ゴーストハンター02・リプレイ・パラドックスの椿
■ 第4話 『ジュンケツ』 ■
2007年6月7日




 ザクリ。ぴしゃり。ゴトリ。
 なんて元気がない血なんだろう。やはり若々しいものでないとダメなのか。けどそう簡単にイキのいいものなんて手に入る訳がない……しかし、私の子達を彩るには浮浪者やらゴロツキは……。
「失礼します」
 一人、女性がその空間に現れる。
「奥様。お庭に、……」
「……そう。どうしてかは分からないけど、手当てなさい。不審な動きをするようだったら貴方に対応を任せるわ。――それより、若い子はいないのかしら?」


 ★オープニング/青森恐一


 貴方は目を覚ました。
 薄く開く瞼先、窓の外は曇りがち。なかなか目を開けられないそんな天気の始まり――。


恐一/あー……朝か、ねみぃ。
GM/今日もまた朝がやって来ました。オッサンは目瞼を開くと……天蓋付きピンクのカーテンが見えた。
恐一/……ええぇっ!?(笑) ピンク!? って、え、ココは?
GM/セレブっぽいヒラヒラでフリフリのカーテンが見えたり、寝ているベッドもふかふかの高級布団だったりする。オッサンインゴージャス部屋。
恐一/昨日何したっけ……俺の部屋じゃないのか?
GM/どう見てもみどりハイツじゃないね。窓の先もマンション5階の風景じゃないし……それに、なんか自分の体が軽い。
恐一/軽い? ……まだ死んでないよな? 鏡がないか探す。
GM/ゴージャスな姿見があるよ。……その先に映るのは、若い男。
恐一/……はぁ!?(笑)
GM/若いと言っても三十前後だね。……思いっきり、自分の若い頃の姿が映し出されてる。どう見ても顔の皺が減ってるな。
恐一/……顔をペタペタ触りながら本当に自分なのかどうか確かめる。なんでこんなことになってるんだ?
GM/そんな混乱した貴方……のいる部屋の扉がガチャリと開く。豪勢な扉から入ってくるのは……女性だ。
恐一/それは美女ですか、美女ですか、美女ですか!?
一同/まずそこ!?(笑)
GM/ああ、美女だよ(笑) ウェーブかかった黒髪に、服装からしてセレブで清楚な女性がにこやかな笑みを浮かべて入ってくる。「おはようございます」
恐一/今の俺ならイケる! 動揺を隠してサワヤカヴォイスで「貴女、どなたですかぁっ!」(笑)
GM/「私の名前は、キサ……秋田キサと申します」
恐一/キサさんですかっ! 俺は青森恐一という者です! 笑顔で言います!(笑)
GM/「青森様と仰るのですか。よかった、お元気ですね」にこにこ女性は笑ってます。
恐一/ハイッ! ……あ、すいません。俺、どうしてここにいるんですか? 全然覚えてないんですけど。
GM/「今朝、家の者が……貴方が庭に倒れているところを発見し手当をしたのです。今はお元気そうですけど、本当に大丈夫ですか?」
恐一/庭に、ですか……それって不法侵入……運命的な出逢いとかじゃないんだコレ!?(笑)
GM/「それに、この屋敷には囲いがあって門を通らないと入れない筈なんですが、どうして庭に倒れてたんでしょうね……でも愉快な人みたいだから、泥棒さんじゃないようですし安心しましたよ」
恐一/そうですよね、とりあえずコイツは馬鹿過ぎて侵入とかできないですよ!(笑)
GM/可哀相な人だなぁ。そんな感じに優しく笑いかける美女キサさんとの会話……の最中、貴方がちょっと目を逸らします。部屋には壷があったりゴージャスな絨毯が敷いてあったり、壷があったり剥製があったり壷があったり……。
恐一/……壷?
GM/壷に剣が刺さってたり。
恐一/……ぐっ!?(笑)
GM/「青森様? どうなさいましたか」
恐一/いえ、なんでもないです! ……あ、ちょっといいですかね、俺も混乱してますんで考えさせてほしいんですけど!
GM/「はい、もう暫くお休みになられてください。メイドにお茶を用意させますね……落ち着きましたら1階へどうぞ」と、キサさんはこの部屋を後にします。扉をパタン。
恐一/……足音が通り過ぎた後に、エクスカリバーたんの方へずんずん歩いて行く。おいエクスカリバーたん、これはどういう……。
GM/「おはようございまーす」
恐一/おはよ……俺のスタート地点はみどりハイツじゃないのか?
GM/「ううん、ここがみどりハイツの場所よ。ただし、――時代は一九九七年だけどね」
恐一/……まさか。
GM/「ここは平成九年の四月十三日、十年前の世界。十年前っていったらFF7が発売された年ね。――貴方は二〇〇七年四月十三日金曜日、十五時二十分に出血多量により誤った死を迎えた。それが青森恐一の最期」
恐一/十年前に……時間を遡ったのかッ?
GM/「貴方の顔を見れば昔に戻ってるって判るでしょ? ……何度も言っているけど、これは『タイムスリップ』ではなく昔の体に未来の記憶がインストールされているだけ。ぶっちゃけ言っちゃうと、ここは『みどりハイツになる』場所よ」
恐一/そういえば最近建てられたとか聞いた気がする……けど不法侵入には変わりないんだな(笑)
GM/ベッドのある垂直の位置が庭だったんだね。「青森恐一。……貴方は十年後の今日、死ぬわ。今回はその死の直接的原因がこの時代にあるからやって来たの。十年前の誤りを倒せば十年後の貴方は生きていける筈」
恐一/そんな昔から……そうだ、サキはまだ生まれてないな?
GM/「生まれてないでしょうね。小学4年生だからちょうどお腹の中ぐらいかな?」
恐一/……十年前だけど、刀は持ってますか?
GM/刀があるっていう概念を今の貴方は持ってるから、呼べば出てくるよ。「今回は貴方を救うためにこの時代に飛んだの。……もうちょっとだけこのお屋敷で待っていてくれないかな? バラバラになってる他の4人を回収してくるから」
恐一/あ、ああ、判った。部屋でテキトーにくつろいでる。
GM/「うん、待ってて! 変な物飲まないでねー!」ぴょーんぴょーんと剣は外に跳んでいきます。……そして貴方は、エレガンスでエクセレントなセレブリティのお部屋に一人取り残されるのでした。
恐一/……みんな割とコナン化してるんだな。俺だけ十年前でも三十代だが!(笑)
望彦/きっと、保父さんみたいに見えるだろうね(笑)


 ★オープニング/里山勇規


GM/勇規くん、――君は目覚めると少年らしい部屋にいました。懐かしいランドセルがあり、自分の隣の布団には……今はもういない筈の妹が寝ている。
勇規/ん……あれ?
GM/確か大学生の君は父親とだけお家だったね。両親が離婚し、母と妹が別居中だったんだよね。……妹さんの名前は?
勇規/……ミツキです、里山ミツキ。うわあ、妹がいる……なんでだ?
GM/グサリッ!
勇規/……エクスカリバーたん、どうして妹がいるんだ?
GM/「おはよう、冷静ね里山くん」ご察しの通り剣が黒いランドセルに刺さってます。「貴方の置かれている状況、なんとなく判ってくれてる?」
勇規/……俺は今、過去に来てるんだな?
GM/「そう、十年前の十三日の日曜日よ。……この十年後、青森恐一が死ぬわ。今回は『オッサンを助けるの会』よ」
勇規/ああ、あのオッサンが死ぬんだ……了解。助けてあげなきゃ自分も助けてもらえないしな。
GM/なんか渋々っぽいなぁ(笑)「十歳ぐらいだから体は小さくなってるけど、銃は隣にあるでしょ? だから精々助けてあげてね……あ、いつもならみどりハイツ集合って言うんだけどまだ建設されてないから十二時に志木駅集合!」
勇規/はあ……判ったよ。
GM/「十歳ぐらいなら冒険できる年齢だしね。よろしくー!」そう言って剣がぴょーんぴょーんと跳ねて別の人の家に行きます。……じゃあそこで妹の目が覚めようか。
勇規/……ミツキ、おはよう。
GM/「ふわぁ。オハヨーお兄ちゃん、んー……さっき誰かとお話してなかった?」
勇規/いや、誰とも話してないよ。勇者の剣とかとね、ちょっと。
GM/……。
勇規/……。
GM/……え?
勇規/……あ。話してないって言ってるのに何で言ってるんだオイ。
GM/なんだそりゃ!(笑)「え、えーと……お兄ちゃんまだ夢見てるでしょ?(笑) あ、そうだ。日曜だから昨日ビデオに録ったポケモン見ようよ!」
勇規/うん、……昨日のポケモンってどんな内容だっけ?
GM/「えっとね、確かピカピカピカーってなって……そういや夜ニュースになってたよね、なんでだろ?」
勇規/ポケモンショック!?(笑) まだ『テレビから離れて部屋を明るくして見てね』が入ってない時代のアレか!(笑)
GM/ではでは、居間の方からお母さんの声がするよ。「朝っぱらからテレビつけないで早く朝ご飯食べなさーい!」
勇規/……はーい。母さんか……色々トラウマ持ってるんだけどな。
GM/「はーい。お兄ちゃん、食べに行こうか。食べた後にポケモン見ようね!」
勇規/だからポケモンはやめろって……。


 ★オープニング/村上昌幸


GM/次は、マー君。起床し、家族揃ってお食事だ。父親と母親と既に独立した二人の兄と……優雅に日曜日の朝食風景ですよ。「昌幸、3ヶ月だけの日本在住だが小学校は楽しくやってるか?」
昌幸/うん、大丈夫だよ!
GM/「はは。まぁお前のことだから勉強についていけないってこともないな、昌幸は」
昌幸/うんっ!
恐一/(兄になりきって)既に算数じゃなくて数学のレベルだからなぁ、小学校は楽しいかぁ?
昌幸/うん、楽しいよっ!
優斗/……未来の記憶持ってるから裏では。
昌幸/ちくしょう! あの学会のクソジジイども……!(笑)
GM/凄い様変わりっぷりだ(笑) じゃあお母さんが言うよ。「今は日本に帰ってきたんだしお勉強よりも精一杯遊びなさい。お勉強はいつでもできるんだから」
昌幸/うん、わかった〜! ……けど「なんで俺ここにいるんだ?」って心の中で思ってる(笑)
GM/ではテレビから朝のニュースが流れてる。平成九年四月十三日のニュースだ。「消費税が3から5%に上がりました」とかやってたりする中……「次のニュースです。新座市志木駅にてホームレスの男性が何者かに襲撃される事件が相次ぎ……」
昌幸/……ん?
GM/「4名の男性らはその後、姿を消し……」というニュースがやってる中、お母さんが続ける。「あら危ない。駅の周りには浮浪者が多いからね。気を付けなさい、昌幸」
昌幸/はーい。……あ、確か十三日はあのオッサンが死ぬ日だよな。それと関係が……?
GM/貴方の目の前のプリンに剣が刺さる。
昌幸/いきなりっ!?(笑) お、俺のプリンが……っ!
優斗/(兄になって)うん? プリンならそこにあるじゃないか。
昌幸/う、うんあるね!(笑) 声を抑えて……エクスカリバーたん、刺さるならこっちのサラダに刺さって!(笑)
GM/じゃ、サラダにザックリとな。「おはよう村上昌幸くん。相槌はテキトーでいいから食べながら聞いてね」
昌幸/……こく。
GM/簡単に状況説明と、十二時に志木駅集合のことを伝えます。「みどりハイツはこの時代から3年後に建てられるの。だからまだ無いのよ、オーケー?」
昌幸/……こくこく。
恐一/(父になって)ああ、よく噛んで食べるんだぞー、昌幸。いっぱい食べて立派な大人になるんだぞー。
昌幸/う、うんー。
優斗/(兄になって)昌幸は頭が良いから将来はきっとエライのになるんだろうなー、俺達なんかとは違ってさー(笑)
昌幸/うんー……でもごめんなさい、十年後ニートになってます!(笑) くそ、あの学会のクソジジイどもさえいなかったら!(笑)
望彦/……お兄さん達も頭良いんだろ?
優斗/(兄になって)昌幸じゃないさ! 昌幸は天才だからなぁっ!
昌幸/うぅああぁ、プレッシャーがあぁっ!(笑) 
GM/……GMの心がとても苦しくなってきたので次のシーンにいきますか(笑)


 ★オープニング/浅霧優斗


GM/次は優斗のシーン。こっちも日曜の男ばかりの家族風景か。優斗もお兄ちゃんが二人いるらしいね。十六歳が十年戻るんだから……。
優斗/6歳……ピッカピカの1年生か。
GM/しかも、四月十三日……入学式行きたてだ。日曜だから朝ご飯を食べ終わって、お父さんが波瀾万丈とか見てるときか。
優斗/一人、子どもらしくない顔で考え込んでいる。時代が遡ってるのか……? しっかし、この家ってこんなにデカかったんだなぁ。
GM/兄ちゃんらが「オヤジ、チャンネル変えていい?」と番組をまわすと、先程村上家でも見ていたニュースがやってるね。「新座市志木駅にて……」そしてどう見ても十年前の風景がテレビに映し出している。まだルーズソックスが珍しくって特集されていたり。
優斗/ぼーっと見てる。
GM/……じゃあそんな浅霧家に、ピンポーンとインターフォンの音。「あ、俺出てくるわー」とお兄ちゃんが玄関に行くね。
優斗/……僕も玄関に行くよ。なんとなくついていく。
GM/玄関をあけると……そこには女の子がいる。
優斗/……おっ?
GM/「こんにちはっ」「え、えーと、どちら様かな?」
優斗/その女の子に見覚えは……ないよな?
GM/ないね。「どうも、初めまして。私、狩場アリスっていいます」
優斗/……カリバ……。
GM/「出身地はイギリスです、好きな言葉はジャガイモです、趣味は刺すことと刺されることです」
優斗/ちょ、ま、えっ!?(笑)
GM/「えーと、……優斗のお友達か?」
優斗/そ、……そう! この子、俺のお友達だから!(笑)
恐一/(兄になって)おう? やるな、お前ぇ〜(笑)
昌幸/(兄になって)まだ入学式から3日しか経っていないのにか!(笑) ……後でスッゴイからかわれるんだろうね。
優斗/うん、友達来てくれたからちょっと外でお話してくるー! 手を繋いで外にタッタッタ……。
GM/タッタッタ……「おはよう、浅霧優斗くん」
優斗/……おはよう。そうだよね……エクスカリバーたん、だよね。
GM/「うん、私も小さくしてみた。6歳の貴方はいかが?」
優斗/身長低くて変な感じだよ。……それとさっき趣味はその姿で言っちゃダメ。凄く冗談にならないから(笑)
GM/ああ、酒鬼薔薇事件も確か九七年だったね。――では状況説明や集合のことをべらっと喋ります。「この体とか聞き込みするのも大変かもしれないけど、今回はもう大体検討がついてるの。……みどりハイツの建つ場所に『誤り』がいるわ」
優斗/……へえ、じゃあもう突撃してもいいってことか。武器はあるんだよね……って言って身長ぐらいあるバトルアックスを出す! ぶんぶんっ。
GM/「小さな身体に大きな武器だなんて。萌えってやつかしら」
優斗/ぶんぶんっ……もえ?(笑)
GM/「うん、萌え。それじゃ十二時に志木駅集合だからねー、バイバーイ!」……手を振って、女の子が去って行きます。
恐一/多分後ろから兄ちゃん達がニヤニヤ見てるよ!(兄になって)ようデートかぁ〜?
昌幸/(兄になって)小学1年のくせにやるなお前、もうチューとかしたのか〜。頭ガシガシッ!(笑)
優斗/えへへ〜、まだだよ〜。……はあ、なんだか兄ちゃんといるのも懐かしいな。とりあえず志木駅に行くか。


 ★オープニング/三日原望彦


GM/さて、最後のシーンは三日原くんな訳だが。……君は大学に通うため実家から出て新座市で一人暮らしをしていたんだよね。
望彦/うん、実家は寄居町です。ちょっと新座市からは遠いな。
GM/しかし。……気付くと君は十二歳の姿でボロアパートの前にいるのです!
望彦/……えっ?(笑)
GM/十二歳の君が一人で新座市にいるのです。ポツンとな。
望彦/……寄居町じゃなくて? そこ出身なのに? キョロキョロ見回してみるよ……。
GM/どこをどう見ても新座市です。というか、大学生の君が住んでるボロアパートの前以外なにものでもない。……しかも自分の体は小さくなってるし。
望彦/……おーい、エクスカリバーたん、いないかー!?
GM/……かつん。
望彦/……ん?
GM/かつん、かつん……「いちまーい……にーまーい……」
望彦/……。
GM/「……さんまーい、……いちまい……足りてる」
望彦/じゃあいいじゃん!(笑) 誰だ! 魔王だな!? ……いや、スズちゃん?(笑)
GM/「……」
望彦/……。
GM/「……ふふ、おはようございました」
望彦/スズちゃんだね!?(笑) 姿はどんなの!?
GM/真っ黒だよ。
望彦/色じゃなくて!(笑) 年齢は!?
GM/女の子の年齢を訊くのは失礼だよ。敢えて言うなら君の知ってる女性が立ってる。
望彦/姿そのまんま!?(笑) なんで!?
GM/「……難しいことはいいじゃない。お話、しましょ……私の砦で……」その指が指し示す場所は……。
望彦/アパート2階の闇のオーラが漂っている!(笑) いや、もう既に2回行ったことあるけどさ。
GM/ガシッ。ずる、ズル、ズルゥ。
望彦/あっさり捕まった!? ヒイィッ、連れて行かれるぅっ!(笑)
GM/ズル……ギイイイィィ、バタン……。「じゃあ、そこの不思議な色のザブトンに座りなさい……」
望彦/座れと!?(笑) ちょっと突っついて安全かどうかを確かめてから……座ります!
GM/ふみょっちょ。
望彦/……何の音!?(笑)
GM/「三日原望彦くん……貴方と私はここで会わない運命……だけど特別な力によって引き合わされた……これもまた運命ね……」
望彦/あのスイマセン。切咲スズさん、どうして俺、小さいんでしょうか……もし差し支えなければ教えて頂けませんでしょうか?(笑)
GM/「この時代にいるべき三日原望彦ではない……ということは、貴方も判っているわね……」
望彦/……はい。
GM/「貴方に必要な言葉を、必要になるであろう言葉を贈るわ……」
望彦/……必要?
GM/「この時代がすべてを変える。十年後の世界、その以後の世界……世界の誤り、その諸悪の根元がこの時代に生まれた。それ自体が世界を壊すほどの力は無い。けれど、世界は困った……困るでしょうね。十年後、自ら重い腰を上げるぐらいに」
望彦/……災いの芽を今のうちに取った方がいい、ってコト?
GM/「とても小さなことかもしれない。……けれど、どうしようもないことだと嘆かないで……すべてを救うなんてことはできないけれど、貴方と、貴方の周りの人々を救いなさい……」
望彦/……うん。
GM/「……」
望彦/あのさ……。
GM/なにかな。
望彦/……なんでセカイたんのこと詳しいの!? アンタ何者だよ!?(笑)
GM/「……」
望彦/……。
GM/……電波系の言葉をあんまり信用しない方がいいわよ?
望彦/自分で言った!(笑) 納得できないけど触れちゃいけないことなのか!?
GM/「……あら? 貴方にお迎えが来たみたい……行きなさい」
望彦/は、はい……多分細長いものが来てくれたんだろうなぁ……もう判ってるよ、もう!(笑)
GM/「それじゃ……また来世……」
望彦/ああ……十年後ね。
GM/「……聖剣によろしく……」
望彦/……なんで知ってるのさ!?(笑) 背後に気を付けながら外に出ます!
GM/アパートの部屋の外に出ると女の子が立ってるよ。「やっほー」
望彦/聖剣って人型にもなれるんだなあ。もう何も驚かないよ(笑)


 ★十二時


GM/ではシーンがオッサンに戻ってきます。2階の女性の寝室から、1階の客人を迎える場所……来賓室にやって来ました。優雅なソファでくつろいでいてくださいな。メイドさんがカラカラとコーヒーセットを運んでくるよ。「お口にあえば良いのですが……」
恐一/メイドって十年前の日本にいるもんなんだな……と思いながら、凄い勢いで砂糖入れる(笑) ジャリジャリジャリ、って飽和状態の砂糖水を笑いながら啜ってます!(笑)
GM/ふふっと笑うメイドさん。この人も美女だ。「そういえば青森様、ここが何処かはご存知ですか?」
恐一/いや、実はちょっと判らないんですが。
GM/「ここは埼玉県新座市の……『緑凰館』と呼ばれるキサ様のお屋敷です。明治の世からある歴史あるお屋敷でして、キサ様のご先祖はこの地区一帯の地主さんだったのです。現在は……キサ様がおひとりで住んでいますが」
恐一/こんな大きな屋敷に?
GM/「ですのでワタクシは住み込みでお手伝いをさせていただいております。――ああ、申し遅れました。ワタクシはリスイと申します」
恐一/どうも。……この際、メイドさんでもいいな!
昌幸/……オッサン。その『AがダメならBでも』みたいな言い方はなんだ(笑)
GM/だから十年経ってもダメなんだよ。――そんな優雅にお茶しているオッサンとは別の場所にて、少しだけ真新しい志木駅にカメラをうつします。駅前で、女の子が手を振ってるよ。「ハイハーイ、ここだよーっ!」
昌幸/誰っ? ……カワイイけど!(笑)
勇規/……うん、誰?
望彦/ああ、あれはエクスカリバーたんだよ。……エクスカリバーたん、今回はオッサンのXデイについてなんだよね。
GM/「そうよ。オッサンは一足先に『誤り』のあるみどりハイツの場所に行ってるわ。歩いて十数分の所だから行きましょうー」……と女の子先頭に少年4人は歩き出します。
優斗/なにこの可愛い集団登校!(笑) ……まぁ、身長と同じぐらいの斧持ってたりするけどね。
恐一/けど斧は見えないから手をぶんぶん振り回してる子どもを見てオバサマ達も「あら可愛いわぁ」と微笑ましく見てたり(笑)
GM/そんな少年探検団。女の子がこっちだよーと君らを歩いて行く先は……林だ。何故林なのか、折角だから【分析力】で成功した人が知ってることにしよう。
望彦/林?(ころころ)お、07……大成功だ!
優斗/(ころころ)03、こっちもクリった。
GM/おお、じゃあ大成功組は覚えている。……志木駅から東に行った場所はこの時代、まだ開拓が進んでいない場所だ。現代ではベッドタウンとして住宅地や高層マンションが建てられているけど、それもここ十年の話。……つまり、それ以前は古い建物や森で覆われた地域だったりする。
望彦/そういえばそうだったなぁ……みどりハイツは新築マンションなんだよね。
GM/オープニングでも言ったけど、今日の天気は曇りがち。林の方にどんどん進んでいくと更に暗くなっていく。……ここでミスティック、【霊能力】判定をして。
望彦/(ころころ)うん、成功。
GM/……思いっきり、この地域は『危うい感じ』がする。
望彦/……地形的にダメだってこと?
GM/ゴーストタウンになるべくしてある場所って感じだろうか。風水の流れも悪く、地盤も良いものだとは言えない。……ここら辺に住んでいる人に悪影響を与えそうな、嫌な流れを感じた。
勇規/ちょっと安かったりするんだろうな……オッサン、なんてトコロ買ったんだ。
望彦/でも住処に関しては俺も言えた話じゃない(笑) 魔王が住んでるぐらいだし。
優斗/しっかし、囚われの姫ならぬ囚われのオッサンか……しかも当人は優雅にコーヒーを飲みまくっている訳だし(笑)
GM/では5人がどんどん奥の方に行くと……門がある古めかしいお屋敷が見えてくる。他にも林の中にお屋敷は数件建ってはいたけど、そこは特に古い感じだね。「ここが、みどりハイツ建設予定地よ」
勇規/エクスカリバーたん、オッサンは中でどんな様子だったんだ?
GM/「ふかふかのベッドで寝ていたわ。今頃エレガンスにお茶している頃よ」
昌幸/……助けるのやめようか(笑)
優斗/……このままにしてやろうか(笑)
望彦/いやいや(笑) ……とりあえずオッサンとコンタクトが取りたいな。門の前に立って、屋敷に向かって【霊能力】テレパシーで話し掛けるよ!
GM/直接会わずに会話か。許可しよう。
望彦/オッサンに届け!(ころころ)成功、届いた……オッサン、聞こえる!?
恐一/ああ? 聞こえるぞー……なんだよ、美女との語らいの間を。
望彦/今ね……俺ら4人揃ってオッサンがいる屋敷の前にいるんだ。
恐一/へえ。
望彦/その屋敷、めっちゃ危ないねん。出てきてオッサン!
恐一/あん? こんな美女ばかりがいる家のドコが危ないって言うんだ!(笑)
GM/――それではオッサン、【意志力】で判定してください。失敗するとずっとこの屋敷に居たくなります。
恐一/はい、意志力は高いから余裕だな。(ころころ)……00、あ。
GM/……。
恐一/……。
優斗/……大失敗?
恐一/……大失敗です。
一同/……。
GM/物凄くココに居たくなりました、外になんか出たくありません。
一同/オッサーン!(爆笑)
恐一/はっはっは、こんな美しい女性が二人もいる屋敷のどこが危険だと言うんだぁー!(笑)
勇規/オッサン、死ぬぞ。……エクスカリバーたんのこの姿を見せれば出てくるんじゃないか?
優斗/ああ、ロリコンの気があるから?(笑) けど無理だと思うんだ……多分、テンプテーション系がかかっているんだと思う。
GM/では。――オッサンが「そんなことないって〜」としている隣。話していたメイドさんの目の色がフッと変わる。「……ああ、すいません青森様。少し席を外しますね」
恐一/ええ、じゃあまた後で〜。……一旦テレパシー切ります。
GM/オッサンのいる来賓室を出るメイドさん。……門の方にいる4人組は、屋敷の玄関から出てくるメイドさんが見えます。
優斗/しまった、気付かれた!(いきなり声を変えて)もぉ〜、どうするんだよ〜、こんな所で迷子になってさぁ〜?
望彦/(同じく声を変えて)知らないよぉ〜、そんなコト俺に言うなよぉ〜。ナビゲートしたのお前じゃん〜。
GM/すると……ぎぎぎ、と鉄の門が自動的に開きます。機械の門みたいだね。そして屋敷の方から女性が一人……メイドさんが。
優斗/……近寄って来るね?
GM/来るよ。「こんにちは、坊や達。こんな所でどうしたのかな? 一階の部屋から見えたものだから」
優斗/あの、こんにちは……ごめんなさい、僕達ここで迷っちゃって。それと、僕のおじちゃんがこっちに来るって聞いたんだけど見付からなくって。
GM/「貴方のおじさんが? それはもしや青森様のことかしら?」
望彦/お姉さん、知ってるのっ?
GM/「ええ。お屋敷の方でお茶を一緒にしているところだったの」
優斗/オネガイ、呼んできて!
GM/「判ったわ、呼んでくるから……」では門が開いた中、メイドさんは屋敷の方に戻っていきます。――全員【意志力】判定を!
一同/(ころころ)成功!
GM/ん、全員成功か。……じゃあ全員何事も無い。次に、【敏捷力】判定をマイナス20で!
勇規/(ころころ)ん、成功。
優斗昌幸望彦/(ころころ)失敗!
GM/成功したのは一人か。じゃあイサッキーは気付く……何かコチラに来ることに!
勇規/えっ? みんな逃げた方がいいかもしれない、何が来る!?
GM/周囲を見渡すと、……突如、犬が2匹走ってやって来るようだ……ダッダッダ。
勇規/……犬っ?
GM/ダッダッダ……(ころころ)優斗の方に、飛び込む!
優斗/お、おわあっ!?
GM/飛び込んで、……腕にガブリッ!(ころころ)回避無視1点ダメージ!
優斗/えぇっ!? 【恐怖判定】!(ころころ)ゴメン、固まった……倒れ込んだまま動けない!
勇規昌幸望彦/【恐怖判定】。(ころころ)成功!
GM/じゃあ1匹が優斗を押し倒し、もう1匹がグルルルと襲いかかりそうなところで……戦闘開始!

 ●戦闘/1ターン目
GM/門の中に入った所なので全員十メートル以内だね。狼の敏捷値は9で、襲いかかられたら振り解くのに【体力】判定が必要です。……ちなみに、オッサンは自分のターンになったら「外の騒ぎに気付くか」判定を【知覚力】でしてもらいます。元々はマイナス20%だったけど、大失敗したから30%でやってね。
恐一/知覚でマイナス30……20以下か。まず気付かないぞ!(笑)
優斗/と、とりあえず……犬Aは僕をガブガブ噛んでるからいいけど、Bが後衛組に行くのが怖い! そっちを援護くれ!
勇規/了解、Bにリボルバーで攻撃を!(ころころ)あ、76で失敗……パフッ!
GM/危ない危ない……犬の番いくよ。優斗を抑え込んだAはそのまま噛み続けて(ころころ)3のダメージ。Bは……イサッキーの方に普通に噛み付く!
勇規/回避します。(ころころ)09……大成功だ、ダメージ0。華麗に避けます。
優斗/よし、【恐怖判定】回復を。(ころころ)う、失敗。まだ喰われたままだ!
昌幸/【分析力】でコイツらは何か調べる!(ころころ)成功!
GM/ではマー君は気付いた。一言で言おう……コレは犬じゃねえ! 分類は『マニトウ』。人間以外の動物霊を実体化させたモンスターだ。
優斗/……こんなん飼ってるなんて普通の家じゃないよね? オッサン、早く気付け!
恐一/おう、【知覚力】判定!(ころころ)無理です、コーヒーうめえ!(笑)
望彦/オッサンこのやろう!(笑) 仕方ないんで近距離だけど俺も戦うよ……【霊能力】エーテルフィストでAに攻撃。(ころころ)13、で大成功! 20のダメージだ!
GM/キャインッ! これは殺意高い……だいぶ効いたぞ。

 ●戦闘/2ターン目
勇規/死にかけてるAに撃つよ。(ころころ)成功、ダメージ10点!
GM/大ダメージ続きでこれは逝く、Aは倒れて消えたよ。……それじゃBが誰かを押し倒そうか!(ころころ)三日原に行くぞー!
望彦/……あの、俺【回避】スキル持ってません。喰われました、たーすーけーてー!(笑)
GM/じゃあそのまま頂きます。かぷり、ダメージ5。
優斗/ヤバイ、早く意識回復を……(ころころ)失敗、ぴきーん!
昌幸/三日原にくっついた犬をひっぺがす!(ころころ)ご、ゴメン失敗! オッサン早く気付いて!
恐一/(ころころ)……ダメだ、さっきからコーヒーが美味くて。
望彦/くそ、自力でひっぺがしてやる!(ころころ)……ハイ失敗、押し倒されたままですよ!
GM/それでは。そんな大乱闘の庭の横で、……門が勝手に閉まり出した!
優斗/ヤベエ、早く来てくれよオッサンー!

 ●戦闘/3ターン目
勇規/命の危機が迫ってるみたいなんでBをひっぺ剥がします!(ころころ)29で成功。べり。
望彦/イサッキー信じていたよ……ありがとう!
GM/ひっぺがされたワンコ、じゃあまた新しい獲物を探そうか。(ころころ)……ダメージは2、三日原くんに(笑)
望彦/お前さあっ!(笑) ……これはもう普通に倒した方がいいっぽいね。
優斗/うん、でも僕は回復しなくちゃどうしようもない。(ころころ)クソ、またダメだ。
昌幸/獣だからMPダメージの方が効くので……生体磁力放射線いきまーす!(ころころ)わ、失敗!
恐一/オッサン頑張ってみます……(ころころ)よし、15で気付いた! ハッ、外の方が騒がしく思えた! 子どもは大切にしないといけないのでダッシュで行きます!
GM/犬に襲われ血を流してるチビッコ達がいたら気付くよね。……但し、戦闘エリアまで駆けつけるのに1ターンかかるよ。
望彦/それまで自力で頑張るよ、引き離す!(ころころ)やった、07でヤアッ!
GM/三日原が犬をはいだところで……門が完全に閉まりました。ガシャーン。

 ●戦闘/4ターン目
勇規/ワンちゃん大好きだけどいっちゃうよ。(ころころ)65でピッタリ成功、ダメージ8点!
GM/ギャインッ、でもまだ動ける……そろそろダイス変えようか。(ころころ)あ、三日原くんに向かって5点ダメージ。またか。
望彦/なんで!?(笑) いや、まだ平気だけどさ……。
優斗/僕いいかげん硬直から回復しないかなー。(ころころ)やっと03、回復。ワンコぶった切りに行くよ!(ころころ)けど失敗。
昌幸/攻撃いきまーす!(ころころ)06で成功。ダメージ2倍だから14点!
恐一/よしっ、そんなところにオッサン駆けつけます! おーい来たぞ俺がー!
望彦/おせーよ!(笑) もう一度自力でひっぺがす。(ころころ)くそ、まだ喰われてるよ……。
GM/これで5人揃って戦闘開始だね。一方、門は……何だか不思議な色を帯びだした。
望彦/……え?

 ●戦闘/5ターン目
勇規/最後だ、食らえ。(ころころ)よし成功、Bに14ダメージ!
GM/ぎゃいんっ! ……ぱたり、犬は倒れます。
望彦/はあ……イサッキー、ありがとう。なんとか助かった……。

恐一/はっはっは。みんな、待たせたな。
優斗/……オッサン、あのな。
勇規/……後でオッサンに遊園地連れて行ってもらおうか。無論、子ども料金で。
昌幸/寧ろ、お小遣いちょうだーい(笑)
GM/そんなオッサンと子ども達の感動の再会……の中ですが。この戦闘で5ターン経過しました。門の色はどうやらさっきの鉄門と違い……どこか不思議な色に変わっています。
昌幸/なんだ? 【分析力】で調べてみます。(ころころ)成功!
GM/分析で、しかも心霊機械使いのマー君が調べてくれたなら判る。最初見た時は機械の鉄門だと思ったけど……これは単なる機械じゃない気もするな。
望彦/……【魔術】で調べられるかな?(ころころ)成功だよ。
GM/鉄の門に、何かがそこに付与していることが判った。扉に細工がしてあるような……でも『今のところは特に何も害は無いだろう』と直感的に判った。
優斗/……今のところは、ねえ。とりあえず中には入れるかな?
GM/少し歩けば屋敷の玄関だ。扉は閉まったままだけど。
昌幸/玄関のところに行ってドンドン! すいませーん、犬に襲われたんですけどー!
GM/ドンドン! ……カチャ、と扉が開かれます。
恐一/……リスイちゃんか?
GM/「まあ、お疲れですね。とても元気なお子様とお知り合いなんですね、青森様」
恐一/……まあ、一応知り合いってコトで。それよりリスイちゃん、なんとかしてくれよ。
優斗/門が閉まっちゃったんです、開けてくれませんか?
GM/リスイは後ろの子ども達を見回してクスッと笑う。「本当に元気な子達だこと……斧を振り回したり、銃を撃ったりできるなんて」
優斗/……不干渉の式が視えてる!?
恐一/えっ? じゃあ……最初から刀持ってたの、バレてるっ?
GM/くすくす笑って、リスイは少し後ろに下がり……「全員合格です。どうぞ皆様、お屋敷でもう少し遊んでいってくださいませ」ペコリ――とお辞儀をして、フッと姿が消える!
昌幸/なっ!?
GM/消えました。……洋館のホームには君らのみが残されます。
恐一/……流石、美女は去り際も個性的だな。
勇規/……オッサン、撃っていい?
望彦/零距離射撃!?(笑) せめて優しく殴ってあげて!(笑)
優斗/合格、ってなんだ……とりあえず中に入ろうか。門が閉まったんだから中から開けなきゃダメだろうし。
恐一/ああ。よーし、行くぞチビッコ探検隊〜!
望彦/……。
勇規/……。
昌幸/……テンション下がるなぁ、オッサンが指揮ると。
恐一/お、お前ら、保護者の言うことはきくもんだぞっ!?(笑)
勇規/……っていうか、オッサンが保護されてる方じゃん。


 ★緑凰館1階

 @玄関ホール
  →A応接間 
  →B来賓室
  →C狩猟室
  →D食堂・厨房
  →E小部屋


GM/玄関から直ぐに入れる@玄関ホールは一般的な洋館らしい入り口が広がってます。……メイドが「明治時代の旧家」って言ってたよね。ホールから2階に続く階段が見えるよ。ちなみにオッサンがコーヒー飲んでたり窓の外を眺められたのはB来賓室。
優斗/2階に上がる前に手近の所から見て行こうか。――A応接間に入ります。
GM/A応接間には、……高級テーブルとソファがあり、壁には剥製がある。客人を通すべき印象の良さそうな部屋だ。……けどオッサンは思った。『さっきと雰囲気、全然違わないか?』。和やかにコーヒージャリジャリやっていた優雅さはドコにいっただろう?
恐一/全然暖かくもない……嫌な感じがするな。
勇規/室内を【手がかり】で調べます。(ころころ)よし、成功だ。
GM/小学生がてこてこもぞもぞと室内を調べると、……ジャケットを発見した。
勇規/……ジャケット?
GM/典型的な、年のいったオジサマが着るような男物の上着だね。
勇規/名刺とか入ってないかな?
GM/ライターやマッチはあるけど、名刺なんて大層な物は入ってない。……尚かつ、それは1着ではない……4着ある。――ではオッサンは思う。『こんなの、セレブな女性二人が着る訳がない』。
恐一/なっ、男の影!?(笑) フリーだって信じてたのに!
昌幸/……客が来てそのまま置いていった、んな訳ないか?
優斗/けど何かあることは間違いないなぁ。……別の部屋行ってみようか。次はA来賓室へ行くよ。
GM/廊下を歩けば直ぐ判る、オッサンがコーヒーを飲んでいた部屋です。……みんなが戦っているところを見て走って外に出たようだから、扉は開けっぱなしだね。中に入ると……テーブルにコーヒーカップと、お茶のセットがある。
優斗/うわ、砂糖どっちゃり(笑) ……コーヒーの中に何か仕込まれてたりしないよな?
GM/それは、調べてみないと判らないな。
優斗/小指の先でペロッ。
望彦/ペロリ、これは青酸カリ……みたいにならないよね?(笑)
昌幸/俺はコーヒーの中身を【分析】で調べる。(ころころ)成功だ!
GM/コーヒーを飲んだ優斗と三日原くんは、普通のコーヒーの味がするって思った。で、ポットを調べたマー君は……カラカラ。
昌幸/はい?
GM/何かが入ってることに気付いた。
昌幸/うん? カポッ……適当な皿にあける。こぽこぽ……。
GM/ざらっ。
望彦/ざら?
GM/髪の毛の塊と、丸いもの……眼球が転がる。全員【恐怖判定】! オッサンはいっぱい飲んじゃったからマイナス20で!
優斗/ヒイィッ!?(ころころ)18、成功!
一同/(ころころ)成功です!
GM/お、全員成功か。……じゃあ口にした人は(ころころ)MPにダメージくらってください。オッサンは3点、2人は÷2の1点!
勇規/良かった、飲まなくて……ノリで行動しちゃダメだね。
恐一/さ、砂糖の味で誤魔化されてたんだな……これはメイドのリスイちゃんが淹れてたんだが……。
GM/クルシイ。
恐一/え?
GM/クルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイ――そんな声が、沢山コーヒーを飲んだオッサンの体を襲う。【恐怖判定】!
恐一/(ころころ)成功!
GM/む、それじゃオッサンの体に色んな声が流れ込んできたけどなんとか防ぎきった。……この眼球を見ているとずっと声が聞こえるね。
優斗/この眼の声だってか。……一旦外に出て右の方に行こう。
勇規/……そういえば、エクスカリバーたんは?
GM/呼べば来るよ。てこてこてこ。ぺこり。
恐一/……オイ。なんだ、あのロリッコは?
GM/「エクスカリバーたんだよ。一応ついてこられるけど、私自身は干渉は極力避けてるの。だから消えてたんだけど」
恐一/よ、よろしく、エクスカリバーたんっ!(笑)
昌幸/……危ないから近寄っておかないでね。――じゃあ今度は隣のC狩猟室に行こう
GM/ハイ、隣の部屋だね。――ガチャッと扉を開けてみると、そこは……剥製があったりライフルがあった。物置と言うにはちょっとお洒落な気がするね。
昌幸/……コレクションルームってカンジか?
GM/そんな感じ。リアルな剥製があったり、熊の毛皮が飾られていたり……どれも高そうな物がズラリと並んでる。エクスプローラーの人なら判るけど、山のセットを一式まで見付けられた。
勇規/ランタンとかシャベルがか……なんか、親近感の湧く道具が置いてあるな。
優斗/……なあオッサン、ここのお屋敷の奥さんやメイドさんってこんな山登りをするような人だった?
恐一/いや、清楚な令嬢って感じだったぞ。
昌幸/……じゃあ変だな。昔誰かが住んでて……お父さんとかが使ってたとか?
優斗/……わかんない。から、隣の部屋に行こう。Eの、小さな部屋に移動する。
GM/他の部屋に比べるとちょっと小さめであろう部屋があるよ。……鍵が掛かってるけど。
勇規/【鍵開け】いきます。(ころころ)失敗……したから、リボルバーで鍵の部分を撃ちます。(ころころ)あ、コッチは大成功だ……ダメージ2倍で26。
GM/うわ、すっげえダメージくらった(笑) バアンと的確に撃たれて……ぎいぃぃ。扉が開けられます。
勇規/……どんな感じ?
GM/一見、女性の私室のように見える。ベッドがあり、机があり本棚があり……。
優斗/メイドさんの部屋だな? 【手がかり】いくよ。(ころころ)よし、クリティカル!
GM/さっきからクリット続きだな(笑) ……机の周辺にある小さめな本棚に書物がいくつかあるけど……その中に、女性の字で書かれた手記を発見した!
優斗/よしっ。中身ザーッと読んでみよう。
GM/けどそこで! 全員【知覚】でプラス10%判定を!
勇規/(ころころ)03、大成功しました!
GM/……だからやっぱりクリット多いよなこの卓(笑) では大成功のイサッキーは思った……この部屋に長居すると危険な予感がする!
勇規/ん、手記を持って逃げよう! 部屋を出てから読んで。
GM/メイドさんの部屋を出てから、優斗が手記を読み始めます。中に書かれているのは……。

 必要なものは1人の錬成につき2人分の血液が必要だと言われている。最低2人分なので、その量が多ければ多いほどいい。
 今日は、4人に手を掛けた。
 だが若々しい子どもにはもう廃れた大人の血は好まなかったようだ。イキのいい方が良い。やはり子どもを使うべきなのか……。


勇規/……レンセイ?
GM/その一言が何を意味するものか、気付きたければ【魔術】判定をどうぞ。
望彦/(ころころ)成功。まさか、錬成って言うのは……。
GM/黒魔術の知識を持ってる三日原くんはパッと思い出す。……『人造人間』、『ホムンクルス』、『人体錬成』……そんなキーワードが。
優斗/……あのさ! そういや今朝のニュースで男性が……ってやってたんだけど。
恐一/というか、……さっきの応接間で見付けたジャケットの数と合わないか?
昌幸/あ、ああ……もしかして、オッサンあのままだったらやられてたんじゃ?
優斗/確実にね。そして、僕らがイキの良いのってヤツになるのかな。
GM/どうだろ。では1階の残された部屋はD食堂・厨房だけになったよ。どうする?
優斗/勿論厨房の方にも行ってみるよ。ガチャリ、開けます。
GM/真っ赤。
優斗/……。
勇規/……【恐怖判定】、いりますか。
GM/うん。描写するとしたら……『部屋全体に飛び散る』ってこういうことを言うんだろうね。ここは厨房だから調理する場所だ。にしても赤いなぁ。
昌幸/(ころころ)う、ギリギリ失敗です!
優斗/(ころころ)失敗! あははは……けどまだ大丈夫。
勇規恐一望彦/(ころころ)成功!
GM/じゃあマー君と優斗はピキーン。けど成功した3人も流石にビックリするね。……血だらけで、血まみれの厨房。
望彦/……何が、そこに落ちてたりしますか?
GM/ゴロゴロ何かがあるよ。……色んな形で転がってるね。でもってオッサンが聞いた「クルシイクルシイ」コールが再生される。
優斗/うう……ホールに戻って、2階行こうか。


 ★@玄関ホール→2階へ


 G2階広廊下
  →H個室1
  →I個室2
  →J個室3
  →K書斎
  →L奥の部屋・寝室


GM/ホールまで戻ってきた君らは、階段を上ります。2階に上がると……広い空間に出た。幅のある廊下に……何かある。
優斗/何か?(ころころ)【知覚力】で調べて成功、アレは何だ……? 階段横からひょこって顔を出して見てみる。
GM/広廊下のド真ん中に、……人形が立っている。蝋人形だ。
優斗/……どんな人形?
GM/直立不動の、カツラも乗っていない真っ新な……男性の裸体だ。
恐一/全然嬉しくない!(笑) けど【神秘学】で調べてみる。(ころころ)成功!
GM/遠くからだけどオッサンは、……魔術的じゃないかと思った。今のところはただの人形に見えるけどね。
優斗/今のところは、だろ。何かスイッチを押せば動きだしたりしてな……多分襲いかかってくるだろうから、斧持って蝋人形の前に接近します!
GM/動きません。
優斗/……横を通る。
GM/動きません。
優斗/……動かないのか? でも誰かが命令下したら動くんだろうね……近付かないでおこう。警戒して、階段から一番近いH個室1に入ろう!
GM/H個室1を見ると、鍵は掛かってないみたいだよ。
勇規/じゃあコンコンとノックして返事を聞かずに開けてみます。
望彦/……。
勇規/……あれ?
望彦/……ちゃんとノックはするんだ?(笑)
勇規/……ああ、意味が無いっての。まぁいいや。
GM/ホントにイイ性格してんなアンタ!(笑) でも開けてみても、その部屋には特に誰もいないね。何があると言ったら、……オモチャが沢山あるぐらいだ。
昌幸/オモチャ?
GM/ぬいぐるみや着せ替え人形もあれば、特撮の変形フィギュアがあるよ。
勇規/子ども部屋か? ちょっと手に取ってみる。
GM/……あれ。『コレ、新品同様じゃないか』?
恐一/ん? ……子どもってさ、もっと乱暴に扱うよな? 買ったばっかみたいだな。遊んでいる形跡はなく、この部屋に置いてある……ような?
GM/そうだね。ここにはオモチャがあっただけだ。
優斗/……次の部屋を見てみよう。I個室2を開けてみる。
GM/こっちも部屋に人影はないようだ……そしてここも、オモチャの部屋と同じような感じがする。箱が沢山あるね。プレゼントボックスとでも言うのかな?
昌幸/プレゼント置き場? ちょっと箱の中、見てみます。ガサゴソ。
GM/靴下が入ってる……子ども用の。青い靴下だったりピンクの靴下だったり……そんな贈り物の中に、メッセージカードを見付けた。
昌幸/読みます。なんて書いてある?

「どちらが生まれてもいいように2パターン用意したの。使ってね」

優斗/……ねえ、僕の中の推測話していいかな。
昌幸/……どうぞ。
優斗/子どもが出来た。けど、死んでしまった。……なら新しく作ればいいじゃない!
恐一/『君の手で切り裂いて』系か(笑) ……次の部屋に行きます。Kの書斎に。
GM/隣は書斎というより、書物庫のような部屋だ。本棚には古い雑誌や本があったり……。
望彦/魔術書みたいな本はありますか?
GM/魔術を使う君なら直ぐに見付けられる。……神秘的なモノについて書かれた、黒魔術の本を。
望彦/猿でも判るホムンクルス入門とか?(笑) 他にも目立った物は無いかな……【資料検索】!(ころころ)成功です!
GM/では魔術書を見付けた三日原くん、……近くに手記を見付けた。
望彦/読みます。中は……?
GM/小学生がみんなで中を見合ってるんだね、微笑ましいなぁ。――どうやらコレは、日記のようだ。

 ○月一日
 やっと赤ちゃんがお腹を蹴ってくれた。

 ○月二日
 そろそろ名前を決めようとあの人は色々な名前の案を出してきた。気長に選ぼう。二人がずっと呼んでいく名前なんだから。

 ○月三日
 今日はあの人が仕事から帰ってきた後だというのにご飯を用意を用意してくれた。そんなことはメイドがやってくれるのに。とっても嬉しい。


勇規/……ノロケか? 文面に変化のあった日はないかな……。
GM/ペラペラ捲ると、……あったよ。

 ○月十五日
 告別式。

 ○月十六日
 遺骨。


昌幸/う……っ。
GM/そこから先は、一気に展開が変わっている。

 ○月二十日
 あの人が死んで1週間が経った。まだ実感がわかない。
いつ帰ってくるんだろう。遺骨を見ながら思う。

 ○月二十一日
 赤ちゃんが動かなくなった。


勇規/あ……。
GM/読んでると日記というよりはメモ書きっぽい印象を受けるね。そして……。

 ○月二十四日
 あの人は不運な事故だったという。ビル街で、上の方から物が落ちてきてそれに直撃という、非常に不運な事故死だった……と。
 そんな死に方、許される訳がない。こんな死に方が彼の運命だというなら、どうしてこんな悲惨なことを決めたのだろう。あの人が死ぬだなんて間違っている!

 ○月二十六日
 リスイが、興味深い文献を持ってきてくれた。
平成の世にこんなものが……?
 私は生きる希望を持てそうだ。いいえ、私達が再度生きていける……みんなで過ごせる希望が。

 ○月二十七日
 私は決意する。あの子たちと過ごすために。


昌幸/……旦那が死んで、その後に子どもにも先立たれて……。
優斗/……手記を持って、もう一つのJ個室3を調べに行くよ。そっちは?
GM/オモチャ部屋やプレゼント部屋に比べれば生活感のある部屋に見える。私室のように見えるけど、オッサンが寝ていた所ほどゴージャスでなければ、メイドさんの部屋ほど女性らしくもない。
優斗/……旦那さんの部屋かな? 一応【手がかり】しておこう。(ころころ)よっしゃ、成功!
GM/昔、誰かが私室として使っていたんだろうね……今は机にポツポツ何冊か本が置いてあるだけの部屋だ。そしてその一つに…………手記と、鍵を見付ける。
優斗/手記、捲ってみます。どんなこと書かれてる?

 流石、旧家の秋田家だ。古い血になればなるほど黒魔術の特性は上がる。しかし、黒魔術を使っている限り我々はいつ身を滅ぼすか分からない。

恐一/……なんか、怖ろしいワードばっかりだな。
GM/オッサンと三日原くんと優斗は判るよね。……魔術の知識や霊能力の才能は、遺伝するってことを。
望彦/あ、確かにそうだ。親父もお袋もそうだから……。
恐一/ウチもお袋がイタコだった……つまりは、キサさんもそういう力を持っているってことか。
GM/手記はまだ続きがあるよ。……描写を続けます。

 既にキサ様の子の魂はお腹で育っていた。
 まだ一般的に「生まれていない」と言われおうが、生態活動は行っていた。お腹の中で息をしていたのだから。
 だから、同じものをもう一度。もう一度……。


GM/「体は亡くしてもこの意志は持ち続けなければならない。すべては私達が平和に過ごすためだ。体が滅んでも私の心がずっと生き続けるように。魂をうつす手段は……」


 ★マスターシーン


 ぽつり、ぽつり、女はうわごとのようにその名を呼ぶ。
「まゆ、……ゆま……いっしょに過ごすの……まゆま……」
 ひとつ、ふたつ、彼らの名を、消え去りそうな悲しい声で、それでも確かに――赤い花の前で呟く。
「この体、滅んでも、この体、亡くしても、この意志は持ち続けなければならない。すべては平和に過ごすためだ……私達が滅んでも、貴方達がずっと生き続けるように」


 ★緑凰館 2階



GM/貴方達は夫の部屋から出て、オッサンが寝ていた部屋の前に来ました。2階で残った部屋はここだけだ。
優斗/中に誰かがいるのは確定だね。……心の準備して、開けるよ!
GM/優斗が手を掛けて、ギイイィ……と豪華な部屋を開けると、この屋敷で一番優雅な空間が広がる!
恐一/そこで寝てたんだよな、オッサン似合わねえ!
昌幸/なんという気持ちの悪い構図。で、中には……?
GM/朝見た時の通り、優雅な部屋……だが。オッサンの見覚えの無い物がある。数体の……蝋人形が立ってこっちを見ているね。廊下に立っていたのと同じような物が数体。
恐一/なっ、こんなモンは前には無かったぞ!
GM/そして、その横に女性の二人が……穏やかな笑みを浮かべている髪の長い女性と、メイド服の女性が立っている。
恐一/キサちゃんと、リスイちゃん……。
GM/「なんでしょうか、青森様?」キサがにこやかに応えます。
恐一/何なんだ、この……蝋人形は。
GM/「観客ですよ、ただの」
優斗/……何を見せるの?
GM/「貴方達の、生き様をこの子達にも見せてあげてください。もう貴方達がイキのいい元気な子達というのは外の戦闘でよく判りましたけど。貴方達の出す綺麗なオーラがもっと見たいわ。……本当に素敵なオーラ、合格よ」
優斗/……『生贄』に?
望彦/一階の厨房にいた男達みたいにするのっ?
GM/「そう。もっと足掻いてイキの良いオーラを出して! それを使わせて頂くわ。私達は私達のしあわせのために頑張っているの……平等なしあわせを、我らの手で作り出すために!」
恐一/……足掻けってことは、打ち破ってもいいってことだよな?
GM/「ふふっ、そう簡単に打ち破れるものかしら?」……キサの後ろにいたメイドが、カツカツと前に現れ、ブンッと大きな武器を出す! ――ハルバートを。
優斗/ハルバートぉ!? 僕と同じようなやつか!
GM/ハルバートは重すぎて『普通の人間では使えない武器』でもあるんだよ。しかも君達にはアレが、……我々と同じ『不干渉の式』の物だと感じる。
優斗/……そっちにはそっちにバックがついてるの? それとも独自に持ってるもの?
GM/「バック? ……秋田家は古い血だから不思議な力を持っているの。遺してくれた文献にあった不思議な武器よ。それを使ってる貴方達も『そうなんでしょう』?」
望彦/……ん? セカイたんのことは知らないっぽい?
GM/ではオッサンを見てキサさんは言う。「貴方も培養液のタシぐらいにはなるでしょうね!」戦闘入ります!

 ●戦闘/1ターン目
GM/斧槍を持つメイドが前衛、後ろにキサが下がります。お互い君らから十トール離れてますよ。メイドさん敏捷値は8、キサさんの敏捷は5。ではどうぞ!
恐一/いけ、チビッコ! 足掻けるなら足掻いてみなさい発言にみんなの闘志が燃えてるぞ!
勇規/今まで屋敷内をウロウロさせられた恨み辛みがあるしな……リボルバーをメイドさんに撃つ!(ころころ)……大成功、ダメージ2倍で22!
GM/おおっ、これは素晴らしい! バァンッ……打ち所が良くいきなり大打撃を食らう!
優斗/んじゃ、前に行って攻撃するよ!(ころころ)……ゴメン、またクリティカルだわ。24点、ガスッ!
GM/うわあ、いきなりボロボロになったぞ? ……では斧使いのメイドは反撃を襲いかかった優斗に。斧VS斧だ!(ころころ)……あの、クリティカル出したんだけど。
優斗/ええっ!? い、一応回避するよ!(ころころ)か、回避大失敗……何やってんだ僕!
GM/えーと、じゃあガスッと斬りつけてきた優斗をリスイも斬り返す! 斧で貴方の小さな体をザシュッと……16点ダメージな!
優斗/食らった上に大失敗で転倒した! 思いっきり斬りつけられてそのままバタンッ。
昌幸/大丈夫か! こっちは怪光線いっきまーす、エクスカリバーたんのご加護がありますよーに!(ころころ)……08でクリティカル。ダメージ2倍で、14点! エクスカリバーたんありがとう、みんなヤル気出てるよ!
GM/……さっきから凄いコンボだな全員!(思わず拍手をパチパチ) メイドは大ダメージ連続で膝をつきます。1ターンでか!
恐一/ヤラれる前にヤレ! 【霊能力】でエーテルナイフいきます。(ころころ)91……普通の失敗だ。どんなに仕打ち受けようが女の人には手を上げられない!(笑)
望彦/女性相手だしね、フェミニストめ……いや単なる女好きだけど。
GM/では今度はキサの番だね。彼女はふっと手を上げて、呪文を唱え始める。(ころころ)全員【抵抗力】ロールを!
一同/(ころころ)成功!
GM/全員成功したか。では全員、直感的に「何かされる」ことを気付き身構えた。……そして何も起こらない。キサさんは舌打ちします。
望彦/何かやられたんだな、良かった。じゃあみんな目を瞑って! 【魔術】で電撃!(ころころ)ギリ成功、2人に10ダメージ!
GM/ピシャーン! 電撃を食らい……メイドさんはガクッと倒れ動かなくなり、……姿を消した。どうやら召されたようだ。

 ●戦闘/2ターン目
GM/では、ターンの最初に戻ります。2ターン目開始……と言わず、「7ターン目開始」と言いましょうか。
勇規/……やっぱり何かあるんだな? でも判らないからリボルバーで撃ちます。(ころころ)88で失敗です……あれ?
優斗/よいしょっと、僕は立ち上がるだけでターン終了!
昌幸/今度はキサさんに怪光線撃ちます、おりゃっ!(ころころ)……99。
優斗/あ。……バックファイア!?
望彦/大失敗か! マサ、平気!?
GM/ついに出ました、バックファイアだね。それでは『レベルと同じ個数十面体を振りその合計をMPダメージとして減らしてください』。……レベル2だから2D分ダメージだ。
昌幸/は、はーい……(ころころ)0と2だから、12点ダメージ?
恐一/こ、今度こそ【霊能力】エーテルナイフいきます!(ころころ)成功、14のHPダメージをキサちゃんにザシュッ!
GM/ナイフを青森様からくらって、……動き出しますよ。さっきは全員効かなかったから(ころころ)今度は優斗に。【霊能力】で……矢を飛ばす! アストラルアロー、MP7のダメージ!
望彦/5レベル使いか……早く倒した方がいいな。全員目を瞑れ、電撃!(ころころ)成功、キサに10点ダメージ! こっちは雷の矢が飛ばすぞ!

 ●戦闘/3ターン目
勇規/これで8ターン目……もう1回リボルバーいきます。(ころころ)成功で、12のダメージ!
優斗/ハイハイ、今度はそっちに斬りに行くよ!(ころころ)よーし04、クリティカルだ!
GM/優斗は相変わらず殺意高いな。食らいますよ。
優斗/けどダメージは低い、10点! きっとHPはそんなに高くないだろうから次お願い!
昌幸/けど心霊機械壊しちゃったから【心霊機械修理】やります。(ころころ)……しかも79なので失敗。うわーん直らないー!
恐一/泣くなよ、お前それでも天才少年だろ! オッサンはまたエーテルナイフいきます。(ころころ)35で成功、8のダメージ!
GM/ぐっ。ナイフを食らって、ザシュッ……急所に当たったんでしょう。キサはゴフッと血を吐き、倒れます。どくどくどくどく……血が流れる。そして動かなくなった。

勇規/……なあ、これって大丈夫なの? 社会的犯罪者とかならないのか?
GM/どくどく、どくどく……ガタンッ!
望彦/なにっ?
GM/この部屋ではない所で物音!
優斗/えっ!? 後ろ振り返って廊下を見る!
GM/バッと振り返って廊下を見ると、中央にあった筈の蝋人形はおらず――階段をバタバタと駆け下りていく音が聞こえるのみ!
優斗/追い掛ける! 廊下に飛び出して……【追跡】!(ころころ)40、成功!
昌幸/あ、じゃあ俺も【追跡】を。(ころころ)だ、大失敗だ……。
GM/じゃあマー君は階段を下りる時に転んで。
昌幸/うわあぁん、踏んだり蹴ったりだー!(笑)
GM/ぽてぽてとチビッコ達は走って1階に下り、優斗を先頭に足音のした方向へ走っていくと……厨房の部屋の隣の壁にブチ当たる。
優斗/見失った?
GM/『ここまで来た』ということを、優斗は【追跡】スキルで判ったのです。……1階の厨房まで来たことに。
恐一/厨房か、凄く嫌な予感がするんだがな……【霊能力】で逃げた蝋人形を調べる!(ころころ)成功。
GM/ではオッサンは「思いっきり、この近くに何かある」と思った。
優斗/……壁を【手かがり】で調べるよ。(ころころ)成功。
GM/……壁が、おかしい。ここの先に空間がある。
昌幸/……今のうちに【心霊機械修理】!(ころころ)やっと直った〜! それと回復もしておきます。
優斗/この先……行けるな。隠し部屋を開けるよ!


 ★隠し部屋


GM/扉無き部屋を開くと――そこは薄暗く、床一面にまがまがしい魔法陣が描かれた場所だ。
優斗/魔法陣……ここが本拠地か。
GM/そして、室内の奥には水槽……真っ赤な水槽がある! 全員【恐怖判定】プラス10%!
優斗/(ころころ)やべ、失敗。
一同/(ころころ)成功!
GM/では優斗がビクッとしたけど、他のみんなは何が起きてもおかしくないと思ったのかな。――水槽の前には裸体の蝋人形。水槽を眺めていると……ガタリ、水が揺れる。
勇規/廊下にいたやつと同じものか……?
GM/そのようだ。さっきまで動かなかった人形が赤い水槽の前に立っている。――そういえばどっかの手記で読んだよね。『この体、無くしても……』
優斗/……移ってるのか! 魂の方を壊さないとダメだってこと?
GM/水槽の前の人形は語り出す。カタカタと……歪な声で。「マユ、起きて……貴方なら起きられるでしょう?」
恐一/……キサちゃん。
GM/人形が語りかけると、室内の物がガタガタと揺れ出し、水が跳ね出し……そして、バキッと水槽にヒビが入る! ザバーと赤い液体が噴き出し、床に流れ、びちゃりと水槽内にいたモノが投げ出される。
望彦/うわっ、何だッ?
GM/びちゃっ! ビチッ、びち……と跳ねる何か。どうやらそれは……『少女と思いたいモノ』だ。
勇規/……少女っぽいけど、明らかに異形なモノ?
GM/そう。ドロドロで未完成のホムンクルスだ。人形は、人形なのに感情があるような声で笑い出す。「会いたかった、私の赤ちゃん!」
恐一/……。
GM/人形だから無表情だけど、その魂はとても喜んでいるようだ。――少女と思いたいモノが、ドロドロの口を開き喋り出す。「……サムイ……モット……欲シイ……」
望彦/……もう見てられないな、これは。
GM/「欲しいの? 欲しいのね? まだ足りないのね? 判ったわ、母乳の代わりに……貴女に欲しいものをあげる! 私が用意してあげる! 待ってて!」
恐一/……キサちゃん! 何してんだお前はっ!
GM/「ああっ、貴方にも判るでしょう、子どもの誕生の瞬間……こんなに胸がときめくなんて! 私達は平等に生きるの。それは決して悪いことじゃないわ!」
恐一/そんないいもんじゃないだろ、それは! いいかげん戻ってこい……!
望彦/……オッサン、もう彼女はダメだ。声は届かない。
優斗/他人の命を犠牲にしてるんだからさ、既に平等じゃないよね。もう犠牲者出てるんだからこれ以上出しちゃダメだし。……これは正当防衛だ。
昌幸/オッサン……仕方がないよ。腹くくれ!

 ●戦闘/1ターン目
GM/それでは戦闘です。室内十メートル以内に、キサと思われる蝋人形と未完成ホムンクルス。イニシアチブは人形が5と、ホムンクルスが3です。――ついでに。(ころころ)7が出ました。8×7で……56。
恐一/……何の数字?
優斗/8は「8ターン」ってことじゃない? ……多分「ヒ」が付くものかな。
GM/多少補正は付いてるけどね。それじゃ一番最初、イサッキーどうぞ!
勇規/はい、……まずドロドロした女の子らしき物体にリボルバーいきます。(ころころ)……99で、失敗。
GM/うわ、今度はいきなりファンブルか。……銃が壊れたよ。
勇規/……どうしよ、殴りに行こうかな。
優斗/その方がいいと思う! じゃあ僕は普通にホムンクルスに近付いて、攻撃!(ころころ)ダメ、失敗! 横の床をガンッ!
昌幸/では蝋人形の方に生態磁力放射線いきます、MP攻撃を!(ころころ)93……ギリギリただの失敗だ、ボフンッ!
恐一/オッサンも蝋人形の方へ近寄って、【霊能力】でアストラルナイフを作ってから【武器戦闘】で手に持って攻撃します。(ころころ)【霊能力】は普通に成功。【武器戦闘】は(ころころ)……96、大失敗。
GM/……あれ、今度は失敗続き? 大失敗表いこうか、オッサン。
優斗/……なあ。もしこれで『自分を攻撃』になったらオッサン、死ぬんじゃないか。
恐一/大失敗表、(ころころ)82です。
GM/……『攻撃が自分に命中します』。
恐一/……あ。
GM/通常通りのダメージを出して、減らしてね。
恐一/(ころころ)……MP、0になりました。
望彦/……発狂した?
優斗/発狂した!? 誰か、絵札持ってないか!?(全員、首を振る
GM/持ってないようだね。――MPが0になるとキャラクターは狂気に支配されます。これは一時的なもので『MPを1点回復する』か『心理療法を行う』ことにより治ります。狂気に陥ると、恐怖のあまり自制心や理性を失ってしまいます。狂気の種類を決めましょう。オッサン、山札からトランプをひいて。
恐一/(おそるおそるトランプを1枚引く)
GM/はい、そのカードの種類は……クラブの3。(ルールブックを見て)『致命的状況』。錯乱状態になり、武器で攻撃をしかけます。
一同/げっ!
GM/命中ロールを行い、失敗すると自分に、成功するとその場の誰かを攻撃します。通常通りのダメージを行ってください。
恐一/(ころころ)88なんで……失敗です。
GM/じゃ、自分にHPダメージが入ります。誰かに回復してもらわない限りオッサンの自傷行為は続きます。
優斗/つまり、日本刀を抜いて自分に攻撃し始めたってことかな……オッサン、本気で死ぬぞ!?
望彦/お、俺がオッサンのところに行くから! 俺からMPを譲って正気に戻す!
GM/その前に人形が動き出すけどね。(ころころ)……人形の背後に矢が現れる。マー君に向かって、【霊能力】エーテルアロー、HPに8ダメージ!
昌幸/回避!(ころころ)成功。それよりオッサン、大丈夫かー!
望彦/オッサンがいるところまで駆けつけて、サプライメンタルパワーします。(ころころ)成功、MPを1点譲渡……ゴメン、1点しかあげられないんだ!
GM/でもオッサンは1点回復、正気に戻ったよ。……この戦闘が終わったら後遺症を決めるけどそれまでは普通に戦闘再開します。それではホムンクルスは目の前の優斗に!(ころころ)起きあがって襲いかかる……ダメージ9点!
優斗/(ころころ)回避成功、身を捩って避ける! ちょっと痛いぐらい平気だよ。

 ●戦闘/2ターン目
勇規/……三日原が目の前に来ちゃったんで、俺が盾になりに行きます。移動してからさっき壊れたリボルバーを修理するよ。
GM/ホムンクルス前まで移動して修理か。それで1ターン費やすね。
優斗/食らわせる訳にはいかないからね。……僕はそのまま目の前のホムンクルスに斬りかかるよ。(ころころ)よっしゃ、クリティカル……殺意満々で26点!
昌幸/こっちはキサさんに生態磁力放射線!(ころころ)……失敗。
恐一/回復してくれたんで、ぐにょぐにょの方に行きキョウジたんで斬りかかります。(ころころ)72で失敗……。
GM/ではキサさんの番だけど……目の前で庇う宣言をしてくれたイサッキーに襲いかかる。魔法ではなく人形が殴りにかかってくる!
勇規/回避。(ころころ)クリティカル……ダメージ0だ。
望彦/スカッ! ありがとうイサッキー……今のうちに俺は下がるから! で、下がった位置から【霊能力】アストラルナイフ!(ころころ)ダメだ、失敗!
GM/不調なんだか、でもクリティカルはちゃんと出してるんだよなぁ。ではホムンクルスは(ころころ)優斗に攻撃、HPダメージ14!
優斗/(ころころ)回避は、成功……まだ平気だ。

 ●戦闘/3ターン目
勇規/蝋人形の前にいつつ、ホムンクルスをリボルバーで攻撃!(ころころ)成功、ダメージは……14!
優斗/横からバンバン撃ってもらってる隣で攻撃!(ころころ)67、失敗!
昌幸/こっちは人形を!(ころころ)やっと成功、7のMPダメージ! 次は電池交換しなきゃ……。
恐一/ぐにょぐにょをキョウジたんで攻撃します!(ころころ)成功、7ダメージ!
GM/確実に減ってきてるよ。では、キサは目の前にいる……イサッキーを襲う。(ころころ)8のHPダメージを!
望彦/人形はMP攻撃じゃないと倒せないんだから……イサッキーに【霊能力】エンチャントをかけます!(ころころ)あ、96って大失敗じゃん、最悪だ!
GM/よし。という訳でホムンクルスは優斗に(ころころ)ダメージは8点で攻撃!
優斗/グッ……でもそろそろちょっと体が半分刮げてきたかな。

 ●戦闘/4ターン目
勇規/リボルバーでドロドロした方を撃つ!(ころころ)……81で失敗です。
優斗/そろそろHPがヤバイから自分に【魔術】回復を使う!(ころころ)……くそ、失敗!
昌幸/俺は、電池交換です。ガチャガチャ、ターン終了。
優斗/ドロドロの方にキョウジたんで斬ります。(ころころ)……64で失敗。
望彦/おーい、だんだんみんなのダイス目が悪くなってきたぞ!(笑)
昌幸/エクスカリバーたーん! 我らのご加護をーっ!(笑)
GM/みんな可哀相なぐらいになってきたな。……けどキサさんいくよ。そろそろ違う行動をしたくなってきたので(ころころ)全員【抵抗力】ロールを!
勇規/(ころころ)どうしよう、大失敗だ……。
恐一/(ころころ)俺も失敗!
優斗昌幸望彦/(ころころ)成功。
GM/それじゃ、オッサンとイサッキーに……一瞬、光が襲いかかる! 【霊能力】フラッシュ、目潰しです。次のターンから【抵抗力】10%に成功しない限り目が見えません。
望彦/しまった、これじゃエンチャントかけても無駄になる……。なので、自分で蝋人形にアストラルフィストで攻撃しかけます。(ころころ)……あ、大成功だ、16のダメージ!
GM/ガスッ、MPで大ダメージ食らった。――ではホムンクルスはびっちびっちと(ころころ)オッサンの方へ攻撃。……目が見えなくなってるんだから回避できないよね? 10点のHPダメージ。
恐一/問答無用で当たっちゃいます。それなりにヤバくなってきてるかも……。

 ●戦闘/5ターン目
勇規/【抵抗力】いきます。(ころころ)……あれー、98だ。
優斗/もう一回回復!(ころころ)また失敗!
昌幸/生体磁力放射線、エクスカリバーたんお願いだ当ててくれ!(ころころ)27で成功! 7ッス!
GM/ビビビと人形にMPダメージが当たり……ガシャーンと崩れ落ちる!
昌幸/やった、倒した!
恐一/これで後はHPダメージの奴だけ! その前に目が見えるようになりたいな……【抵抗力】で。(ころころ)87失敗だ。
望彦/ちょっとヤバそうなオッサンを回復するよ。【霊能力】トリートいきます。(ころころ)成功……5点の回復して。
GM/折角削ったところ回復されたから、オッサンに攻撃しよーっと。(ころころ)あ、失敗だ。スカ。
恐一/良かった! まだ目見えてないから避けられねえよ!

 ●戦闘/6ターン目
勇規/プラス20で【抵抗力】……治ってくれ!(ころころ)24でやっと成功、そのまま撃ちに行きます!(ころころ)……66でギリギリ失敗です。
優斗/もう回復はいいや、斧で斬りに行くよ!(ころころ)……大失敗。くそ、武器を落とした!
昌幸/本当にエクスカリバーたんオネガイします、怪光線!(ころころ)成功……10点のダメージ!
恐一/視力回復!(ころころ)84でギリギリ成功! 攻撃いきまーす。(ころころ)成功、8ダメージです!
望彦/そろそろボロボロの筈だ、コレで最後! エーテルフィストで(ころころ)成功、8のダメージ! そろそろ逝ってくれー!
GM/……逝った!
一同/やったあ!

GM/それでは、戦闘は終わります。――オッサンはフラフラしててね。普通だったら倒れてるところだけどとりあえず踏ん張っている状態で。三日原くんが拳でトドメを刺すと、生まれたてのクリーチャーは大人しくなり……息を引き取った……けれど人形はカタカタとまだ動いてる。
恐一/ま、まだ生きてるのかよ……?
GM/ううん、もう奴は壊れかけだ。生きちゃいない。カタカタと口元が動くのみ。「愛する子どもと生きること……それは大人の最大のしあわせ……子どもを見守ることは大人のギ……ム……」カタカタ。
優斗/……その為に犠牲作っていいと思ってんの。誰にだって、貴方みたいな母親がいるんだよ。
恐一/って言うか子どもを……コイツらを犠牲にするなんて、最悪だ。
GM/「悔し……くやし、か」ボッ! 体が、青い炎で燃やされる。
恐一/……。
GM/青い炎は燃え、人形が跡形も無く燃え尽きたとき……魂が上へ抜けていく。――そしてオッサンは、喉に残るむず痒さが抜けたような気がする。
恐一/お……クリア、したのか?
望彦/……良かったじゃん、オッサン。死の運命から逃れられたんだ。
GM/そこにエクスカリバーたんが姿を現します。「青森恐一。貴方がスッキリしたならそれは貴方の生命の危機が完全に消滅したってことよ」
恐一/……なあ。今回のアレは、俺にどう関係していたんだ?
GM/「……住む人を無くしたこの屋敷は取り壊されるわ。調査に来た者の手で男らの死体が発見される。住んでいた人間も消え去ったから、主を亡くした謎の館は取り壊される。そして3年が経ち、この一帯に高層マンション街が建設される。それは『絶対に起きなければならないイベント』よ。何度時間を遡ってやり直してもこの屋敷は3年後にはみどりハイツになっているわ。世界が決めた『絶対に通過しなきゃいけないイベント』だからね」
優斗/って事は、僕達がいなくてもここは絶対に取り壊されると……。
GM/「正規の歴史では、取り壊される前に立ち入った業者は死体を発見する『だけ』なの。未完成のホムンクルスは見付からない。既に人間ではないキサは手に入れた古い血の秘術によって……魂を乗り移っていくから」
望彦/魂を乗り移る、……あっ!
恐一/魂が乗り移って、乗り移って、乗り移って……サキに!
GM/「何度も器を入れ替え、この風水的に怨霊達が集まりやすい地に留まった魂は十年後、ある器に身を宿した。『ずっといっしょに生き続ける』、その強い思念を強く持った彼女は十年後まで秘術を使い続けていった……」
恐一/『ずっといっしょ』……か。
GM/「けれど、これから十年この地で彷徨う筈だった魂を貴方達は倒した。サキちゃんに取り憑く怨霊がいなくなった。だから青森恐一を殺す怖れが無くなり――心のモヤモヤが解消されたの。……その代わり、貴方には『違うもの』が付いちゃったみたいだけどね?」
優斗/違うもの……後遺症か(笑)
GM/それじゃオッサンの後遺症を決定するか!(笑) 簡単にダイスで決めることにするよ。十面体を2つ振ってその合計を教えてね。何になるかだけど、
 A癇癪、B記憶喪失、C強迫観念、D暗所恐怖症、E異人恐怖症
 F衣服恐怖症、G海洋恐怖症、H群衆恐怖症、I高所恐怖症
 J昆虫恐怖症、K死体恐怖症、L女性恐怖症、M先端恐怖症
 N騒音恐怖症、O男性恐怖症、P動物恐怖症、Q爬虫類恐怖症
 R広場恐怖症、S閉所恐怖症、の中から決めもらうから。
優斗/キャラロールに影響出るだけでいいんですか?
GM/能力値まで変わると面倒だからね。オススメはLとか、刀持ってるのにMかね?(笑)
恐一/じゃあ、ふりまーす。(ころころ)……13です。
GM/……え?
恐一/……13です。
一同/……。
GM/……本気ですか。
恐一/……はい。
GM/……『女性恐怖症。女は計算高く、いつも陰謀を巡らしてると思っています。』
望彦/オッサンが、女嫌いになった!(笑)
恐一/女性恐怖症になりましたー!(笑) 女なんて! 女なんてぇー!(笑)
昌幸/ギャグの神様ありがとうぉーっ!(笑)
優斗/なんというダイス目!(笑) オッサン、何やってんだよ!?
GM/……いやぁ、こんなこともあるんだなぁ。これで元の時代に帰る……前に。勇規くんが言ってた遊園地にでも行きましょうか!
昌幸/わーい! オッサンが金払えよ!(笑)
恐一/はい、今回は凄い迷惑を掛けたから今回は全責任を持って払わせて頂きます……遊園地、行くぞぉー!
一同/おーっ!(笑)


 ★マスターシーン


「それではみなさん、さようなら!」
「さようならー!」
 それは、とある小学校の風景だった。
「じゃあねー、サキちゃんー!」
「じゃあねー! バイバーイ!」
 楽しい学校が終わり、帰宅につく元気な子ども達。
 季節は3月。そんな平和な小学校の場面、……一人の少女はウサギ小屋の前にいた。笑顔でエサをやり、ウサギと戯れる少女。
「いっぱい食べて大きくなりなよ。でも草ばっかり食べているのもかわいそうだよね。ウサギさんもオムライスやハンバーグ食べられたらいいのに」
 新学期の新しい季節……4月まではあと数日。ウサギの世話を懸命にする彼女に、一人、声を掛ける。
「ケイコちゃん、キミは本当にウサギが好きなんだね」
「うん、大好き!」
「ウサギの体を気遣っているのなら、お薬をやるといいよ。お薬は体にいいものだもの」
「あ……そっか! ありがとう――!」
 少女が笑顔で笑った後に、少年も静かに笑った。
 一人、静かに。

「我ながら悪知恵が働くものだな。これで彼女は失意に、……。
 まぁ、幼稚だが、十歳児だから仕方ない。やっと冒険できる年頃になったのだから、慎重に行くか――」