アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 悔いなきセレクシオン 』 5ページ ■
2014年5月31日




 ●クライマックスフェイズ 〜対決〜

GM/ニフラムされた12人全員は無事保護されました。君達は郊外の工場地帯の一つ、廃工場に向かいます。【幸運】判定で難易度12に4人中2人以上が成功したら、回復行動をしてもいいですよ。

 判定の結果、無事成功したので『供給』を1回、それぞれメインプロセスを1回ずつ行なう。
 剛とベル、麗子とハルカの2人1組になって、3〜4D6点『供給』を1回。≪興奮剤≫や≪肉体復元≫を使用して【HP】と【MP】を回復した。
 また、令呪を使って【MP】を回復した際にベルの持つ『六色の宝珠』を1回使用し、令呪を1点回復した。


GM/現在時刻は3ラウンド2シーン目が終わった後なので、夜21時過ぎぐらい。人は住んでいるどころか近寄りもしないような廃工場に到着します。
ハルカ/なんだかヤバい匂いがするな。
剛/高坂さん、気を付けてくださいね!
GM/高坂は「ああ」と真剣に頷きながら、ウズマキから護身用のハンドガンを取り出します。ごく普通のピストルを構えたまま、君達の後ろについて行きます。……工場は、放置されて数年が経っている廃れ具合。でも侵入しただけで判る。強い魔力が全体で帯びていることと、儀式が着々と完成へ近づいていることに。
麗子/……ホンファ、いるのか!
GM/麗子さんの声が工場内に響く。するとどこからともなく女性の声がしてくる。(ホンファになって)「あと数時間。ほんの数時間なのに、レイコは相変わらず行動が早いわ」
麗子/ホンファ。……一応、確認しよう。やめるという選択肢は無いか?
GM/「そんな説得でやめるような女なら、今朝アナタの家を襲撃したかしら?」 工場内は鉄筋剥き出しの網目空間になっています。見上げると、上の鉄筋にホンファが君達を見下ろして立っています。
麗子/……やはりこちらも実力行使をするしかないのだな。こんなことになるなんて、とても残念だよ。
GM/ベルちゃんは、例の12人を思わせる配下らしき少年少女が……あと2人、ホンファの隣で立っていることに気付いてください。
ベル/まだいるのね。……貴方は一体、あの研究所から何人連れてきたの?
GM/「数えていないわ。何人もワタシのもとへ来たから。でもあと生き残っているのは……この2人だけね」 ホンファのすぐ側には、禍々しい鎌を持った少年と、大きなハンマーを持った少女が控えています。
剛/ハンマー使い、お揃いだ。
ベル/その2人に声を掛けます。……貴方達はこのままでいいの? その女性に使い潰されるだけの研究動物でいいの!?
GM/2人は声を聞いても無表情のままです。(ホンファになって)「この子達には何を言っても聞こえないわ。もう誰の声も届かない、そういう風に調整された選りすぐりだから。あの御方のもとで特に優秀だったと言われる、心なんて必要無いから削ぎ落としたチルドレンよ」
ベル/……心が無いのではなく、貴方達が壊したのでしょう? ギリッと睨みつけます。
GM/ホンファが君達と話していると、彼女の隣にフッと黒の少年が実体化して現れる。神木家を襲撃したときと同じ顔で、マスターのために動くサーヴァントという姿です。
ハルカ/燈雅くん……。あの子を助けるのは高坂さんのためだと思っていたけど、やっぱり……君自身も助けてあげたいな。君も人生を謳歌する楽しさを知るべきだよ。
GM/黒の少年は、一瞬消失し、ハルカくんの目の前にパッと現れます。
剛/おおっ?
GM/ハルカくんは構えたりします?
ハルカ/しないですね。じっと、真意を確かめるように目を見ます。
GM/10歳の無垢な少年の目は、真っ直ぐとハルカくんを見ます。「……召喚主の願いを叶える、昇華するまでマスターのために戦う。貴方もそうなのではないのですか?」 君を同じような存在だと理解して、彼は問い掛けるよ。
ハルカ/その通りなんだけどさ。でも良い英霊は良い人間につくべきだと思うよ。君は良い英霊なんだから、もっと良い人間のもとに行くべきだ。
GM/ホンファが「戻れ!」と言うと、黒の少年は言われた通りホンファの側に帰ります。その様子を見ている高坂が、その場で拳を強く握りしめています。(高坂になって)「……剛くん」
剛/はい。
GM/「もう一度、お願いしたい。……彼を助けてやってくれ」
剛/はいっ。……高坂さんは助けた後のことを考えていてくださいな! 俺は焼肉が食いたいっす!
麗子/回らない寿司でもいいぞ。
ベル/私はスイパラが良いな(笑)
GM/それを聞いて高坂は笑います。「打ち上げに行くなら、あの12人も連れて行けたらいいな。……焼肉でも寿司でもなんでも行く準備しているから、頼んだ!」

【マップ】
 エンゲージ1:剛、ハルカ、麗子、ベル、高坂
 (↑10メートル離れている↓)
 エンゲージ2:ホンファ、処刑人、狂戦士
 (↑5メートル離れている↓)
 エンゲージ3:黒の少年

【行動値】
 ハルカ:30
 ホンファ:23
 剛:20
 黒の少年:20
 処刑人:18
 麗子:17
 ベル:16
 狂戦士:15
 高坂:9


GM/黒の少年が禁書を持っています。それを奪い返さないと、君達は不利な状況を強いられるでしょう。
麗子/その本は私のだー! 返せー!(笑)
GM/今回の戦闘勝利条件は、ホンファの戦闘不能、【HP】0化です。なお、今回は戦闘中に行なえるAF判定が2つあります。

『AF判定:「復元の魔導書を奪い返せ」』
  ・使用能力値:【反射】
  ・難易度:100
  ・ラウンド制限:3ラウンド

※「黒の少年が持っている魔導書を奪い返す」演出に成功すること。成功した場合、魔導書を入手する。
※黒の少年と同じエンゲージにいる状態で、メインプロセスを放棄(マイナーとメジャーを消費)することで行なうことができる。


『AF判定:「リー=ホンファを無力化せよ」』
  ・使用能力値:【体力】【意志】
  ・難易度:150
  ・ラウンド制限:2ラウンド

※「リー=ホンファを無力化する」演出に成功すること。成功した場合、ホンファが弱体化する。
※攻撃射程内にて、メインプロセスを放棄(マイナーとメジャーを消費)することで行なうことができる。


GM/また、高坂を戦争参加させることができます。高坂のデータは【HP】18、【回避値】は5、【移動力】15メートル、【防御点】は共に0です。
ベル/……可愛い数値だな(笑)
GM/戦闘に入る前に、高坂を戦闘離脱をさせることも可能です。ですが、高坂が戦闘参加する場合、AF判定に常時達成値+36になります。
麗子/36? ……高坂ポイントの36か!(一同爆笑)
剛/パッシブで+36っすか! それは高い! ……高坂さんを戦闘に残しておかないと、AF判定がきつくなりますね。
ベル/……GM、≪運命の予感≫を使用します。リー=ホンファの無力化に成功した場合、彼女は戦闘除外になりますか?
GM/除外されません。ですが、PCに有為になるイベントが発生するようになるでしょう。しておいて損は無いのでは?
麗子/価値の無いAF判定はありませんよ。……高坂は戦闘に参加してもらいましょう。全力で守る方針で!
GM/それではクライマックス戦闘を始めます。第1ラウンド、セットアッププロセス。まず、ホンファは≪繰り糸≫を使用します。狂戦士の配下をPC達がいるエンゲージへ移動させます。

 剛は≪聖剣の加護:赤の君≫を、黒の少年は≪魂砕≫を使用。麗子は≪異常鉱物≫を使ってモブを1体作成。
 ベルは≪空間知識≫+≪聖剣の加護:機能維持≫で、範囲化の効果をシーン間継続に変更する。配下の処刑人は≪闇の血統≫を使用した。


GM/セットアッププロセスが終了し、メインプロセスに移行しましょう。まずは、【行動値】30のハルカくんから。
ハルカ/マイナーアクションで移動をします。敵が既に自分のエンゲージにいるので、【行動値】で対決になります。(ころころ)達成値40でした。
GM/勝てそうにないな、これは。(ころころ)はい、失敗です。
ハルカ/エンゲージ離脱が可能になるので、メジャーアクションでぬるぬると黒の少年のところまで行きます!
GM/ハルカくんは移動だけでターン終了だね。では次に、ホンファのターンです。エンゲージにいる全員に、≪会心の一撃≫+≪箱庭の主≫+≪礼装(サブ:鋼神の鉄槌)≫で攻撃。(ころころ)命中は29です。
麗子/判定直前に≪幻想式≫をベルに使用! 達成値+4!
ベル/(ころころ)ま、まさかの回避ファンブル!?
麗子/ベルに≪悔改めよ≫! その後に≪叱咤激励≫をする!
ベル/悔い改めてください!(ころころ)回避21です。あと8足りない!
剛/それなら≪血の媚薬≫で【HP】を32点消費して、達成値を8上昇させます。ギリギリ回避を成功させて! 敵の前を遮って、剛は高坂さんを庇います!
ベル/同値回避します、シュンッ!
麗子/麗子へのダメージは≪異常鉱物≫のモブに庇わせます。メタリック剛が弾け飛ぶ!
剛/またモブを剛で作ってたの!?(一同笑)
GM/ダメージロール!(ころころ)≪特攻≫を使用、霊力ダメージ66点でした。行動済みになった後、ホンファは≪鏡像≫を宣言。未行動になり、更にもう一度行動します。
ベル/実質2回行動ですね。
GM/2回目の行動は、≪会心の一撃≫+≪爆散≫。シーン選択の霊力ダメージ攻撃で、防具分をマイナスする特殊な攻撃を与えるよ。
ハルカ/シーン選択攻撃か……それだと今度はボクも入るな。
GM/命中判定!(ころころ)命中27でした。
ハルカ/(ころころ)ハルカはクリティカル回避! 高坂さんの分は回避7でした。ハルカはママンを≪カバー≫します。

 剛は回避失敗した上で、高坂に≪カバー≫を宣言。
 ベルは≪幻想式≫を使用した状態で回避判定を行ない、足りなかった分は≪血の媚薬≫を使用して回避に成功した。

GM/ホンファによる2回目のダメージロール!(ころころ)≪特攻≫使用して、97点の霊力ダメージです。
ハルカ/有効な【防御点】が≪鬼の肌膚:霊力≫だけなので、50点だけ弾く……。それでも47点ダメージが入っちゃうか。
ベル/ハルカさんに≪念動障壁≫!(ころころ)29点ダメージ軽減してください!
ハルカ/やったー。さらに自分に≪音霧≫を使います。(ころころ)良い出目! よし、ダメージ全カッキンしました!
GM/それはおめでとう! ホンファのターンが終了しました。次は剛くんの番だよ。
剛/剛は待機を宣言します。
GM/待機をされたので、全員の行動が終わったら剛くんの番になるのを忘れないでね。では、黒の少年のターンです。
ハルカ/ボクのもとにおいで! ……って、確かスキルウェポンは≪魂を纏う腕≫だったな?
GM/そうだよ。≪EP:武器射程≫がついている≪魂を纏う腕≫で全員に攻撃できる。黒の少年は≪EP:連続攻撃・改≫を使用。スキルウェポンの攻撃を3回します。命中すると、放心と毒と転倒が入るよ。
ハルカ/あっ、3回連続攻撃だ!?
ベル/バッドステータスの3重掛けはキツイ!
GM/現在対象4人に攻撃可能なので、PC達4人を狙います。……本当なら一番弱い高坂を狙うべきなんだけど、ほら、少年だし?
ハルカ/凄く可愛くて良いと思います!(笑)
ベル/お父さん、いや、お兄ちゃんを攻撃できないんだね!?(笑)
GM/そうそう、そういう感じ! 1週間いっしょだったし!(笑・ころころ)1回目の命中は31です。

 ハルカはクリティカル回避に成功、麗子を≪カバー≫した。
 ハルカ以外の剛&麗子&ベルは回避失敗。剛がベルに対して≪カバー≫を宣言。その後、≪念動障壁≫や≪悔改めよ≫で軽減点を減少させていく。
 1回目は92点の霊力ダメージ、2回目は102点の霊力ダメージ。3回目は143点の霊力ダメージで着々とPC達を削っていく。
 3回攻撃の黒の少年を終えた後は処刑人のターン。≪乱舞≫+≪惨劇:封印の牙≫で範囲攻撃を行ない、≪失われた日々≫とマスター・ホンファによる令呪で物理78点のダメージを与えた。
 ベルは≪念動障壁≫で味方を何とか守りきり、総攻撃だったにも関わらず、全員生存成功。


麗子/麗子は、ホンファを無力化させるAF判定をします!
GM/麗子さんの攻撃は……≪暗黒の渦≫+≪這いよる混沌≫持ちの長距離攻撃可能だから、ホンファまで届くね。AF判定OKです、どうぞ!

『AF判定:「リー=ホンファを無力化せよ」』
  ・使用能力値:【体力】【意志】
  ・難易度:150
  ・ラウンド制限:2ラウンド

※「リー=ホンファを無力化する」演出に成功すること。
※攻撃射程内にて、メインプロセスを放棄(マイナーとメジャーを消費)することで行なうことができる。


麗子/戦闘ということなので、準備していた本……≪魔道具1・2≫を手に取る。自分のコート、≪魔法のローブ≫+≪改造ローブ≫+≪超改造ローブ≫を翻す。
ハルカ/見たー!? うちのママンってば超カッコイイでしょう!(笑)
麗子/私が取得している≪守護するもの≫というのはウーパールーパーのことです!(笑) 魔導書から≪火霊操作≫+≪水霊操作≫で、火の精霊と水の精霊を呼び出します。それと加えて≪火炎術式≫!
剛/画面が真っ赤だー!
麗子/≪本のクチ≫が「しくじるなよ!」と言います。CV:吉野裕行で!(笑) 今までの戦術を巡らせて、どうやってホンファを無力化するかを≪賢者の脳髄≫で考えます。最悪な場合は≪越境の書≫を使ってループしなければならないかもしれないな。
GM/過去の経験がそう言ってるんですかね。
麗子/≪悪魔のささやき≫で何とか抵抗させないようにするか考えよう! 覚悟を決めて≪刻印増強≫+≪刻印倍加≫+≪刻印極化≫+≪真なる刻印≫で、≪上級魔術≫を操る! 自分が持てる限りの魔術を使って戦うことを決める! でもまあ、雑なんでね。
ベル/≪+50雑≫!(一同笑)
麗子/雑に飛んだ火の粉は≪聖剣の加護:異常鉱物≫で弾きます(笑) ≪興奮剤≫を飲んでファイト一発します! 周りが庇ってくれるたびに≪叱咤激励≫や≪悔改めよ≫します。
ハルカ/支援あざーっす!(笑)
麗子/ホンファに対して≪指揮者の鎖≫を飛ばす! 縛りつけて動けない状態にする。恰好のチャンスだ、≪魂砕≫+≪蒼の衝撃(サブ:礼装)≫+≪這いよる混沌≫!
GM/使用特技30個、難易度が60減少します。『現在難易度:90』ですよ。高坂が戦闘参加しているのでダイスロール後の達成値に+36してください。
ベル/……令呪と≪未来の吐息≫のクリティカル化、それと≪禍福のさざなみ≫を使えば確実に成功できるよ。
ハルカ/やっておく? 早いうちにAF判定を終わらせておきたいよ!
麗子/ああ! 【意志】判定をします。私の意思は強いぞ、母だからな!(ころころ)よし、出目が高い!
ベル/≪未来の吐息≫を使用! AF判定クリティカル化で、達成値+30!
ハルカ/令呪を使用! 達成値+20!
ベル/令呪使用後に、『六色の宝珠』を使用して令呪回復をします!
麗子/それだと、最終的な達成値は……91だ!
GM/『現在難易度:90分の91』で、一発でAF判定成功ですね。麗子さんの鎖でホンファを無力化させることができました。拘束されたホンファは攻撃をすることができず、麗子さんをギッと睨みつけてくるよ。
麗子/……私はな、お前にずっと憧れていたんだよ。私はお前を友達として止めたい。だからもう堪忍してくれないかな。
GM/ホンファはクスッと強がりな笑みを浮かべる。「20年前の友情に何を言ってるの……」
麗子/20年前だけれども、私にとってお前は大切な人だった。それは今も変わらない。友達としての頼みだ、もうやめてくれないか!
GM/殺意しかなかったホンファがその言葉を聞いて、強がりの笑みがふっと和らぎます。しかしその瞬間、彼女の体がビキビキビキといきなりヒビ割れる。
剛/えっ。
GM/「がああああぁ!?」 襲い来る激痛に悲鳴を上げるホンファ。全身に令呪の刻印が、肌を露出している首や顔面まで全面を覆い始めます。ヒビ割れるように刻印を映し出す彼女は、苦痛に顔を歪める。
麗子/えっ……こ、これは!?
GM/『契約』をしたことある人なら判る筈だ。サーヴァントがマスターに逆らおうとすると、[狂戦士]の≪抗う定≫が無い限り全身が霊的な拘束によって強制的に命令を行使される現象が発生することを。
麗子/あっ……!?
ベル/彼女も……誰かのサーヴァントだったってこと?
GM/ホンファは激痛に顔を歪めながらも、声を絞り出す。「でも……ワタシは……『欺く神を召喚しろ』という命令を……! この命令に従わなければ、ワタシは……!」 彼女は最大限の力で鎖を打ち払います。AF判定に成功したので、ホンファのデータが第二形態になりました。この状態で【HP】を0にすれば戦闘不能になります。AF判定に成功している状態でクライマックスフェイズに移行すれば、追加イベントが発生します。

 ベルはマイナーアクションで令呪付き≪興奮剤≫+『六色の宝珠』の4回目を使用し、全員に【MP】25点回復。メジャーアクションでは≪肉体復元≫+≪上級感応力≫を使用し、全員に【HP】69点回復した。
 配下の狂戦士はマイナーで複数人いるエンゲージ1まで移動し、≪乱舞≫+≪巨大武器≫で全員に令呪を使った攻撃を仕掛ける。
 麗子はクリティカル回避し、ベルは≪幻想式≫を使って回避しようとするが令呪によって命中上乗せがあったため、さらにベルも令呪の効果で回避を成功させる。高坂も回避失敗したが、剛の≪カバー≫によって無傷で済んだ。


剛/高坂さんは自分のターンで何かしますか?
GM/PC達が動かさない限り高坂はそのまま行動済みになるよ。
ベル/なら高坂さんは私達を癒してください!
麗子/そうだ、面白いことを言ってください。お題はバナナ!
GM/(高坂になって)「バナナ? え、えっとー……あっ、俺、1年に2回ぐらいは道端にバナナの皮が落ちているのを見かけるよ!
ハルカ/なんで!?(一同爆笑) 誰かに試されてるの!?
ベル/今後もどんどん高坂さんに発言してもらおう! プレイヤーの【MP】が回復するから!(一同笑)
剛/では、剛のターンになったので行動します。……よし、剛はAF判定をしよう! オートタイミングで≪聖剣の加護:籠脱け≫を使用、黒の少年のいるエンゲージに入ります。
ハルカ/頑張れー!

『AF判定:「復元の魔導書を奪い返せ」』
  ・使用能力値:【反射】
  ・難易度:100
  ・ラウンド制限:3ラウンド

※「黒の少年が持っている魔導書を奪い返す」演出に成功すること。
※黒の少年と同じエンゲージにいる状態で、メインプロセスを放棄(マイナーとメジャーを消費)することで行なうことができる。


剛/まず、≪聖剣の加護:籠脱け≫で接敵。移動しながら≪合成:スキルウェポン≫で取得した≪両手武器(サブ:巨大武器)≫でハンマーを手元に出現させます。俺の相方、≪死闘の半身≫で名付けたミョルニールを持つ!
ベル/≪死闘の半身≫で武器に名前を付けているんだったね。
剛/はいっ。≪単一化1・2≫+≪武闘家の血≫+≪戦いの申し子≫で戦いに特化した状態を全面に押し出しておこう。≪狂舞≫+≪狂い宴≫を身体能力を上げながら、移動する際にも途中で居た敵を≪鳥躍≫+≪戦士の勘≫で上で飛んで避けていく。≪疾風迅雷≫+≪殺界≫で踊るように前に乗り出します。
GM/今まで支援や援護に集中していたけど、剛くんが前に出てきたね。
剛/命中しなかったら≪聖剣の加護:血の媚薬≫を使用して、さらに≪地獄の兵具≫を発動。ハンマーが血を吸ってどんどん赤くなっていく!
ハルカ/赤くなるんだ、カッコイイ!
剛/まさに≪聖剣の加護:赤の君≫、血だらけのままでも立っている。その状態を≪機能維持≫で維持します。剛は異端の血を引いているので、それを使った途端瞳孔がガッと開きます。その様子が普通ではありえない、≪聖剣の加護:突然変異≫の状態です。ハンマーを打ち下ろすとクレーター状態になって、そこに赤が散るから……≪戦場の華≫のようです。
GM/なるほど、うまい演出だ。
剛/≪悪喰らい≫+≪神喰らい≫+≪竜喰らい≫で、食らいつくようなイメージで攻撃していきます。今の自分はボロボロなので後は倒れるしかない、≪破滅の異端者≫がここで使われます。ただ≪+50まっすぐ≫に、後のことなど考えていない≪−50かしこい≫です。そんな状態でも倒れないことが周囲を元気づけるだろう、≪希望の勇姿≫+≪英雄の宣言≫。
GM/守っているからね!
剛/どんなに攻撃を受けても≪不屈≫で倒れません。≪カバー≫してきた分をダメージにまわそう、≪軍神の知恵≫+≪+99狂化≫で攻撃します!
GM/これで使用特技が31個なので、難易度が62減少します。『現在難易度:38』です。それと高坂ポイントが36点あるので……。
剛/剛の【反射】が4あるので、いける!(ころころ)よし良かった! 成功です!
麗子/良い仕事をしたぞ!
GM/おめでとう。3回攻撃を次々と繰り出していく黒の少年。彼が攻撃をするたびに工場の中にある鉄筋や備品がジュワジュワと腐っていきます。そんなの構わず剛くんは突っ込んでいく。スキルウェポンの射程が至近だからね。
剛/凄い勢いで突っ込みました!
GM/黒い瘴気を纏って浮かび上がる少年の手には、マスターから渡された書物を持っています。その禁書がある限り……少年は≪EP:連続攻撃・改≫+≪這いよる混沌≫+≪魂を纏う腕≫を使い続けるでしょう。ですが、何とか剛くんは本を奪い取ることができました。
剛/その禁書をポイッ! 自分のウズマキに入れる!
GM/黒の少年は「あっ」と驚き、ホンファも「しまった!」と顔をする。AF判定成功です。黒の少年が第二形態になり、【HP】0になれば戦闘不能になります。
剛/やった! これで単純な殴り合いになった!

 クリンナッププロセスに、ハルカはバッドステータス:毒の効果で6点のダメージを受ける。
 剛は≪聖剣の加護:赤の君≫の効果により、【HP】0になる。直後に≪不屈≫を使用して、【HP】2点まで回復した。
 麗子は≪紅蓮の指≫をベルに使用。メジャーアクションの特技を1回使用できるようになったベルは≪肉体復元≫は全員の【HP】54点の回復を行なう。
 そうして、第2ラウンドセットアッププロセスに移行。


ハルカ/ハルカは≪模倣犯≫で≪守護するもの≫を取得します。これが一番【霊力防御点】が効率的に上がる特技なので! シャードに宿る力が増していきましたー。
ベル/≪模倣犯≫で使った【MP】なら、後で私が≪興奮剤≫で回復する。大丈夫!

 セットアッププロセスでホンファは≪処刑時刻≫を使用。
 剛は≪黄金の身体≫を使用したが、黒の少年の≪光の一手≫によって打ち消される。その黒の少年は、自分にダメージアップの≪魂砕≫を使用。
 麗子は≪異常鉱物≫を使用し、今度は黄金の剛ことゴールデン剛(モブ)を1体作成した。


ハルカ/メインプロセスなので、ハルカが動きます。マイナーアクションで転倒を回復。メジャーアクションで黒の少年を≪片手武器≫で攻撃!(ころころ)1回目の命中判定28を採用します。
GM/(ころころ)回避22で当たりました。
ハルカ/ダメージを出しますね。(ころころ)37点の物理ダメージです! ……でも、彼を叩くのは……良心が痛む。
GM/「うわっ」と黒の少年は普通に痛みます。第2ラウンドにして、やっとこれで初のダメージだね。

 ホンファは、オートタイミングで≪籠脱け≫を使用。麗子、ベル、高坂、モブの4体がいるエンゲージを≪会心の一撃≫+≪EP:範囲攻撃≫で攻撃した。
 ベルが≪幻想式≫+剛の≪聖剣の加護:血の媚薬≫によって回避判定を成功させる。モブは麗子を庇い、剛はオートタイミング≪聖剣の加護:籠脱け≫を使用しエンゲージを移動してから、高坂を≪カバー≫する。
 ホンファの攻撃によって霊力80点ダメージを受けた剛だったが、ベルの≪大地の守護者≫を使用し、そのダメージを0にした。


ベル/イニシアチブプロセスで≪法則調和≫を使用します。効果が≪空間知識≫のおかげで全員を未行動になります! なのでみんな、1回ずつ余分にメインプロセス行動ができるよ。
GM/それでは、元々の【行動値】の早い順から行動宣言をお願いします。
ハルカ/一番ハルカが、黒の少年に早い≪無音の外套≫+≪属性スイッチ≫で霊力ダメージを与えます。≪片手武器≫で攻撃!(ころころ)命中判定2回目の29を採用します。
GM/(ころころ)少年は回避失敗でした。
ハルカ/(ころころ)73点の霊力ダメージです! はー……胸が痛い。

 麗子は、マイナーアクションで≪興奮剤≫で自分の【MP】を6点回復。

麗子/メジャーアクションで≪這いよる混沌≫+≪聖剣の加護:機能維持≫+≪心身置換≫+≪蒼の衝撃(サブ:礼装)≫で攻撃!(ころころ)命中40。
GM/刻印持ちは怖いな。(ころころ)お、ホンファがクリティカル値10なので回避成功。
ベル/そのクリティカル回避に≪逆転運命≫で振り直させる!
GM/(ころころ)回避失敗しました。≪這いよる混沌≫の餌食になります。
ハルカ/ダメージロールに令呪を使います! ママン頑張ってー!
麗子/(ころころ)全部で……129点の霊力ダメージ+バステ:転倒!
GM/≪金色の讃歌≫を使用! 頂いたダメージと同値点を、軽減不可のダメージとして麗子さんにも与えます。
ハルカ/それを≪光の一手≫! オーディン!
GM/跳ね返し特技は無かったことになりました。狂戦士に≪麗しき犠牲の盾≫を使用。ホンファを庇わせ、そのおかげで狂戦士は戦闘不能になります。

 ハルカは≪偽神契約≫を使用し、ベルの令呪回数を1点回復した。
 ベルは≪興奮剤≫で全員の【MP】が22点回復。≪肉体復元≫+≪上級感応力≫+≪大地の勅命≫のマックスコンボも使用し、【HP】を72点回復。


剛/待機していた剛が行動します。
GM/現在の状況を説明しようか。残った配下の処刑人ちゃんが無傷、黒の少年がハルカくんとの対決の結果2回ほどダメージを受けました。
麗子/ハルカと少年のところだけ超常決戦してるな(笑)
ベル/あそこだけ聖杯戦争してるぞ!(笑)
剛/なら剛は……リー=ホンファに攻撃します! ≪軍神の知恵≫+≪機能維持≫+≪両手武器(サブ:巨大武器)≫で攻撃!(ころころ)命中30です!
GM/(ころころ)おっと、回避ファンブルだよ。
ベル/ダメージロールに令呪を使用。剛さん、今です!
剛/≪殺界≫を使用、ダメージロールいきます!(ころころ)よし……168点の物理ダメージ!

 ≪法則調和≫による行動が全員終了したので、通常のターンに戻る一同。
 剛は待機を宣言。3回連続攻撃が可能な黒の少年のターンになる。だが『復元の魔導書』を奪われたため、≪連続攻撃・改≫+≪這いよる混沌≫による攻撃は1回のみになってしまった。
 1回目と2回目の攻撃は、全員≪カバー≫や回避による無傷。しかし3回目の攻撃で高坂を≪カバー≫した剛は倍ダメージを受け、【HP】0に。直後に≪ライフコイン≫で【HP】1点まで回復した。
 処刑人は≪惨劇:封印の牙≫+≪乱舞≫による攻撃を行ない、全員回避失敗。
 令呪2つ分の強化と≪特攻≫が乗った霊力ダメージ122点という結果だったが、剛が≪英雄の宣言≫を使用。ベルが≪念動障壁≫でダメージを28点軽減し、さらに剛の≪檻触手≫でダメージを0まで引き下げた。


麗子/≪興奮剤≫で【MP】を回復してから……≪蒼の衝撃(サブ:礼装)≫で攻撃!(ころころ)命中は、42だ!
GM/(ころころ)……ホンファ、回避失敗します。
麗子/(ころころ)霊力ダメージ……111点! どうだ!?
GM/リー=ホンファ、倒れます。
剛/よしっ!
ハルカ/うちのママンは最強なんだ!(笑)
GM/ホンファは戦闘不能になりました。では残った黒の少年だけど……説得に応じる姿勢になろうか。説得するとしたら、目の前で戦っているハルカくんだね。
ハルカ/決着のついたエンゲージをチラッと見ます。……マスター同士の決着はついたよ。ボクらが戦う必要は無いんじゃないかな? 右手を形状変化させたスキルウェポンを、人間の手に戻します。
GM/(黒の少年になって)「マスターが戦わないのであれば、召喚された我々も戦う必要は無い……?」
ハルカ/そうだね。マスターの手足になるのがボク達なら、マスターが戦わなくなった以上……無闇に戦火を拡大させる必要は無いかな。
GM/「…………」 それを聞いた少年は、ぺたんとその場に座り込みます。周囲を腐食させていた浸食も止まります。
ハルカ/よーしよしよし、お疲れ様!(笑)
GM/ホンファはその場に突っ伏し、黒の少年も戦意を喪失。配下を操る人が倒れたことで処刑人の子も倒れましょう。戦闘、お疲れ様です!


 ●エンディングフェイズ 〜運命〜

GM/儀式が失敗し召喚ができなくなったホンファが倒れています。彼女は、物凄くもがき苦しんでいます。
麗子/彼女に近寄ります! その状態は……契約に逆らったからか?
GM/『逆らっている状態だから』ですね。『邪神を召喚しろという命令を遂行できなくなったから』彼女は苦しんでいます。
剛/えっと……えっと?
麗子/こ、これは一体どうすれば……?
ベル/……GMに最後の≪運命の予感≫を使う?
GM/GMへの直接質問特技を使ってくれると、GMが困らず素直に告げられます。
ベル/では、3回目の≪運命の予感≫を使用します! どうやったらホンファさんを解放することができますか?
GM/ありがとうございます。……彼女は令呪に縛られていて、その命令を遂行しなければ死にます。令呪から解放してあげれば死なずに済みます。
ハルカ/それって……。
麗子/……『六色の宝珠』で戻って、契約を無かったことにできますか?
GM/できます。
麗子/……あの日ですね。
GM/麗子さんは、彼女が目を輝かせてこの道に突き進んだ日を知っている筈だ。
麗子/……使ってもいいですか?
ベル/使いましょう! 『六色の宝珠』をすっと取り出します。これを使えば、1D6分間だけ特定の時間に時間跳躍できます。
麗子/行ってきます。
GM/この時間跳躍は、[稀人]PCなら同行できる設定にしていたので、ハルカくんは来てくださっても構いません。……ていうか英霊だしウズマキに慣れてそうだし、ハルカくんなら一緒に時間跳躍ぐらいできそうだね?(笑)
ハルカ/当然行きますよー(笑) ウーパールーパーの形になってママンの肩に乗ります!
麗子/では、『六色の宝珠』を使用して……ホンファが機関に行く日まで戻ります!
GM/代償として5D6MPを消費してください。
麗子/(ころころ)余裕です、17点マイナスします。まだ【MP】は51点ある!
GM/何分間タイムスリップできるか決めましょう。1D6を振ってください。
麗子/これが問題だ。(ころころ)……4!
剛/4分あれば!
GM/麗子さんは今までウズマキの中に入ることはあったかもしれない。でも普通なら時間跳躍なんてできません。それをロリの温情で無理矢理やっている状態。普通の人間である麗子さんは時間を超越する感覚など慣れることはないでしょう。
麗子/ううう、ウズマキ酔いが……!
ハルカ/ママン、しっかり!(笑)

    ◆

GM/……麗子さんとハルカくんが目を開けると、とある場所に立っています。キンコンカンコーンと終礼の鐘が鳴る放課後。夕暮れ、帰って行く生徒達。43歳の麗子さんは、30年前の中学校の前にいます。
麗子/あっ……。
GM/これからルールをご説明します。リアルタイム4分以内にホンファを説得してください。
ベル/リアルタイムで!?(笑)
GM/アラームで4分測ります。特定のワードを彼女に伝えれば説得フラグが立ち、思い留まってくれます。
ハルカ/な、なんと……。
GM/状況を先にご説明しましょう。……ホンファには、夢があります。ある日、高坂の父にその力を認められました。高坂の父のもとへ行けば資金援助を受け、研究を自由にしてもいい好待遇を受けられます。
剛/はい……。
GM/その代わり、彼女は高坂の父をマスターとして契約します。そして高坂の父はホンファに命じます。課せられた令呪は判りやすく、「邪神を召喚しろ」「邪神を召喚するために生きろ」「邪神を召喚しないなら死ね」の3つ。なお、この説得は麗子さんだけでなく、シーン同行者のハルカくんも追及OKです。
ハルカ/はい。
GM/君達は、浮足立って期待に満ちた目で約束の場所へ向かう女子中学生の後ろ姿を発見しました。4分、開始。
麗子/後ろから回り込んで、ホンファの前に立ちます! ホンファ!
GM/知らない女が現れてビックリします。
麗子/本当に行くの!?
GM/「行く……って……? 何言ってるの?」 信用しない顔。
麗子/信じてくれないかもしれないけど、私は30年後の神木麗子だ! お前を助けに……お前の未来を守るためにここまで来た!
GM/「な……なに……?」
麗子/信用してくれないと思う。でも、この私を友達として聞いてほしい! お前には叶えたい夢があると思う。それは人の手を借りて叶えるものなのか? 自分で納得して、自分が認めて、自分の手足で手に入れなきゃいけないと思うんだ。でなければ自分が納得できないで、そのまま色褪せてしまう……。だから……えっと……き……機関の為にその身を捧げるのはやめて! 私と……私と一緒に……勉強していこうよ……。
ハルカ/ま、ママン……。
GM/「……なんで、貴方、そんな……泣いて……?」 いきなり現れた大人の女性が涙声なのを見て、本気で動揺しています。
麗子/機関に行くことでお前は死ななければいけなくなる。その未来を回避するために私はお前に会いにきた。だからどうか聞いてほしい。機関へ行かないでほしい! 
GM/「……一体、何……?」
麗子/お前は……多くの人を巻き込んで、『欺く神』を召喚する。それは召喚されてしまったら多くの人が犠牲になる。君の望んでいた未来ではないものが訪れるんじゃないか。君が全部夢だと信じていたもののため、でもそれは夢じゃなくて野望なんだよ、だから私は今ここでお前を止めなきゃいけない! どうか信じてほしい!
ベル/(アラームが鳴る)……4分、終了ですね。
GM/話の途中で、麗子さん達の体が消滅します。君達はウズマキの中に引き戻されました。残されたのは、とある場所に行こうとしたホンファが呆然と立っている姿。……もしかしたらそんな彼女を「どうしたの?」と声を掛ける……10代の麗子さんが現れるかもしれません。
麗子/はぁはぁ……。
ハルカ/……ママン、大丈夫?
麗子/……ハルカがいてくれるだけで、凄くありがたかったよ。
ハルカ/ボクはママンが格好良すぎて口を挟む暇が無かった。……きっと、信じてくれたよ。
麗子/……だと、嬉しいな。

    ◆

GM/一方その頃、剛くんとベルちゃんのシーンをしましょう。ウズマキの中に行った麗子さん達を見送った剛くん達ですが……。
ベル/きっと帰ってくるのは数分後でしょう(笑)
GM/そんな君達のもとに、黒の少年が近寄ってきます。とととと……。
剛/ん? どうしたんすか?
GM/黒の少年は、マスターであるホンファさんが倒れ苦しんでいる姿を見て、気遣う顔をしています。どんな扱いであれど、2人は契約をした主従。様態は心配のようです。
ベル/……大丈夫です。彼女はまだ気絶しているだけですし、彼女を救うためにハルカさん達が過去に飛んでいるのだから待っていてください。優しく声を掛けます。
GM/こくりと頷きます。……その後、剛くんとベルちゃんは大丈夫か、という首の動きをします。
剛/大丈夫っすよ!
ベル/大丈夫。……演出だけでも倒れている実験体だった2人のチルドレンを回復したいのですが、いいですか?
GM/いいですよ。そんな蘇生活動を黒の少年は優しい人だなぁと思いながらもを見ています。……そうしていると、苦しそうだったホンファさんが大人しくなりました。肌に浮き上がっていた刻印が少しずつ消滅していきます。
剛/あっ……これって!
ベル/麗子さん達は無事に彼女を解き放ったようですね! 安心します。
剛/良かった、もう死なないんですね!
GM/「ええ、死は回避できたわ」 君達の背後から、小さな女の子の声がします。振り返ると、金髪碧眼ツインテール、黒いドレスっぽいロリータ服の女の子。顔見知りの龍の聖剣が立っています。
ベル/龍の聖剣様……。一礼をします。
剛/聖剣様、お久しぶりです!
GM/(龍の聖剣になって)「リー=ホンファを縛る令呪が無くなった。これで一番の危機は脱することができたわ。だから私もネタ明かしができる」
ベル/ネタ明かしですか?
GM/「……リー=ホンファは、異端ではなく普通の人間。ただの人間が、凶行に突き進んだだけ。だから、私が時間を巻き戻すことは不可能なの」
剛/あ。……ああっ、なるほど!?
GM/『AW』は、異端が悪さをしたからセカイが特例を出して時間を巻き戻すTRPGです。でもリー=ホンファは異端でも無ければ、『闇の衝動』を持つ魔族の生まれでもない。つまり……PC達がゲームオーバーしても、世界はやり直す選択をしません。
ベル/ループが起こらない……時が戻らないセッションだったと!?
GM/ええ。ちなみに機関の創設一族……高坂の父達は、異端の一族です。ということで彼らの悪行は異端カウントのため時を戻せます。しかしホンファは普通の人間だし、異端を利用して事件を起こした訳でもない。これで「異端を使って虐殺をした」とか「異端の力を借りた」とかならセーフなんだけど、今回の事件は人間のホンファとさらに被害者の子供達が起こしたので……。
剛/ってことは、これで大事件が起きてたら……事態はかなり危なかったっすね!?
GM/もし『欺く神』が世界に降臨してたら? このことは『ワンダフルワールド』でも語られていますが、世界は取り返しのつかないところまで進行するとリセットボタンを押してやり直すどころか、ゲーム盤の電源を切ってしまいます。普段なら人間を救う神々ですが、「人間が選んだ道なら尊重してあげよう」と時間跳躍を勧めてきません。「貴方達がリー=ホンファの儀式をどんな形でも止めていなければ、世界は終わっていた。戻れないぐらいにね。本当にありがとう」
剛/こ、こちらこそありがとうございます! 『六色の宝珠』、凄く役に立ちました!
GM/「……リー=ホンファの儀式を止めること自体は簡単なの。それ以上の救いをしてくれたのは、貴方達のおかげね」 贄となる高坂を殺したり、主犯のホンファを止めれば終わる話だから。しかしホンファは邪神召喚ができなければ、死ぬ。ホンファを救えるかは、救おうと思ってなおかつ気付いたプレイヤー次第でした。
剛/リー=ホンファは……どのように運命が変わるんでしょうか?
GM/「これから機関と契約をしなかったリー=ホンファになるよう、世界が改変されるわ」 この事件を知覚しているシナリオの参加者以外の人々の記憶や記録が、世界にとって都合良い形に最適化されていきます。「機関には何かしら接触していたけど、邪神召喚のために一生を捧げなければならない世界ではなくなる。召喚が不可能だからって苦しみ死ぬことはなくなる。……その程度しか変わらないわ」
ベル/……彼女に関わった少年少女達の人生にも関わりますからね。
GM/歴史を改竄しようにも、意思の力が多いとバタフライエフェクト的に元通りになっちゃいます。なので、「ホンファ1人の運命を変えようとしても」「10人以上の少年少女が邪神召喚を願って彼女を頼った」ので、彼女が今年の12月に事件を起こすことまでは変えられないでしょう。変えられるのは、ホンファのこの場の死だけです。……さて、黒の少年の姿が消え始めていることに気付けます。
ベル/あっ。
GM/『欺く神』を召喚する儀式に、どうしても必要だった高坂。高坂を脅迫するために召喚された英霊。邪神召喚する必要が無くなったこの世界。「リー=ホンファが召喚しようとしていた邪神は、毒を操る神でもあった。そこに『腐敗の神』のデミサーヴァントを召喚した。もし高坂が確保されて贄に使えないとき、この少年を贄にして臨時の召喚に臨む気でいたでしょう。もうこの少年は彼女の目的が果たせない。英霊の規約通り、ここにいる意義を失った彼は昇華されるわ」
剛/あ、あああ……。
GM/黒の少年もそれを承知しているのか、消えゆく自分の体を見ています。
剛/……彼をまた呼び出すことはできないんですか?
GM/英霊召喚の方法は麗子さんも知ってるよ。でもウズマキの中に漂う無数の魂の中から、知名度の無い一般人の魂を引き摺り出すのは、かなり難しい確率だろうね。
剛/……出来れば、留まってほしいんすよ。高坂さんもそうでしょう?
GM/高坂は10年前に死に別れた家族だと自覚しているので、「ここでもう一度だけ会えただけでも嬉しい」と言って、別れを認めます。
剛/……まだ、あと1回分だけなら戻れるんですよ!
ベル/そうです。あと1回『六色の宝珠』の力は残っています。もし少年を助けられるのであれば、彼の手を掴んであげるべきだと思います。
GM/「……何が言いたいんだ?」
剛/時間を遡ってこの子を救いましょう! ……この少年が殺されるんだったら庇うっす! 俺はそう簡単に死なねーっす! 高坂さんは家族と一緒に進んでいきたいでしょう? 大事なことっすよ!
ベル/私も同じ想いです。協力します。高坂様に助けられた命ですから、貴方のために私自身の力を使います。
GM/…………。麗子さんとハルカくん、現代に戻ってきてください。ウズマキから現世に戻ってくると……少年の体が消えかかっていて、何が起きているか判ります。
ハルカ/あっ!? 昇華だ、しまった!
麗子/……もう一度、やるのか?
GM/高坂は「そんなことしなくてもいい」って顔をするけど。
ベル/諦めないで! ≪空間知識≫で『六色の宝珠』を使って全員で時間跳躍するぐらいできるでしょう!? なんなら≪禍福のさざなみ≫を使いますよ!?
GM/ロリが、「い、行くの?」って顔をするよ。
ベル/龍の聖剣様が止めると言うならば、致し方ないことだと思います。何しろ歴史が大きく変わってしまいますし。それによって救われない人や生まれる人が生まれない可能性だってあります。
ハルカ/う、うん……。
ベル/ですが私は今、危機に瀕している一人の少年を助けたいのです!
GM/「…………」 ロリは、物凄く難しい顔をします。重々しい雰囲気です。
剛/ダメ……ですか?
GM/「……その子は、10年前の機関解体事件で死んだ。日本中の人間の命とその場で戦った100人を天秤にかけた結果、必要な犠牲だった。その犠牲の比率を変えようとしているのよ」
ベル/無茶を承知で言っていますっ。
GM/「その子を生かすことは、歴史が大きく変わる可能性がある」 機関にいたベルちゃんや、麗子さんの息子のナツメくんが助からなくなるかもしれない。そもそも日本滅亡をギリギリのところで防いだ戦いの中に介入するのだから、何かが起きるかもしれない。
ハルカ/はい……。
GM/……でも。「目の前の人を救うというのが、私達のモットーなの。何も言えないわね。あ、靴紐が解けてるー」 ロリは、しゃがんで下を向きます。
ベル/おロリ様、マジ良い女!(一同笑)
GM/(物凄く棒読みなロリになって)「あら、私が靴紐を結んでいる間にあの子達はどっかに行ってしまったわー。どこに行ったのかしら、判らないわねー」
剛/棒読みだ!(笑)
麗子/みんな高坂さんのために必死だな!?(笑)
ハルカ/そのためのパーティーですよ! みんな高坂さんに対してモチベーションが高すぎるセッションですからね!(笑)
ベル/ありがとうございますっ! そう言って、我々はウズマキの中へ入っていきます……!


 アナザーワールドSRS・リプレイ
  〜 悔いなきセレクシオン 〜





END

GM/……ということで20レベルセッション、これにておしまいにしようと思います。どうなるんだろう? ともあれお疲れ様でーす。
一同/お疲れ様でーす!
麗子/えええ……これ、どうなるんですか!? 凄くドキドキしてきちゃったんですけど!?(笑)
GM/い、いや……判りません。4人にはこれから頑張っていただきたいと思います。どうなるのかGMの私も判らないので、「頑張って」としか言えません(笑) とりあえず、今回のセッションのネタ明かしをしていいですか?
剛/はい!
GM/クライマックスフェイズ前にも暴露しますが、高坂は何気なく1人になろうとします。(リプレイでカットした場面ですが)何度も1人になろうとする発言をします。そして1人になった瞬間、死にます。
剛/1人になっちゃダメっすよ!(笑)
ベル/ぼっち良くない!(笑)
GM/ぼっちになった途端死ぬRPG。斬新。
ベル/ミステリーにはよくあることだけどね!(笑)
GM/教会の部隊に殺されるだけでなく、2回ある戦闘でも高坂が戦闘マップに配置していた場合、優先的に狙われます。そしてエンディングフェイズでロリが説明しましたが、今回の事件はループが発生しません。つまり高坂が死ねば死にっぱなしになります。
麗子/うわ……それはダメだ。それこそ『六色の宝珠』で戻るしかないんだ!
GM/そう、もし高坂が死んでも『六色の宝珠』で戻れます。1D6分だけ高坂が生きている時間に時を戻り、高坂を生存させるような動きをすることで、戻ってきた世界で生きた高坂と再会することができます。あとエンディングフェイズでのホンファの説得シーンですが、ホンファを無力化するAF判定に成功しておかないとイベントが発生しません。
麗子/良かったね、成功して。AF判定はやっておかないとダメだよね! ……あ、ホンファの説得フラグって何だったんですか?
GM/『説得する自分の素性をハッキリさせること』『ホンファが邪神を召喚すると明言すること』『現在の夢を尊重し、未来へ導いてあげること』の3つです。……特に一番大事なフラグは、『名乗ること』です。自分を何者か明かさなければ不信感しか抱けませんので。
剛/ですよねー。
ハルカ/なるほど、ちゃんとママンは最初から名乗ってました。
GM/一番の勝因は、「4分間」を引き当てたことでしょうか。1分だけだとこの3つ全てクリアーは難しいですよ。
ベル/1分は無理ですね! その場合は、何回も宝珠を使ってチャンスを掴むしかないか。
GM/子供のホンファには「自分が邪神を召喚して世界を壊滅させようとする」なんて言われたら、あまりの重大さに思い留まります。それと子供なので、夢の話をしてあげれば心に届きます。しかし一番は、「自分は怪しい人じゃない。信用できる人間だと明かすこと」です。麗子さんは「30年後の神木麗子だ!」と一番最初に言ってくれたので、説得開始直後から信頼できました。
ベル/いくら子供でも魔術師なら邪神のことを勉強しているから、邪神召喚がヤバイことぐらい判っているしね……そこも大事な一言だ。子供でも判る説得だ。
ハルカ/ママンは綺麗にフラグ回収していたんですね!
剛/4分でよく綺麗にまとまってたよ!
ベル/あと……今回の勝因というか、AF判定が1ラウンドで片付けられたの良かったよね。
剛/はい。あの戦闘が長引いていたら、酷いことになっていたなぁ……。
麗子/高坂さんの達成値プラスが無かったら、2ラウンド中もダメージが与えられなかっただろうし……。
GM/高坂ポイントを何かに使いたかったんですよ。まさかあんな形で使うとは、シナリオを組んだ頃のGMも想定外でしょう。
ベル/高坂ポイントがあんなに役に立つとは思わなかった!(笑)
剛/「高坂ポイントで敵が強くなったらどうしよう?」ってずっと考えてましたよ!(笑) 高坂さんがラスボスとして出てきて、36点ダメージがアップするとかしたら!
GM/もしそんなシナリオだった場合、ボーナスなんだから逆にPC達へのダメージが36点軽減するんじゃないですか。
ハルカ/あー、優しい!(笑)
ベル/闇堕ち高坂さんか、それはそれで良いなぁ……(笑)
GM/黒坂さんだか悪坂さんだかは、高坂の父親の役目です。高坂はデータ的には弱いけど、素体としてはとても良いので使いたい放題の無力なNPCで今後も使ってあげてください。倒せば経験値が入る、良いドロップ品が貰える、合成すれば超成長できる、売れば高額取引ができるような弱者が高坂です。
麗子/高坂さんを売るなんて、そんな……楽しい!(一同爆笑)
GM/……という裏設定を数年前に作っておきながら一度も出す機会が無かったので、それを全面に出すことができたセッションでした。楽しかったです、ありがとうございます。
剛/ごちそうさまでーす!
GM/ていうか、こんなに優しくしてもらえるセッションだとは思わなかった。ホンファも、黒の少年も、チルドレンの子供達もみんなに優しくしてもらっちゃったよ。
ハルカ/そりゃあ助けられるものは助けたいですし、全力で助けますよ。黒の少年とは境遇が同じだということで、ハルカからの好感度がガン上がりでした! すっごく助けたい!
ベル/助けられる手段が手元にあったからね。ベルは救ってもらえたけど、チルドレンの子達は救ってもらえなかった訳だし。そしたら救ってあげたいじゃん。
麗子/それにホンファは、友達だからな。
剛/そもそもママンは更正要員だったよね。息子さんを更正させてましたし、そんな人が冷たい訳ないっすよ!
麗子/えへへ、バンドでも組む?
GM/なんでや(一同爆笑)




END

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