ゲヘナ・リプレイ・前のめり☆乙女団
■ 第6話 『テストとカブトムシと後悔の街』 ■
2007年12月13日




 第6話セッションが始まる数時間前のことである。
 ロリの中の人はGMにある企みメールを送っていた。
『この「『前のめり☆乙女団」は第1話からオリジナルルール(モンスターを魅了したりなんの)を採用しちゃっているゲームでしょう。だからオリジナル技能を作ってみる気はない?』
 単にロリの中の人がキャラクターシートの技能欄の空白を埋めたかったに過ぎないのだが、この意見は通り、オリジナル技能案がいくつか挙がった。


ココ/……という訳でね、4つぐらい挙がった案の中から【親子の絆】というものを1レベル取得させてもらいました!
ミシュアル/「親子」ってコトはオカンに関係する系?
ココ/そう。オカンが攻撃だけに専念してもらうための技能だよ! データは以下の通り。

 オリジナル技能【親子の絆】
 使用者→ココ(&サラマ)。使用能力→精神力。サラマの【精神力】判定を行う際に使用できる。ココが判定を行い達成値4に成功するとレベル分だけオカンの判定ダイスを振り足しすることができる。また、ココのターンに宣言することにより、逆(オカンが技能判定に成功したら使用技能のレベル分だけココの判定を振り足し)も可能になる。
 ……他にも【幼女】などのオリジナル技能があったのは乙女のヒミツである。


GM/――ではレベルアップを終え、カナーンの町からザザザザザと砂漠を駆け抜けるパイルダーオカンキャノン。ダーッと走り続けて、ニビの町まで辿り着きました。
サラマ/よし、ジムリーダーはドコだ? 2人を振り落としますッ!
ミシュアル/ファラさんに手伝ってもらって無事着地しますッ!(笑)
リド/私もそろそろ慣れてきたな……オカンダッシュ(笑)
ココ/いつも通り【軽業】でロリロリ着地。……ニビの町に到着したけど、どんなトコかな?
GM/一見、カナーンとよく似た町並みですね。入ると整備された通りに、比較的新しいつくりの建物ばかり。……町のマップを見てみると、町の中央には大きな公園があり、それを取り囲むよう人々が暮らしているドーナツ状の町でございます。
ミシュアル/町の人々の様子は?
GM/みんな活力があってイキイキとしています。「安いよ安いよ!」とお店の人が声を掛けてきたり、広場の方に集まって話をしてたり、時計台があったりエビのモニュメントが公園にあったり。
ミシュアル/……それは重要な情報なの?(笑) 古代エビ神があったとか言うんじゃないわよ。
ココ/カナーンと似ているってことは、元はコロシアムがあったのかしら? ――GM、ロリが知っている範囲を【裏知識】で思い出します。(ころころ)達成値4。
GM/ではココちゃんは思い出します。……前回舞台になったカナーン、通らなかったフェリド、そしてニビの3つは三十年ほど前、1つの大きな都市でした。文化的にも近く、中央の大きな公園もコロシアムを潰した跡のようです。
リド/ここも元々闘技場の都市だったのか……。
GM/フェリドでは今も闘技場が残ってますけどね。あと【裏知識】で調べたんだからこの情報も……。ゲヘナ世界では、奴隷は一般的な存在で権利も保障されていますが、この辺りは奴隷に対する扱いが特に厳しい歴史がありました。
ココ/……闘技場なんだから奴隷同士の殺し合いを見て楽しんでいたんでしょう。ごく普通の娯楽だわ。
GM/しかしそれも今や悪しき伝統。闘技場は潰され、人々の憩いの場として使われています。
リド/なーる。……よく知ってるなぁ、ココ。
ココ/ええ、十年昔か二十年昔かに来たの。
ミシュアル/……ロリ、何歳だ。妖精さん疑惑浮上か(笑)
GM/さて、アっくんから貰った情報によると、密書の到着を待っているシャーリーさんは市街地に家を持っているそうです。
リド/そういやアフたんからの重要書類を渡すために来たんだっけ。ならまず目的を果たそうか――。

 綺麗で新しい町並みの、元闘技場の町ニビ。
 アフタールの姉シャーリーが住んでいるという中心市街はとても美しく、至るところに笑顔がある平和な町だった。
 お役所があるような、町でも特に中心地の一軒家。アフタールから渡された住所はそこへと乙女団を導いていていた……。


GM/では、住所通りの家に辿り着きました。ドアの前でございます。
ミシュアル/(真っ先に)ぴ、ピンポーン! やりきったオカマの顔でキラキラキラ!
GM/輝いてるね……『ドアを押すオカマ 1176年 著』。
ミシュアル/どんな文学だよ!(一同爆笑) すみませーん、お邪魔しますー。
GM/「はーい、どちらさまですかー?」家の中から女の人が顔を出します。
サラマ/我ら、前のめり☆乙女だーん!
GM/……怪しい方々ですね
リド/違うっ! 大変失礼しました!(笑) 私達はマサラ紫杯連のアフタールから重要書類を届けにきた者です!
GM/「ああっ、話は聞いていますよ。どうぞ中へお入りください」……ドアから身を乗り出して女性が出てきます。家へ上がれと言う女性は……三十代ほどの金髪の天使です。
サラマ/あれ? 天使の……ってコトはこの人、アフたんのお姉さんじゃない?
ミシュアル/あれれ、アフたんは人間だったよね? アナタはシャーリーさん?
GM/「はい、私がシャーリーですよ。アフタールさんの兄嫁でございます」
ミシュアル/なるへそ! お兄さんの奥さん……ってヤヤコシイ言い方するんじゃないよ、アフたんッ!(笑)
サラマ/そもそもアフタールって誰だっけ。
ミシュアル/暫く会ってないから忘れちゃった!?(笑)
ココ/なんかイメージのお姉さんと全然違ったよ。「ああん? バカ弟の知り合いか、アタイに会いに来たのかぃ?」みたいなお姉さんだと思ってた。……もしくはアフたんに羽をもいだ過去があるのかと。
リド/私もだ(笑) あ、シャーリーさんは享受者なんですか?
GM/「そうですよ。アフタールと同じく享受者のリーダーをさせていただいています。それで、密書のことですが……」
ココ/……ええ、本題に入りましょ。コレをどうぞ、って密書を渡すよ。ピンポーンが一晩でやってくれました。
GM/「まあ、ピンポーンが。それはそれはご苦労様」
サラマ/やっぱりピンポーンのこと知ってるんだ。――ヨシ、これで依頼は完了したわね、じゃあ私達帰るんで!
GM/「え、もうですかっ? 長旅だったでしょうから今夜一晩だけでも泊まっていったらいかがでしょうか? ああ、報酬は受け取っておりますので今お渡しますね」
ミシュアル/わあ、確か5000Diだよね? オカン、新しい包丁買えるんじゃない?

 オカンの武器『素敵な包丁』は大金を払うたびにダメージが強化されていく銘刀である。より強力な包丁を購入するため、フリータイムになったニビの町でお買い物をすることにした。
 買い物結果は以下の通り。
 ココ→人相を自由に変えることが出来る『黄昏の顔』を購入。これでツンデレから妹まで変身し、1人2箱までのティッシュを何回も買いに行けるように。
 サラマ→『素敵な包丁』レベル2から3に変更。ダメージが「牽制0通常2渾身4」なる。
 リド→今までの借金を返済し、テリアカ1本と『胸当て』を購入。


ミシュアル/ミっちゃんは特に買いたいものが無いので何も買ってません〜。
GM/じゃあ、きっと化粧品とか買ったんです。…………あ、折角だから本物の温泉にでも行く?
ミシュアル/えっ、ニビにもあるの?
GM/今から作ります。
リド/ええっ、沸いた!?(笑) 買い物途中で温泉が沸いたって噂が立ったんですね(笑)
ココ/近辺で自然に沸いたんだから有り得る話でしょう。ママ、入りに行く? 新しい出会いがあるかもしれないよ。
サラマ/ヤダ! 温泉行きたくない! 待ってるから入ってきなさいよ! 私は汗なんて全然気にしないから!
リド/オカン、女なんだから気にしようよ!(笑)
ココ/はーい、オカンも行くよーズールズール。
サラマ/行きたくねー行きたくねぇー! いっそ殺せぇー!(一同爆笑)
ココ/ほら綺麗なホカホカ温泉でしょー、赤くないねー、安全だねー。
GM/はい。行き当たりばったりで出しちゃったけど今度はちゃんとした温泉です。
サラマ/嘘だッ!
ココ/嘘じゃないから。そんな竜宮風に言ってもダメ(一同爆笑・同時にロリがいきなりころころ) ……【先制】達成値4でオカンの首をトスっておとなしくさせてます。
サラマ/か、回避!?(ころころ)……2。意識さんサヨナラ!
ココ/ドスッ。……大丈夫、ちゃんと沈めてあげるから。
ミシュアル/こんなところでお風呂戦争が!?(笑) ……で、リドちゃん。アタシ達はどうする?
リド/……そろそろ私もみんなにちゃんと言いたいな。正体をバラしたいし……私だってお風呂にゆったり入りたいんだよ!(笑)
ミシュアル/オカマは……女湯入ったら怒られちゃうよね。でも男風呂はなー、流石に入りたくないなー。
ココ/じゃあ混浴があることにしようか。オカマは脱衣所だけガマンして浴場で合流しましょ。待ってるよーズールズール。
リド/……潔くズカズカと女更衣室に入っていきます。でもって、いいかげんサラシを取る。
サラマ/(いきなり赤の他人になって)「ママー、どうしてあの人ズリズリされてるのー?」「シッ、見ちゃいけません!」「ママーママーどーしてー?」(一同爆笑)
リド/その気絶している後を追っかけます。おい、ココ待て! 引きずるの大変だから一緒に手伝う!
ココ/……。
リド/……。
ココ/やっと観念したのね。一緒に行きましょ、サハル?
リド/……ああ。
サラマ/リドちゃんにお湯をかけられて目覚めます! あ、あああああーっ! ここはどこー!?
ココ/ココはここだよー。オカン、今お湯をかけてくれる人が誰だか判る?
リド/(ぶっきらぼうに)……背中、洗うぞ。
サラマ/(無視して)あー、いつもすまないねー。背中ムシってくれると嬉しいなー。最近なんか虫っぽいのがいるのよねー。
リド/ノミが出てるじゃないか!(笑) ゴシゴシゴシッ!
ミシュアル/……アンタ達、何やってんのよ。と、タオルを巻いて現れます。

 そんな不思議なお風呂の一団。
 摩訶不思議な乙女団の噂は、町中に広がったとか広がらなかったとかなんとか。


ココ/温泉に充分に浸かったら出ます。湯船も良いでしょ、ママ?
サラマ/そうねー。アンタ、いつも背中洗ってくれてありがとねー。でも私は何もあげるもん持ってないからゴメンネー。
リド/……そのままいつもの服を着ます。
サラマ/牛乳牛乳ー……ってあれ、リドちゃんどこ行ってたの?(一同爆笑)
リド/風呂だよ!(笑) ……私はな、黙ってたんだけど実は女なんだよ!
ミシュアル/そこでドーン! という炸裂音と共に敵が登場!
リド/ええっ、そんなエフェクトいらない!(笑)
GM/じゃあ【危険予知】でどうぞ。
一同/はぁっ!?(笑・ころころ)全員達成値1でーす。
GM/では後ろに……リドちゃんの肩をポンッとたたく誰かがいる。「こんにちはっ!」といつもの声と共に。
ミシュアル/シェーたん出たー!(笑) 今日はどっちの性別よ!?
GM/「今日はオトコノコのシェーたんでーす!」
サラマ/わかった、そういうのをバイリンガルって言うんでしょ!?
ミシュアル/違う!(笑) ……アンタも温泉入りにきたの?
GM/「その通り、今回はただ温泉に入りにきただけでーす!」
リド/……でもまたこの町で何かやらかす気じゃないだろうな?
GM/「モチロンその気だよ!」
サラマ/即答した! 気に入った!
リド/お前、それは私達に対する宣戦布告か!(笑)
GM/「えー、だってー。君たちがボクに関する恥ずかしいモノを持ってきちゃったんだから、おあいこだと思うよ?」
ミシュアル/アレ、恥ずかしい書類だったんだ!(笑) ……アンタ、今日は何をするのよ。
GM/「今日は君達に……ボクのテストを受けてもらいに来ました! 題して、『第1回シェヘラザード様による人間テスト大会!』」
サラマ/1ぬっけた! 人間じゃねぇ!
ミシュアル/2ぬっけた! オカマだもん!
ココ/それだと『オカマ』が種族名みたいね。……また手の込んだコトがお好きのようで。筆記試験と実技試験、どっちなの?
GM/「実技だねー。開始は夜になるからそれまでお楽しみに!」
ミシュアル/やだ! 夜は寝るの、夜更かしは美容の大敵なのよー!
GM/ボクだって寝たいよッ!
サラマ/じゃあ寝ろよッ!(一同爆笑)
GM/「もう決めちゃったもんねー、それじゃまた! バイバーイ!」そんなコトを言いながらチョキチョキと手を振って去っていきます。
リド/……チョキチョキと?(笑)
ココ/器用だねぇ。悪事と自覚があって予告するなんて素敵な趣味だこと。……まあエビ饅頭を食べに行きましょうか。
ミシュアル/ロリ、冷静だなぁ(笑) アイツのことだから何が起きても仕方ないって思えば慣れるんでしょうけど。
GM/――では術士組は町を見渡すと、何か黒いものが蠢いているような気がします。今のところ、町で火の手が上がったなどという大事件は起きていないようですが。ないね?
ココ/そう……本当に夜まで何もしない気でいるのかもね。それまでエビフライでも食べてよっと。
ミシュアル/……ニビの町ではエビフライが特産なのか(笑)
GM/じゃあ、シャーリーさんの家に戻るとエビフライやカブトムシフライをご馳走してくれます。
ココ/もぐもぐ。……そういえばシャーリーさん、アフたんのお兄さんはドコにいるの?
GM/「あ……お兄さんのリアドさんはですね、随分昔に亡くなったんです」
ミシュアル/『リアドさん』って言うのね、アフ兄……って言うとアフガニスタンみたいだけど(笑) その人もやっぱり享受者だった?
GM/「はい、そうです……残りのスタンは何ですか?」
ココ/なら、アフたんの恥ずかしい写真はありませんか。
リド/脅す気か、お前!(笑)
GM/「アっくんは昔それはそれは泣き虫でリアドさんがよく宥めてました。優しいお兄さんでしたよ。とても男前で……男前に超が3つ付くような男前でした」
ミシュアル/超! 超! 超! 男前ッ! ……ってシャーリーさん、ノロケですか(笑)
サラマ/まったく、これだから夫婦ってやつは!
ココ/オカンも早く相手を見つければいいじゃない。
ミシュアル/いるでしょ……カラム君が(笑)
サラマ/何と絡むの(一同爆笑)
GM/その会話を聞き笑いながらも「……亡くなってしまったんですけどね」と悲しそうな顔をシャーリーさんはします。
ミシュアル/……あー、シャーリーさんって強い人なんだよね? それならさっきのシェーたんのコトを言った方がいいんじゃない?
GM/「何かあったんですか?」
ミシュアル/実は、かくかくしかじか。
ココ/これこれうまうま。
GM/「そんな……また彼がこの町に現れたのですか」
リド/また、ですか?
GM/「……二十年前にも彼はニビの町を訪れました」
ココ/二十年前……何かあったの?
GM/「……この町で、奴隷解放運動が起こったんです。私は、そこで運動に参加していたリアドさんと知り合いました。あるとき、順調だった解放運動のレジスタンスの中で仲間割れが起きました。それに関わっていたのが……シェヘラザードという男でした」
ココ/……シェーたんがやりそうなコトね。そのときはバイバーイと逃げられてしまったと?
GM/「はい。彼がまたやって来たということは何かが起きるのかもしれません……私は、あの憎たらしい笑顔が忘れられないんです!」
リド/判るぞ、その気持ち……。
ココ/……シャーリーさん。町中に今夜何かが起こると享受者の人だけでも伝えておいた方がいいわ。さっきも何か嫌な予感がしたの。
GM/「……そうですね、何人か町に警備をつけておきましょう。……貴方達も手伝ってくれませんか? 報酬はもちろん出します。と言ってもまだ何が起こるか判りませんので出来高になりますが。前金として2000Diほどお支払いしましょう」
リド/ああ、何もしないよりはマシだな。
サラマ/(キャラクターシートに所持金を記入して)あ……あと1000Diでまた包丁がレベルアップできる!
ココ/じゃあ、オカンに融資するよ。
ミシュアル/まだ戦ってもいないのにレベルアップする!?(笑) いいの、GM?
GM/……いいよ、もう。鍛冶屋は朝の十時から気が済むまで営業してます。
ココ/良いエビの町だ(笑) えーと、オカンに1000Di貸す……と(キャラクターシートに記入)
サラマ/これで『素敵な包丁レベル4』にしてダメージが「牽制1通常3渾身5」になったわ! ココ、ありがとー!
リド/ダメージプラス5は期待できそうだな!(提示された町のマップを見て)……なあ、個人的に時計台があるのが気になるんだが。どんなものなんだ?
GM/随分昔からあるような古くて素敵な時計台です。
ミシュアル/気になるならみんなで行ってみましょ。まだ夜まで時間あるわよ。……もしかしたらマテリアが見つかるかもしれないし?
GM/そんな淡い期待を抱いて時計台に向かってみますか。

 全てが新しく作り換えられているニビの町並み。その中でも歴史を感じさせる名所は、毎時間を町に知らせてくれる現役の時計台だった。
 ……今では時計台の中が博物館になっており、『二十年前の奴隷解放運動の活動拠点』だったと看板に紹介されていた。


リド/……もしや、過去のシェヘラザードのことが判るかもしれない? 入ってみます。
GM/入ってみると、田舎の博物館らしく小さくてションボリな感じです。――大体二十年前にあった『奴隷解放運動』のことに関して掲示されています。

 壁に張り出された資料。二十年前の町の『ひどさ』を物語る遺物。
 レジスタンスのメインメンバー名簿の中に、シャーリーとリアドの名前を発見した。出来事も全て年表で紹介されており、読んでみるとヒドイ分裂を起こした時期があるのが判る。
 そのとき、リアドだけでなく多くの人を亡くしたようだった。


ミシュアル/……マジで? 夫さん、相当早く死んでない?
ココ/早く結婚して早く死んでしまったのよ。大体のRPGの成人年齢は十五だから、ちょっと結婚が早いと十歳ぐらいかな。……ロリもそろそろ相手を考えた方がいいかしら。
サラマ/ダメ! 相手が見つけたらまず私に紹介しなさい! ココが欲しかったら私を倒しな!
ココ/エスターク並のラスボスで大変だねぇ。……そのときのメンバーの生き残りは、シャーリーさん以外いないの? 名簿を見ます。
GM/……大半の人はそのとき死んでしまったようですが、『ジェルさん』という男性がシャーリーさんと同じく生き残っているような記述になっています。
ミシュアル/なんて液体的な名前なんでしょう(笑) ジェルさんに会いに行くのもいいかね……ジェルさんが今どこに住んでいるか調べられますか?
GM/では博物館を管理しているおじいさんが知ってることにしよう。「ジェルさんかい? 彼なら市街に今でも住んでいるけど。最近は公園にいることが多いかな?」
ミシュアル/ありがとう、ついでに身体的特徴を教えてよ。
GM/「彼は人間だよ。……今は獣甲の武具を手にはめているから結構目立つかな」
ココ/……そういえば、このシナリオに獣甲闘士がまだ出てきてなかったわ。
リド/言われてみると。じゃあ、公園のジェルさんのところに突撃しに行こうか。

 陰鬱な時計台から一転、広くて平和な公園へ向かうことに。
 コロシアムを潰して作られたという公園は、夕方を過ぎてもまだ多くの人々が笑っていた。
 その中でも木々を崩して作られたらしい場所は美しい風景で……そこに獣甲のゴツイ手をしたオジサンが、絵筆を持っているのを発見した。


GM/眼鏡をかけた渋いオジサンがキャンパスと格闘してます。
ミシュアル/絵描きなんだ!? 獣甲闘士なのに!?(笑)
GM/だから体は割とガチムチでだいぶ鍛えている。でも眼鏡。
ミシュアル/あーんカッコイイ!(笑) ジェルさんですか、お声をかけます!
GM/筆をとめて振り向いた先には乙女団。「……なんですか、面白いメンツの皆さん?」
リド/シャーリーさんの知り合いです。おそらく貴方にも後でシャーリーさんからの連絡が来ると思いますが……今夜この町にシェヘラザードという男が何かをするようです。気をつけて。
ココ/で、今はシェヘラザードに関する情報を集めているの。苦しいだろうけどロリ達とお話してちょうだい……二十年前に関して。
GM/「ああ、そうですか……大変ですね」筆を片付けながらジェルさんがポツポツ話し始めます。「……あれは酷い戦いでした」と語るジェルさんの頭にカブトムシがとまっていたり。
サラマ/エイぐちゃッ!
GM/私のジェニーを潰したッ!?
ミシュアル/ペットだった!(笑) 白炎白炎っ!(一同爆笑)

「……当時、私はレジスタンス側のリーダーをしていました。
 リアド君とシャーリーさんは、レジスタンスの中でよく働いてくれました。そのときの彼らは若く……私もまだ二十代でした、だからあんなことが出来たのでしょう……今では到底できないような過激なこともやりましたよ。元々この町はひどく荒れていました。奴隷のことがなくても酷い町だったんです。
 ある日、奴隷解放運動が活発になってきた頃……町にクスリを持ち込んだ者がいました。それが、シェヘラザードという男でした。」


ココ/……暗殺士の魔薬でなく?
GM/「いえ、誰にでも使える紫色の葉っぱでしたね」話してくれる情報をまとめてみると、第1話に見たものと同じものだと判ります。

「その力は強大で……それさえあればこの戦いで勝利できると我々も始めは歓喜しました。ですが、リアド君は異論を唱えました。『人間ではないもの』に堕落し成り下がっていってしまうものを使ってまで勝利することに意味はあるのか、と……。
 それがキッカケでレジスタンス内で大きな内紛が起きました。……そのときにリアド君を始めとする多くの若者が亡くなってしまいました」


リド/……急進派と保守派の争いか。もしかしたらアイツは最初から内紛を狙ってたのももしれないな。
ココ/シェーたんのコトだしね。……現在、この町で何か騒動になっているコトはあるの?
GM/「いえ、特に事件は起きてないですね。二十年前は本当に酷かったんですが、それらの過去を乗り越えて皆立派に生きています」
リド/……二十年前の騒動を蒸し返す気か、アイツは。
ココ/蒸し返すも何も、今は騒ぎを起こす団体はいないんでしょう? ……そのときのシェーたんの顔ってどんなのだった?
GM/「長い黒髪の綺麗な顔の男でした。……そのときはまさかあんな悪人だったとは思いませんでしたね」
サラマ/石田彰ヴォイスなんて卑怯ね!
GM/……いつの間に石田彰で決定したの?(一同爆笑)「では、私も今夜のために戦う準備をしておきましょう」
サラマ/乗りな、家まで送っていってやるよッ!
GM/「それには及びません」と、足の獣甲を起動してジェルさんは疾走します。
ミシュアル/うわおっ、アラレちゃんキーン!?(笑) 流石、獣甲闘士!
ココ/……さて、家に帰るってことはもうそろそろ夜になるのかな。私達はどこにでも行けるように中央公園にいた方が良いと思うんだけど?
サラマ/そうね。どこで何が起きてもいいように公園のベンチに仁王立ちしてましょ!
ココ/すごく……仁王立ちです……(一同爆笑)

 公園で待つこと数時間。……時が経つのは早く、時計台の鐘が夜の8時を告げる。
 ゴーンゴーンという重苦しい、昔ながらの音が響くニビの町。
 ――昼間に見た黒みは、一層深くなったように感じた。


リド/なんか……嫌な予感がするな。
GM/ファラさんもプルプルしてる……と、思ったときに顔をバッと上げる! 何かを聞いてしまったかのように慌てるファラさん!
ミシュアル/どうしたのっ?
GM/「わ、判りません……でも町が……みんな、変です! あっちの方も……こっちの方も!」 ――【危険予知】を持っているファラさんはいち早く変化に気付いたようです。

「それって、なんのこと……?」
 動揺するファラさんを追及していたときだった。気が付くと、……目の前にシェハラザードがいた。
「ハローッ!」
 もうすっかり夜のニビ。シェヘラザードは何の違和感もなく――マサラの町からの密書を手にして立っていた。


ミシュアル/夜なんだからハローじゃないでしょ! グッドアフタヌーン……ハッ、グッドアフタールっ!?(一同爆笑)

「やあやあ、昼間に予告したことを始めるよッ!
 お待ちかね。シェヘラザード様のシェヘラザード様によるシェヘラザード様のための人間テストターイム!」
 男が叫んだ後、舞台の照明が消されたように――町が真っ暗になった。町が一瞬にしてさっきまで見ていたものと違った様子になり、古い荒んだ町に変わっていく。公園だと思っていた場所には大きなコロシアムが現れた……。


GM/「……皆さん、後悔してるものってありますか?」
サラマ/カブトムシを潰しちゃったことよ!(一同爆笑)
ココ/とりあえず今は、『予告を回避できなかったこと』……かしら?
GM/「そうかい。今回は、様々な後悔を形にして迷宮にしちゃいました」
サラマ/え、カブトムシが襲ってくるの!? カブトムシに潰されちゃう!
リド/……お前、何をさせるつもりだ?

「この町のみんなに後悔をやり直すチャンスをあげようと思ったんだ。この町は、みんな笑顔のくせにいつでも迷宮になれるぐらいの悩みで満たされている。後悔の形がこの町を模っているだけだからどんなものが出るかはボクにも判らないよ!」
 建物はどんどんと黒ずんでいく。
 全て墨で塗りたくったような真っ黒の町に変わっていく……。


ココ/……テストってことは、正解があるんだよね?
GM/「モチロン。この町で色んな『後悔の姿』を見せてあげるから、うまくやり直すことができたらこの迷宮から出してあげるよ」
サラマ/とりあえず温泉に入っちゃったことはやり直せるわねッ!
GM/と、オカンが一歩踏み出そうとしたところにカブトムシが!
サラマ/うわああぁーっ! 踏まねぇーっ! ヨシやり直したぁーっ!(一同爆笑)
GM/ではカブトムシは元の色になってパタパタっと飛んでいきました。
ミシュアル/えっ、こんなのでいいの!?(笑)
GM/「大体そんなーカーンジぃ♪ 頑張ってみせてねー……『人間はくだらなくない』って言ったのは君達なんだから。あっ、こんな恥ずかしい書類はボク貰って行っちゃうよ!」
ココ/そうだ。その密書、一生懸命持ってきたのに……。
GM/「いいじゃん。だって書いたのアフタールでしょ?」
サラマ/違うよ、ピンポーンだよ! そうだ、『趣味はアリの巣を埋めること』って本当なの!?(一同爆笑)
GM/ど、どうしてそんなことまで!?」(一同爆笑)
リド/オカン、読んだのか! そして、本当なのか!?(笑)
GM/「……まあ、人間の町なんてアリの巣みたいなものだしね。というコトでこの密書はボクのウチまで持っていくから。砂漠で待ってる!」
ココ/おウチってドコよ。砂漠って広いじゃない……地獄丁2丁目とか?
ミシュアル/そうだ、アンタの住所教えなさいよ! 住所が判れば年賀状も出せるよ!
GM/「ウチの鍵を探してごらん、そのコが教えてくれるよ! 鍵はこの町で一番後悔している人が持ってるからね――!」

 いいかげんなことを言うだけ言ってシェヘラザードは姿を消した。
 古びた町の建物は、色だけでなく芯まで闇に染まっていそうなほど暗いものだった。



 ◎〜 CM

サラマ/ファイナルピンポーンファンタジー!
ミシュアル/……具体的に何をするの?
ココ/FFなんだからクリスタルを追い求めるじゃない?
サラマ/いや、ピンポーンを倒しに行くの。
リド/ボスの方なの!?(笑) っていうかプレイヤーは誰!?
サラマ/そこはやっぱり乙女団。だから、ピンポーンを倒しに行くの。
ミシュアル/ファラさんが涙目で「貴方が裏切るだなんて!」……最後の一撃、絶対ファラさんだね(笑)

 ……誰もいない空気、整備されていないゴミゴミしい道、不吉な匂い、争う声がするコロシアム……二十年前のニビの町は、迷宮に相応しい形をしていた。

GM/古びた町の一角で、今日一日歩いても見たことない『大きな物見やぐら』が立っています。
ミシュアル/二十年後には無かったものね。……やぐらがあるってコトは登れってことだよね?(笑)
サラマ/じゃあ【登攀】しまー……。
GM/す、とオカンが言おうとしたとき。やぐらの上の方から争う音が聞こえてきました。痴話喧嘩のような言い争う男女の声です。
ココ/(いきなり男女になって)「俺はソースだ!」「私はケチャップよ!」?(一同爆笑)
GM/いえいえ! どうやら「一緒に死のう!」「そんなの嫌よ!」といったもののようです。――では、【感覚】か【精神力】で判定してください。
ココ/あらら、大変なコトが起こってるわね。【精神力】で(ころころ)4の達成値よ。

 ……フッとココの頭の中にある『史実』が入り込んできた。
 あの男女は数分後、やぐらから落下する。
 そして全身を叩き付けられ死んでしまう……。
 実際に起きることだと確信が、一瞬にして体を駆け巡っていった。


ココ/…………そのコトを全員にロリ語で話します。ろりぃー!(一同爆笑)
サラマ/ヨシ判った、私が登って止めてくるッ!
ミシュアル/ならファラさん、やぐらの上まで飛んで! オカンが来るまでの時間稼ぎをするのよ! リドちゃんに交渉して行って! アタシは下でもし落ちたときの白炎を準備してるわ!
リド/よし、飛んでいく!(ころころ)ファイアジェットで3分間飛びます! ちょっと待ったー、喧嘩はやめろーッ!
ミシュアル/(ファラさんになって)「そうですよ、やめてください〜っ!」
GM/「な、なんだお前は!」「お願い、彼を止めてー!」
リド/【交渉術】……(ころころ)やった、達成値6! 命を粗末にするな、死んだって何もなるワケじゃないだろ!
GM/「でも……こんな町で生きてたって仕方ないんだ!」
リド/私だって死ぬような思いをした、でもこうやって生きてる!
ミシュアル/(ファラさんになって)「ですよ〜、生きてれば良い事がありますよ〜っ!」
GM/必死な説得に便乗して女性も「そうよあなた……頑張って生きていきましょう!」と叫びます。それを聞いて男性は「……俺が間違っていたよ」呟き、自殺を断念します。
リド/良かった……そのまま物見やぐらを降りて行くな?
ココ/――そして途中、オカンと鉢合わせ。
サラマ/あれ、アンタ何よ!? なんだよこんなところまで登らせておいて! 落ちるんだったらさっさと落ちろよ!(一同爆笑)

 誰も死なない結末。
 無事やぐらから降りた2人の姿はいつの間にか消え、真っ黒だった物見やぐらは更地になっていた。少しずつ『後悔』を解決していけば、町中の真っ黒が二十年後の姿に戻り、解放されていく……。
 次に乙女団が進んだのは、人々が息を潜めて暮らす住宅地だった。


GM/とある民家中から騒がしい音が聞こえてきます。怒鳴りつけているような声が耳に入り、そこのドアがバンッと開かれ、女性が突き出されてきます。
ミシュアル/女性をオカマキャッチ!
GM/キャッチ……して見ると、女性はボロボロです。どうやら奴隷のようですね。「あ……ありがとうございます」と支えてくれたオカマにお礼を言います――が、その姿にオカマは見覚えがあります。
ミシュアル/……え?
GM/……貴方の過去の彼女です。この間、迷宮で見た……傷ついたようで息も絶え絶えの彼女に見えます。
ミシュアル/……す、すぐに白炎だ! 回復しますっ!
GM/白炎をかけると彼女の傷は少し癒えます……が、よく見ると貴方の知ってる人ではありません。さっき彼女のように見えたのは、貴方の幻覚か……それとも。
ミシュアル/人違い? ……シェーたんのイタズラかな。
GM/では、【感覚】か【精神力】で判定してください。
ココ/【精神力】で(ころころ)4ですロリ。

 ココにはまた未来に起きるビジョンが見えた。
 ――奴隷の女がひどく虐げられ、病のまま家から放り出され、孤独に死んでいく姿が。


ココ/……目の前の彼女には判らぬよう、乙女団にだけ判るロリ語でロリロリ説明します。
リド/ロリ語、便利だな(笑) ……主人に「帰ってくるな」と言われたのか?
GM/「はい、そのとおりです……」ボロボロの体のまま答えます。
ココ/「帰ってくるな」ってコトは貴方は自由の身よ。行きたい所も行き、帰りたい場所に帰りなさいな。
GM/「けれど……私に帰る場所なんて」――呟いて、女性は消えてしまいます。
ミシュアル/あっ……。

 ここは過去の後悔が形になった迷宮。
 この町では似たようなことが星の数ほどあるということを思い知らされる。助けても助けきれない出来事が山ほど町に溢れていた。
 ……家の中からは男の怒鳴り声がまだ続く。何を言ってるのかも判らない怒鳴り声が。
 そして今度は路地裏に移動。コロシアムの裏側は、スラム街の孤児達がずっと虚ろな目のまま過ごしていた。


ココ/虚ろな目で見ているだけで何もしてこないの? 何も無いなら通り過ぎるしかないな。
サラマ/……どうしたのって訊いていいですか。
GM/流石オカン、子どもには優しい。「……お父さん達が帰ってこないんだ。みんな……殺されちゃったのかな」
サラマ/今までアンタ達はどうしてたの。ご飯とか……。
GM/「僕達だけで暮らしてたんだよ……ご飯なんて一週間前に一回食べてからずっと……」
サラマ/……お前ら、全員一緒に来い!
ココ/ママ、無責任よ。これは幻覚だからいいけど、その選択を現実でしたら自滅するからやめなさい。
ミシュアル/……確かにそうだけど。それでも、と持っていたクッキーを少年達にあげます。
GM/するとスラム中の少年がワラワラ集まってきます。じゃあオカマはクッキーをあげたから見えたかな。――この子ども達はそのまま朽ち果てて死んでいくのを。
ミシュアル/……幻覚って判ってるけど、どうせ私はお金持っていても使わないから全部あげたいわ!
ココ/……不幸な人間なんて救ってたらお金がいくらあっても足りないわ。全員が幸福になれないなら、自分達だけでも幸せになりなさい。
サラマ/……。
ミシュアル/……。
リド/でも、それは……。
ココ/……単に子ども楽しませて『後悔』を晴らすなら、【舞踊】するけど?
リド/……私は赤炎をココに纏わせます!
サラマ/逆騎乗します! ホラホラ、乗りなーっ!
GM/そんな感じで、スラムの子ども達は貴方達に大いに楽しませてもらいます。……少しだけ楽しい時間を過ごした子ども達は拍手をして笑顔を見せて、「ありがとう!」と次々消えています。

 その中で一人だけ子どもが消えずに笑顔をずっと見せる。
「……ありがとう、お母さん」
 サラマに笑いかけて、手を振って走り去っていった。


サラマ/まっ……待ってとその子を追っかけてみます!
GM/追いかけようと走り出したところで幻覚はフッと消え、町は元の姿に戻ってしまいます。
サラマ/そこで壁に激突。石の中に入ったりしない!?
ココ/そんな昔のバグ技じゃないんだから(笑)

 無残にも朽ち果てていった子ども達の念は消えていった。
 ……次に訪れたのは、真っ黒の時計台。
 その中で、男達が激しく言い争っている声が聞こえてきた。
「そんなやり方での改革なんて意味は無い――!」


リド/……まさか、リアドさんか? 覗いてみます。
ココ/(言い争うように)「そこではソースだろ!?」
サラマ/(同じく言い争うように)「いいや、ナマだろう!」
ミシュアル/(超喧嘩腰に)「バカヤロウ、何もかけないのが一番男前だっ!」(一同爆笑)
GM/いやいや!(笑) 時計台の中で男達が何人かが言い争っています。「だから何度も言っているだろう、そんなクスリに頼った方法なんかじゃこの町はダメになるだけだ!」……懸命に主張している人間の男性は……アフタールに似てますね。それから、その横で話を聞いている天使の女性がいる。
ココ/待望のショタアっくんはいませんか?
ミシュアル/大人の会合の中には居ないんじゃないかな。……ショタアっくんが居たらアタシ達、爆笑するよね(笑)
ココ/で、泣くんだ。「何もしてないのに笑われた〜!」って。
GM/なんて汚い大人達。……その討論をしている隅にはラリっちゃった男性達が寝転がっています。――で、貴方達は気付きます。時計塔の周囲一面に、どこかで見たような紫色の葉がいくつも生えている……。
ココ/……栽培してるのね。
リド/えっ、アレを!? 凄く燃やしたくなってきた……!
ミシュアル/燃やしていいですか、GM?
GM/別にいいんじゃいかな。
サラマ/じゃあ食べてもいいですか?
GM/食べると3ラウンドぐらい全ての判定数が2上がるけど、【堕落ポイント】が3点稼いじゃいます。
サラマ/堕落しません勝つまではー! 燃やせーっ!(一同爆笑)
ココ/炎がゴーゴーっと。……で、感情に任せて燃やしていると「誰だ!」って声が掛かるのね。
リド/しまった、感情的に燃やしてしまった!(笑)
GM/普通は気付かれますよね。「だ、誰なのアンタ達……」と時計台の中から、二十年前のシャーリーさんが出てきます。
ココ/……このクスリに頼った人達の末路は知っているでしょう? 貴方達が捨てられないなら部外者が砕いてあげる。
リド/そうだ、クスリに頼ったって幸せなんかになれない……!
GM/「……でも、時計台ごと燃えるわ
一同/ですねー!(一同爆笑)

 時計台の周囲一面に生えているんだから燃えます。
 そうしているとシャーリーだけでなく男達も出てきた。放火を止めようと怒涛の勢いで襲い掛かってくる。
 そのとき、ファラにハッとあるビジョンが見えた。
「あの人たちこの後……殺し合いを始めてしまいます!」


ミシュアル/つまりは……このままだとアフガニスタンが殺されちゃう!
ココ/スタンさん、逃げて!(一同爆笑)
GM/「な、なんだかよく判らないが……逃げるぞシャーリー!」貴方達に言われた通り、リアドさんはシャーリーさんを連れて2人で逃げ出します。そして時計台の中から出てきたゴロツキっぽい男3人組が「何だ、お前ら!?」

 襲い掛かってきたのは3人の男……だった筈だが、3人は重なり合い1匹の――腕が8本ある怪物に変身していった。
 迷宮の謎の怪物を蹴散らし、8本の腕によるカウンターに苦戦しつつも連撃の嵐を食らわせなんとか勝利をおさめる乙女団。


ココ/……ここでスタンさんを救ったからって、彼が生き返ることもないけどね。
GM/でもこれで、『リアドさんを守れなかった』というシャーリーさんの後悔は少なくとも解放されます。

 シャーリーの『後悔』が時計台を黒くしていたのか、元の古くも歴史があり美しい時計台に戻っていく。
 ――次に訪れたのは、物凄い数の死体が積み重なっている……コロシアムの死体捨て所。死体からはいくつもの紫色の葉っぱが生えている異常な場所だった。


GM/先ほどは時計台の周囲に栽培されていましたが……本来この葉っぱは人々の絶望を糧に育つのです。
ミシュアル/流石ゲヘナ。……アタシの中で紫色の葉っぱってシソみたいになってるんだけど。
ココ/そうね。種を撒くシェヘラザードはさぞ楽しそうでしょう。「わーい、死体死体ー♪」って。
ミシュアル/ジョウロで水あげてるの、可愛いなぁっ!(笑) 
GM/そこは蛇が水あげてるよ。……闘技場からドサドサ積まれた死体達はやがて一塊の死霊になって飛び立ち、かつて大事だった人々のことも忘れて無差別な殺戮を始めていくのです。
リド/それが、砂漠でうろついているアレになるのか?
GM/それもありますね。……死霊が漂っていて、ココちゃんの周りに寄って来ます。魂装術士なので集まってくるようです。
ココ/そっか。ロリロリいいこいいこ。
GM/……その中に大切な誰かの顔があるような気もします。なんだか、ここに居ると大切な何かが零れ落ちていくような気がしてくるような……。
ココ/……具体的に言うといつまでもここに居ると【堕落ポイント】が貯まるかもってことね。じゃあ弔いの舞でも踊りましょう。(ころころ)3でくるくる……このまま留まっていても苦しいだけだからお逝きなさい。南無。
GM/死霊達はココちゃんの言葉を素直に聞き入れて空に登っていきます。……死によって作られたありとあらゆる後悔の塊だったようですね。死体置き場が元の色を取り戻します。

 ここから聞こえてくるのは、コロシアムから剣のぶつかり合う音。
 そして熱狂的な気の狂ったような歓声。
 ……その中に、アフタールの気配を感じた。


GM/コロシアムに入ると、奴隷達が戦っています。……その中にアっくんに似た三十過ぎの男性がいます。
リド/もしかして……アフたんのお父さん?
ミシュアル/アフチチが……闘ってるの?
GM/あれがアフ父! と思った瞬間、その男が倒れました! ファラさんが叫びます。「ああ……今、『剣を持ってやってきた少年の周りに居た人々が斬り殺されるビジョンが見えました!」
ココ/周りに人がいるので、ロリ達にしか判らないファラ語で教えてくれました。
ミシュアル/ふぁららららら!(一同爆笑) アフたん……そんな欝な過去があったのか。
GM/では、貴方達は『誰かが走ってくる』のを感じ取ることができました。
リド/……見たことある少年ですか!?
GM/実際に見たことはないけど、見たことある顔っぽいです。
サラマ/アフたん! ――追いかけますっ!
GM/では【敏捷力】で対決です。(ころころ)こちらは2。
サラマ/【騎乗】して乗っかってもいいですか!?(ころころ)3!
GM/酷い大人だよね!(笑) 騎乗されたら逃れるのキツイよな……七歳ほどの少年の上に乗っかりました。金髪で褐色肌の少年は切羽詰った顔で怒鳴ってきます。「何すんだよっ! 早くしないと……父さんが死んじゃうだろ!?」
ミシュアル/……ファラさん、闘技場に行ってお父さんを助けてやって!
GM/ファラさんで何をするんですか。
ミシュアル/「やめて、お父さんを助けてあげて〜!」って可愛い顔で男どもの同情を引くのよ! 時間稼ぎぐらいにはなるでしょ!
GM/……ではファラさんは闘技場へ飛んでいきます。
サラマ/アフたんを肩車してあげて私達も闘技場に向かいます。足はガシッと掴んで離さないよ!
GM/アっくんは【敏捷力】でオカンの手を振り解こうとします。
サラマ/【剛力】でふせぎます。
ミシュアル/やりすぎないようにね、足が砕けるから!(一同爆笑)
サラマ/子どもだしね、未来のアっくんが車椅子になっちゃう!(笑)
GM/「離せ、離せよッ!」……彼の周りに邪霊が取り囲むのが見えます。(ころころ)【堕落】2点使い、達成値8で逃げます。
サラマ/だ、堕落した!? どんだけ逃げたいんだアっくん……!
ココ/オカン、ロリを投げて。【軽業】を使用して走り去るショタアっくんの上に飛び降ります。
GM/では【親子の絆】を逆パターンで使用しますか。オカンの【剛力】レベル分、ロリの振り足しができます。
サラマ/私、投げます!(ころころ)成功!
ココ/オカンの【剛力】はレベル1だから1個ダイスプラスか。(ころころ)4で……親方ー、空から女の子がー! (一同爆笑)
リド/じゃあ私はファイアボールと相手を気絶させる【癒炎斬】使います!(ころころ)ダメージが10点装甲無視、ドオンと灰色の炎がアフたんを襲います。止まれ!
GM/その場でドサッと崩れて、気絶しますね。
ココ/……で、一方ファラさんがみんなの涙を誘っている。
ミシュアル/絶対無敵可憐な声で)「やだぁ……お父さん、おとおさあん、死なないでぇっ……!」(笑)
GM/まるで本当の親子のように……ってファラさん、演技派だ。コロシアムの人達もザワザワし始めお父さんをズルズル引きずれる、と。
ミシュアル/涙を誘うような切ない声で)「いやあぁ、お父さんズルズルズル……!」(一同爆笑)
サラマ/ファラさん、出来る子だ!(笑) そのままお父さんを待機所まで回収して!
リド/アフたんを連れてそっちに行きます。自分でやったんで【応急手当】します。すまない、アフタール……。

 ファラさんのストップもあってか、まだアフタールの父は一命を取り留めていた。オスカルの【応急手当】により目覚めたアフタールは、父が生きていることに気付き、彼の胸に飛びついて泣き出す。
「父さん、父さん……よかったぁ……!」


ココ/……ねえ、GM。アフたんは奴隷の子だったの? 驚愕の事実なんだけど。
GM/そうですね、アっくんには首輪が付いています。このコロシアムにはアっくんの強烈な『後悔』があったってコトです。
ココ/……そうすると、『アフたんは浄化されたように消えていくのでした』?
GM/はい、抱き合う2人の姿は徐々に消えていきます。ただ中には何人もアフ父と同じように死んでいく人がいます。
リド/うーん……。
ココ/闘技場だもん、そりゃそうでしょ。これを全部助けてあげるのは無理な話……どうしたらいいものかな、ねぇシェーたん?
ミシュアル/あれ、シェーたんって……誘導尋問かよ(笑)
GM/シェーたんは何も言わずにずっとニコニコ見てます。――では、コロシアムの中で倒れている中に、リドちゃんは知った姿を見つけます。
リド/はい……?
GM/貴方の大切な人の姿に似た顔が、ボロボロの姿で倒れています。
リド/……思わず駆け寄ります。
GM/……お兄さんですね。
リド/…………お兄ちゃん。

 男性は、近寄ってきてくれた顔にそっと手を伸ばす。
 彼も一体誰と間違えたのか判らない。でも、
「お前が……無事で良かった……」
 と、男は満足げに笑い、消えていった――。
 闘技場が消え、元の広い公園に空間が戻る。
 だが、一箇所だけ戻ってない場所があった。木々が生い茂る場所。……誰かが絵画をしていた、美しいあの風景だ。


GM/ジェルさんが、倒れた男性に向かって何度も何度も叫んでいます。「しっかりしろ、お前はこんなとこで倒れる奴じゃないだろう!」
リド/あれ……倒れているのって、さっき助けたリアドさん?
GM/さっき助けたのは『シャーリーさんの後悔』であって、今見えているのは『ジェルさんの後悔』ですね。レジスタンス内で襲撃を受けた後、ここまで落ち延びてきたようです。
ミシュアル/白炎で治してあげることはできますか?
GM/……もうリアドさんは死んでいるから無理ですね。

 叫び続けるジェルの体から、巨大な化け物が噴き出してくる。
 その化け物がでかくなるにつれ、町もまた黒ずんでいくような強烈な『黒』だった。
 顔の無い真っ暗な姿が1体。戦闘は開始。イニシアチブは10。
 まずロリが【幻闘】を使用して普通の攻撃。カウンターを怖れて遠距離から3の命中をしかけるが、簡単に避けられてしまう。
 オカンも通常攻撃を試みるが、また命中3で避けられてしまった。


GM/彼は悲しみにまかせて(ころころ)リドちゃんに黒炎による攻撃をしてきます
リド/黒炎も使うのか? 【精神抵抗】します!
ミシュアル/ファラさん、リドちゃんを助けてあげて! ダイス2個振り足し!
リド/ありがとう。(ころころ)あ、6で……避けたかな?
GM/いえ、半減です。5点食らってください。
ココ/6以上で半減ってどんだけ。ということは普通にやると10点ダメージ素通しが来るのね……。

 という訳で、強大な炎使い相手にオスカルの黒炎が効くかどうか判らないが攻撃を仕掛けてみる。達成値2で当ててみるが、まったくもって黒炎が効かなかった。最大火力が使えない大ピンチ。
 オカマは【魔物知識】で4でジェルさんを調べてみると、カウンターは使ってこないことが判明。
 カウンターが無いことを安心してロリはより攻撃力のある攻撃をするため接近。【魂装・撃】で命中力を上げ、トオルさんを使用して連撃。
 オカンは刀術を使うがまたもや命中3で回避されてしまう。


GM/では、白炎で出来る唯一の攻撃魔法【従え狂わせる炎】をいきます。全員、【精神抵抗】で4以上判定をお願いします。4マイナス達成値プラス10のダメージを食らってください。
サラマ/ちょっ、私……元値が3しかないんだけど!?
ミシュアル/だったらオカン、ファラさんでダイス2つ振り足しして!(全員一斉にころころ)
ココ/ロリは達成値3だったから……11点ダメージ。【魔殺】を使ってマイナス5します。6点ダメージだけ食らうわ。
リド/ひぃ、私の残り生命力16だよ! 死にそうなんですけど!

 黒炎が効かない、と言われたオスカルだったが、闘技【穿炎】を使い、『炎が効かない相手にも効くよう』に変更させることに成功。妖霊の光が包み込み、そしてファイアボールを打ち込んだ。
 オカマはピンチのオスカルを12点回復。
 ロリは【銘覚】を使用し、イニシアチブ+3とダメージ+2。【魂装・撃】を使い命中力+2。ドーピングの末の連撃を繰り出す。
 新しい『素敵な包丁』で今度こそ攻撃を仕掛けるオカンだが……3でまた回避されてしまう。今日のオカンは不調だ。
 そして……前のターンと同じ白炎全体攻撃が襲い掛かる。


ミシュアル/ファラさん、オカンを助けてあげて! ダイス振り足し2個プレゼント!
ココ/あとロリが【親子の絆】でオカンを守るわ。プラス1個して。(全員一斉にころころ)……お、全員達成値3だから11点ダメージ。ロリは【魔殺】使って半減させておこっと。
ミシュアル/……ゴメン、次アタシもダメージ食らったらヤバイわ。
リド/回復してもらったばかりだけど私もヤバイ……2人で回復しようか。

 オスカルとオカマは2人で自分らを回復。
 オスカルは第6話から白炎を使えるようになったのだ。おそらく全体攻撃が今後多くなるだろう対策として取得したものだが、早くも使うことになるとは。
 回復メインのオカマの手も間に合わないぐらいの決戦である。


ミシュアル/オカンは命中しないし、リドちゃんは回復に手をまわしちゃうから……このままで行くと確実にオチるわ。やっちゃってください、アネゴ!
ココ/ロリだけどアネゴと呼ばれました。(ころころ)……【幻闘】【銘覚】【魂装・斬】【徹刺】で14のダメージ。ドーピングキャラだから計算かかってゴメンネ!
GM/……おっ、ちょうど倒れました! ジェルさんから出た怪物は塵になり消えていきます。
サラマ/あ……オカン、この戦闘ノータッチだ。スゴイなぁ(笑)
ココ/ママ、トオルさんお返します。
サラマ/ありがとう私のトオル!(笑)

 リアドさんの後悔も消え、今度こそ町は本来の姿をゆっくり取り戻していく。綺麗に整備された現代の公園。夜の人々の顔は、色んな後悔をやり直すチャンスを得たらしく、どこか疲れたような顔だが妙に晴れやかだった。
「目玉焼きにはケチャップだよな」「それもアリだな!」「お互いが認め合うって良いことだよな!」――そんなエビフライ・ニビの町。


リド/……迷宮から解放されたんだな、良かった。あ、そうだ、鍵は?
GM/ぷぇーん……とカブトムシが飛んできてベンチにペイッと停まります。なんと、カブトムシのツノの先に赤いルビーが!
サラマ/グシャッ!
ミシュアル/何故オカンはカブトムシを見ると潰そうとするのか!(笑)
サラマ/そこにロマンがあるからよ!(一同爆笑)
ミシュアル/山があるからみたいな言い方しないでよ!(笑) オシャレなカブトムシさんに白炎使いますっ!

 ルビーは、他の宝石とは違う不思議な光り方をしていた。
 ……どことなくルビー自身が『砂漠に行きたがっている』というのを感じるのだ。


GM/ルビーを見ていると、「こっちにおいでー」とシェヘラザードの声が聞こえたような気がします。
リド/……一瞬、握り潰したくなった(笑)
ココ/ルビーは硬いでしょ。
サラマ/【剛力】で壊します。
ミシュアル/待って、オカンだと本当に潰しちゃう!(笑)
GM/そのようにルビーを眺めていると、シャーリーさんが駆け寄ってきます。「皆さん……平気でしたか!」
リド/ああ、こちらは何事も無かったが。……シャーリーさんはいかがしました?
GM/「多分……貴方達と同じ迷宮に居たと思います」
リド/……貴方は、心が晴れましたか?
GM/「……ほんの少し。少なくとも八つ当たりでアっくんを殴らない程度には」(一同爆笑)
ミシュアル/殴られてたんだ、アっくん!?(笑)
GM/「この町は昔、本当に酷いところでした……けど今の生活があるのは、昔を乗り越えなきゃって町のみんなが頑張ってきたからなんです。……あの男はそれが判っていないんでしょうか!」
ココ/シェーたんはシェーたんなりに考えているのよ。……ところでシャーリーさん。このルビーはどう思う?
GM/「それは……シェヘラザードの家の鍵ですよね」
リド/おそらく。……それと、折角ここまで持ってきた密書をアイツに持って行かれてしまいました。
ココ/何かシェーたんに関する重要なことを書いてました? スリーサイズとか何か隠したがることを書いてたんじゃない?
GM/「……あれは、彼が堕天使イブリスだって公の組織である紫杯連が認めたという文書です」
サラマ/それならもう知ってるわよ。何かヤバイことなの?
GM/「……公の組織が『神様来ちゃったよ!』と認めたんです。世界中に一般的に知られたら人々は大パニックになるでしょう。これは享受者だけの内密な事項にするつもりでしたから……」
ココ/神様が降臨するなんて良いことだと思うけどな。……いや、逸脱した存在と共存するなんて恐ろしくて人々が絶望しちゃうか。
GM/「……皆さんにお願いがあります。その密書を、取り戻すか、いっそ燃やしてくれませんか?」
リド/ああ……燃やすならまかせろ。家の鍵を渡されたんだ、これで砂漠に行かなきゃ怒られるからな。
GM/「それでは、これは今回の報酬として3000Di受け取ってください。……この町の後悔を解放してくれて、本当にありがとうございます」

 ルビーが呼応する。
 ニビの町の外に赤い光が灯る。
 まるで光が2つの場所を繋ぐような……。


ミシュアル/光が一筋に出ていたり? ……それなんてラピュタ?(笑)
GM/というかルビーが行き先を急かしてるんですね。「早く行きなさいよ、別にワタシが来てほしい訳じゃないけどシェヘラザードが来てほしいって言うから!
サラマ/ツンデレを【剛力】で壊します。
リド/待て、折角手に入れた鍵を壊すな!(笑) ……これもシェーたんの趣味ですか。
ココ/というより、この『乙女団』のNPCは女の子じゃないとね? ――じゃあ今夜は休んで明日の朝にシェーたんのお宅へ出かけましょう。
ミシュアル/(ツンデレルビーこと鍵山デレ子になって)「仕方ないわね、早く来なさいよプンプン! 疲れてるなら仕方ないけど早くしないとワタシだけ先に行っちゃうんだからねっ!
サラマ/やっぱりツンデレを【剛力】で壊します。
リド/待って待ってってば!(笑)
GM/そんなカンジでツンデレ鍵にプンプン言われながらニビの町の夜は更けていくのです――。さぁ、来週はついに最終回だよ!