迷宮キングダム・リプレイ・夢魔炎上
■ 第5話『 彷徨う声にならぬ嗚咽を白い雪が嗤う 』 2ページ目 ■
7回目 2009年9月10日




●<3クォーター目> & 自由時間選択B

 < 自由時間選択/旭人→「弁慶」を選択>
 < 自由時間選択/千晶→「弁慶」を選択>
 < 自由時間選択/義人→「平家」を選択>


GM/義人のシーン……「平家」のフラグにいこうか。いつも通り義人はあのセーフハウスに訪れます。
義人/飯炊きのお姉さんがスッゴイ嫌な顔をしていたけど行きますよ。いつもの部屋で、お茶を飲みながら来るのを待っていて……。
GM/そのとき、後ろに誰かの気配。振り返る隙も無いまま、首元に、刀をジャキンと向けられます。「……源九郎義経だな」
義人/……そのように見えるかな? 態度だけは余裕でいる(笑) 何を企んでいるのかは知らないが、俺に人質としての価値はないぞ。
GM/「お前は『あの方』に愛されている。だがお前の役割は源氏の頭領であろう。……その役目を下りるということはできるか?」
義人/……影武者をやめるか……それは、難しい相談だな。
GM/「辞める気はないと? 残念だ。――死んでいただく」……ダメージは、痛打表を振ります。
千晶/クリティカル!? もー、千晶の兄だって言ってるじゃないですかーっ!(笑)
GM/(ころころ)……お、『相手を吹き飛ばす』だけで特に無いや。ということでダメージ7点を受けてください。
義人/ぐはっ……。旭人に襲われたときのことを教わっている! 逃げて、顔を起こして相手を見ようとする!
GM/相手は僧兵の頭巾ぽいのを被っているので見えない。義人に刀を向ける……ところで、「やめろ!」と声が。
義人/ぱっとそちらを見る!
GM/……時仁だ。「下がれ」と彼が言うと、後ろに下がっていく。「去れ! ここに立ち入ることを許さん!」
義人/あ……助かった。
GM/義人に【ポーション】を渡します。
義人/1D6回復か。(ころころ)5点回復した。
GM/「血はとまったか? ……すまない」
義人/……俺は前科があるからな。それにちょっと調子に乗った……部下の人達も、貴方の身を案じてのことなんだろう。俺が何をしているのかも向こうは知っているみたいだし。
GM/「……源氏に大きく関わる仕事なんだろ? 君は頭も良いし、源氏に重宝される人材なんだな。それでも私の大切な……人だ。傷つけることなど許さん」
義人/……そう言ってくれるのはとてもありがたい。寧ろ、迷惑をかけてしまったな。
GM/「……なあ。お前を守る手段があるんだ。私が言葉だけではあいつらをで止められないのはさっきので判ったから……」
義人/その手段とは?
GM/「完全に私の下につけ」
義人/…………。
GM/「そうすれば絶対にお前を傷つけさせない。そうでなかったら……縁を切ればいいのかな」
義人/その選択肢は無いな。……でも、源氏で戦っている弟達をおいて一人だけ安穏としているのは……。
GM/「私自身には力など無い。……こうやってフラれてしまうと正直、辛いな」
義人/本当はいきたいんだよ、察せよ!(笑)
GM/「その身分、自分の立場を捨ててまでは出来ないということか。……やっぱりお前は大人だな」
義人/身分というより、大切なのは家族だ。でも縁を切るなんて選択肢は俺は取りたくない。……一緒に居ても、いいのか?
GM/源氏離脱になるけどでいい?
義人/……はい。今回は平家につこう。貴方についていきます。
GM/了解。……では時仁は義人を連れて、とある部屋に行きます。……そこには、歌舞いている男と、薄色の髪の男と、千里がいます。
義人/……なんだ、千里。来てたのか!
GM/千里が怪訝な顔をする。
義人/どうしたんだよ、千晶も旭人も心配してたんだぞ?
GM/その隣に居た歌舞いている人が「ハアァ?」って顔をする(笑)
義人/どうしたんだよ、忘れたのか。古川義人だよ!(笑)
旭人/経正がお茶飲んでたけどピクッて反応するんだな(笑)
GM/で、時仁さんが言うんだ。「コレはもう私のものになった。私の側室にするぞ」
義人/え……ええぇっ!? 俺のことか!?(笑)
GM/忠度が、スッゴイ嫌な顔をしながら「そっかぁ……。ねえアナタ、源九郎義経じゃないんだよね?」
義人/あ、ああ……義経じゃない。
GM/「まっ、さっきチェックしたけどもう一度確認ね」
義人/……さっきのはそちら様でしたか。
GM/「こっちはね、新規参入者に警戒してるんだ。それなりに手助けしてたのに裏切る馬鹿とか昔いたからね……梶原のコトだけど」
義人/あー……梶原って……。
GM/梶原景時。頼朝が初戦のときに惨敗して逃げ延びるときに、当時平家だったのに逃がしちゃった人。「逃がしてやるよ。その代わり俺を源氏の良い身分にして」で、景時と頼朝は仲が良いという裏話がある。[ジョブ:売国奴]かな。
旭人/メッチャ平家の情報を流したと……(笑)
義人/名前しか出てきてないのに景時さん、株がガンガン下がりますね!(笑) 俺もそんなようなもんかな……でも話せることと言ったら、食事のメニューぐらいしかないぞ。
GM/忠度が脅しをかけてくるけど、それに時仁さんが「だから私のものだと言っているだろう。お前が命令する権利など無い」……冷たく言います。
義人/と、時仁さん……カッコイイ(笑) 時仁さん、本当に偉い人だったんですね。
GM/「この方をどの方と心得るか?」と忠度が水戸黄門的に言います。
義人/……まさか、平清盛?
GM/それ、ボクの兄貴
義人/ええっ!? より悪いわっ!(笑)
GM/「高倉天皇が第一皇子、安徳天皇であらせられるぞ」
義人/え……ええ? 32歳……史実の4倍だろ!(笑) それはそれは……そうとも知らずご無礼を……と言った方がいいんですか。そんなの知らないもんねーって言った方がいいんですか?
GM/「後者で頼む。そんな反応をされると思ったから私は言わなかったんだ」
義人/忠度に向かって。だってさ!(一同笑)
千晶/そんなこと言ったらいつか闇討ちされますよ!(笑)
旭人/(いきなり忠度になって)「ちょっとアイツ、ムカつくから明日の食事を質素にしてやろうぜ!」(笑)
GM/(知盛になって)「牛ヒレステーキ、1枚しか出してやんねー。俺達は3枚だもんねー
義人/いいもん、病弱だからそんな食べないもん!(笑)
旭人/「ならお汁の中の具をちょっと減らしてやるもんねー! 茄子が1個しかなくしてやるー!」
千晶/小さなイタズラだなぁ!(笑)
GM/……話を戻します(笑) 炊き出しの女性がやって来ます。「リムジンを用意しました。これからこのセーフハウスを捨てることになります。どうぞ古川様もお乗りください」
旭人/……逃亡か。そうか、貴方はスパイだったのか。
GM/頭を下げてそれ以降は口を開きません。ニンジャですから。
義人/……では貴方に頼みたいことがある。千晶が街道で待っているから、「帰れなくなった。ごめん」とだけ伝えておいてくれるか。……それで、牛車に乗ります。
GM/切なそうにする義人を見て、一緒に乗る時仁は少し不安そうな顔をしているよ。「やっぱヤメるとか言わないでくれよ。そんなこと言ったら……許さないからな」と、こちらも切なそうな顔で。
義人/良い台詞だ。大丈夫ですよ……ありがとう。
GM/「お前に危害を加えるようなことがあれば私が許さない。今はお前の命を助けるために私の下についてもらったが、いつか……私もお前みたいにどこかに消えるのもいいかもしれないな」
義人/……それは後で二人きりのときにでも、ゆっくり楽しく考えよう。
GM/「……そうだ、膝に乗るか?」
義人/……無言で寄り添って、ピトッとくっ付きます。
GM/そのとき、シャラッという鎖の揺れるような音がした。
義人/うん? 何か音がしたが……装飾品でも?
GM/「気にしなくていい」
義人/そうですか。まあ、側室ともなれば見ることもあるでしょう。……言ってから赤くなります(笑)

 義人を待ち続ける千晶を車が通り過ぎて数時。
 義人を連れた車は、ある宮殿に辿り着いた。
 そこはもう、数日の間でも慣れ親しんだ源氏の地ではなく……平安貴族の館だった。


GM/忠度が安徳天皇を送り届けたのを見て義人に話すよ。「どうせ何も出来ないんだからそのままでいるといいよ。……随分遠回りしちゃったけど、そろそろボク達は出撃してくる」
義人/そっか、マップが三草山だから忠度達は出陣か……。
GM/忠度が行ってしまう中、経正が義人の前で立ち止まります。
義人/……何か?
GM/「……裏切ることになって、苦しくはないのか?」
義人/それは……。
GM/「かつての想いなど、うわまってしまうほどの情なのか」……ややのんびりしたような声で言います。
義人/……当然、心苦しいさ。
GM/「……でも、お前はこちらを選んだ」
義人/だな。……が、あの人を一人にしておくのも、俺は嫌だ。
GM/「感情というものは……上書きされてしまうものなのか」
義人/……何の話だ? お前、俺が上書きされると困るようなことがあるのか。

 のんびりとした言葉の羅列。
 なのに次の瞬間、経正はニヤリと口元を歪ませた。
「――だとよ。どう思う?」
 ……義人と経正しかいない部屋で、誰かに言い聞かせるように。


千晶/……あっ!
旭人/……これは、与一……にか?
義人/……確定したな(笑) なあ、誰と話してるんだ?
GM/「独り言だ。……失礼。ワタシも忠度と共に出撃しよう」
義人/裏切り者の分際で言うのもアレかもしれないが……是非貴方達に生き残ってほしい。俺の大切な人の家族だからな。
GM/「……もしワタシ達が死んだとしても、ワタシ達は一緒だぞ。我々平家は、家族だけの世界を作りたくて戦うのだから、死んでもまた会える」
義人/平家であらずは何とやらと言ったがな……。人間、自分の目に見える範囲しか幸せには出来ないから。……これ、誰が言ってたんだっけ? なんかロリが言っていた気がするプー(笑)
GM/去り際に一言、経正は言います。「面白いことを教えてやろう。……ワタシの名前も、義人というんだ」
義人/なら余計死なないでくれ、縁起悪いから!(笑)
GM/では、平家の陣に来たけれど……これからどうする?
義人/知盛は出撃しないから居るんだよね。……知盛に案内してもらうのはどうだろう?
GM/(知盛になって)「こちらが大変優雅な【天守閣】でございまーす。こちらが常に満員の【転職所】でございまーす
義人/悪かったなスカスカで!(笑)
GM/「あとこちらがー、清盛父上の部屋でございまーす」
義人/わあっ!?(笑) 見ちゃったよ、いいのか開けて!?
GM/「別に止められてないしぃ? こんなことやるの清盛の息子兄弟の中でも俺ぐらいだしな!」
義人/貴方も偉い人なんだな……。あれ、清盛の息子兄弟?
GM/「あ、兄はもういないから」
義人/……お兄様を失ったのか。
GM/「ま、この戦乱の世の中しょうがないぜぇ。特攻してくる女とか普通にいるんだからなー」
義人/……そんなことがあったんだ?
GM/さて、我が物顔で知盛が入っていく部屋に居るのは……15〜16歳ぐらいの、鉄弥よりちょっと年下ほどの少年だ。「よう、親父」
義人/……うん!?(笑)
GM/「そのうち安徳天皇が紹介すると思うが、この方が安徳天皇の大切な人だそうです。エターナルラヴァー、ぷぎゃー!
義人/ぷぎゃーって言った!(笑) ……そ、その……古川義人と申します。ご挨拶した方がいいかと思いまして……。
GM/(清盛になって)「身包みは全部剥いだか」
義人/……脱いでも構いませんが?
GM/「ならば脱いでもらおうか。……やましい意味ではないぞ。私は用心深いのでな。それでこちらが不利になることもありすぎたのだ」
義人/御察しします。安全を証明しろということですね。用心されて当然だし……何も無いということを見せます。眼鏡も取りましょうか? この通りですよ。
GM/「安徳天皇に取り入って闇討ちでもするつもりか? そんなことは無理だ。させんぞ」
義人/俺は、命が惜しいからここにいるんです。
GM/知盛が言います。「なんだ、愛してきたんじゃないのか?」
義人/……そんなこと、人前で言えるか!(笑)
GM/「ハッハッハ、素直ですねぇ。じゃあ息子の口から言わせてもらおうか。コイツらラブラブだそーでーす!」(一同笑)
義人/お前振り回してやるクッソー!(笑) なんか旭人と似たような雰囲気を感じるんだよ、バッシー!
GM/「あー、酒がまわるー。……あとな、俺も旭人っていうんだけどな」
義人/……九日に人って書いて、旭人? なんか俺も経正さんと同じ名前らしいな。
GM/「ったく、めんどくせーなー。……そういやアイツも忠度に向かって千里って言い当てたし……そっかそっかー」
義人/む……?
GM/清盛が言います。「……そなたは、外の世界から来た『加護を受けた者』だな?」
義人/加護……? 外から来たっていうのはそうらしいんですが……。
GM/「我々は外から召喚された人間をそう呼ぶ。……昔、平家はお前のように加護を受けた者を受け入れた過去もある」
義人/……その方はどのような?
GM/「勝ち気な女だった。イメージするなら『アンタばかぁ?』って言うタイプだ
義人/宮村優子ヴォイスか、そりゃ抗えないわぁ(一同笑) その人の事を大切に思っていたのですか。
GM/「……何十年経っても覚えているということは、そういうことなんだろう」
義人/デレッデレじゃないですか!(笑)
GM/そんなことを言うとニイの尼に怒られるし。……ちなみに、ニイの尼の本名は時子と言って、清盛の奥さんでもあります。
義人/……貴方がそのような小さな体をしている理由はなんですか?
GM/「体が本物だと思うか? こんなデッカイ息子とこんな小さな父親が居て」
義人/……おかしいですなぁ。
GM/「加護を受けたものは勝利を導くという逸話もあるからな。十分、平家の勝利を願っていてくれ」
義人/……出来る限りは、と頭を下げます。

    ◆

GM/では旭人と千晶揃っての弁慶さんのシーンです。……義人が居なくなって一日経ちました。義人は帰らぬまま……炊き出しの女性「が帰れなくなった」という連絡が入りました。それ以降は彼女は何も言いません。
千晶/帰れなくなったって……元の世界にですかね? 義人さん、もう帰ってこないのかな……。
旭人/あれだけ一番帰りたがっていた奴が! ……なんか弁ちゃん知らねーのかな。訊きに行こう! 弁ちゃん聞いてよー!
GM/「……何ですか?」と不機嫌そうに弁慶が部屋から出てきます。その後に……着物を着直しながら義経が出てきます。
旭人/はぁっ!?(笑) すまない、邪魔をした……!
GM/(義経になって)「ああ、気にするな。弁慶と話があるなら俺は失礼する。もう診察は終わったから」
旭人/診察。……なんだー(笑)
義人/まるで漫画みたいだ!(笑) なに今の古典的勘違い!
千晶/お約束でしょう(笑) あれ、義経さんってお身体悪かったのかなぁ……?
旭人/定期健診か、弁ちゃんがエロイかの二択だろ。
GM/義経は笛のケースを大事そうに持ちながら部屋を去ります……。(弁慶になって)「改めまして、なんでしょう?」
旭人/義人が帰らない。……お前なら何か知ってるんじゃないかって。
GM/「その話でしたら先程も義経様が言ってましたよ。……『今後の戦は代理の大将を立てるのでその下で働いてもらう』と」
千晶/……ぐすん。義人さん、やっぱり居なくなっちゃったんだ……。
GM/「まあ、梶原さんはとても良い武将ですから今後もやっていきますよ」
旭人/やっちまった! 梶原がきたぞぉ!?(笑)
義人/株低っ! 梶原、アンサイクロペディアではツンデレって書かれてるのに!(笑)
旭人/そっか……。あ、そうだ。三種の神器を集めると1億Dの力が使えるっていうのを敦盛から聞いた。詳しいことを訊きたいんだけど、弁ちゃんなら知ってるよね!?
GM/「知ってます」
旭人/やっぱり!?
GM/「ですが……敦盛が言っていた、ですか……」
千晶/ど、どうしました……?
旭人/川を見て「汚い」とも言っていたんだ。怨霊がなんとかとも……何かあるのか?
GM/「川が汚いというのは、平家の怨霊達との戦いを例えてのことでしょう。……怨霊は、『穢れ』ですから。あんなものはこの世にはいない。ですが、貴方達も勾玉争奪戦で目撃している筈だ」
千晶/ぞわっ! と、トラウマスイッチが発動します……!
GM/「平家では怨霊を操り動かしている人がいます。……名前は、平清盛。平家の大将で、我々が倒すべき相手です」
旭人/あれ、平清盛って今の時代……死んでる筈じゃね? なんでいるの? 電子辞書を引いてみるけど。
GM/確かに清盛は『熱病で病死』って書いてあるね。弁慶は言葉を続けます。「ある事件で死んだとされていました。ですが、怨霊になって彼は生き返ったのです」
千晶/……あれ?
旭人/……事故死? 病死……じゃなくて?
GM/「事故死ですよ」……弁慶は普通に言います。
旭人/……なあ、怨霊って何なんだ? これから俺達、そいつらと戦うんだから教えてくれよ。
GM/「ええ、お話しましょう。では……図書館でも行きましょうか。ちょうど私も図書館に行きたいと思っていましたから馬車を用意してます。別に馬1頭でも良かったんですが、偶然にもこの馬車は3人乗りのものでして」(一同爆笑)
千晶/さっすが弁慶さん! ありがとう!(笑)
GM/後ろで与一が「今すぐ用意してきます!」と走って行きました。
旭人/弁ちゃんってそういう人だよね!(笑)
GM/……では、馬車を用意してもらって、図書館に辿り着きます。図書館って言っても倉庫に巻物が暗闇の中にしまってあって、取り出して明るい所で読むんですけど。
千晶/弁慶さん……どこに何があるんですか?
GM/「私が取るからいいんです。……では、何について訊きたいんですか?」
千晶/まず……怨霊って、何?
GM/「死霊を蘇らせたものです。発案したのは陰陽師という人達と言われています。大変古い歴史の持ち主で……古いものが好きな貴族に好まれている方々だそうですね。平家は陰陽術や呪術をとても大切にし、独自の術を編み出してきました。彼らは……『自分の家だけで栄える』ことを求めていますから」
旭人/死ななければずっと栄え続けられる……と。
GM/「その通りです。しかし死霊は生者ほど万能ではない。『特別な措置』をしない限り、単一的な考えしかできません」
旭人/トップがそんなんじゃあ……組織として成り立たないよな?
GM/「ハッキリ言ってそう思いますね。既にトップである清盛が怨霊なのですから、平家は壊れているのかもしれません。源氏の勝ち目は充分にあると考えています」
旭人/でも、少なくとも清盛には自我があるよな。
GM/『怨霊作成の判定』の達成値が高ければより精度の良い怨霊が作れる、ということですよ。達成値3の怨霊はゾンビのように禍々しく、達成値12の怨霊はまるで人間のように動けるのではないでしょうか」
千晶/はー……その程度のことなのかー。
GM/「……清盛は事故で亡くなったと、平家を離反した者達の噂で聞かされています。その事件はとても傷跡が大きく、清盛は急ごしらえで怨霊になったのではないかと思います。……だからこそ、今平家を叩くチャンスなんです」
旭人/……なんだ、その事件ってのは……詳しく話してくれないか?
GM/「これは私達だけの内緒ですよ」
千晶/は、はい……?
GM/「……北条政子様が、平家の宮殿に特攻したんですよ」
旭人/……はあ? 政子たんがっ!?
GM/「元々、政子様のお父上は、頼朝様を監視する役割でありました。だけれども政子様は頼朝様と恋仲になられた。頼朝様の窮地を救うため……政子様は力を発揮なされたのです」
旭人/ま、政子たんやるねー……。どんな風なことしたの?
GM/「政子様は平家側の人間でした。だから中に紛れていくのは容易かった。そして清盛の前で……多くの平家側の重役の前で……爆死なさったんです」
千晶/ば、爆死……!?
旭人/爆死なさったって……突撃して、いっしょに、じゅどーん?
GM/「貴方達はまだ見てないでしょうが……政子様がとてもお若い姿をしています」……それを聞いて『え、若いの? 北条政子っておばさんじゃないの?』って君達は思います。「急襲に清盛は慌てて怨霊として復活する儀式を行った。準備もせず、範囲拡大をして急ごしらえに。とにかく自分と、周囲の重役達を殺す訳にはいかなかった。……そのときに手違いで、爆死なされた政子様も一緒に蘇らせられたそうです」
千晶/あ、そういえば僕達、今回のループは政子様を見てませんね……。
旭人/いわゆる自爆テロをした政子たん……。だから、ロリ?
GM/「政子様本人は怨霊になったことを、『まだ頼朝の力になれている』と満足しているようです。ですが怨霊はこの世に居てはならない死者の形。不安定な形のまま蔓延っている」
義人/……トモリン、飲みに行っていて無事だったんじゃね?
旭人/それはありうる!(笑) ……そこに居た人達の名前は判らないのか?
GM/「これは源氏に寝返った人達の噂ですから。……ちなみに、怨霊の別名を、『穢れ』と言います。……ああ、敦盛は穢れを気にしていたんですよね」と、呼び捨てで言いますね。
旭人/……弁ちゃん、もしかして敦盛の知り合い? それとも良い仲?
GM/「前者です。1億Dの力を使えば……浄化は達成値が難しいだけで可能なのかもしれません。その力で怨霊の消滅を願えば、世界中の怨霊が消えるかもしれない……」
千晶/あ、でも……それで穢れを祓っちゃったら政子様は!?
旭人/多分……浄化されちゃうよな。平家側も殆ど頭領が怨霊なんだし、イタイ話だよな。ということは敦盛は平家からも源氏からも危うい存在に……。
千晶/平家を見限ってでも、源氏を欺いてでも、果たしたいことがあるんですね……。
旭人/なるほど……。俺さ、全部怨霊が消えれば平家は負けるからラッキーと思ってたんだけど、そっか。政子もそうなのか……。大変だな!
千晶/で、でもまだこれ、推測ですからね! 彼の口からちゃんと聞いた訳じゃないですから!
旭人/いやぁ、アイツ……大変なことをしようとしてたんだな……。
GM/「だから草薙剣が必要なんじゃないんですか? …………
千晶/…………え?
GM/「いえ、これは…………違いますね」
旭人/…………なんだ?
GM/「これは神職の息子だから知っていることでした。失礼」
旭人/……なんだ、草薙剣が何なんだ!? 言えよ! 草薙剣がどうしたんだ!?
千晶/ど、どうしたんですか……何かあるなら教えてください!
GM/「……これは、神職だから知ることなんですけど、草薙剣……自体の話です」
千晶/コクコクコク!
GM/「龍神の力を込めたのが三種の神器です」
旭人/ほう。
GM/「龍の剣は、再生の力を持っているという逸話を知りませんか?」
千晶/……えっ!?
旭人/……なんと!?
GM/(旭人のプレイヤーの方を見て)……『パラつば』の最終回を思い出せ。イサッキーの弟がどうやって救われた、とか。
旭人/ああああああああああああぁ!? ロリイイイイィィ!?(笑)
GM/「龍神の剣には再生の力を持っています。リバース、リトライ、リライト……新しく生み、新しく創り直し、新しく書き換えると力があるんです」
千晶/え、えっと……そんな力が……?
旭人/あ、あれは……ロリっていうか『聖剣だから』っていう気持ちでいた!
義人/……でも、鉄弥の前で『龍の聖剣』とか言ってたね。
旭人/言ってたね! ロリぃ!? …………なんか私はエクスカリバーたんとクサナギノツルギたんで考えていたから!(一同爆笑)
GM/誰だ! 勝手に萌えキャラを作るな!(一同爆笑)
義人/黒髪のおしとやかな姫カットで、(とても可憐な声で)「クサナギです……私を助けに来て……」
GM/……可愛いわ!(笑)
義人/そういえば『ゲヘナ』に『黄昏の貌』ってのがあってだな……「実は私の正体はベリベリベリィー」ってマスクを取ると下から「ロリィ〜」って出てくるんだな!?
千晶/お前かぁーっ!?(笑/いきなりロリになって)「バレちゃったぁ〜。こっちの姿、気に入ってたのにぃ〜」って言われるんですね!(笑)
義人/なんというコスプレ趣味。……話を続けよう!(笑)
GM/「とにかく、龍神の剣と呼ばれる聖剣自体に浄化の力がありまして。あらぬモノになってしまった対象を元の姿に戻すことができます。それは、1億Dの『なんでも叶う』力ではなく、草薙剣自体に込められた力です」
旭人/じゃあ、剣さえあれば……浄化にはなるんだな!?
千晶/そう、剣でサクーッとやると……。
旭人/サクーじゃないでしょ!?(笑)
GM/サクーですよ。
旭人/サクーなの!? それだと死なない!?
義人/……前回のループで、旭人は草薙剣で自らの首を落したよね?
GM/「傷つく可能性もあります。草薙剣は『今の形』を殺して、『元の姿』に戻すという……リライト、繰り返しを生じさせるという仕組みです。その力を発現させるのは、大きな想いと強い意志がなければいけません」
千晶/は、はあ……。
GM/具体的に言うと、草薙剣を使って相手を殺すのですが……その殺す相手が……感情値4以上でないとできません。
旭人/……ああっ! そうなるのか!
GM/「政子様を救うには、既に感情値4以上ある頼朝様が政子様を殺せばおそらく元の姿に戻られるでしょう」……そして、壇ノ浦でいつもニイの尼が、手に入れたばっかりの草薙剣を大事そうに持っているのは……。
義人/……安徳天皇の為に!? うわ、今すっごいアハ体験! 脳が気持ち良い!(笑)
GM/「これは熊野の者しか知らないことなんですけどね」……ということでね、前回物凄く攻略会議をしてたけど、弁慶に訊けば全部判ったんだよ。
旭人/弁ちゃん、マジチート!(笑)
GM/『弁慶と敦盛は繋がっている』、『弁慶は神職である』、『弁慶は図書館など資料が沢山ある場所に行ける』、『熊野は中立で、源氏と平家のどちらのことも知っている』……そこまで判っていて、何故いかないと思った(笑)
千晶/弁ちゃん超ハイスペック! ただ弁ちゃんカッコイイとしか思ってなかった!(笑) 与一も単なるお茶汲みじゃなかったし!
義人/……そっか、だから鉄弥のイベントのときに弁慶がよく現れたんですね。敦盛の情報を持って弁慶に行けばラクチンだから。
旭人/弁慶が出てくると「キターッ!」って思って、弁ちゃん以外のことが思い出せなかったからね!(笑) ……あ、そうだ。敦盛のことをを電子辞書で調べてみよう!
GM/『あつもり』で調べると、『敦盛さん』という民謡や能が出てきます。そこから関連検索で『平敦盛』が出てきます。……そうして、彼が平家一族であることを知ります。
千晶/わあ……なんとなく判ってはいましたが平家だったんですね。
旭人/でもって、享年が今の年代と合致しないんだな。敦盛の家族って何やってる人なの?
GM/「彼の家族……ですか。敦盛には平家に兄がいて、彼も死んだとされていますが、今は怨霊として蘇っているとか」
旭人/敦盛の兄は怨霊……。そして敦盛が死ぬのは……一ヶ谷の戦い。
千晶/これから義経さんが行くところですね。
旭人/……『一ヶ谷』って字を見るとさ、畠山公の声が毎回聞こえるんだ。地元へようこそ! 熊谷次郎直実も男衾三郎もな!(笑)
義人/男衾三郎はいらないよ、今!(笑)

 おまけ。
 旭人の中の人の地元は、一ヶ谷の戦いで有名(?)な、「馬が可哀想だから崖から飛び降りず馬を背負って下山した」武士がとてもとても有名らしい。
 セッション中、大変詳しく歴史と郷土愛について語ってくれたが……リプレイでは全編省略させていただこう(笑)


旭人/知ってる? テロって『日本が神風特攻したからだ』って言われてるんだよ。爆弾抱えて飛行機で飛んで行くのがハジマリなんだって。「日本のカミカゼのせいだし、マジプギャー!」とか言われてるらしいよ。
GM/日本は自殺を許してるし。世界中には、自殺すると来世にいけないから悪行としている宗教が沢山あるもの。日本人は「ダメになったら自殺すればいい」っていう考えが少なからずあるからね。
旭人/……ごめん、前回の俺だ。
GM/現代じゃ良くないことかもしれないけどさ……でも、『自殺の美学』って私は好きだな。
旭人/先割れスプーン、飲もうぜ!

 よく出てくる、前作BLキャンペーン『スカーレット』のカイルさん。
 彼は(正確には彼自身ではないのだが)、セッション中によく自殺する。
 理由はロリの行うループが重要な鍵になっているのだが、その中で一番斬新な死に方が……『先割れスプーン一気飲み』だった。
 ちなみに元ネタは、かの有名なミステリーゲーム『ひぐらしのなく頃に』である。……既にカイルさんを表すキーワードっぽくなっているが(笑)


義人/トモリンの自殺は悲劇的でカッコイイのに、カイルさんの自殺は「あーあ」って感じなんだよ。ハイ、阿部寛でした!(一同爆笑)
GM/カイルさんっていうかアッパーさんは、自殺の仕方をどんどん楽しんでいったからね……(弁慶になって)「さて、他に質問はありませんか? 私の応えられる範囲であればお答えします」
旭人/俺達のこと、好きですか!?
GM/今、フラグが1立った音がしました
千晶/的確だー!(一同爆笑)

 ※ 【 旭人:弁慶フラグ(1)を入手 】
 ※ 【 千晶:弁慶フラグ(1)を入手 】


GM/……さて、三草山の合戦イベントが始まります。結果はどうする? 源氏が勝利しておく?
義人/鏡は源氏が手に入れるけど、お互いに凄い痛手っていうのはどうだろ。忠度と経正は生きて帰るとか。
GM/今回は平家側に義人がいるから可能だね。……では、旭人は鏡を手に入れますが、武将2人までは討ちとることはできなかった。
旭人/景時さんの指示に従って頑張った。やっぱそこはいつもの武将じゃないから力を出し切れなかったな(笑)
千晶/義人さんだったら【特攻】でもなんでもするんですけどね〜。
GM/そうして義経達は一ヶ谷の戦いを終わらせて帰ってきます。
旭人/弁ちゃん! 敦盛は見なかった?
GM/(弁慶になって)「敦盛ですか。大丈夫だそうですよ」
旭人/……なら良かった。
GM/与一も無事のようですね。……ちょっと惚けたような顔もしていますけれど。
千晶/ん、与一……どうしたの?
GM/(与一になって)「え……あ、なんでもない! 良かった、千晶も無事だったんだ」……そんなやり取りをしていると、あちらに怪我人が運ばれて行きます。その中に、「あーあー! これくらいの傷は大丈夫だー!」と大声で叫んでる男性が。
千晶/……誰だろう?
GM/名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれない。……熊谷直実という名前だ。
千晶/あー! 初登場の直実さんだー……!(笑)
旭人/どうしたんすか直実さん。それって……矢傷ですか?
GM/傷ついて一度戦闘不能になったみたいですね。「うー。まさかあんな所から狙われるとはなぁ……隙をつかれたな。大丈夫大丈夫、筋肉でパーンって弾いたから!
旭人/今、ハードマッスルで弾いたよね!?(笑)
千晶/全然大丈夫じゃないですか!(笑)
GM/「生きて帰って来ただけ良かった良かったアッハッハ……」と、クマのような男は担架で運ばれていく。
旭人/うわ、なんかいい人……沢庵多めにやってあげたいな(笑)
GM/一方その頃。……平家に忠度と経正が帰り、即座に清盛の元で例の会議を始めます。内容は「負けて帰って来たお兄ちゃんゴメン今度ガンバルから許してちょ
義人/流石にここは、口を出さずに見ているしか出来ないな……。帰って来た忠度をつい千里感覚でお疲れ様って頭を撫でようか。
GM/(忠度になって)「あー、負けてきちゃったからデカイ顔できないんだけどね」
義人/でも生きててくれたな。ちょっとだけ嬉しい。
GM/「ボクらが死ぬと安徳天皇も悲しむからね。それはアンタも心配なんでしょ」
義人/そうじゃなくて……。それと、経正も戻ってきてくれたのは嬉しいよ。
GM/「ありがと。でも今度こそ平家が勝つよ! 今度の戦いにはウチの最強の武将トモリンがいるからねー!」
千晶/……うう、奴がいると戦闘がホントに超怖い……!(笑)


●<4クォーター目> & 自由時間選択C

 < 自由時間選択/旭人→「敦盛」を選択>
 < 自由時間選択/千晶→「弁慶」を選択>
 
< 自由時間選択/義人→「平家」を選択>

GM/最初に千晶のシーンです。源氏の会議からスタートしよう……これから合戦になるということで、旭人のみになりますが、源氏の会議に出席します。いつも頼朝が政子を膝の上に乗せているアレですね。
旭人/初めて見る政子たんを見て……あれが特攻したカミカゼガールか(笑)
義人/キャラソンのタイトルみたいだな。
千晶/会議が終わったな! ……よし与一、行くぞ。お茶汲みだ!
GM/「ああ、判った! 右だ、そこっ!
千晶/そこだ、茶ぁっ!
義人/なにこのミニゲームみたいな展開。そんなところに金を遣うな!(笑)
千晶/弁慶さんにもお茶を出します。お疲れ様。肩が凝っているなら肩叩きをしましよー。ぽんぽんぽーん。
GM/「貴方が疲れない程度にやってください。これから大きな戦いになるんですから」
千晶/はーい。
GM/「おそらく平知盛……彼らもこの戦で出てくるでしょう。それに……」
千晶/……平忠度や経正も生きて帰しちゃったので……戦力が増えてますね。ごめんなさい弁慶さん!
GM/「それは仕方ないことです。こちらの戦力を全部使ったとしても彼らを倒すことはできないかもしれないのですから。ただでさえ二手に軍が分かれていたのですし」
千晶/義経さん達も一ヶ谷では大変だったんですよね? これからも頑張ってください……。
GM/「頑張るのは貴方もですよ」
千晶/はい……。
GM/「貴方の槍の腕は皆に知られているほどです。失うのには源氏としても、とても惜しい。心から失いたくないと思いますよ」
千晶/え……。
GM/「……兵士としてですよ」
千晶/……ツンしましたね(笑)
GM/じゃあ即フォローするよ(笑) 「好意的に受け取りたいのであれば勝手になさい。貴方を気遣っているのです」
旭人/……なにその、微妙にツンデレのテレ隠しっぽいのは!(笑)
千晶/弁慶さん……僕の世界ではそれをデレツンデレって言うんですよ(一同笑)
GM/教えんな。「不思議な歌ですね(一同笑) ……私なりに気遣ったつもりで言ったのですが、迷惑でしたか?」
千晶/い、いえ! ……ありがとうございます。
GM/「さあ、貴方もこんな仕事は他の人に任せておきなさい。武器の手入れでもしていた方がいいのでは?」
千晶/それなら与一も武器の手入れをしないと……。
GM/「ですから、私は貴方を気遣っているのですよ?」
義人/『対象:単体』だな(一同笑)
GM/「……戦いが終わった後に、図書館ではなく今度は別の場所へ行きましょうか。話したいことは沢山あるし、訊きたいこともあるでしょう?」
千晶/訊きたいこと……?
GM/「特にありませんでしたか? ……では私の勘違いですね」
千晶/わあ!?(笑) あのあの! 訊いてもいいんですか……?
GM/与一が親友だから親指を立てて去って行きます。
千晶/空気読んだ!(笑) 気遣いありがとう! ……あの、弁慶さんは僕のこと、どう想ってますか?
GM/「大変力強い存在だと思いますよ」
千晶/そっか……僕は弁慶さんのこと好きなんですけど。ほ、本音です……。
GM/「手を止めて。……前に座りなさい」
千晶/は、はい。
GM/「これで対等な関係ですね」
千晶/は、はあ……。
GM/「同じ言葉を返すだけでは芸が無い。……貴方の喜ぶ言葉を教えてください。その通りに私は言ってみせましょう」
千晶/それ……結構羞恥プレイじゃないですか?(笑)
GM/「欲しい言葉を言ってごらんなさい」
千晶/今ならなんでも!? ……うー……じゃあ、『愛してる』でもいいですか?
GM/「とても愛してますよ」
千晶/オプションが付いたー!?(笑)
GM/「その言葉はもっと良い所で言った方が効果があると思うので、違う場所でまた同じことを言いましょうか」
千晶/は、はい! 頑張って……生きて帰って来ます!
GM/「楽しみにしてますよ。折角言う気になったのですから言わせてください」

 ※ 【 千晶:弁慶フラグ(2)を入手 】
 → フラグ全2種類回収により、特別に≪愛情≫4点を獲得。弁慶と「恋人」関係となる。


    ◆

GM/では、旭人のシーンに行きましょう敦盛です。旭人は敦盛いないかなー、きっとこの辺にいるんじゃないかなーって探していると……敦盛が誰かと話しているのを見かけます。
旭人/誰? こっそりと見ます。
GM/後ろ姿だけど判る……那須与一ですね。
旭人/……へー、与一と話すんだ。珍しいな、兵士とかと話すような感じじゃないのに。
GM/与一は話を終えると去って行きますよ。
旭人/今回は与一を追わない。……敦盛。前回判らないって言っちゃったから……判るように弁慶に色々訊いてきたぞ!
GM/「……弁慶に訊いた?」
旭人/穢れのこととかさ。俺はボケてるせいなのか、あんまり誰かが汚れているとか感じないから勉強してきたぞ。
GM/「……気味が悪いとは思わないのか」
旭人/別に。ていうか、目の前に居て話せるんだしいいじゃん。……そんな貴方に朗報です! どうやら草薙剣は浄化の作用がある剣らしいよ!
GM/「……どういうことだ?」
旭人/草薙剣……龍神の剣は再生の剣と言われているらしくて……。
GM/詳しく聞かせろと言わんばかりの、驚いた目を見せます。
旭人/剣を使って、相手に感情値4以上あれば……。
千晶/旭人さん! ゲーム口調、ゲーム口調!(笑)
旭人/あ、相手への強い想いがあれば!(笑) 元の状態に戻るらしいんだ。そういう話なんだ! こういうことだよね、違う!?
GM/「……そんな……そんなことが……できるのか?」
旭人/らしいよ! 凄いんだな、草薙剣って!
GM/「……それならば、本格的に草薙剣は手に入れなければならない……」旭人に近づきます。
旭人/はい。
GM/口付けます。
旭人/わーお! だ、だからこういうことは安売りするなって! ……ど、ドキドキしちゃう! だって男の子だもん!(笑)
GM/「これが報酬だと思え」
旭人/だからさ、報酬とかそういんじゃなくて、えっと……好きとか嫌いとかで動こうよ!
GM/「私のことは好きか?」
旭人/嫌いじゃない!
GM/「好きか?」
旭人/……す、好きです(笑)
GM/「私の願いは教えた筈だよな?」
旭人/……敦盛の口からはちゃんと聞いてない。
GM/「…………」
旭人/ちゃんと……お前の口から言ってくれないかな。
GM/「……今から私は……最低なことを言う。幻滅するかもしれない」
旭人/……まあ、とりあえず言ってみようか。どうぞ。
GM/「私の願いは怨霊の存在を消しさること。三種の神器の力を遣ってこの世の穢れを落としたい、この世界を美しく元の形に戻したい……などと言ったが、あれは詭弁だ」
旭人/…………。
GM/「……一番は、自分が元に戻りたい!」
旭人/……いやあ、やっとお前のことが人間らしいと思えた。
GM/「…………」
旭人/やっとお前のこと、判ったよ。敦盛……俺がお前を元に戻してやるよ!
GM/「……オレを元に戻してくれるか?」
旭人/俺に出来ることならばやるよ!
GM/信じていいか?
旭人/うん。ニッコリ笑って敦盛を抱きしめます。
GM/「お前に……オレの未来を託すぞ」
旭人/任せておけって! 大船乗ったつもりで待ってろよ!
GM/……胸元が熱い。
旭人/……泣いてる? 大丈夫だよ、俺は敦盛を幸せにさせてみせるからさ!

 ※ 【 旭人:敦盛フラグ(2)を入手 】
 → フラグ全2種類回収により、特別に≪愛情≫4点を獲得。敦盛と「恋人」関係となる。


千晶/呪われない恋人関係、きたー!
義人/おおお……敦盛が読めてきたねえ。
GM/……つまりはね、敦盛は大義名分的なことばかり言っていたけど、本当は自分は救われたいって思うキャラだったんだよ。
旭人/ようやく本音を引き出せたね。これで三種の神器が全部そろえば……。

    ◆

GM/では義人さん。貴方は平家の宮殿にいます。
義人/清盛の元に向かいます。色々と訊きたいことがある。
GM/では酒を飲んでいる少年の元にやって来ます。「……何用か?」
義人/昔、この地に訪れたことのある異世界の人の話をもう一度訊きたいのです。……その方は女性だったんですよね。どのような御関係で?
GM/「……楽師のようなことをやらせていた。不思議な音色を奏でる奴だったからな……ここでは見たことのない笛を吹いていた」
義人/そうですか。俺の……亡くなった弟も笛をやっていました。
GM/「その弟というのは?」
義人/白石鉄弥といいます。……名字は違うのですが、俺の大切な弟です。
GM/御猪口を持つ清盛の手がピタリと止まります。「鉄弥か……ことごとくお前らは……」クククと笑う。
義人/な、何か気になりましたか? また親戚のお方に同じ名前の人でも?
GM/「私の亡くなった長男がな……鉄弥という名だったよ。しかし、実の弟君ではないとは……忘れただけか、冗談の好きな女だなぁ……」
義人/うん……?
GM/「その女、名前をカツという。心当たりはあるか?」
義人/……俺の祖母にあたる人間が同じ名前です。
GM/「そうだと思ったよ。笛を奏で、我々天使に加護を下さった女が奴だった。私は……前の戦い『義朝との戦い』に彼女の加護のおかげか、三種の神器を手にし、戦を勝利することができた」
義人/多分予言者的なことをしていたのか……戦局を大きく揺るがした存在だったんですか?
GM/「半分当たっているな。我々の戦にとって彼女の存在が……いや、『召喚されたその存在自体』がとても重要だったのだ。だからこそ勝利したときは褒美を多くとらせた」
義人/褒美とは……?
GM/「大いなる力を半分分けてやったぞ。……5000D6をな」……ここで清盛の口から三種の神器の効果と【エレベーター】の説明をしましょう。
義人/それがあれば俺達は元の世界に帰れる……! おばあ様が昔、この世界に来て、結局は戻っていって……もしかしたら、と安徳天皇の顔をチラッと思い浮かべておきますよ。
GM/「なんだ元の世界に帰りたいか? あの女と同じことを言う。ここに居れば、天皇の寵愛を受けているのだから神の元にずっと居られるようなもんだぞ」
義人/天皇は神の子ですもんね。ここに居れば俺は安全かもしれませんが、あの人はつまらないでしょう。俺はあの人に広い世界を見せてやりたいと約束しました。
GM/「安徳天皇が居なくなってもらっては困る」
義人/それは貴方の都合でしょう。あの人の意思は判りません。
GM/「口を慎め。我らが勝利するに決まっておろう」自信を持って言います。……ま、どうにでもなるんだけどね、ロリィ〜(笑)
義人/貴方は、この戦で何を望んでいるんですか。
GM/「我が家の繁栄、それ以外に何があろう? 私達天使の天下を取る。それがこの戦いの目的だ」
義人/……死体の兵を遣ってでも?
GM/「何が悪い。失ったものを取り戻したいという想いは誰にも平等にあるだろう」
義人/そうですね……。鉄弥を思い浮かべながら言います。
GM/「そういえば、お前は弟が亡くなっていたんだったな。……三種の神器を手に入れた暁には、蘇らせてやろうか」
義人/鉄弥が蘇る……?
GM/「ああ。……お前があの女と同じように、平家に祝福を与えてくれるのならな」

 ※ 【 義人:平家フラグ(2)を入手 】
 → フラグ全2種類回収により、特別に4点を獲得。平家との関係が「忠義」関係となる。


GM/では義人と平家の感情値4になったので、基本的に平家軍が義人のいうことを聞くようになります。
義人/え……あ、そっか! もう平家は俺が操れる?
GM/うん。でもって、感情値4のキャラクター同士が対決する倍、プレイヤーが代理で判定して対決するよ。

 そうして迎えた最後の対決……壇ノ浦。
 睨み合う両者。
 そんな緊張が走る中、与一が扇の的を撃つ。
 源氏と平家の戦いは始まるの……だが。


義人/すげー、あの名無しの兵スゲー! あれが噂の那須与一か、初めて知ったぞー!(笑)
千晶/与一が可哀想です!(笑)
GM/では、最後の戦いを行う訳だけど……平家側には、清盛、知盛、忠度、経正、あとモブの皆さんが揃っています。
千晶/主役級が4人もいる……生き残る気がしません!
旭人/でも勝ちたい! ウチの大将の……えっと、なんだっけ?
千晶/(メモを見ながら)梶原景時?
旭人/そう! 景時を盾にしてでも勝ちたいっ!
GM/確認して盾にすんな。実質、PC側は2人しかいないし……これで勝のは、奇跡でも起こらない限りダメだろう……。

 戦略差的に、神官と国王不在。
 ≪民の声≫が使えない、回復も行えない……。
 そんな状況で4体のボスに勝利するのは、『奇跡でも起こらない限り』無理な話だった。


GM/……義人さん、貴方に平家を操る権限があります。まず……平家を勝利させますか?
義人/……はい。
GM/では次に、平家は源氏に勝利しそうです。旭人と千晶が前線に出て戦っているけど……どうしますか?
義人/……旭人と千晶を倒して、三種の神器は回収します!
GM/平家の怨霊の力が強大になっていく。凶悪な力によって薙ぎ倒されていく源氏軍達。……義人は、一番最前線を戦っているある兵士が倒されるのを見た。
義人/旭人……。清盛、待ってくれ。あの二人は俺の家族なんだ。助けてやってくれないか!?
GM/「……そうか、お前の家族なら……安徳天皇の家族でもあるな」清盛は情があるっていうか、家族に対してはとても甘い人ですから頷きます。
義人/それに……貴方の惚れていた女の家族でもある。
GM/「……。あの男を回収させろ」そう清盛が一声掛けると、知盛が旭人の元に向かいます。そして忠度が千晶の元へ……「あっ、なかなかスバシッコイ奴がいるね。千晶を連れて行きやがった……!」
義人/え……?
GM/「でも大丈夫、千晶の顔は覚えているから今すぐ探しに行ってくるよ!」
義人/……ああ、千晶も頼む。
GM/先に知盛が旭人を回収しにやって来ます。……義人の足元にポイッ血まみれの旭人を投げてよこします。虫の息の、今にも死にそうな旭人を。
義人/旭人……旭人っ。
旭人/あ……なんだ……? 義人か……。
義人/義人だ。
旭人/……良かった……お前、生きてたのか……ごめんな、先……いくわ。
義人/……清盛。なんとかなるんだよな?
GM/「ああ、なんとかなるさ。しかし、そのためにはまず死んでもらわなければならない」と言って、義人に小刀を投げ渡します。「私はまだザコを倒しに行く。お前がトドメを刺せ」
義人/……そんな。
旭人/小刀か……死んだ魚の目でそれを見てるよ……。
義人/はあ、こんな形のPvPは初めてだ!(一同笑) ……旭人、痛みは一瞬だ。きっとすぐに鉄弥も戻ってくるから……どこが一番痛くないんだ?
旭人/……やめてくれ。
義人/けど……生き返らせてくれるらしいぞ。
旭人/……それで……苦しんでる奴を、知ってる。俺は……そいつを助けてやりたかったんだ……。
義人/…………。
旭人/……そのまま海に沈みます!
義人/うわ、トモリンといっしょの死に方をっ!?
旭人/最後の力を振り絞って海に落ちる! ……ごめんな……ザバーンと海に沈みます。
GM/……いつでも止めることはできたけど、義人はそれを素通りしてしまうのかな。
義人/止めようとする。けど、失敗して……いつも旭人が付けてた腕輪だけが引き抜かれて……落ちていくのを呆然と眺めている。
GM/知盛が義人のもとに来ます。「なんだ……逃がしちまったのか?」
義人/……ああ。
GM/「俺は潜って取りに行くとかイヤだぞ」
義人/……アイツの名前も、旭人といったんだ。
GM/「うわ、タチ悪ぃ」……平家に止められることなく、旭人は海に沈みます。重い鎧を着込んで沈んでいく水の中で……不意に、誰かに抱きかかえられる気がした。
旭人/誰かって……誰だ……?
GM/水の中だから判らない。
旭人/……「ごめんな」って呟きます。相手には聞こえないだろうけど言って……。
GM/ゴポゴポと苦しいだけの口が止まって、ただただ沈むだけの体になった貴方に……誰かが口付けたような気がする。
旭人/……ああ……。
GM/「『きっとまた会える』と言われた。その日まで、私は待とう」……そんな声が聞こえた。
旭人/……そのまま目を閉じます。
GM/目を閉じたとき、瞼の裏側にシルエットが見えた。……禍々しい角と、おどろおどろしい風景。人間とは思えないシルエット……だけれども怖くはない。旭人は安らかな眠りの中へ落ちていくのでした……。

    ◆

GM/さて、千晶は誰かに手を引かれて戦場から逃げています。誰かとは、与一のことです。「千晶、足がやられたのか? とりあえずあの森まで走ってくれ……!」
千晶/う、うん……ありがとう、与一!
GM/森まで逃げ延びてくると……そこには逃げてきた源氏の人らしい、亡くなった死体が倒れていたりする。
千晶/あ、後ろから矢が……あああ……。
GM/その死体も通り過ぎて行く。ある一定のところに来て、与一が足を止めます。「今、怪我の手当をするから……!」
千晶/う、うん……。
GM/でもこの戦いに負けてしまったので、HPは戻りません。もう自分がどうなるか判った状態です。……だけど与一は治療を続けます。
千晶/もう……与一、いいよ。目が霞んできたしさ……。
GM/「そんな……う……何度もこの風景を見るのは……嫌だな……」
千晶/何度も……? 与一、そんなに戦してきたっけ……?
GM/「ああ、何十回もやってきた……多分、今後もやっていく」。その言葉から『まだ生きているから戦っていくんだ』と千晶は思う程度ですね。
千晶/そっか……大変だなぁ。でも与一……絶対、生き残ってね。
GM/「道場に遊びに来るって約束しただろ! したのに、それも叶わないだなんて……!」
千晶/……そうだね、ごめんね……。
GM/「……千晶、そうだ!」与一は服の中らある物を出します。……何かのカケラのようだ。形は悪いけど、とても綺麗な色をしている。
千晶/これ……なに?
GM/「お守りだ! ……いい夢が見られるお守りなんだ。苦しいまま眠るよりも……最後は優しく眠ってほしい」
千晶/ありがとう……あ、そうだ。伝言を……頼んでいいかな?
GM/「何……?」
千晶/弁慶さんになんだけど、あのね……帰ったらね、訊くことがあったんだけど……訊けなくなっちゃったから、ゴメンナサイって言っておいて……。
GM/「なら、今すぐにでも弁慶様をここに連れて来て……!」
千晶/ダメだよ、まだ平家が残っている。……連れて来ちゃダメだからね……でもありがとう……。
GM/あちらの茂みからガサッと誰かが来るような音がする。
千晶/誰か来た! 与一、早く……逃げて!
GM/「あ、あう……はうぅ……じゃ、じゃあ……また! また話しをしよう!」
千晶/また……? うん、またね、バイバイ……。
GM/与一が走りだします……が。
千晶/……うん……?
GM/与一の動きが止まります。……現れたのは、薄い髪色の男性だ。千晶はとある戦場で見たことがあるかもしれないな。確か……経正といった。
千晶/あ、あの人……平家の人だ。与一、逃げて……!
GM/与一は止まって、そのまま動きません。
千晶/……与一……?
GM/平家の男性が、虫の息の千晶に話しかけます。「その言葉……その想い……彼に伝えてから死にたいですか?」
千晶/え……。
GM/「それとも……このまま『生きてるんじゃないか』って希望を持たせて眠りにつく方がいいんじゃないんですか?」
千晶/……このまま、死んだ方がいいです。
GM/「どうして?」
千晶/だって……弁慶さんにはもしかしたら新しい人ができるかもしれないじゃないですか。……幸せになってほしいですもん。
GM/「記憶を上書きされるよ。それでいいのかい……?」
千晶/いいんです……その方がいいんですっ!
GM/「……。そこまで優しい言葉を言える貴方の願い、叶えて差し上げましょう。那須与一、行きなさい!」……その声にハッと与一は目を覚まして、走りだします。
千晶/よ、良かった……ありがとうございます。
GM/平家の男性は近づいてきます。
千晶/うぅ……殺して海にでも捨てて……。
GM/「いいや、ちゃんと持ち帰るからな」……千晶の目の前まで来て、ナイフでトドメを刺します。そのまま死んだ千晶を平家に連れて行くのでしょう……。

    ◆

GM/……それでは義人さん。
義人/はい、義人です。今回も酷いことした自覚はあります!(笑)
GM/経正が、ずるずると千晶の死体を持ってきます。今回はトドメを刺さなくてもいい、バッチリ死んでます。
義人/……千晶の顔を撫でます。痛かっただろうな……。どうにかなるんだよな、清盛?
GM/「もちろん」……そう答える清盛の後ろに、安徳天皇がとても悲しそうな顔をして立っている。死んだ千晶に近寄って、優しく頬を撫でます。「千晶……お前の話、何でもいい。聞かせてくれよ……」
義人/…………。
GM/「義人、儀式は彼に任せよう。我々が居ても邪魔になるだけだ。千晶にはまた会える」
義人/判った。……その場を離れます。
GM/この戦が勝ち、知盛も忠度も経正も生きているのだから安徳天皇的にはホッとしている。それに知り合いだった千晶も蘇るのだから……。
義人/……大勝利ですね。
GM/願いを叶える力によって清盛は、今度こそ不安の種を全て潰すでしょう。一番最初にある女から情けをかけたことがこの戦いの始まりだったのだから。
義人/義朝との戦いのときに頼朝達を生かしたことか。……きっとこれで良かったんだよな。
GM/「これからは争いの無い世界になるだろう。我々平家の思うがままに世界は運ぶ。反抗分子は全て潰していくんだから」……安徳天皇は義人を抱きしめます。
義人/んっ……。
GM/「みんなが生き残っていてくれて、尚且つ、お前が傍に居る。これほど嬉しいことはない。それに争う奴がいなくなれば刃向う誰かに怯えることなく……私が外に出てもいい世界になるかもしれない」
義人/……貴方が自由に出歩ける世の中になったんだな。俺の望んでいた形とは違うかもしれないけど……きっとそれで正しいんだよな。なら、今はそれでいいや。
GM/「よしよし。疲れたのか?
義人/ああ……ちょっとだけ疲れたよ……。
GM/「今は眠れ。目覚めたときには愛する弟達が蘇っているさ。落ち着いた頃にでも、もう一人の弟君の墓も掘り起こしに行ける」
義人/鉄弥に会えるんだな……旭人もそのうち見つかったらいいな。家族は欠けたけど希望はある。千晶はすぐそこにいる。愛しい人は傍にいる。ただ、義経……ごめん。
GM/良かったね……君の周りだけの幸せになれて。

「弁慶様……!」
 弁慶の元に与一は走った。
 源氏軍は大きな痛手を負った。兵士達は命かながら撤退している。その中に弁慶の姿があった。弁慶は辛うじて生き残っていたのだ。
 与一、親友の約束の言葉を彼に伝えた。
「そうですか」
 表情を変えず、普段通りに与一の言葉を受け止める。
「まずは落ちのびましょう。鎌倉に戻り、態勢を整える。それからです」
 まだ源氏は負けていないと言わんばかりに声を奮い、兵士達を先導していた。
 ……だけれども、槍を握りしめた手は震えている。槍をへし折らんばかりに、ぷるぷると。

「……おそらく、彼は蘇るでしょうね。清盛の力によって。その力を……平家は手に入れたのだから」
 先日、二人に怨霊のことを話した。自分はその原理を判っている。きっと大いなる力を手に入れた清盛は、完璧な形で失った天使の都を再現するだろう。
 彼は蘇るかもしれない。清盛の気まぐれな力によって……彼の手足の一つとして。
「怨霊として千晶が現れたら……そのときは」

 ……源氏は去っていく。
 だが、その中で生きているのに一人だけ動かない影があった。

「…………」
 与一は、親友が死んだ場所を見つめる。
 彼が死んだ場所だけでない、見知った戦友、名前も知らぬ者達が倒れる浜を見つめ……そちらに足を動かした。
 源氏が去っていくのとは全く逆方向へ。

 壇ノ浦は海だというのに赤い。
 死体だらけの浜。水面には人が浮かんでいる。皆沈んでいく赤い海。
 ふう、と与一は息をついた。

「やっぱりお前は悲しんでしまったな」

 口を開いたときには、与一は持っていた小刀を首に刺していた。
 ザクッ。一度。
 ザクザク。二度。
 事切れる瞬間……目の色が変わる。……与一のものに。

「また……会える……から……」

 与一は首から広がる痛みを感じながらも、彼だけの目を閉じた。

「また……会える……声を、掛けてくれる……きっと……いつか……義人、く……」

 ――赤い世界が、真っ白く染まった。


千晶/ブラック与一のバカヤロー! 与一の命まで奪いやがってー!
GM/あー、このセッションは終わり……の前に。千晶、オープニングシーンいこうか。
千晶/……え?
義人/あ……鱗をゲットしたから、初めてロリに会えるな!
GM/そう。おめでとう初ロリです。……千晶は目を覚まします。そこは鎌倉……いつも寝起きする四畳半の部屋だ。
千晶/な、なんだろう……夢見が悪かったような。
GM/ハッキリ覚えている夢だったなぁ……夢……ゆめぇ? 襲われる夢もあるし、逃げ延びる夢もある。夢の中身が、一気に頭に襲いかかる。
千晶/……なんだこれ……? なんか与一から何か貰った物が……って、ある!? なに、夢の中から物を出したって初めてだよぉ!?(笑)
GM/本棚に6歳児ぐらいの女の子が座っている。
千晶/ええっ!? ま、まだ夢なんだな……おやすみなさいっ!(笑)
GM/「起きなくていいの?」
千晶/……ガバァッ! まだ居るー!?(笑) あ、あの……貴方は?
GM/「初めましてね、江神千晶。私は超越的存在、人間ではないモノよ。……普通のロリが貴方の部屋に居たらどうなると思う?」
千晶/僕が捕まりますね、誘拐の疑いがかかります!(笑)
GM/「ともかく。貴方はこれからとある世界に飛ばされる……それはOK?」
千晶/は、はい……。
GM/「これから貴方は確実にあの世界に飛ぶ。とある強い意志によってね。貴方は戦に巻き込まれ破天荒な運命を辿る……おそらく4人の中で一番破天荒なんじゃない?」
千晶/とある強い意志……それが誰かは……?
GM/「禁則事項です」
千晶/……自分で探れってことですか。
GM/「ええ。好き勝手動いてみなさいな。記憶を持っていると持っていないでは、これから過ごす運命が大きく変わるわよ」
千晶/と、とりあえず……兄弟が離ればなれになるのはイヤなのと、みんなで幸せになりたいなぁ……。
GM/「良かったわね。今日は、12月23日よ」
千晶/23日……いつもの1日前ですね。
GM/「ええ。これが私が『世界に消されない程度』に動ける最大限の力。私からの手助けよ。好意的に受け取って自由に動きなさい。……きっと何か判ることが今の世界でもあるから」
千晶/はい……ありがとうございますっ。
GM/「まずは貴方が幸せになってね。貴方が幸せになりたい人とクリアーできなきゃ意味が無いから」
千晶/頷きます。僕、頑張りますよ……!
GM/……という訳で、次回『現代編』がスタートします! 義人と千晶は完全記憶を所持し、旭人はデジャブありの状態でのスタートです。
旭人/てっちん、何も無じゃないかい……!
GM/それが主人公らしくていいんじゃないか。流石PC1だね。
義人/……おばあ様って、意識はありましたっけ?
GM/危うい状態だけどあるよ。……きっとおばあ様、森○子並に綺麗で生存判定してるから(笑)
千晶/5000Dも貰っているんですから自分の容姿ぐらいいじってますよね。
旭人/皺が増えないようにする判定に3D!(笑) シミがも出来ない! 血圧上がらない! お腹に肉つかない! ちょっと食べすぎたけど酵素が頑張ったことにする!(笑)
義人/おばあ様、強いなぁ!(笑) 残り27Dぐらいなんじゃないかな? ……おばあ様が異端として排除されそうな勢いだよ(笑)
千晶/なんで異端なんですかっ!?(笑)
GM/あまりに世界を乱すもの……ゲームバランスを崩すものは『世界の抑止力』っていう力で排除されちゃうんだよ。例えば、「このシナリオはレベル1のパーティーでやります」ってGMが言ってるのに「私はレベル100のPCを使います」って言ったら「GM権限で阻止します」みたいなカンジ。
旭人/セカイたんがダメーするんですよね。「お前はそこにいちゃいけない!」って(笑)
千晶/へー……多分、ささやかに1Dずつしか使ってないから大丈夫なんですね。
義人/「あ、遅刻しそう! 〔武勇〕に少し使って(ころころ)……ふぅ、電車間に合った!」とかか。商談とかに大盤振る舞いするぐらいか。……賢いばあさんだなぁ。
GM/では次回セッション『現代編』……もしかしたら最終回、お楽しみに!



to be continue...