アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 ダブルダウン 』 3ページ ■
2013年9月20日




 ●トリガーイベント/2 〜タイムリミット〜

GM/先生達がキャンプファイヤーの火を消し、生徒達は合宿舎に戻って寝る準備をし始める時間になりました。消灯の時間が近いです。……全員【知覚】判定を。難易度は6。
一同/(ころころ)成功です。
GM/全員成功か。……みんなは、空と大地が部屋には戻らず2人きりで話をしているのを見つけました。
きよえ/2人が?
GM/2人は部屋に戻ろうとしません。合宿舎の隅でコソコソと内緒話をしている空は……頭を抱えて辛そうにしています。
ナツメ/その会話は聞こえますか?
GM/他の人に聞こえないように内緒話をしているんだけど、何か聞く手段でもありますか?
ナツメ/そうだなぁ……≪地霊操作≫で妖精さんを操って、それ経由で話を聞かせてもらうことはできますか?
GM/ナツメくんは大地の精霊なんだっけ? 下級の妖精さんを使役しているのなら、OKかな。簡単な行為判定ということで【意志】判定難易度6に成功したら可能とします。
ナツメ/(ころころ)7、ギリギリで成功です!
GM/今までやったことなかったけど、妖精さんにお願いしてなんとか2人の言葉を運んでもらえました。……空は深刻な声で「オレ、やりたくない……」って言っています。
ナツメ/「やりたくない」?
GM/そんな空に対して大地は、大地にしては厳しい口調で「そんなこと言ったって……やるためにここに来たんでしょ? なんでそんなに感情移入してるの……」と言い返しています。
千代反田/「感情移入」って……。
GM/大地は更に強い口調になっていきます。「いいよ、もう……僕がやる。空は邪魔をしないでよね……」「いや、でも……!」 渋る空の声。
ナツメ/……何か起こそうとしていることを感じ取ります。
GM/では、先ほどの【知覚】判定に成功した人……つまり全員か。全員は、合宿舎を出て行こうとする2人を追いかける【反射】判定が可能です。(ころころ)こちらの達成値10、なので受動側優先のルールで難易度が11です。
一同/(ころころ)成功です!
GM/全員成功か、お見事! 寝静まりに行くクラスメイト達とは逆方向に、校庭へ向かおう2人を追いかけることができます。
萌/校庭へ……!? 飛び出して行きます!
ナツメ/い、いや、もうちょっと様子を見よう! どこに行くのか確かめないと!
千代反田/飛び出そうとした妹を羽交い絞めにします(笑)
きよえ/もうちょっと待ってよー、萌ちゃーん(笑)
ナツメ/うおー! くぅー! だって空にぃがー! みんなに止められます!(笑)
GM/萌ちゃんは抑え込まれました(笑) 空と大地は、鎮火したキャンプファイヤーへと近づいていきます。大地が暗い顔の空を先導する形でね。
千代反田/キャンプファイヤーに、何が……?
GM/大地が「もう準備はできている……やろう」と空に向き直ります。
ナツメ/……空の様子は?
GM/「待った! やめてくれ!」 空は大地を大声で止めます。「空。なんで……そんなこと言うの? 君が始めなくても僕はする。だって……」
ナツメ/だって?
GM/「……僕、お腹がすいたもの」
きよえ/うっ……。
千代反田/そ、それは……。
GM/大地は、ウズマキからみんなにサインを書いてもらった色紙を取り出します。
萌/ウズマキから!?
GM/「令呪をもって命ずる。我が従者達、ここに居る全員……自害しろ!」
ナツメ/……なっ!?
GM/さて、『イベントキー:みんなの色紙』を持っている人は誰かな?
萌/はい。
きよえ/はいっ。
千代反田/は、はい……。
GM/3人、自害してください。
きよえ/あっ(笑)
千代反田/じ、自害ー!?(一同笑)
GM/はい、自害です。令呪の命令は絶対です。サーヴァントである君達は、マスターである大地の「自害しろ」という命令に従って死んでください。
ナツメ/う、うわぁ。
萌/……色紙を書かなかったナツメに、縋るような目を向ける!
ナツメ/え、あっ……?
萌/ナツメなら何とかしてくれるという意思を込めて見るからね……頼んだよ……! 自分の胸に手を当てて、持てるだけの霊力ダメージを胸にドンッとぶつけます! そのままバタリと倒れます。
ナツメ/うぇっ……!?
千代反田/ナツメに、すまん……と言った後に、折りたたみナイフを自分の胸に突き立てます!
きよえ/な、ナっちゃん……ナっちゃん、ごめん! ≪巨大武器≫をウズマキから取り出します!
GM/きよちゃんの≪巨大武器≫って何なの?
きよえ/先が尖っている十字架です。十字架を自分の体に突き刺して……死にます。
ナツメ/う、うわぁ……うわあっ!?
GM/一方……寝床に入った生徒達は総じて目を開き、一斉に自分の舌を噛んで死ぬ。
ナツメ/クラスのみんなも!?
GM/色紙に名前を書いたみんなだね。手元に凶器になりそうな物を持っていた子は、自分で自分の体を痛めつけて死ぬ。上の階の窓際に居た子は次々と窓から落下して死ぬ。
ナツメ/う……うわぁ……!
GM/何も死ぬ手段が思い浮かばなかった子は自分から壁に何度も頭を思いっきりぶつけて死ぬ。目玉に筆記用具を突き刺して死ぬ。自分の首を両手で絞めて死ぬ。……皆が何も判らないまま、令呪の命じられたままに自殺していく。
ナツメ/な、なっ……。
GM/みんなが、死にました。その中でナツメくんだけが立っています。
ナツメ/で、でも! ……みんなの死に際を見ながらも、瞼は絶対に閉じない。
きよえ/……うう、ナっちゃん……。
ナツメ/みんなを見てる! 目に焼き付けておく! ……何でこうなったのかを考えながら、『次』のために忘れないように!
GM/一人取り残されたナツメは、大地の声を聞くことができる。「残念ながら全員が色紙を書いてくれた訳じゃない……まだ生き残っている人が合宿舎にはいる。だから……」 大地くんはボソッと何かを呟きます。その瞬間、一定の場所から「ドンッ!」と小さな破裂音が聴こえます。
ナツメ/な、何だ……?
GM/【理知】判定難易度6の判定に成功すれば、何の特技の効果か判るよ。『対象識別』系の特技を持っていれば自動成功でもいい。
ナツメ/識別系の特技は無いのでダイスロールしますね。(ころころ)12で成功です!
GM/自殺しなかった人がいた部屋が小爆発を起こしています。≪魔印≫+≪爆散≫の合わせ技のようです。

 ≪魔印≫
 接触した人物・物体・生き物に刻印を刻み込み、大体の位置を知る[異端者]の副特技。
 直接接触した対象がおおよそどこに居るか見当がつくよう発信機のようなものを付ける。外見は傷や刺青のように自然に表面に忍び込み、痛みは無い。

 ≪爆散≫
 設定した領域を爆発させる[領域遣い]の主特技。


ナツメ/[領域遣い]……それに[異端者]か!
GM/遠隔操作の爆弾を起動させたようなもんだよ。その時点で、少なくとも彼……大地が異端であることに気付いていい。
ナツメ/……爆発している音が聞こえて、彼らが間違いないと確信したら……2人を後ろから襲いかかる!
GM/どんな風に?
ナツメ/≪闇の血統≫で本当の姿になる!
GM/本当の姿?
ナツメ/……一歩足を踏み込むと、ズンッと地鳴りがする。本当に立っていられないほどの地震が起きる! なんで……なんでそういうことをするの!?
GM/おおっ。立っていられないほどの地震が起きたら、2人ともよろけちゃうね。空はよろけながらもナツメの声にバッと顔を上げる。
ナツメ/みんなのこと……なんで殺すの!?
GM/(空になって)「これは……そのっ……」 空がみんなを殺している側だというのはナツメくんにはもう判ることでしょう。なのに言われた空は、とてもショックを受けたような顔になります。
ナツメ/俺だって……そういうのしたいって思う気持ちがあるってことぐらい判るよ。怖いとか痛いとかいう気持ちがないと生きていけないっていうのも判る!
GM/「そ、そうだよ……そうだよな、判ってくれるよな!?」
ナツメ/でもそれは、やっちゃいけないことだ!
GM/「ッ……!」 ナツメくんの≪+50現実検討能力≫による言葉を聞いて、自制と欲望への葛藤のあまりガタガタと震え始める空。
ナツメ/大地くんの方を見る!
GM/(大地になって)「……『やっちゃいけないこと』? 君だって異端のくせになに人間みたいなこと言ってんの? 人に危害を加えて美味しい想いをしたいって思うのは、異端として……魔族として当然なことでしょ? なのになんで『やっちゃいけない』なんて言うの?」
ナツメ/……確かに俺は人間じゃないよ。でも判るでしょ、あんただってこの学校に来て、みんなと一緒にこうやって林間学校に来ていたんだから!」
GM/「僕達がここに来た目的は……」
ナツメ/一緒に林間学校で楽しんでいたんだから、人間があったかくて優しいものだって判るでしょ!?
GM/空が頭を抱えて叫びます。「もうやめてくれよッ! そういうので迷いたくないんだ!」
ナツメ/ま……迷ってよ!
GM/「迷いたくないんだ! 黙れよ!」 頭を抱えて震えたまま、空が絶叫します。
ナツメ/迷ってよ……迷って、やめてよ! そんな顔をした君達を見たくない……!
GM/空はナツメの声にひどく怯えて、後ろに下がります。大地は……忌々しげにナツメを睨みます。「……空を苦しめるな」
ナツメ/……大地くん……。
GM/「僕達に変なことを言うな。お前なんか……」 言いながら、大地は空に命じます。「令呪を使用。空、あいつを殺して!」
ナツメ/令呪を使った……!?
GM/マスターである大地が、サーヴァントである空に令呪を使って「ナツメを殺せ」と命令します。令呪に命じられた空は……獣のような外見に姿を変えます。
ナツメ/……その獣って。
GM/赤い毛並み、ぎらぎらに光る神々しい紫色の眼。そのような四足歩行の獣に姿を変えました。≪獣化≫という特技です。

 ≪獣化≫
 肉体を完全な戦闘形態へと変化させる[狂戦士]の副特技。
 身体の一部を変形させたり、獣の姿に変身するなど変化する。


ナツメ/君が……エアガイツだったんだね。
GM/その問いかけも聞かず、赤い獣がバッとナツメの体に襲いかかる。……君はPC1だったね?
ナツメ/はい。
GM/昔……幼い頃「今と同じようなことがあった」と思います。オープニングフェイズで君は夢を見た。獣と戦う……戦わされていた日々。あのときと今がシンクロする。
ナツメ/……眼鏡を、外します!
GM/睨みつけると霊力ダメージが入るんだっけ。
ナツメ/はい。その獣に向かって、一睨みする!
GM/獣の体がビクンと弾けた。でも……令呪の命令は絶対だ。たとえ瀕死になったとしても君の喉元に向かって≪会心の一撃≫+≪殺戮の身体≫は止まらない。……だが、その瞬間。
ナツメ/その瞬間……?
GM/空は、≪抗いの定≫という特技を使用します。

 ≪抗いの定≫
 強制力のある強い主従関係を持っていることを表わす[狂戦士]の副特技。
 『契約』しサーヴァントである場合、1シナリオに1回までマスターの命令に逆らうことができる。


GM/君の喉元を食い千切るように牙が寸前のところまで迫る。だけど、一瞬怯んだ。
ナツメ/あっ……空、マスターに逆らった?
GM/そして君の攻撃の方が早かった。君が睨みつけた瞬間、獣の全身に霊力ダメージが行き渡る。ビクビクと跳ねた後に……その場に落ちた。
ナツメ/目を見開いて……倒れた空をずっと見てます。
GM/グルルという獣の唸り声の中に、人間の声が混じり込む。「ごめん……ごめん……」
ナツメ/……空……。
GM/「ごめん……ごめん……オレが……ごめんな……オレが……」 それと君の中に、とある声が思い出される。
ナツメ/とある声?
GM/10年前。とある研究所で獣と戦わされたとき、獣が言っていた声を。「イタイ……ヤダ……死ニタクナイ……」 その助けを求める声と空の謝罪は、まったく同じ声です。
ナツメ/…………。
GM/でも最期は、今の空の声で「……ごめんな……」。
ナツメ/……息を呑んでから、ごめんね……と、あのときと同じように言います。
GM/空は動かなくなる。空を呼ぶ大地の叫び声が聞こえる。……同時に、世界が真っ白くなる。そうして君の意識は完全に掻き消え……失われていきました。


 ●トリガーイベント/3 〜ウズマキ〜

GM/全員、目を覚ましてください。君達は死んだと思ったら生きてたよ。今いる場所は、上も下も右も左も無いような渦を巻いた変な空間だけどね。
千代反田/お、起きた……?
萌/はあ、はあ……はあ!? い、生きてる!?
きよえ/な、ナっちゃーん!? ぎゅーって抱きつく!
ナツメ/い、生きてるー! きよちゃんぎゅーっ! 俺達生きてるねー!?
GM/「いえ、死んだんですけどね」と、君達の背後に金髪碧眼の男性が現れます。
萌/る、ルージィルさん!?(笑) あたし達、失敗しちゃったよぉー! ちきしょーっ!
千代反田/ルージィルさん、まだ僕達は生き返ってない……ってことですか?
GM/(ルージィルになって)「ええ、その通りです。ここは時の狭間。……貴方達は死にました。蘇るかどうかはこれからです」
ナツメ/あれ、知らない人がいる?
きよえ/誰だろう、カッコイイ人だなぁ……(笑)
GM/ルージィルは、ナツメくんときよちゃんに自己紹介をします。世界について、時間跳躍についても説明するよ。「渡久地萌、千代反田宗次。貴方達はまだ失敗したとは言えません。前進することができるからです。ただしそれは貴方達次第。ここで終わりを選べば失敗になります」
萌/うぐっ。そ、そうでしたね!
GM/一息ついたところで、ルージィルは流暢な言葉遣いで早速取引を持ちかけます。「今までの記憶を継承したまま時間を巻き戻せば大きく前進できるでしょう。ただし、そうすれば貴方は異端より圧倒的に有利になる。有利になるためには代償を払わなければならない」
萌/はいっ!
GM/「……おや、もう決心をなさっているお顔ですね?」と萌ちゃんに笑いかけます(笑)
萌/もちろん! 代償を支払うよ!
千代反田/もちろんだ!
ナツメ/……質問なんだけど。時間を巻き戻すって言うけど具体的にはいつになるの?
GM/「貴方達が異端と関与し始めた時間までです。貝きよえが異端の存在を知覚した、つまりエアガイツの名を知った8月20日の朝に戻ることができます」
きよえ/タカさんの電話があったあの朝からやり直せるんだ……。
ナツメ/それだけあれば充分だよ。俺ももう一回やり直したい!
GM/「良い目ですね」とキラキラとがっついてくる全員を見て、ルージィルはルールを説明します。記憶を継承したいキャラは、【能力基本値】を1つ選択し、マイナス3してください。そして減らした能力値に相応しいループのペナルティを負ってください。
きよえ/ペナルティ?
GM/ループするために何かを失うことだよ。「片腕が無い」といった肉体的ペナルティや、「今の立場を失くす」といった社会的ペナルティなどプレイヤーが自由に決定してください。
千代反田/【能力基本値】か、何を減らそう?
GM/……もう萌ちゃんは決まっている顔だったね。何のペナルティを受けるのかな?
萌/あたしは【知覚】を減らします。自分のコンタクトレンズを差し出します。
GM/ほう、コンタクト?
萌/ルージィルさん。あたしの体質を変えてさ……二度とコンタクトがつけられない体にしてくれるかな。青い目を晒しながら言います。
GM/ああ、そういえば萌ちゃんのライフパスに「奇妙な身体的特徴(瞳の色が青)がある」ってあったね。異質な目で人から奇異の目で見られるって……確かに社会的なペナルティだ。
萌/実際にコンタクトには度が入っていたので、【命中値】も下がります。ということで、キャラクターシートを眼鏡に描き直します。
きよえ/メガネっ子になった!(笑) じゃあ……きよえは、【幸運】を減らします。
GM/【幸運】を減らすんだ。
きよえ/色んな人に恵まれて幸せだったけど、きよえの幸せをちょっと持っていってください。……人に好かれなくてもいいです。
GM/……色んな人から可愛がられていた立場を捨てる、と?
きよえ/はい。みんなが仲良しでいてくれるなら、私は平気です。
GM/なるほど。今後周囲からは悪印象を持たれやすくなるかもしれません。きよちゃんは第一印象が何故か悪くなりがちな子になります……が、本当の君を知ってくれる人ならきっと君を今まで通り好いてくれるでしょう。
ナツメ/……よし、俺は【反射】を落とすことにする。半分しか自分の視界を認識できなくなります。
GM/片方の視野が見えなくなると?
ナツメ/オムライスを食べると半分しか認識できないので半分残すようになります。
千代反田/半分だけ残すとか器用すぎるだろ!?(笑)
ナツメ/「半分残ってるよ」と言われて初めて「あ、まだあった!」と気付けます(笑) だから【命中値】が下がるのは必然ですね。そして、キャラクターシートに描いていた眼鏡を捨てます。
萌/代わりにそのアラレちゃん眼鏡をあたしが貰います(笑)
きよえ/私がナっちゃんの半分の視界を補ってあげるね〜(笑)
千代反田/……そうだな、僕は【知覚】を下げよう。僕の耳を持っていくがいいよ。
GM/耳。聴覚か。いいの?
千代反田/いらない。片方あげる。授業で先生の声が聞きづらくなるだろうけど。
GM/「……かしこまりました。貴方達の覚悟、確かにお受けしました」 ルージィルはお辞儀をします。
千代反田/これで時間を事件が起きる前まで戻せるんだよな?
GM/「ええ、記憶を継続した形でやり直すことができます。もう一度あの世界を歩むことになりますが、そこで幸福になるか不幸になるかは貴方達にかかっています」
ナツメ/うん。……行くぞ。
GM/「さあ、どうぞ。新しい世界を幸福に導いてあげてください」 深くルージィルが頭を下げると、君達の視界は白く呑まれていき……。
萌/……行ってきまーす!
千代反田/今度こそ頑張るぞ!
GM/……次に君達が瞼を開けたとき。8月20日の早朝になっています。
きよえ/ふぁ……戻ってきた……。
GM/合宿2日目の朝。まだ寝ている生徒達の中、君達はそっと目を覚ましたのでした。
千代反田/……布団の中で目覚めて、朝だから鳥の鳴き声が……聞こえてくる筈なのに、うう、聞こえない。
ナツメ/朝ですよ。ちよたんが聞こえる方の耳に向けて言うよ。
千代反田/うわっ! ……判っているんだな?
ナツメ/うん。……今度はできるよね?
千代反田/ああ、覚えている。今度こそやるぞ。
GM/生徒達が起床し、朝食を取る。大地くんは色紙にクラスメイト達の名前を書かせ始め、清掃活動に出かける前に高坂からの電話……といういつもの流れをスキップして、新たなミドルフェイズを始めていきましょう。さて、『イベントキー:みんなの色紙』を持っている人は削除しておいてください。
千代反田/もう色紙は書かない! 書かないぞー!(笑)


 ●ミドルフェイズ5/萌 〜記憶〜

千代反田/夜になると空と大地は強硬手段に出る。その前に何かした方がいいらしい。
GM/そうだね。今回のループでもミドルフェイズを4シーン立てることができます。4シーン以内になんとかしないと強制イベントが発生するみたいだよ。気を付けて。
萌/あと4シーン以内にクライマックスフェイズに行けるようにしないと。まずは……校庭のAF判定を成功させちゃおう!

 『AF判定:探索「学舎校庭」』
  ・使用能力値:【意志】【幸運】
  ・難易度:36分の11
  ・ラウンド制限:なし

※「キャンプファイヤーを行なう校庭を調べる」演出に成功すること。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。


千代反田/山間部の清掃じゃなくて、キャンプファイヤーの準備の前の掃除をすることになりました。
ナツメ/そういうことにすれば朝から校庭を探索することができるしね!
GM/そういった演出の改変は大歓迎だよ。班同士の話し合いの結果、ナツメくん達の班は山間部の清掃ではなく校庭の整備をすることになりました。それではAF判定の続きを始めていこうか。
萌/はいっ! ……今までの経験上、この辺りにゴミが多かった。みんなに≪同調録≫を使ってゴミがあった記憶を教えます!
ナツメ/よし、そっちに行けばいいんだな。判った、オッケオッケ!
萌/まずは今日も一発、リポD飲んでおきます! ≪興奮剤≫ゴクゴク!
千代反田/校庭の整備なんだから……ゴミ拾いというより、草むしりをすることになるんじゃないかな?
萌/じゃあ草むしりをしよう! ……あ、鎌を持ってないや! 鎌を持っている先生に≪シンパシー≫を使って「鎌ってあっちの倉庫にありましたよね!?」という質問に「イエス」の返事を貰います(一同笑)
きよえ/萌ちゃん、ナイスだよ〜!(笑)
萌/でも鎌って慣れないと怪我しちゃうよね? 怪我をするような子がいたら≪念動障壁≫+≪念動障壁・改≫でカバー!
千代反田/これでみんな怪我しなくて安全だな(笑)
萌/……頭が暇になってきたので、≪+50アイドル知識≫でアイドルのことを考えて平常心を取り戻します(笑) そこに大きな虫を発見。
GM/キャー、虫よー。
萌/そこだっ! ≪肉体共鳴≫で討ち取ります。フッ、他愛もない(一同笑)
千代反田/か、カッコイイ!?(笑)
萌/周囲を≪超越感覚≫で見渡して、何かを無いかと探そうとする。今まで通り過ぎたところも僅かな情報があった筈だ。自分の中の≪最奥の記憶≫を思い出すようにして……。ここで必ず見つけるという強い≪熟練:意志≫を持って、判定を行なう!
GM/特技を9つも使ったので、難易度が18も減少します。『現在難易度:18分の11』だよ。
ナツメ/それなら7以上あれば成功するね。
萌/あたしの【意志】は5もある!(ころころ)よし、10が出たので成功します!
GM/OK、成功した。……萌ちゃんは校庭周辺を調べました。キャンプファイヤーやテントの位置を見た君は、「この配置はヤバイ!」と気付きます。
萌/配置がヤバイ?
GM/これってまさか……結界? [領域遣い]の≪テリトリー≫的な何かじゃないかな? 校庭全体に仕掛けがあるじゃんと思いました。
ナツメ/凄くサバトの匂いがしたね!(笑)
きよえ/濃厚なサバトの匂いがするよ!(笑)
GM/うん、何か儀式が行なえる匂いだ。AF判定に成功した君はこのヤバイ結界を崩すことができます。
萌/崩します! ここがヤバイから……ズルズルと少しだけ仕掛けをズラしていきます。ふう、危なかった。あたし仕事したわ。後はみんなの活躍を見守る!
GM/萌ちゃんは『イベントキー:結界解除』を入手してください。PCが1人でもこのイベントキーを持っていることで、とあるNPCのパワーアップイベントが発生しなくなります。
萌/やったー、クライマックスが有利になったよ!(笑)
GM/AF判定の結果が終わったので次のシーンへ……いきたいんだけど。GMは萌ちゃんと空にぃの交流シーンをやっておきたいな。せっかく兄妹設定を作っていただいたことだし!
萌/あっ、それはお願いします!
GM/……真夏の8月の昼間。避暑地とはいえ草むしりには暑い。空はしっかりメイクの顔にタオルをぶつけてくるよ。
萌/わぶっ(笑)
GM/「おつかれー。おいおい、必死になりすぎて熱射病になるんじゃーぞー?」 笑顔で妹を心配しにきたよ。
萌/空にぃこそおつかれー。
GM/「お前らが毟った大量の草をあっちに捨てに行くの、疲れたわー。しかもこれから進路セミナーだろー? だるいわー」
萌/うん、だるいよねー。
GM/「……そういや萌は、服飾系の専門学校に行きたいんだっけ?」
萌/そうそう。空にぃにパンク系の服を作ってあげるよ!
GM/空は凄く嬉しそうに笑います。本当に楽しそうに笑って……でも一瞬、何か違うことを考えてしまったのか悲しそうな目をした……気がした。
萌/……空にぃ?
GM/「お前、マジでデザイナーを目指してるの?」
萌/そりゃそういう学校に行きたいぐらいなんだから当然じゃん?
GM/「……なれたらさ、凄いよな。まあ、お前センス良いし、きっとなれるだろうけど。一流のデザイナーになったらさ、兄として鼻が高いよ」
萌/なによ、いきなり! ……ここだけの話さ、と冗談を言うかのように話します。あたしも……空にぃが兄で鼻が高いよ。
GM/「は? なんで?」
萌/なんでって。
GM/「オレが兄で良いところなんて無いだろ? ナツメみたいにデカくて格好良くもないし、成績もちよたんみたいに良くねーぞ。なんせお前の兄だからな
萌/あ、あたしは【理知】が5もあるから頭良いもん!(笑) ……で、でもね。この前、行きたい専門学校のオープンキャンパスに連れ回したときさ!
GM/「……うん?」
萌/あたしの目を初めて見た人達がさ、すっごく怪訝そうな顔をしたじゃん。あのとき……空にぃのコミュ力でなんとかしてくれたでしょ。そういうところとか尊敬できるんだよ!
GM/「……そんなことも、あったな……」 君の会話にあわせるように頷きます。質問ですが、それはいつの話ですか?
萌/オープンキャンパスだから……夏休み中、8月の、ほんの数日前の話だと思います。
GM/……6月以降の話ですね?
萌/はい。
GM/「……でもあそこ、すっげえ良い学校だったよな! 絶対行けよ!」 実際に2人で行ったことのある記憶に、彼は今まで見せたことのないほどの笑顔になります。
ナツメ/……そっか、6月以降が……。
GM/そして……夏場に一仕事を終えて汗をかいた体で、同じく汗をかいた妹の体を抱き寄せます。
萌/わあっ!?
GM/「すっげえ良い学校だった! あそこなら絶対萌の夢、叶えられると思う! ……変な奴らもいるかもしれないけどさ、萌だったら一人でもきっと大丈夫だ!」 空は君を抱き締めながら、力強く言います。
萌/…………。あたしは……空にぃと、一緒にこうやって笑っていたいよ。
GM/「バカ。一緒になんか行けるか。だってオレは……オレは、ファッションデザイン系の学校なんて興味ねーもん」 その学校にはお前一人で行くんだぞというテイで話します。
萌/……でもあたしは……一緒に笑っていたいんだよね……。
GM/「……なんか辛気臭い雰囲気になってきたな? シーンを終わらせていいか?」(一同笑) 空は照れ臭くなったのか、萌ちゃんから離れていきますよ。
萌/……あたし、嘘で言ってる訳じゃないからね! ……本当に空にぃのこと大好きだからねという気持ちを込めて言っておきます。


 ●ミドルフェイズ6/ナツメ 〜真相・真実〜

ナツメ/AF判定はしたいんですが……GM、学舎校庭で≪断末魔の叫び≫を再挑戦してみたいです。できますか?
GM/再挑戦だしOKとします。2回目だし難易度をマイナス2していいよ。なので【意志】判定の難易度は12から10になるね。
ナツメ/いきます!(ころころ)やった、今度は成功しました。
GM/ナツメは2ループ前で起きた未来の記憶を見ることができます。これは、違う世界で自分が死んだときの記憶だ。
ナツメ/はい……。
GM/……夜の合宿舎にて。君は、とある声を聞く。それは大地くんの声だ。
ナツメ/大地くんの……どんな?
GM/「令呪をもって命ずる。ここに居る者達……全員死ね。みんな殺し合え!」 そう大地くんに言われた萌ちゃんは、君の背中に包丁を突き立てる。
ナツメ/ゴフッ!?
GM/ちよたんは、ナイフをナツメの胸に突き刺す。
ナツメ/グフッ……!
GM/その後にちよたんはナツメくんに馬乗りになって次々と刺し込んでいく。
千代反田/ああ、これが問題の馬乗りのシーン……(笑)
GM/ナツメは死んだ。ナツメ以外の多くの生徒達も殺し合って死んだ。意味も判らず他人を殺し、殺されていく生徒達。だけど……この契約にはイレギュラーなものだった。普通の契約とは違い、お互いが接触して魂の絆を結び合うものではない。契約不完了は大いにあることだった。
萌/あっ、それで……?
GM/「色紙にサインを入れる」という「行動で疑似的な契約状態にさせる儀式」の成功率は、完成された結界の中だとしても99パーセント。1パーセントの失敗は出てしまうもの。……ちゃんとした契約ではない儀式だったため、幸運にも疑似令呪から免れてしまった生徒達がいた。それが……。
千代反田/……[世界遣い]の僕達か。
GM/「空! 生き残った千代反田宗次と渡久地萌を殺して!」 契約の主であるらしい大地は空に命じる。だが空は、妹や友人を殺したくないあまり……≪抗いの定≫を使用し、自分の腹を突き破り自害する。
ナツメ/……ああっ……。
GM/それが一番最初の世界の真相だ。これから先は萌ちゃんとちよたんの方が知っているだろう。自分の腹を裂いた空は、ずり、ずり……と萌ちゃん達の元へ這いずっていく。「……ごめん……ごめんな……オレが……」と謝罪しながら。
萌/…………。
GM/ナツメくんの意識が現実に戻ってくる。ちなみに、まだ空と大地が怪しいと判っていない段階ではノイズまじりの映像で見せるつもりでしたが……記憶継続プレイ中のナツメくんには、ハッキリと空と大地のやり取りが判ることにします。
ナツメ/……そっか。
萌/よしよし、大丈夫?
千代反田/平気か。一旦休もう。
きよえ/ナっちゃん、しっかり〜……。
ナツメ/……大丈夫。おおむね2回目の世界とといっしょだよ。大地くんが、みんなに命令をして殺していた……。
萌/……そういうことだったんだと1回目の世界を記憶しているので納得します。
ナツメ/……2回とも、空は大地くんの命令に逆らって死んでいる。そのときの空は「ごめん」って言ってるんだ。罪の意識があるんだよ。
千代反田/……そっか。
ナツメ/それに、「もう迷いたくない」とも言っていた。……俺さ、みんなに会えて凄く良かったと思っているんだよ。
萌/い、いきなり何を言ってんの(笑)
ナツメ/だからさ! ……あの2人にも、そう思ってほしいじゃん。
きよえ/……うん。ほしい。
千代反田/……そうだね。
ナツメ/今度は……今度は殺さない。空も、大地も殺さない。殺さないよ。
萌/でも……空にぃはなんとかなりそうだけど、大地くんはどうだろ?
ナツメ/大地くんだって、なんとかなりそうじゃないかな。……俺の話をしてもいい?
萌/う、うん……?
ナツメ/俺が昔、何をしていたか知っている?
萌/えっ、全然。
千代反田/何やってたんだよ?
きよえ/……きよえは、黙りましょう。
GM/きよちゃんは知っているんだね。
ナツメ/……俺、「痛い」とか「辛い」とかの気持ちが判りたくて、人を殺したことがあるんだ。大きな地震を起こしてね。
千代反田/え、ええっ!?
ナツメ/その後、危険な異端だからって教会に捕獲されちゃったんだけど。
萌/地震を……起こしたことがあるの?
きよえ/ナっちゃんは天災だからね。
ナツメ/だから、俺……大地くんが言っていた「人に危害を加えて美味しい想いをしたい」っていう気持ち、判るんだよ。
GM/この世界『ゼフィロス』の神様は、『正の感情』を得て成長する生き物を生み出します。一方で、化け物などの異端を生み出す『欺く神』は「『負の感情』を得て成長する、闇の衝動を持って生まれてくる生き物」を生み出します。そういった人間達を『魔族』と言います。
千代反田/へ、へえ……。
GM/魔族は基本的に無感情ですが、他者から辛い感情を貰うことを本能的な食事として愉快なことだと思っています。『負の感情』を得たい化け物を異端、『負の感情』を得たい人間を魔族、と思ってくれると判りやすいです。
ナツメ/ナツメは人外設定なので、前者の異端分類ですね。
きよえ/大ちゃんは……今のところ人間に見えるから、後者の魔族なのかな?
ナツメ/……良くない気持ちを持って生まれてきた。でも、そういう俺もこうやってみんなと笑えるんだから……きっと大地くんもこっち側に来ることができると思う。ダメかな?
萌/……チャレンジしてみることは止めない。でも呼びかけてそれでも大地くんが止めなかったら、あたしは敵だと思っちゃうよ。あたしは……空にぃを助けたいから。
千代反田/……努力はしよう。するけど、僕は大地くんを助けるチャレンジと、お前達の命をかけたら当たり前だけどお前らを優先するからな。
萌/……きよちゃんは、どう思う?
きよえ/……私はナっちゃんが昔どうしていたかを知っていたし、今こうやって笑っていることも知っている。だから大地くんもナっちゃんと同じようになってくれるのを信じたい……な。
ナツメ/きよちゃん……。
きよえ/私は、大地くんが……いつものように笑ってくれるようになってほしいよ。
萌/あ、あたしだって……そうなってくれたらいいなって思うよ! ……大地くんに言葉が届くとしたら、それはナツメやきよちゃんの声だと思う。
ナツメ/……そうだね。
萌/ナツメはもう、昔のようなことはしないんだよね?
ナツメ/しません! ≪+50現実検討能力≫がここで生かされる!
萌/だったら、大地くんも同じものを身につけられるかもしれない。そこを信じてあげられるのもやっぱりナツメだから……頑張ろ!
きよえ/私、ずっといっしょについて行くよ。
千代反田/ああ、協力するからな。
ナツメ/ありがとう……みんな、大好き!(笑) やるだけのことをやりたい。じゃあ、前に進んでみよう。
きよえ/うんっ! じゃあ、残りのAF判定を頑張ろう!

 『AF判定:調査「教会での情報収集2」』
  ・使用能力値:【体力】【理知】
  ・難易度:10
  ・ラウンド制限:なし

※「教会に行って資料検索をする」演出に成功すること。
※「イベントキー:失われた記憶」を所持していなければこのAF判定は行なえない。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。
※林間学舎から離れ、最寄りの教会に移動して判定を行う。体力の消耗が激しいため、【HP】【MP】ともに1D6点を消費すること。


GM/先生に見つからないようにササッと合宿を抜け出しましょう。教会に向かう人は1D6点のダメージを受けておいてね。
ナツメ/よし、みんなで抜け出そうか!(一同ころころ)カサカサと教会に向かいますー!
きよえ/みんなー、こっちだよー! 一度行ったことがあるので私が先導します。
ナツメ/判定をしておきますね。(ころころ)はい、成功。
GM/きよちゃんの先導のもと、ナツメくん達は無事教会に到着しました。高坂が資料を用意し終えたところのようです。(高坂になって)「おや、全員お揃いかな?」
きよえ/タカさん、こんにちはー!
ナツメ/こんにちはー! ……俺、身長2メートルだから高坂さんを見下ろすことになるのかな。
GM/高坂の身長は180センチ代だから、余裕で見下ろせるね。
ナツメ/わーい、高坂さんのつむじ押しちゃおー!(笑)
GM/(ちょっと嬉しそうな声で)「こーら、ナツメくん! 大人をからかうなっ!」
萌/キャー! 高坂さんの「大人をからかうなっ」入りまーす!(一同笑) 高坂さんがあと10年若かったら本気で狙ってたわ!
GM/「だから萌ちゃんもからかうなって言ってるだろ!(笑) ところでちょうど今、出来上がった資料が届いたところなんだ」 高坂は、きよちゃんの為に用意していた資料を渡します。
きよえ/わあ、タカさんいつもありがとう〜。
GM/きよちゃんは以前のループで一度読んだことがあります。なので必要無いものをすぐに判別でき、次の段階に進むことができます。
きよえ/みんなの分担作業をすればすぐに終わるよね〜。
ナツメ/資料を読み解いていきまーす。
GM/今のシーンプレイヤーはナツメくんだから……ナツメくんが資料を率先的に読んだという描写にしよう。では、新たな情報を得ることができました。
ナツメ/ふむふむ!
GM/今、教会が『エアガイツ』と呼んでいる獣によく似た10年前の異端について、深く調べることができます。
きよえ/この10年前の異端って、エアガイツのことでいいんだよね?
GM/そうだね、もう同一存在だと言っていい。……10年前の獣は、実は一度死んでいる。
千代反田/死んでいる?
GM/機関の研究所で死んだそうです。戦闘訓練中に、[霊媒師]と[異端者]の力を持った子供によって殺されたようだ。
ナツメ/……俺じゃん。
GM/ナツメくんは失われた記憶の中でハッキリと「俺のことだ」と判るね。だがしかし、獣は魔族の子供によって復活させられている。≪背徳の従者≫という特技によって。

 ≪背徳の従者≫
 使用者の血液を対象に注入し、死者を復活させる[異端者]の副特技。
 復活した対象は使用者と『契約』が完了になり、使用者のサーヴァントになる。


GM/基本的に『契約』はお互いの同意がなければできません。たとえ強い洗脳状態であったとしても真の同意がなければ契約不可能です。ですが≪背徳の従者≫は、死亡を回避できる上に契約も同時にできるというお手頃仕様となっております。
萌/子供に、蘇らせられた?
GM/機関は多くの能力者を飼っていました。部署はたくさんあったようですが、異能力開発研究所としてたくさんの能力者で実験を行なっていました。ある能力者は強力な魔道具の実験体として殺されたり、むしろその魔道具にさせられた能力者もいたでしょう。
ナツメ/……うん……。
GM/ナツメくんのように能力の限界を引き出させるために毎日戦わされる能力者もいたし、ナツメくんが殺した獣のように能力の的として殺されるためだけに用意された子供もいました。その魔族の子供というのも、何らかの実験体として飼われていた子です。
ナツメ/…………。
GM/≪背徳の従者≫によって復活させられた獣はその後、とっても強くなって大活躍したそうです。
萌/令呪でダイスロール+20が使えるようになったもんね(笑)
GM/獣の子供と魔族の子供の相性は大変良く……というか、2人はとっても仲良しだったので、今から10年前の機関解体事件後に、孤児の受け入れ先となった「聖愛病院」に仲良くいっぺんに引き取られていったそうです。
きよえ/ふむふむ……。
GM/そして、今から8年前。2人は聖愛病院を崩壊させる暴走事件を起こしました。
ナツメ/この2人が?
GM/はい。負傷者多数で聖愛病院は閉鎖されます。……暴走事件を起こした2人は逃亡。未だに行方不明です。
千代反田/……なるほどね。
萌/2人で逃げちゃったんだ……。
ナツメ/……2人とも、昔から仲が良かったんだね。
GM/さて、話は変わって『今のエアガイツ』の事件だけど。エアガイツは半年に一回、少年少女達の前に現れ、混乱と傷害事件を引き起こしています。幸い死者は一人も出ていませんが。
千代反田/そうなんだよね。
GM/怪我人は出ていますが、正気を失い犯行を行なってしまった生徒達は「ただのカッターで斬りつけただけの全治数週間の傷」だったり、「教室に放火。ただし誰もいない時間帯に」などなど。人を陥れる異端としてみたら「本当に苦しめる気、あるの?」と疑いたくなるような中途半端な事件ばっか起こしています。
きよえ/あ、ホントだ。
GM/資料にあるエアガイツによる事件は、奇跡的に軽度なもので収まっているようです。それでも加害者にさせられた生徒や怪我を負った被害者もいるし、損害は少なくないから捕まえなきゃいけない異端だけどね。いつ大量殺人が行なわれるか判らないし、早急に解決しなきゃ。
ナツメ/今まで殺してないんだ。なんかちょっと勇気がわいてきたな。
千代反田/ああ、説得できるかもしれないという希望が出てきた。
GM/以上でAF判定の結果で出てくる情報はおしまいです。調べ終えた君達は、合宿舎へ戻ることができます。


 ●ミドルフェイズ7/きよえ 〜過去との遭遇〜

ナツメ/合宿舎に戻る途中で、聖愛病院跡地に立ち寄ってみたいです。
GM/OKだよ。『イベントキー:木造廃病院』を持っているキャラクターであるきよちゃんがシーンプレイヤーなので、そのまま場所を移していいことにします。
ナツメ/……そうだ。このループでは写真を全然撮ってない! 撮ろう!
きよえ/ぴーすぴーす!(笑)
萌/……ねえ、廃病院で写真を撮るとか、やめよ?
ナツメ/でも、全然撮ってないよ。パシャリ。
萌/廃病院で撮ったら絶対怖い写真ができるに決まってんじゃん! やめようよ!(笑)
GM/女の子の意見を採用して、綺麗な山道で集合写真を撮ったことにしてあげなよ……(笑) さて、君達は廃病院に来ました。ナツメくんはこの景色にどこか見覚えがある。
ナツメ/見覚えが?
GM/君が今のお母さんに引き取られる前、ほんの数日間だけどここに居た気がするよ。
ナツメ/……ここに居たんだ、俺。
GM/ちょっとの間だけね。10年前、機関から解放された数日間です。そのときに何人かの子供達も一緒に聖愛病院にやって来ました。……資料によると彼らの多くは8年前の暴走事件でいなくなっているらしいけど。
千代反田/い、いなくなっているって?
GM/病院が運営できなくなるレベルの暴走だったそうだよ。
ナツメ/…………。入口のテープを剥がして、建物の中に入っていきます。
萌/ち、ちょっと怖いけど中に入って行こう! 勇気を出して、きよちゃんの手を握りながら行きます!
きよえ/大丈夫だよ、きよが守るから〜。
ナツメ/ちよたんも、ぎゅってしてあげよっかー?(笑)
千代反田/僕は≪愉悦の波≫を自分に使用して、テンションを無理矢理上げていきます(一同笑)
GM/みんなで手を繋いでいるの? なら『供給』をしていいよ。みんな契約状態じゃないから1D6点だけ回復だけどOKにします。

 一同、1D6点だけ回復を行なう。

GM/では……人が立ち寄らなくなって数年経つ木造の病院に忍び込みます。ジメジメしているしムシムシしてる暗い施設内だよ。
萌/うう、やっぱ怖い……(笑)
GM/全員【知覚】判定をどうぞ。(ころころ)難易度は12。PC2のきよちゃんはボーナスにプラス3が付きます。
きよえ/私だけボーナス?(ころころ)プラス3して、達成値は12でーす。
ナツメ/(ころころ)13で成功です!
千代反田/(ころころ)11だった、失敗。
萌/(ころころ)ファンブルが出た!
GM/……ナツメくんときよちゃんは、誰かが見ていると気付きます。
きよえ/キサマ見ているな!?
千代反田/い、いきなりどうしたの!?(笑)
GM/その見ている人物を追いかけたいなら、成功した2人のみ【反射】判定をどうぞ。(ころころ)難易度は11です。
ナツメ/もしその人物が知っている人なら、匂いで判別する≪野獣の鼻≫は使えませんか? あと、妖精に探させる≪地霊操作≫とかでボーナスがあったら……。
GM/そうだなぁ、どっちも採用して達成値にプラス4していいよ。
ナツメ/ありがとうございます!(ころころ)ボーナスも足して、達成値14です!
きよえ/私は素振りで振ります。(ころころ)7で失敗でした。
GM/ナツメくんだけが成功だね。二手に別れて誰かを追ったナツメくんは、逃げて行く影に追いつくことができます。……大地だ。
ナツメ/逃げている大地くんの腕を掴みます! どこ行くの!?
GM/ガッと腕を掴まれて、大地は立ち止まります。おそるおそる振り返ってナツメくんの顔を見ます。(大地になって)「そ、その……お、追いかけられたから……ごめん……」
ナツメ/掴んでいる手の力を少しきつくします。
GM/……捕まれている、ということはお互い至近だね? では彼は、とある特技を使います。≪同調録≫を使用。
萌/あたしと同じ特技だ!?
ナツメ/一体、何を!?
GM/君にある記憶を見せつけます。それは、とある研究所での光景。彼が受けたであろう虐待の記憶を君に見せます。
ナツメ/ぐっ……。
GM/幼い大地だと思われる子供が、無数の敵に囲まれています。ナツメくんがさせられていた戦闘訓練と同じみたいだね。いつ死ぬか判らない、泣いても助けてくれない、偉い男達が笑いながら死にかけの子供を眺めている。そんな地獄の記憶です。
きよえ/……ううっ……。
GM/でも大地の隣には、一匹の獣がいます。まだ小さな獣は、血まみれになりながらも……マスターである大地を守ろうと必死に戦っています。だから彼は生きています。今も死なずにいられるのは、サーヴァントが守ってくれた過去があるからです。
ナツメ/…………。手は放しません。そのまま握りしめています。一層力を強くして……辛いよねって言います。
GM/(大地になって)「……君も、覚えているんだ?」
ナツメ/……なんとなくだけど。
GM/「……それなら話が早いな。僕も空も……機関にいた子供だよ。覚えている?」
ナツメ/俺が……空を殺したんだよね。
GM/「うん……。そして、僕が彼を生き返らせた」 さっきのAF判定「教会での情報収集2」に成功していたのでハッキリと口にします。「ねえ……同郷のよしみということで提案したいんだ。君も僕達といっしょに来ないか」
ナツメ/どこに行くっていうの?
GM/「食事に招待したい。今夜、食事をしようと思うんだ。あの宿舎で……やっとお腹いっぱい食べられそうなんだ。準備ならできている」
ナツメ/……食事か。懐かしい響きだね、それ。
GM/「ずっと美味しい食事がしたいと思っていたんだけど、もう何年も食べてなくて……なかなか空が本番に行く前に止めてしまっていたから。でも今夜、楽しい時間を過ごしたみんなを食材に、恐怖で味付けをして料理する。今夜こそうまくいくと思う」
ナツメ/俺は行かない。むしろ君をこっちに連れていく。
GM/「……どういう意味?」
ナツメ/やり直してほしいんだよ。罪を償って。
GM/バッと手を振り解きます。
ナツメ/君が今まで何も感じなかったとは思わないんだ。だって……6月からだっけ、この2ヶ月間色んな人と会ったでしょ。空以外にも会って、色んな感情を抱いた筈だ。だから……君のその無表情が崩せる可能性があるって俺は思うんだよ。
GM/「……気持ち悪いことを言うんだね。そんなこと言われたら……」 大地は胸を抑えます。「ここが……ザワザワしてくるよ。気持ち悪い……」
ナツメ/それは、気持ち悪いっていう感情じゃないよ。戸惑いとか、もっと君にとって大切なものだ。
GM/「でも、こんなにも苦しいじゃないか。そんな嫌なもの、いらないっ……」
ナツメ/それは嫌悪するべきものじゃない! 手を伸ばします。こっちにおいで!
GM/一瞬手を伸ばしかける……というところに、大地なりの葛藤があるんでしょうね。でも伸ばした右手を左手が抑える。そのまま大地は……走り去って行きます。
ナツメ/……追いかけません。でも……次はその手、絶対掴んでみせるから。
GM/……彼は駆けて行きます。一方その頃、きよちゃん。
きよえ/はーい。
GM/きよちゃんは先ほどの追いかける判定に失敗してしまったので「こっちには誰もいないなー?」と廊下をキョロキョロとしています。そこに……大地くんが現れます。
きよえ/あっ。大ちゃん!
GM/どっかから走り去ってきたのか、ハァハァと息が荒いです。きよちゃんを見つけてしまって、立ち止まってしまう大地くん。きよちゃんを睨む……というか、どんな顔をしたらいいか判らないといった表情をします。
きよえ/大ちゃんっ! ……学校でしているように笑います。
GM/……笑われるとは思ってなかった。
きよえ/でも、きよえはいつものように笑ってますよ。
GM/……すぐ追いかけられて捕まると考えていた大地は、突然の笑顔にどうしたらいいか判らない顔になります。困惑して……そして泣きそうな顔になって、別の方向に走り去って行くことにします。
きよえ/あ、行っちゃった……。
GM/そろそろきよちゃんはナツメくんと合流しようか。
ナツメ/はい。みんなのところに戻ってきます。ただいま。
きよえ/ナっちゃん……。私ね、大ちゃんに会ったよ。
ナツメ/うん、俺も。
きよえ/大ちゃん、寂しそうだったよ……。
ナツメ/うん……だから俺、ちょっと宣戦布告してきた。
きよえ/大ちゃんともっと仲良くできるよね?
ナツメ/ああ。もう一押しだよ。希望を抱いていこう!
GM/2人は逸れてしまった萌ちゃんとちよたんの元へ合流。……では、AF判定が全部成功してましたよね。フラグ条件を満たしたので、ちょっとしたマスターシーンを入れさせてください。
ナツメ/はーい。
GM/PC達が『イベントキー:結界』を持っているので、とあるイベントが発生します。……走り去って行った大地くんは、校庭のとある異常に気付きます。(大地になって)「……結界が、≪テリトリー≫が崩されている?」
萌/あっ、あたしが壊したから……。
GM/「なんで……? あいつらか!?」 困惑する大地の元に、空がやって来ます。「大地……計画は失敗か? なら今日も食事は無しで……」
きよえ/空ちゃん……。

 「何を言ってるんだよ……空だって辛いくせに。もう何年も人を襲っていないんだから、今夜こそ動き出さなきゃ、空の体が……!」
 「でも、オレはもう、仲良くなったクラスメイトを襲うなんてしたくないんだ」
 「そんなこと言ったって! 本当は食べたいくせに! 本能的に異端は人を殺したいって、傷付けたいって、餌として食べてしまいたいって思うようにできている。空だって僕と同じだ!」
 「いいや……オレは、みんなと一緒に、あいつらと一緒に生きたいよ」


ナツメ/…………。
GM/空は、ハッキリと首を振ります。「今まで色んな学校に忍び込んできた……そのたびに失敗してきた。もうオレは、人を襲うなんて無理なんだ。だから今日もできない。オレはもう、ナツメや萌達と一緒に生きたいんだ……」
萌/空にぃ……。
GM/それは君達がいない所で、前のループでも、その前のループでも行なわれてきた口論でした。そして最終的には……「そんなの許さないよッ!」 大地がこう叫んで、終わります。

 「人間達は僕達に酷いことをしたじゃないか! どうしてそいつらの味方をするんだ!? 人間なんてみんな……!」
 「大地っ!」
 「……令呪をもって命ずる。空。君を惑わせるあいつらを……!」