アリアンロッド2E・リプレイ・Re
■ 第1話 『 R卓・リスタート 』 2ページ ■
2012年10月20日




 ●ミドルフェイズ1/大津&ケイ 〜ベッドの上〜

GM/早速シーンを始めていきましょう。始めに、大津とケイの2人に登場してもらいます。
大津/はい。
GM/君達2人は、ほぼ同時に目を覚まします。2人が眠っている場所は、ふかふかのベッドの上。
ケイ/おう……?
GM/木のベッド。石の天井。壁には窓はあるけど目張りがしてある部屋。誰かが住んでいるということは判る雰囲気。『アリアンロッドRPG』の部屋としては普通の光景だ。ベッドが2つ並んだ部屋に、大津とケイは並んで眠っています。
ケイ/……うーん、捕まって捕虜になったかな? 怪我の手当ては?
GM/手当てされてますね。
大津/大津は……前の晩、寝てないんですよ。処刑されるんだからぐっすり寝られる訳がないじゃないですか。よく寝たことに驚いて……ふかふかのベッドに衝撃を受けます。
ケイ/そうだ、大津の時代は布団が固いよね!(笑) ケイはあまりカルチャーショックは受けないけど!
大津/枕を物珍しそうに見てます。おお……おお……?(笑)
GM/ケイの目には、年は20代の男性が……子供みたいに枕をポフポフして遊んでるように見える。
大津/ちょっと楽しそうな顔をしています(笑)
ケイ/どうしよう、なんて声を掛けよう(笑) 捕虜にしてはちょっとノンビリしすぎじゃないか? それに身なりが綺麗……というか珍しい服を着ているな。
GM/大津は隣に居る包帯に巻かれた男を見ると、屈強で……自分と見た目が全然違うことに気付く。
大津/傷だらけの男……目の色、髪の色、何もかも違う……。
ケイ/髪は赤、目は緑かな。肌は白い。顔の掘りも深いね。……そっちの男は淡白な顔だなぁと思ってる。なんだ、この平たい顔族は。
ランピィ/阿部寛みたいな顔がいますよ!
ケイ/あそこまで濃い顔じゃねーよ!(笑)
GM/おかしいな、阿部寛は日本人なのに(笑) 大津って黒髪黒目?
大津/黒髪黒目。ワンピースぐらいの丈の右前合わせの服を着ています。
ケイ/……ドルイド僧か? でも魔術師達とは違う気がするな。
大津/どちらかというと高貴なオーラを感じてください。
ケイ/うちの弟と同じオーラがする!?(笑) ……貴殿は、どこの国の者だ?
大津/国か。……日出るところだ。
ケイ/そういう言い方をされると太陽が沈んだり入ったりする地平線の向こうって死者の国っていうイメージがあるんで「し、死んでる!?」って思うんですけど!?  死者の国から来ちゃったってこと!? ここはアヴァロンなんやー!?(一同爆笑)
大津/そうなのだろうか……。記憶には無いが、俺は一度死んだのだろうか。
ケイ/どう見ても戦争に行っている格好じゃないので、戦死者ということではないのかな? 死んでると思いこんで話をします!(笑)
大津/そちらは、その怪我を見ると酷い戦だったようだな。
ケイ/ああ、まったくだ。身内に反乱を起こされてな……。
大津/身内に反乱。……なるほど。俺はその、反乱を起こして処刑された側だ。
ケイ/俺達、反乱起こした側と起こされた側だよー!?(笑)
大津/俺のいた国では、王になれると見なされた人間が2人いてな。片方が俺、もう片方が……。
ケイ/王位を継いだ側か?
大津/……まだ継いではいない。だがあちらには強い後ろ盾がある。俺が出来ることは反乱を起こすことしかなかった。それも失敗に終わったんだがな……。
ケイ/……どこの国も、世継ぎ問題は面倒臭いな。
大津/そちらは、見るところ王位継承者ではないようだが?
ケイ/あー、そうだな。私は王に仕えている身なんだが、王の遠征中に身内に反乱を起こされてしまってな。その反乱を起こしたのが王の私生児でね……。
大津/私生児……?
ケイ/正当な王妃との間に世継ぎがいたんだけど……話によってはサー・ケイが殺したっていうのがあって。
ランピィ/ええっ!?(笑)
ケイ/ケイ兄さん、一回反乱起こしてるんだよね。
大津/マジですか!?(一同笑)
ケイ/それは無かったことにする! うん、アレは無かった!
GM/黒歴史認定した!(笑)
大津/……そちらの国は、王の権力が弱いのだな。
ケイ/カリスマ性で言ったら、弟が一番あったんだけどな。
大津/カリスマ性なのではなく、制度の話だ。
ケイ/制度なぁ。うちは年がら年中戦争をしていたし。
大津/年がら年中戦争? 民はそれで大丈夫だったのか?
ケイ/ですよねー、よく言われる!(笑) 人の国のことだ、とやかく言わないでくれると助かる。
大津/そうだな、余計なことを言った。
ケイ/ところで、ここは何処なんだ?
大津/さっぱり。
GM/……ではそのとき、ガチャリとドアが開きます。そそっと誰かが部屋に入ってきますよ。
大津/む? 介抱してくれたのは貴方か?
GM/「ええ、ええ、そうですよぉ」と、おばあさんの声。身長は1メートルぐらいで子供のように低い。フィルボルのおばあちゃんです。
ケイ/ち、小さい……?
大津/……自分の常識とは全然違う人間が現れているので、広い気持ちで受け留めます(笑)
GM/「傷は大丈夫かい?」と笑顔のおばあさんは、敵意を向けることはない。ケイの傷を診ようとするところから、どうやら手当てをしたのはこのおばあさんだと判る。
ケイ/手当てしてくれたのか。ありがとう。
GM/「いやぁ、道端で寝ている人もいれば血を流して倒れている人もいたもんだから、助けずにいられなくって。ああ、あたしの名前はジュリアナ・バターフィールドだよ」と自己紹介をするおばあさん。
大津/ジュリアナさん……。
ケイ/なんか、美味しそうな名前(笑) ここは一体何処だ? 死人の国じゃないのか?
GM/「違うよぉ。ここはノルドグラムだよ」
ケイ/ノルドグラム? ……うちの国の領にそんな名前は無いぞ。
GM/「レイウォール王国のノルドグラムだよ。ここはノルドグラムの、城門近くの家で……」
大津/レイウォール王国? ……王国? ここは日本列島ではないのか?
GM/日本列島と聞いたおばあさんは、全く知らないような顔をする。「……レイウォール王国の隣の国は言えるかい?」
大津/いや……。
GM/大津を見て言います。「貴方は一体どこから?」
大津/日本列島の大和の国から。名は大津。気軽に皇子様と呼んでくれていい。
ケイ/このプリンス!(一同爆笑)
GM/可愛いこと言った(笑) ケイの方も向く。「貴方は何処から?」
ケイ/私は……。
GM/私は鼻から。
ランピィ/言わずにいられなかったんですね!?(一同爆笑)
ケイ/わ、私はブリテンのキャメロットから来たんだが!(笑) 名はケイ。気軽にサー・ケイと呼んでくれ!(一同笑)
GM/「……まさかお前さん達、『漂流物』かい」
大津/は?
ケイ/そんな流木みたいに言われても(笑)
GM/「なるほど……うんうん」 おばあさんは何かを納得する。「お腹すいてるだろう? 何か食べるものを持ってくるよ。ああ、毒を入れたりなんてしないよ」
ケイ/敢えて言うあたりが怪しい!(笑)
GM/しかし善良なNPCであるジュリアナおばあさんは、お腹の減った2人のためにパンとスープを持ってくるのであった!(笑)
ケイ/ケイは、似たような料理を知っているけど……。
大津/こ、これは……この橙色の謎の物体は……?(笑)
ワトスン/スプーンも見たことないんじゃないかな?
大津/お、おお……こうやって食べるのか? は、箸は無いか箸は!?(笑)
GM/「箸? あるよ」 ジュリアナおばあさんはお箸を取ってくる。あんまり綺麗な物じゃないけど、木の棒を2つ持ってきたよ。
大津/あ、あるんだ(笑) ありがとう……。
ケイ/な、なんなんだ……? 怪しいと思いながらも、スープをすくって食べます。
GM/「……さっきあたしが言った『漂流物』のことだけどさ。突然この世界にやって来たよく判らない連中のことをそう呼んでるんだよ」
ケイ/よく判らない連中……?
GM/「『漂流物』が決まって言う台詞があるんだ。『ここは何処だ?』『そんな場所知らない』。まるでこの世界の人間じゃないようなことを言うんだよ」
大津/まさに、俺達のような人間のことを言うんだな。
GM/「それよりもさ、体の調子は大丈夫かい?」
ケイ/もう少しすれば動けるようにはなるだろう。
GM/気の良いおばあさんは気遣うけど、あまり裕福ではないということが部屋を見渡せば判ります。「ごめんねぇ、それぐらいしか食べさせられなくって。元気を出すにも食べる物が無いんじゃあ……本当だったらもっと食べさせてあげたいんだけどねぇ」
大津/いや、充分だよ。貴方のおかげで行き倒れずに済んだ。大変興味深い。このような食事は初めてだ。美味しそうにスープとパンを食べます。
ケイ/お心遣い、感謝します。騎士の礼をする。……そうだ、『漂流物』という言葉があるということは、我々以外にも同じように事情を全く知らない者が流れ着いてくるのか? そんなに珍しいことではないのか?
GM/「ああ、つい先日もあったよ。その箸もね、『漂流物』が教えてくれたんだ」
大津/へー……?
GM/「その人だったら、そのノルドグラムの城壁から……5キロぐらい先の森に住んでるよ。あそこは洞窟もあるし比較的安全だし……何より狩りをするには丁度良い森があってねぇ! 昔はあたしも弓の名手としてブイブイ言わせてたんだよぉ!」
ケイ/ブイブイだと。このおばあさん、シーフでレンジャーか(笑) ……動けるようになったら森に行って、先達に会いに行くのも良いと思う。どうだろう?
大津/先に来た人の方が状況を判っているだろうしな。
ケイ/それに、あまりここに居るのも忍びないしな。
GM/ジュリアナばあさんは、一度部屋を出て何かを持って戻ってきます。「それ、持って行きな」とキャラクターシートのアイテム欄にある物を渡します。
ケイ/おおっ!? いや、怪我の手当てもしてもらって休ませてもらったのに、こんな物まで……。
大津/そうだ。流石にここまで受け取る訳には……。
GM/「『漂流物』は帰る場所も無いような大変な連中だって聞く。で、実際どうすればいいか判らないんだろ?」
大津/……まあ、さっぱり。
GM/「そういう怪しい奴らは放っておけっていう連中もいるけど、あたしは嫌でね……だから、こっちは出せる余裕があるんだから渡しておくよ」
ケイ/……いい人だ。
大津/受け取っておく。このご恩はいずれ返す。
GM/ちなみに、渡した中にはお金もあります。
大津/……あの、キャラシに所持金格差があるんですけど?(笑)
GM/その場合、お金の代わりに非常食とかアイテム欄に書かずに済むような必需品を渡したんじゃない?
大津/……金についてはよく判らない。だからまかせた!
ケイ/まかされた!(笑) 
大津/しかし、怪我が治るまではちゃんと世話になるんだぞ!
GM/「そうそう、ちゃんと元気になるまでうちに居るんだよー」って、数少なそうな食事をいっぱい食べさせてくれるよ。
ワトスン/……おばあちゃん、良い人だね。
大津/出て行くまでの間、ジュリアナさんの手伝いをします!
GM/「久々に若い子に会えて嬉しいねー」と笑うおばあちゃんは、ふと思い出したように……「ベルフト様も、こんな風にいっぱい食べてくれたっけ」と切なそうに言う。
大津/ベルフト……?
GM/「……いいんだ、もうアタシらには武器もアイテムも必要無いものだから」と、大津達に聞こえないように言うおばあちゃんでした。
ワトスン/な、なんか事情は知らないけど……ぶわっと泣きそうな予感(笑)
GM/ちなみに、ジュリアナおばあさんは公式NPCです。

 ジュリアナ・バターフィールド。
 レイウォール国の第二王子にして将軍ベルフトの乳母。
 若い頃は戦場を出て弓の名手として馴らしたフィルボルの女性。
 幼い頃から乱暴者でイタズラが過ぎるベルフトを、離宮のベランダからロープで逆さ吊りにして泣いて謝るまで許さなかったという逸話で有名。


ケイ/大津、大変なことをして吊り下げられないようにしろよー!(笑)


 ●ミドルフェイズ2/ワトスン&ランピィ 〜崖の下〜

GM/では、ワトスンとランピィのオープニングをしよう。……とある森、とある林、とある崖の下。まるで崖から落ちたかのように、崖の下に倒れている2人……。
大津/2人というか、1人とランプじゃ?(笑)
GM/そうだね、ワトスンは……枕元にランプが転がっている状態で目を覚ます。
ランピィ/森の中にあるにしては不自然な、博物館にあるようなランプが転がっています。
ケイ/カレーが入ってそうなランプがね!(笑)
ワトスン/め、目覚めます……。あ、あれ、森っ? スモッグが無い……鞄が盗られてない!?
ケイ/ロンドン、せちがらいな!(笑)
GM/まず酸素の美味さと鞄が盗まれてないことを確認しなきゃいけないんだ(笑) 鞄が盗られていないどころか、周囲には人っ気1人いないよ。
ワトスン/ここは……? キョロキョロ見ると。
ランピィ/枕元にくすんだ金色のランプ。
ワトスン/……これは?
ランピィ/手に取ってみても、ランプの蓋は開かない。
ワトスン/あれ、開く造りじゃないのかな? ぶんぶん振ってみる。……あ、汚れてるなぁ。ハンカチでキュッキュ。
ランピィ/キュッキュに反応してランプの先から突如強風が巻き上がる!
ワトスン/わあっ!? 思わずポイッとします!
ランピィ/ポイッとされながらもランプの先からどんどんと風が巻き起こり七色に輝いて、それが全長4メートルぐらいの巨人の姿を作ります。
ワトスン/な、ななっ!? ワトスンの3倍!?(笑)
ランピィ/ああーんっ! 脳震盪になるかと思ったぁー! こんなにブンブン振り回されるなんてアラジンの孫娘以来かぁ!?
ケイ/ま、孫娘はしたんだ……(笑)
ランピィ/でも今回は千年以上ほったらかしにされることなかったからいっかー! グオーッって背伸びをして更に大きくなる!
GM/全長5メートル、6メートルと……。
ケイ/その間も木々がバキバキバキィッ!(笑)
ワトスン/えっとえっと! と、とりあえず……ボクは食べても美味しくないぞぉ!?(笑)
ランピィ/食べるなんてトンデモナイ! どうしてご主人様を食べる必要が!?
ワトスン/……ご主人様?
ランピィ/おめでとうございます、おめでとうございます! アナタがアタシの新しいご主人様でございまーす! ご主人様、何でも願いを叶えますよー! 大きな腕をぐわーっと伸ばします!
ワトスン/う、うわああ!? フレンドリー!?(笑)
ランピィ/……何でもとは言ったけど。
ワトスン/……ど、どうした?
ランピィ/なんか調子が出ないんだよねぇ。統治者が変わったからかなぁ?
ワトスン/は、はあ……よく判らない! 体調でも悪いのか?
ランピィ/アナタ、魔法は使える?
ワトスン/魔法というと……黒魔術のことか?
GM/イギリス人だもの、それぐらいは齧ってるか。
ランピィ/大体あってるね! 魔法のビギナーでも判りやすく言うと……どうやらこの国は運命の女神アリアンロッド様が統治する世界のようだ! 運命の女神様が統治する世界で運命を捻じ曲げる力は使える筈が無く、出来ることの制限が大分かかっているみたいだね! 水の中を重りをつけて歩いている状態かなぁ?
ワトスン/はあ……それは、大変そうだなぁ……。
ランピィ/超タイヘン! っていうかサムイ! このままじゃ凍えちゃうわッ! いきなり虹色の巨人が帽子とマフラーをぐるぐる巻き始めます!
大津/か、可愛い……(笑)
ケイ/そりゃ、砂漠に比べたら寒いよね(笑)
ワトスン/……と、とりあえず! 縮まないか!? 首が痛いんだ!(笑)
ランピィ/ゴメンゴメーン! 坊ちゃんにはちょっと厳しかったねー! シュルシュルシュルと人間サイズになります。
GM/なんとかエルダナーンサイズになった(笑)
ランピィ/人型ではあるけど相変わらず風がぐるぐる巻いているような形です。坊ちゃん、お名前は!? グイッと顔を近付けます。
ワトスン/ボクの名前は……ジョン・H・ワトスン。
ランピィ/オッケーワトスン! アタシ達良いトモダチになれそうだね!
ワトスン/軽っ! とても軽い!(笑) 君の名前は……?
ランピィ/ランプの魔神。それだと通りが悪いんで、自分でトゥーヴァー・ヴィンテ・ランピィって名乗ってるよ。気軽にランピィで! どうぞどうぞ遠慮なく!
ワトスン/ランピィか。ランプの魔神って……もしかして『千夜一夜物語』の? 君の前のご主人様は……?
ランピィ/前のご主人様の話は今のご主人様の前ではしない主義なの!
ケイ/なんというビジネスライク!(笑) でも『アラビアンナイト』ならワトスンの時代なら知っているかもね。
ワトスン/……ボクの知っているランプの魔神は、洞窟の中に閉じ込められていて、そこに少年が現れて君を連れ去っていくというもので……。
ランピィ/ぐいっと顔を近付けます。アラジンを知っているのかい!?
ワトスン/え、えっとねぇ!?(笑) ほ、本の中でなら……。
ランピィ/へえ! アラジンの活躍が本になったの!? それは知らなかったなぁ! アラジンは確かに前のご主人様だよ! あらゆる成功を治めた珍しい人間さ! サイコーのトモダチだよ!
ワトスン/ああ、確かに彼は素晴らしかった……あれだけ好きな物が手に入ったにも関わらず、堕落しなかった彼は素晴らしい。成功を収めた後にきちんと街を統治している。とても良い人物だったと本を読んで思ったよ。
ランピィ/そのアラジンも夕べお亡くなりになったよ! 老衰さ、人間だから仕方ないね!
ワトスン/そ、そうか、夕べか(笑) 老衰なら……彼はきっと幸せだったんだね。
ランピィ/……だと、いいなぁ。
ワトスン/大丈夫さ。君という大切な友人が傍に居たんだろ?
ランピィ/アタシであってアタシじゃなかったというか、まあその辺はいいや!
ワトスン/か、軽いなぁ……(笑)
ランピィ/いやあ、次の持ち主はアラジンの息子の王子様がなると思ったけどまさかのキミだとはね! いよっ、大当たり! イエーイってハイタッチをするとブワーッと強風が巻き起こる!(笑)
ワトスン/ぎゃあっ!? ボク、見てお判りの通りひ弱だよ!?(笑)
ランピィ/だろうね。坊ちゃん、いくつ?
ワトスン/40。
ランピィ/……アハン? 四十路ぃ!? ゴメン、坊ちゃんじゃなくてオッチャンだったね! いや、四十でこれだと……レディ?
ワトスン/マダムが正しいかな。婚約済みだ。左手の指輪を見せる。
ランピィ/オーウ! これは失礼ミセス!
ワトスン/いや、気軽にワトスンと呼んでおくれよ。しかし、ランプをこすったら魔神が出てくるとは思わなかったよ……まさかのファンタジーだよ(笑)
ランピィ/オッケーワトスン! とりあえず自己紹介が済んだところで! ここは何処だろうねぇ?
GM/森なう。
ワトスン/……このままここに居ても仕方ないし、街を探そうか。
ランピィ/街に行くとなったら、この姿じゃダメだよね。アラジンによくダメだって言われたんだ。
ワトスン/人間の姿にはなれないのかい?
ランピィ/なれるよ。お望みとなれば! ……虹色の風が、実体の無かった姿が肉を持ち、皮膚を持ち、髪を持ち、人間の姿に近付いていきます。
ワトスン/お、おおっ……!?
ランピィ/ランピィの中でよく見ていた人間が宮殿に居た人達だったので、踊り子のような姿になります。
大津/おお、なるほど……。
ランピィ/髪をまとめて、半分、仮面を付けて……胸とゆったりとしたズボンを履いているだけで、ヘソを出した格好ですね。お腹は全部あいてます。
ワトスン/さ、寒くないのか?
ランピィ/凍えちゃうわッ! 昼間とは思えない寒さね!
ワトスン/は、早く街に行ってマントか何かを買おう!(笑)
GM/……そのとき、グシャリという何か枝を踏むような足音。
ワトスン/誰だっ?
GM/「そっちこそ誰だぁ?」と、男の声。
ランピィ/逆に訊かれたね。
ワトスン/や、野盗か!?
GM/「お前さん達の方こそ盗賊じゃねーのか」 道の無いような所から男性が現れます。身長180センチぐらいの男性で、和服を着崩したような感じで装飾が結構派手な……。2人は和スタイルの知識はある?
ワトスン/ジャパニーズ知識というか、ワトスンは中国の陶器について調べていたことがあります。
ランピィ/コッチはサッパリ! 変わった服を着てるなー! っていうかアタシ達が野盗に見えるぅ?
GM/「見えねーな。じゃ、乞食か?」
ワトスン/いや。自分で稼げるぐらいの知恵はある。
GM/「野盗でもない、乞食でもない……でもってこの世界の人間にも見えないな」
ワトスン/……そ、そうだ。ここは一体何処なんだ?
GM/「すぐそこはレイウォール王国のノルドグラム。……っていう所だってよ」
ワトスン/ノルドグラム……聞き覚えが無い。
GM/「無いだろうな。お前ら、『漂流物』だろ?」
ワトスン/流木扱いされた!?(笑) いや、海から流れてきた覚えは無いぞ……。
ランピィ/正確に言えば落とし物かなぁ!
GM/「あっはっは! 落とし物かぁ! そりゃ的確な言い方だ。お前らもどっかの世界から落ちてきたんだろ? 俺もだ」
ワトスン/え、うー……?
GM/「ちなみに食料は俺が街から貰ってきた物しかないけれども……2人ともお嬢さんか?」 ワトスンが女だと言い当てます。
ワトスン/おや、めざとい。
GM/「良い歌でも唄ってくれるんだったら食事に招待するけど?」
ワトスン/良い歌が唄えるかどうかは判らないけど、挨拶代わりにボクが書いた本なら渡せるよ。
GM/「本? まあ、それがお駄賃でもいいや。おいでおいで、何も判っていない女を放って飯をするような男じゃないさ」 男性は崖沿いに歩いて行くよ。
ワトスン/これは……ついて行っていいのかな?
ランピィ/何かあったらアタシが何とかするよ!
ワトスン/じゃあ……頼んだ。イザとなったら一緒に逃げてもらうぞ。
ランピィ/オッケオッケ! 出来る範囲で出来るコトするから!
GM/崖沿いに歩いた男は、とある洞窟の中に入っていく。洞窟の中で何日も過ごしているのか、寝床や食事をする場所が作られている。
ワトスン/ファンタジーだなぁ……。
ランピィ/いやー、こういうトコロに来るのって超久々だー!(笑)
GM/「あー、メシのついでにコレも貰ってきちまったからお前らにやるよ」と、キャラクターシートのアイテム欄にある物を渡します。
ワトスン/おおっ? いいのか?
GM/「街の人に何でもいいからくれって言ったらそれ貰った。俺にはいらない物ばっかだったからやる」
ワトスン/ありがとう……毒消しとか貰ったぞ(笑)
ランピィ/アナタ、ここに住んでるの?
GM/「住むことになっちまったんだよ」と、お猪口にドボドボと濁酒を入れます。
ワトスン/君は……誰だい?
ランピィ/どっから来たの?
GM/「俺の名前は、平知盛(たいらの・とももり)
ケイ/えっ。……知盛って、平知盛!? トモリン!?
大津/ト……トモリンですか!? キャートモリーン!?(笑)

 平知盛
 平家の武将。平清盛の四男。新中納言。
 壇ノ浦の戦いで源義経と戦い、敗北。平家敗北を悟り、自らの体に碇を巻き付け入水した。
 ちなみに、源平合戦を舞台にした『迷宮キングダム・リプレイ〜夢魔炎上』にも同名のキャラクターが登場している。そちらも歌舞伎物のような格好をした飲んだくれ将軍だった。


ランピィ/なんか、見たことある人がいるんですが……(笑)
GM/えーと、史実の知盛に関する説明ですが……彼は源義経の大舞台である壇ノ浦の戦いのラスボスと言える武将ですね。戦いのラストで海へ身を投げたことで有名です。
ワトスン/海に落ちたとき、ウズマキの呑まれてアルディオン大陸に来たんですね……(笑)
GM/入水したという説が有名ではありますが、「落ち延びて洞窟で生きていた」という説もあります。
ケイ/だから……洞窟なう!?(笑)
GM/「お嬢ちゃん達は?」 酒を2人に渡します。ちょっとドロッとしたお酒をね。
ランピィ/全然気にせずにグイッと飲みます。アタシは……。
GM/「……あ、ちょっと待った」と言って知盛は立ち上がる。
ワトスン/うん? どうした?
GM/「今日は客人が多いな」 洞窟から一旦外に出ると……大津とケイが立っています。PC4人、合流しましょう。
ケイ/おっ。傷が治って森に来たんだな。
ランピィ/洞窟から和服の兄さんと、イギリス少年と、アラビアン踊り子が出てくるよー(笑)
ワトスン/洞窟からてちてち出てきて……おやっ?
GM/「よー。お前らも『漂流物』かー?」
大津/その通りだ。貴方がジュリアナの元に先日来たという『漂流物』か?
GM/「そうそう」
大津/大津と知盛の格好は似ていますね。でも合わせの部分が違うかな。人種的なものが同じだけど。……箸を置いていってくれたのは君か?
GM/「なんだ、お前さんは同郷か。……いや、ちょっと違うかな」 大津の服装を「古臭い格好だな」と思います。平知盛は歴史知識があった人なので。
大津/知識があったなら、その服でどういう地位にあった人かも判るのでは? 服装が地位によって変わるので。
GM/判るだろうね。大津の時代は色で判別するんだし。
ワトスン/ボクはサー・ケイの格好を見て「……古い」と思います。っていうか鎧を着てる?(笑)
ケイ/私はワトスンを見て「ち、小さい!?」って思おう(笑) でもってもう一人は旅芸人みたいな格好をしてる……?
ランピィ/えー、そんなに変かなー?(笑)
ケイ/我々も『漂流物』らしい。同じ立場の者ならこちらの状況も知ってると思ったから来たんだが……もう2人いるとは聞いてないぞ?(笑)
GM/「さっき俺が見つけた。新人だ」
ランピィ/うん、今日拾われた!(笑)
大津/本当によくあることなんだ……珍しいことじゃないんだな。
GM/「珍しいことかどうかは判らんが。今、酒盛りを始めたばっかなんだ。入れよ」
大津/ほう、酒盛りか。
GM/「そちら様にはお口に合うか判らないけど」って洞窟の中に誘いますよ。
ランピィ/おっ、兄さん飲めるクチー? アレ、効くよー! 覚悟しときなよー!
ケイ/濁酒だもんなぁ……(笑)
GM/時刻はちょうど日が落ちる頃。「晩酌として付き合え」とトモリンの洞窟で飯を出されながら、話を始めます……。


 ●ミドルフェイズ3 〜崩壊、アルディオン〜

GM/説明パートに入りますが、その前にそれぞれ自己紹介をしようか。
大津/はい、じゃあ一番最初に……。俺の名前は大津。天武天皇の皇子の一人だ。
GM/トモリンが「ブウーッ!?」と濁酒を噴き出します。
ケイ/噴いた!?(一同笑) 「文献で見たことあるぞ」って顔をした!?(笑)
GM/でもトモリンは何も言わない。心なしかちょっとだけ大津に対して敬語を使ったり「お注ぎします」とか言うようになったけど(一同笑)
ケイ/いきなり態度が変わったぞ(笑) 私はケイと言う。ブリテンのキャメロットに仕える騎士だ。
ワトスン/ブリテン? アーサー王の時代で宜しいか?
ケイ/アーサーは私の弟で、王だ。
ワトスン/円卓の騎士……! あ、あの、お会いできて光栄です(笑)
ケイ/は、はあ? 貴殿は私の国を知っているのか。しかしどう見ても私の国の服装ではないし……ちっちゃいしこんな幼い体で異境の地に(笑)
ワトスン/これでも四十路で婚約してます。
ケイ/なんだと年上だと!?(笑)
ランピィ/ミセスなんだよー! 若く見えるから未知の生き物だねー!(笑)
ワトスン/ブリテンが崩壊して、その後にできたイギリスという国に住んでいます。貴方より400年ほど先の時代の人間ですね。
ケイ/あ、やっぱ崩壊するんだ!? ネタバレされたぁ!?(一同爆笑)
ワトスン/イギリスは豊かで平和な国になりましたよ。現在は、工業も発達して……。
大津/工業?
ワトスン/例えば……こんな物が作られました、と言って万年筆を出します。ここにある紙に、どうぞ。
ケイ/……か、書けた!? なにこれ凄い!?(笑)
大津/ふ、筆は!?(笑)
ワトスン/この中に、インクというものが入っていてですね……。
大津/というか紙を出したよね。……紙を珍しそうに見ます! なにこれ薄い!?(笑)
ケイ/で、ランピィの方を見て……そっちは、旅芸人か?
ランピィ/旅芸人の格好をしているだけだけどねー。
ワトスン/ランプから出てきたんだ。
ランピィ/人間じゃないんだよねー! アタシ、精霊なんだ。判る?
大津/……えっ、精霊?(笑)
ケイ/えっと……ケイは一応ファンタジーの国だから判るかな?(笑)
大津/万物に霊が宿る考えがあるから判るけど……こんなにハッキリ人型で肉を持つとは考えられない(笑)
ランピィ/ランプに住んでる魔神なだけで、ランプの精霊って訳じゃないんだよね! 本来は風の精霊なんだよ! 魔力欲しさに呪いのランプに手を出したばっかりにここから出られなくなっちゃってー!
ケイ/ということは、このランプは呪いのアイテム!?(笑)
ランピィ/あっ、でも呪われてるのはアタシじゃないから! 強い魔力を貰った代わりに、ランプを擦った人をご主人様として何でも願いを叶えなきゃいけないんだ!
ケイ/……主人というのは?
ランピィ/新しいご主人様のワトスンちゃんですっ!
ワトスン/はい、どうもワトスンです……(笑)
ランピィ/と言ってもここは全然違う世界だから、出来ることは限られてるんだけどねー! またここはアリアンロッドがとかなんとか説明します。
GM/そんなランピィの説明を聞いて、トモリンが「俺より精通してそうじゃねーか」と言います。
ランピィ/でも、アタシはこの世界のコト自体は全然知らないよー。
GM/「そこは1ヶ月間情報を集め続けた俺の出番かな。……まず最初に教えておかなきゃいけないことは、俺達はこのアルディオン大陸という場所で『漂流物』と言われてる連中だってことだな」
ワトスン/『漂流物』……。
GM/知盛は、荷物の中からアルディオン大陸の地図を出します。この大陸で出回っている地図に、ところどころ手書きで何か描かれています。



大津/まず地図という物に感銘を受けておきます(笑)
ケイ/私もここまで詳しい測量の地図にはビックリするぞ(笑)
ランピィ/へー、島国なんだねー!
ワトスン/ふむふむ……ボクの住んでる世界とは全然違うな。
GM/ちなみにその地図、至るところに手書きで黒いマルが描かれています。
ワトスン/この黒い部分は何だ?
GM/「穴」
ワトスン/穴?
GM/「このアルディオン大陸って場所は、長年戦争が続いていた。だが1ヶ月前……この大陸を統一した女王様がいた」
ワトスン/へえ……。
GM/「その女王様が、大陸中央の国エストネルで『この大陸を統一し、平和にしていきましょうー!』という宣言……というか儀式をしたらしい」
大津/儀式……?
GM/「その儀式の日、世界中でドカンドカーンと同時多発大爆発が起きたそうだ」
大津/まさか……その爆発した場所が、この黒マルか?
GM/「そう。世界中で箇所、数キロにも渡る大爆発があったんだって」
ワトスン/この規模のか!? どんだけ大きな爆弾を落としたらこうなるんだ……。
ランピィ/魔法使いが儀式に失敗したんじゃない?
ワトスン/し、しかし……失敗が多すぎないか?
ランピィ/みんなドジなんだねー。
ケイ/みんなドジって……(笑) ちなみに、我々がいるレイウォールにも……そんなに近くないとはいえ、穴が空いているな。GM、街から森に来るまでの様子はどんな感じだった?
GM/凄く簡素で、通常の『アリアンロッドRPG』の世界とは思えないほど荒廃していた。ここに来るまでの間、ノルドグラムの街を見てきたけど殆どが子供や女だったね。
大津/……若い男がいない? まるで徴兵された街のようだったな。
GM/「みーんな、化け物に殺されたんだとよ」
大津/化け物? まさかヤマタノオロチとかか?(笑)
GM/「そんな立派なモンならいいんだけどね。どっちかって言うとおどろおどろしいモンだよ。……さっき言ったドッカンドッカンの同時多発爆発した場所には穴があいたんだけど、その穴から変なモノが現れるようになったんだって」
ワトスン/変なモノ……?
GM/「まず一つ目が、妖魔。このアルディオン大陸にはいなかったと言われる魔物」
大津/妖魔……。
GM/「でもこれは、アルディオン大陸にいなかっただけで他の大陸では見かけられていた珍しい生き物だったらしい。二つ目は、俺達。『漂流物』って呼ばれる、違う世界からやって来た人間」
ケイ/ああ……。
GM/「そして三つ目。『廃棄物』」
大津/廃棄物?
GM/「おどろおどろしい化け物や、破壊活動を行なっている不気味な連中。これも俺達と同じ、違う世界からやって来たたしい。漂流物と廃棄物の違いは、言葉が通じるか否か」
ワトスン/言葉が通じる?
GM/「言葉っていうか、会話が成立するかだな。意思の疎通ができなければ廃棄物だ」 ジュリアナおばあちゃんが大津達を漂流物と言ったのは、会話が通じるし好意的に接してくれたからだね。もし起きた後に襲い掛かるような人だったら廃棄物だと見なされたでしょう。
ケイ/この国の人々にとってはハタ迷惑な話だな……。
ワトスン/妖魔に、漂流物と廃棄物か……。一体なんでこんなことになったんだ?
GM/「知らね。女王が大陸統一の儀式を行なったらこんなことになったんだってよ。ちなみに女王とその側近達はあの事件以降、失踪。その代わりみたいに化け物と俺達が現れたんだって」
ワトスン/随分……無責任な女王様だな。
ケイ/状況だけ聞くと、その女王が黒幕のように思えるな。
ワトスン/……知盛。どうやったら元の世界に帰れるか知ってるか?
GM/「あー、1ヶ月ぐらい情報収集してるけど判らないな。『帰る方法は無い』って思った方がラクだぜ」
ワトスン/そう、なのか……。
ランピィ/ねえ、これからどうすんの? どうやって生きていこっか?
ワトスン/う、うーん……ここでボクの書いた本が売れるのかも判らないしな。
GM/「こういう時代だからこそ本が売れたりするかもよ?」
ワトスン/……この世界は、怪我をする人間が多いんだな。なら、ボクは戦場に行かなきゃいけないな。ボクは元々、軍医だ。
GM/「おお、そうやって金を稼ぐ気か」
ワトスン/うっ……これは金のためじゃない。誰かのためになりたいだけだ。怪我をしている人をきちんと手当てをして、これから生きていける状況にしないと気が済まない。
大津/……君のような女性が戦場に立つと言うか。
ワトスン/ボクの役目は人を治すことだ。
大津/……良い心掛けだ。
ランピィ/イイね、ワトスン! アタシはご主人様について行くよ! ランプを擦って出してくれたのはワトスンだしねー!
ワトスン/ありがとう。……出来ればボクだって元の世界に帰りたいんだがな。
ケイ/私もそうだ。……盛大なネタばらしをされてしまったがな(笑) 滅ぶとは判っていても、臣下としては国の行く末を見なければならないからな。
ランピィ/その戻る方法を調べるのにまだまだ時間が掛かりそうなら、それまで食いぶちは大事じゃないかなー? 人間は食べないと死んじゃうでしょ?
大津/民の税も無いしな。
ワトスン/ぼ、ボクは狩りなんて出来ないぞ……(笑)
GM/「この世界で暮らすにも何か仕事をしなきゃいけないよなー。でも、なんとか生きていけんじゃね?」
大津/……知盛。一つ、訊いていいか。
GM/「何だ」
大津/天武天皇の後の皇子が誰か知っているか。
GM/「言っていいのかい」
大津/…………。
GM/「言ってもお前が悲しむだけだろ。それよりも今、お前がどうしたらいいかを考えるべきなんじゃないのかい?」
大津/……気遣いは無用だ。
GM/では、当たり障りの無い……でも悟らせるような史実を、さらっと言います。
大津/……ありがとう。具体的に言うと……天武天皇の次は持統天皇であって、草壁皇子じゃないんですよね。
ランピィ/ああ、違う人がなっちゃうんだ……。んー、まあ元気出しなよ! 大丈夫、神様は人間が乗り越えられない試練なんて与えたりしないから!
大津/神が試練を与える、か。面白いことを言うな。
ランピィ/そうかな?
大津/……それを聞けたから、ちゃんと思考を変えられそうだ。
ワトスン/で、2人はどうするんだい? ボクは元の世界に友達を置いてきてしまった以上、戻るためにもこの世界で医者でも始めるつもりではいるけど……。
ケイ/……そこ、「旦那がいるから元の世界に帰る」じゃないんだ?(笑)
ランピィ/ワトスン! そのトモダチって男トモダチかい!? 男女の友情信じるタイプかい!? 男女の友情って成立するものかいー!?(笑)
ワトスン/でも、ホームズとはボクは何も無いぞ。
ランピィ/……何も無いの? ワトスン、ホームズって奴はホントに男なのかい?
ワトスン/間違いなく男だ。
ランピィ/色んな意味で男なのかな!(笑)
ケイ/なんだろう、400年経つと価値観って変わるのかな……(笑)
GM/知盛がガタッと立ち上がります。真剣な顔をして洞窟の外に出ます。
ランピィ/ヘイトモリン、どうしたんだい!?
ケイ/……なあ、なんでランピィはさっきからアメリカンなノリなの?
ランピィ/アメリカンなのかアフリカンなのかアラビアンなのか判らなくなってきてね!(笑)
GM/「……ヘイ嬢ちゃん、どうやら大変なことになってきたみたいだぜ」 知盛は遠く……ノルドグラムの方を見ます。
大津/ノルドグラムの方が……どうした?
GM/煙が立ってる。
大津/えっ。
GM/その後、ガサガサと何者かがこちらに走り寄ってくる音がする。
ケイ/武器を構えます!
GM/その足音は均一のとれた軍隊のもの、ではなく、敵意を持たないバラバラなもの。……洞窟の前に倒れこむように、ジュリアナおばあさんが走り寄ってくる。
大津/ジュリアナさん!? 駆け寄って支えます!
GM/ゼエゼエと息切れをしながら、「お、大津ちゃん……!」
ランピィ/『大津ちゃん』! 暫く仲良くしたんだね!(笑)
大津/一体何があったんだ!?
GM/「化け物が……襲ってきて……なんでか、城の方から!」
ケイ/……城!? 城が襲われた訳じゃないのか?
GM/「城の中から……化け物が現れたんだよ!」 ジュリアナは巧く言葉に表せないほど、血相を変えて叫んでいます。
大津/化け物が……城から出て来て、人を襲っているのか?
GM/「そ、そう! みんな……みんなが!」 コクコクと息切れしながら頷く。
大津/……俺は行く! 来たい者はついて来い!
ケイ/一宿一飯の恩がある。今それを返そう。ついて行く!
ワトスン/怪我人が居そうなら黙っちゃいられないよ。鞄を持ちます!
ランピィ/オッケオッケ! ついて行くよー!
大津/……知盛はどうする?
GM/(知盛になって)「あー? 俺もばーさんに拾ってもらったんだ。行くに決まってんだろ」
大津/流石トモリン、頼りになる!(笑)
ランピィ/あっちの街まで行けばいいんだね!? それなら追い風を起こしてスピードアップするよー!
ケイ/おおっ!? おい、強風でちっちゃいのが飛ばされたぞ!(笑)
ワトスン/ひゅるるるーっ!(笑)
GM/ランピィの起こした風に乗って、森から数キロ離れた……レイウォールの首都・ノルドグラムの城壁まで走って行きましょう!