巨神戦記ギガントマキア・リプレイ・Forget-me-not Scarlett
■ 第1ループ 『 スカーレット - 朱色の記憶 - 前編 』 ■
2008年9月19日




 時間は既に24時。
 日付が変わるとほぼ同時に夏の熱いセッションが始まろうとしていた。

 GMはマーサー。初めて使うある仕掛けに自分で戸惑いつつもシナリオを夜まで練っていたGM。
 参加PLはユウ、くりさん、なちこ、すずかの4名。元々は3人プレイの予定だったが、急遽参加メンバーが増え(当初はユウ、くりさんの2人の予定で後になちこ、そして当日すずかが参加することになった)GMはやや混乱していた……。


GM/それでは、『BLギガントマキア』を始めます。皆さん、心の準備はいいですかー?
一同/はーい!
GM/今回は予告している通り『ボーイズラブ』をテーマにした『巨神戦記ギガントマキア』のシナリオをやります。まずは『ギガントマキア』の説明なんだけど……。ギガマキをプレイしたことないのって、なちこさんだけなんだよね?
なちこ/はい、初めてです。
GM/じゃあ簡単に説明を含めながらやっていこうか。『巨神戦記ギガントマキア』というのはファンタジーロボットをテーマにしたTRPGで……エルフとか魔法とかある世界に、戦艦やロボットがある『崩壊した千年後の日本』が舞台です。
ユウ/そこで、[アーク]という組織に所属する[クルースニク]という能力者になってロボットに乗ってドンパチやるゲームなんだよ。(←既に何度もギガマキ経験者)
GM/[クルースニク]は能力値が普通の人間よりもとても高くて、非クルースニクが【体力】1が普通だったら、クルースニクの平均【体力】は7ぐらいだったりするの。そんな人達が操るロボットはすっごい強力。
すずか/でも本来はロボットに乗れる人はチームに1人しかいないんですよね。(←同じく1〜2度ギガマキ経験者)
GM/うん。この世界で巨大ロボットに乗れるのは[フュージョナー]という生命力溢れる、ファンタジーなロボットに共感できるヒトだけ。他のキャラクターは……やられ役です。みんな、バタバタ死んでいきます(笑)
ユウ/フュージョナーはLP(ライフポイント。どれだけ残機があるか)が6もあるのに、他のクラスとかLP2とかザラだよ!
くりさん/……ホントに死にゲーだなぁ。他の人達は主人公守って死んでいくんですよね、このゲーム。
GM/主人公を守って死ぬのはロボットもののお約束だからね。LPはHP(ヒットポイント)が0になるとマイナス1される。LPが0になったら死亡だから気を付けてね。
なちこ/ふむふむ、判りましたぁ。

 1人が初心者。
 3人が既に経験者で、うち1人が上級者……。
 このプレイヤー構成が、のちにドラマを生むことになるので強調しておこう。


GM/ドラマを作るファンタジーTRPGなので、汚いものは見せません。死んだとしても光になって消えるだけです。
すずか/アニメでよくあるパターンだ。でも重症で血は出るという演出ありなんですか(笑)
GM/ギガマキ本編の設定は気持ち悪いので、普通にこのセッションでは血が赤いことにしちゃいます。(『ギガントマキア』の人間達は、一定のPCでないと血が赤くない) ――さて、今回プレイするキャラクターは、ロボットを操る主人公の[フュージョナー]、味方の回復したりダメージを庇ったりする[ミンストレル]、敵に嫌がらせをしたり相手の心を読んで情報収集をする[メイガス]、それと攻撃特化で大きなダメージを出しやすい射撃系クラス[レンジャー]の、4枚のシートから選んでいただきます。
ユウ/あれ、今回戦艦は無いんですか?
GM/ロボットやチームのみんなを戦艦を操る[ロード]というリーダークラスがあるんですが、今回はNPCに担当してもらいます。あと白兵系クラスの[サムライ]もNPCとして出てくるよ。
ユウ/……自分、[ミンストレル]になって誰か庇って死にたいです!(笑)
GM/どうせ死にゲーなら自分から死ににいくか(笑)
なちこ/……あの、初心者はどれやったらいいんですか?
GM/うーん、オススメは[フュージョナー]がPC1だから持て囃されて判りやすいと思うけど……。あ、先にハンドアウト配らなきゃだね。以下の3つから選んでください。

 ●PC1ハンドアウト
 どうしてあんなところにいたのか判らない。
 君はゴミ捨て場に他の廃棄物と同じように捨てられていた。
 何故自分はあそこにいたのか、君には思い出すこともできない。
 そんな君を拾った彼。彼がアークへと連れてきてくれなかったら自分はどうなっていただろう?
 パートナー→君を拾った人物。特務隊の少年クルースニク。種族は人間で年齢は十代〜十代後半。
 パターン1→雨に濡れた子犬を放っておけない不良。口は悪いが義理堅く、しっかり者。こっそり寂しがり屋。
 パターン2→どんな動物も拾ってきてしまう、底抜けに明るい性格。ふわふわと笑っていて悩みが無さそうに見えるが完璧超人ではない。


GM/このPC1ハンドアウトを2つに分割します。元々3人プレイ用に考えていたシナリオなので……。PC1は『彼』に拾われる人、PC4が『彼』と一緒にPC1を拾う人になります。
すずか/パートナーというのは……?
GM/NPCを好きに選択できるんです。このハンドアウトを決めた人は、自分が萌えるなぁと思うパターンを選択できます。主にパートナーとフラグが立ちやすくなるのかな。自分の好きな性格を選んで、名前も自分で決めてね。

 ●PC2ハンドアウト
 君はクルースニクとして日々戦っていた。
 君が戦場に赴くことができたのは、多くの信頼と、彼がいたからだ。
 だけど彼はもういない。1年前の任務での失態。もうあんな失敗をするものかと君は深く心に誓っていた。
 パートナー→君の戦友。同じ特務隊のクルースニクだった男。PC2と同年代。
 パターン1→厳格で任務絶対主義者。不平を許さぬ真面目な性格。けど君の前では甘かった。それだけ君を信頼していたということだ。
 パターン2→少し前のめりになりがちな好青年。誰よりも優しくたくましい彼は、君に絶対の信頼を寄せ、背中を預けていた。

 ●PC3ハンドアウト
 君はクルースニクとして日々勉強している。
 いつか来るであろう世界の終わり。到来する鋼魔との戦い。
 勝つためにはどうすればいいか……多くの知識を得るため、君は学び続けた。
 そんな君を応援する心強い味方がいる。彼は、いつも君の相談相手になってくれていた。
 パートナー→君の親友でもあり、PC1〜4が所属する特務隊のロード(リーダー)。
 パターン1→不敵に笑う科学者タイプ。普段から誰にでも丁寧に声をかけてくる。物腰優しげに見えるが、どこか冷たい。
 パターン2→一見科学者には見えない遊び人タイプ。普段から君をからかってくる。人を試すような口調で自身の地位を確保する野心家。



 以上のハンドアウトを選択してもらうことに。
 で、話し合いの結果は……。



なちこ/PC1ハンドアウトの、パートナーパターン1を選択。キャラクターは[ライカンスロープ/フュージョナー]を作成。
ユウ/PC4で、PC1ハンドアウト通りに。キャラクターは[マシンネイチャー/ミンストレル]を作成。
くりさん/PC2ハンドアウトの、パートナーパターン1を選択。キャラクターは[フェーダ/レンジャー]を作成。
すずか/PC3ハンドアウトの、パートナーパターン2を選択。キャラクターは[エルフ/メイガス]を作成。

ユウ/マシンネイチャーの年長者で、ライフパスは『死』にするよ! それで主人公庇うんだ!(ルールブックを見ずにライフパス欄をうめていく……)
GM/おう、流石ギガマキやり慣れてるなぁ。
なちこ/えっと、ライフパスは……?
GM/単なる性格付けだから1つずつダイスを振って決めていこうか。あ、ただPC1の場合、目的のライフパスだけは『記憶喪失』にして他のをD66をしてね。
なちこ/(ころころ)……えーと、覚醒ライフパスが『再会』で、聖印の位置は『右甲』?
ユウ/右の甲ってロボット召喚するときカッコイイ!(笑)
くりさん/(ころころ)あれ、ポリシーのライフパスに『任務絶対主義』が出ちゃった……パートナーといっしょだ。
すずか/堅物なコンビになったな。

 そんなこんなでキャラメをしていたら既に深夜1時。
 盛り上がる萌え話を切り上げて、やっと本題に入ることに……。


GM/『ギガントマキア』ではクルースニクになって[人魔]と呼ばれる悪しき力に目覚めちゃった人達を救うために日々戦います。人魔は[鋼魔]と呼ばれる十メートル近い大きさのバケモノに変身しちゃうんでみんなやられていきます。だから[フュージョナー]がロボットを召喚するまでになんとか他の人達が時間稼ぎをして死んでいって……。
すずか/散っていくロマンってのも良いですけど、ホントに死にゲーですね……(笑)
GM/ドラマを演じるゲームシステムだからね。ちなみに[フュージョナー]以外もロボットには乗れるけど、戦闘が終了すると死んじゃう。……このゲームはいっそ死にに行った方が楽しめるかもしれないよ。
ユウ/ハイッ!(←庇って死ぬ気満々)
GM/『巨神戦記ギガントマキア』では、[チャクラゲージ]というものに[エモーションカード]を1〜7枚全部揃えないとロボットが召喚できません。しかも初期配布は1人1枚。イベントを起こさないとカードが貰えない上、[絶望7のカード]は山札から4枚しかないから全部揃えるのも大変です。
すずか/でも、運が良ければ最初のうちに引くこともあるから気にしなくてもいいですよね。まずはカードを揃えるチャクラゲージを確実にうめていかないと。

 この油断も……のちに壮大なドラマを生むことになる。
 山札からのドローは運とはいえ、あんな結末になるとは誰も想像しなかっただろう……。


GM/それと『ギガントマキア』の面白いシステムに[シナリオキー]というものがあります。これは特定のイベントに参加したPCだけが得られるアイテムで、アドベンチャーゲームでよくある『フラグ』みたいなものです。
くりさん/凄くコンピューターゲームっぽい演出ですね。
GM/うん。例えば、1人がある土地の情報収集し行って他のPCにその情報を譲渡しても、実際にその土地に行ったことある人とない人ではひらきがある。プレイヤーは知っていてもキャラクターは知らないという現象を明確に表現したのがこの[シナリオキー]です。――それじゃあ、大体の説明をし終えたからオープニングを始めようか。



 巨神戦記ギガントマキア
  「Forget-me-not Scarlett」




 ●ステージ/オープニングPC3

GM/PC3のハンドアウトを選んだ人からオープニングは始めます。お名前は?
すずか(以降、シグ)/シグです。エルフで年齢は21歳。パートナーの名前は「カイル」にしました。
GM/「カイル」艦長ねー……(ノートにメモしながら)GMのイメージ的にはカイルは20代後半から30ぐらいの男でいくよ。あ、シグってクルースニクに覚醒したのは何歳ぐらい?
シグ/うーん……10代前半かなぁ。
GM/ではシグはある日、クルースニクとしての力に目覚めた。するとアークの幹部が現れ、「君の力が世界には必要なんだ! 一緒に来てくれ!」とハントしにきます。
シグ/うわ、なんかの宗教か(笑)
GM/ルールブックにある漫画といい、そう思われても仕方ない(笑) 理由は、戦場に出てもフュージョナー以外はすぐ死ぬし、それでも戦いは終わらないから軍人がとっかえひっかえになってるんだよね。だから戦力は何が何でも確保したいと思ってるの。君が受けなかったらスカウトマンは何度でも通ってくるよ。
シグ/……渋々とその誘いに乗ります。俺の力が……本当に世界の役に立つなら。俺、行きます。
GM/その誘いを受けたシグは、アークの本部……国会議事堂に呼ばれます。そこでアークの最高責任者マザーのありがたい話を聞き、君はとある部隊に編成されました。……あ、部隊のチーム名どうする?
シグ/(暫し皆で悩んで)チーム名は、フェルトリーナ隊にします。
GM/では10年前のフェルトリーナ隊のシーン。おじさん艦長が敬礼したり、女性の隊員が優しく声を掛けてくれたりします。みんな、幼い君を歓迎してくれます。
シグ/シグです、これから宜しくお願いします。
GM/みんなが自己紹介する中で、……奥のソファに踏ん反り返るかのように偉そうに座っている男がいます。「お前、強いの?」
シグ/いえ……まだ戦ったことはありません。
GM/「じゃあ、なに。何が出来るかも判らないの?」
シグ/……戦う力はあります。メイガスの力がある言われましたし。
GM/「ホントにお前、使えるの?」
シグ/……が、頑張るつもりですっ。
GM/「そうかい、じゃあ精々頑張っておくれ。俺はミンストレルのカイルだ。よろしく」……いかにも軽そうな男が手を差し伸べてきます。
シグ/その手を取ります……。
GM/ぐちょっていう感覚。
シグ/……。
GM/ガムだ。
シグ/ちょっ!? 汚ぇ!(笑)
GM/その反応を見てハッハッハと笑う彼。自分が汚れることなんて考えないんだよ、彼は刹那的生き物で単にシグをからかいたかっただけだから。
シグ/な、なんだこの人……失礼な!(笑)
GM/そうして、君は戦場に駆り出されることになる。……長い間、君はフェルトリーナ隊にいたけど何人も死者が出た。特にサムライやレンジャーの入れ替わりが激しいね。それでもシグは何度も死闘の中、生きて戻ることができた……それから数年後。
シグ/数年後?
GM/カイルが現れ、シグに言います。「俺、艦長になったから」
シグ/……は?
GM/「前の艦長が戦死したのは知ってるだろ。新しい艦長が来るまで代理で俺がフェルトリーナ隊のリーダーを勤めさせてもらうことになった。まあ、そのままロードになると思うけどな」
シグ/え、えーっ!? この人が上司って、イヤだなぁ……!
GM/「精々いびってやるから覚悟しておけよ。……俺が作戦の指揮を取る限りには、絶対に殺させはしないよ。みんな」
シグ/……。それには、大人しく聞いています。
GM/そうしてチームの人員は入れ替わり、結局シグがチームに入ったころのメンバーはカイルしか残らないまでになってしまったのです――。シグは[シナリオキー/PC3の過去][シナリオキー/カイル]を入手してください。


 ●ステージ/オープニングPC2

GM/ではPC2のオープニングに入ろうか。君のお名前と、パートナーの名前を訊いていいかな?
くりさん(以降、レスター)/名前はレスターで、24歳。フェーダ……翼人なので飛びます。パートナーの名前は「ルイス」にしました。
GM/「ルイス」さんか……。いっしょに行動する仲なんだけど、種族は何がいい? ちなみに彼のクラスはサムライで。
レスター/じゃあ……同じ羽ッコで。出来れば黒い羽がいいな。コウモリとか。
GM/黒い羽を持った、敵を颯爽と狩る戦士ね。了解。……では、君はクルースニクとなりアークのフェルトリーナ隊と呼ばれる部隊に所属することになった。レンジャーとして命の危険に晒される日々。今夜もまた……任務だ。
レスター/はい。
GM/艦長のカイルが作戦指令を出します。「今回はレスターとルイスの2名が向かってもらう。人魔は廃校舎の中に息を潜めているという情報が入った。まずは2人に陽動作戦をしてもらい……」と真剣な面持ちで会議を行います。
レスター/ルイスはどうしてますか。
GM/表情を変えず、いつもの真面目な顔を崩さずその指令を受けています。作戦会議が終わると「行くぞ、レスター」と君の顔を見ずにミーティングルームを出て行く。
レスター/……ああ。いつものように彼と共に出ます。
GM/貴方達2人は、夜の廃校舎にやって来ます。校舎の中を見れば、キラッと赤く光る何かが見えたり……。
レスター/人魔が……確実にいるな。
GM/「……行くぞ」。声色を一切変えず、武器を構えたルイスが、そして貴方が校舎の中に入っていきます。中に入ると、男性の死体が転がっている。いくつもいくつも……。
レスター/うっ……。
GM/無惨な姿で食い千切られて、事切れています。けれどルイスは一瞥した後、駆け出します。「人魔はまだ力をつけていない筈だ。今のうちに倒すぞ」
レスター/エーテリックボウを構えながら走ります。
GM/そして……とある教室で頭を抱えて蹲る女性を発見しました。その女性を見るなり、ルイスは攻撃をしかけます! けど女性も斬られたというのに何も痛がることはなく……。
レスター/こいつが……目標か?
GM/それは間違いないようだ。ルイスが斬りつけたというの女性は平然としている。でも顔は苦悶に満ちて人の表情をしていない……戦いが始まります。
レスター/応戦します!
GM/ルイスも戦い慣れたステップで刀を女性に向け、大ダメージを何度も浴びせていく。
レスター/前を行くルイスの援護射撃に専念する!
GM/慣れているとはいえ顔色は一切変えず、確実に人魔を鋼魔に変わる前に仕留めようと急所を狙っていきます。…………しかし。
レスター/……しかし?
GM/突然、女性の人魔が走り出す! ルイスではなく、後ろを守っていたレスターの方に! そして――カチ。
レスター/カチ?
GM/アイテム≪スーサイドボム≫使用。自身のLPをマイナス4することで物理ダメージ50を問答無用で与える自爆行為です。
レスター/あ……襲い掛かられたことにハッとして、目を瞑ってしまう……かな。
GM/ドカーン! 教室の中で爆発が起こります。スーサイドボムのことを知っていて構わないですよ。あのアイテムを使ったってことは……人魔はもう木っ端微塵になったってことです。そしてその攻撃を受けてしまった君も……。
レスター/うう……。生きてますか?
GM/うん、レスターは生きている。寧ろ全然ダメージが無い。……微かに火傷や吹き飛ばされて受身が取れずに痛い部分はあるけど、体全体に掛かる重みぐらいしか今は感じません。
レスター/重み? ……目を開けます。
GM/目の前には……重症のルイス。
レスター/……あ……。
GM/人魔が走り寄ってきたというのに、ルイスも懸命に走って、レスターにいく筈だったスーサイドボムの攻撃を全て肩代わりして……ルイスは倒れています。
レスター/い……生きてますか? ルイス……?
GM/言葉は無い。でも、レスターに声を掛けられて重い瞼を開ける。ゆっくりとレスターの方に手をやり、何かを言おうと口を開き……。
レスター/……。
GM/「…………良かった」そう呟いて、君に向けた手が下に落ちる。
レスター/……ルイスッ!
GM/その間も教室は爆発によって燃え続ける。レスターも多少なりとも傷は負っているが、動けない訳ではない。
レスター/でも……ルイスが動かなくなって呆然とします。
GM/そこで君は思い出します。『……そうだ、クルースニクは死んだら光になって消えてしまうんだ』。
レスター/……え? じゃあルイスは。
GM/君の目の前で目を閉じたまま動きません。
レスター/……まだ生きてる! ルイスを背負って帰艦します!
GM/では君は必死に消え去りそうなルイスを背負って廃校舎を出ます。外には待機していたフェルトリーナ隊が直ぐに駆けつけ、重症のルイスを連れて行きます。連れて行く先は病院ですね。
レスター/ルイスを……ルイスを頼む!
GM/――そうして貴方は病院の暗い廊下に一人いる。……よくドラマである、手術室前で待っている感じです。少しファンタジー入りますので、中では回復魔法を一生懸命唱えていたり、発掘されたばかりの西暦科学で生き返らそうとしてたりするのでしょう。中でルイスがどんな様子なのか、覗くことは出来ません。
レスター/……大人しく待ってます。項垂れて、廊下にあるベンチに座って。
GM/……3時間や4時間経っても?
レスター/……待ってます。
GM/じゃあ4時間後。……手術室の中からカイル艦長が出てきます。
レスター/艦長、ルイスの様態は……!?
GM/「……。何でこんなところにいるんだ。お前も傷を負ってるんだろう、さっさと休め」
レスター/ルイスはどうなったんです。
GM/……ルイスって、アクセサリーとか持ってると思う?
レスター/付けないんじゃないですか、遊びない性格なら。……あ、懐中時計とか持ってそうですけど。
GM/じゃあ、カイルは君に……少し焦げた懐中時計を渡します。「ルイスのことは忘れろ。宿舎に戻って次の任務に備えるんだ。……俺は新しいサムライを補充してくる」
レスター/……。
GM/カイルはそう告げると、去っていきます。
レスター/……その場で膝をつきます。
シグ/…………すみません、この場に登場していいですか?
GM/そうだね、シグはフェルトリーナ隊の古参だし駆けつけてもいいかな。
シグ/じゃあ、ちょうどその時に病院に走って入ってきます。その場には、項垂れてるレスターさんと怖い顔のカイルさんがいて……。
レスター/レスターは手術室の方を向いているから表情は見えない仕様で。
GM/うん。……で、カイルはカツカツとシグの方に歩いていく。通り過ぎようとしたとき、小声で「……レスターを慰めてやってくれ。それと、すまないと言っておいてほしい」
シグ/……カイルさん?
GM/それだけ言うと足早にカイルは去っていきます。その一言でシグも何があったか感づいちゃってください。
シグ/れ、レスターさん……その……。
GM/……そんな夜がもう1年前。すぐに代理のサムライがやって来るのでした。レスターは[シナリオキー/PC2の過去][シナリオキー/ルイス]を入手してください。


 ●ステージ/オープニングPC1&PC4

GM/ではラストいこう。パートナーといっしょに自己紹介してくれる?
なちこ(以降、アンジュ)/はい。PC1のアンジュです。17歳の犬のライカンスロープで、ゴールデンレトリバーみたいな耳と尻尾をイメージしてます。
ユウ(以降、ラカート)/PC4のラカートです。外見年齢28歳のマシンネイチャーです。あと、パートナーの名前は「イオン」です。
GM/「イオン」か……了解、早速始めよう。ラカートは日が暮れる時間帯に、イオンと歩いています。そこはフェルトリーナ隊の宿舎がある街で、今は宿舎に戻ろうとしてるところですね。
ラカート/時間系列はいつですか?
GM/PC1と出会うシーンをやりますので、その1週間後ぐらいが本編シナリオになります。今は回想シーンですよ。……空はそろそろ雨が降りそうな、暗い天気です。
ラカート/てくてくと歩いてます。おいイオン、傘持ってたか?
GM/「んなモン持ってる訳ねーじゃん」と冷たくイオンは返す。
ラカート/だよな、俺濡れるのヤなんだけど……とフードを被ります。イオン、傘を買って帰ろうか?
GM/「……」。ふんっと顔を背け、無言でダカダカと早足で行きます。
ラカート/イオン、お前はもうちょっと人付き合いというものをだなー! それについて歩いていきます。
GM/「うるせーよ、いつもいつも」……そう話をしている最中にも雨は強くなっていきます。そうしてイオンは、街のスラム方面へ足を運びます。
ラカート/そっちは物騒だからあんまり行くなよー。
GM/「何言ってんだ、こっちから行けば早く宿舎に帰れるじゃねーか」
ラカート/少年はせっかちだなー……マシンネイチャーだから見た目より年寄りなので言います。
GM/「ジジイ、早く来いよ」イオンは駆け足になってますね。
ラカート/老体は労わるものだぞー、少年! 機械の体が濡れるのは嫌なのでこっちも走りますよ。
GM/雨がどんどん強くなっていく。そして2人は……ジャンク屋が好みそうな鉄くずの山のところまでやって来ます。不法投棄の山ですね。
ラカート/……なんつーか、こういうの見るとヤになるよな。ガラクタを軽くちょんっと蹴ります。
GM/「は? 同じ機械だろ、何言ってんだよ」
ラカート/だからヤなんだよ。俺らの行く末がこんなんになるみたいだろ。
GM/「まあ……お前を捨てるほど余裕ないしな、ウチの隊」
ラカート/そういう問題じゃなくてだな、オイ。……俺がもしこうなるときはさ、ちゃんとお前がどっかに墓を立ててくれよ。
GM/「……」。それに関して、イオンは何かを言おうと口を開けますが、結局何も言わず「……早く帰るぞ」
ラカート/ハイハイ……(笑)
GM/ぷんっと顔を背けたイオンでしたが、早足がピタリと止まります。「……なんだ、あれ?」
ラカート/ん、どうした? 猫か犬か狸でもいたか?
GM/イオンが見ている方向を見ると、ラカートの目には……犬耳が見えます。「……こんなところに犬を捨てるなよ」
ラカート/……あーあー。優しいイオンちゃんは拾うんですね! ハイハイ判りました、拾いましょうか。
GM/「バカッ! 別にそんなこと言ってねえだろ!」
ラカート/構わず着ていたコートを脱いで、多分濡れているだろう犬のもとに行きます。
GM/そこには、犬ではなく犬型のライカンスロープが転がっています。
ラカート/……。なぁ、イオンちゃん。これ、犬じゃないんじゃない?
GM/「どう見ても犬だろ」
ラカート/いや、犬は犬だけどさ! 見るからにこれはライカンスロープじゃないかな?
GM/「どっちも同じようなもんだよ、犬だろ! ……おいお前、大丈夫か?」とイオンは、眠っている……少年に声を掛けます。――PC1、登場してください。
アンジュ/……うーん、むにゃむにゃ……。
GM/「平気なのか、おい!」と騒がしい声。寝ている最中にうるさいなぁと感じながら君は目覚めます。
アンジュ/うーん……? うっすら目を開けます……ぼやー……誰か2人……いるなぁ……。
ラカート/おいボウズ、大丈夫か? 生きてるか?
アンジュ/……だれ……?
ラカート/誰っていうか、俺はだな……いや、そんなことはいい。どうしてお前こんな所にいるんだ? 体温を測るために体を触ります。
GM/冷たいですね。
ラカート/な……バッカヤロ! このままこんな所で寝てたら死んじまうぞ!
アンジュ/…………ねむい。
GM/「眠い? 寝るなら帰ってから寝ろよ」
アンジュ/帰る……どこに……?
ラカート/え……。お前、名前は何ていうんだ?
アンジュ/名前……? …………アンジュ。
ラカート/アンジュ……は、どこに住んでるんだ?
アンジュ/どこ……だろう……?
ラカート/親御さんは?
アンジュ/……親……?
GM/「何か覚えてることはないのか?」
アンジュ/…………ねむい。うとうと。
ラカート/……記憶の混濁? コイツ、帰る所が無いのか……。でもこのままここで寝させといたら絶対死ぬぞ。宿舎に連れて帰ろうと背負います。
GM/「大丈夫か、大丈夫か」とずっとイオンもアンジュのことを気遣います。
アンジュ/……いいひと達だなぁと思いながら、ぼやーんとしてます。
GM/ではアンジュは2人の住む宿舎に来ました。イオンが風呂場に投げます。
ラカート/タオルとか取りに行……って。投げた!?(笑)
アンジュ/きゃうんっ!?(笑)
GM/浴室に投げて熱湯シャワーをジャーッと浴びせて「大丈夫か生きてるか寒くないか!?」
アンジュ/ぴーぴー!?(笑) うわん耳に入った! 水が入ったよう!(笑)
ラカート/イオンやめろ!(笑) ここは俺に任せて、お前はあったかーいシチューを持ってこい……!
GM/「判った、すぐに持ってきてやるからな!」――ところで、アンジュの聖印箇所ってどこだっけ?
アンジュ/えーと(キャラクターシートを見て)右手の甲です。
ラカート/じゃ、手を見てパシッと掴みます。……ボウズ、記憶が無いんだよな?
アンジュ/うん。
ラカート/……探したいと思うか?
アンジュ/……記憶……記憶を、探す?
ラカート/過去を探したいと思わないか。……親兄弟とか、大切な人の名前とか。
アンジュ/……うん、知りたい……と思う。
ラカート/だったら俺らのところに来るか? お兄ちゃん達はクルースニクって言ってな、とアークの説明をします。フェルトリーナ隊は良い隊だぞ。ちゃんとシャンプーで頭をワシャワシャ洗ってあげながら言います。
アンジュ/今度は良い意味でウトウト(笑)
GM/そうするとすぐに体が温まります。浴室から出ると、鍋ごとシチューを持ってきたイオンが目の前に。「さあ食え!」
ラカート/あのなイオン! コイツは一応犬じゃなくてライカンスロープだ、せめてスプーンぐらいは持ってこよう!(笑)
GM/「必要か?」
アンジュ/あっても無くてもいいよ。
ラカート/それ、グツグツいってるから流石に犬猫手入れたら火傷すると思うぞ!(笑)
GM/「寒かったんだろう、いくらでも食え!」
アンジュ/オタマを見て、なんだこんな大きいスプーンあるじゃんて思います。いただきまーす!(笑)
ラカート/こぼれてるこぼれてる!(笑)
GM/では食べてる最中に、イオンはラカートから右手の聖印のことを聞いたことにしましょう。「お前……クルースニクなのか。何か覚えていることはないのか?」
アンジュ/……記憶を辿ります。
GM/思い出すことはありません。
アンジュ/(キャラクターシートを見ながら)……大切な人がいたんだ。いなくなったら寂しい人が……いなくなって……。慌てて追いかけようとしたんだけど、手が届かなくって。右手を伸ばして名前を呼んで……そのとき右手には、この聖印って言うやつ……無かったんだ。
GM/……。良い演出だな、これ(笑)
ラカート/聖印箇所は右手で、『再会』でクルースニクで覚醒して……うわ、すげえ!

 『再会』とは、友と別れてしまった過去を持ち、何らか原因でクルースニクに覚醒するというライフパスである。

GM/イオンは言います。「俺達は……お前の居場所、一応、提供できるぞ!」
アンジュ/……本当?
GM/「一時的なものかもしれないし、俺の許可だけじゃよく判らないけど。でも艦長はクルースニクだったら許してくれる!」
アンジュ/……屋根ある?
GM/「うん?」
アンジュ/寒くってさ、あそこに戻るのイヤかも。
GM/「今、屋根あるじゃねーか! 見れば判るだろ!」
アンジュ/寝るとこがあって、そこが暖かければいいや……あはは。
GM/「……安心して寝られる場所、ちゃんとあるよ。布団ぐらいなら俺だって用意できる。冷たい場所よりあったかいところの方が……好きだろ」
アンジュ/……うん!
GM/「ジジイ。このことカイル艦長に話そう」
ラカート/ん、勿論そのつもりだよ。放り出したりしないし、クルースニクだったら猫の手も借りたい今だからな、承認してくれるだろ。コイツは犬だけど(笑)
アンジュ/さっきお兄ちゃんが言ってたけど、アークってところに居れば無くなったものがあったり、出てきたりするんだよね?
GM/「……それは……」手をもごもごさせるイオン。
ラカート/ああ、そのうち思い出すだろ。……で、イオンちゃん。そこにある首輪を付けようとするのはやめような?(笑)
GM/「なっ……どうしてお前はいつも俺の考えてること判るんだよ! 勝手に読むなよ、人の心!」(一同笑)
ラカート/いやいやいや! そこ手伸びてりゃ誰だって判るよイオンちゃん!(笑)
アンジュ/ゴハンごちそうさまでしたー!(笑)
GM/――そんな感じでフェルトリーナ隊にアンジュが入ります。アークの本部はクルースニク大歓迎ですからそのまま入隊。そしてアンジュにフュージョナーの才能があることが発覚し、現在フュージョナーが戦死し不在だったフェルトリーナ隊に落ち着くことになったのです。アンジュとラカートは[シナリオキー/PC1とPC4の過去]「シナリオキー/イオン」を入手してください。
アンジュラカート/はーい。
GM/現在フェルトリーナ隊のメンバーは、フュージョナーのアンジュ、ミンストレルのラカート、サムライのイオン、レンジャーのレスター、メイガスのシグ、ロードのカイルの6人です。全クラス揃ってますね。……つまりイオンはルイスの代理サムライで入ったんです。
レスター/ですね。
ラカート/うわあ、レスターの風当たりがイオンちゃん辛いような気がする(笑)


 ●シーン1

GM/では、全員宿舎で暮らしているんですが……アークの任務以外はお互いの生活を自由にしています。アンジュはどうしてるんですか?
ラカート/俺の日常ライフパスが『聖堂騎士』なんで、いっしょにいないか? で、イオンも聖堂騎士で。
GM/じゃあそうしよう。普段は聖堂騎士として日々人々の為に働き、アークからの任務があれば出撃するという生活をアンジュは始めます。
ラカート/だって他にやるのは不安だよねー。これはイオンちゃんと同じで俺が監視下に置かなきゃ!(笑)
GM/シグとレスターにも、カイルから「先日亡くなったフュージョナーの穴をうめるべく新しくフュージョナーが入った」と説明されます。そうしてアンジュが来てから3日が経ちました。日常シーンをやりましょう。

 シナリオMAPは以下の通り。
 ステージ名【イオンの部屋】[シナリオキー/イオン]を入手。
 ステージ名【ルイスの部屋】[シナリオキー/ルイス]を入手。
 ステージ名【カイルの部屋】[シナリオキー/カイル]を入手。


シグ/ルイスの部屋……ってことは、今は空き部屋?
GM/うん。でもあくまでステージ名を「部屋」と表現しているだけなので舞台は宿舎の部屋じゃなくても構いません。
ラカート/はい! 個人的にイオンを誘ってここの小物を買いに行きたいです!(笑)
GM/だとするとその場合……部屋じゃないけど[シナリオキー/イオン]はちゃんと入手出来るから安心して。尚且つ、ラカートの場合は先に[シナリオキー/イオン]を持ってるから[シナリオキー/イオン´]を手に入れることになるね。
アンジュ/じゃあ俺もイオン兄とラカート兄とでお買い物行ってきます!
レスター/……個人的にひとりでルイスの部屋に行きたいなぁ。
GM/別にパートナー以外にも行ったっていいんだよ。あくまでハンドアウトのパートナーは「フラグが立てやすくなっている」だけであって、全員同じチームだっていう括りなんだから。シグはどうする?
シグ/……お約束ですが、カイルさんの部屋に行きます。
ラカート/俺、カイルとフラグ立てにいくのもいいなー。年長者コンビで何か話せそうだし。シーンは無いけど中の人はカイル大好きだし(笑)
シグ/それだったら俺はレスターさんにフラグ立てにいきたいよ(笑) カイルさんも気になるけどさ!
アンジュ/俺はラカート兄といっしょにいるよー。
GM/自分の萌えに正直になっていいんだよー(笑)


 ●ステージ/イオンの部屋

GM/では、最初にアンジュとラカートとイオンのシーンを作りましょうか。
ラカート/イオンの部屋をノックします。イオンちゃーん! 買い物行くんじゃないのー!? アンジュの小物を買いに行くって約束してただろ、忘れてたか?
GM/「覚えているに決まってんだろ。…………」
ラカート/……今の沈黙、なに?(笑)
GM/「首の運動」
ラカート/……よーし判った、行こうか!(笑) 保父さんのように二人の手を取ります。アンジュお手!
アンジュ/うんっ!(笑) ラカート兄は優しいなぁー。でれでれ。
ラカート/あー、アンジュは素直でいいなー!(笑) 市街の方に出かけて、アンジュの食器や毛布を買い揃えます。
GM/街で3人、お買い物をします。……そこでイオンが尋ねてきますよ。「記憶は、まだ戻らないのか?」
アンジュ/うーん……よく判らない。
GM/「……思い出す気はあるのか」
アンジュ/うー……ごめんなさい、イオ兄。あう……。
GM/「なんでごめんなさいなんだ」
アンジュ/うう……怒ってる?
GM/「なんで怒んなきゃなんねーんだよ」
ラカート/……あのな、イオンちゃん! まず、眉間に皺を寄せることをやめることから始めよう!(笑) ほら、アンジュが怖がってるぞ。
GM/「……あん? なんで怖がってんだ、ああ?」
アンジュ/うわーん!(笑) ラカート兄、助けてー!
ラカート/よしよし!(笑) そんな急に思い出せる訳もねえだろ! イオンが心配してるのも判るけどさ……時間はまだいっぱいあるんだ、急くこともないだろ。
アンジュ/時間……いっぱいあるの?
ラカート/マシンネイチャーだから寿命は無いし、壊れるまで動けるので時間間隔曖昧なんですよ。……アンジュ、お前の一生が終わる前に思い出せりゃいいんだよ。気長にいこうぜ。
アンジュ/でもイオ兄が思い出したかっていつも訊いてくるから……早く思い出さなきゃいけないなぁ。色んなものを見渡して思い出そうとします。キョロキョロ。あ、ラカート兄、あれ何ー!? あっち行こー!(笑)
ラカート/……イオン、やっぱ首輪必要かもしれない(笑) 普通、ヒトに付けるものじゃないって判ってるけどな……。
GM/「付けるもんじゃないのか」
ラカート/当たり前だろ。
GM/「艦長の部屋には付けてる人の本があったぞ」
ラカート/…………艦長っ!?(一同爆笑)
アンジュ/カイル艦長がどうかしたのー?
ラカート/いや、お前は気にすんな!(笑)
GM/イオンは、アンジュに聴こえない声でラカートに話します。「……俺、記憶戻ったかとか訊かないほうがいいのかな」
ラカート/本人が思い出したら言うだろ。お前が心配してるのはちゃんと俺、判ってるからさ。心配しすぎるなよ?
GM/「……むう」
ラカート/イオンは触られるの嫌いそうなので、アンジュと手を繋ぎます。
アンジュ/うんっ! 今度はあっち行こうよ、ラカート兄っ!
GM/「……」イオンはアンジュの手を見てます。
ラカート/……。ハイハイ、アンジュ! イオ兄が手を繋いでほしいってさ、行っておいで!(笑)
アンジュ/きゅんきゅーん!(笑)
GM/「……」イオンは無言で、アンジュの手をゆっくり握ります。そんな道端で騒いでいるアホ3人組。――それでは2人共、[シナリオキー/イオン´]を入手してください。イオンと更に親密な仲になりました。
ラカート/……なんか、お父さんの気持ちで2人を見てるようになったぞ(笑)


 ●ステージ/ルイスの部屋

GM/――次に、レスターのシーンいきます。君は、3人がバカ騒ぎをしながら街へ出て行くさまを見てましたね。……心情的にはどう思うかな?
レスター/……やっぱり淋しいというかやるせないっていう感じかな。ルイスの部屋に行きます。
GM/ルイスの部屋は残されています。仲の良かった君が部屋を整理してくれって言われたけど、片付けられずにそのままになってます。
レスター/だから部屋があかないんだ。そのうち片付けておけってカイル艦長から言われてるけど……。
GM/その点に関してはみんな目を瞑ってくれてるんだね。
レスター/ルイスの部屋に入る……んだけど、やっぱり何も出来ない。
GM/もうすぐ1年誰もいない部屋です。新しいサムライやミンストレルが来てもう10ヶ月経つのに……でも部屋はレスターが見てくれてるから綺麗です。
レスター/埃がたまったらいつも通り掃除を軽くしてる。その辺はマメだし。
GM/ではそんなことをしているとき……部屋の入口の方から声が聞こえます。「まだそんなことをしているのか」
レスター/……カイル艦長ですか。
GM/うん。ドアをちょっとだけ開けて、いつになく低い声で尋ねてきます。
レスター/それを訊いて掃除の手を止めて、……後ろ向きのままで声を聞きます。
GM/「まだそんなことをし続ける気か?」
レスター/…………。
GM/何かを言おうとしても、何も言わない貴方に次々と言葉を浴びせてくるよ。「いつまでもそうしているつもりか。迷いがあれば死ぬってことぐらいお前なら判ってるだろう。……後を追うつもりか?」
レスター/…………。
GM/「…………」。
レスター/……もう少し、もう少しだけ時間をください。せめてあと2ヶ月……それでまでにケジメをつけます。
GM/「俺は……お前の力に期待してるんだ。お前がいなくなったら困るんだよ。もう俺は……誰かが死ぬのは嫌だからな」
レスター/……判ってます。
GM/それを言って、去っていくカイル。レスターはずっと背中越しにその声を聞いているんですね。
レスター/……カイルさんがパタンってドアを閉めていってくれた後、ストンと地べたに座ります。
GM/言いえぬものが胸の中にこみ上げてくるのかな……。君ほど仲が良ければルイスさんも部屋に招待してくれたでしょう。この部屋は昔からあまり物が無い部屋だと君は知ってます。
レスター/ルイスは戦場に私情は持ち込まない性格だから……。
GM/宿舎に自室があるとはいえ、自分のことなど一切出さない。本当は掃除するまでもないぐらい何も無い部屋です。……あるといえば、懐中時計ぐらいだ。
レスター/……ああ。
GM/……それでは、ステージに登場したので[シナリオキー/ルイス´]を、あと特別に[シナリオキー/カイルの苦言]を差し上げます。
シグ/…………すみません! シナリオキーとかいらないんでこの場に登場していいですか? カイルさんの部屋に向かおうとしたんですけど、ルイスさんの部屋を通り過ぎたとき居るって気付いて……。
GM/ああ、可能だよ。そんなに宿舎も広くないし。でもステージに突発的に登場するときはルール通りカードを提出してね。
シグ/……隊にいるのも長いし、何もすることがない休日の午後ならここにいるんじゃ、と感づきます。……コンコン。レスターさん、いますか?
レスター/自分は、ドアに凭れ掛かって生気の無い目で懐中時計をずっと見ています。……で、この状況を見られたくないので無言でスルーします。
GM/でもシグは居るってことに気付いていいですよ。
シグ/……フェイバリットの≪リーディングコード≫は使えますか。人や器物の思念を読み取る技なんですけど。
GM/可能だね。……ドア越しにレスターの心情を読み取る気か。
シグ/悪いことだと知りながら……。使用します。
GM/それでは、フェイバリットは絶対成功なので……。レスターは今の心情を教えてください。
レスター/あー……。ルイスさんのことについて踏ん切りつけなきゃいけないのは判ってる。ポリシーのライフパスが『任務絶対主義』だからね。……でもそれでもどうしていいか判らない。いきなり「忘れろ」って言われて……生きてるのか死んでるのかも判らない状況だから、もしも生きているのなら部屋はこのままにしておきたい。
シグ/複雑な心境が色々と流れ込んできます……。
GM/…………ついでに、部屋の感情も流れ込んでくるってどう?
シグ/え?
GM/≪リーディングコード≫って物体の思念を読み取る技なんだよ。で、ルイスさんのドアに手を当てて覗いてるんだろ?
レスター/……うわ(笑)
GM/ルイスの性格はシグも見ていたから知っているよ。絶対私情は持ち込まなくて、部屋の中には私物が一切無いのに……部屋の記憶にはレスターっていう私物が写るんだ。
シグ/……私物、レスター!(笑) お、重い……!
GM/それが一番の宝物だったんだよ、彼にとっては。部屋の記憶の中で、二人で話し合っている光景が流れ込んでくる。何気ない仕草の中に、レスターの見てないところでフッと笑うルイス。次の瞬間にはもう表情が消えていたり……。
シグ/この部屋、ルイスさんのラブラブビームが伝わってくるんだけど!(笑) ……ああ、2人は恋人だったんだ……と、1年ぐらい経って初めて理解します。
レスター/……これって読まれてることに気付けるんですか?
GM/【霊格】で相手と対抗判定に勝利すれば気付けるよ。
レスター/やってみます。2D6+【霊格】で(ころころ)……18です。
シグ/(ころころ)18……同じだ。
GM/受動側優先で、リーディングコードを受けているのはレスターだから……レスターの勝利だ。
シグ/深いところまで読み取ろうとして遮られちゃったんだ!
レスター/で、気付いた。少し怒ったような声で言います。……何を、やってるんだ。
シグ/す、すみません! れ、レスターさんは……レスターさん的には戻ってくることを祈っているようです……けど。
レスター/……けど?
シグ/もしこのままルイスさんが戻ってこなかったら……貴方はどうするんですか!
レスター/……戻ってこなかったら、そのときは……。言い淀みます。
シグ/もう……1年経つんですよ。
レスター/……何も言えない。何か言いたいんだけど、何も。
シグ/忘れろとは言いませんが、元気を出してください。カイルさんもあんなヒトですけど心配してますから。――それだけ言って、部屋の前から去ります。


 ●ステージ/カイルの部屋

GM/――で、シグはカイルの部屋に訪れるんだっけ。
シグ/はい。カイルさんの部屋の前に立って、深呼吸してから……コンコン!
GM/応答はありません。
シグ/……コンコンコン!
GM/応答はありません。鍵は開いているようです。
シグ/か、カイルさん!?
GM/飛び入りました。……彼は、自分の机に頭を突っ伏して寝ています。
シグ/……はぁー、良かった……。部屋に入って、ドアをそっと閉めます。
GM/部屋に入って物音を立ててもカイルは動きません。
シグ/どうしたのかな……仕事しながら寝ちゃって突っ伏してるのかな。
GM/部屋に入りましたね? 【感知】判定をお願いします。達成値は13。
シグ/(ころころ)14、成功です!
GM/ふっと目をやったところに、大量の書類が置かれている。乱雑に置いてある資料の中に……『墓島』『強化兵』といった文字が書かれていた。
シグ/はか……しま?
GM/これに関して調べたいのであれば、【知力】判定達成値15で。
シグ/(ころころ)あ、16で成功です。
GM/『強化兵』とはその名の通り強化人間のことで、薬物ドーピングや精神的圧力を掛け創り出された強力な兵士のことです。能力値が上がらない『ギガントマキア』で唯一上昇させることができる人達ですが、良い噂を聞きません。『墓島』というのは、それを行っている研究所がある場所です。
シグ/……何か仕事で調べてたのかな? カイルさんの様子は……。
GM/突っ伏しているだけです。
シグ/寝てるようだったら、上着でも探して掛けて……。
GM/やろうとした瞬間――バッとシグの腕を掴む!
シグ/うわっ!?
GM/強く掴んで、ギッと睨むかのような目で見てくる。
シグ/す、すみません! 勝手にお部屋に入ってしまって……!
GM/「何をしたっ!?」
シグ/え……。
GM/「何をしていた!?」
シグ/あ……寝てたから上着を……。風邪を引いたら大変だし……ロードだし……。
GM/「…………。あのなぁお前、そんな優しいことするようなキャラじゃないだろぉ?」コロッと普段の軽い口調になります。
シグ/し、心配させないでくださいよ……ノックしても返事が無いし、鍵が開けっ放しになってましたから……。
GM/「はあ? ロードは忙しいもんだって決まってるだろ?」
シグ/それは知ってますけど……はぁ、心臓に悪いなぁ。俺、【体力】2なんですからね!(笑)
GM/「すまんな、ちょっと疲れが出たから居眠りしちまった。……で、なんだ? 何か話があって来たんだろ?」
シグ/あ、はい。……折り入って言いたいことが2点ほど。レスターさんのことなんですが。
GM/「……なんだ?」
シグ/このままルイスさんが戻ってこなかったら、彼は……ずっとあそこに居続けると思うんです。
GM/「……正直あれには困っているなぁ。まったく、ホントどうしたもんかねぇ」
シグ/ルイスさんはいなくなって……もう、戻ってくることはないんですよね?
GM/「……ああ、戻ってくることはない」……では、ここで、【霊格】判定達成値20!
シグ/(ころころ)ああ、16……。失敗します。
GM/では何らかの違和感をさっきの会話に覚えたけど、気のせいかと思いました。「お前さ、レスターとはそこそこ長いんだからルイスのことを忘れさせる方法とか思いつかないの?」
シグ/それは……。あれだけの信頼関係だったんだから忘れるなんてことは不可能だと思います。……せめて、ケジメをつけられるまで待っていただくことできませんか。1年経てばレスターさんも何らかの回答を出すと思います!
GM/「お前……結構前向きな性格だったんだなぁ?」
シグ/……10年も貴方の下にいれば否応にも前向きになりますよ。
GM/「なかなか良い台詞を吐くようになったな。1年経っても忘れないようだったテキトーに忘れさせる方法を見つけてやってくれよ。あのままだと何が起こるか判らない。俺だって俺なりにアイツのこと大切に思ってるんだからな…」
シグ/それは……判ってます、けど……。
GM/「あ、もちろんお前のことも大切だぞぉ?」
シグ/……信じられませんね!(笑) そういう言い方が特に!
GM/「…………信じてくれるように言ったほうがいいか?」
シグ/…………ちょっ!(一同爆笑) ど……動揺しながらも、いつものカイルさんの冗談だと思います! そういうのは僕にやるよりもレスターさんにやってあげてください! 本気の無駄遣いしないでくださいよ。
GM/「どっちが大切なのにも変わりはないんだけどなー……。俺は俺なりに頑張ってみるよ」
シグ/はい。……忘れろっていうのは無理だと思うんで、せめて乗り越えていけるように俺も手伝っていくつもりです。
GM/「わかった。……そこでお前に重要な頼みがある」
シグ/はい。
GM/「ハイチュー買ってきてくれ」
シグ/……。グレープでいいですか、いくつ買ってきましょうか。
GM/「5つ」
シグ/どうせ夜にまた食べるんですから6つでいいですか(一同爆笑)

 暫くこの流れに耐え切れなくて笑い(萌え)死ぬ面々。
 壮大なカットでお送りしています。

GM/それじゃ、[シナリオキー/カイル´]と[シナリオキー/墓島・強化兵]を手に入れてください。
シグ/あ……そうだ、あともう一つ……お願いがあるんです。
GM/「なんだ」
シグ/死活問題です。ラカートさんとイオンさんとアンジュさん、今3人で相部屋でしょう。それだと夜がうるさいというか賑やかすぎるというか……。
GM/「それぐらい我慢しろよ、宿舎なんだから」
シグ/カイルさんには判らないんですよ、あの憎たらしさが! 夜中までチュッパチャップスの剥き方とかでずっと騒いでるし! 首輪がどうのとかホント気になって眠れないんですよ!
GM/「……俺の部屋、防音だぜ?」
シグ/…………。
GM/…………。
シグ/…………えっ!?(←リアルで3秒黙って一同爆笑)
GM/「お前、リーディングコード使えるくせにどうしてそういうところは疎いんだ……」
シグ/判る分、言いにくいんですよ!(笑) ……それとカイルさんの部屋には首輪の本があるとかイオンさんが言ってたんですけど。
GM/「犬専用の首輪にはダニ対策のために薬が塗ってあるからヒトには使えないんだ。付けたいと思ったら専門の店に行かなきゃいけない。そこで本もいっしょに」
シグ/……そういうことじゃないんですよっ!(一同爆笑)