迷宮キングダム ・ リプレイ ・ 夢魔炎上
■ 第1話『 虚ろなる闇を睡り醒ます様に 』 1ページ目 ■
1回目 2009年5月19日




 2009年4月――。
「迷宮キングダムで長期キャンペーンをやってみようかと思うんだけど」
 BLキャンペーン前作『Forget-me-not Scarlett』15回セッションが終結し、新しいBLキャンペーンを動き出そうと話し始めたその日、1つの案が選ばれた。

「今回のBL迷キンは、『遥かなる時空の中で3』を元ネタにしたキャンペーンにします」

 それでは、まずリプレイ本編に入る前にキャンペーンに参加するメンバーを紹介しよう。

▼GM/マーサー
 今回のキャンペーンのGMで、リプレイの編集者。
 自分がBLセッションをやってみたいが全く立卓されないからGMをする……を繰り返していたところ、ある時「BLシナリオのGMをする先輩」と称されてちょっぴりショックと優越感を感じた。
 独自のワールドでのシナリオが好きなので、判りずらいところを解消させるためにリプレイをジェバンニで作り始めた。おかげで「1度のセッションじゃ判らなかったけど、アレって凄いシナリオだったんですね! パネェッス!」という感想を何回も貰っている。
 嬉しいが反省はしている。すまない。

▼PL1/まりも
 新人で、BLシナリオのTRPGには初参加。
 『ゴーストハンター02』の長編シナリオでGMをやっている最中、今回のBLセッションに参加してもらうことになった。
 一つ一つ呼吸をおきながら台詞を話してくれる、とても丁寧なサークル2年生。無茶ぶりにも泣かずについてきてくれる愛され上手なPCをやってくれる。
 公開中のリプレイでは、『ルリルラノイシュタルトハイ・リプレイ〜異次元メルト』の市を演じた。

▼PL2/ユウ
 前作の長編キャンぺーンから続投してくれたプレイヤー。『ギガントマキア・リプレイ〜Forget-me-not Scarlett』のラカートの中の人。
 気付けばマーサーの作るリプレイに多数出演してくれている。『パラドックスの椿』の青森恐一役、『Answer the Voice』の悪の幹部ボブ役など……高年齢の男性キャラクターをいつもやっているような気がしてならない。
 今回は珍しく低年齢の騎士をテンション高くお送りしてくれるだろう。

▼PL3/みっこ
 マーサー作のリプレイでは初参戦だが、BLセッションには何度も参加してくれていた、とても高いエンカウント率のプレイヤー。
 一言で言うと、乙女。可愛らしい声と、形容しがたい効果音と、人間の目には視えない背景トーンを駆使して笑わせてくれる。男性キャラクターでもそうなってしまうので、素敵なオトメンを演じる。
 『迷宮キングダム』の長編キャンぺーンGMを経験しているので、複雑なデータの管理をしてくれるのも魅力。

▼PL4/すずか
 PL2同様に、前作から続投してくれた、『ギガントマキア・リプレイ〜Forget-me-not Scarlett』のシグの中の人。
 前作のシグはクール系なキャラだが、『Answer the Voice』では壮絶なるツッコミキャラを、『異次元メルト』ではボケ通す好青年を演じ、今回もまた違うキャラロールをしてくれる。偏らずにレパートリーは星の数あるんだろうか。
 実は『迷宮キングダム』初参加だったりする。

GM/それでは、注意事項を説明したことだし……そろそろセッション本編の話についてご説明しますー。
一同/はーい。
GM/今回は、迷宮キングダムで『源平合戦』をテーマにしたシナリオをやります。と言ってもPS2ゲーム『遥かなる時空の中で3』の源平合戦を元ネタにしているものなので、史実とは異なったものを更にアレンジした作りになります。……ちなみに、『遥か3』をプレイしたことはある?

 一同、首を振る。

GM/そりゃ好都合だ。元ネタを知っていても楽しめる風にはするけどね……今後もプレイの最中は原作に触らぬようにしてくれると助かります。あと、史実をネタにするから調べたら楽しいかもしれないけど、知らなくても判るような内容にしていけたらいいかな。……という訳で、レギュレーションとハンドアウトを配るよー。

<迷宮キングダムBLキャンペーン企画案>
 使用システムは、「迷宮キングダム」&「迷宮デイズ」。
 全ルール解禁の、レベル2スタート。PL人数は3〜4人で、4人いる場合、ハンドアウト@〜Aを分割する。
 また、ハンドアウトBを選択した者は「クラス:国王」を選択出来ない。
 PC全員、知り合い設定が望ましい(オープニングに全員出演ができるため)

【PC@:ハンドアウト】
 君はこれから訪れる年末を楽しみにしていた。好きなことを好きなだけやろうと次の日も、また次の日も心躍っていた。
 しかし今、君は見たことのない川の雪原に腰を下ろしている。
 見挙げればそこには、ひとり……綺麗な顔の男がこちらを見ていた。
 パートナー→後に能や民謡でなの知られる笛の名手・平敦盛。美しい顔立ちと冠位が無い主君ということが有名。突如現れた筈の君と一緒に行動を取りたがっている。
 パターン1→例えるなら狐。優しげな顔立ちとは相反して、ツンとした態度をとる。
 パターン2→例えるなら兎。きりっとした顔立ちにも見えるが、つい柔和そうな笑みをこぼしている。

【PCA:ハンドアウト】
 君は友人の@とBと共に、年末が訪れることが待ち遠しかった。
 でも君は、不思議な世界や突如PC@の前に現れた男に翻弄されてばかりだ。
 そしてある道で彼に出会う。……弱った犬を拾うという、平成では見られない存在に。
 パートナー→源氏の頭領の弟にして戦闘センスに長けた、牛若丸で有名な源義経。貴方と気が合い、友となる。なお、このハンドアウトを選んだ者は「義経と外見・雰囲気などが似ている」の設定をつけること。
 パターン1→尊大な態度で、自分がそうあるべきと信じている生粋の支配者。気紛れなS。
 パターン2→自分は威張れてると思っているだけで少し緩い笑みを浮かべてしまう天然。無自覚のM。

【PCB:ハンドアウト】
 PC@とAはどこに行ってしまったんだろう? そもそもここはどこだろう?
 雪の降る極寒の地に取り残されてしまった君。
 ……彼が君を助けてくれなかったら、間違いなく君は訳も判らず死んでいたんだろう。
 パートナー→壇ノ浦の戦いで入水自殺するという、安徳天皇。年齢は何歳でも構わない、自由に設定してよいものとする。
 パターン1→えへへと笑う、年よりずっと幼い少年。人に優しくしてこそ美徳と教えられてきた。
 パターン2→わははと笑う、まだ少年らしさの残る男。自分に厳しい生活こそ美徳と教えられてきた。

【PCC:ハンドアウト】
 「ハンドアウト@」か「ハンドアウトA」のどちらかを共有すること。
 「@」なら、PC1と共に川で平敦盛に助けられる。
 「A」なら、PC2と同時に源義経を見かける。

GM/……みんな、ある程度は読んでくれた?
まりも/はい……でも、なにぶん初めてなんで判らないところが多いんですが。
GM/説明を省略するので悪いけど、好きなハンドアウトを選んだ後に、パートナーの性格パターンを選んでもらいます。そのときに自分でそのキャラの名前と年齢を決定してもらって……。あ、PC4人は全員知り合い設定にしてね。クラスの友達とか、同じアパートに住んでいるとか、兄弟だとか……。

 そうして、以上のハンドアウトを選択してもらうことに。
 話し合いの結果は……。


まりも/PC1ハンドアウトの、パートナーパターン1を選択。キャラクターは[クラス:神官/ジョブ:星術師]を作成。
ユウ/PC2ハンドアウトの、パートナーパターン2を選択。キャラクターは[クラス:騎士/ジョブ:怠け者]を作成。
みっこ/PC3ハンドアウトの、パートナーパターン2を選択。キャラクターは[クラス:従者/ジョブ:料理人&盗賊]を作成。
すずか/PC4で、PC2ハンドアウト通りに。キャラクターは[クラス:国王/ジョブ:博士]で作成。

GM/――それでは、長期『迷宮キングダム』BLプギャーを始めたいと思います。
ユウ/GMがプギャー言っちゃダメー!(笑)
すずか/ガチホモ……そう言って始めたBLセッションもありました。号泣でした(笑)
まりも/『スカーレット』ですね(笑)
GM/どうしても前作と似通うことになるのは勘弁してね(笑) あと重要なことを伝え忘れましたが……今回、パートナーとして実は「選ばれなかったパターンは、NPCの性格」になります。
みっこ/じゃあ、3人もNPCが増えるんですか?
GM/実は3人どころじゃないんだけどね、合戦モノだしNPCは多くても良いかなって思って(笑) ちなみに【PC@:ハンドアウト】だと敦盛の兄、【PCA:ハンドアウト】だと源氏の軍師、【PCB:ハンドアウト】だと平家の武将になります。あとPC4人の関係だけれども……?
すずか/全員親戚同士ということにしました。大きな一族で、おばあさんのお誕生日を祝いに集まるということで。
GM/……一族……そうか、一族モノか……(笑)

 GMは、一族確執モノの創作で4年間食ってるぐらい一族ジャンルが大好きです(笑)
 おばあさんが「白寿」のお祝いをすることになったこと、PC4国王のプレイヤーが一族の長男で次期当主であるということ、鎌倉にそのお屋敷があるということ……など、必要な設定を練ってもらって数週間。

 ついにセッションは始まった……。


GM/まず最初に、自己紹介をPC番号順にお願いします。
まりも(以降、鉄弥)/はい。プレイヤー名は、まりもです。キャラクター名が……『冗談にも程がある 白石鉄弥(しらいし・てつや)』です。
みっこ/その二つ名を取ったのか(笑)
鉄弥/はい(笑) 年齢19歳で、音楽好きのフルートが得意の音大1年生……花に囲まれて暮らすのが夢です。
ユウ/どこの乙女だよ!(笑)
鉄弥/クラスは[神官]で、ジョブは[星術師]。〔魅力〕が高いです。好きなものが「ダイナマイトバディ」。
すずか/……なんでっ!?(笑)

 本来なら、『単語表4(34):ダイナマイト大帝』を引き当てたのだが、「今回のセッションは既存の迷キンワールド用語は出てこない」が前提のシナリオのため、「ダイナマイトで好き勝手作っていいよ」とGM許可をした結果、こうなりました。

ユウ/まあ、思春期の男の子だしね……(笑)
鉄弥/あと「都会」。嫌いなものが「戦争」と「病院」。……そんなカンジで次の人にパース!!
ユウ(以降、旭人)/パスもらいました。プレイヤー名ユウ、キャラクター名は『天上天下唯我独尊 三剣旭人(みつるぎ・あさと)』と申します。男性21歳、クラスが[騎士]、ジョブが[怠け者]。ダメな大人です(笑)
GM/設定としては?
旭人/本家筋の人間を守る『三剣』の家の出で、剣道の段を持ってます。でも今はやる気の無い大学3年生。剣の師匠を亡くしてからは無気力に「どーでもいーやー」な毎日を、本家の屋敷で過ごしてます。……そんな風で、次にパス!
みっこ(以降、千晶)/パスされましたので……プレイヤー名は、みっこ。キャラクター名『叶わぬときの神頼み 江神千晶(えがみ・ちあき)』です。「なんかもうダメだカミサマー!」みたいな(笑) 私生児で日陰っこです。お父さんに認めてもらえない系。
すずか/おお、泣ける泣ける(笑)
千晶/クラスは[従者]で、ジョブは[料理人]と[盗賊]にしました。〔探索〕の能力値を上げて〔武勇〕も高めにして、スキルの【特攻】を使って攻撃力を上げたり……【武器習熟】でアイテムの攻撃力を上げたりしてます。
GM/流石元迷キンGM、深いキャラメしてくるな……。設定は?
千晶/16歳の時に母親が他界したので、20歳になるまで本家に居候する約束をしてもらってます。大学には行かず、今はバイトをしながら本家の雑用係として暮らしてます……以上です。
GM/……次のプレイヤーにいく前に確認したいんだけど。『安徳天皇:32歳』っていう設定でいいの?

 ハンドアウトのパートナー選択の際に、「そのNPCの性格・本名・年齢」をプレイヤーが決定するようにしている。
 【PCB:ハンドアウト】に書かれている通り、安徳天皇の年齢は何歳にでも自由に自由に設定してもよいことにはしていたが……。


千晶/男は30からです。
GM/BL的には激しく同意するけど。……なかなか斬新なアレンジするね。じゃ、自己紹介続けて。
すずか(以降、義人)/最後になりましたが、プレイヤー名すずか。キャラクター名『佳人薄命 古川義人(ふるかわ・よしと)』です。二つ名のインパクトが薄い!
旭人/薄くねーよ!(笑)
義人/『冗談にも程がある』がおいしすぎるんだよ!(笑)
旭人/……それは、PC1だからしょうがないよ。
義人/まったくだ。……長男で本家の人という位置づけです。クラスは[国王]、ジョブは[博士]をかませて、能力値は〔才覚〕と〔魅力〕が高め。好きなものは「民」と「武芸」。嫌いなものは「目立つこと」と「洋食」です。
GM/本家って……何やってるお家なの?
義人/そうだな……代議士で。職業は一応、院生。病弱です。あとメガネをかけてます。重要です(笑)
GM/代議士って、議員さんだよねつまり…………あ。

 鎌倉に本家がある大一族・古川家。
 三剣、白石といった分家が各地にある大きな力を持った一族……。


千晶/はい?
GM/この名前……すごく……伏線っぽい。
旭人/ええっ!?(笑) 確かにそれっぽいのにしたけど!

 『剣』と、『石』と、それと名前だけど『千晶』って……。
 ……勘の良い方には気付いて下さることだろう。


GM/それじゃあ、早速だけどシナリオに入ろうか!


 ★オープニング


 2008年12月――。
 長野にある、ちょっとだけ裕福な白石家に生まれた鉄弥は、ごく普通に家から大学に通っていた。
 音大でフルートの試験勉強に励む日々。
 いつも通りに鉄弥が閑静な住宅街に帰宅すると……。

「お、おおお、おかおかおかえりおかえりおかえり鉄弥ぁ!」


GM/大学から帰宅するとまずお母さんが鉄弥を出迎えてくれます。
鉄弥/なんでぎこちないの!?(笑) ど、どうしたの……お母さん?
GM/「え、えーとえとえとお落ち着いて聞く落ち着いて聞くのよ!」
鉄弥/お母さんが落ち着いてっ!(笑) ……一体、どうしたの?
GM/「とりあえず応接室に行きなさい!」と、お客さんを招く部屋に鉄弥は通される。……ソファには、キチっとしたスーツを着た男性が座っていて、君が入ってくるなりにこやかに笑う。
鉄弥/こ、こんにちは……? ペコリとお辞儀をします。
GM/「おおおおおお落ちおち着いて話を聞くのよよよよ」。お茶ガタガタガタ。
鉄弥/さっきからお母さんの様子がおかしいっ!(一同笑)
GM/スーツの男性が話し出すよ。「かしこまらずに聞いてください。……古川カツ様のお誕生日が12月30日だというのは覚えていらっしゃいますか?」
鉄弥/あ……はい。2、3年前ぐらいも一度行ったことありますよね。
GM/「覚えておられましたか。実は今年のお誕生日に白寿になります」
鉄弥/白寿って……99歳っ!? 長生きですねぇ、元気で良かった。
GM/「白寿のお祝いです。そこで、当主様による決定で楽団を呼ぼうという企画が上がりました」
鉄弥/……がくだん? そ、そうですか……平静を装いつつ、流石本家と内心驚きます(笑)
GM/「そういえば、鉄弥さんが音楽の学校に入学し楽器をやってらっしゃると聞きました。素晴らしい楽団を呼ぶのも勿論良いですが、お祝いはやはり同じ血を継いでいる親しい方にしていただく方が良い。おばあ様もきっと喜ぶかと思いまして」
鉄弥/……まさか、その演奏を俺にですか? 確かにフルートをやってますけど……。
GM/「1か月前と急ではありますが、貴方の腕は聞いております」
鉄弥/す、凄い……光栄です! 謹んでお受け致します!
GM/「ありがとうございます」……って、きっと使いの人もホッとしてる。体調を気を付けてと言いながら、詳しい予定について打ち合わせします。
鉄弥/よーし、頑張らないと!
千晶/……ていうか、どうしてお母さんはそんなにガタガタしてたんだ?(笑)

    ◆

GM/では次、PC3の千晶のシーン。……実家の雑用係をしている設定なんだっけ。厨房のお皿洗いとかしてるのかな?
千晶/お皿をゴシゴシ……あっ、皿が落ちる!
旭人/ドジッコなの!?(笑)
GM/……じゃあ、〔武勇〕で判定してみようか。
義人/ああっ、無駄なロールを!(笑)
GM/いや、判定をして「6」の出目なら1つにつき1点≪希望≫を≪器≫に溜められるからね。率先して獲得するために判定した方がいいよ。

 ≪希望≫は、1点使うたびに「行為判定に+1D6」できるヒーローポイントである。
 後に出てくる≪民の声≫も同様の効果で、≪希望≫はPC1人が使うもの、≪民の声≫はPC全員が使える≪希望≫にあたる。


千晶/はーい。(ころころ)6は出なかったか……達成値は7です。
GM/……ギリギリだな(笑) 皿を受け止めることができたけど、奥の厨房長がギロッと睨んだ。
千晶/だ、大丈夫です。何もやってませんから! またやらないです!(笑)
GM/前科があるんだ(笑) そこにトテトテとやって来る……中学1年生の親戚の男の子がいます。名前は古川千里(ふるかわ・ちさと)。義人のイトコにしておこうかな?
旭人/……ちーくんと、名前のつながりがあるな。
GM/ですね、千晶と比較的よく会話をする子ですよ。本家に近い血筋だけど千晶を良く思っているみたい。「お仕事、終わった?」
千晶/あ、うん。今ちょっと皿を……。
GM/「え、割るとこだったの? 割った!? 割った!?
千晶/わ、割ってない! 若干嬉しそうだぞ!(笑) お目付け役がまだいるんだから静かに!
GM/「あのさ、仕事が終わったなら宿題手伝ってー」
千晶/僕、高卒なんだけど……暫く勉強なんてやってないし。
GM/「中学の宿題ぐらいはできるでしょ? 終わったら部屋に来てよ!」
千晶/……判ったよ、終わったらお菓子持って行くから。
GM/(嬉しそうな声で)「ウン! 待ってるよ!」 
千晶/……成長期、子供、お菓子、食べざかり……それが目的か(笑) お仕事を終えたら貰いもののカステラを持って、千里の部屋に向かいます。
GM/……じゃあその途中の玄関で、使用人さんがお客人を応対している姿を見ます。大きな楽器のケースを持った青年が……。
鉄弥/お、俺のコトだ! (使用人に対して声を作って)今日からよろしくお願いしまぁす!
千晶/……また元気な人が来たなぁ。呼ばれてもいないからそのまま千里のところに行きます。
GM/じゃあその時、鉄弥も「同じぐらいの年の子がいるなぁ」って思っておいてね。
鉄弥/あ……カステラ持ってる(一同笑) チラッと見ただけで会話に戻ります。
GM/二人の初対面はここでしたってことで。……よくオープニングであるよな。一瞬BGMが止まって若干スローモーションになるやつ(笑)
千晶/千里ー、カステラ持ってきたぞー。
GM/「鍵掛けてないから入ってきてよー」と中から声がするよ。で、ガチャっと開けると、8畳ほどの広さの部屋。
義人/……生々しいデカさだな(笑)
千晶/良い部屋だ……僕の部屋は四畳半で半分しかないのに!(笑) 千里、お茶でも淹れてあげようか?
GM/「あんがと。……ねえ、今さ、日本の中世の歴史をやってるんだけど、こーゆーのってどうやったら覚えられると思う?」
千晶/……赤ペンでまとめて書いて、シートで見ていけばいいんじゃないか?
GM/その間も千里はガツガツとカステラを煎餅食いをする。
千晶/ちゃんと爪楊枝を使って食べろ(笑) 
GM/「千晶って歴史、あんまり得意じゃないの? 何の教科が得意だった?」
千晶/…………国語?
GM/「日本語出来る奴だったらみんな取れるじゃん。……まあ、判らないことがあったら辞書で調べればいっか」と、とっても最先端の高度な電子辞書を取り出します。
千晶/良いなぁ……富の象徴(笑) いくらしたんだろ。
GM/ちょんちょんと千里が単語を調べているところで……シーンは切られます。

    ◆

GM/義人と旭人のシーンにいこうか。……義人のお父様が、掛け軸や孔雀像がある畳の部屋で義人と旭人を待ってます。
義人/正座して正面に座ります。……俺、[国王]で【衣装】持ちだから和服着る!(笑)
旭人/俺、ちゃらんぽらんだから色つきのシャツとジーンズでチャライもんいっぱい付けてる! スポンジボブの靴下履いてます!(笑)
GM/ではでは、厳格な空気のお父様は話し出します。「……もうすぐ、12月30日だな」
義人/はい。
GM/「大変めでたい日が近づいているが……近頃、おばあ様の様態が芳しくない。現在は主治医に24時間付きっきりに診させているがあまり良い状態とは言えないな」
義人/……それでしたら、まずはおばあ様の容体が何よりも大事です。誕生日会は延期するのも……その場合の手筈は、と言います。
旭人/でも、おばば様も楽しみにしてたんだし音楽ぐらいは聞かせてやってもいいんじゃないか? 庭からでも演奏すれば、おばば様の部屋にも聞けるだろ?
義人/それは凄く粋な計らいだな……。たとえ派手なお祝いは出来なくても、折角遠方から来てくれた親戚も居ることですし、おばあ様も喜ぶでしょう。
GM/成程と頷くお父様。……ちなみに、どうしておばあ様はこんなに大きなお家を持っているのかというと、昔は流通の商売やらをして、とても世渡り上手で運の良い美人さんだったみたいです。もうお亡くなりになった旦那さんが代議士をやっていて……。おばあ様は勝気で活発的で、イベントも好きだったようです。
義人/ハイカラな方だったんですね……「財閥解体め」って言っちゃうような(笑)
旭人/元気が無いのは不安だけど、おばば様にはミレニアムを迎えるまでは生きてもらわないとな!(笑)
GM/そんな不安にさせることも告げられながら……4人は、古川の屋敷で同じ時間を過ごすのです――。


 ★シーン1/古川家の屋敷


 2008年12月24日。
 年が変わる大晦日まであと1週間。
 古川家の祝いまで残る数日。4人は、各々の日常を過ごしていた。
 ――4人が揃う、その時まで。


GM/4人いっしょのシーンを作りたいんだけど……12月30日までの間に何かしたいことはある?
旭人/……折角なら、12月24日に何かしよっか?(笑)
GM/じゃあ、クリスマスイブの夕方16時ぐらい。普通のアベックならこれからウフフアハハタイムに入る時間帯にしよう。
旭人/小腹が減ったので厨房に摘み食いしに行きまーす! ちーくんちーくん、お腹減ったー!
千晶/あ、旭人さん。お腹減ってるならオニギリでも握りますね。おかかと昆布を作ります。
GM/……そのオニギリを、ヒョイッと盗んでいく千里がいます。
旭人/おまっ!? それは俺が最後に取っておいたタラコ! 食べ物の恨みは成長期であろうと許さんぞ!(笑)
GM/「また千晶に作ってもらえばいいじゃん。……ねえ千晶ー、これからボク遊びに行ってくるから、日程的にデザートが出たらボクの為に残しておいてくださーい」
旭人/俺が全部食べておくぞ!(笑)
千晶/……なんだ、デートか?
GM/「うん、2人ぐらいと遊びに行ってくる。じゃあねー」
千晶/……悪い奴だ! 13歳にして!(笑)
旭人/場所は被らせるんじゃねえぞ、俺からの忠告だ!(笑)
GM/……では千晶は自分のカバンに、自分の物以外が入っていることに気付きます。
千晶/なんだこれ?
GM/歴史のドリルです。ポストイットが貼ってあって「やっておいてくださーい☆」と書いてある。ついでに電子辞書も入ってるよ。
旭人/……よし、達筆な字で答えを書いておきます! お父さんがやりました的な工作をしてやる!(笑)
GM/……「1180年、源頼朝が『宇宙人』と対決」
旭人/ひでぇ!(笑) わかった、全部そういうのにしときます!(笑)
GM/で、鉄弥と義人は何してる?
鉄弥/俺は道場的なところで一人で笛の練習をしてます。楽団の人が返った後でも……。
義人/じゃあ、そこにサラッと入ってみる。……演奏は続けてくれと手でやりながら。
鉄弥/あ……では吹き続けます。聞かれて恥ずかしいけど所々詰まったりしながら、なんとか演奏を終えて……。
義人/聞き終わったところでパチパチ。良い演奏だったよ。
鉄弥/まだまだですよ。最初から最後までちゃんと弾けたことないし……時間無いのに大丈夫かな。
義人/だが、心のこもった良い笛だった。予定は以前と変わってしまったが、きっとおばあ様も悦んでくれるだろう。
鉄弥/そ、そう言ってくれると嬉しいです。喜んでもらえるよう頑張ります! でもそろそろ休憩を入れようかと……。
義人/そうだ……ケーキを貰ったんだが、食べないか? 俺は洋食全般が苦手なものでな。練習で疲れているだろうし、食べてくれ。
鉄弥/い、いいんですか。ありがとうございます!
千晶/……よし。コーヒーと巻き寿司を持って道場に持って現れていいですか!?(笑)
旭人/ケンタッキーのパーティーセットを持って現れます!(笑) ほーらフライドチキンだぞー! ケーキを食べるならコーラ飲むかー?
千晶/コーラを飲むなら、振ってプシュウってやんなきゃ!(笑)
義人/……コーラって振っていいものなのか?
鉄弥/じ、じゃあ……旭人さんにミサイルを向けるようにして開けます(笑)
旭人/向けられたー!(笑) ぶはあぁっ! あはははは、子供のことに怒るなんてしないぞぉー!(笑)
千晶/旭人さん、早くお風呂に入って来てくださいよ。
旭人/我慢するよ、仲間外れとか寂しいじゃん!(笑)
義人/……じゃあ、せめて上着だけでも脱げ。
旭人/キャー義人さんのエッチー! 脱ぎますよーっ!
鉄弥/皆さん、仲が良いですね……。
旭人/相変わらずてっちんは小さいなぁ!
鉄弥/ち、小さいの気にしてるんだから言わないでくださいよっ!(笑)
GM/鉄弥の目の前に子供がいる。
一同/…………ええっ!?(笑)
鉄弥/え……え、いきなりですかっ!?
GM/いきなり。
千晶/目の前って、机は?
GM/あ。机があったなら、白装束に身を包んでいる子供が机の上から見下ろしている。
鉄弥/うわ……これは、見てはいけないものを見ているような気がする!
義人/君。……行儀が悪い。下りたまえ。
GM/少年は、声も何も聞かず鉄弥の方に歩き出します。
鉄弥/な、なに……ちょ、ちょっとッ?
GM/そのままダイブします。
鉄弥/ええっ!?
GM/抱きしめられます。
千晶/あ、触れるんだ……?
GM/そして、鉄弥だけに見える……抱きしめた彼の顔が……笑った。
鉄弥/……え……。
GM/その瞬間、全員の世界が真っ白になる!
鉄弥/うわぁっ……っ!?

 それは、突然すぎる出来事だった。
 白く、白い閃光の中に呑み込まれる。
 何が起きたのも理解できない冷たさと、光の熱さ。
 両方を感じながら、4人は、意識を手放してしまうのだった――。



 ★シーン2/出逢い


 12月の外は寒い。
 道場で行われたクリスマスパーティーは、確かに夜だった。
 けれどこの地の白く、空も白い。
 雪が『天井から』降り続ける不思議な世界に、冷静でいられる訳がなかった――。


GM/まず最初は、鉄弥のシーンからいくよ。
鉄弥/は、はい……意識を取り戻していいんですか?
GM/うん。この1か月大変だったけど、ゆったりとした眠りから目が覚めると……そこは、冷たい雪の感触がする場所でした。
鉄弥/え……ええっ? か、身体が……。
GM/目の前には整備されてない川。そして、雪。吹雪いてはいないけど、降っている。
鉄弥/うわ、ちょ……と待って、寒いよう! これはヤバイ!
GM/周囲を見渡すと、見るからに開発されていない場所だ。アスファルトも無いし、電線も無い。
鉄弥/な、なんでこんなところに居るんだろ……見たことのない景色だし……ど田舎? エアコンは……?
GM/そこに、――――ザク。背を向けている方から、雪を踏みしめる音がする。
鉄弥/……その音を微かに聞きつけて、首を向けます。
GM/そこには、二十代ぐらいと想われる男性が立っている。
鉄弥/あ……。
GM/髪型や服装は古風。雪の中でも、彼は寒がらず立っている。……顔立ちは『とても美しい』と思った。
鉄弥/……震えた声で……ここはどこって訊きます。
GM/「宇治川だ」
鉄弥/宇治川……って、どこ?
GM/「……」。震えているのを見た彼は、持っていた紫色のショールっぽいものを君にかけます。
鉄弥/あ、ありがとう……?
GM/「動けるか?」
鉄弥/……足を立たせるのが微妙なラインです。凍えちゃって……。
GM/「そうか、掴ま……」れ、と言おうとして、彼は止まる。
鉄弥/えっと……?
GM/手を出そうとしながら、躊躇ったような仕草を見せ……結局は、やっぱり君を支えようと手を出してきます。
鉄弥/て、手を取ります。
GM/体温を感じさせない手ですね。そして……手を取ったときに、「ジャラッ」という鎖のような音がした。
鉄弥/ジャラ? 何の音だろう?
GM/「……あそこまで行けば神社がある。歩けるか?」
鉄弥/神社……ですか。なんとか……。
GM/「歩いてみせろ」
鉄弥/……支えられて、神社まで向かいますよ。
GM/神社に着くと、彼はガッと無人の入口を開ける。「……入れ」
鉄弥/は、はい……雨風凌げるところに来られて本当に良かった……。でも、貴方は誰ですか?
GM/「先に名乗ってくれないか。私が確認を取れない」
鉄弥/か、確認? ……まあいいや……俺は、白石鉄弥と言います。だ、大学生です。
GM/大学生と言われて……ホントに判っているのかは判らないけど、頷きます。
鉄弥/今度こそ訊きますが……貴方は?
GM/「名乗って面白い名前じゃない」……名乗るのを拒みます。
鉄弥/お、教えてくれてもいいじゃないですか。名乗れと言ったのは貴方ですし……。
GM/……暫く黙った後。「…………敦盛だ」
鉄弥/あ……敦盛さん、ですか。……先程はありがとうございます。
GM/「お前。……ここに来て、今まで来た世界とは違うな?」……確認を取るかのように尋ねます。
鉄弥/は、はい。ビルも電線も無いし……。
GM/「お前の住んでいる場所にあるもの無いんだな? ……それも仕方ない。ここは、お前の世界ではない」
鉄弥/は?
GM/「元の世界に帰りたくはないか?」
鉄弥/ええっ? そ、そりゃあ帰りたいです……けど……。
GM/「お前は、お前の居た場所ではない別の世界に召喚されてしまった。元の世界に帰るためには力を手にしなければならない」
鉄弥/し、召喚……? 力を……手にする?
GM/「龍神の加護が無ければ……『力を持った物』を3つ集めなければ帰れない。判ったな?」
鉄弥/ポカン……としながらも頷きます。そ、そうですか……信じられるのは貴方しかいませんし、そうなんでしょうね……。
GM/「物判りが良い奴は好きだぞ」……手をすっと上げます。けれど、すぐに下げます。
鉄弥/ん?
GM/何をしたかったか知りたかったら、〔才覚〕で難易度7。
鉄弥/(ころころ)成功です。
GM/『その仕草、頭を撫でようとしたのかな?』って思った。だけどヤメたみたい。
鉄弥/な、なんと……子供扱いしようとしているな!(笑)
GM/……彼は神社から出て行こうとします。「まずは落ち着くところだな……待っていろ。身体を暖めるものを持ってきてやる」
鉄弥/は、はい……貰ったショールみたいなもので暖を取って待ちます。
GM/その柄が……見たこと無いけど紫の綺麗な花の柄だなぁと思った。
千晶/……紫……だとぉ?(笑)

 『紫』という色が、何を意味しているのか。
 鉄弥が知っているかどうか〔才覚〕で判定してみるも、見事失敗。鉄弥は暖かいショールで自分の体を暖めるだけだった……。


 ※ 【 鉄弥:敦盛フラグ(1)を入手 】

    ◆

 ……一方その頃。千晶が目を覚ますと……。

GM/千晶が目を覚ました場所は、廃屋だらけの不気味な村です。雪は降っていて、どんどん積もっていきます。
千晶/な、なにこの寒さ、尋常じゃないよ……道場にいた筈なのになんで……?
GM/周りに居た人も誰もいない。まるでゲームの画面の中で見る、村が戦いで燃えてしまったかのような、廃村だ。
千晶/今、裸足だし……足が切れる……霜焼けになっちゃう……。
GM/ガサリ。
千晶/ん?
GM/あちらの建物に物影が。……人でもいるのかな?
千晶/ど、どなたかいらっしゃいますか……?
GM/近付きますか?
千晶/……なんか怖いけど、周りに誰も居ないし、近寄ってみます。
GM/……近づいて、その影を見て……パッと思う。『……ガイコツだ!』
千晶/ガイコツっ!? ほ、ホラー!?
GM/「グググ……」と呻き声のような禍々しい音を発する……矢などが刺さった不気味な武者だ。折角だから〔武勇〕で判定してみようか。
千晶/逃げる!(ころころ)……ファンブリました!(笑)
GM/おいしー!(笑)

 サイコロの出目が6・6の場合はクリティカル(大成功)だが、1・1だった場合ファンブル(大失敗)になる。
 失敗した上に、悪条件なオマケが付いてしまうのだが……。

 
GM/……冷たく棒になった足がそう簡単に早く走れる訳がなく、雪に突っ伏すように転んでしまいます。
千晶/痛っ! 雪で冷たい……!
GM/ギギギ、と近づく武者風の化け物は2匹……3匹。
千晶/数が増えた!? に、逃げなきゃ……!
GM/けれど追いつかれてしまう千晶! ……ここでプレイヤーに質問だけど。
千晶/はい。
GM/ガイコツにヤラれておきます?
千晶/……う、うーん!(笑)
GM/『ヤラれた後に拾われる』と『ヤラれる寸前に助けてもらう』のどっちがいい?
義人/……事後か事前かって話だな(笑)
千晶/どっちにしろハンドアウトで助けてもらえるって判ってるからね!(笑) じゃあ……(地の底から響くような声で)前者でお願いします(一同爆笑)
GM/呪われるような声で言われた!(笑) それでいいの?
千晶/はい! ダイスがピンゾロ出したし、いきなりヤラれろと神様が言いましたのでそうします!(笑)
GM/……じゃあ、ガイコツ兵士が君の足を固定する。「コイツらに食われるのか」という恐怖心に襲われたところを、実際ガブッと噛みつかれます。
千晶/いたっ! く、食われる……生命の危機!?
GM/ただ、歯が殆ど無いから噛みついたと思ったけどヌルヌルするだけ。
旭人/……そっか、声帯があるってことは肉がまだあるのか。
義人/……半生だねえ。
GM/だね、ガイコツって言ったけどゾンビって言った方がいいかな。……ガサッと服が引き裂かれます。
千晶/寒っ! うわあ!
GM/妙な音を出しながら、他のガイコツが足を引っ張る。ズルズルとそのまま、廃屋の方に引きずられます。
千晶/やだやだ! 食われる食われる! だ、誰かー!
GM/しかし貴方は……前者を選んでしまいました(一同爆笑) 近場の廃屋に連れて来られると、奥の暗闇に……多くの目の光が輝く。1匹が慣らすとかもせず、ぐちょりと生暖かいモノが下半身に襲いかかります。
千晶/き、気持ち悪い……!
GM/まず、前の方を探します。……女性と間違えてるのかな。
千晶/……付いてるよ!(一同爆笑)
GM/付いてるのが判ったら穴が空いている方にいくよ。それと口とか……耳とか。
千晶/そ、それは流石に……!
GM/……入らないからやめるけど(笑) でも、下はズズッと這って……痛さの方が強い。
千晶/痛いのと寒いのと気持ち悪いので最悪だ……。
GM/意識が遠のくこともできない。……だけどそのとき、鈴の音がする。「去れ!」という男性の声も。
千晶/あ…………。
GM/その声に、ピタリとゾンビ達の動きが止まる。……消えてなくなることはないけど、君から身を離していく。
千晶/離れていく……けど動けないな。ずり落ちた肉も体に付いているし……。
GM/「ニイの尼! 知盛!」と男性が何者かに声を掛けます。ザッと人影が動いて……人間の足音がやって来る。その音が君の安心感に繋がるんじゃないかな。
千晶/う、うん……助かったのかな……?
GM/現れた男性が君を抱きかかえるよ。……年は30過ぎぐらいの、落ち着いた目をした人が、君の肩を抱き「すまない……」と男が謝る。
千晶/ありがたいけど……汚れてるのに……という目をします。口の中に物が詰まってブッチョンブルブルゲ。
GM/…………。その言葉、メモっておきます(一同爆笑)
千晶/そんな、擬音をいちいち!?(一同爆笑)
旭人/アッチョンブリケじゃないんだからさ! っていうか今の何っ!?(笑)
GM/シーン続けるよ!(笑) ……目を覚ましたとき、君は暖かい寝室の中にいた。
千晶/あ、あれ……ここ、どこだろ……。体はどうなってますか?
GM/洗われてるね。口の中も何も無い。
千晶/良かった……。うっ、でも悪夢が蘇る……。
GM/そこへ「こちらだな?」と誰かに尋ねながら入って来る男性がいます。……30過ぎの男性が。「おお、目覚めたか」
千晶/あ……た、助けてくれた人ですか、ありがとうございます。頭を下げようとするけど起き上がれない……。
GM/「無理をするな」と、とても綺麗な服装をした男性は言います。義人が着ていたような着物とも違う服装だね。そして「……すまなかったな」と謝る。
千晶/……なんで謝るんですか?
GM/「あ、いや……体調は大丈夫か? 清めはさせておいたんだが」
千晶/はい……なんとか。あの……ここ、どこですか? 僕は、古川っていう家に居た筈なんですけど。
GM/「古川? ……すまない、判らないな。どこの国だ」
千晶/鎌倉じゃないんですか?
GM/顔を顰めます。「……そこから来たのか? ここは、京だぞ」
千晶/京……都? ええっ?
GM/「同行していた者は? ……置いて行かれたのか……」
千晶/そ、そんなことはないと思うんですけど……意識が無くなる前に居た人は、あと3人居たんです。
GM/「何か訳でもあったのかもしれないな……戦いに巻き込まれたか」君のことをひどく心配します。
千晶/いいひとだ……。目が覚ましたら雪景色で……わ、判らないことだらけです。
GM/「そうだ。これはお前の荷物かな? ニイが拾ってくれたんだが」……と、君の鞄を見せます。
千晶/あ、ドリルとかが入っている鞄か。他にも【エプロン】とか【お鍋】とか【お弁当】とか(笑)
GM/あと、電子辞書とか。
千晶/良かった、コレ無くしたら千里に怒られる……。
GM/「千里っ? あ、ああ……なんだ、お前の仲間か。とりあえず落ち着いてから仲間の者の特徴を教えてくれれば私が探させよう」
千晶/は、はい。ありがとうございます。なんだか眠くなってきた……。
GM/「ああ、眠っておけ。……すまなかったな」
千晶/う、うーん……なんで謝るんだろう……。

 夢うつつになっている時、何かが聞こえたかもしれない。
 だけど、千晶にはその言葉を聞く冷静さは残っていなかった。


    ◆

 そしてその頃……雪の中でタンクトップ姿の旭人は。

GM/……寒いです。
旭人/ですよね!(一同笑) タンクトップで雪の中、しかも付けてるシルバーが超寒い! ひんやりして相乗効果! 外すわしまうわ!(笑)
GM/場所は、車通れないような道に一人きりです。
旭人/なにここ! いやがらせ!? ドッキリ!? おばば様の為の誕生日企画!? いやそんなコトないでしょ! カメラとか無いよね!? ヒドくね! ああああ寒い! せめて何かさせるにも服着させてからにしてくれよ!? マジ寒いんだけどー!(笑)
義人/…………ごめん、まったく無自覚に脱がせちゃった(笑)
旭人/義人! 俺だけ寒いとかないでしょ! ちーもてっちんも居るんじゃねえの!? マジ寒い死ぬ! カメラマンさんも早く出てきてよー!(笑)
GM/……じゃあ、馬に乗った村人風のオッチャンがあっちの道からやって来る。
旭人/ええっ、こんなセットまで……。
GM/そして君を通り過ぎていく。
旭人/おおいっ!?(一同笑) 待て! 〔武勇〕で止めます! ちょっと待ってマジで待ってー!(笑)
GM/(物凄い訛った声で)「なぁにしてんだぁ、なんつーカッコしてんだあオメぇー?
旭人/いや、俺も知りたい!(笑) っていうかここはどこですか、撮影所の人ですか!? とりあえず寒いです! あったかい所に行きたいです!
GM/「ああん? さみーだろぉなあ? ならあっち。あっち行きゃあナントカなんよ。たった3キロぐらいだべさ」
旭人/…………せめて藁でもくれ!(笑)
GM/「なんか恩返しでもしろよおー?」と頭に被っていた傘をあげます。
旭人/いつか恩返しをしに行くよ……でもサッム!(笑) 3キロ……裸足で3キロ……うううう。
GM/「あー、平家の落ち武者かなぁー」パカラパカラッ。
旭人/平家……落ち武者……そういう設定なのっ!?(一同爆笑) とりあえず走った方がいいな……3キロぐらい俺の〔武勇〕でなんとかなるよね、なんとかする!(笑)
GM/……ダッダッダと整備されていない道を歩きます。
旭人/ああ、なんだか暖かくなってきた! これって凍死する寸前だよね!?(笑)
GM/……では、暫く走った先に屋根のある無人の建物と、傘を差している男性が見えました。
旭人/屋根の下に入ります!
GM/あっちに人影います。
旭人/……。
GM/傘を差している人影がいます。
旭人/……。
GM/屋根の無い100メートル先にいます。
旭人/…………俺イケる。イケる。アレが義人かもしれないか、うんダッシュ!(笑)
GM/おおっ、よく見たらあの傘を差しているのは着物じゃないか。きっと義人だ!
旭人/よぉーしとぉー! お前、何してんだよー!
GM/けど、……それは義人、っぽい人でした。
旭人/よし……んっ? 義人の特徴はメガネだから……どうした、落したのか……って、微妙に顔が違う? え……古川の人ですか?
GM/「……違うな、人違いだ」。彼が話したとき、クゥーン……という鳴き声が、彼の胸元からした。
旭人/……なに、飼ってるの?
GM/足元にはボロボロの木箱。それと犬が居た跡がありました。「……犬をやろう」
旭人/え、あ……あったかい! おー、よしよしよし!(笑)
GM/ああ良かったな、飼い主が見つかったかっ!
旭人/飼い主ぃ!?(笑)
GM/「いやいやまさかこんな早く飼い主が決まるとは思わなかったぞぉ、良かったなぁ! じゃあなっ!
旭人/せんせーい! 俺も捨て犬と同じ状況下です! このまま捨てられると死ぬんですがーっ!?(笑)
GM/「威勢の良い奴に拾われて良かったなぁ! 寒そうな格好をしているがきっと心はハートフルでなカンジだから大丈夫だなっ!」
旭人/おい、話聞けよっ!? 話聞けっつーの! 完全に義人と同じ顔だからなんでも言っちゃうぞ!? 身ぐるみ剥ぐぞコラァッ!?
GM/山賊か!?(一同爆笑) それにしても堂々としてるな」
義人/……だんだんキャラが読めてきたぞ(笑)
旭人/だ・か・ら……寒いって言ってんの、俺っ! で……現在この状況で犬を拾っておいて人を拾わないのね!? 雪の中でこんなに死にそうな人がいて!?
GM/どうして傘を差さないんだ?
旭人/無いからだよっ!(一同爆笑) 寒いし意味判らないしコイツ! 傘を奪い取る!
GM/「…………頭に雪が」
旭人/ああ、ワンコ寒いなぁ! コイツ、構ってらんねーよ……。
GM/山賊か!? お前それは物取りだぞぉっ!?(一同爆笑)」
旭人/傘1個で喚くな!(笑) ……つーかお前、俺の方が完全状況悪いの判ってる? 見てみろよ足とか肩とか! お前の方があったかそうじゃないか。さっきのオッチャンに貰ったこの傘あげるよ、トレード!
GM/「うむ、等価交換なら仕方ない」
旭人/犬が超あったかい。犬も死にそうで俺も死にそうだけど。
GM/「そうか、良かったな」
旭人/良くねえよっ!? 何も問題解決してねえよっ!
GM/「傘があって犬がいる、2つもあって暖かいじゃないか」
旭人/だから俺も犬もこのまま放置されると体温が無くなって死ぬのっ!
GM/「大変だなぁ」
旭人/ああ超大変っ! で、目の前に死にそうな人間がいる。何にもしない!?
GM/「じゃあ一緒に行くか」
旭人/長っ!?(一同爆笑) やっと納得させた! 疲れた! 何コイツ!?(笑)
GM/「しかしお前は暑苦しいな。名は何という? じゃないと好き勝手呼ぶぞ」
旭人/……三剣旭人です。あのさ、古川義人って知らね……?
GM/「すまないが、判らないな」
旭人/そっか……。
GM/「すまないな、知らなくて」
旭人/……ホントだよ(笑) つーか何? コレ撮影? 撮影にしちゃ手が込んでるよね。
GM/「あ、あそこに馬が……」と彼は馬小屋を指差す。と、そこに……義人がいた。
義人/じゃあ、馬の影に居ます。
GM/「御苦労」と義人に言います。
義人/ああ。よく判らないが俺の役割はそれでいいんだな?
旭人/義人さんっ!?(笑) ガッと捕まえます! そういうことじゃないだろうっ!?
義人/メガネで確認しながら……旭人か?
旭人/ああ、メガネがあるし義人だっ!(笑) うん、旭人だけどさ! 何これ、おばば様の大がかりな撮影?
義人/その前に訊きたい。…………その犬はどうした?(一同爆笑)
旭人/……アイツが拾ってきた。
義人/彼は、どちら様だ。
旭人/知らない。名前訊いてないもん!
GM/「身内か。良かったなクガネ、新しい家族が増えて」
旭人/この犬、クガネって言うの!? っていうかあの短期間で名前付けたんだっ!?(笑)
GM/「金銀の金と書いて、クガネ。カッコイイだろ」
旭人/カッコイイけどさっ!(笑) ……あまりに変な状況で訊くの忘れてたわ。お前、名前なんつーの?
GM/「名乗るほどのものではない」
旭人/じゃあ髪の毛黒いからクロって呼ぶわ。
GM/何故判る!?(一同爆笑) 名前とか書いてないのに何故判る!?」……っていうか、旭人と義人の髪の毛って何色なの。
旭人/茶色かな? 焦げ茶ぐらいの。
義人/……黒で。
GM/(義人を見て)「じゃあそちらもクロさんか。俺のことは鞍馬(くらまの)と呼んでくれ。宜しく」
義人/ああ、こちらこそ。旭人が世話になった。
旭人/馬を世話してくれていてありがとう。
義人/俺も気が付いたらここにいた。ということは、俺は馬を守るためにここに居たんだな(一同爆笑)
旭人/ちょっと待てっ!(笑) 義人、この状況に疑問を持とう!
義人/なんであれ、任されたことは全力でやり通せというのが古川の家訓だ!(一同笑)
旭人/義人、落ち着こう!(笑) まずここはどこだ!?
義人/正直に言おう。…………俺も混乱している(一同爆笑)
旭人/……とりあえず犬やるわ、触って落ち着け(笑)
義人/ありがとう、アニマルセラピーというやつだな。
旭人/で、そこの黒いの。
GM/(義人を見て)「呼ばれているぞ、お前
旭人/いや、コイツは義人っていうから! っていうかさ、寒いんだけど!?
GM/「では、俺は帰るぞ」
旭人/待てっ!(笑) 状況が判りません、ここはどこですか!?
GM/「橋姫だ」
旭人/…………どこ?
義人/京都だ。宇治川の近くにある。
旭人/へえ……あの、カップルがいっぱいいる?
義人/それは鴨川だな。……近くにあるのが判ったし、行ってみるか?
GM/君らの言葉に苦い顔をしますね。「あまり……行かない方がいいぞ」
義人/鴨川にか?
旭人/宇治川にだよね!?(笑)
GM/「あそこは縁切りの名所だぞ」
義人/あ、そっか。宇治の橋姫はカップルで通ると縁を切られるんだっけ。……でも俺達はカップルじゃないから行っても問題は無い。
旭人/行く必要も無くね?
義人/まったくだな。……俺は混乱している(一同笑)
GM/「という訳で、俺はこの辺で」
旭人/待てぃっ!
義人/正直に言おう。……我々を助けていただきたい。
GM/「わかった」
旭人/……簡単だった! 一言で済んだ! 今までの俺の苦労は何っ!?(一同爆笑)
GM/……そんな風にして、電柱もビルディングもコンビニも無い世界のとあるお屋敷に来たのでしたとさ。


 ★シーン3/再会


 突如、住んでいた世界とは違う場所に飛ばされてしまった4人。
 見覚えの無い雪の大地と、少しだけ記憶にあるような不可思議な情景。
 ……とにかく、今の状況を把握しなければ何も出来なかった。


GM/鉄弥にシーンを戻します。……ガラリと神社の入口が開かれ、例の男が現れます。
鉄弥/顔を上げます。お、おかえりなさい……。
GM/男は何かを投げよこした。
鉄弥/受け取ります。何を……?
GM/【星の欠片】。発光する物だし暖かいと思われる。
鉄弥/ええっ!? いきなり迷キン的なアイテムが!(笑)
GM/一応迷キンだからね。「ここは『迷宮』と呼ばれる世界。現在、この世界は『上の天使・平家』『下の深人・源氏』が勢力争いをしている。鎌倉殿こと源頼朝が平家に喧嘩を売っているんだ」
鉄弥/げ、源平合戦……? 凄い仕組みだ……。
GM/という訳で、今居る所が現代でもないということや、迷キン世界的な説明をされます。「……そして、この近くに源義経が来ている」
鉄弥/えっ、源義経って……俺のいた時代ではとても有名人ですよ!
GM/「知っている名前か? 知っているなら都合が良い。お前は、源氏に加われ」
鉄弥/加われって!? そう言われても……。
GM/「志願すればいい。もしかしたらお前の知り合いも源氏にいるかもしれない」
鉄弥/は……はい、判りました。けど、せめてその……俺と一緒について来てもらえませんか? 俺はここの世界のことが全く判らないので……。
GM/苦い顔をします。
鉄弥/……ダメですか?
GM/「……わかった、加わろう。まだ体調は回復しないか?」
鉄弥/あ……だいぶラクにはなりました。大丈夫です、動けます。
GM/「では行くか……だが」と、声を掛ける。けど、彼自身が渋ります。
鉄弥/ど、どうしたんですか……? 首を傾げます。
GM/……君に近づく。
鉄弥/……はい?
GM/ギュッと抱きしめる。
鉄弥/なっ!? あ、あったかい……けど。
GM/「……」
鉄弥/複雑な気持ち……。な、なんなんですか?
GM/「堪能してる」
鉄弥/あの……お、俺は……貴方にとってどういう存在なんですか。抱きしめたり……?
GM/「希望だ」
鉄弥/……希望……?
GM/「…………出来るものなら、このままモノにした方が私の言うことを……」
鉄弥/ええっ……?
GM/一方的に言いますよ。「……私の気持ち、受ける気はないか?」
鉄弥/……ちょ、ちょっ……待って!(笑) 普通に受け取ると告白みたいなんですだけど! どういうことですか!?
GM/「ここで抱かれておく気はないか」……大真面目な顔をして言います。
鉄弥/……いきなり、何を……。
GM/「ふふ……冗談だ」。笑います。……去ったときに、「ジャラっ」という鎖の音が聞こえたような気がする。
鉄弥/また……? よ、よく判らない……。
GM/そんな感じで、鉄弥は彼は一緒に源氏のいるという屋敷に向かいます。

    ◆

GM/……一方その頃。先にとある屋敷に着いた旭人と義人は。
旭人/こ、ここが俺達のいた世界とは違う? なんだってー!?(笑)
義人/とりあえず旭人、俺の着物でも羽織っておけ……とゲホゲホ咳きこみながら言います。
旭人/あ、いいから! 小さい頃から寝込んでるクセにすんなよ!
GM/「お前、体が良くないのか?」
義人/……あまりな。
GM/「そうなのか……」と話していますと、彼の横にそそっと法衣を着た男性が近寄ります。そして小さな声で「……義経様。暫しお話を」
旭人/えっ……よしつ、ね?
GM/その男性に応対し「ああ、今行く」と彼は去っていきます。
旭人/……アイツ、義経っていう名前なんだ。へえ……。
義人/鞍馬……義経……クロ……『九郎』? つまり俺らは源氏側に居る……? ……うっかり良い人に拾われたな。旭人、偉いぞ。
GM/では彼らは、……鉄弥ともう一人の男性を連れて帰ってきます。
旭人/て、てっちん!?
鉄弥/義人さんと旭人さん!? お二人とも平気ですか!
義人/ああ鉄弥くん……大丈夫だったか。
旭人/てっちん! ここ、俺達のいた世界と違うらしいよ! それにあっちの奴が義経らしいぞ! ちょっと夢壊れたんだけどマジ今のでブロークンだし!(笑)
鉄弥/あ、あれが義経……!
義人/……ということは、法衣を着た義経の部下っぽい男っていうのは。
旭人/やべ、アレが弁慶なんじゃね!? 弁ちゃんだよ弁ちゃん!
義人/失礼だぞ。……弁さんと呼べ(一同笑)
鉄弥/お二人とも、あまり変わってないですね!(笑)
GM/さて、ここに居るのは鉄弥、旭人、義人、鉄弥が連れてきた敦盛、義経、その部下……の6名です。では法衣を着た男が、義経に対して話し出します。「三種の神器と思われる青色が、平等院の方角にて目撃されたそうです」
旭人/平等院って言ったらアレだよ、十円玉だよな! 三種の神器っていうのは……。
義人/冷蔵庫と洗濯機とテレビだ。
鉄弥/それは違います、昭和のです!(笑)
旭人/……なあ、俺達が居る場所で重大そうな話して大丈夫なの? 俺達部外者だけど平気?
GM/それを聞いた義経は答えます。「ごめん
旭人/ごめんって!?(笑) 弁慶さんっぽいの人の方を見て哀れそうな顔をします!
GM/では法衣の男性が「……自己紹介をした方が良さそうですね。初めまして、私は武蔵坊弁慶と申します」
義人/噂はかねがね……教科書などで(一同笑)
旭人/……こんな奴に負けて、悔しかったでしょう!(笑)
GM/それは知っていても言わないお約束ですよ、黒歴史です
旭人/インテリだ、インテリくさい仕草だった!(笑)
GM/「アナタ達が平家側でないことは聞いております。アナタ達は別の階から……ここではない世界から来たというのですね」
義人/ああ、そのようだが……。
GM/弁慶は、ここに平家が居ないと思い、話をしているようです。……ちなみに、鉄弥を助けた敦盛さんは部屋の隅で待機してます。
義人/あ、鉄弥くんがお世話になりました。
GM/弁慶は敦盛の方を見ますが……頷いただけで終わらせます。
旭人/あれ、お知り合い?
GM/「いえ。……それよりも義経様」「ああ……お前ら、リラックスして聞いてほしい」
旭人/あ、ああ……?
GM/「宿も無いし、行く先も無いんだろう? なら、俺が拾ってやってもいい」
鉄弥/えっ……。
義人/出来ることだったらなんでも話を聞きたいと思う。……だが、俺達はあまり力になれることがないぞ。
GM/「でもお前らはそれなりに腕は立ちそうじゃないか。旭人の体つきを見れば判るし、義人も才はありそうだ。だから、手助けしてほしいんだ」
義人/……何を?
GM/「それほど俺の顔は知られていない。まだな。平家から源氏に身を寄せる者も増えたし、これからもっと仲間を増やしていく。平家との合戦に勝利をしていくのは当然ながら……もう一つ、大きなチャンスが我らにはある」
旭人/チャンス?
GM/『三種の神器』というものがある。『八咫鏡(やたのかがみ)』『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』……いずれも王の徴だ。これが先日、何者かに……放たれ、どこかにバラまかれた」
旭人/盗んだ奴が……手放したのか?
GM/「そのようだな。何者かが、天使が持っていた三種の神器を、誰のでもないようバラまいた。これは源氏としてはチャンスなんだ。手に入れてしまえば俺達が力を得る」
義人/もちろん、平家的にはピンチになる訳で……。
GM/『ま、奪い返せばいいんだけどね!』程度に平家は思っているんでしょう。「三種の神器を手に入ればとても有利になる。『戦に勝った上にコレを持ってるんだぜ!』と言えるし、『戦に負けてもコレを持ってるんだぜ!』とも言える」
旭人/兵をさく価値はあるってことか……。
GM/「我々は合戦に勝利しつつ、三種の神器を捜索しなければならない……そこで、頼みがある」と義経は義人の方を見る。
義人/ん?
GM/「俺とお前は顔が似ている」
義人/メガネを外しますよ。……似ているのか?
旭人/……そっくりだな。知らない人間が見たら、お前だって間違えるんじゃねーの?
鉄弥/多分、服を取り換えたら完全に入れ替わるんじゃ……。
GM/「頼みとは、お前が俺の影になってほしいということだ」
義人/……影というのは、影武者のことだな?
GM/「ああ」
義人/やろう。
鉄弥/…………え、ってそれ!? 危ないですよ!?
旭人/反対! 義人、まず家臣の言うことぐらい聞けよな!
義人/参考までに意見を募ろう。
鉄弥/……影武者になるということは、少なからず命の危険があるということではないでしょうか!?
義人/まったくだ。その通りだと思う。
旭人/考えてなかったのかよ!? お前さ……当主の自覚、あるの? お前に何かあったら帰った後、ハラキリさせられるぞ! おばば様ならやらせっぞ!(笑)
義人/……当主の自覚以前に、恩義には報いたい。
鉄弥/でも……タダゴトではすみませんよ……。
GM/「仕組みとしては、義経が動いているように平家に見せかけるだけ。鎌倉殿の弟ということで自由に配下も分けられるので、作戦が立てやすくなる。何より、捜索部隊の指揮をするだけなら本陣から離れることもなく、危険は配下に守らせれば危険は無いかと……」と、弁慶が説明します。
旭人/弁慶が!(笑)
義人/判りやすい話をありがとう!(笑)
GM/「ですが、義経様の影になる以上、義経様として死ぬこともありえます」
義人/……立場で守るのが当主というものだ。そして、下の者を守るのは兄の役目だ。俺が義経の元で役に立てればお前らを守ってやれるだろ?
旭人/……馬鹿! お前ごときに守られるか、逆に守ってやるよ! 剣で守るのが俺の役目だ!
義人/……期待している。義経の方を向いて答える。……お受けしよう。
GM/「そうか……では、詳しい説明を弁慶にしてもらおう!」(一同爆笑)
旭人/弁ちゃんマジ判りやすーい!(笑)

 こうして、義人が義経の影武者として一つの部隊を任されることとなり……『一つの王国』は完成し、『王宮シート』が配布されるのだった。

 ※ 【 旭人:義経フラグ(1)を入手 】
 ※ 【 義人:義経フラグ(1)を入手 】

    ◆

 そして。ひとり、別の場所に居る千晶は……。

GM/千晶のシーンに戻ろうか。源氏で3人がされたように、千晶もこの世界についてや今の情勢についてを説明されます。暫く話をして、男が自己紹介をします。「私は安徳天皇と呼ばれている。つまり……だな、私は天皇ってやつなんだ」
千晶/天皇……『ってやつ』?(笑) ちょ……色んなことをさせてしまった!
GM/少し寂しそうな顔で言う。「……そういう反応をされると思ったから、言いたくなかったんだ」
千晶/じゃあしない。
GM/しないんだ(笑)
千晶/……しなくていいよね?
GM/「……ああ。いい、しなくていい」
千晶/良かった。……でもこの安徳天皇って30歳なんですよね?
GM/ええ、がちっとした体格の良い大人です。座っていれば威厳があるんじゃないでしょうか。「今は軍を率いている者が源氏を討つべく兵を出してはいるが……何者かによって三種の神器を放たれてしまい、我らも困ったことになっている」
千晶/三種の神器を探さなきゃいけないんですね……。
GM/「……それはともかく。タイムスリップしてきたというお前には判るんじゃないか。私達は、お前の世界だとどうなっている?」
千晶/……僕達の世界では?
旭人/ああ……未来から来てるから預言者扱いだよな。
GM/「教えてほしいが……別に言いたくなければ言わなくていい」
千晶/う、うん……僕、あまり歴史は詳しくなかったから。ごめん。
GM/少し残念がりますが、すぐに笑いかけます。「とりあえずはここに居ろ。思う存分休んでくれ。そして、何か面白いことがあったら私に聞かせてほしい」
千晶/面白いこと?
GM/「なんでもいい。未来の世界とやらの話を聞きたい」
千晶/じゃあ……鉄の箱が道を走ったり、空を飛んだりするよ(笑) 生身の人間じゃないけど空を飛べるようになるんだよ。
GM/「おお……そうなると聞いたことがある」淡々と聞いておりますが、とても楽しげに聞き返したりします。「ああ、もちろんこの世界について判らないことがあったら何でも私に尋ねてくれ」
千晶/うん、ありがとう。……他の、一緒に居た親戚とかどこ行っちゃったんだろう?
GM/「私が探させる。安心しろ」可愛がるように君の頭を撫でます。
千晶/うう……やっぱり子供扱いされてるな。
GM/「今日も話をありがとう。失礼するぞ。…………すまんな」
千晶/「すまん」の意味が判らない……毎回言われているような気がするよ。こっちだって助かってるし、ありがとうだよ。
GM/「……そうだな。色んな話を聞かせてくれるだけで楽しいよ。これからもその態度でいてくれ」
千晶/……判った。
GM/安徳天皇が去ってから……数分経った後。貴方の部屋を誰かが覗きこんでいるのが判ります。
千晶/……誰だ?
GM/13歳ぐらいの少年の姿が見える。
千晶/え……13歳……千里と同じぐらい?
GM/パッと見、千里だ。
千晶/……千里っ!?
GM/「良かった、もう元気そうじゃないか!」……声も千里みたいなカンジだけど、服装は違います。
千晶/え、えっと……どちら様でしょうか?
GM/「ボクは平忠度(たいらの・ただのり)。突然だが、頼みたいことがある!」……と、まるで千里のような切り返しをする少年。
千晶/な、なに?
GM/「お前、忍になる気はないか? 毎日会いに来られるぐらいスッゴイ気に入られてるだろ……天皇に」
千晶/う、うん……なんか、良くしてもらってはいるね。
GM/「折角イイ感じに好かれてるんだから、その感謝の気持ちを天皇の為に動いてみないか?」
千晶/あ……あの人の為になることなら、ちょっと恩返しがしたい、かも。
GM/「実はさっきのお前達の話、ちょっと聞かせてもらったよ! という訳で、異世界から来た何者でもない立場を利用し、源氏に入り込み、情報をこちらに流してほしい」
旭人/…………スパイか!
GM/「きっとお前の知り合いというのも、おそらくどちらかの兵力につく。国が二つに分かれているのだから、天使に居ない今、深人についた可能性がある」
千晶/源氏に……みんながいる可能性がある?
GM/「きっとな。源氏に居る知り合いの元に忍びこんで……ちょっとオレ達の方に情報を漏らしてくるだけでいい。天皇の為にやってみないか?」
千晶/……やって、みる。
GM/キャラクターシートを見て)千晶の武器は槍か……。「お前、昔武芸をやっていたな? すぐに磨けばそれなりに光るだろ。引き受けてくれれば天皇も喜ぶぞ!」
千晶/……こくり。
GM/……そうして、数日後の夜。今夜もまた彼が職務を終えた後にやって来ます。「新しい話を聞こうと思ってな」
千晶/おつかれ。そうだな、飛行機も自動車の話もしたし……あと何があるかな。あ、この世界って電話はまだないかな?
GM/「一応アイテムとしてはあるが……それほど流通はしてないな」
千晶/アレ、僕の世界だと一人一台に普及してる。それと、全世界の人と繋がれるパソコンっていう箱がある。
GM/「ああ……そういう風に身分関係なく話せる時代が来るんだな」
千晶/そもそもそんなに身分が無いよ。
GM/「それは素晴らしいことだな。……いや、上に立つ者としてこういう発言は控えた方がいいと言われているが」
千晶/う……なんかヨシヨシしたくなったぞ(笑)
GM/ヨシヨシされた。「……千晶、お前はいくつだ?」
千晶/19です。
GM/「……母以外しないぞ、そういうことは」
千晶/……お母さんか。僕も小さい頃、こうしてもらえたよ。
GM/あ、君に母親の話題は辛いか(笑)「こうやって家族の話題をするのも久しぶりだな……」
千晶/……そうなんだ。
GM/「そうだ、これほど親しくなったのだから教えておこう。……私の本当の名前は時仁(ときひと)という」
千晶/……ときひと?
GM/「……それだけだ。じゃあ、次の話を聞かせてくれ」
千晶/……ときひと……。うん、次の話は何にしようかな……。

 ※ 【 千晶:安徳天皇フラグ(1)を入手 】
 ※ 【 千晶:安徳天皇フラグ(2)を入手 】

GM/……そんな風な話をして、貴方は連日、忠度に槍を教え込まれ屋敷を出るのです。千晶が安徳天皇の元で暮らして、平家の工作員の元で源氏の兵士として志願をし……あるキッカケで4人は再会したのでした。それは実に一か月ぶりの再会でした。
鉄弥/ち、千晶!? うわあ、会いたかったー!
義人/良かった、無事で! 酷い目に遭ってないか?
千晶/えっと……。あんまり言いたくない。
旭人/な、何があった? 誰に何された? 兄ちゃん達がぶっ殺しに行くからな! お前拾ってくれた奴ってどんな奴なんだ? いつか菓子折を持って行かないと!(笑)
義人/お礼をしに行かないとな。良かった良かった。
GM/……それでは、軍師の弁慶を中心に、作戦会議及び『王国フェイズ』を行います。
義人/お、ついに……。
GM/「平等院の近く、不思議な青い光を目撃されました。おそらく怨霊が蠢いていることでしょう。気を付けて探索をお願い致します。我らも近くまでは共に同行しますので……」
鉄弥/我らの初陣がついに……。