ゴーストハンター02・リプレイ・パラドックスの椿
■ 第3話 『いちりんのはな』 ■
2007年5月31日




「2番線に電車が到着します。黄色い線より内側に……」
 アナウンスが流れる駅。近付く電車。鳴り響く汽笛。
 ……ひやり。
 背中が冷たい。物凄い冷気。凍り付いた手の感触。――ドンッ!
「おいっ!?」
「優斗ぉ!?」
 大声を上げる友人。足が宙を浮き、転がり落ち、そして――。
 ……ガタガタ、ガタガタ。いつまで経っても震えが止まらない。

「どうして? あの子? 関係無いでしょ? それとも誰だっていいの? いいえ、恨んでいるのは私でしょう――!?」
あ、ああ……貴方……。
「やっぱり、……私を……」


 ★オープニング/浅霧優斗



 ちゅんちゅんというスズメの声……窓からはサンシャイン。
 そんなごく普通の朝。――カレンダーは、四月九日月曜日。時刻は午前七時。


GM/おはよう、浅霧くん。君は自分の部屋にいるよ。
優斗/トントンと肩を叩いて起きあがります。はあー、明日かー……こうやって目覚められるのがあと1日か。
GM/でも今日はいつも通りの朝だね。あっちの方からお母さんが「早く起きなさーい! ゴミ出し手伝いなさーい!」とか言ってる。
優斗/はいはーい……ゴミ出しぐらいしますよー。
GM/「寝惚けてないでコレよろしくね、優斗!」……と言ってるお母さんの頭に剣が刺さってる。
優斗/ちょおっ!?(笑) ……抜きます。
GM/「きゃっ!」
優斗/自分の部屋に戻ります。……って、何やってんだエクスカリバーたん!(笑) 人の頭に刺さっちゃダメ!
GM/「……刺さるという行為を否定されると私のアイデンティティの喪失になるんだけど?」
優斗/それなら机とかに刺さって! 人に刺さっちゃダメ!(笑) ……とか言いながら着替えてる。
GM/じゃあ着替えている最中にお話でもしようか。「おはよう、浅霧優斗くん。ごきげんいかが?」
優斗/……最悪。
GM/「村上くんはカノジョとデートでウハウハしてたわよ?」
優斗/……アノヤロウ、コロス。
昌幸/せ、せっかく死の運命から逃れたのに!(笑)
GM/新たな死の予感(笑)「……浅霧くん。ここは4月9日午前7時の世界……まぁ、村上くんを救ってから1日しか経ってないから判るでしょうけど。今日も貴方がごく普通に朝を迎え、ごく普通に過ごし、ごく普通に生きる一日のスタート地点よ。貴方の死についておさらいしておこうかしら?」
優斗/……一応、頼む。
GM/「二〇〇七年四月九日十七時。東武東上線志木駅上り線にて、貴方は死んだわ。どんな死に方だったか覚えてる?」
優斗/なんか冷たい気配がしたと思ったら、ドンッと押されて……こっから先は思い出したくない。
GM/「うん、そうね。電車に潰されてぐっちょんぐっちょんになったとか思い出したくないよね」
優斗/やめてええぇー! 朝から食欲なくなるから!(笑) ……じゃ、この荷物に刺さって。斧持って、行ってきまーす。
GM/「男の子なんだから朝食べなきゃダメじゃないー。……話は戻すけど、貴方の背中を押した子が犯人だと思ってくれて結構。今更言うのもなんだけど、その押した子って言うのは『姿無き者』よ」
優斗/……透明人間か?
GM/「完全に実体化して襲いかかってくるコクルイとは違うってこと。姿見えたらその場で貴方のご学友に取り押さえられるしね」
優斗/……そういや、僕は死んだ後『自殺』になっていたらしいね。
GM/「そうみたいね。……じゃあ、最初に私から一つ情報をあげる。これを生かすか生かさないかは貴方次第ね」そう言うとエクスカリバーたんは、鞄に刺さっていたけれど……貴方の頭にグサッと刺さる。
優斗/ぐはあっ!(笑)
GM/霊感のある奥様がまたビックリするね。
望彦/(いきなり奥様になって)ひ、ヒイイィッ! また剣が刺さってる子がああぁっ!(笑)
GM/「はいはーい、抜かないでねー」ミミミミミミ――。
優斗/ぎゃぎゃぎゃぎゃっ!?(笑) ちょ、直接なんだよぅー!?
GM/「直接貴方にインストールしてるだけよ。ここだけ機械っぽいけど許して!」……では、貴方の頭の中に映像が現れる。履歴書のように無表情の人物の姿が思い浮かぶ。貴方の頭の中にデータが送られたかのように……。
優斗/……エクスカリバーたん、ハイテクすぎるぞ(笑)
GM/貴方の頭の中に現れたのは、一人の女性。年齢は二十前半。栗色の長い髪を上にリボンで束ねて、きっちりとしたスーツを着込んでいる。「名前は梅木マリナ。貴方達学生と同じように東武東上線上り電車を毎日使う人間。……そして、二〇〇七年四月十一日に、ある怨霊に後ろを押され水死する女性よ」
優斗/十一日……今回は、前に起きる事件じゃなくて後に起こる事件なんだな。
GM/「貴方の死の周辺で一番似ている事件を追っていたらそれがヒットしたの。……貴方は運命を拒もうとしているけど、彼女は知らずに当日を迎える人間……だから何って言わないでね」
優斗/僕が犯人を倒せば、きっと彼女も救えるってことか。
GM/……では、そんな君の携帯電話に着信メール。
優斗/誰?
GM/オッサンからだ。
優斗/読むよ、何だって?
GM/『件名/死ぬ』。
優斗/……はい!?(笑)
GM/『本文/みどりハイツ、9時集合』。
優斗/……。学校と家に電話します。


 ★みどりハイツ


GM/ではみどりハイツに全員登場。テキトーにみんな、入ってきてください(笑)
望彦/おーいオッサン、生きてるかー!
昌幸/オッサン、なんですかさっきのメールは……縁起の悪い。何が言いたいんだ、全く。
優斗/僕は頭にエクスカリバーたんを刺しつつ来るよ(笑) なーんか僕の頭から抜けてくれないんだよねー。
勇規/ちょっと抜いてみていい? ……あ、抜けない。
優斗/怖いこと言うな!(笑) で、オッサンはどうなってるの?
GM/……部屋の奥から可愛らしいパジャマ姿で君達を迎えるよ。
昌幸/気持ち悪い!(笑) どうしたんだよ、さっきのメールは……。
GM/ぐぅるぐるぐるぐる……。
望彦/……今の、何の音?
GM/「あのな……重要なことをお前らに言わなきゃならん……」
勇規/……なに?
GM/「俺、4月の上旬頃に……サキの半生ケーキ食べて腹くだしたんだった……」
昌幸/……オッサン、前回の記憶だと何日で回復した?
GM/「た、多分……腹くだしてから3日後に病院行ったかなぁ」
昌幸/今すぐ行ってこい!(笑) 病院にブチこんでおきます、レイコさんのところに行けよ!
GM/「ああ、ゴートゥージョイ……! これが俺の今のキモチですって彼女に打ち明けてくるぜ! ……腹くだしってな!
勇規/意味が判らない。グロッキー状態か、とりあえず寝とけ。
GM/「というわけで、みどりハイツの鍵はイサッキーに渡しておくから! 次に誰が死ぬか知らないけど後はまかせた!」
優斗/死ぬのは僕だよバカぁ!(笑) とっとと病院行けえー!
GM/じゃあオッサンは退場、今回オッサンは欠席です。――では、さっきまで浅霧くんの頭に刺さっていたエクスカリバーたんは……三日原くんの頭にグサッと飛び乗ります。
望彦/痛っ! ……いや、痛くないけど痛いって言うよね?(笑)
GM/にゅー。ぬぬぬー。……次は村上くんにグサッ!
昌幸/ぬあっ!(笑) ずずずずず!?
GM/今度は里山くんの額にゾスッ! しゅるるるるー。
勇規/……うん。なに?
GM/先程浅霧くんにもに渡した女性のデータをみんなに見せます。「これからの死を乗り越えるために必要なことをしたのよ」
望彦/死を乗り越える前に心臓止まるわ、ビックリするだろ!(笑)
優斗/僕、それやられたから頭に刺して来たの。……で、この女の人、梅木マリナだっけ? ぶっちゃけ名前と顔しか判らないんだよね。どうするかな……。


 ★情報収集パート/1


優斗/僕が死ぬのは明日の5時。姿の無い冷たい手にドンと押された……あんまりホームには行きたくないんだよな、僕。
勇規/じゃあ俺が現場のホームに行ってくるよ。特に怖くもないし。
昌幸/俺も里山くんと一緒に行く。……そうだ、エクスカリバーたん。【心霊機械】で「霊体探知」ってものがあるって知ったんだけど。作っていいかな?
GM/「いいよ。もう私と接しているから心霊機械の知識は持っているからね」……作っていいことにします。という訳で、霊体探知機械をゲット! 名前はテキトーに付けてくれ。
昌幸/……なんでいちいち名前付けるんですか。
GM/いや、オッサンは刀に「キョウジたん」って名前付けてたし。君ら仲良さそうだったから。
昌幸/俺はただのツッコミ要員です! そのオッサンは今ツッコまれに行ってるけど!(笑)
GM/口の中にみにょってな。レイコさんに口開けてねーって言われてるんだろうな。幸せそうに。
昌幸/……後で酷い目に遭えばいい。ともあれ、霊体感知の「カンチくん」です。これでミスティックじゃないけどそれなりに力になると思います!
GM/プリンタっぽい名前だな。……三日原くんは?
望彦/犯人は姿が無いって時点で間違いなく幽霊だから……そういうことに詳しい奴の所に行くか。行きたくないけどアパート2階にいるかならなぁ(笑)
優斗/僕は、梅木マリナについて調べてみるよ。まずネットで検索かけて、ヒットしなかったら新聞記者のコネを使って調べてみるね。


 ★情報収集1/村上昌幸&里山勇規


GM/では、君達二人はみどりハイツから十五分ほどの志木駅東口に行きます。……では早速だが、駅に入る前に君達は『とあるもの』を見付けた。
昌幸/なんですか?
GM/普段は無いものだが、時々見掛ける……駅前にある布看板。
勇規/布看板?
GM/看板に白い布で覆い、行書体で「松田、竹岡両家様、葬式会場案内」と書かれている。一目で判る、葬式会場を説明しているものだ。
昌幸/……葬式が今日あるのか?
GM/駅前とかで時々あるね。――ではホーム内に行きます。朝のラッシュ時が終わったぐらいだからホームにはそこそこ人がいるかな。
勇規/スイカ使ってるから切符を買う必要無いな。ぺっ。
GM/スムーズに入り、上り線に参ります。……早速ですが【知覚力】で霊体感知を!
勇規/素振りでいきます。(ころころ)よし、成功した。
昌幸/早速カンチくん使います! オネガイカンチくーん!(ころころ)……やべ、ファンブった!(笑)
GM/……ぼふっ。懐中電灯サイズのカンチくん、爆発。
昌幸/うあぁっ、いきなり!(笑) 作ったのに壊れたー! ……これ、修理を後でしますね。
GM/では、成功した勇規くんは周りを見渡す。隣で軽い爆発が起きたけど気にしない。……君はあまり幽霊とか見えるタイプじゃなかったけど、見えてしまった。
勇規/……何かいますか。
GM/ええ、……幽霊がいますよ。セーラー服姿の女性の幽霊がぼーっと立ってるのが見えた。
勇規/……どうしたんだろ、アレ。あそこにセーラー服を着た女の子、いるんだけど。
GM/それを言われたら村上くんも気付いていいよ。村上くんもあちらを向くと、……ホームの先にいるのが判る。
昌幸/……とりあえず、あの子に話を訊いてみようか? 他にアテもないし。
勇規/そうだな。近付くよ、てくてく。
GM/貴方達は、誰もいない方向に歩き出しました(笑) 良かったね、二人で。
勇規/そして誰もいないところに向かって話し掛ける(笑) 確実に子どもに「あのお兄ちゃん何してるの?」「シッ、見ちゃいけません!」って言われるな。
昌幸/それ、いつもの奥さんだよね?(笑) あの……こんにちは。
GM/「……」
昌幸/君……ここら辺にいつもいるの?
GM/声をかけられた幽霊は……そっちの方をフッと見る。「……うん、ここの……」プラス20%で【恐怖判定】を!
昌幸/(ころころ)セーフ、成功!
勇規/(ころころ)94です……大失敗!
GM/うわ。じゃ勇規くんは「ここの幽霊ですよ」と言われて「なんだってー!」と驚く。……大失敗だからトランプ2枚引いておくれ。
昌幸/パンパンと勇規を叩きます!(笑) 叩いて……もう一度話し掛ける。じ、実はさ。話をしたいんだけど、いいかな?
GM/……コクリ。幽霊は頷きます。
昌幸/ありがとう。えーと……この駅で、冷たい手で人をドンって押す子って知らない?
GM/「ドンと押す……? その子、殺したがってるの?」
昌幸/え?
GM/「……ドンって押すってことは、その幽霊は押そうとしている人を殺したがってるんだよね?」
勇規/……多分。誰でもいいのかもしれないけどな。ただ遊んでほしくて押すってこともあるかもしれないけどさ。
GM/「……この駅に住んでいるのは、私ぐらいだよ。なら、ここで殺すのは私ぐらいね……」
昌幸/……君の手、冷たいかな?
GM/「……幽霊の手って冷たいと思うよ。触ってみる?」
昌幸/……触る。
GM/ぴた。……【恐怖判定】、プラス20%!
昌幸/ヒイィッ!(笑)
優斗/だーかーらー、あんまり迂闊なことするとー!(笑)
GM/いやあ、ほのぼのだなぁ(笑) でも村上くんは触って感じた。確かに冷たい……けど、今のこの子は敵意なんてものは無いね。
昌幸/せ、せっかく触ったんだからそのまま梅木マリナの念波を送るよ!(笑) こんな顔の人……知らない?
GM/送るの?(笑) ……じゃあ、幽霊は神妙な面持ちになる。「……知ってる」
昌幸/……え? 知ってるの? く、詳しく教えてくれないっ?
GM/首を傾げます。「もう……覚えてない」
昌幸/いきなりビンゴ引いた?(笑) 思い出せることでいいんだ!
勇規/……覚えてないってことは、相当昔に見たってことか?
GM/「思い出した方が、いい……?」では、幽霊相手に【交渉】を! でも二人ともスキル持ってないよね、熱心にロールしてくれたらOKにするよ。
昌幸/……じ、実はその人と俺の友達が、その幽霊のせいで危ないことに遭うかもしれないんだよ。友人はイイヤツだし、俺を助けてくれた人から俺も助けたいんだ。どうしても! ……だから、どうか思い出してもらえないかな?
GM/「……」いいでしょう、【意志力】【魅力】【運】のどれかで交渉可能にします。
昌幸/一番高い【意志力】で!(ころころ)17で成功!
GM/……村上くんの熱意に触れ合ったって感じにしましょうか。「……トモダチ、だった」
昌幸/トモダチ、なんだ。なんで過去形? ……喧嘩とかしたの?
GM/「ううん、凄く仲が良かった。だけど、私は幽霊。彼女は人間のまま。……ただそれだけの話」
勇規/……彼女とは、いつの友達?
GM/では幽霊はひらりと回ります。セーラー服のスカートが揺れる。
勇規/……高校の時の、か。
GM/「うん、思い出した……話し掛けてくれてありがとう、嬉しい。ちょっと話していい?」
昌幸/いいよ、話して。
GM/少し笑って、幽霊は話し出します。「……1年目は色んな人がわざわざここに来て、涙してくれた。2年目は何人かが花を持ってきて涙してくれた。3年目にはもう花がなかった。それからは……どうだったかな。だから忘れてたみたい」
昌幸/……そうか。みんな大人になるにつれて忙しくなって、君のことを忘れちゃったのか。
GM/「そうなのかな……」ちょっとションボリ顔になる幽霊。
昌幸/でもみんな、周りの環境についていくことに必死で、慌ただしくなったけど、……それでもちゃんと心のどこかでは覚えてると思うんだ。そういうのは忘れないと思うんだよね。
勇規/……それに、いつまでも悲しんでたら悪い感じするじゃん。……いつまでも引きずってないで、ちゃんと前を向いてこっちも歩いて行かなきゃ……その人の分まで生きていくってこと、できないんじゃないかな。
GM/「そう、だね……生きてる人はずっと前に進んでいくんだもの」
勇規/……。
GM/「みんな、私みたいにここで死ぬ運命じゃなかったんだから……思い出したよ、私の名前。うん、この会話で色んなことを思い出したな……ありがとう、話してくれて」
昌幸/う、うん。君の名前、何ていうの?
GM/「……桜田ハルカ」
昌幸/桜田さんか。その梅木さんとは高校でいっしょだったんだね。どんな人だった?
GM/「とっても優しい人だったよ。とっても明るくって自慢のおトモダチだった。色々フザケあったりしてたな……」
勇規/……でも、なんで君、死んじゃったの?
GM/……聞きたい? 私がどうやって死んだか。
昌幸/どうやってというより、なんで死んだかっていう原因が知りたいな。
GM/「よく思い出せない。けど……押されて死んだのかもしれない」
昌幸/ということは……冷たい手に!?
GM/「ううん、暖かい手だったよ」
勇規/……余計生々しいな。
GM/ではそこで、ふっと幽霊の顔つきが変わる。小声で、独り言を呟き出す。「梅木マリナ……マリナちゃん……タケ、マツ……あれ。思い出した……私、やっちゃったみたい……」
昌幸/……。なにを?
GM/ふるふる、首を振ります。そして『さっきの独り言は気にしないかのように』貴方達へ振り返る。「もっとお話する? 私のことに気付いてくれて嬉しいから、おしゃべりするよ」
勇規/そうだ。……竹岡と松田っていう人のお葬式が今日あったみたいだけど。それについては何か知ってる?
GM/ピクリ。「……ああ、あの子達は留まらず天国に行っちゃったみたい。松田ヒロミと竹岡トオル……」どっちも女の子の名前です。
勇規/その子達のこと、知ってるの?
GM/「知らない。……私、死んでるから」
勇規/その子達は、何で死んじゃっ……。
GM/「言いたくない」
昌幸/……。
GM/「思い出したから、言いたくない」
昌幸/……キッパリ言われちゃったよ。これ以上ツッコまない方がいいか?
勇規/【恐怖判定】くるかもな。……高校の時の友達だったんだよね、仲は良かったの?
GM/「高校の時? うん、良かったよ。私、みんなと仲良くしてた。みんなも私と仲良かった」――ではそんな話をしていると。下り線の方に電車がやって来る。人達が下り、改札口の方へと人並みが去っていく。その人並みの中で……栗色の髪をした女性が階段を上がっていく――!
昌幸/あ、あの人……梅木マリナさん!
勇規/ま、また何か訊きたいことがあったら来るから。じゃあまた!
GM/セーラー服の少女は手を振ります。「また今度ね。……待ってるから……」


 ★情報収集1/浅霧優斗


GM/では浅霧くん。貴方は調べものを始めますが、どういう風に調べますか?
優斗/インターネットで検索かけてみます。オッサンの部屋のパソコンから「梅木マリナ」って打ち込んで……他は「埼玉県」とか絞り込んで……何かに活躍していたとか、そういうデータがないかな?
GM/うん、あるよ。とあるホームページがヒットした。――高校のバスケットボールの記録だ。二〇〇二年、今から5年前の3年生の部長さんの名前に「梅木マリナ」と記載されている。その高校の名前は……志木第一女子高等学校。
優斗/おっと?
GM/では、調べてくれたのが浅霧くんなので自動的に知識として知っていることにしよう。そこは、……貴方の通っている高校が共学になる前の高校だ!
優斗/な、何年前に共学になったの!?
GM/……4年前だね。ええ、ここ十年ぐらいで全国の女子校や男子校の多くが共学になったんですよ。今もそのブームや問題で高等学校は騒がれているぐらいです。
優斗/あー……そういやそうだった。僕の高校のOGか、じゃあその関係で連絡できるかな? 5年前に高校3年なんだから、今二十三歳。
昌幸/オッサンが色めき立つな……(笑)
望彦/OL1年生か。オッサンいなくて良かったね。今頃まだ病院に監禁されてるよ。
優斗/「ハイハイ痛くないですよー、痛くても歯医者じゃないんで手を上げないでくださいねー」ブスッとか(笑) ……学校に行ってみるのも手だな。出席日数も確保できるし!(笑)
GM/では、ただインターネットで調べただけなので他の行動も許します。何かしますか?
優斗/メールで3人にウチのOGだったよってことを送っておく。昼から学校出よう。5年前なら、その時担当していた先生もまだいるかもしれないしね!


 ★情報収集1/三日原望彦


GM/それでは三日原くん、貴方はどこに行きますか?
望彦/……2階の魔王さんちに行きますよ(笑) ゲーセンで取ったぬいぐるみを持って行きます。あの子、ガチャピンとか好きかな……? コンコーン。
GM/……入ってます……」。
望彦/……あの、入っていいですか、切咲さーん……。
GM/……そのとき、何故か貴方は見えた。彼女が頷く姿が!
望彦/ヒイィッ、なんで!(笑) 変なモノ受け取っちゃったよ……失礼しまーす。
GM/ぎ、ぎぎぎぎぎ……ぎぎゃういぃぃ。
望彦/……切咲さん?
GM/ぷつ、ぷつっ、ぷつん……「キライ、ダイキライ、キライ。……貴方が来てくれると思ったわ」
優斗/何やってんだこの人!(笑)
望彦/思わず死にそうになったけど頑張って話し掛けます!(笑) あのー、切咲さーん!?
GM/「ごきげんよう、おはようございました」
望彦/どっちやねん!(笑) ……あのさ、ガチャピンって好き?
GM/「……煮ると、液体が……」
望彦/別にぬいぐるみならどうしてくれてもいいから!(笑) ちょっと訊きたい事があるんだけど、今、お邪魔じゃないでしょうか!
GM/「ありがとう……」頂いたガチャピンを鏡の中に入れておくよ。
望彦/そっか。……入るの、鏡?(笑)
GM/「なあに? うふ、ふふふ」……なんかロールするの楽しいね、魔王。
望彦/GMがイキイキしてるよ!(笑) あのさ。手が冷たくて、人の背中を押す幽霊について調べてるんだけど。そのことに関して何か知ってる?
GM/「幽霊は実体化しても体温までは戻らない……冷たいものよ」
望彦/……うん、それはそうなんだけどな。
GM/「その子は悪意があるかどうか判らないけれど……『人を押す』という行動を起こすのね。……幽霊がどうして生きる者に危害を加えるか、知ってる?」
望彦/……教えてくれないか?
GM/「仲間を増やしたいから、よ。……幽霊は集合する習性があるっていうのは知ってるでしょ? 仲間が増えれば増えるほど、融合し、沢山チカラが集まる。その分、強くなっていく……強くなっていけば何ができる? 実体化ができ、大きな力が使えるようになる。だから野心がある者は、力を集め……仲間を集め……人を襲う。それが『怨霊』と呼ばれる者」
優斗/実際、幽霊が蘇生するためのルールがあるんだよな。他人の肉体を乗っ取ったり、作り出したりする……。
GM/まぁぶっちゃけ「1人っきりじゃ何もできないけど3人集まれば凄いぞー!」っていう理論は、幽霊も同じだってこと。でもそんな同盟でも組むだけだったらまだいい。悪意が強いものは無理矢理にでも「俺の力になれ!」と殺しにかかってくる。それが悪い幽霊……怨霊と呼ばれているものだね。
優斗/取り込まれるってことか。……わー、これ特例に選ばれなかったら僕も怨霊の仲間入りだったんだ。多分これから僕がそうなったら君達が倒して!
望彦/どうしようねえ。そうならない程度に頑張るけどさ、こっちも。その幽霊って強くなって実体化して……最終的に何が目的なんだ?
GM/「その子の性格次第ね。何か特別な目的を持っている知的な幽霊かもしれない。でも仲間を増やすっていうのは『習性』で、『本能』とも言えるわ」
望彦/人それぞれねえ……それ自体がアイデンティティ的なものかもしれないか。志木駅にもそんな幽霊がいるってことは知ってる?
GM/「志木駅の幽霊って、ハルちゃんのことね」
望彦/そっか、ハルちゃんか。……って何か知ってるの!?(笑)
GM/「このアパートから歩いて十五分の駅でしょう? たまに会釈するだけよ」
望彦/……うん、そっか。
優斗/それを理由にするなよ!(笑) 会釈するだけならなんで名前知ってるんだよ!?(笑)
望彦/……電波で名前を吸い取ったとか?(笑) 電波的なもので他に受け取らなかった?
GM/「そうね……あの子はちょっと騙されやすい性格みたいね。だからどう転ぶか判らない。自分がしたことを自覚するか否か、……そこまで意志は強い子じゃないわね」
望彦/……ていう事は、誰かに利用されてる的な感じかもしれない?
GM/「さあ、どうかしら……? 他に質問が無いのなら私、さっき貰ったガチャピンと遊ぶわよ」
昌幸/ガチャピンと遊ぶ!?(笑) どんな遊びするんだろ……。
優斗/一人鬼ごっことか?(笑)
望彦/……もう結構です。俺は失礼させてもらうから。
GM/「そう、じゃあごきげんよう……ガチャピン遊びましょう……出てきなさい」
望彦/し、失礼しましたー!(笑)
昌幸/……しっかし、ガチャピンあげたことによって好感度上げちゃいましたね(笑)
優斗/プレゼントってフラグ立てるのに有効な手段だよね?
望彦/しまった、ヤなフラグ立ててしまった!(笑)


 ★情報収集パート/2


GM/さてさて。里山くんと村上くんの二人は、栗色の髪の女性を見付け追い掛けています。二人で尾行するのでいいかな?
望彦/一人が情報を流してほしい! こっちは二人が持っている情報知らないんだから……二手に分かれるというのもあるよ!
勇規/じ、じゃあ俺が追跡してみます。彼女は見逃したくないし!
昌幸/俺が合流しますね。情報交換して……ついでに【心霊機械修理】もしたいんですが!
GM/いいですよ。この情報交換の時間で修理しちゃいましょう。
昌幸/直しまーす!(ころころ)あ、成功ー……しかも大成功! ふっふっふ、おかえりカンチくーん!
GM/美しく完了しちゃった。……壊して作ったよ、この子(笑)
優斗/帰ってきた昌幸兄ちゃんの話をメールで聞いて、……僕は学校に行ってきます。出席して、梅木ハルナさんや桜田ハルカさんのことについて調べたい!
望彦/俺もみんなに情報流して……、志木駅周辺が怪しいから強い霊がいないか調査しよう。
昌幸/みんなにメールした後に、再び里山くんと合流します!


 ★情報収集2/里山勇規


GM/それでは里山くん。君はある女性を追い掛けている。顔も知っていてもう見付かっている相手だ……プラス50%で【追跡】を。それ以上の失敗は、運が無かったと思え。
勇規/80成功か……わー怖いよー。(ころころ)83で失敗!
GM/……きっとあっちの方にいる筈だ! ……いないけどな。
勇規/人混みに見失っちゃった……あー、やっちゃった。きっと改札口で詰まっちゃったんだ。
GM/里山くんが辺りを見渡すと、駅員さんがいたり、お店がいくつかあり、南口と東口に道が分かれている。……どうする?
勇規/えっとー……どっちに行ったかが判らないんだよな、まず。
昌幸/多分その頃連絡が入る。合流するよ〜ってメールが。
勇規/……とりあえず、見失った。テヘ、ゴメン。
昌幸/て、テヘじゃなくて!(笑) ……合流していいですか?
GM/うん、とぼとぼ歩いて来ていいよ。
望彦/俺も一緒に現れます。……まあ、見失ったのはしゃーねーさ。俺は今からこの辺で強い霊がいないか調べようと思うんだけど、そっちはどうする?
昌幸/カンチくん持ってるから手伝います! 折角修理したんで。
勇規/……駅周辺で聞き込みでもしようかな。こういう時にオッサンがいたら力強いんだろうけど。
GM/オッサンなら今頃胃カメラの虜になってるよ。
昌幸/変な癖に目覚めちゃった!(笑) とりあえず駅から出ますよ。
GM/出ますか。では志木駅東口に出て……【知覚力】判定をどうぞ!
望彦/(ころころ)14、成功!
昌幸/(ころころ)23、成功。
勇規/(ころころ)26、成功です。
GM/3人とも気付いたか。……志木駅には近くに花屋さんがあります。そこに……栗色の髪の女性がいる。里山くんが追っていた姿だ。
勇規/おおっ! なんか、名誉挽回できる?(笑)
望彦/とりあえず遠目から見てよう……話し掛けるにもちょっとな。
GM/女性は、花を買ったようだ。「ありがとうございましたー」とお店の人が礼をした後に、……真っ黒いスーツを着た彼女はもう一度駅の中に戻っていく。
昌幸/……これから葬式に行くんじゃないのか?
勇規/もう一度追跡します! 今度は頑張るぞ!
望彦/……じゃあ、彼女の追跡はそっちに任せていいかな。俺達は当初の目的の調査がに行くから。
昌幸/ゴメン、頼んだぞ!
GM/では、今度は見逃すことなくついて行くと……エレベーターを上がった女性は、駅員さんと話しているようだ。
勇規/盗み聞きできますか? 【聞き耳】スキルはないけど。
GM/【知覚力】で可能だよ。成功したら会話が聞ける。
勇規/(ころころ)16で成功だ。
GM/成功だね、じゃあ駅員さんと話が聞こえる。「これ、5年前の……」「あ、ハイ! はい、はい……では、お供えしておきますね」駅員さんは礼をして、室内に入っていく。そして彼女はもう一つ、花を持って……貴方のいる道の方へ来ます。
勇規/……とりあえず、話し掛けちゃいます。すいません。
GM/「え? ああ……はい」
勇規/さっき駅員さんに話し掛けていたのって、ここで死んだ女の子のたむけですか?
GM/「……ええ」少し笑って答える。その声は、エクスカリバーたんが渡したデータの女性とまったくいっしょだ。
勇規/お友達、だったんですか?
GM/「そう、ですね。高校のときの友人でした。今日が命日でして」
勇規/今日なんですか? ……その子は、どうして死んだんですか?
GM/それを聞いてギョッとする。ちょっと目を背けて、思案した後に「……不運な事故だったんです」
勇規/……それはお気の毒でしたね。じゃあ今日はその子のために?
GM/「それもあるのですが、今日は私の友人の葬式に来たんです」
勇規/……それは、最近?
GM/「ええ、先日……交通事故で、目の前で」ちょっと青ざめた感じになり、明らかにこの人、動揺している。「……もしかしてキミ、ハルカのご親戚とか?」
勇規/まあ、そんなところです。
GM/「そうだったんですか。ご親戚で……本当に、ごめんなさい」
勇規/……どうして謝るんですか?
GM/「い、いえ! ……い、今のは……うーん」……ちょっとモゴモゴして「じゃあ私、そろそろ……葬式の方に行きますので!」
勇規/すいません、色々止めてしまって。
GM/と言って、明らかに怯えているのは判る。そして彼女は同じように階段下の東口に向かい、去って行くのでした。


 ★情報収集2/三日原望彦&村上勇規


GM/では「頑張ってこいよー」と勇規くんと別れた後です。
望彦/俺らも頑張るか。という訳で、志木駅周辺で【霊能力】で邪悪な気配を探そう。(ころころ)94……大失敗。
昌幸/カンチくん、いきます!(ころころ)失敗。大失敗じゃないけどミスった。改めて、武器からの霊体感知をします!(ころころ)こっちは成功したー。
GM/じゃあ、霊体感知で三日原くんは大失敗したから……とってもムキムキな素敵な男の人が貴方の前に現れた。
望彦/それ、霊!? 帰れ帰れ!(笑)
GM/三日原くんがムキムキマッチョの人に襲われている最中に、……おじいちゃんの幽霊が通り過ぎていくのに気付いた。「何やっとるかのぅ、そんなヤツ指先ひとつでダウンじゃあろう〜」
望彦/こっちは体力無いから指先一つでダウンされそうだよ!(笑)
昌幸/こんにちは、おじいちゃん。……二、三お尋ねしたいことがあるんですけど。
GM/「なんじゃかねー」……先に言っておきますと志木駅周辺に邪悪な霊はおりません。だからマッチョやおじいさんが出てきたんだね。
昌幸/おじいさん。この辺りで、人に危害を加えようとしているヤツが出てるってある?
GM/「あー。つい先日、いたのぉ。『こちら側』に引き込もうとした奴が……」
望彦/最近出たの? って言いながらヨレヨレして出てきます(笑)
GM/「ああ、最近じゃ。……四月六日のことだったなぁ。北朝霞の方で、我らの仲間が……人を襲いおった。良い奴だと思ったんだが、ヤツも気が触れたんかのう……あの娘は怨霊にでもなるつもりかの」
昌幸/……女なんだ、ぱっと見年齢はどのくらい?
GM/「年なんぞ知らん。ただ、学徒の制服は着ていたのぅ。……良い奴だと思っていたんだが、まさかあの娘が生きとる者を手にかけるとは思わなかった。しかも二人も押し出すとは……」
昌幸/……それって、桜田ハルカのことだよな。でもって、手にかけた二人って、確実に、今日の葬儀の……。
GM/「儂も又聞きだから間違っているかもしれんな、それは了承してくれ。……人間の女性が三人いたところを奴が押し出して、二人をトラックにベシャッ、じゃ。簡単にアヤツらは天国に逝ったのぅ。みな、驚いておったろうに」
望彦/なあ、じいさんはそのセーラー服の幽霊の死因って知ってるのか? 志木駅にいる子なんだけど……。
GM/「駅の事故なら、電車に轢かれて死んだが相場であろう? 足を滑らせてというのもあり得るがな」
昌幸/……でも彼女は、「暖かい手に押されて」って言ってた。当時の目撃者はいないのかな。
GM/「残念ながらそこまでは判らないのう。その子は一体何年前の子じゃ? その子のことを知っているのはその子の周囲の者達であろう? ……儂らはただ『同じ幽霊なだけ』。関わることはできるがそれだけのもんよ――じゃあ儂はジョギングに戻るぞ?」
昌幸/ジョギングしてたの?(笑) じゃ気を付けておじいちゃん!
GM/シュタッとおじいちゃんは走っていきます。……スーパーおじいちゃんが、そのうちハイパーおじいちゃんになるんじゃない?
望彦/……ヤバイ、前に能力値盗られたか?(笑) ともかく、ここには邪悪な奴はいないか……でも煽った奴はいる気がするな。
優斗/……邪悪な霊体はいない。でも、霊体に干渉できるのは霊体だけじゃない。……他に桜田に対して接触しようとしていたヤツがいないかどうかを知りたいところだね。


 ★情報収集2/浅霧優斗


GM/時刻は丁度学校のお昼時間タイム。午後出勤の浅霧くんを男子達は「やーい不良ー!」と茶化します……そんな登校風景。
優斗/うるせーよお前ら、しゃーないじゃん! ……先生のところに行くよ。ちょっと調べたいことがあるんですけどって。
GM/じゃあ昼休みだし、お弁当食べてる先生がいるよ。「あー、浅霧。なんだ?」
優斗/僕、この学校の歴史について調べてるんですよ。4年前までこの学校って女子校でしたよね。前のことも調べてたら、5年前にバスケでいい試合してたって聞いたんですけど。
GM/「ああ! すっげえいいところまでいってたんだぞ。もしかしたら優勝までいくんじゃないかって言われてたんだけど、残念ながらそこまでは……」
優斗/その当時の人達にインタビューしたいんですけど。部長さん達に会えませんかね?
GM/「ちょうど今、年は大学卒業したぐらいかな」先生はバサリと5年前の資料を出してくれます。すると、そのアルバムに女子バスケットの記録があるね。女子校だったから女の子の名前ばかりだ。……中に、梅木マリナの名前がある。
優斗/松田と竹岡と、桜田の名前は?
GM/あるね。同じバスケ部だ。「みんなセンスが良くってな、なにより部員同士の仲が良かった。だけど途中でコンディションが崩れて……な」
優斗/何かあったんですか?
GM/「……部員の一人が事故で亡くなったんだ。確か桜田、だっけ」
優斗/……事故って、どうゆう?
GM/「……ああ、今の時期、四月だったな。志木駅のホームから落ちたんだ。女子が騒いで、その拍子で落ちて……直ぐに戻って来られなくて、直ぐに電車が来て、そのまま……」
優斗/……ちょっとぷるぷるする。
GM/「……スマン。変な話した。あの事故の後に駅員を配備したり監視カメラがつくようにはなったんだぞ」
優斗/そういえば。松田さんと竹岡さん、今日志木駅の近くで葬儀を……。
GM/それを聞いて先生はビックリする。「ま、まさかあの布看板って……! そうなのか……」どうやら連絡は来てなかったようだ。まぁ、数年前のOGが死んでも母校にわざわざ連絡はいかないよね?
優斗/……僕、葬式に出てもいいでしょうか。
GM/「花を持っていくことぐらい全然構わないだろ。寧ろ先生の方が行かないとな……」
優斗/じゃあ先生、早引きの口実としていっしょについて行っていいですか!(笑) インタビューの方は出来ないだろうけど、個人のお話を聞けるかもしれない。……あと、死ぬ直前に何か事件は無かったんですか。事故の前にコンディションが下がるようなこととか。
GM/「それはないな。寧ろ、事故があってみんなが不安がって優勝を逃したんだな。それでもうちの学校にしては奮闘したんだぞ?」
優斗/そうですよね。その後バスケ部あんまりいいの聞きませんし(笑) 3年生の4月に亡くなったんだから夏までいけなかった……ってことだね。


 ★情報収集パート/3


GM/さて、夕方になりました。一回全員集まりますか。
勇規/松田さんと竹岡さんに個人的な恨みを持ってるヤツっているのかな……?
優斗/生前に何かあったというより、桜田さんの死後に何かあったと思うんだ。……僕が思うに、本当は桜田さんは梅木さんを殺そうとしたんじゃないかな。そして失敗した。とりあえずこれから僕は葬式会場に行くよ。という訳で花を買って行く。
望彦/俺は、志木駅の駅員さんにちょっとインタビューしてこようかな。何か聞けるかもしれない。
勇規/じゃあ俺は、北朝霞のトラック事故現場に行ってその辺の霊に聞き込みしてきます。
昌幸/俺も里山くんについて北朝霞の方に行ってきます。……今頃オッサン、ナースのお姉さん達にデヘデヘ言ってるんだろうな。
優斗/もうダメだオッサン! 胃カメラ飲んでスッキリしてんじゃねー!(笑)
勇規/……なあ、エクスカリバーたん。いるか?
GM/呼ばれたら飛び出ます。「なーに、勇規くん?」
勇規/最近、桜田ハルカっていう志木駅にいる女の子の霊に干渉した存在がいないか教えてほしい。……俺達以外でな。
GM/「それでいいの? 了解!」ぴょーんぴょーんと彼女はスキップしていきます。
勇規/じゃあまた別れるか。


 ★情報収集3/里山勇規&村上昌幸


GM/ガタンゴトンと志木駅から電車を揺られること5分……隣駅の北朝霞駅までたどり着きました。
勇規/……俺の家、この近くなんだよな。ああ、このままウチに帰りたい。
昌幸/帰るなよ。アイツがさあ……幽霊になって出てきたのを倒すのとか嫌だろう?
勇規/……勝てる気しないよな。
昌幸/色んな意味で勝てる気しないよ。駅に着いたら、女性二人が事故にあった交差点を交番で訊いて探します。
GM/了解、では交番で訊くこと数分、場所を教えてもらってやって来た交差点は……花が供えてあったのですぐ判った。事故があってまだ2日ぐらいだからね。
昌幸/さて、誰かいないかな。……カンチくんが壊れると怖いんで【知覚力】でいきます。(ころころ)08、クリティカルレベルで成功!
GM/では、村上くんは見付ける。……お花に向かってナムーってやっている幽霊がいることに。
昌幸/里山くん、カモフラージュお願い! 声を掛けます……あの、ちょっといいですか? 女性が二人事故に遭ったって聞いたんですが、詳しい状況知りませんか?
GM/ふっと顔を上げる……おっとりした印象の女性の幽霊だ。「それは、三日ぐらい前に……ちょっと不運の事故というべきなのでしょうか。私が幽霊仲間とコンパをした帰りに……」
優斗/なんでコイツらそんなに死後世界エンジョイしてんだ!(笑)
GM/怖くない幽霊もいるんだよ(笑)「セーラー服の子が、二人の女性を押し出したんです……邪気を放って」
昌幸/放ってたんですか? 怪しいオーラを?
GM/「いえ、彼女のものでは……。いや、でも彼女から……? えーとどっちだろ」幽霊は困っている。首を傾げて、よく判らないと言うかのように。「私達の目から見たら『セーラー服の子に押されて』なんでしょうけど、普通の人間から見たら『勝手に女性二人が道路に飛び出した』になるんでしょうね……だからもう一人の女性はとても驚いてました」
勇規/見たら勝手にいきなり前に歩き出したように見えるか。……自殺と思われるかもしれないな。
優斗/……自殺。友人らを残して……ね。
GM/「あ、あのセーラー服の子……。きっと生き残った女性と目が合いましたよ。だって『しまった』という顔をお互いしてましたから」
昌幸/顔を見合わせたってことですか?
GM/「女性の方が霊感が強かったんでしょうか? なら幽霊と目が合ってもおかしくないですね。目が合っちゃったセーラー服の子は消えていきましたが……」
勇規/……そういや彼女は凄く怯えていたな。もしかしたら見えていたのかもな。


 ★情報収集3/浅霧優斗


GM/浅霧くんは先生と一緒に葬式にやって来ます。お経の読みが終わり、そろそろ人々が散り始める……そんな時間です。
優斗/……梅木マリナを探す! いますよね?
GM/その場にいて、顔も知っているから簡単に探せます。……奥の方にいるよ。少し俯き加減の女性が。
優斗/てってって……。あの、すいません。僕、第一高等学校の浅霧優斗と申します。
GM/「は、はい……?」女性はちょっとやつれている感じですがちゃんと受け答えしますよ。
優斗/今回、お亡くなりになられた方がOGということで来たんです。ちょうど僕、学校の昔のことを調べていて……それで。
GM/「わざわざありがとう。お花も持ってきてくれたんだね……」ちなみに、松田ヒロミさんと竹岡トオルさんはとても仲が良く、家も近く、同じ事故でお亡くなりになったことからいっしょに葬式をしているのです。
優斗/なるほど。……周囲をキョロキョロする。先生は?
GM/先生なら、松田さん達のお母さんと話してよう。
優斗/……こっちに注意払っているのはいないかな?
GM/……いないね。
優斗/……梅木マリナさん。つかぬ事をお訊きしますが、……彼女達の事故に、不自然な点はありませんでしたか?
GM/ビクッ!「え、その……それは」梅木さんは、だいぶ怯えます。
優斗/……ちょっと、こっちに来て頂けますか。手を取って、端っこの方に誘導しよう。大丈夫、僕は怪しい者ではございません。ただ、今回のことについて多少調べてまして……。
GM/「こ、今回のことって……?」
優斗/ぎゅっと手を握ったまま言います。……単刀直入に申しますと僕、『視える』んです。貴方はどうですか?
GM/驚いて、目を見開いて浅霧くんを見た後に、……コクリ。「あんまり頻繁に……という訳ではないのですが」
優斗/今回、ヤバイ事件になってると思って色々調べているんです。何かご存知のことがあったら教えてほしいんです。桜田ハルカさんのことについて。……とワザと名前を出して、顔を見るよ。
GM/その名前に反応し、物凄く怯えます。ガタガタ、震えが止まらず今にも泣き出しそう。
優斗/【心理療法】持ってるからそれで落ち着かせるよ。(ころころ)良かった、成功! ――僕は敵じゃありません!
GM/では少し落ち着きを取り戻しましょう。そして、彼女の口からボロボロと言葉が飛び出す。「私……見たんです! 判ってもらえないかもしれないけど、薄く……彼女が現れて……ドンッて二人を道路に突き飛ばし……」
優斗/……はい。
GM/はぁはぁと、息を荒げて続けます。「あの子……私を狙っていたと思うんです! だって、私が……!」
優斗/「私が」……?
GM/……近くに浅霧くんの体を寄せて、呟く。「……私が、押したんですから」
優斗/……。
GM/「押したと言っても! ……本当に仲良かったんです、悪ふざけっていうか……そのっ!」
優斗/ふざけてトーンとやったら、思ったより動いちゃったんですよね? ……悪くないです、大丈夫。
GM/――女子高生がホームでふざけ合って、力の加減を誤り、そして線路に落ちてしまった。落ちた桜田ハルカは打ち所が悪くて動けなかった。すぐに上がって来てよと上の友達が言ってもそんな簡単に上がれる訳がなく。
優斗/頭打って朦朧としてたら避けることもできない……。
GM/かと言って、落ちたからと線路に飛び降りて助けに行く子もまずいませんよ。「私……ハルカが轢かれる前に、あの子が『恨む』って言ったような気がするんです! それは聞き間違いだってトオルやヒロミも言ってたけど、私には確かにそういう風に聞こえたんです……!」
優斗/……そんなことはありません。僕の友達が彼女と直接話をしたそうですが、そのとき貴方のことを「とても良い友人だった」と言ってたそうです。優しい子だったって。
GM/「じゃあ何で、……トオルやヒロミは!?」
優斗/それを今、僕達が調べてます。……お話、聞かせてください。彼女を救うためにも。
GM/「貴方達は……ハルカを悪くは思ってないんですか?」
優斗/正直言って今のところ、誰かに煽られたんだと思ってます。だって本当に恨んでいるんだったらこんなに時間が経ってからやりませんよ。5年も経っているんですよ?
GM/「……」
優斗/だから多分……何者かが彼女を利用したんじゃないかって僕達は見ています。彼女にこれ以上そういうことをさせないようにさせたいと思ってるんです。もし何か誤解して思い込みしちゃってるんなら、あの子が幽霊だろうが話し合って解決するのが一番です。一緒に来ていただけますか?
GM/「……私は、彼女を説得するなんてできないかもしれないんですけど、それでもハルカの近くに行って……本当に謝りたいです」
優斗/……でも既に彼女は二人を殺している。ひょっとしたら話し合いができない状況になるかもしれない。けどその時は、僕らが全力で守るけど、お願いします。
GM/「……はい、わかりました。私、貴方に……ついて行きます!」


 ★情報収集3/三日原望彦


GM/では志木駅内に入った三日原くん。駅員さんなら必ず駅にいますから、つかまえられますよ。
望彦/駅に行く前に自分も一輪、花を買っていきますよ……ガーベラとか。すいませーん、駅員さん。
GM/若い駅員さんが出てきます。「はーい、なんでしょうか?」
望彦/あの、5年前の今日……この駅で亡くなった女の子っていますよね? 花を供えてほしいんですが。
GM/若い駅員さんは奥に尋ねます。「そんなのあったんですかー?」「あ、ああ。今日も花を持ってきた人がいただろ」「でも、その花ってまだそこにあるやつでしょ? 『そんな所に置いておくと、また今年も出し忘れますよ』?」
勇規/……出し忘れ?
望彦/毎年、花をたむけに来る人はいるんですか?
GM/「い、いることはいるんだけどな……ハハハ」今のやり取りをちょっと誤魔化すかのように駅員さんは笑うね。「い、今からお供えに行ってきまーす!」
望彦/ってことは、ちょいちょい拝みに来る人はいたんですね? ……彼女が気付かないところにもいたんだな。
GM/「いる……かもしれないなあ、アハハ」志木駅は急行も止まるから色んな人が止まるし、駅員さんが全てのお客さんを把握している訳じゃないだろ。
望彦/だね。すいませんでした、ありがとうございます。……ホームの方にも行ってみます。桜田さんと話してみたいし。
GM/では、上り線の方に行くと……ホームの先の方で、セーラー服の女の子がぽーっと立っている。足はないけどね。
望彦/すいません、……君はここにずっといる子かな?
GM/声を掛けられて、フッと三日原くんを見ます。コクリと頷いて「今日は、いっぱい話し掛けてくれる……」。
望彦/午前中に君を尋ねて来た奴らがいるだろ? 俺、そいつらの知り合いなんだ。
GM/「……そうなの」女の子はぽーっとしている。魔王が言っていた通り、『なんか流されそうな性格だな』と感じるね。
望彦/……なあ。昼間の彼らと俺以外に、最近君に声を掛けてきた奴っている?
GM/「……」
望彦/いるなら、どんな人?
GM/「……わからない」
望彦/……判らない?
GM/「……忘れた。姿も判らないし、顔も判らない……何か調べてるの?」
望彦/ああ。松田と竹岡という二人の女性が亡くなった。それに関して俺の友人がえらい目に遭いそうなんだ。だから放っとけない。……協力してくれる?
GM/「わからない。……きっと言っても貴方は理解できない」
望彦/……どういう意味だ?
GM/「言っても貴方は『そこまで』到達してないでしょう? 言ってもその概念が無いからわからない。力を集めるのが霊、だけど……私は、忘れている。だから、判らないものは判らないの」
望彦/……質問の内容を変えるよ? 君は昼間、『梅木……松田、竹岡……あ、やっちゃったみたい』って独り言で言ったらしいね? あれは、どういう意味?
GM/……それを、訊いたか。突然だけど三日原くん、【意志力】判定をお願いします!
望彦/う。(ころころ)失敗。
GM/帰って!」いきなり彼女が声を荒げ、MPに6のダメージ!
望彦/ぐっ!? ……それって、触れられないことなのか?
GM/「帰って! 帰って!」
望彦/こっちだって友人の命がかかってるんだ! アンタにだってそんな友人、いたんじゃないのか!
GM/「……」
望彦/……。
GM/「……夜に、来て。夜の方が、私達は活動しやすい。話がしやすい……きっと、わからないことも話せる……」
望彦/……わかった、夜だな? ここは引くしかない。大人しく帰ります。


 ★志木駅周辺


GM/葬式後……夕方を過ぎたので夜になります。北朝霞から戻ってくる二人に、葬式から帰ってくる二人。それにホームから一人、全員が揃えました。
望彦/桜田ハルカが、……夜に来てくれって。
優斗/それ、始末しに来るんじゃないか? ……エクスカリバーたんを探す。もういないか?
GM/ぴょーんと彼女はやって来るよ。「おーい、こんな所にいたー!」……ちなみに梅木さんは見えない方向で。
優斗/あ、梅木さん気にしないで。重要な情報源と話しているから待っててね。
GM/「あ、はい……」大人しく梅木さんは待ってて、隣でエクスカリバーたんは喋り出す。「えっとね、……とりあえず、誰かが彼女に影響を与えたのは確かみたい」
勇規/やっぱり?
GM/「でも、……私でもよく判らないの。ゴメンね!」
優斗/エクスカリバーたんでも判らない!? それって強敵じゃないか!
GM/「ご、ゴメンねゴメンね! なんでだろ、ギリギリだってことなのかな……私も知覚できないぐらいの立場とか……でも判ったら直ぐに喋るから!」
昌幸/まあいいよ、とりあえず桜田ハルカの所に行くしかないな……向こうからお呼び出しがかかってるんだ。
優斗/ああ。……ということで梅木さん、危険かもしれないんだ。ひょっとしたら彼女と戦わなきゃいけなくなる。ショッキングなことが起きるかも知れないから、目を閉じて頭抱えていてくれて構わない。
GM/「……はい。それでハルカがなんとかなるんだったら、私は」
優斗/出来るだけ貴方を助けようと努力する。だから一緒に来て彼女に訴えかけてくれ。
GM/「……判りました。少しでも貴方達の力になるよう頑張ります」
勇規/……なあ。この人ってひょっとしたら、(優斗のキャラクターシートを見て)【配偶者/いる】だから……未来の配偶者?
優斗/また!(笑) オッサンごめん、先にカノジョ作れそうだよ僕!
昌幸/オッサンには縁のない話ですよ。……それじゃ、いっちょ行きますか!


 ★マスターシーン


 それは夜。
 真っ暗な夜になり始める時間。セーラー服の少女が、ホームの先のベンチに座っている。
 少女には足が無いのにぶらぶらと揺らし、誰かを待つように。
 誰かと、話すように。
……うん、ヒロミとトオルをこっち側に寄せたけど、すぐに謝ったからさっさと天国行っちゃった。……それはそれでいいんじゃないかな……え……なんで?
私は確かに誰かに見てほしいけど、私みたいにこの世にとどまってる幽霊の方がよっぽどダメじゃ…………。
ダメ、じゃ、ないああああああああああああああああああああ。


 ★志木駅ホーム



GM/志木駅の上り線に入ります。夜と言ってもまだそこそこ人がいる駅だ……が、雰囲気からして空気が凍っているように思えた。
昌幸/……周りは?
GM/あっちにはサラリーマンもいるし、塾帰りの小学生の子もいる中……何故か人達は『ホームの先』には近寄ってない。あっち側には人は無意識のうちに近寄らないというのが貴方達には判る。
優斗/ようするに結界だな。
望彦/ワーディングか……ホーム先に歩いていくよ。てくてくてく。
GM/うん、塾帰りの子がいたりするけど先には……セーラー服の女の子がいる。
勇規/こんばん……は。
GM/ああああああああああぁぁァ――!
昌幸/な、なんだ……っ? 武器を構える!
優斗/正気……じゃないね。梅木さんには見えてる?
GM/見えてないですね。「あそこに、ハルカがいるんですか……?」
優斗/いるんだけど……ヤバイ、操られてるっぽい。話し合いするつもりでいたけどそれもできないな!、
GM/「か、彼女は……救えるんですか!?」
優斗/……正直言って、判らない。けど、救ってみせるよ!

 ●戦闘/1ターン目
GM/桜田ハルカまでの距離は二十メートル、彼女の敏捷力は3だ。……では、戦闘を始める前に全員【敏捷力】及び【知覚力】判定! これに成功すると両脇から『何か』が現れることに気付けるよ!
望彦/(ころころ)52、成功!
昌幸/(ころころ)10ピッタリで、成功。
勇規/(ころころ)失敗。
優斗/(ころころ)30、成功。みんな、なんか来るぞー!
GM/里山くん以外の全員は1ターンの後に……両端距離十メートルの位置に何かが現れることに気付いた! まだ見付からないけど奴らが来る……ってところで戦闘開始!
勇規/桜田さんに攻撃しちゃって大丈夫なのかな……? 様子見で、リボルバー撃ちます!(ころころ)成功、ダメージは15!
GM/おお、凄いヤル気満々だ、……里山くんの銃弾を、彼女は食らいます。
優斗/実体化してる……押してるんだから実体化できる力があるってことか! とりあえず正気を戻さないと。接敵するために走るよ!
昌幸/俺は『何か』が出てくるのを待ちます。十メートル場所で待機!
望彦/じゃあ……みんな目を瞑れ。【魔術】電撃!(ころころ)成功、11のダメージ!
GM/桜田ハルカは食らってますよ。……では彼女、前にいる人、優斗に(ころころ)5のダメージ!「チカラヲ……モット、ヨコセ!」
優斗/イテっ! ……よくも僕を殺してくれたね、じゃないけど……やーだよ、僕の力は僕だけのものだ!

 ●戦闘/2ターン目
GM/では1ターン経過。貴方達の前に……何か実体化したものが現れた! プラス20%で【恐怖判定】!
優斗/(ころころ)失敗、すごくゾワッとしてかたまった!
勇規&昌幸&望彦/(ころころ)成功!
GM/では優斗のみかたまった。……現れた連中の敏捷値は7です。
勇規/桜田さんは優斗に任せて、横の奴ら……Aにとりあえず撃っちゃいます!(ころころ)94……大失敗かな?
GM/あ、『暴発』だね。武器が暴発して貴方にダメージがいきます……通常通りダメージを出して。
勇規/(ころころ)11点ダメージ、痛。あーあ……でもまだ大丈夫。
優斗/意識回復!(ころころ)よし成功、速攻殴りかかるよ……ゴメン!(ころころ)成功、斧でダメージ7!
昌幸/Bに怪光線いっちゃいます!(ころころ)成功、ダメージは6!
GM/怪光線のダメージは入ってるね。――では現れたAの化け物は三日原くんに襲いかかってくる。(ころころ)8のHPダメージ! 次に村上くんへ。(ころころ)10のダメージ! ……そして三日原くんと村上くんはお互い食らって感じた……「コイツらは脆い」と!
優斗/だ、大丈夫か! 相当ガッツリHP削れてるぞ!
望彦/ダメージはデカイけどすぐに潰せる! 電撃打ち込むか……目を瞑ってくださーい!(ころころ)成功、全員に10ダメージ! バリバリバリ!
GM/電撃を食らいつつ、桜田は目の前の優斗に攻撃いくよ! アンタを殺して私のものになーれ。(ころころ)成功、4のダメージ。
優斗/これも運命だしね、相手するよ!(ころころ)……って回避、大失敗! バランスを崩して転倒だ、あいたーっ!

 ●戦闘/3ターン目
望彦/……なあ。誰か、的を増やしてくれ……俺死ぬかもしれないよ。
勇規/俺は俺で銃壊れちゃったから撃てないんだよね。じゃあ蹴りに行きます……Aの方に【格闘】!(ころころ)あ、73で失敗!
優斗/転倒しちゃったから起き上がるよ。よっこいしょっと。
昌幸/攻撃! 怪光線いきます、成功しろ!(ころころ)成功で、8のダメージ!
GM/ビームをくらって、お次はAの番。殴りかかってきた勇規くんに攻撃するよ!(ころころ)6のダメージ!
望彦/これで仕留めればまぁ死なないな……じゃあ今度は【霊能力】でエーテルフィストいきます。(ころころ)……失敗。うわ、下がれば良かった!
GM/続いて桜田のターン。目の前の優斗に行くよ、てやっ!(ころころ)……あのさ、クリティカルってダメージ2倍だよね?
優斗/……ダメージ2倍ですよね。
GM/いきまーす。ドスッと14のダメージ!
優斗/へーき! まだ半分も削れてないよ!

 ●戦闘/4ターン目
勇規/蹴りでいきます。(ころころ)……失敗しますよ。スカッ!
優斗/……そろそろ自分を白魔術で回復しとくか。(ころころ)成功、よし、だいぶマシになった!
昌幸/援護いきまーす! 十メートル近付いて怪光線2!(ころころ)クリティカル……ダメージ12!
GM/……クリティカル偉大だ。そんなに食らったら倒れるわ。
望彦/ああ、じゃあそっちも削っておくよ。電撃使います、みんな目瞑って!(ころころ)成功、10点ダメージ!
GM/超削れました……だがまだだ。目の前の優斗に相変わらずいくよ!(ころころ)7のダメージ、どすあっ!
優斗/まだまだ平気だ……!

 ●戦闘/5ターン目
勇規/ザコは倒し終わったから、桜田の近くに行きます。走るだけで二十メートルかかりますよね。
優斗/だな。じゃあ僕のターン……だけど、ここは1ターン消費する。梅木さん、何か言ってあげて!
GM/おお、行動放棄か。じゃあ優斗の声に梅木さんは顔を上げて叫ぶ。「ハルカ、いるの……? ねえ、何をやってるの? 私、貴方と話がしたいの……!」
優斗/……様子はっ?
GM/梅木さんの声を聞いて、桜田はピクリと微かに反応した……が、襲いかかってくるのは変わらないな。もちろんそんな姿なんて梅木さんには見えない訳で「ハルカ! ハルカっ!」と叫び続けている。
昌幸/……やっぱり倒すしかないか。充電します、電池換えなきゃいけないんで!
望彦/皆、目を瞑って。電撃!(ころころ)ゴメン、ダメだった。
GM/では梅木さんの声に反応しつつも、桜田は動き出す……前に来てくれた里山くんに(ころころ)4のダメージ!

 ●戦闘/6ターン目
勇規/お返しだ、蹴る!(ころころ)39でやっと成功、5ダメージ!
GM/ドスッ! 里山くんが蹴り上げたとき……肉体を持った者である彼女はバタリと倒れ込んだ。彼女は、何かを必死に口走っている。「チカラアル貴方達……イエ、貴方ダケデモイッショニ……イッショニ、チカラ、チカラ、イッパイイッパイイッパイ……」そしてまだ梅木さんは彼女に訴えかけている。――ここで戦闘終了だ。

優斗/桜田さん……。幽霊に対して【心理療法】って使えないか?
GM/……特別に使っていいことにしましょう。
優斗/頼む!(ころころ)……あの、クリティカったんですけど!
GM/おおっ! ――それでは、倒れ伏した桜田の体が消え、その代わりに……昼間見たセーラー服の少女が現れる。優斗は、『彼女が帰ってきた』のが判った。梅木さんは、微かに見える彼女を見て「ハルカ……なの?」と尋ねる。
優斗/……セアンス、してくれないか。
望彦/やるのか……女の子を降ろすのか?(笑) そ、そういう場合でもないけど。
優斗/オッサンがやるよりマシだと思うよ。――では三日原くんに【霊能力】プラス30%補正あげる。
望彦/ありがとう、嬉しくないけど。(ころころ)セアンス、成功!
GM/じゃあ三日原くんの体、お借りします。桜田ハルカはすっと消え……三日原くんの中に入り、ゆっくりと目を開ける。
優斗/……今、この人の体の中に桜田さんがいる。なんとなく判りますね?
GM/「ハルカ……?」梅木さんが尋ねれば、「マリ……ナ」と三日原くんの声で答える。でも「えっと……あの……」と梅木さんは何を言っていいのか判らなくてモゴモゴするね。
優斗/ハルカさん、マリナさんが言いたいことあるんだって。
GM/「……は、ハルカ。ごめんなさい! 謝って済む問題じゃないって判ってる! 判ってるけど、本当に……後悔してた」
優斗/……。
GM/ハルカは、淡々と答えよう。「ごめんなさい……私、貴方とただ『話をしたかっただけなのに』……一緒に、なるとか、じゃなくて……貴方にも、他の人にも危害を加えた。明日にでも……また誰かを」
優斗/……うん。
GM/「本当にごめんなさい……」「ごめんなさい……」二人は、泣きながら同じことを言い合う。すると突然、三日原くんの体がガクリと崩れ落ちる。「ハルカ!」梅木さんが叫んだ時、ミスティックじゃない人達でも判った。……ハルカさんの意識が、もうこの世には無いことを。
昌幸/……桜田さん?
GM/もうセーラー服の少女の姿も無い。すっと、この世から消えていく。「ごめんなさい。そして、ありがとう……話し掛けてくれた……話す機会くれた……ありがとう……ありがとう……」そして、声が……途切れる。
昌幸/……成仏、したのかな?
優斗/……うん、狂ったまんまじゃなくて、自分の意思でちゃんと逝ったみたいだ。だから、大丈夫だね。
望彦/ああ、最期は心からありがとうって感謝はしてたよ……。
GM/泣き崩れて、梅木さんは言うよ。「ホントに……私が殺したようなものなんです。ホントに悪いのは私で……恨まれるのも判るんです。『恨む』って、最期に言ってたもの……!」
優斗/首をふるふる振って。……桜田さんは恨んでなんてなかったよ。あれは不幸な事故だったんだ……。
GM/「……『恨む』って言ったのは私の聞き間違い……そう思って、いいんでしょうか?」
優斗/うん。それは自分を許せないあまりに聞こえちゃったことだと思うんだ。彼女もごめんなさいって言ってたんだし、あんまり自分のことばっか責めてると……また心配してこっち来ちゃうかもよ?
GM/……梅木さんは泣きます。泣いて、泣いた後に……立ち上がって。「ありがとうございます、あの子と話すキッカケを作ってくれて……私、あのままだったら罪の意識に呵まれてこの世から消えてしまいそうでした……本当にありがとうございました」
昌幸/……じゃあ、たむけに買ってきた花をホームの柱に飾りますか。
GM/ではマー君が置くと、その花が揺れる。桜田が笑ったかのように。梅木さんは涙を拭いて、ぺこりとお辞儀をする。「彼女のお墓参り……私、まだ行ってませんでした。明日、ちゃんと行ってきたいと思います。……本当に、ありがとうございました!」


 ★マスターシーン

 二〇〇二年、それは四月八日。
「きゃあっ!」
 桜田ハルカは落下した。どすん、ぽきり。体に不思議な音がした。
 ホームの上からは同級生達の叫び声、駅員の「黄色い線よりお下がり下さい」の声。……けれど他に声が聞こえた。
「君はこれから死ぬ。生態活動を止められる。機械に臓器を押し潰され生涯を終える、が。お前の魂……エーテル体はその死を認めない」

「まだお前は完全に消えるのではない。後悔は無いか? 恨みたい奴はいないか? 共に歩みたい奴はいないか? ――さあ、仲間を増やそう、いっしょにいてくれるひとを。融合する者を。悲しむことはない。ずっといっしょなんだから!」

 ハルカは答える。叫んでいる、上の方で必死に叫んでいるマリナを見ながら……その声に。
「『恨む』……って、なに?」

 ばあん。
 ――フェードアウト。


 ★エンディング



GM/時刻は、四月十日の放課後。クラスのみんなが帰っていく中、浅霧くんの所に友人が2人やって来るよ。「オーイ優斗、ゲーセン行こうぜー」
優斗/悪ぃ、僕バイトだから。
GM/「あ、そうだっけ。じゃあさ、駅まで一緒に行こうぜ!」仲の良い友人達といつものように志木駅に向かいましょう。
優斗/……う、うん。だ、大丈夫大丈夫!(笑)
GM/「つーかさ浅霧、お前今度いつ予定空いてんだよー」「いいかげんゲーセン行こうぜー」とバカ騒ぎをしている男子高校生ども。……そんな十七時の上り線ホーム。「黄色い線よりお下がりくださーい」
優斗/ど、どきどきどき……。
昌幸/(友人になって)浅霧、さっきから何してんの?
優斗/い、いや、この間嫌な夢見ちゃってさ……ここで誰かに押されて電車に押し潰されるっていう……嫌な夢だろ?
昌幸/(友人になって)うわあ、そりゃ嫌だな……まあその時はちゃんと助けてやるからよ、俺ら。
勇規/(友人になって)浅霧のコトだから電車ぶった切ってでも止めるだろ?
GM/「お前、ゼッタイ斧とか振り回せるタチだろ!」
優斗/ギクッ!(笑) なんでそんなに具体的なんだよ!?
GM/ワイワイやっている中にガタンゴトン、電車がやって来る……その時。ポンッと貴方の背中を押す……いや、叩く誰かの手。
優斗/ビクゥッ! バッと振り返る!
GM/振り返れば、そこには栗色の髪をした女性がいる。「あ、ごめんなさい。驚かせちゃったみたいね」
優斗/あ、あっ? 梅木さん……? いや、こっちもすいません。どうしたんですか?
GM/「私もこの時間に駅を利用するものですから。……昨夜は本当にありがとうございます。ちゃんとしたお礼とか……お話を、貴方としたくて」

 こうして、君はちゃんとした4月を歩むのです。
 友人と、新たに出会った女性と過ごす平和な4月の一日を――。


望彦/絶対この人、配偶者だ! またカノジョ作っちゃったよオッサーン!(笑)