迷宮キングダム・リプレイ・夢魔炎上
■ 第4話『 無明の睡りに疲れ迷い誰そ彼る 』 3ページ目 ■
6回目 2009年8月21日




●<4クォーター目> & 自由時間選択B

 義人→通路に才覚で判定失敗。
 その後、魅力休憩表で「7」が出る。千晶と目が遭い、千晶から義人に対する≪好意≫が1点上昇した。
 千晶→部屋を探索に成功。トラップ「扇動家」を発見し、全員判定に成功して回避した。
 その後、通路の探索にも成功。何も無いようだった。
 旭人→武勇休憩表で「3」が出る。もっと戦いたいと思い続け、≪気力≫を1点回復。
 鉄弥→魅力休憩表で「4」が出る。≪好意≫を持っている分だけ気力とHPが回復した。

GM/全員キャンプが終わり、これから三草山の合戦になりますが……旭人の強制シーンいきます。では、忠度と経正が戦死します。
千晶/あ……そっか。今回は平家のフラグが立ってないから。……千里に似てる人が死んでしまった。
GM/戦いが終え、旭人は義経の陣の……敦盛が生きているのを発見します。
旭人/ダッと走って行きます。敦盛……はあ、良かった。
GM/「……本当にそう思っているか?」
旭人/恋人が死んだら悲しいだろ。お前が居なくなるのが嫌でこの世界に平和が訪れるのを断ったのは、俺だぞ。
GM/……クスクス笑います。「そこまで言ってくれるのは、お前だからかな? それとも、オレだからかな?」
旭人/……両方じゃね? お前がお前じゃなくても、俺が俺でなくても、こうはならなかっただろ。違う結果だったかもしれないな。
GM/そこに、【転移】を遣ったかのように旭人の目の前に何者かが現れる!
旭人/だ、誰だっ!? 武器に手を掛けます!
GM/現れたのは……楽師のような格好をした男性だ。敵意は無く、旭人に武器を向けることはない。
旭人/その人の顔と……今まで戦っていた顔を思い出します。今さっきの敵……?
GM/男は敦盛を見て、優しい声で言う。「……お前が無事で良かったよ」
旭人/……自分と同じ言葉を言った男の顔をずっと見てます。
GM/「私は先に逝かせてもらうが、頑張っておくれ」……そのまま消えていきます。
旭人/…………。すまない……。
GM/「……何故謝る」
旭人/何かしらの関係があった人間だったんだろ? それを手にかけたのは自分だ……お前の大切なら、奪ったのは俺だから。
GM/「そんなこと言わなくていい。お前は、今の道を歩むべくしてあの人と戦ったのだから非難するつもりはないさ。……源氏と平家は戦う。それだけは変えられないイベントだからな」
旭人/でも、それでも! ……俺があの人を殺さない未来があったかもしれない! お前がもっと幸せに笑う未来があったかもしれないだろ!?
GM/「……そんなこと考えていたらキリがないよ。考えすぎてお前が潰れてしまう。それは、私も考えたくはない」
旭人/俺が死んで変わる世界だったらその方がいい。……お前が笑ってられるならさ。

    ◆

GM/次に千晶に強制イベントが発動します。……源頼朝、北条政子とともに源氏の総会議があります。貢献してくれたお前達に【エレベーター】を使わせてやろうという話が上がり、義経から聞かせてもらえました。「【エレベーター】の使用許可が下りて良かったな!」
千晶/これで帰れる……! 義経も一緒に行くんだよ!
GM/「そう……だな! そのためにはまず今現在やらなきゃならないことを終わらせないとな!」
千晶/はい、僕もお手伝いしますから!
GM/……ではそこに、頼朝が現れます。政子も、後ろからちょちょいと千晶のところに来ます。
千晶/あ……頼朝さん達も、お気を付けて……。
GM/政子が言います。「江神千晶でしたか。貴方の槍の評判は私達の耳にも入ってますよ。その腕、我々の元で使うのも良いかもしれませんねぇ」
千晶/……引き抜かれる!? で、でも、僕は兄達もこっちの戦いに出るので家族を最後まで守りたいです……。
GM/「こっちに来ればとっても可愛がって差し上げるのに」
千晶/アレ的な意味で……うひゃあ(笑)
GM/「ああ、実はわたくしの名前は獅子乃(ししの)と申しますの。そして、頼朝の名前は武丸(たけまる)と申します」……千晶にコッソリ教えますね。
千晶/それは……本当のお名前の?
GM/あら貴方、知ってしまいましたわね。とても親密な仲にならなくてはいけないと思いますわ
千晶/……はっ!? ま、ままま、まさか!
GM/「本当の名前を知ってしまうほど、わたくし達と貴方は深い関係になってしまいましたわ。どうしましょう……?」
千晶/そんな、ヒドイ! 奪われるー!

 ※ 【 千晶:源氏フラグ(2)を入手 】
 → フラグ全2種類回収により、特別に4点を獲得。源氏と「忠義」関係となる(?)


GM/それを聞いていた義経がバッと出てきますね。「義姉上! 作戦は先程の通り、彼らは我々の陣に加わった状態の指揮があります! 千晶がいなくなることは平家の戦いにおいて大変なペナルティになります!」……と、凄い勢いで説得し始める。
千晶/わ、義経さん……。
GM/義経が猛烈に「あっちいってよ!」的なことを言って、政子は去って行きます。(政子になって)「また会いましょう……江神千晶」
千晶/へ、蛇に睨まれた蛙……きゃー(笑) よ、義経さんありがとうギューッ!
GM/「し、心臓止まるかと思った……」
千晶/で、でも……名前知っちゃったよぅ。
GM/忘れればいいんだ!
千晶/そっか!(笑) ……僕は、九郎の名前だけ覚えてるからね。
GM/「うっ……!」照れてギューって抱きしめます。「……戦いが終わったら兄上に説得してここから去ります宣言する。だからそこでの協調行動はよろしくな!」
千晶/だ、大丈夫! 絶対僕、助けるからね!
GM/「こちらがファンブラない限り大丈夫だー! それと、この戦いが終わったらもっと親密になろーな! ちゃんと五体満足で帰って来るんだぞ!?」
千晶/うん、そっちもだからね。
GM/「もちろん! 弁慶がなんとかしてくれるさ!
千晶/おっとぉ!? 人頼みはダメー!(笑)

    ◆

GM/旭人と千晶は強制イベント起こしてしまったけど……他の人はどうする?
義人/……みんなに相談したい。『弁慶のところに行って確実な情報を手に入れる』のと、『与一にのところ行って鱗を持ってループする』……どっちが正しいと思う?
鉄弥/うーん、どっちだろう……どっちも重要だと思いますが。
義人/こういうときに恋のマルチタスクが使えたら! 弁慶にいけばここでかなりの情報が解放される。キャラクターは知らないけどプレイヤーは推理していけると思うんだ。
旭人/でも鱗を持ち帰っておばあ様の記憶があれば……『現代編』が発生する。それはそれでお得だ。
千晶/鱗を回収しない場合、与一はまたループするんですね。……今回のことも覚えたままループ……可哀想!
旭人/(いきなり与一になって)「今回のあの方は一体どの人にいってしまうんだろうか……」
GM/カイルさんて可哀想ですね(一同爆笑)
義人/……あの……ホントに悩むんだけど。
鉄弥/義人さんがホントに好きな方に行けばいいんだと思いますよ。
旭人/己の萌えでいいよ。プレイヤーとかはなんとかするから。……あと、義人……どっちが好き?
義人/……与一……。ごめん、与一から鱗を回収してくる! 「もう忘れていいんだよ」って言ってくるよ! 与一が可哀想で見てらんない!
GM/……お前のせいだ。
義人/ホントそうですよね!(一同笑)

 < 自由時間選択/義人→「与一」を選択>

GM/ではでは会議を終えて……あっちで千晶が幸せそうな姿を見た義人さん。
義人/幸せそうだな、俺の弟よ……やっぱり弟は兄貴似の男に惹かれるもんだな! 実家に帰ったら父さんを殴って千晶を大学に入れるんだ!
GM/与一は義経の陣で戦うことになってます。……じゃあ、弓の撃っていることにしよう。あちらでは修行、こちらでは訓練。そして、一人……与一が矢を撃っている。
義人/お茶を持って行きます。……一番最初に鱗を渡したときみたいに。
GM/矢は、やや真ん中を外しているようですね。
義人/集中してないのか……じっと見てます。
GM/義人に気が付いて、頭を下げます。
義人/座ったらどうだ?  茶をすすめる。
GM/「……私が淹れて参ります」
義人/座れ。これから大一番の奴を気遣ってお茶を淹れてやったんだから、気持ちだ。受け取ってくれ。
GM/「……有り難く頂戴致します」
義人/その様子を眺めます。……早く飲まないと冷めるだけだぞ。
GM/「…………。これから……古川様は戦いが終わった後、どうなされるおつもりですか」
義人/何事もなく我々が勝って三種の神器を納めることができたならば、俺達の元居た国に帰るつもりだ。
GM/「……そうですか。……これからも源氏を支えていくのではと思っていました」
義人/俺は元々義経には恩があるが、頼朝には無い。寧ろ頼朝は俺の弟を誑かそうとしたから超ナイわ。
GM/「……千晶は愛されていて、うらやましいです」
義人/なんだ、俺の弟を呼び捨てにしたな? 友達か?
GM/「そう……ですね。友達、なんでしょうか。ずっと……ずっと、楽しく争わせて頂いております」
義人/ずっと? ……そうだ、義経も俺達の国に来るみたいなんだ。お前は頼朝に拾われた身だと言っていたが、良かったらお前もこっちに来ないか?
GM/「……どういう、おつもりですか?」
義人/うーん……。単に、こっちを見て泣きそうな顔をしている男を放っておけない。
GM/「……何度も貴方に情けない姿を見せていたんですね……すみません」。何度も謝ります。
義人/謝るな。別に俺は謝られる理由なんてないし、寧ろ……情けない姿を俺に見せる理由が判らない。判らないから困惑して、わざわざ茶まで持ってきたんだ。
GM/……黙ります。
義人/何か悲しいことや悩んでいることがあるなら言ってみろ。何度も言ったが、お前はこれから……。
GM/「……そうやって……声を掛けてもらうのは久しぶりな気がします」
義人/……三草山以来、か?
GM/「そう……ですね……ああ、本当に……貴方と話をするのは……何百年ぶりだろう」。涙を流します。
義人/……なんだって? 何百年ぶり……? なんで泣いてるんだっ? 涙を拭きますよ。どうしたんだ?
GM/「……まさか古川様に、そのようなことを言ってもらえるなんて、嬉しすぎて涙が止まりません」。ボロボロと泣きます。
義人/……なんだお前、俺に惚れているのか? 笑いながら言います。
GM/「……ずっとお慕いしておりました。本当に……ずっとずっと、お慕いしておりました。気持ち悪いですね、俺……!」
義人/それにはちょっと心を動かされる。……よく判らないけれど、いつからだか知らないけど、そんなに慕ってくれていたんなら、俺は嬉しいし、愛おしいと思うぞ?
GM/「ああ……本当に、貴方の声が……とても愛おしいです。許してはくれませんかね、少しだけ……我儘を言っても」
義人/なんだ? 聞けることならやるぞ。俺の声が聞きたいのならずっとついて来ればいい。
GM/抱きしめます。
義人/わぁっ! ポンポンと抱き返して……。どうした?
GM/「……貴方のことが好きです。……貴方にとっては急なことかもしれないけれど、俺はずっと……好きだったんです」
義人/『だった』? 今はどうなんだ?
GM/「抱きしめているので判ってくれませんか」……ずっと貴方を抱きしめています。
義人/察しの文化だな……判った。けど、どうしてそんな……今生の別れか、何百年ぶりに会ったかのような顔をするんだ? 何度も言ったが、お前はこれから素晴らしい活躍をするんだぞ。
GM/……一旦腕を離して、向き直ります。「……この戦いが終わったら、また声を掛けてくださいませ。貴方が言った伝説が体現できるよう、精一杯腕を磨いておきます」
義人/期待をしているぞ。戦いが終わったらまた会おう。そこで立ち去ります。

 ※ 【 義人:与一フラグ(2)を入手 】
 → フラグ全2種類回収により、特別に≪愛情≫4点を獲得。与一と「恋人」関係となる。


GM/……ではここで、マスターシーン入ります。

 ろりん。
 ロリが、木の上からぷらんぷらんと足を投げ出していた。
 義人が去って行き、一人……弓に向かう与一に声を掛ける。

「久しぶりねぇ。あんな優しい言葉を掛けてもらえるなんて」
「…………」
「一体何回目かしら? いや、何百回目の正直だったかしら?」
「…………」
「変に貴方が暗い顔をしたからあの人は近寄らなくなったのよ。そう簡単に貴方の元に来る訳ないじゃない。まさか、1回だけであの人が、貴方如きになびいてくれる訳ないじゃない」
「…………」

「あの人たちにとっては1回……3回か4回目の世界かもしれないけど……貴方が何百年もこの世界を繰り返してること知ったら……どう想うでしょうねえ?」


千晶/与一ーっ! 酷いことって、もっと酷いことしてたかもしれないんだねー!(笑)
義人/ちょ……義人さんは与一に酷いことしたよね! 一分の隙も無く酷いことしたよね! 認めます!(笑)


●<5クォーター目>

義人/家族会議するぞー! 集合ー! 勾玉と鏡、欲しい人はいるかー?
千晶/はーい! だってこれ、持っていれば帰れるんでしょ?
旭人/でも俺が持ってれば安全よ。一番俺が死ににくいし。
千晶/旭人さんは前線にいるんだから危ないですよぉ。
旭人/お前だって人のこと言えないだろぉ!(笑)
鉄弥/じゃあ、中間が取って……俺がシャキーンって持ちます。
千晶/シャキーンで固定されてるよ(笑) ……後ろでちゃんとコレ、守っていられる?
鉄弥/はい、守ります。勾玉と鏡、預かりましたー!
旭人/じゃあ、戦いの前に敦盛のところに行きます。(敦盛に向かって)……三種の神器は二つ、身内の手元にはある。
GM/「……そうか、鉄弥の手か」
旭人/ああ、鉄弥自身は戦闘能力は無いからいざとなれば奪うことも可能だろう? それと、草薙剣はどうやら安徳天皇の元にあるらしい。
GM/「……奪いに行くしかないな。それを私は待ち伏せしていよう」
旭人/すまない、それはお前に任せた。勾玉と鏡は……どうにか俺の手でやってみる。
GM/敦盛は旭人にすり寄るよ。ごろごろと旭人に懐いてきます。
旭人/抱き寄せてキスをします。……もうすぐ、お前の願いは叶うんだな。
GM/「そのときはお前の願いも叶えてやるよ。私の出来る範囲のな」
旭人/……その願いの対象が自分から消えていこうとするんだ。俺の願いは一生叶わないさ。
GM/「なら、新しい願いでも考えておけ」
旭人/そうだな……この戦いが始まる前までには。

 そうして、海での戦いが始まる。
 源氏と平家は向かい合った。
 与一が扇の前に立つ。結果は4人は教科書で見た通り、神業と言えるものだった。


GM/鉄弥は戦場で見たことある人に出会うね……歌舞いている人が前衛に立つ。
鉄弥/……あっ! うわ、とても戦いたくない……!

 しかし決められたことのように、最期の戦闘開始される。
 前衛にモブ2体、知盛。本陣に清盛。
 イニシアチブは源氏側の勝利。義人は【怪物学】を知盛へするが、失敗。
 鉄弥が【灯り星】を使用……するが、こちらも失敗。
 千晶はモブAを攻撃したところ、クリティカル。痛打表を振った結果、攻撃目標のHPを1D6にするという結果になり、HPが残り4になった。
 旭人は【突撃】で2マス進み、【乱舞】を使ってモブAを命中させ、撃墜させる。
 平家の攻撃になると、モブBは千晶に9点ダメージ。知盛は手始めに旭人に13点ダメージを与え、スキル【連射】を使用し、更に15点のダメージを与える。鉄弥は早くも≪希望≫+【勅命】の【祈り】で割込回復した。


GM/清盛はチャージします。
義人/また1ターンごとの攻撃か……。

 2ターン目もイニシアチブは源氏の勝利。
 義人は今度こそ知盛に【怪物学】を成功させ、旭人が知盛に攻撃、18点のダメージ&【貪る者】による回復を行った。
 続いて鉄弥も【灯り星】で成功、全部のマスの回避値を1点上昇させた。しかし次の千晶の攻撃は当たらず。
 ザコBは【アンチマジックレイ】という星術、召喚、科学のスキルを使えなくさせる技を鉄弥に使おうとするが、千晶が【足止め】を成功させ、使用不可に。仕方なく射程圏内の旭人に【アンチマジックレイ】を使おうとするが、義人が【分析】を成功させ、行動不能にさせた。
 知盛は旭人にダメージを与え、素早く鉄弥が割込回復を行う。そしてチャージしていた清盛が【稲妻の矢】という全エリアに2D6のダメージの攻撃を行った。義人、千晶、旭人、ザコBに8のダメージ。義人は【親衛隊】の効果でダメージ半減させ、鉄弥の割込回復で生き残る。旭人は死にかけの千晶を庇って難を逃れた。


 3ターン目のイニシアチブ判定は、平家の勝利。
 またもや千晶の【足止め】で進めないモブBは旭人に【アンチマジックレイ】。旭人に命中し、スキルの一部が使用不可&無効になった。
 続いて知盛は旭人に17点ダメージ。これも鉄弥は割込で14点回復。
 清盛チャージしている間に源氏のターンになり、鉄弥は【星戦】を使用し成功。全員1点だけ命中値が上がった。
 義人は敵前衛をトラップ探索し、何も無いことが判明。旭人は安心して1マス突進し、知盛を攻撃する。一方千晶はモブBに対して攻撃するが、命中できなかった。

 4ターン目は先手を取るために義人が≪希望≫を使い、源氏側の勝利となる。
 鉄弥は義人に【祈り】を使い全回復。旭人は知盛を攻撃し、ダメージは18点。そのまま旭人が全回復する。
 義人はモブBに【怪物学】を成功させ、千晶が≪民の声≫+【勅命】を使ってモブBを攻撃。ダメージは8点。モブBは撃墜された。


GM/……うーん、どうしよっかなー……旭人は【貪る者】で一撃でやらないと倒れないし、千晶には命中しないと当たらないし……後々これはGMが戦略を考えないとなぁ。
千晶/GM、千晶はトモリンの一回でも攻撃を当たれば死にますよ。
旭人/GM、旭人はトモリンの二回攻撃が当たれば死にますよ。
義人/なんでみんなGMに対して優しいんだよ!?(笑)
GM/……じゃあ千晶に向かって攻撃します……どうせ旭人が庇うんだろうけどね。(ころころ)20ピッタシのダメージ。

 もちろんそのダメージを鉄弥が割込回復した。
 チャージしていた清盛は【稲妻の矢】。鉄弥、知盛、千晶に対して9のダメージ。本陣に居る鉄弥は【親衛隊】によって守られ、千晶がマイナス1で倒れるところを旭人が庇う。

 5ターン目のイニシアチブ判定も、義人は≪希望≫を使って源氏側勝利とする。
 旭人は1マス進んで知盛に命中させようとするが、あと1点のところで回避されてしまう。
 千晶も知盛に攻撃し、≪民の声≫と【勅命】を使用してなんとか8点のダメージ。鉄弥は【信仰】で全員が14点回復させた。
 義人は清盛に【怪物学】を成功。平家のターンになるが……。


GM/清盛は1歩前に進みます。……ここでトラップ「竜巻」発動。(ころころ)清盛が、いきなりプレイヤー側前衛に現れます。
旭人/わ、テレポートした!?
GM/(ころころ)鉄弥を狙って16のダメージ。知盛は1マス後ろに下がって、(ころころ)……トラップで、源氏本陣に飛ぶ。
鉄弥/いきなり本陣に現れた!?
義人/歌舞伎者が現れた!(笑)
GM/という訳で、命中対象は鉄弥。(ころころ)ダメージは16点。

 咄嗟の攻撃を冷静に旭人が庇った。
 しかし、知盛は最後の≪希望≫を使って鉄弥に二回攻撃。どちらの攻撃も旭人が庇い、鉄弥が割込回復するという手段で……なんとか旭人は生き延びた。
 6ターン目のイニシアチブ判定は……ギリギリ源氏側が勝利。
 旭人は2マス進んで清盛に攻撃。その攻撃に≪希望≫と【勅命】、尚且つ義人は旭人に協調行動を含めて見事命中。
 そうして出した大量のサイコロによる大ダメージは……31点。


千晶/今こそ【特攻】を使うべき! HPは最大値だし、清盛に対して行きます!
義人/義経と恋人関係の兵士が清盛に特攻とかカッコイイだろ。≪民の声≫を使え、【勅命】で血も吐く!
千晶/4D6で命中させます!(ころころ)……19で命中させて【特攻】!(ころころ)HPを6マイナスさせて……6+8のダメージを清盛に当てます!
旭人/これでどうだ!?
GM/(計算し)……オーバー、マイナス5。
鉄弥/……やった!
義人/あ……ピッタリ【特攻】分で倒せたな!? これは愛の力と言える!(笑)

 千晶のダメージに6点をマイナスすれば、ちょうど清盛はHPが1残る計算になってしまう。
 ≪民の声≫も≪希望も≫尽きかけていた状態に、千晶が飛び込むことによって勝利することができた。
 ……清盛が消滅すると同時に。
 知盛は舟の碇を抱き上げ錘にし、そのまま海に飛び込んだ。


GM/飛び込む前に知盛は鉄弥を見よう。「……じゃあな。精々生き残れよ!」
鉄弥/……なんでそんなことを……!?
義人/本陣に居るから目の前で言ったんだよな……知らない人と言えど、死んでいくのは気分が良くないな。
鉄弥/あ、ああ……知っている人だから辛い。

 清盛を討たれ、知盛もこの世を去った。
 戦が終わる中……鉄弥が平家の舟を見た。
 ――何故、彼があんなところに居るんだろう? 思わずにはいられなかった。


GM/その舟には、平家の赤い旗が。
鉄弥/こ、言大さん……! 声を掛けながら彼の所に行きます。
GM/もうニイの尼が『何か』を話した後なんでしょう。彼女の手には黄色く輝く剣があります。「鉄弥か……ああ、最期に鉄弥に会えるだなんて。私もつくづく幸せ者だ」
鉄弥/最期……? ま、待ってください、行かないでください!
GM/ニイの尼は決心をついている。そして彼は、決心をつけようとした瞬間だったのでしょうか。……鉄弥の方を見ます。
鉄弥/全力で止めます! すぐ傍まで行きます! ……舟に上がって、ガッと腕を掴みます。絶対に離しませんから!
GM/「こちらは滅亡するんだ、お前を良い立場してやることもできないよ」
鉄弥/そんなものいりません! ……まだ俺達の時代があります! 俺達と一緒に俺達の居た世界に帰れれば……きっと!
GM/「……きっと?」
鉄弥/きっと……こんな悲しい結末にならなくて済むと思うんです!
GM/「……私は、そちらの世界に行っていい存在なのか?」
鉄弥/俺達の世界では身分なんて関係なくて、みんなが平等に暮らしてます。きっと貴方だってその中に溶け込むことが出来る筈です!
GM/その言葉を聞いて……。感情値は4ありますね?
鉄弥/あります!
GM/システム的な確認をしつつ。……彼は目を閉じて、その後、ニイの尼の方を振り向く。するとニイの尼は「貴方様がそう願うのであれば」と剣を渡します……。(旭人の方を向いて)好きなタイミングでどうぞ!
旭人/はいっ!(笑) ……鉄弥の後ろにまわって、首元に刀を向ける!
鉄弥/なっ……!?
旭人/すまないな、鉄弥。(言大の方を向いて)……貴方が安徳天皇とお見受けする! その剣を渡してもらおうか!
GM/「なんだとっ……」安徳天皇は首を振る。
旭人/……鉄弥を斬るぞ?
GM/それを聞いて、非常に迷います。でも渡してはならないと拒否の意思を表します。
旭人/では……鉄弥の首元に赤い血が滴らせる。
GM/激しく動揺します。「君は……鉄弥の、兄君か?」
旭人/ああ。
GM/「……兄君なのに、どうしてそんな……」
旭人/……アイツの言う願いとやらが見てみたいからだ。それを叶えれば、笑ってくれるかもしれない。別に渡してくれれば鉄弥を悪いようにはしないさ。
GM/……鉄弥、どうする? 安徳天皇の決断は、感情値4ある鉄弥に委ねられるよ。
鉄弥/あ、安徳天皇……渡さないでください……。
旭人/なら、……敦盛っ!
GM/敦盛が海の中から、まるで化け物のように現れる!「鉄弥……私は『三種の神器を集めろ』と最初に言ったぞ?」
鉄弥/お、俺は、渡しません……!
旭人/……このように強情でな。多少キズものにしてしまった。かの方も随分と頑固らしい。鉄弥がこんな状態になっているのに剣一本も渡せないとは。
GM/(敦盛になって)「安徳天皇。私は貴方を今ここで傷つける趣味は無い」……ここで感情値4同士のNPCの対決を、旭人と鉄弥の最も高い能力値で対抗判定してください!
旭人/〔武勇〕で≪希望≫を使って判定します! 敦盛がこれからどうするか見たいんだ!(ころころ)15です!
鉄弥/み、〔魅力〕で!(ころころ)……14!
GM/1点差か! ……14で安徳天皇が抵抗し、15で敦盛が奪います。奪い取った敦盛が……ニッコリ笑います。
旭人/笑顔だ……。これでお前の願いは叶うんだろ? 鉄弥から鏡と勾玉を奪って敦盛に渡します。……ちょっと寂しそうに笑いながら。
GM/「旭人、手を取ってくれ」
旭人/……ああ。
GM/旭人が敦盛の手を取ると、……そのまま二人は消えます!
旭人/……すまないな、鉄弥。そう言って消えます。
鉄弥/わ、わあ……奪われてしまった……! 
GM/旭人達が居なくなったので、言大さんが傷つけられた鉄弥の元に駆け寄ります。「鉄弥、平気か!?」
鉄弥/は、はい……そこまで大した傷ではないので。まさか……旭人さんにあんなことされるなんて思わなかった……。
GM/「アイツらは……あの力を使って、己の欲望に走るだろう。……それに……我々もここでお別れだ」
鉄弥/……えっ?
GM/「三種の神器が無い今、違う世界に行けなくなった私は……もう何処にも行けない」
鉄弥/……そんなコトが、通じますか! どんなコトをしても生きることを考えましょうよ! そんなすぐに諦めちゃダメです!
GM/……言大さんは周囲を見ます。そこには、ニイの尼が逃げて行く人々を見てますね。
鉄弥/な、何か……?
GM/(ニイの尼になって)「あんな誇りの無い連中、平家などではありません」……そう言い残して、彼女は海に飛び込みます。
鉄弥/あっ! ……やっぱりあの人、死ななきゃいけないのか……。
GM/(言大になって)「……ああ、そうか。あんな奴らは平家ではない、か」……鉄弥の方を向きます。
鉄弥/うん……?
GM/「鉄弥。……お前を連れて、逃げてもいいか?」
鉄弥/……もちろん。
GM/「もう別の階に行けないのならば……この世界の中で逃げよう!」
鉄弥/……はい、どこにでも行きましょう!

    ◆

千晶/平家は倒したけど神器は無くなっちゃいましたね……。
義人/でも清盛を討ちとったから戦い自体は勝ちだ。頼朝はご立腹だろうけどな。
GM/平家を倒すことは評価されるけど、プラスアルファが無いんですね。「お前ら、平家を倒すのは当然のこととして、それ以上のことはないのかよ?」って言われるけど、それでも良くやったと言われるよ。平家側の武将も消え、シンボルだった安徳天皇は行方不明……おそらく海に落ちたのだろうし。
千晶/う、うーん……そっかぁ。安徳天皇……。
GM/義経が千晶のもとに来ます。「千晶、怪我無いよな? なんでもお前、突っ込んだらしいじゃないか!」
千晶/あ、【特攻】的な意味で?(笑)
GM/「ビックリさせんなよ! ……それに、旭人と鉄弥が居なくなったとも聞いた」
千晶/うん……居なくなっちゃった。旭人さんはあっつんとどっかに消えちゃったし、鉄弥は……。
GM/「……俺、とっても失礼な奴かもしれない」
千晶/……うん?
GM/「お前が生きていたから、良かったと思えてるよ。神器も奪われてしまったし、鉄弥も旭人ももう会えない。他はみんなダメなのに……お前が帰って来たから良かったと思える自分が居る」
千晶/……僕も、義経が生きてて……嬉しい。
GM/九郎って呼んでくれなきゃイヤぷー!
千晶/ああっ、九郎が生きていて嬉しいよっ!(笑) ……でもやっぱり家族だったからなぁ、ションボリ。
GM/……そのままギュッとする。
千晶/ぎゅ……な、泣いてもいいですか?
GM/「泣け」
千晶/……う、うわあああん。
GM/千晶を抱きしめながらも言います。「……兄上の為になれればいと思っていたけど、俺は……お前と一緒に居られたらいいってことがこの戦いで判ったよ」
千晶/……それ、プロポーズだよね。
GM/「ああ。兄上の為になりたいと思うのは変わらないけど、それ以上のものが見つかったんだ」
千晶/……ずっと一緒に居ようね。
GM/「これからどうなるかは判らないけど、ずっと一緒に居られたらいい」
千晶/いい、じゃないよ。居るんだよ!
GM/「ああ。……あと、このまま一緒に居るとお前の身が危ないから、俺が幼いときにお世話になった人のところにも行かないか?」
千晶/ち、ちょっと見てみたいかも。……隠居する?
GM/「そうしよっか。そうすれば24時間一緒にいられるしな」
千晶/じゃあ行く! 一緒に行く! 隠居すれば大丈夫だよ……判らないけどずっと付いて行くよ!

    ◆

GM/……次は鉄弥のエンディングです。あの戦いからずっと離れた場所で……ある村に辿り着きます。そこの村人は優しく、なんとか数人の平家の落ち武者達と落ち着くことができました。
鉄弥/じゃあ……畑を耕して自給自足生活を始めるぞ! [星術師]だから体力は無いけど!
GM/そこで炊き出しのお姉さんが実は平家だったとことが判明したり。そのお姉さんが村の男性と結婚なさったり。……何人かとこの村で、普通の生活を暮らしていますね。
鉄弥/あんな戦いがあった後に言うのも変だけど……これで良かったかもしれない。だってみんな幸せそうだし。
GM/では畑仕事をしていると……あちらの方で「言大さん!」「言大センセーイ!」と、子供達を連れている彼が居ます。
鉄弥/……先生だ!? 教養あるもんなぁ……それに懐かれるだろうなぁ!(笑) 言大さーんって手を振ります。
GM/「鉄弥。お前は違う名前で呼んでほしいって言っただろう?」
鉄弥/あ……。え、えっと……そうでしたね。……時仁さん?
GM/「ああ、なんだ?」とにっこり笑う時仁さん。……彼は谷の子供達を教育しているようですね。センセイと親しまれて。
鉄弥/それなら……俺もたまに音楽も教えに行きます。
旭人/いきなり村のおばあさんになって)「あんな戦が無かったら、アンタも名のある楽師になれたかもしれないのにねぇ……」(一同笑)
千晶/(村のおばあさんになって)「アンタ、体力ないねぇ。ホラ、腰が入ってないよぉ!」
旭人/(村のおじいさんになって)「どんなトコで育ってきたんだい、そんな何も出来ない体でぇ!」
義人/(村のおばあさんになって)「≪希望≫を使いな、≪希望≫!」(笑)
GM/お前らジジババ飼いすぎだ。……そんな風に言われたりもしたけれど、時仁さんはずっと幸せな笑顔を向けてくれます。「鉄弥。畑仕事は慣れたか?」
鉄弥/なんとか出来てますよ。元々こんなことしたことなかったですけど。
GM/「私も中に居るだけじゃなく、外に出て何かした方がいいな」
鉄弥/んー……でも貴方は貴方でやることがあるでしょう?
GM/「言い方を変えよう。……私も外に出ていいか?」
鉄弥/あうっ。……そうですね、それでしたら一緒に散歩でもしましょうか。
GM/「じゃあ、30分ぐらい授業は休憩ということでな」……良いスチルだなぁ!(笑)
旭人/衣服は農民みたいで髪もボサボサだけど、凄い素朴な笑みを浮かべるアントン! 幸せそうな鉄弥!(笑)
義人/窓から差しこむ光! なんという良いスチル! ……しかしその幸せは長くは続かないのだった!(笑)

    ◆

GM/そこはどこかは判らない場所。人もいない海だ。旭人はそこがどこなのか検討もつかないし、見たこともない。
旭人/……敦盛?
GM/(敦盛になって)「見せてくれないか、三種の神器を」
旭人/鏡と勾玉、草薙剣……これで全てだろう?
GM/「ああ、これが……全てだ」。ニッコリ笑います。
旭人/……やっと笑ったな。
GM/「ありがとう。本当に……嬉しく思う。お前が私の手足になってくれて助かった」
旭人/……俺はお前の手足にしかなれなかったよ。
GM/「それだけでも本当に嬉しく思っているんだぞ。愛おしくさえ思えるさ」
旭人/ついでのような感情だろうがな。……まあ、それでもいい。お前はお前のしたいようにすればいいよ。
GM/「ところで、お前は何を願う? 私の叶えられる範囲であれば叶えてやってもいいぞ。もちろん【エレベーター】も使わせてやろう」
旭人/では。……家族達を集めてくれ。出来れば家族が大切に思っている人も一緒に。
GM/「……集めて、どうする気だ?」
旭人/【エレベーター】で送り返す。……俺は、お前と最後までいるけどな。俺がこんなことをしなければアイツらはそれぞれの相手を連れて帰っていたんだろう。せめてもの罪滅ぼしだ。
GM/「彼らを連れてくることなど三種の神器を使えば容易いさ。……本当にお前は優しい人間だな」
旭人/優しい人間はこんなこと考えないさ。
GM/「優しい人間だから私に話しかけてくれたんだろ」
旭人/ただの欲かもしれないぞ? ……下心があったから話しかけたかもしれないんだ。
GM/では。願いを叶えようとします。……三種の神器から光を発せられる。何か呪文を唱えたのか、スイッチを入れたのか……ポウッと光り出す。三種の神器が使われる瞬間だ。
旭人/ああ……。
GM/とても神々しい光を発している。何か美しい光を纏う敦盛。ただでさえ【勅命】や≪民の声≫でも凄まじい力を生んでいたけど、そんなの比じゃない。旭人はそれを目にする。……一億人分の≪希望≫を。
旭人/……それをボウっと眺めています。手に入れないものを見るかのように。最後まで一緒に居るぞ。
GM/綺麗な光に包まれていく中。……何故か敦盛の体が薄く消え始める。光にまみれている? いや……気配が消えていく。
旭人/……敦盛!? 願いを忘れたか、俺も一緒にっ……!
GM/「いいや、お前も鉄弥達と帰れ」
旭人/願いを全部叶えてくれるって言ったじゃないか! 俺はお前の手足なんだろう!? ならっ……!
GM/「だから、『私の叶えてやれる範囲』の願いしか叶えてやらない。私の出来る範囲は、お前を消すことを含んでいない」
旭人/……卑怯だ……!
GM/「卑怯だよ。……こんな結末しか、私の描いた未来では出来なかった」
旭人/叶えてやれなかったのは……俺の責任だろ。連れて行けよ、俺も……!
GM/「……私に付き合ったのが運の尽きだったな。妙な呪いをかけてしまってすまない」……そのまま、敦盛は消えます。
旭人/……蹲ります。
GM/跡形もなく、消えます。
旭人/蹲って……草薙剣を見る。……もう、アイツらに会わせる顔なんて……無い、だろ……。

 旭人は、剣の鞘を抜く。
 神々しい光を放った剣を、そのまま首に押し当て……。
 ……一気に引いた。


GM/……鉄弥にシーンを戻そう。時仁さんと「散歩をしよう」と約束したのに、時間になっても来ないね。
鉄弥/……あれ? おかしいなぁ。もう暫くは待ちます。
GM/来ないですね。
鉄弥/……待ちます。
GM/来ないですね。
鉄弥/……私塾に向かってみます。
GM/居ません。
鉄弥/……子供達は居ます? 言大さんはどこに行ったか知らない?
GM/「えっ? 鉄弥にーちゃんのところに行くって言ってたよ」
鉄弥/あれ、おかしいな……俺、まだ会ってないんだよ。ドコ行っちゃったんだろう……探しますよ。
GM/「知らないよ」「俺も知らなーい」……探しても、ずっと見つかることもない。……夜になっても、次の日になっても。
鉄弥/え……。
GM/なんで居なくなってしまったかは判らない。
鉄弥/さ、探します!  部屋で、何か手掛かりになるものでもあれば……。
GM/ならそこで……幸せの日記帳でも見つけましょうか。

 物を書くのが日課だった彼がつけていた記録。
 今日の出来事、最近思い付いた詩。
 初めてこの村に来たときのこと。落ち着いてからの日記。
 時折入る恋の歌。
 消える気配などどこにもある訳がなく。
 鉄弥の前から居なくなる理由も何も無い。
 ……ただ、最後のページに一言だけ。

「明日、意を決して二人だけで外を歩こうと誘おう」

 そう書かれた一文が、鉄弥の目に映ったのだった。


    ◆

GM/最後になりました。……義人のエンディングです。
義人/義経に与一を貰って来る。扇の的を射落したヤツ、俺にくれ!
GM/(義経になって)「いいよ」
旭人/今、「zipでくれ」みたいなノリで言ったよね!?(笑)
義人/ポケモンカード交換するノリで言うよ!(笑) 上司の欄を義経から俺の名前に書き換えるだけだからな、その後は俺がなんとかする!
GM/「俺は構わないけど、ちゃんと本人の意思も確認するんだぞ。……しっかしお前、那須与一とそんなに仲良かったか?」
義人/今はそうでもない。だから、アイツを知りたい。
GM/「……何かあったのか?」
義人/目の前で泣かれた男を放っておけるか。
GM/「……義人さんはどんな酷いことをしたんだろうな?」
千晶/義人兄さんがそんなヒドイことをするなんて……!(笑)
旭人/弁慶さんが「破廉恥ですね」って言うんだ!(笑)
義人/セクハラはしていない! しかも弁慶に破廉恥って言われると終わったような気がするだろ!(笑) ……旭人や鉄弥は居なくなってしまったけど千晶は幸せそうだから俺は居なくなるんだ。
GM/では、その与一ですけど……義人に呼ばれてるのかな? どっかの部屋に呼び出して、夜……やって来ます。「失礼致します……」
義人/来たか、座れ。……色々端折るが、義経からお前の権利を貰った。
GM/「……本当に声を掛けてもらえるとは思ってもいませんでした」
義人/だろうな。自分でも予想外だ。
GM/「……私の今までの態度を思い返すに、貴方に好かれる要素など何一つありません」
義人/……俺はな、目の前に泣かれた奴を放っておけないし、泣かれて困ったのも初めてだった。泣いてほしくないと思った。……こんなに人付き合いで困ったのは初めてなんだ。
GM/「それは……同情で私に声を掛けてくださったのですか」
義人/違う。……だから、その……なんだ、泣かれて困る相手が弟達以外にいると、困る。だからお前を困らせたくない。お前をもっと見ていたい。……俺の放浪の旅に、一緒について来てくれないか?
GM/「……判りました。私は、貴方に付いて行きましょう」
義人/……ありがとう。お前をもっと知っていけたらいいなと思っている。
GM/ちょっと、照れくさそうに笑います。「……えへへ」
義人/可愛い顔するじゃないか、そっちの方がいいぞ。
GM/「ありがとうございます……えへへ」
義人/むにむに!
GM/あうあうあう!?
義人/やっと与一らしくなったな。……ずっとそうしていろ。俺がお前を笑わせてやる。だから泣きそうな顔はするな!
GM/その言葉にはにかみながらも、与一は言います。「今まで……裏切られ続けたんです」
義人/……誰に?
GM/それは言いません。「……もしかしたらすぐに振り向いてくれるんじゃないかと思ってました。でも、そんなの俺の思い過ごしで……そのままずっと時だけが経ってしまっていたんです。いつしか声を掛けてくれることすら諦めていたんです」
義人/……そういうトラウマがあったから、俺に対してもあんな態度だったのか?
GM/「申し訳御座いません、こんなの八つ当たりですね……」
義人/なんだ、そんなことか……可愛いな。そんな奴のこと、俺が忘れさせてやる。
GM/「ああ、そうだ……これを」と、与一は『まるで鱗のような物』を懐から取り出します。
義人/なんだこれ、初めて見たぞ。……キレイだな。
GM/「我が家の家宝です。それを握って眠るととても良い夢が見られます。幸せになるお守りです」
義人/貰っていいのか?
GM/「……好きな人だからあげるんです」
義人/……ありがとう、大事にする。でも俺は何もやれるモンが無いんだが……。
GM/「貴方の時間を貰いましたよ」
義人/そんなものでいいならいくらだってやる。
GM/瞬間、与一の顔が変わる。
鉄弥/……キタ!(笑)
千晶/きたぁっ!
旭人/ブラック与一……!?
義人/今まで見たことない表情になったから驚きます。ど、どうした……?
GM/与一は立ちあがり、一歩、後ろに下がる。
義人/なんだ……い、今更「やっぱヤメた」とかは無しだぞ?
GM/「……悲しんでいる……」
義人/え……?
GM/「やっぱり……あの子をあんな目に遭わすなんて……ワタシには出来ない……」
義人/あの子って……何のことだ……。いや、お前は誰だ?
GM/与一だけど与一じゃない声を出します。「……お前が、まさか与一にまた振り向くだなんて。あれだけすっかり忘れていたのに……」
義人/……お前は、誰だ!? 俺の与一を戻せ!
GM/与一は一歩ずつ義人から下がります。「記憶が途中で蘇るなんて例外はありはしないか……聖剣め。ちゃっかりしてるな……」
義人/立ち上がって追いかけます! お前、何のつもりだっ……。
GM/「宗高はこれから、お前とともにこの世界を喜び生きていくんだろうが……ワタシはこんな世界、認めない!」与一が、胸元からナイフを出す。
義人/与一っ……!?
GM/ナイフを自分の首に刺します!

 義人の目の前に血が舞う。
 自らの首にナイフを差し込む。
 ガリッと骨に当たる音。グチャリ引き抜いて、再度首を刺す。
 刺して、刺して、刺し続けて……。
 与一は、唖然とする義人の足元に倒れた。


義人/与一……与一、与一ぃっ!? なんで……何を……したんだっ!?
GM/目が遭います。その目は、判らない誰かじゃなく……与一自身の目に戻っています。
義人/うっ……。

 途切れかけの意識で口を開く。

「義人くんにまた会えて、幸せでした」

 ……その瞬間、世界が真っ白に染まっていく。
 まるでリセットされたかのように。
 そのまま……真っ白い世界に溶け込んでいくしかなかった。


GM/――さて、義人さん。貴方は鎌倉の自室……12月23日の朝に目を覚ましてください。
鉄弥/……23日!?
義人/天皇誕生日だな。……いや、アントンのじゃないが(笑) いやぁ、変な夢を見ちまったよ。なんだよもうクリスマスっていうの、に……。
GM/胸元には鱗。
義人/…………。
GM/今までのこと、全て思い出してください。
義人/……頭を抱えて蹲ります。与一……だけじゃなく、全員のことを思い出して……俺は、なんてことをしたんだ……?
GM/ろりん。義人の部屋の机上で足をぶーらぶーらさせているロリがいます。
義人/……せめて、椅子に座らないか。
GM/ろりんぽいん(←机から椅子に座り直した音)。
義人/……久しぶり、と言うべきかな。
GM/「ええ、超久しぶり」
義人/……どれくらい久しぶりなんだ?
GM/「彼にとっては245ループ目だったわ」
旭人/6年間の内紛をずっとやり直してるんだよな……。
鉄弥/し、死にてぇ……(笑)
義人/そりゃ扇の的、当たるわな。……当たるわ。
GM/「だって私の報酬にレアアイテム【経験値】があるでしょ。ろりん」

 レアアイテム【経験値】。
 レベルアップしたときに使用できる。スキルを修得する代わりに好きな能力値を1上げることができる。


義人/これかよ!(笑) ……245回もループして、誰も幸せな結果を見つけられなかったのか。
GM/「あの人、能力はどんどん上がっていくのに頭が悪いから何も出来なくてね」
義人/わかるー!(笑) カンタンに主導権を握られてたしな!
GM/「そうね、ムカつくわ」
義人/……おや、海賊さんはお嫌いですかロリさんは。
GM/「怨霊は嫌いよ。イベントを改悪しちゃう悪い奴らだもの」
義人/……あの舟に乗っているのは怨霊っていう解釈でいいのか。それを聞いて安心した。
GM/「でね、あまりに人がヘコんでいく姿をずーっと見ていたから、ちょっと私……我慢できなくなって力を行使しちゃったの」
義人/どの辺に?
GM/「スタートが23日になっているところかしらね」
千晶/おー。……そうですよね、僕達のスタートは24日だったですから。
義人/……明日の夜までになんとか……コーラを買ってこないと!
旭人/そこから!? そこは回避可能なイベントなんじゃないかな!?(笑)
GM/「無駄な改編はしない方がいいわよ。どんなことをしたって人ひとりの幸せがかかっているんだから」
義人/そうだな、農民のためにもコーラは買っておくか!(一同笑)……なあ、245ループと言っていたが……その間、宗高はずっとあんな感じだったのか?
GM/「最初のうちはドキドキしてたわよ。20回目にもうダメになったけど」
義人/……弱っ!(笑)
旭人/でも、1ループ1年として20年だよ。……20年も一人の人を思い続けられる?
GM/カイルさんの4万ピー回ループがおかしいんだよ。あの人は1万回ぐらいで精神がおかしくなったから余計遠回りすることになったんだけどね。
義人/……245回……アイツは俺を見てたのか?
GM/「もちろん。そういう風に貴方が呪いをかけたんじゃない」
義人/なんてことをしたんだろうな、俺は! ……どうしよう、愛おしく想う俺が、憎い!
GM/「そこまで愛してあげるならまた振り向いてあげればいいんじゃないの?」
義人/今度はいかない。
GM/「ろり?」
義人/アイツは俺の事を忘れて幸せになれるだろ。……それで頑張って俺がみんなを幸せにすればいい話だ。
GM/「……その心意気、まさか聞けるとは思っていなかったわ。結局ね、あの後……居なくなった鉄弥はちょっと不幸になっちゃった。旭人は寸前まで幸せだったわ。そして千晶は……あのままだと炎に焼かれて死んだ。さあ、モチベーションは盛り上がった?」
義人/超盛り上がったさ! 具体的には≪気力≫5点ぐらい盛り上がったな!
GM/そんなサービスあげないわ(笑) ……とにかく、23日からスタートすることに意義があるのよ。頑張ってね」――では義人以外の全員〔才覚〕難易度10の判定をしてください。この時点でデジャブがあるかを決定しておきます。
旭人/最後の≪民の声≫を貰っておきます(ころころ)10ピッタシ! 初めてのデジャブだ!
鉄弥/(ころころ)8……失敗です。
千晶/(ころころ)ああ、7でダメです。……経正は肉体的には死んでるけどまだ与一の中に居ましたね。先に逝ってるとか言っておきながら。
義人/もう『経正=黒那須』が確定情報になったな。
旭人/次回は誰か、敦盛を幸せにしてあげてください!(笑)
GM/でも旭人、ありがとう。あそこまで敦盛を追い詰めたよ。……それでは、次回は12月23日『現代編』がスタートします。お楽しみにー!



to be continue...