)「私は魔法少女に無事戻れるだろう。私の周りが変化することは無いからな。だが……私はどうするべきなのかな」
燐音/貴方が所属していた第弐基関はもう無くなってしまいましたしね……。それに、第弐基関の実態『異端を生み出していた計画』を教会に話せば、そこの研究員ある奥田直人くんや協力者だった貴方も何かしらの罪に問われるかもしれません。
GM/「大勢の少女や、永丘達を異端にしていた。許されんことだ」
燐音/ただ……操られていたとはいえ、欺く神を倒すために動いていたのは事実です。そこは奥田直人も変わらないと思います。そのあたりをきちんと説明すれば、最悪よりかは軽い刑になる……と、思うんです。
GM/「ふっ、永丘。目ざといことを言う。……考えてみれば奥田直人は、あの年にして魔道具開発の天才だ。教会の現総支配人も異端憎しの殺戮マシーンとはいえ貴重な研究者を即処刑にするまい」
燐音/ええ。手段としては到底許されることではありませんが、異端を操る欺く神を倒すというツールは……教会としても喉から手が出るほど欲しい筈です。魔法少女作成計画の開発者奥田直人、そして、優秀な能力者であるエリさんを拘束、更迭するような策は取らないでしょう。年齢のことを考えれば保護観察が良いところではないですか。
GM/「小賢しい。だが現実的だ」 同じようなケースで『ワンダフルワールド』の某少女は悪い研究に加担してましたが、10歳という年齢から保護観察に置かれていました。
燐音/あの、罪を償った後の話になりますが。……エリさん、よろしければうちに来ませんか?
GM/「教会のエージェントとして正式に加入しろというのだな? ああ、私もそれを前向きに検討していた」
燐音/教会も含めてですけど、永丘の家に来ませんか?
GM/「ふぇ?」
小鳥/ふぇ?(笑)
GM/「ほわい?」
鴉華羽/まさかの「ほわい?」!(笑)
GM/「……何故?」
燐音/い、いや……エリさんって、天涯孤独ですよね? 私が言うのもなんですが、天涯孤独の女子中学生が何の身寄りも無しに生きていくのって、今後大変だと思うんですよ(笑)
しをん/そ、そうっすね!(笑)
燐音/その点、永丘家は古川財閥の傘下ですし、強力な後ろ盾が手に入ると思うんですけど……。っていうか、私は女きょうだいが欲しいんですよ!(一同爆笑)
しをん/本音が出た! 本気のスカウトだ!(笑)
燐音/何の後ろ盾の無い秋津エリより、古川一族である永丘エリの方が動きやすいし……色々、手厚く保護観察できますよ! どうですか!?(笑)
GM/……意外な提案でした。エリは……燐音ちゃんの必死のスカウトを聞いて、「あはははは!」と笑います。
燐音/な、なんですか。こっちはだいぶ真剣ですよ!?(笑)
GM/「お前がそのような冗談を言うとは思わなかったよ」
燐音/冗談ではありませんよ! もうっ!(笑)
GM/「冗談ではないだと? なら余計に可愛い奴だ」
燐音/……エリさんが男だったら惚れてしまうだろ! コノヤロウ!(一同笑)
GM/「ありがたく……お前の手を取ろうか。もちろん私のするべきことはする。第弐基関の処理が全て終わり、私が受けるべきものを全て終えてから……お前の家族にならせてくれ」
燐音/はいっ。必要な手続きは全部こっちでやっておきますね! もちろん奥田直人くんに関しても悪いようにはさせません。こちらが出来る限りの古川財閥お抱えの弁護士を用意しましょう!(笑)
鴉華羽/わあ! お願いしますお願いします!(笑)
燐音/鴉華羽さんには直人くんの存在は必要ですからね(笑)
GM/「永丘、ありがとう。……嬉し涙を流させてもらおうか」 、エリは頬を流れるものを拭います。「年上の私がお前を導くつもりだったのに、逆に救われてしまったな」
燐音/いえ、いいんです。私は自分を救うためにこの提案をしているんですから。怪我が治るまで養生してくださいね……じゃなくて、養生してね お姉ちゃん!
GM/「そうするとしよう、燐音」
鴉華羽/可愛い!(笑)
小鳥/家族ができたよ!(笑)
しをん/やったねエリさん、妹ができたよー!(笑)

    ◆

しをん/しをんがやりたいことを考えていたんですけど……。小鳥のお兄ちゃんの負担や、直人の負担って大きいじゃないですか。
GM/うん。その大きな負担を2人は背負うと宣言しているけどね。
しをん/でも……しをんに出来ることはないかって、助けてあげることはできないかってずっと考えていたんですよ。
GM/……何か出来ることはないかって、片っ端から魔導書を読みあさっていそうだね。教会の書庫や、永丘家の書庫とかでさ。
しをん/色んな魔導書を利用して何か出来ないかな……ってキャラクターレベル12のしをんが、先輩の家の書庫でずーっと篭もって考えていました。
燐音/いつでも入室できる永丘フリーパスを渡しておくね!(笑) 執事が気を利かせてお茶を出すわよ。
小鳥/……そこに私も出てもいい?
鴉華羽/私も出る! 私も手段があるなら調べたいもん!
GM/なら、クェでむも一緒のシーンにいます。小鳥ちゃんと鴉華羽ちゃんは、書庫でずっと篭もっているしをんちゃんを発見しましたとさ。しをんのお隣ででむがでむでむ待機中。
小鳥/読書に夢中になっているところに声を掛けます。しーをん!
鴉華羽/しをんちゃーん! ヘイッ!
しをん/うわっ!? 小鳥、鴉華羽、ビックリしたぁ。
小鳥/ずっと調べてくれたんだよね。……気にしていたの?
しをん/気にするさ。
小鳥/でも……もう大丈夫だよ。私、決めたから。
しをん/うん?
小鳥/今の私はもう何でもできる気がする。未来ぐらい変えられるかもしれない。だから……しをんは何も気にしなくていいよ。
鴉華羽/……でもね! そういうことを調べるのは悪いことだとは思わないよ!
GM/ですってよ、しをんちゃん。こんな2人の意見を聞いて、しをんちゃんはどう思う?
しをん/んー……。みんなのことって言ったけど、元はといえば私がやりたくて調べてるだけだしなぁ。
小鳥/お兄ちゃんの犠牲を少しでもしをんが受けてくれるという気持ち、嬉しい。きっと私が拒否しても、しをんが許さないよね。
しをん/まあね、私は捻くれ者だからなぁ。
小鳥/だから今回の私は……しをんの気持ちを素直に受けようと思う。そのかわり、しをんの手伝いも私もする。
鴉華羽/それ良い! 私もやる!
小鳥/貴方の犠牲は、私達が引き受けるよ。燐音先輩もそう言ってくれると思う。
しをん/何を……言ってるんだよぉ。ぐすっ……。笑って聞いていたけど、途中から泣いちゃいます。私は捻くれ者だから、これからどうなるか判らないぞぉ……!
GM/……それでは、そろそろ結論のシーンにしましょうか。PCは4人全員、集まりましょう。
燐音/後々、エリさんを連れて合流しますね。……みんなの清々しい顔を見ます。答えは、決まったのね。
しをん/はいっ。
鴉華羽/はいー!
GM/5人の前にクェでむがぽいん。(クェでむになって)「みんな。魔法少女の願い、返すので大丈夫でむか?」
燐音/うん。
しをん/うん。
小鳥/うん。
鴉華羽/うんっ。
GM/「判ったでむ。まず、みんなのソウルジェムを出してほしいでむー」
鴉華羽/これだよ。
小鳥/はい。
GM/クェでむが口を開きパックンと飲みます。
小鳥/……口?
燐音/……どっ、どこから?(笑)
しをん/口が上下に開いたんだね。クリオネみたいに。
鴉華羽/キモッ!?(笑)
燐音/最後の最後にそれだけは見たくなかったよ!?(笑)
GM/ほら、GMのシナリオメモに「クェでむはソウルジェムを体に取り込む」と書いてあるでしょう?
燐音/「不思議なパワーでシュルシュルーって消えていく」とかあったでしょう!?(一同爆笑)
小鳥/あくまでファンシーじゃないんだね!?(笑)
鴉華羽/な、直人ェ……(笑)
GM/全ては第弐基関のデザイナーさんが悪いということで。
しをん/私のせいじゃないッ!(一同爆笑)
GM/クェでむはみんなのソウルジェムを体に取り込みました。……その瞬間、クェでむと魔法少女の契約したときと同じ光がパァッと広がる。
鴉華羽/わっ。
燐音/あのときの光……。
GM/そして……ぽいんぽいんしていたクェでむは、まるでぬいぐるみのように動かなくなっていきます。
しをん/あっ……。
鴉華羽/……【MP】が無くなっちゃっうから?
GM/そうだね。みんなから貰ったソウルジェムだけでは倍返しが恐ろしいことになるかもしれない。だからクェでむは、クェでむの持つ全ての魔力を「みんなが少しでも平和に生きられるように」使い切ります。
小鳥/…………。
GM/生命力を全部使い果たしたクェでむは、ただのふかふかの置き物になってしまいました。
しをん/……ということは、【MP】さえ回復してあげればまた動けるの?
GM/理論上はね。ただクェでむを動かす【MP】量は膨大だよ。50点や500点じゃすまない、それ以上の魔力を入れないと動くことはない。1日1回の供給は『契約』していない状態の対象とは1D6点しか回復しないから……。
小鳥/……それでも、1日1D6点は回復できる。
しをん/少し休めばまた動けるようになるね。……ありがとう。お疲れクェでむ、頑張ったね。
GM/クェでむは動きません。撫でたならふかっとするだけです。
鴉華羽/またお話できるといいね。ぎゅっぎゅっ。
しをん/クェでむはしをんが回収して部屋の窓辺にでもおいておくよ!
燐音/それだと日焼けしないかな、遊びに行ったらクェでむが黄色くなってたらどうしよう?(笑)
GM/しをんの大事なぬいぐるみだと知っているしをんママが定期的に洗濯機に入れてくれます。ぐるーんぐるーん。
燐音/ああっ、腕が絡まる!(一同笑) 下手すると縮んでそう……。
GM/そこは柔軟剤は使いまくりましょう。
鴉華羽/これでふわふわだねっ!(笑)
しをん/ふわふわ感を出すために結構苦労するんだ!(笑)
GM/そして、みんなを包んでいた光が収束していきます。元の明るさに世界が戻った頃には……君達の前からソウルジェムが無くなっています。
小鳥/……何か変わったことは……?
GM/判らない。でも君達は思う。「悪いようになるかは、これからの彼ら次第なんだ」って。それにどう付き添っていくかは君達次第だ。
鴉華羽/……そっか。これから生きられることに、ニコニコ笑っていよう。
GM/うん。確認するために小鳥はお兄ちゃんのいるお家に帰ろう。鴉華羽は直人に会いに行こう。何も変化の無いしをんと燐音とエリは、これまで通り……数日前と同じ生活に戻ろう。戻ってみて実感しよう、日常を。
しをん/うん。そうだね。……それじゃあ、みんな帰ろうか。
燐音/帰りの車を出しましょうか?
GM/(エリになって)「まだ外は明るい時間だ、問題無い。……自分の足で歩いて、世界がどう変わってどう変わっていないのか確かめるのもいい」
鴉華羽/あたしは帰りに病院に寄っていくよ!
小鳥/私は真っ直ぐ家に帰ります。
燐音/そう。じゃあ、みんな、またね。
小鳥/はい!
鴉華羽/また明日! 学校で!
しをん/学校で。よいしょっと、抱き上げて……。行こうか、クェでむ。
GM/……でむっ。


 アナザーワールドSRS・リプレイ
  〜 ビクティム・ガール 〜





END


 ●おまけ

しをん/エリさん……普通の女の子だったのに、魔女に洗脳されて魔法少女にさせられてたんだ。
燐音/……エリさんも、クェでむにソウルジェムを返せるんですか?
GM/返せます。エリも3ループ分の経験を持っていますから、人より倍の魔力のこもったソウルジェムを返却することで非魔法少女になれます。倍返しの結果は……。
小鳥/結果は?
GM/…………。あ、やべえ。
しをん/うん?

 エリが魔法少女になったときに、魔女によって叶えさせられた願いは『魔鏡のカケラが入ったしをんを、記憶や能力をそのままで別世界に跳躍させること』。
 数ある世界(『世界A』〜『世界V』)でエリは12月24日になるたびにこの願いを叶えさせられ、魔鏡のカケラが入ったしをんを次々と増やしていった。
 しかし『世界W(第0ループ)』で予想外が発生し、この世界ではエリは今までの魔鏡のカケラ達を時間跳躍できず、大量にいた魔鏡のカケラ達が力を合わせて4体だけ『世界X(第1ループ)』に送り込むことになった。
 願いの返却は、「倍になる」。「魔鏡のカケラを別世界に跳躍させる」の倍なのだから……
「[魔鏡のカケラ×n]人を別世界に跳躍させることになるのでは?」と考えてしまったのである。

 ちなみにGMは当初、
エリは第3ループで魔女の手下として戦闘に参加して戦闘不能になることで死亡退場を本気で考えていた。
 だが戦闘中にPC達がエリを一度も攻撃しなかったことや、エリを気遣ってくれたことから……「とりあえず生存してソウルジェムを返還するかー。エリの体に支障は無いし。その方が収まりが良いよね(今から「死にます」と言えるムードじゃないし)」という考えになった。

 ……以後。『ビクティムガール』が終わった『AW』のセッションに、「魔鏡のカケラ」が現れるかもしれない。
 『現界した時点で世界が壊れる』とも言われている恐ろしい神が、誰も止めることができずに世界にやってきて、悪さをしているかもしれない。




 高良しをんという14歳の少女の形をした魔女が、倍の数、世界を渡って悪事を働いているかもしれない。
 ……という設定が、生まれてしまった。


GM/え、えーと……(笑) と、とにかく倍返しをしてエリも魔法少女じゃなくなります。すみません、本日のセッション時間が残り僅かなので燐音ちゃんのシーンを進めましょう!

 とある異端の火種が生まれたとしても。
 平和な日常に戻っていくただの少女達には、関係無い話――。





END

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