ゴーストハンター02・リプレイ・パラドックスの椿
■ 第5話 『まだ まぼろし』 ■
2007年6月14日




 ★遊園地


GM/緑凰館の一件から数日後……暫く十年前の生活を送っている君達は、みんなで遊園地にやって来ました。二〇〇七年現在には廃園になってしまった自然公園風遊園地です。十年前だったら新座市の遊園地経営もまだ大丈夫だった頃……みんなにとっては懐かしい遊園地ですな!
一同/わーいっ!(笑)
GM/朝「今日はお友達と遊んでくるよ」とお母さん達に言い遊園地に遊びに来たのです。……オッサンの金で。
昌幸/オッサン、ポップコーン買ってー!(笑)
優斗/チュロス買って、チュロスー!(笑)
恐一/あーもうわかったから! 買って来るからちょっとは大人しく待ってろ!
勇規/オッサン、メリーゴーランド乗って。写真撮ってあげるから。
恐一/三十代がメリーゴーランド乗ってる写真なんていらねえよッ!(笑)
優斗/あ、オッサン。あっちに美人なお姉さんがいるよ。
恐一/あー言うなっ! 女なんて嫌だ、女なんて女なんてー!(笑)
GM/……オッサン、二〇〇七年に戻ったらどうなるんだろ。主にコネの皆さんとか、サキちゃんとか。
恐一/サキは平気なんですよ、まだ女じゃないから!
GM/幼女だから?
恐一/幼女だからっ!
優斗/十六歳以上はオバサンだとか言うんじゃないだろうな!(笑)
恐一/違う、十二歳以上はオバサンだ!(笑)
昌幸/……エクスカリバーたーん、むこうで遊ぼうよー(笑)
恐一/コ、コラ! お前ら、誰が金払ってやってると思ってるんだ!
望彦/……じぃー。
恐一/ハーイ、スイマセンでしたー!(笑) 俺が悪かったです、前回はゴメンナサイでした迷惑かけましたー!(笑)
GM/そんなカンジでワイワイしていると。「……あれ? 勇規お兄ちゃん?」と声を掛けてくる誰か。
勇規/……え?
GM/勇規にとっては聞き覚えのある声が。……声がした方を見ると、そこには勇規くんの妹がいます。朝、自分の家で見掛けた妹が。
勇規/……ミツキが? どうして?
望彦/前回のオープニングシーンで隣で寝てた子だよね。……ん、イサッキーどうした?
GM/まだまだ小さい妹のミツキちゃんは、ちょっとおめかししているね。「えっと……その」
勇規/お前、なんで今日ここ来てるの?
GM/「あのね、お母さんといっしょに来たの。お母さんが遊びに行こうって言ってくれたから」そう言って、ミツキちゃんは少し遠くの方を見る。そこには、ちょっと怪訝そうな顔をした勇規くんのお母さん……。
勇規/……そ、そっか。母さん、遊園地に行くだなんて言ってたっけ。
GM/お母さんがいるけど、……その隣には、連れ添いと思われる男性がひとり。
昌幸/……うわ。
望彦/わあ、キツイ……キッツイシーンきた!
GM/お母さんが勇規くんに話し掛けてくるよ。「今日、お友達と出かけるって聞いてたけどまさか同じ遊園地だったなんて。偶然ね」……目は笑ってないのかな。
勇規/……前々から友達とここに遊びに行くって約束してたから。
GM/「そうなの。じゃあ門限までに帰ってきなさいね」
勇規/……うん、判ってる。
恐一/色々頼まれていたアイスとかチュロスとかを持ちながら来ます。な、なんだこの重苦しい空気はっ?(笑)
優斗/……。超無神経に、子供っぽく言うよ。ねえねえ、オバチャンって勇規兄ちゃんのお母さんなのー? なんで勇規兄ちゃんには「一緒に遊びに行こう」って言わないのーっ?
勇規/う、うわ。……そういうこと言うなよって内心ビックリしてる。
優斗/どうしてっ? 勇規お兄ちゃんのお母さんなんでしょ?
恐一/チュロスで優斗の口を塞ぐ!(笑)
優斗/モグッ!(笑) 僕はそういうのは凄く嫌だから言った後は大人しくモグモグしてるよ。
GM/後ろの男の人は少し苦笑いをして、お母さんは軽く笑ってオッサンの方に会釈して、歩いて行きます。勇規くんから離れるように。
勇規/……。
GM/妹さんは、幼いながらも流石に空気の悪さを感じ取ったのか、えーとえーととお兄ちゃんとお母さんを見合って困ってる。
勇規/……ミツキ、お前はともかくお母さんのところに行きなよ。また後でな、って頭を撫でます。
GM/「う、うん判った。またお家でね」少し悲しげに手を振りあっちに行ってしまったお母さんの方へ走っていきます。タッタッタ……。
勇規/じゃ、またな。
GM/タッタッタ。たったった、……フッ。
勇規/……え?
GM/消えた。
望彦/消え、た?
勇規/消えたって、……えっ?
GM/ミツキが、消えた。……【恐怖判定】プラス10!
勇規/(ころころ)90……で失敗です。ミツキ!?
優斗/(ころころ)僕も失敗……ええっ、消えたぁ!?
昌幸恐一望彦/(ころころ)成功。
望彦/咄嗟に【霊能力】判定します!(ころころ)成功、なんださっきのは!
GM/【魔術】スキルを持ってる三日原くんがやってくれたのでちょっとオマケしよう。……これは魔術的なものではなく、霊的な力が関わっているものだ。ここの土地で起きた、独特な怪奇現象では……?
優斗/エクスカリバーたん、いるかっ! 今の、どういうことだか説明できるか?
GM/側でアイスクリーム食べてるから直ぐに応えるよ。「……ああ。この自然公園って、十年後には取り壊されてるのよ」
昌幸/あ、ああ。二〇〇七年にはもう無い場所なんだよな?
GM/自然が多く、遊具もそれなりにある、いかにも『街の遊園地』的な場所です。「正規の歴史では、ここが取り壊される理由は……事故が多発していたかららしいわ。子供の傷害事件がね」
望彦/……事故?
GM/「確認するけど、貴方達は『誤りのイベント』を正すために時を渡っている。貴方達を脅かす死の危険である誤りを滅すためにね。……けど、誤りってモノは日常的に起きているの。気にくわないけど誤りは世界中に沢山あって、貴方達と関係無いところでは誤りで起きる事件は多発している。……例えば、『桜田ハルカによって殺された松田ヒロミと竹岡トオルの交通事故』とかね」
優斗/……救えなかった怨霊の事故、だよな。
GM/「表沙汰になったとき、誤りは殆ど事件ではなく事故として処理される。……この自然公園で、子供の被害者の誤りイベントが沢山起こった。それは一般人の目からだと『子供が怪我ばかりする危ない遊園地』として見られる。だからこの遊園地は廃園になったの」
恐一/……まさか、その事故の一つに勇規の妹が?
GM/では勇規くん限定、プラス30%で思い出し判定を。
勇規/【意志力】でですか?(ころころ)……91で失敗。
GM/……じゃあ、勇規くんには『思い出したくないこと』がある。貴方の妹がある日、大怪我をした。どんな事件だったかは覚えてないけど、幼い貴方が『思い出したくない』と思うぐらい酷いものだったみたいだ。……そして、その事件をキッカケに親の対立が深まり、離婚したと思われる。
勇規/今日起きる事故によって!?
GM/「正規の歴史だとこの日、勇規くんは違う生活をしていた。けれど妹さんはお母さんと新しいお父さんと共に遊園地に遊びに来ていたの。……この後、大変なことが起きるんでしょうね」
昌幸/エクスカリバーたん、なんとかできないか? イサッキーの幸せのために。
望彦/ちょっと寄り道になるけどセカイたんは許してくれないか?
GM/「……うーん。ちょっと遊園地で遊んだら勇規くんの誤りを正しに元の時代に戻るつもりだったけど。……いいんじゃないかな? 貴方達はボランティアをしてくれている。利害が一致してるからだけど、……少しぐらい我儘言ってもセカイたんも許してると思うわ」
望彦/そ、そうか! 良かったね、イサッキー。セカイたんに大丈夫なよう頼んでくれ!
優斗/なあ。勇規兄ちゃんは思い出したくないって言ってるけど、僕らは妹さんに何が起きたか覚えてない?
GM/流石に他人の家族の怪我まで知らないだろ。……元いた時代で過去の事件を【資料検索】したなら判るだろうけど。「ここって、自然が多いわね」
勇規/う、うん?
GM/「……日本にはあまり馴染みないかもしれないけど、『妖精』って知ってる?」
恐一/ああ、聞いたことはある。羽の生えてるティンカーベルみたいなのとかだよな?
昌幸/そういう可愛いヤツばっかりじゃないよな? 口が裂けてるヤツとかもいるし……。
GM/そう。日本で言うと鬼や山姥、『マレビト』と呼ばれる者達だ。……そして妖精は、『死なない程度に』人を傷付けるもので、特に鬼系は「死なずに苦しめ」というタチの悪い傾向です。貢献する妖精もいるけれど。
望彦/ああ、悪戯好きだしね。その妖精がここら辺に住んでいたと?
優斗/フェアリーサークルか、ここ!? 確かに林はあるけど……。
GM/思い出してごらん。野火止の方にも林があったし、みどりハイツ建設予定地も森だし、市全体に花が咲いてるし、何よりここは『自然公園』じゃないか。……オッサン、多分貴方が遊園地のマップを持ってるのかな?
恐一/がっそごっそ、出します!
GM/ペラリ、広げますと……マップも緑色が大半だ。遊具の無い奥の方には森のイラストが描かれている。「多分ソコが妖精がいる場所でしょうね。そして妹さんは彼らに攫われたと考えるのがいいんじゃないかしら?」
勇規/……俺達も森へ行こう。俺らも悪戯されることを覚悟して。
優斗/ああ、早く行って妹さんを救出しないとな!


 ★森


GM/自然公園の囲いを越えて、森の方に入ります。人々の声も聞こえなくなり、君達5人以外がいなくなった……木々の中に入ります。
勇規/【フィールドワーク】でミツキがどこに連れて行かれたかとか、妖精がいるかとか調べられますか?
GM/ええ、野外活動系のスキルを駆使してください。もう公園ではないから森の中をざっくざっく歩いていく形になるしね。
勇規/じゃあいきます。(ころころ)44で成功!
GM/……では、イサッキーは思った。森だ……が、少し野生動物や昆虫が多いかな。自然の多い場所だ。進める道は無く、突き進んで行くしかない。
望彦/【聞き耳】と【フィールドワーク】、あと【霊能力】で調べながら行くしかないか。……じゃあ、【霊能力】で妖精の波動を感じながら進みます!(ころころ)成功。
GM/……霊的なもの、あるよ。
恐一/……あるのか。
勇規/あったら進むしかないよ。先を行きます!
GM/ざくざく、進んでいくと……不思議な感じがする。
優斗/……どのような?
GM/とにかく不思議だ。大自然の中にいるような気がする。木漏れ日で太陽と木々の影は綺麗だし、そのせいで目はちかちかするし。
優斗/……警戒して行くしかないね。多少なりとも妹さんのヒントが掴めたらいいんだろうけど。
望彦/あ、【霊能力】のダウジングは使用可能ですか? イサッキーの妹の大体の方向を知りたい!
GM/ええ、可能です。大体の方角ぐらいしか判らないけどね?
望彦/それでもいい、方向だけ判れば後はエクスプローラーに任せられる!(ころころ)成功です!
GM/森を歩いて……、三日原くんは北西の方角に『何か』がいるような気がした!
勇規/そっちに進みます、早く行こう!
GM/しかし。……他にも西南の方向にも『何か』があるよ。
望彦/……それは、ダウジングの結果ですか?
GM/違うね。
優斗/……え?
GM/三日原くんの勘です。
望彦/……俺の勘?
GM/うん、勘です。霊能力とかダウジング能力とか全く関係なく、『三日原くんの勘が西南を示した』。
望彦/……なんで俺だけ? 【霊能力】で判定してみていいですか?
GM/いいよ。プラス30%ボーナスをあげる。
望彦/あ、はい……(ころころ)55で成功だけど。
GM/ぞわり。
望彦/ヒッ!?
GM/ぞわり、ぞわ、ゾワアアアアァッ!
望彦/んっ!? 何の気配だ、……って、コレは、まさか……っ!(笑)
GM/ぞわぞわ、しゅわわわ、ぞぞぞぞすすすぬぬわわわグアアアアアアもげ。
望彦/何の音!?(笑) ってまさかコレ、前に感じたことある!? ……魔王!? 魔王か!? 魔王なんだな! 魔王だよね、魔王キター!?(笑)
優斗/魔王か! っていうかちょっと落ち着けッ!(笑)
望彦/魔王ですか! 魔王がいるのですね! 行くんならいいけど心の準備をちょっといいですか! ハイ、底辺カケル高さワル2! 俺イケる!?
昌幸/さっきから一体何やってんの!?(笑)
恐一/あのー、俺も同じミスティックなんですが何か感じませんか?
GM/じゃ、判定もいらないぐらいにオッサンにはビンビンと何かを闇と愛が混ざった波動を感じる。
恐一/愛なんだ!(笑) って、なんか俺が凄く苦手な気配がするぞ!
優斗/……でさ、一体何がいるの?(笑)
望彦/魔王がいる。
優斗/魔王って森にいるもんだっけ!?(笑) というかどうして新座市に魔王がいるの?(笑)
望彦/志木駅徒歩5分のアパート2階に住んでるからだよ!(笑) とにかく! 背に腹は代えられない! わかった! もう行く! 嫌だ! 行くぞ!
恐一/どっちだよ!(笑) でも俺も怖いので村上の後ろにいます。
昌幸/おいオッサン!(笑) とりあえず会いに行きますか……。
GM/……では西南の方角に進むのでいいかな? ガサゴソと草むらを掻き分けながら進むと……女性の声が風に乗って聞こえてくる。
一同/……はい。
GM/「……キライ……」
望彦/……。
GM/ぷつんぷつん、と花びらを一枚一枚剥ぐ女性……花占いをしている。「ダイキライ、キライ……ダイキライ……キライ……」
望彦/……えーと。
GM/「ダイキライ……コロシタイ……
望彦/……帰る!(笑)俺帰る! 用事思い出したから帰る! もう怖い! もうヤダ! やだ! やだあぁーっ!(笑)
勇規/俺は構わず魔王さんにツッコんで行きます! すいません、この辺で女の子来ませんでした!?
GM/「……いたわ。小さな悪戯っ子が、小さい女の子が……あの子は来たというより、連れて来られたんでしょうけど……」
勇規/誰にっ!?
GM/「悪戯好きの……ゴブリンにね」
昌幸/ゴブリンっ? ……かわいくねーな。
GM/日本語で言えば子鬼です。――ではここで【神秘学】判定を。
望彦/(ころころ)09で大成功!
GM/おお、早速クリティカル乱舞か。――『悪戯な妖精』は、幸せの感情を餌とすることがあります。コクルイが負の感情を食べていたように、満たされた感情を好んで食すものもいるのです。……餌を最も美味しい状態にさせて、パクリと頂いたりね。「あの子は……遊んでるわ」
勇規/ミツキが、遊んでる?
GM/「そうよ……今は楽しく小人達と遊んでる……暫くいっしょに遊んで、楽しいという想いが絶頂になったときに……あの子を食べるんでしょうね」
望彦/そ、そっか……そいつらはどっちに行ったんだ?
GM/「……ここから真北の方面よ」
勇規/ありがとう! 直ぐにそっちへ向かう!
望彦/……ちなみに、一個尋ねていい?
GM/なにかな。
望彦/……なんで、魔王がココにいるの?
GM/「……」
望彦/……。
GM/……聞こえた? 今の声
望彦/帰る!(笑) いや、妹が大変だから、ね! じゃあ急ごう! さっさと行こう! 即座に離れよう! ここから離れよう! ありがとうございましたー! 【敏捷力】でクリティカル出しつつ走ります!(笑)
恐一/オッサンも最前列で凄い勢いで逃げます!(笑) 下手な【恐怖判定】より恐怖感じるんですけど!?
GM/「それじゃ、さようなら……また来世……ね」
昌幸/じゃあ、さようならー。……なあ、魔王はセカイたんに怒られたりしないのかなぁ?(笑)
優斗/だって、魔王だし?
勇規/魔王は、魔王が魔王で魔王だから魔王なんだよ。……元の時代に戻っても今のことをきっと覚えてる。
恐一/知ってるよ、絶対知ってるよ!(笑) 多分初対面の時の会話が変わってるけどな!
優斗/初対面のことを回想してみたら「あら……大きくなったわね」って言われてるんだよ!(笑)
GM/そこまで言うなら元の時代に戻ったら真っ先に思い出し判定してみようね(笑)


 ★奥の森


GM/魔王の言うとおり、真北の方にきました。では、【フィールドワーク】で判定をしてください。
勇規/(ころころ)……大失敗。どれだけ妹のこと心配なんだ、俺。
昌幸/お兄ちゃんは頑張ってるから!(笑) じゃあ【手がかり】いきます。(ころころ)成功。
GM/森の中で土をふと見てみたら、……小さな足跡があった。優斗ぐらいの小さな子供ぐらいの足跡もあれば、……人間とは思えないほど小さな足跡もある。
優斗/そっちの方向に行こう! ガサガサと虫刺されに遭いながらも進むよ。
恐一/蚊をぶんぶん追い払って掻き分けます。
望彦/オッサンの足元にいようっと。……先には、何かありますか?
GM/毛虫や蜘蛛を追い払いながら掻き分けて行くと、あちらから……キャッキャ……はしゃいでる声がする。
勇規/ミツキか!?
GM/……そうだ。ミツキちゃんの楽しそうな声に、楽しそうに笑う顔……そして、小さな小さな小人さんの姿が見える。
優斗/今すぐ助けに行かなきゃ、駆け寄る!
GM/ザッと君らが姿を現すと、「ゴブッ!?」気付いたゴブリン達が高い声で無く! ゴブリンの数は3体……その中の1体がパァッと粉を撒いた。
勇規/……妖精の粉?
GM/その通り、金粉のような魔法の粉だ。……それを嗅いだミツキちゃんはふっとその場で倒れ込む。そして3体は棍棒を持ち……貴方達の方へ襲いかかってきた!

 ●戦闘/1ターン目
GM/ゴブリンの敏捷値は6です。3体は横に揃って貴方達の方にやって来ます。……ミツキちゃんは奥で眠りについていますよ。
勇規/ミツキは、アイツは放っておいて大丈夫かっ!?
優斗/おそらくアイツらは人質を取るなんて頭の良いことはしないよ。……今は眠らせて後で美味しくなってから食べるつもりなんだ。
勇規/ミツキを連れ出すことはできますか?
GM/ゴブリンは一列になっているので、ミツキちゃんがいる後ろまで行くのには【体力】判定でアイツらをすり抜けていかなくてはなりません。
勇規/敏捷も体力も高いからそれでいきます、【体力判定】!(ころころ)……失敗。
GM/では、ゴブリン達の前に移動したところでイサッキーは終了だね。ゴブリンは目の前でゴブゴブ鳴いてる!
優斗/僕もすり抜けて妹さんの所に行くよ、【体力判定】!(ころころ)49、成功!
勇規/……お兄ちゃん、立場ねえ(笑)
優斗/ミツキちゃんを抱えます。能力値はそのままだからひょいっと持ち上げるよ。
GM/ゴブゴブ!
恐一/なあ。ゴブリンって妖精だけど、HPとMPだとどちらが高いんだ?
GM/ゴブゴブ!
恐一/……。
GM/ゴブゴブ!
恐一/……え、まさかそういう「五分五分」なの!?(笑)
昌幸/てっきり鳴き声かと(笑) ともかく、怪光線2でHPダメージいきまーす!(ころころ)あ、失敗。
恐一/じ、じゃあ……前回の失敗から【武器戦闘】でいきます(笑) 正面に気をしきつつ、キョウジたん頑張って!(ころころ)99で大失敗でーす!
優斗/オッサン……何やってんだ(笑)
昌幸/本当においしいな、オッサン(笑)
GM/大失敗か、じゃあ『攻撃が自分に命中』してね。そのままのダメージを食らってください。
恐一/(ころころ)8、自分でザックリ! 多分振り構えたら落としちゃって、拾おうとしたら刃のところをザクゥ……痛ッ!(笑)
GM/ではゴブリンズの攻撃だけど、Aは前に来ている優斗にいこう。回避は……。
優斗/しません、抱えてるんで!
恐一/女の子を守るために? カッコイイな!(笑)
昌幸/自分の武器で怪我をした誰かとは大違いだ(笑)
GM/(ころころ)じゃあ優斗、5点のダメージを食らっておいて。Bはオッサンにいくよ!
恐一/回避するぞ!(ころころ)……よし、クリティカ! 襲いかかって来たところをサッと避け……たけど手は痛い!(笑)
GM/じゃあ最後はイサッキーに。(ころころ)ゴブー、7点ダメージ。
望彦/では思う存分【魔術】電撃をいこうかな。全員、目を瞑れ!
勇規/そうだ、ミツキは大丈夫か!?
優斗/気絶してるから大丈夫、お兄ちゃん心配性だよ!(笑)
望彦/背を向けてれば平気だしね。(ころころ)成功、1体しか当たらないけど……Bにダメージ4点!
GM/ゴゴゴとBが食らいます、ゴブーッ!

 ●戦闘/2ターン目
勇規/ミツキちゃんはもう任せて、Bを先に倒す! リボリバーで(ころころ)成功……だけどダメージは低い、7点!
優斗/まだ敵地に妹がいるから気が気でないんだよ。……という訳で、群れを抜ける【体力】判定!(ころころ)50、成功。後衛組の場所まで戻るよ!
GM/ではマー君や三日原くんがいる後衛陣地まで行けます。そこでミツキちゃんを横たえておいてください。
優斗/寝かせてから、斧をジャキッと取り出して戻るよ!
昌幸/じゃあ、怪光線をBに(ころころ)成功、7点のダメージです!
恐一/畳みかけるぜ!(ころころ)成功、6点キョウジたんスラーッシュ!
GM/ザクッ、日本刀を食らってBが倒れた。では残す2体が(ころころ)オッサンに4点ゴブ!(ころころ)イサッキーに6点ゴブ!
望彦/……みんな、目を瞑れ!(ころころ)あっ、電撃失敗!
GM/ぷすーん。なんだゴブかー? ケッケッケ、その程度ゴブかー。
望彦/チッ、あームカつく!(笑)

 ●戦闘/3ターン目
勇規/Aに、リボルバー!(ころころ)成功、ダメージは12!
優斗/僕の番ー、Aにおりゃ!(ころころ)58、ギリギリ失敗。
昌幸/怪光線いきます。(ころころ)……86で失敗です。
恐一/そろそろ危ないので【霊能力】で自分にトリートします。(ころころ)う、失敗。
GM/また失敗続きになってきたゴブね。ケッケッケ、2体ともお兄ちゃんに(ころころ)6点ゴブと、(ころころ)4点ダメージゴブよ!
勇規/ガフッ! そろそろ半分……血が出てきたので後ろに下がって攻撃します!
望彦/イサッキーは下がれるから大丈夫だね? じゃあオッサンを回復します、【霊能力】トリート!(ころころ)成功、イイカンジに9点回復!

 ●戦闘/4ターン目
勇規/後ろに下がって攻撃します。妹の前に移動して……Aを撃つ!(ころころ)やった、当たって……ヤル気満々に15ダメージ!
望彦/殺意高っ! 妹パワーか!(笑)
昌幸/妹の近くに来て安心したんだ!(笑)
恐一/自分が安心した訳じゃなかったし、後ろ行って安心したから大ダメージか(笑)
GM/……しかもゴブリンAも倒れたよ。おいしいなイサッキー(笑)
優斗/オッケオッケ、じゃあCにいくよ!(ころころ)13、クリティカル! ダメージ24点いっちゃえ!
GM/……ゴブ、それは……一撃だゴブッ。
優斗/はい、一刀両断だザクーッ!

GM/ごぶー……。ゴブリンは力を無くすと、青い光になり消え始めます。妖精だから形が残ることもなく……。ここで全員【知覚力】判定を!
勇規/(ころころ)89で失敗です。
一同/(ころころ)成功!
GM/……お兄ちゃんは妹のことで、それどころじゃないらしい。妹はただ眠っているだけですよ。怪我はどこにもなく、本当にまだ「遊んでいただけ」みたいだね。
望彦/良かった……で、さっきの【知覚力】判定は?
GM/イサッキー以外の4人は『あること』に気付きます。……ミツキちゃんらが遊んでいた近くの木から、歪んだ『嫌なオーラ』が発せられていることに。【神秘学】判定をどうぞ。
恐一/(ころころ)あ、00だ!
GM/じゃあオッサンは思った。……誰だこんなトコロに生ゴミ捨てたヤツ!?(笑)
恐一/いきなり自然保護心に芽生えてしまった!(笑)
望彦/(ころころ)俺は普通に成功です。魔王じゃないよな……?
GM/魔王でもないし、生ゴミでもないよ。嫌な気持ちになるものだけど、……単なる木漏れ日に見える。
望彦/木漏れ日に、なにか?
GM/さっき言ったと思うけど、妖精は自然がある所……森などで生まれます。更に言えば、『光がまごつく場所』で生まれるんです。……光の境界や、『景』(かげ)でね。光と影の境界線は、あの世とこの世の狭間。葉と葉の間が生まれる森は妖精を生む一番のポイントだ。……そしてここは、ゴブリンなど妖精を自然的に大量生産しやすい場所だと直感的に感じる。
望彦/あー……とにかく、この木自体が妖精を作ってるってこと?
GM/うん。沢山生まれた妖精達は、森の近く……というか森の一部である遊園地に悪戯を仕掛けに行ったんだね。
優斗/……奴らを封印することはできないのかな?
GM/もう生まれた連中は難しいけれど、これから生まれてくるのは防げるよ。……この景を壊せばいいんだから。
昌幸/壊すって、どうやって?
恐一/……森を燃やすとか?
優斗/それはヤバイだろ。……この木の木漏れ日がいけないなら、木を切り落とせばいいのかな?
GM/ちなみに、ここには君達以外は誰もいないよ。……誰もここに咎める人などおりません。
優斗/僕の斧で切り落としていい? ヘイヘイホー、ザックザックリ!
GM/優斗が斧を振るいますか。じゃあ、……バキバキ、めきめき、どさん! 木が一本無くなったことにより、――ここ一帯が明るくなりました!
優斗/1本だけでいいのかな、どうだ?
GM/では、全員が感じる。……自然がいっぱいで綺麗だったけど、何だかさっきより綺麗な空気になったような気がするな?
望彦/やっぱり! なんだ、割と簡単に済んだんだ……。
GM/その瞬間、――勇規くんの喉元がスッキリした。
勇規/……えっ?
昌幸/え?
優斗/えっ!?
恐一/その喉元スッキリって、……死の運命から逃れられたときのアレかッ?
望彦/まさか悪戯好きの妖精って……よ、良かったなぁイサッキー!
勇規/それで俺、死んだの? 木が一本消えただけで、助かった……のか? エクスカリバーたん! なんで俺のアレが消えたんだ!?
GM/呼ばれて、ポッと幼女が森に現れます。「……そりゃ、奴らが貴方の死に関連してたからじゃない?」
勇規/妖精のせいだったのか? 要員の一つ的だった感じか?
GM/「そうみたいね。実はこれには私もビックリしているわ……だって十年後に戻ってから貴方の誤りを正しに時間をとぼうと思ってたんだもの」
望彦/まさか、……誤りを倒せたのは偶然とか言うんじゃ?
GM/「ええ、まさにそれよ。……けど、歴史を弄ればどんどんと成し崩れに物事が変わることだってある。貴方の大学に出た悪戯好きの妖精は、さっきの木漏れ日から生まれたってことね。いつ生まれたかは判らないけど、これから三千六百日間のうちに生まれる妖精は歴史から消えたってことだから……」
優斗/……たった木1本倒しただけで変わっちゃったってことか。
GM/「そうね。……そしてこれから、勇規くんには大変なことが起こる」
勇規/……何だ?
GM/「妹さんの『誤りのイベント』が起きずに済んだの。これは里山家にとって大きな変革を生み出すわ」
勇規/……。
GM/「妹さんは、誤りを起こすゴブリンがいなくなったことで無傷のまま。迷子になったところをお兄ちゃんに発見され、無事に家へ帰ることになる。……しかし、『離婚という正式なイベント』は逃れられないわ」
望彦/……その運命は、変えられないのか?
GM/「何度も言ったでしょ? 『人間は必要最低限のイベントをこなせばどんなルートを辿ってエンディングに向かってもいい』って。言い換えれば、『決められたイベントだけはどうやっても通らなければならない』ってこと。……里山家の離婚は、それなの」
勇規/……。
GM/「他のことはいいけど、離婚だけは絶対に起こさなければならないイベント。そうしないとセカイたんが決めた順序で物事が動かなくなる。……具体的に言えば、今後の人間達の誕生に支障を来すぐらいにね」
恐一/そ、そんなにオオゴトなのかっ?
GM/「それがこの世界のシステムよ。例えば『これから結婚し子供を作らなければならない女性』は絶対にセカイたんは殺さない。何があっても生かそうとする。けどその女性がある1日をどう過ごそうがセカイたんは構わないわ。子供さえ産んでくれたら」
優斗/……つまりなんだ。妹さんの人生の中でこれからタイムパラドックスが起きる、と?
GM/「確実に勇規くんのお母さんは、里山家のメンバーから抜ける。けどセカイたん的には妹が抜けるかはどうでもいいってこと。世界は妹が里山家からいなくなっても運行に支障が無いの。……けれど、勇規くんはどう?」
勇規/……どう、って。
GM/「十年間、貴方は妹のいない生活を送った。それで貴方の人生は成り立っていた。けどこのままだと妹さんは怪我をせず、両親が完全に対立するキッカケにならず、妹さんを引き取る口実がお母さんにはなくなる。結果、勇規くんの十年間に『妹がいる』ことが組み込まれる。……それはいいことかしら?」
昌幸/……何が悪いんだ?
GM/「……いいえ、それは私からは言わないでおくわ。ただ、言えることはこれから十年後に戻ったとき『貴方の人生が大きく変わってる』ってこと。その変化に貴方はついていける?」
勇規/……。
GM/「貴方は、変化を望むの? ……簡単に言えば、『妹といっしょに暮らす? 暮らさない?』。貴方は今、その選択肢を手に入れてしまったのよ」
勇規/……。
GM/……。
勇規/……やっぱり一緒に暮らしたいよ。
恐一/「どんな困難があろうとも、俺はコイツと生きていくんだ!」
勇規/……なに、それ?
恐一/いや、勝手にオッサンが言ってみただけ(笑) ハッハッハ、気にするなー!
昌幸/……オッサン。女性嫌いになったのにそういうコトは言えるんだな(笑)
GM/でも、そういうことだよね。もう一度訊くけど、『一緒に暮らす』でいいんだね?
勇規/ああ、一緒に暮らす! ミツキと一緒にいる道を選ぶよ。
GM/……そうですか。では、それを選んだ人生に向かいましょう。


 ★エンディング


GM/貴方達はぼけーっとした妹さんと手を繋ぎながら、遊園地内に戻ってきます。ちょうど時刻は夕方ぐらい。お母さんが叫んでミツキちゃんを探しているよ。「ミツキー! どこー……あ、ミツキ! 勇規が探してくれたのっ?」
勇規/う、うん。あっちで迷子になってからさ。まだ寝惚けてるけど。
GM/「もう、どこ行ってたのよっ!」ミツキちゃんを抱きしめて、ぽんぽんと頭を撫でます。……後ろの、少し離れた方に男の人がいるよ。
優斗/……僕はもう何も言わないよ。大人しく後ろでチュロス食べてるから。
恐一/俺らは向こうで待ってるから。ちょっと話して来い。
昌幸/家庭の事情だし、大丈夫でしょ。後ろで待ってるよ。
GM/じゃあ、お母さんは複雑そうな顔をし、後ろの男性を見る。アイコンタクトをして……「勇規、お母さんとお話しようか?」
勇規/……うん。お母さんとピンは怖いけど話します。
GM/ミツキちゃんはこっくりこっくりしているからベンチに座ろうか。「ごめんね、勇規。ちゃんと貴方にも後でお話しようと思っていたけど……」お母さんはぽつりぽつりと話し出します。「勇規はもうすぐ中学にあがるから判るかしら……お父さんとお母さんが、別れたがっていること」
勇規/……なんとなく見ていて判った。
GM/「お母さん達はね……今『何か事件が起きたら、言い争いになってすぐ離婚』しちゃうかもしれないの」
勇規/その事件はとりあえず無くなった訳だけど。……どうしてもダメなの?
GM/……お母さんは、お腹をさすります。「名前も、用意してるの」
望彦/……うわあ。
恐一/ああ……。
昌幸/うああぁ……。
優斗/はあああぁ……。
勇規/野次馬が大合唱してる(笑) ……けど、旦那は憎くても子供は可愛いし、腹の中の子も自分の子だからなぁ。
GM/「今日、ミツキにお母さんと一緒にいたいかって訊くつもりだったの。けど、ミツキはお兄ちゃんのこと大好きだし……今もお兄ちゃんがいてくれたからミツキは無事だった。ミツキには勇規が必要だから……お母さん一人が家族から離れることにしたわ」
勇規/……ん。
GM/「勇規はしっかり者だから、……大丈夫よね?」
勇規/……うん、大丈夫だよ。
GM/「酷なことを言ってるかもしれない、けど。……しっかりしたお兄ちゃんだから、大丈夫よね」
勇規/大丈夫だよ。だって、また……会おうと思ったら会えるよね。
GM/「ええ。……今後、この子が貴方の前に現れるかもしれないけれど、その時はどうか嫌わないで会ってあげて」
勇規/うん。お父さんは違うけどさ、その子も俺もお母さんはいっしょならキョウダイだ。――中身は二十一歳だから物分かりはいいよ。
望彦/……いいこだよ、本当に。
昌幸/イサッキーには一切罪は無いからなぁ……。
恐一/色んなものを乗り越えてきたからだよなっ!
GM/――ではここで、貴方は思った。離婚の話は後で聞いたけど、お母さんと面と向かって和解したことはなかったんじゃないか。……というか『キョウダイなんていたんだ』?
勇規/……え?
GM/弟か妹かは判らないけど、貴方は『新しいキョウダイがいたことなんて知らない』よ。
勇規/……。
GM/「……それじゃあ勇規、今日はもう帰りましょうか」
勇規/あ、あのさ。向こうに友達いるから先に帰っていてもらっていい?
GM/「あ、そうね。わかったわ」……そう言い、お母さんはミツキちゃんを抱いてそのまま去っていきました。
勇規/みんなの元に帰ります。……はあ。
望彦/おかえり。……俺達ももう家に帰ろうか?
GM/そうだね、帰るよ――元の時代にだけど。
優斗/あ、そっか。このまま家に直接帰るんじゃないんだっけ。
GM/貴方達の戻る場所は、貴方達の時代ですから。十年後の世界に意識が戻ります。――けど、この肉体はこのまま十年を過ごす。未来の記憶だけをアンインストールしても、ハードはずっと稼働し続けます。この遊園地で5人で遊んだ記憶はあるけど、どうして出逢ったかはすっぽり抜けるかな。だって『十歳前後の君らには出逢い自体が無いんだから』。
望彦/……魔王はともかくとして?(笑)
GM/魔王は魔王だから(笑)「元通り、貴方達の体はこれから十年を刻むわ。そしてあの時代へ辿り着く。最小限のイベントをこなせば貴方達はいなくなることはないから」……マー君の場合、これから海外に戻ったりね?
優斗/僕は僕で、兄ちゃん達が出て行ったり……。
望彦/俺は俺で、親父のところから飛び出して行ったり……。
恐一/オッサンは何もない十年間!(笑)
GM/……そしてまた、みんなに出会うんだね。じゃあ帰ろうか、元の時代へ!


 ★マスターシーン

 そこは、どこかの風景。
 エクスカリバーたんが、不思議な空間で調べ物をしています。
 それはどんなことでしょう? ……けれど、言えません。『我々は言うことができない』。概念の世界だからだ。
 伝説を擬人化した。システムを擬態化した。貴方達はこの世界を理解できないでしょう。
 でも、エクスカリバーたんは調べています。一生懸命調べています。
 5人目の特例の為に。世界の誤りを正すために。
 みんなに次の情報を渡すため、頑張って調べています。
「えっとー、今度は三日原くんの誤りイベントだからー……三日原くんの原因は、えっ?」

 エクスカリバーたんは見ます。
 擬態化された世界で、あるモノをじっと。

「村上昌幸が死ぬ数日前。
 浅霧優斗が死ぬ駅に訪れて。
 青森恐一の地で起きた悲劇の母親。
 里山勇規の、――。
 ああ、『理解できた』。後で三日原くんに謝らないとね……!」