アリアンロッドRPG・リプレイ・ミラクルモンブランズ
■ 第1話『旅立ちは突然に』 1ページ目 ■
2011年3月2日




 事の始まりは、2011年2月。
 来月に「ルリルラ」キャンペーンのセッションを控えていたある日、参加者の1人から「予定していたセッションに参加が出来ない!」という連絡があり、「ルリルラ」は中止。
 それでもメンバーが5人集まってしまったので、代理として当初予定されていた「ルリルラ」キャンペーンとは別のゲームをすることになった。

 会場に集まったのは、GMの
マーサー
 そしてプレイヤー達は……
MUMAシノハル犬熊猫51しゅうらの5名である。

 このときGMが手に取ったのは、「ルリルラ」のルールブックでもなく、他のTRPGシステムのルールブックでもなく。
 ……1冊のリプレイ単行本だった。


GM/それでは、『アリアンロッド・ルージュが出来るのかやってみようの会』、始めまーす。
一同/はーい!

 GMの手にあるのは、菊池たけし/FEAR著の『アリアンロッド・リプレイ・ルージュ〜ノエルと薔薇の小箱〜』。人気の高い『アリアンロッドRPG』のリプレイシリーズ第1巻である。
 GMは初めてこのリプレイを読んだとき、「なんて面白いシナリオなんだ!」と感動したのと同時に、こんな感想を抱いた。

「このシナリオ、本当にプレイできるの?」

 初心者プレイヤーを迎えてのパワーレベリング(PCの数名が低レベル開始。他のPCは高レベル)を採用するという斬新な試み。同じギルドメンバーとなるPC間で争い合うことを推奨しているようなハンドアウト。1巻ではドタバタ冒険という言葉が似合うようなライトな雰囲気だが、後半になるにつれての怒涛の展開、まさかの大事件。
 こんな壮大なシナリオを、あれほど面白おかしくプレイできるものなのか? ついつい疑問に思ってしまったGMは、「これを機に!」と提案した。

「マップや敵データもきっちり掲載されているんだから再現できる筈! リプレイを『そのまんま利用して』遊びます!」

 そんな感じで、GMがリプレイ本を片手にGM席へ。
 全く同じハンドアウトを配り、全く同じマップで、同じエネミーと戦って、どこまで元ネタと同じになるのか。何が変わってしまうのか。
 このセッションは、元ネタの『ルージュシリーズ』を知らなければちょっと壮大な世界が舞台な冒険物語、知っていれば元ネタと比較しニヤッとできること間違いなし。そんな、見る人によって感想が違うセッションなのである。
 ……ということなので、
このリプレイには『ルージュシリーズ』の大きなネタバレがいくつも含まれています。『ルージュシリーズ』を未読の方は充分にお気を付けください!

GM/元ネタの『アリアンルージュ』では4人パーティーなんだけど、参加メンバーが5人なので、PC1のハンドアウトを2つに分割します。まずは「今回予告」を読み上げるよー!

 希望に満ち足りた冒険の始まり。
 少女達は青い空を見上げ、希望を胸に抱いて歩き始めた。
 だが、彼女達はまだ知らなかったのだ。
 自らの記憶の奥底に眠る運命を。
 背後から忍び寄る、その不幸という名の黒い影を――。

 『アリアンロッド・リプレイ・ルージュレプリカ〜旅立ちは突然に〜』

 冒険の舞台が、君達を待つ!


51/か、かっこいい……(笑)
MUMA/カッコイイ……!(笑)
GM/書いてあることそのまま読めばいいだけだからGMはラクだねー。(ぺらぺらとリプレイ本のページを捲りながら)えーと、次はハンドアウトを配布していきます。2人がPC1ハンドアウトを選んで、残りPC2〜4は1人ずつ担当していきます。

【ハンドアウト:PC1】
 コネクション:カラドボルグ  関係:忘却  クラス:ウォーリア  レベル:1

 君達の眼前に広がるのは、青い空。胸に抱くのは、未来への希望。
 駆け出しの冒険者となった君達が、意気揚々と歩き出した時、街の占い師が、君に声をかけた。
 それが、すべての始まりだった――。

【ハンドアウト:PC2】
 コネクション:マティアス・アディンセル  関係:恩人  クラス:アコライト  レベル:4

 君は将来、英雄になることを嘱望されたエリートアコライトだ。君がその地位にあるのは、神官長マティアスの援助によるところも大きい。
 今、神殿は世界征服を狙う秘密結社との戦いを繰り広げている。
 その日、君はマティアスから言い渡された。「神の名のもとに、秘密結社ダイナストカバルの野望を阻止せよ!」

【ハンドアウト:PC3】
 コネクション:大首領  関係:主人  クラス:メイジ  レベル:4

 世界征服を狙う秘密結社ダイナストカバル。その幹部のひとりにして、黒き英雄こそが君である。
 長らく続く神殿との戦いに終止符をうつべく、今日も大首領から命令が下される!
 その任務とは、とある少女を拉致……もとい。組織へ勧誘せよ、というものだった。

【ハンドアウト:PC4】
 コネクション:神聖皇帝ゼダン  関係:友人  クラス:シーフ  レベル:4

 君は「エリンディルで一、二を争う大犯罪者」との烙印をおされ、神聖ヴァンスター帝国王城地下に囚われの身となっていた。
 そんな君に、解放のチャンスを与えたのは神聖皇帝ゼダンその人だった。

 ……そして始まる話し合い。
 しばらく、誰がどのハンドアウトを選ぶか話したのちに……。


MUMA/PC1ハンドアウトを選択。
シノハル/PC1ハンドアウトを選択。
犬熊猫/PC2ハンドアウトを選択。
51/PC3ハンドアウトを選択。
しゅうら/PC4ハンドアウトを選択。

 ……で、決まったのであった。


GM/今回、突発的に始めた「1話だけルージュをやろうぜ会」なので、キャラクターメイキングに特に制約は設けません。スキルガイド使用で、エリンディル舞台だけどどの地域クラスを選んでも良いことにします。折角の『アリアン』ができる機会なんだし、アルディオンのクラスや種族を使用してキャラメしてもいいよー。

 制約の無いフリーダムなキャラクターメイキングが開始され、わいわいがやがや、騒ぎながら5人分のキャラクターを作り始めること数時間。
 種族、サポートクラス、スキルを選んだのちに、PC1の2人を除く3人はレベルを4まで上昇させ、やがて全員のキャラデータは完成した。


GM/キャラクターが作り終えたところで……PCの自己紹介に参りましょう。まずは『1人目のPC1』からお願いします。
MUMA(以降、ターラ)/は、はい! キャラクター名は、ターラ。キャラクターレベル1の、16歳の女の子です。メインクラスはウォーリア、サポートクラスはプリーチャー、種族はヒューリンです。
GM/どんな女の子?
ターラ/PC2が所属する神殿の孤児院で育ったという設定にします。ライフパスは[天涯孤独]なので【器用】が上がってます。境遇は[贖罪]、運命は[真理]。ある日、神殿にあった神竜王様の像を壊してしまって、同じPC1のドラゴネットを連れて贖罪の旅に出ることにします。「神竜王様の天啓を聞いた」ということにして!(笑) 
51/ドラゴネットを連れて逃げたの!?(笑)
ターラ/「だって流石にあたし1人だと無理やから一緒に来てー!」ってことで(笑) あ、関西弁で喋る女の子にしますよー。

 ターラ (プレイヤー名:MUMA)
  メインクラス:ウォーリア  サポートクラス:プリーチャー  種族:ヒューリン
  HP最大値:34  MP最大値:27  フェイト:5
出自:天涯孤独  境遇:贖罪  運命:真理
性別:女  年齢:16
スキル→≪コンバットマスタリー≫ ≪ボルテクスアタック≫ ≪ガードオーラ≫ ≪フォースストライク≫ ≪シールドスラム≫ ≪ソードマスタリー≫

GM/では次に、『2人目のPC1』どうぞ。
シノハル(以降、ミルフィ)/キャラクター名はミルフィーユ。通称「ミルフィ」です。18歳の女の子で、キャラクターレベル1。メインクラスはウォーリア、サポートクラスはサムライ、種族はドラゴネットです。
GM/ドラゴネットって……顔は?
ミルフィ/人型ですけど頭はドラゴンです。
犬熊猫/ドラゴン頭にしたんだ! は虫類系カワイイ!(笑)
ミルフィ/出自は、ターラと同じく[天涯孤独]。同じ孤児院で育ちました。境遇は[天啓]で、運命は[忠誠]です。神竜王様から天啓を聞いて急に旅立ちたくなりました。
ターラ/君もか!(笑)
GM/一緒に天啓聞いちゃった!(笑) ターラちゃんとは2歳違いの女の子同士、一緒に学んだ仲なんだね?
ミルフィ/はい、ターラとは大親友です!

 ミルフィ (プレイヤー名:シノハル)
  メインクラス:ウォーリア  サポートクラス:サムライ  種族:ドラゴネット
  HP最大値:33  MP最大値:29  フェイト:5
出自:天涯孤独  境遇:天啓  運命:忠誠
性別:女  年齢:18
スキル→≪ドラゴンセントール≫ ≪ボルテクスアタック≫ ≪トルネードブラスト≫ ≪オートガード≫ ≪インヴィジブルアタック≫ ≪スピリット・オブ・サムライ≫

GM/では、PC2さんお願いします。
犬熊猫(以降、ホリア)/はーい、PC2のホリアです。キャラクターレベルが4、メインクラスがアコライト、サポートクラスがセイジ、種族がエルダナーンです。性別は男で、年齢17歳です。ちなみにMPは60あります。
しゅうら/MP60はやっぱり高いねー。
ホリア/出自が[神官]、境遇が[秘密]、運命が[喪失]となっております。何か失っちゃったんですね……。崇高なる心を持っていますからうっかり人を信じやすいですよ。あと、マティアス様のことが大好きです。もはや信仰に近いですね!
GM/エルダナーンか。……あれ、今回のパーティーって全員種族が違うんだね。
ホリア/あ、そうですね。キラキラエフェクトがいつも付いてまわる男です。エルダナーンでただでさえ美形なのに神官だから白い服で余計キラキラしてます!
ターラ/そっか、視覚的に眩しいんだね……命中下がりそうだ(笑)

 ホリア (プレイヤー名:犬熊猫)
  メインクラス:アコライト  サポートクラス:セージ  種族:エルダナーン
  HP最大値:31  MP最大値:60  フェイト:5
出自:神官  境遇:秘密  運命:喪失
性別:男  年齢:17
スキル→≪ヒール≫ ≪プロテクション≫ ≪マジックセンス≫ ≪キュア≫ ≪アフェクション≫ ≪エンサイクロペディア≫ ≪エフィシエント≫ ≪トゥルースサイト≫ ≪ウィークポイント≫

GM/では次は、PC4の自己紹介をどうぞ。
51(以降、スグリ)/はい、キャラクター名はスグリ。メインクラスがメイジ、サポートクラスがシャーマン、種族はウサ耳ヴァーナ。22歳の女です。
GM/どんな人?
スグリ/出自は[天職]、自信があります! 境遇は[組織]、組織に忠誠を誓っています! 運命は[迷走]……どないせーっちゅーねん(笑)
ホリア/それ、組織から離れるフラグだよねー(笑)
GM/今はダイナストカバルにいてくれるんだよね……?
スグリ/はい、今は忠誠を誓ってますよ!(笑)
GM/それと……私、シャーマンをやったことがないからいまいちスキルがどんなものか判ってないんだよね。
スグリ/そうですねー……一番凄いのは≪フラザイル≫かな。対象の【物理防御力】と【魔法防御力】をシーンの間、−[SL×5]します。
ターラ/うわー、頼りになるー!(笑)

 スグリ (プレイヤー名:51)
  メインクラス:メイジ  サポートクラス:シャーマン  種族:ヴァーナ
  HP最大値:34  MP最大値:46  フェイト:5
出自:天職  境遇:組織  運命:迷走
性別:女  年齢:22
スキル→≪マジックフォージ≫ ≪マジックブラスト≫ ≪エアリアルウェポン≫ ≪ブーストエンチャント≫ ≪コンセントレイション≫ ≪アースブレット≫ ≪ディベレテイト≫ ≪フラザイル≫ ≪マジシャンズマイト≫

GM/では最後、PC4さんお願いします。
しゅうら(以降、クラエル)/PC4です、キャラクター名はクラエル! メインクラスがシーフ、サポートクラスがガンスリンガーの、種族がエクスマキナです。出自が[出生の謎]です。謎です。
GM/謎なんだ。
クラエル/謎なんです。自分も知らないです。境遇が[復讐]で、運命が[絶望]です。
GM/えーと……どないせーっちゅーねん(一同笑) ハンドアウトで犯罪者であると確定してるんだけど、何の犯罪をしたことにする?
スグリ/万引きした?
クラエル/万引きは軽いわ(笑) 境遇が[復讐]だから……殺人未遂でも起こしたんじゃないかな。
GM/未遂なんだ。
クラエル/殺してません。
GM/冤罪の可能性あり!?
クラエル/【幸運】の能力値が低いんで幸薄いキャラにしようと思ってました。だから冤罪にされたとか!
ホリア/じゃあ『冤罪にした相手に復讐しようとしている』とかにすればしっくりくるんじゃない?
クラエル/でも[絶望]してるのはなんで?
ホリア/……復讐に失敗したんじゃない?
クラエル/(いきなり両手を上に挙げて『それっぽい声』で)絶望したぁ!
GM/とりあえずCVは神谷浩史に決定しました(笑)
クラエル/あっ、鷹の目持っているのでメガネッコです。狙い撃つぜ!

 クラエル (プレイヤー名:しゅうら)
  メインクラス:シーフ  サポートクラス:ガンスリンガー  種族:エクスマキナ
  HP最大値:47  MP最大値:36  フェイト:5
出自:出生の謎  境遇:復讐  運命:絶望
性別:男  年齢:24
スキル→≪チューニング≫ ≪ファインドトラップ≫ ≪キャリバー≫ ≪ガンパート≫ ≪インベナム≫ ≪ヴィジランテ≫ ≪キャリバーマスタリー≫ ≪インタラプト≫ ≪バタフライダンス≫

GM/次に、「PC間コネクション」を決めますが……コネクション表が手元に無いので、基本ルルブに掲載されてるライフパスの運命表を流用したいと思います。右隣の人に関係を持ってね。

 このときの席順は、「右から【行動値】が高い順」だったため……。
 ホリアがミルフィに対して、ミルフィがターラに対して、ターラがクラエルに対して、クラエルがスグリに対して、スグリがホリアに対して、感情を結ぶことになった。


ホリア/(ライフパスをころころと振って)ミルフィに[渇望]を抱いています。「何かしてほしい」っていう感じかな?
ミルフィ/ミルフィがターラに対して(ころころ)……[死]。
ターラ/死っ!?
GM/「死なないでほしい」とかじゃないかな?(笑) 気に入らなかったらもう一回振り直してもいいよ。
ミルフィ/じゃあ二度目。(ころころ)[勝利]だ……「一緒にアタシと勝ってほしい」とかかな。
ターラ/うん、一緒に勝とうね! ターラはクラエルに対して(ころころ)……[幸福]。
GM/幸せになって!
ターラ/よし、それでいこう!
クラエル/なんということでしょう、ありがとう!(笑) クラエルはスグリさんに対して(ころころ)[慈愛]を抱いています。ウサ耳カワイイね、癒されるねー!
スグリ/ありがとうウサウサ。スグリはホリアに対して(ころころ)[闘争]。神殿とダイナストカバル、白黒ハッキリつけようという意味を込めて[闘争]でいきます!

 ホリアがミルフィに対して、渇望。
 ミルフィがターラに対して、勝利。
 ターラがクライルに対して、幸福。
 クラエルがスグリに対して、慈愛。
 スグリがホリアに対して、闘争を抱いた。

 キャラクターの自己紹介、後々形成されるギルドの作成、コネクションの設定を選択したのちに……
 エリンディル大陸に、新たな冒険者達は降り立ったのだった――。



 ●オープニングフェイズ/スグリ 〜大首領よりの召喚状〜

 永く続く神殿との戦いは、苦しいものだった。
 圧倒的な物量を誇る神殿勢力の前に、劣勢を強いられる日々が続く。
 ここにいたって悪の組織ダイナストカバル大首領は、切り札たるその女を呼び出した。


GM/最初はスグリのオープニングからです。……ダイナストカバルは神殿と毎日闘争しています。悪の結社といっても、自分達はそれを正義と思い、君は信念を持って戦っているのです。
スグリ/はいっ!
GM/君は、ショッカーのようにキーキーと鳴く戦闘員と共に戦い、負ける。
スグリ/負けた!?
GM/神殿と戦うも敗北し「お前の仇は取ってやる!」と、みんなで葬式なう。
スグリ/お葬式!?(笑) 暫くしたら「ふわぁー、よく寝たー」って起き上がってきてくれそうですね!?
GM/「うっうっ、○○、次の復活を待つぞ……!」とそんなお葬式の光景。だが悲しんでもいられない、君は大首領……悪の結社ダイナストカバルの一番偉いトップに呼ばれます。
スグリ/ウサッ。
GM/ウサッ。……そこは黒いカーテンのかかり、白いドライアイスがもくもくと吹き上がる薄暗い部屋。何故か流れる重低音の安っぽいBGM。ピカピカと光るセットの中、君はある男性の前で膝をつく。目の前に居た男性が声を掛ける……。(威厳のある男声で)「よくぞ参った、スグリよ」
スグリ/…………。
GM/…………。
スグリ/…………。
GM/参れよッ!(一同爆笑)
ホリア/キョトンとすんなよ!(笑)
スグリ/いや、どうしようって思っちゃって!(笑) じ、じゃあ……お呼びでしょうかと言って頭をそっと下げます!
GM/「よいぞ、それっぽいキャラロールこそ悪の結社だ」と仮面を被った男が言います。
スグリ/そ、それっぽい……(笑)
GM/「先の神殿との戦いにおいて、我々は大打撃を受けた。そこで、お前を呼び寄せたのだ。極東で大成果を上げたスグリよ、お前なら必ずや一矢報いることが出来る筈」
スグリ/(重低音を聞かせたシリアスな声で)…………ウサァ。
クラエル/それ返事なのっ!?(一同笑)
スグリ/「光栄です!」ってウサオーラで言いました!(笑)
GM/「現在、神殿と我らダイナストカバルの戦力差は遺憾ながら激しく大きいと言わざるをえない。……我らは弱い。ぶっちゃけ言うと瀬戸際だ」
スグリ/で、ですよねー(笑) し、しかし私はこの組織に忠誠を……!
GM/「そう言うと思ってお前を今回の任務に呼んだのだ。神殿との勢力差を一気にひっくり返すほど価値がある情報を手に入れた」
スグリ/ウサァー!? それはどんな!?
GM/『カラドボルグ』という伝説の剣を知っているか。正直、私も伝説の剣であるという事実しか知らぬ。しかし伝説の剣というからには相当素晴らしい物であることは確かだ」
スグリ/はい、私がカラスだったら目を輝かせている感じです。
GM/「古文書では『恐るべき力を秘めた剣である』と記されている。ただ、かの剣は封じられてきたのだ。……私はこのたび、それを解放する手段を発見した」
スグリ/ど……どのような?
GM/「カラドボルグは、ヴァンスター帝国の外れのとある遺跡の奥底に封じられている。その結界は神々が施したものと言われ、開封は不可能であった。だが、封印を解くことができる血を引く者が見つかったのだ」
スグリ/なんと! ウサ耳がブワッ!
GM/「その者の名は、ターラ。彼女の手をかざせば、封印は光と共に解放されるという」
スグリ/ターラ……。初めて聞く名前です。つまりその娘を連れて来いということですね?
GM/「その通り。我々の理想を世に知らしめるためにも彼女を拉致、もとい、我々の苦しい事情をよく話し理解して頂き我が組織に勧誘するのだ!」
スグリ/はい、了解しましたー! みんな仲良しダイナストカバルに勧誘してきますー!(笑)
GM/「ちなみに企業理念は求人のポスターに書いてあるぞ(一同笑) ……スグリよ、お前の肩にダイナストカバルの悲願がかかっている。必ずや魔剣カラドボルグをその手にするのだ!」
スグリ/ウサァッ! 必ずやー!(笑)
GM/……ではそこに、同じウサミミの女の子が「お姉ちゃん……」とやって来る。もちろん彼女もダイナストカバルの一員です。
スグリ/な、なに?
GM/「みんなでお姉ちゃんの為に作ったの……千羽鶴!
クラエル/か、感動的な旅立ち!?(笑)
スグリ/わーい! お姉ちゃん、必ず頑張ってくるからね! この千羽鶴持っていくね! 重量1ぐらいですか!?(一同笑)
GM/うん、HPポーションぐらいでいいよ(笑) キラキラと光輝き、君に全ての未来を託したかのような大勢の目。「行ってらっしゃい、お姉ちゃん!」「スーグーリ! スーグーリ!」と声援を送るみんな。
ホリア/「スーグーリ! スーグーリ!」(笑)
クラエル/「スーグーリ! スーグーリ!」(笑)
スグリ/みんなの力を私にくれぇーっ!(笑)
ターラ/……平和だなぁ(笑)


 ●オープニングフェイズ/ホリア 〜正義の御旗のもとに〜

 神聖ヴァンスター帝国領内にある、白亜の大神殿。幼い頃からここで暮らし、己を磨いていた少年がいた。
 そして、とうとうやってきたのだ。正義の名のもと、悪に鉄槌を下すその日が。


GM/PC2、ホリアのオープニングにいきます。神殿に仕えている君は、マティアス様に可愛がられてた……のかな?
ホリア/はい。孤児院に居たんですがマティアス様に引きとられて可愛がられていました。だからいつも「マティアス様ってスゲーッ!」って思ってます。
GM/そんな君が神官長マティアスに呼び出されます。
ホリア/何事ですか、マティアス様!
GM/執務室にて、マティアスが言う。「お前にしか頼めない重要な話がある」
ホリア/(嬉しそうな声で)は、はいっ!
スグリ/……すっごい嬉しそうにキラキラしてやがる(笑)
ホリア/だって17歳の僕だけに話だよ! なんだろって思うよ! ワクワク!(笑)
GM/「ダイナストカバルが動き出した。彼らはこの帝国の領内にある……グリーンフィールド孤児院に住む少女を狙っているという情報が入った」
ホリア/なんですと! あのダイナストカバルが!?
GM/「これを見過ごす訳にはいかない。ホリア、判るな?」
ホリア/当たり前です! 孤児院に手を出そうなどと、悪逆非道にも程がある! あいつらに人の心というものは無いのですか! だから僕はダイナストカバルが大嫌いなんですようんぬんかんぬん!(笑)
スグリ/ウサァ……色々言われている(笑)
GM/マティアスも「いたいけな少女に付け入ろうとするとは全く、なんて悪質な」とか言っちゃう。「ダイナストカバルが、どうやらターラという名の少女を狙っているらしい。理由は、魔剣カラドボルグを始めとする伝説の5つの武具とその少女が絡んでいるからだそうだ」
ホリア/あ、あの伝説の5つの武具ですか!?
GM/「そう、神話の時代に世界を七晩で焼き尽くしたというあの……。そのような物を奴らに渡す訳にはいかん」
ホリア/はい! つまり……僕はターラという少女を守ることが役目なのですね。
GM/「いや、その武具を持ち帰れ」
ホリア/……武具を持ち帰るのですか?
GM/「ダイナストカバルには過ぎた物。そして、伝説の5つの武具は、この神殿にふさわしい物だ。神殿は正義だ、正義は力だ、力が無ければ正義にはならぬ、力が無ければ皆を守れぬ……判るな?」
ホリア/……そうですね! ゆくゆくは世界を統一し皆に平和をもたらす為の神殿ですもんね! 強い力があってこそこの理想が実現できるんですもんね! 流石マティアス様です! 力を集めて皆を自分達で守ってあげる! 素晴らしいことです! マティアス様は先のことを見通しているのですよね!(笑)
スグリ/……ちくしょう、「弱いから悪なんだ」って言われている気がする(笑)
GM/ホリアに褒められて気分良くマティアスはグリーンフィールド孤児院のことを教え……って、君はその孤児院のことを知ってる設定だったよね?
ホリア/孤児院育ちですからね。たまには遊びに行ってるのかな、ミルフィさんのことを知ってるぐらいだし。……ではマティアス様にお小遣いを貰い、行ってきまーす!
GM/「伝説の武具を持ち帰ってくるのだぞ、私の元にな」
ホリア/はーい、頑張りまーす! 僕は出来る、僕は出来るー!(笑)
クラエル/……なんか、「初めてのおつかい」みたいだ(笑)


 ●オープニングフェイズ/クラエル 〜闇の中に、心は死なず〜

 ヴァンスター帝国王城、地下50階。
 光すら差し込むことのない真の闇の中で……時が来るのを待っていた。


GM/次にクラエルのオープニングをやるよ。……ここはヴァンスター帝国の地下50階に造られた牢獄。ここは重犯罪者ばかりが収容された地下牢で、一度ここに入れば二度とシャバに戻れないと有名、脱走も不可能だと言われている場所だ。
クラエル/物凄く軽いノリで)まったくぅ、太陽から遠いトコロに来ちゃったなぁー。困ったなぁ、ホントにもう!
ホリア/かっ、軽い……(笑)
GM/で、君はなんで囚われたんだっけ?
クラエル/貴族様が殺されたとかなんとかですよ。ボクはやってないんだけどね! 家でWiiで遊んでたよ!
GM/……冤罪だというのにこの牢屋に閉じ込められ、既に3ヶ月。君が言う通り太陽を久しく見てない。
クラエル/いやぁもう、昼も夜も同じっていうか目が慣れちゃったっていうかー……1日寝てるだけの生活ってホントに良いなぁ!(一同爆笑)
ターラ/案外順応してる!(笑)
GM/……そこへ、カツーンカツーンと足音が聞こえる。妙に威厳を持った一人の青年が、君の居る牢の前に現れる。
クラエル/やぁ。
GM/青年の周囲に居た兵士が「このやろう!」という顔をする。どうやらその青年は、相当偉い人のようだ。
クラエル/だれ?
GM/神聖ヴァンスター帝国皇帝ゼダンだ。「……このような場所に幽閉され3ヶ月が経つというのに、瞳に光を失わずにいられるとはな」
クラエル/そうだねぇ、前向きに生きないといけないなぁって思ったんだけどどうかなぁ?
GM/「大した口のきき方だ、この犯罪者風情が」
クラエル/どうもアリガト。
ホリア/……ねえ。冤罪なんだから否定しようよ(笑)
クラエル/ボク犯罪者と違うよ自分が犯罪者っぽく思いこまされたけどそんなコトはないよそんなコトはないんだからねッ!?(一同爆笑) アレは不運だったとしか言えないなぁ!
GM/「では私の寛大な心で、貴様に解放のチャンスを与えてやろう。高い能力を持つ貴様を放っておくのは惜しいからな。私の手を取るか?」
クラエル/……条件は?
GM/「とある少女がいる」と、女の子が写った写真を渡します。隠し撮りっぽい写真です。
クラエル/あ、カワイイ。
GM/「その少女は魔剣カラドボルグを始めとする伝説の5つの武具に関わる者だ。……伝説の5つの武具を、私の元に持ち帰れ」
クラエル/ほう、あの有名なカラドボルグを? って知ったかぶりしますが内心「うわーなにそれ知らねー!」(一同笑)
GM/「少女の生死はこの際不問とする。5つの武具を持ち去ることだけを考えろ。武具を1つ持ち帰るごとにお前の刑期を免じてやろう。全て持ち帰ることが出来れば……」と君にとっての好条件を次々に言っていきます。
クラエル/(即答で)いいでしょう。
スグリ/鼻の穴広げて言いやがった!(笑)
クラエル/この額なら受けちゃうよ! さあ、早くボクを出しなさい。ふふっ、ボクの好きなようにやらせていただきますよ……!
GM/悪人ぽーい!(笑)
ホリア/犯罪者じゃないクセにー!(笑)
クラエル/ここはなりきっちゃった方が良いかなーって!
ターラ/……そういうことをやるから冤罪になるんじゃあ(笑)
GM/こうして、君は久々の太陽の光を浴びるのでした。
クラエル/うわああぁ3ヶ月ぶりの太陽だあぁー! 体ボキボキボキィ狭いトコロじゃ暴れられなかったからさぁ! わーい相棒のキャリバーも戻ってきたーメンテナンスしなきゃーよーし行くぞーわあああいいいぃ!(笑)


 ●オープニングフェイズ/ターラ&ミルフィ 〜この青空の下に、希望を抱いて〜

 それは、ターラが8歳、ミルフィが10歳頃のこと。
 平和な孤児院で、2人はシスターに呼ばれた。シスターの手の中には、小さくてとっても綺麗な小箱があった……。


GM/では最後に、PC1のお2人のオープニングです。……子供の頃、君達は孤児院のシスターのおばあさんに呼ばれます。「ターラ、ミルフィや、こちらにおいで。お話をしましょう」
ターラ/はーい。べちん。むく。てとてと。
GM/(目をカッと見開いて)なにっ、萌え系だと!?(一同笑)
ターラ/幼女ならそういう演出を入れるべきではないかと思って!(笑)
GM/……ミルフィに担がれながらもおばあさんの近くに行き、お話を聞きます。「もう2人は自分のことを考えられる年になったからね、そろそろ話をするべきだと思ったの」と、おばあさんは言いながら……テーブルにとある物を置きます。それは、掌に収まるような小さな小箱だ。
ミルフィ/小箱……?
GM/「ターラ、ミルフィ。お前達は、孤児院の前に2人一緒に捨てられていたんだよ」
ターラ/あたし、フィと一緒に……?
ミルフィ/一緒だった……? ああ、そういえば隣に赤ん坊がいた気がする〜。
GM/ターラちゃんが当時赤ちゃんでミルフィちゃんが当時2歳ぐらいなら、ミルフィちゃんがうっすらと覚えていても不思議じゃないね。
ターラ/フィ、ちゃんと覚えてくれてへんのぉ?
ミルフィ/お、覚えてるよぉ〜。だってアタシが貴方を抱えてここまで来たんだもの〜!
クラエル/マジで!?
GM/マジで!?(笑) ま、まあドラゴネットの成長率ならありえない話ではない……かな? 「この小箱は貴方達が孤児院にやって来たときに一緒に持っていた物。ミルフィ、貴方が大事そうに持っていた物なのよ」
ミルフィ/そんなっ、記憶に全く無いわ〜!
ホリア/……そりゃ、2歳程度だしな(笑)
GM/「きっとこれは貴方達のお母さん達が貴方達を想って残してくれた物。大切な形見の品だから無くさないようにおばあさん達が持っていたの」と小箱を2人に渡す。
ターラ/わぁー、キラキラしてるー。キレイだね、フィ。
ミルフィ/キレイね〜。でもなんなのかしら、これ〜?
ターラ/何が入ってるんだろー? 蓋をパカ……。
GM/いや、小箱は蓋が開きません。この小箱には読んだことのない文字が彫ってあり、どうやって開けるのかも判らない。鍵穴もありません。
ターラ/……ぐ、ぐっ。開かない……あたし、まだ【筋力】が2ぐらいしかないからかなー(笑)
ミルフィ/アタシ、【筋力】10あるけど開かないわ〜。
GM/既に10あるの!?(笑) おばあさんは「これは形見の品なんだから大切にしなさい」と言います。
ターラ/どうやって開けるんだろうね?
ミルフィ/壊そうか。
ターラ/シスター! これシスターが持ってて!(一同笑)
GM/……それから数年の月日が経った。君達は突然、旅立つことになったのです。
ターラ/あれから【筋力】が6になりました! 壊したセフィロス様の像は隠してあります!(笑) フィ! 神竜王様のお声が聞こえたから一緒に孤児院を出ましょう!
ミルフィ/えぇっ、本当? ……そういえばアタシもそんな気がするわぁ〜。(一同爆笑)
GM/君達は壊した神竜王の像を隠して逃げるように、このグリーンフィールド孤児院から立ち去ることになりました(笑) 出発の朝、孤児院を立ち去る前に、よりおばあさんになったおばあさんが、預かっていた小箱を渡してくれます。
ターラ/あ、この小箱は……。
GM/それと、2人分のおにぎりも渡します。
ミルフィ/ああっ、ありがとぉ〜。
GM/「あと、これは1レベル分の500Gよ」
ターラ/おばあさんありがとー!(笑) この500Gでちゃんと装備とか買うからー! あたし、カンタンに負けへんからー!
ミルフィ/ありがとう、おばあさん。ターラは絶対守ってみせるわぁ〜。
ターラ/頼りにしてるよ! フィ、カッコイー!
ミルフィ/まかせといてぇ〜!
GM/にこやかに君達は冒険に旅立っていくのです。君達の後輩である孤児院の子供達に「お姉ちゃん達、頑張ってー!」「お土産待ってるねー!」と声援を送られながら。
ミルフィ/いつか火吹けるようになって帰ってくるねぇ〜。
GM/火!?(笑) ……そんな感じで君達は旅立つ。旅立って、30分が経ちました。
ターラ/うーん、装備を整えたらHPポーションが買えへんかったわ。聞いてよフィ、あと400Gぐらいあったらチェーンメイルが買えるのにぃ!(笑)
GM/(いきなり甲高い声で)「おおおおおおぉお前さんたちいいいいいぃぃぃぃ! そおおおぉぉぉう、そこのおおおぉ、ドラゴネットとぉ、ヒューリンのお前さんたちいいいいぃぃ?」
ミルフィ/はいっ!?(笑)
ターラ/ええっ!?(笑) お、おばあさん、呼んだぁ?
GM/(今にも倒れそうな鬼気迫るような声で)「み、見えるぞおおぉぉ! お前さん達はぁ! もうすぐ災いが……これまで会ったことのないような酷い災いに襲われるだろおおおおぉぉぉ!」
ターラ/わ、災い!? ……それも神竜王様の試練ならば仕方ない……?
ミルフィ/そうね〜、試練ならば仕方ないわ〜。
GM/「その災いわああぁぁ、近い未来に訪れるものぉだぞおおおぉぉ!?」
ターラ/近い未来って……どれぐらい近いものなん!?
GM/あと2分ぐらいじゃ!」(一同爆笑)
ターラ/近すぎる!(笑)
ミルフィ/まだ装備も整えてないのに〜!(笑)
GM/「その災厄はお前さん達の背後かろ訪れるであろおおぉぉ! 120、119、118、117……!
ターラ/か、カウントダウンが始まってはるー!?(笑)
GM/「10、9、8、7……!」
ミルフィ/と、とんだ〜!? ひええええぇ〜!?(笑)
ターラ/と、とりあえず買ったばっかの剣を抜きます!(笑)
GM/「4、3、2……!」
ターラ/そわそわそわ!(笑)
GM/「1、頑張るんじゃぞ」
ターラ/えっ!?
ミルフィ/え?