アリアンロッド2E・リプレイ・Re
■ 第1話 『 R卓・リスタート 』 1ページ ■
2012年10月20日




GM/まずはオープニングシーン。みんな、オープニングの演出頑張ってねー。
大津ワトスンランピィケイ/はーい。


 ●オープニングフェイズ/ワトスン 〜友を想いながら〜

 ジョン・H・ワトスン(John H. Watson)。
 アーサー・コナン・ドイルの推理小説『シャーロック・ホームズシリーズ』の登場人物。軍医の後、開業医となった。
 名探偵シャーロック・ホームズの友人であり、伝記作家。ホームズシリーズ作品は、ワトスンが書いたことになっているという……。


GM/一番目は、ワトスンのオープニングからにしよう。メインの演出者は、大津がお願いします。
大津/はい。
GM/ワトスンさんはどんな人物?
ワトスン/1880年代に、第二次アフガン戦争に軍医として参戦していました。でも英軍が敗れたマイワンドの戦いで負傷し、傷病兵として本国へ送還されて、名探偵ホームズと出会います。
大津/そこでホームズが事件を解決したけど、警察に手柄を取られたことを不満に持ったワトスンは、小説という形でホームズの活躍を発表することにした……んだよね?
GM/ふむふむ。で、この世界のワトスンは女性設定なんだよね。
ワトスン/はい。男性のペンネームで小説を書いていることにします。この時代だとまだ女流作家は珍しいというか、舐められてしまうので……。
GM/オープニングシーンはどこからスタートにするのかな?
ランピィ/1891年に、ホームズが宿敵モリアンティと戦って滝から落ちて行方不明になるから……。
ワトスン/その後にアルディオン大陸に行きたいから、1年後の1892年かな。ホームズの活躍を書き上げた1年後のロンドンからにします。灰色のロンドンからですね。
ケイ/スモッグがいっぱいあって、街には光が若干しか入ってこない……っていう時期だね。
ワトスン/道路にはまだ乗り合い馬車が走っているけど、既に車も数台走っている、そんな時期です。ちゃんと街に電灯が灯っている時期ですよ。
ケイ/地下鉄はもうあるの?
ワトスン/もうありますよ。でも電気で走る電車はまだ無い時代ですね。
大津/結構、近代なんだ。
ワトスン/小説を書き上げて……ホームズと一緒にいた時期から使っている出版社に行きます。
大津/出版社で編集者と打ち合わせをしているシーンから始めるか。編集者はいつものように原稿を手に取って、カリカリと修正し始める。
ケイ/赤ペン先生だー(笑)
大津/(編集者になって)「……なあ、ワトスン。ここのシーンはもうちょっと演出を抑えるべきなんじゃないか?」
ワトスン/ホームズはもっとカッコ良くていいよ!
大津/「君のデレが出過ぎなんだよ、この小説は!」(笑)
ランピィ/全デレなんだ(笑)
大津/「後で戦闘シーンがあるんだから、こっちの見せ場のために過度な演出は抑えるべきだと思うんだ!」
ワトスン/そっか、後のシーンのためにもここを地味にしておいて……でも敵の攻撃をサッと避けるホームズってカッコ良くない!?
ケイ/デレだ……(笑) もしやホームズはシーフなんです?
大津/ホームズのクラスって何だろう?
ワトスン/ホームズはパーフェクトだから!
ランピィ/(編集者の1人になって)「ワトスン先生はホームズを美化しすぎなんですよ!」(笑)
大津/「よく言った!(笑) いいか、お前が最初の頃に出した『シャーロック・ホームズの冒険』を読んでみろ。どう考えても今は美化され過ぎてるぞ……」
GM/作者がキャラクター厨になってしまっているようだね(笑)
大津/「一度冷静になってこい」 ワトスンに原稿を返します。「この赤ペン入れたところは最低限直して来い!」
ワトスン/判りましたー、反省しますー。ぷー。……でもホームズが生きてたら、どっかでこの小説を読んでさ……。
ケイ/「僕はこんなにカッコ良くない!」って帰ってくるのを待ってるってこと?
ワトスン/うん。じゃあ、下書きの原稿は出版社に置いていくけど、帰ってもう一度直してくるよ。期限は1ヶ月後でいいかな?
大津/「いいよ。1ヶ月後だからな、忘れるんじゃないぞ? またお前の都合で〆切を伸ばすなんて許さないからな」
ワトスン/判ってるって。でも最近は患者さんが増えてきたから忙しいんだよ。……ボクは行くからね!
大津/「気を付けて」
ワトスン/はーい。お金はこのタイミングで貰わずに行きます。ちゃんと原稿が出来上がってから貰う派なんで。
ランピィ/それで、今現在お財布が地味な子なんだ……(笑)
大津/君は出版社を出て家路に着く。空は暗く、そろそろ雨が降ってきそうだ。
ワトスン/急がなきゃ……。小走りに移動します。
大津/ピカッ! 車のライトが君を照らす。
ワトスン/えっ?
大津/キキキキキーッ! ブレーキの音。君は自分に迫りくる車を見た。
ワトスン/うわっ!? 顔を覆ってギュッと目を閉じます!
ケイ/どんっ。
大津/……という音が、聞こえない。目を閉じても、いつまで経っても衝撃が無い。
ワトスン/おそるおそる……目を開けます。
大津/さっきまでうるさかった排気の音や、人のざわめきや、馬車の音も聞こえない。
ランピィ/ロンドンの喧噪が遠のいていく……。
ワトスン/……ここは、どこだ……?
GM/上も下も右も左も判らない、渦に巻かれたような、真っ暗闇のような、でも何かが蠢いているような空間にワトスンは投げ出され……意識を失った。
大津/……その頃、ロンドンでは。急ブレーキを踏んだ運転手が急いで車から外に出る。でも首を傾げて「……おかしいな? 誰か居たと思うんだけど気にせいだったか、ビックリしたなぁ!」。
ランピィ/誰も居ないんだね……。
ケイ/(通りすがりの人になって)「さっき小さい男の子が道に飛び出していかなかったかしら?」「見間違いだったのかしらねー」
大津/そうしてロンドンは、いつもの光景に戻っていく……。という感じで、ワトスンのオープニングを終わりにします。


 ●オープニングフェイズ/ランピィ 〜トモダチとの別れ〜

 ランプの魔神。
 9世紀、最古のアラビア語写本『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』に収録されている物語の一つ『アラジンと魔法のランプ』の登場人物。
 貧乏暮らしをしていた少年・アラジンが魔法のランプを擦ると、中から魔神が現れた。その魔神は「ランプを擦った者の願いを叶える力」があり、アラジンをその力を使って大金持ちにしたりしたという……。


GM/ランピィのオープニングシーンをどうぞ。ランピィのオープニングのメインの演出者は、ワトスンだね。
ワトスン/まず、ランピィがどんな人物かからだけど……。
ランピィ/ランピィは、ランプの魔神です。『アラジンと魔法のランプ』は皆さんご存知ですね? 貧しい少年・アラジンが「何でも叶える精霊」が入っている魔法のランプを手に入れて、冒険したりお姫様と結婚したりする物語です。
大津/アラジンはお姫様と結婚して、その国を治める王様になるんだっけ。
ランピィ/アラジンが裕福になってめでたしめでたし、というストーリーです。
ワトスン/では……アラジンと冒険した日々から数年月日が流れました。少年だったアラジンにも息子が生まれて孫も生まれて、おじいさんになりました。アラジンは今、天蓋付きのベッドで眠っています。
ランピィ/はい。
ワトスン/奥さんに先立たれ、今夜が峠だとお医者様にも言われた。アラジンはベッドに一人、静かに横たわっています。
ランピィ/砂漠の夜はとっても寒いんですけど、窓は開けっぱなしです。
ケイ/寒くね?
ランピィ/外のお星様を見ていたんですよ。昔、奥さんとよく空飛ぶ絨毯に乗ってデートしたんです。
ワトスン/それ良いな!(笑) アラジンがしわしわの手で、枕元にあったランプを手に取って擦ります。
ランピィ/するとランプの先から強い風が巻き上がって、七色の風が巨人の姿を作ります。
ワトスン/その姿に向かって、アラジンは語り掛けます。(アラジンになって)「……最期のお願いをしていいか?」
ランピィ/ランプの魔神は大きな腕を振り回して言います。もちろん! 何だって叶えてあげよう! と言ってもアラジン、キミの寿命を延ばすことは出来ないんだけれど。
ワトスン/「いや、私は充分幸せな人生だった。孫もできたし、素晴らしい嫁もいた。だけど最期に一つ、君にお願いがしたい」
ランピィ/なんだい?
ワトスン/「私の嫁の姿に……出会ったときの嫁の姿になってくれないか? あの頃のをもう一度見たいんだ。君なら覚えているだろう?」
ランピィ/もちろん、ハッキリと。最近の記憶だからね! 変身はお手の物! やってみよう!
ケイ/精霊からしたら最近か(笑)
ランピィ/虹色の風がぐるぐる渦を巻いて、出会った頃の初恋の人の姿になります。
ワトスン/「ああ……ありがとう。一緒に夜の散歩に出かけよう。なに、少し飛んで帰ってくるだけだ」
ランピィ/いつもの調子で指をくるくると回そうとして……「これはあの人じゃないな」と気付いて、芝居がかった仕草で「判ったわ、アラジン」とお姫様のように振る舞います。そしてお部屋の絨毯に空飛ぶ呪文を掛けます。
GM/≪フライト≫だー(笑)
ランピィ/この時点では何でも叶えることが出来る精霊だからね! 空飛ぶ絨毯に乗って、アラジンの手を引いてまた……夜の砂漠に飛び出していきます。
ワトスン/絨毯にランプを乗せ、奥さんの姿のランピィとよぼよぼになったアラジンは、夜の砂漠に出ます。
ランピィ/はい……。
ワトスン/空高く……もっと上へ、もっと上へ、星が手に届くような高さになります。「ランピィ……ありがとう」
ランピィ/……お別れなんだね、アラジン。
GM/「ああ……君はもう自由だよ」
ランピィ/不自由なんて考えたコトなかったさ。君は、サイッコーのトモダチだよ。
ワトスン/アラジンは最後に一言、残し……息を引き取ります。
ランピィ/……静かになったアラジンを見て、宮殿に戻ろうかなと絨毯の舵を切る。
ワトスン/だけど……いつもだったら自由に動かせる絨毯が、グラッ。おやっ?
ランピィ/おやっ?(笑)
ワトスン/そのまま絨毯がぐるぐると……渦を巻いた空間に引き摺られていく!
ランピィ/なんだろう、戻さなきゃと思う間もなく……渦に巻かれてランピィの意識は闇に消えていきます。
大津/そのままフェードアウト……かな。
ケイ/……あ、アラジンの死体は? ウズマキの中に消えちゃったけど(笑)
ワトスン/渦の中にはランプだけが消えて行きました。なので空飛ぶ絨毯は、徐々に魔法の効力を無くして……ふわりふわりと下に落ちていきます。
GM/最後には、ゆっくりと砂漠の上に落ちると。
ワトスン/おそらく朝になれば、彼を慕っている街の住民が彼の遺体を見つけてくれることでしょう。
大津/……良かった、アラジンも巻き込まれると思った(笑)
GM/このロマンチストな老人のことだから、街のみんなも「空を見ながら逝きたかったんだね」って話してくれるよ。
大津/「ここは奥さんとのデートコースだったもんねぇ」「よく2人でデートしていたからねぇ」と街の人々が言ったり(笑)
ケイ/元々は庶民だったから、王宮で小綺麗に逝くよりも砂漠の中で逝きたかったんだね……イイハナシダナー(笑) 


 ●オープニングフェイズ/ケイ 〜最期の戦場〜

 サー・ケイ(ケイ卿。Sir Kay)。
 中世ヨーロッパの最大級の伝承『アーサー王伝説』に登場する円卓の騎士の一人。
 5世紀後半から6世紀初めのブリテン人の伝説的な君主・アーサー王の義理の兄(乳兄弟)で、国務長官を司った人物とされているが……。


GM/ケイのオープニングシーンです。メイン演出者はランピィ、お願いします。……GMは円卓の騎士が大好きなんで口出ししなようにします(笑)
ランピィ/はい……うう、緊張してきた(笑) まずケイさんってどんな人ですか?
ケイ/サー・ケイは、『アーサー王伝説』で有名なアーサー王の義理の兄です。あるところに「この石に刺さった剣を抜いたらブリテンの王様になる」という剣がありました。色んな人が抜こうと試してみるけど抜けませんでした。ある日ケイは自分の剣を忘れたときに、弟のアーサーに「代わりの剣を持ってこいよ」とパシりました。
大津/に、兄さん……(笑)
ケイ/そのときアーサーは「あ、こんな所に剣があるじゃん! 抜いちゃえ!」と引っこ抜いてしまいました。
ワトスン/お、弟……!(笑)
ケイ/アーサーは抜いた剣を兄に持っていきました。そのが王になれる剣だと知っていたケイは、自分の父親に「父上、俺が抜きましたー!」って言いました。
ランピィ/酷い人だ!(一同笑)
ケイ/だけど父・エクトル卿は「うちのケイが抜ける訳ねーじゃん」ってすぐバレます。
GM/お父さんもお父さんだな!?(笑)
ケイ/実はアーサーはエクトル卿の息子ではなく、本当はブリテン王国を治めるべきペンドラゴン卿の息子でした。「剣を抜けるのは真の王だから」と告白する父親。そして「出来たらでいいんでうちのケイを執事として使ってやってください!」と言いました。
ワトスン/騎士としてじゃなくて執事としてなんですね、ヒドイ……!(笑)
ケイ/その後、ケイはアーサーに仕え、巨人や化け猫を倒してたら徐々に円卓の騎士が集まってきました。少年王に反抗する小国を治めていくんですが……アーサーはやたらとローマが好きで、ローマ遠征しに行きます。
ワトスン/そ、そういやそうでしたね(笑)
ケイ/ローマ遠征をしている最中に、モードレッドという騎士に国を乗っ取られてしまいます。モードレッドの母は、アーサー王と姉のモルガンという魔女で……コイツが性格が悪くてですね!
GM/恨み節全開ですね(笑)
ケイ/ホントに性格が悪いんですっ! ブリテンの王位を狙っていて、アーサーに毒入りマントを送ったり、エクスカリバーの鞘を捨てたり、ついにはアーサー王を魔法で眠らせてその間に子供を作ってモードレッドを産むぐらい!
ランピィ/す、凄い人だ……(笑)
ケイ/モードレッドに「お前はブリテンの正当な王になるのですよ」と洗脳とともにアーサーの元に送りこみ、ついに反アーサー派を引き連れてブリテンを乗っ取って……。
ワトスン/ひ、ひでぇ……(笑)
ケイ/ローマに行ってたアーサーは「こりゃイカン」と戻り、カムランの丘にて……アーサーとモードレッドと相打ちになり、ブリテンは崩壊。ケイもその戦場で命を落とします。
GM/以上、「忙しい人のためのアーサー王伝説」でした(笑)
ランピィ/ということで、最期の戦場は……反アーサー派と戻って来たアーサー軍で、乱戦エリアになってます。
ワトスン/(大勢の軍になって)「うおー! うおーっ!」
大津/魔法誘導とれー!
ワトスン/うわあ!? 味方に当たったー!?
GM/『ソードワールド』か(笑) アーサー軍もローマ遠征からのとんぼ返りなので疲弊してるし、ガウェインとか強い騎士も死んでるんですよね。
ランピィ/戦場は、剣撃の音と矢が飛び交って血飛沫が舞う……って感じですね。
ケイ/短剣を2つ握って、モードレッド派の騎士達を右に凪いで、左に刺して、倒す。モードレッドに背後から斬りかかります。名乗り? そんなのしないよ! 卑怯かもしれないけど反逆の徒なので構ってられるか!
ランピィ/背後からケイが迫っているのを見て、モードレッドが振り向きざまにロングソードで防ぐ。「……サー・ケイか」
ケイ/新たなるブリテンの王に名を知られるとは、これはこれは光栄なことで!
ランピィ/「貴方はここでボクに殺される身です」
ケイ/ボクッコだぁ!?(一同笑) 反逆者の最期は哀れだと決まっているだろう? 貴殿はここで私に討らえられ、王宮でアーサー王の裁きを待つがいい。今ここで大人しく降伏するのなら、その身を綺麗なままで死ねるだろうよ。
ランピィ/「どちらにしても死か」
ケイ/お優しいアーサー王のことだ、一生幽閉ぐらいにはしてくれるかもしれないな。
ランピィ/「……生ぬるい。そんな生易しい人間にこの国の王など務まるものか」 剣を構えて「勝者はボクだ!」と言って斬りかかります。
ケイ/一度ナイフで受け流す……んですが、脇のあたりに隙が出来るので容赦なく斬ってください!(一同爆笑)
GM/見事な負けロールです!(笑)
ケイ/双剣でロングソードを払ったけど、それは致命的な隙になります!(笑)
ランピィ/容赦なく「脇が甘いな!」と袈裟斬りでズバリと斬り捨てます!
ケイ/その剣の感触を感じて……このまま自分は死ぬかな……と思います。戦場に立っている身なので、死はいつも覚悟している。
GM/しかし、意識が途切れる瞬間……視界が真っ黒になり、そして……ケイの体は渦に呑み込まれる。
ケイ/……ちょっと弟が心配かな……でもまあ頑張ってねー!(一同笑)
ワトスン/に、兄さーん!?(笑)
ケイ/兄さんは死ぬときはアッサリ死にますよ!(笑) でもドサッという音は無く、いつの間にかモードレッドの目の前から消えているんだ……。
ランピィ/致命的な一撃を食らわせたと思ったら、姿を消してしまった。驚いて、「消えた……? まさかボクが斬ったのは亡霊だというのか?」 一瞬迷うけど戦場で立ちつくす訳にもいかず、また次の戦いに向かっていく。
GM/……では、モードレッド厨のGMがそれっぽいことを言っていいかな(笑) 彼は剣を振るい……高所に立つ一人の男性に向かって叫ぶ。
ケイ/む?
GM/「アーサー王! これで終わりです! 王位をボクに譲らなかった貴方が悪い。貴方の命はボクが……!」とアーサーに突撃するモードレッド。
ワトスン/おおっ……。
GM/しかしケイの弟は言う。「貴公には王としての器が無い。国を治める資格が無いから王位を渡さなかっただけだ。国は王の器が無い者が持つことなど許されん」
ランピィ/剣と剣がぶつかる、ところで次のシーンにいきます。……GM、やっぱりボクにはモードレッドの器は無いです!(一同爆笑)
GM/いやぁ、ここでアーサー王が王の器について発言したら、これから王になるPC達に向けての演出になると思って……(笑)
ケイ/カッコイイです! しょうもないケイ兄さんのオープニングでありがとうございます!(笑)


 ●オープニングフェイズ/大津 〜最期の朝〜

 大津皇子(おおつのみこ。天智天皇2年663年〜朱鳥元年686年10月3日)。
 飛鳥時代の皇族。天武天皇の皇子。
 日本最古の漢詩集『懐風藻』によると、「体格や容姿が逞しく、幼い頃から学問を好み、剣も巧く、人柄も良く皇子でありながら謙虚な態度をとり人士を厚く遇し、人々の信望を集めた」とされているが……。


GM/ラストは大津のオープニングシーン。メインの演出者は、ケイでお願いします。
ケイ/はい。ではまず、「大津とは」!?(笑)
大津/大津、とは。飛鳥時代の天武天皇の息子です。天武天皇には奥さんが皇族の由緒正しい血統の皇子が2人いました。それが大津と、義理の兄にあたる草壁皇子でした。
GM/ふむふむ。
大津/歴史書によると「大津は草壁よりも能力があり、天皇になるに相応しい器だった」とされています。大津は5歳のとき、母を病気で失いました。草壁皇子の母と大津の母は姉妹で、大津の母が姉。生きていれば間違いなく大津が天皇になったと言われてます。
ケイ/でも、現実はそうにはいかず……。
大津/なので、大津はクーデターを考えました。
ケイ/「俺だってやればできる子なんだ!」って思ったんだ。
大津/実際やればできるし、大津には野心がありました。密かに仲間を集め、計画を練っていたけど……それを親友の川島皇子に密告されます。
ワトスン/「実はアイツ、謀反を企んでいるんですよ……ヒソヒソッ」(笑)
大津/川島皇子は、吉野の盟約……誓いを立て合った仲で、幼い頃から一緒に育って親友として一緒だった筈なのに、彼に裏切られてしまいます。大津は暫定的な最高権力者から、「自害せよ」と言い渡されてしまいます。
ケイ/では……謀反の企みはバレ、自宅は兵に囲まれ軟禁状態、使用人は必要最低限以外は出払っている状態です。多くの使用人がいて賑やかだった邸内も、今は水をうったように静かです。
大津/嫁さんと子供にも何日も会っていません。ちょっと前までは豪族の娘達がいたんですが、そういった人達は親元に帰されました。
ケイ/周りにはかつての味方は居ない。屋敷中に悲壮感が漂っている。……そんな風に自室で居るところに、使用人の1人が声を掛けます。「皇子様。朝廷から遣いの者が参りました」
大津/そうか、通せ。
ケイ/(遣いになって)「処刑が正式に決まりました。明日の朝、処刑を取り行います」 身の回りをどうしろと形式ばったことを言います。そして退室しようとするところで、「貴方が亡くなるのは大変残念に思います」と一言。
大津/……ありがとう。
ケイ/「奥方様にお伝えすることはありますか。私の責任において貴方様の言葉を必ずや皇女様(ひめみこさま)に伝えましょう」と、彼なりの善意を見せます。
大津/……いや、何も。
ケイ/「……承知致しました。では明日」 使者は去って行き、再度、邸内は静寂に包まれます。処刑の時間まで半日も無い……残された時間はもう無いでしょう。
大津/……静かに日にちを過ごします。あと1日限りの命、それを噛み締めながら、今まで気にも留めなかったことを考えたり……全部特別に感じられて、これを失ってしまうのかと思います。
ケイ/幼かった頃の母親の記憶。共に学び遊んだ草壁皇子達の記憶。家族のこと……「一緒に草壁皇子を盛り立てていこうな!」と誓いを立て合った吉野の盟約のことが、昨日のように思い出されます。
大津/……何か、間違えたのだろうか。いや、何かを間違えた訳ではなかった……。
ケイ/問いに答える声はどこにもありません。……そんなことを考えているうちにいつのまにか夜は明ける。
大津/言葉に出来ずに、消沈しています……。
ケイ/あと数刻で処刑が始まるでしょう。静かに死を待つ君……。
大津/雀の鳴き声すら、特別なものに感じる……。簡単に身支度を整えて、最後の朝食を食べ、1人部屋で待っている。
ワトスン/使者がてくてくと近寄って来る足音が聞こえてくるんだね……。
ランピィ/白装束を持ってくるんじゃないかな……?
ケイ/……君が最後のときを一人で待っていると、使用人が死に装束を持ってやって来る足音が聞こえる。その足音もいつもよりか重く、ややゆったりしたものに聞こえた。
大津/そのじれったい足音を聞きながら……。死にたくないな……。小さな声で呟きます。
ケイ/部屋に使用人が「大津皇子様、最後のお召し物をお持ちしました」と言って部屋に入ったとき……。
ワトスン/……大津の姿は、もう、無い?
GM/静かに消えていった……。「死にたくない」という言葉が大津を包み込んだのかな。