巨神戦記ギガントマキア・リプレイ・Forget-me-not Scarlett
■ 第5ループ『 鬼ユリ - 紅い贈り物 - 』 ■
2008年12月19日




 からんからん。
 またサイコロを回す音がする。

 ただただ、何万回もサイコロを振り続けている彼。
 その後ろに、……愉快そうに笑う男が現れた。

 ああっ? つっまんねーなぁ。そんな出目にしやがって……。
 最悪じゃあないけれど、今回は何も進展ないってコトじゃねーか。
 何度もやっているような組み合わせばっかだなぁ。その割には何も新しいことは発見できないし……今回は特に何も起こらないみたいだなぁ?
 こんな世界あったって時間の無駄だろぉ? 居る価値なんてあるかぁ?
 無いなら……オレが作ってやろうか?
 今回、『俺』は何にも縛るものがない。誰一人として俺を気にしない。だから『オレ』が好き勝手動いてやろう。
 どうせ捨てる世界なんだ。遊んで、遊びまくって、つまんなくなったらみんな切り捨てちまえばいいんだよっ。
 こんな世界で生きる価値を、オレが、楽しく見つけてきてやるぜ――。


    ◆


GM/ではでは……5回目の『スカーレット』始めましょう。

 前回のリプレイ『第7ループ「赤い瞳−幸せの代償−」』で説明しているが、この『スカーレット』というキャンペーンはシナリオは1種類しか用意されていない。ただし、
★2回行動可能な日常シナリオMAPで、どのシナリオキーを入手したか。
★2回行動可能な情報収集で、既に入手したシナリオキーとどのシナリオキーを組み合わせるか。

 によって、大きくシナリオが分岐する。1つのセッションのたびに「どのキャラクター同士がくっつくか」によってストーリーを進行していくことがウリになっている。

 ……そうして、今回の目的は……。

GM/……「ラカート×レスター」、「ルイス×シグ」「イオン×アンジュ」に決定だね。って、今回はカイルに誰もいかないんだ。
アンジュ/今までずっと艦長いってたんで、今回は放置してみようかと思います。
ラカート/ほったらカイル!(笑) 艦長は一人でも大丈夫でしょ! 艦長オブフリーダム!
レスター/艦長はフリーになってください。
GM/…………そうだねえ。

 まだ誰も見たことない「カイル放置ルート」。
 それが新たな鬱ルートの始まりだと、このときのプレイヤーは考えてもいなかっただろう……(笑)


 巨神戦記ギガントマキア
  「Forget-me-not Scarlett」 第5ループ



 ●シーン1

GM/それでは、オープニングを見た後、最初の選択肢が現れます。日常の昼間パート、誰がどこにいきますか?
アンジュ/えっと……ステージ名【イオンの部屋】にいってみます。イオン兄と遊んできます。
ラカート/俺は……レスターを落としに行くんでレスターに会いに行きたいんだけど。やっぱ【ルイスの部屋】にいる?
レスター/じゃあ俺は【ルイスの部屋】にいます。
シグ/それだとルイス狙いの俺はどこに行けば(笑)
GM/あ、じゃあシグ。どこか好きな場所に居て。特別なイベントを用意するから。
シグ/はい。なら……パソコンのある部屋でカイルさんから押しつけられた仕事をやってます。


 ●ステージ/イオンの部屋

GM/アンジュとイオンのシーンからいこう。……で、どういうシーンにする?
ラカート/俺は愛に生きることにしました。だからシーンに出ません!(笑) 二人だけで仲良く買い物行ってこい!
GM/ああ、最初の頃にやっていたアンジュの小物を買いに行くやつか。ならイオンと二人きりで買い物に行くシーンにしよう。
アンジュ/うん。イオン兄、市街の方に行こー。
GM/「宿舎から暫く離れたロックブーケに行くか。そこにT急ハンズっていう店があるからそこでいいよな」
アンジュ/T急ハンズか……判った、行こう!
GM/そこでアンジュ専用の食器や毛布を買い揃えます。……じゃあそのとき、イオンが尋ねてきますよ。「記憶、まだ戻らないのか?」
アンジュ/う、うーん……まだよく判らない。
GM/「思い出す気、ホントにあんのか?」
アンジュ/うー……ごめんなさい、イオン兄……あう。
GM/「なんでごめんなさいなんだ」
アンジュ/うう……イオン兄、怒ってるの?
GM/「なんで怒んなきゃなんねーんだよ」
ラカート/……今回、俺がいないから大変なことになってる!?(笑)
アンジュ/うー! 怒られたばっかじゃダメだー!(笑)
GM/煮え切れないアンジュの答えにむうっとイオンが脹れっ面になっているけど……そんなとき、ある階層にやってきます。アクセサリーや雑貨が売っているところだね。T急ハンズは大きな西暦の遺跡をそのまま商店にしている凄い所です。
アンジュ/確かに凄い所だ(笑) わ、わあ……色んな物があるよ、イオン兄!
GM/「ダンシングフラワーを買うか」
アンジュ/即答!?(笑) でもイオン兄、それってもう持っていたよね……。
GM/「じゃあ、折角アンジュがクルースニクとしてフェルトリーナ隊に入ったんだ。何か記念に買ってやろう」
アンジュ/……本当?
GM/「ダンシングフラワーを買うか」
アンジュ/他に選択肢無いの!?(一同笑)
GM/「いいよ、何でも選べよ。俺が買ってやるぜ?」
アンジュ/え、えーと……えーとえーと!
ラカート/いきなり売り場のお姉さんになって)「お客様〜、こちらのアクセサリーはいかがでしょうか〜?」

 ラカート父さん(の中の人)、我慢が出来なかったらしい。

ラカート/(売り場のお姉さんになって)「こちらの綺麗な石のアクセサリーはいかがでしょうか〜?」
GM/ネックレスとかペンダントとかいいよな、男の子でも持っていられそうだし。……じゃあ、売り場にはアンジュの目を引く赤い石と青い石のペンダントがある。
アンジュ/えっと……どっちにしようかな。
GM/「早くしろよ! グダグダしてると爆発すんぞ!?」
アンジュ/ええっ!? あ、えーと……その……『スカーレット』なんで、赤で!
GM/……あ、その発想は何故か無かった。いいなそれ(笑)
アンジュ/コレでいいよね、イオン兄?
GM/「ああ、それでいいんだな。ダンシングフラワーじゃなくていいんだな」
アンジュ/……欲しいの、イオン兄?
GM/「別に。じゃあ、その赤い石のペンダントを10個!
アンジュ/そんなにいらないよっ!?(笑)
ラカート/(売り場のお姉さんになって)「ペンダント1個、お買い上げありがとうございました〜」(笑)
GM/無事そのペンダントをお買い上げ、T急ハンズを出ます。今日は収穫がいっぱいあったね。荷物いっぱいでお店を出ます。
アンジュ/うん。早速そのペンダントを付けて街を歩きます……えへへ、イオン兄から貰った……。
GM/「俺があげたんだから、大事にしろよ」
アンジュ/うん、イオン兄から貰ったんだもん。大事にする!
GM/「……そ、そうだ! 折角ロックブーケまで来たんだ。Nジャタウンに行って遊んで行こうか!」
アンジュ/う、うん、そうしよう――!
GM/……では、楽しくイオンと時間を過ごしたということで初期取得シナリオキーに続いて[シナリオキー/イオン´]を入手してください。


 ●特別ステージ/ラカート×レスター

ラカート/何気なく宿舎を歩いていると……空き部屋を見つけてそこでレスターを見つけるっていうのでいこうと思います。あれ、この部屋って……?
GM/ではラカートは、誰も住んでいない無人の部屋を見つけます。でもここ……鍵が開いてるな? なんでだろう?
ラカート/誰か居るのか……ドアを開けます。
GM/そこには、レスターの姿。何かを考えるように佇んでいます。
レスター/……何だ?
ラカート/なんだ、って……。お前こそ、こんな所で何をしてるんだ?
レスター/……それは。……何も言えず黙って答えません。
GM/じゃあラカートの目に……棚に伏せられた写真立てが映ります。
ラカート/ずかずか部屋に入って行って写真を見てみます。なんだこれ……ああ、昔のフェルトリーナ隊の写真か……お前も写ってるな。知らない連中もいるが。
レスター/ああ、そうだな……。
ラカート/この部屋に何かあるのか?
レスター/……別に、そういう訳じゃ。
ラカート/…………。そうだ、レスター。たまには一緒に外に出ないか? イオンとアンジュの二人が仲良く買い物に行ったからさ、俺と付き合う気はないか?
レスター/……俺と?
ラカート/ここで何をしていたか知らないけど、今ヒマなんだろ? ならどっか行こうぜ、食事でもなんでも。
GM/……食事と言うと……ロックブーケには『エニーズ』というファミリーレストランがあってだな(一同笑)
ラカート/じゃあエニーズにレスターを連れて行きます! で、注文をあれとこれとでどう見ても2人で食べきれない量をメチャクチャ頼みまくる! さあ、たんと食え! でもって話でもしようぜ。
レスター/あ、ああ……。注文してしまったもんだし、出来る限り箸をつけます。
ラカート/ニコニコ見てます。
レスター/……なあ。なんなんだ、これは?
ラカート/ええっ? お前と一緒に過ごすための手段だけど?
レスター/……ラカート、お前……一体何がしたいんだ?
ラカート/だから……昔に囚われていそうなレスターを俺なりに気遣ってみたんだけど? ちなみにこの食事も、下心ありだ。この優しさも下心ありですよ。お父さんの仮面は捨てていく!(笑)
レスター/……黙って食べます。
ラカート/あの部屋って誰の部屋なの? 全く知らないから訊きます。
レスター/あそこは……ルイスって奴の部屋だった。
ラカート/今、そいつは?
レスター/お前が知っている通り、もう居ないよ。
ラカート/ふうん、そうなのか……。まっ、とにかく俺はお前に興味があるんだからな。それだけは覚えておいてくれ。でもって少しは俺のこと見てくれよ。……お代を払って、店を後にします。
レスター/お、おい。……こんなに……俺一人じゃ食べきれないぞ。


 ●ステージ/ルイスの部屋

GM/では最後にシグのシーン。……シグはパソコンのある部屋で、仕事を手伝っています。一人、部屋で黙々と作業をしてますね。
シグ/カイルさんに仕事を任されるのはいつものことなんでやってます。
GM/そんな風に事務作業をやっておりますと……「そんなに根詰めてやらなくていいんじゃないの?」と声を掛けられます。
シグ/え……誰ですか?
GM/声をした方に振り返ると……そこには、女性が立っています。「あらあら、私の名前忘れちゃったかしら?」……彼女の名前はミモザさん。フェルトリーナ隊のラカートの前任にあたるミンストレルの女性です。
シグ/み、ミモザさん……!?
レスター/ミモザさんが、出た……!?

 『ミモザさん』
 元々は、レスター&シグの中の人とGMが飲み屋で作った「口ベタなルイスとレスターの恋を進展させたお助けキャラ」である。既に過去にデキてる設定になったフェーダ2人が仲良くなるためにはクッション材になる人がいたからだよ、という会話のもと作り上げられた。名前の由来は居酒屋のメニューにあった「ミモザサラダ」。
 プレイヤー同士の身内ネタで使っていたキャラクターを、今回あまりにおいしい女性キャラだったためシナリオ中に採用した。


GM/「ちょっと遊びに来ただけよ。休日だというのにお仕事大変そうね」。あらあらうふふと笑うミモザさんの……お腹は、大きいです。フェルトリーナ隊を脱退した理由は育児産休の為だとシグは知ってます。
シグ/お、お久しぶりです。椅子を勧めます。どうぞ。
GM/「そんなに必死に気遣ってくれなくて平気よ。こうやって宿舎に遊びに来るぐらいなんだもの」。あらあらうふふ。
シグ/でも……赤ちゃんに何かあったら困りますし……俺、妊婦さんにどういう風に対応したらいいかよく判らないので。
GM/「あらあら……じゃあ少しだけおしゃべりに付き合ってくれるかしら。そうね……シグ君、最近の調子はどう?」
シグ/最近ですか? 変わったところといえば、新しいフュージョナーが隊に入ったぐらいですよ。
GM/「その新しい子っていうのは?」
シグ/アンジュさんって言います。ライカンスロープのフュージョナーが入ったんです、と普通に答えます。
GM/「あら、ライカンスロープの? 私の旦那といっしょね。ウチの人は熊のライカンスロープだけど」。……なんか、『ウチの人』って言い方、良いな(笑)
シグ/ああ、確かに熊の……そうでしたね、俺も挨拶した記憶があります。アンジュさんは犬のライカンスロープなんですけど、何か引っかかることでもありますか?
GM/「いいえ、そういう訳じゃないけど。仲良くしてあげてね? …………カイル君はどんな風かしら?」
シグ/カイル君……(笑) カイルさんですか、今も俺に仕事を任せますけど。
GM/「何か変なコトはしてない?」
シグ/変なコト……? 特にありませんけど……なんでそんなことを訊くんですか?
GM/「あら、ごめんね」とミモザさんはうふふと笑います。「10ヵ月前……ルイス君のコト、あったでしょう?」
シグ/あ……はい。ありましたね……レスターさんのことを思い出します。
GM/「あのとき、ルイス君はこの隊から抜けてしまった……あんな大怪我を負って運ばれてきたんだもの。私もミンストレルだったからよく覚えてるわ……もしあれで助かったら奇跡だと思ったぐらいの傷だった。レスター君には悪いけど、そう思った」
シグ/ええ……そして、ルイスさんは帰ってこなかった。
GM/「でも、ルイス君が……生きてるんじゃないかって私は思うの」
シグ/え……。そう、なんですか?
GM/「だって実際に消えたところ、私は見てないんだもの。……そう希望を持ってもいいわよね」
シグ/あ……そういうことですか。なんだ……。
GM/「別にあのときのカイル君を怪しむだなんてしないわ……。あ、そうだ、シグ君なら……信用できるから言っておくわね。……何かアークの中でヘンなことが起こっていたら、私に連絡して」
シグ/え……どうしてミモザさんに?
GM/「なんでも力になるわよ」。ニコニコと、あらあらうふふと微笑みます。「そうだ、それと! 今度の休日は空いてる? 私と一緒にデートしない?」
シグ/はあ……デート、ですか。
GM/「実は、そろそろ旦那の誕生日なの。どうやら予定日とがいっしょになるらしいの」
シグ/それは……おめでたいことですね。
GM/「そうでしょ。隊を抜けてゆっくり考えられる余裕が出来てから、誕生日プレゼントぐらいちゃんと用意したいなって思うようになって……誰かに相談したかったの。シグ君、ダメかしら?」
シグ/そういうことでしたら、お手伝いできます。……誕生日プレゼントの見繕いデートか、凄く定番だ(笑)
GM/「ありがとう、助かるわ! 久しぶりにみんなの話も聞けるしね」。ニコニコうふふと笑って、暫くそのような話をしてからミモザさんは違う人に挨拶をしてくると言い、シグの元を去って行きます。
シグ/はい……見送りますけど。ルイスさんか……もう居なくなって10か月になるんだな。
GM/それでは、ルイスのことを考える昼下がり……[シナリオキー/ルイス]を手に入れてください。


 ●日常・夜/ラカート×レスター

GM/それじゃ、夜のパートいくよ。……ラカート、レスターの部屋に突撃するんだっけ?
ラカート/はい。レスターさんってお酒、飲める?
レスター/そんなに強くないかな。
ラカート/じゃあ飲めるんだな。それなら瓶を2つぐらい持って、レスターの部屋のドアを叩きます。
レスター/……なんだ、またお前か。
ラカート/ウチのチビ共がうるさいからさ、ちょっと部屋に入れてくれや。これはお土産だ。この酒は甘いからな、口当たりが良いからお前でも飲めるだろう……って笑いながらスルリと部屋に入ります。
レスター/勝手に侵入してきた(笑) ……瓶は素直に受け取ります。
ラカート/勝手知ったるって感じでグラスを出して、テーブルに着く。勝手に酒をあけて勝手に飲みだすよ(笑)
レスター/……ラカート。どうかしたのか?
ラカート/うん? どうもしないよー? ただ……お前は無防備過ぎるな。
レスター/……キョトンとしておく。
ラカート/昨日も言ったけど、俺は下心アリって言っただろ?
レスター/ああ、そうだったな……警戒しつつも大人しく飲む。
ラカート/でさ……ぶっちゃけ、あそこの部屋……ルイスだっけ。そいつとお前ってどういう関係だったの?
レスター/暫く黙って。……俺とアイツは……仲間だよ。
ラカート/仲間……か。じゃあ俺にももうちょい付け入る隙があるかな? 俺はもっと、お前とは深い仲になりたいんだ。
レスター/……好きにすればいいんじゃないか。
ラカート/それは、イエスと受け取っていいのかな?
レスター/…………。
ラカート/そのまま、スッと近づいて……いくけど、どう? 抵抗する?
レスター/……抵抗しないね。
ラカート/そのまま口付けますよ。……酒のせいにしてもいいぞ。そのまま脱がしにかかります。
レスター/うーん……じゃあ、サイコロ振って偶数が出たら抵抗しない。奇数が出たら抵抗してみる。(ころころ)……偶数が出た。
GM/ベッド戦闘のイニシアチブはラカートさんに取られたようです。という訳で戦闘に移りましょう、ドローフェイズ!(笑)
ラカート/ヤベ、愛6のカード引いちゃった!(笑)
レスター/ここで俺は、希望の2。
ラカート/愛6VS希望2って切ないな!(笑) じゃあもう一回。……本当にいいのか?
レスター/……無言で頷いておく。
ラカート/そのまま、おいしく頂きますよ。
GM/そんな状態でベッドに傾れ込む二人。……レスターはラカートと肌を重ねます。そのまま、夜を明かします……。
レスター/……朝になって……もそもそと起きだすよ。
ラカート/レスターより先に起きて、起きぬけにコーヒーをそっと置いておきます。……なあ、どうだった?
レスター/……訊かれて、真っ赤になる。
ラカート/あははは、ありがとな。デコにチュッとキスします。あんまりゆっくりしてると他の連中にアレだよな。
レスター/……何かあるのか?
ラカート/俺達が朝遅くまで一緒に居たら他の奴らに勘ぐられるだろ、それはお前も本位じゃないだろうし。……まあ、俺は見せびらかせたいんだけどな。
レスター/恨めしそうに見た後、普通に立ち上が…………れるよね?
GM/不安なら難易度10で【体力】判定してみな(笑)
レスター/(ころころ)成功。……羽根で微妙に誤魔化して気合いで立ちます。機動力はAになります!(笑)
ラカート/あのさー……お前さえよければここで暮らしたいって思ってる。俺が居ると邪魔か?
レスター/……好きにすればいい。
ラカート/ありがと。スキンシップが好きだからベターってくっつきますよ。
レスター/敢えてそれはそのまま受け入れるよ。
ラカート/……なんだろう、猫が懐いてくれる気持ちになった!(笑)
GM/(いきなり重苦しい声で)ではここで、2人とも【感知】判定をお願いします。
レスター/こんなところで!?(ころころ)失敗した。
ラカート/(ころころ)成功です!
GM/ラカートさんは判定に成功したから判る。…………誰かにそれを見られている事実に。
レスター/怖っ!?(笑)
ラカート/ざっ! ……誰だ!?
GM/いきなりイオンの声で)「俺だ!」

 途端、笑いが上がる……と同時にシグのプレイヤーが潰れる。

シグ/っ!(笑) 絶対っ、シリアスくると思って構えてたのにっ……!(一同爆笑)
レスター/いきなり判定させるから何か来ると思ったのに……イオンかよ!?(笑)

 イオンだって何かの一つです。

ラカート/ハイハイ捕まえる!(笑) 何しに来たんだお前は!?
GM/イオン は にげだした! しかし まわりこまれてしまった! 「ヤメろよ、首根っこ掴むなよ。伸びるだろ、5メートルぐらい!」
ラカート/伸びたらいいな!(笑) 子供は帰りなさい! お父さんは今忙しいんだから!
GM/「ぷぇー」。イオンはぴょーんぴょーんぴょーんとホッピングで帰っていきます。
ラカート/……アイツは何しに来たんだ……(笑)


 ●日常・夜/イオン×アンジュ

GM/次は、アンジュのシーン。……そんなこんなである日、何故かラカート兄が一緒の部屋じゃなくなりました。レスターの部屋に移動になるそうです。
ラカート/お父さんは新しい人と愛に生きる!(笑) それにアンジュにベッドをあげたいしな、いつもイオンに蹴られてるのはイヤだろ?
アンジュ/俺は別に大丈夫なのに、蹴られるぐらい……たまによく判らない痣が付いてるときもあるけど(笑) ラカート兄、行っちゃうんだね。
ラカート/お前にも大切な人ができたら判るさ。離れていても俺はお前のお父さんだからな! ずっと心の父だから!(笑)
アンジュ/う、うん! ラカート兄のこと、大好きだよ! わんわん!
GM/「そんな所に空気を読まずイオンが登場! ぐるんぐるん!
ラカート/何故でんぐり返しで来た!?
GM/かたつむりだ!
ラカート/かたつむり!?(笑) イオン、よく聞け! イオンは大体事情をよく判っていると思う! イオンはお兄ちゃんなんだからアンジュの言うことよく聞きなさ…………あれっ?(一同爆笑)

 素で言葉を間違えたらしいです。

GM/いきなり官能的な声で)「ああん? もう一度言ってごらん……恥ずかしがらないで、このお口でなぁ!」
ラカート/でも間違いじゃないと思うんだ!(笑) イオン、ちゃんとお兄ちゃんらしく過ごすんだよ!
GM/「判ってる、ルールサマリーぐらいちゃんと読むって」
ラカート/アンジュ、イオンの躾はお前に任せた!(笑) 入隊して数日のお前に言うのは酷だが、正直イオンを任せられるのはお前しかいないと思っている!
アンジュ/ええっ! 何の話!? ……なんかよく判らないけど、判ったかな? とりあえずラカート兄は男で、大切な人ができれば判って、イオン兄は面倒は俺が見るんだね!?
ラカート/要件はしっかり押さえてるぞ!(笑)
GM/「凄いな、なかなか社会に出ても出来ない技だ。俺が人事だったら採用してやんぞ!
アンジュ/本当っ!?
GM/「ああラカート……惜しい奴を亡くした。俺より階級、上になりやがって……」
ラカート/二階級特進してねえよ! イオンをぐりぐりぐり!(笑)
GM/「あたたた! それ、クレヨンしんちゃんも最近やらないんだぜ!」
ラカート/ドメスティックヴァイオレンスだからな!(笑)
GM/……そんなこんなで、ラカートが出て行き、イオンとアンジュだけの二人だけの部屋が出来上がりました。今までラカートが使っていた部屋がアンジュだけのベッドになります。
アンジュ/……最初から3人だったから、このベッドが広く感じるなぁ。
GM/「この部屋は完全に俺とお前の部屋になった! また私物増やさなきゃな。T急ハンズでもいくか?」
アンジュ/あ、うんっ! イオン兄から貰ったアクセサリーが嬉しいので、身に付けて買い物に行きます。わーい!
GM/買い物を楽しみ、自分達の部屋をメイキングするんですね……では夜のパート。夕食が終わっておやすみなさいの時間、アンジュは初めて一人のベッドで寝ます。
アンジュ/……広い……なんかベッドが広い……。
GM/成人男性が自由に使えるサイズのベッドなので、子犬のアンジュにとってはかなり大きいのかな。
ラカート/……でもアンジュって17歳だよな(笑)
アンジュ/7歳児です。
GM/(イオンになって)「俺だって10歳だぞ! ガンバルガーに乗れるぜ!」
シグ/ガンバルガーに乗れるなら充分だ。
GM/「あとキュベレイにも乗れるぜ」
アンジュ/…………ごめん、判らない(笑)

 ロボットオタクで申し訳ない。
 ちなみに、イオンは20歳設定である。「2」の部分をボヤかして読むこと。


GM/「なんだアンジュ、寂しいのか? 寝られるか、凍え死なないか?」
アンジュ/えーと……あったかいよー。でもちょっと……ベッドってこんなに広かったんだね。
GM/「うー……俺も最近ずっとお前と寝てたからだけど、ヤケに広いな」
アンジュ/うん……。えっと……イオン兄。そっち行ってもいい?
GM/「んー? …………いいぞ」
アンジュ/ぱぁーっと明るくなってイオン兄のベッドに入り込みます! 枕を引っ張り出してポンッ。お邪魔しまーす!
GM/「近う寄れ。……ずっと狭くなったけど寝られるか?」
アンジュ/うん、落ち着く!
GM/「あー……うー、んー」と、イオンはずっと唸った声を出します。
アンジュ/イオン兄?
GM/「寝られるか?」。二度目の質問です。
アンジュ/う、うん。イオン兄、寝られないの?
GM/「ちょっと寝られないなー。……やっぱ隣にお前が居るからかな」
アンジュ/う、ご、ごめん。出る……ね。
GM/「いや、出なくていい。あったかいし。出たら不効率だろ」
アンジュ/うん……じゃあ、えっと、隣で収まります。
GM/「寝られるか?」。三度目の質問。
アンジュ/イオン兄、寝られないんだったら俺……元のベッドに戻るよ!
GM/「いやいや、俺の言ったことバックログで見直してみろ」(一同爆笑)
アンジュ/ろ、ログぅ!?(笑) 何のことなのイオン兄!?
GM/「これで最後の質問にするぞ! 寝られるか!?」
アンジュ/うん! 寝られるよ!
GM/「ホントに寝ちゃうんだな!」
アンジュ/……寝ちゃうとマズイの?
GM/「うーうーうー! ここに空気が読めるラカートが居たら(いきなり厭らしい口調になって)「おんやまぁ、二人ともお楽しみですかぁ、どぉぞぉ〜♪」って言って出て行くんだぜ!」
アンジュ/……えっと……?
GM/「出て行けということじゃないぞ」
アンジュ/……くっついていればいいんだよね? ぎゅーっ!
GM/「……変なカンジなんだよな。判るか。この胸のモヤモヤ感と、この甘酸っぱさとレモンの果実を」
アンジュ/果実っ!?(笑)
GM/「お前は感じないか」
アンジュ/んー……でも……あったかいよ。
GM/「だけか?」
アンジュ/な、なんかあるの?
GM/「……だけか」
アンジュ/えー!? なに、気になるよ! 今度は俺が寝られなくなるよ! ……教えて、イオン兄。
GM/じゃ俺寝るわ!
アンジュ/ええーっ!?(笑) そこまで言って教えてくれないのー!?
GM/イオンはアンジュに接近して、手を繋ぎます。「よし、これで寝よう」
アンジュ/……あったかい。えへ。これでいっか……おやすみなさい。
GM/「後で艦長の部屋に行って変な本を探して来いよ。そこで勉強してこい」
アンジュ/……えっ?(笑) そ、そっか、俺って勉強不足だから判らないのか! 判った、艦長の部屋に行ってくる!
GM/「おう、勉強してこいよ。そして勉強した成果を俺に見せろよ! ……これが光源氏ってヤツか」(一同爆笑)
ラカート/(いきなり現れて)艦長の部屋に探しに行ってもいいけど、行ったら絶対食われるぞ!(笑) ただでさえ今、愛情が薄いんだから!
GM/……そうして手を繋ぎながら寝て、アンジュは夜の2時ぐらいにベッドから蹴落とされるんですね。
アンジュ/きゃうんっ!? 痛い……(笑)
GM/もう一回ベッドに入る?
アンジュ/は、入ります……だって自分のベッドは冷たくなってるもん!
GM/入ると、イオンにギューッと抱きしめられます。
アンジュ/ぐえっ!?(笑)
GM/「ぐーぐー! 俺もガンダムだ! お前もガンダムだ!
アンジュ/俺ってガンダムなの!?(笑) イオン兄……苦しいよー。じたばた。
GM/イオンに抱きしめられたまま布団の中に押し込められ、顔が寄って来ます。……唇が首元に。
アンジュ/え、えっと……? 
GM/「ぐーぐー」
アンジュ/イオン兄……。
GM/「ぐーぐー」
アンジュ/……起きてる?
GM/「起きてないぞ」
アンジュ/イオン兄、起きてるよー!(一同爆笑) 起きてるじゃん! 喋ってるじゃんー!
GM/「起きてねえって言ってるだろ! 寝言に決まってるだろ! 羊が1匹! もう食べられないよぉ!」
アンジュ/1匹しか食べてないよ、ラム肉!?(笑) イオン兄、苦しいってばー! 俺は枕じゃないよー、くすぐったいってー!(笑)


 ●日常・夜/ルイス×シグ

GM/最後にシグのシーン。……ミモザさんとの約束の日程になりました。ミモザさんとお出かけしましょう。
シグ/上司からのお誘いだ。待ち合わせの時間に遅れないようにポリシーの『ライフパス/完璧主義』を生かして行きます。5分前には到着するようにします。
GM/そんなだからカイル艦長に仕事を任されてるんだろ……貧乏くじっていうんだよ、それ(笑)
シグ/西暦の遺跡ハチ公前に到着。……これは、犬を模した遺跡か(一同笑)
GM/このハチ公という遺跡は待ち合わせの場所として使われているようだね。では、暫くしてミモザさんがやって来る。「あらあら、待たせちゃったかしら?」
シグ/いえ、今来たところです。旦那さんのプレゼント探しでしたね、まずはどこに行きましょうか。
GM/「男の人へのプレゼントだもの、シグ君の意見を沢山聞きたいわ」
シグ/と言われましても俺はプレゼントを誰かに贈ることはしませんし。……持てる限りの【知力】を振り絞って良いプレゼントを探しに行きます。
GM/あらあらうふふと色んなお店をまわりましょう。そんな中……【霊格】判定、難易度は15でお願いします。
シグ/(ころころ)はい、成功しました。
GM/シグはピンと何かを感じた。……何か不穏なものを感じる……黒い影が、空を舞った気がした。
シグ/……んっ!? チラッとその辺を見渡してみます。なんだろう……?
GM/ではここで、ミモザさんが『黒い影』に気付くか気付かないかの選択肢をシグ自身が決定してください。
シグ/……じゃあ、気付いてください。
GM/「あれ……シグ君。さっきのは……何かしら?」
シグ/今の、見えました?
GM/「フェーダ……だったわね? けど、翼人と言っても街中を飛ぶだなんて」。所詮フェーダもヒト族で羽を持っていても『飛ぶことができる手段がある』に過ぎないため飛んでいるのは珍しいことです。
シグ/……今の俺は、フェーダって言うとルイスさんしか連想出来ないんですよね。
GM/「さっきの羽……レスター君みたいな翼ではなかったわ。もっと、こう……」
シグ/……コウモリのような?
GM/「そう。……行ってみる? もちろん同じコウモリのフェーダさんなのかもしれないけれど」
シグ/俺にはアリアンとウンディーネとピクシーがいます。今日のシフトは3人ともいるから平気です。
ラカート/(いきなりアリアンロッドになって)「ええーっ、シグ行くの? お休みなのにー」
シグ/上司の頼みなんだから付き合ってくださいよ! 後でアイス買ってあげるから!(笑)
ラカート/(アリアンロッドになって)「わーい、アイスだー!」
シグ/何かあったら妊婦のミモザさんを守れる手段はある。俺が頑張らないと! ……影の方向へ向かってみます。
GM/では、ミモザさんと共に影の方向へ行きます。そこは人が住んでいる場所ではない……ジャンク街へとやって来ました。空もちょうど曇りがちで暗くなってきます。
シグ/なんだか嫌な天気になってきましたね……。
GM/……がたんっ! 積み上げられたガラクタの一部が……あっちの方で崩れた。
シグ/ミモザさん、見てきます! 音がした方向へ駆け寄ります。
GM/そこには……毛布かマントの塊が、モゾッと動いている。ヒトが居るのかな?
シグ/警戒しつつ……声を掛けます。どうしました?
GM/……マントの下から呻き声が聞こえてきます。
シグ/駆け寄る……。ウンディーネ、働いて!
ラカート/(ウンディーネになって)「ハーイ、アイス2個ね。さーっ!」
GM/ウンディーネが回復の術を使います。……呻き声は小さくなり、どうやら落ちついたようだ。この人……気分が悪かったのかな?
シグ/体調が良くはないみたいですね。失礼します……マントを剥いでみますよ。
GM/マントを剥ぐ、と……そこにはシグの知っている顔があった。
シグ/え……貴方は……。
GM/マントや曇りのせいで暗くなってるためかハッキリと顔は見えない。だけど、確かにその顔は……。
シグ/……まさか、ルイスさん……? バッとミモザさんの方を振り返ります!
GM/(ミモザになって)「どうしたの?」
シグ/こういうときはミモザさんの方が専門ですよね! ……ルイスさんです! ルイスさんが苦しがっているんです!
GM/「……失礼」。ミモザは真剣な顔になってルイスの体を診ます。そして……「え、なにこれ? なんでこんな体に……?」
シグ/……どうかしました?
GM/「両目に聖印……額にも、腕にも? こ、こういう症状ってあるのかしら……?」。マントを剥いで光が当たったルイスは……禍々しい文様が浮かぶ恐ろしい姿をしている。
シグ/これは一体……ルイスさん、喋れますか?
GM/「声は出ないみたいね……苦しいのかしら」
シグ/……隊のみんなに連絡しますか。
GM/「ルイス君が居たって、みんなに知らせるの?」
シグ/こちらも訳が判らない状態でしょう。それにルイスさんの様子は明らかにおかしい。確かルイスさんの聖印は……レスターさんに聞いた限りでは右腕だった気がします。
レスター/……何故、知ってるんだ。俺。
アンジュ/何故知ってるし、何故教えたし!(一同笑)
シグ/今、俺の部屋は一人部屋です。布団がありますので休めさせることはできます。だから宿舎へ連れて……。
GM/それを聞いたルイスは、シグの腕をガッと掴む!
シグ/うわっ!? る、ルイスさん……?
GM/強い力で掴んで、首を振る。
シグ/……どうしてですか? あそこは、貴方の仲間が居ます……レスターさんも居るんですよ?
GM/俯いたまま、苦々しく首を振るだけです。
シグ/……これはもうメイガスの本領発揮するしかないな。失礼します、ルイスに【リーディングコード】をかけます! ハイ、愛のカード!
GM/……シグって便利だなぁ。メイガスってそういう役割だけどさ。
シグ/なんでもできる。ただ、愛してますの一言だけが言えない(一同爆笑)
GM/では……シグがルイスに触れながらルイスの記憶の中を探ります。……様々な光景が見えてくる。

 数日間、スラム街で苦しみ続けるルイスの視界。
 数か月前、レスターなどと暮らした宿舎での時間。
 そして全く見覚えの無い異世界。真っ白い、まるで病院のような閉鎖的な風景。
 ……そこに居るのは見知らぬ白衣の人間達と、見知ったカイルの姿。


シグ/え……なんでカイルさんが……?
GM/ではここで【霊格】判定してください。成功すると、『病院着のようなものを着た犬のライカンスロープの姿』が見えます。難易度は20。
シグ/(ころころ)……失敗した!
GM/あ、失敗か。残念だね……じゃあ、とある強い想いが他者を踏みこませないようプロテクトをかけているようだ。何か重要なことを見られそうだったけど無理だったな。手を放します。
シグ/カイルさんの姿を見て動揺しました……。
GM/……≪ウンディーネコード≫をかけてくれてルイスは落ち着いたのか、喉を凝らしながら言います。「ここが……一番安全だ」
シグ/ルイスさんの懐かしい声だ……。宿舎に帰るのは、どうしてもイヤなんですか? それなら俺もここに残ります。
GM/……どういう意味か判らないといった顔をします。
シグ/「確かに俺は何かが出来る訳ではないけど、それでも怪我人を……仲間を置いていけるほど薄情じゃないです。それで納得してもらえませんか?」
GM/……顔を俯かせます。
シグ/それが嫌なら、無理にでも連れて行きます。
GM/ミモザさんも口を開きます。「私もシグ君がそういうなら、みんなには話さず黙っているわ」
シグ/それでお願いします。彼は、みんなに知られたくないみたいですから。お買い物を楽しんでいたところだったのにすみません。
GM/「ううん、仲間に会えたのは嬉しいことよ。再会は喜ぶべきじゃないかしら。何か訳アリらしいけど、生きていてくれただけで良かった」
シグ/そうですね、どんな形であれ……生きていてくれただけで俺だって嬉しいんだから、レスターさんだって喜ぶと思いますよ。
GM/その『レスター』という名前にルイスが若干反応を示した……けど、なかなか話すことはできず、黙ります。
シグ/貴方が生きていてくれたら、カイルさんだって喜ぶ筈です。……あれ、でもカイルさんは「彼のことは忘れろ」って言ったよな……。 
GM/……ルイスはどうやらこの奥の廃ビルで身を隠していたようです。少しの捜索でそれが発覚します。
シグ/わかりました。……有給はいっぱい余ってますから暫くの間、俺が面倒を見ますね。ここに直ぐ戻って来ます!
GM/それじゃ、一旦宿舎に戻って外に出る準備をするのかな。
シグ/簡単な毛布を2人分と、治療セットを持って出て行きます。……カイルさんに、有給を一週間ほど取ると言って。
GM/(カイルになって)「ああ、シグ。やっと休みを取る気になったんだな?」
シグ/もう3年分溜まってるんで。査問委員会に怒られるのは俺じゃなくてカイルさんですから(笑)
GM/「そっか。…………俺の為にか。俺を気遣ってくれるのか?」
シグ/そういう台詞を無駄遣いしないでください!(笑) ……忙しい時期で申し訳ないですが暫く宿舎を空けますね。
GM/「任務が入ったらちゃんと呼ぶからな」
シグ/それはいつでも駆けつけます。
アンジュ/コンコーン、艦長失礼しまーす! イオン兄に勉強してこいって言われてきたんですけどー。あ、シグさんとお話中? ごめんなさい!
シグ/…………アンジュさん。そのお勉強は俺が付き合います。
アンジュ/え?(笑)
シグ/一時間程度でいいなら俺が勉強を見ますので! アンジュさんに理科の教科書を渡します。
アンジュ/ええっ? おしべ……めしべ……って、何?(笑)
シグ/何かあったら絶対にカイルさんではなくラカートさんの元へ! カイルさんのところに行くと難しい高等なことまで教えられてしまいます! ラカートさんの元でホップを学んでからイオンさんと頑張ってください。
アンジュ/シグさん? 艦長っ!? ……イオン兄ー。この本、判らないよー!
GM/(イオンになって)「だからー、太郎が花子の中に入れるんだってばー
アンジュ/何をどこに!? だってこれ、おしべとめしべだよ判らないよ! お花だよー!?(笑)
GM/……では、そんなことを話しながら夜のパートになります。シグは大荷物でルイスのいる廃ビルに向かいます。そこで彼は苦しそうに体を抑えていますね……。
シグ/マントを外して、毛布をかけ直します。……ルイスさん、寒くないですか?
GM/返事はしない。ずっと唸ったままだ。
シグ/どこか痛いところはありませんか? 俺で良ければ診ますけど……。
GM/マントを剥がすと、やはり傷を多く負っている。けどすぐにおかしいと思う。だってミモザさんが昼間のうちに【ネクター】をかけたのに……自分で傷つけたのか?
シグ/一体何を……。ウンディーネを時間外労働してもらいます。
ラカート/(ウンディーネになって)「次はチーズケーキねー」(笑)
シグ/傷を癒して……落ち着きましたか? 毛布を敷きますから、少しでも柔らかいところに移動しましょう。
GM/誘導しているところで、……ルイスはまた苦しみだします。元の聖印があった部分を自分で強く抑え、声を荒げる。
シグ/ルイスさん、大丈夫ですか!?
GM/呻き声はずっと大きい。そして、ギッとシグの方を見る。……聖印が入った赤い目で。
シグ/ひっ……。俺、ライフパスの『覚醒/赤き瞳』なんですけど。
GM/あ、それじゃピッタリだ。……シグの背筋がゾクリと震える。こんな恐ろしい目は見たことがない。
シグ/凄く引きたい……けど、ルイスさんは仲間だ! 腕を掴んで大丈夫ですかと気遣います。
GM/触ってきたシグの肩をガッと掴む。そのまま強い力でシグを地面に押し付けます。
シグ/痛っ!? ル、ルイスさん……どうしたんですか? 落ち着いてください!
GM/強い力で押しつけて、首元を掴まれ……ガガッと服を引き裂かれる。
シグ/なっ……! もうどうしたらいいか判らないからもう【ウンディーネコード】だけ連発します。俺に出来ることってこれくらいなんですよ……!
GM/連続して癒しの術をかけるけど、その力もすぐに尽きてしまう。……命の危機を感じるね。
シグ/凄く怖い! 震えちゃって動けません。
GM/頭を地面に押さえつけられます。……そのまま下半身を暴力的に弄られます。
シグ/ル……ルイスさん……!
GM/で……濡らさないままでいこうか。
シグ/痛い……! 声にならない悲鳴を上げて、抵抗するけど……訳判らない状態だし、赤い瞳のトラウマで抵抗できません。
GM/抵抗する腕も簡単に抑えつけられたり、血が滲むような行為で犯されます。激しく突かれたり、食いつかれたり貪られます。
シグ/痛いし……怖いけど……落ち着いてくれるのを信じて我慢しますよ。
GM/……暫くしてルイスがシグの体からバッと離れます。その眼が赤いものから、普段の黒いルイスの目に戻っていく。
シグ/ルイスさん……? 掠れた声で、一生懸命体を起こして言います……。
GM/頭を振るう。「ダメだ……来るな……また俺は……!」
シグ/正気に戻ったんですね……深呼吸してください……。
GM/「近寄るなっ! ……また俺は……人を襲ってしまう!」
シグ/……勇気のカードを提出しながら、抱きしめにいきます!
GM/抱きしめられます。今度は力無く……シグでも対抗できるぐらいの力で押し退けようとする。
シグ/……背中を撫でますよ。へたりこみながら、でも抱きしめる腕は離さない。
GM/何度も押し退けようとするけど、シグに抱きしめられたままになる。
シグ/……持ち物の中の水筒を開けて、自分の口に水を入れてから……ルイスにそのまま口うつしで飲ませます。
GM/少しだけ拒んだけど、シグを受け入れます。
シグ/飲みこんだのを見届けて唇を離して、頭を撫でながら……。落ち着きましたか?
GM/小さな声で言います。「……すまない……俺は、俺は……」
シグ/俺は、あの姿がルイスさんの本当の姿じゃないって判ります。ルイスさんの本意ではないことも知ってますから……大丈夫です。
GM/「……離れてくれ……また俺は……衝動に耐えられなくなってお前を襲う……」
シグ/有給は一週間取ってあるんです。まだまだ余ってる有給もありますから、貴方に付き合いますよ。


 ●シーン2

GM/……では、イオンのイベントが発生します。……時刻は夜の2〜3時。アンジュはぐーっと寝ていると……体温がスッと下がります。
アンジュ/うん……?
GM/アンジュの隣に居る人がベッドから出たからだね。
アンジュ/あ、あれっ? ……イオン兄……?
GM/「呼んだかー?」と、ベッドの外で部屋着ではない服に着替えているイオンがいる。外に出る支度をしているようだ。
アンジュ/……どこ行くの? まだ夜だよ?
GM/「どう見ても夜じゃねーか」
アンジュ/真っ暗だね。……じゃなくて。どこに行くの?
GM/「野暮用」
アンジュ/野暮用って……。
GM/「お前にだけは教えてやろうか。…………兄ちゃんに会いに行く」
アンジュ/……お兄ちゃん? イオン兄、お兄ちゃんいるの?
GM/「ああ、超展開だろ」
アンジュ/うん超展開だよ、イオン兄!(笑) そんな話、聞いたことなかったよ。
GM/「ところがいるんだよ、50匹ぐらい
アンジュ/確かに1匹見たら50匹いると思えって……でもそういう問題じゃないんだよ!(笑)
GM/お前、ノリツッコミうまくなったな(一同爆笑) でも騒ぐなよ、まだ夜だぜ? 心配すんな、会って来るだけだから」
アンジュ/けど、イオン兄……1人で夜出て行くの? イオン兄のお兄ちゃんかぁ……俺も行っていい?
GM/「いいぞ。コレが新しい犬だって兄ちゃんに紹介してやる」
アンジュ/……新しい、犬……。
GM/え、お前って犬じゃなかったの!?
アンジュ/ええっ、犬だけど!(笑) 熊とかじゃない! 猫と間違えられると泣く! 待って待って洋服着るからバタバタ。
GM/「早くしろよ、あと3秒だからな! 1、2、5ー
アンジュ/2秒越えたー!?(笑) ……イオン兄、着替えたから手を繋いで行こうよー。
GM/「ああ、絶対に離すんじゃねーぞパッ!
アンジュ/あああぁー!?(一同爆笑)
GM/一応真夜中なんでそろりそろりと誰にも気づかれないように出て行きましょう。抜き足差し足と宿舎を出ます。
アンジュ/……どこに行くの?
GM/「あっちだ」とイオンに連れ出されてきた場所に……馬車があります。お揃いの服を着てるし、アークの人達かな?
アンジュ/……イオン兄、あれ?
GM/「ああ。コイツらが会わせてくれるってさ」
アンジュ/そうなんだ……。
GM/……さて、アンジュ。イオンと一緒に馬車に乗りますか?
アンジュ/……そういうのを疑える状況を何も持ってないので……乗ります。
GM/ではイオンと一緒に馬車に乗ります。イオンは馬車の中でも係の人に「兄ちゃんはどんな感じだ?」と無邪気に、嬉しそうな顔で尋ねているね。
アンジュ/お兄ちゃんに会えるの嬉しいんだなー……ニコニコ聞いています。シッポぱたぱた。
GM/……そのとき。【体力】判定をどうぞ!
アンジュ/(ころころ)あ、失敗だ!?
GM/アンジュは無垢の塊だからね。イオンと一緒にシッポぱたぱたしていたところ、いきなり誰かにモゴッと変な薬品を嗅がされる。
アンジュ/なっ!? ぱ、ぱた……。
GM/そのまま、意識が遠くなります。疑いもまったくないワンコは眠ってしまうのでした……。


 ●シーン3

GM/宿舎からイオンとアンジュが失踪し、2日……3日目の朝を、ラカートとレスターは迎えます。
シグ/やあ、二人きりの宿舎おめでとう。せいぜい愛を語ってろよ。
ラカート/あ、ホントだ!(笑) でも二人きりじゃないよ、艦長いるよ!
シグ/…………艦長って誰だっけ?(一同爆笑)
GM/では3日目の朝、ラカート、レスター、シグの3人に「任務の話がある」とカイルからの伝言が届きます。
ラカート/2人が居ないのにこんな状況でどうするんだ? それにシグ……お前、有給って言ったからもうちょいツヤツヤした顔で戻ってくるかと思ったのに。何かあったのか?
シグ/ちょっと忙しかっただけです。
ラカート/お前、有給取ったのに忙しいのかよ……可哀想な人生だな(笑)
シグ/仕事の方がラクかもしれないです(笑) で、どうなっているんですか?
GM/艦長が話を始めます。「――現在、この街及び周辺一帯に失踪事件が起きている。十五〜二十歳ぐらいの若い男性ばかりが失踪し、また、それと同年代の男性の遺体が数体発見されている。我々の任務は、犯人を付きとめることと犠牲者を増やさないようにすることだ。期限は短いぞ」
ラカート/……レスターのことばかり考えて任務の内容が頭に入りません。だってレスター落とすためにフラグ全放棄だもん!(笑)
シグ/あ……そういやシナリオキーを何も持っていないよね。とても重要な[シナリオキー/墓島・強化兵]が無いんだ。……任務を受けて判りましたと敬礼をして、作戦会議タイムに移りましょう。

 MAPは以下の通り。
 ステージ名【ホーム】寝食を共にしているPC達の宿舎。現在地。
 ステージ名【アークの詰め所】[シナリオキー/アークからの情報]を入手。
 ステージ名【町の広場】[シナリオキー/現場]を入手。
 ステージ名【市場】[シナリオキー/噂話]を入手。
 ステージ名【一般住宅】[シナリオキー/少年の目]を入手。
 ステージ名【スラム】[シナリオキー/女の話]を入手。


ラカート/その[シナリオキー/墓島・強化兵]って、【カイルの部屋】に行った時に貰えるんだったな。……カイルのイベント全放棄したらこうなるのか。
GM/ちなみに、ミモザさんはルイスのことを誰にも言っていないことをここで宣言しておきます。
シグ/レスターさんにルイスさんのことを言うべきか……。
ラカート/……あ、まずはイオンの部屋を探ってみるとかどうだろう!? 情報が少なすぎる、と言ってアイツらの部屋に行ってみよう!
レスター/それなら俺も探そう。……二人で探した方が手っ取り早い。
シグ/俺はスラムに戻ります。……もしかしたらルイスさんは誰かに襲われて逃げているんじゃないかと思って。

 PCの選択は以下の通り。
 ラカート&レスター→【イオンの部屋】
 シグ→【スラム】


GM/では、ラカートとルイスは、イオンとアンジュの部屋に来ます。……そこは、ジャングルです。
ラカート/緑が生い茂ってる!?(笑) 「クワァッ、クワァクワァッ」っていう鳥の鳴き声がするセットのスイッチを止めます!
GM/ではそこに、誰か人がいることに気付きます。……カイルだ。
レスター/うん……艦長?
ラカート/どうした、こんな部屋に。
GM/こんな部屋ってアンジュの部屋だろ(笑) 「何か手掛かりがあると思って調べていただけだ」
ラカート/何かあったか?
GM/「物がありすぎていて判らんな」。……ではここで、『カイルが何かを持ち出すことに気付けるか』【感知】判定難易度18の判定をどうぞ。
レスター/(ころころ)失敗。
ラカート/(ころころ)……うそ、俺も失敗した!?
レスター/ええっ! お互いを見てるから!?(笑)
ラカート/そ、そっかー……失敗したなら仕方ない。俺達も探してみようってことで見送っちゃうんだね。
GM/ではカイルが何かを持って出て行った……と、プレイヤーだけが判ります(笑)
シグ/文面は自然なのに、スチルには何かを持っているカイルさん!(笑)
ラカート/しょうがないよ、サイコロがそういう結果を出したんだから!(笑)
GM/ということで、2人はジャングルの中から手がかりになるものを探すけど「うーん、やっぱ色んなものがありすぎてダメだー」と思った。
ラカート/敢えて言うなら2人の絆が深まったぐらいだよ!(笑)
レスター/仕方ない。何も得るものがないなら、大人しく外に行くか……。

 一方その頃、スラムに戻ったシグは……。

GM/ルイスの元に戻るということだけど、一応ステージ名【スラム】に来たので情報収集ができます。……シグがジャンクの山の所にやって来ると、ある女がガラクタの中から冷蔵庫を引っ張り出そうとしているのを目撃します。
シグ/すみません、お話を聞きたいんですけど……。
GM/「ええっ? ……そうね、最近……変な怪しい影がウロチョロしてるのが怖いわぁ。殺傷事件も起きてるっていうじゃない。その犯人だったらヤだなぁ……」と、[シナリオキー/女の話]を手に入れてください。
シグ/あやしい影と同棲中ですみません(笑) ……女の人にお礼を言って、飲み物片手に廃ビルへ向かって、ルイスの元に戻ります。
GM/剣がシグの隣をサッと斬る。
シグ/うわっ!? ガシャンと飲み物を落とします!
GM/間一髪のところを避ける。……目の前には、マントを被って刀を持ったルイスが立っている。肩で息をしながら……。
シグ/ルイスさん……どうしたんですか? 俺です!
GM/「グッ……」。苦しみを必死に耐えようとする。もう襲ってくることはないね。
シグ/ルイスさんの右腕を……聖印の位置に合わせるように手を重ねて、そっと刀を下ろさせます。
GM/「また……俺は……人を、襲ってしまった……」。呟くように言います。……その刀には、赤い血がついている。
シグ/ルイスさん、俺が離れている間に……?
GM/「……ああ……お前がいないと……俺は……」。
シグ/ルイスさん……。今、アークでこのような話があるんです。概要を話して……辛いことを聞きますが、ルイスさん何かご存知なのでは?
GM/「……知ってるもなにも……その事件を起こしたのは、俺だ」
シグ/それは……人々を殺してまわっているのは貴方ということでいいんですか?
GM/コクリ、鈍く頷きます。……シグは知っている、彼が破壊衝動を抑えきれていないことを。
シグ/……ルイスさん。貴方が隊を離れてからの10ヵ月間、何があったんですか。
GM/ルイスはシグの顔を伺います。「……お前に言っていいものなのか判らない」
シグ/それは……俺が信頼できないということですか? 俺の≪リーディングコード≫だって万能じゃないんですから、ちゃんと口にしてください。
GM/何度も貴方を気遣うような目つきをする。「……もしアークに裏切られたと言っても、シグは冷静でいられるか?」
シグ/……裏切られた……?
GM/「……俺は10ヵ月前、ある任務で大怪我を負った。助からないと思った中、俺はとある施設に送られた。そこで『強化手術』を受けた。……俺は生き延びることが出来たが、このような姿になってしまった」
シグ/…………。
GM/「あそこでやっていることは……許されることではない。ヒトをヒトとして扱っていない、非人道的な連中の集まりだ。俺はなんとかあの研究所から逃げ……海を越えて、ここまで逃げ出すことができた。けど、俺は今、人魔になって人を襲ってしまう体になってしまっている……」
シグ/……街の人々を襲っていたのはルイスさん……だけど、もしかして行方不明になっているのはその研究所が黒幕だから? だったら尚更アークに戻ってそのこと伝えれば……!
GM/「……俺はアークを信用できなくなっている。それがお前の最良の判断と思うなら……そうしてくれ」
シグ/ルイスさんはそうは思わないんですか? ……ああ、思わないからここに居るんですよね。でも……レスターさんだって貴方を待っているんですよ。
レスター/……ごめん、不倫中で(笑)
ラカート/間男でゴメン!(笑)
GM/「俺がこうして生きられているのも、あの手術を受けたからだが……あの施設はあってはならない。なんとかしないとずっと思っていた……苦しいながら、この街のことを調べようとここに留まっていた……それが、自分を抑えきることも出来ず……」
シグ/……ルイスさんはどうしたいんですか? みんなと暮らすことと、このままでいることと……どちらを望みますか。
GM/「……最初は、もういなくなってしまえばラクだと思った。この刀を首に刺し込んでやりたいと。だがそれも俺の体は許さないようにしている……」。涙を零します。
シグ/本当の聖印を重ねるようにずっと腕を握ります。……俺は、貴方にいなくなられるのは嫌です……。

 ここで、とある[シナリオキー]をシグは入手し、またあるフラグが発生する。
 ……『ルイスの鋼魔回避』というイベントと、もう1つが。
 そして、何者かに拉致られてしまったアンジュは……。


GM/アンジュは目を開けます。そこは、真っ白けの部屋でした。訳判らないけれど体が震えます。
アンジュ/……鳥肌になります。い、イオン兄はっ?
GM/イオンは近くに転がってます。
アンジュ/イオン兄? イオン兄、大丈夫っ!?
GM/「うーん…………あと5時間
アンジュ/もーっ!(笑) そんなコト言ってる場合じゃないんだよ、ヤバイ所に居るんだよ! なんかヤバイよー!
GM/君が喚いていると目を開けます。「なんだここはっ!?」
アンジュ/だよね、どこだろ……ここ。判んないよ……。
GM/「どこだよここ。兄ちゃんこんなに白かったか!?
アンジュ/どう見ても部屋だよー!(一同爆笑) 他に人の気配は無いのかな、キョロキョロ……。
GM/扉がいきなり開いて、外から白い装束の人達が入って来ます。……アンジュは体が震えます。
アンジュ/うっ……! イオン兄にくっ付きます。
GM/「お、お前らなんだよ、メラミッ!
ラカート/いきなり白装束の男になって)「……ザラキ」
GM/ぐあ、やられたーっ!
アンジュ/ええーっ!? そんな展開ありなのー!?(笑) こ、来ないで!
GM/白装束の男達は、現れるなりアンジュとイオンを引き離そうとします。イオンもアンジュと同じようにワーメーと喚きますが……ある白装束の男が騒いでいるイオンの体にプスッと『何か』を刺して、大人しくさせます。
アンジュ/イオン兄っ!? く、来るなー!
GM/「あまり大声を出すな」。……顔の見えない白装束の男達が言います。
アンジュ/さ、騒がない……から……触るな……来るな……。
GM/怯えるアンジュの姿を見て、研究員達が笑ったような気がした。……そのままイオンを連れて行こうとします。
アンジュ/……どこに連れていくの!?
GM/(研究者になって)「すぐに戻してやるさ。コイツがムダに騒がなければな」
アンジュ/ま、待って……イオン兄、イオン兄……!
GM/(イオンになって)「お、俺なら……だだだだいじょじょじょじょじょ……」
アンジュ/絶対大丈夫じゃない! イオン兄ー!
GM/「うるせー、大人しく待ってろアンジュ!」
アンジュ/……うう……。
GM/イオンは研究員に連れ去られていきます。……白い空間にアンジュが一人ぽつーん。
アンジュ/膝抱えて待ってます……真っ白い部屋は怖いので小さくなってます。
GM/……そんなアンジュは思った。これって初めてじゃない気がする……でもあの時は誰かが肩や頭を撫でてくれていた……ような気がする。
アンジュ/誰か……ぐすぐす。
GM/何も判らない真っ白な部屋。……それからどれくらい経ったか判らない中、またいきなり扉が開いてイオンが倒れ込みます。ばたん。
アンジュ/イオン兄っ! 大丈夫!? 駆け寄ります!
GM/「大丈夫だ、ただのイオンのようだ……」
アンジュ/うん、イオン兄じゃなかったら俺泣いちゃうよ……!
GM/「普通のイオンじゃないけどゴメンな……」と、イオンは懸命に立とうとしますが力無くプキューと倒れる。
アンジュ/ああ、無理しないで……。
GM/「うう……大丈夫だ、ちょっと注射が痛かったぐらいだ」
アンジュ/注射……怖いね。怖い……。
GM/「そんなに注射嫌いか?」
アンジュ/……ぷるぷる。
GM/「ホントにお前、大丈夫か? 顔色悪いぞ」
アンジュ/ちょっと……うん、一人でいるのは辛いや、ここ……。
GM/「今さっき一人だったもんな。ごめんな、分裂できなくて! ≪ジェミニコード≫覚えておけば良かったぜ!」

 ≪ジェミニコード≫……メイガスのAランクフェイバリットで、『多次元屈折現象で本人が2人いる状態を作り同時行動する』というもの。
 そもそもメイガスの技だし高レベルなのでイオンが取れる訳がない。


アンジュ/い、イオン兄……あはは。
GM/「…………よし、笑ったな。大人しくしていればきっと大丈夫だ。でも大人しくできるわけがないな、俺が!」。いくつもアンジュを安心させるようなことを言います。
アンジュ/ありがとう、イオン兄……。ごめんね、助けられなくて。
GM/「いやいやそっちこそ、俺の方が巻きこんだみたいだし。とりあえず、兄ちゃんまだかなー?」
アンジュ/……まだ信じてるんだ(笑)

 そのアンジュとイオンの、二人で慰め合う会話は……何者かに誘拐されてから、1日目のことだった。

GM/さて、場面は戻って大人3人の情報収集2回目です。これが終わると、『とある強制イベント』が発生します。
ラカート/……シグがちょくちょくどこか行ってるのに気付いているから、そろそろ「シグ、何か知っているじゃないか?」って問い質したいんだけど。
シグ/なら、俺はルイスさんと一緒に夜の【市場】で散歩を楽しんでます。「こんな所にいるから暗い気持ちになるんですよ、ちょっと外出ましょうか……」って、上着を廃ビルに置いて(笑)
レスター/じゃあ、俺は【スラム】に行ってルイスに刀とシグの上着を見つけよう!(笑) 何も知らないから大慌てするだろうな。という訳で、スラム街へ市場をすり抜けて行きます。
ラカート/別れる前に。……レスター、気を付けろよ。
レスター/……お前こそ。

 PCの選択は以下の通り。
 ラカート&シグ→【市場】
 レスター→【スラム】


GM/では、シグはルイスと共に夜の市場を一緒に歩きます。シグが丹念に治療をしてくれたおかげで冷静を保っていられます。……マントを深く被ってね。
シグ/俺もマントでも被って……すっごいエルフのメイガスって感じになります(笑)
GM/「何かあったら、俺をすぐに討て……」。そのままルイスは口を閉ざします。
シグ/ルイスさん……今はそんなこと言わないで。
ラカート/そんな良い雰囲気なところを、空気クラッシャーのラカートが通りますよ!(笑) シグが私服で歩いている姿を見て……なんだよお前、何してんの?
シグ/ラカートさん……どうしてこんな所に?
GM/シグは、誰かを連れているようです。ラカートにはその男の見覚えはありません。……ちなみにルイスはもう突き出される覚悟も出来てます。罪の意識があるし、シグが治療してくれたから暴れる可能性もかなり低くなって大人しくしてます。
ラカート/……じっと隣の人を見る。
シグ/……彼は、怪しい人ではありません。
ラカート/お前……どうしたんだ、その格好。指名手配の犯人じゃあるまいし。
シグ/それならラカートさん。今……デートの相手が指名手配の犯人なんですよ。
ラカート/そちらを見ます。
GM/いかにも怪しい格好をしているが、その顔つきはとても苦々しい。一瞬にして凶悪な快楽殺人犯の疑いは晴れます。何やら訳アリだということも、ラカートにも判る。
ラカート/……ここも話もなんだ。どこかゆっくりと話せる場所はないか。
シグ/はい、じゃあどこかに……。
GM/いきなり口を挟んで)ではここでシーンをカットさせてもらいます! ラカートとシグの元に『とある伝言が入った』というところで終了します!
ラカート/ん? はーい……。

 一方その頃。ラカートと別れてスラムに向かったレスターは……。

GM/スラム地方はガラクタだらけだ。羽根を下ろすところにはちょうどいい場所がいくつもあります。
レスター/その中から……ストンと廃ビルに降り立ちます。そこで……誰か人が住んでる気配を感じ取ろうか。
GM/ああ、確かに昔からここら辺は身を隠すにはちょうどいい場所だと思っていたが……(シグのプレイヤーの方を見て)ここには何があるんだっけ?
シグ/血が付いたままのルイスの刀と、シグの隊服の上着が置いてあります。
GM/……それが、見つかります。
シグ/……でもコレって、俺が殺されたように見えるな(笑)
レスター/ホントだ! 若い男性ばかりが殺されている事件を捜索していたから……まさか、シグが襲われた!?
GM/では【霊格】判定難易度15をしてみましょう。直感的に、『この刀がルイスの物だ』と気付くかの判定です。
レスター/(ころころ)また失敗だ……。
GM/……どうしてここにシグの軍服が……それにこの刀って、もしかしたらイオンの物? それとも新しい犠牲者が……。
レスター/うーん……判らないな。
GM/などと考えているとき、レスターの元に『ミモザさんが殺された』という連絡が入ります。
レスター/……ええっ!?
一同/えええぇーっ!!?
GM/同じように、ラカートとシグの元にも≪ゴーストレター≫でその情報が入りますよ。
シグ/ミモザさんが……なんで!? 強制イベントってコレかぁ!?

 一方その頃。
 正確にはアンジュ達が攫われて3日目の夜……3日目の白い部屋での生活をしている頃。
 アンジュ達は気の休まることのない時間を過ごしていた。


GM/美味しくないご飯を食べて暮らしてもうどれくらいの時間が経っただろう……サプリメント的なものを出されたりと、アンジュはどっかで食べたことがある味だと思います。
アンジュ/だんだん顔色が悪くなります……しょぼん……。
GM/そして、また研究者がやって来てはイオンを連れて行く。
アンジュ/なんでイオン兄ばっか……待って、待ってよ!
GM/(イオンになって)「大人しくしてろ! 暴れんなよ! なんにもされないってば、スイートルームに連れて行ってくれるんだよ! 俺が脱出手段とか考えておくから安心しろ!」
ラカート/……イオン、すっごい前向きだ。
レスター/イオン、いいこだな……。
シグ/こちらが停滞してるから、イオンが輝いて見える……(笑)
GM/「アンジュ、アイツらには極力抵抗はすんな。それと泣くんじゃねーぞ? 目が赤いぞ、鋼魔みたいだぞ!」
アンジュ/シャレにならないよ!(笑) ぴー! ぱたぱたぱた!
GM/そうして連れて行かれるイオン。……一体これで、何度目だろう。
アンジュ/また大人しく待っています……イオン兄はあんな風に言ってくれるけど、怖いよぉ……。
GM/それから数時間経った後。また扉が開きます。……何人か研究員が入って来る。アンジュに向かって、「お前も来い」
アンジュ/えっ……あ……。
GM/無理矢理に外へ出せられます。……白い部屋から出させられると、外もやっぱり白い廊下。あまりにも病的なところだ。……ちょっとだけ見覚えがある。
アンジュ/うう……でも思い出す要素が一切ないんですよね、今回は……。
GM/そうして連れて来られた場所は……ある研究室。椅子に、拘束されて首を折っているイオンの姿が見えた。
アンジュ/イオン兄っ!? 駆け寄れ……ますか?
GM/いや、駆け寄ろうとすると止められて、君も拘束されそうになる。
アンジュ/や……やだやだやだ!
GM/その叫び声を聞いて、イオンが顔を上げる。「てめーらヤメろ!」と声を上げた。
アンジュ/離して! 触んないでっ……!
GM/……では、ここで選択肢です。

 @研究員の行為を抵抗する。
 A抵抗しないで研究員の為されるままになる。


GM/研究員がアンジュを拘束しようしています。ここで抵抗するかしないか、ハッキリと宣言をお願いします。今までの話の中で考えてね。
アンジュ/……抵抗します! イオン兄を助けに行きたいですから!
GM/……それでいいですか?
アンジュ/はいっ!
GM/…………じゃあ、アンジュは激しく抵抗する。もちろん研究者達はアンジュの動きを必死に止めようとする。
アンジュ/イオン兄の元に……行くんだっ!
GM/アンジュが襲われそうになっている……激しいを闘争を見たイオンは、自分の拘束を引きちぎろうと暴れだします。
アンジュ/離せ、触れるなーっ!
GM/「おめーら、アンジュに触るんじゃねえ!」。イオンは椅子から、恐ろしい声を荒げながら暴れだす。
アンジュ/イオン兄っ……!
GM/イオンの真横に立っていた白ずくめの男が、イオンの首にブスリと注射器を刺す。
アンジュ/ああっ……!?
GM/イオンの首がガクリと落ちる。
アンジュ/イオン兄!?
GM/それを見ていた別の研究者達がざわめき始めます。「……今のはヤバくないか?」「そんなことしたら折角の素体が……」「薬の量、間違ってないか……?」
アンジュ/な、なんてことを……。イオン兄! イオン兄っ!?
GM/イオンは、一切動きません。
アンジュ/どうしよう……イオン兄!
GM/「とりあえずこの犬を黙らせろ」とアンジュを取り押さえようと、研究員達の動きが再開し……。
アンジュ/来るなぁっ! 触るな、イオン兄……イオン兄ーっ!
GM/その研究者の一人の頭が、ボンと弾け飛んだ。
アンジュ/えっ?
GM/ある白ずくめの男が銃を向けている。彼が、アンジュの隣の研究者を撃ったようだ。そして次々とアンジュの周りに居る人を撃っていく。
アンジュ/あ……じゃあ、なんとか避けてイオン兄の所に行きたいです!
GM/イオンの所までやって来ると、拘束されたままグッタリしてます。……それに近寄って来る男性がいる。
アンジュ/……誰ですか?
GM/「そこのボタンを押せ」と……カイル艦長の声で言います。
アンジュ/か、艦長……!?
ラカート/なんだと!? ゴメンね、今までほったらかしにしてたのに!(笑)
シグ/ここでカイルさんが来た……まるでカッコイイ人みたいだ!(笑)
GM/アンジュがカイルに言われた通り椅子のボタンを押すと拘束がパチンと外れます。でも、イオンは力無くガクッと落ちる。
アンジュ/わわわ、キャッチします!
GM/「大勢とやりあっても……『オレ』は正直、弱いんだ。だから地下から地上へ逃げる方向でいくぞ」とカイルが『笑顔で』軽口を言います。
アンジュ/うんっ……!


 ●シーン4

GM/一方その頃、3人にある情報が入ります。……全員、宿舎に戻って来てください。
シグ/ルイスさんを説得して連れて行きます。1人にするのは怖い……。
GM/そうして宿舎に戻ってくると……アークの人達が騒いでいます。ちなみに、カイル艦長はいません。
ラカート/こんな大事なときにアイツ、どこに行ったんだ!
レスター/見つけた刀とシグの上着を持って戻ります。戻ってきたシグを見て……。お前、無事だったのか。
シグ/はい、俺は……とりあえず、あの……。
レスター/スラム街でお前の上着を見つけたんだ。心配したぞ。
ラカート/レスター、大丈夫だったか? イチャイチャ!(笑)
シグ/……ありがとうございますと上着を返してもらって、仕事モードでキュッと襟を締めます。刀を受け取ります。さて……。
レスター/どうしたんだ、シグ……?
シグ/……この刀の持ち主であり、今回の事件の重要な証人を連れてきました。ルイスさん、こちらへ。
GM/シグが言うと、全面に隠したルイスと思われる人物が現れます。
レスター/……愕然として名前を呼ぶよ。……ルイス?
GM/「ああ……レスター。生きていてくれたか」
レスター/ルイス、ルイス……お前こそ、どうして……?
GM/「俺は、その刀で街の人々を殺した」
ラカート/……レスターを支えるようにして立ってるよ。
シグ/俺はルイスに寄り添ってます。ルイスさんを責めないでください……これには理由があるんです!
GM/「俺は今、なんとかシグのおかげで立っていられる。危険な衝動も抑えられている……比較的安全な状態になっている」。……シグのおかげでね(笑)
シグ/身を投じたからね(笑)
GM/「俺はある実験によって人魔になってしまった。今は収まっているが破壊衝動はどうすることもできない。解決方法は……なんとか探していくつもりではいる」
レスター/……探していく?
GM/「ああ。死んでラクになるという選択肢は……シグによって消されたからな」
シグ/……ええ。
ラカート/……お前さんも色々あったみたいだな。
GM/「だが、人を殺してしまった罪は償うつもりだ。実際に数人を手にかけたのは事実だからな」
ラカート/で、お前が言った『ある実験』って何なんだ……一体誰がそんなことを?
GM/「アークには暗部がある。クルースニクを墓島に送っては……」と、研究所の話をします。
レスター/それじゃあ、アンジュとイオンに行方不明になったのは……!
GM/「おそらく……奴らの手にかかったんだろう」
ラカート/そいつらの本拠地はどこだ!?
GM/「俺は街外れにある広場の先にある廃病院が墓島の隠れ場所じゃないかと思っている」
レスター/そこに……もしかしたらアンジュとイオンが。
GM/ではそんな4人の元に、アークの人達がやって来ます。「ミモザという人物が殺された」ということを話し出します。
ラカート/どんな殺され方だったんだ?
GM/「クルースニクのため死体は残ってはいませんが、銃殺かと思われます。壁面に弾丸が発見されました……」
ラカート/……確実にルイスの殺し方とは違う。別件だということが判るな。
GM/ルイスが口を開きます。「もしかして墓島の奴らが……? いや、それはおかしいな。攫うならともかくその場で殺すなんて周囲に知れ渡るようなこと……」
シグ/ミモザさんがどうして……あのとき、カイルを何か疑っているようだったけど……まさか!? 【リーディングコード】でカイルさんの姿を見ているので、疑い始めます。
ラカート/それを聞いて、イオンの部屋で何故かカイルが居たことを思い出します!
レスター/まずは行くしかないんじゃないのか……廃病院の方に。
ラカート/そうだな。廃病院に向かおう!

 その頃。
 隠された地下の研究所から地上に上がるため走り続けるアンジュ達は……。


GM/アンジュがイオンを抱えながら走ります。イオンは動きません。……カイルが追手を撃ち払って応戦してくれます。
アンジュ/か、艦長……イオン兄、大丈夫かな……?
GM/ある程度走りきったところで、一休みします。……イオンはピクリとも動きません。
アンジュ/い、イオン兄……。ギューッと抱きしめます……どうしよう……。
GM/カイルが言います。「ちょっとイオンを見せてもらっていいか」
アンジュ/う、うん! 艦長、助けて……。
GM/(とても軽い声で)「ああ、もうダメだな」
アンジュ/え……。もう……ダメなの……?
GM/「薬の量を間違えて打ったからな」
アンジュ/そんな、イオン兄……もっと見てよ、艦長……。
GM/「だって間違えたのはオレだし」
アンジュ/…………え?
GM/「『オレ』、あそこに居たんだぜ」
アンジュ/……うん?
GM/「そんな中で、紛れていたんだぞ」
アンジュ/……艦長……まさか。
GM/何故か艦長は笑ってます。大人の男性かと思ってたのに、ちょっと年齢が下がっているような気もするぐらい楽しそうに笑ってるよ。
アンジュ/艦長……だよね……?
GM/「ああ、艦長だろ?」。笑って、頭を乱暴にボリボリ掻きます。あまりそういうことをするような人じゃないのに。「ふう、これで今回は罪滅ぼしになれたかなー。『オレがこんな手荒なこと』するなんて、『俺の趣味』じゃない気もするけど」
アンジュ/……艦長も……こんなコト、してたの?
GM/カイルが、イオンの肩をちょんと押すとガクンと倒れます。
アンジュ/あっ! 慌てて抱き起こします!
GM/全然動きません。「あんなに騒いでいるときに咄嗟に打ったら普通は間違えちまうもんだよなぁ?」
アンジュ/ぐすっ……えっぐ……。
GM/泣き始めるアンジュ。……それを無視してカイルさんが独り言を言い始めます。「もう追ってこない? 戦略を練っているのか、これから準備をしているのか……まあ、どうせこの先は何をやってもどうでもいいよな……」
アンジュ/逃げなきゃ……早く……。
GM/「どうせ誰も相手にしないんだ、なら存分に楽しんだって……」。カイルが何かブツブツ呟いてい……るところで! いきなりカイルが頭を壁にぶつけます!
アンジュ/ああっ!?
GM/目を見開いて、何かを叫び始めます。「どうせ終わりなんだ! 『オレ』の好き勝手やってもいいだろぉ!?」。いきなり人が変わったかのように叫びます。
アンジュ/か、か、艦長っ!? どうしたの!? イオン兄を抱えているので腕は塞がってるけど、艦長に……手を伸ばして触れようとします。
GM/「触るなぁ!」
アンジュ/えっ……。
GM/人が変わったような声を出したり。大人の男性だから低い声ではあったけど、今の声はとてもドスのきいた声を出しました。
アンジュ/で、でも……艦長……。
GM/銃をアンジュに向けたり、向けたら下ろしたりを繰り返します。……そして、俯く。沈んだ低い声で、「ああ……『俺』……そろそろ本当にダメらしい。正気を保ってられないんだ……」
アンジュ/ダメ……正気? ……病気なの?
GM/「ああ、病気だよ。全部『俺』が悪いんだ……ルイスをあそこに送ったのも……」
アンジュ/ルイス……?
GM/ルイスという名前を聞いて、アンジュは誰かの顔が脳裏に思い浮かぶ。でも、誰のことだろう?
アンジュ/うう、思い出せない……。
GM/バッとカイルが顔を上げる。……アンジュにニヤリと笑った顔を見せて、一人で今まで来た方向に歩き始めます。「『オレ』……もう少し……殺してまわってくる……」
アンジュ/艦長っ!
GM/その声にも振り向かずに、足取り軽く奥へと入って行きます。
アンジュ/艦長……艦長、ごめんね! ずっと気付いてあげられなくて、ごめんね……!


 ●シーン5

シグ/廃病院に駆けつける前に……ルイスさんの口から真犯人の名前を聞いてもいいですか。
GM/聞きますか?
シグ/はい。駆けつけている途中でルイスさんに耳打ちします。ルイスさん……貴方の口からなら少しは耐えられる気がします。クルースニク達を墓島に送っているのも、10ヵ月前貴方を墓島に送る判断をしたのも……あの人でいいんですよね?
GM/「…………ああ。カイル艦長だ」
シグ/……目を伏せて、コクリと頷きます。
GM/3人がルイスが教えてくれた場所へ駆けつけると、……とある廃病院から煙が上がっているのが見えます。
ラカート/オイ、あそこじゃないのか。このままだとアイツらも巻き込まれて……! 走り出します!
GM/では、廃病院の中から……アンジュがイオンを抱きかかえてボロボロになりながら飛び出してきます。
レスター/……アンジュ!? 駆け寄ります!
ラカート/グッタリしているイオンを見て、≪ネクター≫をかける! 持てるだけの愛のカードを出しますけど……。
GM/全然起きませんね。
ラカート/……な、なんでだよ……イオン!
レスター/アンジュ、何があったんだ?
アンジュ/イオン兄が……俺のせいで……薬をあんな打ち方されたらもうダメだって、艦長が……。
ラカート/……艦長が? アイツがここに居たのか!?
アンジュ/艦長、奥に居る……! 奥に行っちゃったよ!
GM/……そのとき、廃病院がバキバキと壊れ始めます。まるで、中で何か巨大なものが召喚されたように。
レスター/えっ……あれは……!
シグ/鋼魔が、こんな所で……!?
GM/鋼魔が建物内で現れ、中を押し潰していきます。辺りをメチャクチャに荒らし暴れる巨大な影。中に居る人達など構わずに……寧ろ、それらを潰すのを目的としているかのように暴れまくります。
アンジュ/あれは……艦長……?
ラカート/……呆然としてますよ。
GM/そして、ある程度破壊の限りを尽くし終えると……巨大な影は、ボーッと街の灯りを眺め始めます。そちらに向かって歩き出す。
シグ/これは……止めなきゃいけない!
ラカート/街を襲うつもりか!? あのバカ、尻拭いをこっちにまわしやがって……!
GM/では戦闘に入ります。その前に……ルイスがイオンを預かりましょう。コートを被っているけれどアンジュの元にある男性が近寄って来ます。
アンジュ/貴方……は?
GM/「後で教えよう。……今は気をしっかり持つんだ、アンジュ」。……アンジュにとって懐かしい声で言います。ルイスはイオンを連れて戦線離脱。戦闘を始めます!
レスター/絶望のカードならもう4枚一人ずつ持っている!(笑)
シグ/もう揃ってる! 後はフュージョナーに任すしかない……!
アンジュ/はいっ! エヴァンジェル、召喚――!

 街外れの廃墟に現れた鋼魔を街に入れないようにするべく、アンジュは神格機兵を召喚した。
 街に被害を一切出してはならない。
 ラカート、レスター、シグの全員が揃って……鋼魔と化してしまったカイルと戦うのだった。


GM/――戦闘を終了します。誰ひとり欠けることなく勝利することができました……。鋼魔は光になって消えていきます。
アンジュ/待って! 艦長を≪アブソルートソウル≫します! 助けるよ!
GM/しますか?
アンジュ/はいっ!
GM/では、神格機兵の≪アブソルートソウル≫が発動し……鋼魔だと思われていたものは元の姿に戻っていく。……カイルという男の姿に。
シグ/カイルさんに駆け寄ります。
GM/カイルは目を開けますが……その表情は、何故かニヤニヤ笑ってますね。
シグ/カイルさん……。これが、貴方が前に言っていた誰も死なせない手段だったんですか?
GM/「ああ、あれ? あんなの嘘だよ」
シグ/…………。
GM/「ミモザを殺したのも『オレ』だ。アイツ、アークの工作員だった。『オレ』を疑うような怪しい動きをしてたからな、ちょっとカマかけたら吐きやがった。そのまま撃っておいたよ」。……まるで狂人の目で、明るくカイルは笑っています。
シグ/…………。判りました。カイルさん。貴方を刑務所に送ります。お元気で……。
GM/「しっかし、なんでかなー? 連中を全部殺したのにまだ楽しくなんないんだよなぁ。どうしたんかねぇ、『オレ』はー」
ラカート/……それがテメエの良心だったんだろうよ。
GM/……カイルは傷を負っているのでまずは病院に運ばれます。治療を受けてからおそらく刑務所に送られることでしょう。
ラカート/今度はスプーンなんか飲んじゃダメだよ……!(笑)

 前回の『第3ループ』のシナリオで、カイルは先割れスプーンを飲みこんで死んだのでした。

GM/新しい艦長がそのうち現れるでしょう。色々慌ただしくなるだろうけど、フェルトリーナ達は新しいフェルトリーナ隊に変わるんでしょうね――。


 ●エンディング/ラカート×レスター

レスター/ルイスはどうなったんですか……?
GM/人魔化してしまったルイスは治療を受けています。『ある方法』を使わない限りルイスの容態は良くならないようですね。良くなったとしても、罪を償わなければいけません。……帰ってくることはちょっと難しいんじゃないかな。
ラカート/レスターにコーヒーを差し出します。飲んで落ち着けよ。……今回、なんか色々あったけどお前……大丈夫か?
レスター/俺は大丈夫だよ。俺よりも……アンジュ達の方が心配だ。
ラカート/そうだな……俺達、何も出来なかったな。アイツらを助けることも……。
レスター/……だな。
ラカート/…………。ああっ、暗くなるのはヤメヤメ! これからアイツらの為に出来ることって何だろうな?
レスター/なんだろう……。
ラカート/とりあえず、お前を幸せにする準備だけは整えてあるんだけど!
レスター/……はは、そうか。それはお前の好きにしておけ。
ラカート/……了承と受け取っていいのかな?
レスター/……さあな。


 ●エンディング/イオン×アンジュ

GM/アンジュのエンディングです。……イオンは目覚めません。ずっと目覚めないことから、戦線離脱の通告をされます。
アンジュ/はい……お見舞いには行けますか?
GM/はい、植物人間になったイオンが変な西暦の機械を付けてベッドの上で寝ています。
アンジュ/あんなに喋ってたのに……。
GM/ええ、全然喋りません。「もう寝てるぞ」とも言いません。
アンジュ/体は消えてない……けど、もうイオン兄はいないんだね……。
GM/体は消えていないのに死んでいるってやつですね。……隊のみんなの要望もあってか、西暦の高等な機材を使わせてもらっている。だから、一応生きてはいるよ。
アンジュ/イオン兄……あのとき、どうしてペンダント買ってくれたの?
GM/「…………」。答えません。
アンジュ/イオン兄が言ってたあったかい以外は何……? なんでお勉強しろって言ったの……?
GM/「…………」。ずっとイオンは眠っています。
アンジュ/ずっと……ずっと守ってくれてたのに……どうしてあのとき……助けてあげられなかったんだろう……。
GM/「…………」。
アンジュ/あのとき……あんなメチャクチャに暴れなければ……イオン兄はあんなことにならなかったのかな……。
GM/……看護婦さんが来て、検査を受けたり身体を洗ってあげたりしてくれます。そんな生活が何日も続くでしょう。……それでもアンジュは看病しに来てくれますか?
アンジュ/……うん。イオン兄……折角お勉強しろって言ったのに、判んないって投げちゃってごめんね……。また来る。
GM/明日会いに来てくださいね。眠り続けるイオンの元に。
アンジュ/……はい……。


 ●エンディング/ルイス×シグ

GM/ルイスもお見舞いをすることはできます。ただし、ルイスは拘束はされている。いつ暴れ出すか判らない状態で、病院に運ばれた後も1度も2度も暴れたことがあったのでしょう。
シグ/壁に穴が空いている……。じゃあ、容態が安定しているときに……ルイスのベッドの横でリンゴを剥いてます。
GM/「……俺は、食べられないぞ」
シグ/それは手が使えないからですよね? ……目を瞑っていてくれますか?
GM/「俺がか? ……ああ、お前が目を瞑ったら入れられないもんな」
シグ/そうですね、鼻の穴に突っ込むとかシャレにならないですから。……目を閉じてもらって口にリンゴを入れます。あまり切るのは上手ではないんですけど……。
GM/「……いいサイズだ。食べやすい」
シグ/ありがとうございます。
GM/しゃくしゃく。「……これから新しい艦長が来るんだな。けど、お前がフェルトリーナ隊の艦長になればいいんじゃないか? フェルトリーナ隊のことを一番知っているのはお前だろ」
シグ/リンゴに包丁がザクッと食い込みます(笑) お、俺がですか? まったく頭にありませんでした……。
GM/「そんなにお前のことを知っていた訳ではないが、艦長に合っている性格だと思う」
シグ/一番長く見てた艦長があの人なんで、ちょっと……一般的な艦長ってどういうことか判らないんですけど……そうですね、前向きに考えてみますけど。ザクザクザク!
ラカート/リンゴの実を皮むきしても意味無いぞ!(笑)
レスター/芯だけの物になってしまった!(笑)
GM/「……それも全部、食べる」
シグ/あ、ありがとうございます……。口に運びます。
GM/「俺からもありがとう。……毎日、来てくれて」
シグ/有給はもうとっくに終わっているんですけどね、別にいつ会いに来たっていいでしょう。
GM/「……とても、嬉しく思う」
シグ/貴方が治るまで付き合うって俺、言った気がしますから。ザクザクザク!(笑)
GM/「ああ……聞いたような気がする。が、もう一度確認できて良かった」
シグ/真っ赤になりながら……。ルイスさん、目を瞑ってください。
GM/瞑ります。
シグ/目を瞑った唇に、そっとキスをして。……伝わりましたか? で、シーン終わります!(笑)
GM/――さて、シグさん。アッパーとダウナーはどちらがいいですか?
シグ/…………きた!?(笑)
レスター/いつも選択肢はシグにあるんですか!?(笑)
GM/あ、今回はアンジュが選んでもいいんだけどね。
ラカート/……なんか、ここまで来ちゃったらダウナーでいいんだけど。ここでアッパーが来たらモヤっとするよな(笑)
シグ/という訳なんで、ダウナーください。(アンジュの方を見て)それでいいかな?
アンジュ/ダウナーでお願いします。……頑張ります。

 シグが病院を出る。
 ちょうどそのとき、アンジュも病院を出ようとしていたところだった。
 二人は一緒に病院を出て……入口前にて、暫し話し合うことにした。


シグ/はち合わせって感じですか。アンジュさんも……お見舞いですか?
アンジュ/うん……えっと、シグさんも?
シグ/複雑な顔をしながらも、コクリと頷きます。
アンジュ/そっか。えっと……ルイスさんだっけ、元気……?
シグ/上々とは言いませんが、喋れる程度には。……あ、しまった……すみません。
アンジュ/ああ……ううん、別に。なんで?
シグ/…………。
アンジュ/そういえば、ラカート兄より前のミンストレルのお姉さん……あの人も、死んじゃったって聞いたよ。
シグ/……頷きます。
アンジュ/あの人、子供がいたんだってね……。
シグ/……旦那さんの誕生日のプレゼントを一緒に選びに行きました。彼女を救えなかったのは俺の落ち度でもあります……もしかしたら救えたかもしれないのに……。
アンジュ/しょうがないよね。だってみんな生き物って寿命があって、最後はみんな死んじゃうもん。
ラカート/……アンジュがダウナーになってる!?
GM/では、アンジュとシグ。【感知】判定をお願いします。難易度は12。
シグ/(ころころ)あ、失敗した!
アンジュ/(ころころ)成功しちゃいました。
GM/アンジュがミモザさんの死を話したときでしょうか。……病院がざわめき始める。
アンジュ/ん……?
GM/そしてアンジュは……『あるモノ』が屋上から落ちてくるのが見えた。
アンジュ/あ。
GM/『ある人』が、笑いながら、頭から落ちてきて……。

 「お前らだけを、しあわせにさせるものか」

GM/……そう言った気がした。地面に叩きつけられる間際に顔が歪んで、次の瞬間、頭が壊れます。
ラカート/まるでひしゃげたユリのように…………って、最後になんてものを見せつけるんだっ!?
GM/何かがグシャッと落ちたのが、気付かなかったシグの耳にも聞こえます。
アンジュ/艦長……。
シグ/アンジュさんの声を聞いて、振り向きます。
アンジュ/ダメッ!
GM/アンジュの制止も間に合わず、シグが振り返った先には……血だまりがあります。その中央に、カイルの体。
シグ/うっ……!
GM/死の話をした瞬間、死が落ちてきたね。カイルを中心にして血が広がっていきます。
シグ/アンジュさんが止めるのも聞かないでカイルさんに駆け寄りますよ! カイルさん…! 顔を見ます!
GM/頭なんて残ってないかも。でもどこか、暗く……悲しそうなものに見えた。何かを語ろうと口を動かしたようにも見えたけど……数秒経つとその体はパァッと光になって消えていこうとします。
シグ/血だまりにベチャっと手をつきます! ……呪いごとでもなんでも聞こうじゃないか! ≪リーディングコード≫!
GM/カイルの血から記憶を読み始めます。様々なことがシグの中に流れ込んでくる……。

 多くの呻き声。鳴き声。嘆き声。
 それは白い建物の中で聴かれた……ルイスのもの、アンジュのもの、多くのもの……そして、本人のもの。


GM/カイルの最も奥の記憶の中に、『レスターとラカート』の姿も見えます。……『何故かその2人のことが鮮明』に見えたりもする。
シグ/血に染まった手を見ます……。
GM/では≪リーディングコード≫によって、墓島研究所の悪行を全てシグは知ることができました。おそらくカイルのコンピュータを操作すれば、彼らを摘発できるだけの情報を手に入れられるでしょう。研究所を壊滅させることができます。
シグ/…………。アンジュさんに振り返ります。
アンジュ/……艦長、死んだ……?
シグ/…………。
アンジュ/死んだ……死んだら……終わり。……全部……死ねば、全部。
シグ/アンジュさんっ! 死ねば終わるかもしれないですけど、残された方はたまったもんじゃないんです……!
アンジュ/でも……。
シグ/貴方だってそうでしょう……!?
アンジュ/でも……でも、だって……イオン兄はもういない……いないよぉ! 帰ってこないよぉ! うわああああああん……!

 血塗られた手のまま、泣き喚くアンジュを見つめる。
 真っ赤に染まった血だまりの中の体は、光となって消えた。

 その光は白く輝き……。
 ……真っ白い光が世界を包み込み、また新しい物語が始まるのだった……。




GM/――以上で、『スカーレット』第5回を終わりにします。
レスター/やっぱり選択肢で『抵抗しない』を選んでいたらイオンは助かってたんですか?
GM/うん。何度も「何もしなければ平気」って言ってたのはそれ。暴れてなければカイルが暴走しなかったってやつ。……あまりに想われているイオンに嫉妬しないってことで。今回のカイルは誰にも想われなかったからね。
ラカート/カイルを放置するとそんなことになるのか……。俺は俺でシナリオキーを一切回収しようとしなかったしな。レスターとイチャつくだけで(笑)
シグ/……鬱な話になったなぁ。イオンとルイスがめっちゃカッコイイ中、カイルさんが最後に爆弾落していきやがった……。
アンジュ/ごめんね、イオン兄……! 今度はちゃんと助けるから……!




to be continue...