アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 傍らに立つ囀り 』 4ページ ■
2014年12月23日




 ●トリガーイベント 〜突入〜

ゆたか/……早く新しい『相棒』が特命課に来ないかな、ミッチーが来てほしい(笑)
狛/そ、そうすると狛がいなくなっちゃいますよ!?
GM/なら『相棒』4人卓をやろうよ。ミッチーと成宮を入れてさ(笑)
狛/それ、PC1である右京さんがモテモテで大変ですよね(笑)
GM/さて、S市のキャンプ場がある外れ山に向かいます。今日の18時に行なわれるという恐怖症の患者達の集まる交流セミナーに向けて、車を走らせます……と。山と林の中、自然豊かな場所で広々と使える多目的ホールに到着です。周囲に建物の無い、駐車場も広めの大きめな施設です。
小夜/ここでセミナーが……。
GM/参加者のものらしい車がそこそこ駐車してますね。建物の前には警備員が立っています。……警備員達は警備をする仕事はしているけど、顔が無気力というか機械的というか、生気が無いように思えます。
みすず/お、操られてるぜ!?
ゆたか/……ちょっとすみません、警察の者ですけどと言いながら、もし刃向かうようなら公務執行妨害パンチをします!(一同爆笑)
GM/話しかけられて警備員は首をそちらに回します。
ゆたか/お話を伺いたいのですが。
GM/警備員の口から触手がニュルッと出てきます。
狛/おおっとぉ!?(笑)
ゆたか/話の通じる相手じゃなかった! それは普通に避けますね! 怖い!(笑)
GM/警備員の鼻から、耳から、触手というか……虫の気味悪い長い手足のようなものがニュルニュルと出てきて襲い掛かってきます。警備員の詰め所からも同じような連中が出てきます。
みすず/あ、アカンやつやー!?(笑)
GM/目の前のゆたかさんは「これは人型の異端ではない、人間の一般人が操られてるんだ!」と思います。ということで、建物侵入のAF判定をするよ!

『AF判定:建物に侵入せよ』
  ・使用能力値:【体力】【意志】
  ・難易度:220
  ・ラウンド制限:1ラウンド

※「手駒にさせられている一般人を無力化させ、目的の場に到着する」演出に成功すること。成功した場合、ラスボスがいる場所に到達できる。
※このAF判定に失敗した場合、クライマックス戦闘にペナルティが発生する。


GM/難易度220だからギリギリの難易度ぐらいかな? 戦闘描写なので推奨は【行動値】の順番に演出だけど、今回は自由な順番で行動してOKです。
みすず/高難易度のAF判定だー。あー、≪マイガーデン≫は使っちゃった。
GM/建物内では警備員だけでなく、カウンセリングに参加した患者達も同じように触手を纏って襲い掛かってきます。100人はいないけど50人はいるかな? 大勢を蹴散らしていき、ラスボスの待つクライマックスフェイズまで進んでいってください。
狛/警備員相手なら無茶できる! 狛から行きますね!
GM/申告があったので狛さんからどうぞ。
狛/……まず、懐から小型の銃の≪デスブリンガー≫を出します。こちらに≪ソウルデバイス≫の弾を込めます。≪デスブリンガー≫は至近の武器なので、一旦相手の元へ向かって行き、何人もに自分を囲ませます。
小夜/おおっ。
狛/自分に触手が向かってきたところを≪ヘル≫+≪ゾーンバースト≫で攻撃! ≪ヘル≫は『バッドステータス:麻痺』を与えるものなので、全体を麻痺させ一気にぶっ放す!
GM/カッコイイ!
狛/囲まれたので多少傷つきますが、≪ハスター≫+≪命の糧≫+≪武闘家の血≫+≪守護者の盾≫で体力が増えている状態なのでへっちゃらです!
GM/いくらでも戦える前線系だね。
狛/≪軍神の知恵≫で攻撃力を上げて、≪獣のごとく≫と≪鳥躍≫を使って、一気に建物の扉まで駆け寄ります。
GM/閉められた扉の前に走り寄った。
狛/≪機能維持≫で今までの能力を維持させ、扉を開けて全員を中に入れます。でもこのままだと≪ゾーンバースト≫でみんなを傷つけてしまうので、≪仮面の暴君≫を使用することでちょっと冷静になり、単体攻撃をするようにします。
ゆたか/うまい!
狛/≪浸蝕≫によって自分の体力を使うことで精神を安定させていきます。……先に行こうとしていたみすずちゃんが危なかったので、≪インビジブルマン≫でみすずちゃんの真横にスッと現れます! みすずちゃんに襲いかかろうとしていた触手をガッと掴む!
みすず/わあ、コマちゃんかっけー!(笑)
GM/……これで特技を16個使ったので、難易度が32減りました。『現在難易度:188』です。
狛/【体力】で判定します。(ころころ)達成値10です!
ゆたか/……令呪を使っておこう! みすずを助けようとしていたところに「狛ぁ!」と声を掛けて令呪を使用。呼びかけるだけで狛の動きが良くなる!(笑)
狛/やったぁ、ありがとうございます! 達成値30です!
GM/『現在難易度:188分の30』です。建物の扉を開けると、ゾンビのように襲い掛かってくる一般人。でも、狛さん無双でなんとか蹴散らしました! 次は誰がいく?
小夜/じゃあ私がいきます! ……ウズマキからヴァイオリンを取り出します。≪ミラクルドロー≫で自分の前にコードを書き、この曲を弾くぞと戦闘態勢を取ります。
GM/おおおー。
小夜/≪セイシンオウヤ≫で今からやるぞーっと気合を入れます。弓を構えていざ弾き出した時点で、持てる力を引き出させる≪ミネルヴァ≫。自分は今、舞台の上に立っていると思い込みます。この音色に≪イノセントヒット≫。
みすず/すごーい!
小夜/周りにいる人達の注意をこちらに向けさせます。私の音を聞け! その音に≪ライナーブロウ≫、目を覚ませ!
狛/カッコイイ!(笑)
小夜/≪黄金の身体≫+≪武闘家の血≫+≪受芸≫を使用して、移動しながら弾きます。
GM/≪受芸≫は受け身を取るという特技だもんね。
小夜/≪希望の勇姿≫……守るべき対象がいる。みすずちゃんを庇っている狛さんを見て、自分も他の人のサポートをしなければ! ≪鋭敏感覚≫で自分の感覚を研ぎ澄ませて、音が間違っていないか耳を澄ませます。≪熱血の防壁≫で、銃撃戦の熱気に負けていられない!(笑)
狛/銃でバンバンしている最中だからね!(笑)
小夜/こんなの、舞台のライトの熱に比べれば!(笑) ……致命傷に至りそうだった一般人は≪守護者の盾≫でカバーします! 一般人の命は守る! ヴァイオリンの音波で≪殺界≫を使った上で、≪軍神の知恵≫で辺りに範囲攻撃をかまします。
GM/おお、[アーティスト]って感じの戦闘だ。
小夜/あとは≪撃滅≫が使ってないな。何に撃滅しよう?
ゆたか/開かない扉とか?
狛/暴れていたから防火シャッターが下りてきて、それを食い止めるとかどうだろう?
小夜/ウズマキから譜面台を取って≪撃滅≫でブン殴ります。
みすず/いきなりの物理!?(一同笑) ふ、譜面台が大変なことにー!?
小夜/だって譜面台なら一番安いもん。この譜面台、オリハルコン製なの。
ゆたか/強い……あ、下りてきたシャッターの下に譜面台を置けばシャッターを潜れるしね(笑)
小夜/少しでも減らしたいから判定に≪ミネルヴァ≫を使おうかな。(ころころ)達成値は15です。
みすず/センセイ、令呪ポンッ!
GM/令呪のおかげで達成値35になって、『現在難易度:158分の65』です。闘士幼馴染同盟の2人によって防火シャッターを食いとめつつ先に進むことができます。
小夜/なんだか運動会みたいですね。
狛/ああ、障害物競走みたいだ!
ゆたか/……担任が大変そうな学年だなぁ(笑)
みすず/では、先にみすずが行動します。そしてオチは兄ちゃんに任す!
ゆたか/ひ、ひどい!(笑)
みすず/小夜センセイとコマちゃんが道を作ってくれた。あたしの前に道は広がる! 言いながら走り出します。
ゆたか/言いながら走って行くんかい!?(笑)
みすず/走るけど、≪戦闘聖衣≫である制服の下のパンツは見えない仕様! そんなこと考えないであたし、しっかりして! ≪ライナーブロウ≫で自分にビンタする!
狛/目が覚めて良かった!(笑)
みすず/真っ直ぐ走って行きます。何故か迷いのない眼差し。何故なら≪物品調達≫で調達したこの建物の地図を持っているからです。
GM/おお、いつの間に。
みすず/本来なら時間をおいて集中しなければならない≪アポロン≫だけど、戦闘モードだから≪トート≫で≪アポロン≫だって使えちゃう! 身体能力は高くないんだけど、障害物を抜けるために壁をトンッと走ったり、天井をクルンと回ったりします。
GM/オー、ニンジャ!(笑)
小夜/アクロバティックみすずちゃん!(笑)
ゆたか/でもスカートの中は見えない。見えるようだったらジャージ履いてこい。
みすず/うちの学校のジャージ古いじゃん! あずき色だし! 兄ちゃんに≪悔改めよ≫。
ゆたか/俺、なんか間違ったこと言った!?(一同笑) まあ、兄ちゃんのときは青ジャージだったしな。あずき色は確かにダサイよな。
みすず/というやり取りもしてるけど、ちゃんと支援もしてます! ……色んな穴から触手がニュルッと出てくるんですよね?
GM/ですね。隙間をすり抜けながらニュルニュルとみすずちゃんに攻撃してくるよ。
みすず/コマちゃん、そこに居るよ! ≪オルフェウス≫でダメージを上昇させる。
狛/よいしょっとー! ドーン!
みすず/コマちゃんカッコイイ! カッコイイけど後ろにもいるから気を付けて! ≪叱咤激励≫!
狛/うわぁ!? もう一回ドーン!(笑)
みすず/とかやってると、自分の目の前に敵が! ≪念動障壁≫で「無駄無駄無駄無駄ァ!」と弾幕が広がっていく! 弾幕は次第に霧散していく……≪アメノウズメ1・2≫(笑)
GM/弾幕が実体化してみすずちゃんを守っていく(笑)
みすず/霧散していく「無駄無駄無駄ァ!」が、次は集中線になっていきます。≪ハーメルン≫がシーン間のみんなに刺さるんじゃないかな。この集中線で階段を作りましょう。
小夜/おお、階段?
みすず/上の階に上がるショートカットを作ります。≪クリエイション≫です。きっとこの改装に生贄にさせられる人がいるんじゃないかな……という≪過去視≫で見ました。もうここはあたしの庭だ、≪マイガーデン≫!
小夜/凄い、言い切った(笑)
狛/まあ、もう既に地図を持っているしね(笑)
みすず/あと回復の≪ミューズ≫が使ってないんだな。……このおにぎりを作ります。
狛/このタイミングで!? でもおにぎり貰って狛は回復するね。美味しい!(笑)
GM/モグモグモグと狛さんはハムスターのようにお顔いっぱいおにぎりを頬張りました。
ゆたか/平和な光景になっちゃった(笑)
みすず/今まで走ってきた訳だから、【体力】ですかね。(ころころ)達成値11ですね。
ゆたか/……令呪を使っておこう。あと1人でクリアーするのは難しい。なので達成値11にプラス20をします。
みすず/わーい、おにぎりが美味しくなったー!(笑)
GM/それだと『現在難易度:126分の96』になったよ。
ゆたか/あと30ぐらいなら……イケる! なんだか最上階がクライマックスフェイズになることは判ってきたぞ。概ね[闘士]の2人がギッタンバッコンしてくれたしな。
狛/バッキバキですよ!(笑)
ゆたか/俺はその後ろにただついて行ったんじゃないんですよ。ああ、酷い扉……閉めておこう……酷い防火シャッター……閉めておこうと、≪リストーン≫(笑)
みすず/兄ちゃんが全部直してくれた!(笑)
小夜/お、お兄さんごめんなさい(笑)
ゆたか/傷がちょっとヤバそうな一般人には≪清浄の使者≫で範囲回復します。治しがてら何か情報は無いかな? ≪君に幸あれ≫……っていうか俺に幸あった。ラッキー、ここをこうショートカットしていけば効率良く……と【幸運】で『対象識別』ができる≪ペネトレイトアイ≫を使います。
狛/おおー、なるほどー!
ゆたか/さすが俺、情報収集は強いな、≪ストリートワイズ≫(笑) ちょっとずつ情報が集まったらみすずに投げます。この施設はこっち側に非常階段がある筈だから、向こうから回り込める筈だ。≪ヒストリア―≫で過去のデータをあらっていきます。
GM/知力特化頭脳派の潜入捜査って感じだ。
ゆたか/≪ハスター≫を持っているので体力が無い訳じゃないんですよ。でも凄い連中がいるんだから、俺の≪ハスター≫は温存して使おう! 外側から回り込むようにして、中の様子を伺います。敵の影が無いか……すると別の方向から一般人が襲い掛かってくる。
みすず/あばば、危なーい!?
ゆたか/一般人はクリティカル命中で俺に攻撃をしかけてくる、そこに≪逆転運命≫で、無かったことに! 警察で支給されてる普通の銃を取り出す。≪グロウカリバー≫に≪ソウルデバイス≫の弾を込めて、≪シヴァ≫でダメージを上げてタンッと撃ちます。
狛/触手の部分だけを、パーン!
ゆたか/あ、ダメージが足りなかった。落とせない? そう思ったら……狛ぁ! パンパンと手を叩く!
狛/ハーイ! ゆたかさんのところに駆けつけて、バーン!
みすず/コマちゃん、呼んだら来る! 3カメで撮りたい戦闘だったね!(笑)
ゆたか/駆けつけた狛のダメージに≪インドラ≫を乗せる。さすが、速い奴は違うな。……狛、お疲れ。≪ハーデス≫で使った≪ソウルデバイス≫を狛に渡しておきます。それと≪興奮剤≫をあげておこう。
狛/わーい、ありがとうございますー!
ゆたか/ここで何か見えるかな、≪断末魔の叫び≫を使用します。しかし有力な情報は得られない。これから起きる場所で何かあるからだな。……あと使ってない特技は≪マジックコスメ≫だな。
小夜/どう使います?
ゆたか/……同じ特技を持っていた筈なのに、柳葉を見抜けなかった。これは俺の失態でもある。今度は失敗しない。自分の≪マジックコスメ≫を思い出す……という演出はどうでしょう? ホント悔しかったんですよ、≪マジックコスメ≫を使われてたってことが!(笑)
GM/ゆたかさんと狛さん2人が失敗してたんだもんね、OKです。『現在難易度:94』になりました。現在達成値が難易度を上回っていますが、ゆたかさんが成功したかの判定に参りましょう。
ゆたか/はーい。【意志】を強く持って、みすずが見つけてくれたドアをバーン!(ころころ)うっ、低い……でも達成値7で成功です。
GM/『現在難易度:94分の103』で成功です。……そうして君達が到着した場所は、建物最上階にある大きな会議室でした。


 ●クライマックスフェイズ 〜恐怖〜

GM/長机やパイプ椅子がたくさん並んだ会議室らしきその部屋は広く、ビールの匂いで充満しています。
ゆたか/ビールの匂い? 窓を開けて換気がしたいな……。
GM/そして、部屋の奥に見覚えのある男性の後ろ姿が見えます。
小夜/……智純さんですね。
GM/会議室の中に置かれた機械の前で作業をしているようだ。智純は動きを止め、小夜さんの方を向く。先ほど相手にした警備員さん達のように機械的なものではなく、普通の人間の動きだ。
小夜/……ご本人ですか。目が合って、改めて言います。貴方は何をしようとしているんですか。……貴方は一人でそこまで何をなさってるんですか!?
GM/(智純になって)「小夜。こっちに来てくれるかい。君なら判ってくれるものがある」
小夜/……行きます。近寄りますね。
GM/彼の座る周囲には、いくつかの太い試験管や何らかの実験装置、羊水液に満たされたカプセルに怪しい箱、それと飲みかけのビール缶などが置かれています。理科の実験室のようなそこにある筒には、ビールのような液体の中で浮かぶベラーターの姿があります。
小夜/……ベラーターの実験ですか。
GM/「俺はベラーターの培養の仕方を知っている人がいて、その協力をしている。俺自身もベラーターを繁殖させたいと思っているんだ」
小夜/……どうしてですか。
GM/「ベラーターは人間の脳に取りつく。取りつかれた人間は、身体能力を飛躍的に向上させられるんだ。普通人間は自分が持っている力の60〜80%ぐらいしか引き出すことができない。しかしベラーターの力を借りれば100〜150%、ときに不思議な能力を有した特異能力者以上の力を引き出させることができる」
小夜/能力者よりも……。
GM/「具体的に言うと、任意の【能力基本値】3つをプラス20することができる
狛/ワーオ!? 凄い判りやすい!(一同笑)
ゆたか/つ、強い。しかも3つも選べるんだ?
みすず/【反射】や【知覚】にプラス20できたら、命中値や回避値がめっちゃ上がりますね!?
小夜/……確かにそれは素晴らしいことでしょう。けど、人間が100〜150%の力を出せないのは自分の体のことを考えてですよ。限界まで引き出してしまったらその反動が返ってきてしまいます。無理矢理引き出して使うというのは……。
GM/「杏ちゃんにベラーターを憑依させようとしよう」
小夜/……それは……。
GM/「【体力基本値】をプラス20できたら、病魔に負けてしまう体を強い体にしてあげられる。【意志基本値】をプラス20できたら、恐怖を克服できる精神にしてあげられる。か弱い彼女の心を強くしてあげられる。……それが目的だ」
小夜/そうなんだ……。医者だなぁ、この人……。
みすず/で、でも……。
GM/「ベラーターは特殊な液体でなければ繁殖ができない。生息にも困難を極める。俗に言う『ビール酵母』の中にしか生きられないんだ。おいそれと外に出すことができない」
小夜/…………。
GM/「それとベラーターの特徴として、衰弱寸前のベラーターは『特殊な成分』を分泌する。それは『脳を混乱させる分泌液』で、感情を反転させる効果をもたらす。それは『好きだったものを嫌いにさせ、嫌いだったものを好ましくさせる』んだ」
ゆたか/それで先端恐怖症の人がペンで突き刺したり、不潔恐怖症の人が汚いところに顔を突っ込んだりしたと?
GM/「ああ、彼女達か。セミナーに参加した彼女達にビールを振る舞い、ベラーターを脳に入れた。すぐに彼女達の【意志】は強くなり、前向きになった。【知覚】や【理知】が良くなって反射神経が鋭くなったとか、頭が良くなったと喜んでくれたよ」
小夜/べ、ベラーターを入れたんですか。
GM/「でも、数日後……ビール酵母が消えた人体の中で、ベラーターは彼女達の中で死にかけた。それで感情反転の成分が分泌され、彼女達は恐怖するものを好みながら死んだと思われる。……ビール酵母でしか生存できないのは活用するにも難易度が高い。せめて真水なら日常的な水分摂取でベラーターを生かし続けることができるのに……」 ブツブツと、智純は思考を巡らせます。
狛/……本当に研究しちゃってるんすね。
GM/「……最初は、患者である杏ちゃんの死の恐怖を取り除いてあげられることができるならと思って始めた。でも身体能力を向上させれば死ぬこと自体が無くなる。並列して進めている感情反転の研究だって、成果が出ればコントロールができる筈だ。そうすれば、恐怖症の治療だってできるかもしれない」
みすず/……それ、杏ちゃんの意思を全然考えてないでしょ!?
小夜/意思?
みすず/お医者さんには患者さんに説明する義務があって、説明して本人からの承諾を取らないと駄目なんでしょ!? 兄ちゃんが言ってた!
ゆたか/ウィッス(笑)
みすず/杏ちゃんに説明したら……やだって言うと思う。そんな風に体が強くなっても、それは自分じゃなくなっちゃうじゃん。そんなの違うと思うし……!
小夜/……みすずちゃん。
みすず/小夜センセイは智純センセイの気持ちも判るだろうし、智純センセイのことが好きだから強く言えないのは判るよ! 判るけど、でも間違っていることは間違っているって言いたい!
狛/……悪くなった身体を義手義足に取り変えたり、ペースメーカーを着けたりすることは悪いと思いません。でも、それは暴走したら自分じゃなくなるやつじゃないですか。死ぬときぐらい、自分の意思で死にたいって思うもんです。だから、人に憑依して手足にするようなベラーターは使っちゃいけないと思います。
ゆたか/……2人の話を聞き終えた後に、言います。俺はお前を裁くことが仕事じゃない。刑事だから捕まえることが仕事だ。……お前にその研究を与えた人間の話をしてくれると、少しは優しくできるんだが?
GM/ではそこに現れる人間がいます。「それなら、俺です」とギバニャンが奥の扉からやってきます。
ゆたか/ギバ……や、柳葉っ!(笑)
GM/「柳葉というのは、特命課に入り込むために使っていた名前です」
ゆたか/……槙原 利彦。
GM/「もう恋なんてしないなんて、とよく言われる名前です」
小夜/自分で言った!(一同笑)
GM/背格好はまだギバニャンですが、雰囲気は教会で見た顔写真にあった魔術師のものです。
狛/す、すっぴんなう!(笑)
GM/(柳葉になって)「神無 智純は本能に忠実になり、元の性格よりも度の越した言動を取るようになってしまった。放映で自らの行ないを見せつけるようなことをしてしまった。だけど今はビールを飲用することで暴走を抑えています。……研究を進めていくには、バレないようにもみ消すのが大変なんですよ。ベラーターは宿主が死ぬと頭から出てきて、数分だけこの世に留まります。数分経てば昇華されるけど、駅で自殺した女性のベラーターは特に大きかったものだから昇華する前に発見されてしまった。これももみ消すのが大変でした」
ゆたか/……特命課に入り込んでいた理由は、証拠隠滅をするためか。
GM/「……神無 智純は、研究さえ進めばこの感情の反転現象や本能の暴走をいずれコントロールできるようになると言っています。これを使って救える人がいるのでは?」
小夜/そ、それは……。
GM/「神無 智純を研究に誘ったのは、俺の誘いに絶対乗ってくれると信じていたからです。だからケニアに一緒に来るよう提案しました」
ゆたか/ケニアに?
GM/「日本にはベラーターはいなかった。俺が5年前に殲滅しましたから。だけど、ケニアにはまだ生息しているという情報を手に入れた俺は、捕獲に向かったんです。……捕獲の際に何匹かのベラーターに逃げられてしまって、村中の人に憑りつかれたときはどうしようかと思いましたが」
みすず/それって……!
GM/「俺の用意した液体の中で大人しくしてればいいのに、人間の中に逃げ込んだらベラーターは死ぬしかなった。ベラーターは死ぬ前に感情を反転させる。……笑いながら殺し合ったときは、逆に助かったと思いました。全員殺し合ってくれたおかげで目撃者が一人もいなくなったしね。それに、凄惨な状況を見た神無 智純は怯えながらも決意してくれた。『こんな異常な世界があって、異常な生き物がいて、だからこそ研究し甲斐がある』と……」
狛/それ、正気度が減ってるときに脅されたら頷くしかないでしょ!?(笑)
GM/まとめると、槙原は日本にいないベラーターを狩りにケニアに行った。捕獲にちょっと失敗して村人達がベラーターの犠牲に。村人達は狂気の末に死んじゃった。そのときに超人的な力を智純は見た。おかげで智純は「ベラーターって凄い! 研究しよう! そうすりゃ多くの人が救えるよ!」って狂信しちゃいました。
小夜/そ、そんなぁ……(笑)
ゆたか/……柳葉。投降してくれないか。無駄弾は撃ちたくない。警察は手続きが大変なんでな。
GM/「投降? するとお思いで? こんなに素晴らしい力が手に入るのに……まだ俺はベラーターの研究を進めていくつもりですよ」 そう言うと、柳葉の頭の上に30センチほどの虫が現れます。脳味噌から頭蓋骨を通り抜けて表面に出てきました。
ゆたか/わっ!?
狛/み、みんなの前にバッと出ます!
GM/「ほら、俺にしっかり貼りついているでしょう? ベラーターに憑依されれば視界が晴れやかです、身体だって超人的な動きができます。そのかわり、ベラーターの願いは最小限叶えてやらなきゃなんですよね」
小夜/それ、乗っ憑られているってことじゃないですか! 邪神召喚なんてしたらいくら強くなったとしても意味が無いじゃないですか!?
GM/「…………」
小夜/…………ん?
GM/一瞬、柳葉と智純が「何言ってんのこいつ?」って顔をした。
小夜/え? ……私、変なこと言ってないですよね?
ゆたか/…………。おい、もしかしてお前ら……憑依されてるんじゃないか?
GM/「何を言ってるんですか。憑依されてるから、こんなにも素晴らしい力が手に入るんですよ。俺も【体力】が強く、神無 智純も以前とは比べ物にならないほどの【理知】を……」
みすず/だから、強くなったとしても邪神召喚したら世界滅亡で意味が無いじゃないですかー!?
GM/「…………」
小夜/……んん?
ゆたか/……こいつら、「ベラーターの憑依されて手足にされてるから、自分達に都合の悪い『邪神召喚のこと』を考えないようにされてる」とかじゃないよな?
GM/正解です。
狛/ああっ、そういうことか!? ベラーター的に、人間はただの手足ですもんね! 世界滅亡とか教えたり覚えさせておく必要が無い!
小夜/えっ? えっと、じゃあ……どこまでギバニャンは本気なんです?
GM/5年前にベラーターを殲滅して、危険だから研究しようってなったのは事実だよ。
ゆたか/教会の記録にもそうあるな。
GM/良識あるエージェントをやってたなら「知り合いの智純に研究協力してもらって、ベラーターを医療目的に使う」ということを考えるんじゃない? 『良識があれば』。
みすず/え……えっと、ベラーターを捕獲しに行ったっていうのは、もしかして……本当に良い研究に使うため?
GM/でも、ケニアで捕獲に失敗してる。そのとき、ベラーターは大勢の人間に憑いた。……その一人がギバニャンでも、その場にいたならおかしくないよね?
みすず/ケニアでベラーターに操られてるじゃないですか!?
狛/マジか……ギバニャン、本当に投降してくれよ……(笑)
GM/「投降しませんよ。神無 智純がさらなる繁殖方法を考えてくれるまでは」 ギバニャンの頭の上にいた虫が、カナカナカナカナとさえずり始めます。
小夜/な、なにっ?
GM/全員【正気度】判定を行なってください。難易度は10です。

 『正気度判定』
 ショッキングな出来事に立ち会った、衝撃を受けたときに「正気でいられるか」チェックする判定。
 失敗すると、『バッドステータス:放心』になる。


小夜/ラウンド始めから放心になるのは辛いですね!(ころころ)9です。
みすず/小夜センセイ、≪叱咤激励≫! しっかりして!
狛/本物の叱咤激励だ!(笑)
小夜/ありがとう、達成値11で成功です! すみません、不協和音は苦手なんです(笑)
GM/あまりに恐ろしい光景、不穏で不安感を湧き上がらせるさえずり。恐怖で震えおののいてしまうところだったけど、小夜さんは耐えました。
みすずゆたか/(ころころ)成功です!
GM/全員成功だね。……異端のさえずりを聞いた智純は、頭を抱えて呻きます。
小夜/と、智純さん!?
GM/(智純になって)「やめてくれ……さえずるのを、やめてくれ……。『頭の中で』鳴かないでくれ……!」 苦しそうに呻く横で、ギバニャンの頭の上に顔を出したベラーターは、またギバニャンの脳へ消えていく。
小夜/智純さん、しっかりしてください! 腕を掴みます!
GM/「研究の邪魔をするな」とギバニャンがウズマキから武器を取り出します。……PC3&PC4と同じような武器という設定だったので、取り出したものは銃かな。≪ソウルデバイス≫を、小夜さんに向けて撃ちます。
小夜/ウズマキから音叉を取り出して、銃弾を弾きます。
GM/音叉!?(笑) キーンって音がするね!?
小夜/今の音で自分を取り戻します。……良い攻撃をありがとうございます。手間が省けました。
ゆたか/おおっ、カッコイイ! 今のでカナカナさえずっている声が和らいだ……!
GM/苦しんでいた智純は立ち上がり、言います。「嫌だ。怖い、怖い……小夜を失うのは嫌だ……小夜が死ぬのは嫌だ、怖い……気持ち良い……怖いの、きもちいい……愛しているから……殺す……!」
小夜/目を覚ましてください、智純さん!
GM/先ほどの建物潜入AF判定は成功していただきましたね? では、智純はその小夜の叫びにハッとします。
小夜/お、おおっ?
GM/小夜の声に目が覚めたような顔になる……けど、君に襲いかかってきます。それは無理矢理操られたかのようにぎこちない動きで。
狛/これって……AF判定に成功しなかったら目を覚ませなかったやつかな!?
GM/はい。AF判定に成功してくれたので智純は弱体化しています。具体的に言うと、【能力基本値】3つにプラス20がされてません。
みすず/よ、良かった!
狛/って、失敗してたらだいぶ強くなりましたよね!?(笑)
GM/ええ、単純に命中と回避が上がって大変なことになってたよ。ただしクリンナッププロセスで「体が限界だ」っていきなり倒れて智純が死亡するというオチ。
狛/に、人間の限界を越える訳ですからね……。
GM/という訳で、クライマックス戦闘開始します!