シノビガミ -忍神- ・ リプレイ
■ 『 ロードムービー 』 1ページ目 ■
2011年3月26日




 セッション会場に集まったのは、全員『シノビガミ』初プレイになるプレイヤー達。
 今回GMをするのは、
すずか
 プレイヤーとして集まったのは、
マーサーユウMUMAピロの4人。
 全員が集まったところで、重々しく物語が幕を開いた――。


GM/それでは、『シノビガミ』セッションを始めたいと思います。イエーイ(拍手ぱちぱち)
一同/宜しくお願いしますー!
GM/今回は、ルールブックに掲載されているサンプルシナリオ「ロードムービー」をやっていきます。あらすじは、こんな感じになります。

【あらすじ】
 忍の世界の三大流派である「比良坂機関」、「斜歯忍軍」、「鞍馬神流」の共同で開発されていた生ける呪術兵器「時姫」。
 しかし、彼女はあるハグレモノに誘拐されてしまった。
 三流派の忍者や隠忍たちが、時姫とハグレモノを追う!
 リミット:3  プライズ:時姫

【ハンドアウト:PC1】
 推奨流派:ハグレモノ(特定の主を持たないはぐれ忍者)
 使命:時姫を逃がす。

 貴方は比良坂機関の依頼で、とある少女の誘拐任務を受けた。
 しかし、貴方はその少女を見たとき、一目で恋に落ちた。
 気がつくと、貴方はその少女……時姫を連れていずこかへと逃げ出していた。

【ハンドアウト:PC2】
 推奨流派:比良坂機関(日本政府直属、対忍・対魔の諜報機関)
 使命:ハグレモノを倒し、時姫を連れ帰る。

 貴方が雇ったハグレモノが、時姫を連れて逃げ出してしまった。
 貴方は、比良坂機関がハグレモノを雇ったと他の流派に知れる前にハグレモノを倒し、時姫を連れ帰るように命令される。

【ハンドアウト:PC3】
 推奨流派:斜歯忍軍(あらゆる忍法の解析を目指す科学忍者)
 使命:時姫を連れ帰る。

 数日前、貴方が預かっていた少女、時姫が誘拐された。
 彼女は、比良坂機関と鞍馬神流と共同で開発している対「隠忍」用の呪術兵器だ。
 比良坂と鞍馬は、失態の責任をとるよう強く圧力をかけている。
 貴方は、なんとしても時姫を誘拐したハグレモノの行方を追い、時姫を連れ帰らなければならない。

【ハンドアウト:PC4】
 推奨流派:隠忍の血統(鬼や土蜘蛛など、異形の者の末裔)
 使命:時姫を一目見る。

 斜歯に潜入していた「草」から情報が入る。
 隠忍殺しの呪術兵器「時姫」が、何者かによって斜歯から奪われたらしい。
 なまくら忍者どもが作った兵器がどれほどのものか、見てやろうと思った貴方は、時姫の後を追った。

【ハンドアウト:PC5】
 推奨流派:鞍馬神流(忍びの世の技術の隠蔽を行う異形狩り)
 使命:時姫を連れ帰る。

 上役から、賊の抹殺の指令が下る。
 しかし、その名を聞き衝撃が走る。
 三流派が共同で開発していた「時姫」を連れ去ったハグレモノは、どうやら「PC1」。
 昔、共に任務につき、死地を潜り抜けた相棒だ。
 確かにアイツなら、こともなげに連れ帰ることが出来るだろうが……。


GM/本来サンプルシナリオの「ロードムービー」は5人プレイなんですが、メンバーが4人しか集まらなったため、GMがNPCを使用しての5人対戦にします。それでは、事前に4つのハンドアウトを選んでもらったので、簡単にPC1の人から自己紹介を簡単にお願いします。

 事前に選んだハンドアウト配分は、以下の通り。

マーサー/PC1ハンドアウトを選択。
ユウ/PC2ハンドアウトを選択。
MUMA/PC3ハンドアウトを選択。
ピロ/PC4ハンドアウトを選択。
GM/PC5ハンドアウトでNPCを運営。

 なお、このリプレイは『シノビガミ』公式ルールブックのサンプルシナリオ「ロードムービー」のネタバレを掲載しています。
 今後サンプルシナリオを遊ぶ可能性のある人は閲覧をご遠慮ください。【秘密】の探り合いが最大の売りであるこのゲームを遊ぶにあたって、楽しくないことになります。


マーサー(以降、フブキ)/ではPC1から自己紹介ですね。キャラクター名は根雲フブキ(ねぐも・ふぶき)。年齢は25〜30歳の「ハグレモノ」の男性です。信念は「我」、自らの理想を突き進むキャラです。PC2に雇われて、特に何も知らないまま女の子を攫ってこいという任務を請け負ったビジネスライク。……今回の自分縛りとして、「電波は言わない」ようにします。
ピロ/ポエムは吐くんですか?
フブキ/吐きますよ。PC1ですもん。
ユウ/えっ(笑)
GM/そこは『シノビガミ』なんですから、ポエムじゃなくて詩と言ってください。
フブキ/ああ、アイのウタですね。
ユウ/えっ(笑)

 根雲 フブキ (プレイヤー名:マーサー)
 年齢:25〜30歳  性別:男
 流派:ハグレモノ  表の顔:会社員  信念:我
特技:≪縄術≫ ≪遁甲術≫ ≪香術≫ ≪第六感≫ ≪鳥獣術≫
忍法:【接近戦攻撃≪縄術≫】 【射撃戦攻撃≪香術≫】 【影分身≪分身の術≫】 【矢止めの術≪衣装術≫】 【頑健】

GM/次、PC2の自己紹介をどうぞ。
ユウ(以降、秀)/名前は、平坂秀(ひらさか・しゅう)です。27歳の男。政治家秘書をやっています。信念は「情」。ほだされやすい人で胃が痛いです、キリキリ。
ピロ/裏で事業をやってたりするんですか?
秀/孤児院にお金を投資したりしてますよ。
フブキ/情に厚い良い人だー、憎めねー(笑)
秀/流派は「比良坂機関」なので≪謀術≫が得意です。後は察してください。……善処します(笑)
フブキ/官僚っぽい良い言葉だ(笑)

 平坂 秀 (プレイヤー名:ユウ)
  年齢:27歳  性別:男
  流派:比良坂機関  表の顔:議員秘書  信念:情
特技:≪流言の術≫ ≪経済力≫ ≪仕込み≫ ≪毒術≫ ≪調査術≫
忍法:【感情操作】 【揺らし】 【毒手】 【沈黙】 【交叉】

MUMA(以降、なぎさ)/では次にPC3の自己紹介をしますね。、名前は、神蛇なぎさ(かんじゃ・なぎさ)です。
ピロ/「神蛇」って名前、カッコイイな!
なぎさ/日本に5世帯しかない名前だそうです!
GM/……なんでそんな苗字知ってるの?
なぎさ/苗字検索サイトという素晴らしいものがありましてね!(笑) 21歳の女で、エンジニアをやっています。流派は「斜歯忍軍」。信念は「我」です。上司と自分を守るために頑張る系です。
秀/なんか、みんな……我が多いな。
フブキ/上司と自分を守るのに「忠」じゃないんだ? 「上司は私のもの」ってこと?
なぎさ/違います、一蓮托生なんですよ。
秀/水面下での足の引っ張り合い……「上司を引きずり落として私が上に!」ってことか(笑)
なぎさ/いつもはエンジニアの仕事をしているので薄汚れたツナギ姿ですけど、場合に応じて適度にキリッとした格好をします。
フブキ/おお、なるほど≪衣装術≫の演出か。PTOに合わせた服は女の子だから得意だよね。……これが女子力か(笑)
なぎさ/ビルに行くときはハイヒールカツカツです。仕事はちゃんとするけど、どっちかって言うと自分の趣味に偏りがちな女です!
秀/だって「我」だもんねー(笑)

 神蛇 なぎさ (プレイヤー名:MUMA)
  年齢:21歳  性別:女
  流派:斜歯忍軍  表の顔:エンジニア  信念:我
特技:≪絡繰術≫ ≪衣装術≫ ≪壊器術≫ ≪盗聴術≫ ≪見敵術≫ ≪医術≫
忍法:【接近戦攻撃≪壊器術≫】 【爆破≪火術≫】 【機忍】 【陽動≪暗号術≫】 【矢止めの術≪衣装術≫】 【魔界工学】

ピロ(以降、六斗)/PC4の自己紹介いきます。キャラクター名は、朽葉六斗(くちば・りくと)。流派は「隠忍の血統」。表の顔は神主です。寂れた神社を勝手に自分の家にしています。信念は「我」。
秀/おい、我が強いパーティーだぞ! くそ、胃がキリキリ痛む!(笑)
六斗/基本的にダラダラしたいと思っている人です。ダラダラしてると上司から言われて「じゃあしょうがねーなー」って働くのがスタンスです。

 朽葉 六斗 (プレイヤー名:ピロ)
  年齢:見た目30代中身不詳  性別:男
  流派:隠忍の血統  表の顔:神主  信念:我
特技:≪仕込み≫ ≪隠形術≫ ≪召喚術≫ ≪結界術≫ ≪瞳術≫
忍法:【接近戦攻撃≪仕込み≫】 【射撃戦攻撃≪召喚術≫】 【破術≪隠形術≫】 【返し技≪瞳術≫】 【吸精≪死霊術≫】

GM/PC5の自己紹介です。鞍馬神流の上司から要望を受けたPC1を追跡する、PC1の元相棒というキャラクターなんですが、どういう系がいいですか?
フブキ/PCが4人中3人男性なので、出来れば女性がいいですね。
GM/性格は?
フブキ/じゃあ……任務に忠実な人間がいいかな。『アリアンロッド・サガ』のナーシアみたいだと良いです!
GM/それなら女子高生忍者にしておきます。理由は、プリーツスカートで刀を振るってほしいから(笑) 名前は……伊勢蛍(いせ・ほたる)にしますね。

 なお、このリプレイでは伊勢蛍はGM運用のNPCであっても「PC5」の位置づけのため、台詞や行動は他のPC達と同じ「蛍/」と独立して表記しております。

 伊勢 蛍 (プレイヤー名:すずか)
  年齢:女子高生  性別:女
  流派:鞍馬神流  表の顔:女子高生  信念:律
特技:≪壊器術≫ ≪刀術≫ ≪走法≫ ≪騎乗術≫ ≪見敵術≫
忍法:【接近戦攻撃≪騎乗術≫】 【射撃戦攻撃≪刀術≫】 【痛打≪壊器術≫】 【陽炎≪刀術≫】 【後の先】

GM/シナリオを開始する前に、GMが演出しやすくするために確認です。PC1のフブキさんは今回の重要NPCである時姫の性格や外見を大いに口が出せるラブプラスな権限があります。基本的にはPC1に対して従順な性格ですが……。
六斗/さあ、タッチペンを持つんだ!(笑)
フブキ/自分好みにNPCを注文していいんだね? 私の好みを言うなら……「自分はどうすればいいか判らない、アイデンティティが確立できてない女性」が良いです。その方がPC1だけじゃなく他の人達にもフラグが立ちやすそうで良いでしょ?
GM/なるほど。我の弱い感じか。
六斗/我の強いパーティーに、我の弱いヒロインか……。
フブキ/外見は、黒くて長い髪。着物の色は紫で……肌の色はやや青みがかって病弱だと良いな。
秀/ずっとここから出ていないんだろうなと思わせる感じ……。可愛いな。
GM/了解です。……それではオープニングを始めましょうか。まずはPC1の導入から……。


 ●オープニングPC1/フブキ

 標的のいる警戒厳重なインテリジェントビルの最上階。
 そこは巨大な畳敷きの部屋になっていた。その中央に1人の少女が座っている――。


GM/都会真っ只中の大きなビル。どんな感じで潜入しますか?
フブキ/自分は縄及び香術で戦う忍です。……通るたびに廊下が静まり返るような、ドライアイスがブワッと舞うような……白い世界をスーツ姿の男が歩いていく。ビルの機械的な匂いも自分の香りで掻き消すような演出でお願いします。
秀/警備員は≪香術≫の影響でカクッと寝ちゃうとか?
フブキ/でも1分後には「しまった、居眠りしてしまった」と目が覚めて何も知らない……みたいな。
GM/では、貴方が通った後は警備員がウトウトしている。その中で貴方は静かにカツカツ歩いて行く。比良坂と斜歯によって作られた装置を、ハグレモノである、忍の世界を1人で生き抜いてきた貴方にとっては……。
フブキ/「他愛の無いことです」 ……音の無いように歩きます。
GM/では、潜り抜けて行った貴方の目の前に、このビルには似つかわしくないような襖が広がります。
フブキ/「……何故こんなものが。雰囲気だけでも出したいという感じなんだろうか。判らない」 無表情に歩いて行くよ。
GM/明らかに妖気を感じます。忍である貴方と同じ気配がする。襖が何重にも閉まっている一番奥の場には大量の札が貼ってあり、その先に「時姫」という少女がいることは判っている。彼女を連れ帰るのが貴方の任務だ。
フブキ/声を掛けます。「……そこに居るのでしょう?」
GM/奥の方から声がします。「……誰?」
フブキ/王道なことを言ってみよう。「名乗る程の者ではございません。貴方をここから連れ出そうとしている悪者ですよ」 ……前に進むよ。
GM/「……わたくしにはここを開けることは出来ないのです。わたくしを連れ出してくれるというなら、お願い……貴方の手でここを開けて」
フブキ/「男性から開けるというのも難ですね。……ですが、俺は悪者だから簡単に開けてしまいますよ」 ガラッと開けて、彼女の顔を見ます。
GM/本当に開いたという驚いた顔で、貴方を見ています。
フブキ/「風情の無い出会いですみません。こんな男ですが、貴方を連れ出しに参りました。一緒に行きましょう」
GM/手を取ろうか迷いながら、貴方の顔を見ます。
六斗/時姫って何歳ぐらいなんですかね?
GM/17歳ぐらいかな。現代日本に似つかわしくないような豪華な白と紫の着物を着ています。
フブキ/手を取ろうとしている彼女を見て、「良い香りだ」と思います。まるで母のような……今まで女性にそんなことを感じたことはなかったけど、特別な香りに、無表情が少し崩れます。
GM/その表情を見て、何か気に障るようなことをしたかしらと一瞬手を引っ込めてしまいます。
フブキ/「怯えないで。貴方を好意的に思っただけですよ」
GM/「……貴方のお名前は?」
フブキ/「根雲フブキ。そう名乗っております」
GM/「根雲様……いえ、フブキ様。宜しいですか。わたくしは、時姫。どうかここから連れ出していただけますか?」 そっと手を伸ばします。
フブキ/掴みます。……他の女性なら乱暴に扱うのに、そういうことが一切出来ません。掴んだ手の柔らかさ、漂う甘い香りに感動します……。
GM/握り返すこともできないような頼りなさ。あまり外に出たことがないんだなと思わせる白い肌。
フブキ/「……時姫。お名前は?」 もう一度尋ねます。
GM/口を噤んで、「……ごめんなさい」。断ります。「わたくしは時姫と呼ばれているものです。それ以上はお答えすることは出来ません」
フブキ/「可憐な声だ」
GM/…………。今、会話噛み合ってなかったけど?(笑)
フブキ/だって、今のは声の感想を言っただけだし(笑)
GM/なら「そ、そんなことを言われたのは初めてです。あの人達は……わたくしに声を掛けてくれることはしませんから」と慌てます。そのとき、時姫の声を掻き消すかのように警報装置がビービー鳴り出します。
フブキ/「おや、もうこんな時間ですか。怖い想いをさせてしまうかもしれませんが失礼」 ぎゅっと時姫の手を握ります。駆けつけた警備員達を5秒だけ眠りにつかせて、その場を去ります。警備員が目覚めたときには、誰も何も無くなっているかのように。
GM/目を覚ましたときには辺りに誰も居なくなっていて……部屋には、微かに甘い香りだけが漂う。
フブキ/……本来ならすぐに平坂秀の元に送り届ける筈なんだけど、彼女を右手に抱えて、そのままビルの上で立ってようかな。
GM/初めて眼下に広がる大都会。時姫はキラキラした目で見ている。「あの部屋の外にはこんな世界が広がっていたんですね……」
フブキ/「……ああ、俺は帰り方を忘れてしまいました。まずは、帰り路を探しましょうか」
GM/「……わたくしも、フブキ様の帰り路にお供します」
フブキ/「ええ。……では、仕事モードはやめよう。貴方に本当の姿を見せたくなった」と言って、普通に笑います。
GM/そのニコッと笑った顔に……キュンとときめいた顔をしておきます(笑)

 PC1:根雲フブキ  使命『時姫を逃がす』


 ●オープニングPC2/秀

GM/そんなPC1のオープニングから数日後。平坂秀さんの元に上忍がやって来ます。どんな人が来るのがいい?
秀/お母様がいいです。
GM/リアル血縁?
フブキ/名前も「平坂」で比良坂機関の幹部っぽいし、リアル血縁の方が深みが掛かって良いね。
六斗/任務中は家族じゃなくて上司と部下なんだな。お家に帰ると「もうシュウちゃんたら!」「ママ〜!」
秀/いやいや!(笑) そこはあんまり家に帰らなくて、任務で繋がっているけど家族関係はメチャクチャ冷めてる方にするよ。
六斗/比良坂って女性優位の世界だし、男だとそんな扱いな気がするよね。
秀/胃がキリキリ(笑) では政治家秘書として、比良坂の息がかかった政治家を応援したり、そこの命で動いたり、エリアマネージャーをしてます。≪流言の術≫とか裏工作で暗躍している感じで。
GM/そんな貴方の尽力により、今貴方が尽くしている政治家の鈴木先生はなかなか盤石な地位を手に入れて、将来もあと5年ぐらいは安泰だろうと想われます。
秀/この鈴木がちゃんとなったら別の人に就くんだろうね。
GM/ある日、そんな鈴木先生が慌ててやって来ます。「ど、どうぞどうぞ奥の方へ! ひ、平坂くん平坂くんっ!」
秀/「呼びましたか?」
GM/「お茶なんかいいから早く応接室へ来なさい! ほら、お母さんだよ!」
秀/「それは失礼致しました」 言われた通り応接室の方へ行きます。
GM/政治家が使う偉い応接室に、足を組んで貴方を刺すような冷たい目で見ている女性がいます。
秀/「……母上。何かご用でしょうか」
GM/「数日前の件、どこまでご存知かしら?」
秀/「……申し訳ございません。早いうちに我が手のうちにと先走りました。何度か頼んだこともある者故、任務には忠実な者と聞き及んでいましたが……あの者があのような手段に講じるとは」
GM/「御託は宜しい。何にせよ、貴方の選んだハグレモノが任務を放棄して逃げたという事実は覆りようがありません」
秀/「……わたくしめを、まだ任務に置いて下さるのですか? 母上にしてはお優しい」
GM/スッと目を逸らすようにする。「あの時姫が我々にとって重要なことは、貴方がよく知っておりますでしょう?」
秀/「ええ。……何よりも」
GM/「だからこそ貴方を信じて、この任を与えたのです。最後まで果たしてみせなさい。それが出来なかったことは言いませんよ。出来ないとは言わせませんから」
秀/「判っております。……何をしてでも、時姫を我が手に!」
GM/「精々しっかり御勤めを果たしなさい」 ……礼をして顔を上げると、母上はもう居ない。そこには母上が使っていた香水だけが残っていて、お茶には一口も飲まれていない。
秀/「……まったく、食えない方だ」
GM/貴方の母上が去った後に、鈴木先生がやって来ます。「大丈夫だったかねー? いやぁ、あの人怖いよねー! 取って食われなかったかいー?」
秀/「大丈夫ですよ。取って食いもしません。貴方が正しい道を行けば、比良坂はいつでも傍におりますよ」
GM/鈴木先生も任務に関してある程度認識があるので「お母様が来たってことは、君に休暇を与えた方がいいかな?」と言ってくれます。
秀/「ありがとうございます。別の秘書の山田にはちゃんと言っておきますね。先生にはいつも感謝しておりますよ」
GM/「そっかそっか。感謝はいつもお仕事で返してくれたまえよ。ボクが総理になるまで頼むよ! とりあえず今日のバーは山田を連れて行くから! アケミちゃんに指輪送っちゃったからなぁ!」
秀/……コイツ、総理になれそうにねーな(笑)

 PC2:平坂秀  使命『ハグレモノを倒し、時姫を連れ帰る』

GM/あと、使命『鈴木を首相にする』。
秀/クエストを増やすなよ!?(一同笑)


 ●オープニングPC3/なぎさ

GM/PC2のオープニングから更に数日後。なぎささんは表の顔がエンジニアなので……いつも油まみれなんでしょうか。
なぎさ/はい。工場で、汗と油にまみれています。車に紛れて怪しげな忍具を作っている工場で働いています。
GM/では工場の休憩時間に呼び出されます。工場の横で、スーツ姿の男性が腕を組んでニッコリ微笑んで立っています。目線で「私がそんな汚い所に入りますか、早くこっち来い」というオーラを出します。
なぎさ/……イラーっとしたオーラを隠さずに、頭に巻いたタオルを外して近寄ります。
GM/「ごきげんよう、神蛇さん」
なぎさ/「ご機嫌今悪くなりました」
GM/「奇遇ですね、私も同じ気分です」
六斗/……なんだコイツら、仲悪いのか(笑)
なぎさ/「やっぱりあたし達は仲良くなれませんね。それで、何の御用でしょう?」
GM/「仲良くなれないなりにお仕事はきっちりしなきゃいけませんね。ところで先日のお仕事失敗の件ですけど」
なぎさ/いきなり本題ギクッ!(笑)
GM/「先日。我々斜歯、比良坂、鞍馬で共同開発していた呪術兵器時姫が盗まれたという痛ましい事件が起こりました。そういえばあの日あのビルの管理責任者って誰でしたっけねぇ?」
なぎさ/「あたくしですぅ!」(笑) ……く、悔しい!
GM/「では次に何をすればいいか賢い神蛇さんには判りますよね? さあ、レッツテルミー!」
なぎさ/「と、時姫は……あたしが連れて帰ってきます。絶対に探し出して連れ帰ってみせます!」
GM/「宜しい心掛けです。だけど足りません。『早急に』です。お判りですね? ハリアップ!」
なぎさ/……サーッと青ざめながら聞いています。
GM/「その理由もちゃーんとご存知ですよね? 私があんなに丁寧に資料まで作って教えてあげたんですから」
なぎさ/コクコクコク!
GM/「とりあえず休暇届けは私の方から出してあげましょうか? いいんですよ、その間のお食事ぐらいは私が用意してあげたって」
なぎさ/ど、毒を盛られそう!?(笑)
GM/そんなことはしませんよ。「美味しいディナーに連れていってあげましょうか」
なぎさ/「あたしはディナーにつられたりなんかしませんよ!?」
GM/「では美味しいディナーを食べている暇があったらお仕事に励んでくださいね。貴方がまさか失敗するとは思ってませんでしたから今度も失敗するとは思ってません!」
なぎさ/「……は、はい。わ、判りました! すぐにでも行ってきます!」 うわーん、いつかあの上司ギャフンと言わせてやるー!(笑)
GM/「早く腕を磨いて私の右腕になってくださいねー」 ……と、貴方を見送る上司でした。
フブキ/……あれって、デレ?(笑)
なぎさ/あんなのデレだなんて認めないーっ!(笑)

 PC3:神蛇なぎさ   使命『時姫を連れ帰る』


 ●オープニングPC4/六斗

GM/PC4のオープニングです。六斗さんはどんな生活をしていますか?
六斗/寂れた山の神社でダラーッと寝ながら「暇だー」って言ってます。キセルすぱー。
GM/そんな所に貴方の部下がやって来ます。……どんな部下がいいですか?
六斗/同じ狐かな。自分よりちょっと若い感じがいい。
GM/では「草」が神社に現れます。その姿は、尻尾の生えたなぎささんです。斜歯に変装して捜査していたようですね。
六斗/「おかえりー、小三郎ー」
GM/ポンッと変装を解いて子狐の姿になります。「おやっさん! 斜歯から良い情報をゲットしてきましたー!」
六斗/あー? オレ、コイツに何の任務を渡してたっけな……とか考えながら、「ご苦労。報告を聞こうか」
GM/「えーとえーと! あのナマクラ忍者どもの斜歯と比良坂と鞍馬神流が何か兵器作ってたらしいっすよ。でもそれをハグレモノが盗んじゃったらしいっす。ダセェっすね」
六斗/ざまぁ、プギャー(笑) 「……で、どういう兵器なんだ?」
GM/「それが、なんか……オニ的にメッチャマズイらしいんすよ! オレらマズイらしいっすよ!」
六斗/「そいつは捨ておけねぇな。よくやった。褒美だ」と、油揚げを3枚投げ渡します。
GM/「モグモグ! 工場で弁当食ってきたけどワーイワーイ!」
なぎさ/…………ふう、お腹すいた。
秀/弁当食われてる!(笑)
六斗/しっかし、奪われたなんて大それたことをするのは誰だろうねー? 「小三郎、お前は引き続き斜歯の動きを探れ。その兵器……時姫の方は、オレが出よう。個人的に興味があるしな」
GM/「おやっさん! いいんすか、オイラ達は行かなくて?」
六斗/キセルをカンと捨てます。「バカヤロー。オメーらみたいな半端モンが鬼殺しの兵器なんぞ見たら死ぬだろうが。オメーは一端の妖怪になるために修行しとけや。こんなことで若い命散らすんじゃねーよ」
GM/「さっすがおやっさん! オイラ一生ついていきまーす!」
六斗/よっこらせと立ち上がります。本殿の奥の方にある……ご神体を祀っている所に、杖があります。それを取って「じゃあ、ちょっくらヤボ用片してくるわー」 ……シュンと消えます。
GM/「ハーイ、行ってらっしゃいましー!」

 PC4:朽葉六斗  使命『時姫を一目見る』


 ●オープニングシーンPC5/蛍

蛍/PC5のオープニングシーンです。……蛍は学校の屋上で一人佇んでいます。携帯電話をカチカチといじりながら、任務の時にフブキさんと一緒に撮ったような写真を眺めています。
秀/どんな写真? 楽しげに撮ってるの?
フブキ/楽しげじゃないんじゃないかな。だって性格はナーシア系だよ。
蛍/なので、お互い無表情なつまんなそうな顔をして並んでいる写真です。
六斗/なんで写真撮ったの!?(笑)
蛍/そんな写真を……蛍は楽しそうに見ています。
なぎさ/……か、可愛い(笑)
蛍/そこに届く上司からのメール。『根雲フブキを抹殺せよ』という指令文が書かれています。
六斗/メールなんだ。
蛍/忍法『電子書簡』! これは通常のサーバーには残らない、忍者にしか読めない特殊なメールなのだ!
秀/読み終わると自動的に削除されるのか!(笑)
蛍/メールを見て、彼との思い出を思い返す。「……フブキ……」 呟いて、パチリと携帯電話を閉じます。そしてセーラー服の後ろ姿が、サッと飛び去って行きます。
秀/……なんだPC1、モテモテじゃねーか(笑)

 PC5:伊勢蛍  使命『時姫を連れ帰る』


 ●マスターシーン1/秀&なぎさ&六斗&蛍

GM/ではまず、時姫を追う者達の捜索シーンになります。三機関の共同で開発していた呪術兵器の件に話し合うため、平坂秀さん、神蛇なぎささん、伊勢蛍さんをシーンに同一に出てもらいます。それを六斗さんは聞いていてもいいです。
六斗/天井裏に隠れてコーンと聞いています。
秀/じゃあ、提供している会社の部屋を借りて話し合いの場を設けます。
なぎさ/OLっぽい格好をしていきます!
GM/女子高生がオフィスビルに現れます。蛍が資料をババッと見せます。
蛍/「これが今回の事件に関する資料だ。根雲フブキというハグレモノが時姫を連れ去った。居所に関して現在調査中だ」
秀/「全く、なんて面倒なことをしてくれたんだ」 ……静かな顔で、何にも関係無いよという顔をしながら呟いておきます(笑)
なぎさ/「ええ、まったくです」と言いながら頬にツーッと汗が垂れます。
秀/「神蛇君だったね? 君のところの落ち度はどうなっているんだね。ああもやすやすハグレモノ1人に封印を解かれ、あまつさえ重要な時姫を連れ去られている。この失態をどうするつもりだね!」
なぎさ/「も、申し訳ございません……」
六斗/……人間の世界ってメンドーだなー(笑)
秀/「いくらうちが君のところに投資してると思っているんだ? 関連企業の一つや二つ、潰したって構わないんだぞ。勿論、君のいる工場もだ。今回の失態で何人の人間が職を失うかな?」
六斗/やらしー! 平坂さんやらしー!(笑)
なぎさ/こ、工場が無くなるのは困る! 自分の職場だし! 大好きな物達に触れていられる場所だし! 「もちろんこの失態は必ず取り返します!」
蛍/「そんなの後からだって出来る! 今は根雲フブキを追うことが先決だ!」
秀/うっ……。
GM/そう声を上げる蛍の言葉には、「根雲フブキのことを知っているんじゃないか?」ということを察してください。
秀/「おや? その物言いだと君は彼と縁があるように見えるね。君がそんなに声を荒げているのは初めて見たよ」
蛍/「忍の世界も狭いからな。お前の方こそどうなんだ? 比良坂は、鞍馬やハグレモノを使うことで有名だからな」
秀/「そんな、僕がいちいち下々の顔を覚えていると思うのかい?」
なぎさ/それを横目に見ながら「これだから上に立つ人間は」って思っておきます……(笑)
六斗/天井裏から、「人間ってコエーなー」って思っておきます(笑)
秀/「彼について何か知っていることがあるなら、教えてもらおうか」
蛍/「知っていること……。さあな」
秀/「君も人が悪い。探した方がいいと言っておいて、自分は情報を出し渋る。これじゃあ話の進展がしようもないだろ」
蛍/「そうだ、だからこのシーンは……≪調査術≫で判定をしろと言っているんだ!」(一同爆笑)
GM/このシーンではPC1以外が登場し、≪調査術≫の判定を行い、成功するとPC1の【居所】を入手することができます。
秀/≪調査術≫か。早速振ってみよう。(ころころ)残念、失敗。
六斗/≪結界術≫で判定するぞ。(ころころ)……う、判らん! 自分の張った結界に何かしら引っかからると思ったが、判らんな。
蛍/(ころころ)カッコイイこと言っておいて蛍も判定失敗。≪見敵術≫で見覚えが無い調べたけど、判りません。
なぎさ/(ころころ)やった、成功です。≪盗聴術≫で判定して成功しました! 盗聴器をバラまいて情報収集をしていたってことにします。

 なぎさ、フブキの【居所】を入手。

GM/今のところフブキさんの【居所】をゲットしたのは、なぎささんだけです。【居所】があると戦闘をしかけて『プライズ』を奪うことができます。この情報をあげたりするのは、貴方次第です。
なぎさ/まだみんな信用できないので……黙っています。
蛍/「この資料だけでは判らんな。私は調査を続けさせてもらう」と……蛍は≪走法≫で掻き消えるように去って行きます。
秀/「では、頼みましたよ」と……上から目線で偉そうに声を掛けておきます。≪経済力≫で他の忍を雇って散らしておきます。「早く……私に勝利への情報を」
六斗/「もうちっと結界を広めてみるかー」 消えるように去りますよ。
なぎさ/あたしも部屋を出る。「……絶対に、あたしが取り戻さなくちゃ」 ≪衣装術≫で衣装をパッと解きます!
GM/ここで伊勢蛍さんの行動指針を宣言しておきます。基本的には任務通りPC1の【居所】を探します。戦闘をしかけて時姫を奪いに行きますが、PC1には好意的な言動をします。手を組もうと言われたら、PC1を害するような内容でない限り手を組みます。
なぎさ/了解しましたー。


 ●マスターシーン2/フブキ

GM/次はPC1と時姫のみ登場のマスターシーンです。時姫を連れて逃げてくれましたが、今どんな感じの生活をしていますか?
フブキ/折角なのでシーン表を振ってみようと思います。(ころころ)出目は……7だ。

 シーン表7:清廉な気配が漂う森の中。鳥の囀りや、そよ風が樹々を通り過ぎる音が聞こえる。

フブキ/森かぁ。なら……比較的都会から離れた避暑地。電車も1本2本しか通っていないような、人が居るけれど居ない場所。そこで、普通の女の子の格好をさせています。
六斗/……今の季節はいつ?
GM/特に考えていないので自由でいいです。
フブキ/じゃあ、冬で。季節は冬にします。マフラーや帽子で付けましょう。顔を隠して変装できる方が逃げやすいしね。
GM/あ、マトモな理由だった。
六斗/時姫にダッフルコートを着させてください!
秀/クリーム色のマフラーを巻いてやってください! ハイ、企画書!(笑)
フブキ/そこは時姫に尋ねましょう。「……時姫、どのような服が良いですか?」
GM/どきっ(笑) 時姫は着物しか着たことがないので、コートを見て「これはどうやって着るのですか?」と言うよ。
フブキ/「全部俺が着させてあげますよ」
GM/「……ど、どれが一番フブキ様がお好きですか?」
フブキ/「俺の好みを言っていいんですか?」
GM/コクコク! 「言ってください。わたくし、それに合わせます!」 フブキの好みに合わせようとしてきます。
フブキ/「ならこれで。やはり貴方には白が似合うな。この辺りは雪が綺麗で有名な場所だからこれが似合う」……と、白いコートを用意してあげます。
GM/「似合ってますか?」
フブキ/「貴方に似合わない服なんて無いですよ」 マフラーを巻きながら言います。
GM/「あったかいです……」 それはマフラーに対してなのか、貴方の言葉に対してなのか。
フブキ/愛おしそうに眺めています。……まるで人形を扱うようにも見えるけどね。で、≪経済力≫でシノビを巻かれたり≪結界術≫で結界を張られていることに気付いて、その場から去ります。
GM/ぎゅっとフブキの服を握りしめてついて行きます。
フブキ/「時姫。……昨日言ったことを覚えていますか? 夜に言ったことです」
GM/「…………。覚えています。ですが、もう一度言ってくださいますか」
フブキ/「貴方のことが愛おしいと想う気持ちが抑えきれません」
秀/…………もう寝たの?(笑)
フブキ/寝ていいキャラなの。「という訳で、逃避行したいと思います。そう、せめて……3サイクル分ぐらいは」(一同爆笑)
GM/3サイクルというと、30日ぐらいですか?」(一同笑) 「じゃあ、もう一度満月が浮かぶまでですね! わたくし、フブキ様と一緒にもう一度あの満月を見たいです」
フブキ/「俺は貴方の優しい顔が見たい。だから、貴方の求める場所に行きましょう。何か見たいものはありますか?」
GM/「では……。海というものがあるんですよね?」
フブキ/「海。はあ、海ですか。ここから正反対の場所ですね」
GM/「一度、海を見てみたいと思っていました。どうか一緒に連れて行ってくださいますか」
フブキ/「判りました」と言って、笑います。…………ああ、ヤリてえ。
秀/何も知らない無垢な女の子にいきなり何言ってんの!?(笑)
六斗/まったくだよ! Cの前にAとかBとかあるでしょ!(笑)
GM/非難轟々ですよ、PC1。
フブキ/信念が「我」ですから。「貴方の好きなものを何でも私に教えてくださいね」
GM/「判らないので、どんどん色んなことを教えてください。まだまだ時間は沢山ありますから」
フブキ/じゅるり。俺色に染めてやろうか。
秀/フルバーストで撃ちたいッ!(笑)
六斗/おじちゃんも若いモンが判らなくなってきたよ! 撃ったれ撃ったれ!!(笑)
フブキ/……ふう。満足だ。この子と一緒に居られるだけで良い気分になってくる。ある程度モノが欲しくてこっちの世界に居たつもりだったけど、この子が居ればもうどうなったっていい気がする。ああ、自分の生を尽くしてもいいかもしれないな……と思っておきます。
GM/そんなフブキさんを見て、時姫が【感情】を結んでおきます。ここは特別ルールで判定無しに、時姫はフブキに対して『愛情』の【感情】を結びます。
フブキ/こちらも時姫に対して結びます。(ころころ)4。

 フブキ、時姫に『忠誠』の【感情】を結ぶ。

フブキ/『忠誠』……? この子の為になりたいなと思っておこうか。……こんな生活も悪くない。1ヶ月ぐらい俺には大したことではない。逃げきってみせるさ……海なんてすぐに着く。着いたらまた違う夢を叶えてやろう。
GM/……フブキさんの横で月を見上げる時姫の目は、どこか悲しげなものなのでした……。

 NPC:時姫 使命『逃げ延びる』

 
サイクル手順:秀→六斗→なぎさ→フブキの順番に決定。
 こうして1サイクルが開始された――。